(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光ファイバセンシングシステム、道路監視方法、及び光ファイバセンシング機器
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G08G1/00 J
(21)【出願番号】P 2021541820
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2019033368
(87)【国際公開番号】W WO2021038695
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】宮本 伸一
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-069594(JP,A)
【文献】特開2004-252520(JP,A)
【文献】特開2009-075000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0275788(US,A1)
【文献】国際公開第2020/116030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26- 5/38
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える、光ファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記推定部は、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻に基づいて、前記交通事故の発生時刻を推定する、
請求項1に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項3】
光ファイバセンシングシステムによる道路監視方法であって、
道路に沿って設けられた光ファイバが、振動を検出するステップと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出ステップと、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定ステップと、
を含む、道路監視方法。
【請求項4】
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える、光ファイバセンシング機器。
【請求項5】
前記推定部は、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻に基づいて、前記交通事故の発生時刻を推定する、
請求項
4に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項6】
前記検出部は、前記光ファイバに入射された入射光に対する前記光信号を受信し、
前記推定部は、前記光ファイバに前記入射光が入射された時刻と、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻と、の時間差に基づいて、前記交通事故の発生位置を推定する、
請求項
5に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項7】
前記振動パターンは、前記交通事故の発生時点又は発生前における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
請求項
6に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項8】
前記振動パターンは、前記交通事故の発生後における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
請求項
6又は
7に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項9】
前記推定部は、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
請求項
6に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項10】
前記推定部は、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
請求項
7又は
8に記載の光ファイバセンシング機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバセンシングシステム、道路監視方法、及び光ファイバセンシング機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の状況を監視するシステムが提案されている。
例えば、特許文献1には、道路のガードレール等に衝撃センサを固定し、衝撃センサから出力される電気信号のレベルが閾値レベル以上である場合に、交通事故が発生した旨の事故検知信号を発生することが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、地中電力ケーブルの表面等に光ファイバを敷設し、光ファイバに物理現象が発生したか否かを連続的に検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-227989号公報
【文献】特開平06-307896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、道路で交通事故が発生したか否かを検出することしかできない。また、特許文献2に記載の技術も、物理現象が発生したか否かを検出することしかできない。
そのため、特許文献1,2に記載の技術はいずれも、道路で発生した交通事故の状況については把握することができないという課題がある。
【0006】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、道路で発生した交通事故の状況を把握することができる光ファイバセンシングシステム、道路監視方法、及び光ファイバセンシング機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様による光ファイバセンシングシステムは、
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える。
【0008】
一態様による道路監視方法は、
道路に沿って設けられた光ファイバが、振動を検出するステップと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出ステップと、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定ステップと、
を含む。
【0009】
一態様による光ファイバセンシング機器は、
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
上述した態様によれば、道路で発生した交通事故の状況を把握できる光ファイバセンシングシステム、道路監視方法、及び光ファイバセンシング機器を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る推定部が、パターンマッチングを利用して、道路で発生した交通事故の状況を推定する例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定する方法の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
【
図10】実施の形態2に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例及び道路上の車両の走行状態の例を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定するために用いる振動データの例を示す図である。
【
図12】実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
【
図13】実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係る推定部が、道路で発生した交通事故の状況を推定する方法の例を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
【
図16】他の実施の形態に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
【
図17】他の実施の形態に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
【
図18】実施の形態を概念的に示した光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
【
図19】
図18に示される光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
【
図20】実施の形態に係る光ファイバセンシング機器を実現するコンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
まず、
図1を参照して、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの構成例について説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムは、光ファイバ10A(第1光ファイバ)、光ファイバ10B(第2光ファイバ)、及び光ファイバセンシング機器20を備えている。また、光ファイバセンシング機器20は、検出部21及び推定部22を備えている。
【0015】
光ファイバ10A,10Bは、道路Rに敷設されている。詳細には、光ファイバ10Aは、道路Rの近傍に埋設され、光ファイバ10Bは、道路Rに沿って架空配線されている。なお、
図1においては、光ファイバ10Bは、電柱Tにより架空配線されているが、鉄塔等の他の手段により架空配線されても良い。また、光ファイバ10A,10Bは、既存の未使用の通信用光ファイバ(いわゆる、ダークファイバ)で実現されても良い。また、光ファイバ10A,10Bは、既存の使用中の通信用光ファイバで通信用に使用している周波数とは異なる周波数を使用することとすれば、既存の使用中の通信用光ファイバで実現されても良い。また、光ファイバ10A,10Bは、光ファイバを被覆して構成される光ファイバケーブルの態様で、道路Rに敷設されても良い。
【0016】
検出部21は、光ファイバ10Aにパルス光(入射光)を入射する。また、検出部21は、パルス光が光ファイバ10Aを伝送されることに伴い発生した反射光や散乱光を、光ファイバ10Aを経由して、戻り光(光信号)として受信する。同様に、検出部21は、光ファイバ10Bにパルス光を入射し、光ファイバ10Bから戻り光を受信する。
【0017】
道路Rで衝撃が発生すると、その振動は、道路Rの下に埋設されている光ファイバ10Aに伝達され、光ファイバ10Aにより伝送される戻り光に影響を及ぼすと共に、音としても空気を伝搬して、道路Rに沿って架空配線されている光ファイバ10Bに伝達され、光ファイバ10Bにより伝送される戻り光に影響を及ぼす。そのため、光ファイバ10A,10Bは、道路Rで発生した振動やそれに起因する音を検出することが可能である。
【0018】
このように、道路Rで発生した衝撃は地面を介する振動、及び空気を介する音として伝搬するが、光ファイバ10Aは、地面を伝搬する振動を検出し易いため、その振動を中心に検出を行い、また、光ファイバ10Bは、空気を伝搬する音を検出し易いため、音を中心に検出を行う。
【0019】
なお、前期説明では事故などの衝撃による振動の検出について記載したが、特に光ファイバ10Aはそれに留まらず、車両が道路Rを通常走行する際に発生する振動についても検出可能である。
【0020】
ここで、道路Rで発生した振動は、その振動の要因となった事象に応じて、振動の強弱、振動位置、振動数の変動の推移等が異なる固有の振動パターンを有している。例えば、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンは、その交通事故に固有のパターンとなる。
【0021】
そのため、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンの動的変化を分析することにより、道路Rで交通事故が発生したことを検出するだけでなく、道路Rで発生した交通事故の状況についても推定することが可能となる。
【0022】
交通事故の状況としては、例えば、以下が考えられる。
・交通事故を発生した車両の台数
・交通事故を発生した車両の種別(例えば、自動車、バイク等)
・交通事故の種類(例えば、スピン事故、横転事故、衝突事故等)
・物損(例えば、信号機の破損等)
【0023】
そこで、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。ここで、光ファイバ10Aは、道路Rに直接伝わる振動を検出する。そのため、検出部21は、光ファイバ10Aから受信された戻り光からは、例えば、交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。一方、光ファイバ10Bは、道路Rから空気を介して伝わる音として振動を検出する。そのため、検出部21は、光ファイバ10Bから受信された戻り光からは、例えば、交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。
【0024】
推定部22は、検出部21により検出された交通事故に起因する振動の振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。このとき、上述のように、検出部21により検出された振動の振動パターンは、交通事故に固有のパターンとなる。そのため、推定部22は、検出部21により検出された振動の振動パターンの動的変化を分析することにより、交通事故の状況を推定する。
【0025】
なお、本実施の形態1においては、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光をリアルタイムに分析して、交通事故の状況を推定しても良いし、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光又はその戻り光を変換した振動データを一旦保持し、その後、戻り光又は振動データを読み出し分析して、交通事故の状況を推定しても良い。
【0026】
また、推定部22は、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が、検出部21で受信された時刻に基づいて、その交通事故の発生時刻を推定しても良い。
【0027】
また、推定部22は、検出部21が光ファイバ10A,10Bにパルス光を入射した時刻と、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が、検出部21で受信された時刻と、の時間差に基づいて、交通事故の発生位置(検出部21からの光ファイバ10A,10Bの距離)を推定しても良い。詳細には、推定部22は、上記の時間差に基づいて、検出部21から交通事故の発生位置までの光ファイバ10A,10Bの距離を測定することが可能である。このとき、推定部22は、光ファイバ10A,10Bの距離と、その距離に相当する位置(地点)と、を対応付けた対応テーブルを予め保持しておけば、その対応テーブルを用いて、交通事故の発生位置(地点)を推定することが可能となる。
【0028】
続いて以下では、推定部22において、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する具体的な方法について説明する。
【0029】
(A)方法A
まず、
図2及び
図3を参照して、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する方法Aについて説明する。
【0030】
検出部21は、光ファイバ10Bから受信された戻り光を、例えば、
図2に示されるような振動データに変換する。
図2に示される振動データは、道路Rのある位置で光ファイバ10Bが検出した振動の振動データであり、横軸が時間、縦軸が音強度を示している。
【0031】
推定部22は、
図2に示されるような振動データに基づいて、交通事故の状況を推定する。このとき、例えば、推定部22は、パターンマッチングを利用する。詳細には、推定部22は、交通事故の状況に応じた振動データを教師データとして予め保持しておく。なお、この教師データは、推定部22が機械学習等により学習したものでも良い。そして、推定部22は、
図3に示されるように、検出部21により変換された振動データが有する振動パターンを、予め保持している複数の教師データが有する振動パターンとそれぞれ比較する。推定部22は、いずれかの教師データが有する振動パターンに適合する場合、検出部21により変換された振動データは、適合した教師データに対応する交通事故の状況で発生した振動データであると判断する。
図3に示される例では、検出部21により変換された振動データは、衝突事故が発生したときの振動データと振動パターンが略一致している。そのため、推定部22は、衝突事故が発生したと判断する。
【0032】
(B)方法B
続いて、
図4及び
図5を参照して、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する方法Bについて説明する。
検出部21は、光ファイバ10Aから受信された戻り光を、例えば、
図4及び
図5に示されるような振動データに変換する。
図4及び
図5に示される振動データは、対面通行が行われる道路Rで光ファイバ10Aが検出した振動の振動データであり、横軸が、検出部21からの光ファイバ10Aの距離、縦軸が、時間経過を示している。また、縦軸は、正方向に向かうほど、古いデータとなる。
【0033】
図4及び
図5に示される振動データにおいては、道路Rを走行している車両の振動を光ファイバ10Aで検出すると、車両が走行していることが線で表される。例えば、1台の車両が時間経過に従って走行していることは、斜めに1本の線で表される。ここで、線の傾きの絶対値は、車両の走行速度を表している。線の傾きの絶対値が小さいほど、車両の走行速度が速いことを意味している。また、線の傾きの正負は、車両の走行方向を表している。例えば、正の傾きの線が車線Aを走行する車両を表している場合、負の傾きの線は、車線Aの反対車線となる車線Bを走行する車両を表している。
【0034】
推定部22は、
図4及び
図5に示されるような振動データに基づいて、交通事故の状況を推定する。
【0035】
図4の例では、線L1は傾きが負であるのに対して、線L2は傾きが正である。このことは、線L1で表される車両は、線L2で表される車両が走行している車線の反対車線を走行していることを意味している。このとき、両車両は、検出部21からの光ファイバ10Aの距離が一致する位置P1を過ぎても、走行を継続している。そのため、推定部22は、
図4の例では、衝突など交通事故は発生せず、車両が正常にすれ違っていると判断する。
【0036】
一方、
図5の例でも、
図4と同様に、線L1で表される車両は、線L2で表される車両が走行している車線の反対車線を走行している。しかし、両車両は、検出部21からの光ファイバ10Aの距離が一致する位置P1において、減速することなく突然走行を停止している。そのため、推定部22は、
図5の例では、正面衝突事故が発生したと判断する。
【0037】
なお、本方法Bにおいても、推定部22は、
図4及び
図5に示されるような振動データに基づいて、上述した方法Aと同様のパターンマッチングを利用して、交通事故の状況を推定しても良い。
【0038】
(C)方法C
続いて、
図6及び
図7を参照して、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する方法Cについて説明する。
検出部21は、光ファイバ10Aから受信された戻り光を、例えば、
図6及び
図7に示されるような振動データに変換する。
図6及び
図7に示される振動データは、道路Rを走行する特定の車両に着目し、光ファイバ10Aが検出したその車両の振動データを時系列的に示している。
【0039】
推定部22は、
図6及び
図7に示されるような振動データに基づいて、交通事故の状況を推定する。
【0040】
図6及び
図7の例では、いずれも、振動データにおいて、交通事故に固有の大きなピークP1が発生している。
ただし、
図6の例では、1回のピークP1が発生したのみで、振動が収束している。このことから、交通事故を発生した車両は、何某かに一度衝突して停止したと考えられる。そのため、推定部22は、比較的単純な形態の事故が発生したと判断する。
【0041】
一方、
図7の例では、ピークP1が発生した後、さらに、ピークP2,P3という比較的大きなピークが連続して発生している。このことから、交通事故を発生した車両は、他の車両等にも衝突し、もしくは横転するなどして、そのときの振動がピークP2,P3として発生していると考えられる。そのため、推定部22は、複数台の車両の衝突や横転などの、複雑な形態の衝突事故が発生したと判断する。なお、推定部22は、振動データにおけるピークの数に基づいて、衝突事故を発生した車両の台数を判断しても良い。
図7の例では、3つのピークP1~P3が発生しているため、推定部22は、ピークP1の衝突が車両同士の衝突であれば、少なくとも4台の車両による衝突事故が発生したと判断する。
【0042】
なお、本方法Cにおいても、推定部22は、
図6及び
図7に示されるような振動データに基づいて、上述方法Aと同様のパターンマッチングを利用して、交通事故の状況を推定しても良い。
【0043】
ここで、上述した方法A~方法Cは、交通事故の種類(例えば、単独事故、多重衝突事故等)、交通事故を発生した車両の台数等を推定する例であった。ただし、これらの例には限定されず、推定部22は、振動パターンを分析し、交通事故を発生した車両の種別(例えば、自動車、バイク等)、物損(例えば、信号機の破損等)等を推定しても良い。
【0044】
また、推定部22は、上述した方法A~方法Cを、互いに組み合わせて用いて、交通事故の状況を推定しても良い。ここで、上述した方法B及び方法Cでは、道路Rに直接伝わる振動を検出するのに対し、上述した方法Aでは、道路Rから空気を介して伝わる音としても振動を検出する。そこで、例えば、推定部22は、上述した方法Aの衝突音を分析して、金属同士の衝突音でない鈍い衝突音が発生していると判断し、その時刻や位置と上述した方法Cで検出した衝撃や車両の急減速位置が合致する場合は、車両が人に衝突した人身事故の可能性があると判断する。
【0045】
(D)方法D
続いて、
図8を参照して、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する方法Dについて説明する。
【0046】
図8において、
図6及び
図7に示されるような振幅の時間変化を表す振動データを入力とするニューラルネットワーク(NN:Neural Network)をNN#1、この振動データをFourier変換した後のスペクトルを入力とするNNをNN#2、この振動データをWavelet変換した後のスペクトルを入力とするNNをNN#3、NN#1~NN#3の融合重みを表すNNをNN#4とする。
推定部22は、NN#1~NN#3の3種の情報を総合的に判断して、交通事故の発生の有無を推定する。
【0047】
続いて、
図9を参照して、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図9に示されるように、光ファイバ10A,10Bは、道路Rで発生した振動を検出する(ステップS11)。光ファイバ10A,10Bで検出された振動は、光ファイバ10A,10Bを伝送される戻り光に影響を与える。
【0048】
続いて、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する(ステップS12)。
【0049】
続いて、推定部22は、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻に基づいて、その交通事故の発生時刻を推定する。さらに、推定部22は、光ファイバ10A,10Bにパルス光を入射した時刻と、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻と、の時間差に基づいて、その交通事故の発生位置を推定する(ステップS13)。
【0050】
その後、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況として、交通事故の種類(例えば、単独事故、多重衝突事故等)、交通事故を発生した車両の台数等を推定する(ステップS14)。
【0051】
上述したように本実施の形態1によれば、光ファイバ10A,10Bは、道路Rで発生した振動を検出する。検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。推定部22は、その振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。これにより、道路Rで交通事故が発生したか否かを把握できるだけでなく、道路Rで発生した交通事故の状況についても把握することができる。
【0052】
また、例えば、交差点にマイクやカメラを配置すれば、マイクで集音された衝撃音やカメラで撮影されたカメラ画像から交通事故を検出できる可能性がある。しかし、この方法で交通事故を検出できるのは、マイクやカメラを配置した交差点のみとなる。
【0053】
これに対して、本実施の形態1によれば、光ファイバ10A,10Bは、光ファイバ10A,10Bが敷設されたいずれの箇所においても振動を検出することができる。そのため、光ファイバ10A,10Bが敷設されたいずれの箇所においても、交通事故の発生を検出し、その交通事故の状況を把握することができる。
【0054】
また、本実施の形態1によれば、光ファイバ10A,10Bは、既存の通信用光ファイバで実現されても良い。この場合、光ファイバ10A,10Bを新たに設置する必要がないため、光ファイバセンシングシステムを低コストで構築することができる。
【0055】
また、本実施の形態1によれば、推定部22は、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻に基づいて、その交通事故の発生時刻を推定しても良い。この場合、交通事故の正確な発生時刻を把握できるため、交通事故の発生時刻における信号機の現示状況を特定することができる。これにより、交通事故の当事者が現示状況を偽証しても、偽証であると判断できる。
【0056】
なお、本実施の形態1によれば、道路Rで発生した交通事故の状況を推定するために、光ファイバ10Aが検出した振動の振動データと、光ファイバ10Bが音として検出した振動の振動データと、を用いていたが、これには限定されない。道路Rに温度変化があった場合、その温度変化も光ファイバ10A,10Bにより伝送される戻り光に影響を与えるから、光ファイバ10A,10Bは、道路Rの温度も検出可能である。そのため、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光を、温度データに変換し、推定部22は、その温度データをさらに用いて、交通事故の状況を推定しても良い。推定部22は、温度データを用いることにより、例えば、道路Rが凍結していることを判断できる。また、推定部22は、温度データを、振動データと組み合わせて用いることにより、例えば、道路Rに火災や爆発が発生したことを判断できる。そのため、推定部22は、例えば、振動データを用いて衝突事故を推定した場合、さらに温度データを用いることにより、その衝突事故が、道路Rの凍結や、道路Rに発生した火災や爆発に起因して発生したと判断できる。
【0057】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムは、構成自体は上述した実施の形態1と同様であるが、検出部21及び推定部22の機能を拡張している。
【0058】
道路Rで発生した振動の振動パターンは、道路R上の車両の走行状態(例えば、走行方向、走行速度、走行台数、車間距離、渋滞の有無、危険運転の有無等)によっても異なるパターンとなる。車両の走行状態に起因する振動は、特に、道路Rの下に埋設されている光ファイバ10Aによって検出することが可能である。
【0059】
本実施の形態2は、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンだけでなく、道路R上の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンも用いて、交通事故の状況を推定するものである。
【0060】
推定部22は、上述のように、道路Rで発生した交通事故の発生時刻及び発生位置を特定することが可能である。
そこで、検出部21は、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとの一つにおける、光ファイバ10Aから受信された戻り光から、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに検出する。
【0061】
推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンと、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとの一つにおける、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンと、に基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。このとき、上述のように、検出部21により検出された振動の振動パターンは、交通事故に固有のパターンを含むと共に、道路R上の車両の走行状態に応じた固有のパターンを含む。そのため、推定部22は、検出部21により検出された振動の振動パターンの動的変化を分析することにより、交通事故の状況を推定する。
【0062】
なお、本実施の形態2においては、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光又はその戻り光を変換した振動データを一旦保持し、その後、戻り光又は振動データを読み出し分析して、交通事故の状況を推定するものとする。
【0063】
続いて以下では、
図10及び
図11を参照して、推定部22において、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する具体的な方法について説明する。
図10の上図は、道路R上の車両の走行状態を示している。車両の走行状態に起因する振動は、特に光ファイバ10Aで検出されるため、
図10の上図では、光ファイバ10Bの図示が省略されている。
【0064】
光ファイバ10Aは、
図10の上図のような走行状態であるときに道路Rで発生した振動を検出し、その振動が戻り光に影響を与える。検出部21は、光ファイバ10Aから、その戻り光を受信する。検出部21は、光ファイバ10Aから受信された戻り光を、例えば、
図10の下図に示されるような振動データに変換する。
【0065】
推定部22は、
図10の下図に示されるような振動データに基づいて、交通事故の状況を推定する。
図10の下図に示される振動データの横軸及び縦軸は、
図4及び
図5に示したものと同様である。そのため、
図10の下図に示される振動データにおいても、1台の車両が道路Rを時間経過に従って走行していることは、斜めに1本の線で表される。また、線の傾きの絶対値は、車両の走行速度を表し、線の傾きの正負は、車両の走行方向を表している。また、線の横軸方向の間隔Gは、車両同士の車間距離を表しており、間隔Gが短いほど、車間距離が短くなることを意味している。
【0066】
図10の下図に示される振動データにおいて、中央付近では、複数本の線は、傾きが負で絶対値が大きく、線同士の間隔Gも短くなっている。このことは、複数台の車両が、それぞれ同じ走行方向に走行しているが、走行速度が遅く、車間距離も短いことを意味している。そのため、渋滞が発生していると考えられる。その一方、中央付近以外では、渋滞が発生していないと考えられる。なお、
図10の下図の例では、交通事故は発生していない。
【0067】
続いて、
図10の下図と同様の方法で変換された
図11の振動データについて説明する。
図11に示される振動データは、対面通行が行われる道路Rで光ファイバ10Aが検出した振動の振動データである。
【0068】
図11の例では、線L1~線L4で表される4台の車両は、それぞれ同じ走行方向に走行しているが、走行速度が遅く、車間距離も短い。そのため、渋滞が発生していると考えられる。その一方、線L5で表される車両は、線L1~線L4で表される4台の車両が走行している車線の反対車線を走行している。また、線L5で表される車両は、渋滞が発生していると考えられる位置P1において、走行を停止している。そのため、推定部22は、
図11の例では、渋滞が発生している車両の列に、反対車線から車両が正面衝突した交通事故が発生したと判断する。
【0069】
なお、本方法においては、推定部22は、
図10の下図及び
図11に示されるような振動データに基づいて、上述した実施の形態1で説明した方法Aと同様のパターンマッチングを利用して、交通事故の状況を推定しても良い。
【0070】
ここで、上述した方法では、
図10の下図及び
図11に示されるような振動データに基づいて、道路R上に渋滞が発生していることを推定していた。ただし、この例には限定されず、推定部22は、例えば、危険運転(例えば、あおり運転、蛇行運転、逆走運転等)をしている車両の有無や、急ブレーキをかけた車両の有無を推定しても良い。例えば、推定部22は、片側通行が行われている道路Rにおいて、走行方向が異なる車両があれば、その車両は逆走運転をしていると判断できる。また、推定部22は、閾値以上の走行速度で走行しているにもかかわらず、前の車両との車間距離が短い状態が継続している車両があれば、その車両はあおり運転をしていると判断できる。また、推定部22は、走行速度が閾値以上に減速した車両があれば、その車両は急ブレーキをかけていると判断できる。
【0071】
また、推定部22は、交通事故の発生後の振動データを用いることにより、交通事故の発生後に渋滞が発生していることや、交通事故の発生位置から逃亡した車両が存在することなども推定することができる。
【0072】
続いて、
図12を参照して、本実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図12に示されるように、光ファイバ10A,10Bは、道路Rで発生した振動を検出する(ステップS21)。光ファイバ10A,10Bで検出された振動は、光ファイバ10A,10Bを伝送される戻り光に影響を与える。
【0073】
続いて、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する(ステップS22)。
続いて、推定部22は、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻に基づいて、その交通事故の発生時刻を推定する。さらに、推定部22は、光ファイバ10A,10Bにパルス光を入射した時刻と、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻と、の時間差に基づいて、その交通事故の発生位置を推定する(ステップS23)。
【0074】
続いて、検出部21は、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとの一つにおける、光ファイバ10Aから受信された戻り光から、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンを検出する(ステップS24)。
【0075】
その後、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンと、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとの一つにおける、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンと、に基づいて、以下を推定する(ステップS25)。
・道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状況(例えば、渋滞の有無等)
・道路R上の特定の車両の走行状況(例えば、あおり運転、蛇行運転、逆走運転等)
・道路Rで発生した交通事故の状況(例えば、交通事故の種類、交通事故を発生した車両の台数等)
【0076】
上述したように本実施の形態2によれば、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出すると共に、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとの一つにおける、光ファイバ10Aから受信された戻り光から、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンを検出する。推定部22は、それらの振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。これにより、道路Rで発生した交通事故の状況をさらに詳細に把握することができる。その他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0077】
なお、本実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様に、推定部22は、温度データをさらに用いて、交通事故の状況を推定しても良い。
【0078】
<実施の形態3>
続いて、
図13を参照して、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの構成例について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態3を、上述した実施の形態1に機能を追加した構成であるものとして説明するが、本実施の形態3は、上述した実施の形態2に機能を追加した構成としても良いことは言うまでもない。
【0079】
図13に示されるように、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムは、上述した実施の形態1と比較して、カメラ30が追加されている点が異なる。なお、
図13においては、カメラ30が1台だけ設けられているが、カメラ30は複数台設けても良い。
【0080】
カメラ30は、道路Rを撮影するカメラであり、例えば、固定カメラ、PTZ(Pan Tilt Zoom)カメラ等で実現される。
【0081】
推定部22は、カメラ30の設置位置(検出部21からの光ファイバ10A,10Bの距離、カメラ30の設置位置の緯度経度等)、カメラ30の撮影可能エリアを規定する位置(緯度経度等)等を示すカメラ情報を保持する。また、推定部22は、上述のように、道路Rで発生した交通事故の発生時刻及び発生位置(検出部21からの光ファイバ10A,10Bの距離)を推定することが可能である。
【0082】
そのため、推定部22は、道路R上のカメラ30の撮影可能エリア内で交通事故が発生した場合、交通事故の発生時刻及び発生位置を推定する。そして、推定部22は、カメラ30により撮影されたカメラ画像の中から、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得する。ただし、交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得するには、交通事故の発生位置を、カメラ画像上の位置に変換する処理が必要となる。そのため、推定部22は、例えば、検出部21からの光ファイバ10A,10Bの距離とカメラ座標とを対応づける対応テーブルを予め保持し、この対応テーブルを用いて、上述した位置変換をしても良い。また、推定部22は、交通事故の発生位置付近を複数台のカメラ30で撮影可能であれば、複数台のカメラ30の各々から上述したカメラ画像を取得しても良い。
【0083】
そして、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンと、上記で取得されたカメラ画像と、に基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。
【0084】
例えば、推定部22は、交通事故に起因する振動の振動パターンに基づいて、衝突事故等を推定したとする。この場合、さらに、推定部22は、カメラ画像に基づいて、衝突事故等を発生した車両のナンバーを特定したり、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける交通事故の発生位置の状況を推定したりすることができる。カメラ画像に基づき推定される交通事故の発生位置の状況は、例えば、危険運転(例えば、あおり運転、蛇行運転、逆走運転、一時停止等の交通標識を無視した運転等)をしている車両の有無、わき見運転や居眠り運転をしている車両の有無、渋滞の有無等である。
【0085】
なお、本実施の形態3においては、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光又はその戻り光を変換した振動データと、カメラ30により撮影されたカメラ画像と、を一旦保持し、その後、戻り光又は振動データとカメラ画像とを読み出し分析して、交通事故の状況を推定するものとする。
【0086】
また、本実施の形態3においては、推定部22は、上述した実施の形態1の方法Dのように、NNを用いて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定しても良い。
図14を参照して、この方法を説明する。
【0087】
図14において、道路Rを走行する特定の車両の振動データであって振幅の時間と位置との相関を表す振動データを入力とするNNをNN#1、道路Rを撮影したカメラ画像を入力とするNNをNN#2、NN#1~NN#2の融合重みを表すNNをNN#3とする。
【0088】
推定部22は、NN#1~NN#2の2種の情報を総合的に判断して、交通事故の発生の有無を推定する。例えば、推定部22は、光ファイバ10Aで検知したNN#1の情報で交通事故が発生したと推定しても、NN#2の情報ではカメラ画像に車が写っていなければ、誤推定と判断する。このように、カメラ画像は、交通事故の発生の有無を推定するための補助的な情報としても利用可能である。
【0089】
続いて、
図15を参照して、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図15に示されるように、光ファイバ10A,10Bは、道路Rで発生した振動を検出する(ステップS31)。光ファイバ10A,10Bで検出された振動は、光ファイバ10A,10Bを伝送される戻り光に影響を与える。
【0090】
続いて、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する(ステップS32)。
続いて、推定部22は、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻に基づいて、その交通事故の発生時刻を推定する。さらに、推定部22は、光ファイバ10A,10Bにパルス光を入射した時刻と、光ファイバ10A,10Bから、交通事故に起因する振動パターンが検出された戻り光が受信された時刻と、の時間差に基づいて、その交通事故の発生位置を推定する(ステップS33)。
【0091】
続いて、推定部22は、カメラ30により撮影されたカメラ画像の中から、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得する(ステップS34)。
【0092】
その後、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンと、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける、交通事故の発生位置付近のカメラ画像と、に基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する(ステップS35)。
【0093】
上述したように本実施の形態3によれば、検出部21は、光ファイバ10A,10Bから受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。推定部22は、カメラ30により撮影されたカメラ画像の中から、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得する。そして、推定部22は、それらの振動パターン及びカメラ画像に基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。これにより、道路Rで発生した交通事故の状況をさらに詳細に把握することができる。その他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0094】
なお、推定部22は、交通事故の発生後の発生位置付近のカメラ画像を以下のように取得しても良い。例えば、推定部22は、交通事故が発生した場合、交通事故の発生位置付近を撮影するように、カメラ30の角度(方位角、仰角)、ズーム倍率等を制御し、以降にカメラ30により撮影されたカメラ画像を取得する。このとき、交通事故の発生位置を、カメラ画像上の位置に変換する処理が必要となるが、この位置変換は、上述した対応テーブルを用いた方法で行えば良い。
【0095】
また、以上の説明では、本実施の形態3を、上述した実施の形態1に機能を追加した構成であるものとして説明したが、上述したように、本実施の形態3は、上述した実施の形態2に機能を追加した構成としても良い。この場合、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンと、交通事故の発生時点又は発生前又は発生後の少なくとも一つにおける、道路R上の交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンと、上述したカメラ画像と、に基づいて、交通事故の状況を推定すれば良い。
【0096】
<他の実施の形態>
なお、光ファイバセンシング機器20は、
図16に示されるように、予測部23をさらに備えていても良い。
予測部23は、道路R上の車両の走行状態を分析して、交通事故の発生を予測する。例えば、予測部23は、あおり運転をしている車両や、走行速度が周囲の車両に比べて閾値以上に速い車両や遅い車両を検出した場合、交通事故が発生すると予測しても良い。
【0097】
また、予測部23は、道路R上の車両の走行状態の統計データを分析して、交通事故が発生し易い箇所を特定しても良い。例えば、予測部23は、車両が急ブレーキをかけることが多い箇所を、交通事故が発生し易い箇所と特定しても良い。
【0098】
また、光ファイバセンシング機器20は、
図17に示されるように、通知部24をさらに備えていても良い。
通知部24は、道路R上で交通事故が発生した場合、交通事故が発生したことを通知すると共に、推定部22が推定した交通事故の状況を通知する。例えば、通知部24は、道路Rが一般道であれば、警察や消防に通知を行い、道路Rが高速道路であれば、高速道路の管理会社に通知を行う。また、この通知は、該当するメッセージを音響出力するものでも良いし、表示出力するものでも良い。
【0099】
また、通知部24は、交通事故の状況に応じて緊急度を決定し、決定した緊急度に応じて通知先や通知内容を変更しても良い。例えば、通知部24は、人が悲鳴を上げている場合や、交通事故を発生した車両の台数が多い場合は、緊急度を高くすれば良い。また、通知部24は、表1に示されるように、緊急度と、通知先や通知内容と、を対応付けた対応テーブルを予め保持しておき、その対応テーブルを用いて、緊急度に応じた通知先や通知内容を特定しても良い。表1の例では、緊急度は、数値が大きいほど、緊急度が高いことを示しており、緊急度が高くなると、警察に対してパトカーの数を増やすよう要請する。
【表1】
【0100】
また、光ファイバセンシング機器20は、
図16に示される予測部23及び
図17に示される通知部24の両方を備える構成であっても良い。また、光ファイバセンシング機器20は、
図13に示されるカメラ30に接続される構成であっても良い。
【0101】
また、
図1、
図13、
図16、及び
図17の例では、光ファイバセンシング機器20に複数の構成要素(検出部21、推定部22、予測部23、及び通知部24)が設けられているが、これには限定されない。光ファイバセンシング機器20に設けられていた構成要素は、1つの装置に設けることには限定されず、複数の装置に分散して設けられていても良い。
【0102】
<実施の形態の概念>
続いて、
図18を参照して、上述の実施の形態を概念的に示した光ファイバセンシングシステムの構成について説明する。
【0103】
図18に示される光ファイバセンシングシステムは、光ファイバ10及び光ファイバセンシング機器20を備えている。また、光ファイバセンシング機器20は、検出部21及び推定部22を備えている。
【0104】
光ファイバ10は、道路Rに沿って設けられ、振動を検出する。例えば、光ファイバ10は、道路Rの近傍に設けられても良いし、道路Rに敷設されても良い。また、光ファイバ10は、道路Rの下に埋設されても良いし、架空配線されても良い。
【0105】
検出部21は、光ファイバ10にパルス光を入射し、パルス光が光ファイバ10を伝送されることに伴い発生した反射光や散乱光を、光ファイバ10を経由して、戻り光として受信する。また、検出部21は、光ファイバ10から受信された光信号から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する。
【0106】
推定部22は、検出部21により検出された交通事故に起因する振動の振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する。
【0107】
続いて、
図19を参照して、
図18に示される光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図19に示されるように、光ファイバ10は、道路Rで発生した振動を検出する(ステップS41)。光ファイバ10で検出された振動は、光ファイバ10を伝送される戻り光に影響を与える。
【0108】
続いて、検出部21は、光ファイバ10から受信された戻り光から、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する(ステップS42)。
その後、推定部22は、検出部21により検出された、道路Rで発生した交通事故に起因する振動の振動パターンに基づいて、道路Rで発生した交通事故の状況を推定する(ステップS43)。
【0109】
以上の動作により、道路Rで交通事故が発生したか否かを把握できるだけでなく、道路Rで発生した交通事故の状況についても把握することができる。
【0110】
<光ファイバセンシング機器のハードウェア構成>
続いて以下では、
図20を参照して、光ファイバセンシング機器20を実現するコンピュータ40のハードウェア構成例について説明する。ここでは、上述した実施の形態1の構成の光ファイバセンシング機器20を実現する場合を例に挙げて説明する。
【0111】
図20に示されるように、コンピュータ40は、プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース(入出力I/F)404、及び通信インタフェース(通信I/F)405等を備える。プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース404、及び通信インタフェース405は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0112】
プロセッサ401は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ402は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。ストレージ403は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカード等の記憶装置である。また、ストレージ403は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0113】
ストレージ403は、光ファイバセンシング機器20が備える構成要素(検出部21及び推定部22)の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ401は、これら各プログラムを実行することで、光ファイバセンシング機器20が備える構成要素の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ401は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ402上に読み出してから実行しても良いし、メモリ402上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ402やストレージ403は、光ファイバセンシング機器20が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0114】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ40を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0115】
入出力インタフェース404は、表示装置4041、入力装置4042、音出力装置4043等と接続される。表示装置4041は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ401により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置4042は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサ等である。表示装置4041及び入力装置4042は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置4043は、スピーカのような、プロセッサ401により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0116】
通信インタフェース405は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース405は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0117】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述した実施の形態は、一部又は全部を相互に組み合わせて用いても良い。
【0118】
また、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える、光ファイバセンシングシステム。
(付記2)
前記推定部は、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻に基づいて、前記交通事故の発生時刻を推定する、
付記1に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記3)
前記検出部は、前記光ファイバに入射された入射光に対する前記光信号を受信し、
前記推定部は、前記光ファイバに前記入射光が入射された時刻と、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻と、の時間差に基づいて、前記交通事故の発生位置を推定する、
付記2に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記4)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生時点又は発生前における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記3に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記5)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生後における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記3又は4に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記6)
前記道路を撮影するカメラをさらに備え、
前記推定部は、
前記カメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記3に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記7)
前記道路を撮影するカメラをさらに備え、
前記推定部は、
前記カメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記4又は5に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記8)
前記光ファイバは、
前記道路の下に埋設される第1光ファイバと、
前記道路に沿って、架空配線される第2光ファイバと、
を含む、付記1から7のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記9)
光ファイバセンシングシステムによる道路監視方法であって、
道路に沿って設けられた光ファイバが、振動を検出するステップと、
前記光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出ステップと、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定ステップと、
を含む、道路監視方法。
(付記10)
前記推定ステップでは、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻に基づいて、前記交通事故の発生時刻を推定する、
付記9に記載の道路監視方法。
(付記11)
前記検出ステップでは、前記光ファイバに入射された入射光に対する前記光信号を受信し、
前記推定ステップでは、前記光ファイバに前記入射光が入射された時刻と、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻と、の時間差に基づいて、前記交通事故の発生位置を推定する、
付記10に記載の道路監視方法。
(付記12)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生時点又は発生前における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定ステップでは、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記11に記載の道路監視方法。
(付記13)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生後における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定ステップでは、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記11又は12に記載の道路監視方法。
(付記14)
前記推定ステップでは、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記11に記載の道路監視方法。
(付記15)
前記推定ステップでは、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記12又は13に記載の道路監視方法。
(付記16)
前記光ファイバは、
前記道路の下に埋設される第1光ファイバと、
前記道路に沿って、架空配線される第2光ファイバと、
を含む、付記9から15のいずれか1項に記載の道路監視方法。
(付記17)
道路に沿って設けられ、振動を検出する光ファイバから受信された光信号から、前記道路で発生した交通事故に起因する振動の振動パターンを検出する検出部と、
前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する推定部と、
を備える、光ファイバセンシング機器。
(付記18)
前記推定部は、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻に基づいて、前記交通事故の発生時刻を推定する、
付記17に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記19)
前記検出部は、前記光ファイバに入射された入射光に対する前記光信号を受信し、
前記推定部は、前記光ファイバに前記入射光が入射された時刻と、前記光ファイバから、前記振動パターンが検出された前記光信号が受信された時刻と、の時間差に基づいて、前記交通事故の発生位置を推定する、
付記18に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記20)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生時点又は発生前における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記19に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記21)
前記振動パターンは、前記交通事故の発生後における、前記道路上の前記交通事故の発生位置付近の車両の走行状態に起因する振動の振動パターンをさらに含み、
前記推定部は、前記振動パターンに基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記19又は20に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記22)
前記推定部は、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記19に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記23)
前記推定部は、
前記道路を撮影するカメラにより撮影されたカメラ画像の中から、前記交通事故の発生時点、又は、発生前、又は、発生後の少なくとも一つにおける前記道路上の前記交通事故の発生位置付近のカメラ画像を取得し、
前記振動パターンと、前記取得されたカメラ画像と、に基づいて、前記交通事故の状況を推定する、
付記20又は21に記載の光ファイバセンシング機器。
【符号の説明】
【0119】
10,10A,10B 光ファイバ
20 光ファイバセンシング機器
21 検出部
22 推定部
23 予測部
24 通知部
30 カメラ
40 コンピュータ
401 プロセッサ
402 メモリ
403 ストレージ
404 入出力インタフェース
4041 表示装置
4042 入力装置
4043 音出力装置
405 通信インタフェース
R 道路
T 電柱