(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】外設部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/10 20060101AFI20221206BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E04D13/10 B
E04D13/00 K
(21)【出願番号】P 2018198676
(22)【出願日】2018-10-22
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
(72)【発明者】
【氏名】桑原 健
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-177391(JP,A)
【文献】特開2006-089978(JP,A)
【文献】米国特許第06070368(US,A)
【文献】特開2015-227576(JP,A)
【文献】特開2012-112127(JP,A)
【文献】特開平09-184264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/10
E04D 13/00
E04D 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横葺き屋根板の面板部に沿わせる固定面部の側端を立ち上げた支持金具と、該支持金具の前記固定面部の水上側を上方及び側方から被覆状に覆うカバー材とを用いる外設部材の取付構造であって、
前記支持金具は、立ち上げ部分の上端に設けた外設部材の取付部と、水下側へ凹む凹部とを備え、前記カバー材は、前記凹部に差込可能な水下側差込部と、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分に差込可能な水上側差込部とを備えることを特徴とする外設部材の取付構造。
【請求項2】
前記支持金具の前記固定面部の水上側は、
前記横葺き屋根板の面板部に防水材を介して固定されていることを特徴とする請求項1の外設部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に容易に且つ確実に取り付けることができ、積雪によるズレ動きや雨水等による浸水を防ぐことができる外設部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の屋根に雪止め具や避雷針等の外設部材を取り付ける構造としては、例えば特許文献1に提案の構造が提案されている。
この特許文献1に記載の雪止め具(雪止A)は、屋根板16の面板部に沿わせる足部2に複数のネジ止め用の止め穴孔4を設けると共に、前記足部2の下面に適当厚の粘着テープ7を貼り付けて構成され、前記足部2の上面を覆うようにカバー10を配設し、該カバー10からネジ14を前記足部2に設けたネジ穴6に締め付けて固定した構成である。なお、羽根部1は、雪を堰き止めるL字状部分である。
この構造では、屋根材16を葺きながら雪止Aを係合させて取り付ける必要がなく、屋根を葺いた後に、容易に取り付け施工を行えるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に示される前記雪止Aは、ネジ穴6が補強のための厚肉のビート5に形成されているから、ネジ14を締め付けても足部2を貫通することがないが、カバー10は十分な取付強度が得られなかった。
また、そのため、雪止Aの羽根部1に積雪等にて応力が作用した際に、足部2がズレ動いたり回動しようとする挙動をカバー10が防ぐことができなかった。なお、雪止Aにてカバー10がズレ動くと、雪や雨水等による浸水も生じ易くなる。
【0005】
そこで、本発明は、屋根に容易に且つ確実に取り付けることができ、積雪によるズレ動きや雨水等による浸水を防ぐことができる外設部材の取付構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、横葺き屋根板の面板部に沿わせる固定面部の側端を立ち上げた支持金具と、該支持金具の前記固定面部の水上側を上方及び側方から被覆状に覆うカバー材とを用いた外設部材の取付構造であって、前記支持金具は、立ち上げ部分の上端に設けた外設部材の取付部と、水下側へ凹む凹部とを備え、前記カバー材は、前記凹部に差込可能な水下側差込部と、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分に差込可能な水上側差込部とを備えることを特徴とする外設部材の取付構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記外設部材の取付構造において、前記支持金具の前記固定面部の水上側は、前記横葺き屋根板の面板部に防水材を介して固定されていることを特徴とする外設部材の取付構造をも提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の外設部材の取付構造は、横葺き屋根板の面板部に容易に且つ確実に外設部材を取り付けることができる支持金具を固定でき、雨水等の浸入は、カバー材が確実に防止することができるので、支持金具に雪止め具や避雷針などの外設部材を安定に固定することができる。
また、この取付構造におけるカバー材は、支持金具に設けた凹部と、当段と上段側の横葺き屋根板の接続部分(差込空間)との間に挟着状に配設されるため、仮に外設部材に浮き上がり方向の応力が作用しても、該応力による支持部材の浮き上がりは、カバー材の水下側及び水上側の二つの差込部により防止されるため、安定な取付状態を維持できる。或いは仮に、側方からの応力が作用しても、該応力による支持部材の回転は、カバー材にて防止されるため、安定な取付状態を維持できる。
【0010】
また、固定面部の水上側が、横葺き屋根板の面板部に防水材を介して固定されている場合には、その固定手段として、例えばビス止め等の簡易な手段を採用して固定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例の外設部材の取付構造を雪止めに適用した側断面図である。
【
図2】(a)第1実施例における取付部材(支持金具及びカバー材)を横葺き屋根に取り付けた状態を示す側断面図、(b)その支持金具及びカバー材の取付部分を示す平面図である。
【
図3】(a)
第1実施例の取付構造を施工する方法における第1の工程を終えた状態を示す側面図、(b)第2の工程を示す側面図、(c)第3の工程を示す側面図、(d)第3の工程におけるスライド状の微調整示す側面図である。
【
図4】(a)第1実施例における支持金具を示す平面図、(b)該支持金具を水上側又は水下側から見た正面図、(c)該支持金具の側面図、(d)固定具を示す斜視図、(e)該支持金具の展開図(成形以前の展開図)、(f)参考として示した支持金具とカバー材の横葺き屋根構造への取付部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の外設部材の取付構造は、横葺き屋根板の面板部に沿わせる固定面部の側端を立ち上げた支持金具と、該支持金具の前記固定面部の水上側を上方及び側方から被覆状に覆うカバー材とを用いたものであって、前記支持金具は、立ち上げ部分の上端に設けた外設部材の取付部と、水下側へ凹む凹部とを備え、前記カバー材は、前記凹部に差込可能な水下側差込部と、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分に差込可能な水上側差込部とを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、前記支持金具と前記カバー材とは一体状として用いるものであるから、この発明においては“取付部材”とする。
また、流れ方向に隣り合う横葺き屋根板の水下側成形部と水上側成形部の接続は、一般的には水上側へ延在する凸部状、水下側が開放する凹部状にそれぞれ形成されて係合されるが、この接続部分とは、水下側が開放して水下側から差し込む空間であるから、この発明においては“差込空間”という。
【0015】
本発明における取付部材を形成する支持金具は、横葺き屋根板の面板部に沿わせる固定面部の側端を立ち上げたものであり、該立ち上げ部分の上端に設けた外設部材の取付部と、水下側へ凹む凹部とを備えている。なお、この支持金具は、後述する図示実施例のように金属板材を原料とした成形体でもよいし、金属製に限定されず、例えばFRP等の硬質樹脂の成形体でもよい。
【0016】
前記固定面部は、通常平板状の横葺き屋根板の面板部に沿わせるものであるから平坦状に形成されることが多いが、特に限定するものではない。
前記固定面部に設ける立ち上げ部分は、水下端から水上端まで全てに設けるものではなく、カバー材に被覆状に覆われる水上側を除く部分(水下側)を指す。例えば後述する図示実施例のように略中央から水下端に立ち上げ部分を設けるようにしてもよい。
また、前記固定面部の水下側に設けられる立ち上げ部分は、後述する図示実施例では固定面部の左右両端から略垂直状に延在する縦片であり、一方の縦片の上端を水平状に折り曲げ、該水平部を外設部材の取付部としている。因みに他方の縦片は、補強部分となる。また、左右の縦片の水上端には、下端に、水下側へ凹む凹部が設けられている。該凹部は、水上側から差込可能であり、特にその形状を限定するものではないが、カバー材の水下側差込部が差し込まれた状態を維持する深さを有する。
【0017】
前記固定面部における立ち上げ部分が設けられない部分(水上側へ延在する横片部分)は、カバー材に上方及び側方から被覆状に覆われる水上側であり、ビス等の固定具を打ち込むための孔を複数設けるようにしてもよい。
前記固定面部における水上側(横片部分)は、裏面に防水材を介在させることにより、横葺き屋根板の面板部に密接状に沿わせることが望ましい。この防水材としては、各種の止水材を用いることができ、ビス孔の止水を考慮して弾性を備える止水材(例えばシリコーンゴム系の止水材等)でもよい。なお、この防水材は、水上側ばかりでなく、水下側にも設けてもよく、その場合、部材としての安定性が向上し、屋根面への擦れ(傷の発生)を防ぐことができる。
【0018】
本発明における取付部材を形成するカバー材は、前記支持金具の固定面部の水上側を上方及び側方から被覆状に覆うものであり、前記凹部に差込可能な水下側差込部と、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分に差込可能な水上側差込部とを備えている。なお、この「固定面部の水上側を上方及び側方から被覆状に覆う」とは、固定面部の横片部分を、上面(表面)側から、水上側から、更に側方側から覆う被覆部が雨水等の浸水を防ぐということを意味している。
【0019】
前記水下側差込部は、前記被覆部の水下側に設けられ、前記支持金具に設けられる凹部に水上側から差し込まれる部位であって、前記凹部形状に応じてどのように形成してもよく、前記凹部深さに応じてその長さも適宜に設定すれはよい。
前記水上側差込部は、前記被覆部の水上側に設けられ、当段と上段側の横葺き屋根板との接続部分(差込空間)に水下側から差し込む部位である。
【0020】
これらの取付部材(支持金具及びカバー材)を用いた取付構造は、カバー材が、支持金具に設けた凹部と、当段と上段側の横葺き屋根板の接続部分(差込空間)との間に挟着状に配設されるため、仮に外設部材に浮き上がり方向の応力が作用しても、該応力による支持部材の浮き上がりは、カバー材の水下側及び水上側の二つの差込部により防止されるため、安定な取付状態を維持できる。或いは仮に、側方からの応力が作用しても、該応力による支持部材の回転は、カバー材にて防止されるため、安定な取付状態を維持できる。
【0021】
また、前記取付構造を施工する方法は、横葺き屋根板の面板部に、支持金具の固定面部を固定する第1の工程と、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分に水下側からカバー材を傾斜させて水上側差込部を臨ませる第2の工程と、前記カバー材を回動させて前記支持金具の固定面部に沿わせると共に、屋根勾配の流れ方向にカバー材をスライド状に微調整する第3の工程と、前記支持金具の取付部に外設部材を取り付ける第4の工程と、からなる。
【0022】
前記第1の工程は、支持金具を横葺き屋根板の面板部に固定するものであり、その固定手段を限定するものではないので、ビス止め等の簡易手段の固定でもよいし、接着剤等を用いた接着でもよい。特に固定面部の裏面の水上側に、防水材を介して面板部に密接状に沿わせる場合には、防水性が向上し、例えばビス止め等を採用して固定することも可能である。
【0023】
前記第2の工程は、当段の横葺き屋根板と上段側の横葺き屋根板との接続部分(差込空間)に水下側からカバー材の水上側差込部を傾斜状に臨ませるものであり、この水上側差込部の先端(水上端)が、次の第3の工程における回動の支点となる。
【0024】
前記第3の工程は、前記カバー材を回動させて前記支持金具の固定面部に沿わせると共に、屋根勾配の流れ方向にカバー材をスライド状に微調整するが、水上側差込部の先端にも水下側差込部の先端にも、それぞれ遊び空間が設けられるように形成しておくことが必要である。
【0025】
前記第4の工程は、前記支持金具の取付部に外設部材を取り付ける。外設部材を取り付ける取付部は、前述のように立ち上げ部分の上端に設けられているので、雪止め具や避雷針等の外設部材を容易に取り付けることできる。また、左右に隣り合う取付部に跨がるように外設部材を取り付けるようにしてもよい。
【0026】
このように前記取付構造の施工方法は、前述の第1~第4の何れの工程も、熟練工や腕力の強い作業者等に依存するものではなく、容易に且つ簡便に行うことができ、極めて作業性に優れた方法である。
【0027】
なお、本発明の取付部材を取り付ける横葺き屋根板は、特に限定するものではなく、面板部も、その水下端に設ける水下側成形部も、その水上端に設ける水上側成形部も、特にその形状等に制限を有するものではない。素材についても同様であり、代表的には概ね0.4~1.6mm程度の表面化粧鋼板、ラミネート鋼板、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、銅板等の公知の金属素材をロール成形、押し出し成形その他の手段で所定の形状に成形したものを適宜に用いることができる。
また、この横葺き屋根板を下地に取り付けるための支持部材や保持部材についても、何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0028】
図1に示す本発明の第1実施例の外装部材7の取付構造は、傾斜状に配設された下地4の表面に複数の横葺き屋根板6が敷設され、前記横葺き屋根板6の面板部61には支持金具2及びカバー材3が取り付けられ、前記支持金具2の取付部23には、雪止め具である外設部材7が固定されている。
【0029】
前記支持金具2は、
図4(f)に示すようにカバー材3と取付部材1を形成するものであって、この第1実施例における支持金具2は、
図4(e)に示すように金属板材を原料として折り曲げ加工を施した成形体であり、括弧付き符号は、折り曲げ加工後に形成される部位を示している。そして、横葺き屋根板6の面板部61に沿わせる固定面部21の左右の側端を立ち上げて立ち上げ部分22,22'を形成したものであり、左方の立ち上げ部分22の上端に設けた取付部23と、水下側へ凹む凹部211,211'とを備えている。
【0030】
前記固定面部21は、
図4(a)~(c)に示すように平坦状に形成され、その略中央から水下端に立ち上げ部分(略垂直状に延在する縦片22)が設けられ、該縦片22の上端が水平状に折り曲げられ、取付部23が形成されている。なお、この縦片22は左側に位置し、該縦片22に対向状の右方側の縦片22'はそれより低く形成されるが補強部分となっている。また、左右の縦片22,22'の水上側下端には、水下側へ凹む凹部211,211'が設けられている。
また、前記固定面部21は、ほぼ全面の裏面側に防水材(止水シート材)24が添設され、その水上側21Aには、
図4(a)に示すようにビス孔211が二箇所に設けられている。また、左方の縦片22や取付部23にも、ビス等の固定具を打ち込むための孔221,231が設けられている。
【0031】
前記カバー材3は、前記支持金具2と取付部材1を形成するものであって、前記固定面部21の水上側21Aを上方及び側方から被覆状に覆う被覆部31を備える部材である。
このカバー材3には、前記凹部211,211'に差込可能な水下側差込部32と、当段の横葺き屋根板6と上段側の横葺き屋根板6との接続部分62,63に差込可能な水上側差込部33とを備えている。
なお、前記被覆部31は、前記固定面部21の水上側21Aを、上面(表面)側から、水上側から、更に側方側から覆う略袋状の部位であって、雨水等の浸水を防ぐことができる。
【0032】
なお、
図1における前記取付構造を適用した横葺き屋根構造を構成する各部材について、以下に簡単に説明する。
前記横葺き屋根板6は、水下側がく字状に折り曲げられた面板部61と、その水下端を裏面側へ折り曲げて水上側へ延在させた水下側成形部62と、前記面板部61の水上端を表面側へ折り曲げて水下側へ延在させた水上側成形部63と、更にその水上側にコ字状に形成した嵌合部64とからなる金属成形板であり、流れ方向に隣り合う横葺き屋根板6,6は、水下側成形部62と水上側成形部63とが係合して接続される。前記面板部61と水上側成形部63の裏面側には裏貼り材6bが添設されている。
前記横葺き屋根板6の裏面側に敷設される断熱材5は、流れ方向の寸法が前記横葺き屋根板6と略同一であり、その水下端51が、前記横葺き屋根板6の嵌合部64に嵌合される状態で保持されている。また、流れ方向に隣り合う断熱材5,5は、水下端部と水上端部とが相じゃくり状に接続されている。
前記断熱材5が敷設される下地4は、傾斜勾配(屋根勾配)に沿って敷設された木毛セメント等のボード状であり、その表面側には防水シート材4bが敷設されている。
前記下地4の端部(図面左端)に記載された符号9は、左右の横葺き屋根板6,6間に配設される捨板を示すが、該捨板9の作用については説明を省略する。
【0033】
この第1実施例の取付構造を施工する手順について、
図3(a)~(d)に基づいて以下に説明する。
まず、第1の工程として、
図3(a)に示すように横葺き屋根板6の面板部61に、前記支持金具2の固定面部21を固定する。なお、固定具については図示していないが、前記固定面部21に設けた孔211に固定具を打ち込んで固定する。その際、固定面部の裏面側には防水材24が添設されているので、該防水材24を介して面板部61に密着状に固定される。なお、この
図3(a)では、当段の横葺き屋根板6と上段側の横葺き屋根板6との接続部分62,63に対し、前記カバー材3を水上側差込部33が下方になるように傾斜状に臨ませる状態を示している。
次に、第2の工程として、
図3(b)に示すようにカバー材3の水上側差込部33を、図中に白抜き矢印で示すように当段の横葺き屋根板6と上段側の横葺き屋根板6との接続部分62,63に、水下側から差し込むように傾斜状に臨ませる。この水上側差込部33の先端(下端)が、次の第3の工程における回動の支点となる。
【0034】
続いて、第3の工程として、
図3(c),(d)に示すようにカバー材3を回動させて支持金具2の固定面部21に沿わせると共に、図中に白抜き矢印で示すように屋根勾配の流れ方向にカバー材3をスライド状に微調整する。
その後、第4の工程として、この
図3には図示していないが支持金具2の取付部23に外設部材7を取り付ける。
前記
図1における外設部材7は、L字状のアングル材7Aの上から押さえ金具7Bをボルト7c及びナット7d{
図4(d)に示す7fはスプリングワッシャー、7gはワッシャー}にて取り付けると共に、前記アングル7Aと押さえ金具7Bに連結固定具7eを打ち込んで一体状に固定している。
【0035】
このように前記取付構造の施工方法は、前述の第1~第4の何れの工程も、熟練工や腕力の強い作業者等に依存するものではなく、容易に且つ簡便に行うことができ、極めて作業性に優れている。
【0036】
施工された第1実施例の取付構造の利点を、
図2に基づいて説明する。
図2(a)は、外設部材7の記載を省略した状態の
図1の取付構造であり、重要な箇所を図中に破線の囲みで示している。また、挙動(動作)を示す白抜き矢印に×を付すことで、その方向の挙動(動作)が防止されることを示している。
図2(b)は、その一部を示す平面図であるが、支持金具2固定面部21の水上側(横片部分)21Aを、カバー材3の被覆部31が、上面(表面)側から、水上側から、更に側方側から覆っていることが明らかに示され、雨水等の浸水を防いでいる。
【0037】
図2(a)における左側の破線の囲みは、カバー材3の水下側差込部32を支持金具2に設けた凹部211,211'に差し込んでいる箇所を示しており、この構成により、上方へ持ち上がるような挙動が防止される。
図2(b)における右側の破線の囲み、
図2(b)では長楕円状の破線囲みは、カバー材3の水上側差込部33を横葺き屋根板6,6の接続部分(差込空間65)に差し込んでいる箇所を示しており、この構成により、上方へ持ち上がるような挙動が防止される。なお、差込空間65は、係合以前の水上側成形部63の凹部とは異なり、上段側の横葺き屋根板6の水下側成形部62が係合しているため、上方への持ち上がり耐性は高いものである。
【0038】
さらに、カバー材3は、前述のように支持金具2に設けた凹部211,211'と、横葺き屋根板6,6の接続部分(差込空間65)との間に挟着状に配設されているため、図示しない外設部材(当該図面では取付部23)に雪や風雨等に起因する側方からの応力が作用しても、該応力による支持部材2の回転は、
図2(b)に示すようにカバー材3にて防止されるため、安定な取付状態を維持できる。
【符号の説明】
【0039】
1 取付部材
2 支持金具
21 固定面部
21A (固定面部の)水上側(横片部分)
211,211' 凹部
22,22' 立ち上げ部
23 取付部
24 防水材(止水シート材)
3 カバー材
31 被覆部
32 水下側差込部
33 水上側差込部
4 下地
5 断熱材
6 横葺き屋根材
61 面板部
62 水下側成形部
63 水上側成形部
64 嵌合部
65 接続部分(差込空間)
7 外設部材