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特許7188867複数蓄電池を遠隔から群制御することによる電力供給システム及び電力供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】複数蓄電池を遠隔から群制御することによる電力供給システム及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20221206BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20221206BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20221206BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20221206BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/00 170
H02J7/34 B
H02J7/35 K
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017020297
(22)【出願日】2017-02-07
(65)【公開番号】P2018129911
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-05-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】512308948
【氏名又は名称】SBエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 響
(72)【発明者】
【氏名】岡田 行平
(72)【発明者】
【氏名】平尾 宏明
(72)【発明者】
【氏名】楠 玄香
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】角田 慎治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157576(WO,A1)
【文献】特開2014-39353(JP,A)
【文献】特開2012-60775(JP,A)
【文献】特開2016-213954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数蓄電池を遠隔から群制御し、
前記第2の発電所が第1の発電所から受けていた出力制御を、アグリゲーターで受け取り、前記出力制御が必要な容量V1の一部である容量V2分を複数蓄電池に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として前記アグリゲーターから前記第2の発電所に配布する電力供給システムであって、
前記電力系統に接続され、電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置と、
前記需要単位毎に設けられ、前記各蓄電装置の充電又は前記蓄電装置から各需要単位における負荷への放電の制御を行う複数の制御装置と、
前記第1の発電所から前記第2の発電所に対して送出される、電力供給の調整を指示する制御指示を取得する制御指示取得部と、
前記複数の制御装置に関する情報を、各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリーを含む属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して蓄積する管理データベースと、
前記制御指示の内容に応じて、前記管理データベースを参照して、前記所定のグループ単位で、且つ各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて、前記蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、前記スケジュールに従って制御を行うグループ管理部と
を備え、
前記管理データベースでは、前記グループ毎に優先度が付与されており、
前記容量V2から、前記優先度順に、グループに対して割り当てを行う
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、各需要単位に備えられた各蓄電装置の充電及び放電の状況を実績情報として前記グループ管理部に通知する機能をさらに有し、
前記グループ管理部は、前記制御装置からの実績情報を前記管理データベースに蓄積し、集計された実績情報に基づいて前記所定のグループ単位での制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記グループ管理部は、前記実績情報に基づいて前記集計を再実行して前記グループ単位での制御を行う再計算機能を有している
ことを特徴とする請求項に記載の電力供給システム。
【請求項4】
第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数蓄電池を遠隔から群制御し、
前記第2の発電所が、第1の発電所から受けていた出力制御をアグリゲーターで受け取り、出力制御が必要な容量V1の一部である容量V2分を複数蓄電池に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として前記アグリゲーターから前記第2の発電所に配布する電力供給方法であって、
電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置を前記電力系統に接続するとともに、前記需要単位毎に、前記各蓄電装置の充電又は前記蓄電装置から各需要単位における負荷への放電の制御を行う制御装置を設置する工程と、
前記複数の制御装置に関する情報を、各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリーを含む属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して管理データベースに蓄積する工程と、
前記第1の発電所から前記第2の発電所に対して送出される、電力供給の調整を指示する制御指示を制御指示取得部において取得する工程と、
グループ管理部が、前記制御指示の内容に応じて、且つ各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて、前記管理データベースを参照して、前記所定のグループ単位で前記蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、前記スケジュールに従って制御を行う工程と
を含み、
前記管理データベースでは、前記グループ毎に優先度が付与されており、
前記容量V2から、前記優先度順に、グループに対して割り当てを行う
ことを特徴とする電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数蓄電池を遠隔から群制御する電力供給システム及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電力の自由化や技術革新によって、点在する再生可能エネルギー発電や蓄電池などの設備と電力需要を管理して、一つの発電所のように機能させるいわゆる仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)が注目されている。詳述すると、この仮想発電所では、再生可能エネルギー発電設備などによる「創エネ」、蓄電池等を用いた「蓄エネ」、及びデマンドレスポンス等需要家側の「省エネ」の各取り組みを、情報・通信技術を駆使したエネルギーマネジメント技術により統合制御する。例えば、発電設備での発電が増大して電気が余るときには、各戸の蓄電池への充電を増やし、需要を増大させることができ、電力需要が逼迫するときには、蓄電池から放電した電気を使ったり、電力消費を抑制させるデマンドレスポンスの実施で需要を縮小させることができる。この結果、このVPPによれば再生可能エネルギーの導入拡大、さらなる省エネルギー及び負荷平準化の促進といったメリットが期待できる。
【0003】
このようなエネルギーマネジメント技術としては、例えば特許文献1に開示されたエネルギーマネジメントシステムがある。この特許文献1に開示されたエネルギーマネジメントシステムでは、電力供給される地域や町は配電網を構成するそれぞれの配電系統に基づく理論的な階層構造に従い、レイヤー毎にグループ分けして管理し、太陽光や風力による発電量変化に応じた最適な負荷をかけるなどのエネルギーマネジメントを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-113002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では再生可能エネルギー発電の比率を引き上げたいとする要望が高まる一方で、電力の供給と需要とのバランスを保つ必要性から、太陽光発電などの自然エネルギー発電による供給量が制限される「出力制御」が実施される場合がある。すなわち、火力発電などの資源エネルギー発電では、電力供給量を増減させるためのエネルギー損失と所要時間が大きいことから、急激な電力需要の変動が生じる場合には、比較的容易に供給量を変動させられる自然エネルギー発電による電力供給を制限する。
【0006】
しかしながら、再生可能エネルギー発電の出力制御は、発電コストの低減やCO2排出量の削減など、再生可能エネルギー発電本来のメリットを消失させるもので、再生可能エネルギーの普及させるという社会的要請とは逆行するものである。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、再生可能エネルギー発電の出力抑制を回避して、複数蓄電池を遠隔から群制御し、デマンド抑制、発電所運転予備力としてグリッド内に点在する蓄電設備をシェアすることで、再生可能エネルギーの有効利用を図れる電力供給システム及び電力供給方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数蓄電池を遠隔から群制御し、
前記第2の発電所が、第1の発電所から受けていた出力制御をアグリゲーターで受け取り、出力制御が必要な容量V1の一部である容量V2分を複数蓄電池に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として前記アグリゲーターから前記第2の発電所に配布する電力供給システムであって、
前記電力系統に接続され、電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置と、
前記需要単位毎に設けられ、前記各蓄電装置の充電又は前記蓄電装置から各需要単位における負荷への放電の制御を行う複数の制御装置と、
前記第1の発電所から前記第2の発電所に対して送出される、電力供給の調整を指示する制御指示を取得する制御指示取得部と、
前記複数の制御装置に関する情報を、各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリーを含む属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して蓄積する管理データベースと、
前記制御指示の内容に応じて、前記管理データベースを参照して、前記所定のグループ単位で、且つ各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて、前記蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、前記スケジュールに従って制御を行うグループ管理部と
を備え
前記管理データベースでは、前記グループ毎に優先度が付与されており、
前記容量V2から、前記優先度順に、グループに対して割り当てを行う
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数蓄電池を遠隔から群制御し、
前記第2の発電所が、第1の発電所から受けていた出力制御をアグリゲーターで受け取り、出力制御が必要な容量V1の一部である容量V2分を複数蓄電池に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として前記アグリゲーターから前記第2の発電所に配布する電力供給方法であって、
電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置を前記電力系統に接続するとともに、前記需要単位毎に、前記各蓄電装置の充電又は前記蓄電装置から各需要単位における負荷への放電の制御を行う制御装置を設置する工程と、
前記複数の制御装置に関する情報を、各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリーを含む属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して管理データベースに蓄積する工程と、
前記第1の発電所から前記第2の発電所に対して送出される、電力供給の調整を指示する制御指示を制御指示取得部において取得する工程と、
グループ管理部が、前記制御指示の内容に応じて、且つ各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて、前記管理データベースを参照して、前記所定のグループ単位で前記蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、前記スケジュールに従って制御を行う工程と
を含み、
前記管理データベースでは、前記グループ毎に優先度が付与されており、
前記容量V2から、前記優先度順に、グループに対して割り当てを行う
ことを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、第1の発電所から第2の発電所に対して送出される制御指示の内容に応じて、電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置を所定のグループ単位で蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、スケジュールに従って遠隔的に制御を行うことができる。これにより、点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなし使うことができ、急激な電力需要の変動が生じる場合には、その変動分の電力需要を、このグループ単位での蓄電池装置に充放電することで吸収し、第2の発電所(例えば、太陽光発電)に対する出力制御を回避することができる。
【0011】
上記発明において、前記制御装置は、各需要単位に備えられた各蓄電装置の充電及び放電の状況を実績情報として前記グループ管理部に通知する機能をさらに有し、前記グループ管理部は、前記制御装置からの実績情報を前記管理データベースに蓄積し、集計された実績情報に基づいて前記所定のグループ単位での制御を行うことが好ましい。この場合には、各蓄電装置の充電及び放電の実績情報を反映させてきめ細かいスケジュールを作成して制御を行うことができる。
【0012】
上記発明において、前記管理データベースでは、前記グループ毎に優先度が付与されており、前記グループ管理部は、実績情報に基づいて前記集計を再実行して前記グループ単位での制御を行う再計算機能を有していることが好ましい。この場合には、各グループの優先度に応じてスケジュールの再計算を行うことで、実情を反映させたよりきめ細かいスケジュールを作成して制御を行うことができる。
【0013】
上記発明において、前記属性には各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリーが含まれ、前記グループ管理部は、各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて、前記制御を行うことが好ましい。この場合には、制御指示の内容に応じた充放電の所要時間に合致したスケジュールの作成を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、これらの発明によれば、再生可能エネルギー発電の出力抑制を回避して、デマンド抑制、発電所運転予備力としてグリッド内に点在する蓄電設備をシェアすることで、再生可能エネルギーの有効利用を図ることができ、再生可能エネルギー発電の出力制御は、発電コストの低減やCO2排出量の削減など、再生可能エネルギー発電本来のメリットを最大限に活用でき、再生可能エネルギーの普及させるという社会的要請に応えることができる。
【0015】
詳述すると、本発明では、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測およびリアルタイムでの補正により論理的にグループ分けを行い、これにより効率的なリソースの配分を可能とする。また、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池および個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができる。さらには、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うこともでき、多様なグルーピングを自在に行うことで、その地域の要請に合致した電力供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示す概念図である。
図2】実施形態に係る電力供給システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る電力供給システムの構成及び動作を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る電力供給システムにおける蓄電池の指示振り分け管理を示す説明図である。
図5】実施形態に係る電力供給システムにおける蓄電池の管理を示す表である。
図6】実施形態に係る電力供給システムにおける蓄電池の管理を示す表である。
図7】実施形態に係る電力供給システムにおける蓄電池の管理を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(電力供給システムの全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電力供給システムの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示す概念図であり、図2は、本実施形態に係る電力供給システムを構成する各装置の内部構成を示すブロック図である。また、図3は、本実施形態に係る電力供給システムの構成及び動作を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る電力供給システムは、第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて各需要単位に電力を供給する電力供給システムであり、本実施形態では、第1の発電所として電力会社2が運用する資源エネルギー利用発電所と、第2の発電所として発電事業者3が運用するメガソーラ等の再生可能エネルギー発電所とが含まれる。また、本実施形態では、需要単位5として、産業用蓄電システムを備えた大規模施設54及び中規模施設51と、住宅用蓄電システムを備えた一般住宅52と、電気自動車(EV:Electric Vehicle)531を有するEVパワーステーション53等が含まれている。
【0019】
また、発電事業者3と、各需要単位5を統合的に管理するアグリゲーター4が配置されており、第1の発電所を運用する電力会社2からの出力制御を、アグリゲーター4で取得し、アグリゲーター4の管理システムによって需要単位5に対する蓄電制御と、発電事業者3に対する出力制御を行う。本実施形態では、電力会社2は、火力発電などの資源エネルギー発電により電力を供給しており、翌日の電力消費量を予測して、急激な電力需要の変動が生じる可能性がある場合に、発電事業者3に対して、電力供給を制限する出力制御を配布する。
【0020】
本実施形態では、従来発電事業者3が直接、電力会社2から受けていた出力制御を、アグリゲーター4で受け取り、出力制御が必要な容量V1を、本システムの蓄電制御により出力制御に必要な容量V1の一部である容量V2分を、システム内の各蓄電装置に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として、アグリゲーター4から発電事業者3に配布する。アグリゲーター4は、電力会社2からの出力制御V1の内容に応じて、翌日の太陽光による発電量を吸収できる分を、システム内の各蓄電池を予め放電させて確保するように制御する。
【0021】
具体的に電力会社2には、図2に示すように、電力サーバー21が備えられており、この電力サーバー21によって電力会社2の発電が管理されている。電力サーバー21は、通信ネットワーク63を介してアグリゲーター4と接続されている。
【0022】
アグリゲーター4は、アグリゲーターシステム用サーバー41と、蓄電システム用サーバー42とを備えている。
【0023】
アグリゲーターシステム用サーバー41は通信ネットワーク63を介して電力会社の電力サーバー21に接続されている。また、アグリゲーターシステム用サーバー41は通信ネットワーク61を介して発電事業者3に接続されている。発電事業者3は、太陽光発電パネル32と、太陽光発電パネル32を制御・管理する監視端末31を備えている。一方、アグリゲーター4の蓄電システム用サーバー42は、通信ネットワーク62を介して、各需要単位5の各制御装置接続されている。
【0024】
そして、図2及び図3に示すように、電力会社2の電力系統60に、発電事業者3の太陽光発電所及び各需要単位51~54が接続され、電力会社2及び発電事業者3から、各需要単位5に対して電力が供給される。また、制御に関するデータは、電力会社2からアグリゲーターシステムを通じて、発電事業者3及び各需要単位5の制御装置に送信されるとともに、発電事業者3や需要単位5からの情報がアグリゲーター4に集積されるようになっている。
【0025】
(各装置の構成)
次いで、上述した各装置の構成について説明する。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0026】
(1)アグリゲーター側の装置構成
上述したようにアグリゲーター4は、アグリゲーターシステム用サーバー41と、蓄電システム用サーバー42とを備えている。アグリゲーターシステム用サーバー41は、図2に示すように、制御指示スケジュールダウンロード部411と、スケジュール書換部412と、データ取得部413と、管理データベース414と、充放電指示部415と、解析部416とを備えている。一方、蓄電システム用サーバー42は、アグリゲーターシステム用サーバー41で生成されたスケジュールに従って制御を行うサーバー装置であり、データ取得部421と、蓄電池制御部422とを備えている。
【0027】
制御指示スケジュールダウンロード部411は、第1の発電所である電力会社2から第2の発電所である発電事業者3に対して送出される制御指示を、発電事業者3に代わって取得する制御指示取得部であり、具体的には、定期的に電力サーバー21から制御指示スケジュールをダウンロードする。このダウンロードされた制御指示スケジュールは、解析部416に受け渡される。
【0028】
アグリゲーターシステム用サーバー41側のデータ取得部413は、管理対象となっている発電事業者3の発電状況を発電実績情報として取得するモジュールであり、このデータ取得部413で取得された実績情報は、管理データベース414に蓄積される。一方、蓄電システム用サーバー42側のデータ取得部421は、各需要単位に備えられた各蓄電装置の充電及び放電の状況を実績情報として取得するモジュールであり、このデータ取得部413で取得された実績情報は、管理データベース414に蓄積される。
【0029】
管理データベース414は、複数の制御装置に関する情報を、その属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して蓄積する管理データベースである。管理データベース414では、グループ毎に優先度が付与されているとともに、各需要単位の属性には各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリー等が含まれている。この管理データベース414に蓄積されるデータとしては、図3に示すように、発電所用のスケジュール情報DB414aと、各需要単位用のスケジュール情報DB414cと、グループに関するブロックIDDB414dと、サイトマスタDB414eと、各需要単位に備えられた蓄電池や設備に関する情報である蓄電池マスタDB414f及び製品マスタDB423hとが含まれる。なお、サイトマスタDB414e及び蓄電池マスタDB414fは、マスタ管理画面415aから管理が可能となっている。
【0030】
本実施形態において、これら管理データベース414に蓄積されるデータは、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測およびリアルタイムでの補正により論理的にグループ分け及び優先度が付与されており、これにより効率的なリソースの配分が可能となっている。また、これらのデータは、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池および個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができるようになっており、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うこともでき、多様なグルーピングを自在に行えるようになっている。
【0031】
また、管理データベース414には、管理対象となっている発電所や需要単位からアップロードされる実績情報を集積する発電所実績DB414b及び蓄電池実績DB414gも含まれる。
【0032】
解析部416は、制御指示の内容に応じて、管理データベース414を参照して、蓄電先を選定するために、所定のグループ単位で蓄電装置の充電又は放電のスケジュールを作成し、スケジュールに従って制御を行うモジュールである。具体的に解析部416は、管理データベース414に蓄積された実績情報を集計し、集計された実績情報に基づいて解析を行う。この解析は、所定のアプリケーションロジック416aに従って実行され、その解析結果に基づいて、スケジュール書換部412にスケジュールの書換が実行される。スケジュール書換部412は、解析部416による解析結果に基づいてスケジュールの書き換えを行うモジュールであり、書き換えられたスケジュールを充放電指示部415に受け渡す。本実施形態では、解析部416は、各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて制御を行う。
【0033】
詳述すると、この解析部416は、管理データベース414に蓄積されている太陽光発電設備情報と蓄電池設備情報を取得し、これらの情報に含まれる設定項目を参照して、各施設に対して指示を送出して制御を実行する。太陽光発電設備情報としては、優先順位、付加サービスの有無、保証容量及びエリアコードが含まれ、蓄電設備情報には、アグリゲーター制御対象、エリアコード、グループIDとが含まれる。
【0034】
そして、これらの太陽光発電設備情報と蓄電池設備情報とを用いて、先ず、対象エリアの保証容量の合計と蓄電池の状況を確認する。この確認の結果、付加サービス設定や優先順位順に蓄電池のグループ順に全体容量から保証容量分の割当を行う。そして、残分を優先順位順に全体へ配分する。図4に示した例では、同一抑制対象内において、グループをみて指示をする優先度を決定し、保証分を優先度の高い蓄電池を選択し、ベース分については、蓄電池1~3というように、順次割り振られる。なお、同図中、太陽発電設備3はについては、蓄電容量が残っていないため、指示ができない状態となっており、また、太陽光発電設備4については、同一エリアコードの蓄電池がないため、指示ができない状態となっている。このような解析による蓄電池の振り分けの例を図5図7に示す。
【0035】
また、本実施形態において解析部416は、実績情報に基づいて集計を再実行してグループ単位での制御を行う再計算機能を有しており、この再計算に基づいてスケジュール書換部412にスケジュールを書き換えさせる。
【0036】
充放電指示部415は、スケジュール書換部412によって生成されたスケジュールに基づいて各蓄電システム用サーバー42の蓄電池制御部422を通じて各蓄電池の制御を行う。蓄電池制御部422は、充放電指示部415に従って、通信ネットワーク62を通じて、各需要単位の制御部に対して制御指示を送出するモジュールである。
【0037】
(3)太陽光発電所側の装置構成
第2の発電所である発電事業者3の太陽光発電所は、本実施形態では太陽光発電所であり、図3に示した例では、監視端末31と、太陽光パネル(PV:Photovoltaic)32と、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)33とキュービクル34とを備えている。
【0038】
監視端末31は、アグリゲーターシステム用サーバー41から制御指示d11を取得してその制御指示スケジュールに従って、発電のオン・オフや発電量を制御するとともに、その発電の実績を実績情報d12としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する制御装置である。
【0039】
太陽光発電パネル32は、太陽光を太陽電池を用いて直接的に電力に変換する発電装置であり、監視端末31による制御によって、発電のオン・オフや発電量を調節できるようになっている。パワーコンディショナー33は、太陽光発電パネル32で発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する変電装置であり、太陽光発電パネル32から流れる直流電流を交流電流に変換する。キュービクル34は、パワーコンディショナー33から受電した電気を所定の電圧に変圧し、電力系統60を通じて各需要単位に供給する変電設備である。
【0040】
(2)需要単位側の装置構成
一般住宅52は、太陽光発電設備を備えた一般家庭規模の需要施設であり、図3に示した例では、制御装置521と、HUB52aと、エネルギー計測表示ユニット(EIG)52bと、電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cと、太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cと、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)52d,52eと、分電盤522と、蓄電池523とを備えている。
【0041】
制御装置521は、各家庭内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、需要単位(ここでは各家庭)毎に設けられ、蓄電池523の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、各家庭での実績情報を送信する。制御装置521は、制御信号をHUB52aを通じてEIG52bやPLC52cに送信するとともに、これらEIG52bやPLC52cからの情報を収集する。
【0042】
蓄電池523は、電気を蓄えたり使ったりできる蓄電装置のことであり、充放電を繰り返し行うことができる。ここでは、パワーコンディショナー52eを介して分電盤522及び制御装置521に接続され、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。パワーコンディショナー52dは、太陽光発電パネル52cで発電された電気を一般家庭の環境で使用できるように変換する変電装置であり、パワーコンディショナー52eは、蓄電池523で充放電される電気を一般家庭の環境で使用できるように変換する変電装置であり、EIG52bやPLC52cからの制御信号に基づいて制御されるとともに、これらEIG52bやPLC52cに対して電力の変換実績に関する情報を出力する。分電盤522は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、PCS52d,52e、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0043】
エネルギー計測表示ユニット(EIG:Energy Intelligent Gateway)52bは、施設全体の発電と消費状況を計測し管理する装置である。電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cは、電力線を使って通信する設備であり、パワーコンディショナー52eや制御装置521との間で、既設の電力線を通じてデータの送受信を行い、電力の使用量や発電量を制御装置521を通じて、蓄電システム用サーバー42に通知する。太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cは、家庭用の太陽光発電設備であり、制御装置521による制御に基づいて、発電された電力は分電盤522を通じて電力消費負荷524に供給される。
【0044】
EVパワーステーション53は、電気自動車(EV)を充電するEVパワーステーションを有する施設であり、図3に示した例では、制御装置531と、室内リモコン53bと、無線ルーター53aと、送受信ユニット53cと、中継ボックス53dと、給電装置(V2H:Vehicle to Home)53eと、分電盤532と、蓄電池としての電気自動車(EV)533とを備えている。
【0045】
制御装置531は、各家庭内の発電、電気自動車の蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、需要単位(ここでは各家庭)毎に設けられ、蓄電装置である電気自動車533の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置531は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、各家庭での実績情報を送信する。制御装置531は、制御信号を無線ルーター53a及び送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dに送信するとともに、中継ボックス53dからの情報を収集する。送受信ユニット53cは、中継ボックス53dと、室内リモコン53b及び制御装置531とを相互に接続するデータ中継器であり、制御装置531による制御や、室内リモコン53bによる遠隔操作を中継ボックス53dに送信する。
【0046】
給電装置53eは、電力系統60からの電力を電気自動車533に供給するとともに、電気自動車533から宅内の電力消費負荷534への電力供給を行う装置である。電気自動車533は、電力で走行する自動車であり、蓄電池を搭載しており、この蓄電池に電気を蓄えたり、蓄電された電力を宅内で使ったりできる。ここでは、給電装置53eを介して分電盤522及び制御装置521に接続され、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、車載された蓄電池の充放電が制御される。分電盤532は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、給電装置53e及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0047】
中規模施設51は、中規模の需要施設であり、図3に示した例では、制御装置511と、蓄電池513と、分電盤512とを備えている。
【0048】
制御装置511は、施設内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、蓄電池513の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置511は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、施設内での実績情報を送信する。制御装置511は、制御信号を蓄電池513に送信するとともに、蓄電池513からの情報を収集する。
【0049】
蓄電池513は、電気を蓄えたり使ったりできる中規模の蓄電装置であり、ここでは、パワーコンディショナー(PCS)を内蔵しており、蓄電された電気を一般家庭の環境で使用できるように変換して分電盤512に出力できるようになっている。分電盤512は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、蓄電池513及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、施設内の負荷に分配する。
【0050】
大規模施設54は、大規模の需要施設であり、図3に示した例では、制御装置541と、HUB54aと、エネルギーマネジメントシステム(EMS)54bと、蓄電制御システム(FBCS:Front Battery Control System)54cと、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)54dと、分電盤542と、複数の蓄電池543とを備えている。
【0051】
制御装置541は、施設内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、複数の蓄電池543の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置541は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、施設内での実績情報を送信する。制御装置541は、制御信号をHUB54aを通じてEMS54bやFBCS54cに送信するとともに、これらEMS54bやFBCS54cからの情報を収集する。EMS54bは、当該施設内におけるエネルギー管理システムであり、FBCS54cは、蓄電池群とPCSとを統括的に管理・制御する設備である。
【0052】
蓄電池543は、電気を蓄えたり使ったりできる複数の蓄電装置であり、EMS54b及びFBCS54Cによって統括的に制御され、充放電を繰り返し行うことができる。ここでは、パワーコンディショナー54dを介して分電盤542及び制御装置541に接続され、制御装置541の制御に従って、分電盤542に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。パワーコンディショナー54dは、蓄電池543に蓄電された電気を当該施設の環境で使用できるように変換する変電装置である。分電盤542は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、PCS54d、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0053】
(電力供給システムの動作)
以上説明した電力供給システムを動作させることによって、本発明の電力供給方法を実施することができる。
【0054】
先ず、第1の発電所である電力会社2から発電事業者3に対して送出される制御指示を制御指示スケジュールダウンロード部411によって取得する(S01)。この制御指示スケジュールダウンロード部411による制御指示の取得は、アグリゲーションロジックに基づいて実行される。
【0055】
この電力会社2からの制御指示は、リアルタイムに解析部416のアグリゲーションロジック416aで解析され(S02)、発電事業者3及び各需要単位5に対するスケジュールが生成される。生成された発電所用のスケジュールはスケジュール情報414aに蓄積され、需要単位用のスケジュールはスケジュール情報DB414cに蓄積される。
【0056】
ステップS03では、DB414aに蓄積された発電所用スケジュールは、スケジュール書換部412によって、各発電所のフォーマットに合わせた制御指示d11に周期的(例えば6秒間隔)に変換され(S031)、各発電所の監視端末31に送信される(S04)。この制御指示の送信は、例えば1分間隔といったように周期的に実行される。制御指示d11を受けた発電事業者3では、制御指示に従ってリアルタイムに発電設備を制御し(S05)、発電された電力を電力系統60に供給する(S06)。
【0057】
詳述すると、発電事業者3では、監視端末31が、アグリゲーターシステム用サーバー41から制御指示d11を取得してその制御指示スケジュールに従って、発電のオン・オフや発電量を制御する。この監視端末31による制御に従って、太陽光発電パネル32は、発電のオン・オフや発電量を調節し、パワーコンディショナー33によって太陽光発電パネル32から流れる直流電流を交流電流に変換し、キュービクル34によって電気を所定の電圧に変圧した後、電力系統60を通じて各需要単位に供給する。この電力供給の実績は、監視端末31によって実績情報d12としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信される、発電所実績DB414bに取り込まれる(S032)。
【0058】
一方、ステップS03において、DB414cに蓄積された需要単位用スケジュールは、蓄電システム用サーバー42に取得された後、スケジュール書換部412によって各需要単位のフォーマット(ここではCSVファイル形式)に合わせた制御指示d21に変換される(S033)。このとき、解析部416により、制御指示の内容に応じて、管理データベース414内の各データを参照して、所定のグループ単位で、電力使用量の制限をかけたり、蓄電池の充電又は放電を制御したりするスケジュールが作成され、各グループ単位での制御指示に変換される。作成された各制御指示は各需要単位の制御装置に送信され(S04)、制御指示d21を受けた各需要単位5では、制御指示に従って、電力使用量の上限を設定したり、各蓄電池の充電又は放電を制御する(S05及びS06)。
【0059】
なお、このステップS03では、各データベース414a~g、及びデータベース423c~hに蓄積されるデータを参照する。これらの各データベース内のスケジュール等のデータは、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測およびリアルタイムでの補正により論理的にグループ分け及び優先度が付与されており、これにより効率的なリソースの配分が可能となっている。また、これらのデータは、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池および個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができ、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うなど、多様なグルーピングが行われる。
【0060】
このステップS05及びS06について詳述すると、一般住宅52では、制御装置521が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、制御信号をHUB52aを通じてEIG52bやPLC52cに送信し、家庭内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御する。蓄電池523は、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。分電盤522は、PCS52d,52e、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。また、一般住宅52内の太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cでは、制御装置521による制御に基づいて、発電された電力は分電盤522を通じて電力消費負荷524に供給される。
【0061】
このとき、一般住宅52では、エネルギー計測表示ユニット(EIG:Energy Intelligent Gateway)52bによって、施設全体の発電と消費状況が計測され管理され、電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cによって、電力線を通じて、パワーコンディショナー52eや制御装置521との間で、データの送受信を行い、電力の使用量や発電量が制御装置521を通じて、実績情報d22として蓄電システム用サーバー42に通知される。この蓄電システム用サーバー42に通知された実績情報d22は、サイトマスタDB423e、蓄電池マスタDB423f及び製品マスタDB423hと対応付けられるとともに、所定のデータ形式に変換され(S034)、蓄電池実績DB423gに蓄積される。なお、蓄電システム用サーバー42側のデータベースは、アグリゲーターシステム用サーバー41側のデータベースと同期されており、蓄電システム用サーバー42側の各データベースに蓄積されたデータは、アグリゲーターシステム用サーバー41側で対応する各データベースに反映される。
【0062】
EVパワーステーション53では、制御装置531が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、送受信ユニット53c及び中継ボックス53dを通じて給電装置53e及び分電盤532が制御され、給電装置53eによる充放電及び分電盤522に対する入出力が切替られ、車載された蓄電池の充放電が制御される。分電盤532は、給電装置53e及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。このとき、制御装置531からの制御内容を室内リモコン53bにメッセージ等で表示し、ユーザー自身よる遠隔操作を促すようにしてもよい。このとき、EVパワーステーション53では、制御装置531によって、送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dからの情報を収集し、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、家庭での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0063】
中規模施設51では、制御装置511が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、制御信号を直接蓄電池513及び分電盤512に送信し、蓄電池513による充放電を制御するとともに、分電盤512を切り替えることにより、蓄電池513及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、施設内の負荷に分配する。これと併せて、中規模施設51では、制御装置511によって、送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dからの情報を収集し、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、家庭での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0064】
需要単位54では、制御装置541が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、制御信号をHUB54aを通じてEMS54bやFBCS54cに送信する。この制御装置541からの制御を受けて、EMS54bは当該施設内におけるエネルギー管理を行い、FBCS54cは蓄電池群とPCSとを統括的に管理・制御する。蓄電池543は、EMS54b及びFBCS54Cによる制御に従って、分電盤542に対する入出力が切替られ、充放電が制御され、分電盤542では、PCS54d、電力系統60などから供給される幹線を分岐ブレーカーで細かく分け施設内の負荷に分配する。これと併せて、需要単位54では、制御装置541によって、EMS54bやFBCS54cからの情報を収集し、施設での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0065】
(作用・効果)
以上説明した実施形態によれば、電力会社2から発電事業者3に対して送出される制御指示の内容に応じて、アグリゲーター4で、電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置を所定のグループ単位で蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、スケジュールに従って遠隔的に制御を行うことができる。これにより、点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなし使うことができ、急激な電力需要の変動が生じる場合には、その変動分の電力需要を、このグループ単位での蓄電池装置に充放電することで吸収し、発電事業者3に対する出力制御を回避することができる。
【0066】
本実施形態では、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測およびリアルタイムでの補正により論理的にグループ分けを行い、これにより効率的なリソースの配分を可能とする。また、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池および個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができる。さらには、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うこともでき、多様なグルーピングを自在に行うことで、その地域の要請に合致した電力供給を行うことができる。
【0067】
この結果、本実施形態によれば、再生可能エネルギー発電の出力抑制を回避して、デマンド抑制、発電所運転予備力としてグリッド内に点在する蓄電設備をシェアすることで、再生可能エネルギーの有効利用を図ることができ、再生可能エネルギー発電の出力制御は、発電コストの低減やCO排出量の削減など、再生可能エネルギー発電本来のメリットを最大限に活用でき、再生可能エネルギーの普及させるという社会的要請に応えることができる。
【符号の説明】
【0068】
d11,d21…制御指示
d12,d22…実績情報
2…電力会社
3…発電事業者
4…アグリゲーター
5…需要単位
21…電力サーバー
31…監視端末
32…太陽光発電パネル
33…パワーコンディショナー
34…キュービクル
41…アグリゲーターシステム用サーバー
42…蓄電システム用サーバー
51~54…需要単位
52…一般住宅
53…EVパワーステーション
54…大規模施設
60…電力系統
61~63…通信ネットワーク
411…制御指示スケジュールダウンロード部
412…スケジュール書換部
413…データ取得部
414…管理データベース
415…充放電指示部
416…解析部
421…データ取得部
422…蓄電池制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7