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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018092561
(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2019080034
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0136892
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジュン-ウー
(72)【発明者】
【氏名】ミン、タエ-ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヨ-ハン
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-142399(JP,A)
【文献】特開2017-107934(JP,A)
【文献】特開2002-252465(JP,A)
【文献】特開2002-335079(JP,A)
【文献】特開2007-250581(JP,A)
【文献】特開2007-299943(JP,A)
【文献】特開2010-157718(JP,A)
【文献】特開2017-174997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0003844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に金属パッドが形成された第1絶縁層と、
前記金属パッドの一面に接続するように、前記第1絶縁層を貫通して形成されるメッキビアと、
前記第1絶縁層の一面に積層される第2絶縁層と、
前記金属パッドの他面に接続するように、前記第2絶縁層を貫通して形成されるペーストビアと、を含み、
前記メッキビアの前記第1絶縁層の他面側の最外部の表面は、前記第1絶縁層の一面と他面との間に位置し、その周りは前記第1絶縁層と接するプリント回路基板。
【請求項2】
前記金属パッドの側面は、傾斜して形成される請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記金属パッドの横断面積は、前記金属パッドの一面から他面に行くほど大きくなる請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層の一面に形成された第1回路をさらに含み、
前記第1回路の側面は、傾斜して形成される請求項1から3のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層の他面に形成される第2回路をさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記メッキビア及び前記第2回路は、下部にシード層を含む請求項5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第1絶縁層の他面に形成されるグラウンド層をさらに含む請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記ペーストビアは、前記第2絶縁層の一面よりも突出する請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記メッキビア及び前記ペーストビアのそれぞれの横断面積は、前記金属パッドから外側に行くほど大きくなる請求項1から8のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPE(Polyphenylene Ether)、COP(Cyclo Olefin Polymer)、PFA(Perfluoroalkoxy)、PI(Polyimide)のうちの少なくとも1種で形成される請求項1から9のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層を貫通して形成されるメッキビアと、
前記第1絶縁層の他面上に積層される第2絶縁層と、
前記メッキビアに接触するように、前記第2絶縁層を貫通して形成されるペーストビアと、を含み、
前記メッキビアと前記ペーストビアとの接触界面は、前記第1絶縁層内に位置し、前記ペーストビアの端部の側面は前記第1絶縁層と接触するプリント回路基板。
【請求項12】
前記ペーストビアの端部の側面は、前記第1絶縁層と接触する請求項11に記載のプリント回路基板。
【請求項13】
前記第1絶縁層の一面に形成される金属パッドをさらに含み、
前記メッキビアは、前記金属パッドの一面に形成され、
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層の他面に積層される請求項11または12に記載のプリント回路基板。
【請求項14】
前記金属パッドの横断面積は、前記金属パッドの一面から他面に行くほど大きくなる請求項13に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
前記第1絶縁層の一面に形成された第1回路をさらに含み、
前記第1回路の側面は、傾斜して形成される請求項13または14に記載のプリント回路基板。
【請求項16】
前記第1絶縁層の他面に形成される第2回路をさらに含む請求項13から15のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項17】
前記メッキビア及び前記第2回路は、下部にシード層を含む請求項16に記載のプリント回路基板。
【請求項18】
前記第1絶縁層の他面に形成されるグラウンド層をさらに含む請求項13から17のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項19】
前記メッキビアの横断面積は、下面から前記接触界面に行くほど大きくなり、
前記ペーストビアの横断面積は、上面から前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との界面に行くほど大きくなり、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との界面から前記接触界面に行くほど小さくなる請求項11から18のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項20】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPE(Polyphenylene Ether)、COP(Cyclo Olefin Polymer)、PFA(Perfluoroalkoxy)、PI(Polyimide)のうちの少なくとも1種で形成される請求項11から19のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板(printed circuit board)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年20GHz以上の高周波帯域を使用する5G通信に対する関心が急増しており、これに対応するためにPCBに新たな材料を用いる技術研究が行われている。高周波帯域での信号伝達のときの損失を最小化するために、低誘電率(Dk)、低誘電損失(Df)を有する絶縁材料の使用及び回路表面粗度の低減、ビア間接続の向上などに関する技術開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0002112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ビア間の接続が向上されたプリント回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、一面に金属パッドが形成された第1絶縁層と、上記金属パッドの一面に接続するように上記第1絶縁層を貫通して形成されるメッキビアと、上記第1絶縁層の一面に積層される第2絶縁層と、上記金属パッドの他面に接続するように上記第2絶縁層を貫通して形成されるペーストビアと、を含み、上記メッキビアの第1絶縁層の他面側の表面が上記第1絶縁層内に位置するプリント回路基板が提供される。
【0006】
本発明の他の側面によれば、第1絶縁層と、上記第1絶縁層を貫通して形成されるメッキビアと、上記第1絶縁層上に積層される第2絶縁層と、上記メッキビアと接触するように上記第2絶縁層を貫通して形成されるペーストビアと、を含み、上記メッキビアと上記ペーストビアとの接触界面が上記第1絶縁層内に位置するプリント回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
図2】本発明の実施例に係るプリント回路基板の複数の単位層を示す図である。
図3】本発明の実施例に係るプリント回路基板のビアを示す図である。
図4】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を示す図である。
図5】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図6】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図8】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図9】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図11】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図12】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図13】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図14】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図15】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図16】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図17】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図18】本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るプリント回路基板の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0009】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0010】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素が物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、該他の構成に、構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を示す図であり、図2は、本発明の実施例に係るプリント回路基板の複数の単位層を示す図であり、図3は、本発明の実施例に係るプリント回路基板のビアを示す図である。
【0012】
本発明の実施例に係るプリント回路基板は、2つの側面から説明することにする。第1側面は、一つの単位層内の構造についての説明であり、第2側面は、隣接した互いに異なる単位層間を結合するビア構造についての説明である。具体的には、図1及び図2を参照しながら、前者について説明し、図3を参照しながら、後者について説明する。
【0013】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例に係るプリント回路基板は、第1絶縁層100と、メッキビア130と、第2絶縁層200と、ペーストビア230と、を含む。
【0014】
プリント回路基板は、複数の単位層で形成されることができ、複数の単位層のそれぞれは、第1絶縁層100と、メッキビア130と、第2絶縁層200と、ペーストビア230と、を含む。
【0015】
第1絶縁層100及び第2絶縁層200は、樹脂等の絶縁物質で組成される資材である。第2絶縁層200は、第1絶縁層100の一面に積層される。プリント回路基板が複数の単位層で形成される場合は、各単位層が第1絶縁層100と第2絶縁層200とを含むので、最終的に製造されるプリント回路基板は、第1絶縁層100と第2絶縁層200とが交互に繰り返し積層される構造を有する。
【0016】
絶縁層100、200の樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の様々な材料を用いることができる。
【0017】
絶縁層100、200は、誘電率及び誘電損失の低い材料で形成可能である。特に、絶縁層100、200は、誘電定数(Dk)及び誘電正接(Df)の低い材料、例えば、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPE(Polyphenylene Ether)、COP(Cyclo Olefin Polymer)、PFA(Perfluoroalkoxy)、PI(Polyimide)のうちの少なくとも1種で形成可能である。これらの材料は、高周波信号を伝送する基板において信号損失を低減するために好適である。
【0018】
しかし、絶縁層100、200は、上記の材料に限定されず、それら以外にもエポキシ樹脂またはポリイミド等で形成することができる。ここで、エポキシ樹脂としては、例えば、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、環型脂肪族系エポキシ樹脂、シリコン系エポキシ樹脂、窒素系エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
絶縁層100、200には、上記樹脂にガラス繊維(glass cloth)等の繊維補強材やシリカ等の無機フィラー(filler)が含有されてもよい。前者の例としては、プリプレグ(Prepregと、PPG)が挙げられ、後者の例としては、ABF(Ajinomoto Build-up Film)等のビルドアップフィルム(build up film)が挙げられる。
【0020】
第1絶縁層100の一面には、第1回路111及び金属パッド110が形成される。
【0021】
第1回路111及び金属パッド110は、第1絶縁層100の一面に埋め込まれることができる。この場合、第1回路111及び金属パッド110は、第2絶縁層200において第1絶縁層100の一面と接触する面(第2絶縁層200の他面であって、本明細書では第2絶縁層200において第1絶縁層100と接触しない面を「一面」と称し、その反対面を「他面」と称する。)上に形成され、第1回路111及び金属パッド110は、第1絶縁層100と第2絶縁層200との間に位置し、第1絶縁層100の一面に埋め込まれる。
【0022】
第1回路111は、電気信号を伝達するためにパターン化された伝導体である。金属パッド110は、第1回路111に接続する伝導体である。第1回路111及び金属パッド110は、電気伝導特性を考慮して、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等の金属またはこれらの合金で形成することができる。
【0023】
第1回路111と金属パッド110の各側面は、傾斜して形成されることができる。特に、第1回路111及び金属パッド110の各側面は、下向きの傾斜面を有することができ、第1回路111及び金属パッド110の横断面積は、下部に行くほど(第2絶縁層200側に行くほど)大きくなることができる。特に、金属パッド110は、一面から他面に行くほどその横断面積が大きくなる。この傾斜した側面は、テンティング(tenting)のようにサブトラクティブ法(subtractive)により第1回路111と金属パッド110を形成した結果であり得る。
【0024】
第1絶縁層100の他面には、第2回路112が形成される。
【0025】
第2回路112は、第1回路111と同じく、電気信号を伝達するためにパターン化された伝導体である。第2回路112は、電気伝導特性を考慮して、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等の金属またはこれらの合金で形成することができる。
【0026】
第2回路112は、第1回路111に比べて微細ピッチ(pitch)を有することができる。すなわち、第2回路112の配線密度は、第1回路111の配線密度よりも大きく、第2回路112の幅は、第1回路111の幅よりも小さく、第2回路112間の間隔は、第1回路111間の間隔よりも小さくてもよい。
【0027】
第2回路112の側面は、傾斜面を有さないか、第1回路111に比べて垂直に近い傾斜面を有することができる。これは、第1回路111と第2回路112とが互いに異なる方式により形成された結果であり得、例えば、第1回路111は、サブトラクティブ法により形成され、第2回路112は、アディティブ法(additive)、セミアディティブ法(semi additive)、モディファイドセミアディティブ法(modified semi additive)等により形成されることができる。
【0028】
第2回路112は、下部にシード層Sを含むことができる。シード層Sは、無電解メッキにより形成可能であり、この場合、第2回路112は、電解メッキにより形成可能である。シード層Sは、2μm以下の厚さを有することができる。
【0029】
第1絶縁層100の他面には、グラウンド層113を形成することができる。第2回路112はパターン化された導体であることに対して、グラウンド層113は第2回路112よりも広く形成される金属層であり得る。
【0030】
プリント回路基板が複数の単位層で形成される場合、各単位層の第1絶縁層100の他面には第2回路112またはグラウンド層113を選択的に形成することができ、複数の単位層が一括積層されて最終的に製造されたプリント回路基板においては、回路層(第1回路111、第2回路112)及びグラウンド層113が特定の順に交互に形成されることができる。例えば、図1では、グラウンド層113が3つの回路層毎に形成されるように設計されている。
【0031】
しかし、この構造に制限されず、第1絶縁層100の他面に第2回路112とグラウンド層113とがともに形成されることもできる。
【0032】
第1絶縁層100にはメッキビア130が形成される。
【0033】
メッキビア130は、第1絶縁層100を貫通する第1開口部120内に形成されることにより、メッキビア130は、第1絶縁層100を貫通する形態に形成されることができる。メッキビア130は、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等の金属またはこれらの合金が第1開口部120内にメッキされることにより形成可能である。
【0034】
メッキビア130は、金属パッド110に接続され、金属パッド110の一面と接触する。メッキビア130は、金属パッド110と第2回路112(または、グラウンド層113)とを電気的に接続する。このとき、金属パッド110は、第1回路111に接続されるので、第1回路111と第2回路112(または、グラウンド層113)とは、メッキビア130により電気的に接続される。
【0035】
メッキビア130において金属パッド110と接触しない表面は、第1絶縁層100の他面側に露出される。ただし、メッキビア130において金属パッド110と接触しない表面は、第1絶縁層100の他面よりも陥没している。すなわち、メッキビア130の第1絶縁層100の他面側の表面は、第1絶縁層100の内部に位置する。このため、第1絶縁層100の一面を下面、第1絶縁層100の他面を上面と設定すると、メッキビア130の上面は、第1絶縁層100の上面よりも下に位置する。ここで、メッキビア130の表面が第1絶縁層100の上面よりも陥没して形成される空間をリセス(recess)空間140と称することがある。リセス空間140の厚さは、3μm以下であってもよい。
【0036】
メッキビア130の横断面積は、第1絶縁層100の一面から他面に行くほど大きくなることができる。すなわち、メッキビア130の横断面積は、第1回路111から第2回路112(または、グラウンド層113)に行くほど大きくなる。一方、複数の単位層のうちの1つの単位層において、メッキビア130の横断面積は、金属パッド110から外側に行くほど大きくなることができる。これは、第1開口部120がCOレーザ等のレーザ加工により形成された結果であり得る。
【0037】
メッキビア130は、下部にシード層Sを含むことができる。シード層Sは、無電解メッキにより形成可能であり、この場合、メッキビア130は、電解メッキにより形成可能である。シード層Sは、2μm以下の厚さを有することができる。第2回路112のシード層Sとメッキビア130のシード層Sとは互いに接続されて、その間に界面が存在しないことがある。
【0038】
第2絶縁層200には、ペーストビア230が形成される。ペーストビア230は、伝導性充填材で形成されたビアであって、例えば、金属ペーストで充填されたビアであり得る。
【0039】
ペーストビア230を形成する金属ペーストの金属は、メッキビア130を形成する金属と異なってもよい。ペーストビア230の金属の溶融点は、メッキビア130のメッキの溶融点よりも小さくてもよい。メッキビア130は銅を含む金属で形成され、ペーストビア230は、ビスマスがコーティングされた銅、錫、銀を含む金属で形成されることができる。
【0040】
ペーストビア230は、第2絶縁層200を貫通する第2開口部220内に形成されることにより、第2絶縁層200を貫通する形態に形成可能である。ペーストビア230は、金属パッド110に接続され、金属パッド110の他面と接触する。
【0041】
ペーストビア230の横断面積は、金属パッド110の他面から第2絶縁層200の一面に行くほど大きくなる。メッキビア130の横断面積及びペーストビア230の横断面積の増減は、金属パッド110を基準にして互いに対称をなすことができる。すなわち、複数の単位層のうちの1つの単位層において、メッキビア130の横断面積及びペーストビア230の横断面積は、金属パッド110から外側に行くほど大きくなることができる。これは、第1開口部120と第2開口部220の加工面が反対に位置した結果であり得る。
【0042】
ペーストビア230は、第2絶縁層200の一面から露出することができる。この場合、ペーストビア230は、第2絶縁層200の一面よりも突出することができる。すなわち、第2絶縁層200の一面を下面と称すると、第2絶縁層200の他面が第1絶縁層100の一面と接触し、ペーストビア230の下面は第2絶縁層200の下面から露出され、第2絶縁層200の下面よりも突出することができる。
【0043】
一方、ペーストビア230の横断面積は、第2絶縁層200の一面から外側に行くほど小さくなることができる。結局、ペーストビア230の横断面積は、金属パッド110の他面から第2絶縁層200の一面までは大きくなり、その後には小さくなることができる。
【0044】
図3は、複数の単位層でプリント回路基板を形成する場合、ある1つの単位層に形成されたメッキビア130と、隣接している他の1つの単位層に形成されたペーストビア230との結合関係を示す図である。
【0045】
複数の単位層でプリント回路基板を形成する場合、ある1つの単位層の第1絶縁層100は、隣接する他の1つの単位層の第2絶縁層200と接することになる。このとき、上記のある1つの単位層にあるメッキビア130は、上記隣接する他の1つの単位層にあるペーストビア230と接触することになる。
【0046】
すなわち、第1絶縁層100上に第2絶縁層200が積層され、第1絶縁層100を貫通するメッキビア130と第2絶縁層200を貫通するペーストビア230とは互いに接触する。このとき、メッキビア130とペーストビア230との接触界面は、第1絶縁層100内に位置する。図3に示すように、第1絶縁層100と第2絶縁層200との界面をAとする場合、メッキビア130とペーストビア230との接触界面は、Aに比べてBの分だけ第1絶縁層100側に位置する。ここで、Bの分だけの空間がリセス空間140となる。
【0047】
具体的に、メッキビア130の表面が界面Aよりも陥没しており、第1絶縁層100と第2絶縁層200とが互いに積層されるとき、ペーストビア230がメッキビア130の陥没している領域に挿入されて、結果的にペーストビア230が界面AからBの分だけ突出する。ここで、ペーストビア230の端部の側面は、第1絶縁層100と接触する。
【0048】
このリセス空間140は、ペーストビア230を一部収容するので、ペーストビア230の不要なフロー(flow)を防止できる。また、リセス空間140により、メッキビア130とペーストビア230との整合に有利な効果があり、別途のビアパッドが不要となり、ビアパッドによる信号損失も低減することができる。
【0049】
なお、1絶縁層100の一面には、第1回路111及び金属パッド110が形成され、メッキビア130は金属パッド110の一面に形成され、第2絶縁層200は第1絶縁層100の他面に積層される。ここで、金属パッド110の側面には傾斜面が含まれ、金属パッド110の横断面積は、金属パッド110の一面から他面に行くほど大きくなることができる。第1回路111の側面にも同じ傾斜面が含まれることができる。第2回路112の横断面積も、一面から他面に行くほど大きくなることができる。
【0050】
第1絶縁層100の他面には、第2回路112が形成される。第2回路112の側面は、傾斜面を含まないか、垂直に近い傾斜面を含むことができる。第2回路112の下部にはシード層Sが備えられ、シード層Sは、メッキビア130の下部に備えられるシード層Sに接続することができる。
【0051】
第1絶縁層100の他面にはグラウンド層113を形成することができる。
【0052】
上記第1絶縁層100及び上記第2絶縁層200は、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPE(Polyphenylene Ether)、COP(Cyclo Olefin Polymer)、PFA(Perfluoroalkoxy)、PI(Polyimide)のうちの少なくとも1種で形成することができる。
【0053】
一方、第1絶縁層100を貫通する第1開口部120及び第2絶縁層200を貫通する第2開口部220は、界面Aから反対に行くほどその横断面積が小さくなることができる。この場合、メッキビア130の横断面積は、一面から他面に行くほど小さくなり、つまり、メッキビア130の横断面積は下面から界面Aに行くほど大きくなる。また、ペーストビア230の横断面積は、上面から第1絶縁層100と第2絶縁層200との界面に行くほど大きくなり、第1絶縁層100と第2絶縁層200との界面から界面Aに行くほど小さくなる。これは、ペーストビア230の一部が第1開口部120の内部に挿入されるからであり、これにより、第1開口部120内でのペーストビア230の側面の傾きは、メッキビア130の側面の傾きと同じである。
【0054】
図4は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【0055】
図4に示すプリント回路基板は、硬軟性基板であることができる。このプリント回路基板は、同軸ケーブルの代用として用いることができる。
【0056】
硬軟性基板は、リジッド部とフレキシブル部とに区画され、リジッド部とフレキシブル部にかけて形成されるフレキシブル絶縁層310は、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PI(polyimide)等の屈曲可能な材料で形成され、リジッド部にはフレキシブル絶縁層の両面にリジッド絶縁層320が積層される。リジッド絶縁層320には、屈曲性の小さい樹脂を用いることができる。
【0057】
リジッド部は、図1から図3を参照して説明した構造を含むことができる。これに関する説明は上述した内容と同様であるので省略する。
【0058】
図5から図18は、本発明の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を示す図である。
【0059】
図5に示すように、絶縁材に金属箔Mの積層された原資材を準備する。ここで、絶縁材は、上述した説明での第2絶縁層200に対応し、金属箔Mは、第1回路111及び金属パッド110の母体となる。
【0060】
絶縁材は、誘電定数及び誘電正接の小さいLCP(Liquid Crystal Polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPE(Polyphenylene Ether)、COP(Cyclo Olefin Polymer)、PFA(Perfluoroalkoxy)、PI(polyimide)等の材料で形成可能であり、好ましくは、誘電正接が(10GHzにおいて)0.002よりも小さいことが可能である。また、絶縁材は、25~100μmの厚さを有することができる。金属箔Mは、銅であってもよく、10~20μmの厚さを有することができる。しかし、これに制限されない。
【0061】
図6では、感光性レジストR1を積層し、パターン化する。感光性レジストR1のパターン化は、露光現像を含むフォトリソグラフィ工程により形成可能である。感光性レジストR1は、エッチングレジストとなる。すなわち、パターン化された感光性レジストR1は、第1回路111及び金属パッド110が形成される領域に残留する。
【0062】
図7に示すように、パターン化された感光性レジストR1がエッチングレジストとなり、金属箔Mがエッチングされる。このようなテンティング法(tenting)により第1回路111及び金属パッド110を形成することができるが、これに制限されない。テンティング法により第1回路111及び金属パッド110を形成すると、第1回路111及び金属パッド110の側面には傾斜面が形成され、第1回路111及び金属パッド110のそれぞれの横断面積は、絶縁材側に行くほど大きくなる。すなわち、第1回路111と金属パッド110の縦断面は、台形となる。ただし、図8の以後からは、第1回路111及び金属パッド110の側面の傾斜面を省略して示す。
【0063】
図8では、絶縁材上に第1絶縁層100を積層し、第1絶縁層100の一面が絶縁材に接触する。第1絶縁層100の積層は、V-pressによるラミネートで実現できる。第1絶縁層100は、25~100μmの厚さを有することができる。第1絶縁層100は、絶縁材(第2絶縁層200)と同種のまたは異種の材料で形成可能である。ただし、第1絶縁層100の誘電正接も(10GHzにおいて)0.002よりも小さいことが可能である。
【0064】
図8の工程により、第1絶縁層100と第2絶縁層200とが結合した単位層が形成され、第1絶縁層100と第2絶縁層200との間に、第1回路111及び金属パッド110が位置し、第1回路111及び金属パッド110が第1絶縁層100に埋め込まれる。
【0065】
図9に示すように、第1絶縁層100に第1開口部120を形成する。第1開口部120は、COレーザ、UVレーザ等のレーザ加工により形成するか、サンドブラスト(Sand Blast)等の機械的加工により形成することができる。第1開口部120は、金属パッド110上に形成されて、金属パッド110の一面が第1開口部120から露出される。第1開口部120の横断面積は、金属パッド110側に行くほど小さくなってもよく、第1開口部120の金属パッド110の反対側の幅は、40~100μmであってもよい。
【0066】
図10に示すように、第1開口部120内にメッキビア130が形成される。メッキビア130は、無電解メッキによりシード層Sを形成した後に、電解メッキにより充填することができる。このとき、無電解メッキにより形成されるシード層Sは、第1開口部120の内側壁、底面だけではなく、第1絶縁層100の他面上にも延長して形成されることができる。シード層Sは、2μm以下の厚さを有することができる。
【0067】
図11に示すように、シード層S上に感光性レジストR2が積層され、感光性レジストR2がパターニングされる。感光性レジストR2は、第2回路112の形成領域に対応して除去される。
【0068】
図12に示すように、第2回路112が形成されるが、電解メッキにより第2回路112を形成することができる。このように、第2回路112はセミアディティブ法により形成できるが、これに制限されない。
【0069】
図13に示すように、感光性レジストR2を剥離する。
【0070】
図14では、不要なシード層Sを除去する。すなわち、第2回路112の下部に位置したシード層S以外の他の領域のシード層Sを除去する。ここで、シード層Sを除去するときに、シード層Sと同じ金属で形成されたメッキビア130の一面の一部が除去される。すなわち、メッキビア130にリセス空間140が形成される。これにより、メッキビア130の一面は、第1絶縁層100の他面よりも下に陥没する。
【0071】
図15に示すように、第2開口部220が形成されるが、第2絶縁層200の一面に保護フィルム210を付着した後に第2開口部220を形成する。保護フィルム210は、PETフィルムであってもよい。保護フィルム210は、第2開口部220を加工するときにバリ(burr)の発生を防止できる。第2開口部220は、COレーザ、UVレーザ等のレーザ加工により形成するか、サンドブラスト(Sand Blast)等の機械的加工により形成することができる。第2開口部220の第2絶縁層200の一面での幅は、40~100μmであってもよい。
【0072】
図16に示すように、第2開口部220内に金属ペーストが充填される。金属ペーストは、錫系列、銀系列、またはビスマス(Bi)がコーティングされた銅で形成された金属フィラー(filler)を含み、熱硬化性樹脂によりミキシングされたペーストであってもよい。金属ペーストは、真空印刷機、または大気印刷機によりスクィジング(squeezing)されることができる。
【0073】
図17においては、保護フィルム210が除去され、ペーストビア230が完成される。保護フィルム210を除去するとき、金属ペーストの一部が除去されることがある。しかし、この場合であっても、金属ペーストは第2絶縁層200の一面よりも突出する。この過程を経てプリント回路基板の単位層を形成することができる。
【0074】
図18では、第2回路112の代わりにグラウンド層113が形成された単位層を製造する。
【0075】
すなわち、同じく第2絶縁層200及び第1絶縁層100が積層された単位層を準備し、第1開口部120の加工、シード層Sを形成し、メッキビア130とともにグラウンド層113をメッキにより形成することができる。以後、保護フィルム210の付着、第2開口部220の加工、ペーストビア230の形成、保護フィルム210の除去の過程を経て、グラウンド層113が形成された単位層を製造することができる。
【0076】
図5から図7で説明した第2回路112の形成された単位層と、図18で説明したグラウンド層113の形成された単位層とを互いに仮付けした後に高温で一括積層することにより、プリント回路基板を製造することができる(図2参照)。
【0077】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0078】
100 第1絶縁層
110 金属パッド
111 第1回路
112 第2回路
113 グラウンド層
120 第1開口部
130 メッキビア
140 リセス空間
200 第2絶縁層
210 保護フィルム
220 第2開口部
230 ペーストビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18