(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 201G
H01G4/30 201M
H01G4/30 201A
H01G4/30 511
(21)【出願番号】P 2018240268
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0129733
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジャン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】クヮグ、ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミョン ジュン
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191880(JP,A)
【文献】特開2014-107540(JP,A)
【文献】特開2014-123698(JP,A)
【文献】特開2015-216339(JP,A)
【文献】特開平06-196351(JP,A)
【文献】特開2003-309037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記内部電極と連結される電極層と、
前記電極層上に配置されるめっき層と、
前記めっき層と前記電極層との間の界面に配置される二次相と、を含み、
前記二次相は硫黄(S)を含む、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記硫黄(S)は、Sn、Cu、Ni、Ba、Al、Si、及びOからなるグループから選択された1以上との化合物で前記二次相に含まれる、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記二次相は、前記電極層と前記めっき層との間の界面の2~50面積%である、請求項1または2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記電極層は、導電性金属及びガラスを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極層、及び前記焼成電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記めっき層は、第1めっき層及び前記第1めっき層上に配置される第2めっき層を含み、
前記第1めっき層は、Ni、Cu、Pd、及びAgからなるグループから選択された1以上を含み、前記第2めっき層はSnを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記電極層の厚さは1~10μmであり、前記第1めっき層の厚さは1~5μmであり、前記第2めっき層の厚さは1~5μmである、請求項6に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記誘電体層の厚さは0.4μm以下であり、前記内部電極の厚さは0.4μm以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記内部電極は、第1及び第2内部電極を含み、
前記本体は、前記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される前記第1及び第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部と、前記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部と、を含み、前記カバー部の厚さは20μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記キャパシタ部品の長さは0.4mm以下であり、幅は0.2mm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャパシタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つである積層セラミックキャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながらも高容量が保証され、実装が容易であるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業で用いられる重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなどの各種電気、電子、情報通信機器に用いられる核心受動素子である。
【0003】
近年、モバイル(mobile)機器、ウェアラブル(wearable)機器などの需要が増加するにつれて、様々な気候や環境下で使用できるように、キャパシタ部品の耐湿信頼性を確保することがますます重要となっている。
【0004】
一般的に、機械的、電気的、化学的安定性、及び実装性を向上させるために、積層セラミックキャパシタの外部電極は、電極層上に形成されためっき層を含む。
【0005】
しかし、めっき層を形成するためのめっき工程中、めっき液によって電極層のガラスなど耐薬品性が弱い成分がエッチングされるか、電極層が切れている部分を介してめっき液がキャパシタ本体の内部に浸透して発生する内部欠陥によって、耐熱及び耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、耐熱及び耐湿信頼性に優れたキャパシタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層と、上記電極層上に配置されるめっき層と、上記めっき層と上記電極層との間の界面に配置される二次相と、を含み、上記二次相は硫黄(S)を含む、キャパシタ部品を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記硫黄(S)は、Sn、Cu、Ni、Ba、Al、Si、及びOからなるグループから選択された1以上との化合物で上記二次相に含まれることができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記二次相は、上記めっき層と上記電極層との間の界面の2~50面積%であることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記電極層は、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極層、及び上記焼成電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記めっき層は、第1めっき層及び第1めっき層上に配置される第2めっき層を含み、上記第1めっき層は、Ni、Cu、Pd、及びAgからなるグループから選択された1以上を含み、上記第2めっき層はSnを含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記電極層の厚さは1~10μmであり、上記第1めっき層の厚さは1~5μmであり、上記第2めっき層の厚さは1~5μmであることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層の厚さは0.4μm以下であり、上記内部電極の厚さは0.4μm以下であることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記内部電極は、第1及び第2内部電極を含み、上記本体は、上記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される上記第1及び第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部と、を含み、上記カバー部の厚さは20μm以下であることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ部品の長さは0.4mm以下であり、幅は0.2mm以下であることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によると、めっき層と電極層との間の界面に硫黄(S)を含む二次相を配置して外部電極の緻密度を向上させ、且つめっき層切れを抑制することにより、耐熱及び耐湿信頼性に優れたキャパシタ部品を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
【
図3】キャパシタ部品の本体を製作するための内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図である。
【
図4】
図2のA領域を拡大した図であって、本発明の一実施形態による外部電極を示す図である。
【
図5】
図2のA領域を拡大した図であって、本発明の他の一実施形態による外部電極を示す図である。
【
図6a】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図6b】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図6c】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図6d】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図6e】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図6f】発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【
図7a】めっき工程が進むにつれて電極層に含まれたガラスが浸食されて気孔が形成される様子を示す模式図である。
【
図7b】めっき工程が進むにつれて電極層に含まれたガラスが浸食されて気孔が形成される様子を示す模式図である。
【
図7c】めっき工程が進むにつれて電極層に含まれたガラスが浸食されて気孔が形成される様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。また、各実施形態の図面に示された同一の思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を使用して説明する。
【0020】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図面において、X方向はL方向又は長さ方向、Y方向はW方向又は幅方向、Z方向はT方向、積層方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0022】
キャパシタ部品
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【0023】
図2は
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
【0024】
図3はキャパシタ部品の本体を製作するための内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示す図である。
【0025】
図4は
図2のA領域を拡大した図であって、本発明の一実施形態による外部電極を示す図である。
【0026】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体に配置される外部電極131、132と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層と、上記電極層上に配置されるめっき層と、上記めっき層と上記電極層との間の界面に配置される二次相と、を含み、上記二次相は硫黄(S)を含む。
【0027】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0028】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状やそれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0029】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0030】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0031】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末であることができる。誘電体層111を形成する材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0032】
一方、誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0033】
但し、誘電体層を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に誘電体層の厚さが0.4μm以下である場合には、耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0034】
後述のように、本発明の一実施形態に従って、めっき層と電極層との間の界面に硫黄(S)を含む二次相を配置して外部電極の緻密度を向上させ、且つめっき層切れを抑制することができるため、誘電体層の厚さが0.4μm以下である場合でも、十分な耐湿信頼性を確保することができる。
【0035】
したがって、誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合、本発明による耐湿信頼性向上効果がより顕著になる。
【0036】
上記誘電体層111の厚さは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0037】
上記誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ方向及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。
【0038】
例えば、本体110の幅方向中央部で切断した長さ方向及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンした画像から抽出された任意の誘電体層に対して、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0039】
上記等間隔である30個の地点は、第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる領域を意味する容量形成部で測定されることができる。
【0040】
このとき、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部112、113と、を含むことができる。
【0041】
カバー部112、113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。即ち、カバー部112、113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0042】
カバー部112、113は、単一誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的に、物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
カバー部112、113の厚さは、特に限定する必要はない。但し、キャパシタ部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtpは20μm以下であることができる。この場合、水分の浸透経路が短縮されるため、耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0044】
後述のように、本発明の一実施形態に従って、めっき層と電極層との間の界面に硫黄(S)を含む二次相を配置して外部電極の緻密度を向上させ、且つめっき層切れを抑制することができるため、カバー部112、113の厚さtpが20μm以下である場合でも、十分な耐湿信頼性を確保することができる。
【0045】
したがって、カバー部112、113の厚さtpが20μm以下である場合、本発明による耐湿信頼性向上効果がより顕著になる。
【0046】
内部電極121、122は、誘電体層と交互に積層され、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0047】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔し、且つ第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔し、且つ第4面4を介して露出することができる。
【0048】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
図3を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシート(a)と、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシート(b)とを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0049】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0050】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
一方、第1及び第2内部電極121、122の厚さは、特に限定する必要はない。但し、キャパシタ部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1及び第2内部電極121、122の厚さteは0.4μm以下であることができる。
【0052】
第1及び第2内部電極121、122の厚さは、第1及び第2内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。
【0053】
上記第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ方向及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。
【0054】
例えば、本体110の幅方向の中央部で切断した長さ方向及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンした画像から抽出された任意の第1及び第2内部電極121、122に対して、長さ方向に等間隔である30個の地点で、その厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0055】
上記等間隔である30個の地点は、第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる領域を意味する容量形成部で測定されることができる。
【0056】
外部電極131、132は、本体110に配置され、電極層131a、132a、二次相131b、132b、及びめっき層131c、132cを含む。
【0057】
外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0058】
このとき、第1及び第2外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4から本体110の第1及び第2面1、2の一部までそれぞれ延長されるように形成されることができる。また、第1及び第2外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4から本体の第5及び第6面5、6の一部までそれぞれ延長されるように形成されることができる。
【0059】
以下、第1外部電極131を中心に説明するが、第2外部電極132にも同様に適用されることができる。
【0060】
一般的に、機械的、電気的、化学的安定性、及び実装性を向上させるために、積層セラミックキャパシタの外部電極は、電極層上に形成されためっき層を含む。
【0061】
しかし、めっき層を形成するためのめっき工程中、めっき液によって電極層のガラスなど耐薬品性が弱い成分がエッチングされるか、電極層が切れている部分を介してめっき液がキャパシタ本体の内部に浸透して発生する内部欠陥によって、耐熱及び耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0062】
図7a~
図7cはめっき工程が進むにつれて電極層に含まれたガラスが浸食されて気孔が形成される様子を示す模式図である。
図7aはめっき前の電極層を示す模式図であり、
図7bはめっき中の電極層を示す模式図であり、
図7cはめっき後の電極層を示す模式図である。
【0063】
図7a~
図7cを参照すると、めっきが進むにつれて、めっき液によってガラスgなどのような耐薬品性が弱い物質がエッチングされて孔hを形成するようになり、かかる気孔hは、めっき液又は水分の浸透経路となって耐熱及び耐湿信頼性が低下する。
【0064】
本発明の一実施形態に従って、外部電極131、132の電極層131a、132aとめっき層131c、132cの間の界面に硫黄(S、Sulfur)を含む二次相131b、132bが配置される場合、二次相131b、132bが電極層の侵食を抑制する保護膜の役割を果たすことができ、電極層自体の切れも緩和する役割を果たすことによって、耐熱及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0065】
硫黄(S)を含む二次相131b、132bは、めっき液に対する耐薬品性に優れるため、電極層131a、132aに含まれるガラスgなどのような耐薬品性が弱い物質がエッチングされることを防止し、電極層131a、132aに気孔hが形成されることを防止することができる。これにより、外部電極131、132の緻密度を向上させることができる。
【0066】
二次相131b、132bは硫黄(S)を含み、硫黄(S)は、ガラス成分、めっき中に還元される金属成分、又はめっき工程の添加剤成分と混合物をなすことができる。例えば、硫黄(S)は、Sn、Cu、Ni、Ba、Al、Si、及びOからなるグループから選択された1以上と化合物を形成して二次相に含まれることができる。
【0067】
このとき、二次相131b、132bは、硫酸塩(sulfate)系の二次相であることができる。
【0068】
二次相131b、132bは、上記電極層131a、132aと上記めっき層131c、132cとの間の界面の2~50面積%であることができる。二次相131b、132bの面積%は、めっき層131c、132cの形成前に電極層131a、132aの表面に突出したガラスの面積を考慮して決定することができる。
【0069】
二次相131b、132bが、上記電極層131a、132aと上記めっき層131c、132cの間の界面の2面積%未満の場合には、めっき前に電極層131a、132aの表面に突出したガラスの面積を考慮すると、電極層の侵食を抑制する保護膜の役割が不十分であり、電極層131a、132a自体の切れを緩和することが困難であり得る。これに対し、二次相131b、132bが50面積%を超える場合は、電気的連結性が低下する恐れがあり、めっき層131c、132c切れが発生する恐れがある。
【0070】
上記二次相131b、132bを形成する方法は特に限定しない。例えば、めっき工程前に化学的及び電気的前処理により形成されることができ、めっき工程中にめっき液の組成を変更することにより、めっき工程中に形成されることもできる。
【0071】
めっき工程前の化学的前処理としては、硫黄(sulfur)を含む前処理液に電極層が形成された本体を含浸した後、還元/析出反応を誘導して二次相を形成する方法や、ガラスと反応可能な金属化合物又は添加剤を添加して二次相を形成する方法を用いることができる。
【0072】
めっき工程前の電気的前処理としては、硫黄(sulfur)を含む電解液及び添加剤を投入してシード(seed)めっきの形式で二次相を形成することができる。
【0073】
また、硫黄(sulfur)添加剤又は溶剤の割合が全体めっき液の1~60vol%となるようにめっき液の組成を変更して、めっき工程中に二次相を形成することもできる。
【0074】
電極層131a、132aは、本体110と外部電極131、132とを機械的に接合させる役割を果たし、内部電極121、122と外部電極131、132とを電気的及び機械的に接合させる役割を果たす。
【0075】
電極層131a、132aは、金属などのように導電性を有するものであれば、どのような物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができる。
【0076】
但し、電極層131a、132aが導電性金属e1及びガラスgを含む場合、ガラスgは、めっき液に対する耐薬品性が弱いため、電極層131a、132a内に気孔が容易に形成される可能性があり、気孔がめっき液又は水分の浸透経路となるため、耐熱及び耐湿信頼性が特に問題となり得る。
【0077】
したがって、電極層131a、132aが導電性金属e1及びガラスgを含む場合、本発明による耐熱及び耐湿信頼性向上効果がより顕著になる。
【0078】
ガラスgは、本体110と外部電極131、132とを機械的に接合させる役割を果たし、導電性金属e1は、内部電極121、122と外部電極131、132とを電気的及び機械的に接合させる役割を果たす。このとき、導電性金属e1は、Cu、Pd、及びAgからなるグループから選択された1以上であることができる。
【0079】
このとき、電極層131a、132aの厚さは1~10μmであることができる。
【0080】
一方、
図5を参照すると、本発明の他の一実施形態に従って、電極層131a'は、導電性金属e1及びガラスgを含む焼成電極層131a1と、上記焼成電極層131a1上に配置され、導電性金属及びベース樹脂を含む導電性樹脂層131a2と、を含む形態であってもよい。導電性樹脂層131a2は、一般的に焼成電極層131a1に比べて吸湿率と透湿率が高いため、焼成電極層131a1上に導電性樹脂層131a2を配置すると、めっき工程中にめっき液が本体110の内部に浸透するか、完成チップの耐湿信頼性が劣化することを防止することができる。
【0081】
上記導電性樹脂層131a2に含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0082】
上記導電性樹脂層131a2に含まれる導電性金属は、焼成電極層131a1と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0083】
めっき層131c、132cは、機械的、電気的、化学的安定性、及び実装性を向上させる役割を果たすことができる。
【0084】
めっき層131c、132cは、機械的、電気的、及び化学的安定性を確保するための第1めっき層131c1、132c1と、第1めっき層131c1、132c1上に形成され、実装性を向上させるための第2めっき層131c2、132c2と、を含むことができる。
【0085】
第1めっき層131c1、131c2は、Ni、Cu、Pd、及びAgからなるグループから選択された1以上を含むことができ、例えば、Niめっき層であることができる。
【0086】
第2めっき層132c1、132c2は、低融点金属を含むことができ、例えば、Snめっき層であることができる。
【0087】
めっき層の形成方法は特に限定せず、電解又は無電解めっきによって形成されることができる。但し、めっき工程中に二次相を形成する場合、硫黄(sulfur)添加剤又は溶剤の割合が全体めっき液の1~60vol%となるようにめっき液の組成を変更して、めっき工程を行うことができる。
【0088】
このとき、上記第1めっき層の厚さは1~5μmであり、上記第2めっき層の厚さは1~5μmであることができる。
【0089】
一方、キャパシタ部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0090】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0402(0.4mm×0.2mm)サイズ以下のキャパシタ部品において、本発明による耐熱及び耐湿信頼性向上効果がより顕著になる。
【0091】
即ち、キャパシタ部品の長さは0.4mm以下であり、幅は0.2mm以下であることができる。
【0092】
(実験例)
下記表1は、電極層とめっき層との間の界面に配置される二次相による効果を確認するための実験結果を示したものである。
【0093】
発明例は、本体にCu及びガラスで構成された電極層を形成した後、硫黄(sulfur)成分を含む酸性系添加剤が5%以下の濃度で含有された前処理液に含浸し、さらに水洗して前処理を行った。その後、電極層上に電解めっきでNiめっき層及びSnめっき層を順に形成した。Niめっき層及びSnめっき層のそれぞれの厚さは4μmであった。
【0094】
比較例は、本体にCu及びガラスで構成された電極層を形成した後、上述の発明例の前処理を行わずに電極層上に電解めっきでNiめっき層及びSnめっき層を順に形成した。Niめっき層及びSnめっき層のそれぞれの厚さは4μmであった。
【0095】
発明例及び比較例のそれぞれのサンプル100個に対して、めっき層切れが発生したサンプル個数を測定して下記表1に記載した。めっき層切れは、各サンプルの幅方向中央部で長さ方向及び厚さ方向の断面を観察して測定した。
【0096】
また、発明例及び比較例のそれぞれのサンプル400個に対して、半田不良、高温/高圧信頼性不良、及び耐湿信頼性不良が発生したサンプル個数を測定して下記表1に記載した。
【0097】
高温/高圧信頼性は、温度150℃の環境下で基準電圧の2倍を12時間印加した後、絶縁抵抗値が初期値に比べて1.0E+1以上劣化したサンプルを不良と判定した。
【0098】
耐湿信頼性は、温度85℃、相対湿度85%の環境下で基準電圧を12時間印加した後、絶縁抵抗値が初期値に比べて1.0E+1以上劣化したサンプルを不良と判定した。
【0099】
【0100】
電極層とNiめっき層との間の界面に二次相が存在しない比較例の場合、めっき層切れ、半田不良、高温/高圧信頼性不良、及び耐湿信頼性不良が発生したことが確認できる。
【0101】
これに対し、電極層とNiめっき層との間の界面に二次相が存在する発明例の場合、めっき層切れ、半田不良、高温/高圧信頼性不良、及び耐湿信頼性不良が発生していないことが確認できる。
【0102】
図6a~
図6fは、発明例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて分析した結果である。
【0103】
図6aは発明例の幅方向中央部で長さ方向及び厚さ方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真である。
【0104】
【0105】
図6cは
図6bのC線に沿ってC、O、Ba、及びSに対してラインマッピング(line mapping)分析を行った結果である。
図6cを参照すると、発明例では電極層とNiめっき層との間の界面に硫酸バリウム(barium sulfate)系の二次相が存在することが確認できる。
【0106】
図6dは
図6aのB領域におけるNiに対する2Dマッピング分析結果である。
図6eは
図6aのB領域におけるCuに対する2Dマッピング(mapping)分析結果である。
図6fは
図6aのB領域におけるSに対する2Dマッピング(mapping)分析結果である。2Dマッピング(mapping)は、各元素の分布度を色で区分して分析する方法であって、
図6d~6fにおいて明るい領域であるほど、当該元素の含量が高いことを意味する。
【0107】
図6d~
図6fを参照すると、発明例では電極層とNiめっき層との間の界面に硫黄(S)を含む二次相が存在することが確認できる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0109】
100 キャパシタ部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b 二次相
131c、132c めっき層
g ガラス
e1 導電性金属
131a1 焼結電極層
131a2 導電性樹脂層
131c1 第1めっき層
131c2 第2めっき層