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特許7188774ガラスシート上/ガラスシート内の小さな欠陥をオンラインで検出するためのシステム及び関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ガラスシート上/ガラスシート内の小さな欠陥をオンラインで検出するためのシステム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01N21/958
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019542517
(86)(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2018017397
(87)【国際公開番号】W WO2018148391
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】15/428,401
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500232086
【氏名又は名称】グラステク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ビルデ,マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モーラン,ベンジャミン エル.
(72)【発明者】
【氏名】アディントン,ジェイソン シー.
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042113(JP,A)
【文献】特開平11-211666(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140753(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0098959(US,A1)
【文献】特開平11-142344(JP,A)
【文献】特開平09-015169(JP,A)
【文献】特開平07-229852(JP,A)
【文献】特開平06-222014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01M 11/00
G01B 11/00 - G01B 11/30
C03B 32/00 - C03B 32/02
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートの選択領域における光学的又は阻害的欠陥を測定するためのインライン装置において、インライン装置は、1つ以上の処理ステーションと、処理中にステーションからステーションに前記ガラスシートを搬送するための1つ以上のコンベヤとを含むガラスシート製造システムに設置されており、前記インライン装置は、
上流コンベヤ及び下流コンベヤであって、それらの各々が各ガラスシートをほぼ水平方向に搬送し、前記上流コンベヤ及び下流コンベヤが、ガラスシートが前記上流コンベヤから前記下流コンベヤに搬送されるときに前記ガラスシートの一部がギャップ上で支持されないように、両コンベヤの隣接する端部が選択されたサイズの前記ギャップだけ離して端と端とを合わせて位置決めされている、上流コンベヤ及び下流コンベヤと、
ライトボックスと半透明のパネルとを有する背景スクリーンであって、事前定義されたパターンで配置されたコントラスト化要素が、前記ライトボックスによって支持され、前記半透明のパネルに適用され、前記背景スクリーンは、前記搬送方向を横断する方向に前記選択領域の全寸法にわたって延在しており、前記背景スクリーンは、前記上流コンベヤと前記下流コンベヤとの間に配置されている、背景スクリーンと、
ラインスキャンカメラと前記背景スクリーンとの間の経路にわたって前記ガラスシートが搬送されるときに、ガラスシートを介して送られる前記背景スクリーン上の前記事前定義されたパターンの画像を収集するために取り付けられ、各画像が前記ガラスシートの前記選択領域の一部と関連付けられている、前記背景スクリーンの複数の画像を含む画像データのセットを取得するためのラインスキャンカメラであって、前記ラインスキャンカメラ及び前記背景スクリーンは、前記ラインスキャンカメラが、スロット付き開口部を含む光シールド及びギャップを越えて支持されていないガラスシートの部分を通って、前記搬送方向を横断する方向に前記背景スクリーンに延びるカメラ経路を有し、ガラスシートのサポートされていない部分が前記ギャップを越えて、前記ラインスキャンカメラと前記背景スクリーンとの間で搬送されるときに、前記背景スクリーンの前記半透明パネルの複数の画像を取得するように取り付けられている、ラインスキャンカメラと、
前記画像データのセットを受信し、前記画像データのセットから強度マップを生成し、前記強度マップから前記欠陥を識別及び位置特定するためのロジックを実行するようにプログラムされている少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータと、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記インライン装置から上流のコンベヤ上を移動するガラスシートの形状に関連付けられたデータを取得するためのセンサを含むガラスシート部品識別器を更に備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記取得されたデータを分析し既知の部品形状のセットのうちの1つとして前記ガラスシートを識別するためのロジックを含み、前記ガラスシートの前記選択領域は、前記識別された部品形状に部分的に基づいて定義されることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記センサは前記ラインスキャンカメラであり、前記取得されたデータは前記画像データのセットであることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記インライン装置から上流のコンベヤ上を移動するガラスシートの形状に関連付けられたデータを取得するためのセンサを含むガラスシート部品識別器を更に備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記取得されたデータを分析し前記ガラスシートの前記形状を識別するためのロジックを含み、前記ガラスシートの前記選択領域は、前記識別された形状に部分的に基づいて定義されることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記センサは前記ラインスキャンカメラであり、前記取得されたデータは画像データの前記セットであることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記画像データのセットから強度マップを生成するための前記ロジックは、前記画像データのフーリエ変換を生成し、前記フーリエ変換を復調し、復調されたデータの逆フーリエ変換を生成して、各ピクセルに関連付けられた2次元の、位相成分と大きさ成分とを有する複素数を生じさせ、前記画像内の各関心点に対して、前記2次元の前記複素数の虚数部と前記2次元の前記複素数の実数部との平方和の平方根を決定することによって、前記逆フーリエ変換のマップの強度を生成するためのロジックを含むことを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記強度マップを分析してバイナリラージオブジェクト(BLOB)のエッジを位置特定することによって、前記画像内の各関心点に対して光学的又は阻害的欠陥を識別及び位置特定することを特徴とする、装置。
【請求項8】
ガラスシート製造システム内の、ガラスシートの選択領域における光学的又は阻害的欠陥を測定するためのオンライン装置において、所望の形状に形成するためにガラスを軟化させるのに好適な温度に前記ガラスシートを加熱する加熱ステーションと、前記軟化したシートを前記所望の形状に形成する屈曲ステーションと、前記形成されたガラスシートを制御された方法で冷却する冷却ステーションと、処理中にステーションからステーションに前記ガラスシートを搬送するための1つ以上のコンベヤと、を備えており、前記オンライン装置は、
上流コンベヤ及び下流コンベヤであって、それらの各々が各ガラスシートをほぼ水平方向に搬送し、前記上流コンベヤ及び下流コンベヤが、ガラスシートが前記上流コンベヤから前記下流コンベヤに搬送されるときに前記ガラスシートの一部がギャップ上で支持されないように、両コンベヤの隣接する端部が選択されたサイズの前記ギャップだけ離して端と端とを合わせて位置決めされている、上流コンベヤ及び下流コンベヤと、
ライトボックスと半透明のパネルとを有する背景スクリーンであって、事前定義されたパターンで配置されたコントラスト化要素が、前記ライトボックスによって支持され、前記半透明のパネルに適用され、前記背景スクリーンは、前記搬送方向を横断する方向に前記選択領域の全寸法にわたって延在しており、前記背景スクリーンは、前記上流コンベヤと前記下流コンベヤとの間に配置されている、背景スクリーンと、
ラインスキャンカメラと前記背景スクリーンとの間の経路にわたって前記ガラスシートが搬送されるときに、ガラスシートを介して送られる前記背景スクリーン上の前記事前定義されたパターンの画像を収集するために取り付けられ、各画像が前記ガラスシートの前記選択領域の一部と関連付けられている、前記背景スクリーンの複数の画像を含む画像データのセットを取得するためのラインスキャンカメラであって、前記ラインスキャンカメラ及び前記背景スクリーンは、前記ラインスキャンカメラが、スロット付き開口部を含む光シールド及びギャップを越えて支持されていないガラスシートの部分を通って、搬送方向を横断する方向に前記背景スクリーンに延びるカメラ経路を有し、ガラスシートのサポートされていない部分が前記ギャップを越えて、前記ラインスキャンカメラと前記背景スクリーンとの間で搬送されるときに、前記背景スクリーンの前記半透明パネルの複数の画像を取得するように取り付けられている、ラインスキャンカメラと、
前記画像データのセットを受信し、前記画像データのセットから強度マップを生成し、前記強度マップから前記欠陥を識別及び位置特定するためのロジックを実行するようにプログラムされている少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータと、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、第2の背景スクリーンから上流のコンベヤ上を移動するガラスシートの形状に関連付けられたデータを取得するためのセンサを含むガラスシート部品識別器と、前記取得したデータを分析し既知の部品形状のうちのセットの1つとして前記ガラスシートを識別するためのロジックを実行するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータと、を更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項10】
1つ以上の処理ステーションと、処理中にステーションからステーションにガラスシートを搬送するための1つ以上のコンベヤとを含むガラスシート製造システムにおいて、前記ガラスシートが搬送されるときに、前記ガラスシートの選択領域における欠陥を測定する方法において、少なくとも、
上流コンベヤ及び下流コンベヤを準備するステップあって、それらの各々が各ガラスシートをほぼ水平方向に搬送し、前記上流コンベヤ及び下流コンベヤが、ガラスシートが前記上流コンベヤから前記下流コンベヤに搬送されるときに前記ガラスシートの一部がギャップ上で支持されないように、両コンベヤの隣接する端部が選択されたサイズの前記ギャップだけ離して端と端とを合わせて位置決めされている、上流コンベヤ及び下流コンベヤを準備するステップと、
ライトボックスと半透明のパネルとを有する背景スクリーンであって、事前定義されたパターンで配置されたコントラスト化要素が、前記ライトボックスによって支持され、前記半透明のパネルに適用される、背景スクリーンを準備するステップであって、前記背景スクリーンは、前記ガラスシートの前記搬送方向を横断する方向に前記選択領域の全寸法にわたって延在しており、前記背景スクリーンは、前記ガラスシートの前記支持されていない部分が両コンベヤ間に搬送されるときに、ガラスシートを介して送られる前記背景スクリーン上の前記事前定義されたパターンの複数の画像をラインスキャンカメラが取得できるように取り付けられており、前記背景スクリーンは、前記搬送方向に沿って前記上流コンベヤと前記下流コンベヤとの間に配置されており、前記ラインスキャンカメラが、スロット付き開口部を含む光シールド及びギャップを越えて支持されていないガラスシートの部分を通って、前記搬送方向を横断する方向に前記背景スクリーンに延びる経路を有する、背景スクリーンを準備するステップと、
前記ラインスキャンカメラと第1の背景スクリーンとの間の経路にわたって、前記ガラスシートを搬送するステップと、
前記ラインスキャンカメラと前記第1の背景スクリーンとの間の経路にわたって前記ギャップを越えて前記ガラスシートが搬送されるときに、各画像が前記ガラスシートの前記選択領域の一部と関連付けられている、前記背景スクリーンの複数の画像を含む画像データのセットを、前記ラインスキャンカメラから取得するステップと、
前記画像データのセットを受信し、前記画像データのセットから強度マップを生成し、前記強度マップから前記欠陥を識別及び位置特定するためのロジックを、少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータ上で実行するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスシート処理システムにインラインで設置されたガラスシートにおける小さな欠陥を測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスシート、特に、自動車用フロントガラス、バックライト、及びサイドライトとして使用するために様々な湾曲形状に形成される、ガラスシートの製造業者は、フロントガラス、バックライト、又はサイドライトとしてガラスが取り付けられ得る車両における運転者又は乗客などの人間の観察者によって知覚される可能性のある、形成されたシートの表面上又は内部に見える小さな傷跡又は他の欠陥を特定することを望む。
【0003】
様々なタイプのガラスシート光学検査システムが知られている。1つの既知の光学検査システムは、米国特許出願公開第2012/0098959A1号明細書に開示されており、この出願は、本明細書に開示されている本発明の譲受人に譲渡もされている。この開示された光学検査システムは、研究所(すなわち、オフライン)、又は、例えば、本明細書に開示された本発明の譲受人に譲渡もされている、米国特許出願公開第2016/0257598A1号明細書に開示されているなどの処理システムにおいて、ガラスシートが搬送されているときに、ガラスシートを検査して透過光学歪みの量を測定及び評価し、並びに形成されたシートにおける小さな欠陥を検出及び測定するために検査システムが取り付けられているインライン構成、のいずれかに実装することができる。この開示されたシステムは、ガラスシートを取り出し、例えば、車両の乗員によって知覚される可能性のある透過歪みをより正確に測定するための、車両におけるガラスシートの設置角度などの事前選択された位置に、シートを保持し正確に位置決めするためのガラスシート取得及び位置決め機構を含む。
【0004】
しかしながら、これら及び他の既知システムでは、事前選択された単一の位置において取得された単一のカメラからのデータが、透過光学歪み分析及び小欠陥分析の両方に利用される。このアプローチは、画像データ取得の量と頻度を最小化するが、最適な画像取得パラメータ(例えば、画像解像度、背景スクリーンに対するガラスシートの位置、背景スクリーンパターン)は、これら2つの分析で異なる。
【0005】
ガラスシートにおける小さな欠陥を検出及び測定するために最適化され、それ専用とされた方法及び装置を利用することは有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
ガラスシートの選択領域における小さな光学的又は阻害的欠陥を検出及び測定するための、開示された装置及び関連方法は、事前定義されたパターンで配置されたコントラスト化要素を含む背景スクリーンと、カメラと背景スクリーンとの間でコンベヤ上の事前選択された位置にガラスシートが移動するときに、ガラスシートの選択領域に関連付けられた背景スクリーンの少なくとも1つの画像を含む画像データのセットを取得するためのカメラと、画像データを受信し、画像データセットから強度マップを作成し、強度マップから小さな欠陥を識別及び位置特定するためのロジックを実行するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータと、を含む。
【0007】
開示された一実施形態では、カメラは、ラインスキャンカメラであり、背景スクリーンは、搬送方向を横断する方向に選択領域の全寸法にわたって延在しており、画像データのセットは、カメラと背景スクリーンとの間の経路にわたってガラスシートが搬送されるときに、ガラスシートの複数のラインスキャン画像からのデータを含む。
【0008】
開示された一実施形態では、装置は、それぞれが各ガラスシートをほぼ水平方向に搬送する、上流コンベヤ及び下流コンベヤを含む。上流コンベヤ及び下流コンベヤは、ガラスシートが上流コンベヤから下流コンベヤに搬送されるときにガラスシートの一部がギャップ上で支持されないように、コンベヤの隣接する端部が選択されたサイズのギャップだけ離れた状態で端と端を合わせて位置決めされる。この開示された実施形態では、ガラスシートが隣接する上流コンベヤと下流コンベヤとの間を搬送されるときに、カメラが、非支持部分として背景スクリーンの複数の画像を取得できるように、背景スクリーンが取り付けられている。
【0009】
開示された装置はまた、ガラスシートの形状に関連付けられたデータを取得するための、ガラスシート支持フレームから上流の所望の位置に取り付けられたセンサを含むガラスシート部品識別器を含んでもよい。プログラム可能な制御部はまた、取得したデータを分析し、既知の部品形状のセットのうちの1つとしてガラスシートを識別し、及び/又は小さな欠陥分析を行うためのガラス部品上の所望の領域を選択するためのロジックを含んでもよい。一実施形態では、センサはカメラであり、ガラスシートの形状に関連付けられたデータは、小さな光学的又は阻害的欠陥の検出/測定に使用するためにカメラによって取得された画像データのセットから生成される。
【0010】
開示された一実施形態では、ガラスシートにおける小さな欠陥を測定するための開示された装置及び方法は、所望の形状に形成するためにガラスを軟化するのに好適な温度にガラスシートを加熱するための加熱ステーションと、軟化したシートを所望の形状に形成する屈曲ステーションと、形成されたガラスシートを制御された方法で冷却する冷却ステーションと、を含む、ガラスシート製造システムにインラインで設置される。
【0011】
開示された装置はまた、前述の部品形状識別ロジックと、キャプチャされた画像データセットを受信し、ガラスシートの光学特性を分析し分析に関連付けられた選択情報を表示又は報告するために上述の光学処理動作を実行するためのロジックと、を含む、少なくとも1つのコンピュータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、開示されたガラスシート光学検査システムの一実施形態の斜視図である。
図2図2は、図1のシステムで使用され得る小さな光学的又は阻害的欠陥を測定するための装置の一実施形態の斜視図である。
図3図3は、図2の装置で利用され得る、上流及び下流コンベヤの隣接する端部並びに第1の背景スクリーンの部分側面図である。
図4図4は、小さな光学的又は阻害的欠陥を測定するための装置において利用され得る第1の背景スクリーンパターンの一実施形態である。
図5図5は、透過光学歪みを測定するための装置において利用され得る第1の背景スクリーンパターンの一実施形態である。
図6図6は、開示されたガラスシート光学検査システムの一実施形態の側面図である。
図7図7は、小欠陥及び透過光学歪み分析の一部として実行される、開示されたプロセス動作のうちの1つのフローチャートである。
図8図8は、典型的な自動車用ガラス形成及び焼き戻しラインに設置される、開示されたインライン光学検査システムの一実施形態の概略図である。
図9図9は、典型的な自動車用フロントガラス形成ラインに設置される、開示されたインライン光学検査システムの別の実施形態の概略図である。
図10図10は、典型的な自動車用ガラス形成及び焼き戻しラインにオンラインで設置される、小欠陥を測定するための開示された装置の一実施形態の概略図である。
図11図11は、典型的な自動車用フロントガラス形成ラインにオンラインで設置される、小欠陥を測定するための開示された装置の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示された実施形態は、様々な代替の形態で実施され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、一部の機能は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小化されている場合がある。それゆえ、本明細書で開示された特定の構造及び機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0014】
図1を参照すると、概して10として示されているオンラインガラスシート光学特性検査システムは、小欠陥を識別及び測定するための装置12と、透過光学歪みを測定するための装置14とを含む。システム10は、1つ以上の処理ステーションと、処理中にステーションからステーションにガラスシートを搬送するための1つ以上のコンベヤ16、18とを含む、ガラスシート製造システムに設置されてもよい。
【0015】
小欠陥を識別及び測定するための装置12は、事前定義されたパターン22(図4に示すような)に配置されたコントラスト化要素を含む第1の背景スクリーン20と、ガラスシートGが、カメラと第1の背景スクリーンとの間のコンベヤ上の事前選択された位置に移動するときに、ガラスシートGの第1の選択領域に関連付けられた第1の背景スクリーン20の少なくとも1つの画像を含む画像データの第1のセットを取得するための第1のカメラ24と、を含み得る。第1の選択領域は、小欠陥の識別が望まれる、ガラスシートの表面上の任意の事前定義された領域であってもよい。開示された実施形態では、小欠陥装置12は、第1の選択領域がガラスシートの表面全体になることを可能にし得る。
【0016】
小欠陥装置12はまた、第1のカメラを制御して各ガラスシートに対する画像の所望の数及び頻度を取得し、画像から画像データの第1のセットを受信し、画像データの第1のセットを分析して第1の選択領域内に位置する小欠陥を識別するためのロジックを実行するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを含む、少なくとも1つのコンピュータ及び/又はプログラム可能な制御部(概して26として示さている)を含み得る。
【0017】
更に図1を参照すると、透過光学歪みを測定するための装置14は、(図5に示すような)事前定義されたパターン30で配置されたコントラスト化要素を含む第2の背景スクリーン28と、(図6に示すような)事前選択された位置において第2のカメラ32とスクリーン28との間にガラスシートが配置された状態で、第2の背景スクリーン28の画像を取得するための第2のカメラ32と、第2のカメラ32を制御し、取得したデータを処理してガラスシートの光学歪み特性を分析するためのロジックを含む1つ以上のコンピュータ及び/又はプログラム可能な制御部26と、を含み得る。
【0018】
小欠陥装置12及び光学歪み装置14はそれぞれ、図1及び図6に示す統合された小欠陥/透過光学歪みオンラインシステムではなく、必要に応じて独立したシステムとして、代替的に実装できることを理解されたい。また、例えば、画像解像度、カメラ角度、及び背景パターンが、小欠陥及び光学歪みシステム/機能の各々ごとに個別に最適化できるため、開示された統合システム10における小欠陥装置12及び光学歪み装置14の各々に対して別個のカメラ及び背景スクリーンを利用することによって、小欠陥及び透過光学歪み測定能力の各々を最適化できることも理解されたい。
【0019】
他方、オンライン光学検査システム10は、図8及び9に模式的に示す製造システム200及び300など、1つ以上の処理ステーションと、処理中にステーションからステーションにガラスシートを搬送するための1つ以上のコンベヤとを含むガラスシート製造システムに組み込まれてもよい。
【0020】
ここで図1~4を参照して、小欠陥装置12についてより詳細に説明する。開示された実施形態では、第1のカメラ24は、デジタルラインスキャンカメラであってもよい。一実施形態では、例えば、第1のカメラ24は、North Coast Technical ServicesからBasler Model Number 2000032201として入手可能な、12288 pixel X1 pixel CCDラインスキャンカメラである。開示された実施形態では、第1のカメラは、Zeiss、28mmF-マウント、F/2~F22、焦点範囲0.24M~無限大、画角Diag/Horz/Vert 74°/65°/45°レンズを備えている。
【0021】
第1の背景スクリーン20は、コントラスト化パターンが印刷され、塗装され、又は従来の方法を使用して適用されている、半透明パネルの背後の従来の照明(LED又は蛍光灯など)を利用するライトボックスである。図4に示す実施形態では、第1のパターン22は、一連の交互の黒及び白のバー(又はストライプ)からなる。図示の実施形態では、各バーの幅は0.75mmであり、コントラスト化パターン22全体は約80インチ(すなわち、コンベヤ16、18上で搬送されるときにガラスシート部分全体にわたって延在するのに十分な幅)に延在し、搬送方向には約2インチの寸法である。この図示する実施形態では、第1のカメラ22は、画像ごとに約2100ラインのデータを取得するのに十分な頻度で起動され、それによって、背景スクリーン20にわたって搬送されるときにガラスの比較的高い解像度(例えば、25メガピクセル)の合成画像の構築を可能にする。この実施形態では、約8mmの小ささの欠陥を識別できることがわかった。
【0022】
小欠陥装置12はまた、カメラ24の経路内の第1の背景スクリーン20の上方に挿入された光シールド34を含んでもよい。光シールド34は、背景パターン22の画像をカメラが取得できるようにするスロット付き開口部36を含む。さもなければ、光シールド34は、ガラスの表面で反射する可能性がある周囲光をカメラ24が検出するのを防ぐために、画像取得ゾーンを通ってガラスシートが搬送されるときにカメラ24に面しているガラスシートの表面を遮蔽する。
【0023】
特に図3を参照すると、小欠陥装置12の開示された実施形態では、上流コンベヤ16及び下流コンベヤ18を使用する。開示された実施形態では、上流及び下流コンベヤ16、18の各々は、ベルト型コンベヤである。上流のコンベヤ16の排出端は、隣接するコンベヤ16、18の間にギャップ38が画定されるように、コンベヤ18の投入端に隣接して位置決めされてもよい。背景スクリーン20は、カメラ24と背景スクリーン20との間の経路に構造的な障害がなく、第1のパターン22がカメラ24によって視認可能なように、ガラスシートの搬送面の下に取り付けることができる(すなわち、カメラ24の光路pは、ガラスシートを通って背景スクリーン20まで延在する)。このように、コンベヤ間に好適なギャップを備えて隣接するコンベヤを使用することによって、ガラスシートの幅全体の遮るもののない画像を得ることができる。この実施形態では、ガラスシート画像データにおける構造的な不明瞭さを気にすることなく、様々な他のタイプのコンベヤ(例えば、ローラコンベヤなど)を使用できることも理解されたい。
【0024】
第1のカメラ24は、カメラ24と背景スクリーン20との間をガラスシートが移動するときに保持されるガラスシートGを通して透過した背景スクリーン20上の第1パターン22の画像を収集するように取り付けられる。カメラ24は、従来のデータ線を介して、カメラからデジタル画像データを取得するように好適にプログラムされ得るコンピュータ60に接続されており、画像データを処理して複数のラインスキャン画像から選択した関心領域に対する画像データの第1のセットを形成し、データに必要な解像度を取得し、データを分析して、本明細書に記載され、かつ、米国特許出願公開第2012/0098959A1号明細書に更に記載されている、本発明の方法に従って、ガラスシート上/ガラスシート内の小さな傷跡/欠陥として識別する。コンピュータ60はまた、グラフィック(例えば、色分けされた画像)及び統計フォームの両方で導出された小欠陥情報を提示するようにプログラムされてもよい。必要に応じて、ガラスシートの選択領域に対して、関心のあり得る様々な他の統計データを導き出し、報告することができる。
【0025】
ガラス部品のサイズ及び形状の複雑さ、コンベヤ速度、並びに、装置12によって検出されることが望まれる欠陥のサイズ及びタイプに応じて、様々な画像取得速度、並びに光学及び電子解像度の他のカメラを使用できることを理解されたい。パターン22は、所望の動作及び性能パラメータに応じて、サイズ及び設計が同様に変更されてもよい。例えば、別の実施形態では、開示されたカメラを用いて、各々が約1mm幅である一連の交互の黒と白のバーがパターン22に使用されて、少なくとも約0.75mmの欠陥の満足できる検出を達成する。これらの小欠陥には、ロールマーキング、クロスマーキング、フロート欠陥、インプリント、ラミネート内汚れ、及び小さなビニール歪みなど、ガラス上/ガラス内の小さな傷跡又はオクルージョンが含まれ、それらの多くは、従来の透過光学歪み測定システムによっては一般に検出されない又は「検出」されるがガラス上/ガラス内の小さな傷跡又はオクルージョンとして認識され得ない。
【0026】
ここで図1図5、及び図6を参照して、透過光学歪み装置14をより詳細に説明する。第2のカメラ32は、ポジショナ40に取り付けられたガラスシートを通して透過した第2の背景スクリーン28の画像を収集するように取り付けられている。開示された実施形態では、第2のカメラ32は、市販のCCDカメラであってもよい。一実施形態では、例えば、第2のカメラ32は、Zeiss 50mmF/s Makro-Planar Tマニュアルフォーカスレンズ、Part Number 17710845を備えた、Burnaby,British Columbia, CanadaのProsilica,Inc.から入手可能な16MPa、3 frame-per-second GE 4900 Model CCDカメラである。
【0027】
第2の背景スクリーン28は、コントラスト化パターンが印刷され、塗装され、又は従来の方法を使用して適用されている、半透明パネルの背後の従来の照明(LED又は蛍光灯など)を利用するライトボックスであってもよい。背景スクリーン28上のパターン30は、互いから既知の事前決定された距離で明るい背景上に位置決めされた暗い正方形のパターンを提供することができ、それらの間に位置決めされたガラスシートGを通してグリッドの画像がカメラ32上に投影されるように、矩形のグリッドを形成する。図5に示す実施形態では、第2のパターン30は、均一な正方形のドットアレイからなる。パターン30は、デバイス40によって位置決めされるときに、ガラスシート部分全体に対する背景を提供するのに十分な大きさである。
【0028】
装置14によって分析されるガラス部品のサイズ及び形状の複雑さに応じて、様々な画像取得速度、並びに光学及び電子解像度の他のカメラが使用できることを理解されたい。第2のパターン30は、所望の動作及び性能パラメータに応じて、同様に変更されてもよい。
【0029】
更に図1及び図6を参照すると、透過光学歪み装置14は、第2の背景スクリーン28と第2のカメラ32との間のコンベヤ18に近接して取り付けられた外部フレーム42を含むガラスシート取得及び位置決めデバイス40を含み得る。ガラスシート取得及び位置決めシステム40は、外部支持フレーム42に動作可能に接続された可動ガラスシート支持フレーム44を更に含み、このガラスシート支持フレーム44は、第1のほぼ水平方向から第2の上向き傾斜方向に移動でき、それによって、ガラスシート支持フレーム44(及びフレーム44内に保持されたガラスシート)がコンベヤ18の水平面から上昇してカメラ32とスクリーン38との間の(図6に示すような)事前選択された位置にガラスシートを位置決めして、透過光学歪み装置14がその特定のガラスシートに対する所望のデータを収集することができる。
【0030】
可動ガラスシート支持フレーム44は、その後、(図1に示すように)そのほぼ水平位置に戻り、ガラスシート処理システムによる更なる処理のためにガラスシートを搬送すべく、フレーム44からコンベヤ18上にガラスシートを解放し戻すことができる。ガラスシート取得及び位置決めデバイス40は、デバイス40を制御して本明細書に記載された取得及び位置決め機能を実行するためのロジックを実行するようにプログラムされた1つ以上のプロセッサを含む、(コンピュータ26などの)プログラム可能な制御部を更に含む。
【0031】
一実施形態では、取得及び位置決めデバイス40は、米国特許出願公開第2016/0257598A1号明細書に記載されているタイプのものであってもよく、この公開公報の開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、取得及び位置決めデバイス40の他の実施形態をシステム10に使用して、所望の視野角で各ガラスシートに対する透過光学歪みを導くために、各ガラスシートを好適に位置決めしてもよい。
【0032】
第2のカメラ32は、ガラスシート取得及び位置決めデバイス40上に保持されたガラスシートGを通して透過した第2の背景スクリーン28上のパターン30の画像を収集するように取り付けられている。カメラ32は、従来のデータ線を介して、カメラからデジタル画像データを取得するように好適にプログラムされ得るコンピュータ60に接続されており、画像データの第2のセットを処理してデータに必要な解像度を取得し、データを分析して、本明細書に記載され、かつ、米国特許出願公開第2012/0098959A1号明細書に更に記載されている、本発明の方法に従って、ガラスシート内の透過光学歪みの様々な指標を生成する。コンピュータ60はまた、グラフィック(例えば、色分けされた画像)及び統計フォームの両方で導出された画像歪み情報を提示するようにプログラムされてもよい。必要に応じて、レンズ度数における最大値、最小値、範囲、平均値、及び標準偏差、又は関心があり得る他の歪みの指標を含む、ガラスシートの事前定義された領域に対して、様々な他の統計データを導出し報告することができる。
【0033】
ガラスシート光学特性検査システム10はまた、透過光学歪み装置14からの上流で、コンベヤ16に近接して取り付けられた第1のカメラ24などの、形状センサを含むガラスシート部品識別器も含んでもよい。センサは、コンベヤ上を移動するガラスシートの形状に関連付けられたデータを取得するための起動用に制御され得る。センサは、(図1に示すような)コンピュータ60などの1つ以上のプロセッサに動作可能に接続されてもよく、このコンピュータは、センサによって取得されたデータを分析し、コンピュータ60のメモリに記憶された既知の部品形状のセットのうちの1つとしてガラスシートを識別するためのロジックを含む。
【0034】
システム10の図示された実施形態では、ガラス部品がセンサと背景スクリーンとの間で搬送されるときに、ガラス部品の形状をシステムロジックが効率的に見定めることを可能とするのに好適なデータをセンサが取得できるように、部品識別器はまた、好適にコントラスト化する背景を提供するための、コンベヤの下に取り付けられた背景スクリーンを含む。図示の実施形態では、部品識別器22は、第1のカメラ24をセンサとして、第1の背景スクリーン20をその背景スクリーンとして使用する。この開示された実施形態では、第1のカメラによって取得された画像データの第1のセットは、装置12によって実行される小欠陥検出、及び本明細書に記載された部品識別の両方に利用することができる。
【0035】
開示された実施形態では、ガラスシートの中心線が光学歪み装置14による画像取得のためのカメラ32の主軸と一致するように、識別された部品の各々を位置決めするために、部品タイプの識別によって、取得及び位置決めデバイス40がガラスシートをそれぞれ保持及び位置決めすることができることが理解されよう。デバイス40のシステムはまた、部品のタイプ及び/又はユーザの好みに基づいて、ガラスシートを任意の所望の角度に位置決めするようにプログラムできることを理解されたい。
【0036】
また、部品識別器を使用して、ガラスシートの境界を検出し、小欠陥装置12による利用のためにそのシートの第1の選択領域(すなわち、分析対象領域)を設定できることも理解されたい。
【0037】
一実施形態では、検査システム10は、米国特許出願公開第2012/0098959A1号明細書に記載されているタイプのものであってもよく、この公開公報の開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
システム10は、ECE R43などの業界標準に最も関連する業界標準指標、又は形成及び加工されたガラスシートの光学透過品質の分析に関連すると考えられる業界における他の指標を含む、装置14によって検出される光学歪みの様々な指標をグラフィカル及び数値で表示するように、ユーザによってプログラムされてもよい。同様に、システム10は、装置12によって識別された小欠陥の位置を表示するように、プログラムされてもよい。
【0039】
図7は、システム10によって各ガラスシートに使用することができる、原理的な画像歪み及び小欠陥分析プロセス130を示す。特に、透過光学歪み装置14は、各ガラスシートに対して取得された画像データの第2のセット上で、(図7のグループA、B、及びDにおいて集合的に識別される)ステップ133-152の各々を使用することができる。
【0040】
開示された方法130によれば、システムは、(セットCとして集合的に指定されている)偶数番号ステップ132-146において最初に較正される。132において、カメラと背景との間にガラスのテストピースを取り付けずにCCDカメラを使用して背景の画像を取得することによって、較正が開始される。134において、取得された較正画像データのフーリエ変換が生成される。得られたデータは、スクリーン上のグリッドパターンの基本周波数によって、水平方向と垂直方向との両方において変調される。帯域幅は狭められて、2次高調波などの不要な信号データが除外される。136において、変換されたデータが復調され、キャリア周波数が除去される。次いで、138において、復調されたデータの逆フーリエ変換が生成され、得られたデータが、位相成分と大きさ成分を有する各ピクセルに関連付けられた2次元複素数を生じさせる。更に、140において、画像の各ピクセルに対する2次元複素数の実数部により除算された2次元複素数の虚数部の逆タンジェントを計算することによって、逆フーリエ変換の位相マップが生成される。
【0041】
位相マップのスロープは、画像の各ピクセルにおける瞬時周波数を表す。これらの値は、142において生成される。144において、各ピクセルにおける瞬時周波数が反転されて、ローカルピッチが取得される。このローカルピッチマップは次いで、146において、較正ファイルとして記憶される。次に、この較正ファイルは、システムを使用して後でテストされる各ガラスシートに対して取得された画像の位相部分の分析において、光学歪み装置14によって使用される。
【0042】
各ガラスシートに対して光学歪み装置14によって実行される分析を、図7の(セットA及びBとして集合的に指定されている)奇数番号ステップ133-145及び148-150に示す。いったんピースが分析のために位置決めされると、133-145に示す初期ステップは、133において、対象ガラス部品(「テスト部品」)がカメラ32と背景スクリーン28との間に位置決めされているCCDカメラを使用して、第2の背景スクリーン28の画像が取得されることを除いて、上述のステップ132-144と同一である。次いで、以下で更に説明するように、分解された画像データを処理して、各ガラスシートに対する光学歪み指標を生成する。図7のセットBとして指定されているステップに示すように、ガラステスト部品の光学歪み指標が生成される。いったん、145において、テスト部品画像に対するローカルピッチが決定されると、システムは、148において、テスト部品画像のローカルピッチをそれぞれのピクセルでの較正画像のローカルピッチで除算することによって、各ピクセルにおける倍率を決定する。次いで、150において、これらのピクセルごとの値を使用して、テスト部品の画像内の各ピクセルに対するレンズ度数(焦点距離)値を生成する。レンズ度数は通常、この測定のためにガラス産業でたびたび使用される量である、ミリディオプタで表される。システムは段階的な方法で進み、画像内の各々のドットに対する倍率及びレンズ度数値を決定する。更にレンズ度数はまた、垂直成分と水平成分に分解することができる。
【0043】
再び図7を参照すると、カメラから取得したデジタル画像データは、後処理ステップ152において、分解又はフィルタリングされて、ノイズを除外し、画像の解像度を人間の検査者が画像をどのように知覚し得るかに近似する解像度に低減し、及び/又は必要に応じて画像データ量を低減して不必要な処理時間を除外する。データ平均化などの様々な既知のフィルタリング技術を使用して、データを分解することができる。一実施形態では、どの測定システムが使用されているかに関係なく、業界ユーザが、彼らの製品に対して比較できる歪み指標を生成できるようにするために、2つの標準フィルタが開発されており、ISRA Surface Vision GmbHから現在入手可能な別の光学歪み測定システムで使用される「4-5-6」及び「4-5-12」フィルタと相関することが経験的に示されているデータを提供する。帯域幅は狭められて、2次高調波などの不要な信号データが除外される。
【0044】
各ガラスシートに対して小欠陥検出装置12によって実行され得る分析を、各ガラスシートに対して取得される画像データの第1のセット上の(図7においてセットA及びDで集合的に識別されている)奇数番号ステップ133-139及びステップ154-160に示す。(ステップ138に関連して上述したように)139において生成された複素数の大きさ(強度)成分の逆フーリエ変換が、154において更に生成されて、画像の強度マップに対応するデータを生じさせる。これは、画像内の各ピクセルに対する、2次元複素数の虚数部と2次元複素数の実数部との平方和の平方根を決定することによって達成される。この強度(又は大きさ)マップは、点光源によって照らされたガラスシートのグレースケール画像に類似しており、ガラスシート上の光学的又は阻害的欠陥に対応する小さなBLOB(バイナリラージオブジェクト)に対応する強度の不連続性が含まれている。この強度マップは、156において、従来のエッジ検出アルゴリズムを使用して分析されて、BLOBのエッジを位置特定する。この目的に使用できるエッジ検出アルゴリズムの1つのタイプは、キャニーアルゴリズムである。
【0045】
開示された実施形態では、欠陥検出装置12は、Matrox Electronic Systems, Ltd.から入手可能な画像処理技術及びソフトウェアを利用して、部品識別器及びBLOB検出機能を実行する。もちろん、これらの目的のために、他の市販の技術及び/又はソフトウェアを使用してもよい。
【0046】
いったんBLOBのエッジが検出されると、全てのBLOBは、事前定義されたサイズ閾値を満たし、次いで58においてデジタル化されて、これらの選択されたBLOBの中心を識別する。識別されることが望ましい典型的な「小欠陥」は、直径が約10~約300ピクセル(すなわち、1--5)の範囲のBLOBに対応する。事前定義された欠陥サイズは、システムユーザが指定できる。例えば、ある欠陥サイズ範囲は、10--200ピクセルに設定されている。事前定義された基準を満たす小欠陥の各々は、160において位置特定される。次いで、これらの小さな目に見える表面欠陥の各々の位置は、システムによって表示される垂直及び水平の歪み画像上に表示することができる。約0.8mmの小ささの表面欠陥/スポットは、開示された装置12において、この分析を使用して検出することができる。
【0047】
このように、シートの単一のデジタル画像から取得したデータの逆フーリエ変換の位相成分と大きさ成分とをそれぞれ分離及び分析することによって、特定のガラスシートに対して、光学歪み特性と、他の小さな光学的/阻害的欠陥との両方を生成及び識別することができる。
【0048】
図8は、本発明のインライン光学検査システム10を含む、典型的なガラスシート加熱、屈曲、及び焼き戻しシステム200を示す。この実装では、(Gとして示されている)ガラスシートは、ガラスを所望の形状に形成するのに好適な温度までガラスを軟化する加熱ゾーン202に入る。次いで、加熱されたガラスシートは屈曲ステーション204に搬送され、そこで軟化シートが所望の形状に形成され、その後更に冷却ステーション206に搬送され、そこで好適な物理的特性を達成するようにガラスシートが制御された方法で冷却される。この実施形態では、ガラスシートは、次に、冷却ステーションからコンベヤ上に搬出され得て、そこからシートが搬送され、本発明に係る光学検査システム10の、小欠陥検出装置12と透過光学歪み装置14との両方による画像取得及び分析のために位置決めされる。
【0049】
図9は、同様に、典型的な自動車用フロントガラス製造システム300における本発明のインライン光学検査システム10を概略的に示しており、光学検査システム10の上流に、加熱ステーション302、屈曲ステーション304、冷却ステーション306、及び積層ステーション308を含み得る。
【0050】
図10は、開示された小欠陥検出装置12を含む、典型的なガラスシート加熱、屈曲、及び焼き戻しシステム200を示す。この実装では、(Gとして示されている)ガラスシートは、ガラスを所望の形状に形成するのに好適な温度までガラスを軟化する加熱ゾーン202に入る。次いで、加熱されたガラスシートは屈曲ステーション204に搬送され、そこで軟化シートが所望の形状に形成され、その後更に冷却ステーション206に搬送され、そこで好適な物理的特性を達成するようにガラスシートが制御された方法で冷却される。この実施形態では、ガラスシートは、次に、冷却ステーションからコンベヤ上に搬出され得て、そこからシートが搬送され、本発明に係る装置12による画像取得及び分析のために位置決めされる。
【0051】
図11は、同様に、典型的な自動車用フロントガラス製造システム300における、開示された小欠陥検出装置12を概略的に示しており、装置12の上流に、加熱ステーション302、屈曲ステーション304、冷却ステーション306、及び積層ステーション308を含み得る。
【0052】
記載された方法でガラスを取り扱うために、ローラ、エアフロート、又はベルトコンベヤ、ポジショナ、及びロボットアームなどの既知の技術を使用することによって、ガラスの輸送及び運搬が達成できることを理解されたい。また、複数のコンベヤであって、その各々が、システム200、300全体でガラスシートの流れと処理を効率的に制御する速度で、異なる処理ステーションを通してガラスシートを移動させるように独立して制御できることも理解されたい。
【0053】
開示されたインライン光学検査システム10によって選択されたデータ出力はまた、関連付けられたガラスシート加熱、屈曲、及び焼き戻しシステム200(又は自動車用フロントガラス製造システム300)が、以前に処理されたガラスシートから生成された光学データの関数としてその(それら)ステーションの動作パラメータを1つ以上のステーションに対する制御部が変更することを可能にし得るための制御ロジックへの入力として提供され得る。
【0054】
あるいは、本発明の光学検査システム10及び/又は小欠陥検出装置12は、ガラスシートがその最終形状に形成された後に小欠陥識別及び/又は光学歪み測定が行われる限りにおいて、システムの生産率を最大化するために、所望に応じて、上述及び他のガラスシート製造システムにおける様々な他のポイントに、インラインで取り付けることができることを理解されたい。
【0055】
また、カメラ24、32及び背景スクリーン20、28は、カメラ24、32の各々とそれらに対応する背景スクリーン20、28との間の経路が、ガラスの搬送方向にほぼ平行となるように、図示の実施形態に配置されているが、当業者であれば、システム10の様々な代替的な配置が、ガラスシート処理システムに好適に接続されたコンベヤに沿って、本発明の精神から逸脱することなく使用することができることを理解されたい。
【0056】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態は、本発明の全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。加えて、様々な実装している実施形態の特徴を組み合わせて、本発明の更なる実施形態を形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11