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特許7188844車両のレーン割込みの自動予測及び利他的応答
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両のレーン割込みの自動予測及び利他的応答
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221206BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20221206BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20221206BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G08G1/16 E
B60W30/095
B60W30/09
B60W40/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018526138
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 US2016063525
(87)【国際公開番号】W WO2017091690
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-18
(31)【優先権主張番号】62/260,281
(32)【優先日】2015-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/361,343
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515168961
【氏名又は名称】モービルアイ ビジョン テクノロジーズ リミテッド
【住所又は居所原語表記】P.O.B. 45157,13 HARTOM STREET, HAR HOTZVIM, JERUSALEM, 9777513 ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタイン,ギデオン
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-205860(JP,A)
【文献】特開2002-334330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0150196(US,A1)
【文献】特開2007-233587(JP,A)
【文献】特開2013-177054(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101326511(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 30/00 ~ 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト車両のためのナビゲーションシステムであって、
データインタフェースと、
少なくとも1つの処理デバイスであって、
前記データインタフェースを介して、前記ホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、
前記複数の画像の分析に基づいて、前記ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、
前記複数の画像の分析に基づいて、前記標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、
利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、
前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、前記利他的行動パラメータに関連付けられる前記現在の値に基づいて、及び前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることと
を行うようにプログラムされる少なくとも1つの処理デバイスと
を含み、前記少なくとも1つのナビゲーション変更は、前記標的車両の前記ホスト車両の経路へのコース変更を可能にするものであり、前記利他的行動パラメータは、前記1つ又は複数の状況的特徴が、前記標的車両が前記標的車両の前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを示すとの判断に基づいて前記少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせるよう構成される、システム。
【請求項2】
前記標的車両が、前記ホスト車両が走行しているレーンに隣接するレーンを走行しており、前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更は、前記標的車両による前記ホスト車両が走行している前記レーンへのレーン変更を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記標的車両が、前記標的車両の前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことのインジケーションは、前記標的車両が、前記標的車両より低速であって且つ前記ホスト車両より低速で移動している車両の後方にあることのインジケーションを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両のオペレータからの入力に基づいて設定される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両のオペレータのためのカレンダ登録情報を解析することによって特定される少なくとも1つの情報要素に基づいて設定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記利他的行動パラメータの前記値は、乱数生成機能の出力に基づいて設定される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記1つ又は複数の状況的特徴が前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを示す標的車両との所定の遭遇回数に基づいて設定される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両がいる前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを前記1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両との遭遇の少なくとも所定のパーセンテージにおいて、前記ホスト車両におけるナビゲーション変更が生じさせられるように更新される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記所定のパーセンテージは、少なくとも10%である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記所定のパーセンテージは、少なくとも20%である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
ホスト車両であって、
本体と、
少なくとも1つの画像捕捉デバイスと、
少なくとも1つの処理デバイスであって、
前記少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、
前記複数の画像の分析に基づいて、前記ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、
前記複数の画像の分析に基づいて、前記標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、
利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、
前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、前記利他的行動パラメータに関連付けられる前記現在の値に基づいて、及び前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることと
を行うようにプログラムされる少なくとも1つの処理デバイスと
を含み、前記少なくとも1つのナビゲーション変更は、前記標的車両の前記ホスト車両の経路へのコース変更を可能にするものであり、前記利他的行動パラメータは、前記1つ又は複数の状況的特徴が、前記標的車両が前記標的車両の前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを示すとの判断に基づいて前記少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせるよう構成される、ホスト車両。
【請求項12】
前記標的車両が、前記ホスト車両が走行しているレーンに隣接するレーンを走行しており、前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更は、前記標的車両による前記ホスト車両が走行している前記レーンへのレーン変更を含む、請求項11に記載のホスト車両。
【請求項13】
前記標的車両が、前記標的車両の前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことのインジケーションは、前記標的車両は、前記標的車両より低速であって且つ前記ホスト車両より低速で移動している車両の後方にあることのインジケーションを含む、請求項11または12に記載のホスト車両。
【請求項14】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両のオペレータからの入力に基づいて設定される、請求項11から13のいずれか一項に記載のホスト車両。
【請求項15】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両のオペレータのためのカレンダ登録情報を解析することによって特定される少なくとも1つの情報要素に基づいて設定される、請求項11から14のいずれか一項に記載のホスト車両。
【請求項16】
前記利他的行動パラメータの前記値は、乱数生成機能の出力に基づいて設定される、請求項11から15のいずれか一項に記載のホスト車両。
【請求項17】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記1つ又は複数の状況的特徴が前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを示す標的車両との所定の遭遇回数に基づいて設定される、請求項11から16のいずれか一項に記載のホスト車両。
【請求項18】
前記利他的行動パラメータの前記値は、前記ホスト車両がいる前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを前記1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両との遭遇の少なくとも所定のパーセンテージにおいて、前記ホスト車両におけるナビゲーション変更が生じさせられるように更新される、請求項11から17のいずれか一項に記載のホスト車両。
【請求項19】
前記所定のパーセンテージは、少なくとも10%である、請求項18に記載のホスト車両。
【請求項20】
ホスト車両をナビゲートする方法であって、
処理デバイスが、前記ホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、
前記処理デバイスが、前記複数の画像の分析に基づいて、前記ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、
前記処理デバイスが、前記複数の画像の分析に基づいて、前記標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、
前記処理デバイスが、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、
前記処理デバイスが、前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、前記利他的行動パラメータに関連付けられる前記現在の値に基づいて、及び前記標的車両に関連付けられる前記1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、前記ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることと
を含み、前記少なくとも1つのナビゲーション変更は、前記標的車両の前記ホスト車両の経路へのコース変更を可能にするものであり、前記利他的行動パラメータは、前記1つ又は複数の状況的特徴が、前記標的車両が前記標的車両の前記ホスト車両の前記経路への前記コース変更から利益を得るであろうことを示すとの判断に基づいて前記少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせるよう構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年11月26日に出願された米国仮特許出願第62/260,281号及び2016年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/361,343号の優先権の利益を主張するものである。上記出願は全て、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
背景
技術分野
本開示は、概して、自律車両ナビゲーションに関する。更に、本開示は、割込み車両を検出し且つそれに応答し、及び利他的動作パラメータを考慮に入れながらナビゲートするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
技術が進化し続けるにつれ、路上でナビゲート可能な完全自律車両という目標が現実味を帯びてきている。自律車両は、様々な要因を考慮する必要があり得、それらの要因に基づいて、意図される目的地に安全且つ正確に到達するのに適切な判断を下し得る。例えば、自律車両は、視覚情報(例えば、カメラから捕捉された情報)を処理して解釈する必要があり得ると共に、他のソースから(例えば、全地球測位システム(GPS)デバイス、速度センサ、加速度計、サスペンションセンサ等から)得られる情報を使用することもある。同時に、目的地にナビゲートするために、自律車両は、特定の道路内のその位置(例えば、複数レーン道路内の特定のレーン)を識別し、他の車両と並んでナビゲートし、障害物及び歩行者を回避し、交通信号及び標識を観測し、適切な交差点又はインターチェンジで1つの道路から別の道路に走行する必要もあり得る。
【0004】
ナビゲーション中、自律車両は、レーンシフトを試みている他の車両に遭遇し得る。例えば、自律車両が走行しているレーンの左又は右のレーンにある車両が、自律車両が走行しているレーンに変更、すなわち割り込もうとし得る。このような割込みが行われる場合、自律車両は、もう一方の車両による割込みを回避するために、例えばその速度又は加速度を変更し、及び/又は他のレーンに変更することによってナビゲーション応答を生じさせなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幾つかの例において、もう一方の車両は割り込もうとしているように見え得るが、最終的に割込みが行われないことがあり得る(例えば、もう一方の車両のドライバーの気が変わったか、もう一方の車両が単に滑っているに過ぎないという理由による)。もう一方の車両による割込みが行われる可能性が十分となるまで、ナビゲーション応答の実行を遅らせると、不必要なブレーキを防止し得るものの、このような遅延はまた、衝突のリスクを増大させ、及び/又は自律車両内の乗員の乗り心地が悪くなり得るようなブレーキをかける原因となり得る。したがって、車両による割込みの試みの予測を改善することが求められている。
【0006】
更に、幾つかの場合、他の車両による割込みは、例えば道路及び/又は交通ルールにより必要となり得る。しかしながら、別の場合、割込みは、例えば他の車両が単に低速の車両を追い越したいとき等、任意選択により得る。自律車両は、目的地まで遅れずに安全に走行するようにプログラムされ得るため、自律車両は、他の車両による割込みを、その割込みが必要でないのであれば必ずしも許可しないことがあり得る。しかしながら、幾つかの場合、自律車両のオペレータにとって、及び/又は交通の全体的効率にとって、このような割込みを許可することが好ましいことがあり得る。したがって、利他的行動を含めた割込みプロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示による実施形態は、自律車両ナビゲーションのシステム及び方法を提供する。開示される実施形態は、カメラを使用して、自律車両ナビゲーション特徴を提供し得る。例えば、本開示の実施形態によれば、開示されるシステムは、車両の環境を監視する1つ、2つ、又は3つ以上のカメラを含み得る。開示されるシステムは、例えば、カメラの1つ又は複数により捕捉された画像の分析に基づいて、ナビゲーション応答を提供し得る。ナビゲーション応答は、例えば、全地球測位(GPS)データ、センサデータ(例えば、加速度計、速度センサ、サスペンションセンサ等から)、及び/又は他の地図データを含む他のデータを考慮することもできる。
【0008】
開示される実施形態によれば、ホスト車両のための車両割込み検出及び応答システムが提供される。本システムは、データインタフェースと、少なくとも1つの処理デバイスとを含み得る。少なくとも1つの処理デバイスは、データインタフェースを介して、ホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像において、ホスト車両が走行している第2のレーンと異なる第1のレーンを走行している標的車両の画像を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両が第1のレーンから第2のレーンに変更するであろうという少なくとも1つのインジケータを識別することと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素がホスト車両の環境中に存在するか否かを検出することと、所定の割込み感度変更要素が検出されない場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第1の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第1のナビゲーション応答を生じさせることと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素が検出される場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第2の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第2のナビゲーション応答を生じさせることとを行うようにプログラムされ得、第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なる。
【0009】
他の開示される実施形態によれば、ホスト車両は、車体と、少なくとも1つの画像捕捉デバイスと、少なくとも1つの処理デバイスとを含み得る。少なくとも1つの処理デバイスは、ホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像において、ホスト車両が走行している第2のレーンと異なる第1のレーンを走行している標的車両の画像を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両が第1のレーンから第2のレーンに変更するであろうという少なくとも1つのインジケータを識別することと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素がホスト車両の環境中に存在するか否かを検出することと、所定の割込み感度変更要素が検出されない場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第1の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第1のナビゲーション応答を生じさせることと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素が検出される場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第2の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第2のナビゲーション応答を生じさせることとを行うようにプログラムされ得、第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なる。
【0010】
また別の開示される実施形態によれば、標的車両による割込みを検出し、且つそれに応答する方法が提供される。本方法は、ホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像において、ホスト車両が走行している第2のレーンと異なる第1のレーンを走行している標的車両の画像を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両が第1のレーンから第2のレーンに変更するであろうという少なくとも1つのインジケータを識別することと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素がホスト車両の環境中に存在するか否かを検出することと、所定の割込み感度変更要素が検出されない場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第1の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第1のナビゲーション応答を生じさせることと、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素が検出される場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、及び第2の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて、ホスト車両における第2のナビゲーション応答を生じさせることとを含み、第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なる。
【0011】
開示される実施形態によれば、ホスト車両のためのナビゲーションシステムが提供される。本システムは、データインタフェースと、少なくとも1つの処理デバイスとを含み得る。少なくとも1つの処理デバイスは、データインタフェースを介してホスト車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像の分析に基づいて、ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値に基づいて、及び標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることとを行うようにプログラムされ得る。
【0012】
開示される他の実施形態によれば、ホスト車両は、本体と、少なくとも1つの画像捕捉デバイスと、少なくとも1つの処理デバイスとを含み得る。少なくとも1つの処理デバイスは、少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像の分析に基づいて、ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値に基づいて、及び標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることとを行うように構成され得る。
【0013】
また別の開示された実施形態によれば、ホスト車両をナビゲートする方法が提供される。本方法は、車両に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイスから複数の画像を受信することと、複数の画像の分析に基づいて、ホスト車両の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別することと、複数の画像の分析に基づいて、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することと、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定することと、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両のナビゲーション状態の変更が必要ではないことを特定するが、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値に基づいて、及び標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、ホスト車両における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせることとを含み得る。
【0014】
開示される他の実施形態によれば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つの処理デバイスにより実行され且つ本明細書に記載される任意の方法を実行するプログラム命令を記憶し得る。
【0015】
上述した概説及び以下に詳述する説明は、単に例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲の限定ではない。
【0016】
図面の簡単な説明
本開示に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、開示される様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】開示される実施形態による例示的なシステムの図表現である。
図2A】開示される実施形態によるシステムを含む例示的な車両の側面図表現である。
図2B】開示される実施形態による図2Aに示される車両及びシステムの上面図表現である。
図2C】開示される実施形態によるシステムを含む車両の別の実施形態の上面図表現である。
図2D】開示される実施形態によるシステムを含む車両の更に別の実施形態の上面図表現である。
図2E】開示される実施形態によるシステムを含む車両の更に別の実施形態の上面図表現である。
図2F】開示される実施形態による例示的な車両制御システムの図表現である。
図3A】バックミラーと、開示される実施形態による車両撮像システムのユーザインタフェースとを含む車両の内部の図表現である。
図3B】開示される実施形態による、バックミラーの背後に、車両フロントガラスと対向して位置決めされるように構成されるカメラマウントの例の図である。
図3C】開示される実施形態による、異なる視点からの図3Bに示されるカメラマウントの図である。
図3D】開示される実施形態による、バックミラーの背後に、車両フロントガラスと対向して位置決めされるように構成されるカメラマウントの例の図である。
図4】開示される実施形態による1つ又は複数の動作を実行する命令を記憶するように構成されるメモリの例示的なブロック図である。
図5A】開示される実施形態による、単眼画像分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図5B】開示される実施形態による、画像の組内の1つ又は複数の車両及び/又は歩行者を検出する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図5C】開示される実施形態による、画像の組内の道路マーク及び/又はレーンジオメトリ情報を検出する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図5D】開示される実施形態による、画像の組内の信号機を検出する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図5E】開示される実施形態による、車両経路に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセスのフローチャートである。
図5F】開示される実施形態による、先行車両がレーンを変更中であるか否かを特定する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図6】開示される実施形態による、立体画像分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図7】開示される実施形態による、3組の画像の分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図8】開示される実施形態による、1つ又は複数の動作を実行する命令を記憶するように構成されるメモリの例示的なブロック図である。
図9A】開示される実施形態による、車両が割込みを検出し且つそれに応答し得る例示的な状況の図である。
図9B】開示される実施形態による例示的な所定の割込み感度変更要素を示す。
図9C】開示される実施形態による例示的な所定の割込み感度変更要素を示す。
図9D】開示される実施形態による例示的な所定の割込み感度変更要素を示す。
図9E】開示される実施形態による例示的な所定の割込み感度変更要素を示す。
図10】開示される実施形態による、車両が利他的行動に従事し得る例示的な状況の図である。
図11】開示される実施形態による、車両割込み検出及び応答のための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図12】開示された実施形態による、利他的行動を考慮に入れながらナビゲートする例示的なプロセス1200を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。可能な場合には常に、図面及び以下の説明において、同じ又は同様の部分を指すのに同じ参照番号が使用される。幾つかの例示的な実施形態は本明細書で説明されるが、変更形態、適応形態、及び他の実装形態が可能である。例えば、図面に示される構成要素に対する置換形態、追加形態、又は変更形態がなされ得、本明細書に記載される例示的な方法は、開示される方法のステップの置換、順序替え、削除、又は追加により変更することができる。したがって、以下の詳細な説明は、開示される実施形態及び例に限定されない。その代わり、適切な範囲は、添付の特許請求の範囲により規定される。
【0019】
自律車両概説
本開示を通して使用される場合、「自律車両」という用語は、ドライバーの入力なしで少なくとも1つのナビゲーション変更を実施することが可能な車両を指す。「ナビゲーション変更」は、車両の操舵、ブレーキ、又は加速の1つ又は複数の変更を指す。自律的であるために、車両は完全に自動である(例えば、ドライバーなし又はドライバー入力なしでの完全動作)必要はない。むしろ、自律車両は、特定の時間期間中にはドライバーの制御下で動作し、他の時間期間中にはドライバーの制御なしで動作することができる車両を含む。自律車両は、操舵等の車両ナビゲーションの幾つかの側面のみを制御する(例えば、車両レーン制約間に車両コースを維持するために)が、他の側面(例えば、ブレーキ)をドライバーに任せ得る車両を含むこともできる。幾つかの場合、自律車両は、車両のブレーキ、速度制御、及び/又は操舵の幾つか又は全ての側面を扱い得る。
【0020】
人間のドライバーは、通常、車両を制御するために視覚的手掛かり及び観測に依存することから、交通基盤はそれに従って構築されており、レーンマーク、交通標識、及び信号機は全て、視覚的情報をドライバーに提供するように設計されている。交通基盤のこれらの設計特徴に鑑みて、自律車両は、カメラと、車両の環境から捕捉される視覚的情報を分析する処理ユニットとを含み得る。視覚的情報は、例えば、ドライバーにより観測可能な交通基盤の構成要素(例えば、レーンマーク、交通標識、信号機等)及び他の障害物(例えば、他の車両、歩行者、瓦礫等)を含み得る。更に、自動車両は、ナビゲート時、車両の環境のモデルを提供する情報等の記憶された情報を使用することもできる。例えば、車両は、GPSデータ、センサデータ(例えば、加速度計、速度センサ、サスペンションセンサ等からの)、及び/又は他の地図データを使用して、車両が走行している間、車両の環境に関連する情報を提供し得、車両(及び他の車両)は情報を使用して、モデルでのそれ自体の位置を特定し得る。
【0021】
システム概説
図1は、開示される例示的な実施形態によるシステム100のブロック図表現である。システム100は、特定の実施要件に応じて様々な構成要素を含み得る。幾つかの実施形態では、システム100は、処理ユニット110、画像取得ユニット120、位置センサ130、1つ又は複数のメモリユニット140、150、地図データベース160、ユーザインタフェース170、及び無線送受信機172を含み得る。処理ユニット110は、1つ又は複数の処理デバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、アプリケーションプロセッサ180、画像プロセッサ190、又は任意の他の適する処理デバイスを含み得る。同様に、画像取得ユニット120は、特定用途の要件に応じて、任意の数の画像取得デバイス及び構成要素を含み得る。幾つかの実施形態では、画像取得ユニット120は、画像捕捉デバイス122、画像捕捉デバイス124、及び画像捕捉デバイス126等の1つ又は複数の画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)を含み得る。システム100は、処理ユニット110を画像取得ユニット120に通信可能に接続するデータインタフェース128を含むこともできる。例えば、データインタフェース128は、画像取得ユニット120により取得された画像データを処理ユニット110に送信する任意の1つ又は複数の有線及び/又は無線リンクを含み得る。
【0022】
無線送受信機172は、無線周波数、赤外線周波数、磁場、又は電場の使用により無線インタフェースを介して伝送信号を1つ又は複数のネットワーク(例えば、セルラ、インターネット等)と交換するように構成される1つ又は複数のデバイスを含み得る。無線送受信機172は、任意の既知の標準を使用して、データを送信及び/又は受信し得る(例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Smart、802.15.4、ZigBee(登録商標)等)。
【0023】
アプリケーションプロセッサ180及び画像プロセッサ190は両方とも、様々なタイプの処理デバイスを含み得る。例えば、アプリケーションプロセッサ180及び画像プロセッサ190の何れか一方又は両方は、マイクロプロセッサ、プリプロセッサ(画像プリプロセッサ等)、グラフィックスプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)、サポート回路、デジタル信号プロセッサ、集積回路、メモリ、又はアプリケーションを実行し、画像を処理して分析するのに適する任意の他のタイプのデバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190は、任意のタイプのシングルコア又はマルチコアプロセッサ、モバイルデバイスマイクロコントローラ、中央演算処理装置等を含み得る。例えば、Intel(登録商標)、AMD(登録商標)等の製造業者から入手可能なプロセッサを含め、様々な処理デバイスが使用可能であり、様々なアーキテクチャ(例えば、x86プロセッサ、ARM(登録商標)等)を含み得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190は、Mobileye(登録商標)から入手可能な任意のEyeQシリーズのプロセッサを含み得る。これらのプロセッサ設計は、それぞれローカルメモリ及び命令セットを有する複数の処理ユニットを含む。そのようなプロセッサは、複数の画像センサから画像データを受信するビデオ入力を含み得ると共に、ビデオ出力機能を含むこともできる。一例では、EyeQ2(登録商標)は、332MHzで動作する90nm-ミクロン技術を使用する。EyeQ2(登録商標)アーキテクチャは、2つの浮動小数点ハイパースレッド32ビットRISC CPU(MIPS32(登録商標)34K(登録商標)コア)、5つのビジョン計算エンジン(VCE)、3つのベクトルマイクロコードプロセッサ(VMP(登録商標))、Denali64ビットモバイルDDRコントローラ、128ビット内部音響相互接続、デュアル16ビットビデオ入力及び18ビットビデオ出力コントローラ、16チャネルDMA、及び幾つかの周辺機器からなる。MIPS34K CPUは、5つのVCE、3つのVMP(商標)及びDMA、第2のMIPS34K CPU及びマルチチャネルDMA、並びに他の周辺機器を管理する。5つのVCE、3つのVMP(登録商標)、及びMIPS34K CPUは、多機能バンドルアプリケーションにより要求される集中的なビジョン計算を実行することができる。別の例では、開示される実施形態において、第三世代プロセッサであり、EyeQ2(登録商標)よりも6倍強力なEyeQ3(登録商標)を使用し得る。
【0025】
本明細書に開示される任意の処理デバイスは、特定の機能を実行するように構成し得る。特定の機能を実行するように、記載されたEyeQプロセッサ又は他のコントローラ若しくはマイクロプロセッサの何れか等の処理デバイスを構成することは、コンピュータ実行可能命令をプログラムし、処理デバイスの動作中に実行するために、それらの命令を処理デバイスに提供することを含み得る。幾つかの実施形態では、処理デバイスを構成することは、処理デバイスに直接、アーキテクチャ的命令をプログラムすることを含み得る。他の実施形態では、処理デバイスを構成することは、動作中、処理デバイスがアクセス可能なメモリに実行可能命令を記憶することを含み得る。例えば、処理デバイスは、動作中、メモリにアクセスして、記憶された命令を取得し実行し得る。
【0026】
図1は、処理ユニット110に含まれる2つの別個の処理デバイスを示すが、より多数又はより少数の処理デバイスを使用することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、単一の処理デバイスを使用して、アプリケーションプロセッサ180及び画像プロセッサ190のタスクを達成し得る。他の実施形態では、これらのタスクは、3つ以上の処理デバイスにより実行し得る。更に、幾つかの実施形態では、システム100は、画像取得ユニット120等の他の構成要素を含まず、1つ又は複数の処理ユニット110を含み得る。
【0027】
処理ユニット110は、様々なタイプのデバイスを含み得る。例えば、処理ユニット110は、コントローラ、画像プリプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)、サポート回路、デジタル信号プロセッサ、集積回路、メモリ、又は画像を処理し分析する任意の他のタイプのデバイス等の様々なデバイスを含み得る。画像プリプロセッサは、画像センサから画像を捕捉し、デジタル化し、処理するビデオプロセッサを含み得る。CPUは、任意の数のマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを含み得る。サポート回路は、キャッシュ、電源、クロック、及び入出力回路を含め、当技術分野で一般に周知の任意の数の回路であり得る。メモリは、プロセッサにより実行されると、システムの動作を制御するソフトウェアを記憶し得る。メモリは、データベース及び画像処理ソフトウェアを含み得る。メモリは、任意の数のランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ディスクドライブ、光学記憶装置、テープ記憶装置、リムーバブル記憶装置、及び他のタイプの記憶装置を含み得る。一例では、メモリは、処理ユニット110とは別個であり得る。別の例では、メモリは、処理ユニット110に統合し得る。
【0028】
各メモリ140、150は、プロセッサ(例えば、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190)により実行されると、システム100の様々な態様の動作を制御し得るソフトウェア命令を含み得る。これらのメモリユニットは、様々なデータベース及び画像処理ソフトウェアを含み得る。メモリユニットは、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ディスクドライブ、光学記憶装置、テープ記憶装置、リムーバブル記憶装置、及び/又は任意の他のタイプの記憶装置を含み得る。幾つかの実施形態では、メモリユニット140、150は、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190とは別個であり得る。他の実施形態では、これらのメモリユニットは、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190に統合し得る。
【0029】
位置センサ130は、システム100の少なくとも1つの構成要素に関連付けられた位置を特定するのに適する任意のタイプのデバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、位置センサ130はGPS受信機を含み得る。そのような受信機は、全地球測位システム衛星によりブロードキャストされる信号を処理することにより、ユーザの位置及び速度を特定することができる。位置センサ130からの位置情報は、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190に提供し得る。
【0030】
幾つかの実施形態では、システム100は、車両200の速度を測定する速度センサ(例えば、タコメータ)及び/又は車両200の加速度を測定する加速度計等の構成要素を含み得る。
【0031】
ユーザインタフェース170は、情報を提供するか、又はシステム100の1人若しくは複数のユーザから入力を受信するのに適する任意のデバイスを含み得る。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース170は、例えば、タッチスクリーン、マイクロフォン、キーボード、ポインタデバイス、トラックホィール、カメラ、つまみ、ボタン等を含め、ユーザ入力デバイスを含み得る。そのような入力デバイスを用いて、ユーザは、命令若しくは情報をタイプし、音声コマンドを提供し、ボタン、ポインタ、若しくは目追跡機能を使用して、又は情報をシステム100に通信する任意の他の適する技法を通して画面上のメニュー選択肢を選択することにより、システム100に情報入力又はコマンドを提供可能であり得る。
【0032】
ユーザインタフェース170は、ユーザに情報を提供するか、又はユーザから情報を受信し、例えば、アプリケーションプロセッサ180による使用のためにその情報を処理するように構成される1つ又は複数の処理デバイスを備え得る。幾つかの実施形態では、そのような処理デバイスは、目の動きを認識して追跡する命令、音声コマンドを受信して解釈する命令、タッチスクリーンで行われたタッチ及び/又はジェスチャを認識して解釈する命令、キーボード入力又はメニュー選択に応答する命令等を実行し得る。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース170は、ディスプレイ、スピーカ、触覚デバイス、及び/又は出力情報をユーザに提供する任意の他のデバイスを含み得る。
【0033】
地図データベース160は、システム100にとって有用な地図データを記憶する任意のタイプのデータベースを含み得る。幾つかの実施形態では、地図データベース160は、道路、水特徴、地理的特徴、ビジネス、関心点、レストラン、ガソリンスタンド等を含め、様々な項目の、基準座標系での位置に関連するデータを含み得る。地図データベース160は、そのような項目の位置のみならず、例えば、記憶された特徴の何れかに関連付けられた名称を含め、それらの項目に関連する記述子も記憶し得る。幾つかの実施形態では、地図データベース160は、システム100の他の構成要素と共に物理的に配置し得る。代替又は追加として、地図データベース160又はその一部は、システム100の他の構成要素(例えば、処理ユニット110)に関してリモートに配置し得る。そのような実施形態では、地図データベース160からの情報は、有線又は無線データ接続を介してネットワークにダウンロードし得る(例えば、セルラネットワーク及び/又はインターネット等を介して)。
【0034】
画像捕捉デバイス122、124、及び126は、それぞれ環境から少なくとも1つの画像を捕捉するのに適する任意のタイプのデバイスを含み得る。更に、任意の数の画像捕捉デバイスを使用して、画像プロセッサに入力する画像を取得し得る。幾つかの実施形態は、単一の画像捕捉デバイスのみを含み得、一方、他の実施形態は、2つ、3つ、更に4つ以上の画像捕捉デバイスを含み得る。画像捕捉デバイス122、124、及び126については、図2B図2Eを参照して更に以下に説明する。
【0035】
システム100又はシステム100の様々な構成要素は、様々な異なるプラットフォームに組み込み得る。幾つかの実施形態では、システム100は、図2Aに示されるように、車両200に含め得る。例えば、車両200は、図1に関して上述したように、処理ユニット110及びシステム100の任意の他の構成要素を備え得る。幾つかの実施形態では、車両200は単一の画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)のみを備え得、一方、図2B図2Eに関連して考察した実施形態等の他の実施形態では、複数の画像捕捉デバイスが使用可能である。例えば、図2Aに示されるように、車両200の画像捕捉デバイス122及び124の何れかは、ADAS(最新運転者支援システム)撮像セットの一部であり得る。
【0036】
画像取得ユニット120の一部として車両200に含まれる画像捕捉デバイスは、任意の適する位置に位置し得る。幾つかの実施形態では、図2A図2E及び図3A図3Cに示されるように、画像捕捉デバイス122は、バックミラーの近傍に配置し得る。この位置は、車両200のドライバーと同様の視線を提供し得、ドライバーにとって何が見え、何が見えないのかの判断を支援し得る。画像捕捉デバイス122は、バックミラーの近傍の任意の位置に位置し得るが、画像捕捉デバイス122をミラーのドライバー側に配置することは、ドライバーの視野及び/又は視線を表す画像の取得を更に支援し得る。
【0037】
画像取得ユニット120の画像捕捉デバイスのために他の位置を使用することもできる。例えば、画像捕捉デバイス124は、車両200のバンパー上又はバンパー内に配置し得る。そのような位置は、広視野を有する画像捕捉デバイスに特に適し得る。バンパーに配置される画像捕捉デバイスの視線は、ドライバーの視線と異なることができ、したがって、バンパー画像捕捉デバイス及びドライバーは、同じ物体を常に見ているわけではない。画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び126)は、他の位置に配置することもできる。例えば、画像捕捉デバイスは、車両200のサイドミラーの一方又は両方、車両200のルーフ、車両200のフード、車両200のトランク、車両200の側部に配置し得、車両200の任意のウィンドウに搭載、背後に位置決め、又は前に位置決めし得、車両200の前部及び/又は後部のライト又はその近傍等に搭載し得る。
【0038】
画像捕捉デバイスに加えて、車両200は、システム100の様々な他の構成要素を含み得る。例えば、処理ユニット110は、車両のエンジン制御ユニット(ECU)に統合されるか、又はECUとは別個に車両200に含まれ得る。車両200には、GPS受信機等の位置センサ130を備えることもでき、車両200は、地図データベース160並びにメモリユニット140及び150を含むこともできる。
【0039】
上述したように、無線送受信機172は、1つ又は複数のネットワーク(例えば、セルラネットワーク、インターネット等)を介してデータを及び/又は受信し得る。例えば、無線送受信機172は、システム100により収集されたデータを1つ又は複数のサーバにアップロードし、データを1つ又は複数のサーバからダウンロードし得る。無線送受信機172を介して、システム100は、例えば、定期的に又は需要時に地図データベース160、メモリ140、及び/又はメモリ150に記憶されたデータへの更新を受信し得る。同様に、無線送受信機172は、システム100からの任意のデータ(例えば、画像取得ユニット120により捕捉された画像、位置センサ130、他のセンサ、又は車両制御システムにより受信されたデータ等)及び/又は処理ユニット110により処理された任意のデータを1つ又は複数のサーバにアップロードし得る。
【0040】
システム100は、プライバシーレベル設定に基づいてデータをサーバ(例えば、クラウド)にアップロードし得る。例えば、システム100は、サーバに送信される、車両及び/又は車両のドライバー/所有者を一意に識別し得るタイプのデータ(メタデータを含む)を規制又は制限するプライバシーレベル設定を実施し得る。そのような設定は、例えば、無線送受信機172を介してユーザにより設定されてもよく、工場デフォルト設定により初期化されてもよく、又は無線送受信機172により受信されるデータにより設定されてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、システム100は、「高」プライバシーレベルに従ってデータをアップロードし得、ある設定下において、システム100は、特定の車両及び/又はドライバー/所有者についてのいかなる詳細もないデータ(例えば、ルートに関連する位置情報、捕捉画像等)を送信し得る。例えば、「高」プライバシーレベルに従ってデータをアップロードする場合、システム100は、車両識別番号(VIN)又は車両のドライバー若しくは所有者の氏名を含まず、代わりに、捕捉画像及び/又はルートに関連する限られた位置情報等のデータを送信し得る。
【0042】
他のプライバシーレベルも意図される。例えば、システム100は、「中」プライバシーレベルに従ってデータをサーバに送信し得、車両及び/又は車両タイプのメーカー及び/又はモデル(例えば、乗用車、スポーツユーティリティ車、トラック等)等の「高」プライバシーレベル下では含まれない追加情報を含み得る。幾つかの実施形態では、システム100は、「低」プライバシーレベルに従ってデータをアップロードし得る。「低」プライバシーレベル設定下では、システム100は、特定の車両、所有者/ドライバー、及び/又は車両が走行したルートの一部又は全体を一意に識別するのに十分なデータをアップロードし、そのような情報を含み得る。そのような「低」プライバシーレベルデータは、例えば、VIN、ドライバー/所有者氏名、出発前の車両の出発点、車両の意図される目的地、車両のメーカー及び/又はモデル、車両のタイプ等の1つ又は複数を含み得る。
【0043】
図2Aは、開示される実施形態による例示的な車両撮像システムの側面図表現である。図2Bは、図2Aに示される実施形態の上面図表現である。図2Bに示されるように、開示される実施形態は、バックミラーの近傍及び/又は車両200のドライバー近傍に位置決めされた第1の画像捕捉デバイス122と、車両200のバンパー領域(例えば、バンパー領域210の1つ)上又はバンパー領域内に位置決めされる第2の画像捕捉デバイス124と、処理ユニット110とを有するシステム100を本体内に含む車両200を示し得る。
【0044】
図2Cに示されるように、画像捕捉デバイス122及び124は両方とも、車両200のバックミラーの近傍及び/又はドライバーの近傍に位置決めし得る。更に、2つの画像捕捉デバイス122及び124が図2B及び図2Cに示されているが、他の実施形態が3つ以上の画像捕捉デバイスを含み得ることを理解されたい。例えば、図2D及び図2Eに示される実施形態では、第1の画像捕捉デバイス122、第2の画像捕捉デバイス124、及び第3の画像捕捉デバイス126が車両200のシステム100に含まれる。
【0045】
図2Dに示されるように、画像捕捉デバイス122は、車両200のバックミラーの近傍及び/又はドライバーの近傍に位置決めし得、画像捕捉デバイス124及び126は、車両200のバンパー領域(例えば、バンパー領域210の1つ)上に位置決めし得る。また、図2Eに示されるように、画像捕捉デバイス122、124、及び126は、車両200のバックミラーの近傍及び/又はドライバーシートの近傍に位置決めし得る。開示される実施形態は、いかなる特定の数及び構成の画像捕捉デバイスにも限定されず、画像捕捉デバイスは、車両200内及び/又は車両200上の任意の適する位置に位置決めし得る。
【0046】
開示される実施形態が車両に限定されず、他の状況でも適用可能なことを理解されたい。開示される実施形態が特定のタイプの車両200に限定されず、自動車、トラック、トレーラー、及び他のタイプの車両を含む全てのタイプの車両に適用可能であり得ることも理解されたい。
【0047】
第1の画像捕捉デバイス122は、任意の適するタイプの画像捕捉デバイスを含み得る。画像捕捉デバイス122は光軸を含み得る。一例では、画像捕捉デバイス122は、グローバルシャッタを有するAptina M9V024 WVGAセンサを含み得る。他の実施形態では、画像捕捉デバイス122は、1280×960ピクセルの解像度を提供し得、ローリングシャッタを含み得る。画像捕捉デバイス122は、様々な光学要素を含み得る。幾つかの実施形態では、1枚又は複数枚のレンズが含まれて、例えば、画像捕捉デバイスの所望の焦点距離及び視野を提供し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122に6mmレンズ又は12mmレンズを関連付け得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122は、図2Dに示されるように、所望の視野(FOV)202を有する画像を捕捉するように構成し得る。例えば、画像捕捉デバイス122は、46度FOV、50度FOV、52度FOV、又は52度FOVを超える度数を含め、40度~56度の範囲内等の通常のFOVを有するように構成し得る。代替的には、画像捕捉デバイス122は、28度FOV又は36度FOV等の23~40度の範囲の狭いFOVを有するように構成し得る。加えて、画像捕捉デバイス122は、100~180度の範囲の広いFOVを有するように構成し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122は、広角バンパーカメラ又は最高で180度FOVを有するバンパーカメラを含み得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122は、約100度の水平FOVを有するアスペクト比約2:1(例えば、H×V=3800×1900ピクセル)の7.2Mピクセル画像捕捉デバイスであり得る。そのような画像捕捉デバイスは、三次元画像捕捉デバイス構成の代わりに使用し得る。大きいレンズ歪みに起因して、そのような画像捕捉デバイスの垂直FOVは、画像捕捉デバイスが半径方向に対称なレンズを使用する実装形態では、50度よりはるかに低くなり得る。例えば、そのようなレンズは、半径方向で対称ではなく、それにより、水平FOV100度で、50度よりも大きい垂直FOVが可能である。
【0048】
第1の画像捕捉デバイス122は、車両200に関連付けられたシーンに対して複数の第1の画像を取得し得る。複数の第1の画像は、それぞれ一連の画像走査線として取得し得、これらはローリングシャッタを使用して捕捉し得る。各走査線は複数のピクセルを含み得る。
【0049】
第1の画像捕捉デバイス122は、第1の一連の画像走査線のそれぞれの取得に関連付けられた走査レートを有し得る。走査レートとは、画像センサが、特定の走査線に含まれる各ピクセルに関連付けられた画像データを取得することができるレートを指し得る。
【0050】
画像捕捉デバイス122、124、及び126は、例えば、CCDセンサ又はCMOSセンサを含め、任意の適するタイプ及び数の画像センサを含み得る。一実施形態では、CMOS画像センサはローリングシャッタと共に利用し得、それにより、行内の各ピクセルは一度に1つずつ読み取られ、行の走査は、画像フレーム全体が捕捉されるまで行毎に進められる。幾つかの実施形態では、行は、フレームに対して上から下に順次捕捉し得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び126)の1つ又は複数は、高解像度イメージャを構成し得、5Mピクセル超、7Mピクセル超、10Mピクセル超、又はそれを超える解像度を有し得る。
【0052】
ローリングシャッタの使用により、異なる行内のピクセルは異なるときに露出され捕捉されることになり得、それにより、スキュー及び他の画像アーチファクトが捕捉画像フレームで生じ得る。他方、画像捕捉デバイス122がグローバル又は同期シャッタを用いて動作するように構成される場合、全ピクセルは、同量の時間にわたり、共通の露出期間中に露出し得る。その結果、グローバルシャッタを利用するシステムから収集されるフレーム内の画像データは、特定のときのFOV全体(FOV202等)のスナップショットを表す。それとは逆に、ローリングシャッタを適用する場合、異なる時間にフレーム内の各行が露出され、データが捕捉される。したがって、移動中の物体は、ローリングシャッタを有する画像捕捉デバイスでは歪んで見えることがある。この現象について以下により詳細に説明する。
【0053】
第2の画像捕捉デバイス124及び第3の画像捕捉デバイス126は、任意のタイプの画像捕捉デバイスであり得る。第1の画像捕捉デバイス122のように、画像捕捉デバイス124及び126のそれぞれは、光軸を含み得る。一実施形態では、画像捕捉デバイス124及び126のそれぞれは、グローバルシャッタを有するAptina M9V024 WVGAセンサを含み得る。代替的には、画像捕捉デバイス124及び126のそれぞれは、ローリングシャッタを含み得る。画像捕捉デバイス122のように、画像捕捉デバイス124及び126は、様々なレンズ及び光学要素を含むように構成し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス124及び126に関連付けられたレンズは、画像捕捉デバイス122に関連付けられたFOV(FOV202等)と同じであるか、又は狭いFOV(FOV204及び206等)を提供し得る。例えば、画像捕捉デバイス124及び126は、40度、30度、26度、23度、20度、又は20度未満のFOVを有し得る。
【0054】
画像捕捉デバイス124及び126は、車両200に関連付けられたシーンに対して複数の第2及び第3の画像を取得し得る。複数の第2及び第3の画像のそれぞれは、第2及び第3の一連の画像走査線として取得し得、これらはローリングシャッタを使用して捕捉し得る。各走査線又は行は、複数のピクセルを有し得る。画像捕捉デバイス124及び126は、第2の一連の、及び第3の一連の各画像走査線の取得に関連付けられた第2及び第3の走査レートを有し得る。
【0055】
各画像捕捉デバイス122、124、及び126は、任意の適する位置に、車両200に対して任意の適する向きで位置決めし得る。画像捕捉デバイス122、124、及び126の相対位置は、画像捕捉デバイスから取得される情報を一緒に融合させることを支援するように選択し得る。例えば、幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス124に関連付けられたFOV(FOV204)は、画像捕捉デバイス122に関連付けられたFOV(FOV202等)及び画像捕捉デバイス126に関連付けられたFOV(FOV206等)と部分的又は完全に重複し得る。
【0056】
画像捕捉デバイス122、124、及び126は、任意の適する相対高さで車両200に配置し得る。一例では、画像捕捉デバイス122、124、及び126間に高さ差があり得、高さ差は、立体分析を可能にするのに十分な視差情報を提供し得る。例えば、図2Aに示されるように、2つの画像捕捉デバイス122及び124は異なる高さにある。画像捕捉デバイス122、124、及び126間には横方向変位差もあり得、例えば、処理ユニット110による立体分析に追加の視差情報を与える。横方向変位差は、図2C及び図2Dに示されるように、dで示し得る。幾つかの実施形態では、前部変位又は後部変位(例えば、範囲変位)が、画像捕捉デバイス122、124、126間に存在し得る。例えば、画像捕捉デバイス122は、画像捕捉デバイス124及び/又は画像捕捉デバイス126の0.5~2メートル以上背後に配置し得る。このタイプの変位では、画像捕捉デバイスの1つが、他の画像捕捉デバイスの潜在的なブラインドスポットをカバー可能であり得る。
【0057】
画像捕捉デバイス122は、任意の適する解像度能力(例えば、画像センサに関連付けられたピクセル数)を有し得、画像捕捉デバイス122に関連付けられた画像センサの解像度は、画像捕捉デバイス124及び126に関連付けられた画像センサの解像度よりも高くてもよく、低くてもよく、又は同じであってもよい。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122及び/又は画像捕捉デバイス124及び126に関連付けられた画像センサは、解像度640×480、1024×768、1280×960、又は任意の他の適する解像度を有し得る。
【0058】
フレームレート(例えば、画像捕捉デバイスが、次の画像フレームに関連付けられたピクセルデータの捕捉に移る前、1つの画像フレームのピクセルデータの組を取得する速度)は、制御可能であり得る。画像捕捉デバイス122に関連付けられたフレームレートは、画像捕捉デバイス124及び126に関連付けられたフレームレートよりも高くてもよく、低くてもよく、又は同じであってもよい。画像捕捉デバイス122、124、及び126に関連付けられたフレームレートは、フレームレートのタイミングに影響を及ぼし得る様々なファクタに依存し得る。例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び126の1つ又は複数は、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126内の画像センサの1つ又は複数のピクセルに関連付けられた画像データの取得前又は取得後に課される選択可能なピクセル遅延期間を含み得る。一般に、各ピクセルに対応する画像データは、デバイスのクロックレート(例えば、1クロックサイクル当たり1ピクセル)に従って取得し得る。更に、ローリングシャッタを含む実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126の1つ又は複数は、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126内の画像センサのピクセル行に関連付けられた画像データの取得前又は取得後に課される選択可能な水平ブランク期間を含み得る。更に、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126の1つ又は複数は、画像捕捉デバイス122、124、及び126の画像フレームに関連付けられた画像データの取得前又は取得後に課される選択可能な垂直ブランク期間を含み得る。
【0059】
これらのタイミング制御により、各画像捕捉デバイスの線走査レートが異なる場合であっても、画像捕捉デバイス122、124、及び126に関連付けられたフレームレートを同期させることができ得る。更に、以下に更に詳細に考察するように、ファクタ(例えば、画像センサ解像度、最高線走査率等)の中でも特に、これらの選択可能なタイミング制御により、画像捕捉デバイス122の視野が画像捕捉デバイス124及び126のFOVと異なる場合であっても、画像捕捉デバイス122のFOVが画像捕捉デバイス124及び126の1つ又は複数のFOVと重複するエリアからの画像捕捉を同期させることが可能になり得る。
【0060】
画像捕捉デバイス122、124、及び126でのフレームレートタイミングは、関連付けられた画像センサの解像度に依存し得る。例えば、両デバイスの線走査レートが同様であると仮定し、一方のデバイスが解像度640×480を有する画像センサを含み、他方のデバイスが解像度1280×960を有する画像センサを含む場合、高い解像度を有するセンサからの画像データのフレーム取得ほど、長い時間が必要になる。
【0061】
画像捕捉デバイス122、124、及び126での画像データ取得のタイミングに影響を及ぼし得る他のファクタは、最高線走査レートである。例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び126に含まれる画像センサからの画像データ行の取得は、何らかの最小時間量を必要とする。ピクセル遅延期間が追加されないと仮定すると、画像データ行を取得するこの最小時間量は、特定のデバイスの最高線走査レートに関連することになる。高い最高線走査レートを提供するデバイスほど、より低い最高線走査レートを有するデバイスよりも高いフレームレートを提供する潜在性を有する。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス124及び126の一方又は両方は、画像捕捉デバイス122に関連付けられた最高線走査レートよりも高い最高線走査レートを有し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス124及び/又は126の最高線走査レートは、画像捕捉デバイス122の最高線走査レートの1.25倍、1.5倍、1.75倍、又は2倍以上であり得る。
【0062】
別の実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126は、同じ最高線走査レートを有し得るが、画像捕捉デバイス122は、その最高走査レート以下の走査レートで動作し得る。システムは、画像捕捉デバイス124及び126の一方又は両方が画像捕捉デバイス122の線走査レートと等しい線走査レートで動作するように構成し得る。他の例では、システムは、画像捕捉デバイス124及び/又は126の線走査レートが、画像捕捉デバイス122の線走査レートの1.25倍、1.5倍、1.75倍、又は2倍以上であり得るように構成し得る。
【0063】
幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126は非対称であり得る。すなわち、これら画像捕捉デバイスは、異なる視野(FOV)及び焦点距離を有するカメラを含み得る。画像捕捉デバイス122、124、及び126の視野は、例えば、車両200の環境に対する任意の所望のエリアを含み得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126の1つ又は複数は、車両200の前の環境、車両200の背後の環境、車両200の両側の環境、又はそれらの組合せから画像データを取得するように構成し得る。
【0064】
更に、各画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126に関連付けられた焦点距離は、各デバイスが車両200から所望の距離範囲にある物体の画像を取得するように選択可能であり得る(例えば、適切なレンズの包含等により)。例えば、幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126は、車両から数メートル以内の近接物体の画像を取得し得る。画像捕捉デバイス122、124、126は、車両からより離れた範囲(例えば、25m、50m、100m、150m、又はそれを超える)における物体の画像を取得するように構成することもできる。更に、画像捕捉デバイス122、124、及び126の焦点距離は、ある画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122)が車両に比較的近い(例えば、10m以内又は20m以内)物体の画像を取得することができ、一方、その他の画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス124及び126)が、車両200からより離れた物体(例えば、20m超、50m超、100m超、150m超等)の画像を取得することができるように選択し得る。
【0065】
幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の画像捕捉デバイス122、124、及び126のFOVは、広角を有し得る。例えば、特に車両200の近傍エリアの画像取得に使用し得る画像捕捉デバイス122、124、及び126には140度のFOVを有することが有利であり得る。例えば、画像捕捉デバイス122は、車両200の右又は左のエリアの画像の捕捉に使用し得、そのような実施形態では、画像捕捉デバイス122が広いFOV(例えば、少なくとも140度)を有することが望ましいことがある。
【0066】
画像捕捉デバイス122、124、及び126のそれぞれに関連付けられた視野は、各焦点距離に依存し得る。例えば、焦点距離が増大するにつれて、対応する視野は低減する。
【0067】
画像捕捉デバイス122、124、及び126は、任意の適する視野を有するように構成し得る。特定の一例では、画像捕捉デバイス122は、水平FOV46度を有し得、画像捕捉デバイス124は水平FOV23度を有し得、画像捕捉デバイス126は水平FOV23~46度を有し得る。別の例では、画像捕捉デバイス122は水平FOV52度を有し得、画像捕捉デバイス124は水平FOV26度を有し得、画像捕捉デバイス126は、水平FOV26~52度を有し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122のFOVと画像捕捉デバイス124及び/又は画像捕捉デバイス126のFOVとの比率は、1.5~2.0で変化し得る。他の実施形態では、この比率は1.25~2.25で変化し得る。
【0068】
システム100は、画像捕捉デバイス122の視野が、画像捕捉デバイス124及び/又は画像捕捉デバイス126の視野と少なくとも部分的に又は完全に重複するように構成し得る。幾つかの実施形態では、システム100は、画像捕捉デバイス124及び126の視野が、例えば、画像捕捉デバイス122の視野内に入り(例えば、画像捕捉デバイス122の視野よりも小さく)、画像捕捉デバイス122の視野と共通の中心を共有するように構成し得る。他の実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126は、隣接するFOVを捕捉してもよく、又は部分的に重複するFOVを有してもよい。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126の視野は、FOVのより狭い画像捕捉デバイス124及び/又は126の中心が、FOVがより広いデバイス122の視野の下半分に配置され得るように位置合わせし得る。
【0069】
図2Fは、開示される実施形態による例示的な車両制御システムの図表現である。図2Fに示されるように、車両200は、スロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240を含み得る。システム100は、1つ又は複数のデータリンク(例えば、任意の有線及び/又は無線リンク又はデータを伝送するリンク)を介して、スロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240の1つ又は複数に入力(例えば、制御信号)を提供し得る。例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126により取得された画像の分析に基づいて、システム100は、車両200をナビゲートする制御信号をスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240の1つ又は複数に提供し得る(例えば、加速、ターン、レーンシフト等を行わせることにより)。更に、システム100は、車両200の動作状況を示す入力(例えば、速度、車両200がブレーキ中及び/又はターン中であるか否か等)をスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム24の1つ又は複数から受信し得る。以下、更なる詳細を図4図7に関連して提供する。
【0070】
図3Aに示されるように、車両200は、車両200のドライバー又は乗員と相互作用するユーザインタフェース170を含むこともできる。例えば、車両アプリケーション内のユーザインタフェース170は、タッチスクリーン320、つまみ330、ボタン340、及びマイクロフォン350を含み得る。車両200のドライバー又は乗員は、ハンドル(例えば、例えば、ウィンカーハンドルを含め、車両200のステアリングコラム上又はその近傍に配置される)及びボタン(例えば、車両200のハンドルに配置される)等を使用して、システム100と相互作用することもできる。幾つかの実施形態では、マイクロフォン350はバックミラー310に隣接して位置決めし得る。同様に、幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122は、バックミラー310の近傍に配置し得る。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース170は、1つ又は複数のスピーカ360(例えば、車両オーディオシステムのスピーカ)を含むこともできる。例えば、システム100は、スピーカ360を介して様々な通知(例えば、アラート)を提供し得る。
【0071】
図3B図3Dは、開示される実施形態による、バックミラー(例えば、バックミラー310)の背後に、車両フロントガラスと対向して位置決めされるように構成される例示的なカメラマウント370の図である。図3Bに示されるように、カメラマウント370は、画像捕捉デバイス122、124、及び126を含み得る。画像捕捉デバイス124及び126は、グレアシールド380の背後に位置決めし得、グレアシールド380は、フロントガラスに直接接触し得、フィルム及び/又は反射防止材料の組成物を含み得る。例えば、グレアシールド380は、一致する傾斜を有するフロントガラスと対向して位置合わせされるように位置決めし得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126のそれぞれは、例えば、図3Dに示されるように、グレアシールド380の背後に位置決めし得る。開示される実施形態は、画像捕捉デバイス122、124及び126、カメラマウント370、並びにグレアシールド380のいかなる特定の構成にも限定されない。図3Cは、前から見た図3Bに示されるカメラマウント370の図である。
【0072】
本開示の恩恵を受ける当業者により理解されるように、上記開示された実施形態に対する多くの変形形態及び/又は変更形態がなされ得る。例えば、全ての構成要素がシステム100の動作にとって必須であるわけではない。更に、任意の構成要素がシステム100の任意の適切な部分に配置し得、構成要素は、開示される実施形態の機能を提供しながら、様々な構成に再配置し得る。したがって、上述した構成は例であり、上述した構成に関係なく、システム100は、車両200の周囲を分析し、分析に応答して車両200をナビゲートする広範囲の機能を提供することができる。
【0073】
以下に更に詳細に考察するように、様々な開示される実施形態により、システム100は、自律運転及び/又はドライバー支援技術に関連する様々な特徴を提供し得る。例えば、システム100は、画像データ、位置データ(例えば、GPS位置情報)、地図データ、速度データ、及び/又は車両200に含まれるセンサからのデータを分析し得る。システム100は、例えば、画像取得ユニット120、位置センサ130、及び他のセンサから、分析のためにデータを収集し得る。更に、システム100は、収集されたデータを分析して、車両200が特定の行動をとるべきか否かを特定し、次に、人間の介入なしで、判断された動作を自動的にとり得る。例えば、車両200が人間の加入なしでナビゲートする場合、システム100は、車両200のブレーキ、加速度、及び/又は操舵を自動的に制御し得る(例えば、制御信号をスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240の1つ又は複数に送信することにより)。更に、システム100は、収集されたデータを分析し、収集されたデータの分析に基づいて警告及び/又はアラートを車両の搭乗者に発行し得る。システム100により提供される様々な実施形態に関する更なる詳細を以下に提供する。
【0074】
前向きマルチ撮像システム
上述したように、システム100は、マルチカメラシステムを使用する運転支援機能を提供し得る。マルチカメラシステムは、車両の前方方向を向いた1つ又は複数のカメラを使用し得る。他の実施形態では、マルチカメラシステムは、車両の側部又は車両の後方を向いた1つ又は複数のカメラを含み得る。一実施形態では、例えば、システム100は2カメラ撮像システムを使用し得、その場合、第1のカメラ及び第2のカメラ(例えば、画像捕捉デバイス122及び124)は、車両(例えば、車両200)の前部及び/又は側部に位置決めし得る。第1のカメラは、第2のカメラの視野よりも大きい、小さい、又は部分的に重複する視野を有し得る。更に、第1のカメラは、第1の画像プロセッサに接続されて、第1のカメラにより提供される画像の単眼画像分析を実行し得、第2のカメラは第2の画像プロセッサに接続されて、第2のカメラにより提供される画像の単眼画像分析を実行し得る。第1及び第2の画像プロセッサの出力(例えば、処理された情報)は結合し得る。幾つかの実施形態では、第2の画像プロセッサは、第1のカメラ及び第2のカメラの両方からの画像を受信して、立体分析を実行し得る。別の実施形態では、システム100は3カメラ撮像システムを使用し得、この場合、各カメラは異なる視野を有する。したがって、そのようなシステムは、車両の前方及び側部の両方の様々な距離にある物体から導出される情報に基づいて判断を下し得る。単眼画像分析との言及は、画像分析が単一視点から(例えば、単一のカメラ)から捕捉される画像に基づいて画像分析が実行される場合を指し得る。立体画像分析は、画像捕捉パラメータの1つ又は複数を変更した状態で捕捉された2つ以上の画像に基づいて画像分析が実行される場合を指し得る。例えば、立体画像分析の実行に適した捕捉画像は、2つ以上の異なる位置から捕捉される画像、異なる視野から捕捉される画像、異なる焦点距離を使用して捕捉される画像、視差情報付きで捕捉される画像等を含み得る。
【0075】
例えば、一実施形態では、システム100は、画像捕捉デバイス122~126を使用する3カメラ構成を実施し得る。そのような構成では、画像捕捉デバイス122は、狭視野(例えば、34度又は約20~45度の範囲から選択される他の値等)を提供し得、画像捕捉デバイス124は、広視野(例えば、150度又は約100~約180度の範囲から選択される他の値)を提供し得、画像捕捉デバイス126は、中視野(例えば、46度又は約35~約60度の範囲から選択される他の値)を提供し得る。幾つかの実施形態では、画像捕捉デバイス126は、主又は一次カメラとして動作し得る。画像捕捉デバイス122~126は、バックミラー310の背後に、実質的に並んで(例えば、6cm離間)位置決めし得る。更に、幾つかの実施形態では、上述したように、画像捕捉デバイス122~126の1つ又は複数は、車両200のフロントガラスと同一平面のグレアシールド380の背後に搭載し得る。そのようなシールドは、車内部からのいかなる反射の画像捕捉デバイス122~126への影響も最小にするように動作し得る。
【0076】
別の実施形態では、図3B及び図3Cに関連して上述したように、広視野カメラ(例えば、上記例では画像捕捉デバイス124)は、狭い主視野カメラ(例えば、上記例では画像捕捉デバイス122及び126)よりも低く搭載し得る。この構成は、広視野カメラからの自由な視線を提供し得る。反射を低減するために、カメラは、車両200のフロントガラス近くに搭載し得、反射光を弱める偏光器をカメラに含み得る。
【0077】
3カメラシステムは、特定の性能特徴を提供し得る。例えば、幾つかの実施形態は、あるカメラによる物体の検出を別のカメラからの検出結果に基づいて検証する機能を含み得る。上述した3カメラ構成では、処理ユニット110は、例えば、3つの処理デバイス(例えば、上述したように3つのEyeQシリーズのプロセッサチップ)を含み得、各処理デバイスは、画像捕捉デバイス122~126の1つ又は複数により捕捉される画像の処理に向けられる。
【0078】
3カメラシステムでは、第1の処理デバイスは、主カメラ及び狭視野カメラの両方から画像を受信し得、狭FOVカメラのビジョン処理を実行して、例えば、他の車両、歩行者、レーンマーク、交通標識、信号機、及び他の道路物体を検出し得る。更に、第1の処理デバイスは、主カメラからの画像と狭カメラからの画像との間でのピクセルの不一致を計算し、車両200の環境の3D再構築を作成し得る。次に、第1の処理デバイスは、3D再構築を3Dマップデータ又は別のカメラからの情報に基づいて計算される3D情報と結合し得る。
【0079】
第2の処理デバイスは、主カメラから画像を受信し得、ビジョン処理を実行して、他の車両、歩行者、レーンマーク、交通標識、信号機、及び他の道路物体を検出し得る。更に、第2の処理デバイスは、カメラ変位を計算し、変位に基づいて、連続画像間のピクセルの不一致を計算し、シーンの3D再構築(例えば、ストラクチャーフロムモーション)を作成し得る。第2の処理デバイスは、3D再構築に基づくストラクチャーフロムモーションを第1の処理デバイスに送信し、ストラクチャーフロムモーションを立体3D画像と結合し得る。
【0080】
第3の処理デバイスは、画像を広FOVカメラから受信し、画像を処理して、車両、歩行者、レーンマーク、交通標識、信号機、及び他の道路物体を検出し得る。第3の処理デバイスは、追加の処理命令を更に実行して、画像を分析し、レーン変更中の車両、歩行者等の画像内の移動中の物体を識別し得る。
【0081】
幾つかの実施形態では、画像に基づく情報ストリームを独立して捕捉させ、処理させることは、システムで冗長性を提供する機会を提供し得る。そのような冗長性は、例えば、第1の画像捕捉デバイス及びそのデバイスから処理された画像を使用して、少なくとも第2の画像捕捉デバイスから画像情報を捕捉し処理することにより得られる情報を検証及び/又は捕捉し得る。
【0082】
幾つかの実施形態では、システム100は、車両200にナビゲーション支援を提供するに当たり2つの画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122及び124)を使用し得、第3の画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス126)を使用して、冗長性を提供し、他の2つの画像捕捉デバイスから受信されるデータの分析を検証し得る。例えば、そのような構成では、画像捕捉デバイス122及び124は、車両200をナビゲートするためのシステム100による立体分析の画像を提供し得、一方、画像捕捉デバイス126は、システム100による単眼分析に画像を提供して、画像捕捉デバイス123及び/又は画像捕捉デバイス124から捕捉された画像に基づいて得られる情報の冗長性及び検証を提供し得る。すなわち、画像捕捉デバイス126(及び対応する処理デバイス)は、画像捕捉デバイス122及び124から導出された分析へのチェックを提供する冗長サブシステムを提供する(例えば、自動緊急ブレーキ(AEB)システムを提供する)と見なし得る。
【0083】
上記カメラ構成、カメラ配置、カメラ数、カメラ位置等が単なる例示であることを当業者は認識するであろう。全体システムに対して説明されるこれらの構成要素等は、開示される実施形態の範囲から逸脱せずに、様々な異なる構成で組み立て且つ使用し得る。ドライバー支援及び/又は自律車両機能を提供するためのマルチカメラシステムの使用に関する更なる詳細が以下に続く。
【0084】
図4は、開示される実施形態による1つ又は複数の動作を実行する命令を記憶/プログラムされ得るメモリ140及び/又は150の例示的な機能ブロック図である。以下ではメモリ140を参照するが、当業者は、命令がメモリ140及び/又は150に記憶可能なことを認識するであろう。
【0085】
図4に示されるように、メモリ140は、単眼画像分析モジュール402、立体画像分析モジュール404、速度及び加速度モジュール406、並びにナビゲーション応答モジュール408を記憶し得る。開示される実施形態は、いかなる特定の構成のメモリ140にも限定されない。更に、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190は、メモリ140に含まれる任意のモジュール402~408に記憶された命令を実行し得る。以下の考察での処理ユニット110の参照が、アプリケーションプロセッサ180及び画像プロセッサ190を個々に又はまとめて指し得ることを当業者は理解するであろう。したがって、以下のプロセスの何れかのステップは、1つ又は複数の処理デバイスにより実行し得る。
【0086】
一実施形態では、単眼画像分析モジュール402は命令(コンピュータビジョンソフトウェア等)を記憶し得、命令は、処理ユニット110により実行されると、画像捕捉デバイス122、124、及び126の1つにより取得された画像の組の単眼画像分析を実行する。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、画像の組からの情報を追加のセンサ情報(例えば、レーダからの情報)と結合して、単眼画像分析を実行し得る。以下の図5A図5Dに関連して説明するように、単眼画像分析モジュール402は、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路出口ランプ、信号機、危険物、及び車両の環境に関連付けられた任意の他の特徴等、画像の組内の特徴の組を検出する命令を含み得る。分析に基づいて、システム100は、ナビゲーション応答モジュール408に関連して以下で考察するように、ターン、レーンシフト、及び加速度変更等の1つ又は複数のナビゲーション応答を車両200において生じさせ得る(例えば、処理ユニット110を介して)。
【0087】
一実施形態では、立体画像分析モジュール404は命令(コンピュータビジョンソフトウェア等)を記憶し得、命令は、処理ユニット110により実行されると、画像捕捉デバイス122、124、及び126から選択された画像捕捉デバイスの組合せにより取得される第1及び第2の組の画像の立体画像分析を実行する。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、第1及び第2の組の画像からの情報を追加のセンサ情報(例えば、レーダからの情報)と結合して、立体画像分析を実行し得る。例えば、立体画像分析モジュール404は、画像捕捉デバイス124により取得される第1の組の画像及び画像捕捉デバイス126により取得される第2の組の画像に基づいて、立体画像分析を実行する命令を含み得る。以下で図6に関連して説明するように、立体画像分析モジュール404は、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路出口ランプ、信号機、及び危険物等の第1及び第2の組の画像内の特徴の組を検出する命令を含み得る。分析に基づいて、処理ユニット110は、ナビゲーション応答モジュール408に関連して後述するように、ターン、レーンシフト、及び加速度変更等の1つ又は複数のナビゲーション応答を車両200において生じさせ得る。
【0088】
一実施形態では、速度及び加速度モジュール406は、車両200の速度及び/又は加速度を変更させるように構成される車両200内の1つ又は複数の計算及び電気機械デバイスから受信されるデータを分析するように構成されるソフトウェアを記憶し得る。例えば、処理ユニット110は、速度及び加速度モジュール406に関連付けられた命令を実行して、単眼画像分析モジュール402及び/又は立体画像分析モジュール404の実行から導出されるデータに基づいて、車両200の目標速度を計算し得る。そのようなデータとしては、例えば、目標位置、速度、及び/又は加速度、付近の車両、歩行者、又は道路物体に対する車両200の位置及び/又は速度、及び道路のレーンマークに対する車両200の位置情報等を挙げ得る。加えて、処理ユニット110は、センサ入力(例えば、レーダからの情報)と、車両200のスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び/又は操舵システム240等の車両200の他のシステムからの入力とに基づいて、車両200の目標速度を計算し得る。計算された目標速度に基づいて、処理ユニット110は、電子信号を車両200のスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び/又は操舵システム240に送信して、例えば、車両200のブレーキを物理的に弱めるか、又はアクセルを弱めることにより速度及び/又は加速度の変更をトリガーし得る。
【0089】
一実施形態では、ナビゲーション応答モジュール408は、処理ユニット110により実行可能であり、単眼画像分析モジュール402及び/又は立体画像分析モジュール404の実行から導出されるデータに基づいて、所望のナビゲーション応答を決定するソフトウェアを記憶し得る。そのようなデータは、付近の車両、歩行者、及び道路物体に関連付けられた位置及び速度情報並びに車両200の目標位置情報等を含み得る。更に、幾つかの実施形態では、ナビゲーション応答は、地図データ、車両200の所定の位置、及び/又は車両200と、単眼画像分析モジュール402及び/又は立体画像分析モジュール404の実行から検出される1つ又は複数の物体との間の相対速度又は相対加速度に基づき得る(部分的又は完全に)。ナビゲーション応答モジュール408は、センサ入力(例えば、レーダからの情報)と、車両200のスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240等の車両200の他のシステムからの入力とに基づいて、所望のナビゲーション応答を決定することもできる。所望のナビゲーション応答に基づいて、処理ユニット110は、電子信号を車両200のスロットルシステム220、ブレーキシステム230、及び操舵システム240に送信して、例えば、車両200のハンドルをターンさせ、所定の角度の回転を達成することにより、所望のナビゲーション応答をトリガーし得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、車両200の速度変更を計算するための速度及び加速度モジュール406の実行への入力として、ナビゲーション応答モジュール408の出力(例えば、所望のナビゲーション応答)を使用し得る。
【0090】
図5Aは、開示される実施形態による、単眼画像分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセス500Aを示すフローチャートである。ステップ510において、処理ユニット110は、処理ユニット110と画像取得ユニット120との間のデータインタフェース128を介して、複数の画像を受信し得る。例えば、画像取得ユニット120に含まれるカメラ(視野202を有する画像捕捉デバイス122等)は、車両200の前方(又は例えば、車両の側部若しくは後方)のエリアの複数の画像を捕捉し、データ接続(例えば、デジタル、有線、USB、無線、Bluetooth等)を介して処理ユニット110に送信し得る。処理ユニット110は、単眼画像分析モジュール402を実行して、ステップ520において、以下で図5B図5Dに関連して更に詳細に説明するように、複数の画像を分析し得る。分析を実行することにより、処理ユニット110は、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路出口ランプ、及び信号機等の画像の組内の特徴の組を検出し得る。
【0091】
処理ユニット110は、ステップ520において、単眼画像分析モジュール402を実行して、例えば、トラックタイヤの部品、落ちた道路標識、緩んだ貨物、及び小動物等の様々な道路危険物を検出することもできる。道路危険物の構造、形状、サイズ、及び色は様々であり得、そのような危険物の検出をより難しくする。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、単眼画像分析モジュール402を実行して、マルチフレーム分析を複数の画像に対して実行して、道路危険物を検出し得る。例えば、処理ユニット110は、連続画像フレーム間でのカメラ移動を推定し、フレーム間のピクセルの不一致を計算して、道路の3Dマップを構築し得る。次に、処理ユニット110は、3Dマップを使用して、路面及び路面の上に存在する危険物を検出し得る。
【0092】
ステップ530において、処理ユニット110は、ナビゲーション応答モジュール408を実行して、ステップ520において実行された分析及び図4に関連して上述した技法に基づいて、車両200に1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば、ターン、レーンシフト、及び加速度変更等を含み得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、速度及び加速度モジュール406の実行から導出されるデータを使用して、1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。更に、複数のナビゲーション応答は同時に生じてもよく、順次生じてもよく、又はそれらの任意の組合せで生じてもよい。例えば、処理ユニット110は、例えば、制御信号を車両200の操舵システム240及びスロットルシステム220に順次送信することにより、車両200に1レーン超えさせ、それから、例えば、加速させ得る。代替的には、処理ユニット110は、例えば、制御信号を車両200のブレーキシステム230及び操舵システム240に同時に送信することにより、車両200に、ブレーキを掛けさせ、それと同時にレーンをシフトさせ得る。
【0093】
図5Bは、開示される実施形態による、画像の組内の1つ又は複数の車両及び/又は歩行者を検出する例示的なプロセス500Bを示すフローチャートである。処理ユニット110は、単眼画像分析モジュール402を実行して、プロセス500Bを実施し得る。ステップ540において、処理ユニット110は、存在する可能性がある車両及び/又は歩行者を表す候補物体の組を特定し得る。例えば、処理ユニット110は、1つ又は複数の画像を走査し、画像を1つ又は複数の所定のパターンと比較し、各画像内で、対象物体(例えば、車両、歩行者、又はそれらの部分)を含み得る可能性がある位置を識別し得る。所定のパターンは、高率の「偽性ヒット」及び低率の「見逃し」を達成するように指定し得る。例えば、処理ユニット110は、所定のパターンへの低い類似性閾値を使用して、可能性のある車両又は歩行者として候補物体を識別し得る。そうすることにより、処理ユニット110は、車両又は歩行者を表す候補物体を見逃す(例えば、識別しない)確率を低減することができ得る。
【0094】
ステップ542において、処理ユニット110は、候補物体の組をフィルタリングして、分類基準に基づいて特定の候補(例えば、無関係又は関係性の低い物体)を除外し得る。そのような基準は、データベース(例えば、メモリ140に記憶されるデータベース)に記憶された物体タイプに関連付けられた様々な特性から導出し得る。特性は、物体の形状、寸法、テクスチャ、及び位置(例えば、車両200に対する)等を含み得る。したがって、処理ユニット110は、1つ又は複数の組の基準を使用して、候補物体の組から偽性候補を拒絶し得る。
【0095】
ステップ544において、処理ユニット110は、複数の画像フレームを分析して、候補画像の組内の物体が車両及び/又は歩行者を表しているか否かを特定し得る。例えば、処理ユニット110は、連続フレームにわたり検出された候補物体を追跡し、検出された物体に関連付けられたフレーム毎データ(例えば、サイズ、車両200に対する位置等)を蓄積し得る。更に、処理ユニット110は、検出された物体のパラメータを推定し、物体のフレーム毎位置データを予測位置と比較し得る。
【0096】
ステップ546において、処理ユニット110は、検出された物体の測定値の組を構築し得る。そのような測定値は、例えば、検出された物体に関連付けられた位置、速度、及び加速度値(車両200に対する)を含み得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、カルマンフィルタ又は線形二次推定(LQE)等の一連の時間ベースの観測を使用する推定技法及び/又は異なる物体タイプ(例えば、車、トラック、歩行者、自転車、道路標識等)で利用可能なモデリングデータに基づいて、測定値を構築し得る。カルマンフィルタは、物体のスケールの測定値に基づき得、ここで、スケール測定は衝突までの時間(例えば、車両200が物体に達するまでの時間量)に比例する。したがって、ステップ540~546を実行することにより、処理ユニット110は、捕捉画像の組内に現れる車両及び歩行者を識別し、車両及び歩行者に関連付けられた情報(例えば、位置、速度、サイズ)を導出し得る。識別及び導出される情報に基づいて、処理ユニット110は、図5Aに関連して上述したように、車両200で1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。
【0097】
ステップ548において、処理ユニット110は、1つ又は複数の画像のオプティカルフロー分析を実行して、「偽性ヒット」を検出する確率及び車両又は歩行者を表す候補物体を見逃す確率を低減し得る。オプティカルフロー分析は、例えば、他の車両及び歩行者に関連付けられた1つ又は複数の画像内の車両200に対する、路面の動きとは別個の移動パターンを分析することを指し得る。処理ユニット110は、異なる時刻に捕捉された複数の画像フレームにわたる物体の異なる位置を観測することにより、候補物体の移動を計算し得る。処理ユニット110は、位置及び時間値を数学モデルへの入力として使用して、候補物体の移動を計算し得る。したがって、オプティカルフロー分析は、車両200の付近にある車両及び歩行者を検出する別の方法を提供し得る。処理ユニット110は、ステップ540~546と組み合わせてオプティカルフロー分析を実行して、車両及び歩行者を検出する冗長性を提供すると共に、システム100の信頼度を上げ得る。
【0098】
図5Cは、開示される実施形態による、画像の組内の道路マーク及び/又はレーンジオメトリ情報を検出する例示的なプロセス500Cを示すフローチャートである。処理ユニット110は、単眼画像分析モジュール402を実行して、プロセス500Cを実施し得る。ステップ550において、処理ユニット110は、1つ又は複数の画像を走査することにより物体の組を検出し得る。レーンマークの区分、レーンジオメトリ情報、及び他の関連道路マークを検出するために、処理ユニット110は、物体の組をフィルタリングして、無関連(例えば、小さい穴、小さい岩等)であると判断されるものを除外し得る。ステップ552において、処理ユニット110は、同じ道路マーク又はレーンマークに属する、ステップ550において検出されたセグメントを一緒にグループ化し得る。グループ化に基づいて、処理ユニット110は、数学モデル等のモデルを開発して、検出されたセグメントを表し得る。
【0099】
ステップ554において、処理ユニット110は、検出されたセグメントに関連付けられた測定値の組を構築し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、画像平面から実世界平面への検出セグメントの射影を作成し得る。射影は、検出された道路の位置、傾斜、曲率、及び曲率微分等の物理特性に対応する係数を有する三次多項式を使用して特徴付け得る。射影を生成するに当たり、処理ユニット110は、路面変化並びに車両200に関連付けられたピッチ及びロール率を考慮に入れ得る。加えて、処理ユニット110は、位置及び路面に存在するモーションキューを分析することにより道路高をモデリングし得る。更に、処理ユニット110は、1つ又は複数の画像での特徴点の組を追跡することにより、車両200に関連付けられたピッチ率及びロール率を推定し得る。
【0100】
ステップ556において、処理ユニット110は、例えば、連続した画像フレームにわたり検出セグメントを追跡し、検出セグメントに関連付けられたフレーム毎データを蓄積することにより、マルチフレーム分析を実行し得る。処理ユニット110はマルチフレーム分析を実行する場合、ステップ554において構築された測定値の組はより信頼性の高いものになり得、ますます高い信頼度を関連付け得る。したがって、ステップ550~556を実行することにより、処理ユニット110は、捕捉画像の組内に現れる道路マークを識別し、レーンジオメトリ情報を導出し得る。識別及び導出される情報に基づいて、処理ユニット110は、図5Aに関連して上述したように、車両200で1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。
【0101】
ステップ558において、処理ユニット110は、追加の情報ソースを考慮して、車両の周囲の状況での車両200の安全モデルを更に開発し得る。処理ユニット110は、安全モデルを使用して、システム100が車両200の自律制御を安全に実行し得る状況を定義し得る。安全モデルを開発するために、幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、他の車両の位置及び動き、検出された道路縁部及び障壁、及び/又は地図データ(地図データベース160からのデータ等)から抽出された一般道路形状記述を考慮し得る。追加の情報ソースを考慮することにより、処理ユニット110は、道路マーク及びレーンジオメトリを検出するための冗長性を提供し、システム100の信頼性を上げ得る。
【0102】
図5Dは、開示される実施形態による、画像の組内の信号機を検出する例示的なプロセス500Dを示すフローチャートである。処理ユニット110は、単眼画像分析モジュール402を実行して、プロセス500Dを実施し得る。ステップ560において、処理ユニット110は、画像の組を走査し、信号機を含む可能性が高い画像内の位置に現れる物体を識別し得る。例えば、処理ユニット110は、識別された物体をフィルタリングして、信号機に対応する可能性が低い物体を除外した候補物体の組を構築し得る。フィルタリングは、形状、寸法、テクスチャ、及び位置(例えば、車両200に対する)等の信号機に関連付けられた様々な特性に基づいて行い得る。そのような特性は、信号機及び交通制御信号の多くの例に基づき得、データベースに記憶し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、信号機の可能性がある候補物体の組に対してマルチフレーム分析を実行し得る。例えば、処理ユニット110は、連続した画像フレームにわたり候補物体を追跡し、候補物体の現実世界位置を推定し、移動している(信号機である可能性が低い)物体をフィルタリングして除去し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、カラー分析を候補物体に対して実行し、信号機の可能性がある候補物体内部に表される検出色の相対位置を識別し得る。
【0103】
ステップ562において、処理ユニット110は、交差点のジオメトリを分析し得る。分析は、(i)車両200の両側で検出されるレーン数、(ii)道路で検出されたマーク(矢印マーク等)、及び(iii)地図データ(地図データベース160からのデータ等)から抽出された交差点の記述の任意の組合せに基づき得る。処理ユニット110は、単眼分析モジュール402の実行から導出される情報を使用して、分析を行い得る。加えて、処理ユニット110は、ステップ560において検出された信号機と、車両200近傍に現れるレーンとの対応性を特定し得る。
【0104】
車両200が交差点に近づくにつれて、ステップ564において、処理ユニット110は、分析された交差点ジオメトリ及び検出された信号機に関連付けられた信頼度を更新し得る。例えば、交差点に実際に現れる数と比較した、交差点に現れると推定された信号機の数は、信頼度に影響を及ぼし得る。したがって、信頼度に基づいて、処理ユニット110は、車両200のドライバーに制御を委任して、安全状況を改善し得る。ステップ560~564を実行することにより、処理ユニット110は、捕捉画像の組内に現れる信号機を識別し、交差点ジオメトリ情報を分析し得る。識別及び分析に基づいて、処理ユニット110は、図5Aに関連して上述したように、車両200で1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。
【0105】
図5Eは、開示される実施形態による、車両経路に基づいて車両200で1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセス500Eのフローチャートである。ステップ570において、処理ユニット110は、車両200に関連付けられた初期車両経路を構築し得る。車両経路は、座標(x,y)で表される点の組を使用して表し得、点の組内の2点間距離dは、1~5メートルの範囲内にあり得る。一実施形態では、処理ユニット110は、左右の道路多項式等の2つの多項式を使用して初期車両経路を構築し得る。処理ユニット110は、2つの多項式間の幾何学的中間点を計算し、所定のオフセットがある場合(オフセット0は、レーンの中央での走行に対応し得る)、所定のオフセット(例えば、スマートレーンオフセット)だけ、結果として生成される車両経路に含まれる各点をオフセットさせ得る。オフセットは、車両経路内の任意の2点間の区分に垂直の方向であり得る。別の実施形態では、処理ユニット110は、1つの多項式及び推定レーン幅を使用して、推定レーン幅の半分に所定のオフセット(例えば、スマートレーンオフセット)を加えたものだけ車両経路の各点をオフセットさせ得る。
【0106】
ステップ572において、処理ユニット110は、ステップ570において構築された車両経路を更新し得る。処理ユニット110は、車両経路を表す点の組内の2点間距離dが、上述した距離dよりも短くなるように、より高い解像度を使用して、570において構築された車両経路を再構築し得る。例えば、距離dは0.1~0.3メートルの範囲であり得る。処理ユニット110は、放物線スプラインアルゴリズムを使用して車両経路を再構築し得、これは、車両経路の全長(すなわち、車両経路を表す点の組に基づく)に対応する累積距離ベクトルSをもたらし得る。
【0107】
ステップ574において、処理ユニット110は、ステップ572において行われた更新車両経路に基づいて、先読み点((x,z)として座標で表される)を特定し得る。処理ユニット110は、累積距離ベクトルSから先読み点を抽出し得、先読み点には、先読み距離及び先読み時間を関連付け得る。先読み距離は、下限範囲10~20メートルを有し得、車両200の速度と先読み時間との積として計算し得る。例えば、車両200の速度が下がるにつれて、先読み距離も短くなり得る(例えば、下限に達するまで)。0.5~1.5秒の範囲であり得る先読み時間は、進行エラー追跡制御ループ等の車両200でナビゲーション応答を生じさせることに関連付けられた1つ又は複数の制御ループの利得に反比例し得る。例えば、進行エラー追跡制御ループの利得は、ヨー率ループ、操舵アクチュエータループ、及び車横方向ダイナミクス等の帯域幅に依存し得る。したがって、進行エラー追跡制御ループの利得が高いほど、先読み時間は短くなる。
【0108】
ステップ576において、処理ユニット110は、ステップ574において特定される先読み点に基づいて、進行エラー及びヨー率コマンドを決定し得る。処理ユニット110は、先読み点の逆正接、例えば、arctan(x/z)を計算することにより、進行エラーを特定し得る。処理ユニット110は、進行エラーと高レベル制御利得との積として、ヨー率コマンドを決定し得る。高レベル制御利得は、先読み距離が下限にない場合、(2/先読み時間)に等しい値であり得る。先読み距離が下限である場合、高レベル制御利得は(2*車両200の速度/先読み距離)に等しい値であり得る。
【0109】
図5Fは、開示される実施形態による、先行車両がレーンを変更中であるか否かを特定する例示的なプロセス500Fを示すフローチャートである。ステップ580において、処理ユニット110は、先行車両(例えば、車両200の前を移動中の車両)に関連付けられたナビゲーション情報を特定し得る。例えば、処理ユニット110は、図5A及び図5Bに関連して上述した技法を使用して、先行車両の位置、速度(例えば、方向及び速度)、及び/又は加速度を特定し得る。処理ユニット110は、図5Eに関連して上述した技法を使用して、1つ又は複数の道路多項式、先読み点(車両200に関連付けられる)、及び/又はスネイルトレイル(例えば、先行車両がとった経路を記述する点の組)を特定することもできる。
【0110】
ステップ582において、処理ユニット110は、ステップ580において特定されたナビゲーション情報を分析し得る。一実施形態では、処理ユニット110は、スネイルトレイルと道路多項式との間の距離(例えば、トレイルに沿った)を計算し得る。トレイルに沿ったこの距離の相違が所定の閾値(例えば、直線道路では0.1~0.2メートル、緩くカーブした道路では0.3~0.4メートル、急カーブの道路では0.5~0.6メートル)を超える場合、処理ユニット110は、先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。複数の車両が、車両200の前を走行中であることが検出される場合、処理ユニット110は、各車両に関連付けられたスネイルトレイルを比較し得る。比較に基づいて、処理ユニット110は、スネイルトレイルが他の車両のスネイルトレイルに一致しない車両が、レーン変更中である可能性が高いと判断し得る。処理ユニット110は、更に、スネイルトレイル(先行車両に関連付けられた)の曲率を、先行車両が移動中の道路区分の予期される曲率と比較し得る。予期される曲率は、地図データ(例えば、地図データベース160からのデータ)、道路多項式、他の車両のスネイルトレイル、及び道路についての事前知識等から抽出し得る。スネイルトレイルの曲率と道路区分の予期される曲率との差が、所定の閾値を超える場合、処理ユニット110は、先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。
【0111】
別の実施形態では、処理ユニット110は、特定の時間期間(例えば、0.5~1.5秒)にわたり、先行車両の瞬間的な位置を先読み点(車両200に関連付けられた)と比較し得る。特定の時間期間中の先行車両の瞬間的な位置と先読み点との間の距離の差及び相違の累積和が、所定の閾値(例えば、直線道路では0.3~0.4メートル、緩くカーブした道路では0.7~0.8メートル、急カーブの道路では1.3~1.7メートル)を超える場合、処理ユニット110は、先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。別の実施形態では、処理ユニット110は、トレイルに沿って移動した横方向距離をスネイルトレイルの予期される曲率と比較することにより、スネイルトレイルの幾何学的形状を分析し得る。予期される曲率半径は、計算:
(δ +δ )/2/(δ
に従って特定し得、式中、σは横方向移動距離を表し、σは縦方向移動距離を表す。横方向移動距離と予期される曲率との差が所定の閾値(例えば、500~700メートル)を超える場合、処理ユニット110は、先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。別の実施形態では、処理ユニット110は、先行車両の位置を分析し得る。先行車両の位置が道路多項式を見えなくする(例えば、先行車両が道路多項式の上に重なる)場合、処理ユニット110は、先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。先行車両の位置が、別の車両が先行車両の前方で検出され、2台の車両のスネイルトレイルが平行ではないようなものである場合、処理ユニット110は、(より近い)先行車両がレーン変更中である可能性が高いと判断し得る。
【0112】
ステップ584において、処理ユニット110は、ステップ582において実行された分析に基づいて、先行車両200がレーン変更中であるか否かを特定し得る。例えば、処理ユニット110は、ステップ582において実行された個々の分析の加重平均に基づいてその判断を下し得る。そのような方式下では、例えば、特定のタイプの分析に基づいた、先行車両がレーン変更中である可能性が高いという処理ユニット110による判断には、値「1」を割り当て得る(「0」は、先行車両がレーン変更中である可能性が低いとの判断を表す)。ステップ582において実行される異なる分析には異なる重みを割り当て得、開示される実施形態は、分析及び重みのいかなる特定の組合せにも限定されない。
【0113】
図6は、開示される実施形態による、立体画像分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセス600を示すフローチャートである。ステップ610において、処理ユニット110は、データインタフェース128を介して第1及び第2の複数の画像を受信し得る。例えば、画像取得ユニット120に含まれるカメラ(視野202及び204を有する画像捕捉デバイス122及び124等)は、車両200の前方のエリアの第1及び第2の複数の画像を捕捉し、デジタル接続(例えば、USB、無線、Bluetooth等)を介して処理ユニット110に送信し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、2つ以上のデータインタフェースを介して第1及び第2の複数の画像を受信し得る。開示される実施形態は、いかなる特定のデータインタフェース構成又はプロトコルにも限定されない。
【0114】
ステップ620において、処理ユニット110は、立体画像分析モジュール404を実行して、第1及び第2の複数の画像の立体画像分析を実行して、車両の前の道路の3Dマップを作成し、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路出口ランプ、信号機、及び道路危険物等の画像内の特徴を検出し得る。立体画像分析は、図5A図5Dに関連して上述したステップと同様に実行し得る。例えば、処理ユニット110は、立体画像分析モジュール404を実行して、第1及び第2の複数の画像内の候補物体(例えば、車両、歩行者、道路マーク、信号機、道路危険物等)を検出し、様々な基準に基づいて候補物体のサブセットをフィルタリングして除外し、マルチフレーム分析を実行し、測定値を構築し、残りの候補物体の信頼度を特定し得る。上記ステップを実行するに当たり、処理ユニット110は、画像の1つの組のみからの情報ではなく、第1及び第2の複数の画像の両方からの情報を考慮し得る。例えば、処理ユニット110は、第1及び第2の複数の画像の両方に現れる候補物体のピクセルレベルデータ(又は捕捉画像の2つのストリームの中からの他のデータサブセット)の差を分析し得る。別の例として、処理ユニット110は、物体が複数の画像の1枚に現れるが、残りの他の画像では現れないことを観測することにより、又は2つの画像ストリームに現れる物体に対して存在し得る他の差に対して、候補物体の位置及び/又は速度(例えば、車両200に対する)を推定し得る。例えば、車両200に対する位置、速度、及び/又は加速度は、画像ストリームの一方又は両方に現れる物体に関連付けられた特徴の軌道、位置、移動特性等に基づいて特定し得る。
【0115】
ステップ630において、処理ユニット110は、ナビゲーション応答モジュール408を実行して、ステップ620において実行された分析及び図4に関連して上述した技法に基づいて、車両200で1つ又は複数のナビゲーション動作を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば、ターン、レーンシフト、加速度変更、速度変更、及びブレーキ等を含み得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、速度及び加速度モジュール406の実行から導出されるデータを使用して、1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。更に、複数のナビゲーション応答は、同時に行ってもよく、順次行ってもよく、又はそれらの任意の組合せで行ってもよい。
【0116】
図7は、開示される実施形態による、3組の画像の分析に基づいて1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせる例示的なプロセス700を示すフローチャートである。ステップ710において、処理ユニット110は、データインタフェース128を介して第1、第2、及び第3の複数の画像を受信し得る。例えば、画像取得ユニット120に含まれるカメラ(視野202、204、及び206を有する画像捕捉デバイス122、124、及び126等)は、車両200の前方及び/又は側部のエリアの第1、第2、及び第3の複数の画像を捕捉し、デジタル接続(例えば、USB、無線、Bluetooth等)を介して処理ユニット110に送信し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、3つ以上のデータインタフェースを介して第1、第2、及び第3の複数の画像を受信し得る。例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び126のそれぞれは、処理ユニット110にデータを通信する関連付けられたデータインタフェースを有し得る。開示される実施形態は、いかなる特定のデータインタフェース構成又はプロトコルにも限定されない。
【0117】
ステップ720において、処理ユニット110は、第1、第2、及び第3の複数の画像を分析して、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路出口ランプ、信号機、及び道路危険物等の画像内の特徴を検出し得る。分析は、図5A図5D及び図6に関連して上述したステップと同様に実行し得る。例えば、処理ユニット110は、単眼画像分析を第1、第2、及び第3の複数のそれぞれの画像に対して実行し得る(例えば、単眼画像分析モジュール402の実行及び図5A図5Dに関連して上述したステップに基づいて)。代替的には、処理ユニット110は、立体画像分析を第1及び第2の複数の画像、第2及び第3の複数の画像、及び/又は第1及び第3の複数の画像に対して実行し得る(例えば、立体画像分析モジュール404の実行を介して及び図6に関連して上述したステップに基づいて)。第1、第2、及び/又は第3の複数の画像の分析に対応する処理済み情報は、結合し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、単眼画像分析と立体画像分析との組合せを実行し得る。例えば、処理ユニット110は、単眼画像分析を第1の複数の画像に対して実行し(例えば、単眼画像分析モジュール402の実行を介して)、立体画像分析を第2及び第3の複数の画像に対して実行し得る(例えば、立体画像分析モジュール404の実行を介して)。画像捕捉デバイス122、124、及び126の構成(各位置及び視野202、204、及び206を含む)は、第1、第2、及び第3の複数の画像に対して行われる分析のタイプに影響を及ぼし得る。開示される実施形態は、画像捕捉デバイス122、124、及び126の特定の構成又は第1、第2、及び第3の複数の画像に対して行われる分析のタイプに限定されない。
【0118】
幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、ステップ710及び720において取得され分析された画像に基づいて、システム100にテストを実行し得る。そのようなテストは、画像捕捉デバイス122、124、及び126の特定の構成でのシステム100の全体性能のインジケータを提供し得る。例えば、処理ユニット110は、「偽性ヒット」(例えば、システム100が、車両又は歩行者が存在していると誤って判断する場合)及び「見落とし」の割合を特定し得る。
【0119】
ステップ730において、処理ユニット110は、第1、第2、及び第3の複数の画像の2つから導出される情報に基づいて、車両200での1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。第1、第2、及び第3の複数の画像のうちの2つを選択することは、例えば、複数の画像のそれぞれで検出される物体の数、タイプ、及びサイズ等の様々なファクタに依存し得る。処理ユニット110は、画像の品質及び解像度、画像に反映される有効視野、捕捉フレーム数、及び対象となる1つ又は複数の物体が実際にフレームに現れる程度(例えば、物体が現れるフレームのパーセンテージ、物体がそのような各フレームで現れる割合等)等に基づいて選択を行うことができる。
【0120】
幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、ある画像ソースから導出された情報が、他の画像ソースから導出される情報と一貫する程度を特定することにより、第1、第2、及び第3の複数の画像のうちの2つから導出される情報を選択し得る。例えば、処理ユニット110は、画像捕捉デバイス122、124、及び126のそれぞれから導出される処理済み情報(単眼分析であれ、立体分析であれ、又はそれら2つの任意の組合せであれ関係なく)を結合して、画像捕捉デバイス122、124、及び126のそれぞれから捕捉される画像にわたり一貫する視覚的インジケータ(例えば、レーンマーク、検出された車両及び/又はその位置及び/又は経路、検出された信号機等)を特定し得る。処理ユニット110は、捕捉画像にわたり一貫しない情報(例えば、レーンを変更中の車両、車両200に近過ぎる車両を示すレーンモデル等)を除外することもできる。したがって、処理ユニット110は、一貫情報及び非一貫情報の特定に基づいて、第1、第2、及び第3の複数の画像のうちの2つからの導出される情報を選択し得る。
【0121】
ナビゲーション応答は、例えば、ターン、レーンシフト、及び加速度変更を含み得る。処理ユニット110は、ステップ720において実行される分析及び図4に関連して上述した技法に基づいて、1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。処理ユニット110は、速度及び加速度モジュール406の実行から導出されるデータを使用して、1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせることもできる。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、車両200と第1、第2、及び第3の複数の画像の何れかで検出される物体との間の相対位置、相対速度、及び/又は相対加速度に基づいて、1つ又は複数のナビゲーション応答を生じさせ得る。複数のナビゲーション応答は、同時に行ってもよく、順次行ってもよく、又はそれらの任意の組合せで行ってもよい。
【0122】
割込み車両の予測と利他的行動応答
ナビゲーション中、車両200等の自律車両は、レーンシフトを試みている他の車両に遭遇し得る。例えば、車両200が走行しているレーンの左又は右にあるレーン(例えば、道路上のマークにより指定されるレーン、又は道路上にマークのない、車両200の経路に整列するレーン)にある車両が、車両200の走行中のレーンへの変更又は割込みを試み得る。このような車両を標的車両とし得る。このような割込みが行われるとき、車両200はナビゲーション応答を行う必要があり得る。例えば、車両200は、その速度又は加速度を変更し、及び/又は他のレーンに変更することにより、標的車両による割込みを回避することができる。
【0123】
幾つかの例では、標的車両は割込みしようとしているよう見え得るが、最終的に割込みは行われないことがあり得る。標的車両のドライバー(又は更に標的車両に関連付けられる完全又は一部自律ナビゲーションシステム)が、例えば心変わりをしたか、それ以外にナビゲーションプランをレーン変更以外に変えることがあり得、又は標的車両が単に滑ったに過ぎないことがあり得る。したがって、不必要なブレーキ及び/又は加速を頻繁に行うことを回避するために、車両200は、標的車両による割込みが行われる可能性が十分となったと判断されるまで、ナビゲーション応答の実行を遅らせることが望ましいことがあり得る。他方、幾つかの状況では(特に標的車両によるホスト車両の経路へのコース変更が予期される場合)、車両200がナビゲーション応答をより早期に実行することが望ましいことがあり得る。少なくとも一部に予期される行動に基づくこのようなナビゲーションは、急ブレーキを回避するのに役立ち得、安全マージンを格段に広げ得る。標的車両による割込みの試みの予測を改善することは、不必要なブレーキと急ブレーキとの両方を最小限にするのに役立ち得る。このような改善された予測を割込み検出と呼ぶことができ、割込みが検出されたときにとられるナビゲーション応答を割込み応答と呼ぶことができる。
【0124】
幾つかの実施形態では、このような改善された予測は、例えば、静的道路特徴(例えば、レーン終了、道路分割)、動的道路特徴(例えば、割込みを試みる可能性のある車両の前方の他の車両の存在)、及び/又は地理的地域内の交通ルールと運転習慣を検出するために、単眼及び/又は立体画像分析、及び/又は他のソースから(例えば、GPSデバイス、速度センサ、加速度計、サスペンションセンサ等から)得られる情報に依存することができる。これらの静的道路特徴、動的道路特徴、及び/又は交通ルールと運転習慣は、所定の割込み感度変更要素と呼ぶことができ、1つ又は複数の所定の割込み感度変更要因の存在は、車両200に標的車両による割込みの試みに対するその感度を変化させ得る。例えば、所定の割込み感度変更要因が環境内に存在する場合(例えば、標的車両が、より低速で移動中の他の車両に近距離で追従している)、車両200は第1の割込み感度パラメータに依存し得、環境中に所定の割込み感度変更要素が存在しない場合(例えば、そのレーンに標的車両のみがある)、車両200は第2の割込み感度パラメータに依存し得る。第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なり得る(例えば、より高感度である)。
【0125】
幾つかの場合、標的車両による割込みが必要であり得る。例えば、標的車両が走行しているレーンが終了することがあり得、道路が分割されることがあり得、又は標的車両が走行しているレーンに障害物(例えば、停止中の車両、物体、又はその他の種類の障害)があり得る。しかし、他の場合、標的車両による割込みは任意選択により得る。例えば、標的車両は、単に、より低速で移動中の車両を追い越すために割込みを試み得る。割込みが任意選択による場合、標的車両が割込みを試みるか否かは、車両200(例えば、ホスト車両)がどのように行動するかに依存し得る。例えば、車両200は、減速することによって標的車両が割り込んでもよいことを知らせ得るか、又は加速することによって標的車両が割り込んではならないことを知らせ得る。加速は、それによって車両200がより早く目的地に到着できる限り、多くの場合、車両200にとって望ましいことがあり得るが、車両200のオペレータ(又は車両200を完全又は部分的に制御するナビゲーションシステム)は、幾つか又は全ての場合において、割込みを許可する傾向があり得る。これを利他的行動と呼ぶことができる。したがって、車両200が、標的車両による割込みを許可するか否かを判断する際、利他的行動に関する検討事項を考慮に入れることが望ましいことがあり得る。
【0126】
図8は、開示される実施形態による1つ又は複数の動作を実行する命令と共に記憶/プログラムされ得るメモリ140及び/又は150の例示的な機能ブロックである。以下はメモリ140に関するものであるが、当業者であれば、命令がメモリ140及び/又は150に記憶され得、命令はシステム100の処理ユニット110により実行され得ることがわかるであろう。
【0127】
図8に示されているように、メモリ140は、単眼画像分析モジュール402と、立体画像分析モジュール404と、速度及び加速度モジュール406と、ナビゲーション応答モジュール408とを含み得、これらは図4に関連して上で説明したモジュールの形態の何れも取り得る。メモリ140は、割込み検出モジュール802と、割込み応答モジュール804と、利他的行動モジュール806とを更に含み得る。開示される実施形態は、メモリ140の何れの特定の構成にも限定されない。更に、アプリケーションプロセッサ180及び/又は画像プロセッサ190は、メモリ140に含まれるモジュール402~408及び802~806の何れに記憶された命令も実行し得る。当業者であれば、以下の考察での処理ユニット110への言及は、アプリケーションプロセッサ180と画像プロセッサ190とを個別又は集合的に指し得ることを理解するであろう。したがって、以下のプロセスの何れのステップも、1つ又は複数の処理デバイスにより実行され得る。更に、モジュール402~408及び802~806の何れも、車両200からリモートに記憶され得る(例えば、ネットワークに接続され、ネットワーク上で車両200の無線送受信機172を介してアクセス可能な1つ又は複数のサーバに分散される)。
【0128】
幾つかの実施形態では、割込み検出モジュール802は、処理ユニット110により実行されると、標的車両の検出を可能にする命令を記憶し得る。標的車両は、車両200が走行しているレーンに隣接するレーンを走行している車両であり得、幾つかの場合、先行車両であり得る。幾つかの実施形態では、割込み検出モジュール802は、単眼画像分析モジュール402に関連して上で説明したように、画像捕捉デバイス122、124、及び126のうちの1つにより取得された画像の組の単眼画像分析を実行することによって標的車両を検出し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、画像の組からの情報を追加のセンサ情報(例えば、レーダ又はライダからの情報)と結合して、単眼画像分析を実行し得る。図5A~5Dに関連して上で説明したように、このような単眼画像分析は、画像の組内の特徴の組、例えば車両の縁部の特徴、車両のライト(又は車両に関連付けられるその他の要素)、レーンマーク、車両、又は道路標識を検出することを含み得る。例えば、標的車両を検出することは、図5Bに関連して説明したように実行され得、これには標的車両を含む候補物体の組を特定することと、候補物体の組をフィルタにかけることと、候補物体の組のマルチフレーム分析を実行することと、検出された物体(標的車両を含む)の測定値の組を構成することと、オプティカルフロー分析を実行することとを含む。測定値としては、例えば、標的座標に関連付けられる位置、速度、加速度の値(車両200に関する)を含み得る。
【0129】
代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、割込み検出モジュール802は、立体画像分析モジュール404に関連して上で説明したように、画像捕捉デバイス122、124、及び126の何れかから選択された画像捕捉デバイスの組合せにより取得された第1及び第2の組の画像の立体画像分析を実行することにより、標的車両を検出し得る。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は、第1及び第2の組の画像からの情報を、追加のセンサ情報(例えば、レーダ又はライダからの情報)と結合して、立体画像分析を実行し得る。例えば、立体画像分析モジュール404は、画像捕捉デバイス124により取得された第1の組の画像と画像捕捉デバイス126により取得された第2の組の画像とに基づいて立体画像分析を実行する命令を含み得る。図6に関連して説明したように、立体画像分析は、第1及び第2の組の画像中の特徴の組、例えば車両の縁部の特徴、車両のライト(又は車両に関連付けられるその他の要素)、レーンマーク、車又は道路標識を検出することを含み得る。
【0130】
他の実施形態では、画像捕捉デバイス122、124、及び126のうちの1つにより取得された画像を分析することによって1つ又は複数の車両(例えば、標的車両)を検出することの代替案として、割込み検出モジュール802は、その代わりに、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得された情報等のセンサ情報の分析を通じて車両を検出し得る。
【0131】
幾つかの実施形態では、割込み検出モジュール802は、更に、処理ユニット110により実行されると、標的車両が割込みを試みるであろう(すなわち、標的車両が、車両200が走行しているレーンへのレーン変更又はそれ以外のホスト車両の走行経路中への移動を試みるであろう)というインジケータの識別を可能にする命令を記憶し得る。幾つかの実施形態では、インジケータを識別することは、図5Bに関連して上で説明したように、単眼及び/又は立体画像分析を使用して標的車両の位置及び/又は速度を検出することを含み得る。幾つかの実施形態では、インジケータを識別することは、図5Cに関連して上で説明したように、1つ又は複数の道路マークを検出することを更に含み得る。また、幾つかの実施形態では、インジケータを識別することは、図5Fに関連して上で説明したように、標的車両がレーンを変更していることを検出することを更に含み得る。特に、処理ユニット110は、図5A及び5Bに関連して上で説明した技術を用いて、先行車両の位置、速度(例えば、方向及び速度)、及び/又は加速度等、標的車両に関連付けられるナビゲーション情報を特定し得る。処理ユニット110はまた、図5Eに関連して上で説明した技術を用いて、1つ又は複数の道路多項式、先読み点(車両200に関連付けられる)、及び/又はスネイルトレイル(例えば、先行車両がたどった経路を記述する点の組)も特定し得る。更に、処理ユニット110は、図5Fに関連して上で説明したように、例えば、スネイルトレイルと道路多項式との間の距離(例えば、トレイルに沿った)を計算すること、又は特定の時間期間(例えば、0.5~1.5秒)にわたり先行車両の瞬間的な位置を先読み点(車両200に関連付けられる)と比較することにより、ナビゲーション情報を分析し得る。分析に基づき、処理ユニット110は、先行車両が割込みを試みているというインジケータが存在するか否かを識別し得る。
【0132】
割込み検出モジュール802は、更に、処理ユニット110により実行されると、所定の割込み感度変更要素が車両200の環境中に存在することを検出可能にする命令を記憶し得る。所定の割込み感度変更要素は、標的車両が現在の経路にとどまるのか、ホスト車両の経路へとコース変更するのかという傾向を示唆する任意のインジケータを含み得る。このような感度変更要素は、静的道路特徴(例えば、レーン終了、道路分割、障壁、物体)、動的道路特徴(例えば、割込みを試みる可能性のある車両の前方の他の車両の存在)、及び/又は地理的地域内の交通ルールと運転習慣を含み得る。幾つかの実施形態では、所定の割込み感度変更要素を検出することは、単眼及び/又は立体画像分析を使用して、画像の組内の特徴の組、例えばレーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路の出口ランプ、信号機、危険物、並びに図5A~5D及び6に関連して上で説明したような、車両の環境に関連付けられる任意の他の特徴を検出することを含み得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、所定の割込み感度変更要素を検出することは、他のセンサ情報、例えばGPSデータを使用することを含み得る。例えば、レーン終了、高速道路分割等は地図データに基づいて特定され得る。他の例として、交通ルールは、GPS位置データに基づいて特定され得る。
【0133】
割込み応答モジュール804は、処理ユニット110により実行されると、割込み応答が実行されることを可能にする命令を記憶し得る。割込み応答は、ターン、レーンシフト、加速度変更等、ナビゲーション応答に関して上で説明した形態の何れも取り得、これはナビゲーション応答モジュール408に関連して後に考察する。
【0134】
幾つかの実施形態において、割込み応答が実行されるか否かは、環境中に所定の割込み感度変更要素の有無に依存し得る。例えば、所定の割込み感度変更要素が環境中に存在しない場合(例えば、そのレーン内に割込みを試みている車両のみがある、画像分析又はGPS/地図/交通データの精査の何れを通じてもレーンシフトや障害物が検出されない等)、車両200は第1の割込み感度パラメータに依存し得る。幾つかの実施形態では、所定の割込み感度変更要素が環境中にない場合、車両200は第1の割込み感度パラメータに関連付けられる値に依存し得る。値は、第1の割込み感度パラメータに直接結び付けられた、及び/又は測定された任意の値を含み得、又は第1の割込み感度パラメータに間接的に関係する1つ又は複数の値であり得る。
【0135】
他方、1つ又は複数の所定の割込み感度変更要素が環境中に存在する場合(例えば、標的車両が高速で移動していて、そのレーン内のより低速の車両に接近しつつある、レーンシフト又はレーン終了状態が画像分析を通じて視覚的に又はGPS/地図/交通情報の参照を通じて検出された、その局所的地域が左レーンの運転を奨励しない地域である等)、車両200は第2の割込み感度パラメータに依存し得る。第2の割込み感度パラメータは第1の割込み感度パラメータと異なり得る(例えば、より高感度である)。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の所定の割込み感度変更要素が環境中に存在する場合、車両200は第2の割込み感度パラメータに関連付けられる値に依存し得る。第1の割込み感度パラメータに関連付けられる値に関する上述の考察と同様に、第2の割込み感度パラメータに関連付けられる値は、第2の割込み感度パラメータに関して直接結び付けられた、及び/又は測定された任意の値を含み得、又は第2の割込み感度パラメータに間接的に関係する1つ又は複数の値であり得る。
【0136】
第1及び第2の割込み感度パラメータは2つの動作状態を確立し得、すなわち、ホスト車両が標的車両による移動又はコース変更に対してより低感度でもよい第1のものと、ホスト車両が標的車両による移動又はコース変更により高感度であり得る第2の状態とを確立し得る。このような状態による方式は、標的車両によるコース変更が任意の環境状態に基づいて予期されない場合、第1の状態において減速、加速、又はコース変更の回数又は程度を減らすことができる。しかしながら、第2の状態では、標的車両の環境中において、標的車両のコース変更(又はその他のナビゲーション応答)の原因となると予期されるような少なくとも1つの状態が検出又は特定される場合、ホスト車両は、標的車両のコース変更又はナビゲーション変更に対してより高感度となることができ、標的車両のナビケーションにおいて認識されるわずかな変化にも基づいて、コース変更、加速、減速等を行い得る。第2の状態におけるこのような小さい変化は、予期される標的車両によるナビゲーション変更と一致すると解釈され得、したがって、第1の状態でのナビゲーションと比較して、より迅速な応答を保証し得る。
【0137】
更に、第2の状態では、ホスト車両のコース変更は、感度変更要素の検出のみに基づいて、標的車両のナビゲーション応答又は変化を検出せずに実行され得る。例えば、ホスト車両システムの画像分析が感度変更要素の存在を示す場合(例えば、捕捉された画像中にレーン終了状態を示す道路標識を認識すること、画像中に標的車両の前方にレーン終了を認識すること、標的車両の前方に障害物又はより低速で移動する車両、又は他の任意の感度変更要素を認識することによる)、ホスト車両は、標的車両によるナビゲーション変化を検出しなくても、1つ又は複数の先制行動(減速、加速、コース変更等)を取り得る。このような変更は、標的車両が将来ナビゲーション変更を行う必要があるという予期に基づいて保証され得る。このような変更は、ホスト車両のナビゲーション変更と予期される標的車両のナビゲーション変更との間の時間の長さを増大又は最大化し得る。
【0138】
割込み感度パラメータは、図5Fに関して上で説明したように、閾値の形態を取り得る(例えば、スネイルトレイルと道路多項式(例えば、トレイルに沿った)との間の距離閾値、又は特定の時間期間中(例えば、0.5~1.5秒)の標的車両の瞬間的な位置と先読み点(車両200に関連付けられる)との間の距離閾値)、このような閾値の組合せ(例えば、標的車両の横方向移動速度閾値と、車両200を基準とした車両の横方向位置閾値との組合せ)、及び/又はこのような閾値の加重平均)。前述のように、幾つかの実施形態では、割込み感度パラメータはまた、任意に割り当てられた任意の変数であり得、その値がパラメータに関連付けられるか、又はパラメータの値に間接的に関係する任意の値が前述の2つの(又は3つ以上の)感度状態を設定するために使用され得る。例えば、このような変数は、感度変更要素が検出されない場合の低感度状態を示す第1の値に関連付けられ得、感度変更要素が標的車両の環境中で発見されたときに、より高感度状態を示す第2の値に関連付けられ得る。
【0139】
幾つかの実施形態では、割込み応答モジュール804は、車両200から車両200の後続車両までの距離を評価し、その距離を割込み感度パラメータに含め得る。例えば、車両200は1つ又は複数の背面センサ(例えば、レーダセンサ)を含み、車両200から車両200の後続車両までの距離を特定し得る。更にまた、幾つかの実施形態では、車両200は1つ又は複数の背面カメラを含み得、これは車両200から車両200の後続車両までの距離を特定するための分析用の画像をシステム100に供給する。また別の実施形態では、システム100は1つ又は複数のセンサからの、及び1つ又は複数の背面カメラからのデータを用いて、車両200から車両200の後続車両までの距離を特定し得る。車両200からの距離に基づき、割込み応答モジュール804は、車両200と車両200の後続車両との間の距離に基づいて、車両200が減速することが安全か否かを評価し得る。
【0140】
代替的又は追加的に、割込み感度パラメータは、ニューラルネットワーク等の機械学習技術を用いて事例から導き出し得る。例えば、ニューラルネットワークを、シナリオに基づいて割込み感度パラメータを特定するように訓練し得る。一例として、ニューラルネットワークは、道路が3つの走行レーンを含み、車両200が中央レーンを走行していて、中央レーンには先行車両があり、2台の車両が左レーンにあり、1台の車両が右レーンにあるシナリオについて訓練できる。シナリオは、ニューラルネットワークに対して、車両の各々の縦方向位置、縦方向速度、横方向位置、及び横方向速度を明示できる。シナリオに基づいて、ニューラルネットワークは、例えば、バイナリ出力(例えば、標的車両が次のN個のフレーム内で割込みを試みるか否か)、又は値出力(例えば、標的車両が中央レーンへの割込みを試みるまでの時間)を特定し得る。これらの出力から導き出されるバイナリ若しくは値出力、又はその他の値は、割込み感度パラメータとして使用され得る。ニューラルネットワークは、同様に、道路に2つの走行レーンのみがある、中央レーンに先行する車両がない、又は右レーンに車両がないシナリオ等、他のシナリオについても同様に訓練し得る。幾つかの実施形態では、ニューラルネットワークは、メモリ140及び/又は150に記憶された1つ又は複数のプログラミングモジュールを介して提供され得る。別の実施形態では、メモリ140及び/又は150への追加として又は代替として、ニューラルネットワーク(又はニューラルネットワークの局面)は、車両200からリモートに位置付けられてかつネットワーク上で無線送受信機172を介してアクセス可能な1つ又は複数のサーバを介して提供され得る。
【0141】
幾つかの実施形態では、シナリオの数を最小限にするために、シナリオは道路のレーンの数及び車両200の位置に応じて分類され得る。例えば、シナリオは、2つのレーンがあり、車両200が左レーンにあるシナリオ、2つのレーンがあり、車両200が右レーンにあるシナリオ、3つのレーンがあり、車両200が左レーンにあるシナリオ、3つのレーンがあり、車両200が中央レーンにあるシナリオ、3つのレーンがあり、車両が右レーンにあるシナリオ、4つのレーンがあり、車両200が一番左のレーンにあるシナリオ、4つのレーンがあり、車両200が中央の左レーンにあるシリオ等が含まれ得る。各シナリオで、先行車両は車両200と同じレーンを走行中であり得、また2台の車両が他のレーンの各々を走行中であり得る。これら他の車両の1台又は複数がない(例えば、先行車両がない、右レーンに1台のみの車両がある等)のシナリオを考慮するために、存在しない車両の縦方向距離は無限に設定し得る。
【0142】
上述のように、車両200が標的車両を検出し(例えば、標的車両が割込みを試みているというインジケータを識別し)、何れかの感度変更要素が環境中に存在するか否かが検出されると、割込み応答モジュール804は標的車両、インジケータ、及び/又は(存在する場合には)感度変更要素をニューラルネットワークに提供し得、ニューラルネットワークは、車両200の状況に最も近いシナリオを選択し得る。選択されたシナリオに基づいて、ニューラルネットワークは前述のようにバイナリ出力(例えば、標的車両が次のN個のフレーム中に割込みを試みるか否か)又は値出力(例えば、標的車両が中央レーンへの割込みを試みるまでの時間)を示し得、そこから割込み感度パラメータが導き出され得る。割込み感度パラメータに基づいて、割込み応答モジュール804は割込み応答が実行されるようにする。
【0143】
前述のように、割込み応答は、ナビゲーション応答に関連して上で説明した形態の何れも取り得、例えば、ナビゲーション応答モジュール408に関して上で考察したターン、レーンシフト、及び/又は加速度の変更等である。幾つかの実施形態では、処理ユニット110は前述の速度及び加速度モジュール406の実行から導き出されるデータを用いて、1つ又は複数の割込み応答を生じさせ得る。追加的に、複数の割込み応答が同時に、連続的に、又はその任意の組合せで行われ得る。例えば、処理ユニット110は、例えば制御信号を車両200の操舵システム240及びスロットルシステム220に順次送信することにより、車両200に1レーンシフトさせ、次に加速させ得る。代替的には、処理ユニット110は、例えば、制御信号を車両200のブレーキシステム230及び操舵システム240に同時に送信することにより、車両200に、レーンをシフトする間に同時にブレーキを掛けさせ得る。幾つかの実施形態では、割込み応答モジュール804は、画像捕捉デバイス122、124、及び126の1つにより取得された画像を分析して何れかの割込み感度変更要素が車両200の環境中に存在するか否かを検出し得る。他の実施形態では、画像を分析することに加えて又はその代替案として、割込み応答モジュール804は、何れかの割込み感度変更要素が車両200の環境中に存在するか否かを、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを通じて取得された情報等のセンサ情報の分析を通じて検出し得る。
【0144】
幾つかの実施形態では、前述のニューラルネットワークは、更に、割込み応答も特定するように構成され得る。例えば、ニューラルネットワークは、検出された標的車両、インジケータ、及び/又は(存在する場合には)感度変更要素に基づいて、どのナビゲーション応答を実行すべきかを示すことを特定し、出力し得る。幾つかの実施形態では、このような出力は、前に検出されたドライバーの行動に基づいて特定され得る。幾つかの実施形態では、前に検出されたドライバーの行動は、スムーズな運転行動を優先させるコスト関数分析を用いてフィルタにかけられ得る(例えば、スムーズな運転行動は、ある期間にわたる減速度又は加速度の積分の二乗を最小化するものとしと測定できる)。
【0145】
割込み検出モジュール802と割込み応答モジュール804について、図9A~9E及び11に関連して以下に更に説明する。
【0146】
利他的行動モジュール806は、処理ユニット110により実行されると、車両200が標的車両による車両200の走行中のレーンへの割込みを許可すべきか否を判断するために、利他的行動に関する検討事項を考慮に入れるような命令を記憶し得る。このために、処理ユニット110は、割込み検出モジュール802に関連して上で説明した方法の何れによっても標的車両を検出し得る。
【0147】
更に、処理ユニット110は、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定し得る。状況的特徴は、例えば、標的車両が、車両200が走行しているレーンへとレーン変更することから利益を得られるであろうことを示す任意の特徴であり得る。例えば、状況的特徴は、標的車両が、車両200の走行中のレーンに隣接するレーンを走行していること、及び標的車両が標的車両より低速で走行している別の車両の後方にあることを示し得る。一般に、状況的特徴は、標的車両による割込み又は他のナビゲーション応答が必要ではないかもしれないが、割込みが標的車両にとって有利であろうことを示し得る。他のこのような状況は、例えば交通渋滞中、混雑した迂回路、レーン終了の状況、又は標的車両がホスト車両の経路へと移動することを望み得るその他の任意の状況を含み得る。
【0148】
幾つかの実施形態では、状況的特徴を検出することは、図5A~5D及び6に関連して上で説明したように、単眼及び/又は立体画像分析を用いて、画像の組内の特徴の組、例えば、レーンマーク、車両、歩行者、道路標識、高速道路の出口ランプ、信号機、危険物、及び車両の環境に関連付けられる他の任意の特徴を検出することを含んでよい。例えば、状況的特徴を特定することは、図5Bに関連して上で説明したように、単眼及び/又は立体画像分析を使用して、標的車両及び/又は1つ又は複数の他の車両の位置及び/又は速度を検出することを含み得る。幾つかの実施形態では、状況的特徴を識別することは、更に、図5Cに関連して上で説明したように、1つ又は複数の道路マークを検出することを含み得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、状況的特徴を検出することは、GPSデータ等の他のセンサ情報を使用することを含み得る。例えば、道路の入口ランプは地図データに基づいて特定され得る。幾つかの状況では、状況的特徴を検出することは、捕捉された画像から、他の車両を基準とした標的車両の位置、及び/又は標的車両の付近にある車両の台数等を特定することを含み得る。また別の実施形態では、状況的特徴を検出することは、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得される情報等、他のセンサ情報を使用することを含み得る。
【0149】
利他的行動モジュール806は、更に、処理ユニット110によって実行されると、標的車両による車両200の走行中のレーンへの割込みを許可するようなナビゲーション変更(例えば、前述のナビゲーション応答の何れか)を生じさせるべきか否かを判断する命令を記憶し得る。このような判断は、利他的行動パラメータに基づいて行われ得る。
【0150】
利他的行動パラメータは、例えば、車両200のオペレータからの入力に基づいて設定され得る。例えば、オペレータは利他的行動を、全ての標的車両による車両200の走行中のレーンへの割込みを許可するため、n台の標的車両ごとに1台のみに、車両200の走行中のレーンへの割込みを許可するため、標的車両による車両200の走行中のレーンへの割込みを、標的車両の前方の他の車両が特定の速度未満で走行している場合にのみ許可するため等に設定し得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、ナビゲーションの前又はナビゲーション中にユーザにより選択可能であり得る(例えば、ユーザにより選択可能な値又は状態)。例えば、ユーザは車両200に乗り込む時に、ナビゲーション中に利他的とすべきか否かを選択し得る(例えば、ユーザインタフェース170を通じて)。他の例として、ユーザは1つ又は複数の状況的特徴が検出されたときに、その場合において利他的とすべきか否かを選択し得る(例えば、ユーザインタフェース170を通じて)。
【0151】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、車両200のオペレータ又は乗員のためのカレンダ登録情報を解析することによって特定された少なくとも1つの情報要素に基づいて設定され得る。例えば、幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、車両200が車両200のオペレータにとって受け入れられる時間枠内に目的地に到着する限り、標的車両による車両200の走行中のレーンへの割込みが許可されることを示し得る。例えば、オペレータ又は乗員が急いでいない場合、基準はより多くの標的車両による割込みを許可し得るが、オペレータ又は乗員が急いでいれば、基準はより少ない標的車両による割込みを許可し得るか、又は何れの標的車両の割込みも全く許可しないようにし得る。オペレータ又は乗客が急いでいるか否かは、処理ユニット110により、例えばオペレータ又は乗客に関連付けられるカレンダ登録情報(例えば、ユーザが特定の場所に特定の時間までに到着したいことを示すカレンダイベント)及び車両200のためのナビゲーションデータ(例えば、その場所の到着時間を予測するGPS及び/又は地図データ)に基づいて特定され得る。
【0152】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、乱数生成機能の出力に基づいて設定され得る。例えば、乱数生成機能の特定の出力が、車両200に標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可させ得る一方で、乱数生成関数の他の出力は、車両200に標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可させないものであり得る。更に代替的又は追加的に、利他的行動パラメータは、1つ又は複数の状況的特徴が第1のレーン1004へのコース変更から利益を得るであろうことを示す標的車両に遭遇する所定の数に基づいて設定され得る。
【0153】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは一定であり得る。代替的に、利他的行動パラメータは、車両200がいる経路へのコース変更から利益を得るであうことを1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両との遭遇について少なくとも所定のパーセンテージで車両200のナビゲーション変更が行われるように更新され得る。例えば、所定のパーセンテージは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%等であり得る。
【0154】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、特定の基準が満たされた場合にナビゲーション変更が実行されるようにルールを特定し得る。例えば、所定の利他的行動パラメータは、車両200が隣接レーン内の標的車両に接近していて、標的車両が標的車両より低速で移動している別の車両の後方を走行している場合、標的車両が割り込みたいとの意思を示し(例えば、方向指示器の使用を通じて、又は車両200か走行中のレーンに向かう横方向の移動を通じて)、車両200の減速が特定の閾値未満であり(例えば、過剰な急ブレーキを回避するため)、車両200の後方に安全に減速できないような車両がない限り、車両200は減速して標的車両による割込みを許可すべきであることを示し得る。
【0155】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは一貫していないように設計され得、それによって同じ状況的特徴及び基準でも異なるナビゲーション変更が行われるか、ナビゲーション変更が全く行われないようにし得る。例えば、利他的行動パラメータの結果として、ランダム及び/又は周期的な各種の利他的行為がとられ得る。一例として、利他的行動パラメータは、n台の標的車両ごとに1台のみ割込みを許可し得る。幾つかの実施形態では、nはランダムに選択され得、ランダムに変化し得、状況的特徴が検出されるたびに増加し得、及び/又は割込みが許可されると、小さい値にリセットされ得る。他の例として、利他的行動パラメータは、標的車両による割込みを許可するか否かを、ランダムに生成された数と所定の閾値との比較に基づいて判断し得る。
【0156】
幾つかの実施形態では、利他的行動モジュール804は、何台の車両が車両200の後方を走行しているかを考慮し、この情報を利他的行動パラメータに追加し得る。例えば、車両200は、後続車両を検出するための1つ又は複数の背面センサ(例えば、レーダセンサ)、及び/又は、分析のためにシステム100に画像を提供し、及び/又は交通情報を無線接続で提供する1つ又は複数の背面カメラを含み得る。この場合、車両200の後続車両の台数に基づいて、利他的行動モジュール804は、車両200が標的車両による割込みを許可するか否かの潜在的影響を評価し得る。例えば、車両の長い列(例えば、5、10台、又はそれを超える車両)が車両200の後方を走行していると判断された場合、車両200が標的車両による割込みを許可しなければ、標的車両はおそらく、後方の車両が通過するまで(これにはかなりの時間がかかり得る)割込みの機会を持つ可能性が低い。しかしながら、少ない台数の車両(例えば、1又は2台)のみが車両200の後方を走行している場合、車両200が標的車両による割込みを許可しないとしても、標的車両は短時間で(例えば、その少ない台数の車両が通過した後に)割り込む機会を有する。
【0157】
幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、ニューラルネットワーク等の機械学習技術を用いた事例から導き出され得る。例えば、ニューラルネットワークは、前述のように、シナリオに基づいて利他的行動パラメータを特定するように訓練できる。幾つかの実施形態では、利他的行動パラメータは、前に検出されたドライバーの行動に基づいて特定され得る。例えば、ドライバーによる利他的行動はプラスに重み付けでき、それによってニューラルネットワークは利他的行動を優先させる。前述のように、非一貫性を前述のようなランダム又は周期的変化を通じて追加できる。
【0158】
利他的行動モジュール806は、図10及び12に関して以下に更に説明される。
【0159】
図9Aは、車両200が割込みを検出し、それに応答し得る例示的な状況の図である。図のように、車両200は、道路900上で標的車両902と並走し得る。標的車両902は第1のレーン904を走行中であり得、車両200は第2のレーン906を走行中であり得る。第1のレーン904は左レーンであるように示され、第2のレーン906は右レーンであるように示されているが、第1及び第2のレーン904及び906は道路900上の任意の隣接レーンであり得る。更に、2つのレーン904、906のみが道路900上に示されているが、それより多くのレーンも存在可能であると理解されたい。また、「レーン」という用語はより一般的に、それに沿って車両200と標的車両902が走行している経路を指すと理解され得る。例えば、幾つかの実施形態では、「レーン」への言及は、車両200の走行方向又は経路と整列する経路を指し得る。
【0160】
車両200は、道路900の周囲の環境の画像を、例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126等、車両200に関連付けられる1つ又は複数の画像捕捉デバイスから受信するように構成され得る。車両200は、GPSデータ、地図データ、レーダデータ、又はライダデータ等、その他のセンサ情報も受信し得る。画像及び/又はその他のセンサ情報に基づいて、車両200は標的車両902を検出し得る。例えば、車両200は複数の画像中の標的車両902の画像を識別し得る。車両200は、割込み検出モジュール802に関連して上で説明した方法の何れかを含む他の方法でも標的車両902を検出し得る。
【0161】
更に画像及び/又はその他のセンサ情報に基づいて、車両200は、標的車両902が第1のレーン904から第2のレーン906に変更するであろうという少なくとも1つのインジケータを識別し得る。例えば、車両200は、画像の単眼及び/又は立体画像分析に基づいて(又はレーダ若しくはライダデータ等のその他のセンサデータに基づいて)、図5Bに関連して説明したような標的車両902の位置及び/又は速度、及び/又は図5Cに関連して説明したような道路900上の1つ又は複数の道路マークの位置を検出し得る。別の例として、車両200は、図5Fに関連して上で説明したように、標的車両902がレーン変更を開始したことを検出し得る。また別の例として、車両200は、地図データに基づいて、第1のレーン904が終了しつつあることを検出し得る。車両200は、割込み検出モジュール802に関連して上で説明した方法の何れかを含む他の方法でも、少なくとも1つのインジケータを識別し得る。
【0162】
前述のように、インジケータが検出されると、車両200は、ナビゲーション応答をとるか否かを判断し得る。不要なブレーキ及び急ブレーキの両方を最小化するために、車両200は、この判断を下す際、標的車両902が第2のレーン906に割り込む可能性に影響を与える所定の割込み感度変更要素の有無を考慮し得る。所定の割込み感度変更要素が検出されない場合、ナビゲーション応答は、車両200において、インジケータの識別に基づいて、また第1の割込み感度パラメータに基づいて生じさせることができる。他方、所定の感度要因が検出される場合、ナビゲーション応答は、車両200において、インジケータの識別に基づいて、また第2の割込み感度パラメータに基づいて生じさせることができる。第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なり得る(例えば、より高感度である)。
【0163】
所定の割込み感度変更要素を含む追加の例示的な状況は、図9B~9Eに示されている。
【0164】
図9Bは、例示的な所定の割込み感度変更要素を示し、これは第1のレーン904内の障害物という形態をとる。図のように、標的車両902は第1のレーン904を走行中であり、車両200は第2のレーン906を走行中である。障害物は、その障害物によって標的車両200が割込みを試みる可能性が、障害物のない場合より高くなる場合、所定の割込み感度変更要素としての役割を果たし得る。
【0165】
図のように、障害物は第1のレーン904において標的車両902の前方を走行する他の車両908の検出を通じて検出され得る。障害物は他の車両908として示されているが、幾つかの実施形態では、障害物は停止中の車両、事故、危険物、歩行者等の形態を取り得る。障害物が他の車両908である一実施形態では、車両200は、他の車両908が標的車両902より低速で走行していることを検出することによって障害物を検出し得る。これは、他の車両908が標的車両902より低速で走行している場合、他の車両908が低速であることにより、標的車両902が第2のレーン906への割込みを試みる可能性がより高くなるからである。このような障害物は、所定の割込み感度変更要素を構成し得る。
【0166】
車両200は、図8に関連して感度変更要素を検出するために上に記載された方法の何れでも、障害物を検出し得る。例えば、車両200は画像の単眼及び/又は立体画像分析に基づいて、他の車両908の位置及び/又は速度を標的車両902のそれらに加えて検出し得る。他の車両908の位置及び/又は速度は、他のセンサ情報に基づいても検出され得る。別の例として、車両200は、GPSデータ、地図データ、及び/又は例えばWaze等の交通アプリケーションからの交通データに基づいて障害物(例えば、他の車両908)を検出し得る。また別の例として、車両200はレーダ又はライダデータの分析を通じて障害物を検出し得る。
【0167】
所定の割込み感度変更要素が検出されると(すなわち、車両200が第1のレーン904上に障害物があると検出すると)、車両200は、インジケータの識別に基づいて、及び第2の割込み感度パラメータに基づいて、ナビゲーション応答を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば車両200の加速、車両200の減速、又は(可能であれば)車両200のレーン変更が含まれ得る。第2の割込み感度パラメータは、所定の割込み感度変更要素が検出されなかった場合の第1の割込み感度パラメータより高感度であり得、それは、所定の割込み感度変更要素が存在すると、標的車両902が第2のレーン906への割込みを試みる可能性が高くなるからである。
【0168】
幾つかの実施形態では、第2の割込み感度パラメータは、車両200の周囲の車両の存在と行動に依存し得る。例えば、第2の割込み感度パラメータは、標的車両902の横方向速度と横方向位置を考慮し得、第2の割込み感度パラメータの感度は、標的車両902の横方向速度と横方向位置の各々の閾値と相関させ得る。例えば、横方向速度閾値が高い、及び/又は横方向位置閾値が低いと、感度はより低くなり得、より高い感度とより迅速にナビゲーション応答をもたらし得る低い横方向速度閾値及び/又は高い横方向位置閾値と比較して、ナビゲーション応答が遅くなる。
【0169】
より高い感度(すなわち、より高感度の割込み感度パラメータ)は、特定の状況において望ましいことがあり得る。例えば、標的車両902が車両200より速く移動していて、他の車両908が第1のレーン904内で標的車両902よりかなり低速で移動している場合、標的車両902は減速して第1のレーン904にとどまること、減速して車両200の後ろで第2のレーン906に変更すること、第1のレーン904の左の別のレーンに変更すること(そのようなレーンが存在する場合)、又は第2のレーン906に割り込むことの何れかにより、その行動を修正せざるを得ない可能性があるように見える。標的車両902が他の車両908との衝突を避けるために急減速しなければならない場合、第2のレーン906への割込みの可能性がより高くなる。同様に、標的車両902が車両200の後ろで第2のレーン906に変更するために急減速しなければならない場合にも、第2のレーン906への割込の可能性がより高くなる。
【0170】
第2の割込み感度パラメータの感度は、車両200の周囲の他の車両の存在と行動に更に依存し得る。例えば、第1のレーン904に他の車両908がなく、第2のレーン906内で車両200と車両200に先行する最も近い車両との間の距離が短い場合、感度はより低くなり得る。他の例として、第1のレーン904内の他の車両908が標的車両902とほぼ同じ速度及び/又はそれより高速で移動していて、第2のレーン906内の車両200と車両200に先行する最も近い車両との間の距離が短い場合、感度はより低くなり得る。また別の例として、標的車両902が追い越しレーンにいて(例えば、車両が道路900の右側通行である国において、第1のレーン904が第2のレーン906の左にある場合)、第1のレーン904内の別の車両908が標的車両902とほぼ同じ速度及び/又はそれより高速で移動していて、第2のレーン906内の第2の車両200と車両200に先行する最も近い車両との間の距離が長い場合、感度は若干高くなり得る(例えば、低乃至中程度の感度)。同じ状況で、標的車両902が追い越しレーンにない場合(例えば、車両が道路900の右側通行である国において、第1のレーン904が第2のレーン906の左側にある場合)、感度はより低くなり得る。
【0171】
第2の割込み感度パラメータの感度は、更に、標的車両902によるいかなる加速又は減速も考慮し得る。例えば、標的車両902が第1のレーン904内で他の車両908より高速で移動していて、標的車両902が加速する場合、感度は高くなり得る。他の例として、標的車両902が第1のレーン904内で他の車両908より高速で移動している場合、他の車両908との衝突を避けるために必要な標的車両902の減速度が例えば0.1gより大きく、標的車両902が減速していない場合、感度は上昇し得るが、最高レベルではない。また別の例として、標的車両902が第1のレーン904内で他の車両908より高速で移動していて、他の車両908との衝突を避けるために必要な標的車両902の減速度が例えば0.5gより大きく、標的車両902が減速していない場合、感度はその最高であり得る。しかし、同じ状況で、第2のレーン906内で車両200に先行する最も近い車両が標的車両902より低速で移動しており、第2のレーン906内で車両200に先行する最も近い車両との衝突を避けるために必要な標的車両902の減速度が他の車両908にぶつかるのを避けるのに必要なものより大きい場合、感度は高くなり得るが、最高ではない。しかしながら、同じ状況で、第2のレーン906のもう一方の側のレーンが、標的車両902によるより漸進的な減速を可能にするのに十分に空いている場合、感度はその最高であり得、これは、標的車両902が第2のレーン906のもう一方の側のレーンに入ろうとして第2のレーン906に割込む可能性が高いからである。上及び開示全体を通じて記載されている感度レベルは、ある分布上に存在し得、当該分布は、例えばその分布に沿って任意の所望の相対配置で配置された任意の数の感度レベルを含む。
【0172】
他の例として、標的車両902が第1のレーン904内で他の車両908より高速で移動していて、他の車両908との衝突を避けるために必要な標的車両902の減速度が例えば0.2gより大きく、標的車両902が第2のレーン906内の車両200及び/又は車両200に先行する最も近い車両の速度まで減速する場合、感度は最高となり得る。また別の例として、標的車両902が第1のレーン904内で他の車両908より高速で移動していて、標的車両902が第2のレーン906内の車両200の及び/又は車両200に先行する最も近い車両の速度より低速となるまで減速する場合、感度は低くなり得る。他の例として、標的車両902が第1のレーン904で他の車両908より高速で移動していて、他の車両908との衝突を避けるために必要な標的車両902の減速度が例えば0.2gより小さく、標的車両902が減速している場合、感度は低くなり得る。
【0173】
幾つかの実施形態では、車両200は、第2の割込み感度パラメータを決定する際、標的車両902の他の行動を考慮し得る。例えば、標的車両902が追い越しレーンにいて(例えば、車両が道路900の右側通行である国において、第1のレーン904が第2のレーン906の左にある場合)、第1のレーン904内の別の車両908が標的車両902より低速で走行していて、標的車両902が他の車両908に対してそのヘッドライトでパッシングしている場合、より低い感度が使用され得、これは、標的車両902が第1のレーン904にとどまる意思を表示したからである。他の例では、標的車両902が方向指示器を作動させ、それが第2のレーン906への割込みを試みる意図を表示する場合、感度は高くなり得るが、最高ではなく、これは、標的車両902が第2のレーン906に割り込む意思を表示しているだけでなく、それが注意深く走行している、又は運転されているからである。例えば、方向指示器の作動後に、割込みは、標的車両902が有意な横方向移動(例えば、レーンマーカに向かって0.5m)を見せたときに検出され得る。
【0174】
車両200によりとられたナビゲーション応答も同様に、車両200の周囲の車両の存在と行動に依存し得る。例えば、幾つかの場合、車両200が減速して標的車両902による第2のレーン906への割込みを許可するが、他の状況では、車両200は加速して、標的車両902が車両200の後方で第2のレーン906に変更できるようにし得る。車両200は、例えば車両200が法定速度以下で走行していて、車両200と標的車両902がほぼ同じ速度で並走しているか、第2のレーン906に車両200に先行する車両がないか、第2のレーン906内で車両200に先行する最も近い車両が安全な距離にあるか、標的車両902の前方に他の車両908がない(又は他の車両908が標的車両902より低速では移動していない)か、標的車両902が変更できるような他の空いたレーンがない場合、加速し得る。幾つかの場合、車両200は必要に応じて(例えば、標的車両902が車両200の後方で第2のレーン906に変更するために必要な減速度が例えば0.5gより大きい場合)、より迅速に加速し得る。
【0175】
図9Cは、地理的地域の形態をとる所定の割込み感度変更要素の例を示す。図のように、標的車両902は第1のレーン904内を走行中であり、車両200は第2のレーン906を走行中である。地理的地域は、地理的地域(例えば、その地理的地域内の交通ルール及び/又は運転習慣)によって標的車両902が割込みを試みる可能性が、標的車両902がその地理的地域にない場合に試みる可能性より高くなるような場合、所定の割込み感度変更要素としての役割を果たし得る。幾つかの実施形態では、地理的地域には、運転に適用される特定の法的ルール及び/又は運転習慣を有する国又はその他の地域が含まれ得る。
【0176】
図のように、地理的地域はそこから地理的地域が確認され得るような道路標識910の検出(例えば、道路標識910の単眼及び/又は立体画像分析を使用して)を通じて検出され得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、地理的地域は、他の方法で、例えば1つ又は複数の地理的インジケータ若しくは陸標を通じて、GPS又は地図データ(又は車両200に関連付けられるその他の位置特定のシステム)を用いて、その他により確認されてもよい。地理的地域を検出することにより、車両200は地理的地域内の交通ルール及び/又は運転習慣によって標的車両902が割込みを試みる可能性が、標的車両902がその地理的地域にない場合に試みる可能性より高くなるか否かを特定し得る。高くなる場合、その地理的地域は所定の割込み感度変更要素を構成し得る。
【0177】
所定の割込み感度変更要素が検出されると(すなわち、車両200が、標的車両902がその地理的地域内を走行していることを検出すると)、車両200は、インジケータの識別に基づいて、また第2の割込み感度パラメータに基づいてナビゲーション応答を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば、車両200の加速、車両200の減速、又は(可能であれば)車両200によるレーン変更が含まれ得る。第2の割込み感度パラメータは、所定の割込み感度変更要素が検出されなかった場合の第1の割込み感度パラメータより高感度であり得、それは、割込み感度変更要素の存在により、標的車両902が第2のレーン906への割込みを試みる可能性がより高くなるからである。
【0178】
図9Dは、レーン終了状態の形態をとる所定の割込み感度変更要素の例を示す。図のように、標的車両902は第1のレーン904内を走行中であり、車両200は第2のレーン906を走行中である。レーン終了は、レーン終了状態によって標的車両902が割込みを試みる可能性が、第1のレーン904が終了しない場合に標的車両902が試みる可能性より高くなるときに、所定の割込み感度変更要素としての役割を果たし得る。
【0179】
図のように、レーン終了状態は、そこからレーン終了状態が確認され得るような道路標識912の検出(例えば、道路標識912の単眼及び/又は立体加増分析を使用して)及び/又は道路マーク914の検出(例えば、道路標識912の単眼及び/又は立体画像分析を使用して)を通じて検出され得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、レーン終了状態は、他の方法で、例えばGPS又は地図データ(又は車両200に関連付けられるその他の位置特定システム)を通じて等により確認され得る。レーン終了状態を検出することにより、車両200は、標的車両902が割込みを試みる可能性が、第1のレーン904が終了しない場合に標的車両902が試みる可能性より高くなると判断し得る。したがって、レーン終了状態は所定の割込み感度変更要素を構成し得る。
【0180】
所定の割込み感度変更要素が検出されると(すなわち、車両200が第1のレーン904が終了することを検出すると)、車両200は、インジケータの識別に基づいて、また第2の割込み感度パラメータに基づいてナビゲーション応答を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば、車両200の加速、車両200の減速、又は(可能であれば)車両200によるレーン変更が含まれ得る。第2の割込み感度パラメータは、所定の割込み感度変更要素が検出されなかった場合の第1の割込み感度パラメータより高感度であり得、それは、割込み感度変更要素の存在により、標的車両902が第2のレーン906への割込みを試みる可能性がより高くなるからである。
【0181】
図9Eは、道路分割状態の形態をとる所定の割込み感度変更要素の例を示す。図のように、標的車両902は第1のレーン904内を走行中であり、車両200は第2のレーン906を走行中である。道路900は分割されつつある。道路分割状態は、道路分割状態によって標的車両902が割込みを試みる可能性が、第1のレーン904が終了しない場合に標的車両902が試みる可能性より高くなる場合、所定の割込み感度変更要素としての役割を果たし得る。
【0182】
図のように、道路分割状態は、そこから道路分割状態が確認され得る道路標識916の検出(例えば、道路標識912の単眼及び/又は立体画像分析を用いて)及び/又は道路マーク918a、918bの検出(例えば、道路標識912の単眼及び/又は立体画像分析を用いて)を通じて検出され得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、道路分割状態は、他の方法で、例えばGPS又は地図データ(又は車両200に関連付けられるその他の位置特定システム)を通じて等により確認され得る。道路分割状態を検出することにより、車両200は、標的車両902が割込みを試みる可能性が、道路900が分割されない場合に標的車両902が試みる可能性より高くなると判断し得る。したがって、道路分割状態は所定の割込み感度変更要素を構成し得る。
【0183】
所定の割込み感度変更要素が検出されると(すなわち、車両200が、道路900が分割されつつあることを検出すると)、車両200は、インジケータの識別に基づいて、また第2の割込み感度パラメータに基づいてナビゲーション応答を生じさせ得る。ナビゲーション応答は、例えば、車両200の加速、車両200の減速、又は(可能であれば)車両200によるレーン変更が含まれ得る。第2の割込み感度パラメータは、所定の割込み感度変更要素が検出されなかった場合の第1の割込み感度パラメータより高感度であり得、それは、割込み感度変更要素の存在により、標的車両902が第2のレーン906への割込みを試みる可能性がより高くなるからである。
【0184】
特定の所定の割込み感度変更要素について説明したが、標的車両902による割込みがそうでない場合より高く又は低くなるような状態を生じさせ得、及び/又はそれに寄与し得る任意の環境要素を含め、他の所定の割込み感度変更要素も可能であると理解されたい。
【0185】
図10は、開示される実施形態による、車両200が利他的行動に従事し得る例示的な状況の図である。図のように、車両200は道路1000上で標的車両1002と並走し得る。車両200は第1のレーン1004を走行中であり得、標的車両1002は第2のレーン1006を走行中であり得る。第1のレーン1004は左レーンであるように示され、第2のレーン1006は右レーンであるように示されているが、第1及び第2のレーン1004及び1006は道路1000上の任意の隣接レーンであり得ると理解されたい。更に、2つのレーン1004、1006のみが道路1000上に示されているが、それより多いレーンも可能であると理解され得る。「レーン」という用語は便宜上使用されており、幾つかの状況では(例えば、レーンがレーンマークで明確に表示されていない場合)、「レーン」という用語は、より一般的に、車両200及び標的車両1002がそれに沿って走行している経路を指すと理解され得る。
【0186】
車両200は、道路1000の周囲の環境の画像を、例えば、画像捕捉デバイス122、124、及び/又は126等、車両200に関連付けられる1つ又は複数の画像捕捉デバイスから受信するように構成され得る。車両200は、GPS又は地図データ等、他のセンサ情報も受信し得る。更に、幾つかの実施形態では、車両200は、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得された情報等、他のセンサ情報を受信し得る。画像及び/又はその他のセンサ情報に基づいて、車両200は標的車両1002を検出し得る。例えば、車両200は複数の画像中で標的車両1002の画像を識別し得る。車両200は、割込み検出モジュール802に関連して上で説明した方法の何れも含む、他の方法で標的車両1002を検出し得る。
【0187】
画像及び/又はその他のセンサ情報に更に基づいて、車両200は、標的車両1002に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定し得る。状況的特徴は、例えば、標的車両1002が車両200の走行中のレーンへのレーン変更から利益を受けることを示す任意の特性であり得る。例えば、図のように、状況的特徴は、標的車両1002が標的車両1002より低速で走行する他の車両1008の後方を走行していることを示し得る。一般に、状況的特徴は、標的車両1002による割込み又はその他のナビゲーション応答は必要でないかもしれないが、割込みが標的車両1002にとって有利となることを示し得る。
【0188】
幾つかの実施形態では、車両200は、画像の単眼及び/又は立体画像分析に基づいて、図5Bに関連して説明したように標的車両1002の位置及び/又は速度を、及び/又は図5Cに関連して説明したように道路900上の1つ又は複数の道路マークの位置を検出し得る。他の例として、車両200は、図5Fに関連して上で説明したように、標的車両1002がレーン変更を開始したことを検出し得る。また別の例として、車両200は、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得される情報等、他のセンサ情報の分析に基づいて、標的車両1002がレーン変更を開始したことを検出し得る。車両200は、1つ又は複数の状況的特徴を、利他的行動モジュール806に関して上で説明したような方法の何れも含む他の方法でも識別し得る。
【0189】
1つ又は複数の状況的特徴が検出されると、車両200は、車両200が標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可するか否かを判断するために、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定し得る。利他的行動パラメータは、利他的行動モジュール806に関連して上で説明した形態の何れをもとり得る。例えば、利他的行動パラメータは、車両200のオペレータからの入力に基づいて、車両200のオペレータ又は乗客のためのカレンダ登録情報を解析することによって特定された少なくとも1つの情報要素に基づいて、乱数生成関数の出力に基づいて、及び/又は1つ若しくは複数の状況的特徴が第1のレーン1004へのコース変更から利益を得られることを示す標的車両に遭遇する所定の回数に基づいて設定され得る。利他的行動パラメータは一定であり得、又は車両200がいる経路へのコース変更から利益を得られることを1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両との遭遇の少なくとも所定のパーセンテージで、車両200内のナビゲーション変更が行われるように更新され得る。例えば、所定のパーセンテージは、例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%等であり得る。
【0190】
車両200は、標的車両1002に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、車両200のナビゲーション状態の変更が必要でなくてよいと判断し得る。すなわち、1つ又は複数の状況的特徴は、第1のレーン1004への割込みが標的車両1002にとって有利ではあるが、このような割込みは必要でないかもしれない(例えば、交通ルールにより、又は安全のために)ことを示し得る。しかしながら、標的車両1002は、幾つかの例において、利他的行動パラメータ及び1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可させるように、車両200における少なくとも1つのナビゲーション変更を起こし得る。
【0191】
例えば、利他的行動パラメータが車両200のオペレータからの入力に基づいて設定され得る場合、オペレータは、車両200が標的車両1002による割込みを許可すべきであることを示す入力を提供し得る。利他的行動パラメータと1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、標的車両1002は、標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可するために、その速度を変更し得る。他の例として、利他的行動パラメータが乱数生成機能の出力に基づいて設定され得る場合、乱数生成機能は、車両200が標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを許可してはならないことを示す出力を提供し得る。例えば、乱数生成機能がバイナリ出力(例えば、「ノー」又は「0」を出力し得るか、又は特定の閾値を満たさない値出力を出力し得る(例えば、閾値が「>-5」のとき、「2」を出力し得る)。利他的行動パラメータと1つ又は複数の状況的特徴に基づき、標的車両1002は、標的車両1002による第1のレーン1004の割込みを防止するために、その速度を保持し得る。また別の例として、利他的行動パラメータは、車両200のオペレータに関するカレンダ登録情報を解析することによって特定された少なくとも1つの情報要素に基づいて設定される場合、オペレータのカレンダ登録情報は、オペレータが目的地に所望の時刻までに到着したいことを示し得る。利他的行動パラメータは、オペレータがそれでもその目的地にその所望の時刻までに到達することになる限り、標的車両1002に割り込みさせるべきであることを示し得る。利他的行動パラメータと1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、標的車両1002は、標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを、そうすることによってオペレータが目的地に所望の時刻に到着できなくならない限り、許可するようにナビゲーション変更を実行させるが、標的車両1002による第1のレーン1004への割込みを、そうすることによってオペレータが目的地に所望の時刻に到着できなくなる場合には、許可しない。
【0192】
幾つかの場合、複数の標的車両が第1のレーン1004への割込みにより利益を受け得る。例えば、図のように、標的車両1002に加えて、追加の標的車両1010が第2のレーン1006内で他の車両1008の後方を走行中であり得る。1つ又は複数の状況的特徴は、標的車両1002と同様に、追加の標的車両1010による割込み又はその他のナビゲーション応答は必要でないかもしれないが、割込みが追加の標的車両1010に有利となることを示し得る。例えば、図のように、追加の標的車両1010も他の車両1008の後方を走行中であり得る、他の車両1008は追加の標的車両1010より低速で走行中であり得る。これらの場合、利他的行動パラメータは、車両200に標的車両1002及び追加の標的車両1010の各々を同じに扱わせ(すなわち、第1のレーン1004への割込みを両方に許可するか、何れにも許可しない)、又は利他的行動パラメータは、車両200に標的車両1002と追加の標的車両1010を異なるように扱わせ得る。
【0193】
例えば、利他的行動パラメータは、状況的特徴が第1のレーン1004へのコース変更により利益を得ることを示す、そのような車両1002、1010等の標的車両との遭遇回数に基づいて設定され得る。例えば、2台の標的車両1002、1010の場合、利他的行動パラメータは、車両200に、標的車両1002のみに第1のレーン1004に割り込ませ、追加の標的車両1010には許可しないようにさせ得る(これに対し、利他的行動パラメータは、単独で遭遇した場合、標的車両1002と追加の標的車両1010との何れの割込みも許可していた可能性がある)。
【0194】
他の例として、これらの場合、利他的行動パラメータは、第1のレーン1004へのコース変更から利益を得られることを1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両1002、1010との遭遇の少なくとも所定のパーセンテージで、車両200内のナビゲーション変更が行われるように更新され得る。例えば、利他的行動パラメータは、車両200が遭遇の少なくとも10%でナビゲーション変更を実行すべきであると明示し得る。利他的行動パラメータに基づいて、車両200は、連続的に決定される遭遇の全体的パーセンテージにより、車両200が遭遇の少なくとも10%においてナビゲーション変更を行う限り、標的車両1002及び追加の標的車両1010の一方又は両方を受け入れ得る。
【0195】
更に、利他的行動パラメータの検討について図10に示される例に関連して上で考察したが、利他的行動パラメータは、図9A~9Eに関連して上で考察した例の何れにおいても考慮され得る。
【0196】
図11は、開示される実施形態による、車両割込み検出及び応答のための例示的なプロセス1100を示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、システム100の処理ユニット110は、モジュール402~408及び802~806の1つ又は複数のモジュールを実行し得る。他の実施形態では、1つ又は複数のモジュール402~408及び802~806に記憶された命令は、システム100からリモートで実行され得る(例えば、ネットワーク上で無線送受信機172を介してアクセス可能なサーバを介して)。また別の実施形態では、モジュール402~408及び802~806の1つ又は複数に関連付けられる命令は、処理ユニット110及びリモートサーバにより実行され得る。
【0197】
図のように、プロセス1100は、ステップ1102において画像を受信することを含む。例えば、車両200は、データインタフェースを介して、車両200に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122、124、126)から複数の画像を受信し得る。前述のように、他の実施形態では、車両200は、画像を分析する代替案として、又はそれに追加的に、その代わりにシステム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得された情報等のその他のセンサ情報を分析し得る。
【0198】
ステップ1104において、プロセス1100は、標的車両を識別することを含む。例えば、車両200は、複数の画像において、車両200が走行中の第2のレーンと異なる第1のレーンを走行中の標的車両の画像を識別し得る。標的車両の画像を識別することは、例えば、検出モジュール802に関連して上で説明したように、単眼又は立体画像分析及び/又はその他のセンサ情報を含み得る。他の実施形態では、前述のように、標的車両の画像を識別することは、画像の分析の代替案として、又はそれに加えて、システム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得された情報等、その他のセンサ情報を分析することを含み得る。
【0199】
ステップ1106において、プロセス1100は、標的車両がレーンを変更するというインジケータを識別することを含む。例えば、車両200は、複数の画像の分析に基づいて、標的車両が第1のレーンから第2のレーンに変更するという少なくとも1つのインジケータを識別し得る。インジケータを識別することは、例えば、割込み検出モジュール802に関連して上で説明したように、単眼又は立体画像分析及び/又はその他のセンサ情報(例えば、レーダ又はライダデータ)を含み得る。
【0200】
ステップ1108において、プロセス1100は、所定の割込み感度変更要素が存在するか否かを判断することを含む。例えば、車両200は、車両200の環境中に少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素が存在するか否かを判断し得る。少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素は、例えば、図9A~Eに関連して上で説明したれ形態の何れも取り得る。所定の割込み感度変更要素は、例えば、レーン終了状態、標的車両の経路内の障害物、道路分割、又は地理的地域を含み得る。少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素を検出することは、例えば、割込み検出モジュール802に関連して上で説明したように、単眼又は立体画像分析及び/又はその他のセンサ情報(例えば、レーダ又はライダデータ)を含み得る。
【0201】
所定の割込み感度変更要素が検出されない場合、プロセス1100はステップ1110に進み、インジケータと第1の割込み感度パラメータに基づいて第1のナビゲーション応答を生じさせ得る。例えば、車両200は、割込み感度変更要素が検出されない場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、また第1の割込み感度パラメータに基づいて、車両内で第1のナビゲーション応答を生じさせ得る。第1の割込み感度パラメータは、割込み応答モジュール804に関連して上で説明した形態の何れも取り得る。更に、前述のように、幾つかの実施形態では、ステップ1110はその代わりに、インジケータと、第1の所定の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて第1のナビゲーション応答を生じさせることを含み得、第1のナビゲーション応答は、図4に関するナビゲーション応答について説明した形態の何れも取り得る。
【0202】
他方、少なくとも1つの所定の割込み感度変更要素が検出されると、プロセス1100はステップ1112に進み、インジケータと第2の割込み感度パラメータに基づいて第2のナビゲーション応答を生じさせ得る。例えば、車両200は、割込み感度変更要素が検出される場合、少なくとも1つのインジケータの識別に基づいて、また第2の割込み感度パラメータに基づいて、車両内で第2のナビゲーション応答を生じさせ得る。第2の割込み感度パラメータは、割込み応答モジュール804に関連して上で説明した形態の何れも取り得る。第2の割込み感度パラメータは、第1の割込み感度パラメータと異なり得る(例えば、より高感度である)。更に、前述のように、幾つかの実施形態では、ステップ1112はその代わりに、インジケータと、第2の所定の割込み感度パラメータに関連付けられる値に基づいて第2のナビゲーション応答を生じさせることを含み得る。第2のナビゲーション応答は、図4に関するナビゲーション応答について説明した形態の何れも取り得る。
【0203】
図12は、開示される実施形態による、利他的行動を考慮に入れながらナビゲートする例示的なプロセス1200を示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、システム100の処理ユニット110は、モジュール402~408及び802~806の1つ又は複数のモジュールを実行し得る。他の実施形態では、1つ又は複数のモジュール402~408及び802~806に記憶された命令は、システム100からリモートで実行され得る(例えば、ネットワーク上で無線送受信機172を介してアクセス可能なサーバを介して)。また別の実施形態では、モジュール402~408及び802~806の1つ又は複数に関連付けられる命令は、処理ユニット110及びリモートサーバにより実行され得る。
【0204】
図のように、プロセス1200は、ステップ1202において画像を受信することを含む。例えば、車両200は、データインタフェースを介して、車両200に関連付けられる少なくとも1つの画像捕捉デバイス(例えば、画像捕捉デバイス122、124、126)から複数の画像を受信し得る。前述のように、他の実施形態では、車両200は、画像を分析する代替案として、又はそれに追加的に、その代わりにシステム100に含まれるレーダデバイス又はライダデバイスを介して取得された情報等のその他のセンサ情報を分析し得る。
【0205】
プロセス1200は、ステップ1204において、標的車両を識別することを含む。例えば、車両200は、複数の画像において、車両200の環境中の少なくとも1つの標的車両を識別し得る。標的車両を識別することは、例えば、利他的行動モジュール806に関連して上で説明したように、単眼又は立体画像分析及び/又はその他のセンサ情報を含み得る。
【0206】
ステップ1206において、プロセス1200は、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定することを含む。例えば、車両200は、複数の画像の分析に基づいて、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴を特定し得る。状況的特徴は、利他的行動モジュール806及び/又は図9A~E及び10に関連して上で説明した形態の何れも取り得る。例えば、状況的特徴は、標的車両が、車両200の経路へのコース変更から利益を受けることを示し得る。他の例として、状況的特徴は、標的車両が、車両200が走行しているレーンに隣接するレーンを走行中であること、及び標的車両が、標的車両より低速且つ車両200より低速で走行中の車両の後方にあることを示し得る。状況的特徴を特定することは、例えば、利他的行動モジュール806に関して上で説明したように、単眼又は立体像分析及び/又はその他のセンサ情報(例えば、レーダ又はライダデータ)を含み得る。
【0207】
ステップ1208で、プロセス1200は、利他的行動パラメータの現在の値を特定することを含む。例えば、車両200は、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値を特定し得る。利他的行動パラメータは、利他的行動モジュール806及び/又は図10に関連して上で説明した形態の何れも取り得、利他的行動パラメータを特定することは、利他的行動モジュール806及び/又は図10に関連して上で説明した方法の何れでも行われ得る。利他的行動パラメータの値は、車両200のオペレータからの入力に基づいて、車両200のオペレータに関するカレンダ登録情報を解析することによって特定された少なくとも1つの情報要素に基づいて、乱数生成機能の出力に基づいて、及び/又は1つ又は複数の状況的特徴が車両200の経路へのコース変更から利益を受けることを示す、そのような標的車両との所定の遭遇回数に基づいて設定され得る。代替的又は追加的に、利他的行動パラメータの値は、車両200がいる経路へのコース変更から利益を受けることを1つ又は複数の状況的特徴が示す標的車両との遭遇の少なくとも所定のパーセンテージ(例えば、10%、20%、30%等)で、車両200内のナビゲーション変更が生じるように更新され得る。
【0208】
ステップ1210において、プロセス1200は、1つ又は複数の状況的特徴と利他的行動パラメータの現在の値に基づいてナビゲーション変更を生じさせることを含む。例えば、車両200は、標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、車両200のナビゲーション状態の変更が必要でなくてよいと判断し得るが、それでも、利他的行動パラメータに関連付けられる現在の値に基づいて、また標的車両に関連付けられる1つ又は複数の状況的特徴に基づいて、車両200における少なくとも1つのナビゲーション変更を生じさせ得る。ナビゲーション変更を生じさせることは、利他的行動モジュール806及び/又は図10に関連して上で説明した方法の何れでも行われ得る。
【0209】
上述のように、本開示において説明される何れのプロセス又はプロセスステップにおいても、1つ又は複数の前面及び/又は背面カメラから捕捉された画像の画像分析を実行することに加えて、システム100(車両200に含まれる)は、レーダデバイス及び/又はライダデバイスを介して取得される情報等、他のセンサ情報も分析し得る。
【0210】
上記説明は、例示を目的として提示されている。上記説明は網羅的ではなく、開示される厳密な形態又は実施形態に限定されない。変更形態及び適合形態は、本明細書を考慮し、開示される実施形態を実施することから当業者に明らかになるであろう。更に、開示される実施形態の態様は、メモリに記憶されるものとして記載されるが、これらの態様が、補助記憶装置等の他のタイプのコンピュータ可読媒体、例えば、ハードディスク若しくはCD ROM又は他の形態のRAM若しくはROM、USBメディア、DVD、Blu-ray(登録商標)、4K超HD Blu-ray、又は他の光学駆動媒体に記憶することも可能なことを当業者は理解するであろう。
【0211】
記載の説明及び開示される方法に基づくコンピュータプログラムは、経験のある開発者の技能内にある。様々なプログラム又はプログラムモジュールは、当業者に既知の任意の技法を使用して作成することができるか、又は既存のソフトウェアに関連して設計することができる。例えば、プログラムセクション又はプログラムモジュールは、.Net Framework、.Net Compact Framework(及びVisual Basic、C等の関連する言語)、Java(登録商標)、C++、Objective-C、HTML、HTML/AJAX組み合わせ、XML、又はJavaアプレットを包含したHTMLにおいて又はそれにより設計することができる。
【0212】
更に、例示的な実施形態を本明細書において説明したが、あらゆる実施形態の範囲は、本開示に基づいて当業者により理解されるような均等な要素、変更形態、省略形態、組合せ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適合形態、及び/又は代替形態を有する。特許請求の範囲での限定は、特許請求の範囲に利用される言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載される例又は本願の実行中の例に限定されない。例は、非排他的として解釈されるべきである。更に、開示される方法のステップは、ステップの順序替え及び/又はステップの挿入又は削除を含め、任意の方法で変更し得る。したがって、本明細書及び例が単なる例示として見なされることが意図され、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及びその全範囲の均等物により示される。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12