(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用外装カバー及び車両用レーダユニット
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20221206BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20221206BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2022033682
(22)【出願日】2022-03-04
【審査請求日】2022-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 暁子
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104714(WO,A1)
【文献】特開2006-117048(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01902902(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0215086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158111(US,A1)
【文献】米国特許第10651550(US,B2)
【文献】特表2020-504825(JP,A)
【文献】特開2010-135087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置と発光部を有する発光装置とを備える車両に取付けられ、前記レーダ装置により送受信される電波の経路上に設けられ
る車両用外装カバーであって、
電波透過性を有するカバー本体を備え、
前記カバー本体は、前記レーダ装置を覆うように配置されているとともに、
可視光透過性を有する透明基材と、
前記発光部が発する可視光を反射する反射部材と、を有しており、
前記透明基材は、前記経路上に設けられる本体部と、前記本体部の周縁部から前記本体部の意匠面側とは反対側に向かって突出して、前記経路から外れるように設けられる側面部と、を有しており、
前記側面部は、前記発光部が対向して配置されて前記発光部が発する可視光が入射する突端面を有しており、
前記反射部材は、前記側面部の外側面を覆う
ように配置されて、前記透明基材内を通って前記外側面に達した前記発光部からの可視光を前記透明基材側に反射する外側反射部を有している、
車両用外装カバー。
【請求項2】
前記反射部材は、前記外側反射部
と、前記側面部の内側面を覆う内側反射部
との双方を有している、
請求項1に記載の車両用外装カバー。
【請求項3】
前記側面部は、前記本体部の周縁部の全周にわたって設けられており、
前記外側反射部及び前記内側反射部の少なくとも一方は、前記側面部の全周にわたって設けられている、
請求項
2に記載の車両用外装カバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、加飾フィルムを有しており、
前記加飾フィルムは、前記本体部の意匠面に接合されたフィルム本体部と、前記フィルム本体部の周縁部から延設され、前記側面部の外側面に接合された延設部と、を有しており、
前記反射部材は、前記外側反射部を有しており、
前記外側反射部は、前記延設部の外側面及び内側面の少なくとも一方に設けられている、
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の車両用外装カバー。
【請求項5】
前記反射部材は、前記本体部の意匠面とは反対側の裏面を覆う裏側反射部を有している、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の車両用外装カバー。
【請求項6】
前記側面部の外側面を覆う被覆部材を更に備えており、
前記被覆部材における前記外側面に対向する内側面は、黒色を呈している、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の車両用外装カバー。
【請求項7】
前記カバー本体を光らせる可視光を発する発光部を有する発光装置を備えており、
前記発光部は、前記側面部の突端面に対向している、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両用外装カバー。
【請求項8】
前記側面部は、前記本体部の周縁部の全周にわたって設けられており、
前記発光装置は、前記側面部に沿って延在する環状のハウジングを備えており、
前記発光部は、前記ハウジングの内部において前記ハウジングの全周にわたって互いに間隔をおいて複数設けられている、
請求項7に記載の車両用外装カバー。
【請求項9】
電波を送受信するアンテナを有するレーダ装置と、前記電波の経路上に設けられ、電波透過
性を有するカバー本体を有する外装カバーと、前記カバー本体を光らせる可視光を発する発光部を有する発光装置と、を備える車両用レーダユニットであって、
前記カバー本体は、前記レーダ装置を覆うように配置されているとともに、
可視光透過性を有する透明基材と、
前記発光部が発する可視光を反射する反射部材と、を有しており、
前記透明基材は、前記経路上に設けられる本体部と、前記本体部の周縁部から前記本体部の意匠面側とは反対側に向かって突出して、前記経路から外れるように設けられる側面部と、を有しており、
前記発光部は、前記側面部の突端面に対向して
おり、
前記反射部材は、前記側面部の外側面を覆う
ように配置されて、前記透明基材内を通って前記外側面に達した前記発光部からの可視光を前記透明基材側に反射する外側反射部を有して
いる、
車両用レーダユニット。
【請求項10】
前記アンテナは、前記カバー本体の厚み方向において前記発光部よりも前記本体部に近い位置に配置されている、
請求項9に記載の車両用レーダユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装カバー及び車両用レーダユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用装飾部品としてのガーニッシュが開示されている。特許文献1に開示のガーニッシュは、ミリ波レーダ装置により送受信される電波の経路上に設けられる。ガーニッシュは、黒色基材、黒色基材の前面に設けられた加飾層、及び加飾層の前面に設けられた透明基材を有している。ガーニッシュは、電波透過性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたガーニッシュなどの外装カバー、並びに外装カバー及びレーダ装置を備える車両用レーダユニットにおいては、レーダ性能の向上を図るとともに、外装カバーの意匠性を高めることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両用外装カバーは、レーダ装置により送受信される電波の経路上に設けられ、電波透過性及び可視光透過性を有するカバー本体を備える車両用外装カバーであって、前記カバー本体は、可視光に対して透明な透明基材と、可視光を反射する反射部材と、を有しており、前記透明基材は、前記経路上に設けられる本体部と、前記本体部の周縁部から前記本体部の意匠面側とは反対側に向かって突出する側面部と、を有しており、前記反射部材は、前記側面部の外側面を覆う外側反射部及び前記側面部の内側面を覆う内側反射部の少なくとも一方を有している。
【0006】
同構成によれば、透明基材の側面部の突端面に対して可視光(以下、光)を発する発光部が対向するように発光装置を配置すると、発光部が発する光が突端面から側面部に入射するようになる。入射した光は、外側反射部あるいは内側反射部によって反射されるため、側面部の外部に光が漏れにくくなる。これにより、透明基材の本体部に光が到達しやすくなるので、本体部を効率的に発光させることができる。
【0007】
また、上記構成によれば、レーダ装置から送信される電波の進行方向におけるレーダ装置の前方に、電波の障害物となる発光装置が存在しなくなる。これにより、電波の送信角度範囲及び受信角度範囲を大きくできる、すなわちレーダ装置による対象物の検知可能範囲を大きくできる。
【0008】
したがって、簡単な構成により外装カバーの意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができる。
上記車両用外装カバーにおいて、前記反射部材は、前記外側反射部及び前記内側反射部の双方を有していることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、入射した光は、外側反射部及び内側反射部の双方によって反射されるため、側面部の外部に光りが一層漏れにくくなる。これにより、透明基材の本体部に光が一層到達しやすくなるので、本体部をより効率的に発光させることができる。
【0010】
上記車両用外装カバーにおいて、前記カバー本体は、加飾フィルムを有しており、前記加飾フィルムは、前記本体部の意匠面に接合されたフィルム本体部と、前記フィルム本体部の周縁部から延設され、前記側面部の外側面に接合された延設部と、を有しており、前記反射部材は、前記外側反射部を有しており、前記外側反射部は、前記延設部の外側面及び内側面の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、カバー本体が加飾フィルムを有しているため、外装カバーの意匠性が向上する。
また、上記構成によれば、カバー本体を製造する際に、加飾フィルムの延設部の外側面及び内側面の少なくとも一方に外側反射部を予め形成しておくことで、外側反射部を容易に形成することができる。
【0012】
上記車両用外装カバーにおいて、前記反射部材は、前記本体部の意匠面とは反対側の裏面を覆う裏側反射部を有していることが好ましい。
同構成によれば、本体部を進行する光が裏側反射部によって反射されるようになるため、本体部の裏面から外部に光が漏れにくくなる。これにより、本体部をより効率的に発光させることができる。
【0013】
上記車両用外装カバーにおいて、前記側面部の外側面を覆う被覆部材を更に備えており、前記被覆部材における前記外側面に対向する内側面は、黒色を呈していることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、側面部の外側面が被覆部材により覆われるため、発光部が発する光がカバー本体の外周側に漏れることを阻止できる。これにより、外装カバーの意匠性を一層高めることができる。
【0015】
上記車両用外装カバーにおいて、前記側面部は、前記本体部の周縁部の全周にわたって設けられており、前記外側反射部及び前記内側反射部の少なくとも一方は、前記側面部の全周にわたって設けられていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、側面部の外部に光が漏れることを側面部の全周にわたって抑制できる。これにより、透明基材の本体部に光が一層到達しやすくなるので、本体部をより効率的に発光させることができる。
【0017】
上記車両用外装カバーにおいて、前記カバー本体を光らせる可視光を発する発光部を有する発光装置を備えており、前記発光部は、前記側面部の突端面に対向していることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、簡単な構成により外装カバーの意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができるといった効果をより確実に奏することができる。
上記車両用外装カバーにおいて、前記側面部は、前記本体部の周縁部の全周にわたって設けられており、前記発光装置は、前記側面部に沿って延在する環状のハウジングを備えており、前記発光部は、前記ハウジングの内部において前記ハウジングの全周にわたって互いに間隔をおいて複数設けられていることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、透明基材の本体部を均一に発光させることができる。
また、上記課題を解決するための車両用レーダユニットは、電波を送受信するアンテナを有するレーダ装置と、前記電波の経路上に設けられ、電波透過性及び可視光透過性を有するカバー本体を有する外装カバーと、前記カバー本体を光らせる可視光を発する発光部を有する発光装置と、を備える車両用レーダユニットであって、前記カバー本体は、可視光に対して透明な透明基材と、可視光を反射する反射部材と、を有しており、前記透明基材は、前記経路上に設けられる本体部と、前記本体部の周縁部から前記本体部の意匠面側とは反対側に向かって突出する側面部と、を有しており、前記反射部材は、前記側面部の外側面を覆う外側反射部及び前記側面部の内側面を覆う内側反射部の少なくとも一方を有しており、前記発光部は、前記側面部の突端面に対向している。
【0020】
同構成によれば、発光部が発する光が突端面から側面部に入射するようになる。入射した光は、外側反射部あるいは内側反射部によって反射されるため、側面部の外部に光が漏れにくくなる。これにより、透明基材の本体部に光が到達しやすくなるので、本体部を効率的に発光させることができる。
【0021】
また、上記構成によれば、レーダ装置から送信される電波の進行方向におけるレーダ装置の前方に、電波の障害物となる発光装置が存在しなくなる。これにより、電波の送信角度範囲及び受信角度範囲を大きくできる、すなわちレーダ装置による対象物の検知可能範囲を大きくできる。
【0022】
したがって、簡単な構成により外装カバーの意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができる。
上記車両用レーダユニットにおいて、前記アンテナは、前記カバー本体の厚み方向において前記発光部よりも前記本体部に近い位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
同構成によれば、透明基材の本体部の裏面に対してレーダ装置が一層近い位置に配置されるため、電波の送信角度範囲及び受信角度範囲を一層大きくできる、すなわちレーダ装置による対象物の検知可能範囲を一層大きくできる。したがって、レーダ性能の一層の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡単な構成により外装カバーの意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、一実施形態の車両用レーダユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、第1変更例のレーダユニットの断面図である。
【
図5】
図5は、第2変更例のレーダユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、第3変更例のレーダユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、
図1~
図3を参照して、車両用外装カバー及び車両用レーダユニットの一実施形態について説明する。
なお、以降において、車両の前後方向の前方及び後方をそれぞれ単に前方及び後方として説明する。
【0027】
図2に示すように、車両用レーダユニット(以下、レーダユニット)は、レーダ装置10、外装カバー20、及び発光装置70を備えている。
次に、各構成について説明する。
【0028】
<レーダ装置10>
図2に示すように、レーダ装置10は、電波を送受信するアンテナ11を有している。本実施形態のアンテナ11は、ミリ波を送受信するように構成されている。
【0029】
レーダ装置10は、例えば車両の前部に設けられている。アンテナ11は、前方に向かってミリ波を送信するとともに、検知対象物において反射されて戻ってくるミリ波を受信するように構成されている。
【0030】
<外装カバー20>
図1及び
図2に示すように、外装カバー20は、カバー本体21及び枠体60を備えている。
【0031】
図2に示すように、カバー本体21は、レーダ装置10により送受信される電波の経路上に設けられている。本実施形態のカバー本体21は、レーダ装置10を前方から覆うように配置されている。カバー本体21は、例えば正面視横長円形状の車両のエンブレムである(
図1参照)。カバー本体21は、電波透過性及び可視光透過性を有している。
【0032】
カバー本体21は、透明基材30、加飾フィルム40、及び反射部材50を有している。
[透明基材30]
透明基材30は、可視光に対して透明な樹脂材料により構成されている。この透明な樹脂材料としては、例えばポリカーボネートが好ましい。
【0033】
透明基材30は、本体部31と側面部32とを有している。
本体部31は、上記経路上に設けられている。本実施形態の本体部31は、正面視横長円形状であり、上下方向及び車幅方向に延在している。本体部31は、正面視横長円形状に限定されるものではなく、正面視四角形状など適宜変更することができる。
【0034】
側面部32は、本体部31の周縁部から本体部31の意匠面側とは反対側、すなわち後側に向かって突出している。側面部32は、本体部31の周縁部の全周にわたって設けられている。
【0035】
側面部32は、外側面32a、内側面32b、及び突端面32cを有している。突端面32cは、後方を指向している。
[加飾フィルム40]
加飾フィルム40は、フィルム本体部41と、延設部42とを有している。
【0036】
フィルム本体部41は、本体部31の意匠面31aに接合されている。
延設部42は、フィルム本体部41の周縁から後方に向けて延設されている。延設部42は、側面部32の外側面32aに接合されている。
【0037】
加飾フィルム40は、可視光に対して透明な樹脂材料により構成されたフィルム基材と、フィルム基材に対して印刷された加飾層とを有している。この透明な樹脂材料としては、例えばポリカーボネートが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、図示しない成形型に加飾フィルム40がインサートされた状態でキャビティに溶融樹脂を射出することにより、透明基材30が成形される。
[反射部材50]
反射部材50は、可視光を反射するものであり、外側反射部51、内側反射部52、及び裏側反射部53を有している。
【0039】
外側反射部51は、側面部32の外側面32aを覆っている。外側反射部51は、側面部32の全周にわたって設けられている。本実施形態の外側反射部51は、加飾フィルム40の延設部42の外側面42aに設けられている。外側反射部51は、延設部42を構成する基材フィルムの外側面42aに対して印刷により形成されている。外側反射部51は、白色インクにより構成されている。白色インクとしては、例えば酸化チタン、硫酸バリウムなどの色材を含有しているものが好ましい。
【0040】
内側反射部52は、側面部32の内側面32bを覆っている。内側反射部52は、側面部32の全周にわたって設けられている。内側反射部52は、例えば塗膜である。
裏側反射部53は、本体部31の意匠面31aとは反対側の裏面31bを覆っている。裏側反射部53は、例えば塗膜である。
【0041】
内側反射部52及び裏側反射部53は、白色塗料により構成されている。白色塗料としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウムなどの色材を含有しているものが好ましい。
[枠体60]
図1及び
図2に示すように、枠体60は、側面部32の外側面32aを覆っている。本実施形態の枠体60は、正面視横長円環形状であり、側面部32を全周にわたって覆っている。枠体60は、側面部32の外側面32aに密着している。
【0042】
枠体60における外側面32aに対向する内側面は、黒色を呈している。本実施形態では、枠体60全体が電波透過性を有する一方、可視光透過性を有していない黒色樹脂製により構成されている。
【0043】
なお、枠体60が本発明に係る被覆部材に相当する。
<発光装置70>
図2に示すように、発光装置70は、ハウジング71と発光部72とを備えている。
【0044】
[ハウジング71]
ハウジング71は、側面部32の後方に配置されている。本実施形態のハウジング71は、側面部32に沿って延在する正面視横長環状である。
【0045】
ハウジング71は、後方に向かって開口する環状の第1ハウジング71aと、第1ハウジング71aの後面に接合されて第1ハウジング71aの開口を塞ぐ第2ハウジング71bとを有している。
【0046】
第1ハウジング71aは、可視光に対して透明な樹脂材料により構成されている。
[発光部72]
発光部72は、カバー本体21を光らせる可視光を発するものであり、側面部32の突端面32cに対向している。発光部72は、例えば発光ダイオード(LED,Light Emitting Diode)である。本実施形態では、図示しない円環状の基板上に複数の発光部72が設けられている。すなわち、発光部72は、ハウジング71の全周にわたって互いに間隔をおいて複数設けられている。
【0047】
なお、本実施形態の発光装置70は、図示しない取付部を介して車体に体して取り付けられるように構成されている。発光装置70をカバー本体21に対して直接取り付けるように構成することもできる。
【0048】
<アンテナ11と発光部72との位置関係>
図2に示すように、アンテナ11は、発光部72よりも前方に配置されている。すなわち、アンテナ11は、カバー本体21の厚み方向において発光部72よりも本体部31に近い位置に配置されている。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に二点鎖線にて示すように、発光部72が発する光が突端面32cから側面部32に入射するようになる。入射した光は、外側反射部51及び内側反射部52の双方によって反射されるため、側面部32の外部に光が漏れにくくなる。これにより、透明基材30の本体部31に光が到達しやすくなるので、本体部31を効率的に発光させることができる。
【0050】
また、レーダ装置10の前方に、電波の障害物となる発光装置70が存在しなくなる。これにより、
図2にて示すように、電波の送信角度範囲R及び受信角度範囲Rを大きくできる、すなわちレーダ装置10による対象物の検知可能範囲を大きくできる。
【0051】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)反射部材50は、側面部32の外側面32aを覆う外側反射部51及び側面部32の内側面32bを覆う内側反射部52の双方を有している。
【0052】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、簡単な構成により外装カバー20の意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができる。
(2)加飾フィルム40は、本体部31の意匠面31aに接合されたフィルム本体部41と、フィルム本体部41の周縁から延設され、側面部32の外側面32aに接合された延設部42とを有している。外側反射部51は、延設部42の外側面42aに設けられている。
【0053】
こうした構成によれば、カバー本体21が加飾フィルム40を有しているため、外装カバー20の意匠性が向上する。
また、上記構成によれば、カバー本体21を製造する際に、加飾フィルム40の延設部42の外側面42aに外側反射部51を予め形成しておくことで、外側反射部51を容易に形成することができる。
【0054】
(3)反射部材50は、本体部31の意匠面31aとは反対側の裏面31bを覆う裏側反射部53を有している。
こうした構成によれば、本体部31を進行する光が裏側反射部53によって反射されるようになるため、本体部31の裏面31bから外部に光が漏れにくくなる。これにより、本体部31をより効率的に発光させることができる。
【0055】
(4)外装カバー20は、側面部32の外側面32aを覆う被覆部材としての枠体60を備えている。枠体60における外側面32aに対向する内側面は、黒色を呈している。
こうした構成によれば、側面部32の外側面32aが枠体60により覆われるため、発光部72が発する光がカバー本体21の外周側に漏れることを阻止できる。これにより、外装カバー20の意匠性を一層高めることができる。
【0056】
(5)側面部32は、本体部31の周縁部の全周にわたって設けられている。外側反射部51及び内側反射部52の双方は、側面部32の全周にわたって設けられている。
こうした構成によれば、側面部32の外部に光が漏れることを側面部32の全周にわたって抑制できる。これにより、透明基材30の本体部31に光が一層到達しやすくなるので、本体部31をより効率的に発光させることができる。
【0057】
(6)発光部72は、側面部32の突端面32cに対向している。
こうした構成によれば、上記効果(1)をより確実に奏することができる。
(7)側面部32は、本体部31の周縁部の全周にわたって設けられている。発光装置70は、側面部32に沿って延在する環状のハウジング71を備えている。発光部72は、ハウジング71の内部においてハウジング71の全周にわたって互いに間隔をおいて複数設けられている。
【0058】
こうした構成によれば、透明基材30の本体部31を均一に発光させることができる。
(8)アンテナ11は、カバー本体21の厚み方向において発光部72よりも本体部31に近い位置に配置されている。
【0059】
こうした構成によれば、透明基材30の本体部31の裏面31bに対してレーダ装置10が一層近い位置に配置される。これにより、電波の送信角度範囲及び受信角度範囲を一層大きくできる、すなわちレーダ装置10による対象物の検知可能範囲を一層大きくできる。したがって、レーダ性能の一層の向上を図ることができる。
【0060】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・前後方向においてアンテナ11を発光部72と同一の位置または発光部72よりも後側に配置することもできる。すなわち、アンテナ11は、カバー本体21の厚み方向において発光部72と同一の位置、または本体部31から離れた位置に配置されていてもよい。
【0062】
・発光装置70のハウジング71の形状は、環状に限定されず、例えば環状の側面部32の周方向において部分的に設けられるものであってもよい。
・側面部32の形状は、環状に限定されず、例えば本体部31の周縁部の周方向において部分的に設けられるものであってもよい。
【0063】
・上記実施形態では、枠体60全体が黒色樹脂製であったが、枠体60における外側面32aに対向する内側面のみが黒色を呈するものであってもよい。
・枠体60の形状は、環状に限定されず、側面部32の周方向において部分的に設けられるものであってもよい。
【0064】
・例えば発光装置70を側面部32の突端面32cに近接して配置するとともに外側反射部51の外側面に黒色を呈する塗膜を設けるなどすることで、枠体60、すなわち被覆部材を省略することもできる。
【0065】
・加飾フィルム40の延設部42の外側面42aに加えて、延設部42の内側面42b(
図3参照)に外側反射部51を設けるようにしてもよい。また、
図4に示すように、延設部42の外側面42aに代えて、加飾フィルム40の延設部42の内側面42bに外側反射部51を設けるようにしてもよい。
【0066】
・
図5に示すように、裏側反射部53を省略するとともに、透明基材30の本体部31の裏面31bに可視光を拡散させるシボ形状を設けるようにしてもよい。
・
図6に示すように、裏側反射部53を省略することもできる。
【0067】
・加飾フィルム40の延設部42を省略することもできる。この場合、
図6に示すように、透明基材30の側面部32の外側面32aに対して外側反射部51を直接設けるようにすればよい。
【0068】
・本発明に係る反射部材50は、外側反射部51及び内側反射部52の双方を必須とするものではなく、いずれか一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…レーダ装置
11…アンテナ
20…外装カバー
21…カバー本体
30…透明基材
31…本体部
31a…意匠面
31b…裏面
32…側面部
32a…外側面
32b…内側面
32c…突端面
40…加飾フィルム
41…フィルム本体部
42…延設部
42a…外側面
42b…内側面
50…反射部材
51…外側反射部
52…内側反射部
53…裏側反射部
60…枠体(被覆部材)
70…発光装置
71…ハウジング
71a…第1ハウジング
71b…第2ハウジング
72…発光部
【要約】
【課題】簡単な構成により外装カバーの意匠性を高めることができるとともに、レーダ性能の向上を図ることができる。
【解決手段】車両用外装カバー20は、レーダ装置10により送受信される電波の経路上に設けられ、電波透過性及び可視光透過性を有するカバー本体21を備えている。カバー本体21は、可視光に対して透明な透明基材30と、可視光を反射する反射部材50とを有している。透明基材30は、上記経路上に設けられる本体部31と、本体部31の周縁部から本体部31の意匠面側とは反対側に向かって突出する側面部32とを有している。反射部材50は、側面部32の外側面32aを覆う外側反射部51及び側面部32の内側面32bを覆う内側反射部52の少なくとも一方を有している。
【選択図】
図2