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特許7188675二次電池正極用金属化フィルム、および、その製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】二次電池正極用金属化フィルム、および、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20221206BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M4/66 A
C23C14/14 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022507836
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2022004345
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2021085128
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391057421
【氏名又は名称】東レKPフィルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】藤 信男
(72)【発明者】
【氏名】都地 輝明
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-273304(JP,A)
【文献】国際公開第2007/102433(WO,A1)
【文献】特開2019-102427(JP,A)
【文献】特開2013-253278(JP,A)
【文献】国際公開第2021/145344(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/64-4/84
C23C 14/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの少なくとも一方の表面にアルミニウム金属膜が形成され、
該樹脂フィルムの表面粗さRaが0.6nm以上2.0nm以下であり、
該金属膜の表面粗さRaが2.3nm以上10.0nm以下であり、
該金属膜のアルミニウムの、111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比 I[200]/I[111]が1.0以上であり、
該樹脂フィルムと接していない金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率が30%以下である二次電池正極用金属化フィルム。
【請求項2】
前記金属膜の表面抵抗が0.15Ω/□以下である、請求項1に記載の二次電池正極用金属化フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二次電池正極用金属化フィルムの製造方法であって、蒸着源のアルミニウムを、抵抗加熱、誘導加熱、および、電子ビームからなる群から選択される少なくとも一つにより加熱して気化させる際に、アルゴンガスを導入する真空蒸着法により、樹脂フィルムに前記気化したアルミニウムを蒸着させて成膜する工程を含む、二次電池正極用金属化フィルムの製造方法。
【請求項4】
さらに、アルミニウムをスパッタリング法にて樹脂フィルムに成膜した後に、大気開放することなしにアルミニウムを、抵抗加熱、誘導加熱、および、電子ビームからなる群から選択される少なくとも一つによりアルミニウムを蒸着させて成膜する工程を含む、請求項に記載の二次電池正極用金属化フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池用金属化フィルム、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気電子機器の小型化や、環境問題から、脱ガソリン車(ハイブリット自動車、電気自動車)の二次電池やキャパシタなどの蓄電池が、小型化、軽量化するのと同時に、瞬時に大電流を充放電できる高出力密度であることが求められている。
【0003】
一般に、車両に搭載される蓄電池は、重量エネルギー密度を向上させるために、正極および負極がシート状に形成され、同じくシート状に形成されたセパレータを介して、シート状の正極および負極が巻回あるいは積層された状態で、ケース内に納められた構成を有している。シート状の電極板は、集電体となる金属箔の表面に、活物質を含む合剤層を形成した構造をしている。
【0004】
また、高出力密度を得る方法のひとつに、蓄電池を構成する各種の材質の抵抗(蓄電池の内部抵抗)を低減する方法がある。蓄電池において、集電体にはアルミニウム箔が用いられていることが多いが、通常のアルミニウム箔による集電体は酸化皮膜を有しており、アルミニウムの表面に形成される酸化皮膜により、内部抵抗が増加するといわれている。内部抵抗が増加すると、大電流で充放電を行ったときに電圧降下を招き、この結果として、蓄電池の出力の低下を招いていた。一般的にアルミニウムには通常厚み5~10nmの強固な絶縁体の自然酸化膜が形成されるが、アルミニウム表面としては良好な導電性を保持する特徴がある。その理由として酸化膜の欠陥部分から電流が流れる説と、量子力学の分野で、エネルギー的に通常は超えることのできない領域を粒子が一定の確率で通り抜けてしまうトンネル現象から、電気的絶縁体を挟んで電子伝導体が、10nm程度以下に接近すると良好な電子伝導が生じるトンネル効果の説などがあり、あまり明確にはなっていないが、アルミニウム酸化膜自体が内部抵抗に強く影響していると考えられている。
【0005】
酸化皮膜による内部抵抗向上を抑制する電極と活性物質との接触抵抗を下げる方法として、電極に使用される金属箔の表面に凹凸させる方法がある(例えば、特許文献1)。アルミニウム表面を粗化することで、欠陥数を増大させるのか、突起部を多く形成することで、トンネル効果が発現しやすくなっているかは明らかではないが、接触抵抗を低下させる手法として有効である。
【0006】
小型化および軽量化しながら高出力密度を向上させる方法としては、体積エネルギー密度の向上や、重量エネルギー密度の向上を目的として、電極基材の薄膜化が進められている。しかしながら対応すべく電極に使用されている金属箔を単純に薄膜化すると、強度の不足という問題が発生する。また、接触抵抗を低下させる目的で薄膜化した金属箔の表面凹凸を大きくすると、更に金属箔の強度低下の原因となり好ましくない。そこで金属に代わる新たな素材として、機械特性や耐熱寸法安定性に優れる二軸延伸ポリエステル薄膜フィルムの表面に、金属などの導電性薄膜層を設けた構成を有する素材の、集電体機能を持たせて電極基材として用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-160053号公報
【文献】特開平10-40919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ポリエステル薄膜フィルム等の樹脂フィルムの表面に金属などの導電性薄膜層を設けた構成の場合、従来使用していた金属箔よりも金属厚は薄くなる分、トータルの電気抵抗値は上昇してしまう。そして、アルミニウム金属表面の接触抵抗を低くする目的で金属表面を粗化するにしても、通常、樹脂フィルムの表面に金属などの導電性薄膜層は真空蒸着法等により形成する蒸着金属膜であり、薄膜金属であるため、エッチング等で粗化することは大変難しい。ポリエステル薄膜フィルムの表面自体を粗化すると、破断しやすくなり、製造工程の搬送が困難になる。
【0009】
本発明は上述の事実に鑑み、樹脂表面に導電性薄膜層形成しても、接触抵抗が上昇しないで、破断せず搬送できる金属化フィルムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、真空蒸着法を用いて蒸着膜の表面形状をコントロールすることで接触抵抗が小さい金属化フィルム、および、その製造方法を得るに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、樹脂フィルムの少なくとも一方の表面にアルミニウム金属膜が形成され、該樹脂フィルムと接していない金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率が30%以下である二次電池正極用金属化フィルム、
前記金属膜のアルミニウムの、111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比 I[200]/I[111]が1.0以上である上記二次電池正極用金属化フィルム、
前記金属膜の表面抵抗が0.15Ω/□以下である上記二次電池正極用金属化フィルム、
前記樹脂フィルムの表面粗さRaが0.6nm以上2.0nm以下である上記二次電池正極用金属化フィルム、
前記金属膜の表面粗さRaが2.3nm以上10.0nm以下である上記二次電池正極用金属化フィルム、に関する。
【0012】
また、本発明は、上記二次電池正極用金属化フィルムの製造方法であって、蒸着源のアルミニウムを抵抗加熱、誘導加熱もしくは電子ビームにより加熱して気化させる際にアルゴンガスを導入する真空蒸着法により樹脂フィルムに前記気化したアルミニウムを蒸着させて成膜する工程を含む、二次電池正極用金属化フィルムの製造方法、に関する。
【0013】
また、上記二次電池正極用金属化フィルムの製造方法であって、アルミニウムをスパッタリング法にて樹脂フィルムに成膜した後に、大気開放することなしにアルミニウムを、抵抗加熱、誘導加熱、および、電子ビームからなる群から選択される少なくとも一つによりアルミニウムを蒸着させて成膜する工程を含む、二次電池正極用金属化フィルムの製造方法、に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、樹脂表面に導電性薄膜層を形成しても、接触抵抗が上昇しないで、破断せず搬送できる金属化フィルム、および、その製造方法を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の金属化フィルムの断面概略図である。
図2】本発明の金属化フィルムの断面概略図である。
図3】本発明の金属化フィルムの断面概略図である。
図4】カーボンルツボを用いた誘導加熱方式の蒸着源を用いて結晶粒を大きく緻密に成長させたときのアルミニウム金属膜(膜厚1.48μm)表面の電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5】カーボンルツボを用いた誘導加熱方式の蒸着源を用いて結晶粒を大きく緻密に成長させたときのアルミニウム金属膜(膜厚0.53μm)表面のSEM写真である。
図6】抵抗加熱のボートにアルミニウム金属ワイヤーを連続的に供給するボート加熱方式で成長させたときのアルミニウム金属膜(膜厚1.12μm)表面のSEM写真である。
図7】カーボンルツボを用いた誘導加熱方式の蒸着源を用いて結晶粒を大きく緻密に成長させたときのアルミニウム金属膜(膜厚1.48μm)の断面のSEM写真である。(図3に同じだが見る方向が異なる。)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明について以下詳細に説明する。
【0017】
<金属化フィルム>
本発明の金属化フィルム4は、樹脂フィルム1の一方、もしくは両方の面にアルミニウム金属膜3を有する(図1図2図3)。
【0018】
<アルミニウム金属膜>
本発明にかかるアルミニウム金属膜3は、アルミニウムを主成分とする層を1層または2層以上積層したアルミニウム金属の集合体である。主成分とは層全体を100原子%としたとき、80原子%を超えることをさす。
【0019】
本発明におけるアルミニウム金属膜3の厚みは0.7μm以上3.0μm以下が好ましく、1.0μm以上2.5μm以下であることがより好ましい。
【0020】
電極用途では、電気抵抗は低いほど好ましく、表面抵抗では金属膜表面抵抗が0.15Ω/□以下であることが好ましく、0.05Ω/□以下であることがさらに好ましい。一方、エネルギー密度向上のためには薄膜化する必要があるため、金属膜を単純に厚くすることは好ましくない。電極の電気抵抗を考慮すれば、アルミニウム金属膜の厚みは 0.7μm以上が好ましく、1.0μm以上であればより低抵抗となり、内部抵抗の上昇を低減できる。一方、体積エネルギー密度の向上の目的から電極基材の薄膜化を進める必要があり、3.0μm以下が好ましく、2.5μm以下であることが更に好ましい。
【0021】
本発明にかかるアルミニウム金属膜3は、真空蒸着法での成膜時に表面凹凸が大きくなるように金属膜の結晶成長を制御することにより、接触抵抗を低くできる特徴をもつ。
【0022】
10mm厚のNRスポンジゴムの上に、金属化フィルム4のアルミニウム金属膜3が上向きになるようにのせ、25mm×25mmの大きさの金メッキを施した銅板2枚を1mmの間隔をあけてそれぞれの銅板に500gのおもりを乗せ、その2枚の銅板間の抵抗値を接触抵抗の値としたとき、内部抵抗上昇を低減するためには接触抵抗値は15mΩ以下であることが好ましく、10mΩ以下であることが更に好ましい。ここでの接触抵抗値は25mm×25mmの2枚の電極面積の接触抵抗と2枚の電極間の膜抵抗(表面抵抗)を含んだ値である。よって、接触抵抗値と表面抵抗値の比[接触抵抗値]/[表面抵抗値]は、表面抵抗の影響が少ない値を示すことができ、表面抵抗値の比[接触抵抗値]/[表面抵抗値]は0.35以下が好ましく、0.25以下であることが更に好ましい。
【0023】
金属膜の結晶成長を制御して接触抵抗を低くするアルミニウム金属膜3の表面の特徴として、アルミニウム金属膜3の樹脂フィルムと接していない表面の波長555nmの鏡面反射率が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。これはアルミニウム金属膜の表面が細かく粗化されているために、可視光555nmの鏡面反射率が低下しており、接触抵抗を低くするのに有効である。
【0024】
金属膜の結晶成長を制御して接触抵抗を低くするアルミニウム金属膜3の表面の特徴として、アルミニウム金属膜3の樹脂フィルム1と接していない表面の表面粗さRaが2.3nm以上10.0nm以下であることが好ましく、5.0nm以上10.0nm以下であることが更に好ましい。アルミニウム表面が十分粗化され、凸部と凹部の高さにある程度の大きさが確保された時に接触抵抗が低くなる傾向があり、表面粗さRaは大きい程好ましい傾向になる。ただし、表面粗さRaが大きすぎると薄いアルミニウム金属膜3が、搬送時や折り曲げ時に金属膜の破断する原因になるため、10.0nm以下であることが好ましい。
【0025】
金属膜の結晶成長を制御して接触抵抗を低くするアルミニウム金属膜3の表面の特徴として、アルミニウム金属膜3のアルミニウムの111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比 I[200]/I[111]が1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることが更に好ましい。
【0026】
参考までに、アルミニウムは立方晶系であるため、アルミニウムがパウダーの場合、結晶方位がランダムであるため、111面のX線回折のピーク強度が一番大きく、強度比I[200]/I[111]は1.0未満となる。一方、圧延アルミニウム箔は圧延工程により緻密となり、結晶配向が揃うため、斜め方向の111面のX線回折のピーク強度I[111]は弱くなり、強度比I[200]/I[111]は1.0より大きくなる。強度比I[200]/I[111]が大きい程、アルミニウム金属膜3の結晶方位は緻密に揃うため、膜抵抗(表面抵抗)は小さくなり、接触面の接触抵抗も低下する。通常の真空蒸着法で作製したアルミニウム金属膜化フィルムの金属粒子は、隙間が大きい柱状結晶膜であり、111面のX線回折のピーク強度が一番大きく、強度比I[200]/I[111]は1.0未満となる。
【0027】
蒸着時の基材(樹脂フィルムのこと。以下、樹脂フィルムを基材と記すことがある。)の表面温度を上げることで、柱状結晶は大きく緻密になることで、結晶は200面方向に揃い、強度比I[200]/I[111]は1.0より大きくなる。
【0028】
ただし、基材が樹脂フィルムの場合、基材温度を上昇させると溶融して破断してしまうため、工夫せず作製すると、基材温度を上げることができず、真空蒸着法で作製したアルミニウム金属膜化フィルムの金属粒子は隙間が大きい柱状結晶膜になってしまい、強度比I[200]/I[111]は1.0未満となる。
【0029】
本発明では基材が樹脂フィルムであっても、基材の表面温度を上げながらアルゴンガスを導入することでアルミニウム金属膜の柱状結晶を大きく緻密に成長させ、結晶粒を大きくすることで、アルミニウム金属膜表面に適度な凹凸を形成させることに成功した。樹脂フィルムを裏面から強制的に冷却しながら、蒸着源の発熱量を大きくすることで、蒸着源の露出している樹脂フィルムの表面近傍のみの温度を上昇させて、柱状結晶は大きく緻密にすることが可能となった。
【0030】
一般的なアルミニウムの真空蒸着法の場合、抵抗加熱のボートにアルミニウム金属ワイヤーを連続的に供給するボート加熱方式であるが、この方式でアルミニウム金属膜を形成すると強度比I[200]/I[111]は1.0未満となる。
【0031】
なので、基材表面温度が上昇しやすいように蒸着源の発熱量を出来るだけ大きくし短時間で成膜することが好ましい。発熱量の大きい、カーボンルツボを用いた誘導加熱方式や、電子ビームにより加熱する方式の蒸着源を用いることで蒸着源の発熱量を大きくし、結晶粒を大きく緻密に成長させることができる。ただし、そのままでは樹脂フィルムは熱により溶融してしまうので、溶融しない直前の温度まで樹脂フィルムを裏面から強制的に冷却することでアルミニウム金属膜の柱状結晶を大きく緻密に成長させることが好ましい。さらにアルゴンガスを蒸着中に導入することでアルミニウム金属膜表面に更に凹凸を形成させることが可能となる。
【0032】
図4および図5は、樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の表面粗さRaが1.6nmであるその上に、発熱量の大きいカーボンルツボを用いた誘導加熱方式の蒸着源を用いて、結晶粒を大きく緻密に成長させたときのアルミニウム金属膜表面のSEM写真である。図4は1.48μmの厚さのアルミニウム金属膜の表面SEM写真、図5は0.53μmの厚さのアルミニウム金属膜の表面SEM写真である。図4および図5から結晶粒を大きくすることで、アルミニウム金属膜表面に適度な凹凸を形成できていることが判別できる。このときの表面粗さRaは図4で8.3nm 図5で2.7nmであった。
【0033】
図7図4のアルミニウム金属膜の断面SEM写真であり、アルミニウム金属膜が柱状結晶であり、アルミニウム金属膜表面の凹凸の凸部が一つの柱状結晶に相当することが判別できる。これより、アルミニウム金属膜表面の凹凸の凸部の大きさが大きいほど柱状結晶が大きく緻密であることが推測される。図4図5を比較した場合、膜厚を厚くするために蒸着時間が長く熱量がより大きい図4の方が、より柱状結晶の成長が大きいと推測される。
【0034】
一方、図6は、一般的な抵抗加熱のボートにアルミニウム金属ワイヤーを連続的に供給する、ボート加熱方式で成長させたときのアルミニウム金属膜表面のSEM写真である。図6は1.12μmの厚さのアルミニウム金属膜の表面SEN写真であり、このときの表面粗さRaは2.2nmであった。図6のアルミニウム金属膜表面にははっきりとした凹凸は確認することが出来ないことから、柱状結晶が大きく成長しておらず、緻密に成長していないと推察される。
【0035】
また、結晶粒を大きく、緻密な金属膜にさせるためには、熱源である蒸着源にある程度の時間露出させる必要があり、結果的に蒸着時間を長くすることが必要であり、アルミニウム金属膜厚は0.7μm以上の厚みであることが好ましく、1.0μm以上であればさらに好ましい。
【0036】
<アルミニウム金属膜の作製方法>
アルミニウム金属膜3の成膜方法としては、薄い電極作製を作製する目的で、接着剤を用いず、薄い樹脂フィルムに金属膜を形成できる真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法には誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、レーザービーム蒸着法、電子ビーム蒸着法などがあるが、その中でも蒸着源の発熱量の大きい電子ビーム蒸着法、レーザービーム蒸着法、誘導加熱蒸着法が好適に用いられる。蒸着源の発熱量は、アルミニウム金属膜3の結晶粒を大きくかつ緻密に形成するまで、大きくする必要があり、基材表面温度が十分高いことが必要であるが、実測することが困難であるため、蒸着後のアルミニウム金属膜3が必要な物性であることを確認して十分な熱量であるかどうかを判断する。
【0037】
アルミニウム金属膜3は、樹脂フィルムと接していない金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率が30%以下であることが好ましく、アルミニウムの111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比I[200]/I[111]が1.0以上10以下であることが好ましく、かつ、前記金属膜の表面の表面粗さRaが2.3nm以上10.0nm以下であることが好ましい。ただし、蒸着源の発熱量を必要な熱量まで上昇させると、通常の真空蒸着法の冷却機能の管理では樹脂フィルムの温度が上昇して溶解しまう可能性があるため、蒸着中は温度が上昇しすぎないように、フィルムを均一に冷却出来るように冷却機能を管理しながら蒸着する必要がある。具体的には、冷媒で十分冷やされた金属製の板もしくは金属ロールからなる冷却機構で蒸着面の裏面から均一に冷却する必要がある。均一に冷却するためには樹脂フィルムと冷却機構の間に隙間を作らずに密着させることが必須となる。
【0038】
例えば、冷却機構の金属ロールにキズがあるとキズの部分が隙間となり、キズ部分で樹脂フィルムが冷却できず、溶解してしまう。例えば、異物が樹脂フィルムと冷却機構の金属ロールに入り込むと、異物で樹脂フィルムが冷却できず溶解してしまう。蒸着源の発熱量を必要な熱量まで上昇させると、通常の真空蒸着法では許容される金属ロールのキズや異物混入が問題となるため、金属ロールのキズや異物混入の管理は更に厳しくする必要がある。これらの蒸着源の発熱量の増加および冷却機能の管理の強化により、アルミニウム金属膜3の結晶粒を大きく成長させかつ緻密に形成させ、接触抵抗を含む内部抵抗の低下につなげることが可能となる。特に電子ビーム蒸着法、レーザービーム蒸着法の場合は、蒸着ルツボにカーボンルツボよりも保温性に優れたアルミナルツボを採用することで、より蒸着源の発熱量を大きくすることが出来るため、更に好ましい。
【0039】
<樹脂フィルム>
本発明で用いられる樹脂フィルム1は、合成樹脂などの高分子を薄い膜状に成型したものが好ましい。本発明で好適に用いられる樹脂フィルムとして、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム、または、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルムが例示される。このうちポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましく用いられる。これらの樹脂フィルムは単独で用いても構わないし、複合されたものを用いても構わない。また樹脂フィルム表面に樹脂や粘着剤等をコーティングしたものを用いても構わない。
【0040】
かかる樹脂フィルム1の厚さは1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下であることが更に好ましい。電極基材の薄膜化のために樹脂フィルムの厚さが薄い方がより好ましく、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。ただし、あまりに薄いと製造工程中での破断等で収率を低下させる可能性があり、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。
【0041】
前記樹脂フィルムの表面粗さRaが0.6nm以上2.0nm以下であることが好ましい。樹脂フィルム表面粗さが0.6nm以下の場合、樹脂フィルムをロール状に巻き取ったとき、貼り付いてしまい搬送が難しくなることがある。樹脂フィルムの表面粗さは0.6nm以上が好ましく、1.0nm以上であることが更に好ましい。一方、アルミニウム金属膜表面の凹凸は大きい方が好ましいため、樹脂フィルムの表面粗さRaを大きくしてしまうと、樹脂フィルム搬送時に破断しやすくなるため好ましくない。樹脂フィルムとしては搬送するために必要な最小限の凹凸を形成し、出来るだけ平滑であることが好ましいため、表面粗さRaは2.0nm以下であることが好ましく、1.5nm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
<アンカー層>
本発明の金属化フィルム4の樹脂フィルムとアルミニウム金属膜3との間には、アンカー層2を有していても構わない。アンカー層2を設けることにより、樹脂フィルムとアルミニウム金属膜の密着力向上が期待できる。アンカー層2としては樹脂フィルム上にスパッタリング法により金属層を形成することが好ましい。スパッタリング法ではアンカー層厚みを薄くすることが可能で、より薄膜化が要求される蓄電池用途では最適である。
【0043】
アンカー層2としてはアルミニウム、ニッケル、チタン、ニクロム、及びクロムからなる群より選ばれるいずれか1つ以上を含む金属層であることが好ましいが、アンカー層2がスパッタリング法で形成されるアルミニウム金属層であることが更に好ましい。このとき注意すべきとして、アンカー層2として選択されたアルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、ニクロムなどの金属表面を酸化させない状態を維持しながら、その上に銅層を形成することが重要となる。具体的にはスパッタリングにてアンカー層2として金属層を形成したあと、大気開放せず、真空を維持したままアルミニウム金属膜3を形成することが重要となる。アンカー層2として選択されたアルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、ニクロムなどの金属表面が酸化されると、安定した金属酸化膜が形成され、その上に形成されるアルミニウム金属膜3との界面との金属結合が困難となり、密着力が確保できず、アルミニウム金属膜3がアンカー層2から剥離してしまうことがある。そのため、アンカー層2として選択されたアルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、ニクロムなどは酸化させないことが重要となる。アンカー層2がスパッタリング法で形成されるアルミニウム金属層である場合、その上にアルミニウム金属膜3が真空蒸着されると、柱状結晶をさらに大きく緻密に成長させるため、アルミ金属膜の接触抵抗を更に抑制することになり、好ましい。
【0044】
アンカー層2の厚みは3nm以上40nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。厚みが3nm未満であると十分な密着力が得られないことがある。一方で、アンカー層を40nmから大きくしても、密着力向上の効果は大きくなることはないため、40nm以下であることが好ましく、成膜速度が遅いスパッタリング法にてアンカー層を作製している場合、アンカー層は20nm以下にして生産性向上させた方が更に好ましい。
【実施例
【0045】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0046】
(マグネトロンスパッタリング)
バッチ式真空蒸着装置(アルバック製EBH-800)内に樹脂フィルムを設置し、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気中で真空到達度5×10-1Pa以下に調整して、DC電源を所定の金属膜厚になる時間連続して印加した。
【0047】
もしくは、ロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気中で真空到達度1×10-2Pa以下に調整して、パルス電源を印加して金属層を形成した。
【0048】
なお、特に記載のない限り、スパッタリングと真空蒸着については連続して処理を行い、アンカー層とアルミニウム金属膜間で大気と触れさせないようにした。
【0049】
(真空蒸着)
バッチ式真空蒸着装置(アルバック製EBH-800)内に樹脂フィルムを設置し、蒸着ボート上にアルミニウムを目的厚みになる量を載置した後に、真空到達度9.0×10-3Pa以下になるまで真空引きをしてから、蒸着ボートを加熱して真空蒸着を実施し、アルミニウム金属膜を形成した。
【0050】
もしくは、ロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、アルミニウム膜厚が所定の値になる搬送速度、出力条件でカーボンルツボを採用した誘導加熱蒸着法にてアルミニウムインゴットを加熱することで真空蒸着を実施し、アルミニウム金属膜を形成した。
【0051】
もしくは、ロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、アルミニウム膜厚が所定の値になる搬送速度、抵抗加熱にて加熱した蒸着ボートにアルミニウムワイヤーを投入することで真空蒸着を実施し、アルミニウム金属膜を形成した。
【0052】
(アルゴンガスの導入について)
アルゴンガスの導入はマグネトロンスパッタリング時に導入するアルゴンガスを使用する。バッチ式真空蒸着装置(アルバック製EBH-800)内ではスパッタリングと真空蒸着は同時に行わなかったため、真空蒸着時にアルゴンガスは導入しなかった。
【0053】
ロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内ではスパッタリングと真空蒸着は連続して処理を行うため、同じ蒸着チャンバー内で同時にスパッタリングと真空蒸着を行うことになり、真空蒸着の蒸着源に常にアルゴンガスが導入された。
【0054】
(XRD(X線回折)測定方法)
X線回折(RIGAKU SmartLab9kW)を用いて測定した。測定条件は、X線管球の電圧と電流:45kV-200mA、走査速度:2°/min、入射スリット:1.0mm、受光スリット:1.0mmで測定した。測定結果で出た111面のX線回折のピーク強度I[111]、200面のX線回折のピーク強度I[200]求め、比率I[200]/I[111]を算出して比較した。
【0055】
(分光光度計絶対反射率)
株式会社島津製作所製分光光度計UV-3600i Plus大型試料室ユニットMPC-603A付に、絶対反射率測定装置ASR-3105(入射角5°)を取り付け、絶対反射率測定装置付属のアルミミラーを基準として、測定サンプルの反射率測定を行った。可視光555nmの反射率データを代表値とした。
【0056】
(接触抵抗測定)
10mm厚のNRスポンジゴム(和気産業株式会社製NRS-06)の上に金属化フィルムを金属膜が上向きになるようにのせ、25mm×25mmの大きさの、金メッキを施した銅板2枚を1mmの間隔をあけてそれぞれの銅板に500gのおもりを乗せた。その2枚の銅板間の抵抗値を、日置電機株式会社製抵抗計RM3544で測定し、接触抵抗とした。
【0057】
(表面抵抗測定)
金属化フィルムを約300mm×約80mmの大きさにカットして、簡易型低抵抗率計(株式会社三菱ケミカルアナリテック製“ロレスタ(登録商標)”EP MCP-T360)を使って、4端子法にて3カ所の表面抵抗を測定し、平均値を表面抵抗値として採用した。
【0058】
(アルミニウム金属膜厚さ)
金属化フィルムを約30mm×約30mmの大きさにカットして、10枚重ねてマイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりの金属化フィルムの厚み算出し、そこから同様に10枚重ねてマイクロメータにて測定した未蒸着の樹脂フィルムの厚みから算出した金属化フィルム厚との差異から、アルミニウム金属膜厚を算出した。
【0059】
(表面粗さ)
株式会社日立ハイテクサイエンス製 走査型白色干渉顕微鏡にて表面粗さRaを測定した。測定条件は測定モード「wave」、光源は530White、対物レンズは50倍で行い、付属の解析ソフトを用いて面補正は4次、補完は「完全」、ガウシングガウシアンフィルタは「カットオフ2μm」の条件で算出した数値を用いた。
【0060】
(密着評価)
幅18mm紙粘着テープ(NITTO製、No.720)をアルミニウム金属膜表面に貼り合わせ、その後紙粘着テープ(NITTO製、No.720)を剥離する際に蒸着膜が樹脂フィルムから剥がれるかどうかで判断した。蒸着膜が樹脂フィルムから剥離した場合は×(不合格)、剥離しなかった場合は〇(合格)とし、二次電池正極用金属化フィルムとして使用できるかどうかの目安とした。
【0061】
(実施例1)
樹脂フィルムとして厚さ11.5μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(SKC(株)製、タイプ:SC42)を使用した。この樹脂フィルムの表面粗さは1.6nmであった。この樹脂フィルムのロール原反をロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、パルス電源を印加してアルミニウムを5nmの厚さにスパッタリングにて蒸着した。条件として、スパッタリング出力はパルス電源を用いて2.0kWを採用した。その後、カーボンルツボを採用した誘導加熱蒸着法にてアルミニウムインゴットを加熱することで真空蒸着法によってアルミニウム金属膜を1.48μmの厚さに真空蒸着した。
【0062】
このように作製した金属化フィルムについて、アルミニウムの111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比 I[200]/I[111]は4.3、その樹脂フィルムと接していないアルミニウム金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率3.4%、表面粗さ8.3nmであった。
【0063】
この金属フィルムの樹脂フィルムと接していないアルミニウム金属膜表面の表面抵抗値は0.037Ω/□、接触抵抗値は8.63mΩ、接触抵抗値と表面抵抗値の比[接触抵抗/表面抵抗]は0.24であった。
【0064】
接触抵抗値は15mΩ以下であり、接触抵抗が十分小さく判定は合格で〇であった。
【0065】
(実施例2~5)
アルミニウム金属膜の厚みを表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様に金属化フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例6)
樹脂フィルムとして厚さ11.5μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(SKC(株)製、タイプ:SC42)を使用した。この樹脂フィルムの表面粗さは1.6nmであった。この樹脂フィルムのロール原反をロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、アルゴンガス導入しながらで真空到達度1×10-2Pa以下に調整してから抵抗加熱にて加熱した蒸着ボートにアルミニウムワイヤーを投入することで真空蒸着を実施し、アルミニウム金属膜を1.04μmの厚さに真空蒸着し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例7)
樹脂フィルムとして厚さ11.5μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(SKC(株)製、タイプ:SC42)を使用した。この樹脂フィルムの表面粗さは1.6nmであった。この樹脂フィルムのロール原反をロール式真空蒸着装置(アルバック製EWC-060)内に樹脂フィルムを設置し、パルス電源を印加してアルミニウムを5nmの厚さにスパッタリングにて蒸着した。条件として、スパッタリング出力はパルス電源を用いて2.0kWを採用した。その後、抵抗加熱にて加熱した蒸着ボートにアルミニウムワイヤーを投入することで真空蒸着を実施し、アルミニウム金属膜を1.00μmの厚さに真空蒸着し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
(比較例1)
樹脂フィルムとして厚さ11.5μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(SKC(株)製、タイプ:SC42)を使用した。この樹脂フィルムの表面粗さは1.6nmであった。この樹脂フィルムをバッチ式真空蒸着装置(アルバック製EBH-800)内に樹脂フィルムを設置し、パルス電源を印加してアルミニウムを5nmの厚さにスパッタリングにて蒸着した。条件として、スパッタリング出力はパルス電源を用いて2.0kWを採用した。その後、蒸着ボートを加熱する抵抗加熱蒸着法によってアルミニウム金属膜を1.44μmの厚さに真空蒸着した。
【0069】
このように作製した金属化フィルムについて、アルミニウムの111面のX線回折のピーク強度I[111]と200面のX線回折のピーク強度I[200]との比 I[200]/I[111]は0.3、その樹脂フィルムと接していないアルミニウム金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率71.1%、表面粗さ1.6nmであった。
【0070】
この金属フィルムの樹脂フィルムと接していないアルミニウム金属膜表面の表面抵抗値は0.038Ω/□、接触抵抗値は15.38mΩ、接触抵抗値と表面抵抗値の比[接触抵抗/表面抵抗]は0.41であった。
【0071】
接触抵抗値は15mΩより大きく、表面抵抗に対して接触抵抗が高く判定は合格で×であった。
【0072】
(比較例2~5)
アルミニウム金属膜の厚みを表1に記載の通りとした以外は、比較例1と同様に金属化フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【符号の説明】
【0074】
1 樹脂フィルム
2 アンカー層
3 アルミニウム金属膜
4 金属化フィルム
【要約】
本発明は、樹脂表面に導電性薄膜層形成しても、接触抵抗が上昇しないで、破断せず搬送できる金属化フィルム、およびその製造方法を得ることを課題とする。樹脂フィルムの少なくとも一方の表面にアルミニウム金属膜が形成され、該樹脂フィルムと接していない金属膜表面の波長555nmの鏡面反射率が30%以下である二次電池正極用金属化フィルムにより解決できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7