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特許7188887自動ドア装置を管理する方法、2以上の自動ドア装置を管理する方法、および自動ドアシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】自動ドア装置を管理する方法、2以上の自動ドア装置を管理する方法、および自動ドアシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221206BHJP
   B66B 5/00 20060101ALN20221206BHJP
   E05F 15/73 20150101ALN20221206BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
B66B5/00 G
E05F15/73
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018024451
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019139659
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼窪 倫弘
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110015(JP,A)
【文献】特開2016-038657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0217894(US,A1)
【文献】特開平05-201636(JP,A)
【文献】特開2018-005276(JP,A)
【文献】特開2000-347734(JP,A)
【文献】特開2003-345927(JP,A)
【文献】特表2014-517288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B66B 5/00
E05F 15/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報取得部が、自動ドア装置を構成する複数のモジュールのうち一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報を取得するステップと、
情報特定部が、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値と前記消耗情報とに基づいて前記モジュールの消耗値の割合を特定するステップと、
メンテナンス情報特定部が、前記消耗値の割合に基づいて前記自動ドア装置のメンテナンス情報を設定するステップと、
プラン特定部が、前記メンテナンス情報に基づいて前記自動ドア装置の保守プランと料金プランとの少なくとも一つを特定するステップと、
を含む自動ドア装置を管理する方法。
【請求項2】
情報提示部が、特定した前記自動ドア装置の保守プランと料金プランとの少なくとも一つを提示対象として、表示すること、印刷すること、および通信ネットワークを介して送信することの少なくとも一つにより提示するステップをさらに含む、請求項1に記載の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項3】
前記メンテナンス情報特定部が、一つ以上の前記モジュールの前記消耗値の割合に基づいて特定された前記自動ドア装置の取替時期または、前記自動ドア装置の耐久性に関連して予め定めた基準値に対する前記消耗値の割合に基づいて算出された前記自動ドア装置の消耗値の比率を、メンテナンス情報として特定するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項4】
情報提示部が、前記特定したメンテナンス情報を提示対象として、表示すること、印刷すること、および通信ネットワークを介して送信することの少なくとも一つにより提示するステップをさらに含む、請求項3に記載の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項5】
前記メンテナンス情報を特定するステップは、
一つ以上の閾値を基準に一つ以上の前記モジュールの前記消耗情報の各々を複数のランクのうちのいずれかに分類するステップと、
前記一つ以上のモジュールの前記消耗情報の各々について分類されたランクの合算結果に基づいて前記メンテナンス情報を特定するステップと、
を含む、請求項3又は4に記載の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項6】
前記消耗値の割合を特定するステップは、
一つ以上の閾値を基準に前記消耗情報を複数のランクのうちのいずれかに分類するステップと、
前記分類結果に対応する前記消耗値の割合を特定するステップと、
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項7】
2以上の自動ドア装置を管理する方法であって、
情報取得部が、前記2以上の自動ドア装置のそれぞれを構成する複数のモジュールのうち一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報を取得するステップと、
情報特定部が、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値と前記消耗情報とに基づいて前記モジュールの消耗値の割合を特定するステップと、
メンテナンス情報特定部が、前記消耗値の割合に基づいて前記2以上の自動ドア装置のメンテナンス情報を設定するステップと、
プラン特定部が、前記メンテナンス情報に基づいて前記2以上の自動ドア装置の保守プランと料金プランとの少なくとも一つを特定するステップと、
を含むことを特徴とする2以上の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項8】
前記2以上の自動ドア装置のうち一の自動ドア装置における前記保守プランと料金プランとの少なくとも一つを特定する基準は、前記2以上の自動ドア装置のうち前記一の自動ドア装置とは別の自動ドア装置における前記保守プランと料金プランとの少なくとも一つを特定する基準と異なる、請求項7に記載の2以上の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項9】
情報提示部が、特定した前記2以上の自動ドア装置の保守プランと料金プランとの少なくとも一つを提示対象として、表示すること、印刷すること、および通信ネットワークを介して送信することの少なくとも一つにより提示するステップをさらに含む、請求項7または8に記載の2以上の自動ドア装置を管理する方法。
【請求項10】
自動ドア装置を構成する複数のモジュールのうち一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報を取得する情報取得部と、
前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値と前記消耗情報とに基づいて前記モジュールの消耗値の割合を特定する情報特定部と、
前記特定した消耗値の割合に基づいて前記自動ドア装置のメンテナンス情報を設定するメンテナンス情報特定部と、
前記メンテナンス情報に基づいて前記自動ドア装置の保守プランと料金プランとの少なくとも一つを決定するプラン特定部と、
を備える自動ドアシステム。
【請求項11】
前記決定した保守プランと料金プランとの少なくとも一つを提示する情報提示部を備える、
請求項10に記載の自動ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモジュールで構成される可動装置を管理する方法、2以上の可動装置を管理する方法、可動装置、および自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの建物には自動ドアやエレベータなどの可動装置が設置されている場合が多い。このような可動装置では、長期間安定して使用するために、その使用状況に応じた維持管理を行うことが望ましい。例えば、特許文献1には、自動ドアのドア開閉回数に応じて維持管理費用を定めるシステムが記載されている。このシステムでは、自動ドアの扉開閉装置に設けた計数手段によりカウントしたドア開閉回数を使用状況として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-342803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動装置は、部品やアッセンブリなどのモジュールを複数含んで構成されており、可動装置が稼働することによって、これらのモジュールはそれぞれの運用状況に応じて摩耗や劣化などの消耗を生じる。このような可動装置を長期間安定して使用していくためには、各モジュールについて正確な消耗状況を把握し、その消耗状態に応じてより確かな交換時期や消耗度を特定し、モジュール交換などの維持管理がなされることが望ましい。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシステムでは、自動ドアのモジュールごとの消耗状況を把握する思想はみられず、モジュールごとの消耗状況に関わらず、単にドア開閉回数のみに基づいて管理内容を決定し管理費用を定めている。ドア開閉回数のみでは、自動ドアの正確な運用状況を把握できるとはいえず、ドア開閉回数によって画一的な点検間隔と、消耗状況に基づかない部品交換と、をすることになり、自動ドアのモジュールごとの正確な消耗状況に即した管理になっていないという問題がある。
このような課題は、自動ドアに限らず複数のモジュールで構成される別の種類の可動装置についても生じうる。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のモジュールで構成された可動装置について、各モジュールの稼働状況に基づいて、より信頼性の高い管理情報を取得可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の方法は、複数のモジュールで構成される可動装置を管理する方法であって、一つ以上のモジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報を取得することと、消耗情報に対応して設けられているモジュールの交換時期または、モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値に対する消耗情報から算出された消耗値の割合を特定することと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のモジュールで構成された可動装置について、各モジュールの稼働状況に基づいて、より信頼性の高い管理情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る自動ドアを概略的に示す正面図である。
図2図1の自動ドアの構成の一例を示すブロック図である。
図3図1の自動ドアの第1制御方法を示すフローチャートである。
図4図1のモジュールの交換時期と消耗割合の一例を示す説明図である。
図5図1の自動ドアの第2制御方法を示すフローチャートである。
図6図1の自動ドアの取替時期と消耗比率の一例を示す説明図である。
図7図1の自動ドアの第3制御方法を示すフローチャートである。
図8図1の自動ドアの保守プランと料金プランを特定する第1の例を説明する説明図である。
図9図1の自動ドアの保守プランと料金プランを特定する第2の例を説明する説明図である。
図10図1の自動ドアの保守プランと料金プランを特定する第3の例を説明する説明図である。
図11】可動装置の一例として自動ドアの重要性を分類して説明する説明図である。
図12図1の自動ドアの保守プランと料金プランを特定する第4の例を説明する説明図である。
図13】第2実施形態に係る二つの自動ドアの配置の一例を示す配置図である。
図14】第2実施形態に係る自動ドアの第3制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の概要について説明する。本発明のある態様は複数のモジュールで構成される可動装置を管理する方法である。可動装置は、可動な機構を有する装置であれば、特に限定されない。一例として、可動装置は、自動ドア、エレベータ、自動シャッター、エスカレータ、立体駐車場、自動門扉、自動倉庫、ホームドアなどであってもよい。モジュールは、可動装置が稼働することにより消耗を生じるものであってもよく、例えば可動装置を構成する機構部品、アッセンブリ、電子回路などであってもよい。特に、モジュールは、メンテナンスの際に交換可能なものであってもよい。
【0012】
この態様は、一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報(以下、消耗情報W1という)を取得することと、前記消耗情報に対応して設けられている前記モジュールの交換時期(以下、交換時期R1という)または、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値(以下、交換基準値Weという)に対する前記消耗情報から算出された消耗値の割合(以下、消耗割合C1という)を特定することと、を含む。例えば、モジュールが電子回路装置であれば、その累積動作時間(例えば、通電時間の累積情報)を消耗情報W1とすることができる。モジュールが、可動装置が動作しているときに移動する部材であれば、その累積動作距離(例えば、自動ドアの扉の走行距離の累積情報)を消耗情報W1とすることができる。消耗情報W1を取得するタイミングは、可動装置が所定の期間稼働したときで、例えば可動装置が1年間稼働したときであってもよい。各モジュールの消耗情報W1は、そのモジュールが交換されたときに、リセットまたは初期化されてもよい。
【0013】
モジュールの交換時期R1における交換基準値Weは、所定の交換時期における消耗状況であってもよい。モジュールの消耗割合C1は、消耗情報W1を取得したタイミングにおける交換基準値We(分母)に対する消耗情報W1(分子)の割合であってもよい。消耗割合C1はいわゆる消耗度であってもよい。モジュールの交換時期R1は、消耗情報W1を取得したときに推定される交換予定時期であってもよい。
【0014】
この態様によると、単に可動部分の動作回数から情報を得る場合に比べて、各モジュールの稼働状況に基づいて、より信頼性の高い情報を取得することができる。例えば、モジュールが電子回路装置であれば、その累積動作時間(例えば、通電時間の累積情報)を消耗情報とすることができる。モジュールが、可動装置が動作しているときに移動する部材であれば、その累積動作距離(例えば、自動ドアの扉の走行距離の累積情報)を消耗情報とすることができる。単に可動部分の動作回数を用いる場合に比べて、各モジュールの実際の稼働に基づく消耗状況を把握できるので、信頼性の高い情報を取得することができる。この結果、信頼性の高い各モジュールの情報に基づき、可動装置を管理することができ、より精度の高いメンテナンス情報を特定して提示することが可能になる。
【0015】
上述の管理方法は、一つ以上の前記モジュールについての前記交換時期R1および前記消耗割合C1のいずれかに基づいて特定された前記可動装置の取替時期(以下、取替時期R2という)または、前記可動装置の耐久性に関連して予め定めた基準値(以下、取替基準値という)に対する前記交換時期R1および前記消耗割合C1のいずれかに基づいて算出された前記可動装置の消耗値の比率(以下、消耗比率C2という)を、メンテナンス情報(以下、メンテナンス情報M2という)として特定することと、特定された前記メンテナンス情報M2を提示対象として提示することと、をさらに含んでもよい。
【0016】
このステップでは、所定期間稼働後の一つ以上のモジュールの交換時期R1や消耗割合C1を統合し、可動装置の取替時期R2または可動装置の消耗比率C2をメンテナンス情報M2として特定し、このメンテナンス情報M2を提示してもよい。このメンテナンス情報M2は、例えば可動装置のメンテナンス計画を含んでもよい。
【0017】
この場合、各モジュールの情報に基づいて可動装置のメンテナンス情報M2を特定するから、単に可動部分の動作回数から情報を特定する場合に比べて、より合理的なメンテナンス情報M2を特定することが可能である。また、合理的なメンテナンス情報M2を提示するので、提示内容は合理的で妥当性が高く、単に可動部分の動作回数を提示する場合に比べて提示を受ける顧客などの理解を得られやすい。
【0018】
上述の管理方法は、一つ以上の前記モジュールについての前記交換時期R1および前記消耗割合C1のいずれかに基づいて特定された前記可動装置の取替時期R2をメンテナンス情報M2として特定することと、特定された前記メンテナンス情報M2に応じた保守プランと料金プランの少なくとも一つを提示対象として提示することと、をさらに含んでもよい。このステップでは、所定期間稼働後の一つ以上のモジュールの交換時期R1や消耗割合C1を統合して可動装置の取替時期R2を特定し、これに応じて保守プランや料金プランを提示してもよい。保守プランは、例えば可動装置の点検の頻度やメンテナンス内容を含んでもよく、料金プランは、保守プランに応じた料金表を含んでもよい。
【0019】
この場合、例えば1年間稼働後の各モジュールの累積動作時間や累積動作距離に基づいて特定された可動装置のメンテナンス情報M2から保守プランや料金プランを自動的に作成し、速やかに顧客に提案することができる。このため、単に可動部分の動作回数に基づいて作成されたプランを提示する場合と比べて、妥当性が高く顧客の納得を得やすい。
【0020】
前記提示対象を提示することは、前記提示対象を表示すること、前記提示対象を印刷すること、および通信ネットワークを介して前記提示対象を送信することの少なくとも一つを含んでもよい。
【0021】
この場合、例えば、メンテナンス、定期検査あるいは営業の場面で、携帯ディスプレイに提示対象を表示して顧客に速やかに提示することができる。この結果、時間のロスを減らしタイムリーな情報提示をすることができる。また、保守プランや料金プランなど提示対象を印刷することで、顧客への説明が簡単になり、印刷結果を容易に顧客に引き渡すことができる。また、通信ネットワークを介して提示対象を送信することで、提示の手間を減らし一層タイムリーな情報提示をすることができる。このステップは可動装置の設置現場において行うこともできる。
【0022】
上述の管理方法は、前記消耗情報W1に基づいて前記モジュールの前記交換時期R1または前記モジュールの前記消耗割合C1を特定することは、前記消耗情報W1から一つ以上の閾値を基準に分類することを含んでもよい。
【0023】
この場合、モジュールの消耗情報W1が時間と距離のように次元が異なる場合に、閾値を用いて消耗情報W1を分類してランク付けすることにより、同じ基準に基づいて判断をすることができる。また、消耗情報W1の重要度で重み付けしてより妥当な判断をすることができる。また、複数の閾値を用いて、ランクを細分化することにより、一層きめ細かい判断をすることができる。
【0024】
上述の前記可動装置の前記メンテナンス情報M2を特定することは、前記モジュールの前記消耗情報W1に基づいて前記可動装置の取替時期R2または前記可動装置の消耗比率C2を特定する情報から一つ以上の閾値を基準に分類することを含んでもよい。このステップでは、可動装置の取替時期R2や消耗比率C2を特定する基礎となる情報を予め設定された閾値に基づいて分類してランク付けすることでメンテナンス情報M2を特定してもよい。例えば、基礎となる情報は、所定期間稼働後の一つ以上のモジュールの消耗情報W1であってもよいし、これらのモジュールの交換時期R1や消耗割合C1であってもよい。
【0025】
この場合、各モジュールの基礎となる情報の次元が異なる場合であっても、閾値を用いて消耗情報W1をランク付けすることにより、その各ランクを合算して可動装置全体のメンテナンス交換情報を容易に分類することができる。
【0026】
本発明の別の態様は、複数のモジュールで構成される2以上の可動装置を管理する方法である。この態様は、上述の可動装置を複数一括で管理する方法であってもよい。2以上の可動装置は、同じ種類の可動装置であってもよいし、別の種類の可動装置であってもよい。
【0027】
この方法は、一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報W1を取得することと、前記消耗情報W1に対応して設けられている前記モジュールの交換時期R1または、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値(分母)に対する前記消耗情報W1(分子)から算出された消耗割合C1を特定することと、各可動装置について、前記交換時期R1または前記消耗割合C1に基づいて当該可動装置のメンテナンスをすべき時期をメンテナンス情報として分類することと、各可動装置のメンテナンス情報に応じた保守プランと料金プランの少なくとも一つを提示対象として提示することと、を含む。この保守プランと料金プランは2以上の可動装置を一括で管理するためのプランであってもよい。
【0028】
この態様によると、2以上の可動装置の保守業務を一括で管理する場合に、各装置のメンテナンス情報に基づいて、保守プランや料金プランを自動的に作成して顧客に素早く提案することができる。このため、単に可動部分の動作回数に基づいて作成されたプランを提示する場合と比べて、妥当性が高く顧客の納得を得やすい。また、各装置の消耗情報W1の状況に応じた柔軟なプランを提示することができる。
【0029】
この方法では、前記2以上の可動装置のうち一の可動装置の分類の基準は、前記2以上の可動装置のうち前記一の可動装置とは別の可動装置の分類の基準と異なっていてもよい。この場合、可動装置それぞれの重要性に応じた分類基準に基づき分類したメンテナンス情報M2を統合して総合評価することができる。つまり、各装置の重要性により重み付けをして各情報を統合することができる。単純に合算する場合に比べてより妥当なプランを提案することができる。重要性が高い装置と重要性が相対的に低い装置とを一括でメンテナンス管理することができる。
【0030】
この方法では、前記提示対象を提示することは、前記提示対象を表示すること、前記提示対象を印刷すること、および通信ネットワークを介して前記提示対象を送信することの少なくとも一つを含んでもよい。この場合、例えば、メンテナンス、定期検査あるいは営業の場面で、保守プランや料金プランなどの提示対象を、携帯端末のディスプレイに表示して顧客に速やかに提示することができる。また、提示対象を印刷することで、顧客への説明が簡単になり、その印刷結果を容易に顧客に引き渡すことができる。また、通信ネットワークを介して提示対象を送信することで、提示の手間を減らし一層タイムリーな情報提示をすることができる。このステップは可動装置の設置現場において行うこともできる。
【0031】
本発明のさらに別の態様は、複数のモジュールで構成される可動装置である。この可動装置は、一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報W1を取得する情報取得部と、前記消耗情報W1に対応して設けられている前記モジュールの交換時期R1または、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値(交換基準値We)に対する前記消耗情報から算出された消耗値の割合(消耗割合C1)を特定する情報特定部と、を備える。この情報取得部および情報特定部は可動装置のコントローラに設けたCPUによって実現することができる。
【0032】
この態様によると、各モジュールの稼働状況に基づいて、より信頼性の高い交換時期R1や消耗割合C1を特定することができる。この結果、信頼性の高い各モジュールの情報に基づき、可動装置を管理することができる。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、複数のモジュールで構成される自動ドアである。この自動ドアは、一つ以上の前記モジュールについての累積動作時間および累積動作距離の少なくとも一方を含む消耗情報W1を取得する情報取得部と、前記消耗情報W1に対応して設けられている前記モジュールの交換時期R1または、前記モジュールの耐久性に関連して予め定めた基準値(交換基準値We)に対する前記消耗情報から算出された消耗値の割合(消耗割合C1)を特定する情報特定部と、を備える。
【0034】
この態様によると、各モジュールの稼働状況に基づいて、より信頼性の高い交換時期R1や消耗割合C1を特定することができる。この結果、信頼性の高い各モジュールの情報に基づき、自動ドアを管理することができる。また、従来のドアの開閉回数だけを考慮して消耗を特定することと比べて、考慮するモジュール(部品)の数が増えるので、それぞれのモジュールの稼働状況に応じた信頼性の高い情報を取得することができる。
【0035】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0036】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は、可動装置として例示される自動ドアである。以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア100について説明する。図1は、第1実施形態に係る自動ドア100を概略的に示す正面図である。自動ドア100は、通行体が通行する開口を開閉するドア30を可動方向Aに開閉動作させる可動装置である。
【0037】
自動ドア100は、ドアエンジン10と、コントローラ12と、ドアセンサ14と、従動プーリ16と、ドアハンガ18と、ベルト20と、電気錠22とを主に含む。以下、ドアエンジン10、コントローラ12、ドアセンサ14、従動プーリ16、ドアハンガ18、ベルト20、および電気錠22を総称するときは構成モジュールという。構成モジュールそれぞれは、メンテナンスの際に交換できるように構成されてもよい。自動ドア100は、構成モジュールの他に公知の部材やアッセンブリを含んで構成されてもよい。
【0038】
ドアエンジン10は、モータ(不図示)の駆動力に応じて駆動プーリ10pを回転駆動する。ドアセンサ14は、無目などに取り付けられ、通行人などを検知する。コントローラ12は、ドアセンサ14から通行人などの検知結果を取得してドアエンジン10のモータを制御してドア30を開閉する。コントローラ12は、ドアエンジン10のモータを駆動するエンジン駆動部12dと、自動ドア100の動作を制御する制御部40と、を含む。
【0039】
従動プーリ16は、駆動プーリ10pに対応して、駆動プーリ10pからドア30の走行方向に離隔して設けられる。ベルト20は、駆動プーリ10pと従動プーリ16の外周に掛け回され、駆動プーリ10pの回転に伴って従動プーリ16を回転させる。ドアハンガ18は、ドア30を懸架した状態でレール(不図示)に支持される。電気錠22は、所定の条件下において、コントローラ12の制御により、ドア30を解錠状態から施錠状態にし、または施錠状態から解錠状態に変更する。ドアエンジン10により駆動プーリ10pが回転してベルト20を駆動すると、ベルト20に固定されたドア30が移動して開閉動作を行う。ドア30が移動すると、ドア30を支持するドアハンガ18がレール上を移動する。
【0040】
図2は、自動ドア100の構成の一例を示すブロック図である。図2の例では、コントローラ12は、制御部40と、エンジン駆動部12dと、電気錠駆動部12kと、通信部12cと、を含む。エンジン駆動部12dは、制御部40の制御に基づいてドアエンジン10を駆動する駆動回路として機能する。電気錠駆動部12kは、制御部40の制御に基づいて電気錠22を駆動する駆動回路として機能する。通信部12cは、外部に情報を送信し、外部から情報を受信する。
【0041】
(制御部)
次に、制御部40について説明する。図2に示す制御部40の各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0042】
図2に示すように、制御部40は、検知結果取得部40bと、エンジン制御部40cと、電気錠制御部40dと、情報取得部50と、情報特定部60と、メンテナンス情報特定部62と、プラン特定部64と、を主に含む。検知結果取得部40bは、ドアセンサ14から通行体の検知結果を取得する。制御部40は、閉扉状態でドアセンサ14が所定の領域で通行体を検知したら、ドア30を開動作させる。制御部40は、開扉状態でドアセンサ14が所定のドア近傍領域で通行体を検知しなくなったら、所定時間後にドア30を閉動作させる。エンジン制御部40cは、エンジン駆動部12dを介してドアエンジン10の動作を制御する。電気錠制御部40dは、電気錠駆動部12kを介して電気錠22の動作を制御する。
【0043】
情報取得部50は、構成モジュールから累積動作時間または累積動作距離の少なくともいずれか一方を含む消耗情報W1を取得する。情報取得部50は、コントローラ通電時間取得部50bと、センサ通電時間取得部50cと、電気錠通電時間取得部50dと、ドアハンガ走行距離取得部50fと、従動プーリ走行距離取得部50gと、ベルト走行距離取得部50hと、ドアエンジン走行距離取得部50jと、を含む。
【0044】
コントローラ通電時間取得部50bは、コントローラ12の通電時間を取得して、累積動作時間として保持する。コントローラ通電時間取得部50bの通電時間は、制御部40内で測定されてもよい。センサ通電時間取得部50cは、ドアセンサ14の通電時間を取得して、累積動作時間として保持する。ドアセンサ14の通電時間は、ドアセンサ14に設けたマイクロコンピュータ14cで測定されてもよい。センサ通電時間取得部50cは、マイクロコンピュータ14cから測定結果を取得する。電気錠通電時間取得部50dは、電気錠22の通電時間を取得して、累積動作時間として保持する。電気錠22の通電時間は、制御部40内で測定されてもよい。
【0045】
ドアハンガ走行距離取得部50fは、ドアハンガ18の走行距離を取得して、累積動作距離として保持する。ドアハンガ18の走行距離は、ドアエンジン10が回転した回数に所定の定数を乗じて算出されてもよい。従動プーリ走行距離取得部50gは、従動プーリ16の走行距離を取得して、累積動作距離として保持する。従動プーリ16の走行距離は、ドアエンジン10が回転した回数に所定の定数を乗じて算出されてもよい。ベルト走行距離取得部50hは、ベルト20の走行距離を取得して、累積動作距離として保持する。ベルト20の走行距離は、ドアエンジン10が回転した回数に所定の定数を乗じて算出されてもよい。ドアエンジン走行距離取得部50jは、ドアエンジンの走行距離を取得して、累積動作距離として保持する。ドアエンジンの走行距離は、ドアエンジン10が回転した回数に所定の定数を乗じて算出されてもよい。これらの各取得部の累積動作時間や累積動作距離は、その取得部に対応するモジュールが交換されたときに、リセットまたは初期化されてもよい。
【0046】
(情報特定部)
情報特定部60は、情報取得部50で取得した構成モジュールの消耗情報W1に基づいて構成モジュールの交換時期R1または構成モジュールの消耗割合C1を特定する。以下、交換時期R1と消耗割合C1を総称するときはメンテナンス情報M1と表記する。情報特定部60は、第1データベースDB1と、コントローラ消耗情報特定部60bと、センサ消耗情報特定部60cと、電気錠消耗情報特定部60dと、ドアハンガ消耗情報特定部60fと、従動プーリ消耗情報特定部60gと、ベルト消耗情報特定部60hと、ドアエンジン消耗情報特定部60jと、を含む。
【0047】
第1データベースDB1は、構成モジュールそれぞれについて、予め設定された第1分類基準T1と、第1分類基準T1に対応する交換時期R1と、交換時期R1における交換基準値Weと、を記憶している。第1分類基準T1は、消耗情報W1を分類して複数のランクに区分するための基準値であり、一つ以上の閾値を含んでいる。交換基準値Weは、交換時期R1における消耗情報である。
【0048】
交換時期R1は、モジュールの耐久性に関連して予め定められた交換時期である。交換時期R1は、消耗情報W1を取得した前年の累積動作時間または累積動作距離に基づいて、第1分類基準T1の閾値を基準に分類された複数の区分によって特定される。消耗情報W1が累積動作時間である場合、第1分類基準T1は、例えば、2400Hと4800Hの2つの閾値を含んでおり、交換時期R1は3区分に分類される。一例として、累積動作時間が2400H未満の場合は、交換時期R1は7年、累積動作時間が2400H以上で4800H未満の場合は、交換時期R1は5年、累積動作時間が4800H以上の場合は、交換時期R1は3年と特定される。
【0049】
消耗情報W1が累積動作距離である場合、第1分類基準T1は、例えば、1000kmと2000kmの2つの閾値を含んでおり、交換時期R1は3区分に分類される。一例として、累積動作距離が1000km未満の場合は、交換時期R1は7年、累積動作距離が1000km以上で2000km未満の場合は、交換時期R1は5年、累積動作距離が2000km以上の場合は、交換時期R1は3年と特定される。
【0050】
交換時期R1が特定されたら、第1データベースDB1から交換時期R1に対応する交換基準値Weを取得する。一例として、交換時期R1が5年である場合の交換基準値Weは24000Hまたは10000kmである。消耗割合C1は、交換基準値We(分母)に対する消耗情報W1(分子)の割合として特定することができる。情報特定部60の各特定部はこの手順により交換時期R1と消耗割合C1を特定する。
【0051】
コントローラ消耗情報特定部60bは、コントローラ通電時間取得部50bに保持されている累積動作時間に基づいて、コントローラ12の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。センサ消耗情報特定部60cは、センサ通電時間取得部50cに保持されている累積動作時間に基づいて、ドアセンサ14の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。電気錠消耗情報特定部60dは、電気錠通電時間取得部50dに保持されている累積動作時間に基づいて、電気錠22の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。
【0052】
ドアハンガ消耗情報特定部60fは、ドアハンガ走行距離取得部50fに保持されている累積動作距離に基づいて、ドアハンガ18の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。従動プーリ消耗情報特定部60gは、従動プーリ走行距離取得部50gに保持されている累積動作距離に基づいて、従動プーリ16の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。ベルト消耗情報特定部60hは、ベルト走行距離取得部50hに保持されている累積動作距離に基づいて、ベルト20の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。ドアエンジン消耗情報特定部60jは、ドアエンジン走行距離取得部50jに保持されている累積動作距離に基づいて、ドアエンジン10の交換時期R1および消耗割合C1を上述の手順で特定する。
【0053】
メンテナンス情報特定部62は、情報特定部60で特定した構成モジュールの交換時期R1および消耗割合C1のいずれか一方に基づいて自動ドア100の取替時期R2および消耗比率C2の少なくとも一つをメンテナンス情報M2として特定する。プラン特定部64は、メンテナンス情報M2に対応する保守プランQおよび料金プランPの詳細な情報を記憶した第2データベースDB2を含む。プラン特定部64は、メンテナンス情報特定部62で特定したメンテナンス情報M2と、第2データベースDB2の記憶情報と、に基づいて、自動ドア100の保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを特定する。情報提示部66は、プラン特定部64で特定した自動ドア100の保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを提示対象として提示する。
【0054】
次に、このように構成された自動ドア100の第1の管理方法について説明する。図3は、第1の管理方法を実現する処理S120を説明するフローチャートである。処理S120は、交換時期R1および消耗割合C1を特定する処理を含む。処理S120が開始されると、情報取得部50は、モジュールの消耗情報W1を取得する(ステップS122)。このステップにおいて、制御部40は、構成モジュールそれぞれから累積動作時間および累積動作距離の少なくともいずれか一方を含む消耗情報W1を取得する。
【0055】
消耗情報W1を取得した制御部40は、この消耗情報W1に基づいて交換時期R1または消耗割合C1を特定する(ステップS124)。このステップにおいて、交換時期R1および消耗割合C1は、上述した手順によって特定することができる。図4は、構成モジュールの消耗情報W1と交換時期R1および消耗割合C1の例を示す表である。消耗情報W1が累積動作距離であるモジュールでは、累積動作距離は1700kmで、2つの閾値1000km、2000kmを基準に交換時期R1は5年と特定される。また、消耗情報W1が累積動作時間であるモジュールでは、累積動作時間は4000Hで、2つの閾値2400H、4800Hを基準に交換時期R1は5年と特定される。消耗割合C1は、交換基準値Weを基準に17%と特定される。
【0056】
自動ドア100は、特定された交換時期R1または消耗割合C1に基づいて管理される。例えば、交換時期R1または消耗割合C1に基づいてメンテナンス頻度を設定することができる。ステップS124を実行することにより処理S120は終了する。
【0057】
なお、この例では累積動作時間および累積動作距離を個別モジュールごとに取得する例について説明したが、累積動作時間および累積動作距離を、構成モジュール全体を一体として取得するようにしてもよい。この場合、交換時期R1または消耗割合C1は構成モジュール全体を一体として特定されてもよい。
【0058】
次に、自動ドア100の第2の管理方法について説明する。図5は、第2の管理方法を実現する処理S130を説明するフローチャートである。処理S130は自動ドア100のメンテナンス情報M2を提示する処理を含む。処理S130のステップS122~S124は処理S120と同様であり説明を省く。
【0059】
処理S130では、構成モジュールの交換時期R1または消耗割合C1が特定されると、制御部40は、メンテナンス情報特定部62によって、これらのいずれか一方に基づいて自動ドア100のメンテナンス情報M2を特定する(ステップS132)。メンテナンス情報M2は、自動ドア100の取替時期R2または自動ドア100の消耗比率C2である。
【0060】
各モジュールの交換時期R1または消耗割合C1から自動ドア100のメンテナンス情報M2を特定する方法は特に限定されない。この例では、各モジュールの累積動作時間を平均して自動ドア100の累積動作時間を特定し、各モジュールの累積動作距離を平均して自動ドア100の累積動作距離を特定し、第2分類基準T2を基準に取替時期R2および消耗比率C2を特定する。この例では、第2分類基準T2は第1分類基準T1と同じであり、取替基準値は交換基準値Weと同じである。図6は、自動ドア100の取替時期R2および消耗比率C2の一例を示す表である。
【0061】
メンテナンス情報M2を特定した制御部40は、メンテナンス情報M2を提示対象として提示する(ステップS134)。自動ドア100は、提示されたメンテナンス情報M2に基づいて管理される。例えば、メンテナンス情報M2に基づいてメンテナンス頻度を設定することができる。ステップS134を実行することにより処理S130は終了する。
【0062】
次に、自動ドア100の第3の管理方法について説明する。図7は、第3の管理方法を実現する処理S140を説明するフローチャートである。処理S140のステップS122~S124は処理S120と同様であり説明を省く。
【0063】
処理S140では、制御部40は、メンテナンス情報特定部62によって、構成モジュールの交換時期R1および消耗割合C1のいずれか一方に基づいて自動ドア100の取替時期R2をメンテナンス情報M2として特定する(ステップS142)。例えば、各モジュールの交換時期R1を平均して取替時期R2を特定してもよい。
【0064】
次に、制御部40は、プラン特定部64によって、メンテナンス情報M2に応じて保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを特定する(ステップS144)。保守プランQや料金プランPの特定方法は特に限定されない。以下に特定方法の例を示す。
【0065】
(第1の例)
図8を参照して、プラン特定部64によって、保守プランQおよび料金プランPを特定する第1の例を説明する。図8は、自動ドア100の保守プランQと料金プランPを特定する第1の例を説明する説明図である。図8(a)は、査定項目と評価基準の一例を示し、図8(b)は、保守プランQの一例を示す。
【0066】
この例では、メンテナンス情報M2に基づいて自動ドア100の使用頻度が高い顧客向けの第1プランと、使用頻度が低い顧客向けの第2プランと、を特定する。プランは、自動ドア100が所定の期間稼働したタイミングで特定される。この例では、自動ドア100が1年間稼働したタイミングで、前年の累積動作時間、前年の累積動作距離、前年の修理履歴、および総使用期間を査定項目とし、この査定項目に基づいてプランを特定する。
【0067】
通電時間が長い場合には主に電子部品の劣化度合が高くなる。このため、通電時間に応じて保守プランを決めるように、前年の累積動作時間を査定項目に含めている。走行距離が長い場合には主に機械部品の劣化度合が高くなる。このため、走行距離に応じて保守プランを決めるように、前年の累積動作距離を査定項目に含めている。客先原因による修理が多い場合には運用状態がよくない場合が有り、このため、修理回数に応じて保守プランを決めるように、前年の修理履歴を査定項目に含めている。総使用期間が長い場合には装置全体として劣化が進行している可能性がある。このため、総使用期間に応じて保守プランを決めるように、総使用期間を査定項目に含めている。
【0068】
査定項目の分類方法に制限はないが、図8(a)の例では、各査定項目を一つの閾値により2区分に分類している。累積動作時間は、4800H以上を第1プラン、4800H未満を第2プランと分類する。累積動作距離は、2000km以上を第1プラン、2000km未満を第2プランと分類する。前年の修理履歴は、3回以上を第1プラン、3回未満を第2プランと分類する。総使用期間は、7年以上を第1プラン、7年未満を第2プランと分類する。
【0069】
稼働状況の一例として、累積動作時間=4000H、累積動作距離=1700km、前年の修理履歴=1回、総使用期間=1年の場合では、4つの査定項目において第2プランに該当する。プランの採用方法に制限はないが、図8(a)の例では、この査定項目のうち該当項目が多いプランを採用する。したがって、この例では第2プランが採用され、図8(b)の第2プランの保守プランQおよび料金プランPが特定される。
【0070】
保守プランQの内容に制限はないが、図8(b)の保守プランQは、料金プランP、年間の点検回数、部品交換費用、および稼働状況レポートの年間提出回数を含んでいる。料金プランPは別建てでもよいが、この例では保守プランQに含まれている。一例として、第1プランでは、料金プランPは100000円/年、点検回数は2回/年、部品交換費用は料金プランPに含み、稼働状況レポートは2回/年である。第2プランでは、料金プランPは40000円/年、点検回数は1回/年、部品交換費用は料金プランPに含み、稼働状況レポートは1回/年である。
【0071】
(第2の例)
図9および図8を参照して、プラン特定部64によって、保守プランQおよび料金プランPを特定する第2の例を説明する。図9は、自動ドア100の保守プランQと料金プランPを特定する第2の例を説明する説明図である。図9(a)は、査定項目の評価基準の一例を示し、図9(b)は、保守プランQの分類基準の一例を示す。この説明では、第1の例と共通する説明を省き、主に相違点について説明する。
【0072】
第1の例では、各査定項目を一つの閾値で分類し、該当目が多いプランを採用するのに対して、第2の例では、各査定項目を複数(例えば2つ)の閾値で分類して点数評価し、その合計点数に基づいて適用プランを特定する。図9(a)に示すように、前年の累積動作時間、前年の累積動作距離、前年の修理履歴、および総使用期間を査定項目とし、この査定項目について2つの閾値を基準に3区分に分類する。累積動作時間の閾値は2400Hと4800Hで、累積動作距離の閾値は1000kmと2000kmで、修理履歴の閾値は1回と3回で、総使用期間の閾値は3年と7年である。
【0073】
査定の点数は各査定項目で同じであってもよいが、この例では、査定項目のうち点検・修理の必要性に影響が大きい項目は、他の項目より点数を高くして重み付けしている。修理履歴と総使用期間については3点満点とし、累積動作時間と累積動作距離については5点満点としている。図9(b)の分類基準では、合計点が10点以上の場合に第1プランを、10点未満の場合に第2プランを採用することとしている。各査定項目が図8(a)と同条件の場合、図9(a)の評価例では、累積動作時間は3点、累積動作距離は3点、修理履歴は1点、総使用期間は1点で評価の合計点は8点である。したがって、この例では第2プランが採用され、図8(b)の第2プランの保守プランQおよび料金プランPが特定される。
【0074】
(第3の例)
図10および図8を参照して、プラン特定部64によって、保守プランQおよび料金プランPを特定する第3の例を説明する。保守プランQおよび料金プランPを特定する際に、必要に応じて第1の例または第2の例に査定項目を追加してもよい。図10は、自動ドア100の保守プランQと料金プランPを特定する第3の例を説明する説明図であり、第1の例に追加する査定項目と評価基準の一例を示す。図10には、査定項目として、設置環境、ドア質量、開閉速度、前年の反転回数および前年のサーマル作動回数が例示されている。なお、開閉速度は、最高設定速度を10とした場合の相対速度であり、反転回数は、ドアが閉動作中に開動作に反転した回数であり、サーマル作動回数は、過度な温度上昇により保護回路が作動した回数である。
【0075】
設置環境が室外、塩害地域(海岸から2km以内)、気温が0℃以下または40℃を超える環境のいずれかに該当する場合は第1プラン、室内で気温が0℃~40℃の場合は第2プランとしてもよい。ドア質量が適用ドア質量の90%以上の場合は第1プラン、90%未満の場合は第2プランとしてもよい。ドアの開閉速度が設定速度5以上の場合は第1プラン、5未満の場合は第2プランとしてもよい。ドアの反転回数が総開閉回数の30%以上の場合は第1プラン、30%未満の場合は第2プランとしてもよい。サーマル作動回数が3回以上の場合は第1プラン、3回未満の場合は第2プランとしてもよい。
【0076】
第1の例の査定項目に第3の例の査定項目を加えて、これらの査定項目のうち該当項目が多いプランを採用してもよい。図10の例では、査定項目を一つの閾値により2区分に分類しているが、査定項目を複数の閾値により3以上の区分に分類して評価点を付与してもよい。評価点を付与することにより、第3の例の査定項目を第2の例に追加することができる。
【0077】
(第4の例)
図11図12および図8を参照して、プラン特定部64によって、保守プランQおよび料金プランPを特定する第4の例を説明する。この説明では、第1~第3の例と共通する説明を省き、主に相違点について説明する。1つの建物に複数の可動装置が設けられており、顧客にとってそれぞれの可動装置の用途や重要性が異なる場合が考えられる。したがって、可動装置の用途や重要性に応じて保守内容を変更することが望ましい。図11は、可動装置の一例として自動ドアの重要性を分類して説明する説明図である。図12は、図1の自動ドア100の保守プランQと料金プランPを特定する第4の例を説明する説明図である。
【0078】
自動ドアの重要性を複数段階に分けて段階ごとに保守内容を変更してもよい。図11の例では、自動ドアの重要性を3段階に分類している。例えば、入退出を管理している開口の自動ドアのように、故障した場合に業務やセキュリティに大きな影響を与える自動ドアは、通常よりも重要性が高く、通常よりも手厚い保守内容にすることが考えられる。この重要性が高い例には、手術室の出入口や冷凍・冷蔵室の出入口の自動ドアも含まれる。
【0079】
例えば、店舗出入口や各種建物のエントランスの自動ドアなどは不特定多数が通行するため、故障で使用できない時間をできる限り無くすことが望ましい。したがって、このような自動ドアの重要性は中程度といえる。また、従業員通用口や社内会議室の出入口の自動ドアなどは、特定の人物が通行するだけなので、故障による影響は比較的少なく、事後に保全する形態であっても問題ない場合が多い。したがって、故障の影響が低い自動ドアの重要性は相対的には低いといえる。
【0080】
図12(a)は、査定項目の評価基準の一例を示し、図9(a)と同内容である。図12(a)の評価例では、累積動作時間は3点、累積動作距離は3点、修理履歴は1点、総使用期間は1点で評価の合計点は8点である。図12(b)は、保守プランQの分類基準の一例を示しており、自動ドアの重要性に応じて判定の基準点が異なる。一例として、重要性が高い場合の基準点は8点で、重要性が中の場合の基準点は10点で、重要性が低い場合の基準点は12点である。図12(b)の例では、基準点以上では第1プラン、基準点未満では第2プランを採用する。したがって、評価の合計点が8点のとき、自動ドアの重要性に応じて採用されるプランが異なる。この例では、重要性が高い場合は第1プランが採用され、重要性が中または低い場合は第2プランが特定される。第1プランおよび第2プランの保守プランQおよび料金プランPの内容は図8(b)によって特定される。
なお、第1~第4の例はあくまでも一例で有り、査定項目を追加、削除、変更し、閾値の条件や数を適宜変更してもよい。第1~第4の例は適宜組み合わせて適用されてもよい。
【0081】
図7のフローチャートに戻る。この説明では図2も参照する。保守プランQまたは料金プランPを特定したら、制御部40は、情報提示部66により、保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを提示対象として提示する(ステップS146)。提示対象を提示する方法は特に限定されないが、一例として、提示対象を表示すること、提示対象を印刷すること、および通信ネットワークを介して提示対象を送信することの少なくとも一つを含んでもよい。例えば、情報提示部66は、通信部12cにより、提示対象を携帯端末のディスプレイ72dに表示して顧客に提示してもよい。また、提示対象を印刷した書面72pを顧客に提示してもよく、提示対象をメール72mとしてインターネットにより顧客に送信して提示してもよい。このステップは自動ドア100の設置現場において行うこともできる。
【0082】
自動ドア100は、保守プランQまたは料金プランPにしたがって管理されてもよい。ステップS146を実行することにより処理S140は終了する。なお、処理S120、処理S130、および処理S140には別の処理が追加され、一部の処理が削除・変更され、または処理の順番が変更されてもよい。
【0083】
[第2実施形態]
次に、図13図14、および図2を参照して本発明に係る第2実施形態に係る2以上の可動装置を管理する方法を説明する。第2実施形態は、2以上の可動装置の保守業務を一括で管理する方法である。ここでは、一例として、第1実施形態の2台の自動ドア100を一括して管理する方法を説明する。2台の自動ドア100の一方を自動ドア100Aと、他方を自動ドア100Bと表記する。図13は、第2実施形態に係る二つの自動ドア100A、100Bの建物80における配置の一例を示す配置図である。図14は、第2実施形態に係る自動ドア100A、100Bの制御方法を示すフローチャートである。図14は、自動ドア100A、100Bを一括で管理する方法を実現する処理S150の一例を示している。なお、処理S120、S130、S140と重複する説明は適宜省略する。
【0084】
処理S150が開始されると、自動ドア100A、100Bの各制御部40は、情報取得部50によって、モジュールの消耗情報W1を取得する(ステップS152)。このステップにおいて、各制御部40は、構成モジュールそれぞれから累積動作時間および累積動作距離の少なくともいずれか一方を含む消耗情報W1を取得する。
【0085】
消耗情報W1を取得したら、各制御部40は、情報特定部60によって、この消耗情報W1に基づいて交換時期R1または消耗割合C1を特定する(ステップS154)。このステップにおいて、構成モジュールの交換時期R1および消耗割合C1は、第1実施形態と同じ手順によって特定することができる。
【0086】
モジュールの交換時期R1または消耗割合C1を特定したら、各制御部40は、メンテナンス情報特定部62によって、この交換時期R1および消耗割合C1のいずれか一方に基づいて自動ドア100A、100Bのメンテナンス情報M2を特定する(ステップS156)。メンテナンス情報M2は、自動ドア100A、100Bの取替時期R2または自動ドア100の消耗比率C2である。メンテナンス情報M2は、第1実施形態と同じ手順によって特定することができる。
【0087】
メンテナンス情報M2を特定したら、各制御部40は、プラン特定部64によって、メンテナンス情報M2に応じて自動ドア100A、100Bの保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを特定する(ステップS158)。保守プランQおよび料金プランPは、第1実施形態の第1~第4の例で説明した特定方法によって特定することができる。
【0088】
自動ドア100A、100Bに適用する査定項目の内容、査定項目の評価基準、および保守プランQの分類基準は同じであってもよいし、異なっていてもよい。顧客にとって自動ドア100A、100Bの用途や重要性が異なる場合がある。例えば、自動ドア100Aは、入退出が管理される出入口に設けられる場合にはその重要性は高く、自動ドア100Bは従業員通用口に設けられる場合にはその重要性は相対的に低い。このため、自動ドア100A、100Bに適用する査定項目、査定項目の評価基準、および保守プランQの分類基準の少なくとも一つはそれぞれで異なっていてもよい。
【0089】
一括で管理する可動装置の台数(以下、一括管理台数という)が多い場合には、1台当りの業務効率が相対的に高くなることがある。このため、一括管理台数に応じて保守プランを決めるように、一括管理台数を上述の査定項目に含めてもよい。この場合、一括管理台数に応じて保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一方が特定され、提示されてもよい。
【0090】
保守プランQまたは料金プランPを特定したら、各制御部40は、情報提示部66により、保守プランQおよび料金プランPの少なくとも一つを提示対象として提示する(ステップS160)。一例として、提示対象を提示することは、提示対象を表示すること、提示対象を印刷すること、および通信ネットワークを介して提示対象を送信することの少なくとも一つを含んでもよい。提示対象は、第1実施形態で説明した提示方法により提示することができる。
【0091】
自動ドア100A、100Bは、保守プランQまたは料金プランPにしたがって管理されてもよい。ステップS160を実行することにより処理S150は終了する。なお、処理S150は、別の処理が追加され、一部の処理が削除・変更され、または処理の順番が変更されてもよい。
【0092】
以上、本発明について、第1および第2実施形態をもとに説明した。各実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。各実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。
【0093】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0094】
各実施形態では、可動装置が自動ドアである場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。可動装置は、エレベータ、自動シャッター、エスカレータ、立体駐車場、自動門扉、自動倉庫、ホームドア等であってもよい。例えば、可動装置が立体駐車場である場合は、査定項目として前年の利用台数、前年のパレット移動距離、前年の修理履歴、総使用期間などが含まれてもよい。
【0095】
利用台数が多い場合には、可動部の劣化度合が高くなる。このため、利用台数に応じて保守プランを決めるように、前年の利用台数を査定項目に含めてもよい。パレット移動距離が長い場合には、可動部の劣化度合が高くなる。このため、この移動距離に応じて保守プランを決めるように、前年のパレット移動距離を査定項目に含めてもよい。客先原因による修理が多い場合には運用状態がよくない場合が有り、このため、修理回数に応じて保守プランを決めるように、前年の修理履歴を査定項目に含めてもよい。総使用期間が長い場合には装置全体として劣化が進行している可能性がある。このため、総使用期間に応じて保守プランを決めるように、総使用期間を査定項目に含めてもよい。
【0096】
各実施形態では、可動装置の各構成モジュールがひとまとまりにして設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コントローラ12や制御部40の各構成要素は、分散して設けられ、何らかの通信手段により相互に情報伝達するように構成されてもよい。特に、情報特定部60、メンテナンス情報特定部62、プラン特定部64、または情報提示部66は通信手段を介して連携する携帯端末や外部コンピュータに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10・・ドアエンジン、 12・・コントローラ、 14・・ドアセンサ、 16・・従動プーリ、 18・・ドアハンガ、 20・・ベルト、 22・・電気錠、 30・・ドア、 40・・制御部、 50・・情報取得部、 60・・情報特定部、 62・・メンテナンス情報特定部、 64・・プラン特定部、 66・・情報提示部、 72d・・ディスプレイ、 72m・・メール、 72p・・書面、 100・・自動ドア。
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