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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】高速連続焼き菓子製造装置
(51)【国際特許分類】
   A21B 3/18 20060101AFI20221206BHJP
   A21B 5/00 20060101ALI20221206BHJP
   A21B 1/46 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A21B3/18
A21B5/00
A21B1/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019232551
(22)【出願日】2019-12-24
(62)【分割の表示】P 2019070886の分割
【原出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020167991
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509015844
【氏名又は名称】株式会社鈴木▲兼▼詞鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂朗
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-197129(JP,A)
【文献】米国特許第2745363(US,A)
【文献】特開昭54-92679(JP,A)
【文献】特開昭50-121479(JP,A)
【文献】特開昭53-107475(JP,A)
【文献】特開2008-48698(JP,A)
【文献】特開2012-130275(JP,A)
【文献】特開2014-8001(JP,A)
【文献】特表2017-513456(JP,A)
【文献】実公昭42-18960(JP,Y1)
【文献】実開昭49-127498(JP,U)
【文献】米国特許第2624297(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21B 1/00- 7/00
A21C 1/00-15/04
A21D 2/00-17/00
A23G 1/00- 9/52
B65G 47/90-47/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼き菓子用材料を加熱して薄肉状の焼き菓子を作製する焼成部と、
前記焼成部から焼き菓子を取り出す取り出し部と、
前記取り出し部によって取り出した焼き菓子を搬送する搬送部と、を備え、
前記焼成部は、循環して駆動する循環コンベアと、前記循環コンベアに取り付けられ、焼き菓子用材料を供給して加熱するための焼き型を支持する複数の焼き型台と、を有し、
前記循環コンベアは、水平方向に延びるように設けられた上側コンベア部と、前記上側コンベア部の下方に位置し、水平方向に延びるように設けられた下側コンベア部と、前記上側コンベア部の長手方向の一端部と前記下側コンベア部の長手方向の一端部とを連結する一端側連結コンベア部と、前記上側コンベア部の長手方向の他端部と前記下側コンベア部の長手方向の他端部とを連結する他端側連結コンベア部と、を有し、
前記搬送部は、前記上側コンベア部の前記一端部近傍の位置から水平方向であって前記上側コンベア部の長手方向に延びるように設けられ、
前記上側コンベア部と前記搬送部とは、上方から見たときに、前記上側コンベア部の長手方向に一直線上に並んで配置され、
前記取り出し部は、少なくとも一部が前記上側コンベア部の前記一端部の上方に配置され、前記下側コンベア部の前記一端部から前記一端側連結コンベア部を介して前記上側コンベア部の前記一端部における取り出し位置に搬送された前記焼き型台の前記焼き型から複数の焼き菓子を把持して前記搬送部に移送するように構成され、
前記焼き型台は、前記焼き型の上型を支持する上型支持部と、前記焼き型の下型を支持する下型支持部と、を有し、
前記下型支持部は、前記下型支持部の長手方向が前記循環コンベアに直交するように前記循環コンベアに取り付けられ、
前記上型支持部は、前記下型支持部の長手方向の一端側を支点として開くように構成され、
前記焼き型台が前記下側コンベア部の前記一端部から前記一端側連結コンベア部を介して前記上側コンベア部の前記一端部における前記取り出し位置に搬送される間において、前記焼き型台が前記取り出し部及び前記搬送部よりも下側の位置にあるときに、前記焼き型台の前記上型支持部が開いた状態となるように構成されている、高速連続焼き菓子製造装置。
【請求項2】
前記焼き型台が前記下側コンベア部の前記一端部から前記一端側連結コンベア部を介して前記上側コンベア部の前記一端部における前記取り出し位置に搬送される間において、開いた状態の前記焼き型台における前記上型支持部及び前記上型支持部に支持された前記焼き型の前記上型が、前記循環コンベアに直交する方向において前記取り出し部及び前記搬送部の外側を通るように構成されている、請求項1に記載の高速連続焼き菓子製造装置。
【請求項3】
前記焼き型台の前記上型支持部は、前記下型支持部に対して略直角に開くように構成されている、請求項1又は2に記載の高速連続焼き菓子製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速連続焼き菓子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モナカ皮等の薄肉状の焼き菓子を自動で製造する焼き菓子製造装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の焼き型台が取り付けられた循環コンベアを循環して駆動し、焼き型台の焼き型内に供給された焼き菓子用材料を加熱して薄肉状の焼き菓子を作製する焼成装置を備える焼き菓子製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3140896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の焼き菓子製造装置では、焼き型台を開いて焼き型から焼き菓子を落下させるようにして取り出したり、取り出した焼き菓子を表裏や向きがバラバラな状態で搬送したりしていた。よって、焼き菓子の生産性を向上させるためには、焼き菓子の取り出しを高速かつ連続的に行い、取り出した焼き菓子を整列して搬送することが求められていた。
【0005】
本発明は、焼き菓子の取り出しを高速かつ連続的に行い、取り出した焼き菓子を整列して搬送でき、焼き菓子の生産性を向上できる高速連続焼き菓子製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様である高速連続焼き菓子製造装置は、焼き菓子用材料を加熱して薄肉状の焼き菓子を作製する焼成部と、焼成部から焼き菓子を取り出す取り出し部と、取り出し部によって取り出した焼き菓子を搬送する搬送部と、を備えている。焼成部は、回転部の回転運動により循環して駆動する循環コンベアと、循環コンベアに取り付けられ、焼き菓子用材料を供給して加熱するための焼き型を支持する複数の焼き型台と、を有する。取り出し部は、焼き型台の焼き型から複数の焼き菓子を把持して搬送部に移送する把持部を有する。把持部は、水平方向の往復運動により、把持した複数の焼き菓子を搬送部に移送するように構成されている。
【0007】
循環コンベアと把持部とは、循環コンベアの回転部の回転運動を把持部の水平方向の往復運動に変換して伝達する運動変換伝達機構を介して機械的に接続されている。循環コンベアによって焼き型台が循環コンベアにおける取り出し位置に搬送されると、把持部が焼き型台の焼き型から複数の焼き菓子を把持して搬送部に移送する取り出し作業を行うように、循環コンベアと把持部とが運動変換伝達機構によって同期して運動する。
【0008】
上記高速連続焼き菓子製造装置によれば、焼成部の循環コンベアと取り出し部の把持部とが運動変換伝達機構を介して機械的に接続されている。そして、焼成部の循環コンベアと取り出し部の把持部とが運動変換伝達機構によって同期して運動することにより、取り出し部によって焼成部から焼き菓子を取り出す作業(取り出し作業)が行われる。そのため、取り出し部の把持部による焼き菓子の高速かつ連続的な取り出しが可能となる。
【0009】
また、上述したように、焼成部の循環コンベアと取り出し部の把持部とが運動変換伝達機構によって同期して運動する。そのため、両者のうちの一方の動作速度を変更しても両者の動作タイミングがずれることはない。例えば、センサ等を備えたエアシリンダ等を用いて動作させる場合と比べて、両者の動作タイミングの調整が容易となる。これにより、取り出し部の把持部による焼き菓子の取り出しをより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0010】
また、取り出し部の把持部によって焼き型台の焼き型から複数の焼き菓子を把持して搬送部に移送する。そのため、複数の焼き菓子を整列した状態で搬送部に移送することが可能である。これにより、取り出し部の把持部によって取り出した複数の焼き菓子を搬送部において整列した状態で搬送できる。
【0011】
以上により、高速連続焼き菓子製造装置は、取り出し部の把持部によって焼成部から焼き菓子の取り出しを高速かつ連続的に行い、取り出した焼き菓子を搬送部において整列して搬送できる。よって、高速連続焼き菓子製造装置における焼き菓子の生産性向上を図ることができる。
【0012】
上記焼き菓子製造装置において、搬送部は、水平方向に往復運動可能に構成され、かつ、把持部の水平方向の往復運動を把持部とは逆方向の往復運動に変換して伝達する運動方向変換機構を介して把持部と機械的に接続され、把持部が把持した複数の焼き菓子を搬送部に移送する際に、把持部と搬送部とが互いに近づくように運動方向変換機構によって同期して運動してもよい。
【0013】
この場合には、取り出し部の把持部が把持した複数の焼き菓子を搬送部に移送する際に、取り出し部の把持部が搬送部に向かって移動すると共に、搬送部が取り出し部の把持部に向かって移動する。これにより、取り出し部の把持部が搬送部まで移動する必要がなく、取り出し部の把持部の移動距離の短縮が可能となる。これにより、取り出し部の把持部による焼き菓子の搬送部への移送時間を短縮できる。
【0014】
また、取り出し部の把持部と搬送部とが運動方向変換機構によって同期して運動するため、両者のうちの一方の動作速度を変更しても両者の動作タイミングがずれることはない。例えば、センサ等を備えたエアシリンダ等を用いて動作させる場合と比べて、両者の動作タイミングの調整が容易となる。これにより、取り出し部の把持部による焼き菓子の搬送部への移送をより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0015】
また、上述したように、循環コンベアと取り出し部の把持部とが同期して運動するので、循環コンベアと取り出し部の把持部と搬送部とが共に同期して運動することになる。これにより、焼き菓子の取り出し作業全体をより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0016】
また、取り出し作業を高速かつ連続的に行うように構成され、取り出し作業を開始してから次の取り出し作業を開始するまでの時間が2秒以内であってもよい。この場合には、非常に短い時間で焼き菓子の取り出しを高速かつ連続的に行うことができる。これにより、焼き菓子の取り出しを高速かつ連続的に行うという本発明の効果を有効に発揮できる。
【0017】
また、循環コンベアは、水平方向に延びるように設けられた水平コンベア部を有し、取り出し位置は、水平コンベア部の長手方向の一端部にあり、搬送部は、水平コンベア部の一端部近傍から水平方向に延びるように設けられていてもよい。この場合には、取り出し部の把持部による焼き菓子の搬送部への移送をより迅速に行うことができる。
【0018】
また、焼き型台は、焼き型の上型を支持する上型支持部と、焼き型の下型を支持する下型支持部と、を有し、下型支持部は、循環コンベアに取り付けられ、上型支持部は、下型支持部の長手方向の一端側を支点として下型支持部に対して略直角に開くように構成されていてもよい。この場合には、例えば循環コンベアの取り出し位置において焼き型台を開いた状態とすることにより、取り出し部の把持部によって焼き型台の焼き型から焼き菓子を取り出すことが容易となる。
【0019】
また、把持部は、焼き型台の焼き型から複数の焼き菓子を吸着して把持する複数の吸着部を有していてもよい。この場合には、取り出し部の把持部の複数の吸着部によって焼き型台の焼き型から高温で壊れやすい薄肉状の複数の焼き菓子を迅速かつ容易に吸着して把持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】焼き菓子製造装置全体の概要を示す説明図である。
図2】閉じた状態の焼き型台を示す正面図である。
図3】開いた状態の焼き型台を示す正面図である。
図4】焼き菓子製造装置の一部を拡大して示す説明図である。
図5】焼き菓子製造装置の一部を後方から見た説明図である。
図6】焼き菓子製造装置の一部を上方から見た説明図である。
図7】循環コンベアと取り出し装置と搬送装置との機械的な接続を示す説明図である。
図8】循環コンベアによって搬送される焼き型台を示す説明図である。
図9】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
図10】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
図11】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
図12】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
図13】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
図14】取り出し装置により焼き菓子の取り出し作業を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
なお、本実施形態の説明では、前後、上下、左右等の方向を用いて説明するが、あくまでも説明の便宜上の表現であり、これらの方向は特に限定されるものではない。
【0022】
図1に示すように、高速連続焼き菓子製造装置1は、薄肉状の焼き菓子を高速かつ連続的に製造する装置である。本実施形態において製造する焼き菓子は、アイスモナカ用のモナカ皮である。高速連続焼き菓子製造装置1は、焼成装置(焼成部)2と、取り出し装置(取り出し部)6と、搬送装置(搬送部)7とを備えている。
【0023】
焼成装置2は、循環して駆動する循環コンベア3と、循環コンベア3に取り付けられた複数の焼き型台4と、材料供給装置21と、2つの加熱装置22、23とを備えている。本実施形態において、焼き型台4の数は64個である。図1では一部の焼き型台4を示している。
【0024】
循環コンベア3は、垂直面において環状に形成された一対の循環チェーン31を備えている。一対の循環チェーン31は、左右方向に所定の間隔を設けて平行に配置されている。なお、一対の循環チェーン31は、同様の構造を有しており、図1では一方(左側)の循環チェーン31を示している。
【0025】
各循環チェーン31は、循環コンベア3の前後方向の両端部に配置された2つの回転歯車321に巻き掛けられている。循環コンベア3の前後方向の両端部において、左右両側に配置された2つの回転歯車321は、回転軸(回転部)322によって連結されている。搬送コンベア3の後端部側の回転軸322は、モータ等の駆動源に接続されている。搬送コンベア3は、搬送コンベア3の後端部側の回転軸322の回転により、回転歯車321を介して循環チェーン31を循環して駆動するように構成されている。
【0026】
循環コンベア3は、一対の循環チェーン31によって構成された上側コンベア部33、下側コンベア部34、第1連結コンベア部(他端側連結コンベア部)35及び第2連結コンベア部(一端側連結コンベア部)36を備えている。上側コンベア部33は、前後方向に水平に延びるように設けられている。下側コンベア部34は、上側コンベア部33の下方に位置し、前後方向に水平に延びるように設けられている。
【0027】
第1連結コンベア部35は、上側コンベア部33の前端部331と下側コンベア部34の前端部341とを上下方向に連結するように設けられている。第2連結コンベア部36は、上側コンベア部33の後端部332と下側コンベア部34の後端部342とを上下方向に連結するように設けられている。第1連結コンベア部35及び第2連結コンベア部36は、側方から見たときに半円弧状に形成されている。
【0028】
図2図3に示すように、焼き型台4は、上型51と下型52とにより構成された焼き型5を支持する。焼き型台4は、焼き型5の上型51を支持する長方形板状の上型支持部41と、焼き型5の下型52を支持する長方形板状の下型支持部42とを備えている。
【0029】
上型支持部41の一端部には、上方に突出した突出レバー43が設けられている。下型支持部42の一端部には、上型支持部41の一端部が第1支点軸44を介して連結されている。上型支持部41は、下型支持部42の一端側を支点として、すなわち第1支点軸44を支点として回動可能に構成されている。上型支持部41は、下型支持部42に対して略直角(約90°)に開くように構成されている。
【0030】
上型支持部41の他端部には、側方に突出した嵌合ピン45が設けられている。下型支持部42の他端部には、上方に突出した嵌合レバー46が設けられている。嵌合レバー46には、上型支持部41の嵌合ピン45を嵌合させる嵌合孔461が設けられている。嵌合レバー46は、下型支持部42に設けた貫通孔421を貫通して上方に突出するように配置されている。嵌合レバー46は、第2支点軸47を支点として回動可能に構成されている。
【0031】
焼き型台4が閉じた状態(図2の閉状態)では、上型支持部41の嵌合ピン45が下型支持部42の嵌合レバー46の嵌合孔461に嵌合している。そして、嵌合レバー46を回動させ、嵌合レバー46の嵌合孔461に対する嵌合ピン45の嵌合を解除すると、付勢力に抗して上型支持部41が回動し、下型支持部42に対して略直角(約90°)に開く。これにより、焼き型台4が開いた状態(図3の開状態)となる。
【0032】
また、焼き型台4が開いた状態(図3の開状態)から、上型支持部41を回動させて元の位置に戻し、嵌合レバー46を回動させて元の位置に戻して嵌合ピン45を嵌合レバー46の嵌合孔461に嵌合することにより、焼き型台4が閉じた状態(図2の閉状態)となる。
【0033】
焼き型5の上型51は、焼き型台4の上型支持部41の下面に取り付けられている。上型51には、10個の凸部511が設けられている。焼き型5の下型52は、焼き型台4の下型支持部42の上面に取り付けられている。下型52には、10個の凹部521が設けられている。
【0034】
焼き型台4が閉じた状態(図2の閉状態)において、焼き型5における上型51の凸部511と下型52の凹部521との間にはキャビティ空間(図示省略)が形成される。すなわち、焼き型5内には、10個のキャビティ空間が形成される。キャビティ空間は、焼き菓子用材料を加熱して薄肉状の焼き菓子を成形する空間であり、成形する焼き菓子の形状に対応する形状となっている。
【0035】
図4図6に示すように、循環コンベア3において、各循環チェーン31は、複数のプレート部311を連結して構成されている。隣接するプレート部311同士は、連結部材312によって連結されている。本実施形態において、各循環チェーン31のプレート部311の数は64個である。
【0036】
焼き型台4は、循環コンベア3の一対の循環チェーン31同士の間を左右方向に渡すように配置されている。焼き型台4の下型支持部42は、循環コンベア3の一対の循環チェーン31の左右両側のプレート部311に固定されている。64個の焼き型台4は、循環チェーン31に沿って等間隔に配置されている。
【0037】
焼き型台4は、循環コンベア3(循環チェーン31)の外側に取り付けられた状態で、循環コンベア3によって循環して搬送される。各焼き型台4は、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332から前端部331、第1連結コンベア部35、下側コンベア部34の前端部341から後端部342、第2連結コンベア部36の順に循環して搬送される。
【0038】
材料供給装置21は、循環コンベア3によって循環して搬送される焼き型台4の焼き型5に焼き菓子用材料を供給する装置である。材料供給装置21は、焼き菓子用材料を供給する供給管(図示省略)と、その供給管から分岐した10個の分岐管(図示省略)とを備えている。材料供給装置21は、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332の上方に配置されている。
【0039】
加熱装置22、23は、循環コンベア3によって循環して搬送される焼き型台4の焼き型5に供給した焼き菓子用材料を加熱する装置である。一方の加熱装置22は、循環コンベア3の上側コンベア部33の下方であって下側コンベア部34の上方に配置されている。他方の加熱装置23は、循環コンベア3の下側コンベア部34の下方に配置されている。
【0040】
取り出し装置6は、焼き菓子10を把持する把持部60を有する。把持部60は、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332の上方に配置されている。把持部60は、10個の吸着部61と、10個の吸着部61を保持する長方形板状の保持部62とを有する。吸着部61は、焼き菓子10を吸着する吸着パッド611と、吸着パッド611を保持するホルダ612とを有する。吸着パッド611は、ホルダ612の先端に設けられている。吸着部61は、いわゆる真空パッドと呼ばれるものであり、吸着部61に接続された真空ポンプによる吸引により、吸着パッド611で対象物を吸着把持できる。
【0041】
保持部62の前端部には、5個の吸着部61が左右方向に並んで配置されている。保持部62の前後方向の中間部には、5個の吸着部61が左右方向に並んで配置されている。把持部60は、合計10個の吸着部61によって、10個の焼き菓子10を同時に吸着できるように構成されている。
【0042】
保持部62の後端部には、保持部62を支持する支持軸63が設けられている。支持軸63は、板状の可動部64に対して上下方向に移動可能に保持されている。可動部64には、支持軸63を挿通して保持する筒状部631が設けられている。把持部60は、支持軸63の上下方向の移動により、上下方向に移動可能に構成されている。
【0043】
可動部64は、板状の可動部65に固定されている。可動部65は、固定部66に対して前後方向に移動可能に保持されている。可動部65には、左右両側に2つずつの上側レール651が設けられている。固定部66には、前後方向に延びる一対の下側レール661が設けられている。上側レール651は、下側レール661に対して前後方向に摺動可能に構成されている。固定部66は、固定部67に固定されている。
【0044】
可動部64、65は、可動部65の上側レール651が固定部66の下側レール661に沿って摺動することにより、前後方向に移動可能に構成されている。把持部60は、可動部64、65の前後方向の移動により、支持軸63を介して前後方向に移動可能に構成されている。
【0045】
搬送装置7は、帯状の搬送コンベア71と、2つの回転軸72とを備えている。搬送コンベア71は、搬送装置7の前後方向の両端に配置された2つの回転軸72に巻き掛けられている。搬送コンベア71は、回転軸72を回転させることによって、循環して駆動するように構成されている。搬送装置7は、搬送コンベア71上に載せた焼き菓子10を後方に向かって搬送するように構成されている。
【0046】
搬送装置7は、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332近傍の位置から前後方向(上側コンベア部33の長手方向)に水平に延びるように設けられている。搬送装置7は、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332との間に所定の間隔を設けて配置されている。搬送装置7は、前後方向に移動可能に構成されている。
【0047】
搬送装置7は、循環コンベア3の上側コンベア部33に対して前後方向に並んで配置されている。循環コンベア3と搬送装置7とは、上方から見たときに、前後方向に一直線上に並んで配置されている。
【0048】
本実施形態において、図7に示すように、循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とは、循環コンベア3の後端部側の回転軸322の回転運動を取り出し装置6の把持部60の前後方向の往復運動に変換して伝達する運動変換伝達機構37を介して機械的に接続されている。そして、循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とは、運動変換伝達機構37によって同期して運動するように構成されている。
【0049】
具体的には、搬送コンベア3の後端部側の回転軸322は、歯車371に連結されている。歯車371は、ベルト372を介して歯車373に連結されている。歯車373は、連結軸374を介して他の歯車(図示省略)に連結されている。他の歯車は、ベルト375を介して歯車376に連結されている。歯車376は、歯車377に連結されている。歯車377は、ベルト378を介して歯車379に連結されている。
【0050】
歯車379は、連結軸(図示省略)を介してクランク円板380に連結されている。クランク円板380は、連結リンク381を介して連結固定部652に連結されている。連結固定部652は、可動部65に固定されている。可動部65は、可動部64、さらに支持軸63を介して把持部60(吸着部61、保持部62)に連結されている。
【0051】
循環コンベア3の後端部側の回転軸322が回転すると、その回転運動がクランク円板380に伝達される。クランク円板380が回転すると、連結リンク381及び連結固定部652を介して可動部64、65が前後方向に往復運動する。可動部64、65が前後方向に往復運動すると、支持軸63を介して把持部60(吸着部61、保持部62)が前後方向に往復運動する。本実施形態では、回転軸322が1回転する間に、把持部60が前後方向に往復運動を6回行うように設定されている。
【0052】
また、本実施形態では、取り出し装置6の把持部60は、前後方向に往復運動する際、前進端の位置(最も前方の位置)にあるときに支持軸63が下方に移動することで下方に移動し、前進端の位置から後退すると支持軸63が上方に移動することで上方に移動し、元の高さの位置に戻るように構成されている。
【0053】
また、搬送装置7は、取り出し装置6の把持部60の前後方向の往復運動を取り出し装置6の把持部60とは逆方向の往復運動に変換して伝達する運動方向変換機構39を介して取り出し装置6の把持部60と機械的に接続されている。取り出し装置6の把持部60と搬送装置7とは、運動方向変換機構39によって同期して運動するように構成されている。
【0054】
具体的には、把持部60(吸着部61、保持部62)は、支持軸63、さらには可動部64を介して可動部65に連結されている。可動部65に固定された連結固定部653は、連結リンク391を介して揺動リンク392に連結されている。揺動リンク392は、連結軸393を介して揺動リンク394に連結されている。揺動リンク394は、可動ピン395に連結されている。可動ピン395は、搬送装置7に固定された連結固定部73の連結溝371内において移動可能に保持されている。
【0055】
把持部60(吸着部61、保持部62)が前後方向に往復運動すると、支持軸63を介して可動部64、65が前後方向に往復運動する。可動部64、65が前後方向に往復運動すると、連結固定部653及び連結リンク391を介して揺動リンク392が往復揺動運動する。揺動リンク392が往復揺動運動すると、連結軸393を介して揺動リンク394が揺動リンク392とは逆方向に往復揺動運動する。揺動リンク394が往復揺動運動すると、可動ピン395が連結固定部73の連結溝371内を移動し、連結固定部73を介して搬送装置7が把持部60とは逆方向に、前後方向に往復運動する。
【0056】
すなわち、把持部60が前方に移動すると搬送装置7が後方に移動し、把持部60が後方に移動すると搬送装置7が前方に移動する。本実施形態では、把持部60が前後方向に往復運動を1回行うと、搬送装置7が前後方向に往復運動を1回行うように設定されている。
【0057】
次に、焼成装置2において焼き菓子10を作製する工程について説明する。
図1に示すように、開いた状態の焼き型台4を、循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332から前方に向かって搬送する。このとき、焼き型台4を循環コンベア3の上側コンベア部33の上側に取り付けた状態で搬送する。
【0058】
そして、開いた状態の焼き型台4が材料供給装置21の下方に位置すると、材料供給装置21から焼き型5の下型52の凹部521に焼き菓子用材料を供給する。具体的には、材料供給装置21の供給管の各分岐管から焼き型5の下型52の各凹部521に焼き菓子用材料を供給する。
【0059】
このとき、循環コンベア3によって焼き型台4が前方に向かって搬送される速度に合わせて、材料供給装置21を前方に移動させながら焼き菓子用材料を供給する。焼き菓子用材料を供給した材料供給装置21は、後方に移動して元の位置に戻り、次の焼き型台4に焼き菓子用材料を供給する。
【0060】
次いで、図示を省略した他の部材によって焼き型台4の上型支持部41を回動させて閉じる。そして、図示を省略した他の部材によって嵌合レバー46を回動させた後、嵌合ピン45を嵌合レバー46の嵌合孔461に嵌合させる。これにより、焼き型台4を閉じた状態とする。焼き菓子用材料は、焼き型5のキャビティ空間内に充填された状態となる。
【0061】
次いで、閉じた状態の焼き型台4を、循環コンベア3の上側コンベア部33の前端部331まで前方に向かって搬送する。焼き型台4を循環コンベア3の上側コンベア部33において搬送している間、焼き型5のキャビティ空間内の焼き菓子用材料を加熱装置22によって所定の条件で加熱する。このとき、焼き型5の温度は約180℃となる。
【0062】
次いで、焼き型台4を、循環コンベア3の上側コンベア部33の前端部331から第1連結コンベア部35を介して下側コンベア部34の前端部341まで下方に向かって180°旋回するように搬送する。そして、焼き型台4を循環コンベア3の下側コンベア部34の前端部341から後端部342まで後方に向かって搬送する。このとき、焼き型台4を循環コンベア3の下側コンベア部34の下側に取り付けた状態で、すなわち上側コンベア部33とは上下反対の状態で搬送する。
【0063】
また、焼き型台4を循環コンベア3の下側コンベア部33において搬送している間、焼き型5のキャビティ空間内の焼き菓子用材料を加熱装置23によって所定の条件で加熱する。このとき、焼き型5の温度は約180℃となる。これにより、1個の焼き型台4(焼き型5)について、10個の薄肉状の焼き菓子10を作製する。
【0064】
次いで、図8に示すように、閉じた状態の焼き型台4が循環コンベア3の下側コンベア部34の位置A1に到達したとき、図示を省略した他の部材によって嵌合レバー46を回動させ、嵌合レバー46に対する嵌合ピン45の嵌合を解除する。これにより、焼き型台4の上型支持部41が図示を省略したカム機構によって徐々に回動する。
【0065】
そして、循環コンベア3の下側コンベア部34の後端部342の位置A2において、焼き型台4の上型支持部41が下型支持部42に対して略直角(約90°)に開く。すなわち、焼き型台4を開く動作は、下側コンベア部34の位置A1から開始され、下側コンベア部34の後端部342の位置A2において完了する。これにより、焼き型台4が開いた状態となる。
【0066】
次いで、焼き型台4を、上型支持部41が下型支持部42に対して略直角に開いた状態のまま、循環コンベア3の下側コンベア部34の後端部342から第2連結コンベア部36を介して上側コンベア部33の後端部332まで上方に向かって180°旋回するように搬送する。
【0067】
なお、開いた状態の焼き型台4において、焼き菓子10は、図示を省略した落下防止機構によって焼き型5の下型52内から落下しないようになっている。そのため、焼き菓子10を焼き型5の下型52内から離脱させることなく、焼き型台4を循環コンベア3の下側コンベア部34の後端部342から第2連結コンベア部36を介して上側コンベア部33の後端部332まで搬送することができる。
【0068】
また、開いた状態の焼き型台4における上型支持部41及び上型支持部41に支持された焼き型5の上型51は、左右方向において取り出し装置6及び搬送装置7の外側(右側)に位置している。すなわち、取り出し装置6及び搬送装置7は、焼き型台4における上型支持部41及び上型51の左右方向の最も内側の位置Cよりも内側(左側)に配置されている。
【0069】
そのため、焼き型台4を、循環コンベア3の下側コンベア部34の後端部342から第2連結コンベア部36を介して上側コンベア部33の後端部332まで搬送する際に、焼き型台4における上型支持部41及び上型51は、取り出し装置6及び搬送装置7に接触させることなく、取り出し装置6及び搬送装置7の外側(右側)を通過する。
【0070】
次に、焼成装置2から焼き菓子10を取り出す工程について説明する。
図9に示すように、焼き型台4が循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332の取り出し位置Bに到達したとき、焼き型台4の焼き型5の下型52内から焼き菓子10を取り出す取り出し作業を開始する。なお、把持部60の前後方向の位置は前進端の位置(最も前方の位置)であり、搬送装置7の前後方向の位置は後退端の位置(最も後方の位置)である。
【0071】
まず、図10に示すように、焼き型台4が循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332の取り出し位置Bに到達したと同時に、支持軸63が下方に移動し、それに伴って把持部60が下方に移動する。そして、吸着部61の吸着パッド611によって焼き型5の下型52内の焼き菓子10を吸着する。
【0072】
次いで、図11に示すように、把持部60が後方に移動し始めると同時に、支持軸63が上方に移動する。それに伴って、吸着部61の10個の吸着パッド611に10個の焼き菓子10を吸着した状態で、把持部60が上方に移動する。これにより、把持部60の吸着部61によって焼き菓子10を上方に持ち上げる。
【0073】
次いで、図12に示すように、保持部62が後方に移動すると同時に、搬送装置7が循環コンベア3の上側コンベア部33の後端部332に近づくように前方に移動する。これにより、吸着部61の吸着パッド611に吸着された焼き菓子10を、搬送コンベア71の前端部711の上方に位置させる。なお、このときの把持部60の前後方向の位置は後退端の位置であり、搬送装置7の前後方向の位置は前進端の位置である。
【0074】
次いで、図13に示すように、吸着部61の吸着パッド611の吸引状態を解除する。これにより、吸着部61の吸着パッド611から焼き菓子10が離脱し、搬送コンベア71の前端部711の位置に落下する。このとき、10個の焼き菓子10は、5個ずつ2列に整列した状態で搬送コンベア71上に移送される。移送された焼き菓子10は、その後、整列した状態で搬送コンベア71によって後方に搬送される。
【0075】
次いで、図14に示すように、把持部60が前方に移動し、前進端の位置(図9と同様の位置)に戻る。これと同時に、搬送装置7が後方に移動し、後退端の位置(図9と同様の位置)に戻る。これにより、図9図14に示す一連の取り出し作業において、把持部60及び搬送装置7が共に前後方向に往復運動を1回行うことになる。把持部60及び搬送装置7がこれらの位置に戻ると、次の焼き型台4が取り出し位置Bに到達し、次の取り出し作業が開始される。
【0076】
本実施形態では、焼き型台4が循環コンベア3を一周する時間を約2分程度に設定している。焼き型台4の数が64個であるため、図9図14に示す一連の取り出し作業を2秒以内(例えば1.5~2秒)で行うように設定されている。すなわち、焼き型台4が取り出し位置Bに到達して取り出し作業を開始してから次の焼き型台4が取り出し位置Bに到達して取り出し作業を開始するまでの時間が2秒以内(例えば1.5~2秒)である。
【0077】
次に、本実施形態の高速連続焼き菓子製造装置1における作用効果について説明する。
本実施形態の高速連続焼き菓子製造装置1によれば、焼成装置2の循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とが運動変換伝達機構37を介して機械的に接続されている。そして、焼成装置2の循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とが運動変換伝達機構37によって同期して運動することにより、取り出し装置6によって焼成装置2から焼き菓子10を取り出す作業(取り出し作業)が行われる。そのため、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の高速かつ連続的な取り出しが可能となる。
【0078】
また、上述したように、焼成装置2の循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とが運動変換伝達機構37によって同期して運動する。そのため、両者のうちの一方の動作速度を変更しても両者の動作タイミングがずれることはない。例えば、センサ等を備えたエアシリンダ等を用いて動作させる場合と比べて、両者の動作タイミングの調整が容易となる。これにより、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の取り出しをより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0079】
また、取り出し装置6の把持部60によって焼き型台4の焼き型5から複数の焼き菓子10を把持して搬送装置7に移送する。そのため、複数の焼き菓子10を整列した状態で搬送装置7に移送することが可能である。これにより、取り出し装置6の把持部60によって取り出した複数の焼き菓子10を搬送装置7において整列した状態で搬送できる。
【0080】
以上により、高速連続焼き菓子製造装置1は、取り出し装置6の把持部60によって焼成装置2から焼き菓子10の取り出しを高速かつ連続的に行い、取り出した焼き菓子10を搬送装置7において整列して搬送できる。よって、高速連続焼き菓子製造装置1における焼き菓子10の生産性向上を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態において、搬送装置7は、水平方向に往復運動可能に構成され、かつ、把持部60の水平方向の往復運動を把持部60とは逆方向の往復運動に変換して伝達する運動方向変換機構39を介して把持部60と機械的に接続されている。把持部60が把持した複数の焼き菓子10を搬送装置7に移送する際に、把持部60と搬送装置7とが互いに近づくように運動方向変換機構39によって同期して運動する。
【0082】
そのため、取り出し装置6の把持部60が把持した複数の焼き菓子10を搬送装置7に移送する際に、取り出し装置6の把持部60が搬送装置7に向かって後方に移動すると共に、搬送装置7が取り出し装置6の把持部60に向かって前方に移動する。これにより、取り出し装置6の把持部60が搬送装置7まで移動する必要がなく、取り出し装置6の把持部60の移動距離の短縮が可能となる。これにより、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の搬送装置7への移送時間を短縮できる。
【0083】
また、取り出し装置6の把持部60と搬送装置7とが運動方向変換機構39によって同期して運動するため、両者のうちの一方の動作速度を変更しても両者の動作タイミングがずれることはない。例えば、センサ等を備えたエアシリンダ等を用いて動作させる場合と比べて、両者の動作タイミングの調整が容易となる。これにより、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の搬送装置7への移送をより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0084】
また、上述したように、循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60とが同期して運動するので、循環コンベア3と取り出し装置6の把持部60と搬送装置7とが共に同期して運動することになる。これにより、焼き菓子10の取り出し作業全体をより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0085】
また、循環コンベア3に取り付けられた焼き型台4の焼き型5は加熱により高温となっているため、搬送装置7を循環コンベア3の取り出し位置Bに近い場所に配置することは耐久性の観点から困難である。そのため、取り出し装置6の把持部60が把持した複数の焼き菓子10を搬送装置7に移送する際に、搬送装置7が循環コンベア3の取り出し位置Bに近づくようにしている。これにより、搬送装置7の耐久性を保持しながら、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の搬送装置7への移送をより高速かつ連続的に、精度良く行うことができる。
【0086】
また、取り出し作業を高速かつ連続的に行うように構成され、取り出し作業を開始してから次の取り出し作業を開始するまでの時間が2秒以内である。そのため、非常に短い時間で焼き菓子10の取り出しを高速かつ連続的に行うことができる。これにより、焼き菓子10の取り出しを高速かつ連続的に行うという本実施形態の高速連続焼き菓子製造装置1の効果を有効に発揮できる。
【0087】
また、循環コンベア3は、水平方向に延びるように設けられた上側コンベア部33を有する。取り出し位置Bは、上側コンベア部33の後端部332にある。搬送装置7は、上側コンベア部33の後端部332近傍から水平方向に延びるように設けられている。そのため、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の搬送装置7への移送をより迅速に行うことができる。
【0088】
また、焼き型台4は、焼き型5の上型51を支持する上型支持部41と、焼き型5の下型52を支持する下型支持部42と、を有する。下型支持部42は、循環コンベア3に取り付けられている。上型支持部41は、下型支持部42の長手方向の一端側を支点として下型支持部42に対して略直角に開くように構成されていている。そのため、循環コンベア3の取り出し位置Bにおいて焼き型台4を開いた状態とすることにより、取り出し装置6の把持部60によって焼き型台4の焼き型5から焼き菓子10を取り出すことが容易となる。
【0089】
また、循環コンベア3の下側コンベア部34において、焼き型台4の上型支持部41を下型支持部42に対して略直角に開き、その状態を維持したまま、焼き型台4を下側コンベア部34の後端部342から第2連結コンベア部36を介して上側コンベア部33の後端部332まで搬送するように構成されている。そのため、循環コンベア3の取り出し位置Bにおいて、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10のより高速かつ連続的な取り出しが可能となる。
【0090】
また、把持部60は、焼き型台4の焼き型5から複数の焼き菓子10を吸着して把持する複数の吸着部61を有する。そのため、取り出し装置6の把持部60の複数の吸着部61によって焼き型台4の焼き型5から高温で壊れやすい薄肉状の複数の焼き菓子10を迅速かつ容易に吸着して把持できる。
【0091】
また、循環コンベア3と搬送装置7とが前後方向において並んで配置されている。また、取り出し装置6の把持部60が上側コンベア部33の後端部332の上方に配置されている。そのため、高速連続焼き菓子製造装置1の横幅が大きくなることを抑制でき、生産設備の省スペース化を図ることができる。また、横幅を抑制できるため、縦長の高速連続焼き菓子製造装置1を横に並べてより多くの生産ラインを構築することが可能となる。これにより、焼き菓子10の生産数増大、生産能力向上等の効果も得られる。
【0092】
また、焼き型台4を下側コンベア部34の後端部342から第2連結コンベア部36を介して上側コンベア部33の後端部332に搬送する際に、焼き型台4における上型支持部41及び上型支持部41に支持された焼き型5の上型51が、循環コンベア3に直交する方向において取り出し装置6及び搬送装置7の外側を通過するように構成されている。そのため、取り出し装置6及び搬送装置7を循環コンベア3(特に取り出し位置Bのある上側コンベア部33の後端部332)に対してより近接した位置に配置できる。これにより、取り出し装置6の把持部60による焼き菓子10の搬送装置7への移送をより迅速に行うことができると共に、生産設備の省スペース化をさらに図ることができる。
【0093】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0094】
(1)上記実施形態では、薄肉状の焼き菓子がアイスモナカ用のモナカ皮であったが、薄肉状の焼き菓子としては、例えば、通常のモナカ用のモナカ皮、コーン容器、その他の各種焼き菓子等であってもよい。
【0095】
(2)上記実施形態では、取り出し部の把持部を上下に移動させ、把持部の吸着部(真空パッド)によって吸着して把持する構成としたが、焼き菓子を他の構成、方法等によって把持するようにしてもよい。
【0096】
(3)循環コンベアと取り出し部の把持部とを機械的に接続する運動変換伝達機構は、循環コンベアの回転部の回転運動を把持部の水平方向の往復運動に変換して伝達することができれば、例えば、回転運動を往復運動に変換する部材等の運動を変換する部材、運動の方向を変換する部材、運動を伝達する部材等を用いて構成することができる。
【0097】
(4)取り出し部の把持部と搬送部とを機械的に接続する運動方向変換機構は、把持部の水平方向の往復運動を搬送部の把持部とは逆方向の往復運動に変換して伝達することができれば、例えば、運動を変換する部材、運動の方向を変換する部材、運動を伝達する部材等を用いて構成することができる。
【0098】
(5)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0099】
1…高速連続焼き菓子製造装置、2…焼成装置(焼成部)、3…循環コンベア、4…焼き型台、5…焼き型、6…取り出し装置(取り出し部)、7…搬送装置(搬送部)、10…焼き菓子、37…運動変換伝達機構、60…把持部、322…回転軸(回転部)、B…取り出し位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14