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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】駆動輪ユニットおよび自動搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B62D 9/00 20060101AFI20221206BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20221206BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221206BHJP
【FI】
B62D9/00
B62D5/04
G05D1/02 W
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021016974
(22)【出願日】2021-02-04
(62)【分割の表示】P 2017035717の分割
【原出願日】2017-02-28
(65)【公開番号】P2021091401
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁
(72)【発明者】
【氏名】岡村 暉久夫
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-302056(JP,A)
【文献】特開平09-295579(JP,A)
【文献】特開昭63-255182(JP,A)
【文献】特開平06-255500(JP,A)
【文献】特開2010-052490(JP,A)
【文献】特開昭60-064082(JP,A)
【文献】米国特許第05199524(US,A)
【文献】特開2001-315645(JP,A)
【文献】特開2011-148330(JP,A)
【文献】特開昭59-067165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 7/08 - 7/09
B62D 7/14 - 7/22
B62D 9/00
B62D 5/04
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体と、
非直線上に配置され、前記台車本体を下方から支持する3つ以上のキャスタと、
前記台車本体に取り付けられる第1の駆動輪ユニットと、
前記台車本体に取り付けられる第2の駆動輪ユニットと、
を備える自動搬送台車であって、
前記第1の駆動輪ユニットおよび前記第2の駆動輪ユニットは、それぞれ、
駆動輪と、
水平方向を向く駆動軸を中心として前記駆動輪を回転駆動する駆動機構と、
上下方向を向く操舵軸を中心として前記駆動輪の向きを変更する操舵機構と、
を備え、
前記操舵機構の少なくとも一部が、上下方向において前記駆動輪の上端と下端との間に位置し、
前記台車本体に取り付けられた状態で、前記操舵機構の全体が、前記台車本体の上面よりも下側に位置し、
各キャスタと前記台車本体の外周縁との間の最短距離が、前記第1の駆動輪ユニットの前記駆動輪と前記台車本体の前記外周縁との間の最短距離よりも小さく、かつ、前記第2の駆動輪ユニットの前記駆動輪と前記台車本体の前記外周縁との間の最短距離よりも小さい、自動搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪ユニットおよび自動搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内の生産ライン等でコンピュータ制御により自動運転される自動搬送台車が
利用されている。実開昭63-118610号公報(文献1)には、前後方向に直進可能
であり、また、駆動輪の向きを90度変更することにより左右方向にも直進可能な全方向
無人車が開示されている。特開平7-149243号公報(文献2)および特開平8-6
9323号公報(文献3)にも、同様の自動搬送装置が開示されている。
【文献】実開昭63-118610号公報
【文献】特開平7-149243号公報
【文献】特開平8-69323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、文献1の全方向無人車では、駆動輪12の向きを変更するために、駆動モー
タ18により車輪16を駆動することが必要であるため、車体フレーム11を定位置に保
持しておくことができない。また、文献1の第1図に示されるように、駆動輪12の向き
の変更に利用されるパルスエンコーダ20および電磁ブレーキ21が、車輪16および車
体フレーム11よりも上側に配置されているため、全方向無人車が上下方向に大型化する
おそれがある。
【0004】
文献2の自動搬送装置では、減速機構内蔵モータユニット1により、車輪駆動用モータ
6を駆動することなく、車輪5の向きを変更することができる。ただし、減速機構内蔵モ
ータユニット1は、車輪5および搬送装置フレーム12よりも上側に配置されているため
、自動搬送装置が上下方向に大型化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、駆動輪ユニットを上下方向に小型化す
ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施形態に係る例示的な駆動輪ユニットは、台車本体と、前記台車本体を
下方から支持する複数のキャスタと、を備える自動搬送台車に取り付けられて、前記自動
搬送台車を駆動する。当該駆動輪ユニットは、駆動輪と、水平方向を向く駆動軸を中心と
して前記駆動輪を回転駆動する駆動機構と、上下方向を向く操舵軸を中心として前記駆動
輪の向きを変更する操舵機構と、を備える。前記操舵機構の少なくとも一部が、上下方向
において前記駆動輪の上端と下端との間に位置する。前記駆動輪ユニットが前記台車本体
に取り付けられた状態で、前記操舵機構の全体が、前記台車本体の上面よりも下側に位置
する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、駆動輪ユニットを上下方向に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る自動搬送台車の平面図である。
図2図2は、自動搬送台車の一部を示す側面図である。
図3図3は、自動搬送台車の平面図である。
図4図4は、自動搬送台車の一部を示す側面図である。
図5図5は、自動搬送台車の一部を示す側面図である。
図6図6は、軸受機構の他の例を示す側面図である。
図7図7は、軸受機構の他の例を示す側面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る自動搬送台車の平面図である。
図9図9は、自動搬送台車の平面図である。
図10図10は、自動搬送台車の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動輪ユニット3を含む自動搬送台車1の平面
図である。図2は、自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図2では、自動搬送台車
1の構成の一部を断面にて示す。後述する図4ないし図7、および、図10においても同
様である。図2では、後述するキャスタ12の従動輪121と、駆動輪ユニット3の駆動
輪33とが、略同じ高さの床面91に接している状態を描いている。図2では、図1中の
左側の駆動輪ユニット3の側面を示す。図4ないし図7においても同様である。また、図
2では、側面視において互いに重なる従動輪121と駆動輪ユニット3とを、前後方向に
離して描いている。
【0010】
自動搬送台車1は、例えば、工場内の生産ラインで被搬送物の搬送に利用される。自動
搬送台車1は、無人搬送車とも呼ばれ、例えばコンピュータ制御により自動運転される。
自動搬送台車1は、AGV(Automated Guided Vehicle)とも呼ばれる。以下の説明では
図1および図2中の左右方向を「前後方向」と呼び、図1中の上下方向を「幅方向」と
呼ぶ。幅方向は、前後方向に垂直な方向である。なお、上述の前後方向は、自動搬送台車
1の移動方向とは必ずしも一致しない。
【0011】
自動搬送台車1は、台車本体11と、複数のキャスタ12と、複数の駆動輪ユニット3
と、を含む。図1および図2に示す例では、台車本体11は、平面視において略平板状の
部材である。図1では、台車本体11の外周縁110を破線にて描き、台車本体11の上
面112よりも下側の構成を実線にて描いている。後述する図3図8および図9におい
ても同様である。台車本体11の外周縁110は、幅方向よりも前後方向が長い略矩形で
ある。
【0012】
台車本体11の上面112は、略水平に広がる略矩形状の平面である。台車本体11の
上面112は、床面91に略平行である。台車本体11の上面112は、例えば、台車本
体11の外周縁110と略同じ大きさおよび形状を有する。なお、台車本体11は、被搬
送物が載置可能な略平坦な上面112を有しているのであれば、様々な形状および構造を
取り得る。例えば、台車本体11は、キャスタ12および駆動輪ユニット3が取り付けら
れるフレームと、当該フレームの上側および周囲を覆うカバー部と、当該カバー部の上側
に取り付けられる天板と、を含んでいてもよい。この場合、台車本体11の上面112は
、上記天板の上面である。
【0013】
複数のキャスタ12は、台車本体11に取り付けられ、台車本体11を下方から支持す
る。自動搬送台車1では、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が、複数のキ
ャスタ12により支持される。自動搬送台車1では、駆動輪ユニット3は、台車本体11
および被搬送物の重量をほとんど支持しない。
【0014】
図1に例示する自動搬送台車1では、複数のキャスタ12の数は4である。4つのキャ
スタ12は、平面視において略矩形状である台車本体11の4つの角部近傍にそれぞれ配
置される。すなわち、当該4つのキャスタ12は、四角形の頂点を構成する。幅方向にお
いて隣接する各2つのキャスタ12は、前後方向の略同じ位置に配置される。各キャスタ
12は、台車本体11の下方に配置される。
【0015】
キャスタ12の数は、3以上であれば適宜変更されてよい。また、複数のキャスタ12
の配置も適宜変更されてよい。当該3つ以上のキャスタ12は、非直線上に配置される。
換言すれば、台車本体11に取り付けられた複数のキャスタ12のうち、いずれか3つの
キャスタ12が、三角形の頂点を構成する。さらに換言すれば、当該複数のキャスタ12
は、直線上に配置された2つのキャスタ12と、当該直線から離間した位置に配置される
1つ以上のキャスタ12と、を含む。
【0016】
キャスタ12は、従動輪121と、従動輪支持部122と、を含む。従動輪121は、
従動輪支持部122により支持される。従動輪支持部122は、例えば、台車本体11の
下面に接続される。従動輪121は、水平方向を向く中心軸を中心として回転する略円板
状の車輪である。従動輪支持部122は、例えば、上下方向を向く略柱状の部材である。
従動輪支持部122が上下方向を向く中心軸を中心として回転することにより、従動輪1
21の向きが変更される。従動輪支持部122の中心軸は、平面視において、従動輪12
1の中心軸からずれた位置に位置する。
【0017】
キャスタ12の従動輪121は、駆動輪ユニット3による台車本体11の移動に従って
回転する。具体的には、キャスタ12の従動輪支持部122が、駆動輪33の進行方向に
作用する駆動力によって、従動輪121の中心軸が台車本体11の移動方向に略垂直とな
るように回転する。そして、従動輪121が、台車本体11の移動に伴って、台車本体1
1の移動方向に略平行に回転する。
【0018】
駆動輪ユニット3は、台車本体11に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。図
1に示す例では、自動搬送台車1は2つの駆動輪ユニット3を含む。駆動輪ユニットの数
は、適宜変更されてよい。駆動輪ユニット3は、例えば、台車本体11の下方に位置する
。台車本体11が、上述のように、フレーム、カバー部および天板を含む場合、駆動輪ユ
ニット3は、当該フレームの上端よりも下方に位置することが好ましい。
【0019】
以下の説明では、2つの駆動輪ユニット3を区別する場合、図1中の右側の駆動輪ユニ
ット3を「第1の駆動輪ユニット3」と呼び、図1中の左側の駆動輪ユニット3を「第2
の駆動輪ユニット3」と呼ぶ。第1の駆動輪ユニット3と、第2の駆動輪ユニット3とは
、同じ構造を有する。
【0020】
自動搬送台車1では、各キャスタ12と台車本体11の外周縁110との間の最短距離
は、第1の駆動輪ユニット3の駆動輪33と台車本体11の外周縁110との間の最短距
離よりも小さい。また、各キャスタ12と台車本体11の外周縁110との間の最短距離
は、第2の駆動輪ユニット3の駆動輪33と台車本体11の外周縁110との間の最短距
離よりも小さい。キャスタ12と外周縁110との間の最短距離とは、キャスタ12の従
動輪支持部122の中心軸と、外周縁110の前縁、後縁および両側の側縁のうち最も近
いものとの間の最短距離である。駆動輪ユニット3の駆動輪33と外周縁110との間の
最短距離とは、当該駆動輪ユニット3の後述する操舵軸J2と、外周縁110の前縁、後
縁および両側の側縁のうち最も近いものとの間の最短距離である。なお、各駆動輪ユニッ
ト3、各キャスタ12および外周縁110の位置関係は、適宜変更されてよい。
【0021】
各駆動輪ユニット3は、駆動輪33と、駆動機構34と、操舵機構36と、を含む。駆
動輪33は、略水平方向を向く駆動軸J1を中心として回転する略円板状の車輪である。
駆動軸J1は、略円板状の駆動輪33の周方向における回転の中心である仮想的な軸であ
る。駆動機構34は、駆動輪33に接続されて駆動輪33を回転駆動する。駆動機構34
は、例えば電動モータを含む。図1に示す例では、駆動輪33の駆動軸J1は、当該電動
モータの回転軸であるモータ軸上に位置する。図1に示す状態の駆動輪33が駆動機構3
4により駆動されると、自動搬送台車1は前後方向に移動する。
【0022】
操舵機構36は、略上下方向を向く操舵軸J2を中心として駆動輪33の向きを変更す
る。駆動輪33の向きとは、水平方向のうち、駆動軸J1に垂直な方向を意味する。換言
すれば、駆動輪33の向きとは、駆動輪33が駆動軸J1を中心として回転した場合の進
行方向を意味する。図1に示す状態では、駆動輪33は前後方向を向く。操舵軸J2は、
駆動輪33の向きを変更する際の回転中心である仮想的な軸である。操舵軸J2は、例え
ば、駆動輪33の上端および下端を通る直線上に位置する。当該直線は、略上下方向を向
く。換言すれば、操舵軸J2は、駆動輪33と床面91との接点を通る直線である。した
がって、操舵軸J2は、駆動輪33の中心において駆動軸J1と交わる。
【0023】
駆動輪ユニット3では、駆動輪33の向きは、図1に示す前後方向と、図3に示す幅方
向との間で、操舵機構36により約90度変更可能である。図3に示す状態の駆動輪33
が駆動機構34により駆動されると、自動搬送台車1は幅方向に移動する。換言すれば、
自動搬送台車1は横行する。図3では、各キャスタ12の従動輪121も幅方向に向けて
描いている。実際には、従動輪121は、駆動輪33による自動搬送台車1の幅方向への
移動に追従して幅方向を向く。
【0024】
自動搬送台車1では、各駆動輪ユニット3の駆動輪33を、前後方向および幅方向に対
して傾斜する所定の方向に向けた状態で、駆動機構34により駆動輪33を駆動すること
により、自動搬送台車1を前後方向および幅方向に対して斜めに移動することもできる。
また、例えば、2つの駆動輪ユニット3の駆動輪33を同じ向きとして、2つの駆動輪ユ
ニット3を異なる回転方向に駆動することにより、自動搬送台車1をその場において回転
させることもできる。
【0025】
図1では、図中の右側に位置する第1の駆動輪ユニット3の操舵軸J2と、図中の左側
に位置する第2の駆動輪ユニット3の操舵軸J2とを、平面視において結ぶ直線L1を二
点鎖線にて示す。図1に示す例では、直線L1は、平面視において、前後方向および幅方
向に対して傾斜している。詳細には、直線L1は、前後方向に対して45度傾斜している
。直線L1は、幅方向に対しても45度傾斜している。直線L1の前後方向および幅方向
に対する傾斜角度は、適宜変更されてよい。直線L1は、前後方向または幅方向に略平行
であってもよい。
【0026】
自動搬送台車1では、台車本体11の幅方向において、台車本体11の外周縁110と
、第1の駆動輪ユニット3の後述する操舵モータ361との間に、第1の駆動輪ユニット
3の操舵軸J2が配置される。換言すれば、台車本体11の外周縁110のうち、第1の
駆動輪ユニット3の操舵モータ361に近い方の側縁と、当該操舵モータ361との間の
幅方向の距離は、当該側縁と第1の駆動輪ユニット3の操舵軸J2との間の幅方向の距離
よりも大きい。また、台車本体11の幅方向において、台車本体11の外周縁110と、
第2の駆動輪ユニット3の操舵モータ361との間に、第2の駆動輪ユニット3の操舵軸
J2が配置される。換言すれば、台車本体11の外周縁110のうち、第2の駆動輪ユニ
ット3の操舵モータ361に近い方の側縁と、当該操舵モータ361との間の幅方向の距
離は、当該側縁と第2の駆動輪ユニット3の操舵軸J2との間の幅方向の距離よりも大き
い。なお、各駆動輪ユニット3では、操舵モータ361、操舵軸J2および外周縁110
の位置関係は、適宜変更されてよい。
【0027】
操舵機構36は、操舵モータ361と、旋回部37と、軸受機構38と、を含む。操舵
モータ361は、台車本体11に固定される。旋回部37は、操舵モータ361の回転を
、駆動輪33の向きを変更する力に変換する。軸受機構38は、旋回部37を操舵軸J2
を中心として回転可能に台車本体11に対して支持する。
【0028】
駆動輪ユニット3では、操舵機構36の少なくとも一部は、上下方向において駆動輪3
3の上端と下端との間に位置する。換言すれば、操舵機構36の当該少なくとも一部の床
面91からの高さは、床面91から駆動輪33の上端までの高さよりも低い。また、駆動
輪ユニット3が台車本体11に取り付けられた状態において、操舵機構36の全体は、台
車本体11の上面112よりも下側に位置する。例えば、台車本体11が、上述のように
フレーム、カバー部および天板を含む場合、操舵機構36の全体は、当該天板の上面11
2よりも下側に位置する。また、操舵機構36の全体は、当該フレームの上端よりも下方
に位置することが好ましい。
【0029】
操舵モータ361は、例えば電動モータである。図1に示す例では、操舵モータ361
の回転軸362は、水平方向を向き、幅方向に略平行である。操舵モータ361は、回転
軸362の延びる方向に長い。換言すれば、回転軸362方向における操舵モータ361
の長さは、回転軸362に垂直な方向における操舵モータ361の幅よりも大きい。好ま
しくは、操舵モータ361の少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下
端との間に位置する。より好ましくは、操舵モータ361の全体が、上下方向において駆
動輪33の上端と下端との間に位置する。
【0030】
旋回部37は、旋回本体371と、減速機構372と、を含む。好ましくは、旋回部3
7の少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。旋
回本体371は、駆動輪33および駆動機構34を支持する。旋回本体371は、減速機
構372を介して、操舵モータ361の回転軸362に間接的に接続される。操舵モータ
361が駆動すると、減速機構372は、操舵モータ361の回転軸362の回転を、減
速しつつ旋回本体371に伝達する。そして、旋回本体371が、駆動輪33および駆動
機構34と共に、操舵軸J2を中心として回転することにより、駆動輪33の向きが変更
される。なお、旋回本体371は、減速機構372を介することなく、操舵モータ361
の回転軸362に直接的に接続され、操舵モータ361により回転されてもよい。
【0031】
旋回本体371は、旋回基部373と、アーム支持部31と、アーム32と、弾性部材
35と、を含む。旋回基部373は、操舵軸J2を中心とする略環状の部材である。図1
に示す例では、旋回基部373は、略円環板状の部材である。旋回基部373は、駆動輪
33の上端部の周囲に配置される。
【0032】
旋回基部373の外周部には、操舵軸J2を中心とする略円弧状の歯車部374が設け
られる。歯車部374は、操舵軸J2を中心とする周方向において、約90度に亘って設
けられる。歯車部374は、操舵モータ361の回転軸362に固定された歯車部375
と噛み合っている。歯車部374と歯車部375とにより、減速機構372であるウォー
ムギアが構成される。歯車部374はウォームホイルであり、歯車部375はウォームで
ある。換言すれば、減速機構372は、ウォーム減速機構である。減速機構372の歯車
部374は、操舵軸J2を中心とする周方向において、例えば約180度に亘って設けら
れてもよい。また、減速機構372は、ウォーム減速機構には限定されず、他の構造を有
する減速機構であってもよい。
【0033】
旋回基部373は、軸受機構38により、台車本体11に対して回転可能に取り付けら
れる。図2に示す例では、軸受機構38は、上下方向の荷重を受けるスラスト軸受381
と、操舵軸J2を中心とする径方向の荷重を受けるラジアル軸受382と、を含む。スラ
スト軸受381は、例えば、複数のカムフォロア383を含む。図1に示す例では、4つ
のカムフォロア383が、操舵軸J2を中心とする周方向において、略等角度間隔に配置
される。図2では、カムフォロア383の構造の理解を容易とするために、操舵軸J2を
中心とする周方向におけるカムフォロア383の位置を、図1から変更して描いている。
各カムフォロア383の軸384は、旋回基部373の外周部に固定され、操舵軸J2を
中心とする径方向外方に延びる。各カムフォロア383の外輪385は、旋回基部373
の周囲において台車本体11の軸受支持部113の下面に接する。
【0034】
ラジアル軸受382は、例えば、ボールベアリングである。ラジアル軸受382は、例
えば、スラスト軸受381よりも径方向内側に位置する。ラジアル軸受382は、旋回基
部373の内周面と、軸受支持部113の外周面に接する。好ましくは、軸受機構38の
少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
【0035】
アーム支持部31は、旋回基部373から下方に延びる部材である。アーム支持部31
は、旋回基部373を介して台車本体11に間接的に取り付けられる。アーム32は、駆
動輪33の向きと略平行に、略水平方向に延びる部材である。アーム32は、アーム支持
部31の下端部に設けられた支持軸311を中心として、回転可能にアーム支持部31に
より支持される。支持軸311は、駆動輪33の駆動軸J1と略平行に延びる。アーム3
2と支持軸311との間には、例えば、滑り軸受けが設けられる。駆動輪ユニット3が台
車本体11に取り付けられた状態では、アーム支持部31の支持軸311は、上下方向に
おいて駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
【0036】
図2に示す例では、アーム32の先端部に、上方に広がる駆動輪接続部321が設けら
れる。駆動輪接続部321は、床面91に略垂直な略矩形の板状部である。駆動輪接続部
321には、駆動輪33が駆動軸J1を中心として回転可能に接続される。換言すれば、
駆動輪33は、駆動輪接続部321を介してアーム32により下側から支持される。駆動
輪接続部321の駆動輪33と反対側には、駆動機構34が配置される。駆動機構34も
、駆動輪接続部321を介してアーム32により下方から支持される。
【0037】
駆動機構34とアーム支持部31との間には、略上下方向を向く柱状のガイド部312
が設けられる。ガイド部312は、例えばボルトである。ガイド部312の上端部は、ア
ーム支持部31に固定される。ガイド部312の下端部は、アーム32に設けられた貫通
孔を介してアーム32の下方へと延びる。ガイド部312とアーム32とは非接触である
【0038】
弾性部材35は、ガイド部312に沿って配置される。弾性部材35は、例えば、上下
方向を向くコイルバネであり、ガイド部312は、弾性部材35の径方向内側に位置する
。弾性部材35は、ガイド部312に沿って上下方向に弾性変形する。好ましくは、弾性
部材35の全体が、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
【0039】
弾性部材35の上端は、ガイド部312に取り付けられた略板状の弾性部材支持部31
3に接触する。弾性部材35の下端は、アーム32の上記貫通孔の周囲に接触する。ガイ
ド部312および弾性部材支持部313をアーム支持部31の一部と捉えると、弾性部材
35は、アーム支持部31とアーム32との間にて弾性変形する。換言すれば、弾性部材
35は、アーム支持部31を介して台車本体11とアーム32との間にて弾性変形する。
弾性部材35の下端および上端はそれぞれ、溶接等によりアーム32および弾性部材支持
部313に固定されてもよい。
【0040】
弾性部材35は、弾性部材支持部313とアーム32との間に、圧縮された状態で配置
される。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持部31の
支持軸311を中心として図2中における時計回り方向のモーメントが付与される。これ
により、アーム32に接続された駆動輪33に対して下方に向かう力が付与される。その
結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。弾性部材35の復元力により駆動
輪33に付与される当該力は、必ずしも鉛直下方に向かう力である必要はなく、下方に向
かう成分を有する力であればよい。
【0041】
上述のように、自動搬送台車1では、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体
が、複数のキャスタ12により支持される。このため、弾性部材35により駆動輪33を
床面91に押しつける力は、複数のキャスタ12の転がり抵抗よりも僅かに大きければよ
い。このため、駆動機構34の動力を小さくすることができ、自動搬送台車1の省エネル
ギー化に寄与することができる。弾性部材35により駆動輪33を床面91に押しつける
力は、例えば、弾性部材支持部313の上側においてガイド部312に取り付けられたナ
ットの上下方向の位置を変更し、弾性部材支持部313とアーム32との間隔を変更する
ことにより、調整可能である。弾性部材35により駆動輪33を床面91に押しつける力
は、他の方法により調整されてもよい。
【0042】
図4および図5は、自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図4では、床面91に
おいて、駆動輪ユニット3の駆動輪33が接する部位が、キャスタ12の従動輪121が
接する部位よりも下方に凹んでいる。図5では、床面91において、駆動輪ユニット3の
駆動輪33が接する部位が、キャスタ12の従動輪121が接する部位よりも上方に突出
している。
【0043】
図4に示す状態では、図2に示す状態から、アーム32が支持軸311を中心として図
中における時計回り方向に回転し、アーム32が下方へと移動している。これにより、弾
性部材35が上下方向に僅かに長くなる。図4に示す状態においても、弾性部材35は圧
縮状態である。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持部
31の支持軸311を中心として図4中における時計回り方向のモーメントが付与される
。その結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。
【0044】
図5に示す状態では、図2に示す状態から、アーム32が支持軸311を中心として図
中における反時計回り方向に回転し、アーム32が上方へと移動している。これにより、
弾性部材35が上下方向に僅かに短くなる。図5に示す状態においても、弾性部材35は
圧縮状態である。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持
部31の支持軸311を中心として図5中における時計回り方向のモーメントが付与され
る。その結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。
【0045】
以上に説明したように、駆動輪ユニット3は、台車本体11と、台車本体11を下方か
ら支持する複数のキャスタ12と、を含む自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台
車1を駆動する。駆動輪ユニット3は、駆動輪33と、駆動機構34と、操舵機構36と
、を含む。駆動機構34は、水平方向を向く駆動軸J1を中心として、駆動輪33を回転
駆動する。操舵機構36は、上下方向を向く操舵軸J2を中心として、駆動輪33の向き
を変更する。操舵機構36の少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下
端との間に位置する。駆動輪ユニット3が台車本体11に取り付けられた状態では、操舵
機構36の全体が、台車本体11の上面112よりも下側に位置する。
【0046】
これにより、操舵機構を駆動輪の上方に配置する従来の駆動輪ユニットに比べて、駆動
輪ユニット3を上下方向に小型化することができる。その結果、台車本体11の上面11
2に駆動輪ユニット3用の凸部や貫通孔を設けることなく、上面112を平坦に維持した
状態で、床面91から上面112までの高さを小さくすることができる。すなわち、自動
搬送台車1の低床化を実現することができる。
【0047】
上述のように、操舵機構36は、操舵モータ361と、操舵モータ361の回転を駆動
輪33の向きを変更する力に変換する旋回部37と、を含む。操舵モータ361の少なく
とも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これにより、
駆動輪ユニット3を上下方向にさらに小型化することができる。好ましくは、操舵モータ
361の全体が、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これによ
り、駆動輪ユニット3を上下方向に、より小型化することができる。また、旋回部37の
少なくとも一部も、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これに
より、駆動輪ユニット3を上下方向に、より一層小型化することができる。
【0048】
操舵機構36は、上述の操舵モータ361および旋回部37を含み、操舵モータ361
は、水平方向を向く回転軸362を有する。これにより、操舵モータ361が、回転軸3
62の延びる方向に長い場合であっても、駆動輪ユニット3が上下方向に大型化すること
を防止することができる。
【0049】
操舵機構36は、上述の操舵モータ361および旋回部37に加えて、軸受機構38を
含む。軸受機構38は旋回部37を台車本体11に対して支持する。軸受機構38の少な
くとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これにより
、駆動輪ユニット3を上下方向にさらに小型化することができる。また、軸受機構38が
駆動輪33の周囲に配置されるため、軸受機構38の径を比較的大きくすることができる
。これにより、軸受機構38に加わる荷重が偏っている場合であっても、操舵軸J2を中
心として旋回部37を比較的滑らかに回転させることができる。その結果、台車本体11
に作用する偏荷重に対して安定した駆動輪33の操舵を実現することができる。
【0050】
操舵機構36は、上述の操舵モータ361および旋回部37を含み、旋回部37は、操
舵モータ361の回転を減速する減速機構372を含む。これにより、比較的小型の操舵
モータ361で、旋回部37の所望の回転力と回転速度とを実現することができる。これ
により、駆動輪ユニット3を小型化することができる。
【0051】
減速機構372は、好ましくは、ウォーム減速機構である。これにより、操舵モータ3
61の回転速度に対する比較的大きな減速比を、小型かつ簡素な構造の減速機構372に
より実現することができる。また、ウォーム減速機構のセルフロック機能により、旋回部
37の意図しない回転を抑制することができる。その結果、駆動輪ユニット3による移動
方向の変動を抑制し、自動搬送台車1の安定した走行を実現することができる。
【0052】
駆動輪ユニット3では、操舵軸J2が、駆動輪33の上端および下端を通る直線上に位
置する。これにより、駆動輪33が操舵軸J2を中心として回転する際の移動範囲を小さ
くすることができる。その結果、駆動輪33をキャスタ12等の他の構造に近接させて配
置することができる。
【0053】
上述のように、駆動輪ユニット3は、アーム支持部31と、アーム32と、弾性部材3
5とを含む。アーム32は、アーム支持部31の支持軸311を中心として回転可能に支
持される。弾性部材35は、アーム32とアーム支持部31との間にて弾性変形し、アー
ム32に接続された駆動輪33に対して下方に向かう力を付与する。駆動輪ユニット3が
台車本体11に取り付けられた状態では、アーム支持部31の支持軸311は、上下方向
において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
【0054】
これにより、駆動輪ユニット3を上下方向に小型化しつつ、駆動輪33を床面91に対
して好適に押し付けることができる。したがって、駆動輪33の下方の床面91の上下方
向における位置にかかわらず、駆動輪33を好適に床面91に接触させることができる。
その結果、駆動輪ユニット3による自動搬送台車1の好適な移動を実現することができる
。また、上述のように、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が複数の従動輪
121により支持されるため、台車本体11と床面91との間隔が安定的に保持され、駆
動輪33の上下方向の位置が変更される場合であっても、台車本体11の上下方向の位置
や水平面に対する傾きが変更されることを防止することができる。
【0055】
駆動輪ユニット3では、例えば、アーム支持部31、アーム32および弾性部材35は
、操舵機構36の旋回部37とは別に設けられてもよい。また、アーム支持部31は、台
車本体11に直接的に取り付け可能であってもよい。いずれの場合であっても、上記と同
様に、アーム支持部31の支持軸311が、上下方向において駆動輪33の上端と下端と
の間に位置することにより、駆動輪ユニット3を上下方向に小型化しつつ、駆動輪33を
床面91に対して好適に押し付けることができる。なお、駆動輪ユニット3では、駆動輪
33の床面91に対する押圧は、アーム支持部31、アーム32および弾性部材35とは
異なる構造により実現されてもよい。また、駆動輪ユニット3では、駆動輪33を床面9
1に対して押し付ける構造は省略されてもよい。
【0056】
自動搬送台車1は、台車本体11と、3つ以上のキャスタ12と、第1の駆動輪ユニッ
ト3と、第2の駆動輪ユニット3と、を含む。3つ以上のキャスタ12は、非直線上に配
置され、台車本体11を下方から支持する。第1の駆動輪ユニット3および第2の駆動輪
ユニット3は、台車本体11に取り付けられる。上述のように、第1の駆動輪ユニット3
および第2の駆動輪ユニット3は、上下方向に小型化することができる。したがって、自
動搬送台車1を上下方向に小型化することができる。
【0057】
当該3つ以上のキャスタ12は、上述のように、台車本体11の4つの角部にそれぞれ
配置される4つのキャスタ12を含む。これにより、自動搬送台車1の前後方向および幅
方向への安定した走行を実現することができる。
【0058】
自動搬送台車1では、第1の駆動輪ユニット3の操舵軸J2と、第2の駆動輪ユニット
3の操舵軸J2とを、平面視において結ぶ直線L1が、前後方向および幅方向に対して傾
斜する。これにより、自動搬送台車1の前後方向および幅方向への安定した走行を実現す
ることができる。また、第1の駆動輪ユニット3の操舵軸J2と、第2の駆動輪ユニット
3の操舵軸J2との間の距離を比較的大きくすることができる。その結果、比較的小さい
駆動力で、自動搬送台車1の進行方向を変更することができる。さらに、自動搬送台車1
の走行を、より安定させることができる。
【0059】
好ましくは、上記直線L1は、前後方向に対して45度傾斜する。これにより、自動搬
送台車1が前後方向に走行する場合の駆動輪ユニット3の動作と、自動搬送台車1が幅方
向に走行する場合の駆動輪ユニット3の動作とを、全体的にまたは部分的に共通化するこ
とができる。その結果、駆動輪ユニット3の制御を簡素化することができる。
【0060】
自動搬送台車1では、台車本体11の幅方向において、台車本体11の外周縁110と
、第1の駆動輪ユニット3の操舵モータ361との間に、第1の駆動輪ユニット3の操舵
軸J2が配置される。これにより、2つの駆動輪ユニット3の操舵軸J2間の直線L1の
距離を比較的大きくすることができる。その結果、比較的小さい駆動力で、自動搬送台車
1の進行方向を変更することができる。また、自動搬送台車1の走行を、より安定させる
ことができる。
【0061】
自動搬送台車1では、台車本体11の幅方向において、台車本体11の外周縁110と
、第2の駆動輪ユニット3の操舵モータ361との間に、第2の駆動輪ユニット3の操舵
軸J2が配置される。これにより、2つの駆動輪ユニット3の操舵軸J2間の直線L1の
距離を、さらに大きくすることができる。その結果、より小さい駆動力で、自動搬送台車
1の進行方向を変更することができる。また、自動搬送台車1の走行を、さらに安定させ
ることができる。
【0062】
上述のように、各キャスタ12と台車本体11の外周縁110との間の最短距離は、第
1の駆動輪ユニット3の駆動輪33と台車本体11の外周縁110との間の最短距離より
も小さく、かつ、第2の駆動輪ユニット3の駆動輪33と台車本体11の外周縁110と
の間の最短距離よりも小さい。これにより、キャスタ12により主に支持される被搬送物
の荷重を、台車本体11の上面112の比較的広い範囲に分散させることができる。その
結果、自動搬送台車1の安定した走行を実現することができる。
【0063】
軸受機構38の構造は、上述のものから様々に変更されてよい。図6および図7は、他
の好ましい軸受機構38a,38bの例を示す側面図である。図6に示す駆動輪ユニット
3aの軸受機構38aは、図2に示す軸受機構38の複数のカムフォロア383に代えて
、操舵軸J2を中心とするボールベアリングをスラスト軸受381aとして含む。スラス
ト軸受381aは、ラジアル軸受382よりも径方向外側に位置する。
【0064】
図7に示す駆動輪ユニット3bの軸受機構38bは、図2に示す軸受機構38のスラス
ト軸受381およびラジアル軸受382に代えて、操舵軸J2を中心とするクロスローラ
ベアリング386を含む。クロスローラベアリング386は、上下方向の荷重を受けるス
ラスト軸受と、操舵軸J2を中心とする径方向の荷重を受けるラジアル軸受と、を兼用す
る。
【0065】
軸受機構38a,38bの少なくとも一部は、軸受機構38と同様に、上下方向におい
て駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これにより、上記と同様に、駆動輪ユニッ
ト3a,3bを上下方向にさらに小型化することができる。また、軸受機構38a,38
bが駆動輪33の周囲に配置されるため、軸受機構38a,38bの径を比較的大きくす
ることができる。これにより、軸受機構38a,38bに加わる荷重が偏っている場合で
あっても、操舵軸J2を中心として旋回部37を比較的滑らかに回転させることができる
。その結果、台車本体11に作用する偏荷重に対して安定した駆動輪33の操舵を実現す
ることができる。
【0066】
図7に示す軸受機構38bの外径は、駆動輪33の外径以下である。これにより、軸受
機構38bが駆動輪33の周囲に突出する場合に比べて、平面視において、駆動輪ユニッ
ト3bを小型化することができる。なお、軸受機構38bの外径とは、クロスローラベア
リング386の外輪の外周面の直径である。
【0067】
図8および図9は、本発明の第2の実施形態に係る駆動輪ユニット3cを含む自動搬送
台車1の平面図である。図10は、当該自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図8
では、駆動輪ユニット3cの駆動輪33、および、キャスタ12の従動輪121が、前後
方向を向いている状態を示す。図9では、駆動輪33および従動輪121が、幅方向を向
いている状態を示す。図10では、キャスタ12の従動輪121と、駆動輪ユニット3c
の駆動輪33とが、略同じ高さの床面91に接している状態を描いている。図10では、
図8中の左側の駆動輪ユニット3cの側面を示す。また、図10では、側面視において互
いに重なる従動輪121と駆動輪ユニット3cとを、前後方向に離して描いている。
【0068】
駆動輪ユニット3cの操舵機構36cは、図1および図2に示す操舵モータ361、旋
回部37および軸受機構38に代えて、構造が異なる操舵モータ361c、旋回部37c
および軸受機構38cを含む。駆動輪ユニット3cの他の構成は、図1および図2に示す
駆動輪ユニット3の構成と略同様である。以下の説明では、駆動輪ユニット3の各構成に
対応する駆動輪ユニット3cの構成に同符号を付す。
【0069】
駆動輪ユニット3cでは、操舵機構36cの少なくとも一部は、上下方向において駆動
輪33の上端と下端との間に位置する。また、駆動輪ユニット3cが台車本体11に取り
付けられた状態において、操舵機構36cの全体は、台車本体11の上面112よりも下
側に位置する。これにより、駆動輪ユニット3と同様に、駆動輪ユニット3cを上下方向
に小型化することができる。その結果、自動搬送台車1の低床化を実現することができる
【0070】
操舵モータ361cは、台車本体11に固定される。操舵モータ361cは、例えば電
動モータである。操舵モータ361cの回転軸362cは、上下方向を向く。図10に示
す例では、回転軸362cは下方を向く。操舵モータ361cは、回転軸362cの延び
る方向に短い扁平モータである。換言すれば、回転軸362c方向における操舵モータ3
61cの長さは、回転軸362cに垂直な方向における操舵モータ361cの幅よりも小
さい。操舵モータ361cの回転は、旋回部37cにより、駆動輪33の向きを変更する
力に変換される。
【0071】
操舵モータ361cの少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端と
の間に位置する。これにより、駆動輪ユニット3cを上下方向にさらに小型化することが
できる。好ましくは、操舵モータ361cの全体が、上下方向において駆動輪33の上端
と下端との間に位置する。これにより、駆動輪ユニット3cを上下方向に、より小型化す
ることができる。また、旋回部37cの少なくとも一部も、上下方向において駆動輪33
の上端と下端との間に位置する。これにより、駆動輪ユニット3cを上下方向に、より一
層小型化することができる。
【0072】
旋回部37cでは、旋回基部373cの外周部に、操舵軸J2を中心とする略円弧状の
歯車部374cが設けられる。歯車部374cは、操舵軸J2を中心とする周方向におい
て、約90度に亘って設けられる。歯車部374cは、操舵モータ361cの回転軸36
2cに固定された歯車部375cと噛み合っている。歯車部374cと歯車部375cと
により、図1に示す減速機構372とは構造が異なる減速機構372cが構成される。減
速機構372cは、操舵モータ361cの回転を減速する。これにより、比較的小型の操
舵モータ361cで、旋回部37cの所望の回転力と回転速度を実現することができる。
これにより、駆動輪ユニット3cを小型化することができる。
【0073】
上述のように、操舵モータ361cは、上下方向を向く回転軸362cを有する。操舵
モータ361cの回転軸362cは、操舵軸J2とは平面視において異なる位置に位置す
る。これにより、操舵モータ361cを、駆動輪33の鉛直上方を避けて配置することが
できる。その結果、操舵モータ361cの配置の自由度を向上することができるとともに
、駆動輪ユニット3cを上下方向にさらに小型化することができる。
【0074】
駆動輪ユニット3cでは、駆動輪ユニット3と同様に、軸受機構38cが旋回部37c
を台車本体11に対して支持する。軸受機構38cは、例えば、図7に示す軸受機構38
bと同様に、図2に示す軸受機構38のスラスト軸受381およびラジアル軸受382に
代えて、操舵軸J2を中心とするクロスローラベアリング386を含む。
【0075】
軸受機構38cの少なくとも一部は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間
に位置する。これにより、駆動輪ユニット3cを上下方向にさらに小型化することができ
る。また、軸受機構38cが駆動輪33の周囲に配置されるため、軸受機構38cの径を
比較的大きくすることができる。これにより、軸受機構38cに加わる荷重が偏っている
場合であっても、操舵軸J2を中心として旋回部37cを比較的滑らかに回転させること
ができる。その結果、台車本体11に作用する偏荷重に対して安定した駆動輪33の操舵
を実現することができる。軸受機構38cの外径は、駆動輪33の外径以下である。これ
により、軸受機構38cが駆動輪33の周囲に突出する場合に比べて、平面視において、
駆動輪ユニット3cを小型化することができる。
【0076】
上記駆動輪ユニット3,3a~3c、および、自動搬送台車1では、様々な変更が可能
である。
【0077】
例えば、駆動輪ユニット3,3a~3cでは、操舵軸J2は、駆動輪33の上端および
下端を通る直線上からずれた位置に配置されてもよい。また、軸受機構38,38a~3
8cの外径は、駆動輪33の外径よりも大きくてもよい。
【0078】
駆動輪ユニット3では、操舵機構36の少なくとも一部が、上下方向において駆動輪3
3の上端と下端との間に位置しているのであれば、必ずしも、操舵モータ361、旋回部
37および軸受機構38のそれぞれの少なくとも一部が、上下方向において駆動輪33の
上端と下端との間に位置している必要はない。例えば、操舵モータ361、旋回部37お
よび軸受機構38のいずれかは、その全体が駆動輪33の上端よりも上側に位置してもよ
い。駆動輪ユニット3a~3cにおいても同様である。
【0079】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わさ
れてよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る駆動輪ユニットは、様々な用途に利用可能である。当該駆動輪ユニットは
、好ましくは、被搬送物を搬送する自動搬送台車の駆動輪ユニットとして用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1 自動搬送台車
3,3a~3c 駆動輪ユニット
11 台車本体
12 キャスタ
31 アーム支持部
32 アーム
33 駆動輪
34 駆動機構
35 弾性部材
36,36c 操舵機構
37,37c 旋回部
38,38a~38c 軸受機構
110 (台車本体の)外周縁
112 (台車本体の)上面
311 支持軸
361,361c 操舵モータ
362,362c (操舵モータの)回転軸
372,372c 減速機構
J1 駆動軸
J2 操舵軸
L1 (操舵軸同士を結ぶ)直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10