IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図1
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図2
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図3
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図4
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図5
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図6
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図7
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図8
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図9
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図10
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図11
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図12
  • 特許-偏光状態制御装置及びプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】偏光状態制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20221206BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B27/28 Z
G02B5/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019019128
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020126174
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】安藤 道則
(72)【発明者】
【氏名】山下 達弥
(72)【発明者】
【氏名】福本 晴継
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-100200(JP,A)
【文献】特開2006-252638(JP,A)
【文献】特開2004-039020(JP,A)
【文献】特開2000-131659(JP,A)
【文献】米国特許第05247378(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/28
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源光を直線偏光に偏光する直線偏光子と、
前記直線偏光子を通過した光源光が入射されると共に、印加される電圧に応じて、入射された光の偏光状態を変えて出射するリターダと、
前記リターダから出射された光が入射される偏光グレーティングと、
前記直線偏光子を通過した光源光の一部を、前記偏光グレーティングへ入射される前に、前記リターダの出射面側において入射面側に反射させる反射板と、
前記反射板により反射されて、前記直線偏光子を通過した光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された光の光量に基づいて、前記入射された光をλ/2又は0の位相遅れで偏光した光が出射されるように、前記リターダに印加する電圧を制御する制御部と、
を含む偏光状態制御装置。
【請求項2】
光が前記反射板で反射されない光路上であって、前記直線偏光子と前記リターダとの間に配置されるλ/4板をさらに含む請求項1に記載の偏光状態制御装置。
【請求項3】
光が前記反射板で反射される光路上であって、前記直線偏光子と前記リターダとの間に配置されるλ/4板をさらに含む請求項1又は請求項2に記載の偏光状態制御装置。
【請求項4】
前記リターダと前記偏光グレーティングとの組み合わせが複数積層され、
前記反射板及び前記受光部は、前記組み合わせの各々に対応して設けられ、
前記制御部は、前記受光部の各々により受光された光の光量に基づいて、前記受光部に対応する前記組み合わせを構成する前記リターダに印加する電圧を制御する
請求項に記載の偏光状態制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記受光部により受光された光の光量が最大となるように、前記リターダに印加する電圧を制御する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の偏光状態制御装置。
【請求項6】
前記直線偏光子は、入射方向へP偏光の光を出射し、前記入射方向と直交する方向へS偏光の光を出射する偏光ビームスプリッタであり、
前記受光部は、前記偏光ビームスプリッタから出射されるS偏光の光を受光し、
前記制御部は、前記受光部で受光されたS偏光の光の光量が最小となるように、前記リターダに印加する電圧を制御する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の偏光状態制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、予め与えられた前記リターダに印加する電圧に対する位相遅れ量の特性において、所定の電圧値より低い電圧値の領域において、位相遅れ量がλ/2となる電圧値を探索し、前記所定の電圧値より高い電圧値の領域において、位相遅れ量が0となる電圧値を探索する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の偏光状態制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、予め与えられた前記リターダに印加する電圧に対する位相遅れ量の特性において、λ/2又は0の位相遅れ量に対応する電圧値の近傍で、前記リターダに印加する電圧値を探索する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の偏光状態制御装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の偏光状態制御装置の制御部として機能させるための偏光状態制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光状態制御装置及び偏光状態制御プログラムに係り、特に、リターダの位相遅れ量を制御する偏光状態制御装置及び偏光状態制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1層から第3層の偏光回折層から構成される多層偏光回折格子が提案されている(特許文献1参照)。この多層偏光回折格子は、第1の偏光回折格子層と第2の偏光回折格子層との間の界面に沿って第1の偏光回折格子層の周期的分子構造に対してオフセットされている周期的分子構造を有している。また、第3の偏光回折格子層も、第2の偏光回折格子層と第3の偏光回折格子層との間の界面に沿って第2の偏光回折格子層の周期的分子構造に対してオフセットされている周期的分子構造を有している。この多層偏光回折格子は、上記の構成により、回折効率の波長依存性を低減している。
【0003】
また、第1の複屈折率分布の周期を持つ偏光回折素子と、第2の複屈折率分布の周期を持つ偏光回折素子とをインラインに配置して構成したビーム偏向装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、光学異方性を持つ物質の複屈折を利用して光の偏光状態を電気的に変える液晶リターダの駆動方法において、液晶リターダへの印加電圧Vが閾値電圧Vthより大きい領域において、印加電圧の逆数と液晶リターダの位相差との線形制御を可能にする液晶リターダの駆動方法が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8305523号
【文献】米国特許第8982313号
【文献】特許第3529699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リターダの個体差、経年劣化、使用時の温度変化等の影響により、リターダ個々に位相遅れ量の変化が生じ、位相遅れ量が正確に所望の値に設定されなくなる場合がある。この場合、所望の偏光状態の光をリターダから出射することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、リターダの位相遅れ量を正確に制御することができる偏光状態制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る偏光状態制御装置は、光源光を直線偏光に偏光する直線偏光子と、前記直線偏光子を通過した光源光が入射されると共に、印加される電圧に応じて、入射された光の偏光状態を変えて出射するリターダと、前記直線偏光子を通過した光源光の一部を、前記リターダの出射面側において入射面側に反射させる反射板と、前記反射板により反射されて、前記直線偏光子を通過した光を受光する受光部と、前記受光部により受光された光の光量に基づいて、前記入射された光をλ/2又は0の位相遅れで偏光した光が出射されるように、前記リターダに印加する電圧を制御する制御部と、を含んで構成されている。
【0009】
本発明に係る偏光状態制御装置によれば、リターダに、光源光を直線偏光に偏光する直線偏光子を通過した光源光が入射される。リターダは、印加される電圧に応じて、入射された光の偏光状態を変えて出射する。また、反射板が、直線偏光子を通過した光源光の一部を、リターダの出射面側において入射面側に反射させる。反射板により反射されて、直線偏光子を通過した光は受光部で受光される。
【0010】
そして、制御部が、受光部により受光された光の光量に基づいて、入射された光をλ/2又は0の位相遅れで偏光した光が出射されるように、リターダに印加する電圧を制御する。これにより、リターダの位相遅れ量を正確に制御することができる。
【0011】
また、本発明に係る偏光状態制御装置は、光が前記反射板で反射されない光路上であって、前記直線偏光子と前記リターダとの間に配置されるλ/4板をさらに含んで構成することができる。これにより、リターダに円偏光の光が入射され、リターダの位相遅れ量が正確に制御されることにより、リターダから、所望の回転方向に制御された円偏光の光を出射することができる。
【0012】
また、本発明に係る偏光状態制御装置は、光が前記反射板で反射される光路上であって、前記直線偏光子と前記リターダとの間に配置されるλ/4板をさらに含んで構成することができる。
【0013】
また、本発明に係る偏光状態制御装置は、前記リターダから出射された光が入射される偏光グレーティングをさらに含んで構成することができ、前記反射板は、前記偏光グレーティングへ入射される前の光を反射することができる。リターダから偏光グレーティングへ入射される光の位相遅れ量が正確に制御されているため、偏光グレーティングから出射される光の回折効率を最大にすることができる。
【0014】
また、本発明に係る偏光状態制御装置は、前記リターダと前記偏光グレーティングとの組み合わせを複数積層することができ、前記反射板及び前記受光部は、前記組み合わせの各々に対応して設けられ、前記制御部は、前記受光部の各々により受光された光の光量に基づいて、前記受光部に対応する前記組み合わせを構成する前記リターダに印加する電圧を制御することができる。これにより、リターダの位相遅れ量が個別に正確に制御されるため、複数の方向に正確に出射光を回折させることができる。
【0015】
また、前記制御部は、前記受光部により受光された光の光量が最大となるように、前記リターダに印加する電圧を制御することができる。反射板で反射して再度リターダ及び直線偏光子を通過した光の光度を用いているため、光量が最大となる電圧値を、λ/2又は0の位相遅れ量を設定するための電圧値とすることができる。
【0016】
また、前記直線偏光子は、入射方向へP偏光の光を出射し、前記入射方向と直交する方向へS偏光の光を出射する偏光ビームスプリッタであり、前記受光部は、前記偏光ビームスプリッタから出射されるS偏光の光を受光し、前記制御部は、前記受光部で受光されたS偏光の光の光量が最小となるように、前記リターダに印加する電圧を制御することができる。反射板で反射して再度リターダ及び偏光ビームスプリッタを通過したS偏光の光の光度を用いているため、光量が最小となる電圧値を、λ/2又は0の位相遅れ量を設定するための電圧値とすることができる。
【0017】
また、前記制御部は、予め与えられた前記リターダに印加する電圧に対する位相遅れ量の特性において、所定の電圧値より低い電圧値の領域において、位相遅れ量がλ/2となる電圧値を探索し、前記所定の電圧値より高い電圧値の領域において、位相遅れ量が0となる電圧値を探索することができる。また、前記制御部は、予め与えられた前記リターダに印加する電圧に対する位相遅れ量の特性において、λ/2又は0の位相遅れ量に対応する電圧値の近傍で、前記リターダに印加する電圧値を探索してもよい。これにより、位相遅れ量λ/2に対応する電圧値と、位相遅れ量0に対応する電圧値とを間違えることなく探索することができる。
【0018】
また、本発明に係る偏光状態制御プログラムは、コンピュータを、上記の偏光状態制御装置の制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の偏光状態制御装置及びプログラムによれば、反射板により反射されて再度リターダ及び直線偏光子を通過した光の光量に基づいて、リターダの位相遅れ量がλ/2又は0になるように、リターダに印加する電圧を制御することにより、リターダの位相遅れ量を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図2】制御部の機能ブロック図である。
図3】電圧と光量との関係の一例を示す図である。
図4】光量と位相遅れ量との関係を説明するための図である。
図5】電圧-位相遅れ量特性の一例を示す図である。
図6】偏光状態制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図8】第3実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図9】第4実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図10】第5実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図11】光量と位相遅れ量との関係を説明するための図である。
図12】第6実施形態に係る偏光状態制御装置の構成を示す概略図である。
図13】電圧-位相遅れ量特性の温度変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る偏光状態制御装置10は、直線偏光子12と、リターダ14と、ミラー16と、光量モニタ18と、制御部20と、制御用電源22と、電極24L、24Rとを含んで構成される。
【0023】
直線偏光子12は、レーザ光源26から出射された光(L1)を直線偏光の光(L2)に偏光して出射する。
【0024】
リターダ14は、λ/2板であり、一部に制御用電源22と接続された電極24L、34Rが設けられている。リターダ14は、直線偏光子12から出射した光(L2)が入射されると共に、印加される電圧に応じて、入射された光の偏光状態を変えた光(L3)を出射する。
【0025】
ミラー16は、本発明の反射板の一例である。ミラー16は、リターダ14の出射面側に設けられており、直線偏光子12から出射した光の一部(L4)を、リターダ14の出射面側において入射面側に反射させる。
【0026】
光量モニタ18は、ミラー16により反射されて、直線偏光子12を通過した光(L5)を受光し、受光した光の光量を示す光量データを出力する。
【0027】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、後述する偏光状態制御処理を実行するための偏光状態制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)とを備えたコンピュータにより実現することができる。CPUが偏光状態制御プログラムを実行することにより、コンピュータが偏光状態制御装置10の制御部20として機能することになる。
【0028】
図2に示すように、制御部20は、機能的には、光量取得部42と、電圧値決定部44と、電圧制御部46と、電圧-位相遅れ量特性データベース(DB:database)48とを含んで構成される。
【0029】
光量取得部42は、光量モニタ18から出力された光量データを取得し、電圧値決定部44に受け渡す。
【0030】
電圧値決定部44は、光量取得部42から受け渡された光量データに基づいて、リターダ14に入射された光がλ/2又は0の位相遅れで偏光されて出射されるように、リターダ14に印加する電圧値を決定する。
【0031】
図3に、リターダ14に印加する電圧と、光量モニタ18から取得される光量との関係の一例を概略的に示す。電圧値決定部44は、図3に示すように、位相遅れ量がλ/2又は0となる電圧値として、光量取得部42から受け渡された光量データが示す光量が最大となる電圧値を決定する。
【0032】
ここで、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0の場合に、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる原理について説明する。
【0033】
まず、リターダ14の位相遅れ量がλ/2の場合、図4に示すように、リターダ14がλ/2板として動作する。このため、直線偏光の偏波面と、リターダ14の速軸とのなす角度がθの場合、リターダ14を一回通過した後、偏波面と速軸とのなす角度は2θになる。つまり、偏波面が速軸に対して折り返した位置に変わる。ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した場合、同様な原理でリターダ14からの出射光の偏波面が速軸に対して折り返した位置に変わる。つまり、出射光の偏波面が元の位置に戻ることになる。したがって、出射光の偏波面と直線偏光子12の通過軸が一致するため、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる。
【0034】
また、リターダ14の位相遅れ量が0の場合、リターダ14を通過した後においても直線偏光の偏波面は変わらない。さらに、ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した後も偏波面は変わらない。したがって、出射光の偏波面と直線偏光子12の通過軸が一致するため、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる。
【0035】
電圧値決定部44は、具体的には、光量が最大となる電圧値を、リターダ14に印加する電圧を所定の探索範囲内で変えながら探索して決定する。電圧値決定部44は、所定の探索範囲を電圧-位相遅れ量特性DB48を参照して決定する。
【0036】
電圧-位相遅れ量特性DB48は、リターダ14に印加する電圧に対する位相遅れ量の特性(以下、「電圧-位相遅れ量特性」という)が記憶されたデータベースである。例えば、リターダ14の使用開始時などに、印加する電圧を変えながら位相遅れ量を計測したものを記憶しておくことができる。図5に、電圧-位相遅れ量特性DB48に記憶される電圧-位相遅れ量特性の一例を示す。
【0037】
図5に示すように、電圧-位相遅れ量特性は、単調減少曲線を示す。そこで、電圧値決定部44は、電圧-位相遅れ量特性DB48に記憶された電圧-位相遅れ量特性において、位相遅れ量がλ/2になる電圧値と0になる電圧値との間の任意の電圧値を閾値として設定する。そして、電圧値決定部44は、設定した閾値より低い電圧値の領域を探索範囲として、位相遅れ量がλ/2となる電圧値を探索する。また、電圧値決定部44は、設定した閾値より高い電圧値の領域を探索範囲として、位相遅れ量が0となる電圧値を探索する。なお、この場合、図5に示すような電圧-位相遅れ量特性に代えて、所定の閾値となる電圧値のみを記憶しておいてもよい。
【0038】
また、例えば、電圧値決定部44は、電圧-位相遅れ量特性において、λ/2又は0の位相遅れ量に対応する電圧値の近傍、例えばその電圧値を含む前後の所定の電圧値範囲を探索範囲として、位相遅れ量がλ/2又は0になる電圧値を探索してもよい。なお、この場合、図5に示すような電圧-位相遅れ量特性に代えて、λ/2及び0の位相遅れ量に対応する電圧値のみを記憶しておいてもよい。
【0039】
上記のように電圧値の探索範囲を設定することで、図3に示すような電圧と光量との関係において、位相遅れ量がλ/2になる電圧値と0になる電圧値とを間違うことなく探索することができる。
【0040】
電圧値決定部44は、決定した電圧値を電圧制御部46へ受け渡す。
【0041】
電圧制御部46は、電圧値決定部44から受け渡された電圧値を制御用電源22に設定する。
【0042】
制御用電源22は、設定された電圧値の電圧を、電極24L、24Rを介してリターダ14に印加する。第1実施形態では、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0に設定されるように電圧を印加し、リターダ14から出射される光(L3)の直線偏光の偏波面を所望の方向に切り替えて出射する。
【0043】
次に、第1実施形態に係る偏光状態制御装置10の作用について説明する。
【0044】
レーザ光源26から出射されたレーザ光の一部(L1)が、直線偏光子12に入射され、直線偏光された光(L2)が出射され、リターダ14に入射される。そして、リターダ14に設定された位相遅れ量に応じて偏光された光(L3)が出射される。
【0045】
一方、レーザ光源26から出射されたレーザ光の他の一部が、直線偏光子12に入射され、直線偏光された光(L4)が出射され、リターダ14に入射される。リターダ14の出射面まで到達した光は、ミラー16で反射し、再びリターダ14及び直線偏光子12を通過して(L5)、光量モニタ18で受光される。
【0046】
光量モニタ18は、受光した光の光量を示す光量データを出力する。そして、制御部20において、図6に示す偏光状態制御処理が実行されて、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0に設定される。
【0047】
図6に示す偏光状態制御処理のステップS12で、電圧値決定部44が、電圧-位相遅れ量特性DB48に記憶された電圧-位相遅れ量特性において、所定の閾値より低い電圧値の領域を、位相遅れ量がλ/2となる電圧値を探索する探索範囲として設定する。また、電圧値決定部44が、所定の閾値より高い電圧値の領域を位相遅れ量が0となる電圧値を探索する探索範囲として設定する。
【0048】
また、電圧値決定部44は、電圧-位相遅れ量特性において、λ/2又は0の位相遅れ量に対応する電圧値の近傍、例えばその電圧値を含む前後の所定の電圧値範囲を探索範囲として設定してもよい。
【0049】
次に、ステップS14で、電圧値決定部44が、上記ステップS12で設定された探索範囲内の初期値の電圧値(例えば、探索範囲内の最小の電圧値)を電圧制御部46に通知し、電圧制御部46が、その電圧値を制御用電源22に設定する。
【0050】
次に、ステップS16で、制御用電源22が、設定された電圧値の電圧を電極24L、24Rを介してリターダ14に印加した際に、光量モニタ18から出力される光量データを、光量取得部42が取得する。
【0051】
次に、ステップS18で、電圧値決定部44が、上記ステップS14で設定された電圧値と、上記ステップS16で取得された光量との組を記録する。
【0052】
次に、ステップS20で、電圧値決定部44が、上記ステップS12で設定された探索範囲内の電圧値について、上記ステップS16及びS18の処理が終了したか否かを判定する。探索範囲内に未処理の電圧値が存在する場合には、ステップS22へ移行し、電圧値決定部44が、電圧値を所定値分ずらした値に変更して設定し、ステップS16に戻る。探索範囲内に未処理の電圧値が存在しない場合には、ステップS24へ移行する。
【0053】
ステップS24では、電圧値決定部44が、上記ステップS18で記録された電圧値と光量との組のうち、光量が最大となる組の電圧値を、λ/2又は0の位相遅れ量に対応する電圧値として決定し、電圧制御部46へ受け渡す。そして、電圧制御部46が、電圧値決定部44から受け渡された電圧値を制御用電源22に設定し、偏光状態制御処理は終了する。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態に係る偏光状態制御装置10によれば、リターダ14の出射面側で反射し、直線偏光子12を通過して出射された光の光量をモニタして、その光量が最大になるようにリターダ14に印加する電圧を制御することにより、リターダ14の位相遅れ量をλ/2又は0に設定することができる。これにより、図1に示すように、リターダ14へ直線偏光の光が入射した場合に、その出射光の直線偏光の偏波面を所望の状態に切り替えて出射することができる。
【0055】
第1実施形態の構成の使い方としては、リターダ14に入射する直線偏光の偏波面とリターダ14の速軸との角度θを45度に設定して、2θが90度になるように設定する。これにより、偏波面が90度回転することになり、例えば、偏波面が水平の直線偏光の光を、偏波面が垂直の直線偏光の光に切り替えることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る偏光状態制御装置において、第1実施形態に係る偏光状態制御装置10と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、第2実施形態に係る偏光状態制御装置210は、第1実施形態に係る偏光状態制御装置10の構成に加え、レーザ光源26からの光がミラー16で反射されない光路上であって、直線偏光子12とリターダ14との間に、λ/4板28が配置される。
【0058】
λ/4板28は、直線偏光子12から出射される直線偏光の光(L2)が入射されると共に、直線偏光を円偏光に変えて出射する(L6)。λ/4板28から出射される円偏光の光の回転方向は、右回りであっても左回りであってもよい。
【0059】
リターダ14は、円偏光の光(L6)が入射されると、設定されたλ/2又は0の位相遅れ量に応じて、回転方向を右回り又は左周りとする円偏光の光(L7)を出射する。
【0060】
リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0の場合に、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる原理、及び制御部20における制御方法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
以上説明したように、第2実施形態に係る偏光状態制御装置10によれば、リターダ14の出射面側で反射し、直線偏光子12を通過して出射された光の光量をモニタして、その光量が最大になるようにリターダ14に印加する電圧を制御することにより、リターダ14の位相遅れ量をλ/2又は0に設定することができる。これにより、図7に示すように、リターダ14へ円偏光の光が入射した場合に、右回り又は左回りの円偏光の光を出射することができる。
【0062】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態に係る偏光状態制御装置において、第2実施形態に係る偏光状態制御装置210と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310は、第2実施形態に係る偏光状態制御装置210の構成に加え、リターダ14から出射された光が入射される偏光グレーティング(偏光回折格子)30をさらに含む。この構成において、ミラー16は、リターダ14の出射面側であって、かつ偏光グレーティング30へ入射される前の光を反射する位置に配置される。
【0064】
偏光グレーティング30は、回転方向が右回り又は左回りの円偏光の光が入射された場合、設定された回折角度に応じて、入射された光を回折させて出射する(L8)。
【0065】
リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0の場合に、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる原理、及び制御部20における制御方法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
以上説明したように、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310によれば、リターダ14の出射面側で反射し、直線偏光子12を通過して出射された光の光量をモニタして、その光量が最大になるようにリターダ14に印加する電圧を制御することにより、リターダ14の位相遅れ量をλ/2又は0に設定することができる。
【0067】
偏光グレーティング30に入射する円偏光の光の回転方向が正確に左回り又は右回りの円偏光であれば、偏光グレーティング30による回折効率が最大になる。しかし、偏光グレーティング30に入射する光が円偏光ではなく楕円偏光になると、回折効率が低下する。したがって、回折効率を最大にするために、リターダ14からの出射光を正確に円偏光にする必要がある。
【0068】
第3実施形態では、図8に示すように、位相遅れ量が正確にλ/2又は0に設定されたリターダ14から出射された円偏光の光が偏光グレーティング30に入射されるため、回転方向が正確に左回り又は右回りの円偏光の光が入射されることになり、回折効率を最大にすることができる。
【0069】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態に係る偏光状態制御装置において、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図9に示すように、第4実施形態に係る偏光状態制御装置410は、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310の構成に加え、レーザ光源26からの光がミラー16で反射される光路上であって、直線偏光子12とリターダ14との間に、λ/4板428が配置される。図9の例では、λ/4板428は、レーザ光源26からの光がミラー16で反射されない光路上であって、直線偏光子12とリターダ14との間に配置されるλ/4板(第2及び第3実施形態におけるλ/4板28)と一体化された例を示している。
【0071】
λ/4板428は、ミラー16で反射し、再びリターダ14を通過した円偏光の光(L9)が入射されると共に、円偏光を直線偏光に変えて出射する(L10)。
【0072】
ここで、第4実施形態における、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0の場合に、直線偏光子12からの出射光の光量が最大になる原理について説明する。
【0073】
まず、リターダ14の位相遅れ量がλ/2の場合、リターダ14がλ/2板として動作するため、リターダ14からの出射光は、リターダ14への入射光の円偏光の回転方向と逆の回転方向の円偏光になる。ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した場合、同様な原理で逆の回転方向の円偏光になる。つまり、ミラー16で反射してリターダ14から出射される光(L9)の円偏光の回転方向が、リターダ14へ入射された光の円偏光の状態に戻ることになる。
【0074】
さらに、ミラー16で反射してリターダ14から出射される光(L9)がλ/4板428に入射した場合、λ/4板428から出射される光(L10)の偏波面と直線偏光子12の通過軸とが一致するため、直線偏光子12からの出射光(L5)の光量が最大になる。
【0075】
また、リターダ14の位相遅れ量が0の場合、リターダ14を通過した後においても、円偏光の回転方向は変わらない。また、ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した後も回転方向は変わらない。さらに、その円偏光がλ/4板428に入射した場合、λ/4板428からの出射光(L10)の偏波面と直線偏光子12の通過軸とが一致するため、直線偏光子12からの出射光(L5)の光量が最大になる。
【0076】
制御部20における制御方法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
以上説明したように、第4実施形態に係る偏光状態制御装置410によれば、リターダ14の出射面側で反射し、直線偏光子12を通過して出射された光の光量をモニタして、その光量が最大になるようにリターダ14に印加する電圧を制御することにより、リターダ14の位相遅れ量をλ/2又は0に設定することができる。これにより、図9に示すように、回転方向が正確に左回り又は右回りの円偏光の光を、偏光グレーティング30に入射することができ、偏光グレーティング30からの出射光の回折効率を最大にすることができる。
【0078】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態に係る偏光状態制御装置において、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、第5実施形態に係る偏光状態制御装置510は、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310の直線偏光子12及び制御部20に代えて、偏光ビームスプリッタ512及び制御部520を備える。
【0080】
偏光ビームスプリッタ512は、偏光ビームスプリッタ512へ入射される光(L1、L14)の入射方向へP偏光の光(L11、L13、L15)を出射し、入射方向と直交する方向へS偏光の光(L12、L14、L16)を出射する。
【0081】
光量モニタ18は、ミラー16で反射されて偏光ビームスプリッタ512に入射され、S偏光として出射された光(L16)を受光し、受光した光の光量を示す光量データを出力する。
【0082】
図2に示すように、制御部520は、機能的には、光量取得部42と、電圧値決定部544と、電圧制御部46と、電圧-位相遅れ量特性DB48とを含んで構成される。
【0083】
電圧値決定部544は、図11に示すように、位相遅れ量がλ/2又は0となる電圧値として、光量取得部42から受け渡された光量データが示す光量が最小となる電圧値を決定する。
【0084】
ここで、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0の場合に、偏光ビームスプリッタ512からの出射光(S偏光)の光量が最小になる原理について説明する。
【0085】
まず、リターダ14の位相遅れ量がλ/2の場合、図4に示すように、リターダ14がλ/2板として動作する。このため、直線偏光の偏波面と、リターダ14の速軸とのなす角度がθの場合、リターダ14を一回通過した後、偏波面と速軸とのなす角度は2θになる。つまり、偏波面が速軸に対して折り返した位置に変わる。ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した場合、同様な原理でリターダ14からの出射光の偏波面が速軸に対して折り返した位置に変わる。つまり、出射光の偏波面が元の位置に戻ることになる。したがって、リターダ14からの出射光はP偏光となるため、偏光ビームスプリッタ512へ入射した場合、S偏光成分の光量は最小になる。
【0086】
また、リターダ14の位相遅れ量が0の場合、リターダ14を通過した後においてもP偏光は変わらない。さらに、ミラー16で反射して再度リターダ14を通過した後もP偏光は変わらない。したがって、リターダ14からの出射光はP偏光となるため、偏光ビームスプリッタ512へ入射した場合、S偏光成分の光量は最小になる。
【0087】
次に、第5実施形態に係る偏光状態制御装置510の作用について説明する。
【0088】
レーザ光源26から出射されたレーザ光の一部(L1)が、偏光ビームスプリッタ512に入射され、P偏光の出射光(L11)が入射方向へ出射され、S偏光の出射光(L12)が入射方向に直交する方向に出射される。P偏光の出射光(L11)はリターダ14に入射され、リターダ14に設定された位相遅れ量に応じて偏光された光が出射される。リターダ14から出射された光は偏光グレーティング30に入射され、設定された回折角度で回折された光(L8)が出射される。
【0089】
一方、レーザ光源26から出射されたレーザ光の他の一部が、偏光ビームスプリッタ512に入射され、P偏光の出射光(L13)が入射方向へ出射され、S偏光の出射光(L14)が入射方向に直交する方向に出射される。P偏光の出射光(L13)はリターダ14に入射される。リターダ14の出射面まで到達した光は、ミラー16で反射し、再びリターダ14を通過して、偏光ビームスプリッタ512へ入射される(L14)。偏光ビームスプリッタ512からは、P偏光の出射光(L15)が入射方向へ出射され、S偏光の出射光(L16)が入射方向に直交する方向に出射される。
【0090】
そして、光量モニタ18が、偏光ビームスプリッタ512からのS偏光の出射光(L16)を受光し、受光した光の光量を示す光量データを出力する。そして、制御部520において、図6に示す偏光状態制御処理が実行されて、リターダ14の位相遅れ量がλ/2又は0に設定される。
【0091】
第5実施形態に係る偏光状態制御処理は、第1実施形態における偏光状態制御処理で、光量が最大となる電圧値を探索することに代えて、光量が最小となる電圧値を探索する点が異なるだけであるため、説明を省略する。
【0092】
以上説明したように、第5実施形態に係る偏光状態制御装置510によれば、リターダ14の出射面側で反射し、偏光ビームスプリッタ512を通過して出射されたS偏光の光量をモニタして、その光量が最小になるようにリターダ14に印加する電圧を制御することにより、リターダ14の位相遅れ量をλ/2又は0に設定することができる。これにより、図10に示すように、回転方向が正確に左回り又は右回りの円偏光の光を、偏光グレーティング30に入射することができ、偏光グレーティング30からの出射光の回折効率を最大にすることができる。
【0093】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。なお、第6実施形態に係る偏光状態制御装置において、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0094】
図12に示すように、第6実施形態に係る偏光状態制御装置610は、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310のリターダ14と偏光グレーティング30との組み合わせが複数積層される。図12の例では、リターダ14Aと偏光グレーティング30Aとの組み合わせの第1層、リターダ14Bと偏光グレーティング30Bとの組み合わせの第2層、及びリターダ14Cと偏光グレーティング30Cとの組み合わせの第3層で構成される場合を例示している。
【0095】
リターダ14Aには電極24AL、24ARが設けられ、リターダ14Bには電極24BL、24BRが設けられ、リターダ14Cには電極24CL、24CRが設けられ、それぞれ個別に設定された電圧値で電圧が印加される。
【0096】
また、組み合わせの第1層、第2層、第3層の各々に対応して、ミラー16A、16B、16Cと、光量モニタ18A、18B、18Cとが設けられている。以下では、各層及び各層に対応する構成の各々を区別なく説明する場合には、符号のA、B、Cを省略して表記する。
【0097】
ミラー16の各々は、対応する層の組み合わせを構成するリターダ14の出射面側であって、かつ対応する層の組み合わせを構成する偏光グレーティング30へ入射される前の光を反射する位置に配置される。
【0098】
また、第6実施形態に係る偏光状態制御装置610は、第3実施形態に係る偏光状態制御装置310の制御部20に代えて、制御部620を備えている。
【0099】
図2に示すように、制御部620は、機能的には、光量取得部42と、電圧値決定部644と、電圧制御部646と、電圧-位相遅れ量特性DB48とを含んで構成される。
【0100】
電圧値決定部644は、光量モニタ18の各々から取得された光量データに基づいて、各光量モニタ18に対応する層の組み合わせを構成するリターダ14に印加する電圧値を決定する。電圧値の決定方法は、上記第1~第4実施形態と同様である。
【0101】
電圧制御部646は、電圧値決定部644により決定された各層に対応する電圧値が、電極24L、24Rを介して、対応する層の組み合わせを構成するリターダ14に印加されるように、制御用電源22に設定する。
【0102】
以上説明したように、第6実施形態に係る偏光状態制御装置610によれば、リターダ14と偏光グレーティング30との組み合わせを複数層設け、各層のリターダ14の位相遅れ量をそれぞれ独立にλ/2又は0に設定することにより、複数の偏光グレーティング30により、単一光源を用いて複数の方向へ出射光を回折させることができる。
【0103】
なお、上記各実施形態において参照する電圧-位相遅れ量特性は、図13に示すように、温度変化によって関数曲線が変化する。そこで、異なる複数の温度毎に電圧-位相遅れ量特性を予め記憶しておき、周囲温度をモニタしながら、周囲温度に対応する電圧-位相遅れ量特性を選択して、上記各実施形態のように電圧値を決定してもよい。これにより、リターダ14の個体差や経年劣化等に起因する位相遅れ量のずれだけでなく、使用時の温度変化に起因する位相遅れ量のずれも解消して、常時位相遅れ量を最適化することができる。
【0104】
また、上記各実施形態をそれぞれ組み合わせて実施することもできる。例えば、第4実施形態及び第5実施形態の構成において、リターダ14と偏光グレーティング30との組合せを多層にする構成としてもよい。
【0105】
また、本発明のプログラムを記憶媒体に格納して提供してもよい。
【0106】
上記各実施形態のように、所望の偏光状態の出射光を得られる構成は、レーザレーダ等の光ビームスキャナ、レーザ加工機などに用いることができる。
【符号の説明】
【0107】
10、210,310、410、510、610 偏光状態制御装置
12 直線偏光子
512 偏光ビームスプリッタ
14 リターダ
16 ミラー
18 光量モニタ
20、520、620 制御部
22 制御用電源
24L、24R 電極
26 レーザ光源
28、428 λ/4板
30 偏光グレーティング
42 光量取得部
44、544、644 電圧値決定部
46、646 電圧制御部
48 電圧-位相遅れ量特性DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13