(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】回転補助型キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20221206BHJP
B67B 7/18 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D41/04 500
B67B7/18
(21)【出願番号】P 2021126304
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2017119942の分割
【原出願日】2017-06-19
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2017086555
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/113321(WO,A1)
【文献】特開2011-255920(JP,A)
【文献】特開2014-172649(JP,A)
【文献】特開2014-162534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
B67B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューキャップ本体に回栓方向のトルク伝達を補助する機能が付加形成された回転補助型キャップであって、
上記スクリューキャップ本体の外周面に配設されて基端から先端にかけて該外周面に沿うように延設された操作部と、
上記操作部の基端又は該基端の近傍に、該操作部と上記外周面とを連結すると共に、該操作部を回動可能に支持する第一ヒンジ部と、を備え、
前記操作部の剛性部先端に一端が連結され、他端が前記外周面上の第二ヒンジ部を介して連結され、前記第一ヒンジ部を支点として前記操作部の回動に伴って、上記剛性部先端と上記第二ヒンジ部との間に展張可能に構成される連結帯を有し、
上記操作部は、上記外周面に対して沿うように近接させた第一配位形態と、上記第一ヒンジ部を支点として上記操作部を回動させて、上記先端を上記外周面から離間させて拡径方向に展開した第二配位形態とへ遷移させ得るように構成されることを特徴とする回転補助型キャップ。
【請求項2】
前記操作部は、前記第一配位形態にあっては、前記スクリューキャップ本体が未開栓の場合に、前記外周面に対する同心円弧を形成して畳み込まれた形態を成し、
前記第二配位形態にあっては、前記スクリューキャップ本体を開栓する場合に、操作部の先端側が拡径方向に遷移した形態を成すことを特徴とする請求項1記載の回転補助型キャップ。
【請求項3】
前記連結帯は、展張時に前記第二ヒンジ部を接点とする、前
記外周面の略接線方向に延在するように構成されることを特徴とする請求項
1又は2記載の回転補助型キャップ。
【請求項4】
前記連結帯は、前記操作部が前記第一配位形態に在るとき、該操作部の周方向における延長状又は該操作部に重なるように反り返った、略C字形、略J字形、略L字形、略M字形、略N字形、略S字形、略U字形、略V字形、略W字形、略Z字形、略m字形、略n字形、略r字形、略逆V字形、略π字形、略Σ字形、略Y字形、略Ω字形、略く字形、略し字形、略つ字形、略て字形、略ひ字形、略へ字形、略ろ字形、略ん字形等から選択される何れかの屈曲状又はこれらの組合せから成る屈曲状の姿勢(非展張状態の姿勢)となるように構成されることを特徴とする請求項
1乃至3の何れかに記載の回転補助型キャップ。
【請求項5】
前記連結帯の肉厚が、
前記剛性部の肉厚に比して薄く設定されることを特徴とする請求項
1乃至
4の何れかに記載の回転補助型キャップ。
【請求項6】
前記操作部の前記基端から前記先端までを形成する前記剛性部は、該剛性部の前記基端側から更に延設されて延設部が形成され、
前記延設部が、前記操作部の回動時において前記外周面を押圧する作用点を成すように構成されることを特徴とする請求項
1乃至
5の何れかに記載の回転補助型キャップ。
【請求項7】
前記剛性部は、
前記基端に形成された前記作用点を前記外周面に接合したことを特徴とする請求項
6記載の回転補助型キャップ。
【請求項8】
前記スクリューキャップの半径方向に対し前記開栓方向へ傾斜して上記外周面に連結
した斜長偏向型ヒンジを備えたことを特徴とする請求項
6記載の回転補助型キャップ。
【請求項9】
前記操作部の内側の適宜部位には、
未使用時には該操作部の内側部と前記外周面とを連結し、且つ、使用時に
は断裂させ得る易断部を有することを特徴とする請求項1乃至
8の何れかに記載の回転補助型キャップ。
【請求項10】
前記操作部の内側の適宜部位と、この適宜部位が対向する前記外周面の対向部位には、それぞれ該操作部を前記外周面に対して着脱可能
に保持する嵌着部が設けられることを特徴とする請求項1乃至
9の何れかに記載の回転補助型キャップ。
【請求項11】
容器に対して回転可能に設けられる回転体本体に回栓方向のトルク伝達を補助する機能が付加形成された回転補助型回転体であって、
上記回転体本体の外周面に配設されて基端から先端にかけて該外周面に沿うように延設された操作部と、
上記操作部の基端又は該基端の近傍に、該操作部と上記外周面とを連結すると共に、該操作部を回動可能に支持する第一ヒンジ部と、を備え、
前記操作部の剛性部先端に一端が連結され、他端が前記外周面上の第二ヒンジ部を介して連結され、前記第一ヒンジ部を支点として前記操作部の回動に伴って、上記剛性部先端と上記第二ヒンジ部との間に展張可能に構成される連結帯を有し、
上記操作部は、上記外周面に対して沿うように近接させた第一配位形態と、上記第一ヒンジ部を支点として上記操作部を回動させて、上記先端を上記外周面から離間させて拡径方向に展開した第二配位形態とへ遷移させ得るように構成されることを特徴とする回転補助型回転体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器等に回転可能に設けられる回転体の回転補助を成す回転補助機構に関するものであり、特に、容器の口栓部(neck finish)に用いられ、回転によって開栓可能に構成された回転開栓式栓体、若しくは、回転向きによって開栓と閉栓を選択可能な内周面に螺旋構造を備えて成る開閉自在のスクリューキャップ(screw cap)の開栓を容易にするための回転補助機構に関するものであり、特に回転補助型キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器等に回転可能に設けられる回転体の一例としては、文房具として広く普及しているスティック糊を挙げることが出来る。スティック糊は、スティック糊本体の下端がカップに挿設され、このカップが筒状ケースに収容され、筒状ケースの一端を閉塞するように相対回転可能に配設される回転体を備え、この回転体の回転操作によってカップが軸方向移動可能に構成されて、この軸方向移動に伴ってスティック糊本体が筒状ケースの開口端から出没自在に構成されている。この種のスティック糊は、握力が殆ど無い者にとっては、手指等を引っ掛ける部分が無く、使用し辛いものであった。
【0003】
また、シャンプやリンス、トリートメント等の粘性流体洗剤、洗髪剤や液体洗剤等、或いは調味料や嗜好飲料や清涼飲料等の飲食物を封入した容器は、多くのユーザに利用されている。例えば、ジャム等の糖質を含む粘性流体用の容器として、ジャムの収容には広口のガラス瓶が用いられている。このガラス瓶の開閉には金属製で半径の大きなスクリューキャップが採用されて構成されていることが多い。しかしながら、スクリューキャップ機構を備えたジャム用等のガラス容器においては、粘性の高い糖質等が容器開口部と蓋との間に付着し易いことなどの理由から一度使用すると、半径の大きなスクリューキャップが採用されているにも拘らずその開閉には強力な力が必要になることが多いという問題があった。また、シャンプ等の粘性流体洗剤を封入して成る洗剤ボトルは、浴室や洗面所等の水場で使用されることが多く、内容物である洗剤を詰替える作業等をするに当たっては、濡れた手等ですることも少なくなく、手指が滑ってボトルの栓体を開栓することが困難になることがある。
【0004】
特許文献1には、不正開封防止でバージン部が瓶口部に残らないと共に、易破断部のブリッジを閉栓時に切れ難く開栓時に切れ易くするスクリューキャップの発明で、バージンキャップというものが知られている。このバージンキャップは、キャップ本体の開口部に、縦スリットを形成した筒状リングを易破断部と非破断連結部を介して連設し、近傍に凹状部又は凸状部を形成し、キャップ本体に凹状部又は凸状部の移動ストッパを設け、凹状部又は凸状部と非破断連結部とは、縦スリット両側に挟むように位置させるように構成されている。
【0005】
また、このバージンキャップは、瓶口部との螺合により筒状リングを瓶のビードに係合させると、キャップ閉栓時の縦スリットを広げる力が、直接若しくは横方向ブリッジを介しストッパーに働き、縦スリットが広がらず、キャップ本体と筒状リングとをつなぐ易破断連結部が切断しないように構成されている。更に、このバージンキャップは、キャップ本体を開栓方向に回転させると、キャップ本体と筒状リングとの易破断連結部は破断されるが非破断連結部は破断されずに、キャップ本体と筒状リングとが一緒に瓶口から外れるように構成されている。
【0006】
この他、特許文献1に開示されているだけでなく、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト製の樹脂ボトルに、スクリューキャップ機構を構成し、ポリエチレンやポリプロピレン製の樹脂キャップが螺合されるペットボトルが、飲料用として近年広く採用されている。殆どのペットボトルは、樹脂キャップの下部に細いブリッジで繋がるように、一体成型されたタンパーエビデントバンド(Tamper Evident Band、筒状リング、バージン部)を備えたタンパーエビデンス性(Tamper evidence)の容器である。
【0007】
タンパーエビデントバンドは、樹脂キャップを開栓方向に回転させても、ボトル側に拘束されて開栓方向に回転できない構造であり、初めて開栓するとき、それまで繋がっていたブリッジが切断される。しかも、タンパーエビデントバンドは、繋がっているか切れているかについて、消費者の肉眼で容易かつ明確に視認判別できるため、タンパーエビデンス性が確保される。タンパーエビデンス性とは、不正開栓防止、若しくはバージン性を保証する機能をいう。
【0008】
つまり、タンパーエビデントバンドが、樹脂キャップの下部にブリッジで繋がっていれば、未開封で内容物は品質保証されるが、逆にブリッジが切れていれば、開封済であり、最終消費者以外の何者かが開栓したものであれば、内容物の品質について、相当の配慮を要することを明示している。以下、この種の樹脂キャップも含めて、本件では「スクリューキャップ」の呼称で統一する。
【0009】
上述のように、スクリューキャップ機構は、ペットボトルを始めとするプラスチックボトルやガラス瓶等の容器における口栓部、即ち容器開口部に、ねじ式に開閉自在の蓋栓を構成するものである。このスクリューキャップ機構は、口栓部の外周面に螺旋状に形成された係合受部と、この係合受部に螺合されて、口栓部を開閉可能に構成されたスクリューキャップと、より構成されている。スクリューキャップは、内周面に係合部が形成された筒胴部と、その一端側を閉塞する閉塞部と、より構成されている。スクリューキャップ機構の口栓部を備えた容器は、その密閉性の高さと、繰り返しの開閉が可能であることから、広範囲の容器に採用されている。
【0010】
尚、ペットボトルのキャップ規格は、JIS、ISO、ASME等の国際規格では規定されていないが、飲料包装容器の業界団体が自主的に定めた任意規格(Voluntary Standard)で規定されている。この規格は「ネジ」のみを規定するものではなく、口栓部の形状全般に及ぶ。現在、国内で使用されている規格は、主にφ28mm径に対応する「Alcoa 1716規格」と「PCO 1810規格」が一般的である。いずれも、米国のCMAが制定すると共に管理している。
【0011】
ペットボトルにおいては、炭酸飲料等の収容物や容器内のガス空間等の温度上昇に伴う内圧上昇等に対応しなければならず高い密閉性が要求される。従って、ペットボトルの容器開口部のキャップには、確実な閉止力が必要とされる。これに対して、ペットボトルのキャップは、飲み易さを優先していることから、飲む人の口唇の大きさに関連して容器開口部の外径が小さく、自ずとキャップの外径も小さい。その結果、力のモーメントについては不利となるため、キャップの開栓に必要とされる開栓方向のトルクは相当に大きくなってしまう。
【0012】
特に、未開栓ペットボトルに対する初回の開栓の場合、スクリューキャップと、タンパーエビデントバンドとの一体連結部、即ち、ブリッジを破断するための回転トルクも必要となる。このような原因が相乗して、子供や女性、年配者や病人、或いは、身体的ハンディキャップ(Handicap)のある者にとっては、未開栓ペットボトルに対する初回の開栓ができないことがあるという問題や開栓後の開閉が困難であるという問題があった。
【0013】
このような従来のスクリューキャップ機構の問題に対応する物としては、例えば、特許文献2に開示されているような開栓補助具があった。それは、全体として閉曲線状を成し、内周面に滑り止めが形成された肉厚のゴムバンド様の開栓補助具である。この開栓補助具により、スクリューキャップの外周面を、ゴムバンド様部分の一部乃至全部に亘って包囲して滑り止め効果を発揮させながら締め付けることによって、ゴムバンド様部分の肉厚分だけスクリューキャップの回転半径を大きくすることによって、スクリューキャップの開閉に必要な力を小さくすることが出来るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2006-182357号公報
【文献】登録実用新案第3048082号公報
【文献】WO2009/113321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2のゴムバンド様の開栓補助具は、スクリューキャップの筒胴部を外周面から締め付けて使用するものである。そのため、スクリューキャップの内周面やこの内周面に形成された係合部が、容器開口部の外周面やこの外周面に形成された係合受部に強く締め付けられて摩擦力が増強し、反って開閉に必要な力が大きくなってしまうという不具合があった。特に、プラスチック製のスクリューキャップの場合、スクリューキャップの筒胴部が直径方向に変形し易いため、強く締め付けられて縮径した筒胴部が、容器開口部との摩擦力が著しく増大化した結果、スクリューキャップの開閉に必要な力が大きくなってしまうという難点があった。
【0016】
特許文献2のゴムバンド様の開栓補助具の問題に対応する物としては、例えば、特許文献3に開示されているようなスクリューキャップ回転補助機構(以下、「文献3の機構」、又は単に「機構」ともいう)があった。この機構は、スクリューキャップに設えられ、一端がスクリューキャップと一体的に回転する連結部と、この連結部に連結される回転補助部とを有し、未使用時や不使用時にはスクリューキャップの外面に近接的に位置し、回転時にはスクリューキャップから乖離させ、スクリューキャップと一体的に回転する大径部を作出し得る一方で、スクリューキャップの回転操作に必要とされる回転力を、より小さなものとすることが出来るように構成されている。
【0017】
この文献3の機構は、着脱自在であることから廉価で繰り返し使用が可能であり、ボトル製品と文献3の機構が例えば別売であるような商品形態(以下、「着脱自在型」ともいう)の場合、その別売の機構をボトル製品の最終消費者(より正確には開栓する者)等が、自分の手でスクリューキャップに装着して回転(開栓及び/又は閉栓)補助に供することが可能である。
【0018】
このような「着脱自在型」の機構は、スクリューキャップに対して嵌着される連結部が、ある程度弾性変形することによって、着脱が容易であるように構成されている。その理由として、開栓補助を必要とする人は手の力が弱いことによる。つまり、「着脱自在型」の機構が、別売品で後付けする必要がある場合、それを手の力の弱い人が入手したとしても、スクリューキャップに対して容易に装着できなければ、開栓補助の用をなさないからである。このように、装着が容易である機構は、外すことも容易であることが多い。
【0019】
他方、手の力が弱い最終消費者にとっては、別売による開栓補助の機構を、スクリューキャップに装着する手間を省きたいとの要望もある。そのため、ボトリング工場等において、予めスクリューキャップに装着したボトル製品を流通販売することも考えられる。その場合、スクリューキャップに一度嵌着された(以下、「嵌着状態」ともいう)後、そこから外すことなく、ボトル製品にあたかも一体化したような状態で最終消費者の手元まで流通させるような商品形態(以下、「一体化型」ともいう)が望まれる。このような「一体化型」の場合、ボトリング工場等から最終消費者の手元まで流通する途中で「嵌着状態」から外れないようにする工夫が必要である。更に、特許文献3の開栓補助機構は、レバー部における連結部の他端側がスクリューキャップの筒胴部から離間可能な自由端となっているが、連結部からレバー部の自由端に至るこれら一連が強度的に問題無いように構成されていても、使用者に心理的な強度不安を感じさせ得、場合によっては、心理不安を与えないように工夫することも望まれる。
【0020】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、容器等に回転可能に設けられる回転体の回転補助を成す回転補助機構を提供することにある。また、スクリューキャップの筒胴部に対し、ボトリング工程に近い段階で嵌着してボトル製品に一体化させてから流通させるような「一体化型」の商品形態に適するスクリューキャップ回転補助具を提供することにある。また、スクリューキャップ等の回転体に対して予め回転補助機構を設けて成る回転補助機構付き回転体、及び/又は回転補助機構付きスクリューキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の回転補助キャップは、スクリューキャップ本体に回栓方向のトルク伝達を補助する機能が付加形成された回転補助型キャップであって、上記スクリューキャップ本体の外周面に配設されて基端から先端にかけて該外周面に沿うように延設された操作部と、上記操作部の基端又は該基端の近傍に、該操作部と上記外周面とを連結すると共に、該操作部を回動可能に支持する第一ヒンジ部と、を備え、上記操作部は、上記外周面に対して沿うように近接させた第一配位形態と、上記第一ヒンジ部を支点として上記操作部を回動させて、上記先端を上記外周面から離間させて拡径方向に展開した第二配位形態とへ遷移させ得るように構成されることを特徴とする。
【0022】
また、前記操作部は、前記第一配位形態にあっては、前記スクリューキャップ本体が未開栓の場合に、前記外周面に対する同心円弧を形成して畳み込まれた形態を成し、前記第二配位形態にあっては、前記スクリューキャップ本体を開栓する場合に、操作部の先端側が拡径方向に遷移した形態を成すことを特徴とする。
【0023】
また、前記操作部の剛性部先端に一端が連結され、他端が前記外周面上の第二ヒンジ部を介して連結され、前記第一ヒンジ部を支点として前記操作部の回動に伴って、上記剛性部先端と上記第二ヒンジ部との間に展張可能に構成される連結帯を有することを特徴とする。
【0024】
また、前記連結帯は、展張時に前記第二ヒンジ部を接点とする、前記回転体の外周面の略接線方向に延在するように構成されることを特徴とする。
【0025】
また、前記連結帯は、前記操作部が前記第一配位形態に在るとき、該操作部の周方向における延長状又は該操作部に重なるように反り返った、略C字形、略J字形、略L字形、略M字形、略N字形、略S字形、略U字形、略V字形、略W字形、略Z字形、略m字形、略n字形、略r字形、略逆V字形、略π字形、略Σ字形、略Y字形、略Ω字形、略く字形、略し字形、略つ字形、略て字形、略ひ字形、略へ字形、略ろ字形、略ん字形等から選択される何れかの屈曲状又はこれらの組合せから成る屈曲状の姿勢(非展張状態の姿勢)となるように構成されることを特徴とする。
【0026】
また、前記連結帯の肉厚が、前記操作部の平均的な肉厚に比して薄く設定されることを特徴とする。
【0027】
また、前記操作部の前記基端から前記先端までを形成する前記剛性部は、該剛性部の前記基端側から更に延設されて延設部が形成され、前記延設部が、前記操作部の回動時において前記外周面を押圧する作用点を成すように構成されることを特徴とする。
【0028】
また、前記剛性部は、前記基端に形成された前記作用点を前記外周面に接合したことを特徴とする。
【0029】
また、前記スクリューキャップの半径方向に対し前記開栓方向へ傾斜して上記外周面に連結し、上記作用点までの長さを更に長く確保された斜長偏向型ヒンジを備えたことを特徴とする。
【0030】
また、前記操作部の内側の適宜部位には、未使用時には該操作部の内側部と前記外周面とを連結し、且つ、使用時には比較的容易に断裂させ得る易断部を有することを特徴とする。
【0031】
また、前記操作部の内側の適宜部位と、この適宜部位が対向する前記外周面の対向部位には、それぞれ該操作部を前記外周面に対して着脱可能に安定的に保持する嵌着部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、スクリューキャップの筒胴部に対し、ボトリング工程に近い段階で嵌着してボトル製品に一体化させてから流通させるような「一体化型」の商品形態に適するスクリューキャップ回転補助具を提供でき、また、使用者に対して心理的な強度不安を与えることなく、また、使用者による回転時における操作部への入力の殆どがスクリューキャップのトルクとして伝達されることで、より小さな入力にしてスクリューキャップの回転を可能とする使用感の良好なスクリューキャップ回転補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(以下、「本補助具」ともいう)を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して未開栓の状態を示す斜視図である。
【
図3】本補助具のベルトと、スクリューキャップと、両者の高さ関係を「嵌着状態」において説明するための一部透視した背面図である。
図3(A)は、基本的に平行な筒胴部で、その開口縁のみがわずかに広がるスクリューキャップに適用した本補助具の基本例(樽形膨張例)、
図3(B)は、頂部よりも底部の外径が大きい山形(正面視で台形)の筒胴部で、その開口縁にタンパーエビデントバンドを付随させたスクリューキャップに好適な固定爪を有する本補助具の変形例を、それぞれ示している。
【
図4】
図3と基本形状が同じスクリューキャップにおいて、筒胴部の中腹の外周面を同一高さで周回するように形成された溝に嵌着可能なベルトを備えた本補助具の変形例を示す背面図である。
図4(A)は樽形膨張例、
図4(B)は山形例をそれぞれ示している。
【
図5】
図3と基本形状が同じスクリューキャップに対し、筒胴部の全高さに亘って被覆し嵌着可能なベルトに、肉抜き穴を穿設した本補助具の変形例を示す背面図である。
図5(A)は樽形膨張例、
図5(B)は山形例をそれぞれ示している。
【
図6】
図1の本補助具を未使用状態で示しており、
図6(A)は全体平面図、
図6(B)は嵌着部近辺を拡大して示す要部拡大平面図である。
【
図7】
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図8】
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して未開栓の状態を示す正面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)の未使用状態を示した正面図である。
【
図11】
図10の本補助具を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11の本補助具を未使用状態で示した平面図であり、
図12(A)は基本形、
図12(B)は、変形例をそれぞれ示している。
【
図13】
図11の本補助具をスクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、
図14(A)は未使用状態の全体平面図、
図14(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図15】本発明の第4実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、
図15(A)は未使用状態の全体平面図、
図15(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図16】本発明の第5実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、
図16(A)は未使用状態の全体平面図、
図16(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図17】本発明の第6実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【
図19】本発明の第7実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、
図4と基本形状が同じ本補助具の下方縁部にスカートを延設した変形例を示す背面図である。
図19(A)は樽形膨張例、
図19(B)は山形例をそれぞれ示している。
【
図20】本発明の第8実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
【
図21】本発明の第9実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を説明する図であり、
図21(A)は未使用状態を示す下方から見上げた斜視図、
図21(B)はその正面図である。
【
図22】本発明の第10実施形態(
図11に示した第2実施形態の一体型)に係る回転補助型キャップ(以下、「本キャップ」ともいう)を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
【
図25】本発明の第11実施形態(
図14に示した第3実施形態の一体型)に係る回転補助型キャップ(これも、「本キャップ」と略す)を説明する図であり、
図25(A)は未使用状態の全体平面図、
図25(B)は開栓する最中を示す平面図である。
【
図26】本発明の第12実施形態(
図15に示した第4実施形態の一体型)に係る回転補助型キャップ(これも、「本キャップ」と略す)を説明する図であり、
図26(A)は未使用状態の全体平面図、
図26(B)は開栓する最中を示す平面図である。
【
図27】本発明の第13実施形態(
図16に示した第5実施形態の一体型)に係る回転補助型キャップ(これも、「本キャップ」と略す)を説明する図であり、
図27(A)は未使用状態の全体平面図、
図27(B)は開栓する最中を示す平面図である。
【
図28】本発明の第14実施形態(
図20に示した第8実施形態又は
図21に示した第9実施形態に対する変形例)に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を斜め下から見上げた斜視図である。
【
図29】
図28の本補助具を斜め上から見下した斜視図である。
【
図30】
図28の本補助具を軸回転させて右側面を見せた斜視図である。
【
図31】本発明の第15実施形態(
図29に示した第14実施形態に対する変形例)に係るスクリューキャップ回転補助具(これも、「本補助具」と略す)を斜め上から見下した斜視図である。
【
図32】
図31の本補助具を斜め下から見上げた斜視図である。
【
図33】
図28乃至
図30に示した第14実施形態に係る本補助具が、スクリューキャップに嵌着される様子を、3段階に分けて説明する正面図であり、
図33(A)は嵌着前の状態、
図33(B)は嵌着中の状態、
図33(C)は嵌着後の状態、をそれぞれ示す正面図である。
【
図34】
図31及び
図32に示した第15実施形態に係る本補助具が、スクリューキャップに嵌着される様子を、3段階に分けて説明する正面図であり、
図34(A)は嵌着前の状態、
図34(B)は嵌着中の状態、
図34(C)は嵌着後の状態、をそれぞれ示す正面図である。
【
図35】各実施形態別の操作部及び嵌環部の特徴等をまとめた一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本補助具について詳細に説明する。尚、各図に亘って、同一機能の部位等には同一符号を付して説明の重複を避ける。また、
図1乃至
図21、及び
図28乃至
図34に示す「スクリューキャップ回転補助具(本補助具)」と、
図22乃至
図27に示す「回転補助型キャップ(本キャップ)」と、を総称して「回転体の回転補助機構」と定義する。
[第1実施形態]
【0035】
図1は、本補助具を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
図1に示すように、本補助具100は、スクリューキャップ10に嵌環部50を被せて密嵌するように、操作部30を付設することにより、開栓方向Fのトルクを伝達容易にするものである。
【0036】
図2は、
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して未開栓の状態を示す斜視図である。
図2に示す様に、嵌環部50の内周面にはローレット29が縦縞状に刻設されている。このローレット29は、スクリューキャップ10の外周面18に縦縞状に刻設されたローレット19の凹凸に適合する。
【0037】
このように、嵌環部50と、スクリューキャップ10の外周面18とは、嵌着面相互のローレット19,29が一致するので密嵌可能であり、特に軸回転方向に滑らない。従って、操作部30から、嵌環部50、及びスクリューキャップ10の外周面18を介して、スクリューキャップ10に回転トルクを良好に伝達することが可能である。
【0038】
また、嵌環部50の外周を外周面18と同等機能を有する疑似外周面27(
図6、
図7、
図12乃至
図17)として、疑似外周面27に操作部30が配設されている。尚、本補助具100は、ボトリング製品が製造、流通、販売、及び消費される一連の工程における、より早い段階の工程でスクリューキャップ10に操作部30が嵌着されるものとして商品企画されることが好ましい。
【0039】
具体的には、何ら加工されていない一般的なスクリューキャップ10に、それとは別体の操作部30を、ボトリング(例えば、ペットボトルへの瓶詰)工場等の大量生産工程において、ボトリング工程の直後に後付けで嵌着することによって付加価値を高めるような商品企画が好ましい。この場合、本補助具100は、社会的承認に基づく標準規格として採用される可能性もある。
【0040】
図3は、本補助具のベルトと、スクリューキャップと、両者の高さ関係を「嵌着状態」において説明するための一部透視した背面図である。
図3(A)は、基本的に平行な筒胴部で、その開口縁のみがわずかに広がるスクリューキャップ、例えば、28φフィンロックキャップ(Fin lock cap)に適用した本補助具の基本例(樽形膨張例)、
図3(B)は、頂部よりも底部の外径が大きい山形(正面視で台形)の筒胴部で、その開口縁にタンパーエビデントバンドを付随させたスクリューキャップに好適な固定爪を有する本補助具の変形例を、それぞれ示している。尚、本発明の「嵌環部」はベルトで主要構成されており、スクリューキャップに対する嵌着や係合を説明する際には、略同様の意味に用いることがある。
【0041】
図3(A)に示す広がる開口縁のスクリューキャップ10と、
図3(B)に示す広がらない開口縁のスクリューキャップ(以下、「フィンロックキャップ」ともいう)9とは、本願出願時の日本国内において、どちらの形状のスクリューキャップも多数が普及している。尚、
図3(B)のフィンロックキャップ9にも、タンパーエビデントバンド12が付随しているが、
図3(A)では省略している。
【0042】
図3(B)に示すように、本補助具101を主要構成するベルト59の下縁には、筒胴部11から上方への離脱防止機構が設けられている。即ち、フィンロックキャップ9の開口縁に下側から係合可能な固定爪14が突設されている。一方、未開栓時のフィンロックキャップ9の下部に、タンパーエビデントバンド12が初期結合ブリッジ13を介して一体成型されている。フィンロックキャップ9は、その初期結合ブリッジ13の長さ分だけ隙間が空いているので、本補助具101(
図5(B)の本補助具111も同様)は、その隙間に固定爪14を係合可能にしている。
【0043】
その結果、本補助具101は、外れ易い山形勾配のスクリューキャップ9に対しても、「嵌着状態」から脱落することを防止する効果が高められる。つまり、閉栓前から山形であったものか、又は閉栓後に樽状に変形することのあるスクリューキャップの筒胴部に対し、ボトリング工程に近い段階で嵌着してボトル製品に一体化させてから流通させるよう
な「一体化型」の商品形態に適するスクリューキャップ回転補助具を提供できる。尚、固定爪14は、閉栓前から山形であったものか、又は閉栓後に樽状に変形することのあるスクリューキャップに限定するものではない。即ち、上方から下方までの直径が均等な筒胴部に対しても、その筒胴部から上方への離脱防止効果を発揮できる。
【0044】
図3に示すように、
図1及び
図2の本補助具100を背面視した嵌環部50は、大半が狭い幅Vのベルト59で構成されている。このベルト59は、その幅Vが、スクリューキャップ10の筒胴部11の高さHの1/2よりも狭く、その下側の全周が開口縁と平行に保持可能である。即ち、嵌環部50の平均高さは、筒胴部11の高さHの半分以下に設定され、嵌環部50の下端側がスクリューキャップ10の開口縁の近傍に配位可能に構成されている。
【0045】
図3(A)に示すフィンロックキャップ10は、一例として高さH=20.1mmである。この開口縁の近傍に嵌着するベルト59は、高さHの1/2よりも狭く、一例として幅V=5mmである。同様に、
図3(B)に示すスクリューキャップ9は、一例として高さH=13mmである。この下端に揃えて嵌着するベルト59は、下側の略全周をスクリューキャップ9の開口縁に一致させて嵌着可能である。その幅V=5mmであり、高さHの1/2よりも狭い。このように
図3で幅Vに示す均等領域については、
図8でも後述する。
【0046】
図3に示したスクリューキャップ9,10は、いずれもボトルの口栓部の雄ネジに螺着すると、その雄ネジに押されて拡径される。拡径の程度は、高さHの1/2近辺、つまり筒胴部11の中腹部が、上下端よりも顕著に膨張して樽状に変形する(
図3の差分X)。しかし、本補助具100,101のベルト59には、筒胴部11から上方への離脱防止機構が設けられている。即ち、筒胴部11の中腹部以下に形成されたくびれ部に嵌着される。このような離脱防止機構によって、「嵌着状態」から脱落することを防止できる。
【0047】
本補助具100,101は、高さHの1/2よりも狭いベルト59を主とする嵌環部50に操作部30を一体成型して配設したものである。本補助具100,101は、閉栓前から山形であったものか、又は閉栓後に樽状に変形することのあるスクリューキャップ9,10の筒胴部11に対し、その高さHの1/2、つまり筒胴部11の中腹部以下の括れた位置に、嵌環部50が嵌着されて、操作部30が固着される。
【0048】
図3(A)に示すように、本補助具100は、離脱防止機構として、嵌環部50が、上部から下部に向かってその肉厚が漸次厚くなるように設定されている。また、嵌環部50の内径は、上部から下部に向かって漸次狭くなるように設定されている。その結果、筒胴部11の中腹が樽形に拡径したスクリューキャップ9に対して嵌着した状態で、上向き方向の離脱を防止する離脱防止機構としての機能を発揮できる。
【0049】
その結果、スクリューキャップの筒胴部11に対し、開栓しようとする手指Mの力が余って、開栓トルク以外に上方向へ作用しても、嵌環部50が滑って脱落することもない。このように、本補助具100,101は、ボトリング工程の直後に近い段階において、帯状のベルトで確実に嵌着されてから流通するような商品形態に適し、ボトル製品の消費者が開栓しようとする手指の力で容易に脱落することなく、使い勝手の良いスクリューキャップ回転補助具を提供できる。
【0050】
図4は、
図3と基本形状が同じスクリューキャップにおいて、筒胴部の中腹の外周面を同一高さで周回するように形成された溝に嵌着可能なベルトを備えた本補助具の変形例を示す背面図である。
図4(A)は樽形膨張例、
図4(B)は山形例をそれぞれ示している。
図4(A)に示すように、本補助具102には、筒胴部から上方への離脱防止機構が設
けられている。即ち、凸条4を突設されたベルト60が、スクリューキャップ15の溝2に嵌着される。このような離脱防止機構によって、ユーザが意図しない脱落を防止する効果を高められる。
【0051】
図4に示す本補助具102は、筒胴部11の外周面を同一高さで周回するように形成された一本以上の溝1,2,3を有するスクリューキャップ15,16に嵌着可能である。
図4(A)は、筒胴部11の中腹に一本の溝2が刻設されたスクリューキャップ15に、本補助具102が嵌着された状態を示している。また、
図4(B)に示すように、本補助具102には、筒胴部から上方への離脱防止機構が設けられている。即ち、溝2の上下に平行かつ等間隔にそれぞれ一本ずつ合計三本の溝1乃至3が刻設されたスクリューキャップ16に、本補助具102が嵌着される。このような離脱防止機構によって、ユーザが意図しない脱落を防止する効果を高められる。
【0052】
本補助具102の主要部を構成するベルト60の内周面、即ち嵌着面には、溝1,2,3に対応する1条の凸条4が突設されている。尚、
図4に例示した溝1,2,3及び凸条4は、いずれも方形の断面であるが、不図示の半円形や三角形の断面でも構わない。また、本補助具102はポリエチレン等で一体成型されており、そのベルト60は凸条4が溝1,2,3に嵌入される程度に弾性変形可能である。
【0053】
尚、
図4(B)において、三本の溝1乃至3それぞれに嵌着された合計三つの本補助具102が示されているが、異なる三つの形態を一つの図面に併せて描いているに過ぎない。つまり、実際には上中下三箇所の溝1乃至3の何れか一箇所のみに本補助具102を一つつだけ嵌着して実用に供する。
【0054】
更に、
図4に示した溝1,2,3と凸条4との関係は逆であっても構わない。即ち、
図4に示した本補助具102におけるベルト60に凸条4が突設され、スクリューキャップ15,16に合計一本、又は三本の溝1乃至3が刻設されていたところを逆転させても良い。そのように逆転した場合、ベルト60に溝1乃至3が刻設され、スクリューキャップ15,16に凸条4が突設された構成となる。尚、逆転した場合の作用効果は、概ね同等であるため図示を省略する。
【0055】
図4を用いて説明したように、本補助具102は、離脱防止機構として、スクリューキャップ15,16に対して係合して高さ方向の離脱を防止する係合部が、嵌環部60の内側に、半径方向内側に向かって凸状、例えば凸条4が、周方向に連続的又は断続的又は部分的に設けられて、離脱防止機構を構成している。この離脱防止機構としての凸状、例えば凸条4は、スクリューキャップ15,16の
筒胴部の中間部及び/又は下端部に連続的又は断続的に設けられる周回上の係合受部に対して係合可能に構成されている。
【0056】
尚、
図3(B)に示した固定爪14については、嵌環部59の内側に、半径方向内側に向かって凸状、例えば固定爪14が、周方向に連続的又は断続的又は部分的に設けられて、離脱防止機構を構成している。この離脱防止機構としての凸状、例えば固定爪14は、スクリューキャップ9の
筒胴部11の中間部及び/又は下端部に連続的又は断続的に設けられる周回上の係合受部に対して係合可能に構成されている。特に、固定爪14は、係合部が、嵌環部59の下部に形成されている。
【0057】
図5は、
図3と基本形状が同じスクリューキャップに対し、筒胴部の全高さに亘って被覆し嵌着ベルトに、肉抜き穴を穿設した本補助具の変形例を示す背面図である。
図5(A)に示した本補助具110は、樽形のスクリューキャップ15に嵌着されている。このように樽形の外周に密嵌されていれば、筒胴部から上方へ離脱することが十分に防止される。
図5(B)に示した本補助具111は、山形のスクリューキャップ16に嵌着されてい
る。本補助具110と、本補助具111との相違点は、本補助具111の下縁に配設された固定爪14によって、外れ防止効果を高められている点である。この固定爪14については、
図3(B)を用いて上述したとおりである。
【0058】
図5(B)に示すように、本補助具111を主要構成するベルト61の下縁には、スクリューキャップ16の開口縁に下側から係合可能な固定爪14が突設されている。一方、未開栓時のスクリューキャップ16の下部に、タンパーエビデントバンド12が初期結合ブリッジ13を介して一体成型されている。スクリューキャップ16は、その初期結合ブリッジ13の長さ分だけ隙間が空いているので、本補助具101(
図3(B)の本補助具101も同様)は、その隙間に固定爪14を係合可能にしている。
【0059】
その結果、本補助具111は、外れ易い山形勾配のスクリューキャップ16に対しても、ユーザが意図しない脱落を防止する効果が高められる。尚、固定爪14は、閉栓前から山形であったものか、又は閉栓後に樽状に変形することのあるスクリューキャップに限定するものではない。即ち、上方から下方までの直径が均等な筒胴部に対しても、その筒胴部から上方への離脱防止効果を発揮できる。
【0060】
本補助具110,111の共通点は以下のとおりである。本補助具110,111は、スクリューキャップ15,16の外周面18を50%以上に亘って被覆する面積のベルト61を有している。しかも、このベルト61には、外周面18の20%以上を露出する肉抜き穴62が穿設されている。このように広い面積で、しかも面積比率の大きな肉抜き穴62の開いたベルト61は、スクリューキャップ15,16の外周面18に対するグリップが良好である。従って、本補助具110,111からスクリューキャップ15,16に対し、開栓トルクが良好に伝達されるのみならず、外れにくいという長所がある。更に、面積比率の大きな肉抜き穴62の分だけ材料節約の効果もある。更に、デザインも優れている。このように、ベルト61を主とする嵌環部には、表裏に貫通する肉抜き穴62が設けられているが、この肉抜き穴62は非貫通でも構わない。
【0061】
図6は、
図1の本補助具を未使用状態で示しており、
図6(A)は全体平面図、
図6(B)は嵌着部近辺を拡大して示す要部拡大平面図である。
図6(A)に示すように、操作部30は、スクリューキャップ10の外周面18に基端用ヒンジ21を介して直接又は間接的に接続可能である。操作部30は、その基端31から先端32にかけて弓状又は曲板状に延設されている。尚、基端用ヒンジ21は、本発明でいう「第一ヒンジ部」に該当する。
【0062】
基端用ヒンジ21は、操作部30の基端31又は基端31の近傍が外周面18の一部に対して折り曲げ回動可能に接続するように形成されている。また、操作部30は、基端31,41から先端32,42までの長さLが、外周面18の全周の長さπDに対して1/4以上(勿論、これに限定されるものではない。)である。尚、πは円周率、Dはスクリューキャップ10の直径である。スクリューキャップ10の直径Dについて、より詳しくは、外周面18のうちローレット19が形成された筒胴部11の直径Dをノギス等で計測した最大値を採用すれば、比較的容易かつ正確に定義できる。
【0063】
図6に示すように、操作部30の基端31から先端32までのレバー33の長さLは、中心角α+βに相当する。中心角α≒90°、β≒10°であり、中心角α+β≒100°である。この設定から、レバー33の長さLは、外周面18の全周の長さπDに対して1/4以上であることが示されている。
【0064】
尚、
図8及び
図9に示したスクリューキャップ10の高さHに対して、上から40%近辺で直径Dが最大値となっているが、スクリューキャップ10をペットボトル本体の口栓
部に螺着することで、初めて膨らんだ結果である。従って、未閉栓のスクリューキャップ10の直径Dは、
図8及び
図9のものよりも、膨らみがない分だけ、実際には小さい。
【0065】
本補助具100の操作部30は、基端31から先端32までを単一の剛性体によるレバー33で構成されている。また、操作部30の先端32には、レバー33の1/20以上(勿論、これに限定されない。)の長さに、円弧と逆方向の反り返し部34が形成されている。
【0066】
図6に示すように、操作部30の反り返し部34の長さJは、中心角β≒10°(勿論、これに限定されない。)に相当する。また、レバー33の長さLは、中心角α+β≒100°(勿論、これに限定されない。)である。この設定から、操作部30の先端32には、レバー33の11倍(1/20以上)の長さに、円弧と逆方向の反り返し部34が形成されている。
【0067】
図7は、
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。操作部30は、
図1乃至
図6に示した第一配位形態と、
図7に示した第二配位形態にそれぞれ維持するか、又は第一配位形態から第二配位形態へと遷移させることが適宜に可能である。また、
図1、
図6及び
図7において、ベルト59の肉厚を薄いNと、厚いSと、場所別に差異を設けてある。即ち、ベルト59の均等領域は、薄い肉厚Nに形成され、均等でない領域は、厚い肉厚Sで頑丈にして、基端用ヒンジ形成部51が形成されている。尚、斜視図では大小関係まで必ずしも明示していない。基端用ヒンジ形成部51には、基端用ヒンジ21が立設され、それらと一体成型によるレバー33が連設されている。更に、基端用ヒンジ形成部51の幅Wが、均等領域の幅Vより軸方向に広く拡幅領域として形成されていることについては、
図8を用いて後述する。
【0068】
尚、本補助具100の操作部30に回転トルク(開栓方向F)を付与するとき、使用者は指先Mに限らず、口腔や歯、顎や物の角を利用しても行うことができる。このように、容器に対するスクリューキャップ10の操作が苦手な人にとっては、その操作が極めて容易となる。そればかりか、若者にとっても、一つのファッションとして利用される可能性の高い製品である。
【0069】
第一配位形態は、スクリューキャップ10が未開栓の場合に、外周面18に対する同心円弧(以下、単に「円弧」ともいう)24(
図6)を形成して畳み込まれた形状である。第二配位形態は、スクリューキャップ10を開栓する場合に、先端32又は先端32に近い位置が拡径方向Eに展開した形状である。
【0070】
また、第一配位形態で、開栓操作する人の手指Mにより先端32又は先端32に近い位置に対し、開栓方向Fのトルクを付与した場合に、手指Mが開栓方向Fへ滑り難い形状の第二配位形態へと変形する。尚、第二配位形態のレバー33を縮径方向Kに押して畳み込めば第一配位形態へと柔軟に戻すことができる。
【0071】
図6に示すように、本補助具100のレバー33の先端32近傍で外周面18方向に対面する面に凹部38が設けられている。これと対面する位置の外周面18に直接に、又はそれと同等機能を有する疑似外周面27が有ればそこに、凸部28が設けられている。これら凸部28と凹部38とは嵌脱自在の嵌着部8を構成している。この嵌着部8は、嵌着して第一配位形態を維持可能であると共に、第一配位形態から第二配位形態へと変形する場合には離脱可能である。このように、操作部30の内側の適宜部位と、この適宜部位が対向する疑似外周面27の対向部位には、それぞれ操作部30を疑似外周面27に対して着脱可能に安定的に保持する嵌着部8が設けられている。
【0072】
ボトル内容物に対する消費者が、初めての開栓時に、操作部30を、第一配位形態から拡径した第二配位形態へと変形する。消費者の利用形態によっては、拡径した第二配位形態から縮径して第一配位形態へ戻した方が都合よい場合もある。その場合に、嵌着部8が有益に奏功する。2度目以降の開栓時には、嵌着部8を外し、閉栓時には嵌着部8を嵌着する。尚、嵌着部8は、柔軟に成形されていることもあって、その利用形態は消費者の自由である。
【0073】
図6(B)に示すように、嵌着部8を構成する凸部28と凹部38とは、わざと係合する位置に寸法差を設定しているので、レバー33の外周側から多少の圧力を加えることにより、基端用ヒンジ21及びレバー33の変形量で寸法差を吸収して両者を係合させる。凸部28と凹部38とは、寸法差を設定しているので、凸部28の先端に初期結合ブリッジ81を配設しても、嵌着部8の係合を妨げないばかりか有益に作用する。
【0074】
この初期結合ブリッジ81は、未使用時には安定的に操作部30を繋ぎ留めて保持する構成である。また、本補助具100を始めて使用するとき、初期結合ブリッジ81は、容易に断裂するように極細に構成されている。また、断裂した初期結合ブリッジ81の断裂片が、凸部28の突端に残る構造であれば、凸部28の一部として凹部38に係合する機構としても活かすこともできる。
【0075】
図8は、
図1の本補助具をスクリューキャップに嵌着して未開栓の状態を示す正面図である。
図9は、
図8の本補助具を示す左側面図である。
図8及び
図9に示すように、嵌環部50は、ベルト59により主要構成されている。
【0076】
ベルト59の幅Vは、スクリューキャップ10の筒胴部11の高さHよりも狭い。ベルト59の途中には、基端用ヒンジ形成部51が特設されている。基端用ヒンジ形成部51の幅Wは、筒胴部11の高さHよりも狭いが、ベルト59の幅Vより広い拡幅部が形成されている。即ち、基端用ヒンジ形成部51は嵌環部50の平均高さよりも軸方向の長さが長く設定された拡幅部を有する。基端用ヒンジ形成部51には、
図6及び
図7に示した基端用ヒンジ21が立設されている。基端用ヒンジ形成部51の肉厚Sは、ベルト59の均等領域の肉厚Nよりも厚く丈夫に形成されている点も、第1実施形態の本補助具100,101と同様である。
【0077】
図1乃至
図9に示すように、第1実施形態に係る本補助具100は、一般的なスクリューキャップ10とは別体の操作部30を、キャップメーカ、ペットボトルメーカ、ボトリング工場、流通業者、小売店等で後付け加工する利用法が好ましい。
【0078】
また、本補助具100は、疑似外周面27に操作部30を配設している。その他、スクリューキャップ10と、それに密嵌する嵌環部50と、両者の嵌着面相互でローレット19,29が一致する。また、未開栓状態では、第一配位形態に維持されている。第一配位形態にでは操作部30を形成するレバー33が、縮径方向Kに畳み込まれており、第二配位形態では、それが拡径方向Eに展開する。
【0079】
初めての開栓時には、操作部30が、第一配位形態から拡径した第二配位形態へと変形し、梃子の原理による大きな力のモーメントの作用で開栓を容易にする。従って、本補助具100は、手指M、操作部30、及び嵌環部50からスクリューキャップ10へと回転トルクを良好に伝達することが可能である。
【0080】
本発明によれば、スクリューキャップの筒胴部に対し、ボトリング工程に近い段階で嵌着してボトル製品に一体化させてから流通させるような「一体化型」の商品形態に適するスクリューキャップ回転補助具を提供できる。つまり、スクリューキャップを開栓する人
の手指の力が弱くても、回転半径を広げた本補助具によりモーメントを増大するので、スクリューキャップの開栓に必要なトルクを確実かつ容易に付与することが可能である。特に、閉栓前から山形であったもの又は閉栓後に樽状に変形するスクリューキャップに用いることが好適である。
【0081】
また、本補助具100は、疑似外周面27(
図6)に操作部30を配設している。そのほか、スクリューキャップ10と、それに密嵌する嵌環部50と、両者の嵌着面相互でローレット19,29が一致する。また、未開栓状態では、第一配位形態に維持されている。第一配位形態にでは操作部30を形成するレバー33が、スクリューキャップ10とは別体の疑似外周面27に基端用ヒンジ21が立設されている。
【0082】
ここで、本発明の要点を説明する。
図1乃至
図9の何れかで示した第1実施形態に係る本補助具100,101等は、スクリューキャップ9,10等に開栓方向Fのトルクを伝達するものである。本補助具100,101等は、嵌環部50と、操作部30と、ヒンジ部(基端用ヒンジ21)と、を備えて構成されている。
【0083】
嵌環部50は、スクリューキャップ9,10等の外周面18に嵌着可能で、その外周面18に対して周方向の空転を防止する空転防止部、例えばローレット19,29が形成されている。その空転防止部(ローレット19,29)は、嵌着部である両者の内外周面にそれぞれ設けられて係合可能である。
【0084】
レバー33等により形成された操作部30は、嵌環部50の外周をスクリューキャップ9,10等の外周面18と略同等の機能を有する疑似外周面として機能することが可能である。即ち、操作部30(レバー33等)は、基端31から先端32にかけて疑似外周面27に沿うように延設されている。このように、操作部30(レバー33等)は、嵌環部50の外周を形成する疑似外周面27に配設されている。
【0085】
ヒンジ部(基端用ヒンジ21)は、操作部30(レバー33等)の基端31又は基端31の近傍に、操作部30と疑似外周面27とを連結すると共に、操作部(レバー33等)を回動可能に支持する。
【0086】
更に、嵌環部50には、スクリューキャップ9,10の筒胴部11からの離脱を防止する離脱防止機構(一例として、固定爪14等)が形成されている。また、操作部30(レバー33等)は、第一配位形態と、第二配位形態と、にそれぞれ維持するか、又は遷移させることが可能に構成されている。
【0087】
この第一配位形態は、疑似外周面27に対して沿うように近接させた形態である。また、第二配位形態は、ヒンジ部(基端用ヒンジ21)を支点として操作部30(レバー33等)を回動させ、先端32が疑似外周面27から離間するような拡径方向に展開した形態である。
【0088】
本補助具100は、以上説明したような構成により、次のような効果も得ることができる。
<1>操作部30を嵌環部50に沿うように畳んだ第一配位形態においては、嵌着部8を構成する凸部28と凹部38とが互いに離脱し難くなる向きに付勢力が生じる。その結果、嵌着部8の係合状態を保持する力が向上し、装着時や保管時、運搬時、陳列時、鞄やポケット等に対する収容時、自動販売機等に対する収容時や動作時における意図しない離脱を抑制することができる。
【0089】
<2>使用後には、操作部30を再び嵌環部50に近づけ、多少の圧力を加えれば、嵌着
部8を「パチッ」という心地良い衝撃音を伴って係合させることができる。このとき、使用者は多少の力を入れて押し込む必要があり、両者が係合する際には、適度なクリック感が得られる。このために両者の係合状態を、手指Mへの抵抗感と音で確認でき、使用者は安心して使用することができる。
【0090】
<3>嵌着部8を離脱させる場合も同様であり、その手指Mに伝わる軽い衝撃が快感となるので、より高い商品価値を提供することができる。
【0091】
<4>初期結合ブリッジ81は、装着時や保管時、運搬時、陳列時、鞄やポケット等に対する収容時、自動販売機等に対する収容時や動作時における意図しない離脱を防止することができる。更に、初期結合ブリッジ81は、未使用か使用済みかを判別することができる。
【0092】
<5>特に、嵌着部8を構成する凸部28と凹部38とは、係合に関連して寸法差、又は位置差が設定されている。このため、初期結合ブリッジ81の設定位置を凸部28の突端に設定することができる。その結果、未使用時には、安定的に操作部30を嵌環部50に沿わせて、概ね円く保持する。また、使用時には、初期結合ブリッジ81を容易に断裂させることができる。なお、初期結合ブリッジ81は、本発明でいう「易断部」を意味する。ここで、断裂した初期結合ブリッジ81の断裂片を凸部28の突端に残る構造であれば、凸部28の一部として凹部38に係合する機構としても活かすことができる。
【0093】
<6>初期結合ブリッジ81があれば、嵌着部8を構成する凸部28を凹部38に予め係合するという、出荷前に無くしたい加工工程を一つ削減できる。
【0094】
<7>また、使用時には、設定値以上の外力を操作部30に与えて初期結合ブリッジ81を断裂させる。この断裂の感覚によって、本補助具100が未使用であることを確認することができる。特に、嵌環部50が容器のスクリューキャップの筒胴部を成す一体型の場合には、この断裂の感覚によって、スクリューキャップが未開栓であることを確認することができる。初期結合ブリッジ81には、タンパーエビデンス性も期待できる。
【0095】
以下、
図10乃至
図13を用いて、第2実施形態を説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るスクリューキャップ回転補助具(本補助具)の未使用状態を示した正面図である。
図11は、
図10の本補助具を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
図12は、
図11の本補助具を未使用状態で示した平面図であり、
図12(A)は基本形、
図12(B)は、変形例をそれぞれ示している。
図13は、
図11の本補助具をスクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
【0096】
図10乃至
図13に示すように、第2実施形態に係る本補助具200も、一般的なスクリューキャップ10とは別体の嵌環部50を、キャップメーカ、ペットボトルメーカ、ボトリング工場、流通業者、小売店等で後付け加工する利用法である。
【0097】
また、本補助具100と本補助具200とは、疑似外周面27に操作部40を配設している点も同様である。その他、スクリューキャップ10と、それに密嵌する嵌環部50と、両者の嵌着面相互でローレット19,29が一致する点も同様である。また、未開栓状態では、第一配位形態で維持されている。
【0098】
また、第一配位形態は、スクリューキャップ10が未開栓の場合に、その外周面18に対する同心円弧25を形成して畳み込まれた形状である。第二配位形態は、スクリューキャップ10を開栓する場合に、先端42に近い位置43,44が拡径方向E(
図13)に
展開した形状である。また、先端42に近い位置43に、初期結合ブリッジ82を配設し、未使用時には安定的に操作部40を疑似外周面27に繋ぎ留めて保持する構成である。初期結合ブリッジ82の機能については、第1実施形態において説明した通りである。
【0099】
図12(A)に示す第一配位形態では操作部40が、縮径方向K(
図13)に畳み込まれており、
図13に示す第二配位形態では、それが拡径方向Eに展開する。初めての開栓時には第一配位形態から第二配位形態へと変形し、拡径効果による大きなモーメントの作用で開栓を容易にする点も同様である。従って、本補助具200も本補助具100と同様に、手指M、操作部40、及び嵌環部50からスクリューキャップ10へと回転トルクを良好に伝達することが可能である。
【0100】
操作部40も、基端41から先端42までの長さが、外周面18の全周の長さπDに対して1/4以上(勿論、これに限定されない。)である。ここでは、弧の長さをそれぞれの中心角で比較する。
図12に示すように、操作部40も、基端41から先端42までの長さは、折り返し分を足し合わせるので、中心角θ
1+2・θ
2に相当する。中心角θ
1≒90°、θ
2≒30°であり、中心角θ
1+2・θ
2≒150°である。この設定から、基端41から先端42までの長さが、外周面18の全周の長さπDに対して1/4以上(勿論、これに限定されない。)であることを示されている。
【0101】
尚、
図12には、操作部40の嵌環部50がスクリューキャップ10に嵌着されていない状態を示しているため、スクリューキャップ10外周面18が明示されていない。しかし、その点については、
図13によりスクリューキャップ10に嵌着されている状態を明示しているので、容易に推定できる。
【0102】
更に、
図12から明らかなように、基端41から第二節44までの長さは、先端42から第一節43までと、第一節43から第二節44までの長さと、を足した長さよりも長い。ここでも、弧の長さをそれぞれの中心角で比較する。基端41から第二節44までの長さは、中心角θ
1に相当する。同様に、先端42から第一節43までと、第一節43から第二節44までの長さは、どちらも中心角θ
2に相当する。中心角θ
1≒90°、中心角θ
2≒30°、である。ここで、中心角θ
1≒90°>中心角θ
2・2≒60°、である。この設定から、基端41から第二節44までの長さは、先端42から第一節43までと、第一節43から第二節44までの長さと、を足した長さよりも長い。
【0103】
以下、第2実施形態に係る本補助具200の特徴的構成のみを説明する。本補助具200は、基端用ヒンジ21から離れた外周面18の一部に先端42を回動自在に接続する先端用ヒンジ22が更に配設されている。尚、先端用ヒンジ22は、本発明でいう「第二ヒンジ部」を意味する。また、先端42に近い方から順に、それぞれ屈曲と伸展が可能な第一節43と、第二節44と、が形成されている。尚、先端42から第二節44までの柔軟な帯状部について、本発明でいう「連結帯」を意味する。勿論、連結帯は、必ずしも全体が柔軟でなければならないというものではなく、屈曲伸展が可能に構成されていればよく、剛性の部分を含んでいてもよいことはいうまでもない。
【0104】
前記連結帯は、前記操作部が前記第一配位形態に在るとき、該操作部の周方向における延長状又は該操作部に重なるように反り返った、略C字形、略J字形、略L字形、略M字形、略N字形、略S字形、略U字形、略V字形、略W字形、略Z字形、略m字形、略n字形、略r字形、略逆V字形、略π字形、略Σ字形、略Y字形、略Ω字形、略く字形、略し字形、略つ字形、略て字形、略ひ字形、略へ字形、略ろ字形、略ん字形等から選択される何れかの屈曲状又はこれらの組合せから成る屈曲状の姿勢(非展張状態の姿勢)となるように構成される。
【0105】
また、基端41から第二節44までは、スクリューキャップ10の半径方向にも厚く形成することにより剛性を確保し、先端42から第二節44までは、薄く形成することにより柔軟性が確保されている。これらの屈曲と伸展は、第一配位形態と、第二配位形態とによって区別される。即ち、第一配位形態では、第一節43が略U字形に屈曲していると共に、第二節44が直線的に進展している。また、第二配位形態では、第一節43が直線的に進展すると共に、第二節44が屈曲する。
【0106】
また、第一配位形態で、開栓操作する人の手指Mにより先端42又は先端42に近い位置43,44(第一節43、第二節44)に対し、開栓方向Fのトルクを付与した場合に、手指Mが開栓方向Fへ滑り難い形状の第二配位形態へと変形する。尚、第二配位形態の第一節43、第二節44を縮径方向Kに押して畳み込めば第一配位形態へと柔軟に戻すことができる。
【0107】
このように先端用ヒンジ22によって、嵌環部50と操作部40とを基端用ヒンジ21以外の箇所で互いを連結し安定的に固定していることにより、嵌環部50と操作部40とは一体となっている。そのため、未使用時の操作部40が、自動販売機や鞄の内部、あるいは保管時、運搬時等に意図せずして回動したり、引っ掛かったりする不具合も予防される。尚、嵌環部50において、先端用ヒンジ22が配設された箇所の肉厚Sは、ベルト59の均等領域の肉厚Nよりも厚く丈夫に形成されている。その点は、基端用ヒンジ形成部51と同様である。
【0108】
ここで、第2実施形態に係る発明の要点を説明する。
図11乃至
図13に示した本補助具200は、操作部40が剛性部と、連結帯と、を有して構成されている。剛性部は、操作部40の基端41から第二節44までの比較的高剛性のレバー形状体である。また、本発明でいう連結帯は、上述のように、操作部40の先端42に近い方から順に、それぞれ屈曲と伸展が可能な第一節43と、第二節44と、を有して柔軟な帯状部である。
【0109】
その連結帯は、操作部40の剛性部先端(第二節44)には一端が連結され、他端が嵌環部50の疑似外周面27上の適宜部位(先端42)である連結部(先端用ヒンジ22)に連結されて構成される。更に、その連結帯は、ヒンジ部(基端用ヒンジ21)を支点として操作部40を回動に伴って、操作部40の剛性部先端(第二節44)と連結部(先端用ヒンジ22)との間に展張可能に構成されるものである。
【0110】
本補助具200の連結帯は、操作部40が第一配位形態に在るとき、操作部40の周方向における延長状又は操作部40に重なるように反り返った、略U字形の姿勢となるように構成される。
図12に示すように、本補助具200の連結帯、即ち先端42から第二節44までの柔軟な帯状部は、その肉厚が、操作部40の平均的な肉厚に比して薄く設定することが出来る。
【0111】
また、
図12(A)に示した基本形に対し、
図12(B)に示す変形例は、第一節43を畳んだ第一配位形態において、円弧25とは逆方向の反り返しを設けることにより、ユーザの手指が掛かり易く構成されている。この点についても、
図6に示した本補助具100が、円弧24と逆方向に反り返し部34が形成されている構成と同様である。
【0112】
そして、本補助具200を始めて使用する時には、設定値以上の外力を操作部40に与えて初期結合ブリッジ82を断裂させる。この断裂の感覚によって、本補助具200が未使用であることを確認することができる。つまり、初期結合ブリッジ82には、タンパーエビデンス性を持たせ得、その役割を果たさせることが出来る。
【0113】
尚、本補助具200の操作部40を、上述したように形状の異なるベルト60,61と
組み合わせても良い。上述のベルト60は内周面に凸条4を配設したものであり、上述のベルト61は幅広く、肉抜き穴62が穿設されているものである。更に、ベルト59,61の下縁に固定爪14を配設したものであっても良い。
【0114】
[第3実施形態]
次に、
図14を用いて、第3実施形態を説明する。
図14は、本発明の第3実施形態に係る本補助具を説明する図であり、
図14(A)は未使用状態の全体平面図、
図14(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
図14に示す本補助具300は、
図6及び
図7に示した第1実施形態に係る本補助具100のレバー33を基端31から長く延設したものである。即ち、本補助具300は、基端31がヒンジ21から離れ、その離れた位置に作用点37が形成される。その結果、本補助具300は、本補助具100よりも少ない力で開栓することが可能となる。より詳しくは、以下のとおりである。
【0115】
図7に示した第1実施形態に係る本補助具100の場合、開栓する際に加える手指Mの力の一部は、基端31が疑似外周面27をスクリューキャップ10の中心Oへ向けて法線方向に押圧する反面、ヒンジ21を引き抜くように中心Oから離す法線方向に作用する。そのため、手指Mの力の全てが開栓方向Fの開栓トルクに作用する訳ではなく、ロスが生じるので、その分だけ大きな力が必要となるので幾分か不利に作用する。
【0116】
これに対し、
図14に示した本補助具300は、ヒンジ21から離れた位置に作用点37を設けることにより、本補助具100で無駄に浪費された法線方向の分力が減少するので、開栓する際に加える手指Mの力を開栓方向Fの開栓トルクとしてより効率良く作用させることが可能となる。その結果、本補助具300は、本補助具100よりも少ない力で開栓することが可能となる。尚、ヒンジ21から作用点37までの長さは、嵌環部50の中心角γ≒45°に設定したものを例示しているが、これに限らず中心角γ≦90°であれば良い。
【0117】
[第4実施形態]
次に、
図15を用いて、第4実施形態を説明する。
図15は、本発明の第4実施形態に係る本補助具を説明する図であり、
図15(A)は未使用状態の全体平面図、
図15(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
図15に示す本補助具400は、
図14に示した第3実施形態に係る本補助具300のレバー35の作用点39を更に長く延設すると共に、その作用点39を疑似外周面27に接合したものである。尚、ヒンジ21から作用点39までの長さは、嵌環部50の中心角δ≒90°に設定したものを例示しているが、これに限らず中心角δ≦90°であれば良い。
【0118】
本補助具400は、ヒンジ21から作用点39までの形状が、
図15(A)に示す未使用状態と、
図15(B)に示す開栓する最中と、わずかに曲率が変化する程度であり大差ないので、細く薄く簡素な構成であっても、使用に伴う変形応力に対して機構的に堅牢である。また、ヒンジ21から作用点39までの長さを相当に確保されていることの作用効果は、第2実施形態に係る本補助具300と同等以上である。即ち、本補助具400も、本補助具100より少ない力で開栓することが可能となる。
【0119】
[第5実施形態]
次に、
図16を用いて、第5実施形態を説明する。
図16は、本発明の第5実施形態に係る本補助具を説明する図であり、
図16(A)は未使用状態の全体平面図、
図16(B)スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
図16に示す本補助具500は、
図14に示した第2実施形態に係る本補助具300のヒンジ21を約2倍に延設し、レバー35の先端32の方向へ近づけて斜めに偏向させて疑似外周面27に接合
した斜長偏向型ヒンジ23に置換したものである。
【0120】
第5実施形態に係る本補助具500は、斜長偏向型ヒンジ23から作用点37までの長さを、第2実施形態に係る本補助具300のヒンジ21から作用点37までの長さよりも、更に長く確保できる。従って、第5実施形態に係る本補助具500の作用効果は、第2実施形態に係る本補助具300と同等以上である。即ち、本補助具500も、本補助具100,300より少ない力で開栓することが可能となる。
【0121】
[第6実施形態]
次に、
図17及び
図18を用いて、第6実施形態を説明する。
図17は、本発明の第6実施形態に係る本補助具を説明する図であり、スクリューキャップに嵌着して開栓する最中を示す平面図である。
図18は、
図17の本補助具の未使用状態を示す斜視図である。
図17及び
図18に示す本補助具600は、
図6及び
図7に示した第1実施形態に係る本補助具100のベルト59を円周方向に対して約10分割に区分し、円周方向に沿った区分毎に薄肉部Pを交互に設けたベルト70を有するものである。
【0122】
この本補助具600は、ベルト70を無理に大きく拡径した場合であっても、薄肉部Pで無理なく伸長して拡径調整することができる。尚、ここで10分割に区分することは一例に過ぎず、12分割でも良好な結果が得られ、例えば、2乃至20分割の何れかでも構わない。この薄肉部Pが有る無しの場合に分けた作用効果について、以下に対比説明する。薄肉部が無い場合は、
図3(A)に示した第1実施形態に係る本補助具100を例示する。それに対し、薄肉部がある場合は、
図17及び
図18示した第6実施形態に係る本補助具600で例示する。
【0123】
図3(A)に示した第1実施形態に係る本補助具100は、スクリューキャップ10の筒胴部11において、その中腹の樽形に拡径した差分Xが甚だしく過大である場合、筒胴部11の中腹を嵌環部50が無理に通過するように嵌着すると、ベルト59の拡径方向への拡径適応可能な限界を超えてベルト59が切断する不具合もあった。
【0124】
これに対し、
図17及び
図18に示す本補助具600であっても、スクリューキャップ10の筒胴部11の中腹が樽形に拡径した差分Xが甚だしく過大である場合、ベルト70を大きく拡径するような伸長応力が強く加わる。この薄肉部Pは、そうでない大部分の肉厚Nや、基端用ヒンジ形成部51の肉厚Sよりも約20%薄肉の肉厚P(符号を兼用)に構成されている。
【0125】
また、嵌環部50とスクリューキャップ10とを空転させずに共回りさせるため、軸方向に延びるリブ(ローレット19)又はローレット29が、全周に設けられている。これにより、嵌環部50の内周面は、スクリューキャップ10の筒胴部11の外周面18に係合し、空転させずに共回りさせることが可能である。
【0126】
このリブ又はローレット19,29が形成されない薄肉部Pが少なくとも一箇所以上、嵌環部50の内側に設けられている。また、薄肉部Pの肉厚P(符号を兼用)が、溝部(リブ又はローレット29)の肉厚Nよりも薄く設定されている。その結果、スクリューキャップ10の筒胴部11における外径の微妙な相違に対しても、伸縮しながら対応することが可能である。つまり、スクリューキャップ10の筒胴部11に嵌環部50を適正に嵌合させることができるように外形アジャスト機構が構成されている。
【0127】
この外形アジャスト機構を設けることによって、スクリューキャップ10の筒胴部11に嵌環部50を嵌合する際に、著しくきつくて嵌合できない、或いはし辛くなる不具合を解消できる。即ち、嵌め具合が窮屈なところを無理なく嵌合することが可能になる。つま
り、ヒンジ部に意図しない応力負荷が掛かることもなくなるので、レバー33を操作した時に、基端用ヒンジ21が断裂するような虞も無くなる。
【0128】
そのため、薄肉部Pは、ポリエチレン等の材料に固有の展延性(ductility)を、延性(ductility)と展性(malleability)の両方において増大させる。即ち、ベルト70が破断せずに柔軟に変形・伸長する限界を増大させる。つまり、厚手の材料であるポリバケツは展延性が少ないが、薄手の材料であるポリ袋であれば、展延性を相当に確保できることからも説明できる。尚、薄肉部Pの最適厚さについては、ベルト70の幅V(
図3ほか参照)及び材料別に規定される。
【0129】
[第7実施形態]
次に、
図19を用いて、第7実施形態を説明する。
図19は、本発明の第7実施形態に係る本補助具を説明する図であり、
図4と基本形状が同じ本補助具の下方縁部にスカートを延設した変形例を示す背面図である。
図19(A)は樽形膨張例、
図19(B)は山形例をそれぞれ示している。尚、ベースに用いた
図4の本補助具102は一例に過ぎず、
図1乃至
図3の本補助具100,101をベースに用いても構わない。尚、
図19(B)は山形のスクリューキャップ16に対し、高中低の何れか一箇所に嵌着する様子を、三箇所まとめて図示しているに過ぎない。
【0130】
図19に示すように、本補助具700は、
図4に示した本補助具102の下方縁部には、他の平均的な内径に比べて開口部を斜めに拡径した漏斗形状でなるスカートが延設されている。このようなスカートには、ある程度の芯ブレのある嵌着対象に対しても誘引効果により、それらの芯ブレを吸収して嵌着を容易かつ確実にする作用効果がある。その作用効果について、
図19に示すスカート付きの本補助具700が、
図4のスカート無しの本補助具102に対し、より顕著であることは、いうまでもない。その結果、本補助具700は、スクリューキャップ15,16に対し、毎秒10個の速度で打栓可能な高速打栓機等の動作にも容易に順応できる。
【0131】
[第8実施形態]
次に、
図20を用いて、第8実施形態を説明する。
図20は、本発明の第8実施形態に係る本補助具を説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
図1、
図2、
図8及び
図9に示したように基端用ヒンジ形成部51は高さWであり、ベルト59の幅Vよりも高い。従って、嵌環部50の大部分の高さは、ベルト59の円周方向に均等でなく、大部分の高さ(幅)Vに対し、突出した高さ(幅)Wのヒンジ形成部51が存在する。
【0132】
このことは、嵌環部50が円周方向に位相を有することを意味する。従って、大量生産装置において、位相を規定する何等かの位相規定手段を必要とする。より詳しくは、上述した毎秒10個の速度で打栓可能な高速打栓機等の動作に順応させる場合、特に重要になる。つまり、
図1、
図2、及び
図9に示した本補助具100は、その上方から被さる方式の把持装置には、位相合わせする工程を経てから把持することが必要である。
【0133】
これに対し、
図20の第8実施形態に係る本補助具800には、120°位相差により周方向対称に、基端用ヒンジ形成部51と同等の高さWの拡幅部91,92が配設されている。ただし、周方向対称に120°位相差に配設された高さWの拡幅部91,92であっても、大量生産装置において、位相を規定する何等かの位相規定手段を必要とする。
【0134】
しかし、
図1、
図2、
図8及び
図9に示した本補助具100のように、ベルト59の幅が円周方向に均等でなく、大部分の高さ(幅)Vに対し、突出した高さ(幅)Wのヒンジ形成部51が一個だけ存在する場合に比べれば、120°位相差で周方向対称の本補助具800の方が、位相規定手段をより簡略化できる。より詳しくは、位相合わせするために
必要な位相補正角度について比較すると明確になる。即ち、
図1、
図2、
図8及び
図9に示した、本補助具100のように、突出した高さ(幅)Wのヒンジ形成部51が、周方向に1個だけ存在する場合は、位相補正角度が最大180°必要なところ、第8実施形態に係る本補助具800では、その1/3となり最大60°の位相補正角度で足りる。
【0135】
[第9実施形態]
次に、
図21を用いて、第9実施形態を説明する。
図21は、本発明の第9実施形態に係る本補助具を説明する図であり、
図21(A)は未使用状態を示す下方から見上げた斜視図、
図21(B)はその正面図である。
図21に示す本補助具900は、
図11に示した第2実施形態に係る本補助具200を上下逆転すると共に、閉栓状態のスクリューキャップを上方から視認して左回転時、即ち開栓方向に、手指からのトルク伝達を容易にするように構成されている。
【0136】
図21に示す本補助具900は、大部分の高さ(幅)Vに対し、突出した高さ(幅)Wのヒンジ形成部51が一個だけ存在するものの、下方に突出しているので、上述した上方から被さる方式の把持装置に対し、位相合わせする工程を経ることなく把持することを可能にできる。尚、下方に突出した高さ(幅)Wのヒンジ形成部51と、大部分の高さ(幅)Vとの差分だけ、スクリューキャップの下方から浮き上がった嵌着形態になることは避けられないが、それでも問題ない程度との判断があれば採用できる。
【0137】
以下、
図22乃至
図27を用いて、第10乃至第13実施形態について説明する。
図22乃至
図27に示す第10乃至第13実施形態に係る回転補助型キャップ210,310,410,510は、
図1乃至
図21に示した上述の第1乃至第9実施形態に係る本補助具100,101,102,110,111,200,300,400,500,600,700,800,900(以下、「本補助具100乃至900」ともいう)をスクリューキャップと一体成型したもの(以下、「一体型」ともいう)、即ち、開栓補助機能を備えて製造されるキャップである。
【0138】
「一体型」の回転補助型キャップ210,310,410,510は、スクリューキャップの単品毎に開栓補助機能を一体成型して製造されるものである。これに対し、上述の本補助具100乃至900は、「一体化型」であり、開栓補助機能を有しないスクリューキャップに、別部品の開栓補助機能体を嵌着した状態にして用いられるものである点が異なる。なお、「一体型」及び「一体化型」の何れにおいても、ボトル製品に予め一体化したような状態で最終消費者の手元まで流通させるような商品形態が望まれることは、上述したとおりである。
【0139】
[第10実施形態]
ここで、
図22乃至
図24を用いて、第10実施形態を説明する。
図22は、本発明の第10実施形態(
図10乃至
図13に示した第2実施形態の一体型)に係る本キャップを説明する図であり、未使用状態を示す斜視図である。
図23は、
図22の本キャップ(
図12に対する一体型)を未使用状態で示しており、
図23(A)は全体平面図、
図23(B)は変形例をそれぞれ示している。
図24は、
図22の本キャップ(
図13に対する一体型)が開栓される最中を示す平面図である。
【0140】
図22乃至
図24に示す第10実施形態に係る本キャップ210は、
図11に示した第2実施形態に係る本補助具200を一体型に変形したものである。また、第10実施形態に係る本キャップ210は、
図11に示した第2実施形態に係る本補助具200がスクリューキャップ10に嵌着されたものと全く同等の作用効果を奏する。これら両者は、最終消費者にとっての使用感も同等である。
【0141】
[第11実施形態]
次に、
図25を用いて、第11実施形態を説明する。
図25は、本発明の第11実施形態(
図14に示した第3実施形態の一体型)に係る本キャップを説明する図であり、
図25(A)は未使用状態の全体平面図、
図25(B)は開栓する最中を示す平面図である。
図25に示す第11実施形態に係る本キャップ310は、
図14に示した第3実施形態に係る本補助具300を一体型に変形したものである。また、第11実施形態に係る本キャップ310は、
図11に示した第2実施形態に係る本補助具300がスクリューキャップ10に嵌着されたものと全く同等の作用効果を奏する。これら両者は、最終消費者にとっての使用感も同等である。
【0142】
[第12実施形態]
次に、
図26を用いて、第12実施形態を説明する。
図26は、本発明の第12実施形態(
図15に示した第4実施形態の一体型)に係る本キャップを説明する図であり、
図26(A)は未使用状態の全体平面図、
図26(B)は開栓する最中を示す平面図である。
図26に示す第12実施形態に係る本キャップ410は、
図15に示した第4実施形態に係る本補助具400を一体型に変形したものである。また、第12実施形態に係る本キャップ410は、
図15に示した第4実施形態に係る本補助具400がスクリューキャップ10に嵌着されたものと全く同等の作用効果を奏する。これら両者は、最終消費者にとっての使用感も同等である。
【0143】
[第13実施形態]
次に、
図27を用いて、第13実施形態を説明する。
図27は、本発明の第13実施形態(
図16に示した第5実施形態の一体型)に係る本キャップを説明する図であり、
図27(A)は未使用状態の全体平面図、
図27(B)は開栓する最中を示す平面図である。
図27に示す第13実施形態に係る本キャップ510は、
図16に示した第5実施形態に係る本キャップ500を一体型に変形したものである。また、第13実施形態に係る本キャップ510は、
図16に示した第5実施形態に係る本補助具500がスクリューキャップ10に嵌着されたものと同等の作用効果を奏する。これら両者は、最終消費者にとっての使用感も同等である。
【0144】
[第14実施形態]
次に、
図28乃至
図30を用いて、第14実施形態を説明する。また、
図33により追加の作用効果を後述する。
図28は、本発明の第14実施形態(
図20に示した第8実施形態又は
図21に示した第9実施形態に対する変形例)に係る本補助具を斜め下から見上げた斜視図である。
図29は、
図28の本補助具を斜め上から見下した斜視図である。
図30は、
図28の本補助具を軸回転させて右側面を見せた斜視図である。
図28乃至
図30に示す第14実施形態に係る本補助具890は、
図17及び
図18に示した第6実施形態に係る本補助具600、
図20に示した第8実施形態に係る本補助具800、又は
図21に示した第9実施形態に係る本補助具900をベースにし、略U字形の連結帯による操作部を有して実現したものである。
【0145】
本補助具890に加えられた改良点は、以下の三点である。第一改良点は、
図20に示した第8実施形態に係る本補助具800おける基端用ヒンジ形成部51、及び拡幅部91,92でなる三つの拡幅部が上向きに突設されていたところを、下向きに基端ヒンジ拡幅部851、先端ヒンジ拡幅部842、及び拡幅部891の三つを三脚状に突設させた点である。勿論、拡幅部の数量や突設の上下向き等は特に限定されるものではない。
【0146】
第二改良点は、これら三つの下向き拡幅部、即ち、基端ヒンジ拡幅部851、先端ヒンジ拡幅部842、及び拡幅部891は、三つとも基端側より先端側が薄いテーパ形状で、三つを繋ぐ仮想内接円の直径は、先端側が大きく、基端側が小さい。このため、本補助具
890は、スクリューキャップ10との一体化工程において、中心軸がズレる芯ブレが生じても、例えば1~2mm程度の範囲ならば、キャップ10の頭部を容易に誘引嵌着できる。
【0147】
第三改良点は、これら三つの下向き拡幅部、即ち、基端ヒンジ拡幅部851、先端ヒンジ拡幅部842、及び拡幅部891は、円周方向に対して配設された中心角Q,R,T(
図28)が、必ずしも均等な120°に限定されない点である。その代わりに、基端ヒンジ拡幅部851には基端用ヒンジ21を含み、同様に、先端ヒンジ拡幅部842には先端用ヒンジ42を含むように形成されている。
【0148】
この点については、
図20に示した第8実施形態に係る本補助具800おける基端用ヒンジ形成部51には基端用ヒンジ21を含むが、拡幅部92には先端用ヒンジ42を含むとは限らない代わりに、基端用ヒンジ形成部51、及び拡幅部91,92が、均等な120°に配設されている点で異なる。このような本補助具800が三つの下向き拡幅部を均等な120°に配設している理由は、位相規定手段をより簡略化することにより、上述した毎秒10個程度の速度で打栓可能な高速打栓機等の動作に順応させ易くするためである。
【0149】
これに対し、第14実施形態に係る本補助具890は、三つの下向き拡幅部を、必ずしも均等な120°に限定する必要性はない。その理由として、三つの下向き拡幅部が高速打栓機等に直接に当接するような関係でなく、寧ろ、水平且つ扁平な台上に載置された場合に、水平を保持できさえすればこと足りるからである。
【0150】
このような第14実施形態に係る本補助具890は、
図20に示した第8実施形態に係る本補助具800又は
図21に示した第9実施形態に係る本補助具900がスクリューキャップ10に嵌着されたものと同等以上の作用効果を奏する。同等の作用効果とは、これらの両者が最終消費者にとって同等の使用感、即ち、開栓補助効果をもたらすことをいう。
【0151】
更に、同等以上の作用効果とは、上述した毎秒10個程度の速度で打栓可能な高速打栓機等の動作に順応させ易くなる作用効果である。即ち、スクリューキャップ10との一体化工程において、中心軸がズレる芯ブレが生じても、ある程度の範囲ならば、キャップ10の頭部を容易に誘引嵌着できる作用効果である。
【0152】
[第15実施形態]
次に、
図31及び
図32を用いて、第15実施形態を説明する。また、
図34により追加の作用効果を後述する。
図31は、本発明の第15実施形態に係る本補助具を斜め上から見下した斜視図である。
図32は、
図31の本補助具を斜め下から見上げた斜視図である。
図31及び
図32に示す第15実施形態に係る本補助具990は、
図29に示した第14実施形態に係る本補助具890に対する変形例であって、三つの下向き拡幅部の端部を水平に連続させて、スカート付きの下方縁部が形成されている。
【0153】
このような本補助具890は、
図19に示したスカート付きの本補助具700の下方縁部に、他の平均的な内径に比べて開口部を斜めに拡径した漏斗形状でなるスカートが延設されていることに類似している。このようなスカートには、ある程度の芯ブレのある嵌着対象に対しても誘引効果により、それらの芯ブレを吸収して嵌着を容易かつ確実にする作用効果がある。
【0154】
[追加の作用効果]
次に、
図33及び
図34を用いて、第14,15実施形態に係る本補助具890,99
0について、追加の作用効果を説明する。
図33は、
図28乃至
図30に示した第14実施形態に係る本補助具が、スクリューキャップに嵌着される様子を、三段階に分けて説明する正面図であり、
図33(A)は嵌着前の状態、
図33(B)は嵌着中の状態、
図33(C)は嵌着後の状態、をそれぞれ示す正面図である。
図33(A)乃至
図33(C)に示すように、第14実施形態に係る本補助具890は、スクリューキャップ10との一体化工程において、中心軸がズレる芯ブレが生じても、例えば1~2mm程度の範囲ならば、スクリューキャップ10の頭部を容易に誘引して嵌着できることを示している。
【0155】
本補助具890は、三つの下向き拡幅部が、それぞれ基端側より先端側が薄いテーパ形状であり、これら三つを繋ぐ仮想内接円の直径は、先端側が大きく、基端側が小さい。このため、本補助具890は、スクリューキャップ10との中心軸がズレていても、ある程度ならば吸収できる。その結果、スクリューキャップ10との一体化工程において、より高速化に対応し易くなる効果がある。
【0156】
図34は、
図31及び
図32に示した第15実施形態に係る本補助具が、スクリューキャップに嵌着される様子を、三段階に分けて説明する正面図であり、
図34(A)は嵌着前の状態、
図34(B)は嵌着中の状態、
図34(C)は嵌着後の状態、をそれぞれ示す正面図である。
図34(A)乃至
図33(C)に示すように、第15実施形態に係る本補助具990は、スクリューキャップ10との一体化工程において、中心軸の直線性が歪むような芯ブレが生じても、ある角度の範囲ならば、スクリューキャップ10の頭部を容易に誘引して嵌着できることを示している。
【0157】
本補助具990は、下縁拡幅部が、それぞれ基端側より先端側が薄いテーパ形状であり、これらをつなぐ内周円の直径は、先端側が大きく、基端側が小さい。このため、本補助具990は、スクリューキャップ10との中心軸の直線性が歪んでいても、ある程度ならば吸収できる。その結果、スクリューキャップ10との一体化工程において、より高速化に対応し易くなる効果がある。なお、
図33に示した中心軸のズレ)と、
図34に示した中心軸の直線性の歪みと、については、第14実施形態に係る本補助具890と、第15実施形態に係る本補助具990と、の何れに対しても概ね同等の作用効果、即ち、ある程度の芯ブレのある嵌着対象に対しても誘引効果により、それらの芯ブレを吸収して嵌着を容易かつ確実にする作用効果が得られる。
【0158】
[まとめ]
図35は、各実施形態別の操作部及び嵌環部の特徴等をまとめた一覧表である。
図35に示すように、第1乃至第15実施形態は、操作部及び嵌環部の特徴にそれぞれ変化を持たせて組み合わせたものであり、表中の「図面」の欄又は「関連図」の欄で特定した図面に明示されている。操作部の特徴には「レバー」、「略U字形連結帯」、「延長レバー」、「作用点接合」、及び「斜長ヒンジ」の五種類がある。また、嵌環部の特徴には「標準」に加えて、「薄肉部」、「スカート」、「上向き3拡幅部」、「下向き1拡幅部」、及び「上向き3拡幅部・薄肉部」、の6種類がある。尚、
図35に示す一覧表から、
図4及び
図5に係る内容は除外している。
【0159】
「レバー」は、レバー33として各図に示すとおりである。「略U字形連結帯」は、先端42から第二節44までの柔軟な帯状部である。「延長レバー」は、レバー33を基端31から長く延設したものである。
「作用点接合」は、作用点39を疑似外周面27に接合したものである。「斜長ヒンジ」は、斜長偏向型ヒンジ23として
図16及び
図27に示すとおりである。「標準」は、嵌環部50として各図に示すとおりである。「薄肉部」は、薄肉部Pとして
図17及び
図18に示すとおりである。
【0160】
「スカート」は、
図19に示したスカート付きの本補助具700の下方縁部に延設され、他の平均的な内径に比べて開口部を斜めに拡径した漏斗形状でなるスカートである。これに類似するものを
図31、
図32及び
図34にも示すとおりである。「上向き3拡幅部」は、基端用ヒンジ形成部51、及びそれと同等の高さWの拡幅部91,92と、よりなる三つの拡幅部であり、
図20に示すとおりである。
「下向き1拡幅部」は、
図21に示す基端用ヒンジ形成部51である。
【0161】
「上向き3拡幅部・薄肉部」は、上述の「上向き3拡幅部」、及び「薄肉部」を併せ持つ構成であり、
図28乃至
図30、及び
図33に示すとおりである。「上向き3拡幅部・薄肉部」は、上述の「スカート」、及び「薄肉部」を併せ持つ構成であり、
図31、
図32、及び
図34に示すとおりである。尚、これらの各特徴は、
図35に示す一覧表に特定した関連形態、及び関連図にも記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、ペットボトルを始めとする液体保存瓶の口栓部をスクリューキャップで開閉する容器に採用される可能性がある。また、本補助具は、老人も含めた身体的ハンディキャップ(Handicap)のある方への専門的な支援用品として採用される可能性がある。更に、社会的承認に基づく標準規格品として採用される可能性もある。特に、閉栓前から山形であったものか、又は閉栓後に樽状に変形することのあるスクリューキャップに採用されて好適である。
【符号の説明】
【0163】
1乃至3 溝、4 凸条、8 嵌着部、9,10,15,16 スクリューキャップ、11 筒胴部、12 タンパーエビデントバンド、13,81,82 初期結合ブリッジ、14 固定爪、18 (スクリューキャップ10の)外周面、19,29 ローレット、21 基端用ヒンジ(第一ヒンジ部)、22 先端用ヒンジ(第二ヒンジ部)、23 斜長偏向型ヒンジ、24,25 (外周面18に対する)同心円弧、27 疑似外周面、28 凸部、30,40 操作部、31,41 (操作部30,40の)基端、32,42 (操作部30,40の)先端、43,44 (先端32,42に近い)位置、33,35,36 レバー、34 (円弧と逆方向の)反り返し部、37,39 作用点、38 凹部、43 第一節、44 第二節、50 嵌環部、51 基端用ヒンジ形成部,851 基端ヒンジ拡幅部、59,60,61,70 ベルト、62 肉抜き穴、91,92,891 拡幅部、100,101,102,110,111,200乃至900,890,990 スクリューキャップ回転補助具、210,310,410,510 回転補助型キャップ、842 先端ヒンジ拡幅部、D (スクリューキャップ10の筒胴部11の)外径、E 拡径方向、F 開栓方向、G 閉栓方向、H (スクリューキャップ10の筒胴部11の)高さ、J (操作部30の反り返し部34の)長さ、K 縮径方向、M (開栓操作する人の)手指、N,P,S (ベルトの)肉厚、O (スクリューキャップ10の)中心、P 薄肉部、Q,R,T,α,β,γ,θ1,θ2 中心角、V (均等領域の)幅、W (幅Vより広い)幅、X (スクリューキャップ10の筒胴部11が拡径した)差分、Y (スクリューキャップ10の頂部外径と底部外径との)差分、πD (外周面18の)全周の長さ