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▶ ハイブリッド マニュファクチュアリング テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20221206BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221206BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221206BHJP
   B23K 26/34 20140101ALN20221206BHJP
   B23P 23/04 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y30/00
B23K26/34
B23P23/04
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2019552196
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 GB2018050742
(87)【国際公開番号】W WO2018172774
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】1704565.9
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516372251
【氏名又は名称】ハイブリッド マニュファクチュアリング テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】コーツ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン ピーター ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ザドロガ ヨシュア
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-334951(JP,A)
【文献】特表2017-512896(JP,A)
【文献】国際公開第2015/127272(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0331412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00,26/34
B23P 23/04
B29C 64/10,64/20,64/209
B33Y 10/00,30/00,50/00,70/00,80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸工作機械と加工処理ヘッドとを有するシステムであって、
前記多軸工作機械は、エネルギー源及び加工処理可能媒体のうちの少なくとも1つを、前記加工処理ヘッドを介して工作物上に送出し、材料付加、検査、またはデータ収集を行うように構成されており、
前記多軸工作機械は、前記加工処理ヘッドを一時的に収容するように構成されているクランプ機構と、前記エネルギー源及び加工処理可能媒体のうちの少なくとも1つを送出するように構成されているマニホルドを有する止めブロックと、を備え、
前記加工処理ヘッドは、前記止めブロックに接続可能とすることで前記加工処理ヘッドの回転を防ぐように構成されているコネクタを有する回転防止アームと、前記加工処理ヘッドが前記エネルギー源または前記加工処理可能媒体を受け取るように接続する場合に、前記止めブロックの前記マニホルドと係合するように構成されているマニホルドと、を備えている、システム。
【請求項2】
前記エネルギー源または前記加工処理可能媒体は、前記加工処理ヘッドの前記マニホルドから前記加工処理ヘッド内に伝えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記止めブロックは前記多軸工作機械に固定されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記止めブロックは前記多軸工作機械内に一体化されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記回転防止アームはさらに、前記加工処理ヘッドを少なくとも部分的に囲むように構成されている方向づけ用鍔を備えている、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記方向づけ用鍔は冷却機構を備えている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記加工処理ヘッドを予熱するように構成されたクレードルを更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
1つ以上の前記回転防止アームに対して、別々の前記止めブロックが設けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記多軸工作機械は、前記クランプ機構が接続されているスピンドルを有し、前記回転防止アームと前記止めブロックとは、前記加工処理ヘッドの少なくとも1つの本体が前記スピンドルとともに回転しないように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記回転防止アーム及び前記コネクタは、最初の動作において前記止めブロックと接続するように移動するように構成されており、
前記加工処理ヘッドの前記マニホルドは、前記回転防止アーム及び前記コネクタが前記止めブロックと係合した後、さらなる動作において前記止めブロックの前記マニホルドと接続するように移動するように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コネクタはプランジャを有し、前記止めブロックは前記プランジャを受けるための穴を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記加工処理ヘッドの前記マニホルドは、前記プランジャに装着されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記加工処理ヘッドの前記マニホルドは、前記回転防止アームの側面に設けられ、前記止めブロックの前記マニホルドは、前記止めブロックの側面に設けられている、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
加工処理ヘッドと止めブロックとを備え、
前記加工処理ヘッドは、コネクタを有する回転防止アームと、加工処理ヘッドマニホルドとを有するとともに、前記加工処理ヘッドは、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、前記加工処理ヘッドを介して工作物上に送出するように構成されており、
前記止めブロックは、工作機械に装着されるように構成されているとともに、前記止めブロックは、前記回転防止アームの前記コネクタが前記止めブロックに接続可能とすることで前記加工処理ヘッドの回転を防ぐように構成されており、
前記止めブロックは、前記加工処理ヘッドマニホルドに係合するように構成されているとともに前記エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを送出するように構成されている合体用マニホルドを有し、
前記加工処理ヘッドは、使用時に、前記工作機械のクランプ機構に接続可能であるように構成されている、構成要素一式。
【請求項15】
加工処理ヘッドを工作機械に接続する方法であって、前記加工処理ヘッドは回転防止アームとコネクタと加工処理ヘッドマニホルドとを有しており、前記方法は、
a)供給部合体用マニホルドを有する止めブロックを有する前記工作機械を供給し、
b)前記工作機械に格納場所から前記加工処理ヘッドを選択させて、前記加工処理ヘッドを前記工作機械のクランプ機構内へと挿入させ、
c)前記回転防止アーム及び前記コネクタを移動させて前記止めブロックと係合することで前記加工処理ヘッドの回転を防ぎ、
d)前記加工処理ヘッドマニホルドを移動させて前記止めブロックの供給部合体用マニホルドと接続し、
e)前記止めブロックの供給部合体用マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとの接続により、1つ以上の媒体を前記加工処理ヘッドに、使用時には前記媒体またはそれぞれの前記媒体を供給できるようにして供給を行うことができる、方法。
【請求項16】
前記回転防止アーム及び前記コネクタを移動させて前記止めブロックに係合するステップと、前記加工処理ヘッドマニホルドを移動させて前記止めブロックの供給部合体用マニホルドに接続するステップは同時に行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記回転防止アーム及び前記コネクタは、最初の動作において前記止めブロックと接続するように移動し、前記回転防止アーム及び前記コネクタが前記止めブロックと係合した後、さらなる動作において前記加工処理ヘッドマニホルドが前記止めブロックの供給部合体用マニホルドと接続するように移動する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
クランプ要素と堆射要素との中間にある本体部を備えている、工作機械装着するための加工処理ヘッドであって、前記本体部は、前記本体部の接続されている回転防止アームと、前記回転防止アーム上にある合体用マニホルドとを有しており、前記合体用マニホルドは、使用時に前記工作機械上にある供給部マニホルドに接続されるように構成・配置されていて、前記合体用マニホルドは、工作物に対して堆射する前に、エネルギー供給部及び/または媒体供給部のうちの少なくとも1つの供給を、前記供給部マニホルドから前記加工処理ヘッドに向かって行うように構成されており、
前記回転防止アームは、前記工作機械に設けられた止めブロックに接続可能とすることで前記加工処理ヘッドの回転を防ぐように構成されているコネクタを有する、加工処理ヘッド。
【請求項19】
前記加工処理ヘッドは、材料が堆積される際に前記材料に対して往復直線運動または振動する冷却されている突き固め用プラテンを有している、請求項18に記載の加工処理ヘッド。
【請求項20】
前記加工処理ヘッドは、揺動運動を用いている、料を締め固めるプラテンを有している、請求項18に記載の加工処理ヘッド。
【請求項21】
加工処理ヘッドと支持構造との間にある合体用インターフェイスであって、前記合体用インターフェイスは、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、前記加工処理ヘッドを介して送出し、付加製造または検査を行うように構成されており、
前記支持構造は、
前記エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを送出するように構成されている供給部マニホルドと、
前記加工処理ヘッドを収容するように構成されているクランプ機構と、
第1係合部と、を有していて、
前記加工処理ヘッドは、前記クランプ機構内に収容され、
前記供給部マニホルドから、前記エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを受け取るように構成されている加工処理ヘッドマニホルドと、
前記第1係合部を脱離可能に係合することで前記加工処理ヘッドの前記支持構造に対する回転を防ぐように構成されている第2係合部と、を有しており、
最初の動作では前記第1係合部と前記第2係合部とを整合させ、さらなる動作では前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとの間を連通させることができる、合体用インターフェイス。
【請求項22】
前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとが完全に連結されている間、前記供給部マニホルドおよび前記加工処理ヘッドマニホルドまたは前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとのそれぞれの汚染を防ぐためのカバーは開いている、または除去されている、請求項21に記載の合体用インターフェイス。
【請求項23】
前記支持構造は、工作機械もしくはロボット、または前記工作機械及び前記ロボットの組み合わせであり、前記加工処理ヘッドは、工作物に対して、付加製造、コンピュータ数値制御(CNC)された機械加工、及び検査のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項21または22に記載の合体用インターフェイス。
【請求項24】
前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとの間の連通は少なくとも1つのコネクタを介して行われる、請求項21から23のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項25】
前記さらなる動作はエネルギー供給部によって作動する、請求項21から24のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項26】
前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとは、多段式合体手法で接続される、請求項21から25のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項27】
前記さらなる動作は、前記供給部マニホルドに対する前記加工処理ヘッドマニホルドの微細な移動で構成されている、請求項21から26のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項28】
前記第2係合部は、電気コネクタ、ガスコネクタ、または水コネクタで構成されている、請求項21から27のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項29】
前記さらなる動作は、前記最初の動作の移動方向に対して横切る方向の移動である、請求項21から28のいずれか1項に記載の合体用インターフェイス。
【請求項30】
加工処理ヘッドマニホルドを有する加工処理ヘッドを供給部マニホルドを有する支持構造に接続する方法であって、前記加工処理ヘッドは、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、前記加工処理ヘッドを介して送出し、付加製造または検査を行うように構成されており、前記方法は、
a)前記加工処理ヘッドを前記支持構造のクランプ機構内へと挿入し、
b)最初の動作において、前記支持構造の係合部を前記加工処理ヘッドの対応する係合部に係合し、
c)前記支持構造の前記係合部と前記加工処理ヘッドの前記係合部を係合した後、さらなる動作において、前記加工処理ヘッドマニホルドを移動させて前記供給部マニホルドと接続し、
d)前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとの接続により、1つ以上の前記媒体及び/または前記エネルギー源を前記加工処理ヘッドに、使用時には前記媒体及び/または前記エネルギー源またはそれぞれの前記媒体及び/または前記エネルギー源を供給できるようにして供給を行うことができる、方法。
【請求項31】
前記支持構造の前記係合部と前記加工処理ヘッドの前記係合部の係合によって機械式インターフェイスる、
加工処理ヘッドマニホルドを有する加工処理ヘッドを供給部マニホルドを有する支持構造に接続する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記さらなる動作はエネルギー供給部によって作動する、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとは、多段式合体手法で接続さ
れる、請求項30から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記支持構造は、ロボットを有し、前記加工処理ヘッドは、工作物に対して、付加製造、CNC機械加工、及び検査のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項30から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記さらなる動作は、前記供給部マニホルドに対する前記加工処理ヘッドマニホルドの微細な移動を含む、請求項30から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記供給部マニホルド及び前記加工処理ヘッドマニホルドのうちの1つは、前記供給部マニホルド及び前記加工処理ヘッドマニホルドのうちの1つ、または前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとのそれぞれの汚染を防ぐためのカバーを備え、前記供給部マニホルドと前記加工処理ヘッドマニホルドとが完全に接続されている間、前記カバーは開いている、または除去されている、請求項30から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記支持構造の前記係合部と前記加工処理ヘッドの前記係合部の係合は第1の方向の係合であり、前記供給部マニホルドに対する前記加工処理ヘッドの移動は前記第1の方向に対して横切る方向の移動である、請求項30から36のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、加工処理ヘッドを介して工作物上に送出するように構成されている工作機械または他の種類の機械に関する。工作機械は特にハイブリッド工作機械と称されてもよいが、これに限定されない。特に、本発明は、本装置を用いてハイブリッド製造を行う装置及び方法に関していてもよいが、これに限定されない。
【0002】
ハイブリッド製造とは、付加製造及びCNC加工の両方の併用を必要とする製造方法に対して用いられる語である。
[背景技術]
従来、工作機械は、機械加工と称される手法で工作物から材料を除去することに使用されてきた。このような工作機械には、その多くがコンピュータ制御またはコンピュータ数値制御(CNC)されているフライス盤等が含まれている。
【0003】
発明者らによるこれまでの出願、例えば国際公開第2014/013247号及び国際公開第2015/189600号で説明されているように、従来のCNCフライス盤は、「工作機械」と称されることもあるが、フライス加工、穴あけ加工、研削加工、ブローチ加工等といった、材料を除去する除去加工のみを行うための装備を備えている。CNCフライス盤はまた、接触タッチプローブまたは非接触スキャナを用いて局所測定等のある種の測定を実施可能であってもよい。
【0004】
技術が進歩するにつれて、今では、このような機械を用いて、例えば他の形式の材料除去(超音波、レーザ等)、溶接、及び、材料堆積(レーザ堆積、表面硬化、指向性エネルギー堆積、付加製造等)等の他の機能を実行することができる。
【0005】
付加製造とは、物品または少なくともその一部の製造、改良、または修理を、材料を付加することによって行う技術のことである。付加製造は、通常は単独型の3Dプリンタによって実現されてきた。あるいは、付加製造は、専用の付加製造システムによって、またはロボット、工作機械、組立ライン等での堆積を用いて実現されてきた事例もあった。
【0006】
発明者は、付加製造技術を工作機械の環境内に適用することによって、大きな利益が得られることをよく理解している。
付加製造技術と従来からの除去製造技術を組み合わせたものは、ハイブリッド製造技術として知られるようになった。
【0007】
既存の工作機械、例えば多軸CNCフライス盤に装着可能な加工処理ヘッドを設ける構造を提供することが知られている。しかし、このような従来技術の加工処理ヘッドは、所望されているような使い勝手が得られるものではない。
【0008】
工作機械に付加製造技術を後付けすることで、「ハイブリッド製造」を導入しやすくなった。国際公開第2014/013247号及び国際公開第2015/189600号に記載されているように、付加製造を可能にするのに適した種々のエネルギー源は、工作機械内に実装されてもよい。国際公開第2014/013247号の好適な実施形態に図示されているように、一般的なエネルギー源はレーザである。国際公開第2014/013247号に記載されているように、レーザエネルギーと供給原料媒体の送出は、この発明では、エネルギーまたは媒体を送出する合体可能マニホルドと、エネルギー及び/または媒体を受け入れる、加工処理ヘッド上にある対応するマニホルドとによって可能になっている。国際公開第2014/013247号の好適な実施形態は、様々な加工方法、特に見通し線でのレーザエネルギー送出を行う方法にとっては理想的である。
【0009】
記載されている合体可能マニホルド及び加工処理ヘッド上の対応するマニホルドは、複雑で高価な構成部品であることは理解されてきた。このような合体システムを組み込むために必要な労力は、通常は金属製である高額部品のためのレーザを用いた指向性エネルギー堆積にとっては合理的である。しかし、このような部品のコストは、ある特定の種類の検査ヘッドを含む加工処理ヘッドと他の種類の付加製造技術との組み合わせとともに使用するには合理的ではない可能性もあることも理解されている。
【0010】
国際公開第2015127272号では、工作機械を用いて付加製造加工を行う方法及び装置を開示しているが、本号では、加工処理ヘッドの向きを制御して、製造エネルギービーム、供給粉体ノズル、またはその両方の正接角を制御してもよい。非円形エネルギービームの向きは、機械経路の幅全体にわたってエネルギービームをより均等に分布させるように制御されてもよい。追加として、または代替として、供給粉体ノズルの向きは、ビームの標的から間隔をあけて配置された粉体の標的に向かって突出するように制御されてもよい。
【0011】
米国特許第9446475号明細書では、超音波付加製造加工に使用する、フライス盤等と溶接アセンブリとを備えたシステムを開示している。フライス盤はさらに、フライス工具を受けるように構成されているスピンドルであって、z軸方向に移動可能であるスピンドルと、スピンドルの下に位置する台であって、x軸方向とy軸方向に移動可能である台とを有している。溶接アセンブリは、フライス盤のスピンドル上に実装されるように構成されており、超音波溶接ヘッドと、溶接アセンブリをスピンドルに接続するように構成されているテーパ加工工具の軸と、超音波溶接ヘッドとスピンドルとの間に配置されている独自の嵌合鍔とをさらに有していて、嵌合鍔は、超音波付加製造加工に付随するスラスト荷重を、スピンドルまたは機械の他の構成部品を損傷することなく、超音波溶接ヘッドからスピンドルのz軸へと伝達するように機能している。
[発明の概要]
本発明の第1の態様によれば、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、加工処理ヘッドを介して工作物上に送出し、材料付加、検査、またはデータ収集を行うように構成されている工作機械が提供される。工作機械は加工処理ヘッドを一時的に収容するように構成されているクランプ機構を有しており、工作機械は、エネルギー及び媒体のうちの少なくとも1つを送出するように構成されているマニホルドを有する止めブロックを備え、加工処理ヘッドは、止めブロックに接続可能であるように構成されている回転防止アーム及びコネクタを備えている。
【0012】
好適な実施形態において、工作機械は多軸の工作機械である。
好ましくは、媒体またはエネルギーは、加工処理ヘッドマニホルドから加工処理ヘッド内に伝えられる。望ましくは、媒体またはエネルギーは加工処理ヘッドによって工作物に付与される。好適な実施形態では、媒体またはエネルギーは、加工処理ヘッドの加工処理要素によって工作物に付与される。好ましくは、加工処理要素は工作物に隣接している。加工処理要素は付与ヘッドを備えていてもよく、また、付与点を備えていてもよい。
【0013】
望ましくは、本機械の止めブロックは工作機械に固定されており、望ましくは可動ではない。好適な実施形態において、固定式止めブロックには、スピンドルの上または近くに位置するマニホルドが配置されている。別の実施形態では、止めブロック機能は工作機械内に一体化されている。いくつかの例では、止めブロックは工作機械のスピンドル、スピンドルハウジング、Z軸鋳造部品、または他の構造内に一体化されてもよく、これにより、回転防止アームとコネクタとを有する加工処理ヘッドを用いる手段を提供できる。スピンドルは、使用時には回転しない、スピンドル本体の外側部分を含んでいてもよい。スピンドルハウジングは、スピンドルを囲むカバーまたは他の部品を含んでいてもよい。他の実施形態では、止めブロックは、スピンドルを密閉する、または少なくとも部分的に囲むケーシングまたは金属板カバー内に一体化されてもよい。
【0014】
止めブロックをCNC工作機械に用いることは知られている。代表的には、外側ハウジングや、加工処理ヘッドまたはフライス加工ヘッド全体を動かないようにする、特に加工処理ヘッドの一部分が回転運動しないようにすることが所望される場合に、このような止めブロックが用いられてきた。
【0015】
既知の止めブロックにおいて、機械にはブロックが設けられている。ブロックは少なくとも、加工処理ヘッドから延在している回転防止アームを受けるように構成されている穴を備えている。回転防止アームは止めアームを備えていてもよく、プランジャまたは代替の機械式延長部をさらに備えていてもよい。プランジャは、鋼材といった固形物で形成されていてもよく、プランジャに付与されたあらゆる回転運動や回転運動力に対してプランジャが耐え得るような寸法であってもよい。
【0016】
止めブロック用マニホルドは、加工処理ヘッド上のマニホルドと協働かつ結合するように構成されていてもよい。止めブロック用マニホルドはブロックの穴の周りに設けられていてもよい。加工処理ヘッド上のマニホルドは、止めアーム内またはプランジャ内に設けられていてもよい。他の実施形態では、マニホルドはプランジャに隣接して設けられていてもよい。
【0017】
工作機械は、工作物を加工処理するように構成されていてもよい。
通常、クランプ機構はスピンドルの先端部内に収納されており、加工処理ヘッドをスピンドル上の所定の位置を占めるように構成されている。さらに、工作機械は通常、クランプ機構に接続される場合には加工処理ヘッドを貫通する軸を有しており、加工処理ヘッドは軸を中心にして運動するように構成されている。
【0018】
加工処理ヘッドは、エネルギー源を工作物上に導くように構成されている1つ以上の案内機構を備えていてもよい。
合体用マニホルドは、使用時に加工処理ヘッドに供給される1つ以上の媒体を接続させるように構成されていることにより、工作物の加工処理を容易にするようになっていてもよい。
【0019】
合体用マニホルドは、加工処理ヘッドをクランプ機構に、回転防止アームを止めブロックにそれぞれ接続した場合に、1つ以上の媒体を加工処理ヘッドに供給することを可能にしてもよい。
【0020】
好都合には、工作機械はまた、止めブロック用マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドとを接続した場合に媒体または各媒体を加工処理ヘッドに供給するように、加工処理ヘッド合体用マニホルド内へ、及び/または加工処理ヘッド合体用マニホルドとの接続を外す方向へ、供給ユニット合体用マニホルドを移動させるように構成されている、少なくとも1つの機構を備えていてもよい。好適な実施形態では、スピンドルの先端部内のクランプ部内に工具を装填する動作はその一部が、または全体が1つ以上のさらなるステップとして作動されるが、この動作によって、マニホルド同士が互いに連通する。
【0021】
さらなるステップ、つまり「多段式合体」によって、回転防止アームまたは他の使いやすい整合方法、例えばロボットやガントリーを用いて行うマニホルドインターフェイスの位置決めよりも高い精度の整合を必要とするコネクタの使用が可能になる。この手法により利益を得ると思われるこのようなコネクタの例としては、電気コネクタ、分離する水用継手、またはガスコネクタが挙げられる。このステップは、破片、削りくず、油、切削液、及び他の汚染源を、傷つく可能性のある例えば電気式インターフェイス等のマニホルドコネクタに近づけない保護カバーの移動または除去に対処してもよい。回転防止アームのプランジャとの間の最初の機械式インターフェイスが止めブロック合体部内に挿入されたら、任意の簡便なエネルギー供給部により、さらなる段階が作動可能である。このエネルギー供給部としては、機械式、空気圧式、または電気式の作動が含まれるが、これらに限定するものではない。例えばロボットアームとともに使用する別の実施形態では、異なる時間またはシーケンスごとにマニホルドを部分的に係合していくような複数の段階を有することが望ましい場合もある。
【0022】
合体用マニホルドは、エネルギー源を加工処理ヘッドへと伝達することができるように構成されていてもよい。
広くは、各実施形態は、2つのマニホルドを接続した後、エネルギー源を加工処理ヘッド合体用マニホルドを介して伝達することを可能にする。このような実施形態は、マニホルド同士を接合する際にエネルギー源を接続できる点で好都合である。
【0023】
各実施形態は、止めブロック合体用マニホルド内部に、案内機構または各案内機構を加工処理ヘッド内で冷却するように配置されている冷媒、使用時にエネルギー源によって加工処理されるように配置されている加工処理可能媒体、及び保護媒体のうちの少なくとも1つを供給するように構成されているダクトを有していてもよい。好都合には、冷媒、保護媒体、及び加工処理可能媒体の各々が単純に媒体と称されていてもよい。改めて、このような実施形態は、使用時にマニホルド同士を接合したら、媒体、または各媒体を簡便に供給できるので、好都合である。
【0024】
選択された材料をエネルギー及び/または熱にさらす際に不活性環境を与えることが望ましいことは、当業者であれば理解されるであろう。これは、例えば加工処理ヘッドを通る、例えば保護ガス(つまり保護媒体)の局所的な送出によって実行することができる。あるいは、この作業は、工作機械の周囲または工作機械の少なくとも一部の周囲に設けられた、真空または別の不活性環境を維持するチャンバ内部で開始されてもよい。
【0025】
止めブロック合体用マニホルドは、複数の媒体及び/または貯蔵エネルギーを供給するように構成されていてもよいことは理解されるであろう。
数多くの実施形態では、媒体供給部及びエネルギー源のうちの少なくとも1つを、加工処理ヘッド合体用マニホルド内部のダクトと整合するように配置された整合機構を提供している。エネルギー源は、使用時に正しく焦点を合わせるためには正確に整合されている必要があることが多く、整合機構を設けると、2つのマニホルドが接続する際に接続されるエネルギー源が確実に正しく整合されることは理解されるであろう。好適な実施形態では、回転防止アーム上または内部に位置する合体部の向きは、プランジャから延在するピンと、プランジャが止めブロックと接続されていないときにその角度方向を保持する、従来技術で既知の固定用リングとを用いることで得られる。
【0026】
加工処理ヘッドは2つ以上の回転防止アームを有していてもよい。止めブロックは工作機械の一部の周りに、2つ以上の回転防止アームが1つの止めブロックと係合可能であるように延在していてもよい。あるいは、1つ以上の回転防止アームに対して、別々の止めブロックが設けられていてもよい。各アームは、加工処理ヘッドの周りに間隔をおいて配置されていてもよい。例えば、2つのアームを180度の間隔をあけて配置していてもよい。あるいは、2つのアームは、工具格納部に入れられるほど小型であってもよいように、間隔がより近い方が望まれることもある。止めブロックのうちの1つ以上は、加工処理ヘッドのマニホルドに接続可能であるマニホルドを有していてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、ほぼ平面の表面によって、整合機構が少なくとも部分的に設けられている。
通常、各実施形態は、加工処理ヘッドに向かって送出されたエネルギーを導くために、使用時に加工処理ヘッドの長手方向軸に沿った領域上にエネルギー源を集束させるように構成されている。このような構成は、複数の軸の心違いを考慮する必要がないので、工作機械に対してプログラミングをより容易に行うことができ、また、作業領域がずれの分を考慮する必要がないので、より小さくできる点で好都合である。当業者であれば、エネルギー源の焦点が軸からずれている際には、ずれの分を考慮するにはさらに変換が求められるので、対象を加工処理するのに必要な作業領域は顕著に増大することは理解するであろう。
【0028】
止めブロック用マニホルドのある工作機械の実施形態は、電気、信号、熱、電子ビーム、アーク、プラズマ、マイクロ波、メーザ、集束電磁放射、または音波(超音波を含む)等のうちの少なくとも1つとして、エネルギー源を設けるように構成されていてもよい。集束電磁放射は、例えばX線、マイクロ波、紫外線、赤外線等のうちのいずれかであってもよい。
【0029】
止めブロック用マニホルド、及び/もしくは、加工処理ヘッドマニホルドまたは加工処理ヘッド内部に設けられた案内機構は、1つ以上のレンズ、ミラー、プリズム、回折格子、ビーム拡大器、空間光変調器、光学部品、電気式連結機構、導電性媒体経路、電磁継手機構、ビームステアリング部品、ビームステアリング域発生器、マイクロ電気機械システム、マイクロミラーデバイス、同軸ケーブルを含む電磁障害(EMI)シールドといったシールド部品等のうちのいずれかを備えていてもよい。しかし、加工処理ヘッドがより頑丈でより少ない数の部品で構成されているならば好都合である。
【0030】
特に、いくつかの実施形態では、加工処理ヘッドはレンズと反射板とを備えていてもよい。
工作機械は、使用時に、通常は粉体またはフィラメント形状の金属、ポリマー、またはセラミック材料、冷却または加工処理用流体、ガス、加工処理用流体等のうちの少なくとも1つを供給するように構成されていてもよい。
【0031】
好都合には、工作機械のコントローラは、工作機械が加工処理ヘッドをクランプ機構内において自動式で、または少なくとも半自動式で交換するように構成されている。当業者であれば、工作機械のコントローラという語は、工作機械の内部にあるコントローラと、工作機械とネットワーク化されている、またそうでない場合は工作機械に連結されているコントローラの両方を網羅するように構成されている語であることは理解されるであろう。
【0032】
回転防止アームを止めブロックに、アームや通常は止めブロック内で収容されているプランジャを用いて接続するように処理ヘッドを制御することは周知されているので、本明細書ではこれ以上の説明は行わないことは理解されるであろう。
【0033】
「工作機械」の語は全体としての機械に関して用いられてきたことは理解されるであろう。交換可能なヘッドを説明してきたが、従来のフライス加工及び機械加工ヘッドは、機械加工カッターまたは機械加工工具と称されることもあるが、機械加工ヘッドのことを言及してきた。本願で開示されているように、工作物を加工処理するためには、「加工処理ヘッド」と称される代替のヘッドが用いられており、この処理には、エネルギーを工作物へと方向づけること、媒体及びエネルギーを工作物へと方向づけること、または媒体を工作物上に付与/堆積することが含まれていてもよい。
【0034】
当業者であれば、請求項に記載の本発明を提供するように構成されていてもよい、既知の止めブロック及び回転防止アームのいくつかの形態が存在することは理解されるであろう。
【0035】
いくつかの実施形態において、止めブロック合体部は複数のマニホルドを有していてもよい。マニホルドのうちのいくつかは固定されていてもよい。他の実施形態では、マニホルドのうちの1つ以上が移動性であってもよい。
【0036】
各マニホルドは、様々なコネクタやそのコネクタの組み合わせの中から選択されてもよい。マニホルドは、信号電圧、センサフィードバック、電力供給、及び通電容量用の電気コネクタを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、マニホルドは、工作物に高電圧を印加する手段を備えていてもよい。例えば、マニホルドは、加工処理ヘッドが工作物の加工処理に溶接アークを使用可能であるように、高電圧を供給してもよい。
【0037】
マニホルドはまた、1つ以上の媒体送出管または送出ラインを備えていてもよく、媒体はガス、液体、蒸気、ミスト、エアロゾルから選択してもよい
他の実施形態では、媒体は、粉体、ワイヤ、ペレット、箔等の固形物、及び固形の供給原料から選択されてもよい。
【0038】
止めブロック用マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドとを介して工作物には、補助媒体も供給されてもよく、このような媒体は、使用時に加工処理を冷却、遮蔽、または調節するように構成されている水用継手及び空気用継手を備えていてもよい。
【0039】
加工処理ヘッドと合体用マニホルドとには、追加の改良を行ってもよい。一実施形態において、回転防止アームはさらに、加工処理ヘッドを少なくとも部分的に囲むように構成されている方向づけ用鍔を備えている。望ましくは、方向づけ用鍔は冷却機構を備えている。
【0040】
別の実施形態において、加工処理ヘッドは鍔を備えている。必要に応じて、鍔は、ポリマー押し出し成形ヘッドを予熱するように構成されているクレードルを備えている。
本発明に係る、周囲を囲む鍔(従来技術で知られているような止めブロック内でプランジャが係合していないときにヘッドの向きを保持するのに使用される、固定用リングまたは鍔と同じものであってもよい)を有する工作機械は、循環空気またはポンプ注入空気を用いてヘッドまたは工作物の冷却を行う機能を有するように設計されていてもよいことは理解されてきた。さらに、プロセス印刷中に冷却または遮蔽用ガスまたは液体を搬送する流路は、鍔に与えられてもよい所望の機能でもある。
【0041】
CNC工作機械での材料堆積にこの合体部を用いることの特別な利点は、ハイブリッド加工処理の可能性広げることである。例えば、基板に初期層を付着させるために加熱された土台を必要とする代わりに、フライスまたは穴あけカッターを用いるCNC工作機械によって、基板内に溝または穴を形成してもよい。1つまたは複数の溝もしくは穴の形成後、堆積システムを有する加工処理ヘッドは、空隙内に材料を射出し、新たな堆積物と基板との機械的な結合を、構造の残りに対処し、かつ新たに堆積した工作物の表面の後堆積加工も続けられるのに十分な強度で、追加の工作物保持装置の追加を最小限で、いくつかの場合では全く追加することなく、実現することができる。後者の場合、工作物保持物は必要に応じて印刷される。
【0042】
合体部が備わっているCNC工作機械のハイブリッドな性質のために、同じ外被内で材料を堆積し削り出すことができると、工作物の加工処理を新たな順序で行うことにつながることは理解されるであろう。いくつかの方法では、ハイブリッドCNC工作機械をワイヤ埋め込みに用いてもよく、これは、工作物またはその一部を形成する材料を堆積することによって簡便に実現可能である。必要に応じて、ありみぞフライスまたは他の種類のカッターによって、ワイヤを置くまたは嵌め込む(材料の剛性とワイヤの厚さに対する許容誤差に依存する)ことができる流路を削り出すこともできる。いくつかの実施形態では、ワイヤは合体部を介して供給可能である。あるいは、真直度が最重要である場合には、ワイヤはスピンドルの中空中心を通って同軸となるように供給されてもよい。
【0043】
ワイヤもしくは他の適切な供給原料または補助媒体をスピンドルを介して供給することにより、ワイヤまたは他の供給原料をまっすぐにするためのスピンドルに対して距離が得られる。望ましくは、供給原料は工作物に対して、その表面に直角に近づいていく。
【0044】
いくつかの実施形態では、エネルギーを、止めブロックの供給部合体部を介して加工処理ヘッドに送出してもよい。いくつかの実施形態では、供給原料を、上述のワイヤの例とは異なる位置や方向から加工処理ヘッドに送出してもよい。これは、エネルギーが止めブロック合体部を介して入っていくことが好都合である堆積ヘッドにとっては効果的であり、媒体は別の方向から入っていくことを要求されてもよく、エネルギーと供給原料にとっては供給原料が工作物に近づいていくときだけ交差することを要求されてもよい。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、回転防止アームとマニホルドとを、合体用マニホルドを有する止めブロックと組み合わせて有する加工処理ヘッドを備えている、構成要素一式が提供されており、加工処理ヘッドは、使用時に、工作機械のクランプ機構等に接続可能であるように構成されている。
【0046】
加工処理ヘッド合体用マニホルドが接続されるように構成されていてもよい、いくつかの実施形態では、1つ以上の媒体が使用時に加工処理ヘッドに供給されると、工作物の加工処理が行いやすくなる。
【0047】
いくつかの実施形態では、加工処理ヘッド回転防止アームが、止めアームから延在しているプランジャを用いて、止めブロックに接続可能であり、止めブロック内の穴に収容可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、止めブロック合体用マニホルドは、エネルギー源を、加工処理ヘッドマニホルド内に伝達可能であるように、また、好ましくは加工処理ヘッドを介して工作物に印加可能であるように構成されていてもよい。
【0049】
各実施形態は、通常、加工処理ヘッド内部の案内機構または各案内機構を冷却するように構成されている冷媒、及び、使用時にエネルギー源によって加工処理されるように構成されているエネルギー源加工処理可能媒体のうちの少なくとも1つを供給するように構成されている、内部にダクトを有する加工処理ヘッド合体用マニホルドを提供してもよい。2つのマニホルドの間には、本明細書に記載されているような他の流体及び/または媒体を連通してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、加工処理ヘッド内の案内機構に加えて、さらなる案内機構を設けてもよく、さらなる案内機構は供給部止めブロック合体用マニホルドに付随していてもよい。
【0051】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、エネルギー案内機構(または複数のエネルギー案内機構)のうちの少なくとも1つを、加工処理ヘッド内部でエネルギー源加工処理可能媒体を選択的に溶融できるように配置してもよい。
【0052】
代替の、あるいは追加の実施形態において、構成要素一式は複数の加工処理ヘッドを備えていてもよく、各々の加工処理ヘッドはそれぞれ、一式内にある他の加工処理ヘッドとは異なるようにエネルギー源を集束させるように配置されている。例えば、第1加工処理ヘッドは、加工処理ヘッド内部のエネルギー源加工処理可能媒体を溶融するように配置されていてもよい。第2加工処理ヘッドは、工作物上に置く媒体を供給するように構成されていてもよい。他の加工処理ヘッドは、他の付加加工処理または除去加工処理を行うように、または工作物を測定または走査するように構成されていてもよい。
【0053】
本発明の合体による手法とともに、様々なヘッドを使用してもよい。代表的には、加工処理ヘッドは、材料堆積、処置、または検査に使用されてもよい。この合体可能マニホルドとともに使用する付加製造には、STM F42で規格化されている7種類の付加製造分類のいずれかが含まれている。本発明の合体による手法は、付加製造方式の加工処理ヘッドとともに使用するために容易に適応可能であることは理解されるであろう。本発明の合体システムは、渦電流検査、超音波検査、レーザ走査、3D走査、写真測量、光学測定、硬度測定、顕微鏡検査、カメラ、磁気センサ、静電容量式センサ等の検査ヘッドを有していてもよいことが予想される。
【0054】
上述したように、好適な実施形態では、回転防止アーム上または内部に位置する合体部の向きは、プランジャから延在するピンと、プランジャが止めブロックと接続されていないときにその角度方向を保持する、従来技術で既知の固定用リングとを用いることで得られる。加工処理ヘッドがスピンドル内に装填されるとほぼ整合されている状態で保持され、プランジャが止めブロックに係合された際に最終的な整合が得られる。好都合には、媒体の種類の中には、供給ユニット合体用マニホルド内部の媒体供給部を加工処理ヘッド合体用マニホルド内部のダクトに整合させるように構成されている整合機構があるものもある。このことは、液体用継手及び他の媒体またはエネルギー用継手の分離にとって必要である場合もある。
【0055】
本発明の第3の態様によれば、加工処理ヘッドを工作機械に接続する方法が提供されている。加工処理ヘッドは回転防止アームとコネクタとマニホルドを有しており、本方法は、
a)供給部マニホルドを有する止めブロック合体部のある工作機械を供給し、
b)工作機械に格納場所から加工処理ヘッドを選択させて、加工処理ヘッドを工作機械のクランプ機構内へと挿入させ、
c)回転防止アーム及びコネクタを移動させて止めブロックと係合するように構成された機構を作動させ、
d)加工処理ヘッドマニホルドを移動させて止めブロックの供給ユニット合体用マニホルドと接続し、
e)供給部止めブロック合体用マニホルドと加工処理ヘッド合体用マニホルドとの接続により、1つ以上の媒体を加工処理ヘッドに、使用時には媒体またはそれぞれの媒体を供給できるようにして供給を行うことができる。
【0056】
本方法はさらに、工作機械の格納領域内で加工処理ヘッドを交換する場合とは順序が逆の工程を備えていてもよい。
いくつかの実施形態では、加工処理ヘッドマニホルドと止めブロック合体用マニホルドと工作機械との間の電気式、光学式、及び機械式接続用の接続が提供されていてもよい。このような接続により、工程監視センサと装備に対する接続が得られる。このようなセンサは、画像記録装置、照明、接触プローブ、3D表面測定スキャナ及び容積測定スキャナ、酸素センサや熱センサ等のセンサ、またはカメラ等に備わっていてもよい。いくつかの実施形態では、温度センサを使用して、加工処理が実行されている最中の工作物の温度を監視してもよい。工程監視センサまたは測定機器は、1つ以上の媒体が接続されているように、及び/または、加工処理ヘッドとマニホルドの両方に追加されているように構成されている加工処理ヘッドの一部、マニホルドの一部に備わっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、あらゆる加工処理ヘッド及び機械加工ヘッドに加えて、検査ヘッドと考えられてもよい別個のヘッドとして、工程監視センサを設けていてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つ以上の溶融液貯蔵部の温度を監視してもよい。溶融液貯蔵部は、材料を堆積する場所に形成されてもよい。媒体は工作物へ、または工作物に向けて付与され、エネルギー源からエネルギーを印加することによって溶融してもよい。よって媒体は、エネルギー源加工処理可能媒体であると考えられてもよい。
【0058】
追加の、または代替の実施形態において、媒体は溶融した状態で堆積してもよい。
いくつかの実施形態では、1つの媒体を加工処理ヘッドに供給している。他の実施形態では、2つ以上の媒体を加工処理ヘッドに供給してもよい。媒体は例えば代替の色または代替の媒体を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、第1媒体は構造用材料で構成されていてもよく、第2媒体は支持用材料で構成されていてもよい。支持用材料は、工作物が完成したら除去可能であってもよい。複数の媒体が供給されているならば、工具はこれらの媒体を選択的に使用することができるように構成されていてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、媒体はポリマー材料で構成されていてもよい。他の実施形態では、媒体は、金属、非金属、ポリマー、セラミック、粘土、または誘電体で構成されている群から選択してもよい。媒体は、粉体またはペレット形状、もしくは、半液体状または完全に液体状のフィラメント、棒、箔、平板、またはワイヤのうちのいずれかの形状で与えられてもよい。あるいは、媒体は、液体、乳剤、気体、エアロゾル、スラリー、またはペーストの状態で、もしくはこれらの中に懸濁した状態で与えられてもよい。
【0060】
ある特別な実施形態において、媒体はポリマーフィラメントで構成されていてもよい。通常、このようなフィラメントはエネルギー源によって、媒体を制御可能な手法で供給、方向づけ、押し出し成形、噴出、または堆積できるような温度になるまで加熱されてもよい。あるいは、流体状媒体を、媒体槽から加工処理ヘッドに供給してもよい。媒体は、媒体槽の全ての媒体が流体状になり、制御可能な状態で分注または放出可能になるまで、エネルギー源によって加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、媒体はまた、工作物の形成中に電気回路が敷設可能なように、導電体、半導体、及び誘電体で構成されていてもよい。別の実施形態では、媒体は、槽から加工処理ヘッドの堆積先端部に向かって通過してもよく、エネルギーは、媒体が堆積先端部から出ていく前に媒体に印加されてもよい。このことは、媒体がフィラメントまたはワイヤ形状であり、媒体は機械式供給機構、例えばローラによって加工処理ヘッドを介して供給可能である実施形態の場合は特に適している可能性がある。媒体がまもなく堆積されようとしている状態になるまでは、媒体は比較的剛性があることが望ましい場合もある。エネルギーは、媒体が堆積先端部から出ていく直前、出る最中、または出た後に印加されてもよい。代替として、または追加として、材料を工作物の表面上に堆積してからエネルギーに曝してもよい。
【0061】
本発明の別の態様によれば、クランプ要素と堆射要素との中間にある本体部を備えている、工作機械の加工処理ヘッドが提供されている。本体部は、本体部の接続されている回転防止アームと、回転防止アーム上にある合体用マニホルドとを有しており、合体用マニホルドは、使用時に工作機械上にある供給部マニホルドに接続されるように構成・配置されていて、合体用マニホルドは、工作物に対して堆射する前に、エネルギー供給部及び/または媒体供給部のうちの少なくとも1つの供給を、供給部マニホルドから加工処理ヘッドに向かって行うように配置されている。
【0062】
加工処理ヘッドは、材料が堆積される際に材料に対して往復直線運動または振動する冷却されている突き固め用プラテンを有していてもよい。加工処理ヘッドは、揺動運動を用いている、材料を締め固めるプラテンを有していてもよい。
【0063】
さらなる態様によれば、加工処理ヘッドと支持構造との間にある合体用インターフェイスが提供されている。合体用インターフェイスは、エネルギー源及び媒体のうちの少なくとも1つを、加工処理ヘッドを介して送出し、付加製造または検査を行うように構成されており、支持構造は、
エネルギー及び媒体のうちの少なくとも1つを送出するように構成されている供給部マニホルドと、
加工処理ヘッドを収容するように構成されているクランプ機構と、
第1係合部と、を有していて、
加工処理ヘッドは、クランプ機構内に収容可能であり、
供給部マニホルドから、エネルギー及び媒体のうちの少なくとも1つを受け取るように構成されている加工処理ヘッドマニホルドと、
第1係合部を脱離可能に係合するように構成されている第2係合部と、を有しており、
最初の動作では第1係合部と第2係合部とを整合させ、さらなる動作では供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドとの間を流体連通させることができる。
【0064】
第1係合部は供給部マニホルドの一部であってもよい。第2係合部は加工処理ヘッドマニホルドの一部であってもよい。
クランプ機構は、加工処理ヘッドマニホルドの少なくとも一部を収容するように構成されている機械式収容部分を備えていてもよい。
【0065】
機械的な動作によって行われる場合もあるが、第1係合部を第2係合部に係合したら、さらなる動作により、加工処理ヘッドマニホルドと供給部マニホルドとの間にさらなる接続が得られてもよい。
【0066】
さらなるステップ、つまり「多段式合体」によって、簡単な係合機構を用いて行うマニホルドインターフェイスの位置決めよりも高い精度の整合を必要とするコネクタの使用が可能になる。多段式合体はさらに、合体中に力がかかったり整合不良が生じたりしている間に損傷するおそれのあるコネクタの使用が可能になる。係合部同士の間の最初の機械式インターフェイスが確立された後、空気圧式または電気式の作動が含まれるが、これらに限定するものではない任意の簡便なエネルギー供給部により、さらなる段階が作動可能である。
【0067】
マニホルド同士が完全に連結されている間、マニホルドまたは各マニホルドの汚染を防ぐカバーは開いていても、または除去されていてもよい。これは、破片、削りくず、油、切削液、及び他の汚染源を、傷つく可能性のある例えば電気式インターフェイス、水コネクタ、またはガスコネクタ等のマニホルドコネクタに近づけない役割を果たす。
【0068】
上述の実施形態のいずれかとの接続に、カバーを使用してもよいことは理解されるであろう。カバーは、ない場合には可能処理または格納領域内にあるはずの汚染源への曝露から逃れられない、損傷を受けやすいコネクタが存在する実施形態においては特に望ましい場合もある。カバーはまた、加工処理ヘッドマニホルドと供給部マニホルドとの間で行われる接続を可能にする微調整を支援するように構成されていてもよい。
【0069】
加工処理ヘッドマニホルドを有する加工処理ヘッドを供給部マニホルドを有する支持構造に接続する、さらなる態様の方法によれば、本方法は、
a)加工処理ヘッドを支持構造のクランプ機構内へと挿入し、
b)最初の動作において、支持構造の係合部を加工処理ヘッドの対応する係合部に係合し、
c)係合部同士を係合した後、さらなる動作において、加工処理ヘッドマニホルドを移動させて供給部マニホルドと接続し、
d)供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドとの接続により、1つ以上の媒体及び/またはエネルギーを加工処理ヘッドに、使用時には媒体またはそれぞれの媒体及び/またはエネルギーを供給できるようにして供給を行うことができる。
【0070】
加工処理ヘッドマニホルドを移動させて供給部マニホルドに接続させることが、さらなる動作であることは理解されるであろう。当業者であれば、合体及びクランプの様々な段階の順序は所望されるように変更可能であることは理解されるであろう。
【0071】
当業者であれば、本発明のこの態様を任意のインターフェイス合体システムに関して用いてもよいこと、しかしこの態様は、工作物に対して付加製造とCNC加工の両方を実行する、または工作物の検査を実行するように構成されている工作機械またはロボットには特に用途が広いことは理解されるであろう。
【0072】
上述したように、「多段式合体」によって、簡単な係合機構を用いて行うマニホルドインターフェイスの位置決めよりも高い精度の整合を必要とするコネクタの使用が可能になる。係合部同士の間の最初の機械式インターフェイスが確立された後、空気圧式または電気式の作動が含まれるが、これらに限定するものではない任意の簡便なエネルギー供給部により、さらなる段階が作動可能である。
【0073】
さらなるステップ、つまり「多段式合体」によって、回転防止アームまたは他の使いやすい整合方法、例えばロボットやガントリーを用いて行うマニホルドインターフェイスの位置決めよりも高い精度の整合を必要とするコネクタの使用が可能になる。この手法により利益を得ると思われるこのようなコネクタの例としては、電気コネクタ、水用継手、特に分離する水用継手、またはガスコネクタが挙げられる。多段式合体はまた、破片、削りくず、油、切削液、及び他の汚染源を、傷つく可能性のある例えば電気式インターフェイス等のマニホルドコネクタに近づけない保護カバーの移動または除去にも対応していてもよい。例えばロボットアームとともに使用する別の実施形態では、異なる時間またはシーケンスごとにマニホルドを部分的に係合していくような複数の段階を有することが望ましい場合もある。この多段式合体は、支援として用いられる工作機械、ロボットアーム、ガントリー、プリンタ等の剛性の必要条件を大幅に減らすことに役立つ可能性がある。複数のコネクタの係合力に全て打ち勝って支持部と加工処理ヘッドマニホルドとの係合を実現する必要はないからである。一段階式合体工程では、支持部またはロボットアームにかかる力は相当なものであり、支持部またはロボットアームに対する剛性の要件を、加工処理ヘッドを工作物に対して移動させるのに必要であり得る以上に大幅に高める可能性もある。さらに、合体中、供給部マニホルドに対する加工処理ヘッドの移動と、合体工程中に加わる力のせいで増大した負荷を、支持部またはロボットアームにかけてもよい。この剛性と力の要件の増大は、一段階式合体に耐えるために、支持部またはロボットアームのコストを大幅に増加させる可能性がある。
【0074】
いくつかの状況において、力や位置の正確性に対して、これまで普通に使われてきた他のインターフェイスよりも敏感または繊細なコネクタを利用することは望ましい場合もある。望ましくは、最初の段階によってインターフェイスの位置を大まかに整合させ、後の方や最終的な接続はある程度の微調整を用いて行われる場合、合体の後の方の段階を用いて最終的な接続を行ってもよい。このことの実施例の1つとして、クランプ機構内の係合部同士の間で、粗係合が存在するように、粗整合を行うことが挙げられる。最初の係合が完了したら、供給部マニホルドを移動させて、加工処理ヘッドマニホルドとよりよい整合を行うようなさらなる動作では、クランプ機構を作動させてもよい。通常、最初の合体は、ヘッドの一部分と供給部マニホルドを移動させて、1~20mmのオーダーであることが多い粗係合を行ってもよい。通常、さらなる合体動作は、1mm未満のオーダーで、ほんの少しから25マイクロメートルまでのことも多い距離だけ、供給部または加工処理ヘッドマニホルドを移動させる。より高精度で整合を完了したら、水用継手または最初のクランプ部係合中に存在する可能性のある整合不良または横力によって損傷するかもしれない他のコネクタを移動させて互いに流体連通させることができる。このような継手またはコネクタは、次に、軸の整合を満足させた状態で、最後の係合の工程を5~15mmのオーダーで行ってもよい。
【0075】
別の実施形態では、供給部と加工処理ヘッドマニホルドのうちの一方に先細ピンを使用して、供給部と加工処理ヘッドマニホルドのうちの他方の穴に係合して協働させることによって、粗整合を実現してもよく、先細ピンの穴への係合を増やせば、供給部と加工処理マニホルドを導いてより高精度の整合を行うように構成されている。ピンの角度のある先端部により、係合距離が比較的長くなってしまうこともあることは理解されるであろう。ピンが短いままである場合、マニホルドインターフェイスから突出しているコネクタは、ピンの傾斜角が浅い、または傾斜していない部分の係合がコネクタに対する十分な整合精度で行われる前に、整合不良により損傷を受ける可能性がある。
【0076】
開示されている多段式合体を使用することによって、これらの問題を克服することが可能になる。いくつかの実施形態では、最初のクランプ機構は、先細であってもよい場合もあるピンを備えていてもよい。コネクタの位置を供給部マニホルドまたは加工処理ヘッドマニホルドのうちの1つの内部にすることが望ましい場合もある。いくつかの好適な実施形態では、最初のクランプ移動中には、コネクタは全体が供給部または加工処理ヘッドマニホルド内部に格納されていてもよい。ピンを穴内に係合させることは、最初のクランプ移動で構成されている。さらなる微調整の移動は、ピンが移動して穴に入り、ピンまたは複数のピンの角度のある先端部が、供給部と加工処理ヘッドマニホルドをより正確に整合させる際の結果として得られる。正確な整合がなされたら、コネクタを係合位置に移動させてもよい。この実施形態では、さらなる移動は、最初のクランプ移動と同じ方向で行われている。
【0077】
別の実施形態では、マニホルドのうちの一方にある突出部は、マニホルドのうちの他方にある穴と係合するように配置されていてもよい。最初のクランプ移動は第1の方向に行われてもよい。さらなる移動は、最初の移動と交差する方向に行われてもよい。さらなる移動が完了した後、コネクタが移動して係合し、流体連通してもよい。
【0078】
支持部は工作機械の一部かロボットの一部であってもよいことは理解されるであろう。ロボットシステムの適用は、多段式合体の利点の1つが最初のクランプ動作においてかけられた負荷と力の低減である時に特に有用性が高く、またこのことは、ロボットや軽負荷CNC工作機械には特に用途が広いと信じられている。当業者であれば、ロボットシステムは、1回の動作で合体を実現するために要求される剛性、強度、そして精度も有していなくてもよいことは理解されるであろう。
【0079】
当業者であれば、本発明の上述の各態様は様々な特徴を導入していることは理解されるであろう。さらに、本発明の1つの態様のうちの1つからの特徴は、他の態様に対しても適用可能であるし、逆も成り立つことは理解されるであろう。
【0080】
ここで、単に一例として、本発明の一実施形態の詳細な説明を以下に記す。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は工作機械の概略図である。
図2図2は、従来技術の工作機械と合体ヘッドの断面を模式的に示している。
図3a図3aは、工作機械に接続する前における従来技術の加工処理ヘッドの概略図である。
図3b図3bは工作機械に接続した後における従来技術の加工処理ヘッドの概略図である。
図4図4は、従来技術の止めブロックと、回転防止アームとプランジャがある加工処理ヘッドとの概略図であり、本発明の一実施形態において用いられているマニホルドをさらに詳細に示している。
図5図5は、別の加工処理ヘッドの、工作機械に加工処理ヘッドを接続する前における図を示している。
図6図6は、図5の実施形態の斜視図であり、その媒体供給部を図示している図7の実施形態の、工作機械に加工処理ヘッドを接続した後における図を示している。
図7図7は多数の媒体供給部を有する加工処理ヘッドの概略図である、
図8図8は、本発明の別の態様に係る加工処理ヘッドの、工作機械に取り付けられた状態の図である。
図9図9は加工処理ヘッドのさらなる実施形態の説明図である。
図10図10は加工処理ヘッドのさらなる実施形態の説明図である。
図11a図11aは、加工処理ヘッドの一実施形態の、カバーを実装した状態での斜視図である。
図11b図11bは図11aの実施形態の側面図である。
図12図12は本発明のさらなる態様に係る一実施形態の説明図である。
図13図13は本発明のさらなる態様に係る別の実施形態の説明図である。
図14a-14b】図14a及び14bは従来技術での接続の説明図である。
図15a-15d】図15a-15dは本発明の別の態様に係る接続ステップを図示している。
図16a-16d】図16a-16dは本発明の別の実施形態の各ステップを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0082】
[図面の詳細な説明]
図1は工作機械100を模式的に示したものである。工作機械100は、一般に、工作機械100のクランプ機構内に保持されるとともに工作物104を機械加工するように配置されている機械加工ヘッド102を備えている。さらに、工作機械100は通常、工作物104を加工処理する際には、機械加工ヘッド102の位置を制御するコントローラ106によって制御されている。
【0083】
ほとんどの工作機械100は、その作業に対して正しい機械加工ヘッド102がすぐ使えるように設けられるようにするために、機械加工ヘッド102が他の機械加工ヘッド102と交換可能なように構成されている。例として、フライス盤の場合、第1機械加工ヘッドが粗材料除去用に設けられてもよく、第2機械加工ヘッドが微細材料除去用に設けられてもよい。
【0084】
したがって、工作機械100は工具交換器を有しており、この交換器は、工作物104を加工処理するために工作機械100が使用中の機械加工ヘッド102を、一般的にはコントローラ106による制御下で交換可能である。
【0085】
図2は、発明者の先の出願である国際公開第2014/013247号に開示されている、従来技術の加工処理ヘッド200を図示したものである。加工処理ヘッド200は、工作機械100のクランプ機構202を用いて工作機械100に接続されており、機械加工ヘッドの格納部内に格納可能であり、かつ、工具交換器で自動的に工作機械100に接続可能である。ここで、工具交換器は、工作機械が現在使用中ではない加工処理ヘッドや機械加工ヘッド等の格納場所を与えてもよい。本明細書での説明ではクランプ機構202について言及しているが、内部においてクランプ機構202が接続されているスピンドルも工作機械100の一部であると見なされている。
【0086】
記載されている実施形態では、加工処理ヘッド200は、レーザビーム206を工作物104上に集束させるように配置されている。他の実施形態では、レーザの代わりに他のエネルギー源を使用してもよい。
【0087】
図2では加工処理ヘッド200を通る断面が示されており、反射板、例えばミラー208が、入射レーザビーム210を90度回転させて集束レンズ212上に入射させ、集束レーザビーム206を生成するように配置されていることがわかる。レーザビームや光学部品に加えて、加工処理ヘッド200は、媒体を送出する1つ以上のダクトも含んでいてもよい。本例の場合、媒体は、エネルギー源により溶融されるように配置されている輸送流体内にあるポリマー及び/または金属粉体で構成されていてもよい。加工処理ヘッドは、媒体が加工処理ヘッドを介して送出され、媒体が工作物104に到達する前には溶融状態、または少なくとも半溶融状態になっているようにエネルギー源内へと送られるように配置されている。したがって、加工処理ヘッドは材料を工作物上に堆積させるために使用可能であり、これにより、例えば部品を修理するのに使用し得る堆積システムを提供可能である。
【0088】
工作機械(スピンドルを含む)及びクランプ機構202は、図2において破線XXで表されている長手方向軸を有している。クランプ機構202内に機械加工ヘッド(例えばフライス)が存在しているとすれば、軸XXを中心にして回転するであろう。本実施形態では、レーザビーム206であるエネルギー源は、工作物106の表面上にある軸XX上にほぼ位置する点や領域213等に集束すると好都合である。
【0089】
加工処理ヘッド200及びクランプ機構202に隣接した位置には、様々な構成要素を収容するハウジングを設けた供給ユニット214が設けられている。加工処理ヘッド200は加工処理ヘッド合体用マニホルド201を、供給ユニット214は供給ユニット合体用マニホルド300をそれぞれ備えており、両マニホルドは、互いに結合することで、図2に示されているような状態で供給ユニット214を加工処理ヘッド200に接続するように配置されている。
【0090】
供給ユニット214の上には、本実施形態ではレーザであるエネルギー源216が設けられている。レーザ216はビームを発生させ、そのビームは供給ユニット214内へと送られて、第1レンズ218と第2レンズ220とを備えたビーム拡大器217を通過する。ビーム拡大器217は、工作物104上での最終的な集束をより良い状態にするために、かつ、光学部品に対する熱負荷を低減させるために、レーザビームの直径を大きくするのに利用される。
【0091】
供給ユニット214はまた、レーザからの光ビームを90度反射して、加工処理ヘッド200及びその中にある反射板208へと向かわせるように配置されている、別の反射板222を備えている。各レンズ218,220及び反射板222は、供給ユニット214内に設けられている案内機構であると見なされてもよい。
【0092】
供給ユニット214はまた、様々な媒体224の供給部を備えている。この供給部は、供給ユニット214を接続する際に、マニホルドを介して加工処理ヘッド200に接続される。
【0093】
供給ユニット214は、高価であり、通常は比較的大きくて扱いにくい構成要素である、複雑な構成要素を備えていることは、当業者であれば理解できるであろう。
図3aは別の従来技術の加工処理ヘッド及び工作機械の概略図であり、ここで、加工処理ヘッド300には、加工処理要素301及びクランプ要素302が、工作機械100に対してクランプするように配置されている。図3aでは、加工処理ヘッドは工作機械に接続されていない。
【0094】
図3bは、図3aの工作機械と加工処理ヘッドにおいて、クランプ要素302によって加工処理ヘッド300が工作機械にクランプされた後の概略図である。その後、加工処理要素301を工作物104上に配置し、動作させてもよい。
【0095】
図4は、従来技術の回転防止アームと止めブロックとの概略図を示したものである。加工処理ヘッド300には、クランプ機構302が、工作機械のスピンドル上にクランプされるように配置されている。加工処理ヘッド300はさらに、加工処理ヘッドに接続された回転防止アーム304を有している。回転防止アーム304は、プランジャ306を有しており、プランジャ306は、工作機械に接続されている(図示せず)止めブロック308に、脱離可能な状態で接続されるように構成されている。回転防止アームと止めブロックとは、加工処理ヘッドがスピンドルとともに回転しないように配置されている。
【0096】
図5は、合体していない状態の本発明に係る工作機械100の図であり、工作機械100は工作機械本体50と加工処理ヘッド300とを備えている。工作機械本体50には、止めブロック390が取り付けられている。止めブロックは穴52を備えている。
【0097】
加工処理ヘッド300は、301で該ね示されている加工処理要素と、クランプ要素302とを備えている。クランプ要素は、図6に示されているように、工作機械によって、脱離可能な状態でクランプされるように配置されている。加工処理ヘッドはさらに、プランジャ392が装着された回転防止アーム391を備えている。プランジャ392は、工作機械本体50上にある止めブロック内の穴52に、脱離可能な状態で収容されるように配置されている。
【0098】
止めブロックはさらに、プランジャに隣接する止めブロックの側面に装着された供給部マニホルド490を備えている。加工処理ヘッドはさらに合体可能マニホルド491を備えており、合体可能マニホルド491は、プランジャに隣接する回転防止アームの側面に設けられていて、止めブロック上にある供給部マニホルド490に合体可能なように配置されている。図6は、工作機械上で正しい位置にクランプされている加工処理ヘッドを示しており、回転防止アームとプランジャとが止めブロックに係合し、かつ供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドが合体している状態を図示している。
【0099】
当業者によって、流体及び媒体を供給部マニホルドへ、そして加工処理ヘッドマニホルドから加工処理ヘッドの加工処理要素へと供給するように構成可能であることが理解されるであろう。
【0100】
動作の際には、加工処理ヘッドを、コントローラの制御下で、工具交換器または他の機構を用いて工作機械100に接続する。工具交換器は、加工処理ヘッドのクランプ要素302を、スピンドルの先端部にあるクランプ機構内へと移動させるように制御されている。
【0101】
一例示的実施形態において、クランプ要素302を工作機械100に係合させるように移動させると、同時に、プランジャ392を止めブロック390内の穴52に係合させ、止めブロック390の供給部マニホルド490を加工処理ヘッドの合体可能マニホルド491に連通させるような配置になる。
【0102】
別の実施形態では、図12に示されているように、第1合体ステップでは、クランプ要素302と工作機械とを接続して、図12bでわかるように、プランジャ392と穴の間とを最初に粗く嵌める。第2合体ステップでは、マニホルド490,491を流体連通させる。第2合体ステップは、空気圧式または電気式の作動を含むがこれらに限定されない、都合のよいエネルギーの供給によって作動させてもよい。図12cでは第2合体ステップが完了しており、マニホルド490,491は緊密に整合・接続されている。
【0103】
合体用マニホルド490,491の片方または両方は、接続されていないときにマニホルド490,491を汚染から保護するカバー510を有していてもよい。カバーはレール部514内を移動可能な閉塞蓋512を備えていてもよく、閉塞蓋512は開口部516を閉塞して加工処理ヘッド内へと動く。閉塞蓋を設ける代替手段は、当業者であれば容易に想定できるであろう。第2合体ステップはまた、カバー除去を作動させるようになっていてもよい。あるいは、カバーを除去するさらなるステップを設けてもよい。カバーを有する加工処理ヘッドは図11に図示されている。
【0104】
プランジャ392及び穴52により、位置の粗調整手段が簡便に得られる。止めブロックに限定されない、位置の粗調整手段を有する任意の合体用マニホルドを用いて、多段式合体を利用可能であることは理解できるであろう。
【0105】
さらに、本実施形態では、クランプ要素302をクランプ機構202に、プランジャ392を止めブロック390に整合/係合した後、加工処理ヘッドの合体用マニホルド491が移動して供給部マニホルド490と係合しているが、この順序は所望するように変更してもよいことは理解されるであろう。また、いくつかの実施形態では、加工処理ヘッドマニホルド491よりも供給部マニホルド490を移動させる方が好都合であることも理解されるであろう。
【0106】
図13に示されている別の実施形態では、第1合体ステップは、加工処理ヘッドマニホルド491と供給部ヘッドマニホルド490との整合で構成されていて、この整合は加工処理ヘッドマニホルド491を供給部ヘッドマニホルド490の方に移動させることで行われてもよいし、その逆でもよい。マニホルドを接続したら、さらに合体を行う移動によって、この場合は供給部マニホルド内にほぼ位置しているコネクタ600が、加工処理ヘッドマニホルド内の対応するコネクタ部品に接続される。このさらに合体を行う移動は、空気圧式または電気式の制御によって開始されてもよい。
【0107】
図14aは既知の合体システムの一実施形態を示しており、ここでは、最初にクランプさせる移動において、供給部マニホルド上にある先細ピン610等の先細部品を利用して、加工処理ヘッドマニホルド上にある対応する穴611に係合させる時に、合体用供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドとを整合させる。従来から既知の構成では、図14aに詳細を示しているように、好都合なピンの長さは、コネクタの長さを超えない場合もあれば、十分な整合精度で、コネクタ600の衝突を避けられる程度に迅速には、マニホルド内に係合しない場合もある。
【0108】
本発明に係る多段式合体を用いている方法では、図15a~15dに示されているように、先細ピン610が図15cに示されているように粗整合を開始するまでは、コネクタ600は供給部マニホルド内部に格納したままの状態である。ピンの角度のある先端部が移動して穴内に入り、さらなる移動が実行される際に、供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドはより高精度な整合の段階に進む。このさらなる移動が図15dに示されているように完了したら、完全な整合が達成される。これにより、コネクタ600が加工処理ヘッドマニホルド内の対応するコネクタ601と完全に係合されて流体連通している状態になってもよく、コネクタ同士を連結するために最終的な移動及び係合を行ってもよい。
【0109】
図14bは、対応する穴621に係合するクランプ機構突出部620を用いて整合を実現する、別の実施形態を示している。これにより、図14bに示されているように、粗整合を用いてクランプ部を不完全に係合させることが可能になる。図14bの詳細部で図示されているように、加工処理ヘッドマニホルドと供給部マニホルドとの間ではコネクタは完全には整合されてないことがあり、クランプ動作中に損傷が起こる可能性があることは理解されるであろう。
【0110】
図16a~16dに示されている多段式合体工程に従って、突出部620を穴621に係合する。最初のクランプ動作を作動させた後、加工処理ヘッドマニホルドと供給部マニホルドとを粗係合させ、さらなる移動を作動させて、図16cに示されているようにマニホルド同士をより高精度で整合させる。この実施形態では、このさらなる移動は最初のクランプ動作と交差する方向に行われる。図16dに示されているように整合及びクランプが行われたら、損傷のリスクもなくコネクタ600をさらに係合することができる。この多段式合体を用いることにより、クランプ後により大きな力のコネクタの係合に備えた任意の力があってもほとんど利用せずに、支持構造が加工処理ヘッドマニホルドと供給部マニホルドとの互いに対する位置を粗く決めることも可能になる。
【0111】
多段式合体の使用は、例えば電気またはガスコネクタもしくは水コネクタといった、損傷をより受けやすいコネクタである場合には特に望ましいこともある。多段式合体の使用は、コネクタが損傷を受けやすいという危険性もなく1回の動作で合体を実現できるのに必要な強度や剛性がない可能性のある、ロボットシステムまたは軽負荷CNC工作機械に対しては特に効果的であることも理解されるであろう。
【0112】
図7は、加工処理ヘッドの外部に、恐らくは上述のようなマニホルドを介して電力と媒体を供給しながら、加熱ポリマーを押し出し成形するように構成されている材料加工処理ヘッドを示している。この実施形態では、加工処理ヘッド1150は、クランプ機構1152、第1堆積ヘッド1154、及び第2堆積ヘッド1156を備えている。クランプ機構は、工具ホルダと称されることもあるが、ISO-40テーパ工具ホルダやHSK 63a工具ホルダ、または従来技術で既知である他の適切な工具ホルダ型式であってもよい。
【0113】
加工処理ヘッドは、ASTM F2792での規定で定義されているように「材料押し出し成形」装置を表す一例である。よって、堆積ヘッド1150は、工作物に材料を押し出し成形するように構成されている。加工処理ヘッドはまた、第1媒体供給部1158及び第2媒体供給部1160を備えている。この実施形態では、媒体供給部は、第1流路1162及び第2流路1164を備えており、それぞれは、媒体供給部1168,1170に供給する媒体を形成する第1及び第2ポリマーフィラメントを導くように構成されている。媒体は、媒体供給機構から第1及び第2流路に供給される。媒体供給機構はマニホルドに接続されるように配置されている。電源供給は、上述の各図で説明したマニホルドの準用であるマニホルドから、加工処理ヘッドへと行われている。フィラメント供給機構1166は加工処理ヘッド内に位置しており、第1及び第2フィラメントを、それぞれの第1加熱チャンバ1168及び第2加熱チャンバ1170に供給する。電源供給部(通常はマニホルドを介して接続されていて、その接続はここでは1172で示している)は、第1及び第2加熱チャンバにエネルギーを供給し、それぞれのチャンバの内部では、第1及び第2フィラメントが加熱されて、半流動体状態の媒体が第1堆積ヘッド1154及び第2堆積ヘッド1156に供給される。
【0114】
工作機械の工具ホルダの構成は、ISO40、CAT40、BT40、HSK63A、Capto 6等の標準工具及びサイズを含むことは理解されるであろう。また、開示されている発明の範囲の範疇である構成及びサイズは、他のサイズ及び構成、並びにロボットのエンドエフェクターの取付板を含む。
【0115】
本発明に係る工作機械の別の例を図8に示す。
図8は、合体した状態の本発明に係る工作機械100の図であり、工作機械100は工作機械本体50と加工処理ヘッド300とを備えている。工作機械本体50には、止めブロック390が取り付けられている。
【0116】
加工処理ヘッド300は、301で該ね示されている加工処理要素と、クランプ要素302とを備えている。クランプ要素は、工作機械によって脱離可能にクランプされるように配置されている。加工処理ヘッドはさらに、図8では可視化されていないプランジャが装着された回転防止アーム391を備えている。
【0117】
止めブロック390はさらに、プランジャに隣接する止めブロックの側面に装着された供給部マニホルド490を備えている。媒体供給部500は供給部マニホルド490に接続されている。加工処理ヘッドはまた合体可能マニホルド491を備えており、合体可能マニホルド491は、プランジャに隣接する回転防止アームに装着されていて、止めブロック上にある供給部マニホルド490に合体可能なように配置されている。図8は、工作機械上で正しい位置にクランプされている加工処理ヘッドを示しており、回転防止アームとプランジャとが止めブロックに係合し、かつ供給部マニホルドと加工処理ヘッドマニホルドが合体している状態を図示している。
【0118】
この実施形態では、加工処理ヘッドへの媒体供給は、回転防止アーム及び配管502を介して加工処理ヘッド内へ、そしてそこから加工処理ヘッドを介して加工処理要素へと行われる。
【0119】
媒体及び/またはエネルギーの供給は合体用インターフェイスと回転防止アームを介して行われてもよいことは理解されるであろう。あるいは、合体用インターフェイスはプランジャを通ってもよい。あるいは、エネルギー及び媒体の送出は、好ましくは止めブロックと回転防止アームとに隣接する、独立した領域を通るように配置されていてもよい。媒体供給は、その一部が回転防止アームと加工処理ヘッドとの間に設けられた配管を介して行われてもよい。
【0120】
合体用マニホルドの支持に止めブロックの接続を利用することにより、より軽量の媒体やあまり損傷を受けないエネルギー源を加工処理ヘッドに供給するのに特に適した構成に改善できることは理解されるであろう。
【0121】
本発明に係る工作機械の使用例として、工作物上にプラスチック材料を堆積するように構成された工作機械が提供されている。プラスチック媒体の加工処理ヘッドへの供給は、押し出し成形されたフィラメントまたは顆粒の形態で、上述されたような合体用マニホルドを通った後に配管502を通って加工処理ヘッド300内へという流れで行うことができる。プラスチック材料は加工処理ヘッド内で加熱された後、加工処理要素301を通って工作物104上に堆積される。
【0122】
この構成は、用いる構成要素もそれほど複雑ではなく、工作機械の周りの占有空間もより小さいので、自由度が高くなる点において効果的である。
本発明の一態様に係る加工処理ヘッドのさらなる実施形態を図9に示す。加工処理ヘッド300は、クランプ要素302と堆射要素301との中間にある本体部303を備えている。回転防止アーム391は、本体部の上部にクランプ要素に隣接するように接続されている。合体用マニホルド491は回転防止アーム391に接続されている。本実施形態における合体用マニホルドは、加工処理ヘッドと合体して、加工処理ヘッドにエネルギー供給と媒体供給を行い、工作物104に材料を堆射するように構成されている。
【0123】
本例において、エネルギー供給は電気エネルギーであり、供給の経路は、加工処理ヘッドへと流入する前に、マニホルドと回転防止アームとを通る。電気エネルギーは、工作物に堆射される媒体を加熱するために用いられる。スピンドルの回転によって機械的な動作も行われ、この回転がクランプ要素302を回し、その次にヘッド本体内部のネジポンプを回転させる。加工処理ヘッドの本体の周りには加熱帯406が設けられており、媒体を加熱する。
【0124】
工作物に堆射される媒体もまた、マニホルドを介して加工処理ヘッドに供給される。媒体は一連の適切な媒体の中から選択されてもよい。本事例では媒体はプラスチックペレット400で構成されている。マニホルドからは、プラスチックペレット400は、マニホルドと加工処理ヘッドとの間にある配管402を通るように導かれる。配管は、加工処理ヘッドの本体内にある内部チャンバ403と連通している。アルキメデスのネジポンプ404が設けられ、媒体を堆射要素に向かって連続して流している。媒体が本体内を下行する際に、媒体は電気エネルギーによって加熱帯内で、プラスチックペレットが完全に溶融されて(408)堆射要素によって工作物へと堆射できるようになるまで加熱される。追加の媒体がワイヤ、繊維、またはフィラメント410の形で、マニホルドから加工処理ヘッドへ供給される。ワイヤ410はマニホルドから加工処理ヘッドの堆射要素上のローラ412へと通過していき、工作物に堆射される。堆積中、または仕上げのために、必要に応じて、ブレード413または従来技術で既知の他の切断装置を用いて、ワイヤ、繊維、またはフィラメントを切断してばらばらの長さにすると好都合なこともある。繊維が押し出し成形されたら周期的にその繊維を切断するように動作するブレード413が設けられている。材料を連続供給することを終えると、ナイフがその繊維を切断することができる。他の実施形態では、繊維は周期的に切り刻まれて、押し出し成形された材料を短繊維で強化することもたらす。
【0125】
さらに、締め固め用枠または突き固め用足部414が設けられており、新たに堆積された材料を締め固めて堆積物をより平滑でより高密度にする。この足部を冷却することによって堆積された材料の付着を最小限にすることが望ましい。足部はまた、堆積された材料に対して振動または往復直線運動してもよい。
【0126】
締め固めまたは突き固め機能の別の実施形態は図10に示されており、ここでは、可動プラテン424のあるヘッドの断面が図示されている。プラテンは、堆積中の材料の後ろに延在している第1部分と、第1部分と不平行な角度で堆積中の材料の前方に延在している第2部分とを有している。プラテン424は、位置aから位置bに変化する際に、回転または前後に揺動して、堆積された材料を締め固める。回転軸425は供給方向(図示のとおり)に直角であってもよく、また、ランダムの整合を含む別の整合を行ってもよい。
【0127】
上述した各例では、止めブロック390は工作機械50の本体50の側面に取り付けられている。しかし、このことは単に例示にすぎないことは理解されるであろう。止めブロック390は、工作機械の他の部分に接続されても一体化されてもよい。例えば、止めブロック390は、機械のスピンドル、スピンドルハウジング、Z軸鋳造部品、または他の構造内に一体化されてもよい。止めブロック390は、適切に配置された回転防止アーム391が止めブロックを係合する場合に加工処理ヘッドの回転を防ぐように、工作機械の固定部分に接続または一体化されなければならない。
【0128】
上述した各例では、加工処理ヘッド300は1つの回転防止アーム391を有している。しかし、別の実施形態では、加工処理ヘッド300は、加工処理ヘッド300の周りで180度間隔をあけた2つの回転防止アーム391を有していてもよい。各アームは、プランジャまたは他のコネクタを実装することで止めブロック390を係合してもよい。2つのアームを設けることによって、複数のコネクタを提供でき、加工処理ヘッド300と工作機械との整合が向上する。止めブロック390は、工作機械の周りに、両アームが同じ止めブロック390を係合するように延在してもよい。あるいは、工作機械の周りに別々の止めブロック390を設けてもよい。止めブロック390及び回転防止アーム391の片方または両方が、供給部マニホルドを有していてもよく、及び/または、上述したようにエネルギーを供給してもよい。加工処理ヘッドの周りに任意の間隔で回転防止アーム391を設けてもよい。さらに、任意の数の回転防止アーム391及び止めブロック390を設けてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13
図14a-14b】
図15a-15d】
図16a-16d】