(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】半導体ウエハへの保護テープの貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221206BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2020515334
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016543
(87)【国際公開番号】W WO2019207634
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520385434
【氏名又は名称】ディスコ ハイテック ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】000132954
【氏名又は名称】株式会社タカトリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリワッサ カール ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 良典
(72)【発明者】
【氏名】石松 陽介
(72)【発明者】
【氏名】池端 謙
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-339607(JP,A)
【文献】特開2014-086532(JP,A)
【文献】特開2005-159044(JP,A)
【文献】特開2010-135436(JP,A)
【文献】特開2011-109008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハに保護テープを貼り付けるための貼付装置において、
基材上に仮着された前記保護テープを剥離位置まで搬送するテープ搬送機構と、
前記保護テープを保持可能なテープ保持体と、
前記テープ保持体を
移動可能な保持体移動機構であって、前記剥離位置に
前記テープ保持体を移動させる保持体移動機構と、
前記剥離位置で前記テープ保持体に保持された前記保護テープから前記基材を剥離する剥離機構と、
前記半導体ウエハを支持する貼付テーブルと、
前記貼付テーブルを昇降させる昇降機構と、
前記貼付テーブルの周囲かつ上方に設けられるフレーム台であって、前記半導体ウエハがマウントされるダイシングフレームを支持するフレーム台と、
を少なくとも備え
、
前記保持体移動機構は、前記保護テープを保持した前記テープ保持体を前記フレーム台上に移動させて前記保護テープを前記ダイシングフレームに貼り付けるように構成され、
前記昇降機構は、前記貼付テーブルを上昇させて前記半導体ウエハを前記ダイシングフレームに貼り付けられた前記保護テープに貼り付けるように構成される、保護テープの貼付装置。
【請求項2】
前記基材は、帯状であり、複数の前記保護テープが搬送方向に沿って間隔をあけて配置されており、
前記剥離機構は、剥離板と、前記剥離板を前記基材の搬送方向に往復動させる剥離板移動機構と、を備えており、前記剥離板の先端で前記基材を折り返しながら前記剥離板を前記基材の搬送方向と反対方向に移動させることで、前記保護テープから前記基材を剥離する、請求項
1に記載の保護テープの貼付装置。
【請求項3】
前記テープ保持体は、前記保護テープの全面を吸着可能な吸着部材を備えている、請求項
1又は2に記載の保護テープの貼付装置。
【請求項4】
前記保持体移動機構は、前記テープ保持体を上下方向に移動させる上下移動機構と、前記テープ保持体を水平面に沿うX方向及びX方向に直交するY方向に往復移動させる往復移動機構と、を備える、請求項
1~3のいずれかに記載の保護テープの貼付装置。
【請求項5】
半導体ウエハに保護テープを貼り付けるための貼付方法において、
基材上に仮着された前記保護テープを剥離位置まで搬送するテープ搬送工程と、
前記保護テープを保持可能なテープ保持体を前記剥離位置に移動させる保持体移動工程と、
前記剥離位置で前記テープ保持体に保持された前記保護テープから前記基材を剥離する剥離工程と、
前記保護テープを保持した前記テープ保持体をダイシングフレームを支持するフレーム台上に移動させることにより、前記保護テープを前記ダイシングフレームに貼り付ける工程であって、前記フレーム台は半導体ウエハを支持する貼付テーブルの周囲かつ上方に設けられる工程と、
前記貼付テーブルを上昇させて前記ダイシングフレームに貼り付けられた前記保護テープに前記半導体ウエハを貼り付けることにより、前記半導体ウエハを前記保護テープを介して前記ダイシングフレームにマウントする工程と、
を有する、保護テープの貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハに保護テープを低張力で貼り付けるための貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを製造する工程では、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面に凹凸を有する回路を形成した後、近年の半導体チップの小型化の要請から、回路が形成された表面と反対側の裏面を研削して、ウエハを薄厚化することが一般的に行われている。このウエハの薄厚化の際には、ウエハの表面に保護テープを貼り付けて回路形成部を保護している。
【0003】
ウエハの表面に保護テープを貼り付ける方法として、予めウエハの形状に合わせてプリカットした保護テープを帯状基材に仮着しておき、保護テープを押圧しつつ回転する貼付ローラによって、帯状基材から保護テープを剥離しながら貼付ローラの周面に保護テープを付着させた後、貼付ローラで保護テープをウエハの表面に押圧して貼り付ける方法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、回転する貼付ローラにより押圧して保護テープを貼付ローラの周面に付着させると、保護テープに過度の張力が付与されるため、保護テープに残存応力が生じる。保護テープに残存応力が生じると、保護テープが貼り付けられたウエハの裏面を研削して薄厚化する際に、保護テープの残存応力によりウエハが反ったり、ウエハが破損したりする等の問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、半導体ウエハへの保護テープの貼り付け時に、保護テープに生じる残存応力を低減することが可能な半導体ウエハへの保護テープの貼付装置及び貼付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の貼付装置は、半導体ウエハに保護テープを貼り付けるための貼付装置において、基材上に仮着された前記保護テープを剥離位置まで搬送するテープ搬送機構と、前記保護テープを保持可能なテープ保持体と、前記テープ保持体を前記剥離位置に移動させる保持体移動機構と、前記剥離位置で前記テープ保持体に保持された前記保護テープから前記基材を剥離する剥離機構と、を少なくとも備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施形態の貼付装置においては、前記半導体ウエハがマウントされるダイシングフレームを支持するフレーム台をさらに備え、前記保持体移動機構は、前記テープ保持体を前記フレーム台上に移動させて前記保護テープを前記ダイシングフレームに貼り付けるように構成されることを特徴としている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態の貼付装置においては、前記半導体ウエハを支持する貼付テーブルと、前記貼付テーブルを昇降させる昇降機構と、をさらに備え、前記フレーム台は、前記貼付テーブルの周囲かつ上方に設けられ、前記昇降機構は、前記貼付テーブルを上昇させて前記半導体ウエハに前記保護テープを貼り付けるように構成されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の好ましい実施形態の貼付装置においては、前記基材は、帯状であり、複数の前記保護テープが搬送方向に沿って間隔をあけて配置されており、前記剥離機構は、剥離板と、前記剥離板を前記基材の搬送方向に往復動させる剥離板移動機構と、を備えており、前記剥離板の先端で前記基材を折り返しながら前記剥離板を前記基材の搬送方向と反対方向に移動させることで、前記保護テープから前記基材を剥離することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の好ましい実施形態の貼付装置においては、前記テープ保持体は、前記保護テープの全面を吸着可能な吸着部を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態の貼付装置においては、前記保持体移動機構は、前記テープ保持体を上下方向に移動させる上下移動機構と、前記テープ保持体を水平面に沿うX方向及びX方向に直交するY方向に往復移動させる往復移動機構と、を備えることを特徴としている。
【0013】
上記課題を解決する本発明の貼付方法は、半導体ウエハに保護テープを貼り付けるための貼付方法において、基材上に仮着された前記保護テープを剥離位置まで搬送するテープ搬送工程と、前記保護テープを保持可能なテープ保持体を前記剥離位置に移動させる保持体移動工程と、前記剥離位置で前記テープ保持体に保持された前記保護テープから前記基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
また、本発明の好ましい実施形態の貼付方法においては、前記テープ保持体をダイシングフレームを支持するフレーム台上に移動させて前記保護テープを前記ダイシングフレームに貼り付けるとともに前記半導体ウエハを前記保護テープを介して前記ダイシングフレームにマウントするテープ貼付工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保護テープをテープ保持体で保持した状態で剥離機構により基材を剥離する。これにより、保護テープを残存応力が残らないよう低い張力で保持することができ、さらに、基材を保護テープから剥離する際にも、保護テープにかかる負荷を限りなくゼロに近づけることができる。よって、残存応力を低減した状態で保護テープをウエハに貼り付けることができるので、ウエハの裏面を研削して薄厚化する際に、保護テープの残存応力によりウエハが反ったり、ウエハが破損したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】保護テープが仮着された基材の平面図である。
【
図5】基材から保護テープを剥離する工程を説明する説明図である。
【
図6】基材から保護テープを剥離する工程を説明する説明図である。
【
図7】基材から保護テープを剥離する工程を説明する説明図である。
【
図8】第1アライメント装置の概略構成を示す正面図である。
【
図9】第1アライメント装置の撮像手段による撮像動作を説明する説明図である。
【
図10】第2アライメント装置の概略構成を示す正面図である。
【
図11】第2アライメント装置の概略構成を示す側面図である。
【
図12】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図13】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図14】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図15】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図16】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図17】保護テープをウエハへ貼り付ける工程を説明する説明図である。
【
図19】保護テープをウエハへ貼り付ける際の押圧部材による押圧位置を説明する説明図である。
【
図20】加熱テーブル及び搬送テーブルの概略構成を示す正面図である。
【
図21】加熱テーブル上に載置されたウエハをマウント後のダイシングフレームの部分拡大断面図である。
【
図22】ウエハをマウント後のダイシングフレームを加熱する工程を説明する説明図である。
【
図23】ウエハをマウント後のダイシングフレームを加熱する工程を説明する説明図である。
【
図24】加熱後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図25】加熱後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図26】加熱後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図27】加熱後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図28】加熱後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図29】加熱後のダイシングフレームからウエハをカットする工程を説明する説明図である。
【
図30】加熱後のダイシングフレームからウエハをカットする工程を説明する説明図である。
【
図31】加熱後のダイシングフレームからウエハをカットする工程を説明する説明図である。
【
図32】ダイシングフレームからカットされたウエハを収納する工程を説明する説明図である。
【
図33】ダイシングフレームからカットされたウエハを収納する工程を説明する説明図である。
【
図34】ウエハがカットされた後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【
図35】ウエハがカットされた後のダイシングフレームを収納する工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)に保護テープを貼り付けるための貼付装置及び貼付方法において、予め所定形状に形成されかつ基材上に仮着された保護テープを、張力を低減した状態で基材から剥離して保持し、ウエハに貼り付けることにより、ウエハへの貼り付け時に保護テープに生じる残存応力を低減することを目的とするものである。
【0018】
本発明の貼付装置は、上記目的を達成するために、基材上に仮着された保護テープを剥離位置まで搬送するテープ搬送機構と、保護テープを保持可能なテープ保持体と、テープ保持体を剥離位置に移動させる保持体移動機構と、剥離位置でテープ保持体に保持された保護テープから基材を剥離する剥離機構と、を少なくとも備えることを特徴とする。この本発明の貼付装置の特徴は、主に、以下の本発明の実施形態のテープ剥離部Aにおいて説明されている。以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明するが、本発明は、添付図面に記載の実施形態のみに限定されるものではない。また、各図においてウエハW、ダイシングフレームDF、保護テープPT、基材BM、保護層PL及び粘着剤層ALの厚みは、理解が容易なように誇張して描いてあることに留意されたい。
【0019】
図1は、本実施形態に係る貼付装置1の全体構成を概略的に示す平面図である。貼付装置1は、基材BMに仮着された保護テープPTを基材BMから剥離するテープ剥離部Aと、保護テープPTの位置決めを行うテープアライメント部Bと、ウエハWを複数収納するウエハ供給部Cと、ウエハWの位置決めを行うウエハアライメント部Dと、ダイシングフレームDFを複数収納するフレーム供給部Eと、保護テープPTをウエハWに貼り付けるとともに保護テープPTを介してウエハWをダイシングフレームDFにマウントするテープ貼付部Fと、ダイシングフレームDFにマウントされたウエハWを加熱する加熱部Gと、ウエハWを加熱後のダイシングフレームDFを収納するフレーム収納部Hとを備えている。
【0020】
また、貼付装置1は、各部において各種の動作を行ったり、各部の間で保護テープPT、ウエハW、ダイシングフレームDF等を搬送する各種装置と、各種装置の動作を制御したり、各種装置から受け取る信号やデータを処理する制御装置(図示せず)とを備えており、これらが機台100上に設けられて構成されている。制御装置は、例えばマイコンやメモリ、HDD等を備え、ソフトウェアで処理能力を付与したコンピュータで構成することができる。
【0021】
まず、テープ剥離部Aには、
図1及び
図2に示すように、基材BMに仮着された保護テープPTを基材BMから剥離するために、テープ搬送機構2と、テープ搬送ユニット3と、剥離機構4とが設けられている。
【0022】
テープ搬送機構2は、基材BM上に仮着された保護テープPTを剥離位置まで搬送するものである。テープ搬送機構2は、保護テープPTが仮着された基材BMの供給ロール20と、保護テープPTが剥離された基材BMの回収ロール21と、基材BMを案内する複数のガイドローラ22とで構成されている。供給ロール20は、ロール状に巻き回された基材BMを支持している。回収ロール21は、基材BMの巻き取りを行う。基材BMは回収ロール21の回転駆動により、供給ロール20から繰り出されて搬送される。
【0023】
基材BMは、例えば離型処理が施されたPETフィルムや台紙であり、供給ロール20から繰り出されて帯状の状態で搬送される。基材BMの表面には、
図1、
図3及び
図4に示すように、円形状にプレカットされた複数の保護テープPTが搬送方向に沿って所定間隔をあけて配置されている。保護テープPTは、本実施形態では、その外径がウエハWの外径よりも大きく形成されている。また、保護テープPTは、一方面に、ウエハWの外径よりも小さい外径(例えばウエハWの外径より約2mm小径)を有する円形状の保護層PLが設けられているとともに、保護層PLの周囲に粘着剤層ALが設けられて構成されている。保護層PLは、加熱することにより軟化してウエハWの凹凸に追従して密着する。したがって、次工程でのウエハWの裏面研削時にウエハWが平坦に研削される。また、裏面研削等の加工工程を経たウエハWから保護層PLを剥離する際は、糊残り無く綺麗に剥離できる。また、保護テープPTは、外周側の一部分がウエハWの回路形成部よりも外側の外周縁部に粘着剤層ALを介して貼り付けされ、ウエハWは、回路形成部が保護層PLにより覆われることで保護される。
【0024】
テープ搬送ユニット3は、
図1及び
図2に示すように、保護テープPTを保持可能なテープ保持体30と、テープ保持体30を剥離位置に搬送された保護テープPT上に移動させる保持体移動機構31とを備える。
【0025】
テープ保持体30は、テープ搬送機構2により剥離位置に搬送された保護テープPTを表面側から保持する。テープ保持体30は、本実施形態では、保護テープPTを吸着することによって保持し、例えば
図7及び
図8に示すように、固定部材300に多孔質の吸着部材301が固定された構成のものである。吸着部材301には、真空ポンプ等の減圧ポンプ(図示せず)が接続されており、その表面で保護テープPTを吸着保持可能である。吸着部材301は、本実施形態では、その外径が保護テープPTの外径とほぼ同じであり(同じ又は多少大きい)、保護テープPTの全面を吸着により保持する。
【0026】
保持体移動機構31は、
図1及び
図2に示すように、テープ保持体30を鉛直方向に沿ったZ方向(上下方向)に往復移動させる第1上下移動機構310と、テープ保持体30を水平面に沿ったX方向(前後方向)に往復移動させる往復移動機構(以下、「第1往復移動機構」という。)320と、テープ保持体30を水平面に沿いかつX方向に直交するY方向(左右方向)に往復移動させる往復移動機構(以下、「第2往復移動機構」という。)330とを備えている。
【0027】
第1上下移動機構310は、テープ保持体30を、保護テープPTを保持する剥離位置(
図6を参照)と、剥離位置より上方の離間位置(
図5を参照)との間で上下方向に移動させる。第1上下移動機構310は、テープ保持体30を上下方向に移動させるものであれば特に限定されるものではない。
【0028】
本実施形態の第1上下移動機構310は、
図1及び
図2に示すように、テープ保持体30の往復移動を駆動するボールねじと、テープ保持体30の往復移動をガイドするガイド機構とを備えており、これらが支持枠317に設けられて構成されている。ボールねじは、ねじ軸311、ナット部材312及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材312は、接続部材313を介して、テープ保持体30が接続されている。このボールねじは、モータ314を駆動源とし、モータ314の正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、テープ保持体30を上下方向に移動させる。ガイド機構は、上下方向に延びる左右一対のガイドレール315と、対応するガイドレール315に摺動可能に取り付けられた左右一対のスライダー316とを備えている。一対のガイドレール315及びスライダー316は、ボールねじを間に挟むようにして配置されている。一対のスライダー316は、接続部材313の垂直部に設けられ、一対のガイドレール315は、支持枠317に設けられている。ガイド機構は、各スライダー316が対応するガイドレール315を摺動することで、Z方向(上下方向)に真っ直ぐテープ保持体30が移動するよう補助する。
【0029】
第1往復移動機構320は、
図1及び
図2に示すように、テープ保持体30をX方向に往復移動させる。テープ剥離部Aでは、基材BMの搬送方向がX方向を向いており、第1往復移動機構320は、基材BMの搬送方向にテープ保持体30を往復移動させて、テープ保持体30を剥離位置上に位置させる。第1往復移動機構320は、テープ保持体30をX方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第1往復移動機構320は、接続部材313の水平部に設けられたX方向に延びるレール321と、支持部材32に接続されるとともにレール321に摺動可能に取り付けられたスライダー322とを備えており、テープ保持体30は、図示しない駆動源によりスライダー322を介してレール321に沿ってX方向に往復移動可能である。
【0030】
第2往復移動機構330は、
図1及び
図2に示すように、テープ保持体30をX方向と直交するY方向に往復移動させる。テープ剥離部Aでは、Y方向は基材BMの搬送方向と交差しており、第2往復移動機構330は、Y方向にテープ保持体30を往復移動させて、テープ保持体30を剥離位置上に位置させる。また、第2往復移動機構330は、Y方向にテープ保持体30を往復移動させて、テープ保持体30をテープ剥離部Aからテープアライメント部B及びテープ貼付部Fの順に搬送する。第2往復移動機構330は、テープ保持体30をY方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第2往復移動機構330は、Y方向に延びる上下一対のレール331と、対応するレール331に摺動可能に取り付けられた上下一対のスライダー332とを備えており、一対のスライダー332は、支持枠317に固定された支持部材333に設けられ、一対のレール331は、機台100上に立設された側板101に設けられている。テープ保持体30は、図示しない駆動源によりレール331に沿ってスライダー332を介してY方向に往復移動可能である。
【0031】
剥離機構4は、
図1及び
図2に示すように、テープ搬送ユニット3のテープ保持体30に保持された保護テープPTから基材BMを剥離するものであり、剥離板40と、剥離板40を基材BMの搬送方向に往復移動させる剥離板移動機構41とを備えている。剥離板40は、先端に尖ったエッジを備えており、保護テープPTが仮着された基材BMは、剥離板40上を通過した後、剥離板40の先端のエッジで急激に折り返される。剥離板40は、左右一対の支持板42上に支持されている。一対の支持板42の間には、前後一対のガイドローラ43が回転可能に横架されており、剥離板40の先端のエッジで折り返された基材BMは、一対のガイドローラ43に案内された後、複数のガイドローラ22を経て回収ロール21に巻き取られる。
【0032】
剥離板移動機構41は、
図6及び
図7に示すように、剥離位置にある剥離板40を基材BMの搬送方向とは反対方向に移動させることで、テープ保持体30に保持された保護テープPTから基材BMを剥離する。剥離板移動機構41は、剥離板40を基材BMの搬送方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。
【0033】
本実施形態の剥離板移動機構41は、
図1及び
図2に示すように、剥離板40の往復移動を駆動するボールねじと、剥離板40の往復移動をガイドするガイド機構とを備えている。ボールねじは、ねじ軸410、ナット部材411及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材411は、接続部材412を介して、剥離板40を支持する支持板42に接続されている。このボールねじは、モータ413を駆動源とし、モータ413の正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、剥離板40をX方向に往復移動させる。ガイド機構は、X方向に延びる左右一対のガイドレール414と、対応するガイドレール414に摺動可能に取り付けられた左右一対のスライダー415とを備えている。一対のガイドレール414及びスライダー415は、剥離板40を間に挟むようにして配置されており、一対のスライダー415は、対応する支持板42に設けられ、一対のガイドレール414は、機台100上に間隔を開けて対向するように立設された一対の側板102にそれぞれ設けられている。ガイド機構は、各スライダー415が対応するガイドレール414を摺動することで、X方向に真っ直ぐ剥離板40が往復移動するよう補助する。
【0034】
このテープ剥離部Aにおいては、テープ搬送機構2により剥離位置に搬送された保護テープPTの全面をテープ保持体30で保持し、保護テープPTをテープ保持体30により全面保持した状態で剥離機構4により基材BMを剥離する。そして、保護テープPTを保持したテープ保持体30を、保持体移動機構31により、テープアライメント部B及びテープ貼付部Fに順に搬送する。
【0035】
次に、テープアライメント部Bには、
図1に示すように、テープ保持体30に保持されながらテープ剥離部Aより搬送された保護テープPTの位置決めを行うために、第1アライメント装置5が設けられている。この第1アライメント装置5は、保護テープPTの保護層PLの外周縁部を検出して保護テープPTの位置決めを行うものである。
【0036】
第1アライメント装置5は、
図8に示すように、保護層PLの外周縁部を撮像する撮像手段50と、撮像手段50により撮像される保護層PLの外周縁部の箇所を照射する照明手段51と、撮像手段50を水平面に沿うX方向及びX方向に直交するY方向に往復移動させる撮像手段移動機構52とを備えている。
【0037】
撮像手段50は、例えばCCDカメラやC-MOSカメラ等が用いられる。撮像手段50は、保護層PLの外周縁部の複数箇所(好ましくは4箇所)を撮像するために、複数の撮像手段50が保護層PLの外周縁部に対応する同心円状の複数箇所にそれぞれ配置されていてもよいが、本実施形態では、1つの撮像手段50を撮像手段移動機構52により移動させることにより、
図9に示すように、1つの撮像手段50で保護層PLの外周縁部の複数箇所(
図9では4箇所)を撮像する。撮像手段50は、保護層PLの外周縁部の複数箇所を撮像すると、その画像データを制御装置(図示せず)に出力する。
【0038】
また、撮像手段50は、
図8に示すように、支持台53上に立設された垂直のレール54に昇降部材55を介して支持されており、例えばシリンダ等を用いて昇降部材55を上下方向(Z方向)に移動させることで、昇降可能である。
【0039】
照明手段51は、
図8に示すように、支持台53上に立設されたガイド56により図示しない適宜の駆動手段を用いて上下動可能に支持されている。照明手段51は、光源として発光ダイオード等の発光部510を備えており、発光部510が導光部材511内に固定されて構成されている。照明手段51は、リング状に光を照射するリング照明であり、円周状に複数の発光部510を配置する等して構成される。
【0040】
撮像手段移動機構52は、
図8に示すように、撮像手段50を水平面に沿ったX方向に往復移動させる往復移動機構(以下、「第3往復移動機構」という。)520と、撮像手段50を水平面に沿いかつX方向に直交するY方向に往復移動させる往復移動機構(以下、「第4往復移動機構」という。)530とで構成される。
【0041】
第3往復移動機構520は、撮像手段50をX方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第3往復移動機構520は、撮像手段50のX方向の往復移動を駆動するボールねじと、撮像手段50のX方向の往復移動をガイドするガイド機構とを備えている。ボールねじは、ねじ軸521、ナット部材522及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材522は、接続部材523を介して、撮像手段50を支持する支持台53に接続されている。このボールねじは、モータ(図示せず)を駆動源とし、モータの正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、撮像手段50をX方向に往復移動させる。ガイド機構は、X方向に延びる左右一対のガイドレール524と、対応するガイドレール524に摺動可能に取り付けられた左右一対のスライダー525とを備えている。一対のガイドレール524及びスライダー525は、ボールねじを間に挟むようにして配置されている。各スライダー525は、接続部材523に設けられ、各ガイドレール524は、Y方向に延びる支持板526上に設けられている。ガイド機構は、各スライダー525が対応するガイドレール524を摺動することで、X方向に真っ直ぐ撮像手段50が往復移動するよう補助する。
【0042】
第4往復移動機構530は、撮像手段50をY方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第4往復移動機構530は、撮像手段50のY方向の往復移動を駆動するボールねじと、撮像手段50のY方向の往復移動をガイドするガイド機構とを備えている。ボールねじは、ねじ軸531、ナット部材532及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材532は、支持板526及び接続部材523を介して、撮像手段50を支持する支持台53に接続されている。このボールねじは、モータ533を駆動源とし、モータ533の正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、撮像手段50をY方向に往復移動させる。ガイド機構は、Y方向に延びる左右一対のガイドレール534と、対応するガイドレール534に摺動可能に取り付けられた複数組の左右一対のスライダー535とを備えている。一対のガイドレール534及びスライダー535は、ボールねじを間に挟むようにして配置されている。各スライダー535は、支持板526に設けられ、各ガイドレール534は、Y方向に延びる支持枠536上に設けられている。ガイド機構は、各スライダー535が対応するガイドレール534を摺動することで、Y方向に真っ直ぐ撮像手段50が往復移動するよう補助する。
【0043】
このテープアライメント部Bにおいては、撮像手段50により、保護層PLの外周縁部の複数箇所を撮像し、制御装置(図示せず)により、撮像手段50から取得した画像データを処理することで、保護層PLの外周縁部の複数箇所の位置情報を求めて保護層PLの中心位置を算出する。そして、制御装置(図示せず)により、保護層PLの中心位置と予め設定された保護層PLの中心の基準位置とを比較し、中心位置と基準位置との位置ずれ量に基づいて保持体移動機構31を制御することで、テープ保持体30の位置をX方向及びY方向に補正して、保護層PLの中心を基準位置にアライメントする。なお、位置決めが行われた保護テープPTは、テープ保持体30に保持された状態で保持体移動機構31によりテープ貼付部Fに搬送される。
【0044】
次に、ウエハ供給部Cには、
図1に示すように、複数のウエハWを積層状態で収納可能な収納カセット10が設けられている。収納カセット10は、例えばエレベータ機構等の昇降機構(図示せず)を用いて昇降可能である。このウエハ供給部Cにおいては、ウエハWが第1ウエハ搬送機構7により取り出される度に収納カセット10を昇降させて、複数のウエハWを順次、第1ウエハ搬送機構7に供給する。
【0045】
第1ウエハ搬送機構7は、
図1に示すように、本実施形態ではロボットアームであり、多関節のアーム70と、アーム70の先端に設けられたハンド71とで構成されている。アーム70は、複数のリンク72が旋回可能に連結されているとともに、基端のリンク72が軸73に旋回可能に連結されている。ハンド71は、本実施形態では、ウエハWを吸着により保持可能な吸着型のハンドである。ハンド71は、ウエハWの表面を吸着してウエハWを保持するが、ウエハWの表面のパターンが形成されていない外周部分を吸着するように構成されている。第1ウエハ搬送機構7は、ハンド71によりウエハ供給部CからウエハWを1枚ずつ順次取り出した後、アーム70の伸縮及び旋回によりハンド71で保持したウエハWをウエハアライメント部D及びテープ貼付部Fに順に搬送、供給する。なお、ハンド71として、非接触でウエハWを保持可能な非接触型のハンドを用いてもよい。
【0046】
次に、ウエハアライメント部Dには、
図1に示すように、第1ウエハ搬送機構7により搬送されたウエハWの位置決めを行うために、第2アライメント装置8が設けられている。この第2アライメント装置8は、ウエハWの外周縁部を検出してウエハWの位置決めを行うものである。
【0047】
第2アライメント装置8は、
図10及び
図11に示すように、ウエハWよりも小径の回転テーブル80と、回転テーブル80を回転させる回転駆動機構81と、回転テーブル80を水平面に沿うX方向及びX方向に直交するY方向に往復移動させるテーブル移動機構82と、ウエハWの一方面側(図示例では下方側)からウエハWに向けて赤色光を照射する照明手段83と、ウエハWの他方面側(図示例では上方側)においてウエハWを撮像する撮像手段84とを備えている。
【0048】
回転テーブル80は、その上面にウエハWを載置して保持する。回転テーブル80は、本実施形態では、ウエハWを吸着することによって保持する。回転テーブル80は回転軸800を介して支持枠801に回転可能に支持されている。
【0049】
回転駆動機構81は、回転テーブル80を回転させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の回転駆動機構81は、駆動源となるモータ810と、モータ810に接続された駆動プーリ811と、回転軸800に軸止された従動プーリ812と、駆動プーリ811及び従動プーリ812の間に張設されたベルト813とを備えており、これらが支持枠801に設けられて構成されている。
【0050】
テーブル移動機構82は、回転テーブル80を水平面に沿ったX方向に往復移動させる往復移動機構(以下、「第5往復移動機構」という。)820と、回転テーブル80を水平面に沿いかつX方向に直交するY方向に往復移動させる往復移動機構(以下、「第6往復移動機構」という。)830とで構成される。
【0051】
第5往復移動機構820は、回転テーブル80をX方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第5往復移動機構820は、回転テーブル80のX方向の往復移動を駆動するボールねじと、回転テーブル80のX方向の往復移動をガイドするガイド機構とを備えている。ボールねじは、ねじ軸821、ナット部材822及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材822は、回転テーブル80を支持する支持枠801に接続されている。このボールねじは、モータ823を駆動源とし、モータ823の正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、回転テーブル80をX方向に往復移動させる。ガイド機構は、X方向に延びるガイドレール824と、ガイドレール824に摺動可能に取り付けられた一対のスライダー825とを備えている。各スライダー825は、支持枠801に設けられ、ガイドレール824は、支持台802上に設けられている。ガイド機構は、各スライダー825が対応するガイドレール824を摺動することで、X方向に真っ直ぐ回転テーブル80が往復移動するよう補助する。
【0052】
第6往復移動機構830は、回転テーブル80をY方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第6往復移動機構830は、回転テーブル80のY方向の往復移動を駆動するボールねじと、回転テーブル80のY方向の往復移動をガイドするガイド機構とを備えている。ボールねじは、ねじ軸831、ナット部材832及びボール(図示せず)等を備えており、ナット部材832は、支持台802を介して回転テーブル80を支持する支持枠801に接続されている。このボールねじは、モータ833を駆動源とし、モータ833の正逆回転をねじ軸方向の往復直線運動に変換して、回転テーブル80をY方向に往復移動させる。ガイド機構は、Y方向に延びるガイドレール834と、ガイドレール834に摺動可能に取り付けられた一対のスライダー835とを備えている。各スライダー835は、支持台802に設けられ、ガイドレール834は、支持台803上に設けられている。ガイド機構は、各スライダー835が対応するガイドレール834を摺動することで、Y方向に真っ直ぐ回転テーブル80が往復移動するよう補助する。
【0053】
照明手段83は、支持板804により回転テーブル80の下方位置に支持されている。照明手段83は、その外形がウエハWの外形よりも大きく形成されており、リング状に赤色光を照射する。照射される赤色光の波長領域は、約580nm~680nmであり、ピーク波長630nmの赤色光を用いることが好ましい。約580nm~680nmの波長領域の赤色光を使用することで、ウエハWの材質に左右されることなく、赤色光はウエハWによって遮断されるので、撮像手段84による赤色光の受光状態を確認することで、ウエハWの外周端部を正確に検出することができる。照明手段83は、光源として赤色発光ダイオード等の発光部(図示せず)を備えており、円周状に複数の発光部を配置する等して構成される。
【0054】
撮像手段84は、例えばCCDカメラやC-MOSカメラ等が用いられる。撮像手段84は、ウエハWの外周縁部を全体的に撮像するために、回転テーブル80の回転軸800上に配置されている。撮像手段84は、光学フィルタ840を備えている。この光学フィルタ840は、撮像手段84に入射する可視光のうち、照明手段83によりウエハWを照射する赤色光の波長領域以外の光は透過せずに、赤色光だけを透過する特性を有する。この光学フィルタ840としては、波長600nm以下の光を遮断するものを好ましく用いることができる。撮像手段84は、ウエハWの外周縁部を撮像してその画像信号を制御装置(図示せず)に出力する。
【0055】
このウエハアライメント部Dにおいては、回転テーブル80でウエハWを回転させるとともに照明手段83からウエハWに向けて赤色光を照射しながら、撮像手段84により、ウエハWの外周縁部を撮像し、制御装置(図示せず)により、撮像手段84から取得した画像データを処理することで、ウエハWの外周縁部を検出してウエハWの中心位置を算出する。そして、制御装置(図示せず)により、ウエハWの中心位置と予め設定されたウエハWの中心の基準位置とを比較し、中心位置と基準位置との位置ずれ量に基づいてテーブル移動機構82を制御することで、回転テーブル80の位置をX方向及びY方向に補正して、ウエハWの中心を基準位置にアライメントする。なお、位置決めが行われたウエハWは、第1ウエハ搬送機構7によりテープ貼付部Fに搬送される。
【0056】
次に、フレーム供給部Eには、
図1及び
図2に示すように、複数のダイシングフレームDFを積層状態で収納可能な収納カセット11が設けられている。収納カセット11は、例えばエレベータ機構等の昇降機構(図示せず)を用いて各ダイシングフレームDFを昇降可能である。このフレーム供給部Eにおいては、ダイシングフレームDFが第1搬送アーム9Aに取り出される度にダイシングフレームDFを昇降させることにより、複数のダイシングフレームDFを順次、第1搬送アーム9Aに供給するように構成されている。なお、ダイシングフレームDFは、予め適宜な位置決め手段で位置決めすることが好ましい。
【0057】
第1搬送アーム9Aは、
図1に示すように、Y方向に延びるレール103に沿って、図示しない駆動源によりフレーム供給部Eとテープ貼付部Fとの間を往復移動可能である。レール103は、機台100上に敷設されている。第1搬送アーム9Aは、ダイシングフレームDFを吸着により保持可能であり、複数の吸着パッド等の吸着部90を備えている。第1搬送アーム9Aは、吸着部90によりフレーム供給部EからダイシングフレームDFを1枚ずつ順次取り出した後、テープ貼付部Fに搬送、供給する。
【0058】
次に、テープ貼付部Fには、
図1に示すように、減圧状態で保護テープPTをウエハWに貼り付けるとともに保護テープPTを介してウエハWをダイシングフレームDFにマウントするために、真空チャンバ6が設けられている。この真空チャンバ6の内部に、
図12~
図17に示すように、ウエハWを支持する貼付テーブル60と、ウエハWがマウントされるダイシングフレームDFを支持するフレーム台61と、テープ保持体30によりウエハW上に供給された保護テープPTを上方から押圧する押圧部材62とが設けられている。
【0059】
真空チャンバ6は、機台100上に固定された下部チャンバ6Bと、下部チャンバ6B上に上下移動可能に設けられた上部チャンバ6Aとを備え、上部チャンバ6A及び下部チャンバ6Bが合わされることにより形成される。貼付テーブル60及びフレーム台61は、下部チャンバ6Bの内部に設けられ、押圧部材62は、上部チャンバ6Aの内部に設けられる。
【0060】
上部チャンバ6Aは、
図17に示すように、支持板63に複数のガイド部材64を介して上下移動可能に支持されている。また、上部チャンバ6Aには、支持板63に設けられた昇降シリンダ65のシリンダ軸650が接続されており、昇降シリンダ65の駆動により、上部チャンバ6Aは、下部チャンバ6Bと合わさる連結位置と、下部チャンバ6Bより上方の離間位置との間で上下方向に移動する。
【0061】
また、上部チャンバ6Aには、真空アダプタ66が接続されており、真空アダプタ66は図示しない真空ポンプ等の減圧ポンプに接続されている。上部チャンバ6Aが下部チャンバ6Bと合わさって真空チャンバ6を形成した際に、真空アダプタ66から排気することで真空チャンバ6内を減圧状態とすることができる。また、真空アダプタ66から大気を導入することで真空チャンバ6内の減圧状態を解除することができる。なお、真空チャンバ6内を減圧した後、アルゴンや窒素等の不活性ガスを真空チャンバ6の内部に導入することで、不活性ガス雰囲気とすることも可能である。
【0062】
貼付テーブル60は、
図12~
図17に示すように、その上面に多孔質の吸着部材600が設けられている。吸着部材600は、真空ポンプ等の減圧ポンプが接続されており、その上面でウエハWを吸着保持可能である。ウエハWは、第1ウエハ搬送機構7により貼付テーブル60上に載置される。
【0063】
貼付テーブル60は、ウエハWを支持しながら昇降機構67により下部チャンバ6B内で昇降可能である。昇降機構67は、貼付テーブル60を昇降させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の昇降機構67は、
図12~
図17に示すように、貼付テーブル60を下部チャンバ6Bに対して昇降可能に支持するガイド部材670と、ガイド部材670が固定される支持板671と、ねじ軸672、ナット部材673及びボール(図示せず)等を備えるボールねじと、ボールねじを駆動させるモータ674と、モータ674に接続された駆動プーリ675と、ねじ軸672に軸止された従動プーリ676と、駆動プーリ675及び従動プーリ676の間に張設されたベルト677とを備えている。支持板671はナット部材673と接続されており、昇降機構67は、モータ674の正逆回転をボールねじによりねじ軸方向の往復直線運動に変換して、貼付テーブル60を昇降させる。貼付テーブル60は、常時は、フレーム台61の下方に所定間隔をあけて位置している。
【0064】
フレーム台61は、
図12~
図17に示すように、貼付テーブル60の外側に貼付テーブル60を取り囲むように位置している。フレーム台61は、環状をなしており、貼付テーブル60は、その昇降時にフレーム台61の開口を通過可能である。ダイシングフレームDFは、第1搬送アーム9Aによりフレーム台61上に載置され、図示しない適宜の固定手段で固定される。また、保護テープPTは、テープ保持体30によりダイシングフレームDF上に載置されることで、ウエハW上に供給される。
【0065】
押圧部材62は、
図12~
図19に示すように、保護テープPTをウエハWに貼り付けるとともに保護テープPTを介してウエハWをダイシングフレームDFにマウントするために、保護テープPTの保護層PLの周囲部を押圧してウエハWに貼り付ける保護層外周押さえ620と、保護テープPTの外周縁部を押圧してダイシングフレームDFに貼り付けるテープ外周押さえ621と、テープ外周押さえ621を上下方向に変位可能に支持する弾性部材622とを備えている。
【0066】
保護層外周押さえ620は、リング状をなしており、その外径が保護テープPTの保護層PLの外径よりも大きく形成されている。保護層外周押さえ620は、例えばフッ素ゴムや、表面がフッ素処理されたゴム素材等を用いることができる。保護層外周押さえ620は、第1ホルダー624に保持されている。第1ホルダー624は、支持円板623に固定されており、外周縁部に設けられたリング状の凸部625に形成された環状凹部に保護層外周押さえ620が嵌め込まれている。
【0067】
テープ外周押さえ621は、リング状をなしており、その外径が保護テープPTの外径とほぼ同じ大きさに形成されている。テープ外周押さえ621は、例えばシリコーン樹脂等で形成することができる。テープ外周押さえ621は、第2ホルダー626に保持されている。第2ホルダー626は、環状の板材からなり、外周縁部に形成された環状溝にテープ外周押さえ621が固定されている。
【0068】
また、第2ホルダー626は、支持円板623に固定された複数の取付具627にバネ等の弾性部材622を用いて支持されている。これにより、テープ外周押さえ621で保護テープPTの外周縁部を押圧してダイシングフレームDFに貼り付ける際に、テープ外周押さえ621による押圧力を一定とすることができる。
【0069】
押圧部材62は、第2上下移動機構68により上部チャンバ6A内で上下移動可能である。第2上下移動機構68は、押圧部材62を上下方向に移動させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態の第2上下移動機構68は、押圧部材62を上部チャンバ6Aに対して上下移動可能に支持するガイド部材680と、ガイド部材680が固定される昇降板681と、上部チャンバ6A上に設けられるとともにシリンダ軸683が昇降板681に接続された昇降シリンダ682と、押圧部材62の上下移動をガイドする複数のガイドレール684及びスライダー685からなるガイド機構とを備えている。ガイドレール684は、上下方向に延びるように上部チャンバ6A上に設けられ、スライダー685は、昇降板681に設けられ、対応するガイドレール684に摺動可能に取り付けられている。第2上下移動機構68は、昇降シリンダ682により押圧部材62の上下移動を駆動し、ガイド機構により押圧部材62の上下移動をガイドする。
【0070】
このテープ貼付部Fにおいては、真空チャンバ6内の減圧状態で、押圧部材62の保護層外周押さえ620により、保護テープPTの保護層PLの周囲部を粘着剤層ALを介してウエハWの外周縁部に貼り合わせることで、保護層PLでウエハWの回路形成部凹凸を覆い、さらに、押圧部材62のテープ外周押さえ621により、保護テープPTの外周縁部を粘着剤層ALを介してダイシングフレームDFに貼り合わせることで、保護テープPTを介してウエハWをダイシングフレームDFにマウントする(
図21(a)を参照)。そして、ウエハWをマウント後のダイシングフレームDFを、第2搬送アーム9Bにより、加熱部Gに搬送する。
【0071】
第2搬送アーム9Bは、
図1に示すように、Y方向に延びるレール103に沿って、図示しない駆動源によりテープ貼付部Fと加熱部Gとの間を往復移動可能である。第2搬送アーム9Bは、ダイシングフレームDFを吸着により保持可能であり、第1搬送アーム9Aと同様に、複数の吸着パッド等の吸着部90を備えている。第2搬送アーム9Bは、吸着部90によりテープ貼付部FからウエハWをマウント後のダイシングフレームDFを取り出した後、加熱部Gに搬送、供給する。
【0072】
加熱部Gには、
図1に示すように、ダイシングフレームDFを加熱する加熱テーブル12と、ダイシングフレームDFを保持するとともに保持したダイシングフレームDFを上下反転させる反転アーム13と、加熱後のダイシングフレームDFをフレーム収納部Hに搬送する搬送テーブル14とが設けられている。
【0073】
加熱テーブル12は、
図20に示すように、上面にダイシングフレームDFを載置し、図示しない適宜の固定手段で固定可能である。加熱テーブル12の上面には、中央領域に円形状の凸部121が設けられており、ダイシングフレームDFは、
図21(a)に示すように、凸部121上にウエハWが位置するように、加熱テーブル12上に載置、固定される。加熱テーブル12は、内部にヒーター120を内蔵しており、ヒーター120により保護テープPTを加熱する。
【0074】
加熱テーブル12は、内部に空間を有するテーブル台122に支持されている。テーブル台122は、機台100上に敷設されたX方向に延びる一対のレール104上を、一対のスライダー123を介して走行可能であり、加熱テーブル12は、例えばモータ124及びボールねじ125を駆動源として、レール104に沿ってX方向に往復移動可能である。
【0075】
反転アーム13は、
図1に示すように、ダイシングフレームDFを吸着により保持可能であり、複数の吸着パッド等の吸着部130を備えている。反転アーム13は、支持枠131に図示しない駆動源により上下方向に移動可能に支持されている。支持枠131は、機台100上に敷設されたX方向に延びるレール105上を、図示しないスライダーを介して走行可能であり、反転アーム13は、図示しない駆動源(例えばモータ及びボールねじ)により、レール105に沿ってX方向に往復移動可能である。
【0076】
また、反転アーム13には、モータ132が接続されており、モータ132の駆動により反転アーム13は回転する。反転アーム13は、吸着部130が上方を向く上下逆転した状態となることで、第2搬送アーム9Bにより搬送されたダイシングフレームDFを第2搬送アーム9Bから受け取り可能である(
図22を参照)。そして、第2搬送アーム9BからダイシングフレームDFを受け取った後、反転アーム13は回転して吸着部130が下方を向く上下順転した状態となることで、ダイシングフレームDFを保護テープPTが下面となる状態にして、加熱テーブル12上に載置可能である(
図23を参照)。
【0077】
搬送テーブル14は、
図1及び
図20に示すように、上面にダイシングフレームDFを載置可能であり、加熱部Gで加熱されたダイシングフレームDFをフレーム収納部Hに搬送する。搬送テーブル14は、支持台140上に立設された複数の支柱141に支持されている。搬送テーブル14は、機台100上に敷設されたX方向に延びる一対のレール106上を、支持台140に設けられた一対のスライダー142を介して走行可能であり、例えばモータ143及びボールねじ144を駆動源として、レール106に沿ってX方向に往復移動可能である。また、搬送テーブル14は、テーブル台122の内部空間を通過可能である。
【0078】
この加熱部Gにおいては、加熱テーブル12により保護テープPTを、例えば100℃で1分程度、加熱することで、
図21(b)に示すように、保護層PLを軟化させて、保護層PLをウエハWの回路形成部の凹凸に埋め込んで密着させる。そして、ダイシングフレームDFを、搬送テーブル14により、フレーム収納部Hに搬送する。
【0079】
次に、フレーム収納部Hには、
図1に示すように、複数のダイシングフレームDFを積層状態で収納可能な収納カセット15が設けられている。収納カセット15は、例えばエレベータ機構等の昇降機構(図示せず)を用いて昇降可能である。このフレーム収納部Hでは、ダイシングフレームDFが収納される毎に収納カセット15を昇降させて、複数のダイシングフレームDFを順次収納する。
【0080】
また、フレーム収納部Hには、
図1に示すように、収納カセット15につながる一対の搬送レール16と、搬送レール16に平行なレール107に沿って往復移動するフレームプッシャー17とが設けられている。
【0081】
フレームプッシャー17は、機台100上に敷設されたX方向に延びるレール107上を、スライダー170を介して走行可能であり、図示しない駆動源(例えばモータ及びボールねじ)により、レール107に沿ってX方向に往復移動可能である。また、フレームプッシャー17は、図示しない駆動源により上下方向に移動可能に支持されている。フレームプッシャー17は、搬送レール16付近に移動してきた搬送テーブル14上のダイシングフレームDFを収納カセット15に向けて押し込むことで、ダイシングフレームDFは搬送レール16から収納カセット15に搬送されて収納される。
【0082】
次に、ウエハWに保護テープPTを貼り付ける貼付方法について説明する。
【0083】
まず、貼付動作に先立って、
図1に示すウエハ供給部Cから、第1ウエハ搬送機構7によりウエハWを取り出した後、ウエハアライメント部Dに搬送して回転テーブル80上に載置する。
【0084】
そして、ウエハアライメント部Dにおいて、ウエハWのアライメントを行う。まず、回転テーブル80でウエハWを支持しながら回転させるとともに、照明手段83によりウエハWの一方面側からウエハWに向けて赤色光を照射した状態で、撮像手段84によりウエハWの他方面側からウエハWを撮像する。そして、撮像手段84による赤色光の受光状態に基づいてウエハWの外周縁部を検出して、ウエハWの中心位置を算出し、ウエハWの位置調整を行って、ウエハWの中心を所定の基準位置に位置決めする。そして、位置決めされたウエハWを第1ウエハ搬送機構7によって回転テーブル80からテープ貼付部Fに搬送し、
図13に示すように、下部チャンバ6B内の貼付テーブル60上に位置決めした状態で載置、固定する。このとき、貼付テーブル60上に載置されるウエハWの中心位置は、後述するフレーム台61上に載置されるダイシングフレームDFの中心位置と一致する。
【0085】
また、
図1に示すフレーム供給部Eから、第1搬送アーム9AによりダイシングフレームDFを取り出した後、テープ貼付部Fに搬送して、
図13に示すように、下部チャンバ6B内のフレーム台61上に載置、固定する。
【0086】
また、
図1に示すテープ剥離部Aにおいて、テープ搬送機構2により基材BM上に仮着された保護テープPTを剥離位置まで搬送するとともに、
図5に示すように、剥離位置に搬送された保護テープPT上にテープ保持体30を移動させて、テープ保持体30により保護テープPTを保持する。そして、
図6及び
図7に示すように、剥離板40を移動させて、テープ保持体30に保持された保護テープPTから基材BMを剥離する。その後、基材BMから剥離された保護テープPTをテープ保持体30で保持しながら、テープアライメント部Bに搬送する。
【0087】
そして、テープアライメント部Bにおいて、保護テープPTのアライメントを行う。まず、テープ保持体30で保護テープPTを保持した状態で、保護テープPTの保護層PLの外周縁部の複数箇所(好ましくは4箇所)を撮像手段50により撮像する。そして、撮像手段50による画像データから保護層PLの外周縁部の複数箇所の位置情報を算出して、保護層PLの中心位置を算出し、保護テープPTの位置調整を行って、保護層PLの中心を所定の基準位置に位置決めする。その後、
図12に示すように、位置決めされた保護テープPTをテープ保持体30で保持しながらテープ貼付部Fに搬送し、
図13に示すように、下部チャンバ6B内のダイシングフレームDF上に載置する。このとき、フレーム台61上に載置されたダイシングフレームDFの中心位置と、ダイシングフレームDF上に載置された保護テープPTの保護層PLの中心位置とが一致する。
【0088】
次に、テープ貼付部Fにおいて、ウエハWに保護テープPTを貼り付ける。まず、
図13に示すように、保護テープPTがウエハW上に供給されると、
図14に示すように、上部チャンバ
6Aを下方に移動させて下部チャンバ6Bと合体させることにより、真空チャンバ6を形成する。そして、真空アダプタ66を通じて真空チャンバ6内を減圧し、所定の減圧状態になったところで、貼付テーブル60を上昇させてウエハWを保護テープPTに接触させるとともに、
図15に示すように、押圧部材62を下方に移動させて、保護テープPTを上方から押圧する。このとき、押圧部材62の保護層外周押さえ620により、保護テープPTの保護層PLの周囲部が押圧されることで、粘着剤層ALがウエハWの外周縁部に貼り合わされ、押圧部材62のテープ外周押さえ621により、保護テープPTの外周縁部が押圧されることで、粘着剤層ALを介して保護テープPTがダイシングフレームDFに貼り合わされる。これにより、保護層PLによりウエハWの表面の回路(凹凸)が覆れるとともに、保護テープPTを介してウエハWがダイシングフレームDFにマウントされる。そして、真空チャンバ6内を大気圧状態とした後に、
図16に示すように、上部チャンバ
6Aを上方に移動させて下部チャンバ6Bを開放し、
図17に示すように、ウエハWをマウント後のダイシングフレームDFを、第2搬送アーム9Bにより加熱部Gに搬送する。
【0089】
次に、加熱部Gにおいて、ウエハWをマウント後のダイシングフレームDFを加熱する。まず、
図22に示すように、上下逆転した状態の反転アーム13で第2搬送アーム9BからダイシングフレームDFを受け取り、その後、
図23に示すように、反転アーム13を回転させることによりダイシングフレームDFを上下反転させて、保護テープPTを下面にした状態でダイシングフレームDFを加熱テーブル12上に載置する。そして、加熱テーブル12に内蔵されたヒーター120により保護テープPTを加熱することで、保護層PLを軟化させて、保護層PLをウエハWの回路形成部の凹凸に密着させる。これにより、保護テープPTのウエハWへの貼り付けが完了するとともに、ウエハWのダイシングフレームDFへのマウントも完了する。そして、
図24~
図26に示すように、第2搬送アーム9BをダイシングフレームDF上に移動させて、第2搬送アーム9BによりダイシングフレームDFを保持した後、加熱テーブル12から持ち上げるとともに、搬送テーブル14を加熱テーブル12との入れ替えで第2搬送アーム9Bの下方に移動させて、ダイシングフレームDFを搬送テーブル14上に載置する。そして、
図27に示すように、ダイシングフレームDFを搬送テーブル14によりフレーム収納部Hに搬送する。
【0090】
最後に、フレーム収納部Hにおいて、
図28に示すように、ウエハWがマウントされたダイシングフレームDFを、フレームプッシャー17により、搬送テーブル14から搬送レール16を介して収納カセット15に収納する。
【0091】
以上のように、上記構成の貼付装置1及び貼付方法によれば、テープ剥離部Aにおいて、保護テープPTの全面をテープ保持体30で保持し、保護テープPTをテープ保持体30により全面保持した状態で剥離機構4により基材BMを剥離する。これにより、保護テープPTを残存応力が残らないよう低い張力で保持することができ、さらに、基材BMを保護テープPTから剥離する際にも、保護テープPTにかかる負荷を限りなくゼロに近づけることができる。
【0092】
よって、残存応力を低減した状態で保護テープPTをウエハWに貼り付けることができるので、ウエハWの裏面を研削して薄厚化する際に、保護テープPTの残存応力によりウエハWが反ったり、ウエハWが破損したりすることを防止することができる。
【0093】
加えて、上記構成の貼付装置1及び貼付方法によれば、テープ貼付部Fにおいて、保護テープPTをダイシングフレームDFに貼り付けた後、ウエハWをダイシングフレームDFにマウントする際に、ウエハWに保護テープPTを貼り付ける。これにより、従来技術の方法のように、ウエハWへの貼り付けの際に保護テープPTが貼付ロールにより引っ張られることがないため、ウエハWに貼り付けられた保護テープPTに残存応力が生じることを防止することもできる。
【0094】
さらに、上記構成の貼付装置1及び貼付方法によれば、従来技術の方法のように、保護テープPTを貼付ローラでウエハWに押圧して貼り付けないので、ウエハWの凹凸が破損することを防止することもできる。この効果は、最近の半導体の高密度化に伴うウエハの機能向上を目的に多く取り扱われるようになった、従来の回路形成部の凹凸よりも大きい凹凸を有するバンプウエハに対して特に顕著な効果である。
【0095】
このように、本発明の一実施形態によれば、ウエハWへの貼り付け時に保護テープに生じる残存応力を低減することができる半導体ウエハへの保護テープの貼付装置及び貼付方法を提供することが可能である。また、バンプウエハに対して良好に保護テープを貼り付けることができる貼付装置及び貼付方法を提供することが可能である。
【0096】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、加熱部Gで加熱されたダイシングフレームDFをフレーム収納部Hに搬送して収納カセット15に収納している。しかし、加熱後のダイシングフレームDFを
図1に示すテープ切断部Iに搬送テーブル14により搬送し、カッターユニット18を用いて、ダイシングフレームDFに貼り付けられた保護テープPTをウエハWの外形に沿ってカットした後、これによりダイシングフレームDFから分離された保護テープPT付きのウエハWを第2ウエハ搬送機構19により搬送して、図示しないウエハ収納部、又は、収納カセット10の空いた部分に収納するように構成してもよい。以下、
図29~
図35を用いて具体的に説明する。
【0098】
まず、
図25において、第2搬送アーム9Bにより加熱後のダイシングフレームDFを加熱テーブル12から取り出した後、上下逆転した状態の反転アーム13で第2搬送アーム9BからダイシングフレームDFを受け取り、その後、反転アーム13を回転させることによりダイシングフレームDFを上下反転させて、ウエハWを下面にした状態でダイシングフレームDFを搬送テーブル14上に載置する(
図29を参照)。そして、
図30に示すように、ダイシングフレームDFを搬送テーブル14によりテープ切断部Iのカッターユニット18の下方に搬送する。なお、本実施形態においては、搬送テーブル14の上面がウエハWの厚みに合わせて、適宜凸状に形成されている。
【0099】
カッターユニット18は、図示しない駆動源により、保護テープPTを切断する切断位置と、切断位置より上方の離間位置との間を上下方向に移動するように構成されている。また、カッターユニット18は、カッター180と、カッター180を支持する支持板181と、カッター180を回転駆動するモータ182とを備えている。
【0100】
テープ切断部Iにおいては、
図31に示すように、ダイシングフレームDFが搬送されると、カッターユニット18を下方に移動させ、カッター180を回転させることでウエハWの外形に沿って保護テープPTをカットする。そして、
図32に示すように、カッターユニット18を上方に移動させて離間位置に退避させるとともに、第2ウエハ搬送機構19を搬送テーブル14上に移動させる。
【0101】
第2ウエハ搬送機構19は、本実施形態では、図示しない駆動源により、テープ切断部Iとウエハアライメント部Dとの間をY方向に往復移動するように構成されている。また、第2ウエハ搬送機構19は、ウエハWを例えば吸着により保持可能な吸着ハンド190と、吸着ハンド190を上下方向に移動させるシリンダ191とを備えている。
【0102】
ダイシングフレームDFに貼り付けられた保護テープPTがウエハWの輪郭に沿ってカットされると、吸着ハンド190を下方に移動させて、搬送テーブル14上のダイシングフレームDFから分離された保護テープPT付きのウエハWを吸着する。そして、
図33に示すように、吸着ハンド190を上方に移動させた後、吸着ハンド190により保護テープPT付きのウエハWをウエハアライメント部Dに搬送して回転テーブル80上に載置する。回転テーブル80上に載置された保護テープPT付きのウエハWは、その後、第1ウエハ搬送機構7により図示しないウエハ収納部、又は、収納カセット10の空いた部分まで搬送されて収納される。
【0103】
一方で、ウエハWが分離されたダイシングフレームDFは、
図34に示すように、搬送テーブル14によりフレーム収納部Hに搬送され、
図35に示すように、フレームプッシャー17により、搬送テーブル14から搬送レール16を介して収納カセット15に収納される。
【0104】
なお、上記構成の貼付装置1を裏面研削装置等と接続して、ダイシングフレームDFにマウントされたウエハWや保護テープPTが貼り付けられたウエハWを当該裏面研削装置等に直接供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 貼付装置
2 テープ搬送機構
4 剥離機構
30 テープ保持体
31 保持体移動機構
40 剥離板
41 剥離板移動機構
61 フレーム台
301 吸着部材
310 第1上下移動機構
320 第1往復移動機構
330 第2往復移動機構
W ウエハ
BM 基材
PT 保護テープ
PL 保護層
DF ダイシングフレーム