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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】パチンコ遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 334
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018245563
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103599
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
【審査官】進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-064717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の判定条件の成立に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定手段の判定結果に対応した第1演出を決定する第1演出決定手段と、
前記第1演出決定手段が決定した前記第1演出を実行することにより前記判定結果を報知する第1演出手段と、
前記判定結果に対応するデータを出力する第1基板と、
前記第1基板が出力した前記データを入力する第2基板と、
前記第2基板が入力した前記データに基づいて前記判定結果に対応した第2演出を決定する第2演出決定手段と、
前記第2演出決定手段が決定した前記第2演出を実行することにより前記判定結果を報知する第2演出手段と、を備える遊技機であって、
前記第1演出により報知される前記判定結果と前記第2演出により報知される前記判定結果との同一性を判定する同一性判定手段と、
前記同一性判定手段が前記同一性を否定判定した場合に、前記同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更する演出変更手段と、を備え、
前記第1演出および第2演出の各演出時間は、前記判定結果が当たりであった場合の方がハズレであった場合よりもそれぞれ相対的に長く、
前記同一性判定手段は、前記第1演出の演出時間と前記第2演出の演出時間との時間差が第1時間以上存在する場合に前記同一性が無いと判定することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の判定条件の成立に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定手段の判定結果に対応した第1演出を決定する第1演出決定手段と、
前記第1演出決定手段が決定した前記第1演出を実行することにより前記判定結果を報知する第1演出手段と、
前記判定結果に対応するデータを出力する第1基板と、
前記第1基板が出力した前記データを入力する第2基板と、
前記第2基板が入力した前記データに基づいて前記判定結果に対応した第2演出を決定する第2演出決定手段と、
前記第2演出決定手段が決定した前記第2演出を実行することにより前記判定結果を報知する第2演出手段と、を備える遊技機であって、
前記第1演出により報知される前記判定結果と前記第2演出により報知される前記判定結果との同一性を判定する同一性判定手段と、
前記同一性判定手段が前記同一性を否定判定した場合に、前記同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更する演出変更手段と、を備え、
前記第2演出手段は、
前記第1演出の開始時間に同期して前記第2演出を開始し、
前記第1基板は、
前記第1演出の終了時間になったときに、前記第2演出の終了を指示する終了コマンドを出力し、
前記第2基板は、
前記第1基板が出力した前記終了コマンドを入力し、
前記同一性判定手段は、
前記第2演出の途中であって前記第2演出の終了時間よりも第2時間以上前に、前記第2基板が前記終了コマンドを入力した場合に前記同一性が無いと判定し、
前記演出変更手段は、
前記同一性判定手段が前記同一性を否定判定した場合に、前記同一性判定手段の判定対象となった第2演出の途中から、前記第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技制御用マイコンが搭載された主制御基板と、演出制御用マイコンが搭載されたサブ制御基板とを備えたパチンコ遊技機が知られている。主制御基板およびサブ制御基板間は、信号線により接続されており、主制御基板は、その信号線を通じてデータをサブ制御基板へ出力する。主制御用マイコンは、遊技球が始動口に入賞したときに取得した大当たり乱数に基づいて大当たり抽選を実行し、その大当たり抽選の結果に基づいて特別図柄の変動パターンを決定する。そして、主制御用マイコンは、特別図柄表示器に対して特別図柄の変動表示を開始させる。このとき、遊技制御用マイコンは、演出図柄の変動開始を指示する変動開始コマンドを主制御基板からサブ制御基板へ出力する。その変動開始コマンドには、大当たり抽選の結果および特別図柄の変動パターンなどのデータが含まれている。
【0003】
演出制御用マイコンは、主制御基板からサブ制御基板を介して入力した変動開始コマンドを解析し、大当たり抽選の結果が大当たりであった場合は、大当たりに対応する変動演出パターンを決定し、ハズレであった場合は、ハズレに対応する変動演出パターンを決定する。そして、演出制御用マイコンは、決定した演出変動パターンに従って演出表示装置に演出図柄の変動表示を開始させる。
また、主制御用マイコンは、特別図柄の変動表示を停止させる時間になると、特別図柄表示器に対して特別図柄の変動表示を停止させ、大当たり抽選の結果に対応する特別図柄を確定表示させる。また、主制御用マイコンは、特別図柄の変動表示を停止させるときに、演出図柄の変動表示を停止させるための変動停止コマンドを主制御基板からサブ制御基板へ出力する。そして、演出制御用マイコンは、入力した変動停止コマンドに従い、演出表示装置に演出図柄の変動表示を停止させ、大当たり抽選の結果に対応する演出図柄を確定表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-164481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のパチンコ遊技機は、主制御基板およびサブ制御基板間を接続する信号線にノイズなどが侵入すると、主制御基板からサブ制御基板へ出力したデータが変化するおそれがある。たとえば、主制御基板からサブ制御基板へ出力した変動開始コマンドが、ハズレの結果に対応するものであったが、大当たりの結果に対応するデータに変化するおそれがある。
また、演出制御用マイコンが演出図柄の変動パターンを決定する際に、ノイズなどの影響により誤った変動パターンに決定するおそれがある。たとえば、遊技制御用マイコンが選択すべき変動パターンは、ハズレ用の変動パターンであったが、誤って大当たり用の変動パターンを選択するおそれがある。
つまり、特別図柄表示器が確定表示する大当たり抽選の結果と、演出表示装置が確定表示する大当たり抽選の結果とが異なるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために創出されたものであって、特別図柄表示器が確定表示する大当たり抽選の結果と、演出表示装置が確定表示する大当たり抽選の結果とが異なるおそれのないパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明に係る第1のパチンコ遊技機は、所定の判定条件の成立に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、当否判定手段の判定結果に対応した第1演出を決定する第1演出決定手段と、第1演出決定手段が決定した第1演出を実行することにより判定結果を報知する第1演出手段と、判定結果に対応するデータを出力する第1基板と、第1基板が出力したデータを入力する第2基板と、第2基板が入力したデータに基づいて判定結果に対応した第2演出を決定する第2演出決定手段と、第2演出決定手段が決定した第2演出を実行することにより判定結果を報知する第2演出手段と、を備える遊技機であって、第1演出により報知される判定結果と第2演出により報知される判定結果との同一性を判定する同一性判定手段と、同一性判定手段が同一性を否定判定した場合に、同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更する演出変更手段と、を備え、前記第1演出および第2演出の各演出時間は、前記判定結果が当たりであった場合の方がハズレであった場合よりもそれぞれ相対的に長く、前記同一性判定手段は、前記第1演出の演出時間と前記第2演出の演出時間との時間差が第1時間以上存在する場合に前記同一性が無いと判定することを特徴とする。
また、本発明に係る第2のパチンコ遊技機は、所定の判定条件の成立に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、前記当否判定手段の判定結果に対応した第1演出を決定する第1演出決定手段と、前記第1演出決定手段が決定した前記第1演出を実行することにより前記判定結果を報知する第1演出手段と、前記判定結果に対応するデータを出力する第1基板と、前記第1基板が出力した前記データを入力する第2基板と、前記第2基板が入力した前記データに基づいて前記判定結果に対応した第2演出を決定する第2演出決定手段と、前記第2演出決定手段が決定した前記第2演出を実行することにより前記判定結果を報知する第2演出手段と、を備える遊技機であって、前記第1演出により報知される前記判定結果と前記第2演出により報知される前記判定結果との同一性を判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段が前記同一性を否定判定した場合に、前記同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更する演出変更手段と、を備え、前記第2演出手段は、前記第1演出の開始時間に同期して前記第2演出を開始し、前記第1基板は、前記第1演出の終了時間になったときに、前記第2演出の終了を指示する終了コマンドを出力し、前記第2基板は、前記第1基板が出力した前記終了コマンドを入力し、前記同一性判定手段は、前記第2演出の途中であって前記第2演出の終了時間よりも第2時間以上前に、前記第2基板が前記終了コマンドを入力した場合に前記同一性が無いと判定し、前記演出変更手段は、前記同一性判定手段が前記同一性を否定判定した場合に、前記同一性判定手段の判定対象となった第2演出の途中から、前記第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更することを特徴とする。
【0008】
同一性判定手段は、第1演出により報知される判定結果と第2演出により報知される判定結果との同一性を判定する。演出変更手段は、同一性判定手段が同一性を否定判定した場合に、同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更する。
つまり、第1演出により報知される判定結果と第2演出により報知される判定結果とが異なる場合であっても、同一性判定手段の判定対象となった第2演出を、その第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出に変更することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明を実施すれば、第1演出により報知される判定結果と第2演出により報知される判定結果とが異なるおそれのないパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類を拡大して示す説明図である。
図3図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
図4図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
図5】主制御基板が備えるRAMの記憶内容の一部を示す説明図であり、(a)は第1特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図、(b)は第2特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図である。
図6】主制御基板が備えるROMの記憶内容の一部を示す説明図であり、(a)は大当たり判定テーブルの説明図であり、(b)はリーチ判定テーブルの説明図である。
図7】特図変動パターン選択テーブルの説明図である。
図8】(a)はサブ制御基板が備えるRAMの記憶内容の一部を示す説明図であり、(b)は第1特図保留演出記憶部の説明図であり、(c)は第2特図保留演出記憶部の説明図である。
図9】変動演出パターン選択テーブルの説明図である。
図10】遊技制御用マイコンが実行するメイン側主制御処理のフローチャートである。
図11】遊技制御用マイコンが図10に示すメイン側主制御処理において実行するメイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
図12】遊技制御用マイコンが図11に示すメイン側タイマ割込処理において実行する始動口センサ検出処理のフローチャートである。
図13】遊技制御用マイコンが図11に示すメイン側タイマ割込処理において実行する特別図柄待機処理のフローチャートである。
図14】遊技制御用マイコンが図13に示す特別図柄待機処理において実行する第2特図大当たり判定処理のフローチャートである。
図15】遊技制御用マイコンが図13に示す特別図柄待機処理において実行する第2特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
図16図15のフローチャートの続きのフローチャートである。
図17】遊技制御用マイコンが図11に示すメイン側タイマ割込処理において実行する特別図柄変動処理のフローチャートである。
図18】演出制御用マイコンが実行するサブ側主制御処理のフローチャートである。
図19】演出制御用マイコンが図18に示すサブ側主制御処理において実行する1msタイマ割込処理のフローチャートである。
図20】演出制御用マイコンが図18に示すサブ側主制御処理において実行する10msタイマ割込処理のフローチャートである。
図21】演出制御用マイコンが図20に示す10msタイマ割込処理において実行する入力コマンド解析処理のフローチャートである。
図22】演出制御用マイコンが図21に示す入力コマンド解析処理において実行する先読み演出判定処理のフローチャートである。
図23】演出制御用マイコンが図21に示す入力コマンド解析処理において実行する変動演出開始処理のフローチャートである。
図24】演出制御用マイコンが図21に示す入力コマンド解析処理において実行する同一性判定処理のフローチャートである。
図25】演出制御用マイコンが図21に示す入力コマンド解析処理において実行する変動演出終了処理のフローチャートである。
図26】本来の変動時間、実行中の変動時間および変更後の変動時間のタイムチャートである。
図27】変更用変動演出パターン選択テーブルの説明図である。
図28】演出表示装置に表示される変動演出パターンの一例を示す説明図である。
図29】第2実施形態において演出制御用マイコンが実行する変動演出開始処理2のフローチャートである。
図30】第2実施形態において演出制御用マイコンが図29に示す変動演出開始処理2において実行する同一性判定処理2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機について図を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0012】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備えている。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成されている。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出ボタン9と、演出レバー6と、スピーカ8,8と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0013】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(図3)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(図3)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(図3)および賞球払出装置400(図3)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0014】
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手または左手で押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(図4)と、演出ボタン振動モータ9b(図4)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0015】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。つまり、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられており、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押圧操作可能な位置に設けられている。
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6d(図4)が設けられている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。
【0016】
前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0017】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備えている。遊技盤2は、パチンコ遊技機1と対向する遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、固定入賞装置10と、第1大入賞装置30と、第2大入賞装置40と、ゲート12と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備えている。演出表示装置7が本発明の第2演出手段の一例である。
【0018】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3Aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3Bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(図4において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0019】
固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3Bに配置されており、右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3Bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。
【0020】
第1大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されており、第2大入賞装置40は、第1大入賞装置30の上側に配置されている。第1大入賞装置30は、第1大入賞口32を開閉する第1開閉部材31を備えており、第2大入賞装置40は、第2大入賞口42を開閉する第2開閉部材41を備えている。第1大入賞口32および第2大入賞口42は、それぞれ同時に複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。本実施形態では、第1開閉部材31および第2開閉部材41は、それぞれ左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。以下、第1大入賞口32および第2大入賞口42に共通の事項を説明する場合は、単に大入賞口という。
第2大入賞装置40の内部には、第2大入賞口42に入賞した遊技球が通過可能な領域である特定領域(図示せず)および非特定領域(図示せず)が形成されている。また、第2大入賞装置40の内部には、第2大入賞口42に入賞した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材(図示せず)と、この振分部材を駆動する振分部材ソレノイド42d(図3)とが設けられている。
【0021】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって第1大入賞装置30の下方に設けられている。図2に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備えている。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備えている。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。なお、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52が本発明の第1演出手段の一例である。
【0022】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ4個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0023】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0024】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第2大入賞装置40が作動して第2開閉部材41が開閉し、第2大入賞口42が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数および第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0025】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。また、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンドから最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、開閉する大入賞口(第1大入賞口32および第2大入賞口42の一方または両方)、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。大当たり判定が本発明の当否判定の一例である。
【0026】
パチンコ遊技機1には、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)として、通常の確率(以下、通常確率という)と、通常確率よりも高い確率(以下、高確率という)とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率に設定されている遊技状態を通常確率状態といい、大当たり確率が高確率に設定されている遊技状態を高確率状態(確変ともいう)という。パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中に第2大入賞口42に入賞した遊技球が、前述した特定領域を通過(V入賞)すると、大当たり遊技が終了した後の遊技状態が高確率状態に移行する。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆるV確機と呼ばれる機種である。
【0027】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(図3)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備えている。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。可動体15は、いわゆるギミックの一例である。図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0028】
演出表示装置7は、演出画像およびデモンストレーション画像(客待ち画像ともいう)などの動画像ならびにメッセージ画像などの静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~9の算用数字を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄、中演出図柄および右演出図柄に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄という。また、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域および右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0029】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式などを用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などの動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像などである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示の開始に同期して変動表示を開始する。また、演出表示装置7は、特別図柄の変動表示の停止に同期して変動表示を停止し、各演出図柄を確定表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した表示状態のことである。この確定表示の状態における各演出図柄の組み合わせが、大当たり判定の結果を示す。
【0030】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄の組み合わせを大当たり演出図柄といい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄の組み合わせをハズレ演出図柄という。本実施形態では、大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄および背景画像などから成る画像を変動演出パターンという。なお、変動演出パターンが本発明の第2演出の一例である。
【0031】
変動演出パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。図1に示すように、演出表示装置7には、第1演出保留表示領域51Bと、第2演出保留表示領域52Bとが設定されている。第1演出保留表示領域51Bは、第1特図保留数を遊技者に分かり易く表示するための表示領域である。つまり、遊技者は、第1演出保留表示領域51Bに表示される演出保留画像を見ることにより、第1特図保留数を知ることができるとともに、第1特図保留に起因する演出表示装置7の作動保留数を知ることができる。また、第2演出保留表示領域52Bは、第2特図保留数を遊技者に分かり易く表示するための表示領域である。つまり、遊技者は、第2演出保留表示領域52Bに表示される演出保留画像を見ることにより、第2特図保留数を知ることができるとともに、第2特図保留に起因する演出表示装置7の作動保留数を知ることができる。
【0032】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について図3および図4を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(図3)と、払出制御基板73(図3)と、サブ制御基板100(図4)と、画像制御基板200(図4)とを備えている。
【0033】
図3に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。遊技制御用マイコン61は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、遊技制御用マイコン61が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブルTA1(図6(a))、リーチ判定テーブルTA2(図6(b))、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)、大当たり種別判定テーブル(図示せず)などの各種のテーブルが記憶されている。また、遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0034】
RAM64は、遊技制御用マイコン61がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。図5(a)に示すように、第1特図保留記憶部64aは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数(上限数)は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(図2)が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0035】
図5(b)に示すように、第2特図保留記憶部64bは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数(上限数)は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第2特別図柄表示器52(図2)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0036】
第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bでは、大当たり乱数などは作動保留の発生順に第1記憶領域から順に記憶される。このため、大当たり乱数などが第1ないし第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数などは、第1特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、隣接する古い記憶領域に1つずつシフトする。たとえば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数などは第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などによる抽選は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0037】
普図保留記憶部64c(図3)は、遊技球がゲート12(図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0038】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64およびサブ制御基板100のRAM120(図4)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、第1大入賞口センサ32aと、第2大入賞口センサ42aと、特定領域センサ42bと、非特定領域センサ42cと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、第1大入賞口ソレノイド30aと、第2大入賞口ソレノイド40aと、振分部材ソレノイド42dとが電気的に接続されている。
【0039】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ32aは、第1大入賞口32(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ42aは、第2大入賞口42(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2大入賞口42に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。特定領域センサ42bは、第2大入賞口42(図1)の内部の特定領域内に設けられており、遊技球が特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。非特定領域センサ42cは、第2大入賞口42(図1)の内部の非特定領域に設けられており、遊技球が非特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0040】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(図1)を開閉駆動する。第1大入賞口ソレノイド30aは、第1大入賞装置30の第1開閉部材31(図1)を開閉駆動する。第2大入賞口ソレノイド40aは、第2大入賞装置40の第2開閉部材41(図1)を開閉駆動する。振分部材ソレノイド42dは、第2大入賞装置40の内部に設けられた振分部材を駆動する。
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24(図1)に払出される。
【0041】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0042】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対してデータの保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0043】
主制御基板60とサブ制御基板100(図4)とは信号線L1によって接続されている。遊技制御用マイコン61が生成した大当たり判定の結果、リーチ判定の結果、選択した特図変動パターン、大当たり種別などを示すデータは、後述する第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドに含められ、主制御基板60から信号線L1を通じてサブ制御基板100へ出力される。主制御基板60は、コマンドを信号線L1を通じてサブ制御基板100へ出力することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを出力することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ出力することのみが可能な単方向通信となっている。なお、主制御基板60が本発明の第1基板の一例であり、サブ制御基板100が第2基板の一例である。
【0044】
図4に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。演出制御用マイコン101は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、演出制御用マイコン101が演出を制御するためのコンピュータプログラム、変動演出パターン選択テーブルTA4(図9)、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5(図27)などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、演出制御用マイコン101がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
【0045】
図8(b)に示すように、第1特図保留演出記憶部121は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
図8(c)に示すように、第2特図保留演出記憶部122は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドを記憶する。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの出力または入力を行う。
【0046】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像および予告演出画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は変動演出パターンなどの画像を表示する。
【0047】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に出力する。そして、ランプ制御基板79は、入力した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に出力する。そして、動作パターンデータを入力したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0048】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から入力したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0049】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6dとが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6aから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0050】
演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6dの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6dを駆動制御する。
【0051】
[遊技状態の説明]
次に、本実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器および普通図柄表示器53には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能とが備わっている。特別図柄表示器の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。
また、特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始から確定表示までに要する時間)が、非時短状態よりも短くなっている。
【0052】
特別図柄表示器の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。したがって、時短状態では、普通図柄の抽選において当たりと判定される確率が非時短状態よりも高くなっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器53が確定表示する普通図柄が、普通当たり図柄(普通図柄の抽選において当たりと判定されたことを示す普通図柄)となる確率が高くなる。
【0053】
また、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。たとえば、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である。さらに時短状態では、普通可変入賞装置20の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における普通可変入賞装置20の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放回数増加機能が作動している。補助遊技とは、確定表示された普通図柄が予め定めた特定の普通図柄である場合に、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口22を開閉させる遊技のことである。
【0054】
普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、普通可変入賞装置20が頻繁に開放され、第2始動口22へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、このように、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下で、普通可変入賞装置20により第2始動口22への入賞をサポートする制御を電サポ制御という。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中に遊技球が第2大入賞口42(図1)の内部の特定領域を通過した場合、その大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに高確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0055】
また、大当たり遊技中に遊技球が第2大入賞口42(図1)の内部の特定領域を通過しなかった場合、その大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに通常確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、電サポ制御は行わないとともに通常確率状態かつ非時短状態である。
【0056】
[大当たり判定テーブル]
図6(a)に示す大当たり判定テーブルTA1は、遊技制御用マイコン61(図3)が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルTA1は、遊技状態と大当たり乱数とを対応付けて構成されている。大当たり乱数は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の大当たり乱数をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数を発生する。本実施形態では、大当たり判定テーブルTA1には、遊技状態が通常確率状態のときの大当たり乱数として、0~164の計165個の大当たり乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が通常確率状態のときに大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~164のいずれかであった場合は、大当たり判定において大当たりと判定し、0~65535のうち0~164以外であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0057】
また、本実施形態では、大当たり判定テーブルTA1には、遊技状態が高確率状態のときの大当たり乱数として、0~649の計650個の大当たり乱数が設定されている。つまり、通常確率状態のときよりも多くの大当たり乱数が設定されており、通常確率状態のときよりも大当たり判定において大当たりと判定される確率が高くなっている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が高確率状態のときに大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~649のいずれかであった場合は、大当たり判定において大当たりと判定し、0~65535のうち0~649以外であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0058】
[リーチ判定テーブル]
図6(b)に示すリーチ判定テーブルTA2は、遊技制御用マイコン61(図3)が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。ここで、リーチとは、複数の特別図柄のうち変動表示されている特別図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている特別図柄がどの特別図柄で確定表示されるか次第で大当たりを示す特別図柄の組み合わせとなる状態のことである。また、リーチとは、演出表示装置7の複数の表示領域においてそれぞれ変動表示されている演出図柄のうち、変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの演出図柄で確定表示されるか次第で大当たり演出図柄の組み合わせとなる状態のことである。
たとえば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄表示領域において左演出図柄9Lとして「7」が確定表示されており、右演出図柄表示領域において右演出図柄9Rとして「7」が確定表示されており、中演出図柄表示領域において中演出図柄9Cが変動表示されている状態のことである。なお、リーチの概念には、中演出図柄9Cがスクロールしている状態の他、画面に登場するキャラクタと共に移動している状態、揺れている状態、拡大と縮小を繰り返す状態などが含まれる。
【0059】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルTA2は、遊技状態とリーチ乱数とを対応付けて構成されている。リーチ乱数は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、リーチ乱数カウンタは、0~255の計256個のリーチ乱数をカウントする。つまり、0~256の計256個のリーチ乱数を発生する。本実施形態では、遊技状態が非時短状態のときのリーチ乱数として、0~27の計28個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~27のいずれかであった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~27以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
【0060】
また、本実施形態では、遊技状態が時短状態のときのリーチ乱数として、0~11の計12個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~11のいずれかであった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~11以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
リーチ有りと判定されるリーチ乱数は、非時短状態よりも時短状態の方が少なく設定されている。これにより、時短状態ではリーチ有りと判定される確率が非時短状態よりも低くなる。つまり、リーチ無しと判定される確率が高くなるため、その分、特図変動パターンを選択する際に、リーチ無しの特図変動パターンを選択する確率が高くなる。リーチ有りの特図変動パターンおよび変動演出パターンは、リーチの状態になってからの演出時間が長いため、リーチ無しのそれらよりも変動時間が短い。このため、時短状態では、特図保留数の消化のペースが速くなる。
【0061】
[特図変動パターン選択テーブル]
図7に示す特図変動パターン選択テーブルTA3は、遊技制御用マイコン61(図3)が特別図柄表示器による特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターンテーブルTA3は、遊技状態と、判定(大当たり判定およびリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数と、特図変動パターンと、変動時間と、停止時間とを対応付けて構成されている。特図変動パターン選択テーブルTA3における変動演出パターンは、選択された特図変動パターンに対応して演出表示装置7が変動表示する変動演出パターンであり、参考のために記載してある。変動パターン乱数は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、変動パターン乱数カウンタは、0~99の計100個の変動パターン乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の変動パターン乱数を発生する。
【0062】
遊技状態が非時短状態のときに大当たり判定において大当たりと判定され、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~49のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP1が選択される。つまり、特図変動パターンP1が選択される確率は50%である。また、変動パターン乱数が50~99のいずれかであった場合は、保留球数に関係無く、特図変動パターンP2が選択される。つまり、特図変動パターンP2が選択される確率は50%である。特図変動パターンP1の変動時間は240,000ms(240s)であり、特別図柄の停止時間、つまり、特別図柄を確定表示している時間は500ms(0.5s)である。特図変動パターンP2の変動時間は360,000ms(360s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。また、特図変動パターンP1が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてSP(スーパー)リーチを変動表示する。また、特図変動パターンP2が選択された場合も、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてSP(スーパー)リーチを変動表示する。
【0063】
また、遊技状態が非時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ有りと判定された場合、つまり、リーチ有りハズレの場合であって、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~9のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP3が選択される。つまり、特図変動パターンP3が選択される確率は10%である。また、変動パターン乱数が10~99のいずれかであった場合は、保留球数に関係無く、特図変動パターンP4が選択される。つまり、特図変動パターンP4が選択される確率は90%である。特図変動パターンP3の変動時間は40,000ms(40s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。特図変動パターンP4の変動時間は15,000ms(15s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。また、特図変動パターンP3が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてSPリーチを表示する。また、特図変動パターンP4が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてノーマルリーチを表示する。
【0064】
また、遊技状態が非時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ無しと判定された場合、つまり、リーチ無しハズレの場合であって、特図保留数が0~2個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP5が選択される。つまり、特図変動パターンP5が選択される確率は100%である。また、特図保留数が3~4個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP6が選択される。つまり、特図変動パターンP6が選択される確率は100%である。特図変動パターンP5の変動時間は10,000ms(10s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。特図変動パターンP6の変動時間は5,000ms(5s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。つまり、特図保留数が3個または4個である場合は、変動時間が短い特図変動パターンおよび変動演出パターンが選択されるようになっており、特図保留数の消化が促進されるようになっている。また、特図変動パターンP5または特図変動パターンP6が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとして通常変動を表示する。
【0065】
遊技状態が時短状態のときに大当たりと判定され、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP11が選択される。つまり、特図変動パターンP11が選択される確率は100%である。また、遊技状態が時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ有りと判定された場合、つまり、リーチ有りハズレの場合であって、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP12が選択される。つまり、特図変動パターンP12が選択される確率は100%である。特図変動パターンP11および特図変動パターンP12の変動時間はそれぞれ40,000ms(40s)であり、特別図柄の停止時間はそれぞれ500ms(0.5s)である。また、特図変動パターンP11または特図変動パターンP12が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてSPリーチを表示する。
【0066】
また、遊技状態が時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ無しと判定された場合、つまり、リーチ無しハズレの場合であって、特図保留数が0~1個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP13が選択される。つまり、特図変動パターンP13が選択される確率は100%である。また、特図保留数が2~4個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP14が選択される。つまり、特図変動パターンP14が選択される確率は100%である。特図変動パターンP13の変動時間は10,000ms(10s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。特図変動パターンP14の変動時間は2,500ms(2.5s)であり、特別図柄の停止時間は500ms(0.5s)である。つまり、特図保留数が2~4個である場合は、変動時間が短い特図変動パターンおよび変動演出パターンが選択されるようになっており、特図保留数の消化が促進されるようになっている。また、特図変動パターンP13または特図変動パターンP14が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとして時短変動を表示する。
【0067】
上述したように、非時短状態のときにSPリーチが選択される確率は、大当たり判定において大当たりと判定された場合は100%であるが、大当たり判定においてハズレと判定され、かつ、リーチ有りと判定された場合は10%である。また、非時短状態のときにノーマルリーチが選択される確率は、大当たり判定において大当たりと判定された場合は5%であるが、大当たり判定においてハズレと判定され、かつ、リーチ有りと判定された場合は90%である。
つまり、演出表示装置7が変動演出パターンとしてSPリーチを表示した場合は、大当たりが発生する可能性が高い。換言すると、SPリーチは、大当たりの発生に対する期待度がノーマルリーチよりも高い変動演出パターンである。
【0068】
[変動演出パターン選択テーブル]
図9に示す変動演出パターン選択テーブルTA4は、演出表示装置7が表示する変動演出パターンを演出制御用マイコン101(図4)が選択する際に参照するテーブルである。変動演出パターン選択テーブルTA4は、特図変動パターンと、変動演出パターン乱数と、変動演出パターンとを対応付けて構成されている。特図変動パターンは、前述した特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)に設定されている特図変動パターンと対応しており、変動演出パターンの変動時間は、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)に設定されている特図変動パターンの変動時間と同一である。変動演出パターン乱数は、変動演出パターン乱数カウンタが発生する変動演出パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、変動演出パターン乱数カウンタは、0~99の計100個の変動演出パターン乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の変動演出パターン乱数を発生する。
【0069】
特図変動パターンとして変動パターンP1が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~69のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチAが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP1が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が70~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチBが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP2が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~59のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチCが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP2が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が60~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチDが選択される。
【0070】
特図変動パターンとして変動パターンP3が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~54のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチEが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP3が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が55~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチFが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP4が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~29のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてノーマルリーチAが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP4が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が30~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてノーマルリーチBが選択される。
【0071】
特図変動パターンとして変動パターンP5が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとして通常変動Aが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP6が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとして通常変動Bが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP11が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチGが選択される。また、特図変動パターンとして変動パターンP12が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとしてSPリーチHが選択される。
【0072】
特図変動パターンとして変動パターンP13が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとして時短変動Aが選択される。特図変動パターンとして変動パターンP14が選択された場合において、変動演出パターン乱数カウンタから取得した変動演出パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、変動演出パターンとして時短変動Bが選択される。前述したように、各変動演出パターンの変動時間は、対応する特図変動パターンの変動時間と同一である。
【0073】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61(図3)が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(メイン側主制御処理)
最初に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側主制御処理の内容についてそれを示す図10を参照しつつ説明する。
【0074】
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63(図3)から図10に示すメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初に初期設定を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。この初期設定では、たとえば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどのリセットなどを行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタICなどから成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0075】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、たとえば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0076】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側タイマ割込処理(図10のS5)の内容についてそれを示す図11を参照しつつ説明する。
【0077】
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64(図3)に設けられた出力バッファにセットされたコマンドなどのデータをサブ制御基板100(図4)や払出制御基板73(図3)などに出力する。続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ22a、第1大入賞口センサ32a、第2大入賞口センサ42a、ゲートセンサ12aなど(図3))が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S13)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板73に対して出力されるコマンドである。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、図10のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0078】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する始動口センサ検出処理(S15)、普通動作処理(S16)、特別図柄待機処理(S17)、特別図柄変動処理(S18)、その他の処理(S19)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S5)を終了する。その他の処理(S19)は、不正入賞を検知して報知するセキュリティ制御処理、磁気を利用した不正行為を検知して報知する磁気検出処理、前面枠18(図1)や内枠の開放を検知して報知する扉開放処理、電波を利用した不正行為を検知して報知する不正電波検出処理、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知して報知する衝撃検出処理などである。そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまではメイン側主制御処理のS2~S4の処理が繰り返し実行され(図10)、割込パルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S5)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S5)の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S5)にてRAM64の出力バッファにセットされたコマンドなどが所定の基板へ出力される。
【0079】
(始動口センサ検出処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する始動口センサ検出処理(図11のS15)の内容についてそれを示す図12を参照しつつ説明する。
【0080】
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート12(図1)を通過したか否かを判定し(S20)、通過したと判定した場合は(S20:Yes)、ゲート通過処理を実行する(S21)。このゲート通過処理では、普図保留数が4以上であるか否か判定し、普図保留数が4以上でなければ、普図保留数に「1」を加算し、普通図柄の抽選を行うための当たり乱数を取得して記憶する処理を行う。また、S20において、遊技球がゲート12を通過していないと判定した場合は(S20:No)、遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したか否かを判定する(S22)。ここで、遊技球が第2始動口22に入賞したと判定した場合は(S22:Yes)、第2特図保留数U2が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S23)。ここで、第2特図保留数U2が「4」に達していると判定した場合は(S23:Yes)、S28に進むが、第2特図保留数U2が「4」に達していないと判定した場合は(S23:No)、第2特図保留数U2に1を加算する(S24)。
【0081】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S25)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数カウンタがカウントする大当たり乱数と、大当たり種別乱数カウンタがカウントする大当たり種別乱数と、リーチ乱数カウンタがカウントするリーチ乱数と、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64b(図5(b))のうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に記憶する。たとえば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S26)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S25において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口に入賞したことを示すデータ、S25において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S26において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S27)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(図11のS10)においてサブ制御基板100(図4)に出力され、演出制御用マイコン101が、入力した第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0082】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したか否かを判定する(S28)。ここで、遊技球が第1始動口11に入賞したと判定した場合は(S28:Yes)、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S29)。ここで、第1特図保留数U1が「4」に達していると判定した場合は(S29:Yes)、この始動口センサ検出処理を終了するが、第1特図保留数U1が「4」に達していないと判定した場合は(S29:No)、第1特図保留数U1に1を加算する(S30)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S31)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64a(図5(a))のうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。たとえば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0083】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S32)。この第1始動入賞コマンド特定処理では、S31において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示すデータ、S31において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S32において作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S33)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(図12のS10)においてサブ制御基板100(図4)に出力され、演出制御用マイコン101が、入力した第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。なお、S22またはS28が本発明の所定の判定条件の一例であり、S22またはS28において肯定判定したことが、本発明の所定の判定条件の成立の一例である。
【0084】
(普通動作処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する普通動作処理(図11のS16)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、普図保留数の加算、普通図柄表示器53による普通図柄の変動表示、普通図柄が当たりか否かの当たり判定、当たり判定の結果が当たりであった場合の普通可変入賞装置20の開閉動作などの処理を行う。
【0085】
(特別図柄待機処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する特別図柄待機処理(図11のS17)の内容についてそれを示す図13を参照しつつ説明する。
【0086】
遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が「0」であるか否かを判定し(S40)、「0」ではないと判定した場合は(S40:No)、後述する第2特図大当たり判定処理(図14)を実行する(S41)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図変動パターン選択処理(図15図16)を実行する(S42)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2から「1」を減算し(S43)、第2特図保留記憶部64b(図5(b))の各記憶領域に格納されている各データの格納場所を、読み出される側に1つずつシフトする(S44)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理を実行する(S45)。この第2特図変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする変動開始コマンドには、後述する第2特図大当たり判定処理(図14)においてセットされた特図停止図柄のデータや第2特図変動パターン選択処理(図15図16)においてセットされた特図変動パターンのデータが含まれている。
【0087】
また、遊技制御用マイコン61は、S40において、第2特図保留数U2が「0」であると判定した場合は(S40:Yes)、第1特図保留数U1が「0」であるか否かを判定し(S46)、「0」ではないと判定した場合は(S46:No)、後述する第1特図大当たり判定処理(図14)を実行する(S47)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図変動パターン選択処理(図15図16)を実行する(S48)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1から「1」を減算し(S49)、第1特図保留記憶部64a(図5(a))の各記憶領域に格納されている各データの格納場所を、読み出される側に1つずつシフトする(S50)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S51)。この第1特図変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする変動開始コマンドには、後述する第1特図大当たり判定処理(図14)においてセットされた特図停止図柄のデータや第1特図変動パターン選択処理(図15図16)においてセットされた変動パターンのデータが含まれている。
【0088】
また、遊技制御用マイコン61は、S46において、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合は(S61:Yes)、演出表示装置7が待機画面(客待ち用のデモ画面)を表示しているか否かを判定する(S52)。ここで、待機画面を表示していると判定した場合(S52:Yes)は、この特別図柄待機処理を終了し、待機画面を表示していないと判定した場合は(S52:No)、待機画面設定処理を実行する(S53)。この待機画面設定処理では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。
また、本実施形態では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留数U2が「0」の場合(S40:Yesの場合)に限って行われる。つまり、第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
【0089】
(第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理))
次に、遊技制御用マイコン61が実行する第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理):図13のS41)の内容についてそれを示す図14を参照しつつ説明する。なお、第2特図大当たり判定処理(図13のS41)と第1特図大当たり判定処理(図13のS47)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。また、第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bに共通の事項を説明する場合は、単に特図保留記憶部という。
【0090】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数を読出し(S60)、大当たり判定テーブルTA1(図6(a))を参照する(S61)。続いて、遊技制御用マイコン61は、確変フラグがONしているか否か、つまり、現在の遊技状態が高確率状態であるか否かを判定する(S62)。なお、確変フラグは、大当たり遊技中に第2大入賞口42(図1)に入賞した遊技球が特定領域を通過したときにONになる。ここで、確変フラグがONしていない、つまり、通常確率状態であると判定した場合は(S62:No)、大当たり判定テーブルTA1のうち、通常確率状態の大当たり乱数を参照し、S60において読出した大当たり乱数と同じ大当たり乱数が存在するか否か、つまり、大当たりか否かを判定する(S63)。たとえば、S60において読出した大当たり乱数が「7」であった場合は、大当たり判定テーブルTA1のうち、通常確率状態の大当たり乱数0~164の中に「7」が存在するため、大当たりと判定する(S63:Yes)。
【0091】
遊技制御用マイコン61は、S63において大当たりと判定した場合は(S63:Yes)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、複数の大当たりの種類が設定された大当たり種別判定テーブル(図示省略)を参照し、大当たりの種類を判定する(S65)。大当たりの種類によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数および大当たり演出図柄などが異なる。ここで、振分率とは、大当たり種別判定テーブルに設定されている複数種類の大当たりのうち、所定の大当たりが選択される確率のことである。また、最大ラウンド数とは、大当たり遊技における実行可能な最大ラウンド数のことである。
【0092】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定において、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONし(S66)、S65において判定した大当たりの種類に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S67)、この第2特図大当たり判定処理を終える。また、S63において、大当たりではない、つまり、ハズレと判定した場合は(S63:No)、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図柄データを特図バッファにセットし(S67)、この第2特図大当たり判定処理を終える。
また、遊技制御用マイコン61は、S62において確変フラグがONしている、つまり、現在の遊技状態が高確率状態であると判定した場合は(S62:Yes)、大当たり判定テーブルTA1のうち、高確率状態の大当たり乱数を参照し、S60において読出した大当たり乱数と同じ大当たり乱数があるか否か、つまり、大当たりか否かを判定する(S64)。たとえば、S60において読出した大当たり乱数が「600」であった場合は、大当たり判定テーブルTA1のうち、高確率状態の大当たり乱数0~649の中に「600」が存在するため、大当たりと判定する(S64:Yes)。続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たりの種別を判定し(S65)、大当たりフラグをONし(S66)、特図停止図柄データを特図バッファにセットし(S67)、この第2特図大当たり判定処理を終える。なお、S63またはS64が本発明の当否判定手段の一例である。
【0093】
(第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理))
次に、遊技制御用マイコン61が実行する第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理):図13のS42,S48)の内容についてそれを示す図15および図16を参照しつつ説明する。なお、第2特図変動パターン選択処理(図13のS42)と第1特図変動パターン選択処理(図13のS48)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。また、第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bに共通の事項を説明する場合は、単に特図保留記憶部という。
【0094】
遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態中であるか否かを判定し(S70)、時短状態中ではないと判定した場合は(S70:No)、大当たりフラグがONしているか否かを判定する(S71)。ここで、大当たりフラグがONしていると判定した場合は(S71:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S72)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTA3のうち、非時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得した変動パターン乱数が「50」であった場合は、特図変動パターン選択テーブルTA3において非時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数0~94と対応付けられている特図変動パターンP1を選択する。
続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0095】
また、遊技制御用マイコン61は、S71において大当たりフラグがONしていない、つまり、ハズレと判定した場合は(S71:No)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S73)。つまり、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルTA2(図6(b))のうち、非時短状態に設定されているリーチ乱数であるか否かを判定する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が「20」であった場合は、リーチ乱数「20」は、非時短状態に設定されているリーチ乱数0~27に存在するため、リーチ成立乱数であると判定する(S73:Yes)。ここで、遊技制御用マイコン61は、リーチ乱数がリーチ成立乱数であると判定した場合は(S73:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S74)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTA3のうち、非時短状態でリーチ有りハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得した変動パターン乱数が「30」であった場合は、特図変動パターン選択テーブルTA3において変動パターン乱数10~99と対応付けられている特図変動パターンP4を選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0096】
また、遊技制御用マイコン61は、S73においてリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合は(S73:No)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S75)。本実施形態では、リーチ無しハズレの場合は、取得した変動パターン乱数に基づく特図変動パターンの選択は無く、特図保留数が0~2の場合は特図変動パターンP5を選択し、特図保留数が3~4の場合は特図変動パターンP6を選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0097】
また、遊技制御用マイコン61は、S70において時短状態中であると判定した場合は(S70:Yes)、大当たりフラグがONしているか否かを判定する(図16のS77)。ここで、大当たりフラグがONしていると判定した場合は(S77:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S78)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTA3のうち、時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。本実施形態では、特図変動パターン選択テーブルTA3の時短状態の大当たりには、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数0~99と同じ範囲の変動パターン乱数が設定されているため、取得した変動パターン乱数に関係無く特図変動パターンP11が選択される。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(図15のS76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0098】
また、遊技制御用マイコン61は、S77において大当たりフラグがONしていない、つまり、ハズレと判定した場合は(S77:No)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S79)。つまり、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルTA2(図6(b))のうち、時短状態に設定されているリーチ乱数であるか否かを判定する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が「8」であった場合は、リーチ乱数「8」は、時短状態に設定されているリーチ乱数0~11に存在するため、リーチ成立乱数であると判定する(S79:Yes)。ここで、遊技制御用マイコン61は、リーチ乱数がリーチ成立乱数であると判定した場合は(S79:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S80)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTA3のうち、時短状態でリーチ有りハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。本実施形態では、特図変動パターン選択テーブルTA3の時短状態のリーチ有りハズレには、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数0~99と同じ範囲の変動パターン乱数が設定されているため、取得した変動パターン乱数に関係無く特図変動パターンP12が選択される。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(図15のS76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0099】
また、遊技制御用マイコン61は、S79においてリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合は(S79:No)、特図変動パターン選択テーブルTA3(図7)を参照して特図変動パターンを選択する(S81)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTA3のうち、時短状態でリーチ無しハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。本実施形態では、リーチ無しハズレの場合は、取得した変動パターン乱数に基づく特図変動パターンの選択は無く、特図保留数が0~1の場合は特図変動パターンP13を選択し、特図保留数が2~4の場合は特図変動パターンP14を選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(図3)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(図15のS76)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
S76において特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS45(図13)においてセットされる変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(図11のS10)により、サブ制御基板100(図4)へ出力される。また、第1特図変動パターン選択処理も第2特図変動パターン選択処理と同じ流れで実行され、S76において特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS51(図13)においてセットされる変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(図11のS10)により、サブ制御基板100(図4)へ出力される。なお、特図変動パターンが本発明の第1演出の一例であり、S72,S74,S75,S78,S80,S81が、本発明の第1演出決定手段の一例である。
【0100】
(特別図柄変動処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する特別図柄変動処理(図11のS18)の内容についてそれを示す図17を参照しつつ説明する。
【0101】
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間(図13のS42またはS48において選択された特図変動パターンに応じて決まる変動時間、図7参照)が終了したか否かを判定する(S90)。ここで、終了していないと判定した場合は(S90:No)、この特別図柄変動処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。一方、終了したと判定した場合は(S90:Yes)、特別図柄の変動表示を停止させるための変動停止コマンドをRAM64(図3)に設けたコマンドバッファにセットする(S91)。続いて、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示を、第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理)のS67(図14)においてセットした特図停止図柄データに応じた図柄(特図の大当たり図柄または特図のハズレ図柄)で停止させる特別図柄停止処理を実行する(S92)。
【0102】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技状態管理処理を実行する(S93)。この遊技状態管理処理では、確変フラグがONになっているか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、高確率状態中における特別図柄の変動回数を減算方式でカウントする確変カウンタの値を1減算し、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」であると判定した場合は、確変フラグをOFFにする。続いて、時短フラグがONになっているか否か判定し、ONになっていると判定した場合は、時短状態中における特別図柄の変動回数を減算方式でカウントする時短カウンタの値を1減算し、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」であると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。遊技制御用マイコン61は、各フラグの情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、遊技状態管理処理を終える。RAM64の出力バッファにセットされた遊技状態指定コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(図11のS10)においてサブ制御基板100に出力される。これにより、演出制御用マイコン101(図4)は、遊技制御用マイコン61から入力した遊技状態指定コマンドにより、遊技状態を検知可能になる。
【0103】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONになっているか否かを判定し(S94)、ONになっていると判定した場合は(S94:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する(S95)。この遊技状態リセット処理では、確変フラグがONになっているか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、確変フラグをOFFにする。また、時短フラグがONになっているか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。つまり、大当たり遊技の実行中は、通常確率状態かつ非時短状態に制御される。
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技を開始するために、大当たりオープニング設定を行い(S96)、大当たりオープニングを実行させるためのオープニングコマンドをセットする(S97)。大当たりオープニングとは、大当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、大当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。オープニング設定では、大当たり遊技のオープニングの実行時間を所定のタイマにセットする。
続いて、遊技制御用マイコン61は、特別電役作動有効カウンタの値をセットし(S98)、この特別図柄変動処理を終える。特別電役作動有効カウンタは、大当たり遊技におけるラウンド数の残回数をカウントするカウンタである。また、S94において大当たりフラグがONになっていないと判定した場合は(S94:No)、この特別図柄変動処理を終える。
【0104】
(サブ側主制御処理)
次に、演出制御用マイコン101(図4)が実行するサブ側主制御処理についてそれを示す図18を参照しつつ説明する。
【0105】
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S100)。この初期設定では、たとえば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102(図4)の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどのリセットなどを行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120(図4)の内容が正常であるか否かを判定し(S101)、ここで否定判定した場合は(S101:No)、RAM120(図4)を初期化し(S102)、S103に進む。また、S101において肯定判定した場合は(S101:Yes)、RAM120を初期化しないでS103に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S101:No)、RAM120を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S101:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどの値はリセットされる。また、このS100~S102は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0106】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S103)、乱数更新処理を実行する(S104)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数などがある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド出力処理を実行する(S105)。このコマンド出力処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200などに出力する。画像制御基板200は、入力したコマンドにしたがって、演出表示装置7に各種の演出(演出図柄変動パターンの表示、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)など)を実行させる。
【0107】
なお、画像制御基板200による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板100は、音声制御基板78(図4)を介して各スピーカ8(図1)から音声を出力したり、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bを発光させたり、可動体15を駆動させたりする。
続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S106)。以降、S103~S106を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、入力割込処理(S107)、1msタイマ割込処理(S108)および10msタイマ割込処理(S109)の実行が可能となる。
【0108】
(入力割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する入力割込処理(図18のS107)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60(図3)から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを入力するタイミングであるか否かを判定する。具体的には、たとえば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、入力するタイミングでなはないと判定した場合は、この入力割込処理を終え、入力するタイミングであると判定した場合は、主制御基板60から出力された各種のコマンドを入力し、それら入力した各種のコマンドをRAM120の入力バッファに格納する。この入力割込処理は、他の割込処理(S108、S109)に優先して実行される処理である。
【0109】
(1msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する1msタイマ割込処理(図18のS108)についてそれを示す図19を参照しつつ説明する。
【0110】
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S110)。この入力処理では、演出ボタン検出スイッチ9a、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b(図4)からの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータおよびレベルデータ)を作成する。続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S111)。この出力処理では、後述する変動演出開始処理のS165(図23)においてRAM120のコマンドバッファにセットされる変動開始コマンドを画像制御基板200(図4)に出力する。また、演出に合うタイミングで盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23b(図4)を発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(図20のS123)などで作成したランプデータをランプ制御基板79(図4)に出力する。ランプ制御基板79に搭載されたランプ制御用マイコン(図示せず)は、ランプ制御基板79に入力したランプデータに従って盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出に合うタイミングで可動体15(図4)を駆動させるために、駆動データ(可動体15を駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体15を所定の動作パターンで駆動させる。
【0111】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したか否かを判定する(S112)。変動開始コマンドは、後述する変動演出開始処理のS165(図23)においてRAM120のコマンドバッファにセットされ、S111において画像制御基板200に出力される。ここで、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したと判定した場合は(S112:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S113)。続いて、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行い(S114)、この1msタイマ割込処理を終える。
【0112】
(10msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する10msタイマ割込処理(図18のS109)についてそれを示す図20を参照しつつ説明する。
【0113】
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する入力コマンド解析処理(図21)を実行し(S120)、スイッチ状態取得処理を実行する(S121)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(図19のS110)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出などの表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S122)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S123)。このランプ処理では、ランプデータ(盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bの発光を制御するためのデータ)の作成や発光演出の時間管理などを行う。これにより、各ランプは、実行する演出に合った発光演出を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S124)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78(図4)への出力、音声演出の時間管理などを行う。これにより、実行する演出に合った音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S125)、この10msタイマ割込処理を終える。その他の処理(S125)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数などを更新するなどの処理を実行する。
【0114】
(入力コマンド解析処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する入力コマンド解析処理(図20のS120)についてそれを示す図21を参照しつつ説明する。
【0115】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から遊技状態指定コマンドを入力したか否かを判定し(S130)、入力したと判定した場合は(S130:Yes)、サブ側遊技状態設定処理を実行する(S131)。遊技状態指定コマンドには、遊技状態(通常確率状態か高確率状態か、時短状態か非時短状態か)を示すデータなどが含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、入力した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれているデータに基づき、遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、現時点で設定されている遊技状態を示すフラグである。遊技状態指定コマンドに含まれている情報が通常確率状態かつ非時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「1」をセットする。また、通常確率状態かつ時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「2」をセットする。また、高確率状態かつ時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「3」をセットする。
【0116】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを入力したか否かを判定し(S132)、入力したと判定した場合は(S132:Yes)、オープニング演出選択処理を実行する(S133)。このオープニング演出選択処理では、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、入力したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0117】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを入力したか否かを判定し(S134)、入力したと判定した場合は(S134:Yes)、ラウンド演出選択処理を実行する(S135)。このラウンド演出選択処理では、大当たり遊技の各ラウンドにおいて実行する演出の種類を選択する。この演出は、演出表示装置7が表示する画像および各スピーカ8が出力する音声などによる演出であり、大当たりの種類によって異なる。詳しくは、大当たりの種類とラウンド指定コマンドとラウンド演出とが対応付けられたラウンド演出テーブル(図示せず)を参照し、大当たりの種類および入力したラウンド指定コマンドと対応付けられているラウンド演出を選択する。
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から第2大入賞口入賞コマンドを入力したか否かを判定し(S136)、入力したと判定した場合は(S136:Yes)、第2大入賞口入賞時処理を実行する(S137)。この第2大入賞口入賞時処理では、第2大入賞口42に入賞した遊技球が特定領域を通過したか否かに応じて異なる演出を選択する処理などを行う。
【0118】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを入力したか否かを判定し(S138)、入力したと判定した場合は(S138:Yes)、エンディング演出選択処理を実行する(S139)。このエンディング演出選択処理では、実行中の大当たり遊技の契機となった大当たりの種類に応じて、大当たりの終了時に演出表示装置7および各スピーカ8により実行するエンディング演出の種類を選択することなどを行う。続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンド)を入力したか否かを判定し(S140)、入力したと判定した場合は(S140:Yes)、後述する先読み演出判定処理(図22)を実行する(S141)。続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から変動開始コマンドを入力したか否かを判定し(S142)、入力したと判定した場合は(S142:Yes)、後述する変動演出開始処理(図23)を実行する(S143)。
【0119】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60が出力した変動停止コマンドを入力したか否かを判定し(S144)、入力したと判定した場合は(S144:Yes)、後述する同一性判定処理(図24)を実行する(S145)。続いて、演出制御用マイコン101は、後述する変動演出終了処理(図25)を実行する(S146)。この変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。そのセットした変動演出終了コマンドはコマンド出力処理(図18のS105)によって画像制御基板200に出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S147)、この入力コマンド解析処理を終える。その他の処理(S147)では、上記各コマンド以外のコマンド(たとえば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理などを行う。なお、変動停止コマンドが、本発明の終了コマンドの一例である。
【0120】
(先読み演出判定処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する先読み演出判定処理(図21のS141)についてそれを示す図22を参照しつつ説明する。
【0121】
演出制御用マイコン101は、RAM120の入力バッファに格納されている始動入賞コマンドをRAM120の特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:図8)に記憶する(S150)。詳しくは、入力した始動入賞コマンドが第1始動入賞コマンドであった場合は、第1特図保留演出記憶部121に記憶し、第2始動入賞コマンドであった場合は、第2特図保留演出記憶部122に記憶する。なお、入力した始動入賞コマンドは、各特図保留演出記憶部の第1~第4記憶領域のうち、当該始動入賞コマンドが記憶されていない最も番号の小さい記憶領域に記憶される。これにより、特図保留の記憶順に対応した順で始動入賞コマンドが記憶されて行くことになる。続いて、演出制御用マイコン101は、S150において記憶した始動入賞コマンドが第1始動入賞コマンドであった場合は、第1特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新し、第2始動入賞コマンドであった場合は、第2特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新する(S151)。第1特図保留演出カウンタは、第1始動入賞コマンドの入力に基づいて第1特図保留数に対応する数をカウントするカウンタであり、第2特図保留演出カウンタは、第2始動口入賞コマンドの入力に基づいて第2特図保留数に対応する数をカウントするカウンタである。このため、第1特図保留演出カウンタの値は、第1特図保留数と同期して増減し、第2特図保留演出カウンタの値は、第2特図保留数と同期して増減する。
【0122】
続いて、演出制御用マイコン101は、事前判定を行う(S152)。この事前判定では、S150において特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:図8)に記憶した始動入賞コマンドに含まれている大当たり乱数が、大当たり判定(図14のS63,S64)において大当たりと判定される大当たり乱数であるか否かを判定する。つまり、遊技制御用マイコン61が大当たり判定(図14のS63,S64)を行う前に大当たり判定(事前判定)を行う。大当たり判定テーブルTA1(図6(a))は、サブ制御基板100のROM110(図4)にも記憶されており、演出制御用マイコン101は、大当たり判定テーブルTA1を参照して大当たり判定(事前判定)を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、大当たり判定において大当たりと判定される大当たり乱数を含む始動入賞コマンドが特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:図8)に記憶されているか否か、つまり、大当たりが有るか否かを判定する(S153)。ここで、大当たりが有ると判定した場合は(S153:Yes)、事前判定において大当たりが存在したことを示す先読み大当たりフラグをONする(S154)。
【0123】
(変動演出開始処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する変動演出開始処理(図21のS143)についてそれを示す図23を参照しつつ説明する。
【0124】
演出制御用マイコン101は、入力した変動開始コマンドを解析する(S160)。変動開始コマンドには、第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理):図13のS42,S48)でセットされた第2特図変動パターンの情報、または、第1特図変動パターンの情報が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101は、S160において解析した変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである場合は、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する(S161)。続いて、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:図8)に記憶されている始動入賞コマンドなどの各データの格納場所をシフトさせる(S162)。続いて、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(図1)の組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択する(S163)。
【0125】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出パターン選択処理を実行する(S164)。この変動演出パターン選択処理では、変動演出パターン乱数カウンタがカウントする変動演出パターン乱数を取得する。そして、変動演出パターン選択テーブルTA4(図9)を参照し、S160における解析により得た特図変動パターンの情報に基づいて、その特図変動パターンと対応付けられている変動演出パターンのうち、上記の取得した変動演出パターン乱数と対応付けられている変動演出パターンを選択する。たとえば、取得した変動演出パターン乱数が「30」であり、特図変動パターンの情報が特図変動パターンP1を示す情報であった場合は、変動演出パターン選択テーブルTA4のうち、特図変動パターンP1の変動演出パターン乱数0~69と対応付けられているSPリーチAを選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、S164において選択した変動演出パターンを演出表示装置7などに開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S165)。なお、S164が、本発明の第2演出決定手段の一例である。
【0126】
(同一性判定処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する同一性判定処理(図21のS145)について図を参照しつつ説明する。図24は、演出制御用マイコンが実行する同一性判定処理のフローチャートである。図26は、本来の変動時間、実行中の変動時間および変更後の変動時間のタイムチャートである。図27は、変更用変動演出パターン選択テーブルの説明図である。図28は、演出表示装置に表示される変動演出パターンの一例を示す説明図である。
【0127】
演出制御用マイコン101は、現在、演出表示装置7(図1)が変動表示している変動演出パターンの残りの変動時間αT(図26)を演算する(図24のS170)。続いて、演出制御用マイコン101は、残りの変動時間αTが1秒以上か否かを判定する(S171)。
本来、変動演出パターンの変動開始時間は、特図変動パターンの変動開始時間と同期しており、かつ、変動演出パターンの変動停止時間は、特図変動パターンの変動停止時間と同期している。また、この同一性判定処理は、主制御基板60から出力された変動停止コマンドを入力したタイミングで実行する(図21の(S144:Yes))。したがって、主制御基板60から出力された変動停止コマンドを入力したタイミングでは、変動演出パターンの残りの変動時間αTは、本来であれば略0秒であり、遊技制御用マイコン61および演出制御用マイコン101における割込処理の実行周期のずれなどを考慮しても、1秒未満である。換言すると、S171における判定は、現在、演出表示装置7が表示している変動演出パターンの終了時間よりも1秒以上前に主制御基板60から変動停止コマンドを入力したか否かを判定する内容である。
以上より、変動演出パターンの残りの変動時間αTが1秒以上か否かの判定は、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果とに同一性が有るか否かを判定することと等しい。
【0128】
変動演出パターンの残りの変動時間αTが1秒以上になっている状態は、現在、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンの変動時間よりも、現在、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンの変動時間の方が長い可能性が高いことを表している。図7に示したように、非時短状態において大当たり判定の結果が大当たりであった場合の特図変動パターンおよび変動演出パターンの各変動時間は、240,000ms(240s)~360,000ms(360s)であり、ハズレであった場合の変動時間は、5,000ms(5s)~40,000ms(40s)である。また、時短状態において大当たり判定の結果が大当たりであった場合の特図変動パターンおよび変動演出パターンの各変動時間は、30,000ms(30s)~40,000ms(40s)であり、ハズレであった場合の変動時間は、2,500ms(2.5s)~10,000ms(10s)である。つまり、非時短状態および時短状態のいずれの場合でも、大当たり判定の結果が大当たりであった場合に選択される特図変動パターンおよび変動演出パターンの各変動時間は、ハズレであった場合のそれらよりも1秒以上長い。
【0129】
このため、変動演出パターンの残りの変動時間αTが1秒以上であるということは、現在、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンが、ハズレを報知することになる特図変動パターンであり、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンが、大当たりを報知することになる変動演出パターンということになる。このような状態になる原因として、主制御基板60が、始動入賞コマンドおよび変動開始コマンドなどのデータをサブ制御基板100へ出力するための信号線L1が、ノイズなどの電磁気的影響を受け、コマンドを構成するデータが化けた(たとえば、0が1に変化した、または、1が0に変化した)ことが推測される。つまり、主制御基板60からサブ制御基板100へ出力した、ハズレに対応する特図変動パターンに関するデータが、ノイズなどの電気的影響を受けて、大当たりに対応する特図変動パターンに関するデータに変化したと推測される。
また、他の原因として、演出制御用マイコン101が変動演出パターン選択テーブルTA4(図9)から変動演出パターンを選択する際に、演出制御用マイコン101がノイズなどの電磁気的影響を受け、選択した変動演出パターンを構成するデータが化けたことが推測される。つまり、演出制御用マイコン101が選択した、ハズレに対応する変動演出パターンが、ノイズなどの電磁気的影響を受けて、大当たりに対応する変動演出パターンに変化したと推測される。
【0130】
演出制御用マイコン101は、残りの変動時間αTが1秒以上である、つまり、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果とに同一性が無いと判定した場合は(S171:Yes)、現在、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンを解析し、変動演出パターンを特定する(S172)。続いて、演出制御用マイコン101は、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5(図27)を参照し(S173)、S172における解析結果に対応する変更用変動演出パターンを変更用変動演出パターン選択テーブルTA5から選択する(S174)。また、図示しないが、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5に対応する音楽テーブル(図示せず)が、音声制御基板78(図4)に搭載された音声データROM(図示せず)に記憶されており、音声制御基板78に搭載された音声制御用CPU(図示せず)は、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5から選択された変更用変動演出パターンに対応する音楽を音楽テーブルから選択する。また、図示しないが、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5に対応する発光パターンテーブルが、ランプ制御基板79(図4)に搭載されたランプ制御用マイコンのROM(図示せず)に記憶されており、ランプ制御用マイコンは、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5から選択された変更用変動演出パターンに対応する発光パターンを発光パターンテーブルから選択する。
【0131】
ここで、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5について図27を参照しつつ説明する。
変更用変動演出パターン選択テーブルTA5は、演出表示装置7が誤って大当たりに対応する変動演出パターンを変動表示しているときに、その変動演出パターンをハズレに対応する変動演出パターンに変更するためのテーブルである。変更用変動演出パターン選択テーブルTA5は、変動演出パターンと変更用変動演出パターンとを対応付けて構成されている。変更用変動演出パターンは、大当たりに対応する変動演出パターンを、変動表示の途中から、ハズレに対応する変動演出パターンに変更するための変動演出パターンである。変更用変動演出パターン選択テーブルTA5に記載の特図変動パターンは、特図変動パターンとの対応関係を分かり易くするために参考として記載してある。
【0132】
大当たり判定の結果がハズレであった場合に、特別図柄表示器が、ハズレに対応する特図変動パターンを変動表示しているが、演出表示装置7が、誤って大当たりに対応する変動演出パターンを変動表示するケースとしては、複数のケースが考えられる。具体的には、非時短状態において、特別図柄表示器がハズレに対応する特図変動パターンP3~P6のいずれかを変動表示しているときに、演出表示装置7が、大当たりに対応する変動演出パターンであるSPリーチA~Dのいずれかを誤って変動表示することが考えられる。また、時短状態において、特別図柄表示器がハズレに対応する特図変動パターンP12~P14を変動表示しているときに、演出表示装置7が、大当たりに対応する変動演出パターンであるSPリーチGを誤って変動表示することが考えられる。変更用変動演出パターン選択テーブルTA5は、それらの各ケースに対応するように構成されている。
【0133】
変動演出パターンのSPリーチAには、変更用変動演出パターンとしてSPリーチAハズレが対応付けられている。つまり、特別図柄表示器が、ハズレに対応する特図変動パターンP3を変動表示しているときに、演出表示装置7が、誤って大当たりに対応するSPリーチAを変動表示している場合は、そのSPリーチAの変動表示の途中で、SPリーチAハズレに変更する。特図変動パターンP3の変動時間が40sであるのに対して、SPリーチAの変動時間は240sであり(図7図9)、変動時間差が200sある。このため、特図変動パターンP3の変動表示を終了したときに、SPリーチAの変動時間は200s残っている。SPリーチAの変動表示が開始されてから40s経過したときに、SPリーチAをSPリーチAハズレに切替えるが、その切替えるときの画像の繋ぎ目が不自然であると、演出効果が損なわれるし、大当たりの発生を期待している遊技者が不信感を抱くおそれもある。そこで、SPリーチAハズレは、SPリーチAが変動表示開始から40s経過した時点の画像と関連性を有する画像から始まるように構成されている。また、SPリーチAハズレは、SPリーチAの動画像が示すストーリーと関連性を有するストーリーを有する。さらに、SPリーチAハズレに伴って各スピーカ8から出力される音楽や効果音は、SPリーチAが変動表示されるときの音楽や効果音と関連性を有する。さらに、SPリーチAハズレに伴って実行される各ランプの発光パターンは、SPリーチAが変動表示されるときに実行される各ランプの発光パターンと関連性を有する。
【0134】
また、特別図柄表示器がハズレの特図を確定表示しているときに、演出表示装置7が変動演出パターンを変動表示していると、ハズレが確定しているのに演出だけが継続されているという不自然な状態になってしまう。そこで、SPリーチAハズレは、SPリーチAから切替えた直後に各演出図柄をリーチの状態にし、その後、短時間でハズレ演出図柄を確定表示させる構成になっている。たとえば、SPリーチAハズレは、SPリーチAから切替えた直後に各演出図柄をリーチの状態にし、その後、変動表示している演出図柄を、リーチになったときから略1回転させて、ハズレ演出図柄にて停止させる構成である。SPリーチAハズレは、そのような構成であるため、変動時間は、たとえば、0.5~1sである。
SPリーチB~SPリーチGと、SPリーチBハズレ~SPリーチハズレGとの各関係も、上述したSPリーチAとSPリーチAハズレとの関係と同じように、切替えるたきの演出の不自然さが出ない関係にそれぞれなっており、かつ、SPリーチBハズレ~SPリーチハズレGは、切替えてからリーチを経て短時間でハズレ図柄を確定表示する構成にそれぞれなっている。
【0135】
たとえば、演出制御用マイコン101は、S172における解析の結果、現在、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンが、SPリーチAであった場合は、変更用変動演出パターン選択テーブルTA5を参照し(S173)、SPリーチAと対応付けられているSPリーチAハズレを選択する(S174)。続いて、演出制御用マイコン101は、左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rの各ハズレ演出図柄を選択する(S176)。ハズレ演出図柄の選択は、ハズレ演出図柄選択乱数およびハズレ演出図柄選択テーブルを用いて行う。ハズレ演出図柄選択テーブルは、0~8のハズレ演出図柄選択乱数と、1~9のハズレ演出図柄とを対応付けて構成されている。演出制御用マイコン101は、0~8のハズレ演出図柄選択乱数をカウントするカウンタからハズレ演出図柄選択乱数を取得し、その取得したハズレ演出図柄選択乱数と対応付けられているハズレ演出図柄をハズレ演出図柄選択テーブルから選択する。選択した3つのハズレ演出図柄の組み合わせが大当たり演出図柄であった場合は、ハズレ演出図柄の選択をやり直す。
【0136】
続いて、演出制御用マイコン101は、現在、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンを、S174において選択した変更用変動演出パターンに切替える(S177)。たとえば、S174において選択した変更用変動演出パターンが、SPリーチAハズレであった場合は、現在、演出表示装置7が変動表示しているSPリーチAをSPリーチAハズレに切替える。また、現在、各スピーカ8が出力している音楽および各ランプによる演出も、SPリーチAハズレに対応する演出にそれぞれ切替える。続いて、演出制御用マイコン101は、切替えた変更用変動演出パターンの変動時間βTの計測を開始する(S178)。本実施形態では、変動時間βTをカウントダウンするカウンタをセットし、そのカウンタにより変動時間を計測する。前述したように、切替えた変更用変動演出パターンの変動時間βTは、切替える前の変動演出パターンの残りの変動時間αTよりも短い(図26)。なお、S171が本発明の同一性判定手段の一例であり、変更用変動演出パターンが、第2演出により報知される判定結果と異なる判定結果を報知する演出の一例である。また、現在、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンが、本発明の同一性判定手段の判定対象となった第2演出の一例である。また、S173~S177が演出変更手段の一例であり、残りの変動時間αTが本発明の第1時間の一例である。
また、S171は、演出表示装置7が変動演出パターンを変動表示している途中であって、その変動表示を終了時間よりもαT時間以上前に、サブ制御基板100が変動停止コマンドを入力したか否かという判定内容に変更することができる。この場合、αT時間が、本発明の第2時間の一例である。
【0137】
(変動演出終了処理)
次に、演出制御用マイコン101が、入力コマンド解析処理のS146(図21)において実行する変動演出終了処理について図25を参照しつつ説明する。
【0138】
演出制御用マイコン101は、同一性判定処理のS178(図24)において計測を開始した変動時間βTを計測中であるか否かを判定し(S180)、計測中であると判定した場合は(S180:Yes)、変動時間βTが0になったか否か(タイムアップしたか否か)を判定する(S181)。ここで、演出制御用マイコン101は、変動時間βTが0になったと判定した場合は(S181:Yes)、変動演出パターンの変動表示を停止し、同一性判定処理のS176(図24)において選択した各ハズレ演出図柄を各表示領域に確定表示する(S182)。また、演出制御用マイコン101は、S180において、変動時間βTを計測中ではないと判定した場合は(S180:No)、変動演出パターンの変動表示を停止し、大当たり判定の結果に対応した演出図柄を選択し、それを確定表示する(S183)。
変動時間βTを計測中ではない状態は、同一性判定処理のS171(図24)において残りの変動時間αTが1秒以上ではなかったと判定した場合、つまり、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果との同一性が有ると判定した場合であるから、通常通り、大当たり判定の結果に対応した演出図柄を選択する。大当たり判定の結果が大当たりであった場合は、大当たり演出図柄を選択する。
【0139】
大当たり演出図柄の選択は、大当たり演出図柄選択乱数および大当たり演出図柄選択テーブルを用いて行う。大当たり演出図柄選択テーブルは、大当たりの種類毎に設定された複数の大当たり演出図柄選択乱数と、複数種類の大当たり演出図柄とを対応付けて構成されている。演出制御用マイコン101は、複数の大当たり演出図柄選択乱数をカウントするカウンタから大当たり演出図柄選択乱数を取得し、その取得した大当たり演出図柄選択乱数と対応付けられている大当たり演出図柄を大当たり演出図柄選択テーブルから選択する。また、大当たり判定の結果がハズレであった場合は、同一性判定処理のS175,S176にて実施したように、ハズレ演出図柄選択乱数およびハズレ演出図柄選択テーブルを用いてハズレ演出図柄を選択する。
【0140】
図26に示す例では、演出表示装置7が本来表示すべき変動演出パターンの変動時間がFT1であるのに対し、実行中の変動演出パターンの変動時間がFT1よりもαT長いFT2になっている。そして、サブ制御基板100が、時間t1のときに主制御基板60から変動停止コマンドを入力しており、このとき、同一性判定処理が実行され、実行中の変動演出パターンが変更用変動演出パターンに変更されている。そして、変更用変動演出パターンは、変更からβT時間経過時に変動停止している。
【0141】
図28(1),(2)に示す例では、SPリーチAとして、飛行機が離陸する背景動画像H1が演出表示装置7に表示されている。SPリーチAは、大当たり判定の結果が大当たりであった場合に選択され得る変動演出パターンであり、離陸した飛行機が目的地に到着したときに大当たり演出図柄が確定表示される内容である。そして、主制御基板60から変動停止コマンドを入力したときに実行した同一性判定処理の結果、大当たり判定の結果がハズレであり、演出表示装置7が誤ってSPリーチAを変動表示していると判定すると、SPリーチAをSPリーチAハズレに変更する。図28(3),(4)に示す例では、SPリーチAハズレは、離陸して高度を上げていた飛行機が高度を下げ、目的地に到着することなく出発空港へ戻って着陸する背景動画像H2を表示している。
【0142】
各図において、演出表示装置7の画面の片隅に表示されている画像G1,G2は、左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(図1)が縮小された状態を示す画像である。画像G1,G2において下向きの矢印は、演出図柄が変動表示されている様子を模式的に示すものである。画像G2は、左演出図柄9Lおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で停止しており、中演出図柄9Cのみが変動しているリーチの状態を示す。同図(4)に示す例では、確定表示された中演出図柄9Cはハズレ演出図柄6になっており、「767」のハズレ演出図柄が確定表示されている。このように、演出表示装置7が、本来、ハズレに対応する変動演出パターンを変動表示すべきところ、ノイズなどの電磁気的影響により、誤って大当たりに対応する変動演出パターンを表示した場合であっても、ハズレの変動演出パターンに変更することができる。
【0143】
[第1実施形態の効果]
(1)前述したように、演出制御用マイコン101は、主制御基板60が出力した変動停止コマンドをサブ制御基板100を介して入力したときの変動演出パターンの残りの変動時間αTが1秒以上あると判定した場合は、特別図柄表示器が変動表示している特図変動パターンは、大当たり判定の結果がハズレであった場合の特図変動パターンであるのに対して演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンは、大当たり判定の結果が大当たりであった場合の変動演出パターンであり、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果との間には同一性が無いと判定し、演出表示装置7が変動表示している大当たり用の変動演出パターンをハズレ用の変動演出パターンに変更する。
したがって、第1実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果とが異なるおそれのないパチンコ遊技機を提供することができる。
【0144】
(2)しかも、演出表示装置7が変動表示している変動演出パターンと、その変動表示の途中から変更する変動演出パターンとは関連性を有する演出であるため、変動演出パターンを途中から変更しても遊技者が違和感を抱くおそれがない。
【0145】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態のパチンコ遊技機について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機は、変動開始コマンドおよび変動演出パターンを解析することにより、特図変動パターンと変動演出パターンとの同一性を判定することを特徴とする。なお、本実施形態のパチンコ遊技機は、係る特徴以外は、前述した第1実施形態のパチンコ遊技機1と同一であるため、その同一部分の説明を省略する。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同一の構成については同一の符号を用いる。
【0146】
(同一性判定処理2)
演出制御用マイコン101が実行する同一性判定処理2について図29および図30を参照しつつ説明する。図29は、演出制御用マイコン101が実行する変動演出開始処理2のフローチャートであり、図30は、演出制御用マイコン101が図29に示す変動演出開始処理2において実行する同一性判定処理2のフローチャートである。
【0147】
演出制御用マイコン101は、変動演出開始処理2において変動演出パターン選択処理(図29のS164)を実行すると、同一性判定処理2を実行する(S164-1)。
演出制御用マイコン101は、変動演出開始処理のS164(図23)において選択した変動演出パターンを解析する(図30のS190)。前述したように、変動演出パターンには、大当たり判定の結果が大当たりであった場合に選択する大当たり用変動演出パターンと、ハズレであった場合に選択するハズレ用変動演出パターンとがあるため、この処理では、どちらの変動演出パターンであるかを解析する。続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から入力した変動開始コマンドは、ハズレ用であるか否かを判定する(S191)。この判定は、変動演出開始処理のS160(図23)における解析結果を用いて行う。変動開始コマンドには、特図変動パターンに関するデータが含まれており、大当たり判定の結果が大当たりであった場合は、特図変動パターンとして大当たり用特図変動パターンが選択され、ハズレであった場合は、特図変動パターンとしてハズレ用特図変動パターンが選択される。換言すると、S191では、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果を判定している。
【0148】
ここで、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドはハズレ用であると判定した場合は(S191:Yes)、変動演出パターンは、ハズレに対応する変動演出パターン、つまりハズレ用であるか否かを判定する(S192)。この判定は、S190における変動演出パターンの解析結果に基づいて行う。換言すると、S192では、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果を判定している。つまり、S191およびS192は、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定との同一性を判定するステップである。
ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出パターンはハズレ用ではない、つまり、特図変動パターンはハズレ用であったが、変動演出パターンは大当たり用であると判定した場合は(S192:No)、大当たり用の変動演出パターンをハズレ用の変動演出パターンに変更する処理を実行する(S193~196)。
【0149】
演出制御用マイコン101は、変動演出パターン選択テーブルTA4(図9)を参照し(S193)、ハズレ変動演出パターンを選択する(S194)。具体的には、変動演出開始処理のS160(図23)における解析結果により示される特図変動パターンに対応する変動演出パターンを変動演出パターン選択テーブルTA4から選択する。選択方法は、S164(図23)における選択方法と同じである。つまり、ノイズなどの電磁気的影響によりデータが化けた変動演出パターンの選択をやり直す。また、現在、各スピーカ8が出力している音楽および各ランプによる演出についても、選択された変動演出パターンに対応する演出を選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、ハズレ演出図柄テーブルを参照し(S195)、ハズレ演出図柄を選択する(S196)。ハズレ演出図柄の選択方法は、第1実施形態の同一性判定処理のS175およびS176と同じである。また、演出制御用マイコン101は、S192において、変動演出パターンはハズレ用であると判定した場合は(S192:Yes)、この同一性判定処理2を終える。
【0150】
また、演出制御用マイコン101は、S191において、変動開始コマンドはハズレ用ではないと判定した場合は(S191:No)、変動演出パターンはハズレ用であるか否かを判定する(S197)。ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出パターンはハズレ用であると判定した場合は(S197:Yes)、特図変動パターンが大当たり用であるのに対して変動演出パターンがハズレ用であり、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果との同一性が無いため、ハズレ用の変動演出パターンを大当たり用の変動演出パターンに変更する処理を実行する(S198~S201)。
【0151】
演出制御用マイコン101は、変動演出パターン選択テーブルTA4(図9)を参照し(S198)、大当たり変動演出パターンを選択する(S199)。具体的には、変動演出開始処理2のS160(図29)における解析結果により示される特図変動パターンに対応する変動演出パターンを変動演出パターン選択テーブルTA4から選択する。選択方法は、S164(図23)における選択方法と同じである。つまり、ノイズなどの電磁気的影響によりデータが化けた変動演出パターンの選択をやり直す。また、現在、各スピーカ8が出力している音楽および各ランプによる演出についても、選択された変動演出パターンに対応する演出を選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、大当たり演出図柄テーブルを参照し(S200)、大当たり演出図柄を選択する(S201)。大当たり演出図柄の選択方法は、第1実施形態の変動演出終了処理のS183(図25)における選択方法と同じである。また、演出制御用マイコン101は、S197において、変動演出パターンはハズレ用ではないと判定した場合は(S197:No)、この同一性判定処理2を終える。そして、演出制御用マイコン101は、S194またはS199において選択した変動演出パターンを演出表示装置7などに開始させるための変動演出開始コマンドをセットする(図29のS165)。
【0152】
[第2実施形態の効果]
演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドおよび変動演出パターンを解析することにより、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果との同一性を判定し、同一性が無いと判定した場合に、同一性が確保されるように、変動演出パターンを変更する。
したがって、第2実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果とが異なるおそれのないパチンコ遊技機を提供することができる。
【0153】
〈他の実施形態〉
(1)第1実施形態における残りの変動時間αTの判定基準時間は、1秒以外の時間に設定することもできる。
(2)同一性判定処理のS171(図24)において、残りの変動時間αTが1秒以上であると判定した回数、つまり、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果との同一性を否定判定した回数が、予め設定された回数(たとえば、2回)に達したときに、異常の発生を報知(エラー報知)するように構成することもできる。たとえば、演出表示装置7に「エラー」という文字、あるいは、「演出表示装置エラー」という具体的なエラーメッセージを表示する。この構成を有するパチンコ遊技機を実施すれば、異常が発生したこと、あるいは、演出表示装置に異常が発生したことを報知することができる。
【0154】
(3)第2実施形態の同一性判定処理2(図30)において、S194の次にS192と同じ判定ステップを設け、その判定ステップにて肯定判定した場合は、再度S192に戻るように構成し、さらに、S199の次にS197と同じ判定ステップを設け、その判定ステップにて否定判定した場合は、再度S197に戻るように構成することもできる。つまり、特図変動パターンにより報知される大当たり判定の結果と、変動演出パターンにより報知される大当たり判定の結果とが同一になるまで変動演出パターンの選択をやり直すように構成することもできる。また、この構成を採用した場合、変動演出パターンの選択のやり直し回数が所定回数(たとえば、2回)に達したときに、異常の発生を報知(エラー報知)するように構成することもできる。たとえば、演出表示装置7に「エラー」という文字、あるいは、「演出表示装置エラー」という具体的なエラーメッセージを表示する。この構成を有するパチンコ遊技機を実施すれば、異常が発生したこと、あるいは、演出表示装置に異常が発生したことを報知することができる。
【符号の説明】
【0155】
1 パチンコ遊技機
7 演出表示装置
11 第1始動口
22 第2始動口
51 第1特別図柄表示器
52 第2特別図柄表示器
60 主制御基板
61 遊技制御用マイコン
100 サブ制御基板
101 演出制御用マイコン
TA5 変更用変動演出パターン選択テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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