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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018151955
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025729
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】511232514
【氏名又は名称】株式会社BOOOM
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】岡 洸太郎
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-022603(JP,A)
【文献】特開2006-141716(JP,A)
【文献】特開2017-018373(JP,A)
【文献】特開2015-116446(JP,A)
【文献】特開2014-226461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン制御基板を有する遊技機であって、
前記メイン制御基板は、少なくとも遊技ごとに実施される抽せん処理を実施するとともに、前記抽せん処理結果に基づいた、少なくとも3つの遊技状態間の状態遷移制御を行うものであり、
前記遊技状態には、特賞情報フラグとRT状態とで管理される遊技状態が含まれ、
前記遊技機が設定変更された際、
前記特賞情報フラグが第1ボーナス役内部中であり、前記RT状態が前記第1ボーナス役の成立を契機に移行するRT状態であった場合には、前記特賞情報フラグをクリアするとともに前記RT状態を維持するように遊技状態移行制御がなされ、
前記遊技状態移行制御がなされた後に当該遊技状態移行制御前と掛け枚数が異なる遊技方法によって得られる有利状態設定が予めなされている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技機が設定変更された際、
前記特賞情報フラグが第2ボーナス役内部中である場合には、前記特賞情報フラグを維持するように遊技状態移行制御がさらになされる
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技状態におけるRT状態には、第1ボーナス役の成立を契機に移行するRT状態、第1ボーナス役の入賞を契機に移行するRT状態、第1ボーナス役の終了を契機に移行するRT状態が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
内部成立しているボーナス種別によって前記抽せんにおける当せん確率を異なるように制御する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記RT状態によって第1ボーナス役の成立を契機に移行するRT状態のリプレイ確率及び指示機能に関わる抽せん確率を異なるように制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く遊技機の制御技術に関し、より詳細には、回胴装置を備えるスロットマシン等の遊技機における遊技制御あるいは遊技状態制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回胴式遊技機(スロットマシン)等の遊技機(以下、「遊技機」と総称する)においては、遊技中にレア役を引き当ててレア役図柄を成立させたことによる高確率遊技モードへの移行、大当たりを引き当てて大当たり図柄を成立させたことによるボーナスゲームへの移行、あるいは、所定ゲームを行うか所定の払い出しを受けるなどしてボーナスゲームを消化したことによる通常ゲームへの移行など、遊技中の所定の契機により遊技状態を変化させ遊技に対する興趣を向上させ、さらには、押し順ナビやAT、ARTといったナビゲーション制御によって遊技の興趣を一層向上させるように多くの創意工夫がなされてきた。
また、遊技機の設定変更に伴って遊技状態を変更させる(あるいは維持する)等の制御についても、様々な工夫がなされている。
【0003】
一例として、特別役が当選した際にリプレイタイムに移行するスロットマシンにおいて、設定変更後、変更前の遊技状態を維持する構成とした場合であっても特別役の当選を無効化することができるスロットマシンが提案されている(特許文献1)。
【0004】
すなわち、特許文献1には、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、前記可変表示装置の表示結果が導出される前に遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別入賞及び前記遊技用価値を用いることなくゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴う再遊技入賞を含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段により入賞の発生を許容する旨が決定される確率を定めた複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択することで遊技者に対する有利度を設定する有利度設定手段と、前記事前決定手段により前記特別入賞の発生を許容する旨が決定され、該特別入賞が発生しなかったときに、当該特別入賞の発生を許容する旨の決定を次ゲーム以降に持ち越す持越手段と、前記事前決定手段により前記特別入賞の発生を許容する旨が決定されたときに、該特別入賞の発生を許容する旨が決定される前よりも高い確率で前記事前決定手段が前記再遊技入賞の発生を許容する旨の決定を行う特別決定時再遊技高確率状態に移行させる特別決定時再遊技高確率状態移行手段と、を備え、前記特別決定時再遊技高確率状態において、前記有利度設定手段により新たに設定値が設定された場合に、該新たな設定値が設定される前に前記持越手段により持ち越されていた前記特別入賞の発生を許容する旨の決定を消去するが、前記特別決定時再遊技高確率状態を維持し、該特別決定時再遊技高確率遊技状態においては該新たな設定値に応じて定められた確率で前記再遊技入賞の発生を許容する旨の決定を行うことを特徴とするスロットマシンが開示されている。
【0005】
また、ボーナス遊技状態中でも設定変更可能で、かつボーナス遊技状態中に設定変更が行われた場合には、ボーナス遊技状態とは別の所定の遊技状態を設定変更後に設定し、非ボーナス遊技状態中に設定変更が行われた場合には、設定変更前の遊技状態を変えずに設定変更後も設定することが可能なスロットマシンが提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、複数種類の図柄を可変表示する複数のリールと、前記リールを用いた遊技に必要な規定数の遊技媒体をベットするためのベット操作を含む所定の遊技操作を受け付ける遊技操作受付手段と、前記複数のリールにおいて停止表示される図柄組合せの態様により規定される複数の遊技役の中から、成立することが許容される遊技役を選出するための役決定処理を行う役決定手段と、前記複数のリールの駆動を制御するリール制御手段と、所定の設定変更指令操作に基づき前記役決定確率の設定変更を行う設定変更手段と、基準の遊技状態となる第1の遊技状態、前記役決定処理により特別な遊技役が選出されかつ未成立であるという第1の設定条件が充足されている場合に設定される第2の遊技状態、および前記特別な遊技役が成立したことを契機として実行可能となる特別遊技が未終了であるという第2の設定条件が充足されている場合に設定される第3の遊技状態を含む複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段と、前記複数の遊技状態の中の何れの遊技状態に設定されているのかを示す第1の記憶情報、前記第1の設定条件が充足されている場合にはON状態とされ未充足の場合にはOFF状態とされる第2の記憶情報、および前記第2の設定条件が充足されている場合にはON状態とされ未充足の場合にはOFF状態とされる第3の記憶情報を記憶する遊技状態情報記憶手段と、を備えたスロットマシンであって、前記第1の記憶情報は、前記第1の遊技状態に設定されている場合と前記第3の遊技状態に設定されている場合とで共通の状態に設定され、前記遊技状態情報記憶手段は、前記設定変更が行われた場合、前記第1および第2の記憶情報は設定変更前の状態を保持し前記第3の記憶情報はクリアしてOFF状態とするように構成され、前記遊技状態制御手段は、前記設定変更が行われた場合、設定変更後に前記遊技状態情報記憶手段が記憶している前記第1乃至第3の記憶情報に基づき設定変更後の遊技状態を決定するように構成されている、ことを特徴とするスロットマシンが開示されている。
【0007】
一方で、近年、大別して「通常区間」「有利区間」という2つの遊技状態区間を管理制御する新しいタイプの遊技機が広まりつつある。
【0008】
その要旨を概説すると、通常区間は、指示機能(押し順ナビ等のナビゲーション機能)に関わる遊技を行わせることができない(つまり、許可しない)区間として位置付けられ、有利区間は、指示機能に関わる遊技を行わせることができる(つまり、許可する)区間として位置付けられる。
【0009】
通常区間では、ナビ抽せんは行えないが、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)などのボーナス抽せんは行うことができ、併せて、有利区間への移行抽せんが行われる。通常区間から有利区間への移行抽せんの当せん確率は、ゼロである場合を除き17500分の1以上に設定される。
【0010】
また、有利区間では押し順ナビが行われるほか、当区間の少なくとも一部をチャンゾーン(CZ)に設定したり、当区間においてART抽せんやボーナス(BB、RB)抽せんを実施したり、あるいは、13枚や14枚といった一定枚数を超える払い出しで終了するプチボーナスないしミニボーナスとして位置づけられる第二種特別役物の連続作動装置(ミドルボーナスMB、チャレンジボーナスCB)に対する抽せん等を実施することができる(逆に、これらを一部又は全部を実施しないという選択枝もある)。
【0011】
ここで、ART抽せんとは、特定役図柄を入賞させることをアシストする有利状態を発生させるための抽せんということができる。
また、MB(ミドルボーナス)とは、特定の出目入賞で発生ないし作動し、次のゲーム(遊技)では必ず(あるいは高確率で)何らかの小役が入賞する、通常のボーナスゲームと比較すると払い出しの少ないミニボーナスゲームである。典型的には、遊技媒体等の規定枚数の払い出しによって終了する(あるいは、ボーナス成立で終了する場合もある)。あるいは、特定役成立によって作動し規定枚数の払い出し又はボーナス役成立によって終了する有利状態ということもできる。
CB(チャレンジボーナス)もMBと同種のミニボーナスである。
【0012】
また、有利区間中におけるART抽せん、ART関連のモード移行抽せん、上乗せ抽せん(例えば、ARTに関わる抽せん)には、いわゆる全設定共通のくじによる抽せんが行われる他、設定差のあるくじによる抽せんも行うこともできる。さらに、当区間には継続可能なゲーム数の上限(一例として、1500G)や差枚数MY(一例として、2400枚)が設定されるほか、当区間の終了条件としては、かかるゲーム数や差枚数MYの上限(リミッター)の他、一部の制約を除く任意の条件を採用することができる。そして、有利区間が終了すると指示機能に関わるフラグ等は全てリセットされるものとされている。
【0013】
このような新しいタイプの遊技機においても、遊技の興趣を一層向上させるように多くの創意工夫が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2010-022603号公報
【文献】特開2014-168535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の遊技機では、設定変更を利用して多様な遊技状態を作り出すための遊技制御あるいは遊技状態制御に関する十分な工夫はいまだなされていない。
【0016】
したがって、設定変更を利用して多用な遊技状態を作り出すための遊技制御あるいは遊技状態制御に関する更なる工夫が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明の一実施形態にかかる遊技機は、メイン制御基板を有する遊技機であって、前記メイン制御基板は、少なくとも遊技ごとに実施される抽せん処理を実施するとともに、前記抽せん処理結果に基づいた、少なくとも3つの遊技状態間の状態遷移制御を行うものであり、前記遊技状態には、特賞情報フラグとRT状態とで管理される遊技状態が含まれ、前記遊技機が設定変更された際、前記特賞情報フラグが第1ボーナス役内部中であり、前記RT状態が前記第1ボーナス役の成立を契機に移行するRT状態であった場合には、前記特賞情報フラグをクリアするとともに前記RT状態を維持するように遊技状態移行制御がなされ、前記遊技状態移行制御がなされた後に当該遊技状態移行制御前と異なる遊技方法によって得られる有利状態設定が予めなされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる遊技機等によれば、設定変更を利用して多用な遊技状態を作り出すことができ、特に、設定変更を行わなければ発生しないような独自の遊技状態をも作り出すことにより、従来にない興趣ある遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における遊技機の外観を説明する説明図である。
図2】本発明の一実施形態における遊技機の外観を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態における遊技機の内部構造及び電源ボックスの様子を説明する説明図である。
図4】本発明の一実施形態における遊技機の機能ブロックを説明する説明図である。
図5】本発明の一実施形態における遊技機の遊技状態の制御例を説明する説明図である。
図6】本発明の一実施形態における遊技機の遊技状態遷移例を説明する説明図である。
図7】本発明の一実施形態における遊技機の回転リール図柄の配置例等を説明する説明図である。
図8】本発明の一実施形態における遊技機の設定あるいは設計例を説明する説明図である。
図9】本発明の一実施形態における遊技機の設定あるいは設計例を説明する説明図である。
図10】本発明の一実施形態における遊技機の遊技進行を例示的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかる遊技機等を実施するための形態について、図面を参照しながら詳述する。なお、「回胴」を「回転リール」とも呼ぶこととする。
【0021】
図1に、本発明の一実施形態における遊技機の外観を示す。図1(A)は、遊技機の正面図であり、図1(B)は、遊技機の右側面図である。
【0022】
図1(A)及び(B)に示すように、遊技機100は、その機構上大きく分けると、前面が開口した筐体101と、筐体101の開口面にヒンジ等によって開閉可能に取り付けられた前面扉102とを備えている。前面扉102の前面部分には、後述するように遊技者が遊技を行うためのボタン類や表示部等が配置されている。
【0023】
遊技機100の前面に位置する前面扉102の上部には、ディスプレイ部1021と、照明部と、スピーカ部とが配置されている。また、前面扉102の中段には、表示窓103が設けられている。遊技者は、この表示窓103から筐体101の内部に収納されている複数の回転リールの外周面を目視することができる。
【0024】
回転リールは、より詳細には、それぞれが回転可能に設けられている第1回転リール1041と第2回転リール1042と第3回転リール1043とからなり、各リールの外周面には、所定の複数の図柄が付されている。遊技者は、表示窓103から第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043の各外周面に付された縦3個の図柄を見ることができ、第1回転リールから第3回転リールまでの縦3個ずつ計9個の図柄を視認することができるようになっている。なお、表示窓103には、縦4個以上の図柄を見せるように構成することもできる。
【0025】
前面扉102の中段に位置し、前面に突出して設けられた卓の上面には、遊技媒体(メダル)投入口105と、MAXBETボタン106と、ステータス表示部(図1において不図示)とが配置されている。
また、突起して設けられた卓の前面には、スタートレバー107、1BETボタン108、精算ボタン109、第1回転リール停止ボタン110、第2回転リール停止ボタン111、第3回転リール停止ボタン112が配置されている。また、前面扉102の下部には、遊技媒体(メダル)の払出口を備えた遊技媒体(メダル)トレイ115が取り付けられている。
【0026】
前面扉102の上部中央に配置されたディスプレイ部1021は、典型的には、液晶ディスプレイ(LCD)であり、遊技者への画像等による演出を表示や情報提示等を行う。
また、ディスプレイ部1021の左右の任意の位置にスピーカ部と照明部とを備えることができる。ディスプレイ部1021、スピーカ部、及び照明部によって、遊技の演出効果を高めることができる。
【0027】
筐体101内部に設けられている回転リールは、典型的には、上述の通り3個(第1回転リール1041、第2回転リール1042、第3回転リール1043)で構成され、リール状の形状に形成され、ステッピング(パルス)モータから成る回転リール駆動部により、それぞれ回動自在に配置されている。回動中の回転リールは、第1回転リール停止ボタン110、第2回転リール停止ボタン111、第3回転リール停止ボタン112の押下により、それぞれ独立して停止させることができる。また、各回転リール停止ボタンの内部には、ランプが内蔵されており、回胴停止ボタンの操作が可能な状態になると、内蔵されているランプが点灯する。また、回転リール停止ボタンが押下されたときには、ランプは消灯し(あるいは別の色に変わり)、回転リール停止ボタンの操作を受け付ないように構成されている。
【0028】
なお、回転リールの数は、3個を超える構成(例えば、4個)としても良い。
【0029】
第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043の図柄を確認可能な表示窓には、遊技者が投入したメダルの枚数(ベット数)に応じて回転リールの図柄が有効となる並びである有効ラインが設定されている。なお、メダルの枚数(ベット数)はMAX(例えば、3枚)で固定され、このMAX値に対して有効ラインを固定的に設定するものとしても良い。
【0030】
後述する抽せん処理により決定した成立役、及び、それに対応する回転リールの図柄の組み合わせは、予め規定されており、有効ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃ったかを判断して、図柄の組み合わせが有効ライン上に揃ったときに入賞と判定される。
【0031】
前面扉102の中段に位置し、突出して設けられた卓の上面に設けられているメダル投入口105は、遊技開始前に所定枚数のメダルを投入するためのものであり、メダル投入口105にメダルを投入するか、BETボタン押下の後、スタートレバー107を操作すると、第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043が回動し、遊技が開始されて抽せんが行われる。
【0032】
1BETボタン108は、遊技機100内部に貯留しているメダル1枚を自動的に投入して、1枚のメダルを1回のゲームにベットするためのものである。1BETボタン108を押下することにより、メダル投入口105からメダルを1枚投入する必要がなくなる。また、2枚のメダルをベットする場合には、1BETボタン108を2回押下する。3枚のメダルを一度にベットする場合には、以下の、MAXBETボタン106を押下すると便利である。
【0033】
MAXBETボタン106は、遊技機100内部に貯留しているメダルを自動的に3枚投入して、3枚のメダルを1回のゲームに対してベットするためのものである。このMAXBETボタン106により、メダル投入口105から3枚のメダルを投入したり、1BETボタン108を3回押下したりする必要はなくなる。
【0034】
精算ボタン109は、内部貯留(クレジット)されたメダルをメダル払出口からメダルトレイ115に払い出して精算するためのものである。
【0035】
図2に、前面扉102の中段に位置し、前面に突出して設けられた卓の上面の外観を示す。図2(A)は、卓の上面を含む遊技機100の上面図であり、卓の上面にメダル投入口105とMAXBETボタン106とステータス表示部201とが配置されている様子が分かる。
図2(B)は、卓の上面に配置されたステータス表示部201の拡大図である。
【0036】
図2(B)において、ステータス表示部201は、メダルの枚数等を数字で表示する複数の7セグLED、及び、遊技機100の使用状態等を遊技者に知らせる各種LEDが設けられている。
【0037】
メダルの投入枚数LED2011は、現時点でベットされているメダル数が表示される。一例として、1枚のメダルがベットされているときには、「1BET」LEDが点灯し、2枚目のメダルがベットされたときには、「2BET」LEDが更に点灯し、3枚目のメダルがベットされたときには、「3BET」LEDが更に点灯する。
【0038】
投入可能LED2012は、現在メダルの投入が可能であることを示すLEDである。ウエイトLED2013は、現在メダルの投入ができないことを示すLEDである。スタートLED2014は、現在遊技が開始されていることを示すLEDである。再遊技LED2015は、再遊技であることを示すLEDである。
【0039】
払出枚数表示7セグLED1016は、入賞時の払出し枚数を表示する。一例として、実際にメダルが払い出されるたびに総払出し枚数から逆算して表示することができる。
【0040】
貯留メダル数表示7セグLED1017は、現在貯留中のメダルの枚数を表示するLEDである。
【0041】
図3に、本発明の一実施形態における遊技機の内部構造及び電源ボックスの様子を示す。本発明は、この構成に限定されるものではないが、図3(A)に示す通り、遊技機100の前面内部の電源ボックス301には、電源スイッチ3011の他に、当せん確率を変更する設定キー3012及びセレクトスイッチ3013が配置されている。
【0042】
図3(B)は、図3(A)の設定キー3012の拡大図である。設定キー3012は、シリンダー部3012aと鍵穴部3012bとからなる。当せん確率の設定値を変更する場合には、まず、鍵穴部3012bに鍵(操作キー)を挿入してOFFの位置からONの位置へ回転させて設定変更状態にし、セレクトスイッチ3013を押下して設定値をインクリメントする。最高設定値の次は、再び最低設定値に戻る。一例として、6段階の設定値が用意されている遊技機の場合は、「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「1」→「2」→・・・というように変更する。なお、セレクトスイッチによって順次変更される設定値は、一例として、払出枚数表示7セグLED1016に逐次表示させて確認できるように構成することができる。
また、このセレクトスイッチ3013は、設定変更不可状態(鍵穴が「OFF」の位置にある状態)においては、遊技機に生じたエラー状態を解除するためのエラー解除スイッチとして機能させることもできる。
【0043】
図4に、本発明の一実施形態における遊技機の機能ブロックを説明する。後述する遊技機100の一連の特徴的動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びこれらのハードウェアとソフトウェアとの協調動作によって実現されている。
【0044】
遊技機は、一実施形態における制御構成として、配線(ハーネス)を介して接続されたメイン制御基板41とサブ制御基板42とからなり、筐体101内部に収納されている。
メイン制御基板41は、一種のボードコンピュータであり、演算処理、遊技機100のデバイス制御等を行うCPU411と、プログラムの作業領域としてデータの一時的な記憶等を行う書き換え可能なRAM412と、遊技機100の制御プログラム及び遊技抽せん処理用の抽せんテーブル等を記憶したROM413と、データ通信バス等の制御を行う制御部414と、ボタンやスイッチ等からの入力や各種LED等への出力、及び回転リールユニット等の駆動を行う入出力部415とを備えている。
【0045】
メイン制御基板41の主な機能は、抽せん処理、回転リールの制御、遊技ステータス(遊技状態)表示等を行うことであり、遊技機に関する規則及び規格等に基づいた処理動作を行うように設計されている。
【0046】
サブ制御基板42は、一種のボードコンピュータであり、演算処理、ディスプレイ部481の制御等を行うCPU421と、プログラムの作業領域としてデータの一時的な記憶等を行う書き換え可能なRAM422と、ディスプレイ部481、照明部482、スピーカ部483の制御を行うプログラム及び各種データを記憶したROM423と、データ通信バス等の制御を行う制御部424と、照明等の駆動を行う入出力部425と、ディスプレイ部481の駆動を行うディスプレイ駆動部426と、スピーカ部483から音声や効果音等を発生させるための音源を格納した音源IC427とを備えている。
【0047】
サブ制御基板42の主な機能は、メイン制御基板で判定された抽せん結果に基づく演出等である。具体的には、サブ制御基板42のROM423には、ディスプレイ481、照明部482、及びスピーカ部483によって様々な演出を行うための画像データ等からなる演出データも格納されており、メイン制御基板41から出力される信号によって、ROM内部に格納されている演出データから演出内容を決定して、演出内容に基づいて、ディスプレイ部481、照明部482、及びスピーカ部483の駆動処理を行う。
【0048】
上述したような、ディスプレイ部481、照明部482、及びスピーカ部483によってなされる演出は、コンピュータプログラムとしてROM423等に記憶されており、CPU421によって、適宜、RAM422等へ呼び出され実行されることにより実現される。
【0049】
次に、メイン制御基板41の入出力系統について説明する。図4に示すように、まず、メイン制御基板41は、入出力部415を介して、BETボタン451(1BETボタン及びMAXBETボタンを含む)、精算ボタン452、スタートレバー453、第1回転リール停止ボタン454、第2回転リール停止ボタン455、第3回転リール停止ボタン456の押下を読み出し可能に構成されている。
【0050】
また、メイン制御基板41には、入出力部415を介して、ステータス表示部46のウエイトLED461、投入可能LED462、再遊技LED463、スタートLED464、投入枚数LED465、払出枚数7セグLED466、貯留メダル数7セグLED467が接続されており、各種LEDの点灯制御、各表示器に出力するべき数字の表示制御を行うように構成されている。
【0051】
また、セレクター部457は、図示しない投入センサとソレノイドとを含み、メダル投入口105内に設けられている投入センサからの信号を、入出力部415を介して読み出し、投入されたメダルの真贋等のチェックを行う。
また、セレクター部457のソレノイドは、例えば、規定枚数のメダルが投入されたとき、或いは、スタートレバー107が操作されたとき、メダルを投入しても、メダルが返却されるように作動してメダルが投入されないように機能する。
【0052】
電源ボックス47の設定キー471は、遊技中の抽せんにおける抽せんテーブルの各役の当せん確率に段階を設けて、設定毎の出玉率を変更する機能を有する。当せん確率の設定は、一例として6段階の設定が可能となっている。メイン制御基板41は、入出力部415を介して設定キー471によって設定された設定値を管理することが可能となっている。より具体的には、設定キーをONにすることでメイン制御基板が設定変更可能モードとなり、セレクトスイッチ472が押下されることによりメイン制御基板に押下された信号が送られ、メイン制御基板において管理されている設定値がインクリメント(又はデクリメント)される。電源ボックス47のセレクトスイッチ472は、設定キー471によって設定可能(設定ON)状態にした場合に設定値を順送り(又は逆送り)に変更するためのスイッチであり、設定不可(OFF)状態では、遊技機にエラー等が発生した場合にメイン制御基板41のCPU411等の初期化を行うことができる。電源スイッチ473は、遊技機に電力を供給するためものである。
【0053】
回転リールユニット43は、第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043をそれぞれ回転させるためのステッピングモータを備えた第1回転リール駆動部431、第2回転リール駆動部432、第3回転リール駆動部433を有し、各回転リールを独立して回転及び/又は停止するよう制御可能である。また、各回転リールの回転中の位置を検出するための第1回転リール位置センサ434、第2回転リール位置センサ435及び第3回転リール位置センサ436、並びに、それぞれのセンサに対応するインデックス(図4において不図示)が設けられている。
【0054】
例えば、回転中の第1回転リールの所定の位置を第1回転リール位置センサ434で検出し、第1回転リール位置センサ434により検出した第1回転リールの所定の位置(インデックスの位置)からステッピングモータを駆動したパルス数をカウントすることにより、第1回リールの位置情報を取得ことができる。同様に、第2回転リール及び第3回転リールについても、第2回転リール位置センサ435及び第3回転リール位置センサ436によりそれぞれの回転リールの位置情報を得ることができる。
このようにして、後述する抽せん処理の結果に基づく図柄の表示を制御することができる。
【0055】
ホッパーユニット44は、入賞時にメダルを払い出すためのものであり、図示しないがホッパー駆動部と払出しセンサによって所定の枚数のメダルが払い出される。
【0056】
この他、外部中継端子(図4において不図示)が設けられ、メイン制御基板41と外部に設けられている遊技データを表示するためのデータランプ(図4において不図示)とを接続し、メイン制御基板41からの信号をデータランプへ送信するための端子としての機能を果たす。
【0057】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、ROM413、423等のメモリにインストールないし格納され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じてRAM412、422等のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU411、421において演算実行される。
【0058】
なお、演算実行は必ずCPU等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を採用することもできる。
【0059】
[抽せん処理]
遊技機100における抽せん処理は、一例として、スタートレバーの操作時にメイン制御基板41のROM413に格納されているプログラム及びテーブルに基づいて実行される。ROM413には、抽せん処理プログラムの他、当せん確率テーブル、シンボルテーブルおよび入賞シンボル組合せテーブル等が格納されている。当せん確率テーブルは、乱数発生部(不図示)で発生させる乱数を区分して、各種当せん及び「当せんなし(外れ)」に対応付けられて記憶している。発生させた乱数データと当せん確率テーブル等とを参照することにより遊技に対する各種当せんあるいは外れが決定される。
【0060】
このとき、抽せん処理の結果が外れの場合は、所定の図柄が揃わないように制御されたり、逆に、抽せん処理の結果が当せんの場合は、停止ボタンが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように制御されたりする場合もある。これらの制御を、「スベリ制御」あるいは「引き込み制御」と呼ぶ。一例として、「停止ボタンを押下した後0.19秒以内にリールを停止させること」といった規則がある場合には、リールの回転速度から逆算してスベリが可能となるコマ数(図柄の数)が決定される。そして、各種当せん後、所定の図柄が揃えば入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0061】
[本発明の基本概念(遊技状態の制御)]
本発明の一実施形態における遊技機は、上述のとおりの基本動作を行うが、図5を参照して、本発明の基本動作としての遊技状態の制御例を説明する。
【0062】
図5に示されるように、本発明の一実施形態における遊技機の遊技状態(遊技ステータス)は、大別して通常区間502と有利区間501とを有し、遊技の進行によってこれらの遊技状態の制御が行われる。
以下では、通常区間502と有利区間501との遷移条件等について詳述する。
【0063】
通常区間502は、指示機能(一例として、押し順ナビ等のナビゲーション機能)に関わる遊技を行わせることができない(つまり、許可しない)区間である。図1図4を参照して説明した本発明の一実施形態における遊技機の基本動作に沿って遊技が進められる。後述する遷移条件(1)が満たされると、遊技状態は有利区間へ遷移する。
通常区間502では、遊技(スタートレバー操作によるメイン基板での抽せん)によって小役やレア役やチャンス役を引き当てたりボーナスを引き当てたりすることができる。
【0064】
ここで、ボーナスには、レギュラーボーナス(RB)やビッグボーナス(BB)などが含まれ、遊技機個体ごとに設定可能な設定値に応じた当せん確率を採用することができる。
【0065】
有利区間501は、指示機能に関わる遊技を行わせることができる(つまり、許可する)区間である。そして、後述する遷移条件(2)が満たされるとこの有利区間501から通常区間502へ戻る。
有利区間501では、「AT(アシストタイム)」や「ART(アシストリプレイタイム)」等の指示機能に関わる遊技であって遊技者にとって有利な遊技の他、通常区間502と同様に「BB(ビックボーナス)」、「RB(レギュラーボーナス)」といった遊技者にとって有利な遊技を行わせることができる。
なお、本発明の一実施形態においては、有利区間501における遊技者にとって有利な遊技という意味で、「AT(アシストタイム)」や「ART(アシストリプレイタイム)」等の指示機能に関わる遊技であって遊技者にとって有利な遊技をボーナス遊技と位置付けることもできる。
かかるボーナス遊技では、遊技媒体の所定の払い出し枚数を払い出すなどの所定の条件をクリアするなどして終了する。
【0066】
次に、図5における各遊技区間(遊技状態)相互間の遷移条件について、詳述する。
【0067】
(遷移条件(1))
通常区間502から有利区間501へは、一例として、遊技ごとに実施される有利区間501への移行抽せんに当せんすると移行させるように制御することができる。
【0068】
有利区間501への移行抽せんに当せんするケースには、特定のボーナスに当せんしたり、レア役を引き当てたりすることが挙げられる。レア役とは、「チェリー」役や「スイカ」役が所定の図柄組合せや位置等で停止することにより成立する成立役である。その図柄組合せ等によって、「弱スイカ」「強スイカ」等といったレア役がある。一例として、スタートレバー操作時にレア役に当せんさせ(必要に応じて、所定の図柄で停止させ)ることによって当せん役に応じた有利区間移行抽せんを行い当せんした場合、通常区間502から有利区間501へと移行させることができる。
【0069】
(遷移条件(2))
有利区間501から通常区間502へは、一例として、予め定められた所定ゲーム数CZ_MAX_G(一例として、1500G)の消化によって移行するように制御することができる。あるいは、差枚数MY(差枚数が最も減少した時点を基点した場合のこの基点からの差枚数をいう)が一例として2400枚を超えた時点で通常区間502へ移行するよう制御することもできる。その他、有利区間501中に実施される指示機能に関わる遊技が出玉に影響する場合には、上記以外の任意の条件で通常区間502へ移行するように制御することもできる。
【0070】
[本発明の特徴的制御]
次に、本発明の一実施形態にかかる遊技機における例示的な遊技状態遷移を取り上げ、図6を参照しながら具体的に説明する。図6は、本発明の一実施形態にかかる遊技機の遊技状態(RT0~RT2)の状態遷移を例示している。本発明の一実施形態において、RT0~RT2は、遊技機の遊技状態をあらわし、RT状態とも呼ばれる。一実施形態において、RT1への変動契機を「a契機」、RT2への変動契機を「b契機」、RT3への変動契機を「c契機」という。
【0071】
なお、本発明の一実施形態において、上記変動契機の具体的な遊技上の契機としては、下表のものが割り当てられる。
【表1】
ここで、MBはミドルボーナス、RBはレギュラーボーナスを指す。なお、各種ボーナスを第1ボーナス(役)、第2ボーナス(役)、第3ボーナス(役)等として、区別することもできる。
また、本発明の一実施形態においては、MB成立によってはRT移行をさせないように制御することができる。具体的には、MBを契機とするRT変更(成立、入賞、終了等の全て)を行わせないように制御することができる。
【0072】
図6において、遊技機がRT0状態601にあるときには、3枚掛けでの遊技が実施される。つまり、本発明の一実施形態にかかる遊技においては、3枚掛けでのみ成立・有効なBB(ビッグボーナス)が設定されており、かかるBBを狙って遊技が継続される。
そして、状態601においてBBが成立する(a契機)と、遊技機はRT1状態602へ移行する。一実施形態において、状態602はBB内部中である。遊技は3枚掛けによる遊技が継続され、BBが作動する(b契機)と、遊技機はRT3状態603へ移行する。一実施形態において、状態603はBB中である。
そして、状態603においてBBが終了する(c契機)と、遊技機は、再びRT0状態601へ移行する。
【0073】
本発明の一実施形態においては、上記の設定を踏まえ、「2枚掛け」で成立するMBのa~c契機ではRT変動を行わないように制御される。この場合のBB及びMBごとの設定あるいは制御例は、図8(A)に示されるとおりである。
【0074】
[想定される実機例]
本発明はこれに限定されるものではないが、本発明の一実施形態にかかる遊技機においては、次のような遊技仕様が採用される。少なくとも、これらの仕様を満たす遊技機は本発明の一実施形態における所定の効果を奏する。
【0075】
(1)複数の規定数で成立・有効となるBBを実装したAT機であること。この場合、前記規定数以外の枚数ではBBは成立もせず、有効ともならないように制御されることができる。
(2)上記規定数を3枚とした場合(本発明は3枚に限定されるものではなく、あくまでも例示の数である)、この規定数(3枚)でBB成立するとRT1へ移行し、BB作動(BB1作動)にてRT2へ移行し、BB終了(BB1終了)にてRT0へ移行するように制御される(遊技状態遷移例は、図6を参照して説明したとおりである)。
(3)ここで、遊技機の設定変更がなされた場合(原則として、上記遊技状態のいずれにおいても設定変更可能である)、設定変更時の特賞情報としては、規定数3枚で成立するよう設定されたBB情報は消去(あるいは、リセット)し、規定数2枚で成立するよう設定されたMB情報は維持するように制御される。
(4)さらに、設定変更時のRT情報としては、RT0及びRT1の場合は維持され、RT2の場合は消去(あるいは、リセット)するように制御される。
(5)上記RT状態ごとにその状態におけるリプレイフラグ(リプレイ確率)は異なるように設定され、間接的に指示機能に係る抽せん確率が変化するように制御される。その設定例は、図8(B)に示されるとおりである。
【0076】
次に、図7図10を参照しながら、上述した本発明の特徴的な機能を有する遊技機において好適といえる具体的な遊技スペック例及び遊技進行例を説明する。もちろん、後述する個別具体的なスペック等が本発明を制限してしまうというものではなく、あくまでも本発明の理解の容易のための具体例を示すものである。
【0077】
図7(A)に、本発明の一実施形態における遊技機の回転リール図柄の配置例を示す。本発明は、この図柄配置に限定されるものではないが、少なくとも図7のような図柄配置になっていることにより、上述した本発明の特徴を充分に活かした遊技状態制御が可能となる。
【0078】
図7(A)において、左端(第1列目)の数字は、インデックス番号を表わし、左から2番目の列は、第1回転リール上に付される図柄の名称を表わし、左から3番目の列は、第2回転リール上に付される図柄の名称を表わし、左から4番目の列は、第3回転リール上に付される図柄の名称を表わす。図中は、図柄の名称(「スイカ」「ベル」「BAR」など)を付しているが、実際には、各名称に対応するデザインされた図柄が付される。
【0079】
そして、特徴的な停止図柄に役や兆候図柄といった特定の意味を持たせ(例えば、大当たり役図柄のほか、後述するチャンス目やリーチ目などの兆候図柄)、遊技の進行をより興趣あるものにすることができる。
【0080】
図7(B)に、本発明の一実施形態にかかる遊技機における有効ラインを示す。同図(B)において、有効ラインは、第1回転リール701a、第2回転リール701b、第3回転リール701cのそれぞれ中段に設定されている(ちょうど横一直線になる)。
【0081】
また、図7には図示されていないが、必要に応じていわゆる「チャンス目」と呼ばれる出目を設定することもできる。チャンス目とは、ボーナス当せん図柄やレア役図柄ではないが、全くのハズレ目という訳でもない、ボーナス等の当せんや通常区間から有利区間への移行に対する期待度が高い出目をいう。
【0082】
さらに、図7には図示されていないが、必要に応じていわゆる「リーチ目」と呼ばれる出目を設定することもできる。リーチ目とは、通常遊技モードでの遊技中にボーナスゲームが当せんした(が、未だ当せん図柄は揃っていない)ときに表れる停止図柄(出目)のことをいい、ボーナスゲームの告知方法の一種である。
【0083】
(本発明の一実施形態における遊技機の設定例)
以上、本発明の一実施形態における遊技機について詳細かつ多面的に説明してきたが、ここでは、図8~9を参照し、本発明の一実施形態における遊技機のスペック例(設定テーブル例、あるいは、設定変更テーブル例)を説明する。
【0084】
図8(A)は、すでに説明したとおり、「3枚掛け」で成立・有効となるBBのa~c契機において制御されるRT変動の様子と、これと並行して「2枚掛け」で成立するMBのa~c契機ではRT変動を行わない制御される様子とを説明する、BB及びMBごとの設定例あるいは制御例である。
図8(B)は、上記RT状態ごとにその状態におけるリプレイフラグ(リプレイ確率)は異なるように設定され、間接的に指示機能に係る抽せん確率が変化するように制御される様子を説明する、設定例あるいは制御例である。
【0085】
図9(A)~図9(D)に、遊技機の設定変更が行われた際の遊技状態(フラグ情報)の処理例、ならびに、RT状態変化例等を示す。
【0086】
図9(A)は、遊技機の設定変更が行われた時の遊技状態フラグ処理例を示すものである。本発明の一実施形態において、遊技機の設定変更は、遊技間・遊技中(ボーナス中であっても良い)の任意のタイミングで実施することができる。そうして、同図(A)に示されるように、設定変更時にBBフラグはクリア(消去あるいはリセット)され、MBフラグは維持されるように制御され、RT0状態及びRT1状態はいずれも維持されるように制御され、RT2状態はクリア(消去あるいはリセット)されるように制御される。
【0087】
ここで、特徴的な制御は、次の2点である。
(1)RTがクリア(リセット)されると、RT0へセットされるよう制御される。
(2)BBフラグはクリアされるとともに、RT1状態は維持されるよう制御される。
なお、本発明は必ずしもこれに限定されるものではないが、RT2状態においてはリプレイ確率をゼロにすると好適である。
【0088】
図9(B)及び図9(C)は、特賞情報及び遊技状態(RT状態)別に設定変更時の挙動の変化の例を説明するものである。図9(B)は設定変更直前の状態例であり、図9(C)は設定変更直後の状態例である。
【0089】
図9(B)では、特賞情報フラグが「なし」の場合であってRT状態が「RT0」である場合(最上段)と、特賞情報フラグが「BB内部中」の場合であってRT状態が「RT1」である場合(上から2段目)と、特賞情報フラグが「BB中」の場合であってRT状態が「RT2」である場合(上から3段目)と、特賞情報フラグが「MB内部中」の場合であってRT状態が「RT0」である場合(上から4段目)と、特賞情報フラグが「MB中」の場合であってRT状態が「RT0」である場合(最下段)とが想定されている。
【0090】
そして、図9(B)に想定されるそれぞれの場合に、遊技機の設定変更がなされると、図9(C)に示されるように特賞情報及び遊技状態(RT状態)がそれぞれ変動する。
つまり、図9(B)の最上段の場合に対しては、図9(C)の最上段に示されるように、特賞情報(なし)及びRT状態(RT0)は維持されるように制御される。また、図9(B)の2段目の場合に対しては、図9(C)の2段目に示されるように、特賞情報(BB内部中)はクリアされ、RT状態(RT1)は維持されるように制御される。また、図9(B)の3段目の場合に対しては、図9(C)の3段目に示されるように、特賞情報(BB中)はクリアされ、RT状態(RT2)はクリア(RT0へ移行)されるように制御される。また、図9(B)の4段目の場合に対しては、図9(C)の4段目に示されるように、特賞情報(MB内部中)及びRT状態(RT0)は維持されるように制御される。最後に、図9(B)の最下段の場合に対しては、図9(C)の最下段に示されるように、特賞情報(MB中)はクリアされ、RT状態(RT0)は維持されるように制御される。
これらは、図9(A)に示された処理手順に沿ったものである(特に、BBフラグはクリアされ、RT1状態は維持されている点に留意)。
【0091】
ここで、さらに特徴的なことは、図9(C)の2段目に示されるように、特賞情報が「なし」でRT状態が「RT1」となるような通常遊技では発生しえない遊技状態ができることである。
【0092】
図9(D)は、図9(C)の2段目に示された特賞情報及び遊技状態から特定の遊技を継続させることによって移行しうる遊技状態を例示している。本発明ではこれに限定されるものではないが、ここでの特定の遊技とは、「2枚掛け」での遊技である。
換言すると、図9(D)の遊技進行は、RT1一般中で2枚掛け遊技した場合に生じうる状態を説明するものである。
【0093】
図9(D)の最上段に示されるように、特賞情報が「なし」であってRT状態が「RT1」である状態から「2枚掛け」での遊技を継続すると、いずれはMBが成立し、「MB内部中」となる(同図(D)中の2段目)。つまり、ここでは、MB内部中であって、かつ、RT1状態ができることとなる。さらに遊技を継続すると、MBが作動し、「MB中」となる(同図(D)中の最下段)。つまり、ここでは、MB中であって、かつ、RT1状態ができることになる。
【0094】
なお、図9(B)~図9(C)への変動制御のうち、3段目のバリエーションとして、特賞情報が「BB作動中」の場合に設定変更が行われると、特賞情報はクリアし、RT状態をリセットするのではなく維持するように制御することとしても良い。この場合にも、本発明の一実施形態にかかる遊技の挙動上、興趣ある遊技を提供することができる。
【0095】
(本発明の一実施形態における遊技機の遊技進行例)
次に、図10を参照し、本発明の一実施形態における遊技機の遊技進行例を説明する。
【0096】
本発明の一実施形態を示す図10において、遊技が開始されると(ステップS1001)、遊技機の遊技状態は、RT0(一般中)にある(ステップS1002)。そして、本発明の一実施形態における遊技方法として「3枚掛け」の遊技が実施され、これらの遊技のたびに抽せんが実施され、BB成立を待つ(ステップS1003においてNoからステップS1002へ復帰するループ)。
【0097】
ステップS1003においてBB成立と判定される(Yes)と、ステップS1004へ進み、遊技機の遊技状態は、RT1(BB内部中)に移行制御される(ステップS1004)。
【0098】
本フローでは、例示的に、この遊技状態で設定変更がなされることを想定する。そして、ステップS1005において設定変更がなされたかどうかが判断される。同ステップでNoの場合はステップS1004へ復帰するが、Yesの場合はステップS1006へ進む。
【0099】
ステップS1006では、図9(A)における制御、あるいは、図9(B)~図9(C)への変動処理にならって、遊技状態はRT1(一般中)に移行制御される。
ここで、遊技方法は「3枚掛け」から「2枚掛け」に変更される(この遊技変更は遊技者にとって有利な遊技方法となるが、遊技機から遊技者へのこの変更の示唆は行うこととしても、行わないこととしても良い)。
そして、ステップS1007へ進み、今度はMBが成立したかどうかが判断される。
【0100】
ステップS1007でNoの場合はステップS1006へ復帰するが、Yesの場合はステップS1008へ進む。
【0101】
ステップS1008では、図9(D)に例示したように、遊技機の遊技状態は、RT1(MB内部中)に移行制御される。本フローではステップS1009へ進むが、この遊技状態は維持され遊技が継続されるものとする。
【0102】
以上説明した実施例において、設定変更により、遊技状態をRT1かつ一般中のような状態を作り出し、その後の特定の遊技進行によって遊技状態がRT1かつMB内部中、あるいはMB中となった場合の出玉率を通常よりも大きくなるように設定することで、通常遊技では体験できない興趣ある遊技状態を作り出すことができ、遊技者に興趣ある遊技を提供することができる。
【0103】
[さらなる変形例]
本発明は、冒頭でも説明したとおり、従来の遊技機のみならず近年主流となりつつある、「通常区間」「有利区間」という2つの遊技状態区間を管理制御する新しいタイプの遊技機にも適用できるが、かかる新しいタイプの遊技機において、有利区間中の遊技状態に応じて抽せん確率を変化させるように構成することにより、好適な動作状態が得られる例を以下に示す。
【0104】
(1)内部成立しているボーナス種別によって抽せんテーブルを変化させるように構成
【表2】
上表の設定は例示であって制限的なものではないが、上表のようにMB内部中のAT当せん確率をBB内部中の同当せん確率よりも高くなるように設定(非内部中にあっては、例示的に確率がゼロにならない程度に僅かな当せん確率を確保するように設定)すると、MB内部中のほうがAT抽せんが優先(優遇)されるため、「2枚掛け」から「3枚掛け」への遊技とした場合に最大出玉率となる。
【0105】
(2)RTによってチャンスリプレイ確率が異なるように設定あるいは制御
【表3】
【表4】
上表の設定は例示であって制限的なものではないが、上表のようにチャンスリプレイ確率、及び、上乗せ確率を、RT0状態の場合よりもRT1状態の場合のほうを高く設定あるいは制御することで、RT1かつ一般中の状態における遊技が、より興趣あるものになる。
なお、ここで「チャンスリプレイ確率」は、BB成立を契機に移行するRT状態のリプレイ確率の例示である。また、「上乗せ確率」については、本発明はこれに限定されるものではなく、AT抽せんやART上乗せ抽せん等、何らかの指示機能に関わる抽せん確率の制御に広く適用できる。
【0106】
これまでの説明において、設定変更を行わないと発生しえない遊技状態に対して通常よりも出玉率を高く設定したり、その遊技状態において最大出玉率を確保するように遊技状態設定及び制御を行ったりすることにより、高いゲーム性を有する興趣ある遊技を提供することができるようになる。
【0107】
(上記変形例において想定される遊技進行)
変形例における仕様にもとづき遊技された本発明の一実施形態における遊技では、下表にまとめたような打ち方別の出玉率が期待できるものとなる。
【表5】
以上述べたとおり、変形例(1)及び(2)においては、二つの状態を駆使して最大出玉率を作り出しているが、遊技状態を直接参照して抽せん確率を変化させることも可能である。例えば、成立している特賞情報とRT情報を参照し、特賞情報とRT情報に応じて抽せんテーブルを切り替えるように制御してもよい。
【0108】
以上、具体例に基づき、本発明にかかる遊技機等の実施形態を説明したが、本発明の抽せん処理及び機器制御の実施形態としては、方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0109】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0110】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0111】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0112】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0113】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0114】
100 遊技機(スロットマシン)
101 筐体
102 前面扉
103 表示窓
105 メダル投入口
107 スタートレバー
108 1BETボタン
109 精算ボタン
115 メダルトレイ(受皿)
41 メイン制御基板
42 サブ制御基板
43 回転リールユニット
431 第1回転リール駆動部
432 第2回転リール駆動部
433 第3回転リール駆動部
434 第1回転リール位置センサ
435 第2回転リール位置センサ
436 第3回転リール位置センサ
44 ホッパーユニット
454 第1回転リール停止ボタン
455 第2回転リール停止ボタン
456 第3回転リール停止ボタン
47 電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10