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特許7188776アクリル化デンプン誘導体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】アクリル化デンプン誘導体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20221206BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20221206BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20221206BHJP
   C08B 31/04 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 8/73 20060101ALN20221206BHJP
   A61K 47/36 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/65
C09D4/00
C08B31/04
A61K8/73
A61K47/36
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019547132
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2018054113
(87)【国際公開番号】W WO2018158109
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2019-11-14
(31)【優先権主張番号】17158413.9
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17162614.6
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518025618
【氏名又は名称】セルディア・プロダクションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ルブコル、ヤナ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-506268(JP,A)
【文献】特開2009-160572(JP,A)
【文献】特開2004-224887(JP,A)
【文献】特開2006-233160(JP,A)
【文献】特開平08-277302(JP,A)
【文献】特開2000-159801(JP,A)
【文献】特開2009-286922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0152857(US,A1)
【文献】特開2004-168798(JP,A)
【文献】特開昭52-029884(JP,A)
【文献】特開2006-052338(JP,A)
【文献】特開2000-319566(JP,A)
【文献】特開2018-095781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C08B 31/04
C09D 7/65
C09D 4/00
A61K 8/73
A61K 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化され、分子量が3,000~50,000g/molであるデンプン誘導体の、木材、プラスチック、ガラスまたは金属表面を直接処理するためのUV硬化性コーティング組成物中の添加剤としての使用であって、
アセチル基置換度が1.4~2.85であり、前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択され、合計の脂肪酸置換度が0.01~1.2である、前記使用
【請求項2】
前記デンプン誘導体が、UV硬化性印刷インク中の添加剤である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
合計の脂肪酸置換度が0.1~0.3である、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記デンプン誘導体のTが30℃~130℃である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体であって、デンプン誘導体のMWが3,000~50,000g/molであるデンプン誘導体を含む、木材、プラスチック、ガラスまたは金属表面を直接処理するためのUV硬化性コーティング組成物中の添加剤であって、
アセチル基置換度が1.4~2.85であり、前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択され、合計の脂肪酸置換度が0.01~1.2である、前記添加剤
【請求項6】
前記デンプン誘導体の合計の脂肪酸置換度が0.1~0.3である、請求項に記載の添加剤。
【請求項7】
前記デンプン誘導体のTが30℃~130℃である、請求項5又は請求項6に記載の添加剤。
【請求項8】
部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化され、分子量が3,000~50,000g/molである少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、木材、プラスチック、ガラスまたは金属表面に直接なされたUV硬化コーティングであって、
アセチル基置換度が1.4~2.85であり、前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択され、合計の脂肪酸置換度が0.01~1.2である、前記UV硬化コーティング
【請求項9】
部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化され、分子量が3,000~50,000g/molである少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、木材、プラスチック、ガラスまたは金属表面に直接なされたUV硬化コーティングを含む製品であって、
アセチル基置換度が1.4~2.85であり、前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択され、合計の脂肪酸置換度が0.01~1.2である、前記製品
【請求項10】
部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化され、分子量が3,000~50,000g/molである少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、木材、プラスチック、ガラスまたは金属表面を直接処理するためのUV硬化性コーティング組成物であって、
アセチル基置換度が1.4~2.85であり、前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択され、合計の脂肪酸置換度が0.01~1.2である、前記UV硬化性コーティング組成物
【請求項11】
前記少なくとも1種のデンプン誘導体が、請求項~請求項のいずれか1項に記載の添加剤に含まれるデンプン誘導体である、請求項10に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン誘導体が部分的にアセチル化され、少なくとも1つの脂肪酸で部分的にアシル化されているデンプン誘導体のコーティング組成物中の添加剤としての使用、および、部分的にアセチル化され、少なくとも1つの脂肪酸で少なくとも1つの脂肪酸で部分的にアシル化されているデンプン誘導体であって、デンプン誘導体のMWが3000~50000g/molであるデンプン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
アシル化デンプン誘導体は、広範囲の工業的に適用されるポリマーに使用することができる重要な再生可能加工原料である。それらは、例えば、溶媒キャストフィルムに適用することができる(B.Y.Yangら、Starch、2008、60、146~158)。デンプン誘導体は複数の工業用途のための再生可能な無毒の添加剤として認識されており、それらの誘導体の工業的可能性の利用を最適化するために、それらの誘導体の使用および新たな誘導体をさらに開発することが継続的に必要とされている。
【0003】
添加剤デンプン誘導体として、デンプン誘導体が部分的にアセチル化され、少なくとも1つの脂肪酸で部分的にアシル化されているコーティング組成物は、プラスチックおよび/またはコーティングの他の性能パラメータを維持または向上させつつ、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのプラスチック、金属表面またはハイブリッド表面における接着性の向上などの価値が高い特性を示すことができる。達成される他の特性は、コーティングの改善された柔軟性、艶消し、および指紋防止効果を含み得る。コーティングの耐水性は、海水中でも改善し得る。コーティングの撥水性を増加させることができ、一方、水吸収を減少させることができる。異なる溶媒中のデンプン誘導体の溶解度は、本発明によるデンプン誘導体において調整することができる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、デンプン誘導体が部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている、デンプン誘導体のコーティング組成物中の添加剤としての使用を提供することである。本発明の別の目的は、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された誘導体であって、デンプン誘導体のMWが3000~50000g/molである誘導体を提供することである。
【0005】
本明細書において、複数の形態と単数の形態とは互換的に使用される。したがって、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、複数形は単数形も含み、その逆も同様であることを理解されたい。例えば、「デンプン」は、単一の供給源からの単一のデンプン、アミロペクチン/アミロース組成物および/または修飾、ならびに異なる供給源の2つ以上のデンプンの混合物、アミロペクチン/アミロース組成物、修飾などを意味する。
【0006】
本発明に係るデンプン誘導体は、一般にデンプンのアシル化によって得られる。以下に、本発明に係るデンプン誘導体の原料または出発物質を形成するデンプンを記載する。
【0007】
アミロースおよび/またはアミロペクチンを含むデンプンは、一般に、アミロースの単離された画分またはアミロペクチンの単離された画分、またはアミロースおよびアミロペクチンの混合物からなることができる。好ましくは、デンプンは実質的にアミロースとアミロペクチンとの混合物を含む。これらの物質の各々はa-(1-4)およびa-(1-6)結合を介して互いに連結されたD-グルコース単位から構成され、後者は分子の構造において分枝を担う。アミロースの量とアミロペクチンの量の比は、ポリマー、例えばデンプンの供給源に依存する。
本発明によれば、デンプン誘導体の供給源または出発物質として使用されるデンプンは、主としてアミロースを含むことができ、または逆に主としてアミロペクチン(ワキシースターチ)を含むことができる。一般に、全デンプンおよび/またはアミロースの単離された画分および/またはアミロペクチンの単離された画分を使用することができる。デンプンは任意の天然供給源に由来し得、天然とは、前記デンプンが天然に見出されるという事実に関連する。特に区別しない限り、本明細書におけるデンプンへの言及は、コムギグルテン(以下「デンプン」)などのタンパク質をなお含有する、これらに対応する小麦粉を含むことを意味する。本発明では、単一またはいくつかのデンプン源を使用することができる。デンプンは、いくつかの供給源、単離されたアミロース画分および/またはアミロペクチン画分、および/または化学的もしくは物理的に修飾されたデンプンなどの誘導体から組み合わせることもでき、これらは以下でさらに説明される。デンプンの典型的な供給源は、穀類、塊茎、根、マメ科植物、果実デンプンおよびハイブリッドデンプンである。適した供給源は、キビ、エンドウ豆、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、モロコシ、バナナ、オオムギ、コムギ、コメ、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールートおよびカンナイであるが、これらに限定されない。本発明の好ましい供給源は、塊茎、マメ科植物または穀類からなる群から選択される。さらに好ましくは、デンプン源がエンドウ豆、ジャガイモ、サツマイモ、コムギおよびトウモロコシからなる群から選択される。最も好ましくは、エンドウ豆またはワキシーコーンがデンプン源として使用される。また、交雑育種、転座、逆位、形質転換、または遺伝子もしくは染色体工学の任意の他の方法を含む育種技術によって得られる植物からこれらの改変までに由来するデンプンも適切である。
【0008】
本発明の別の実施形態では、本発明のデンプン誘導体の供給源または出発物質である1種以上のデンプンが化学的および/または物理的に修飾される。
【0009】
「化学修飾デンプン」は、アミロースおよび/またはアミロペクチンにおける、ヒドロキシ基の特に部分的化学修飾を意味することを意図する。一般に、本発明の出発物質として選択することができる化学修飾デンプンは、架橋デンプン;部分アセチル化デンプン;ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化およびメチル化デンプンなどの部分エーテル化デンプン;無機エステル化デンプン;カチオン性;アニオン性(カルボキシメチルデンプンなど);酸化デンプン;両性イオン性デンプン;酵素によって修飾されたデンプン;として分類することができる。好ましい化学修飾デンプンは、部分ヒドロキシプロピル化デンプンである。
【0010】
本発明の一実施形態では、修飾デンプンはマルトデキストリンである。「物理的に修飾されたデンプン」は、物理的方法によって修飾されたデンプンを意味することが意図される。一般に、デンプンの修飾のための物理的方法には、熱処理、湿熱処理、焼鈍、レトログラデーション、凍結、機械的処理、超高圧処理、糊化、グロー放電プラズマ処理および浸透圧処理が含まれる。
【0011】
本発明によれば、任意の供給源に由来する、上記のデンプン、修飾デンプンおよび/または粉類のいずれかの混合物もまた、本発明の範囲内である。簡略化のために、「デンプン」という表現は、任意のアミロペクチン/アミロース比を有し、任意の供給源に由来する、デンプン、修飾デンプン、粉類、および/またはそれらの混合物のいずれかと同義であることを示すことが意図される。
【0012】
本発明の使用によれば、デンプン誘導体は、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている。デンプン、特にアミロースおよびアミロペクチンの化学的構成単位は、遊離ヒドロキシ基を特徴とする無水グルコース単位である。遊離ヒドロキシ基の誘導体化は、例えばエステル化による、は「置換度」(DS)によって測定される。置換度は、置換基により誘導体化された各無水グルコース単位上の平均ヒドロキシ基数を示す。理論的には、デンプンについて得られる最大DS値は3であり、これはデンプン誘導体中の無水グルコース単位3個全てのヒドロキシ基が誘導体化されていることを示している。
【0013】
本発明は、デンプン誘導体のコーティング組成物中の添加剤としての使用に関し、デンプン誘導体は、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸により部分的にアシル化されている。「部分的にアセチル化されている」という語は、デンプン中の無水グルコース単位のヒドロキシ基の少なくとも一部が、例えば、ヒドロキシ基と無水酢酸との反応によって、-C(O)C基でアセチル化されることを意味することを意図する。「少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている」という語は、デンプン中の無水グルコース単位のヒドロキシ基の少なくとも一部が少なくとも1種の脂肪酸でアセチル化され、したがってエステル化されることを意味することを意図する。UV硬化性組成物における添加剤としてのデンプン誘導体の使用は好ましい。一態様では、UV硬化性組成物は、木材、プラスチック、金属表面の処理のための、木材ラッカーなどのコーティング組成物である。別の態様では、UV硬化性印刷インクにおけるデンプン誘導体の添加剤としての使用が好ましい。1種以上のデンプン誘導体を同じ組成物中で使用することができる。
【0014】
UV硬化性組成物がプラスチックまたは紙の表面、好ましくはプラスチック表面上で使用するためのインクである場合、アセチル化および少なくとも1種の脂肪酸でのアシル化に使用されるデンプンは、化学的に修飾されたデンプン、特にヒドロキシプロピル化デンプンであることが好ましい。デンプン等の使用は、インクの処理された表面に対する接着性を高めることができる。
【0015】
「脂肪酸」の語は、飽和または不飽和の、4~28個の炭素原子の脂肪族鎖を有するカルボン酸を示すことを意図する。脂肪酸は、分岐または直鎖の脂肪族鎖を有し得る。本発明によれば、不飽和でも飽和であってもよい12~18個の炭素原子の脂肪族鎖を有する脂肪酸が好ましい。より好ましくは、少なくとも1種の脂肪酸がラウリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸およびミリスチン酸からなる群から選択される。パルミチン酸、オレイン酸およびステアリン酸は、本発明のデンプン誘導体において最も好ましい。
【0016】
添加剤として使用されるデンプン誘導体は、1種以上、例えば1種、2種、3種または4種、好ましくは1種または2種の脂肪酸で誘導体化することができる。
【0017】
本発明の使用のためのデンプン誘導体は、部分的にアセチル化されている。これは、無水グルコース単位のヒドロキシ基がアセチル基で部分的にエステル化されていることを意味する。DS(acetyl)は、例えば、1.4~2.85であり得る。一般に、DS(acetyl)は1.4以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上である。 一般に、DS(acetyl)は、2.85以下、好ましくは2.65以下、より好ましくは2.5以下である。1.8~2.85のDS(acetyl)が最も好ましいことが多い。DSは、NMR分光法によって決定される。サンプルは、例えば、ペラシル化され、サンプルを溶剤ピークに校正した後、ブルカーNMR分光計で、CDCl中で500MHzで測定される。測定手順は、M.C.V. Nagel et al、Lenzinger Berichte 2012、p85-92に記載されている。
【0018】
本発明の使用のためのデンプン誘導体は、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている。これは、無水グルコース単位のヒドロキシ基が少なくとも脂肪酸で部分的にエステル化されていることを意味する。合計のDS(fatty acid)は、例えば、0.01~1.2であり得る。一般に、DS(fatty acid)は0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。一般に、DS(fatty acid)は1.2以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。0.1~0.3のDS(fatty acid)が最も好ましいことが多い。DSは、上述のように決定される。
【0019】
DS(acetyl)とDS(fatty acid)の合計は、理論的に考えられる3を超えないことが理解される。一般に、DS値の合計は2.7以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の使用のためのデンプン誘導体は、例えば、部分的にアセチル化されたデンプンを脂肪酸誘導体でエステル化することによって得ることができる。部分的にアセチル化されたデンプンは、例えば、WO2015/055734、WO2015/055742およびWO2015/055741に記載されている通りに得ることができ、これらの内容はその全体が本明細書に組み込まれる。次いで、部分的にアセチル化されたデンプンを脂肪酸、好ましくはその活性化誘導体と反応させる。例えば、活性化脂肪酸誘導体は、脂肪酸イミダゾール誘導体を形成したN,N-カルボニルジイミダゾールと反応した脂肪酸であり、これはアセチル化デンプン中の遊離ヒドロキシ基と反応する。デンプンは、最初に脂肪酸塩化物などの脂肪酸誘導体と反応させ、次いで、無水酢酸などのアセチル化剤と反応させることもできる。このような反応は,例えば、Y.Tan、Chem.Commun.,2010,46,4523-4525(Suppl.Information)に記載されている。デンプン誘導体はまた、例えば、C.Fringantら、Carbohydrate Polymers,35(1998),97106およびそこに引用される文献に記載されている通り、無水酢酸などのアセチル化剤および脂肪酸またはその誘導体で同時にエステル化され得る。DS(fatty acid)およびDS(acetyl)はDS値を調節するために、反応条件、化学量論、試薬、および潜在的に中間または最終の部分けん化によって適切に選択することができる。
【0021】
本発明の使用のためのデンプン誘導体は、一般に、30℃~130℃のTを有する。しばしば、Tは30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上である。一般に、Tは130℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。60℃~105℃のTが最も好ましいことが多い。Tはガラス転移温度を示す。Tは、過冷却された溶融物が冷却時にガラス状組織を生じる二次転移である。ガラス転移温度未満では、物性は結晶相の物性と同様に変化する。Tは、当業者に公知の方法に従って決定され、本発明では、DSCを用いて、DSC7(パーキンエルマー)において2回の加熱サイクル、およびピリスマネージャソフトウェアを用いて値を決定した。
【0022】
本発明の使用のためのデンプン誘導体は、一般に、3000~50000g/molの分子量MWを有する。しばしば、MWは、3000g/mol以上、好ましくは3200g/mol以上、より好ましくは3500g/mol以上である。一般に、MWは、50000g/mol以下、好ましくは40000g/mol以下、より好ましくは30000g/mol以下である。3500~10000g/molのMWが最も好ましいことが多い。MWの語は、デンプン誘導体の分子量に関する。MWは、当業者に公知の方法に従って、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、例えばSDV LIN XLカラム(35℃、CHCl:MeOH 10 : 1v/v)を用いて決定される。本発明によれば、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されているデンプン誘導体が、コーティング組成物中の添加剤として使用される。デンプン誘導体は、バインダーとして、単一バインダーまたは酢酸酪酸セルロース(CAB)などの他のバインダーへの添加剤として使用することができる。本発明のデンプン誘導体は、コーティング組成物中で添加剤として使用する場合、より広範囲の有機溶媒への溶解度、より少ない水吸収、より強い疎水性挙動、アセチル基のみを有するデンプン誘導体と比較して増大した耐水性、他の原料との増大した適合性、機械的ストレス(曲げ、引っかき)時のコーティングの増大した柔軟性、調節可能なT、PE、PET、PP、金属、または例えばチップなどの電子部品などのハイブリッド表面などの表面への良好な接着性を示すことができる。デンプン誘導体がコーティング中の添加剤として使用される場合、しばしば、コーティング中の可塑剤の使用は減少させるまたは不要にすることができ、技術的適用性を増大させ、健康および環境面における懸念を減少させる。コーティング組成物は、一般に、3~35w%の少なくとも1種のデンプン誘導体を含み、デンプン誘導体は、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化される。多くの場合、コーティング組成物は、部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を、3w%以上、好ましくは5w%以上、さらに好ましくは7w%以上含む。一般に、コーティング組成物は、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を、35w%以下、好ましくは30w%以下、さらに好ましくは28w%以下含む。いくつかの用途において、コーティング組成物は22~35w%を含む。
【0023】
デンプン誘導体が部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている澱粉誘導体をコーティング組成物中に添加剤として使用することは、UV硬化性コーティング組成物、さらに好ましくはUV硬化性印刷インクに使用する場合に特に有利である。UV硬化はプレポリマーまたはポリマーを、より高いモル質量のポリマーに、次いでネットワークに変換する化学プロセスであり、硬化は、UV光での光照射によって誘導される。UV硬化性コーティング組成物、特にインクは、硬化され、物理的に乾燥したコーティングまたは化学的に誘発された硬化とは対照的に、硬化物はさらなる加工または包装がしやすく、高い価値を有する。UV硬化性インクによる印刷は、プラスチック、紙、キャンバス、ガラス、金属、フォームボード、タイル、フィルム、および多くの他の材料などの非常に広範な基材上に印刷する能力を提供する。紫外線硬化が有利である他の産業には、医薬品、自動車、化粧品(例えば、人工指爪及びゲルマニキュア)、食品、科学、教育及び芸術が含まれる。前述の用途の全てにおいて、部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体の添加は、しばしば、柔軟性、耐応力性、光沢または艶消し特性への適合性にしばしば優れた結果を伴い、および他の特性を改善する一方で、組成物の要件に十分に適合する。UV硬化性コーティング組成物、特にインクを使用することによる生産のスピードアップは、塵、飛散、または任意の空中浮遊物体が対象上に落下する時間を減少させるので、欠陥および誤差を低減することもできる。これにより、完成品の品質を向上させることができ、一貫性を高めることができる。部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体は、UV硬化性コーティング組成物、特にUV硬化性インクに一般に使用されるアクリレートモノマー、例えば、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、フェノキシエチルアクリレート(PEA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート(GPTA)、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタクリレート(DIPEPA)およびジTMPTA(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)に優れた溶解性を示す。UV硬化のための組成物は、1~50w%、しばしば3~35w%の、部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を含有し得る。一般に、UVコーティング組成物は、部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を3w%以上、好ましくは5w%以上、さらに好ましくは7w%以上含む。一般に、コーティング組成物は、部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を、35w%以下、好ましくは30w%以下、さらに好ましくは28w%以下含む。いくつかの用途において、コーティング組成物は22~35w%を含む。
【0024】
本発明はさらに、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含むUV硬化インクなどの硬化コーティング、および部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含む硬化コーティングを含む製品、例えば、紙、プラスチック、金属、または部分的にアセチル化され少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含む硬化組成物で少なくとも一部分がコーティングされたハイブリッド製品に関する。硬化コーティングは、一般に、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体を1~50w%含む。
【0025】
本発明はまた、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体であって、デンプン誘導体のMWが3000~50000g/molであるデンプン誘導体に関する。
【0026】
上述のデンプンは、本発明のデンプン誘導体の出発物質として使用することができる。本発明のデンプン誘導体は、上記した方法により得ることができる。
【0027】
本発明のデンプン誘導体は、3000g/mol~50000g/molの分子量MWを有する。しばしば、MWは、3000g/mol以上、好ましくは3200g/mol以上、より好ましくは3500g/mol以上である。一般に、MWは、50000g/mol以下、好ましくは40000g/mol以下、より好ましくは30000g/mol以下である。3500~10000g/molのMWが最も好ましいことが多い。MWは当業者に公知の方法に従って、例えば上記したように、GPCによって決定される。
【0028】
本発明のデンプン誘導体は、少なくとも1種の脂肪酸で少なくとも部分的にアシル化され、少なくとも1つの脂肪酸はC12~C18脂肪酸からなる群から選択され、脂肪酸は不飽和または飽和脂肪酸であり得る。上記で定義した脂肪酸は、本発明のデンプン誘導体に適用される。それらは、1種以上、例えば1種、2種、3種または4種、好ましくは1種または2種の脂肪酸で誘導体化することができる。
【0029】
本発明のデンプン誘導体は、部分的にアセチル化されている。これは、無水グルコース単位のヒドロキシ基がアセチル基で部分的にエステル化されていることを意味する。DS(acetyl)は例えば、1.4~2.85であり得る。一般に、DS(acetyl)は1.4以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上である。一般に、DS(acetyl)は、2.85以下、好ましくは2.65以下、より好ましくは2.5以下である。1.8~2.85のDS(acetyl)が最も好ましいことが多い。DSは、上述したように決定される。
【0030】
本発明のデンプン誘導体は、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている。これは、無水グルコース単位のヒドロキシ基が少なくとも脂肪酸で部分的にエステル化されていることを意味する。合計のDS(fatty acid)は例えば、0.01~1.2であり得る。一般に、DS(fatty acid)は0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。一般に、DS(fatty acid)は1.2以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。0.1~0.3のDS(fatty acid)が最も好ましいことが多い。DSは、上述したように決定される。
【0031】
本発明のデンプン誘導体は、一般に、30℃~130℃のTを有する。しばしば、Tは30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上である。一般に、Tは130℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。80℃~105℃のTが最も好ましいことが多い。Tおよびその決定は上述されている。
【0032】
本発明のデンプン誘導体は、コーティング組成物の添加剤に使用される場合に優れた特性を示すが、深絞りまたは溶液キャストフィルムのようなフィルムのための添加剤または基剤として有用な特性を示すこともできる。それらはまた、生分解性農薬コーティング、医薬組成物用コーティング、パーソナルケアにおける白色化剤、水濾過における金属(例えば、鉄)捕捉剤、ミネラル加工および顔料分散剤として適用され得る。本発明のデンプン誘導体は、溶媒系耐食柔軟剤添加剤として供給することもできる。
【0033】
本発明のデンプン誘導体または本発明の使用のためのデンプン誘導体は、さらに誘導体化することもでき、例えば、無水グルコース単位の別のヒドロキシ基をエーテル基でさらに誘導体化することもできる。
【0034】
本発明はまた、部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含むコーティング組成物、特にUV硬化性コーティング組成物に関する。好ましい態様では、コーティング組成物は、本発明のデンプン誘導体である少なくとも1種のデンプン誘導体を含む。
【0035】
参照により本明細書に組み込まれる全ての特許、特許出願、および刊行物の開示が、用語を不明瞭にする程に本出願の説明と矛盾する場合、本明細書が優先されるものとする。
【0036】
本発明の文脈において、「含む」とうい語は、「からなる」の意味を包含することが意図される。
【0037】
本発明において、単数での表示は複数を含むことが意図され、「脂肪酸」は「2種以上の脂肪酸」または「複数種の脂肪酸」も示すことが意図される。
【実施例
【0038】
WO2015055741の実施例1に従って、ワキシーコーンを出発材料として、DS(acetyl)lの酢酸デンプンを調製した。他の酢酸デンプンは、適切なデンプン源を出発材料として、同様の手順に従って調製される。
【0039】
実施例1:1-(1H-イミダゾール-1-イル)ヘキサデカン-1-オン
158gのパルミチン酸をCHCl(290mL)に溶解した。撹拌しながら、15gのN,N-カルボニルジイミダゾール(CDI、1、1当量)を室温で添加し、24時間撹拌した。混合物をHOで数回抽出し、有機相をMgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、17.7gの生成物(93%)を得た。
【0040】
実施例2:
DS21の酢酸デンプンをDMSO(50% w/w)に溶解し、80℃に加熱し、上記実施例1の生成物を少しずつ添加した(酢酸デンプンの遊離ヒドロキシ基に対して0.34当量)。混合物を4時間撹拌した。室温に冷ました後、生成物がある程度の量沈殿するまでHOを加えた。DMSOの体積の約半分がこの効果のために必要であった。固体を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥し、ヘキサンで洗浄した。生成物を70℃で乾燥した。DS(acetyl)=2.1、DS(palmitic acid)=0.1、T=85℃、MW=13100g/molのデンプン誘導体を得た。
【0041】
実施例3:
実施例2の方法と同様に、ワキシーコーンデンプンを出発材料とする生成物が得られ、DS(acetyl)=2.5、DS(mixed FA)<0.2、およびMW= 2973g/molが得られた(PA1)。使用した脂肪酸混合物FAの混合物は、オレイン酸、ステアリン酸、リノレン酸、パルミトレイン酸およびパルミチン酸を含んでいた。
【0042】
実施例4:
実施例2の方法と同様に、エンドウ豆デンプンを出発材料とする生成物が得られ、DS(acetyl)=2.5、DS(palmitic acid)=0.1およびMW=7850g/molが得られた(PA2)。
【0043】
実施例5(UVコーティング用配合物):
【0044】
【表1】

【0045】
開始剤1と開始剤2を混合した。PA2を50℃でSR306に溶解し、撹拌しながら開始剤混合物に加えた。LR8986を加えた。混合物を約5~15分間撹拌することによって均質化した。必要であれば、混合物を撹拌せずに放置して、気泡を除去した。
【0046】
混合物を、8ミル(0.2mm)のコーティングとしてフレームアプリケーターBYK-5361によってスチール面に塗布し、完全な硬化が達成されるまで硬化チャンバー(225mW/cmUV-A)中で照射した。照射時間:45秒を4回。
【0047】
コーティングを、Wolf Kilburn Pencil Hardness試験機を用いて、ISO-15184の手順に従って鉛筆試験に供した。
【0048】
【表2】
【0049】
酢酸デンプン誘導体PA2の添加は、コーティングの鉛筆硬度を高めることが観察された。
【0050】
実施例6:
実施例2で得られたデンプン誘導体(PAとして示される)を、脂肪酸非修飾デンプン酢酸誘導体(DS(アセチル)=2.4、MW=35210g/mol、SAとして示される)と比較した。配合は、50w%の酢酸PM(1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、10w%のPAまたはSA、7w%のパラロイドB-66、3w%のクエン酸トリエチルおよび30w%のMEK(メチルエチルケトン)を含有した。配合物をガラスおよび鋼試験パネルに塗布し、風乾した。
【0051】
以下の表は、サンプルを脱イオン水およびNaCl溶液に浸漬することによって得られた結果のまとめである。アセチル/脂肪酸デンプン誘導体で処理されたサンプルは改善された性能を示し、5はサンプルの目視検査(処理された表面の腐食)によって評価された優れた耐性を示し、1は、特に乏しい耐性を示す。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例7(21℃、60% rHでの水吸収試験)
PA1およびPA2を、脂肪酸アシル化を伴わないSA(ワキシーコーン、DS 24、MW=8000g/mol)と比較する試験を行った。全てのデンプン誘導体は、乳鉢中で合成後に、処理された純粋な粉状物質として試験された。
【0054】
【表4】
【0055】
水の取り込みは、誘導体において有意に減少する。本発明のデンプン誘導体を含むコーティングは減少した水吸収傾向を示すことができ、曇りを生じる減少した傾向を有することができる。本発明のデンプン誘導体を含むコーティングは、湿気から表面、特に電子素子の表面を保護することができる。
本発明は、以下の態様を含む。
<1>デンプン誘導体が部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されている、デンプン誘導体のコーティング組成物中の添加剤としての使用。
<2>前記デンプン誘導体が、UV硬化性組成物中の添加剤である<1>に記載の使用。<3>前記デンプン誘導体が、UV硬化性印刷インク中の添加剤である<2>に記載の使用。
<4>前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択される、<1>~<3>のいずれか1つに記載の使用。
<5>DS(acetyl)が1.4~2.85である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の使用。
<6>合計のDS(fatty acid)が0.01~1.2、好ましくは0.1~0.3である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の使用。
<7>前記デンプン誘導体のTが30℃~130℃である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の使用。
<8>前記デンプン誘導体のMWが3000~50000g/molで<1>~<7>のいずれか1つに記載の使用。
<9>部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化されたデンプン誘導体であって、デンプン誘導体のMWが3000~50000g/molであるデンプン誘導体。
<10>前記少なくとも1種の脂肪酸が、C12~C18の不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸からなる群から選択される、<9>に記載のデンプン誘導体。
<11>DS(acetyl)が1.4~2.85である<9>または<10>に記載のデンプン誘導体。
<12>合計のDS(fatty acid)が0.01~1.2、好ましくは0.1~0.3である、<9>~<11>のいずれか1つに記載のデンプン誘導体。
<13>前記デンプン誘導体のTが30℃~130℃である、<9>~<12>のいずれか1つに記載のデンプン誘導体。
<14>部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、硬化コーティング。
<15>部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、硬化コーティングを含む製品。
<16>部分的にアセチル化され、少なくとも1種の脂肪酸で部分的にアシル化された少なくとも1種のデンプン誘導体を含む、コーティング組成物、特にUV硬化性コーティング組成物。
<17>前記少なくとも1つのデンプン誘導体が、<9>~<13>のいずれか1つに記載のデンプン誘導体である、<16>に記載のコーティング組成物。