(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】繊維を含む製品の画像の解析方法、そのプログラムおよび解析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/36 20060101AFI20221206BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N33/36 B
G06T7/00 C
(21)【出願番号】P 2022529089
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046269
(87)【国際公開番号】W WO2022149425
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2021000899
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 遼一
(72)【発明者】
【氏名】内田 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】古市 謙次
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/024580(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/052489(WO,A1)
【文献】特開2008-268229(JP,A)
【文献】特公平07-118016(JP,B2)
【文献】特開平07-037097(JP,A)
【文献】特開平10-162153(JP,A)
【文献】特開2017-076260(JP,A)
【文献】特開2014-178967(JP,A)
【文献】特開2013-080433(JP,A)
【文献】特開平04-363044(JP,A)
【文献】特開2016-045141(JP,A)
【文献】Yasuaki Hiraoka,Hierarchical structures of amorphous solids characterized by persistent homology,PNAS,2016年06月28日,Vol.113 No.26,Page.7035-7040
【文献】Yan Huang,Octree-Based Progressive Geometry Coding of Point Clouds,Eurographics Symposium on Point-Based Graphics,2006年07月,Page.103-110
【文献】近藤 俊,3次元X線CT画像を用いたCMC部品の繊維束配向検査技術に関する研究,2016年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,2016年,Page.171-172
【文献】吉村彰記,X線CT画像を用いたCFRP積層板の繊維方向測定,日本複合材料学会誌,2014年,Vol.40 No.4,Page.146-152
【文献】大林一平,ガラスと計算科学 パーシステントホモロジーによる材料科学データ解析,New Glass,2020年03月01日,Vol.35 No.1,Page.17-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/36
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維を含む製品の画像の解析方法であって、
前記
複数の繊維を含む製品の3次元画像を取得するステップと、
前記3次元画像の中の前記
複数の繊維を
複数の粒子の集合に変換するステップと、
PH逆解析を用いることで、前記複数の粒子の各々が前記複数の繊維のいずれを構成するかを判定し、前記複数の繊維の各々を構成する各前記粒子の位置関係に基づいて、前記
複数の繊維の
各々の構造を推定するステップとを含む、解析方法。
【請求項2】
前記
複数の繊維の
各々の構造を推定するステップは、
前記複数の繊維の各々を構成する各前記粒子の位置関係に基づいて、前記
複数の繊維
の各々が存在する領域に
各前記繊維の構造を模したデータを生成するステップを含む、請求項1に記載の解析方法。
【請求項3】
前記
複数の粒子の集合は、半径を持たない点の集合である、請求項1または2に記載の解析方法。
【請求項4】
各前記繊維の構造を模したデータは、
前記複数の繊維の各々を構成する各前記粒子を頂点とする多面体の集合、紐状のオブジェクト、または、チューブ状のオブジェクトのいずれかである、請求項2または3に記載の解析方法。
【請求項5】
前記
複数の繊維の
各々の構造を推定するステップは、
前記粒子の半径を増加させるステップと、
複数の前記粒子が互いに接触することにより空洞が発生するときの前記粒子の第1のパラメータを取得するステップと、
前記空洞が消滅するときの前記粒子の第2のパラメータを取得するステップと、
前記第1のパラメータと、前記第2のパラメータとに基づいて、前記繊維が存在すると推定される領域にある前記粒子を選択するステップとを含む、請求項2~4のいずれかに記載の解析方法。
【請求項6】
前記繊維が存在すると推定される領域にある前記粒子を選択するステップは、前記粒子の半径が予め定められた範囲内である場合に前記空洞が発生または消滅したとき、発生または消滅した前記空洞を構成する前記粒子が存在する領域を前記繊維が存在する領域であると判定するステップを含む、請求項5に記載の解析方法。
【請求項7】
選択された前記粒子からなる多面体の外心の集合を算出するステップと、
前記外心の集合から、前記繊維の中心線の位置を推定するステップとをさらに含む、請求項5または6に記載の解析方法。
【請求項8】
前記外心の集合にカーブフィッティングを実行するステップをさらに含む、請求項7に記載の解析方法。
【請求項9】
前記中心線上に均等に配置された点の集合の座標を算出するステップと、
前記点の集合の座標に基づいて、隣接する第1の繊維および第2の繊維の接点を推定するステップとをさらに含む、請求項7に記載の解析方法。
【請求項10】
前記点の集合の座標に基づいて、隣接する
前記第1の繊維および
前記第2の繊維の
前記接点を推定するステップは、
前記第1の繊維における前記点の集合の一部と、前記第2の繊維における前記点の集合の一部とからなる三角形の外心の位置を推定するステップと、
複数の前記三角形の外心にカーブフィッティングを実行するステップとを含む、請求項9に記載の解析方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の方法を1または複数のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
1または複数のプロセッサと、
請求項11に記載の方法を前記プロセッサに実行させるためのプログラムを格納したメモリとを備える、解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像の解析に関し、より特定的には、繊維を含む画像の解析に関する。
【背景技術】
【0002】
ランダムループ構造を有する網状構造体、紙、不織布、または、フェルト等の繊維を含む製品の品質改良のためには、繊維を含む製品の構造の解析が重要となる。繊維を含む製品は、複数の繊維が複雑に絡まった構造を有しており、繊維を含む製品の構造の解析は、例えば、太さおよび長さ等の各繊維自体の形状の解析と、繊維間のからまり具合の解析とを含む。
【0003】
繊維を含む製品の解析に関し、例えば、特開2016-045141号公報(特許文献1)は、「複数の湾曲した繊維を含む製品の二次元又は三次元画像を取得する工程、画像中の繊維部分に仮想的な粒子を詰め込む工程を含み、繊維を粒子の集合体として解析することを特徴とする、複数の湾曲した繊維を含む製品の画像解析方法」を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によると、繊維を含む製品の画像から独立した繊維の構造を推定することができない。したがって、繊維を含む製品の画像から独立した繊維の構造を推定するための技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、繊維を含む製品の画像から独立した繊維の構造を推定するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従う、繊維を含む製品の画像の解析方法は、繊維を含む製品の3次元画像を取得するステップと、3次元画像の中の繊維を粒子の集合に変換するステップと、粒子の集合に含まれる各粒子の位置関係に基づいて、繊維の構造を推定するステップとを含む。
【0008】
ある局面において、繊維の構造を推定するステップは、粒子の集合に含まれる各粒子の位置関係に基づいて、繊維が存在する領域に繊維の構造を模したデータを生成するステップを含む。
【0009】
ある局面において、粒子の集合は、半径を持たない点の集合である。
ある局面において、繊維の構造を模したデータは、粒子の集合に含まれる複数の粒子を頂点とする多面体の集合、紐状のオブジェクト、または、チューブ状のオブジェクトのいずれかである。
【0010】
ある局面において、繊維の構造を推定するステップは、粒子の半径を増加させるステップと、複数の粒子が互いに接触することにより空洞が発生するときの粒子の第1のパラメータを取得するステップと、空洞が消滅するときの粒子の第2のパラメータを取得するステップと、第1のパラメータと、第2のパラメータとに基づいて、繊維が存在すると推定される領域にある粒子を選択するステップとを含む。
【0011】
ある局面において、繊維が存在すると推定される領域にある粒子を選択するステップは、粒子の半径が予め定められた範囲内である場合に空洞が発生または消滅したとき、発生または消滅した空洞を構成する粒子が存在する領域を繊維が存在する領域であると判定するステップを含む。
【0012】
ある局面において、解析方法は、選択された粒子からなる多面体の外心の集合を算出するステップと、外心の集合から、繊維の中心線の位置を推定するステップとをさらに含む。
【0013】
ある局面において、解析方法は、外心の集合にカーブフィッティングを実行するステップをさらに含む。
【0014】
ある局面において、解析方法は、中心線上に均等に配置された点の集合の座標を算出するステップと、点の集合の座標に基づいて、隣接する第1の繊維および第2の繊維の接点を推定するステップとをさらに含む。
【0015】
ある局面において、点の集合の座標に基づいて、隣接する第1の繊維および第2の繊維の接点を推定するステップは、第1の繊維における点の集合の一部と、第2の繊維における点の集合の一部とからなる三角形の外心の位置を推定するステップと、複数の三角形の外心にカーブフィッティングを実行するステップとを含む。
【0016】
他の実施の形態に従うと、上記の方法を1または複数のプロセッサに実行させるためのプログラムが提供される。
【0017】
他の実施の形態に従うと、1または複数のプロセッサと、上記の方法をプロセッサに実行させるためのプログラムを格納したメモリとを備える、解析装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
ある実施の形態に従うと、繊維を含む製品の画像から独立した繊維の構造を推定することが可能である。
【0019】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】繊維のネットワーク構造解析のイメージの一例を示す図である。
【
図2】ある実施の形態に従う解析装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】ある実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法の概要の一例を示す図である。
【
図4】繊維を含む製品の製造プロセスの概要の一例を示す図である。
【
図5】繊維を含む製品の画像のポイントクラウドへの変換の一例を示す図である。
【
図6】ポイントクラウドのPH(Persistent Homology)解析処理の概要を示す図である。
【
図7】PH解析法による繊維のポイントクラウドの解析結果のプロットの手順の一例を示す図である。
【
図9】ポイントクラウド320に変換された繊維をPH解析して得られたプロットデータ330の一例を示す図である。
【
図10】プロットデータ330に基づいて繊維の構造を模したデータを生成する手順の一例を示す図である。
【
図11】隣接する繊維の接点を推定する処理(太線化処理)の第1の手順の一例を示す図である。
【
図12】隣接する繊維の接点を推定する処理(太線化処理)の第2の手順の一例を示す図である。
【
図13】繊維を含む製品の画像の解析の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。本開示に係る技術思想は、繊維を含む製品および繊維に対して適用可能である。これ以降、繊維を含む製品の一例として、熱可塑性エラストマーの連続線条体からなる三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体を用いて、また、繊維の一例として、連続線条体を用いて、本開示に係る技術思想について説明する。なお、本開示に係る技術思想は、他の任意の繊維を含む製品、および、他の任意の繊維に対しても適用可能である。
【0022】
図1は、繊維のネットワーク構造解析のイメージの一例を示す図である。繊維のネットワーク構造解析は、細線化の処理および太線化の処理を含む。細線化の処理は、個別の繊維を1本の線として抽出する処理である。細線化の処理は、個別の繊維の構造を明らかにする。
図1に示す例では、CT(Computed Tomography)スキャンデータ110を細線化することで、繊維構造120が得られる。太線化の処理は、細線化の処理により求めた個別の繊維に太さを持たせ、隣接する繊維の接点を推定する処理である。太線化の処理は、隣接する繊維の接点を明らかにする。
図1に示す例では、繊維構造120を太線化することで、隣接する繊維の接点情報を含むトポロジー130が得られる。
【0023】
本実施の形態に従う解析装置は、上述した繊維のネットワーク構造解析、すなわち、繊維の細線化処理および太線化処理を実行することができる。以下、当該解析装置の構成およびネットワーク構造解析の流れについて説明する。
【0024】
図2は、本実施の形態に従う解析装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。解析装置200は、
図3以降を参照して説明する繊維を含む製品の画像の解析方法を実現するプログラムを実行し得る。解析装置200は、CPU(Central Processing Unit)201と、1次記憶装置202と、2次記憶装置203と、外部機器インターフェイス204と、入力インターフェイス205と、出力インターフェイス206と、通信インターフェイス207とを含む。
【0025】
CPU201は、解析装置200の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。CPU201は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成されてもよい。
【0026】
1次記憶装置202は、CPU201によって実行されるプログラムと、CPU201によって参照されるデータとを格納する。ある局面において、1次記憶装置202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等によって実現されてもよい。
【0027】
2次記憶装置203は、不揮発性メモリーであり、CPU201によって実行されるプログラムおよびCPU201によって参照されるデータを格納してもよい。その場合、CPU201は、2次記憶装置203から1次記憶装置202に読み出されたプログラムを実行し、2次記憶装置203から1次記憶装置202に読み出されたデータを参照する。ある局面において、2次記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等によって実現されてもよい。
【0028】
外部機器インターフェイス204は、プリンター、スキャナーおよび外付けHDDなどの任意の外部機器に接続され得る。ある局面において、外部機器インターフェイス204は、USB(Universal Serial Bus)端子等によって実現されてもよい。
【0029】
入力インターフェイス205は、キーボード、マウス、タッチパッドまたはゲームパッドなどの任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、入力インターフェイス205は、USB端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュール等によって実現されてもよい。
【0030】
出力インターフェイス206は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、出力インターフェイス206は、USB端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子およびHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子等によって実現されてもよい。
【0031】
通信インターフェイス207は、有線または無線のネットワーク機器と接続される。ある局面において、通信インターフェイス207は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信インターフェイス207は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0032】
図3は、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法の概要の一例を示す図である。
図3を参照して、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法の一連の手順について説明する。
図3に示す解析方法は、例えば、周知の構成を有するコンピュータ、または、解析装置200によりプログラムとして実行されてもよい。
【0033】
ステップ1において、解析装置200は、解析対象の繊維を含む製品の画像310を取得する。画像310は、解析対象である繊維を含む製品の3次元画像であり、複数のスライス画像を含み得る。ある局面において、画像310は、CTスキャン画像であってもよい。他の局面において、画像310は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の任意の装置を用いて撮影された3次元画像であってもよい。
【0034】
ステップ2において、解析装置200は、画像310内の各繊維を仮想的な粒子の集合であるポイントクラウド320に変換する。当該粒子の集合は、半径を持たない点の集合である。ある局面において、当該粒子の集合は、半径を有していてもよい。
【0035】
解析装置200は、例えば、CTスキャン画像における各スライス画像に対してポイントクラウドへの変換処理を実行してもよい。その場合、解析装置200は、各スライス画像のポイントクラウドへの変換処理の結果を重ね合わせることで、ポイントクラウド320を生成し得る。
【0036】
ステップ3において、解析装置200は、複数の粒子の集合に対してPH解析を実行し、解析結果であるプロットデータ330を得る。ステップ3の詳細については後述する。解析装置200は、プロットデータ330を参照することで、画像310内における繊維がある領域と、繊維がない領域とを推定し得る。PH解析法によって得られる解析結果は各粒子の分布の特徴を表す。そのため、解析装置200は、粒子の集合に含まれる各粒子の位置関係(各粒子の分布の状態)に基づいて、繊維の構造を推定しているともいえる。
【0037】
ステップ4において、解析装置200は、PH解析による解析結果を用いて(PH逆解析により)、繊維の構造を模したデータ340を生成する。PH解析法によって得られる解析結果は各粒子の分布の特徴を表す。そのため、解析装置200は、粒子の集合に含まれる各粒子の位置関係に基づいて、繊維の構造を模したデータを生成しているともいえる。ある局面において、繊維の構造を模したデータは、繊維が存在する領域または繊維の表面部分の領域に、粒子を表す点または球、もしくは、複数の粒子からなる多面体等のオブジェクトの集合を配置したものであってもよい。また、他の局面において、繊維の構造を模したデータは、紐状のオブジェクトまたは内部が空洞のチューブ状のオブジェクトであってもよい。
【0038】
なお、解析対象の繊維を含む製品は、一例として、ランダムループ構造を有する網状構造体、不織布、フェルト、抄紙、アクリル、ポリエステル、ナイロンおよびレーヨン等の任意の繊維を含む製品を含み得る。
【0039】
図4は、繊維を含む製品の製造プロセスの概要の一例を示す図である。
図4を参照して、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法の用途の一例について説明する。ここでの繊維を含む製品とは、例えば、熱可塑性エラストマーの連続線条体からなる三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体である。ある局面において、繊維を含む製品は、その他の任意の繊維からなる製品であってもよい。繊維を含む製品410の製造装置400は、例えば、繊維を含む製品410の製造条件等を有する。製造条件は、一例として、樹脂を吐出するノズルのオリフィス形状及び孔径、縦横のノズル間の距離、吐出温度、吐出量、エアーギャップ(吐出してから着水するまでの距離)等、および、これらの組み合わせを含み得る。製品開発担当者は、製品410が目標とする品質を得るために必要なランダムループ構造となるように、これらの製造条件を変更することで、異なる特性を持つ繊維を含む製品410を製造し得る。
【0040】
一例として、製品開発担当者は、製造装置400に異なる製造条件を設定し、繊維を含む製品410を2回試作したとする。この場合、製品開発担当者は、各製品の3次元画像を解析装置200で解析した結果を参照することで、いずれの製造条件で製造された製品410が、目標とする品質を得るために必要なランダムループ構造を備えているかを確認することができる。
【0041】
ある局面において、解析装置200は、繊維を含む製品410の解析結果のフィードバックデータを製造装置400に出力してもよい。その場合、製造装置400は、当該フィードバックデータに基づいて、自動で設定を変更してもよいし、製品開発担当者に設定変更を促す表示をディスプレイ等に出力してもよい。
【0042】
次に
図3に示すステップ1~4の各処理についてより詳細に説明する。以下に示す処理は、一例として、解析装置200により、プログラムとして実行されるものとして説明する。まず、
図4を参照して、
図3に示すステップ1の処理である繊維を含む製品410の3次元画像の取得処理、および、ステップ2の処理である当該3次元画像のポイントクラウドへの変換処理の詳細について説明する。
【0043】
図5は、繊維を含む製品の画像のポイントクラウドへの変換の一例を示す図である。ある局面において、解析装置200は、CTスキャン装置等から、繊維を含む製品の3次元画像である画像310を受信してもよい。他の局面において、解析装置200は、ネットワークまたは記憶媒体等を介して画像310を取得してもよい。
【0044】
解析装置200は、画像310を画像解析し、繊維を仮想的な粒子の集合として表現したポイントクラウド320を生成する。粒子は、半径を持たない点として表現され得る。また、ある局面において、粒子は、半径を持つ球として表現されてもよい。
【0045】
解析装置200は、例えば、画像310に含まれるスライス画像の1つを解析し、画像内の輝度情報等に基づいて、繊維があると推定される領域に一定間隔で粒子を配置し得る。より具体的には、解析装置200は、第1の処理手順510および第2の処理手順520のいずれか、または、両方に基づいて、ポイントクラウド320を生成し得る。
【0046】
第1の処理手順510は、中実繊維のポイントクラウド320の生成手順である。第1の処理手順510において、解析装置200は、画像310の2次元スライス画像を取得する。次に、解析装置200は、2次元スライス画像の輪郭を抽出する。最後に、解析装置200は、2次元スライス画像の輪郭に基づいて、ポイントクラウド320を生成する。
【0047】
第2の処理手順520は、中空繊維のポイントクラウド320の生成手順である。第2の処理手順520において、解析装置200は、画像310の2次元スライス画像を取得する。次に、解析装置200は、2次元スライス画像を2値化する。最後に、解析装置200は、2値化した2次元スライス画像に基づいて、ポイントクラウド320を生成する。
【0048】
第1の処理手順510および第2の処理手順520のいずれにおいても、解析装置200は、繊維の空洞構造を表すポイントクラウド320を生成し得る。ある局面において、ポイントクラウド320は、繊維の中実構造を表してもよい。
【0049】
解析装置200は、スライス画像ごとにポイントクラウドを生成し、最終的に各スライス画像のポイントクラウドを重ね合わせることで3次元画像のポイントクラウド320を生成し得る。
【0050】
解析装置200は、スライス画像単位で上記のように細かな粒子を配置していくことで、画像310のような、繊維が重なって見える画像においても、正確に繊維がある領域に粒子を配置することができる。
【0051】
次に、
図6~
図9を参照して、
図3に示すステップ3の処理であるポイントクラウドのPH解析処理の詳細について説明する。
図6は、ポイントクラウドのPH解析処理の概要を示す図である。
【0052】
PH解析処理は、1次元のPH解析処理(PH1解析)と、2次元の解析処理(PH2解析)とを含む。処理手順610は、1次元のPH解析法の手順の一例を示している。解析装置200は、ポイントクラウドに含まれる各粒子を半径のない球(点)の集合データと見なし、徐々に各球を膨らませる(各球の半径を増加させる)。解析装置200が各球を膨らませ続けると、あるタイミングで、各球同士が接触することにより、各球同士の中心に空洞630(例えば、複数の球に囲まれた2次元の穴)が発生する。さらに、解析装置200が各球を膨らませ続けると、空洞630は塞がって消滅する。解析装置200は、この空洞630の発生タイミング(Birth)および消滅タイミング(Death)におけるパラメータ(例えば、球の半径)を取得する。
図6に示す例では、空洞630が発生したときの各球の半径は「b」であり、空洞630が消滅したときの球の半径は「d」である。
【0053】
処理手順620は、2次元のPH解析法の手順の一例を示している。解析装置200は、ポイントクラウドに含まれる各粒子を半径のない球(点)の集合データと見なし、徐々に各球を膨らませる(各球の半径を増加させる)。解析装置200が各球を膨らませ続けると、あるタイミングで、各球同士が接触することにより、各球同士の中心に空洞640(複数の球に囲まれた3次元の空間)が発生する。さらに、解析装置200が各球を膨らませ続けると、空洞640は塞がって消滅する。解析装置200は、この空洞640の発生タイミング(Birth)および消滅タイミング(Death)におけるパラメータ(例えば、球の半径)を取得する。
図6に示す例では、空洞640が発生したときの各球の半径は「b」であり、空洞640が消滅したときの球の半径は「d」である。
【0054】
上記のように、1次元のPH解析処理は、2次元の穴(空洞)の発生タイミングおよび消滅タイミングにおけるパラメータを取得する。これに対して、2次元のPH解析処理は、3次元の空間(空洞)の発生タイミングおよび消滅タイミングにおけるパラメータを取得する。
【0055】
PH解析法では、球(粒子)の位置および数に応じて、複数の空洞が発生し得る。例えば、PH解析中に空洞A~Cが発生したとする。この場合、解析装置200は、空洞Aの発生タイミングにおいて空洞Aを形成する各球の半径を取得する。同様に、解析装置200は、空洞Bの発生タイミングにおいて空洞Bを形成する各球の半径を取得し、空洞Cの発生タイミングにおいて空洞Cを形成する各球の半径を取得する。次に、空洞A~Cが消滅したとする。この場合、解析装置200は、空洞Aの消滅タイミングまで空洞Aを形成していた各球の半径を取得する。同様に、解析装置200は、空洞B,Cの消滅タイミングまで空洞B,Cの各々を形成していた各球の半径を取得する。そして、解析装置200は、空洞A~Cの各々の発生時における各球の半径と、空洞A~Cの各々の消滅時における各球の半径とを2次元座標にプロットする。
【0056】
図7は、PH解析法による繊維のポイントクラウドの解析結果のプロットの手順の一例を示す図である。プロットデータ720における横軸は発生パラメータ(空洞が発生したタイミングの球の半径で表わされるある関数)を示し、縦軸は消滅パラメータ(空洞が消滅したタイミングの球の半径で表わされるある関数)を示す。例えば、空洞640の発生パラメータおよび消滅パラメータは、座標P(b、d)にプロットされる。ある局面において、座標の単位は任意の値であってもよい。
【0057】
図8は、PH解析法の特性の一例を示す図である。PH解析法は、解析対象である各球(ポイントクラウドに変換された繊維を構成する各粒子)の位置がある程度移動したとしても空洞への影響は小さく、ノイズに強いという特徴がある。また、PH解析法では、
図8に示すように大きなリング構造820Aと、小さなリング構造820Bとが発生し得る。大きなリング構造820Aは、発生パラメータおよび消滅パラメータの差が大きい領域810Aに含まれる。小さなリング構造は、発生パラメータおよび消滅パラメータの差が小さい領域810Bに含まれる。解析装置200は、例えば、小さなリング構造820Bのみを構成する粒子830,840等を繊維構造に影響しない粒子として、ポイントクラウドから排除し得る。
【0058】
図9は、ポイントクラウド320に変換された繊維をPH解析して得られたプロットデータ330の一例を示す図である。解析装置200は、
図6および
図7を参照して説明した手順に基づいて、ポイントクラウド320をPH解析することで、プロットデータ330を生成する。
【0059】
解析装置200は、プロットデータ330に基づいて、繊維の構造および繊維の存在する領域等を推定し得る。例えば、プロットデータ330における大多数の空洞は、発生半径「4~8」の間で発生していることがわかる。この場合、発生半径「4~8」において空洞を形成する球(粒子)は、繊維内部に密集して配置されている可能性が高い。また、発生半径「8」以上でもいくつか空洞が発生している。この場合、重なり合った繊維の各表面付近に配置された粒子が空洞を形成した可能性がある。例えば、解析装置200は、プロットデータ330を参照して、発生パラメータおよび/または消滅パラメータが特定の条件を満たす粒子を選択し、当該選択した粒子が存在する領域を繊維が存在する領域であると判定し得る。
【0060】
ある局面において、解析装置200は、球の半径が予め定められた範囲(例えば、発生半径「4~8」)の間で発生した空洞を形成する球のみを選択して、これらの球を含む領域を繊維が存在する領域であると推定してもよい。他の局面において、解析装置200は、球の半径が予め定められた範囲(例えば、発生半径「4~8」)の間で消滅した空洞を形成する球のみを選択して、これらの球を含む領域を繊維が存在する領域であると推定してもよい。また、他の局面において、解析装置200は、球の半径が予め定められた範囲(例えば、発生半径「4~8」)の間で発生および/または消滅した空洞を形成する球のみを選択して、これらの球を含む領域を繊維が存在する領域であると推定してもよい。
【0061】
すなわち、解析装置200は、空洞が発生するときの球の半径、および/または、空洞が消滅するときの球の半径に基づいて、繊維が存在すると推定される位置にある粒子を選択し、当該選択した粒子に基づいて繊維の構造および繊維の存在する領域を推定し得る。例えば、解析装置200は、
図8に示す大きなリング構造820Aを構成する粒子のみを選択し得る。
【0062】
次に、
図10~
図12を参照して、
図3におけるステップ4の処理である繊維の構造を模したデータの生成処理と、隣接する繊維の接点を示すトポロジーの生成処理とについて説明する。
【0063】
図10は、プロットデータ330に基づいて繊維の構造を模したデータを生成する手順の一例を示す図である。ステップ1において、解析装置200は、プロットデータ330を解析して、複数の粒子1010から四面体1020を含む1つ以上の四面体から構成される多面体を形成する。ある局面において、解析装置200は、
図8に示す領域810A等に存在する粒子1010を選択して多面体を形成してもよい。言い換えれば、解析装置200は、発生パラメータおよび消滅パラメータに基づいて粒子1010を選択し、当該選択された粒子1010から多面体を形成し得る。また、解析装置200は、四面体1020の外心円1030の中心(外心)1040の座標を算出する。
【0064】
ステップ2において、解析装置200は、ステップ1の処理を繰り返し実行することにより、繊維1000がある領域に四面体1020を配置していく。これらの四面体1020の集合は、繊維の構造を模したデータ1050となる。また、解析装置200は、各四面体1020の外心1040の座標を算出する。
【0065】
ステップ3において、解析装置200は、各外心1040から繊維1000の中心線1060の位置を推定する。解析装置200は、3次元の空間にプロットされた各外心1040に対してカーブフィッティングを実行することにより、中心線1060の位置を推定し得る。
【0066】
ステップ4において、解析装置200は、中心線1060上に、均等な間隔で配置された点の座標を求める。点同士の間隔は任意に決定され得る。解析装置200は、これらの点に基づいて、隣接する繊維の接点を推定し得る。
【0067】
図11は、隣接する繊維の接点を推定する処理(太線化処理)の第1の手順の一例を示す図である。ステップ1において、解析装置200は、繊維1000Aの中心線1060A上に均等に配置された複数の点1070Aの座標を算出する。また、解析装置200は、繊維1000Bの中心線1060B上に均等に配置された複数の点1070Bの座標を算出する。
【0068】
ステップ2において、解析装置200は、これらの点の1次元のPH解析によりプロットデータ1120を得る。ステップ3において、解析装置200は、プロットデータ1120から、発生パラメータおよび消滅パラメータが一定の条件を満たす点を選択する。
図11に示す例では、解析装置200は、三角形1140を含む1つ以上の三角形から構成される多角形を選択している。発生パラメータおよび消滅パラメータが一定の条件は、発生パラメータの範囲、および、消滅パラメータの範囲によって決定され得る。各パラメータの範囲は、予め実験結果等に基づいて決定され得る。
【0069】
ステップ3において、解析装置200は、選択された点に基づいて、三角形1140を含む1つ以上の三角形から構成される多角形を形成し得る。例えば、三角形1140の頂点の内、1つは繊維1000Aの点1070Aから選択され、2つは繊維1000Bの点1070Bから選択され得る。隣接する繊維1000A,1000Bの接触面積が大きいほど、三角形1140の数は増加し得る。
【0070】
図12は、隣接する繊維の接点を推定する処理(太線化処理)の第2の手順の一例を示す図である。
図12に示す手順は、
図11に示す手順の続きである。ステップ4において、解析装置200は、三角形1140の外心円1250の中心(外心)1260を算出する。ステップ5において、解析装置200は、ステップ4の処理を繰り返し実行することにより、外心の集合1270を得る。
【0071】
ステップ6において、解析装置200は、外心の集合1270を選択する。ステップ7において、解析装置200は、外心の集合1270に対しカーブフィッティングを実行し、繊維1000Aおよび繊維1000Bの接点を推定する。繊維1000Aおよび繊維1000Bの接点は、曲線1280として表現され得る。また、解析装置200は、曲線1280上に均等な間隔で配置された点1290の座標を求める。点同士の間隔は任意に決定され得る。
【0072】
上述したように、解析装置200は、
図10に示す処理により、繊維の構造(中心線および中心線上に均等に配置された点の集合)を推定し得る。また、解析装置200は、
図11および
図12に示す処理により、隣接する繊維の接点(2つの繊維が接触する位置を示す曲線および当該曲線上に均等に配置された点の集合)を推定し得る。
【0073】
例えば、繊維を含む製品の開発担当者等は、これらの繊維の構造および隣接する繊維の接点の情報を参照することにより、繊維を含む製品に含まれる個別の繊維の構造および繊維同士の絡まり具合等を把握することができる。
【0074】
図13は、繊維を含む製品の画像の解析の手順の一例を示す図である。ある局面において、CPU201は、
図13の処理を行うためのプログラムを2次記憶装置203から1次記憶装置202に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0075】
ステップS1305において、CPU201は、外部の装置から3次元画像データを取得する。ある局面において、3次元画像データは、CTスキャン画像であってもよい。他の局面において、3次元画像データは、MRI等の任意の装置を用いて撮影された3次元画像データであってもよい。また、他の局面において、CPU201は、3次元画像データを任意のネットワークまたは記憶媒体を介して取得してもよい。
【0076】
ステップS1310において、CPU201は、取得した3次元画像データをポイントクラウドに変換する。より具体的には、CPU201は、一例として、3次元画像データのスライスデータである2次元画像データを解析し、各2次元画像データのポイントクラウドを作成する。CPU201は、各2次元画像データのポイントクラウドを合成することで、3次元画像データのポイントクラウドを作成し得る。本ステップの処理は、
図5を参照して説明した解析方法に対応する。
【0077】
ステップS1315において、CPU201は、ポイントクラウドに対して2次のPH解析処理(PH2解析)を実行する。また、CPU201は、PH2解析の結果を2次元座標にプロットしたデータを生成する。本ステップの処理は、
図6~
図9を参照して説明した解析方法に対応する。
【0078】
ステップS1320において、CPU201は、PH2逆解析により、3次元データへの粒子の当てはめ処理を実行する。より具体的には、CPU201は、一例として、ポイントクラウドに含まれる複数(例えば4個)の粒子からなる多面体を3次元空間に配置することで、繊維の構造を模したデータを生成する。さらに、CPU201は、各多面体の外心を算出する。ある局面において、CPU201は、多面体を3次元空間に配置する代わりに、ステップS1315の処理の解析結果に基づいて、繊維が存在すると推定される位置に紐状のデータまたは内部が空洞のチューブ状のデータを配置してもよい。
【0079】
ステップS1325において、CPU201は、ステップS1320にて求めた外心の集合に対してカーブフィッティングを実行する。ステップS1330において、CPU201は、繊維の中心線を表す曲線を得る。また、CPU201は、中心線上に均等な間隔で配置される点の座標を算出する。ステップS1320およびS1325の処理は、
図10を参照して説明した解析方法に対応する。
【0080】
ステップS1335において、CPU201は、ステップS1325にて算出した中心線上に配置される点集合に対して1次元のPH解析(PH1解析)を実行し、リング構造(複数の点からなる空洞)を抽出する。
【0081】
ステップS1340において、CPU201は、PH1逆解析により、3次元データへの点の当てはめ処理を実行する。より具体的には、CPU201は、中心線上に配置される点集合からなる三角形と、当該三角形の外心を求める。ステップS1345において、CPU201は、ステップS1340にて求めた三角形の外心の集合に対してカーブフィッティングを実行する。
【0082】
ステップS1350において、CPU201は、隣接する繊維の接点を表す曲線を得る。また、CPU201は、隣接する繊維の接点を表す曲線上に均等な間隔で配置される点の座標を算出する。本ステップの処理は、ステップS1335~S1350の処理は、
図11および
図12を参照して説明した解析方法に対応する。
【0083】
ステップS1355において、CPU201は、ステップS1350までの処理で得られた解析データ(繊維の構造を模したデータ、繊維の中心線、および、隣接する繊維の接点の情報等)を出力する。ある局面において、CPU201は、ディスプレイに解析データを出力してもよい。他の局面において、CPU201は、他の装置に解析データを送信してもよい。また、他の局面において、CPU201は、別の解析プログラムに解析データを入力してもよい。
【0084】
以上説明した通り、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法は、繊維を含む製品の3次元画像データをポイントクラウドに変換して、変換後のデータをPH解析し、その解析結果に基づいて繊維の構造を模したデータを生成する。当該解析方法により、例えば、繊維を含む製品の開発担当者等は、製造した製品に含まれる繊維の個別の構造や、繊維同士の絡まり具合等を解析することができる。
【0085】
また、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法は、ポイントクラウドを構成する複数の粒子からなる多面体の外心の位置に基づいて、繊維の構造および中心線の位置を推定する。さらに、当該解析方法は、隣接する繊維の中心線に基づいて、隣接する繊維の接点の情報を取得し得る。当該解析方法により、例えば、繊維を含む製品の開発担当者等は、各繊維の中心線同士の距離や位置関係に応じて、より詳細に繊維同士の絡まり具合等を把握することができる。
【0086】
より具体的には、開発担当者は、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析技術を用いて、繊維の形状を解析することで、繊維の配向、繊維の長さ、繊維の曲率、繊維の空間位置、繊維の密度、または、繊維の空孔の分布等を定量化して評価し得る。
【0087】
さらに、開発担当者は、本実施の形態に従う繊維を含む製品の画像の解析方法を用いて、繊維のからまり具合を解析することで、接点/接点群(Side-by-side)の大きさ、接点/接点群の分布、接点/接点群の配向、繊維に沿った接点の位置(分布)、接点間の曲率、接点間の長さ、または、接点間の配向等を定量化して評価し得る。
【0088】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0089】
110 スキャンデータ、120 繊維構造、130 トポロジー、200 解析装置、201 CPU、202 1次記憶装置、203 2次記憶装置、204 外部機器インターフェイス、205 入力インターフェイス、206 出力インターフェイス、207 通信インターフェイス、310 画像、320 ポイントクラウド、330,720,810,1120 プロットデータ、340,1050 繊維の構造を模したデータ、400 製造装置、410 製品、510 第1の処理手順、520 第2の処理手順、610,620 処理手順、630,640,A,B,C 空洞、810A,810B 領域、820A,820B リング構造、1000,1000A,1000B 繊維、1010 粒子、1020 四面体、1030,1250 外心円、1040,1260 外心、1070,1290 点、1060 中心線、1140 三角形、1270 外心の集合、1280 曲線。