IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】可変絞り装置及びカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/06 20210101AFI20221206BHJP
   G03B 9/02 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
G03B9/06
G03B9/02 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021527098
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2018122663
(87)【国際公開番号】W WO2020124553
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 厚司
(72)【発明者】
【氏名】宇野 勝
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337948(JP,A)
【文献】特開昭56-042219(JP,A)
【文献】実開昭55-169514(JP,U)
【文献】特開昭63-311333(JP,A)
【文献】特開平09-189935(JP,A)
【文献】特開昭63-220121(JP,A)
【文献】特開平04-152211(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0146919(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0195530(US,A1)
【文献】特開2009-086303(JP,A)
【文献】特開2012-112999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0276072(US,A1)
【文献】米国特許第04367931(US,A)
【文献】米国特許第05371633(US,A)
【文献】特開昭59-116634(JP,A)
【文献】米国特許第04623233(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/00-9/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズ用の可変絞り装置であって、
レンズの周囲に回転可能に配置された複数のフィンであって、前記複数のフィンの各々は前記レンズの中心に向かって配置された可動端と、前記各々のフィンの外側に前記レンズの前記中心から離れて形成されたギアとを有する、複数のフィンと、
前記複数のフィンを取り囲むギアリングであって、前記ギアリングの内側には前記複数のフィンの各ギアとかみ合うギアがある、ギアリングと、
前記ギアリングを回転駆動させるためのモータと
を備え
前記モータは、前記ギアリングに固定された可動子と、前記可動子に対向する固定子とを含み、
前記可動子及び前記固定子のうちの一方は、磁極が外周に沿って交互に配置されたリング形状の磁石を含み、前記可動子及び前記固定子のうちの他方は、前記磁石の前記磁極と一致するピッチで前記外周に沿って蛇行するように配置されたコイルを含み、
前記可動子及び前記固定子のうちの前記他方は、前記磁石の前記磁極のピッチに対して異なるシフト量で配置された複数のコアを含み、前記シフト量は前記可動子の回転単位の整数倍である、
可変絞り装置。
【請求項2】
カメラレンズ用の可変絞り装置であって、
レンズの周囲に回転可能に配置された複数のフィンであって、前記複数のフィンの各々は前記レンズの中心に向かって配置された可動端と、前記各々のフィンの外側に前記レンズの前記中心から離れて形成されたギアとを有する、複数のフィンと、
前記複数のフィンを取り囲むギアリングであって、前記ギアリングの内側には前記複数のフィンの各ギアとかみ合うギアがある、ギアリングと、
前記ギアリングを回転駆動させるためのモータと
を備え
前記モータは、前記ギアリングに固定された可動子と、前記可動子に対向する固定子とを含み、
前記可動子及び前記固定子のうちの一方は、磁極が外周に沿って交互に配置されたリング形状の磁石を含み、前記可動子及び前記固定子のうちの他方は、前記磁石の前記磁極と一致するピッチで前記外周に沿って蛇行するように配置されたコイルを含み、
前記モータは、前記可動子と前記固定子との間に少なくとも3つの軸受を有し、前記可動子及び前記固定子のうちの一方は、前記磁石を含む前記可動子及び前記固定子のうちの他方と反対側にヨークを含む、
可変絞り装置。
【請求項3】
前記ギアリングの前記ギアは、分離された複数のギア部で構成されており、前記複数のギア部の数はフィンの数に等しく、前記ギアリングはさらに複数のストッパを含み、前記複数のギア部のうちの隣接するギア部の各セットの間に各ストッパが配置されている、請求項1または2に記載の可変絞り装置。
【請求項4】
前記フィンの数は奇数であり、前記複数のフィンのうちの少なくとも1つは第1の高さに配置されており、前記複数のフィンのうちの少なくとも1つは、前記第1の高さとは異なる第2の高さに配置されており、前記複数のフィンのうちの少なくとも1つは、前記第1の高さ及び前記第2の高さの両方と異なる第3の高さに配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
【請求項5】
前記複数のフィンは、第1の高さに配置された複数の第1フィンと、前記第1の高さとは異なる第2の高さに、前記複数の第1フィンのうちの隣接フィンの各セットの間に配置された複数の第2フィンとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
【請求項6】
前記複数のフィンは、それぞれの先端が隣接するフィンの下に配置されるようにして、同じ高さに配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
【請求項7】
カメラレンズ用の可変絞り装置であって、
レンズの周囲に回転可能に配置された複数のフィンであって、前記複数のフィンの各々は前記レンズの中心に向かって配置された可動端と、前記各々のフィンの外側に前記レンズの前記中心から離れて形成されたギアとを有する、複数のフィンと、
前記複数のフィンを取り囲むギアリングであって、前記ギアリングの内側には前記複数のフィンの各ギアとかみ合うギアがある、ギアリングと、
前記ギアリングを回転駆動させるためのモータと
を備え、
前記モータは、前記ギアリングに固定された可動子と、前記可動子に対向する固定子とを含み、
前記可動子及び前記固定子のうちの一方は、磁極が外周に沿って交互に配置されたリング形状の磁石を含み、
前記可動子及び前記固定子のうちの他方は、
前記磁石の前記磁極と一致するピッチで外周に沿って配置された複数の第1コイルと、
前記複数の第1コイル上に重ね合わせ且つ前記複数の第1コイルに対して位相が90度シフトするように外周に沿って配置された複数の第2コイルと
を含む、可変絞り装置。
【請求項8】
前記可変絞り装置はさらに、
前記磁石の磁場を検出するためのセンサと、
前記センサの検出結果に基づいて前記モータの駆動を制御するための制御装置と
を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
【請求項9】
少なくとも1つのレンズを含むレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒に設けられた、請求項1からのいずれか一項に記載の可変絞り装置と
を備えるカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズの可変絞り装置及び当該可変絞り装置を備えたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯機器に搭載されるカメラモジュールが小型化されており、その結果、カメラレンズのF値が増加している。しかしながら、多くの従来型のカメラモジュールでは、F値は、一意的に決定されているので、自在に変えることはできない。したがって、携帯機器のカメラレンズのF値を変えることができる小型で薄い可変絞り装置が望まれる。
【0003】
特許文献1には、2つの翼部を有するレンズ鏡筒に固定された可変絞りが開示されており、各翼部は異なるサイズの穴の少なくとも一部が互いに重なり合った形状(例えば、雪だるま形状)を持つ絞り穴領域を有し、絞り駆動モジュールは、可変絞りを動かすように構成されたレバーに連結されている支持体に配置された磁石部材を含み、絞りコイルは磁石を動かすように構成されている。この可変絞りは、翼部が互いに遠ざかるようになる又は重なり合う範囲が小さくなる方向に翼部を動かすことにより、2つのサイズ間の絞り穴領域を調節する。
特許文献1:米国特許出願公開第2018/0164538号
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、そのようなバイナリタイプの可変絞り装置には、2つのサイズの絞りしかない。さらに、次のように問題がいくつかある。例えば、1)重量が大きいために2つの翼部のバランスを保てない、2)オートフォーカス(AF)又は光学式手ブレ補正(OIS)によって共鳴が発生する、及び3)電力消費が大きいなどである。必要とされるのは、広範な範囲内であらゆるサイズの絞りを形成する小型で薄い可変絞り装置である。
【0005】
本発明の第1態様が、レンズの周囲に回転可能に配置された複数のフィンを有する、カメラレンズ用の可変絞り装置を提供する。複数のフィンの各々は、レンズの中心に向かって配置された可動端と、フィンの外側にレンズの中心から離れて形成されたギアとを有する。ギアリングが複数のフィンを取り囲み、このギアリングの内側には複数のフィンの各ギアとかみ合うギアがあり、モータがギアリングを回転駆動させる。
【0006】
本発明の第2態様が、少なくとも1つのレンズを含むレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒に設けられた第1態様による可変絞り装置とを備えたカメラモジュールを提供する。
【0007】
上記の発明の概要は、必ずしも本発明の実施形態の必要な特徴を全て説明しているわけではない。上述した特徴群のサブコンビネーションも、本発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態による可変絞り装置の構成を分解斜視図で示している。
図2A】本実施形態による可変絞り装置の構成を上面図で示している。
図2B】本実施形態による可変絞り装置の断面構成を示している。
図2C】可変絞り装置の拡大部を示している。
図3A】モータの構成及び駆動原理を示している。
図3B】モータの構成及び駆動原理(励磁切り替え)を示している。
図4A】変形例によるモータの構成を示している。
図4B図4Aの基準線L3を基準にして、変形例によるモータの断面構成を示している。
図5A】複数のコアの配置とモータの段階的回転の原理とを示している。
図5B】モータの段階的回転([Δθ×1]回転)の原理を示している。
図5C】モータの段階的回転([Δθ×2]回転)の原理を示している。
図5D】モータの段階的回転([Δθ×5]回転)の原理を示している。
図6A】可変絞りの絞り動作(最大絞り状態)を示している。
図6B】可変絞りの絞り動作(絞り動作状態)を示している。
図6C】可変絞りの絞り動作(最小絞り状態)を示している。
図7A】変形例によるフィン配置と可変絞りの絞り動作(最大絞り状態)とを示している。
図7B】変形例によるフィン配置と可変絞りの絞り動作(絞り動作状態)とを示している。
図7C】変形例によるフィン配置と可変絞りの絞り動作(最小絞り状態)とを示している。
図8】変形例による、6つのフィンを用いたフィン配置を示している。
図9】その他の変形例による、6つのフィンを用いたフィン配置を示している。
図10】変形例による可変絞り装置の構成を分解斜視図で示している。
図11】変形例による可変絞り装置の制御システムの構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の(いくつかの)実施形態を説明する。この実施形態は、特許請求の範囲による本発明を限定するものではない。また、所与の実施形態に関して説明される特徴が全て、本発明の各態様にとって必須であるとみなされるべきではない。
【0010】
図1及び図2A図2Cは、本実施形態による可変絞り装置100の構成を示している。図1は、可変絞り装置100の各構成要素の構成を分解斜視図で示している。図2Aは、可変絞り装置100の構成を、カバーを除いて上面図で示している。図2Bは、図2Aの基準線BBを基準にして、可変絞り装置100の断面構成を示している。図2Cは、可変絞り装置100の一部を拡大した断面構成を示している。これらの図には、可変絞り装置100が搭載されているレンズ鏡筒90も示されている。
【0011】
レンズ鏡筒90は、複数のレンズなどの光学素子で構成された光学系を内部に保持するためのハウジングである。レンズ鏡筒90は、基部91と、基部91の上面中心から+Z方向に延出する突出部92とを含む。基部91及び突出部92は、Z軸方向に延在する内部空間を含むように一体的に形成されており、Z軸方向に配置された複数のレンズなどの光学素子をその空間に保持している。
【0012】
基部91は、1つの例として円筒形状を有し、その外面にらせん状のネジ部91aが形成されている。レンズ鏡筒90は、ネジ部91aを利用して、カメラ装置などに固定することができる。さらに、基部91の上面には、突出部92の先端に向かって径が徐々に減少する3つの円錐台部91bと、最下部の円錐台部91bから半径方向に延出する複数の段部91c(図2Bなどを参照)とが形成されている。基部60は、複数の段部91cに支持されている。
【0013】
突出部92は、1つの例として、基部91より小さい径を有する円筒形状に形成されており、上面の中心に円形の開口92aがさらに形成されている。光学系に含まれる先端レンズ93(例えば、11.5mm径)が、その+Z方向の端部が突出部92の上面から突き出るように開口92aに保持されている。
【0014】
本実施形態による可変絞り装置100は、複数のフィン21~25の一部をレンズ鏡筒90の突出部92の上方に配置し、且つギアリング30、ホルダ40、モータ50、及びベース60を突出部92の周囲に配置することで、レンズ鏡筒90の基部91(すなわち、複数の段部91c)に支持されている。これにより、レンズ鏡筒90の上側に可変絞りが形成される。可変絞り装置100はレンズ鏡筒90の中に設けられてよい、すなわち、複数のフィン21~25をレンズ間に配置して、可変絞りをレンズ間に形成してよいことに留意されたい。
【0015】
本実施形態による可変絞り装置100は、カバー10、複数のフィン21~25、ギアリング30、ホルダ40、モータ50、及びベース60を備えるカメラモジュール(カメラレンズ)、具体的には携帯機器に搭載されるカメラモジュール用の絞り装置である。
【0016】
カバー10は、可変絞り装置100の上面及び側面を覆って保護するための蓋であり、金属や強化プラスチックなどを用いて、例えば強固になるように形成されてよい。カバー10は、中心に開口11aを有する円形の上面11と、上面11の外縁に接続された側面12とを含み、下側が開いている。開口11aは、円形の形状を有してよい。上面11がホルダ40の旋回軸41~45に支持され、カバー10が可変絞り装置100の上に配置されている場合、レンズ鏡筒90の中にある先端レンズ93の少なくとも一部が上面11の開口11aから露出し、フィン21~25の一部(具体的には、基端)とギアリング30の上部とが上面11に覆われ、ギアリング30、ホルダ40、モータ50、及びベース60の外縁は側面12に覆われる。
【0017】
複数のフィン21~25は、可変絞りを形成するために先端レンズ93の周囲に回転可能に配置されているプレート片である。フィン21~25は、ポリアセタール(POM)などの樹脂を用いて、先端が湾曲して基端から上側に向かって延出するように、実質的にかぎ形の形状に形成されている。開口21a~25aはその基端に形成されており、ギア21b~25bは開口21a~25aに対応する延長部分の反対の位置にある基端の側に(可変絞り装置100が組み立てられた状態で、先端レンズ93に対して外側に)形成されており、円弧状に湾曲する内辺と円弧状に湾曲する外辺とが形成されている。
【0018】
複数のフィン21~25は、本実施形態に見られるように、5つのフィンなどの奇数のフィンを含むことが好ましい。奇数のフィンで可変絞りを形成することで、絞りを閉じたときに、互いに対向する2つの並行した辺の形成を避ける多角形の開口が形成されるので、強い光線の発生を防ぐことができる。具体的には、5つのフィンが小型の可変絞りを形成するのに適しており、その理由は、少数のフィンで大きな開口を形成できるためである。
【0019】
フィン21~25は、先端レンズ93の中心側に先端を向けて、先端レンズ93に対して外側に基端を向けて、ホルダ40の旋回軸41~45をそれぞれ開口21a~25aに挿入することで、ホルダ40の上に回転可能に固定される。フィン21~25はそれぞれ、旋回軸41~45の周りを回転することで、先端(可動端とも呼ばれる)を先端レンズ93の中心に向かって動かして絞りを閉じ、先端レンズ93に対して外側に向かって動かして絞りを開く。可変絞りは、フィン21~25の外辺がそれぞれギアリング30のストッパ31a~35aで固定されているときに最大化され、フィン21~25の内辺によって連続的な円形の開口が形成される(図2A及び図6Aを参照)。
【0020】
ギアリング30を回転させることで、複数のフィン21~25の可動端は、同期して先端レンズ93の中心に向かって動く。ギアリング30は、1つの例として、複数のフィン21~25を取り囲むようにリング形状に形成され、ギアリング30の内側には、複数のフィン21~25のギア21b~25bとかみ合うギアがある。ギアリング30は、フィン21~25の数に等しいギアの複数の(本実施形態では5つの)分離されたギア部31~35を含み、さらに、複数のフィン21~25の外辺を固定するための複数の(本実施形態では5つの)ストッパ31a~35aを含む。各ストッパ31a~35aは、ギア部31~35のうちの隣接したギア部の各セットの間に配置されている。ギア部31~35の各々は、ある角度範囲(例えば20度)を有する。したがって、この構成では、複数のフィン21~25の外辺をギアリング30の複数のストッパ31a~35aに固定することで、フィン21~25の回転を止めることが可能であり、この場合、ギアリング30は可動端を開く方向にいっぱいに回転する。
【0021】
ホルダ40は、フィン21~25を回転可能に支持する。ホルダ40は、1つの例として、リング形状に形成されており、内縁に沿って上方にまっすぐ延出する縁部40b(図1を参照)と、上面の縁部40bの外側に位置する複数の旋回軸41~45とを有する。旋回軸41~45は、柱状の形状を有し、外周に沿って等間隔に配置されている。旋回軸41~45はそれぞれ、フィン21~25の開口21a~25aに挿入され、フィン21~25の基端は縁部40bに支持されている。フィン21~25は、先端レンズ93の中心より(Z軸に沿って)低い位置に配置されており(図2Bを参照)、その結果、可変絞り装置100は薄くなるように構成されている。フィン21~25は、カメラモジュール200の設計に従って、先端レンズ93の中心より高い位置に配置されてよいことに留意されたい。
【0022】
フィン21~25はホルダ40に支持され、その結果、これらのフィンのうちの少なくとも1つは第1の高さに配置され、少なくとも1つの他のフィンは第1の高さとは異なる第2の高さに配置され、少なくとも1つの他のフィンは、第1の高さ及び第2の高さの両方と異なる第3の高さに配置されることになる。本実施形態において、フィン21~25は、フィン22の可動端をフィン21の下側に重ね合わせ、フィン23の可動端をフィン22の上側に(すなわち、フィン21と同じ高さに)重ね合わせ、フィン24の可動端をフィン23の下側に(すなわち、フィン22と同じ高さに)重ね合わせ、且つフィン25の基端及び可動端をフィン21と24との間の両フィンの上側に重ね合わせて配置されている。言い換えれば、フィン21及び23は中間位置に配置されており、フィン22及び24は低位置に配置されており、フィン25は高位置に配置されている。これにより、5つのフィン21~25は、各フィンが絞り動作時に互いに干渉しないように、先端レンズ93の周囲に配置され得る。
【0023】
モータ50は、ギアリング30を回転駆動させる。本実施形態では、平面可動子51及び平面固定子52で構成された平面対向型ボイスコイルモータが、モータ50として使用されてよい。
【0024】
可動子51は、薄いリング形状に形成された磁石リング51a(図3Aなどを参照)を含む。例えば、磁石リング51aは、例えば150μmの厚さを持つ、日本工業規格(JIS)SUS301などのステンレス鋼のベースを形成し、そのベースの下面にスパッタリングで、例えば10μmの厚さを持つ磁性層を堆積させることで形成される。磁性層では、2つの異なる磁極が外周に交互に配置されている。可動子51は、ギアリング30の下面に、これらの中心が上から見たときに一致するように固定されている。
【0025】
固定子52は、薄いリング形状に形成された基板と、その上面又は内側に設けられたコイル52aとを有するフレキシブルプリント回路(FPC)コイルを含む(図3Aなどを参照)。FPCコイルは、絶縁性硬質基板上に、銅などの導電性金属の配線で形成されている。固定子52は、フィン21~25を上面で支持するホルダ40を、これらの中心が上から見たときに一致するように固定し且つ支持している。
【0026】
さらに固定子52は、FPCコイル(コイル52a)の基板の下面又は内側に配置された複数のコア71~76を有する(図5Aなどを参照)。後述されるように、複数のコア71~76は、可動子51内の磁石リング51aを固定子52内のコイル52aに対して、保持力を供給せずに配置する。コア71~76は、高い透磁率を有するパーマロイ(登録商標)などの材料で形成されてよい。複数のコア71~76を用いることで、固定子52に対して可動子51の段階的回転を行うことが可能になる。
【0027】
上述したように構成される固定子52はベース60に固定されており、ギアリング30に固定された可動子51は固定子52に支持されている。固定子52に固定されたホルダ40が、可動子51の下面を固定子52の上面に向かって対向させることにより、可動子51の内側に配置される。これにより、固定子52に含まれるコイル52aを励磁することで、磁石リング51aを含む可動子51がレンズ鏡筒90の周囲にある固定子52の上面に沿って滑動するように回転するような、小型で薄いボイスコイルモータが構成される。
【0028】
磁石リング51aの磁極の配置、コイル52aに含まれるコイルの配置、及びモータ50の駆動原理がさらに、以下で説明される。
【0029】
本実施形態において、モータ50は、ベース60に固定された固定子52がコイルを含み、ギアリング30に固定された、可動子51に含まれる磁石リング51aが固定子52の上面に沿って回転する可動磁石型として構成されている。モータ50は、固定子52が磁石を含み、可動子51がコイルを含む可動コイル型として構成されてもよい。
【0030】
ベース60は、モータ50と、可変絞り装置100のその他のものとを支持しており、リング形状の上部プレート61と、上部プレート61の下面に固定された円筒状の脚部62とを含む。上部プレート61は、強化プラスチックなどの強固な非磁性材料で形成されてよい。脚部62は、上部プレート61と一体的に形成されてよい。レンズ鏡筒90の複数の段部91cに脚部62を据えることで、ベース60がレンズ鏡筒90に支持されるので、可変絞り装置100はレンズ鏡筒90に搭載される。
【0031】
フィン21~25、ギアリング30、ホルダ40、及びモータ50(具体的には、モータ50に含まれる磁石リング51a)は、微小電気機械システム(MEMS)技術で製造されてよい。これにより、小型で薄く軽量な可変絞り装置100を実現するのが可能になってよく、可変絞り装置100をレンズ鏡筒90に搭載することによってカメラモジュール200を構成できる。
【0032】
図3A及び図3Bは、モータ50の構成及び駆動原理を示している。これらの図には、モータ50の構成、すなわち、モータ50に含まれる可動子51内の磁石リング51aの磁性層と固定子52内のコイル52aとが、底面から見たものとして(+Z方向の図で)示されている。磁石リング51aの磁性層では、1つの例として、それぞれ6つのN極及びS極が外周に交互に配置されている。コイル52aは、磁石リング51aの磁極に等しいピッチ(本実施形態では30度の角度ピッチ)で外周上を蛇行するように配置されている。磁石リング51aの磁極の数、及びコイル52aのピッチは、実施形態に応じて異なってよい。
【0033】
図3Aに示すように電流が黒矢印の方向に流れてコイル52aを励磁することによって、白抜き矢印の方向の駆動力がコイル52a(固定子52)から磁石リング51a(可動子51)に加わる。磁石リング51aが30度回転すると、図3Bに示すように、電流が反対方向に流れてコイル52aを励磁することによって、すなわち、励磁を切り替えることによって、白抜き矢印の方向の駆動力がコイル52a(固定子52)から磁石リング51a(可動子51)にさらに加わる。磁石リング51aが30度回転するたびに励磁を切り替えることにより、磁石リング51aを一方向に回転させることが可能になる。コイル52aを反対に励磁することにより、磁石リング51aを逆方向に回転させることが可能になる。
【0034】
図4A及び図4Bは、変形例によるモータ50dの構成を示している。ここで、図4Aはモータ50dの構成、すなわち、モータ50dに含まれる可動子51内の磁石リング51aの磁性層と固定子52内のコイル52b、52cとを底面から見たものとして(+Z方向の図で)示しており、図4B図4Aの基準線L3を基準にしてモータ50dの断面構成を示している。上述した実施形態と同様に、磁石リング51aの磁性層では、それぞれ6つのN極及びS極が外周に沿って交互に配置されている。コイル52b、52cは、Z軸方向に重なり合った2層コイルを構成し、位相を互いに90度シフトして、磁石リング51aの磁極に等しいピッチ(本実施形態では30度の角度ピッチ)で外周上に配置されている。
【0035】
変形例によるモータ50dでは、位相を相対的に90度シフトしてコイル52b、52cを励磁することで、磁石リング51aを回転させることができる。具体的には、固定子52に含まれる2つの層のコイル52b、52cを用いて、磁石リング51aを大きなトルクで回転させることが可能になる。
【0036】
図5A図5Dは、固定子52に含まれる複数のコア71~76の配置と、モータ50の段階的回転の原理とを示している。モータ50では、可動子51の回転量の単位(回転単位と呼ばれる)はΔθであり、ステップ数はNである。可動子51の角度変位範囲は、[Δθ×N]で与えられる。角度変位範囲[Δθ×N]は、例えば、回転量が4度であり(回転単位及び角度変位範囲は図の中では誇張されている)、ステップ数Nが6である。コア71~76の数は、磁石リング51aの磁極の数に等しい又はそれより少なく、ステップ数Nに等しく設定されてよい。
【0037】
コア71~76は、磁石リング51aの磁極N1~N6、S1~S6のピッチに対して、[Δθ×0]~[Δθ×5]の異なるシフト量で配置されている。シフト量は、可動子51の回転単位Δθの整数倍である。図5Aに示すように、コア71が磁極N1とS6との境界に対向する状態では、コア72は磁極N2とS1との境界に対して[Δθ×1]の角度分シフトするように配置されており、コア73は磁極N3とS2との境界に対して[Δθ×2]の角度分シフトするように配置されており、コア74は磁極N4とS3との境界に対して[Δθ×3]の角度分シフトするように配置されており、コア75は磁極N5とS4との境界に対して[Δθ×4]の角度分シフトするように配置されており、コア76は磁極N6とS5との境界に対して[Δθ×5]の角度分シフトするように配置されている。
【0038】
図5Aに示す状態では、コア71が磁極N1とS6との境界に対向するので、コア71が磁極N1及びS6から受ける吸引力はバランスが取れて安定する。コイル52aの励磁を停止することで、磁石リング51aはこの位置に配置される。図5Bに示すように、コイル52aを励磁して[Δθ×1]の角度分の回転をするように磁石リング51aを駆動すると、コア72が磁極N2とS1との境界に対向するので、コア72が磁極N2及びS1から受ける吸引力はバランスが取れて安定する。コイル52aの励磁を停止することで、磁石リング51aはこの位置に配置される。図5Cに示すように、コイル52aを励磁して[Δθ×2]の角度分の回転をするように磁石リング51aをさらに駆動すると、コア73が磁極N3とS2との境界に対向するので、コア73が磁極N3及びS2から受ける吸引力はバランスが取れて安定する。これにより、磁石リング51aはこの位置に配置される。磁石リング51aをさらに駆動すると、コア74が磁極N4とS3との境界に対向し、コア75が磁極N5とS4との境界に対向し、したがって、図5Dに示すように、コア76が磁極N6とS5との境界に対向する。これにより、磁石リング51aは各位置に配置される。
【0039】
上述したように、磁石リング51a(可動子51)が固定子52に対して回転単位Δθ分の回転をするたびに、複数のコア71~76のうちの1つが磁石リング51aの磁極間の境界に対向するので、可動子51に対して回転単位Δθ分の段階的回転を行うことができる。これは、コイル52aを励磁せずに、すなわち保持力を供給せずに可動子51が固定子52に対して配置されるからである。
【0040】
図6A図6Cは、可変絞り装置100の絞り動作を示している。図6Aに示す状態(最大絞り状態)において、フィン21~25は可動端を外側に動かし、その外辺をギアリング30のストッパ31a~35aにそれぞれ固定して、絞りの開口を最大化する。最大時には、可変絞りはフィン21~25の内辺を連ねて、円形の開口(例えば、5.2mm径)を形成する。図6B(絞り動作状態)に示すように、モータ50を制御してギアリング30を矢印の方向に駆動すると、ギア21b~25bをそれぞれギアリング30のギア部31~35とかみ合わせたフィン21~25は、それらの可動端が同期して先端レンズ93の中心に向かって動くように回転する。このときに、モータ50によるギアリング30の回転は連続的であるため、可変絞りは徐々に閉じる。フィン21~25の各々の位置はバランスが取れており、その配置に対応するサイズの開口が形成される。その後、図6C(最小絞り状態)に示すように、フィン21~25の各可動端を各端部が互いに干渉する直前の位置まで動かすことで、可変絞りは実質的に五角形の最小開口(例えば、1.4mm幅)を形成する。F値は、例えば、1.8~5.0の範囲で調節可能である。
【0041】
モータ50を制御してギアリング30を逆方向に駆動することで、フィン21~25は回転し、各可動端が同期して先端レンズ93に対して外側に向かって動くことになり、可変絞りが開く。
【0042】
本実施形態による可変絞り装置100は、先端レンズ93の周囲に回転可能に配置された複数のフィン21~25を備える。複数のフィン21~25はそれぞれ、先端レンズ93の中心に向かって配置された可動端と、先端レンズ93の中心から離れて形成されたギア21b~25bとを有し、ギアリング30が複数のフィン21~25を取り囲んでいる。ギアリング30の内側には、複数のフィン21~25の各々のギア21b~25bとかみ合うギア部31~35があり、モータ50がギアリング30を回転駆動させる。先端レンズ93の周囲に複数のフィン21~25を、各可動端が先端レンズ93の中心に向けられた状態で回転可能に配置し、複数のフィン21~25を取り囲むようにギアリング30を配置して、内側のギア部31~35がそれぞれ複数のフィン21~25の各々のギア21b~25bとかみ合うようにし、ギアリング30をモータ50で回転駆動させることで、複数のフィン21~25の各可動端は同期して先端レンズ93の中心に向かって動く。これにより、装置100は広範な範囲内で任意のサイズの可変絞りを形成できる。さらに、フィン21~25の角度位置はバランスが取れているので、AF、OISなどによって共鳴が発生することはない。
【0043】
さらに、カメラモジュール200は、少なくとも1つのレンズを含むレンズ鏡筒90に可変絞り装置100を搭載することで組み立てられる。
【0044】
図7A図7Cは、変形例によるフィン21~25の配置及び絞り動作を示している。図7Aに示すように、複数のフィン21~25は、各可動端が隣接するフィン(フィン25、21~24)の基端の下になるように同じ高さに配置されてよいので、各基端は反対側に隣接するフィン(フィン22~25、21)の可動端の上になる。これにより、5つのフィン21~25が絞り装置の動作時に互いに干渉しないように、各フィンを先端レンズ93の周囲に配置することができる。
【0045】
図7Aに示す最大絞り状態では、フィン21~25が回転することにより、可動端が外側へと動き、外辺がギアリング30のストッパ31a~35aにそれぞれ固定されているので、絞りが最大化される。最大時には、可変絞りはフィン21~25の内辺を連ねて、円形の開口を形成する。図7B(絞り動作状態)に示すように、モータ50を制御してギアリング30を矢印の方向に駆動すると、フィン21~25が回転して、各可動端が同期して先端レンズ93の中心に向かって隣接するフィンの下へと動くことになる。このときに、可変絞りは連続的に閉じ、フィン21~25の各々の位置は、その位置に対応するサイズの開口を形成するようにバランスが取れている。図7C(最小絞り状態)に示すように、フィン21~25の各可動端を各端部が互いに干渉する直前の位置まで動かすことで、可変絞りは実質的に五角形の最小開口を形成する。
【0046】
モータ50を制御してギアリング30を逆方向に駆動することで、フィン21~25は回転し、各可動端が同期して先端レンズ93に対して外側に向かって動き、可変絞りが開く。
【0047】
本実施形態において、可変絞り装置100は奇数のフィン、具体的には5つのフィン21~25で構成されているが、5つのフィンに限定されず、可変絞り装置100偶数のフィンで構成されてもよい。
【0048】
図8は、6つのフィン21~26を用いたフィン配置を1つの例として示している。6つのフィン21~26は、上述したフィン21~25と同様に形成される。ギアリング30は、このギアの6つのギア部31~36を含み、さらに、フィン21~26の外辺を固定するための6つのストッパ31a~36aを含む。各ストッパ31a~36aは、ギア部31~36のうちの隣接するギア部の各セットの間に配置されている。ホルダ(不図示)は、上面に位置する6つの旋回軸41~46以外は、上述したホルダ40と同様に形成される。
【0049】
フィン21~26はホルダに支持されており、フィン21、23、25は第1の高さに配置されており、フィン22、24、26は第1の高さとは異なる第2の高さに、フィン21、23、25のうちの隣接するフィンの各セットの間に配置されている。本例において、フィン21、23、25は外周に配置され且つ同じ高さに配置され、フィン22、24、26はフィン21、23、25の下に同じ高さに配置される。フィン22はフィン21と23との間に配置され、フィン24はフィン23と25との間に配置され、フィン26はフィン25と21との間に配置される。これにより、6つのフィン21~26が絞りの動作時に互いに干渉しないように、各フィンを先端レンズ93の周囲に配置することができる。
【0050】
図9は、6つのフィン21~26を有するフィン配置を別の例として示している。6つのフィン21~26は、各可動端が隣接するフィン(フィン26、21~25)の基端の下になるように同じ高さに配置されてよいので、各基端は反対側に隣接するフィン(フィン22~26、21)の可動端の上になる。これにより、6つのフィン21~26が絞り装置の動作時に互いに干渉しないように、各フィンを先端レンズ93の周囲に配置することができる。
【0051】
図10及び図11は、変形例による可変絞り装置110の構成と、制御システムの構成とを示している。図10は、変形例による可変絞り装置110の各構成要素の構成を分解斜視図で示している。この図には、可変絞り装置110が搭載されているレンズ鏡筒90も示されている。可変絞り装置110は、カバー10、複数のフィン21~25、ギアリング30、ホルダ40、モータ150、ベース160、及び制御装置170を備える。カバー10、複数のフィン21~25、ギアリング30、及びホルダ40は、上述した可変絞り装置100と同様に構成される。
【0052】
平面可動子151及び平面固定子152で構成された平面対向型ボイスコイルモータが、モータ150として使用されてよい。可動子151は、上述したモータ50の可動子51と同様に構成される。固定子152は、固定子152の基板の外縁に形成された複数のノッチ152e以外は、上述したモータ50の固定子52と同様に構成される。ノッチ152eの数は、3つ又はそれより多くの任意の数、例えば、本実施形態に見られるように5つなどであってよい。
【0053】
ベース160は、上部プレート161、ヨーク163、脚部(不図示)、センサ164、及び軸受165を含む。
【0054】
上部プレート161は、強化プラスチックなどの非磁性材料でリング形状に形成されてよい。上部プレート161には、内縁及び外縁に取り囲まれたリング状の凹部161aが形成されており、外縁には複数の(本実施形態では5つの)球状支持体161fが形成されている。
【0055】
ヨーク163は、磁性材料でリング形状に形成され、上部プレート161の凹部161aに組み込まれて、上部プレート161の上面が形成される。ヨーク163には、矩形の開口163aが形成されている。
【0056】
脚部は上部プレート161の下面に固定されて、下から上部プレートを支持している。レンズ鏡筒90の複数の段部91cに脚部を据えることで、ベース160がレンズ鏡筒90に支持されるので、可変絞り装置110はレンズ鏡筒90に搭載される。
【0057】
センサ164は、モータ150の可動子151に含まれる磁石リング(不図示)の磁場を検出するものであり、1つの例として、ホールセンサを使用することができる。センサ164は、ヨーク163の開口163aを介して、上部プレート161の凹部161aに設置される。固定子152(ベース160に固定されている)に対する可動子151の回転位置が、センサ164の検出結果に基づいて検出される。
【0058】
軸受165は可動子151及びギアリング30を支持する玉軸受であって、可動子151に固定されており、ベース160の球状支持体161fに入っている。軸受165の数は、3つ又はそれより多くの任意の数、例えば、本実施形態に見られるように5つなどであってよい。
【0059】
モータ150の固定子152がベース160の上面に固定されるので、これらの中心は上から見たときに一致しており、球状支持体161fはノッチ152eに配置される。軸受165は球状支持体161fに配置され、可動子151に固定されたギアリング30は軸受165に支持されている。可動子151に含まれる磁石リングの吸引力がベース160(ヨーク163)に加わり、これにより、予圧が軸受165に加わるので、可動子151は固定子152を介してベース160に回転可能に支持される。
【0060】
軸受165がその中を動く溝が、ギアリング30の裏面に設けられてよい。
【0061】
制御装置170は、ギアリング30の回転をサーボ制御する。制御装置170は、可動子151の回転位置をセンサ164で検出し、検出結果に基づいてモータ150の駆動を制御して、可動子151に固定されているギアリング30を回転させる。これにより、フィン21~25で形成される可変絞りは、任意のサイズに開いたり閉じたりすることができる。
【0062】
本発明の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態に様々な変更及び改良を加えることが可能であることは、当業者にとって明らかである。そのような変更又は改良を加えた実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0063】
特許請求の範囲、実施形態、及び図の中に示した装置、システム、プログラム、及び方法で行われる各プロセスの動作、手順、ステップ、及び段階は、任意の順序で行われてよい。ただし、その順序が「より前に」又は「の前に」などで示されていないこと、また、前のプロセスの出力が後のプロセスで用いられないことが条件である。特許請求の範囲、実施形態、及び図の中に「最初に」又は「次に」などの文言を用いてプロセスフローが説明されていたとしても、必ずしもこの順序でプロセスを行わなければならないことを意味しているわけではない。
[項目1]
カメラレンズ用の可変絞り装置であって、
レンズの周囲に回転可能に配置された複数のフィンであって、上記複数のフィンの各々は上記レンズの中心に向かって配置された可動端と、上記各々のフィンの外側に上記レンズの上記中心から離れて形成されたギアとを有する、複数のフィンと、
上記複数のフィンを取り囲むギアリングであって、上記ギアリングの内側には上記複数のフィンの各ギアとかみ合うギアがある、ギアリングと、
上記ギアリングを回転駆動させるためのモータと
を備える可変絞り装置。
[項目2]
上記ギアリングの上記ギアは、分離された複数のギア部で構成されており、上記複数のギア部の数はフィンの数に等しく、上記ギアリングはさらに複数のストッパを含み、上記複数のギア部のうちの隣接するギア部の各セットの間に各ストッパが配置されている、項目1に記載の可変絞り装置。
[項目3]
上記フィンの数は奇数であり、上記複数のフィンのうちの少なくとも1つは第1の高さに配置されており、上記複数のフィンのうちの少なくとも1つは、上記第1の高さとは異なる第2の高さに配置されており、上記複数のフィンのうちの少なくとも1つは、上記第1の高さ及び上記第2の高さの両方と異なる第3の高さに配置されている、項目1又は2に記載の可変絞り装置。
[項目4]
上記複数のフィンは、第1の高さに配置された複数の第1フィンと、上記第1の高さとは異なる第2の高さに、上記複数の第1フィンのうちの隣接フィンの各セットの間に配置された複数の第2フィンとを含む、項目1又は2に記載の可変絞り装置。
[項目5]
上記複数のフィンは、それぞれの先端が隣接するフィンの下に配置されるようにして、同じ高さに配置される、項目1又は2に記載の可変絞り装置。
[項目6]
上記モータは、上記ギアリングに固定された可動子と、上記可動子に対向する固定子とを含む、項目1から5のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
[項目7]
上記可動子及び上記固定子のうちの一方は、磁極が外周に沿って交互に配置されたリング形状の磁石を含み、上記可動子及び上記固定子のうちの他方は、上記磁石の上記磁極と一致するピッチで上記外周に沿って蛇行するように配置されたコイルを含む、項目6に記載の可変絞り装置。
[項目8]
上記可動子及び上記固定子のうちの一方は、磁極が外周に沿って交互に配置されたリング形状の磁石を含み、
上記可動子及び上記固定子のうちの他方は、
上記磁石の上記磁極と一致するピッチで外周に沿って配置された複数の第1コイルと、
上記複数の第1コイル上に重ね合わせ且つ上記複数の第1コイルに対して位相が90度シフトするように外周に沿って配置された複数の第2コイルと
を含む、項目6に記載の可変絞り装置。
[項目9]
上記可変絞り装置はさらに、
上記磁石の磁場を検出するためのセンサと、
上記センサの検出結果に基づいて上記モータの駆動を制御するための制御装置と
を備える、項目7又は8に記載の可変絞り装置。
[項目10]
上記可動子及び上記固定子のうちの上記他方は、上記磁石の上記磁極のピッチに対して異なるシフト量で配置された複数のコアを含み、上記シフト量は上記可動子の回転単位の整数倍である、項目7から9のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
[項目11]
上記モータは、上記可動子と上記固定子との間に少なくとも3つの軸受を有し、上記可動子及び上記固定子のうちの一方は、上記磁石を含む上記可動子及び上記固定子のうちの他方と反対側にヨークを含む、項目7から10のいずれか一項に記載の可変絞り装置。
[項目12]
少なくとも1つのレンズを含むレンズ鏡筒と、
上記レンズ鏡筒に設けられた、項目1から11のいずれか一項に記載の可変絞り装置と
を備えるカメラモジュール。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11