(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、無線通信システム、算出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/20 20090101AFI20221206BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221206BHJP
【FI】
H04W16/20
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2020196929
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 鋭治
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119268(JP,A)
【文献】特開2016-072733(JP,A)
【文献】特開2013-138277(JP,A)
【文献】特開2017-228909(JP,A)
【文献】特開2014-168133(JP,A)
【文献】特開2005-033389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B1/60
3/46-3/493
7/24-7/26
17/00-17/40
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する算出部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、電波強度情報とトラフィック量情報に基づいて前記無線中継装置の設置位置を変更するか否かを判定する判定部をさらに備えた、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記判定部が前記無線中継装置の設置位置の変更が必要であると判断した場合に、前記無線中継装置の設置位置を算出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、新たな無線中継装置の設置が必要か否かを判定する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記判定部が新たな無線中継装置の設置が必要であると判断した場合に、前記無線中継装置の設置位置を算出する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記位置情報は、前記無線中継装置が各端末装置に応答要求信号を送信し、前記応答要求信号に対する応答信号を前記無線中継装置が受信するまでの時間を計測することによって得られる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記端末装置から、端末装置を識別する識別情報を取得する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
無線中継装置と情報処理装置とを備え、
前記無線中継装置は、自機に帰属する端末装置から電波強度情報、位置情報、トラフィック量情報を取得し、
前記情報処理装置は、無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する算出部と、を備えた、
無線通信システム。
【請求項9】
無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得するステップと、
取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出するステップと、
を備えた無線中継装置設置位置の算出方法。
【請求項10】
無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する処理と、
取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、無線通信システム、算出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)機器の普及により、さまざまな機器がインターネットを介して通信を行う機会が増えている。IoT機器がインターネットに接続する方法として、ゲートウェイを介してインターネットに接続する方法がある。IoT機器をゲートウェイに接続する方法として、IoT機器とゲートウェイをWi-Fi(登録商標)などの無線機能を使用して接続する無線接続方法がある。
【0003】
Wi-FiのAP(Access Point)となるゲートウェイを配置する際に、ゲートウェイと、ゲートウェイに接続するIoT機器である端末装置の電波環境を知る必要がある。ゲートウェイに接続する端末装置が複数ある場合、電波環境が適した位置にゲートウェイを配置することは困難である。そこで、特許文献1には、APを複数の位置に移動させて、それぞれの位置において各端末装置の電波強度を測定し、最も電波強度が大きい位置を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において開示された技術のようにゲートウェイの設置位置を決定する場合、複数の位置において電波強度を測定しなければならない。そのため、ゲートウェイの設置者がゲートウェイを設置する際に、その設置位置を決定する手間がかかるという問題がある。
【0006】
本開示は、このような問題点を解決するための情報処理装置、無線通信システム、算出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する算出部を備える。
【0008】
本開示にかかる無線通信システムは、無線中継装置と情報処理装置とを備え、前記無線中継装置は、自機に帰属する端末装置から電波強度情報、位置情報、トラフィック量情報を取得し、前記情報処理装置は、無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する算出部とを備える。
【0009】
本開示にかかる算出方法は、無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得するステップと、取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出するステップとを備える。
【0010】
本開示にかかるプログラムは、無線中継装置に帰属する端末装置のそれぞれについて、当該端末装置と当該無線中継装置間の電波強度情報と、当該端末装置の位置情報と、当該端末装置と当該無線中継装置間のトラフィック量情報を取得する処理と、取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置とのトラフィック量が他の端末装置よりも多い端末装置が当該他の端末装置よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置の設置位置を算出する処理を情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ゲートウェイを設置する際に、その設置位置を自動により決定する情報処理装置、無線通信システム、算出方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示における実施形態1にかかる無線通信システムの構成図である。
【
図2】本開示における実施形態2にかかる無線通信システムの構成図である。
【
図3】本開示における実施形態2にかかる無線端末管理テーブルの例を示す図である。
【
図4】本開示における実施形態2にかかる無線通信システムのシーケンス図である。
【
図5】本開示における実施形態2にかかるクラウドサーバにおける処理のフロー図である。
【
図6】本開示における実施形態2にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図7】本開示における実施形態2にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図8】本開示における実施形態2にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図9】本開示における実施形態2にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図10】本開示における実施形態3にかかるクラウドサーバにおける処理のフロー図である。
【
図11】本開示における実施形態3にかかる無線端末管理テーブルの例を示す図である。
【
図12】本開示における実施形態3にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図13】本開示における実施形態3にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【
図14】本開示における実施形態3にかかるゲートウェイの設置位置の算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
<実施形態1>
本実施形態について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態にかかる無線通信システム1の構成図である。
【0015】
本実施形態における無線通信システム1は、情報処理装置2、無線中継装置3、端末装置4を備える。端末装置4は、無線中継装置3に帰属する。無線中継装置3として、例えばゲートウェイやルータが用いられる。
【0016】
情報処理装置2は、取得部5及び算出部6を備える。取得部5は、無線中継装置3に帰属する端末装置4のそれぞれについて、当該端末装置4と当該無線中継装置3間の電波強度情報、当該端末装置4の位置情報、及び当該端末装置4と当該無線中継装置3間のトラフィック量情報を取得する。
【0017】
算出部6は、取得部5が取得した電波強度情報、位置情報及びトラフィック量情報に基づいて、無線中継装置3の設置位置を算出する。より具体的には、無線中継装置3とのトラフィック量が他の端末装置4よりも多い端末装置4が当該他の端末装置4よりも電波強度が高くなるように、無線中継装置3の設置位置を算出する。
【0018】
電波強度情報は、無線中継装置3が端末装置4から受信する電波強度であってもよい。位置情報は、無線中継装置3と端末装置4との距離を測定したものであってもよいし、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて絶対位置を測定し、測定した絶対位置に基づいて無線中継装置3と端末装置4との距離を算出したものであってもよい。トラフィック量情報は、無線中継装置3と端末装置4との通信量であってもよい。
【0019】
なお、情報処理装置2は、取得部5が取得した電波強度情報とトラフィック量情報に基づいて、無線中継装置3の設置位置を変更するか否かを判定する判定部(不図示)をさらに備えてもよい。
【0020】
本実施形態における情報処理装置によれば、無線中継装置を設置する際に、その設置位置を自動で決定することができる。
【0021】
<実施形態2>
本実施形態について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態にかかる無線通信システム1の構成図である。
【0022】
本実施形態にかかる無線通信システム1は、ゲートウェイ10及びクラウドサーバ20を備える。ゲートウェイ10は、端末装置30と相互に通信可能である。
【0023】
ゲートウェイ10は、データ通信部11、接続端末情報取得部12、端末位置情報測定部13、電波強度測定部14、トラフィック量測定部15及び最適配置情報表示部16を備える。ゲートウェイ10は、通信制御を行う装置であってもよい。
【0024】
データ通信部11は、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の端末情報をクラウドサーバ20に転送する。また、データ通信部11はゲートウェイ10から見た端末装置30の相対的な位置情報、端末装置ごとの電波強度及びトラフィック量をクラウドサーバ20に転送する。さらに、データ通信部11はクラウドサーバ20が算出したゲートウェイ10の配置情報を取得する。
【0025】
接続端末情報取得部12は、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の端末情報を取得する。接続端末情報取得部12は、端末装置30がゲートウェイ10に接続される毎に、クラウドサーバ20に端末情報を転送する。端末情報は、各端末装置30のMAC(Media Access Control)アドレス、ニックネーム等の識別情報であってもよい。
【0026】
端末位置情報測定部13は、ゲートウェイ10から見た端末装置30の相対的な位置情報を取得し、取得した位置情報をクラウドサーバ20に転送する。位置情報は、ゲートウェイ10と端末装置30との距離を測定した相対的な位置情報であってもよい。また、位置情報は例えばGPS(Global Positioning System)を用いて絶対位置を測定し、測定した絶対位置に基づいて無線中継装置3と端末装置4との距離を算出したものであってもよい。
【0027】
電波強度測定部14は、端末装置30ごとの電波強度を取得し、取得した電波強度情報をクラウドサーバ20に転送する。
【0028】
トラフィック量測定部15は、端末装置30ごとのトラフィック量を取得し、取得したトラフィック量情報をクラウドサーバ20に転送する。
【0029】
最適配置情報表示部16は、クライドサーバ20が算出したゲートウェイ10の配置情報をクラウドサーバ20から取得し、表示する。
【0030】
クラウドサーバ20は、データ通信部21、端末情報管理部22、端末位置情報管理部23、電波強度管理部24、トラフィック量管理部25及び最適配置算出部26を備える。クラウドサーバ20は、ゲートウェイ10に接続されている端末装置30の端末情報の管理やゲートウェイ10の配置を算出するサーバである。
【0031】
データ通信部21は、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の端末情報を、ゲートウェイ10から取得する。データ通信部21は、ゲートウェイ10から見た端末装置30の相対的な位置情報、端末装置30ごとの電波強度及びトラフィック量を、ゲートウェイ10から取得する。また、データ通信部21は、最適配置算出部26が算出したゲートウェイ10の配置情報を、ゲートウェイ10に送信する。
【0032】
端末情報管理部22は、ゲートウェイ10から転送された、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の端末情報を管理する。
【0033】
端末位置情報管理部23は、ゲートウェイ10から転送された、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の相対的な位置情報を端末装置30ごとに管理する。
【0034】
電波強度管理部24は、ゲートウェイ10から転送された、ゲートウェイ10に接続している端末装置30の電波強度情報を、端末装置30ごとに管理する。
【0035】
トラフィック量管理部25は、ゲートウェイ10から転送された、ゲートウェイ10に接続している端末装置30のトラフィック量情報を、端末装置30ごとに管理する。
【0036】
端末装置30ごとのトラフィック量を管理する、無線端末管理テーブルの例を
図3に示す。
図3に示す無線端末管理テーブルは、端末装置30のMACアドレスごとに、電波強度情報及びトラフィック量を示すものである。トラフィック量の管理は
図3に示すとおり、電波強度と合わせて管理してもよいし、端末位置情報管理部23が管理する位置情報も合わせて管理してもよい。無線端末管理テーブルは、
図3の例に限定しないが、本実施形態においては
図3に示すものとして説明する。
【0037】
最適配置算出部26は、ゲートウェイ10から転送された端末情報に基づいて、ゲートウェイ10の配置を算出する。
【0038】
端末装置30は、例えばスマートフォン、タブレット端末及びノート型パソコンなどの端末装置が用いられてもよいし、生活家電やヘルスケア機器などのIoT(Internet of Things)機器など、インターネット通信を行う装置が用いられてもよい。端末装置30は、ゲートウェイ10と相互に通信可能である。端末装置30はゲートウェイ10に帰属している無線子機であってもよい。
【0039】
ここで、本実施形態における無線通信システム1の動作について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態における無線通信システム1のシーケンス図である。
【0040】
ユーザはゲートウェイ10に接続している端末装置30のニックネーム等の端末情報を、ゲートウェイに送信し登録する(ステップ101)。ゲートウェイ10は自機に接続される各端末装置30のMACアドレス、ニックネーム等の端末情報をクラウドサーバ20に転送する(ステップ102)。ゲートウェイ10は自機に接続される各端末装置30の方向及び距離等の情報から、ゲートウェイ10からみた相対的な位置情報及び電波強度を取得する(ステップ103)。ゲートウェイ10は、各端末装置30の位置情報及び電波強度をクラウドサーバ20に転送する(ステップ104)。ゲートウェイ10は自機に接続される各端末装置30のトラフィック量を取得し(ステップ105)、取得したトラフィック量情報をクラウドサーバ20に転送する(ステップ106)。
【0041】
クラウドサーバ20は各端末装置30のトラフィック量を、例えば上位から順に並べたときに、その端末装置30の電波強度が上位から順になっているか確認する。電波強度が例えば上位から順になっていないとき、クラウドサーバ20は各端末装置30の位置情報及びトラフィック量情報に基づいて、配置すべきゲートウェイ10の位置を算出する(ステップ107)。クラウドサーバ20は、算出したゲートウェイ10の配置を、端末装置30に通知する(ステップ108)。なお、クラウドサーバ20は、算出したゲートウェイ10の配置を、ゲートウェイ10に通知してもよい。
【0042】
ここで、クラウドサーバ20における処理のフローについて、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態におけるクラウドサーバ20の処理のフローを示す図である。
【0043】
クラウドサーバ20は、自機に接続されている各端末装置30の端末情報をゲートウェイ10から取得する(ステップ201)。ゲートウェイ10から取得する端末情報としては、例えばMACアドレス情報やニックネーム等がある。ニックネームは、端末装置30から例えばWeb画面を用いることによってゲートウェイ10アクセスし、登録してもよい。その際、ゲートウェイ10は、MACアドレスとともにニックネーム情報をクラウドサーバ20に転送してもよい。
【0044】
次に、ゲートウェイ10は自機に接続されている各端末装置30の位置情報及び電波強度を取得する(ステップ202)。ゲートウェイ10は、取得した各端末装置30の位置情報及び電波強度を、クラウドサーバ20に転送する。
【0045】
位置情報はゲートウェイ10が各端末装置30に応答要求信号を送信し、応答要求信号に対する応答信号をゲートウェイ10が受信するまでの時間を計測することによって得られてもよい。このとき、位置情報の取得には、例えばIEEE802.11mcにおいて規格されているFTM(Fine Timing Measurement)を用いてもよい。ゲートウェイ10から端末装置30にFTMフレームを送信し、端末装置30からAckを返答するまでの時間(RTT:Round Trip Time)を計測することによって距離を計測することができる。ゲートウェイ10は、ビームフォーミングを用いて任意の方向にFTMフレームを送信し、その方向に対するRTTを計測する。次に、ビームフォーミングの方向を変更し、変更した方向のRTTを計測する。これを繰り返し、すべての方向に対するRTTを計測し、RTTが最小となる方向が端末装置30の方向であると推測してもよい。このように、FTMを用いることによって、ゲートウェイ10から見た相対的な端末装置30の位置情報を取得してもよい。
【0046】
さらに、クラウドサーバ20は、ゲートウェイ10が測定した、端末装置30ごとのトラフィック量を取得し、クラウドサーバ20に転送する(ステップ203)。クラウドサーバ20は、取得した端末情報、端末装置30ごとの電波強度及びトラフィック量に基づいて、ゲートウェイ10の配置を変更する必要があるか否かを確認する(ステップ204)。例えば、
図3のように各端末装置30の電波強度及びトラフィック量が取得されたとする。この時、例えば電波強度の強い端末装置30から順に並べ替える。並べ替えたときに、トラフィック量が上位の端末装置30から順に並んでいるか確認する。
図3の場合、トラフィック量が上位である端末装置30から順に並んでいないことになる(ステップ204のNO)。したがって、本実施形態においては
図3のような場合はゲートウェイ10の配置変更を提案するために、ゲートウェイ10の配置を算出する(ステップ205)。なお、トラフィック量が上位である端末装置30から順に並んでいれば(ステップ204のYES)、処理は完了する。
【0047】
次に、ゲートウェイ10の設置位置を算出する方法について、
図6~9を用いて説明する。
図6~9は、本実施形態におけるゲートウェイ10と端末装置30の配置の例を示す図である。例として、
図6に示すようにゲートウェイ10が1台、端末装置30が3台あるものとする。本実施形態において、端末装置30ごとの電波強度及びトラフィック量が
図3のように取得された場合、ゲートウェイ10の設置位置を変更するための計算を行う。
【0048】
まず、
図7に示すように、各端末装置30の相対的な位置関係から、端末装置の配置上の重心Gを算出する。次に、各端末装置30のトラフィック量の比を重みとして、重心Gから各端末装置30の方向へ距離を延長し、
図7に示すように延長した点Pを求める。n番目の端末に対する、重心Gから延長した点Pまでの距離dn´は下記の式(1)を用いて算出される。ここで、dnはn番目の端末と重心との距離を示し、Tnはn番目の端末のトラフィック量を示すものとする。なお、本実施形態において通信端末30は3台であることからn=3となる。
【数1】
【0049】
最後に、延長した点P間の重心の位置を算出する。
図8に示すように、算出した重心の位置を、ゲートウェイ10の新たな設置位置とする。なお、ゲートウェイ10に接続する端末装置30の数の増減やトラフィック量の変化が起こりうるため、クラウドサーバ20はゲートウェイ10から各端末装置30の端末情報を定期的に取得し、新たなゲートウェイ10の設置位置を再度算出し更新してもよい。
【0050】
クラウドサーバ20が算出したゲートウェイ10の設置位置は、ゲートウェイ10を経由して端末装置30に送信してもよい(ステップ206)。例えば、ゲートウェイ10が取得した各端末装置30の相対的な位置情報に基づいて、算出したゲートウェイ10の設置位置を
図9のような図として表示してもよい。
【0051】
ユーザが、クラウドサーバ20が算出したゲートウェイ10の設置位置の情報の取得を要求したとき、端末装置30から、例えばWeb画面を用いることによってゲートウェイ10アクセスし、算出したゲートウェイ10の設置位置を
図14のような図として表示できるようにしてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、ゲートウェイ10と端末装置30ごとの電波強度、位置関係及び各端末装置30のトラフィック量を測定して、それぞれの情報に基づいて自動でゲートウェイの設置位置を算出し、表示することができる。
【0053】
<実施形態3>
本実施形態において、ゲートウェイ10が複数あり、親機としての機能を有するゲートウェイ10及び中継機としての機能を有するゲートウェイ10があるものとする。このとき、それぞれのゲートウェイ10の間の電波強度やトラフィック量などを取得することにより、クラウドサーバ20は複数のゲートウェイ10の設置位置を算出し、新たなゲートウェイ10の設置が必要か否かを判定することができる。なお、本実施形態における無線通信システム1のゲートウェイ10、クラウドサーバ20及び端末装置30の構成は、実施形態2と同様であるので、その説明は省略する。
【0054】
ここで、クラウドサーバ20における処理のフローについて、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態におけるクラウドサーバ20の処理のフローを示す図である。
【0055】
クラウドサーバ20は、自機に接続されている各端末装置30の端末情報を親機となるゲートウェイ10から取得する(ステップ301)。このとき、中継機となるゲートウェイ10のMACアドレスなどの装置情報を合わせて取得し、各端末装置30の端末情報と併せてクラウドサーバ20に転送する。このとき、クラウドサーバ20は親機となるゲートウェイ10に接続されている端末装置30と、中継機となるゲートウェイ10に接続されている端末装置30を分けて管理してもよい。
【0056】
親機となるゲートウェイ10は自機に接続されている各端末装置30の相対的な位置情報の取得、各端末装置30の電波強度の測定、及び各端末装置30のトラフィック量の測定を行い、クラウドサーバ20に測定結果を転送する(ステップ302、303)。このとき、親機となるゲートウェイ10は中継機となるゲートウェイ10の位置情報及び電波強度の測定を行う。親機となるゲートウェイ10は取得した各端末装置30に関する情報と、中継機となるゲートウェイ10に関する情報を合わせてクラウドサーバ20に転送してもよい(ステップ304)。
【0057】
同様に、中継機となるゲートウェイ10は自機に接続されている各端末装置30の相対的な位置情報の取得、各端末装置30の電波強度の測定、及び各端末装置30のトラフィック量の測定を行い、それらの情報をクラウドサーバ20に転送してもよい(ステップ302、303)。
【0058】
クラウドサーバ20は親機となるゲートウェイ10、中継機となるゲートウェイ10それぞれが取得した端末装置30の位置情報、端末装置30ごとの電波強度、及びトラフィック量に基づいてゲートウェイ10の配置をする必要があるか否かを確認する(ステップ305)。
【0059】
ここで、
図11に本実施形態にかかる無線端末管理テーブルの例を示す。例えば、
図11に示すようにゲートウェイ10が各端末装置30の電波強度及びトラフィック量が取得したものとする。このとき、例えば電波強度の強い端末装置30から順に並べ替える。並べ替えたときに、トラフィック量が上位の端末装置30から順に並んでいるかを確認する。トラフィック量が上位である端末装置30から順に並んでいれば(ステップ305のYES)、処理は完了する。
【0060】
図11の場合、端末装置30を電波強度の強い順から並べたとき、トラフィック量が上位である端末装置30から順に並んでいないことになる(ステップ305のNO)。このとき、クラウドサーバ20は親機となるゲートウェイ10と中継機となるゲートウェイ10の間の電波強度が閾値以上であるか確認する(ステップ306)。閾値は任意の値としてよい。親機となるゲートウェイ10と中継機となるゲートウェイ10との間の電波強度が閾値以上であるとき(ステップ306のYES)、各端末装置30のトラフィック量情報に基づいて、ゲートウェイ10の設置位置を算出する(ステップ307)。設置位置の算出方法は、実施形態2と同様であり、親機となるゲートウェイ10及び中継機となるゲートウェイ10それぞれについて算出する。
【0061】
親機となるゲートウェイ10と中継機となるゲートウェイ10との間の電波強度が閾値以下である場合(ステップ306のNO)、クラウドサーバ20は中継機となる新たなゲートウェイ10の設置を提案してもよい(ステップ308)。この手順を、
図12~14を用いて説明する。
図12~14は、本実施形態におけるゲートウェイ10と端末装置30の配置の例を示す図である。
【0062】
まず、クラウドサーバ20はゲートウェイ10との電波強度が最も強い端末を探索する。このとき探索する端末は、どのゲートウェイ10に接続している端末装置30でもよく、全ての端末装置30の中でゲートウェイ10との電波強度が最も強い端末装置30を探索する。
図12に示す場合、「端末4」が最も電波強度が強いものとする。「端末4」は「ゲートウェイ2」に接続されているため、「ゲートウェイ2」の設置位置を算出してもよい。
【0063】
次に、クラウドサーバ20は
図13に示す「ゲートウェイ1」の設置位置を算出する。クラウドサーバ20は、「ゲートウェイ1」の設置位置を算出する際に、「ゲートウェイ1」に接続されている端末装置30だけでなく、「ゲートウェイ1」に接続されている「ゲートウェイ2」も含めて算出する。すなわち、本実施形態では、「ゲートウェイ1」の最適な配置を算出する際は、「ゲートウェイ2」を1つの端末として扱ってもよい。
【0064】
最後に、
図14に示すように追加で中継機となるゲートウェイ10を配置する。このとき、最も電波強度の小さい端末装置30、すなわち「端末3」の近くに中継機となるゲートウェイ10を配置する。「端末3」は「ゲートウェイ2」に接続されているため、追加する中継機は「ゲートウェイ2」と「端末3」の中間に配置することとしてよい。
【0065】
クラウドサーバ20が算出したゲートウェイ10の設置位置は、ゲートウェイ10を経由して端末装置に送信してもよい(ステップ309)。算出したゲートウェイ10の設置位置は、
図14のような図として表示してもよい。
【0066】
ユーザが、クラウドサーバ20が算出したゲートウェイ10の設置位置の情報の取得を要求したとき、端末装置30から、例えばWeb画面を用いることによってゲートウェイ10アクセスし、算出したゲートウェイ10の設置位置を
図14のような図として表示できるようにしてもよい。
【0067】
本実施形態によれば、ゲートウェイ10と端末装置30ごとの電波強度、位置関係及び各端末装置30のトラフィック量を測定して、それぞれの情報に基づいて自動によりゲートウェイの設置位置や追加する位置を算出し、表示することができる。
【0068】
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、本開示を、ハードウェアを用いるものとして説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示における情報処理装置2は、例えば、無線中継装置3の設置位置の算出方法としての実施形態を備える。すなわち算出方法は、無線中継装置3に帰属する端末装置4のそれぞれについて、当該端末装置4と当該無線中継装置3間の電波強度情報と、当該端末装置4の位置情報と、当該端末装置4と当該無線中継装置3間のトラフィック量情報を取得するステップと、取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置3とのトラフィック量が他の端末装置4よりも多い端末装置4が当該他の端末装置4よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置3の設置位置を算出するステップを備える。
【0069】
上記の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0070】
上記プログラムは、無線中継装置3に帰属する端末装置4のそれぞれについて、当該端末装置4と当該無線中継装置3間の電波強度情報と、当該端末装置4の位置情報と、当該端末装置4と当該無線中継装置3間のトラフィック量情報を取得する処理と、取得された前記電波強度情報、前記位置情報及び前記トラフィック量情報に基づいて、前記無線中継装置3とのトラフィック量が他の端末装置4よりも多い端末装置4が当該他の端末装置4よりも電波強度が高くなるように、前記無線中継装置3の設置位置を算出する処理を情報処理装置2に実行させる無線中継装置3の設置位置算出プログラムである。
【0071】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 無線通信システム
2 情報処理装置
3 無線中継装置
4、30 端末装置
5 取得部
6 算出部
10 ゲートウェイ
20 クラウドサーバ