(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ボイラー加熱システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20221206BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20221206BHJP
【FI】
F24H1/18 Z
F24H1/00 A
(21)【出願番号】P 2020552825
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 IL2019050416
(87)【国際公開番号】W WO2019215715
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】520369803
【氏名又は名称】ヤイッシュ, ハーツェル
【氏名又は名称原語表記】YAICH, Hertzel
【住所又は居所原語表記】Tirat Zvi 8 4424008 Kfar Saba, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】ヤイッシュ, ハーツェル
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-127159(JP,U)
【文献】特開2004-176934(JP,A)
【文献】登録実用新案第3035914(JP,U)
【文献】特開平06-241509(JP,A)
【文献】特開昭52-019351(JP,A)
【文献】特表2014-526669(JP,A)
【文献】実開昭50-101956(JP,U)
【文献】米国特許第04678116(US,A)
【文献】中国実用新案第201488009(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に加熱されるべき水を貯蔵するための中空壁シリンダと、
前記中空壁シリンダ内部でその垂直壁から離れて配設されたシリンダ形状の隔壁であって、前記隔壁の内側と前記隔壁の外側との間で水の移行を可能にするための上部水路及び下部水路を有する、隔壁と、
前記中空壁シリンダの内部空間内に配設された加熱素子と、
前記中空壁シリンダの下側に配設された吸水口と、
前記中空壁シリンダの上側に配設された排水口と、
前記隔壁内の空間を調節するための手段と、を備え、
それにより、(a)前記加熱素子と前記水とを直接接触させることなく前記水を加熱することを可能にし、その結果、湯垢の堆積を全く生じさせず、(b)上昇する水と下降する水とを分離し、(c)前記水の加熱速度を調節して、その結果、前記水の加温を加速する、ボイラー加熱システム。
【請求項2】
前記システムの加熱速度を調節するために、その中に前記加熱素子が配設される前記内部空間の蓋を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記隔壁内の空間を調節するための前記手段は、入れ子形態の前記隔壁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記加熱素子は電気的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記加熱素子は燃焼に基づくものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記隔壁の前記外側の空間は、孔を備える隔壁によって分割され、それにより加熱された水の冷却速度を抑える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記加熱素子は渦巻き線形態である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー加熱技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ボイラー加熱システムは、主に電気加熱及びガス加熱に基づいている。これらのシステムは、多くの欠点を有することを特徴とする。例えば、欠点のうちの1つは加熱速度であり、このため、水の加温速度を向上させるための多くの試みがなされてきた。
【0003】
加えて、電気加熱素子を用いた数回の加熱セッションの後で、加熱素子上に湯垢が堆積される。湯垢は加熱されるべき水から加熱素子を隔離するため、加温速度が低下するだけでなく、より多くのエネルギーが消費される。
【0004】
要約すると、現行の水加熱技術は、遅い加熱速度、エネルギーの浪費、減価償却、及びメンテナンスを特徴とする。
【0005】
本発明のその他の目的及び利点は、説明が進むと共に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、その中に加熱されるべき水を貯蔵するための中空壁シリンダ(12)と、中空壁シリンダ(12)内部でその垂直壁から離れて配設されたシリンダ形状の隔壁(13)であって、隔壁の内側(チャンバH)と隔壁の外側(チャンバA)との間で水の移行を可能にするための上部水路(18)及び下部水路(19)を有する、隔壁(13)と、中空壁シリンダの内部空間(チャンバC)内に配設された加熱素子(15)と、中空壁シリンダ(12)の下側に配設された吸水口(10)と、中空壁シリンダ(12)の上側に配設された排水口(11)と、を備え、それにより、(a)加熱素子と水とを直接接触させることなく水を加熱することを可能にし、その結果、湯垢の堆積を全く生じさせず、(b)上昇する水と下降する水とを分離して、それにより水の加温を加速する、ボイラー加熱システム(100)を対象とする。
【0007】
システムは、システムの加熱速度を調節するために、その中に加熱素子(15)が配設される内部空間(チャンバC)の蓋(17)を更に備え得る。
【0008】
システムは、入れ子形態の隔壁などの、隔壁内の空間を調節してそれにより水の加熱速度を調節するための手段(図示せず)を更に備え得る。
【0009】
加熱素子は、電気的のみならず、火炎などの燃焼に基づくものであってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、チャンバAの空間は、それぞれ孔(25)を有する隔壁(24)によって分割され、それにより加熱された水の冷却速度を抑える。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、加熱素子(15)は渦巻き線形態である。
【0012】
参照番号は、本発明の理解を容易にするため、本明細書で説明及び図示される実施形態中の要素を指摘するために用いられている。これらは単に例示的なものであり、限定するものではない。また、本発明の前述の実施形態が、そのシステム及び方法と共に説明及び図示されているが、これらは単に例示的なものであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の好ましい実施形態、機構、態様、及び利点を、以下の図面と併せて本明細書で説明する。
【
図1】本発明の一実施形態による、ボイラー加熱システム100を図示する。
【
図3】断面A-Aがその中で画定される、ボイラー加熱システムの正面図である。
【
図6】その水の循環が例示される、断面Aの正面図である。
【
図7】本発明の更なる一実施形態による、ボイラー加熱システムの断面図である。
【0014】
図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、説明的であることが意図され、限定的ではない、以下の好ましい実施形態の詳細な説明(「最良の形態」)から理解されよう。簡潔さのために、いくつかの周知される機構、方法、システム、手順、構成要素、回路などは詳細に説明しない。
【0016】
システムの構造
システム100の槽は、水を貯蔵する、中空壁を有する垂直シリンダの形態である。
したがって、従来技術のボイラーは容器形態の槽を有するが、本発明による水槽は、中空壁を有する垂直シリンダであり、その中に水が配設される。したがって、槽の中心は中空のシリンダである。
【0017】
中空のシリンダの中心内の空間内部に加熱素子が配置される。したがって、加熱素子は渦巻き線など電気的であってもよく、又は更には火であってもよい。
【0018】
シリンダの中空壁の空間は、垂直シリンダ形態の隔壁によって分割される。それでもなお、隔壁シリンダは、本明細書の下記で詳述するように、循環を可能にするために、その上側及びその下側からの水の通過を可能にする。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による、ボイラー加熱システム100を図示する。
【0020】
【0021】
図3は、断面A-Aがその中で画定される、ボイラー加熱システムの正面図である。
【0022】
【0023】
【0024】
水槽は、それぞれ外部シリンダ壁12、及び内部シリンダ壁14、並びに上部及び下部「蓋」22及び23によって閉じ込められる。
【0025】
水槽の内部には、垂直シリンダ13形態の隔壁が配設される。隔壁は、それを通した水の通過を防ぐ。隔壁13は「蓋」22及び23と会合せず、より具体的には、シリンダ13と「蓋」22及び23との間には、間隙を通した水の通過を可能にするための間隙18及び19が存在する。間隙は
図5でより良好に見られる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、隔壁13は「蓋」22及び23と会合し、間隙は、隔壁13の上側及び下側内の孔に置き換えられている。簡潔さのために、この実施形態は例示しない。
【0027】
こうして、この構造体は3つのチャンバを画定する;
-シリンダ14の内面であるチャンバC(チャンバCは、本明細書では燃焼チャンバと称される)、
-シリンダ13及び14によって閉じ込められたチャンバH、すなわち、隔壁13とシリンダ14との間の空間(このチャンバは、本明細書では加熱チャンバと称される)、及び
-シリンダ12とシリンダ14によって閉じ込められた空間であり、チャンバHの空間を除外するチャンバA(このチャンバは、本明細書では堆積チャンバと称される)。
【0028】
槽は、チャンバA及びHの空間である。
【0029】
参照番号10は、それを通して加熱されていない水がボイラーの水槽に入る入口を表し、参照番号11は、それを通して加熱された水が槽の外に出る槽からの出口を表す。
【0030】
システムの動作
図6は、例示されるシステムの水の循環が例示される、断面A-Aの正面図である。
【0031】
シリンダ14は加熱素子15によって加熱される。その結果、チャンバH内に配設された水は加熱され、したがって上方に移動する。
【0032】
隔壁13と「蓋」22及び23との間の開口部18及び19のために、チャンバHの加熱された水はチャンバAの水と接触する。その結果、チャンバHの水よりも温度が低いチャンバAの水は、下方に移動する。そのため、槽内の水は、この図面内で矢印によって示されるように循環する。
【0033】
加熱チャンバHの空間と堆積チャンバAの空間との間の関係が、槽内の水の加熱速度を決定する。
【0034】
本発明においては、槽の水が加熱素子15と直接接触しないため、湯垢は全く発生しない。その結果、このシステムは、水が加熱素子と直接接触しながら加熱されるシステムよりも長時間持続する。更に、従来技術のボイラーにおける主なメンテナンス活動は堆積した湯垢に起因するものであるため、本発明において必要とされるメンテナンス活動はより少なくなる。
【0035】
本発明は、同じ特徴を備える従来技術のボイラーよりも短い時間でボイラーの水を加熱するため、本発明によって消費されるエネルギーは、従来技術のボイラーと比較してより少ない。その理由は、上昇する水が下降する水と混合されることにより相互に干渉する従来技術のボイラーとは対照的な、ボイラーの内部における上昇する水と下降する水との分離である。
【0036】
図1を再度参照すると、蓋17は、燃焼チャンバCを閉じて、それによって加熱された空気を燃焼チャンバ内に維持し、そのためボイラーを加熱するのにより少ないエネルギーを用いるために使用される。蓋17は、蓋と「ネック部」16との間に生じる開口部が調節されて、それによりボイラーの水の加熱速度が調節されるように、部分的に解放されてもよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、隔壁13の寸法は調節可能である。隔壁13の寸法を調節することによって、チャンバAの容積とチャンバHとの関係が変更され、したがってシステムの加熱速度が変更される。
【0038】
隔壁の寸法の調節は、様々な方法で実施することができる。例えば、隔壁13は、入れ子式として設計されてもよく、したがってその長さは調節可能である。入れ子式シリンダの延長の制御は、小平面23又は24のうちの1つから突出するように入れ子式シリンダの一部分に接続されたロッドによって実施することができる。
【0039】
図7は、本発明の更なる一実施形態による、ボイラー加熱システムの断面図である。
【0040】
【0041】
示されるように、複数の隔壁24がチャンバA内に設置されている。各隔壁は、サブチャンバ間の水の水路として用いられる穴25を備える。隔壁は、チャンバAの空間を、サブチャンバA1、A2、....、Anへと分割する。
【0042】
サブチャンバは互いから分離しているため、この配置は、加熱された水の冷却速度を抑える若干の隔離を提供する。
【0043】
好ましくは、シリンダ12、13、及び14、並びに小平面22及び23は、金属から製造されるが、当然ながら、ボイラー産業において既知のその他の材料を用いてもよい。
【0044】
本明細書の図面及び/又は発明の詳細な説明において、以下の参照番号及び文字(参照符号リスト)が言及された;
-番号100は、本発明の一実施形態によるボイラー加熱システムを表す。
-文字Cは燃焼チャンバを表す。
-文字Hは加熱チャンバを表す。
-文字Aは堆積チャンバを表す。
-番号10は、加熱システム100への入口を表す。
-番号11は、加熱システム100からの出口を表す。
-番号12は、第1のシリンダを表す。
-番号13は、隔壁として動作可能な第2のシリンダを表す。
-番号14は、第3のシリンダを表す。
-番号15は加熱素子を表す。
-番号16は、蓋17に対応するネックを表す。
-番号17は蓋を表す。
-番号18は、第2のシリンダ13の上縁部とチャンバAの上部壁との間の空間を表す。
-番号19は、第2のシリンダ13の下縁部とチャンバAの下部壁との間の空間を表す。
-番号20は水の線を表す。
-番号21はボイラー内の水を表す。
-番号22は、シリンダ12と14との間に閉じ込められた垂直シリンダの上部「蓋」(小平面)を表す。
-番号23は、シリンダ12と14との間に閉じ込められた垂直シリンダの下部「蓋」(小平面)を表す。
-番号24は、チャンバAをサブチャンバへと分離する隔壁を表す。
-番号25は、隔壁24のそれぞれにおける水路を表す。
【0045】
本発明の実施形態の前述の説明及び例示は、例示を目的に提示したものである。これは、いかなる形であれ、網羅的であることを意図するものでもなく、本発明を上記の説明に限定することを意図するものでもない。
【0046】
上記で定義され、かつ特許請求の範囲で用いられる任意の用語は、この定義にしたがって解釈されるべきである。