(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2019232769
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-121396(JP,A)
【文献】特開平07-024117(JP,A)
【文献】特開2017-221313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域に配置されており、前記遊技球が入球可能な第1入球口および第2入球口と、
前記遊技領域に設けられた導入口に入球した前記遊技球を前記第1入球口又は前記第2入球口のいずれか一方に振り分ける振分手段と、
前記遊技球が前記第1入球口または前記第2入球口に入球したことに基づいて少なくとも大当たりか否かの判定を実行する第1判定手段と、
前記遊技球が前記第1入球口に入球したことに応じて第1識別図柄を変動表示した後に、前記遊技球が前記第1入球口に入球したことに基づいて前記第1判定手段が行った前記判定の結果に対応する第1識別図柄を停止表示する第1識別図柄表示手段と、
前記遊技球が前記第2入球口に入球したことに応じて第2識別図柄を変動表示した後に、前記遊技球が前記第2入球口に入球したことに基づいて前記第1判定手段が行った前記判定の結果に対応する第2識別図柄を停止表示する第2識別図柄表示手段と、
前記第1入球口への入球に基づく前記第1判定手段による前記判定の実行を保留する第1保留手段と、
前記第2入球口への入球に基づく前記第1判定手段による前記判定の実行を保留する第2保留手段と、
前記第1保留手段および前記第2保留手段により保留された前記判定の実行の数を所定数まで記憶可能な保留数記憶手段と、
前記導入口を経由する以外で前記第1入球口への遊技球の入球を困難とする第1姿勢と、前記第1姿勢と比較して
前記導入口を経由する以外でも前記第1入球口への遊技球の入球を容易にした第2姿勢とに変位可能な第1変位部材と、
前記導入口を経由する以外で前記第2入球口への遊技球の入球を困難とする第3姿勢と、前記第3姿勢と比較して
前記導入口を経由する以外でも前記第2入球口への遊技球の入球を容易にした第4姿勢とに変位可能な第2変位部材と、
普通図柄に当選することを契機に開口状態となる入球口に遊技球が入球することで前記第1変位部材を前記第1姿勢から前記第2姿勢へと変位させるとともに、前記第2変位部材を前記第3姿勢から前記第4姿勢へと変位させる制御手段と、
を有する遊技機であって、
遊技機の遊技状態として通常遊技状態と、通常遊技状態よりも普通図柄の当選確率の高い入球容易状態があって、
前記通常遊技状態では前記導入口を経由する以外では前記第1入球口及び前記第2入球口への遊技球の入球は困難な状態である一方、
前記入球容易状態では前記導入口を経由する以外であっても前記第1入球口及び前記第2入球口への遊技球の入球が容易な状態となることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に示される遊技機の一つであるパチンコ遊技機では、始動条件の成立に基づいた判定を行い、判定の結果に基づいて、特別遊技(大当たり遊技)を行う。例えば、遊技球が始動口に入賞(入球)することによって判定を行い、特別遊技として、大入賞口の開放を伴うラウンド遊技を行う。大入賞口に遊技球を入賞させることで多数の賞球を得ることができる。判定の結果は、図柄表示手段において、図柄の変動表示を行ってから停止表示させ、図柄の停止態様によって遊技者に示される。
【0003】
また、遊技機では、判定の実行が保留されている数が遊技者に示される。例えば、液晶上に、4個を上限に保留図柄が表示される。さらに、パチンコ遊技機では、保留図柄を用いた演出が行われる。例えば、液晶上に表示されている保留図柄の表示態様を変化させる保留変化演出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、判定の実行が保留される数が制限される場合、演出の回数ひいては遊技興趣が制限される。
【0006】
本発明は従来における問題点を解消するためになされたものであり、判定の実行が保留される数を十分に確保して遊技興趣を高めることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技球が流下する遊技領域に配置されており、遊技球が入球可能な第1入球口および第2入球口と、前記遊技領域に設けられた導入口に入球した前記遊技球を前記第1入球口又は前記第2入球口のいずれか一方に振り分ける振分手段と、遊技球が第1入球口または第2入球口に入球したことに基づいて少なくとも大当たりか否かの判定を実行する第1判定手段と、第1識別図柄を変動表示した後に、遊技球が第1入球口に入球したことに基づいて第1判定手段が行った判定の結果に対応する第1識別図柄を停止表示する第1識別図柄表示手段と、第2識別図柄を変動表示した後に、遊技球が第2入球口に入球したことに基づいて第1判定手段が行った判定の結果に対応する第2識別図柄を停止表示する第2識別図柄表示手段と、第1識別図柄表示手段が第1識別図柄を変動表示しているとき、または、第2識別図柄表示手段が第2識別図柄を変動表示しているときに、遊技球が第1入球口に入球した場合は、第1入球口への入球に基づく第1判定手段による判定の実行を保留する第1保留手段と、第1識別図柄表示手段が第1識別図柄を変動表示しているとき、または、第2識別図柄表示手段が第2識別図柄を変動表示しているときに、遊技球が第2入球口に入球した場合は、第2入球口への入球に基づく第1判定手段による判定の実行を保留する第2保留手段と、第1保留手段および第2保留手段により保留された判定の実行の数を所定数まで記憶可能な保留数記憶手段と、前記導入口を経由する以外で前記第1入球口への遊技球の入球を困難とする第1姿勢と、前記第1姿勢と比較して前記導入口を経由する以外でも前記第1入球口への遊技球の入球を容易にした第2姿勢とに変位可能な第1変位部材と、前記導入口を経由する以外で前記第2入球口への遊技球の入球を困難とする第3姿勢と、前記第3姿勢と比較して前記導入口を経由する以外でも前記第2入球口への遊技球の入球を容易にした第4姿勢とに変位可能な第2変位部材と、普通図柄に当選することを契機に開口状態となる入球口に遊技球が入球することで前記第1変位部材を前記第1姿勢から前記第2姿勢へと変位させるとともに、前記第2変位部材を前記第3姿勢から前記第4姿勢へと変位させる制御手段と、を有する遊技機であって、遊技機の遊技状態として通常遊技状態と、通常遊技状態よりも普通図柄の当選確率の高い入球容易状態があって、前記通常遊技状態では前記導入口を経由する以外では前記第1入球口及び前記第2入球口への遊技球の入球は困難な状態である一方、前記入球容易状態では前記導入口を経由する以外であっても前記第1入球口及び前記第2入球口への遊技球の入球が容易な状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、当たりか否かの判定の実行が保留される数を十分に確保できるため、遊技興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】
図1に示す第1始動口、第2始動口および振分装置を拡大して示す説明図である。
【
図3】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類を拡大して示す説明図である。
【
図4】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図5】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図11】遊技制御用マイコンが実行するメイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図12】遊技制御用マイコンが
図11に示すメイン側主制御処理において実行するメイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図13】遊技制御用マイコンが
図12に示すメイン側タイマ割込処理において実行する始動口センサ検出処理のフローチャートである。
【
図14】遊技制御用マイコンが
図13に示す始動口センサ検出処理において実行するゲート通過処理のフローチャートである。
【
図15】遊技制御用マイコンが
図12に示すメイン側タイマ割込処理において実行する普通図柄待機処理のフローチャートである。
【
図16】遊技制御用マイコンが
図12に示すメイン側タイマ割込処理において実行する普通図柄変動処理のフローチャートである。
【
図17】演出制御用マイコンが実行するサブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図18】演出制御用マイコンが
図17に示すサブ側主制御処理において実行する1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図19】演出制御用マイコンが
図17に示すサブ側主制御処理において実行する10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図20】演出制御用マイコンが
図19に示す10msタイマ割込処理において実行する受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図21】本発明の第2実施形態の変形例に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の実施形態に係る遊技機としてパチンコ遊技機について説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0011】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出ボタン9と、演出レバー6と、スピーカ8と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0012】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図4)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。打球供給皿24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(
図4)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(
図4)および賞球払出装置400(
図4)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0013】
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手または左手で押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(
図5)と、演出ボタン振動モータ9b(
図5)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
【0014】
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるため
のバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0015】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。つまり、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられており、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押圧操作可能な位置に設けられている。
【0016】
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6d(
図5)が設けられている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0017】
前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0018】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備える。遊技盤2は、遊技盤2の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、第1可変入賞装置10と、第2可変入賞装置11と、振分装置12と、第1大入賞装置30と、第2大入賞装置33と、ゲート13と、第3可変入賞装置20と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備える。
【0019】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘Nが打ち込まれている。例えば、後述する第3可変入賞装置20の入球口21の上方には、3つの遊技釘Nから構成される第1遊技釘群NS1が配置されている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。
【0020】
また、
図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(
図5において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0021】
第1可変入賞装置10および第2可変入賞装置11は、演出表示装置7の下方にて左右方向に並べられて配置されている。
図2に示すように、第1可変入賞装置10は、第1始動口10aおよび第1変位部材10bを備えている。第1始動口10aは、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能に開口するように設けられている。第1変位部材10bは、閉姿勢P1と、閉姿勢P1と比較して遊技球を第1始動口10aに入球し易くする開姿勢P2とに変位可能に設けられたものである。第1変位部材10bは、第1始動口10aの両側にそれぞれ設けられた2つの第1羽根部材10b1によって構成されている。第1羽根部材10b1のそれぞれは、棒状に設けられて基端を回動軸にして回動可能に構成されている。第1変位部材10bが閉姿勢P1である場合、第1羽根部材10b1は、長手方向が上下方向に沿った姿勢である。第1変位部材10bが開姿勢P2である場合、第1変位部材10bが閉姿勢P1である場合に比べて、第1羽根部材10b1は、第1始動口10aを広範囲に開放するように傾斜する姿勢である。第1変位部材10bは、通常では閉姿勢P1であり、後述する所定の条件が成立した場合に開姿勢P2に変位する。
【0022】
第2可変入賞装置11は、第1可変入賞装置10と同様に構成され、第2始動口11aおよび第2変位部材11bを備えている。第2始動口11aは、第1始動口10aと同様に、遊技球が入賞(入球)可能に設けられている。第2変位部材11bは、第1変位部材10bと同様に、閉姿勢P1と、閉姿勢P1と比較して遊技球を第2始動口11aに入球し易くする開姿勢P2とに変位可能に設けられたものである。第2変位部材11bの閉姿勢P1および開姿勢P2は、第1羽根部材10b1と同様に設けられた第2羽根部材11b1が変位することにより形成される。第2変位部材11bは、通常では閉姿勢P1であり、後述する所定の条件が成立した場合に開姿勢P2に変位する。
【0023】
振分装置12は、遊技領域3を流下する遊技球を第1始動口10aおよび第2始動口11aの一方に振り分けるものである。振分装置12は、第1可変入賞装置10および第2可変入賞装置11の上方に配置されている。振分装置12は、本体部12a、第1導出部12b、第2導出部12cおよび振分部12dを備えている。
【0024】
本体部12aは、正面視台形状の中空の箱状に設けられている。本体部12aは、内側に遊技球を導入可能な導入口12a1が上面に設けられている。第1導出部12bは、本体部12aに導入された遊技球を第1可変入賞装置10に向けて導出するものである。第1導出部12bは、第1始動口10aに対向して設けられ、遊技球を導出する第1導出口12b1を備えている。また、第1導出部12bと第1変位部材10bとの距離は、第1変位部材10bが閉姿勢P1である場合に、第1導出部12bと第1変位部材10bとの間を、遊技球が通過できない距離に設定されている。すなわち、第1変位部材10bが閉姿勢P1である場合、第1導出口12b1から導出された遊技球のみが、第1始動口10aに入賞可能である。
【0025】
第2導出部12cは、本体部12aに導入された遊技球を第2可変入賞装置11に向けて導出するものである。第2導出部12cは、第2始動口11aに対向して設けられ、遊技球を導出する第2導出口12c1を備えている。また、第2導出部12cと第2変位部材11bとの距離は、第2変位部材11bが閉姿勢P1である場合に、第2導出部12cと第2変位部材11bとの間を、遊技球が通過できない距離に設定されている。すなわち、第2変位部材11bが閉姿勢P1である場合、第2導出口12c1から導出された遊技球のみが、第2始動口11aに入賞可能である。
【0026】
振分部12dは、本体部12aに収納され、導入口12a1から導入された遊技球を第1導出口12b1および第2導出口12c1の一方に振り分けるものである。振分部12dは、遊技球が導入口12a1から導入される毎に、第1導出口12b1および第2導出口12c1の一方に遊技球を交互に振り分けるように設けられている。振分部12dは、土台部材12eおよび第1振分部材12fを備えている。
【0027】
土台部材12eは、本体部12a内部の底部に配置され、第1振分部材12fを左右方向に傾斜可能に支持するものである。第1振分部材12fは、逆T字状に設けられ、左右方向に延びるように設けられた底板部12f1および上下方向に延びるように設けられた縦板部12f2を備えている。
【0028】
振分部12dが右側に傾斜した状態において、底板部12f1の左側および縦板部12f2の左側面が導入口12a1に対向するように位置する。この状態において導入口12a1から遊技球が導入された場合、遊技球が底板部12f1の左側に衝突することにより、振分部12dが左側に傾斜するとともに、遊技球が第1導出口12b1の方に案内される(
図2の一点鎖線の矢印を参照)。一方、振分部12dが左側に傾斜した状態において(図示省略)、底板部12f1の右側および縦板部12f2の右側面が導入口12a1に対向するように位置する。この状態において導入口12a1から遊技球が導入された場合、遊技球が底板部12f1の右側に衝突することにより、振分部12dが右側に傾斜するとともに、遊技球が第2導出口12c1の方に案内される。このように、振分部12dは、導入口12a1から導入された遊技球を、第1導出口12b1および第2導出口12c1の一方に振り分ける。なお、第1始動口10aは、本発明の第1入球口の一例である。第2始動口11aは、本発明の第2入球口の一例である。第1変位部材10bの閉姿勢P1は、本発明の第1姿勢の一例である。第1変位部材10bの開姿勢P2は、本発明の第2姿勢の一例である。第2変位部材11bの閉姿勢P1は、本発明の第3姿勢の一例である。第2変位部材11bの開姿勢P2は、本発明の第4姿勢の一例である。振分装置12は、本発明の振分手段の一例である。
【0029】
ゲート13は、
図1に示すように、右遊技領域3bに配置されており、右遊技領域3bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。第3可変入賞装置20は、遊技盤2のうちゲート13の下方、かつ、演出表示装置7の右方に配置されている。第3可変入賞装置20は、入球口21および第3変位部材22を備えている。
【0030】
入球口21は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能に開口するように設けられている。第3変位部材22は、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bと同様に、閉姿勢P1と、閉姿勢P1と比較して遊技球を入球口21に入球し易くする開姿勢P2とに変位可能に設けられたものである。第3変位部材22の閉姿勢P1および開姿勢P2は、第1羽根部材10b1および第2羽根部材11b1と同様に設けられた第3羽根部材22aが変位することにより形成される。第3変位部材22は、通常では閉姿勢P1であり、後述する普通図柄の抽選結果が当たりである場合に開姿勢P2に変位する。
【0031】
また、第3可変入賞装置20の入球口21の上方には、第1遊技釘群NS1が配置されている。第1遊技釘群NS1は、第3変位部材22が閉姿勢P1である場合に、入球口21に遊技球が入球できないように配置されている。一方、第3変位部材22が開姿勢P2である場合に、遊技球は、左側の第3羽根部材22aと第1遊技釘群NS1との間を通って、入球口21に入球可能である。
なお、入球口21は、本発明の第3入球口の一例である。第3変位部材22の閉姿勢P1は、本発明の第5姿勢の一例である。第3変位部材22の開姿勢P2は、本発明の第6姿勢の一例である。
【0032】
第1大入賞装置30は、遊技盤2のうち第2可変入賞装置11の右下方に配置されており、第2大入賞装置33は、第1大入賞装置30の上側に配置されている。第1大入賞装置30および第2大入賞装置33は、右遊技領域3bのうちゲート13および第3可変入賞装置20の下方に配置されている。第1大入賞装置30および第2大入賞装置33が開口する大当たり(後述する)が発生した場合、遊技者は、第1大入賞装置30および第2大入賞装置33を狙って、右遊技領域3bに向けて遊技球を発射する(いわゆる右打ち)。よって、大当たりが発生した場合においては、ゲート13に遊技球が連続して通過しやすい状態となる。また、この場合において、第3可変入賞装置20の第3変位部材22が開姿勢P2となることによって入球口21が開放されるとき、入球口21に遊技球が入賞しやすい状態となる。
【0033】
また、第1大入賞装置30は、第1大入賞口32を開閉する第1開閉部材31を備えており、第2大入賞装置33は、第2大入賞口35を開閉する第2開閉部材34を備える。第1大入賞口32および第2大入賞口35は、それぞれ同時に複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。本実施形態では、第1開閉部材31および第2開閉部材34は、それぞれ左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。以下、第1大入賞口32および第2大入賞口35に共通の事項を説明する場合は、単に大入賞口という。
【0034】
第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球が通過可能な領域である特定領域(V入賞領域ともいう、図示せず)および非特定領域(図示せず)が形成されている。また、第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける第2振分部材(図示せず)と、この第2振分部材を駆動する第2振分部材ソレノイド35d(
図4)とが設けられている。
【0035】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって第1大入賞装置30の下方に設けられている。
図3に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0036】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ8個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
【0037】
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート13を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、第3可変入賞装置20の第3変位部材22が変位し、入球口21が開放または閉鎖する。第3可変入賞装置20の入球口21に遊技球が入球することにより、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bがそれぞれ開姿勢P2に変位し、第1始動口10aおよび第2始動口11aに遊技球が入賞しやすくなる(詳細は後述する)。
【0038】
普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート13を通過したときは、その通過に起因する普通図柄の抽選ひいては普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)される。その作動保留の数を示す記憶数が普図保留表示器53aによって表示される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0039】
遊技球が第1始動口10aに入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているとき、または、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口10aに入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0040】
また、遊技球が第2始動口11aに入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第2大入賞装置33が作動して第2開閉部材34が開閉し、第2大入賞口35が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているとき、または、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口11aに入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数および第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0041】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。また、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、開閉する大入賞口(第1大入賞口32および第2大入賞口35の一方または両方)、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。なお、第1特別図柄は、本発明の第1識別図柄の一例である。第1特別図柄表示器51は、本発明の第1識別図柄表示手段の一例である。第2特別図柄は、本発明の第2識別図柄の一例である。第2特別図柄表示器52は、本発明の第2識別図柄表示手段の一例である。
【0042】
パチンコ遊技機1には、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)として、通常の確率(以下、通常確率という)と、通常確率よりも高い確率(以下、高確率という)とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率に設定されている遊技状態を通常確率状態といい、大当たり確率が高確率に設定されている遊技状態を高確率状態という。尚、以下に説明する本実施形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中に第2大入賞口35に入賞した遊技球が、前述した特定領域を通過(V入賞)すると、大当たり遊技が終了した後の遊技状態が高確率状態に移行する。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆるV確機と呼ばれる機種である。
【0043】
レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(
図4)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備える。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0044】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像および静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。
【0045】
また、演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~9の算用数字を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域および右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0046】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式などを用いることもできる。
【0047】
また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などの動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像などである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
【0048】
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
【0049】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄を大当たり演出図柄といい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄をハズレ演出図柄という。本実施形態では、大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄を演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0050】
演出図柄変動パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出図柄に対する演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出図柄に対する演出表示装置7の作動保留数とは一致する。尚、第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数、及び第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、保留画像によって演出表示装置7に表示される。従って、遊技者は、演出表示装置7に表示される保留画像の数を数えることにより、第1特図保留数や第2特図保留数を知ることができるとともに、第1特図保留数や第2特図保留数に起因する演出表示装置7の作動保留数を知ることができる。尚、演出図柄に対する演出表示装置7の作動保留数については演出表示装置7に表示せずに演出表示装置7の周辺にあるランプ等を用いて遊技者に報知しても良い。
【0051】
また、パチンコ遊技機1では、上記演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2aの点灯、役物の動作等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0052】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について
図4および
図5を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図4)と、払出制御基板73(
図4)と、サブ制御基板100(
図5)と、画像制御基板200(
図5)と、ランプ制御基板79(
図5)と、音声制御基板78(
図5)とを備えている。
【0053】
図4に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種別乱数の更新などを実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブルTa1、大当たり種別判定テーブルTa2、リーチ判定テーブルTa3、特図変動パターン選択テーブルTa4、普通当たり判定テーブルTa5(
図6)、及び、開姿勢時間設定テーブルTa6(
図7)などの各種のテーブルが記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、普通当たり乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0054】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64a(
図8)と、第2特図保留記憶部64b(
図9)と、普図保留記憶部64c(
図10)とが設けられている。第1特図保留記憶部64aは、第1ないし第8記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大8個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口10a(
図1及び
図2)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(
図3)が第1特別図柄を変動表示しているとき、または、第2特別図柄表示器52(
図3)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口10a(
図1及び
図2)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0055】
一方、第2特図保留記憶部64bは、第1ないし第8記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大8個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口11a(
図1及び
図2)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(
図3)が第1特別図柄を変動表示しているとき、または、第2特別図柄表示器52(
図3)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口11a(
図1及び
図2)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64bに記憶される。なお、本実施例において、第1特図保留数および第2特図保留数の合計は、後述するように8個に制限される。なお、第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bは、本発明の保留数記憶手段の一例である。
【0056】
大当たり乱数などは作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、大当たり乱数などが第1ないし第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数などは、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。たとえば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数などは第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などに基づく判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0057】
また、
図10に示すように、普図保留記憶部64cは、遊技球がゲート13(
図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数が記憶される。上述したように、遊技球がゲート13を通過したことに起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有する。普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。
【0058】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64およびサブ制御基板100のRAM120(
図5)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ10a1と、第2始動口センサ11a1と、ゲートセンサ13aと、入球口センサ21aと、第1大入賞口センサ32aと、第2大入賞口センサ35aと、特定領域センサ35bと、非特定領域センサ35cと、第1始動口ソレノイド10a2と、第2始動口ソレノイド11a2と、入球口ソレノイド21bと、第1大入賞口ソレノイド30aと、第2大入賞口ソレノイド33aと、第2振分部材ソレノイド35dとが電気的に接続されている。
【0059】
第1始動口センサ10a1は、第1始動口10a(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口10aに入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ11a1は、第2始動口11a(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口11aに入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ13aは、ゲート13(
図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート13を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。入球口センサ21aは、入球口21(
図1)の直下に設けられており、遊技球が入球口21に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0060】
第1大入賞口センサ32aは、第1大入賞口32(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第1大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第2大入賞口35に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。特定領域センサ35bは、第2大入賞口35(
図1)の内部の特定領域内に設けられており、遊技球が特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。非特定領域センサ35cは、第2大入賞口35(
図1)の内部の非特定領域に設けられており、遊技球が非特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0061】
第1始動口ソレノイド10a2は、第1可変入賞装置10の第1変位部材10bの開姿勢P2と閉姿勢P1とを切り替えるように駆動する。第2始動口ソレノイド11a2は、第2可変入賞装置11の第2変位部材11bの開姿勢P2と閉姿勢P1とを切り替えるように駆動する。入球口ソレノイド21bは、第3可変入賞装置20の第3変位部材22の開姿勢P2と閉姿勢P1とを切り替えるように駆動する。
【0062】
第1大入賞口ソレノイド30aは、第1大入賞装置30の第1開閉部材31(
図1)を開閉駆動する。第2大入賞口ソレノイド33aは、第2大入賞装置33の第2開閉部材34(
図1)を開閉駆動する。第2振分部材ソレノイド35dは、第2大入賞装置33の内部に設けられた第2振分部材を駆動する。
【0063】
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0064】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
【0065】
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(
図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0066】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0067】
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0068】
主制御基板60は、サブ制御基板100(
図5)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0069】
図5に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、特図演出選択テーブルTa7などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123と、が設けられている。
【0070】
第1特図保留演出記憶部121は、第1ないし第8記憶領域から成る8つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口10aに入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
【0071】
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1ないし第8記憶領域から成る8つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口11aに入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
【0072】
なお、演出制御用マイコン101は、第1特図保留演出記憶部121および第2特図保留演出記憶部122に記憶された各コマンドに基づいて、大当たりが否かの判定を事前に行う。演出制御用マイコン101は、この事前に行われた判定の結果に応じて、先読み演出を実行する。先読み演出は、演出表示装置7に表示される作動保留数を示す保留画像等を用いた演出である。
【0073】
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドや第2始動入賞コマンドなどを記憶する。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0074】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。
【0075】
画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、レバー演出画像、予告画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0076】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
【0077】
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0078】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0079】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6gと、演出レバー回転検出スイッチ6hと、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6dとが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6gは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6gから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6hは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6hから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0080】
演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6dの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6dを駆動制御する。
【0081】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器および普通図柄表示器53には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能とが備
わっている。特別図柄表示器の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。
また、特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始から確定表示までに要する時間)が、非時短状態よりも短くなっている。
【0082】
特別図柄表示器の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器の変動時間短縮機能のみに同期して作動するようになっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。普通図柄表示器53の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器53が確定表示する普通図柄が、普通当たり図柄(普通図柄の抽選において当たりと判定されたことを示す普通図柄)となる確率が高くなる。
【0083】
また、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。さらに時短状態では、第1ないし第3可変入賞装置20の開放時間(開姿勢P2になっている時間)が、非時短状態よりも長くなっている。つまり、第1ないし第3可変入賞装置10,11,20の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における第1ないし第3可変入賞装置10,11,20の開放回数(開姿勢P2になる回数)が非時短状態よりも多くなっている。つまり、第1ないし第3可変入賞装置10,11,20の開放回数増加機能が作動している。補助遊技とは、確定表示された普通図柄が予め定めた特定の普通図柄である場合に、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて入球口21ひいては第1始動口10aおよび第2始動口11aを開閉させる遊技のことである。なお、非時短状態は、本発明の第1遊技状態の一例である。時短状態は、本発明の第2遊技状態の一例である。
【0084】
普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、第1ないし第3可変入賞装置10,11,20の開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第1ないし第3可変入賞装置10,11,20が頻繁に開放され、入球口21ひいては第1始動口10aおよび第2始動口11aへ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、このように、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、入球口21ひいては第1始動口10aおよび第2始動口11aの開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下で、入球口21ひいては第1始動口10aおよび第2始動口11aへの入賞をサポートする制御を電サポ制御という。
【0085】
本実施形態のパチンコ遊技機1では、後述する特別大当たりで当選した後の大当たり遊技中に遊技球が第2大入賞口35(
図1)の内部の特定領域(V入賞領域)を通過した場合、その大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに高確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0086】
また、特別大当たりに当選したとしても大当たり遊技中に遊技球が第2大入賞口35(
図1)の内部の特定領域(V入賞領域)を通過しなかった場合、或いは通常大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに通常確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、電サポ制御は行わないとともに通常確率状態かつ非時短状態である。上述した遊技状態は、遊技制御用マイコン61によって選択(設定)される。
【0087】
[大当たり判定テーブル]
大当たり判定テーブルTa1は、遊技制御用マイコン61(
図4)が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルTa1は、遊技状態(通常確率状態および高確率状態)と大当たり乱数とを対応付けて構成されている。大当たり乱数は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。大当たり判定テーブルTa1に基づいて、大当たりカウンタによってカウントされた大当たり乱数および遊技状態から、大当たりか、大当たりでないハズレかが判定される。遊技制御用マイコン61は、本発明の第1判定手段の一例である。
【0088】
[大当たり種別判定テーブル]
大当たり種別判定テーブルTa2は、大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61(
図4)が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルTa2は、抽選の種類(特
図1の抽選か特
図2の抽選か)と大当たり種別乱数とを対応付けて構成されている。大当たり種別乱数は、大当たり種別乱数カウンタが発生する大当たり種別乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。
【0089】
本実施形態のパチンコ遊技機1では,大当たりの種別として、「10R特別大当たり」と、「10R通常大当たり」と、「16R特別大当たり」と、「16R通常大当たり」がある。特別大当たりは、その大当たり遊技中に特定領域(V入賞領域)への遊技球の通過が可能な開放パターンで、第1大入賞装置30及び第2大入賞装置33を作動させる大当たりである。通常大当たりは,その大当たり遊技中に特定領域(V入賞領域)への遊技球の通過が実質的に不可能な開放パターンで、第1大入賞装置30及び第2大入賞装置33を作動させる大当たりである。大当たり種別判定テーブルTa2に基づいて、大当たり種別乱数カウンタによってカウントされた大当たり種別乱数及び抽選の種類から、大当たりの種別が判定される。なお、大当たりの種別は、第1特別図柄の抽選が当たりである場合より、第2特別図柄の抽選が当たりである場合の方が、遊技者にとって優位性があるように設定されている。例えば、第2特別図柄の抽選では、最大ラウンド数が16の大当たりのみが設定されているが、第1特別図柄の抽選では、最大ラウンド数が10の大当たりしか設定されていない。また、第2特別図柄の抽選では、第1特別図柄の抽選よりも、特別大当たりとなる確率が高くなるように設定されている。
【0090】
[リーチ判定テーブル]
リーチ判定テーブルTa3は、遊技制御用マイコン61(
図3)が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。ここで、リーチとは、複数の特別図柄のうち変動表示されている特別図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている特別図柄がどの特別図柄で確定表示されるか次第で大当たりを示す特別図柄の組み合わせとなる状態のことである。また、リーチとは、演出表示装置7の複数の表示領域においてそれぞれ変動表示されている演出図柄のうち、変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの演出図柄で確定表示されるか次第で大当たり演出図柄の組み合わせとなる状態のことである。
【0091】
たとえば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄表示領域において左演出図柄9Lとして「7」が確定表示されており、右演出図柄表示領域において右演出図柄9Rとして「7」が確定表示されており、中演出図柄表示領域において中演出図柄9Cが変動表示されている状態のことである。なお、リーチの概念には、中演出図柄9Cがスクロールしている状態の他、揺れている状態、拡大と縮小を繰り返す状態などが含まれる。
【0092】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルTa3は、遊技状態(非時短状態および時短状態)とリーチ乱数とを対応付けて構成されている。リーチ乱数は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。リーチ判定テーブルTa3に基づいて、リーチ乱数カウンタによってカウントされたリーチ乱数及び遊技状態から、大当たり判定の結果がハズレであった場合におけるリーチの有無が判定される。
【0093】
リーチ有りと判定されるリーチ乱数は、非時短状態よりも時短状態の方が少なく設定されている。これにより、時短状態ではリーチ有りと判定される確率が非時短状態よりも低くなる。つまり、リーチ無しと判定される確率が高くなるため、その分、特図変動パターンを選択する際に、リーチ無しの特図変動パターンを選択する確率が高くなる。このため、時短状態では、特図保留数の消化のペースが速くなる。
【0094】
[特図変動パターン選択テーブル]
特図変動パターン選択テーブルTa4は、遊技制御用マイコン61(
図4)が特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターン選択テーブルTa4は、遊技状態(非時短状態および時短状態)と、判定(大当たり判定およびリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数と、特図変動パターンと、変動時間と、停止時間とを対応付けて構成されている。尚、大当たり種別について対応付けても良い。変動パターン乱数は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。変動パターン乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数カウンタが動作して変動パターン乱数が発生する。特図変動パターン選択テーブルTa4に基づいて、変動パターン乱数カウンタによってカウントされた変動パターン乱数、遊技状態、判定結果および特図保留数から、特図変動パターン、特別図柄の変動時間および停止時間が決定される。
【0095】
[普通当たり判定テーブル]
図6に示す普通当たり判定テーブルTa5は、遊技制御用マイコン61(
図4)が普通図柄の抽選を実行する際に参照するテーブルである。普通当たり判定テーブルTa5は、遊技状態(時短状態および非時短状態)と、普通当たり乱数と、判定結果(普通図柄の抽選が当たりか否かの判定結果)と、開放時間とを対応付けて構成されている。遊技状態が時短状態である場合、遊技状態が非時短状態である場合に比べて、判定結果が当たりとなる確率が高くなるように、かつ、判定結果が当たりである場合における開放時間が長くなるように設定されている。開放時間は、第3変位部材22が閉姿勢P1から開姿勢P2に変位して、開姿勢P2を維持する時間であり、遊技球が入球口21に入賞可能な時間である。
【0096】
普通当たり乱数は、普通当たり乱数カウンタが発生する普通当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。普通当たり乱数カウンタは、0~99の計100個の普通当たり乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の普通当たり乱数を発生する。普通当たり乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。普通当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、普通当たり乱数カウンタが動作して普通当たり乱数が発生する。
【0097】
本実施形態においては、
図6に示すように、遊技状態が時短状態のときの普通当たり乱数として、0~99の計100個の普通当たり乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに普通当たり乱数カウンタから取得した普通当たり乱数が0~29のいずれかであった場合は、普通当たり判定において普通図柄の抽選が当たり(普通当たり)と判定し、開放時間が4秒に設定される。また、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに普通当たり乱数カウンタから取得した普通当たり乱数が30~97のいずれかであった場合は、普通当たり判定において普通当たりと判定し、開放時間が2秒に設定される。さらに、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに普通当たり乱数カウンタから取得した普通当たり乱数が98~99のいずれかであった場合は、普通当たり判定において普通当たりでないハズレと判定し、開放時間が0秒に設定される。
【0098】
また、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときに普通当たり乱数カウンタから取得した普通当たり乱数が0~4のいずれかであった場合は、普通当たり判定において普通当たりと判定し、開放時間が0.5秒に設定される。さらに、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときに普通当たり乱数カウンタから取得した普通当たり乱数が5~99のいずれかであった場合は、普通当たり判定において普通当たりでないハズレと判定し、開放時間が0秒に設定される。普通図柄の変動時間は、遊技状態と対応付けられており、非時短状態より時短状態の方が短くなるように設定されている。遊技制御用マイコン61は、本発明の第2判定手段の一例である。
【0099】
[開姿勢時間設定テーブル]
図7に示す開姿勢時間設定テーブルTa6は、遊技制御用マイコン61が第1変位部材10bおよび第2変位部材11bの開姿勢時間を設定する際に参照するテーブルである。開姿勢時間は、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが閉姿勢P1から開姿勢P2に変位して、開姿勢P2を維持する時間であり、遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに入賞可能な時間である。開姿勢時間設定テーブルTa6は、遊技状態と、開姿勢乱数と、開姿勢時間とを対応付けて設定されている。開姿勢時間は、遊技状態が時短状態である場合の方が、遊技状態が非時短状態である場合より長い時間に設定されている。
【0100】
開姿勢乱数は、開姿勢乱数カウンタが発生する開姿勢乱数の中から所定の乱数を選択したものである。開姿勢乱数カウンタは、0~99の計100個の開姿勢乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の開姿勢乱数を発生する。開姿勢乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。開姿勢乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、開姿勢乱数カウンタが動作して開姿勢乱数が発生する。
【0101】
本実施形態においては、
図7に示すように、遊技状態が時短状態のときの普通当たり乱数として、0~99の計100個の開姿勢乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに開姿勢乱数カウンタから取得した開姿勢乱数が0~29のいずれかであった場合は、開姿勢時間が6秒に設定される。また、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに開姿勢乱数カウンタから取得した開姿勢乱数が30~99のいずれかであった場合は、開姿勢時間が3秒に設定される。
【0102】
また、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときに開姿勢乱数カウンタから取得した開姿勢乱数が0~4のいずれかであった場合は、開姿勢時間が2秒に設定される。また、遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときに開姿勢乱数カウンタから取得した開姿勢乱数が5~99のいずれかであった場合は、開姿勢時間が0.5秒に設定される。
【0103】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61(
図4)が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。(メイン側主制御処理)
最初に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側主制御処理の内容についてそれを示す
図11を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63(
図3)から
図11に示すメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初に初期設定を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。この初期設定では、たとえば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどのリセットなどを行う。
【0104】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数および普通当たり乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタICなどから成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0105】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、たとえば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0106】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側タイマ割込処理(
図11のS5)の内容についてそれを示す
図12を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64(
図4)に設けられた出力バッファにセットされたコマンドなどをサブ制御基板100(
図5)や払出制御基板73(
図4)、表示器類50などに出力する。特に本実施形態では普通図柄の変動を開始させる普図変動開始コマンド、普通図柄の変動が停止した時に入球口21を開放させる普通当たり開始コマンド、及び、特別図柄の変動を開始させる特図変動開始コマンドについても出力する。以下、普図変動開始コマンドおよび特図変動開始コマンドに共通の事項を説明する場合は、単に変動開始コマンドという。
【0107】
続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ10a1、第2始動口センサ11a1、第1大入賞口センサ32a、第2大入賞口センサ35a、ゲートセンサ13a、入球口センサ21aなど(
図3))が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。
【0108】
続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S13)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板73に対して出力されるコマンドである。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図11のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0109】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する始動口センサ検出処理(S15)、普通図柄待機処理(S16)、普通図柄変動処理(S17)、特別図柄待機処理(S18)、特別図柄変動処理(S19)、その他の処理(S20)を実行して、メイン側タイマ割込処理(S5)を終了する。その他の処理(S20)は、不正入賞を検知して報知するセキュリティ制御処理、磁気を利用した不正行為を検知して報知する磁気検出処理、前面枠18(
図1)や内枠の開放を検知して報知する扉開放処理、電波を利用した不正行為を検知して報知する不正電波検出処理、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知して報知する衝撃検出処理などである。
【0110】
そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまではメイン側主制御処理のS2~S4の処理が繰り返し実行され(
図11)、割込パルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割込処理(S5)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割込処理(S5)の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割込処理(S5)にてRAM64(
図3)の出力バッファにセットされたコマンドなどが所定の基板へ出力される。
【0111】
(始動口センサ検出処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する始動口センサ検出処理(
図12のS15)の内容についてそれを示す
図13を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート13(
図1)を通過したか否かを判定し(S21)、通過したと判定した場合は(S21:Yes)、後述するゲート通過処理を実行する(S22)。また、S21において、遊技球がゲート13を通過していないと判定した場合は(S21:No)、遊技球が入球口21に入球したか否かを判定する(S23)。ここで、遊技球が入球口21に入球したと判定した場合は(S23:YES)、入球処理を実行する(S24)。
【0112】
入球処理は、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させる処理である。入球処理においては、遊技制御用マイコン61は、開姿勢乱数カウンタがカウントする開姿勢乱数を取得する。続けて、遊技制御用マイコン61は、開姿勢時間設定テーブルTa6に基づいて、開姿勢乱数および現時点の遊技状態(時短状態または非時短状態)から、開姿勢時間を設定する。さらに、遊技制御用マイコン61は、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを、この設定した開姿勢時間だけ開姿勢P2に変位させる。具体的には、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させる開姿勢コマンドが出力バッファにセットされる。さらに、この開姿勢コマンドが
図12のS10の出力処理にて第1始動口ソレノイド10a2および第2始動口ソレノイド11a2へ出力されることにより、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢P2に変位する。このように、本実施形態において、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させる所定の条件は、遊技球が入球口21に入球したことである。
【0113】
一方、S23において、遊技球が入球口21に入球していないと判定した場合は(S23:No)、遊技球が第2始動口11a(
図1)に入賞したか否かを判定する(S25)。遊技球が第2始動口11aに入賞したと判定した場合は(S25:Yes)、第1特図保留数U1および第2特図保留数U2の合計(以下、合計保留数と記載する。)が「8」に達しているか否か判定する(S26)。ここで、合計保留数が「8」に達していると判定した場合は(S26:Yes)、S31に進むが、合計保留数が「8」に達していないと判定した場合は(S26:No)、第2特図保留数U2に1を加算する(S27)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S28)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数カウンタがカウントする大当たり乱数と、大当たり種別乱数カウンタがカウントする大当たり種別乱数と、リーチ乱数カウンタがカウントするリーチ乱数と、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64bのうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に記憶する。たとえば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0114】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S29)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S28において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口11aに入賞したことを示すデータ、S28において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S29において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S30)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(
図12のS10)においてサブ制御基板100(
図5)に出力され、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0115】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口10a(
図1)に入賞したか否かを判定する(S31)。ここで、遊技球が第1始動口10aに入賞したと判定した場合は(S31:Yes)、合計保留数が「8」に達しているか否か判定する(S32)。ここで、合計保留数が「8」に達していると判定した場合は(S32:Yes)、この始動口センサ検出処理を終了するが、合計保留数が「8」に達していないと判定した場合は(S32:No)、第1特図保留数U1に1を加算する(S33)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S34)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64aのうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。たとえば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0116】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S35)。この第1始動入賞コマンド作成処理では、S34において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口10aに入賞したことを示すデータ、S34において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S35において作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S36)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(
図12のS10)においてサブ制御基板100(
図5)に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。なお、遊技制御用マイコン61は、本発明の第1保留手段、第2保留手段および制御手段の一例である。合計保留数は、本発明の所定数の一例である。
【0117】
(ゲート通過処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行するゲート通過処理(
図13のS22)の内容についてそれを示す
図14を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、普図保留数U3が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S40)。ここで、普図保留数U3が「4」に達していると判定した場合は(S40:Yes)、ゲート通過処理を終了するが、普図保留数U3が「4」に達していないと判定した場合は(S40:No)、普図保留数U3に1を加算する(S41)。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通当たり乱数取得処理を実行する(S42)。この普通当たり乱数取得処理では、普通当たり乱数カウンタがカウントする普通当たり乱数を取得し、普通当たり乱数を普図保留記憶部64cのうち、現在の普図保留数に応じた記憶領域に記憶する。たとえば、現在の普図保留数が「3」であった場合は、乱数を第4記憶領域に記憶する。また、遊技制御用マイコン61は、上述した普図始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S43)。RAM64の出力バッファにセットされた普図始動入賞コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図12のS10)において、サブ制御基板100に出力される。
【0118】
(普通図柄待機処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する普通図柄待機処理(
図12のS16)の内容についてそれを示す
図15を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、普図保留数U3が「0」であるか否かを判定し(S50)、「0」ではないと判定した場合は(S50:No)、普通当たり判定処理を実行する(S51)。普通当たり判定処理において、遊技制御用マイコン61は、RAM64の普図保留記憶部64cの第1記憶領域に記憶されている普通当たり乱数を読出す。続けて、遊技制御用マイコン61は、普通当たり判定テーブルTa5に基づいて、読出した普通当たり乱数から、普通図柄の抽選の判定結果、および、開放時間を選択し、現時点の遊技状態から変動時間を設定する。
【0119】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄の抽選の判定結果に基づいて、普通図柄表示器53に確定表示させる普通図柄を設定する。遊技状態に関わらず、抽選結果が当たりである場合には普通当たり図柄が選択され、かつ、抽選結果がハズレである場合には普通ハズレ図柄(普通図柄の抽選においてハズレと判定されたことを示す普通図柄)が選択される。遊技制御用マイコン61によって選択された普通図柄、並びに、開放時間および変動時間は、普図変動開始コマンドにセットされる。
【0120】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普図保留数U3から「1」を減算し(S52)、普図保留記憶部64cの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S53)。
【0121】
続いて、遊技制御用マイコン61は、S51にてセットした普図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S54)。RAM64の出力バッファにセットされた普図変動開始コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図12のS10)において、表示器類50およびサブ制御基板100に出力される。
【0122】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普図変動開始処理を実行する(S55)。普図変動開始処理によって、普通図柄表示器53は、普図変動開始コマンドに含まれる変動時間のデータに基づいて普通図柄の変動表示を行う。また、普通図柄表示器53が普通図柄の変動表示を行う毎に、普図保留記憶部64cの各記憶領域に記憶されている各データは、記憶の順番が古い方の記憶領域にシフトされる。
【0123】
(普通図柄変動処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する普通図柄変動処理(
図12のS17)の内容についてそれを示す
図16を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、普通図柄の変動時間(
図15の普通当たり判定処理(S51)において設定された変動時間)が終了したか否かを判定する(S60)。ここで、終了していないと判定した場合は(S60:No)、この普通図柄変動処理を終える。この場合、普通図柄の変動表示が継続される。一方、終了したと判定した場合は(S60:Yes)、普通図柄の変動表示を停止させるための普図変動停止コマンドをRAM64(
図4)に設けた出力バッファにセットする(S61)。RAM64の出力バッファにセットされた普図変動停止コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図12のS10)において、表示器類50およびサブ制御基板100に出力される。
【0124】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄停止処理を実行する(S62)。普通図柄停止処理は、普通図柄の変動表示を、普通当たり判定処理(S51:
図15)において設定した普通図柄(普通当たり図柄または普通ハズレ図柄)で停止させる処理である。
【0125】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普通当たりフラグがONになっているか否かを判定する(S63)。普通当たりフラグは、普図変動開始コマンドが出力された時点において、そのコマンドにセットされた普通図柄の抽選結果が当たりである場合にONになる。S63において大当たりフラグがONになっていないと判定した場合は(S63:No)、この普通図柄変動処理を終える。
【0126】
一方、遊技制御用マイコン61は、普通当たりフラグがONになっていると判定した場合は(S63:Yes)、普通当たり開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S64)。普通当たり開始コマンドには、普通当たり判定処理(S51)において設定された開放時間が含まれる。RAM64の出力バッファにセットされた普通当たり開始コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図12のS10)において表示器類50およびサブ制御基板100に出力される。この普通当たり開始コマンドが出力された時点で普通当たりフラグがOFFになる。
【0127】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普通当たり開始処理を実行する(S65)。普通当たり開始処理は、第3変位部材22を駆動させて、普通当たり開始コマンドに含まれる開放時間だけ入球口21を開放させる処理である。すなわち、普通図柄の抽選結果が当たりであることに応じて、第3変位部材22が開姿勢P2に変位する。
【0128】
(特別図柄待機処理)
特別図柄待機処理(
図12のS18)において、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定テーブルTa1に基づいた特別図柄が当たりか否かの大当たり判定の処理、大当たり判定が当たりであった場合における大当たり種別判定テーブルTa2に基づいた大当たり種別の判定、大当たり判定がハズレであった場合におけるリーチ判定テーブルTa3に基づいたリーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かの判定の処理、特図変動パターン選択テーブルTa4に基づいた特図変動パターンの選択の処理を実行する。遊技制御用マイコン61は、大当たりの種類に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データ、および、選択した変動パターンを示す変動パターンデータを含む、特図変動開始コマンドをRAM64(
図4)に設けた出力バッファにセットする。特図変動開始コマンドが出力されることにより、特図保留数の消化、特別図柄表示器による特別図柄の変動表示が実行される。なお、第1特図保留数および第2特図保留数がどちらも1個以上である場合、第1特別図柄表示器51の作動保留および第2特別図柄表示器52の作動保留の発生の順番、すなわち、第1始動口10aへの入賞および第2始動口11aへの入賞の順番に、特図保留数が消化される。
【0129】
(特別図柄変動処理)
特別図柄変動処理(
図12のS19)において、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間が終了した時に、特別図柄の変動表示を停止させるための特図変動停止コマンドをRAM64(
図4)に設けた出力バッファにセットする。特図変動停止コマンドが出力されることにより、特別図柄の変動表示が停止され、特図停止図柄データに応じた図柄(特図の大当たり図柄または特図のハズレ図柄)が確定表示される特別図柄停止処理が実行される。
【0130】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定において大当たりと判定された場合、大当たり遊技を開始するために、大当たりオープニングを実行させるためのオープニングコマンドをセットする。大当たりオープニングとは、大当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、大当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。オープニング設定では、大当たり遊技のオープニングの実行時間を所定のタイマにセットする。
【0131】
続いて、遊技制御用マイコン61は、特別電役作動有効カウンタの値をセットし、この特別図柄変動処理を終える。特別電役作動有効カウンタは、大当たり遊技におけるラウンド数の残回数をカウントするカウンタである。
【0132】
(サブ側主制御処理)
次に、演出制御用マイコン101(
図5)が実行するサブ側主制御処理についてそれを示す
図17を参照しつつ説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S100)。この初期設定では、たとえば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102(
図4)の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどのリセットなどを行う。
【0133】
続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120(
図4)の内容が正常であるか否かを判定し(S101)、ここで否定判定した場合は(S101:No)、RAM120を初期化し(S102)、S103に進む。また、S101において肯定判定した場合は(S101:Yes)、RAM120を初期化しないでS103に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S101:No)、RAM120を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S101:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどの値はリセットされる。また、このS100~S102は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0134】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S103)、乱数更新処理を実行する(S104)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数などがある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。
【0135】
続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S105)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78およびランプ制御基板79などに送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S106)。以降、S103~S106を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S107)、1msタイマ割込処理(S108)および10msタイマ割込処理(S109)の実行が可能となる。
【0136】
(受信割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する受信割込処理(
図17のS107)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60(
図4)から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。具体的には、たとえば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングでなはないと判定した場合は、この受信割込処理を終え、受信するタイミングであると判定した場合は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120(
図5)の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S108、S109)に優先して実行される処理である。
【0137】
(1msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する1msタイマ割込処理(
図17のS108)についてそれを示す
図18を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S110)。この入力処理では、演出ボタン検出スイッチ9a、演出レバー押込検出スイッチ6gおよび演出レバー回転検出スイッチ6h(
図4)からの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータおよびレベルデータ)を作成する。続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S111)。この出力処理では、RAM120(
図4)の出力バッファにセットされるコマンドを画像制御基板200に出力する。
【0138】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したか否かを判定する(S112)。ここで、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したと判定した場合は(S112:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S113)。続いて、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行い(S114)、この1msタイマ割込処理を終える。
【0139】
(10msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する10msタイマ割込処理(
図17のS109)についてそれを示す
図19を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する受信コマンド解析処理(
図20)を実行し(S120)、スイッチ状態取得処理を実行する(S121)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(
図18のS110)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出やレバー演出などの表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S122)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S123)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bなど)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理などを行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0140】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S124)。この音声制御処理では、音声制御データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声制御データの音声制御基板78(
図5)への出力、音声演出の時間管理などを行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S125)、この10msタイマ割込処理を終える。その他の処理(S125)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数などを更新するなどの処理を実行する。
【0141】
(受信コマンド解析処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する受信コマンド解析処理(
図19のS120)についてそれを示す
図20を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60(
図4)から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定し(S130)、受信したと判定した場合は(S130:Yes)、サブ側遊技状態設定処理を実行する(S131)。遊技状態指定コマンドには、遊技状態(通常確率状態か高確率状態か、時短状態か非時短状態か)を示す情報などが含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、受信した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき、遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、現時点で設定されている遊技状態を示すフラグである。遊技状態フラグは、時短状態フラグを有している。時短状態フラグは、遊技状態が時短状態である場合にオンとなり、遊技状態が非時短状態においてオフとなるフラグである。
【0142】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか否かを判定し(S132)、受信したと判定した場合は(S132:Yes)、オープニング演出選択処理を実行する(S133)。このオープニング演出選択処理では、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM120(
図5)の出力バッファにセットする。
【0143】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか否かを判定し(S134)、受信したと判定した場合は(S134:Yes)、エンディング演出選択処理を実行する(S135)。このエンディング演出選択処理では、実行中の大当たり遊技の契機となった大当たりの種類に応じて、大当たりの終了時に演出表示装置7および各スピーカ8により実行するエンディング演出の種類を選択することなどを行う。
【0144】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S136)、受信したと判定した場合は(S136:Yes)、特図変動演出開始処理を実行する(S137)。特図変動演出開始処理では、特図変動パターンの情報を含む特図変動開始コマンドを解析する。続いて、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである場合は、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する。
【0145】
さらに、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122)に記憶されている始動入賞コマンドおよび先読み大当たりフラグなどの各データを古い記憶領域の方にシフトする。続いて、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(
図1)の組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択する。
【0146】
続いて、演出制御用マイコン101は、特図演出内容選択処理を実行する。特図演出内容選択処理では、演出図柄の変動に伴ってパチンコ遊技機1で行われる演出の内容を、特図演出選択テーブルTa7を用いて選択する。特図演出選択テーブルTa7は、前述したように特図変動パターンと、判定結果と、第1演出選択乱数と、演出内容とを対応付けて構成されている。特図変動パターンは、特図変動開始コマンドの解析により得た特図変動パターンと対応している。第1演出選択乱数は、特図演出選択乱数カウンタがカウントする乱数の範囲の中で選択した乱数である。演出制御用マイコン101は、特図演出選択乱数カウンタがカウントする第1演出選択乱数を取得する。そして、特図演出選択テーブルTa7を参照し、特図変動開始コマンドの解析により得た特図変動パターンの情報に基づいて、その特図変動パターンと対応付けられている演出内容のうち、上記の取得した第1演出選択乱数と対応付けられている演出内容を選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、選択した演出内容の表示を演出表示装置7に開始させるための演出図柄変動表示開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0147】
更に、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S138)、受信したと判定した場合は(S138:Yes)、特図変動演出終了処理を実行する(S139)。この特図変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、特別図柄の変動演出を終了させるための特図変動演出終了コマンドをRAM120(
図5)の出力バッファにセットする。セットした特図変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(
図17のS105)によって画像制御基板200(
図5)に送信されると、画像制御基板200は、演出表示装置7において左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(
図1)を所定の停止パターンを経て確定表示する。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S140)、この受信コマンド解析処理を終える。その他の処理(S140)では、上記各コマンド以外のコマンドに基づく処理などを行う。
【0148】
[パチンコ遊技機の動作]
次に、上述したパチンコ遊技機1の動作について説明する。はじめに、遊技者が振分装置12の導入口12a1に向けて遊技球を発射することにより、遊技球が導入口12a1に連続して導入される場合について、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが閉姿勢P1であり、振分部12dが
図2に示すように右側に傾斜している状態であり、かつ、第1特図保留数および第2特図保留数が共にゼロである状態から説明する。なお、遊技球が導入口12a1に向けて発射される行為は、遊技状態が非時短状態であるときに主に行われる。
【0149】
遊技球が導入口12a1から本体部12aの内側に導入すると、上述したように遊技球が底板部12f1の左側に衝突して、振分部12dが左側に傾斜するとともに、遊技球が第1導出口12b1に案内される。第1導出口12b1から導出した遊技球は、第1始動口10aに入賞する(
図13のS31でYES)。これにより、第1特図保留数が加算されて第1始動入賞コマンドがセットされる(S33~S36)。さらに、第1特図保留数が消化され、第1始動入賞コマンドに基づいて、第1特別図柄表示器51によって第1特別図柄の変動表示が開始される(
図12のS18)。
【0150】
続けて、遊技球が導入口12a1に導入すると、左側に傾斜した振分部12dによって遊技球が第2導出口12c1に案内される。第2導出口12c1から導出された遊技球は、第2始動口11aに入賞する(S25でYES)。これにより、第2特図保留数が加算されて第2始動入賞コマンドがセットされる(S27~S30)。また、このとき、第1特別図柄の変動表示が行われている場合、第1特別図柄のハズレ図柄が確定表示されたことに応じて(S19)、第2始動入賞コマンドに基づいて、第2特図保留数が消化されるとともに、第2特別図柄表示器52によって第2特別図柄の変動表示が開始される(S18)。
【0151】
このように、遊技球が導入口12a1に導入すると、振分部12dによって遊技球が第1導出口12b1および第2導出口12c1に交互に案内されて、遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに交互に入賞する。さらに、第1特別図柄および第2特別図柄の一方が変動表示されているときに、遊技球が第1始動口10aに入賞した場合、合計作動保留数が8個となるまで、第1特図作動保留数が加算される(S32,S33)。また、第1特別図柄および第2特別図柄の一方が変動表示されているときに、遊技球が第2始動口11aに入賞した場合、合計作動保留数が8個となるまで、第2特図作動保留数が加算される(S26,S27)。
【0152】
次に、遊技者がゲート13に向けて遊技球を発射することにより、遊技球が連続してゲート13を通過する場合について、第1ないし第3変位部材10b,11b,22が閉姿勢P1であり、かつ、第1特図保留数、第2特図保留数および普図保留数がいずれもゼロである状態から説明する。なお、遊技球がゲート13に向けて発射される行為は、大当たり中であるとき、補助遊技中であるとき、遊技状態が時短状態であるときに主に行われる。
【0153】
遊技球がゲート13を通過すると、普図保留数が加算されて普図始動入賞コマンドがセットされる(S40~43)。続けて、普図保留数が消化されて普通図柄の変動表示が開始される(S50~S55)。この変動表示中に遊技球がゲート13を通過した場合、普通図柄表示器53の作動が保留されるため、普図保留数が最大4個まで加算される。普通図柄の抽選結果がハズレである場合、普図保留数が消化されて普通図柄の変動表示が開始される(S50~S55)。一方、普通図柄の抽選の結果が当たりである場合、設定された開放時間だけ第3変位部材22が開姿勢P2となり、入球口21に遊技球が入球可能な状態となる(S65)。さらに、普図保留数が消化されて普通図柄の変動表示が開始される(S50~S55)。
【0154】
入球口21はゲート13の下方に配置されているため、第3変位部材22が開姿勢P2である場合、遊技球がゲート13に向けて発射されていることにより、遊技球は入球口21に入球しやすい状態である。遊技球が入球口21に入球したことに応じて、開姿勢時間が設定されて、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢時間だけ開姿勢P2に変位する(S24)。これにより、第1導出部12bと第1変位部材10bとの間、および、第2導出部12cと第2変位部材11bとの間に遊技球が通過可能となる。よって、ゲート13に向けて発射された遊技球が流下して、第1導出部12bと第1変位部材10bとの間から第1始動口10aに入賞可能な状態、および、第2導出部12cと第2変位部材11bとの間から第2始動口11aに入賞可能な状態となる。したがって、上述したように、第1始動口10aおよび第2始動口11aに遊技球が入賞したことに応じて特別図柄の変動表示が開始される。第1特別図柄および第2特別図柄の一方が変動表示されているときに、遊技球が第1始動口10aに入賞した場合、合計作動保留数が8となるまで、第1特図作動保留数が加算される(S32,S33)。また、第1特別図柄および第2特別図柄の一方が変動表示されているときに、遊技球が第2始動口11aに入賞した場合、合計作動保留数が8となるまで、第2特図作動保留数が加算される(S26,S27)。
【0155】
また、上述したように、遊技球がゲート13に向けて発射される行為が時短状態で行われている場合、非時短状態である場合に比べて普通図柄の抽選が当たりとなる確率が高い(
図6)。これにより、第3変位部材22が開姿勢P2に変位する回数が多いため、入球口21に遊技球の入球が増加する。このため、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢に変位する回数が多くなることによって、第1始動口10aおよび第2始動口11aへの入賞が増加する。
【0156】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、当たりか否かの判定の実行が保留される特図保留数を十分に確保できるため、遊技興趣を高めることができる。具体的には、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢P2に変位することにより、遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに入賞しやすくなるため、特図保留数を十分に確保することができる。
(2)また、特図保留数を十分に確保することができるため、上述した先読み演出を行う時間を十分に確保することができる。よって、従来には無かった先読み演出を行うことが可能となる。
(3)また、遊技球が導入口12a1に向けて発射されている場合、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが閉姿勢P1であっても、振分装置12によって遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに入賞しやすい状態であるため、特図保留数を確保できる。また、遊技球がゲート13に向けて発射されている場合、普通図柄の抽選に当たり、遊技球が入球口21に入球したことを契機として、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢P2に変位する。よって、遊技球がゲート13に向けて発射されている場合においても、遊技球が導入口12a1に向けて発射されている場合と同様に、遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに入賞しやすい状態となるため、特図保留数を確保することができる。
(4)また、遊技状態が時短状態である場合に遊技者がゲート13をねらって遊技球を発射し、遊技状態が非時短状態である場合に遊技者が導入口12a1をねらって遊技球を発射する。よって、遊技状態に関わらず、特図保留数を十分に確保することができる。
(5)また、普通図柄の抽選結果が当たりであることに応じて第3変位部材22が開姿勢P2に変位して、遊技球が入球口21に入球し易くなる。遊技球が入球口21に入球した場合、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢P2になるため、遊技者は普通図柄の抽選に対する期待感ひいては遊技興趣を高めることができる。
(6)また、時短状態においては、非時短状態と比べて、普通図柄の抽選結果が当たりである場合における第3変位部材22の開放時間が長くなるため、遊技者は普通図柄の抽選に対する期待感ひいては遊技興趣を、さらに高めることができる。
(7)また、導入口12a1から導入した遊技球が振分装置12によって第1始動口10aおよび第2始動口11aに交互に振り分けられるため、特図保留数を確実に確保することができる。
(8)また、大当たりの種別について、第1特別図柄の抽選が当たりである場合より、第2特別図柄の抽選が当たりである場合の方が、遊技者にとって優位性があるように設定されているため、遊技者は、第1始動口および第2始動口のどちらに入賞するか、スリルを味わうことができる。
【0157】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るパチンコ遊技機について
図21を参照して説明する。上述した第1実施形態において、第1可変入賞装置10および第2可変入賞装置11は、演出表示装置7の下方に配置されている。これに対して、第2実施形態は、第1可変入賞装置110および第2可変入賞装置111が、ゲート13および第3可変入賞装置20と同じ右遊技領域3bに配置されている。具体的には、第3可変入賞装置20の下方に第1可変入賞装置110が配置され、さらに、第1可変入賞装置110の下方に第2可変入賞装置111が配置される。
【0158】
また、第3可変入賞装置20と第1可変入賞装置110との間に第2遊技釘群NS2、および、第1可変入賞装置110と第2可変入賞装置111との間に第3遊技釘群NS3が配置される。第2遊技釘群NS2および第3遊技釘群NS3は、複数の遊技釘が一列に、右方に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜して1列に、互いに隣り合う遊技釘の間を遊技球が通過できないように並べられている。
【0159】
第2遊技釘群NS2は、第1変位部材110bが閉姿勢P1である場合に第1始動口110aに遊技球が入賞できないように、かつ、第1変位部材110bが開姿勢P2である場合に第1始動口110aに遊技球が入賞可能に配置されている。具体的には、第2遊技釘群NS2の左端部は、第1変位部材110bが閉姿勢P1である場合における左側の第1羽根部材110b1の頂部との間から遊技球が通過できないように、かつ、第1変位部材110bが開姿勢P2である場合に左側の第1羽根部材110b1との間から第1始動口10aに遊技球が入賞可能に配置されている。さらに、第2遊技釘群NS2の右端部は、遊技盤2の右側壁との間から遊技球が通過できないように配置されている。
【0160】
第3遊技釘群NS3は、第2変位部材111bが閉姿勢P1である場合に第2始動口111aに遊技球が入賞できないように、かつ、第2変位部材111bが開姿勢P2である場合に第2始動口111aに遊技球が入賞可能に配置されている。具体的には、第3遊技釘群NS3の左端部は、第2変位部材111bが閉姿勢P1である場合における左側の第2羽根部材111b1の頂部との間から遊技球が通過できないように、かつ、第2変位部材11bが開姿勢P2である場合に左側の第2羽根部材11b1との間から第2始動口11aに遊技球が入賞可能に配置されている。さらに、第3遊技釘群NS3の右端部は、第1可変入賞装置110の底部との間から遊技球が通過できないように配置されている。
【0161】
さらに、第2実施形態においては、第1始動口110aが2つ設けられている。第1可変入賞装置110の第1始動口110aを右側第1始動口110a3とする。もう一つの第1始動口110aである左側第1始動口110a4は、演出表示装置7の下方に設けられている。遊技者が左側第1始動口110a4をねらって遊技球を発射することにより、左側第1始動口110a4に遊技球が連続して入賞した場合、第1特図保留数が最大8個となる。
【0162】
一方、遊技者がゲート13をねらって遊技球を発射することにより、遊技球がゲート13を通過したことに基づいて遊技球が入球口21に入球した場合、第1変位部材110bおよび第2変位部材111bが開姿勢P2に変位する。これにより、右側第1始動口110a3および第2始動口111aに遊技球が連続して入賞した場合、合計保留数が最大8個となる。
【0163】
〈他の実施形態〉
(1)上述した実施形態において、振分部12dの第1振分部材12fは遊技球が底板部12f1に衝突することによって左側または右側に傾斜する。これに対して、第1振分部材12fを駆動する第1振分部材ソレノイド(図示省略)をさらに備え、第1振分部材ソレノイドによって第1振分部材12fを右側または左側に傾斜させるようにしてもよい。またこの場合、第1振分部材ソレノイドは、第1振分部材12fを、交互でなくランダムに右側または左側に傾斜させるようにしてもよい。
(2)また、上述した実施形態において、パチンコ遊技機1は振分装置12を備えているが、これに代えて、振分装置12を備えないようにしてもよい。
(3)また、上述した実施形態において、第3変位部材22の開放時間は、時短状態と非時短状態とで異なる時間に設定されているが、これに代えて、時短状態と非時短状態とで同じ時間となるように設定してもよい。
(4)また、上述した実施形態において、第3可変入賞装置20が第3変位部材22を備えているが、これに代えて、第3可変入賞装置20が第3変位部材22を備えないようにしてもよい。この場合、遊技球がゲート13を通過したことに応じて実行される普通図柄の抽選結果が当たりである場合に設定される開放時間内に遊技球が入球口21に入球したことを契機として第1変位部材10bおよび第2変位部材11bが開姿勢P2に変位する。
(5)また、上述した実施形態において、遊技球が入球口21に入球したことを契機として、開姿勢時間設定テーブルTa6が参照されて開姿勢時間が設定されるが、これに代えて、遊技制御用マイコン61が開姿勢時間設定テーブルTa6を参照せずに開姿勢時間を所定の時間に設定してもよい。さらに、この場合、遊技制御用マイコン61が開姿勢時間を時短状態と非時短状態である場合に分けて互いに異なる開姿勢時間を設定してもよい。
【0164】
(6)また、上述した実施形態において、パチンコ遊技機1は、第3可変入賞装置20を備えているが、これに代えて、第3可変入賞装置20を備えないようにしてもよい。この場合、遊技球がゲート13を通過して、普通図柄の抽選結果が当たりである場合に、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させてもよい。この場合、普通当たり判定テーブルの開放時間が開姿勢時間に設定される。なお、この場合、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させる所定の条件は、普通図柄の抽選結果の当たりである。また、遊技球がゲート13を通過したことに応じて、第1変位部材10bおよび第2変位部材11bを開姿勢P2に変位させてもよい。この場合、遊技制御用マイコン61が普通当たり判定テーブルおよび開姿勢時間設定テーブルTa6を参照せずに開姿勢時間を所定の時間に設定する。さらに、この場合、遊技制御用マイコン61が開姿勢時間を時短状態と非時短状態である場合に分けて互いに異なる開姿勢時間を設定してもよい。なお、この場合、所定の条件は、遊技球のゲート13の通過である。
(7)また、上述した実施形態において、第1特図保留数の最大個数が8個、第2特図保留数の最大個数が8個、および、合計保留数の最大個数が各特図保留数の最大個数に相当する8個に設定されているが、これに代えて、第1特図保留数および第2特図保留数の一方の最大個数を、第1特図保留数および第2特図保留数の他方の最大個数より少ない個数(例えば4個)に設定してもよい。この場合、合計保留数を、第1特図保留数および第2特図保留数の他方の最大個数と同じにしてもよい。
【0165】
(8)また、上述した実施形態において、合計保留数が設定されているが、これに代えて、合計保留数を設定しないようにしてもよい。この場合、上述した実施形態においては、第1特図保留数の最大個数および第2特図保留数の最大個数の合計だけ特別図柄表示器が作動保留される。
(9)また、上述した実施形態において、第1特図保留数および第2特図保留数がどちらも1個以上である場合、第1特別図柄表示器51の作動保留および第2特別図柄表示器52の作動保留の発生の順番、すなわち、第1始動口10aへの入賞および第2始動口11aへの入賞の順番に、特図保留数が消化されるが、これに代えて、第1特別図柄表示器51の作動保留の消化および第2特別図柄表示器52の作動保留の消化のいずれかを優先させてもよい。例えば、第2特別図柄表示器52の作動保留の消化を優先しても良い。この場合、第2特図保留数に基づいた第2特別図柄の変動がすべて終了したことに応じて、第1特図保留数に基づいた第1特別図柄の変動が開始される。
(10)また、上述した実施形態において、大当たりの種別について、第1特別図柄の抽選が当たりである場合より、第2特別図柄の抽選が当たりである場合の方が、遊技者にとって優位性があるように設定されているが、これに代えて、いずれの抽選があたりである場合でも、遊技者にとっての優位性が同じとなるように設定してもよい。また、大当たりの種別について、第2特別図柄の抽選が当たりである場合より、第1特別図柄の抽選が当たりである場合の方が、遊技者にとって優位性があるように設定してもよい。
(11)また、上述した実施形態において、第3可変入賞装置20が閉姿勢P1である場合に遊技球が入球口21に入球できないように配置されているが、これに代えて、この場合においても、遊技球が入球口21に入球可能に配置されてもよい。また、上述した第2実施形態の第1可変入賞装置10および第2可変入賞装置11においても同様に、閉姿勢P1においても、遊技球が第1始動口10aおよび第2始動口11aに入賞可能に配置されても良い。
(12)なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第1ないし第3可変入賞装置10,11,20の位置および個数、ゲート13の位置および個数、開放時間、開姿勢時間、第1特図保留数の最大個数、第2特図保留数の最大個数、並びに、合計保留数を変更してもよい。
【符号の説明】
【0166】
1 パチンコ遊技機
7 演出表示装置
10 第1可変入賞装置
10a 第1始動口
10b 第1変位部材
11 第2可変入賞装置
11a 第2始動口
11b 第2変位部材
12 振分装置
13 ゲート
20 第3可変入賞装置
21 入球口
22 第3変位部材
51 第1特別図柄表示器
52 第2特別図柄表示器
61 遊技制御用マイコン
64a 第1特図保留記憶部
64b 第2特図保留記憶部
P1 閉姿勢
P2 開姿勢