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特許7188888画像表示装置、ヘッドアップディスプレイシステム、および移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】画像表示装置、ヘッドアップディスプレイシステム、および移動体
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/31 20200101AFI20221206BHJP
   G02B 30/32 20200101ALI20221206BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20221206BHJP
   H04N 13/31 20180101ALI20221206BHJP
   H04N 13/346 20180101ALI20221206BHJP
   H04N 13/368 20180101ALI20221206BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221206BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221206BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B30/31
G02B30/32
G02B27/01
H04N13/31
H04N13/346
H04N13/368
G09F9/00 361
G09F9/00 359
G09G5/00 510G
G09G3/20 680B
G09G3/20 660X
G09G3/20 611D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018031770
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019148638
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】草深 薫
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0159929(US,A1)
【文献】国際公開第2012/176445(WO,A1)
【文献】特開2016-051126(JP,A)
【文献】特開2007-083794(JP,A)
【文献】特開2012-133024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
G02B 27/01
H04N 13/30 - 13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を射出するアクティブエリアと、
前記アクティブエリアに沿って配置され、透光領域が第1バリアピッチで並ぶ第1光学素子と、
前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置され、透光領域が第2バリアピッチで並ぶ第2光学素子と
第1利用者の第1眼および第2眼のいずれか一方の位置を検出する検出装置とを備え、
前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を前記第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定し、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定し、
前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の前記第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の前記第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、
前記第2光学素子は、前記画像光の前記第2部分に含まれる第5部分を前記第2利用者の第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第2部分に含まれる前記第5部分とは異なる第6部分を前記第2利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、
前記画像光の前記第3部分および前記第4部分を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示し、前記画像光の前記第5部分および前記第6部分を射出するそれぞれのサブピクセルに画像を表示するコントローラをさらに備え、
前記アクティブエリアは、前記第1利用者が視認可能な第1可視領域と、前記第2利用者が視認可能な第2可視領域とを有し、
前記コントローラは、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1利用者の前記第1眼が基準位置から変位位置にずれたと判定した場合、前記変位位置において前記第1利用者の前記第1眼が視認する領域に含まれる第1サブピクセルに前記第1利用者の前記第1眼に視認させるための第1眼用画像を表示し、前記第2可視領域と重複する一部の前記第1サブピクセルに前記第1眼用画像を表示する、画像表示装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記画像光の前記第5部分および前記第6部分を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1光学素子は、前記アクティブエリアの第1面に対向して配置され、
前記第2光学素子は、前記アクティブエリアの前記第1面とは反対側の第2面に対向して配置される請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第1光学素子および前記第2光学素子は、前記アクティブエリアに対して同じ側に配置される請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1バリアピッチは、前記第1利用者と前記第2利用者との距離、前記第1利用者および前記第2利用者と前記第1光学素子との距離、ならびに前記アクティブエリアと前記第1光学素子との距離に基づいて定められる、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
画像光を射出するアクティブエリアと、前記アクティブエリアに沿って配置され、透光領域が第1バリアピッチで並ぶ第1光学素子と、前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置され、透光領域が第2バリアピッチで並ぶ第2光学素子と、第1利用者の第1眼および第2眼のいずれか一方の位置を検出する検出装置とを含み、前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を前記第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定し、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定し、前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の前記第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の前記第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、前記第2光学素子は、前記画像光の前記第2部分に含まれる第5部分を前記第2利用者の第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第2部分に含まれる前記第5部分とは異なる第6部分を前記第2利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、前記画像光の前記第3部分および前記第4部分を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示し、前記画像光の前記第5部分および前記第6部分を射出するそれぞれのサブピクセルに画像を表示するコントローラをさらに備え、前記アクティブエリアは、前記第1利用者が視認可能な第1可視領域と、前記第2利用者が視認可能な第2可視領域とを有し、前記コントローラは、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1利用者の前記第1眼が基準位置から変位位置にずれたと判定した場合、前記変位位置において前記第1利用者の前記第1眼が視認する領域に含まれる第1サブピクセルに前記第1利用者の前記第1眼に視認させるための第1眼用画像を表示し、前記第2可視領域と重複する一部の前記第1サブピクセルに前記第1眼用画像を表示する画像表示装置
を備えるヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項7】
画像光を射出するアクティブエリアと、前記アクティブエリアに沿って配置され、透光領域が第1バリアピッチで並ぶ第1光学素子と、前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置され、透光領域が第2バリアピッチで並ぶ第2光学素子と、第1利用者の第1眼および第2眼のいずれか一方の位置を検出する検出装置とを含み、前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を前記第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定し、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定し、前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の前記第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の前記第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、前記第2光学素子は、前記画像光の前記第2部分に含まれる第5部分を前記第2利用者の第1眼に伝播させ、前記画像光の前記第2部分に含まれる前記第5部分とは異なる第6部分を前記第2利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定し、前記画像光の前記第3部分および前記第4部分を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示し、前記画像光の前記第5部分および前記第6部分を射出するそれぞれのサブピクセルに画像を表示するコントローラをさらに備え、前記アクティブエリアは、前記第1利用者が視認可能な第1可視領域と、前記第2利用者が視認可能な第2可視領域とを有し、前記コントローラは、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第1利用者の前記第1眼が基準位置から変位位置にずれたと判定した場合、前記変位位置において前記第1利用者の前記第1眼が視認する領域に含まれる第1サブピクセルに前記第1利用者の前記第1眼に視認させるための第1眼用画像を表示し、前記第2可視領域と重複する一部の前記第1サブピクセルに前記第1眼用画像を表示する画像表示装置
を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置、ヘッドアップディスプレイシステム、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元画像を表示する画像表示装置が知られている。例えば、特許文献1には、レンチキュラレンズによって利用者の左眼および右眼それぞれに伝播する画像光を規定することが記載されている。これにより、利用者の左眼は、左眼に表示させる一部のサブ画素を視認し、右眼は、右眼に表示させる他の一部のサブ画素を視認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2013-521515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レンチキュラレンズによっていずれの利用者の画像光を伝播させるかを制御することはできるが、さらに細かく利用者の右眼と左眼とのそれぞれに所望の画像光を伝播させるように精緻に規定することは困難であることがある。したがって、複数の利用者それぞれに異なる画像を表示させ、さらに少なくとも一の利用者に3次元画像を視認させるよう、右眼と左眼とのそれぞれに所望の画像光を精緻に伝播させることが望まれている。
【0005】
本開示は、複数の利用者それぞれに異なる画像を視認させ、少なくとも一の利用者に3次元画像を適切に視認させることができる画像表示装置、ヘッドアップディスプレイシステム、および移動体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像表示装置は、アクティブエリアと、第1光学素子と、第2光学素子とを備える。前記アクティブエリアは、画像光を射出する。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアに沿って配置される。前記第2光学素子は、前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置される。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定する。前記第1光学素子は、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定する。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の第1眼に伝播させる。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定する。
【0007】
本開示のヘッドアップディスプレイシステムは、画像表示装置を備える。前記画像表示装置は、アクティブエリアと、第1光学素子と、第2光学素子とを含む。前記アクティブエリアは、画像光を射出する。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアに沿って配置される。前記第2光学素子は、前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置される。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定する。前記第1光学素子は、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定する。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の第1眼に伝播させる。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定する。
【0008】
本開示の移動体は、画像表示装置を備える。前記画像表示装置は、アクティブエリアと、第1光学素子と、第2光学素子とを含む。前記アクティブエリアは、画像光を射出する。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアに沿って配置される。前記第2光学素子は、前記アクティブエリアに沿って、前記アクティブエリアの法線方向において前記第1光学素子とは異なる位置に配置される。前記第1光学素子は、前記アクティブエリアから射出される前記画像光の第1部分を第1利用者に伝播させるように前記画像光の前記第1部分の光線方向を規定する。前記第1光学素子は、前記画像光の前記第1部分と異なる第2部分を、前記第1利用者の両眼を結ぶ方向に前記第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように前記画像光の前記第2部分の光線方向を規定する。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる第3部分を前記第1利用者の第1眼に伝播させる。前記第2光学素子は、前記画像光の前記第1部分に含まれる前記第3部分とは異なる第4部分を前記第1利用者の第2眼に伝播させるように前記画像光の光線方向を規定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、複数の利用者に互いに異なる画像を視認させ、少なくとも一の利用者に3次元画像を適切に視認させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態における画像表示装置を鉛直方向から見た例を示す図である。
図2図2は、図1に示す表示パネルを奥行方向から見た例を示す図である。
図3図3は、図1に示す第1パララックスバリアを奥行方向から見た例を示す図である。
図4図4は、第1可視領域および第2可視領域を説明するための図である。
図5図5は、第1利用者が第1パララックスバリアを介して視認する表示パネル上の領域を説明するための図である。
図6図6は、図1に示す第2パララックスバリアを奥行方向から見た例を示す図である。
図7図7は、図4に示す第1可視領域内の、第1左可視領域および第1右可視領域を説明するための図である。
図8図8は、第1利用者の左眼が視認するアクティブエリア上の領域を説明するための、表示パネルを奥行方向から見た例を示す図である。
図9図9は、第1利用者の左眼が視認するアクティブエリア上の領域を説明するための、画像表示装置を鉛直方向から見た例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態における画像表示装置を鉛直方向から見た例を示す図である。
図11図11は、第1利用者の左眼が変位した場合に視認する表示パネル上の領域を説明するための図である。
図12図12は、本実施形態に係る画像表示装置を搭載したHUDの例を示す図である。
図13図13は、図12に示すHUDを搭載した移動体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して説明する。各図面は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示したように、本開示の第1実施形態にかかる画像表示装置1は、照射器2と、表示パネル3と、第1パララックスバリア(第1光学素子)4と、第2パララックスバリア(第2光学素子)5と、コントローラ6とを含んで構成される。
【0013】
照射器2は、表示パネル3を面的に照射しうる。照射器2は、光源、導光板、拡散板、拡散シート等を含んで構成されてよい。照射器2は、光源により照射光を射出し、導光板、拡散板、拡散シート等により照射光を表示パネル3の面方向に均一化する。そして、照射器2は均一化された光を表示パネル3の方に射出しうる。
【0014】
表示パネル3は、例えば透過型の液晶表示パネルなどの表示パネルを採用しうる。表示パネル3は、種々な画像を、面状の部材であるアクティブエリア31に表示する。アクティブエリア31は、画像光を射出する。本開示において、利用者が視覚的に捉える空間での表示パネル3のアクティブエリア31を表示面とする。利用者が表示パネル3のアクティブエリア31を実像として捉えるとき、表示面は、表示パネル3のアクティブエリア31の実像の位置と一致する。利用者が表示パネル3のアクティブエリア31を実像として捉えるとき、利用者は、表示パネル3の実体におけるアクティブエリア31を表示面として視覚的に捉える。利用者が表示パネル3のアクティブエリア31を虚像として捉えるとき、表示面は、表示パネル3のアクティブエリア31の虚像の位置と一致する。利用者が表示パネル3のアクティブエリア31を虚像として捉えるとき、利用者は、表示パネル3の実体が無い空間において、表示面上のアクティブエリア31を視覚的に捉える。表示パネル3は、図2に示すように、第1方向および第1方向に略直交する第2方向に区画された区画領域を含むアクティブエリア31を有する。第1方向は、利用者の両眼を結ぶ方向に沿う方向である。第1方向および第2方向に直交する、表示パネル3のアクティブエリア31の法線方向は第3方向と称される。利用者が表示パネル3を直接見るタイプの画像表示装置1において、第1方向は利用者にから観た横方向であり、第2方向は利用者から観た縦方向である。例えば、第1方向は水平方向と称されてよい。第2方向は鉛直方向と称されてよい。第3方向は奥行方向と称されてよい。しかし、第1方向、第2方向、および第3方向はそれぞれ、水平方向、鉛直方向、奥行方向に限られない。図面において、第1方向はx軸方向として表され、第2方向はy軸方向として表され、第3方向はz軸方向として表される。
【0015】
区画領域の各々には、1つのサブピクセルが対応する。各サブピクセルは、R(Red),G(Green),B(Blue)のいずれかの色に対応する。R,G,Bの3つのサブピクセルは、一組として1ピクセルを構成することができる。1ピクセルは、1画素と称されうる。水平方向は、例えば、1ピクセルを構成する複数のサブピクセルが並ぶ方向である。鉛直方向は、例えば、同じ色のサブピクセルが並ぶ方向である。
【0016】
上述のようにアクティブエリア31に配列された複数のサブピクセルはサブピクセル群を構成する。サブピクセルは、第1サブピクセル群Pg1および第2サブピクセル群Pg2を含む。第1サブピクセル群Pg1および第2サブピクセル群Pg2は水平方向に互いに隣接して、交互に繰り返して配列される。第1サブピクセル群Pg1および第2サブピクセル群Pg2は、鉛直方向において、水平方向に1サブピクセル分ずれた位置に隣接して繰り返して配列される。
【0017】
第1サブピクセル群Pg1は、第1左サブピクセル群Pg1Lおよび第1右サブピクセル群Pg1Rを含む。第1左サブピクセル群Pg1Lおよび第1右サブピクセル群Pg1Rは、水平方向に互いに隣接して配列される。第2サブピクセル群Pg2は、第2左サブピクセル群Pg2Lおよび第2右サブピクセル群Pg2Rを含む。第2左サブピクセル群Pg2Lおよび第2右サブピクセル群Pg2Rは、水平方向に互いに隣接して配列される。
【0018】
第1左サブピクセル群Pg1Lは、所定の行および列のサブピクセルを含む。具体的には、第1左サブピクセル群Pg1Lは、鉛直方向にb個(b行)、水平方向にn個(n列)、連続して配列された(n×b)個(以降において、n×b=mとする)のサブピクセルP1~Pmを含む。第1右サブピクセル群Pg1Rは、第1左サブピクセル群Pg1Lと同一の所定の行および列のサブピクセルを含む。具体的には、第1右サブピクセル群Pg1Rは、水平方向にn個、鉛直方向にb個、連続して配列されたm個のサブピクセルP(m+1)~P(2×m)を含む。
【0019】
第2左サブピクセル群Pg2Lのサブピクセルの配列は、第1左サブピクセル群Pg1Lのサブピクセルの配列と同じである。第2右サブピクセル群Pg2Rのサブピクセルの配列は、第1右サブピクセル群Pg1Rのサブピクセルの配列と同じである。
【0020】
図2に示した例では、アクティブエリア31には、鉛直方向に2個、水平方向に2個、連続して配列された4個のサブピクセルP1~P4を含む第1左サブピクセル群Pg1Lが配置される。アクティブエリア31には、第1左サブピクセル群Pg1Lの水平方向に隣接して、鉛直方向に2個、水平方向に2個ずつ連続して配置された4個のサブピクセルP5~P8を含む第1右サブピクセル群Pg1Rが配置される。アクティブエリア31には、第1右サブピクセル群Pg1Rの水平方向の、第1左サブピクセル群Pg1Lとは反対側に第2左サブピクセル群Pg2Lが配置される。アクティブエリア31には、第2左サブピクセル群Pg2Lの水平方向の、第1右サブピクセル群Pg1Rとは反対側に第2右サブピクセル群Pg2Rが配置される。
【0021】
第1パララックスバリア4は、図1に示したように、アクティブエリア31に沿う平面により形成される。第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31に沿って配置される。例えば、第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31の一方の面(第1面)に対向して配置される。例えば、第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31に対して照射器2と反対側に所定距離(第1ギャップ)g1、離れて配置される。第1ギャップg1を規定する方法は追って詳細に説明する。
【0022】
具体的には、第1パララックスバリア4は、複数の、画像光を遮光する遮光面41を有する。複数の遮光面41は、互いに隣接する該遮光面41の間の透光領域42を画定する。透光領域42は、第1パララックスバリア4に入射する光を透過させる部分である。透光領域42は、遮光面41に比べて光透過率が高い。遮光面41は、透光領域42に比べて光透過率が低い。
【0023】
透光領域42は、第1所定値以上の透過率で光を透過させてよい。第1所定値は、例えば100%であってよいし、100%に近い値であってよい。アクティブエリア31から射出される画像光が良好に視認できる範囲であれば、第1所定値は、100%以下の値、例えば、80%または50%などとしうる。遮光面41は、第1パララックスバリア4に入射する光を遮って透過させない部分である。言い換えれば、遮光面41は、画像表示装置1に表示される画像を遮る。遮光面41は、第2所定値以下の透過率で光を遮ってよい。第2所定値は、例えば0%であってよいし、0%に近い値であってよい。
【0024】
図3に示すように、透光領域42と遮光面41とは、アクティブエリア31に沿う所定方向に延び、所定方向と直交する方向に繰り返し交互に配列される。所定方向は、鉛直方向と0度でない所定角度をなす方向である。仮に、透光領域42の端部を示す線が第2方向に延びる場合、第1パララックスバリア4の開口のパターンと、表示パネル3が表示する画素パターンとの間にモアレが発生する場合がある。透光領域42の端部を示す線が第2方向に対して0度でない所定角度を有する所定方向に延びる場合、表示画像においてモアレの発生が低減される。
【0025】
第1パララックスバリア4は、面内の所定方向に伸びる複数の帯状領域である透光領域42ごとに、サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する。第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31から射出される画像光の一部を第1利用者に伝播させるように光線方向を規定する。第1パララックスバリア4は、画像光の残り一部を第1利用者と水平方向に並んで位置する第2利用者に伝播させるように光線方向を規定する。これによって、図4に示すように、第1利用者および第2利用者の眼がそれぞれ視認可能なアクティブエリア31上の領域が定まる。以降において、第1利用者が視認可能な領域を第1可視領域311と称する。第2利用者が視認可能なアクティブエリア31上の領域を第2可視領域312と称する。
【0026】
図4に示したように、第1パララックスバリア4の透光領域42の配置間隔である第1バリアピッチBp1、アクティブエリア31と第1パララックスバリア4との間の第1ギャップg1は、次の式(1)および式(2)が成り立つように規定される。式(1)および式(2)において、第1画像ピッチk1は、図2に示したように、第1サブピクセル群Pg1および第2サブピクセル群Pg2の配置間隔である。第1適視距離d1は、第1可視領域311の水平方向の長さが第1画像ピッチk1の1/2となるような、利用者の眼と第1パララックスバリア4との距離である。利用者間距離Lは第1利用者の両眼の中心と、第2利用者の両眼の中心との間の距離である。第1利用者および第2利用者それぞれの眼間距離Eが同じである場合、利用者間距離Lは第1利用者の左眼(第1眼)と、第2利用者の左眼との間の距離である。また、利用者間距離Lは第1利用者の右眼(第2眼)と、第2利用者の右眼との間の距離である。
L:d1=k1/2:g1 式(1)
d1:Bp1=(d1+g1):k1 式(2)
【0027】
第1パララックスバリア4は、第2所定値未満の透過率を有するフィルムまたは板状部材で構成されてよい。この場合、遮光面41は、当該フィルムまたは板状部材で構成される。透光領域42は、フィルムまたは板状部材に設けられた開口で構成される。フィルムは、樹脂で構成されてよいし、他の材料で構成されてよい。板状部材は、樹脂または金属等で構成されてよいし、他の材料で構成されてよい。第1パララックスバリア4は、フィルムまたは板状部材に限られず、他の種類の部材で構成されてよい。第1パララックスバリア4は、基材が遮光性を有してよいし、基材に遮光性を有する添加物が含有されてよい。第1パララックスバリア4は、透光性を有する基材の上に、遮光性を有する部材が部分的に重なった構成としうる。第1パララックスバリア4は、透光性を有する基材の一部に、遮光性を有する部材が添加された構成としうる。
【0028】
第1パララックスバリア4は、液晶シャッターで構成されてよい。液晶シャッターは、印加する電圧に応じて光の透過率を制御しうる。液晶シャッターは、複数の画素で構成され、各画素における光の透過率を制御してよい。液晶シャッターは、光の透過率が高い領域または光の透過率が低い領域を任意の形状に形成してうる。第1パララックスバリア4が液晶シャッターで構成される場合、透光領域42は、第1所定値以上の透過率を有する領域としてよい。第1パララックスバリア4が液晶シャッターで構成される場合、遮光面41は、第2所定値以下の透過率を有する領域としてよい。第1パララックスバリア4は、微小領域ごとに透光状態と遮光状態とで可変可能なシャッターパネルを含む。当該シャッターパネルは、液晶シャッターの他に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)シャッターを採用したMEMSシャッターパネルを含む。
【0029】
このように構成されることによって、図4に示したように、第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31から射出される画像光の一部(第1部分)を第1利用者に伝播させるように光線方向を規定する。図4に示す例では、第1パララックスバリア4は、第1可視領域311に含まれる第1サブピクセル群Pg1の部分から射出された画像光を第1利用者の眼に伝播させる。したがって、第1利用者は、図5に示すように、第1可視領域311に含まれる第1サブピクセル群Pg1の部分に表示された画像を視認する。第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31から射出される画像光の第1部分と異なる一部(第2部分)を、第2利用者に伝播させるよう光線方向を規定する。第2利用者は、水平方向に第1利用者と並んで位置する。図4に示した例では、第1パララックスバリア4は、第2可視領域312に含まれる第2サブピクセル群Pg2の部分から射出した画像光を第2利用者の眼に伝播させる。したがって、第2利用者は、第2可視領域312に含まれる第2サブピクセル群Pg2が表示する画像を視認する。
【0030】
第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31に沿う平面により形成される。第2パララックスバリア5は、複数の、画像光を遮光する遮光面51を有する。複数の遮光面51は、互いに隣接する該遮光面51の間の透光領域52を画定する。第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31に沿って、奥行方向において第1パララックスバリア4とは異なる位置に配置される。例えば、第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31における第1面とは反対側の第2面に対向して配置される。例えば、第2パララックスバリア5は、図1に示したように、アクティブエリア31に対して照射器2側に所定距離(第2ギャップ)g2、離れて配置される。第2ギャップg2を規定する方法は追って詳細に説明する。
【0031】
第2パララックスバリア5は、複数の帯状領域ごとに第1パララックスバリア4によって規定される画像光の光線方向を規定する。具体的には、第2パララックスバリア5は、複数の、画像光を遮光する遮光面51を有する。複数の遮光面51は、互いに隣接する該遮光面51の間の透光領域52を画定する。第2パララックスバリア5は、図6に示すように、面内の所定方向に伸びる複数の帯状領域である透光領域52ごとに、サブピクセルから射出される画像光の伝播方向である光線方向を規定する。所定方向は、第1パララックスバリア4における透光領域42と遮光面41とが延びる方向と同じ方向である。
【0032】
透光領域52は、第3所定値以上の透過率で光を透過させてよい。第3所定値は、例えば100%であってよいし、100%に近い値であってよい。アクティブエリア31から射出される画像光が良好に視認できる範囲であれば、第3所定値は、100%以下の値、例えば、80%または50%などとしうる。遮光面51は、第2パララックスバリア5に入射する光を遮って透過させない部分である。言い換えれば、遮光面51は、画像表示装置1に表示される画像を遮る。遮光面51は、第4所定値以下の透過率で光を遮ってよい。第4所定値は、例えば0%であってよいし、0%に近い値であってよい。
【0033】
第2パララックスバリア5は、第1可視領域311から射出した画像光の一部を第1利用者の左眼に伝播させ、他の一部を第1利用者の右眼に伝播させるように画像光の進行方向を規定する。第2パララックスバリア5がサブピクセルから射出される画像光を規定することによって、図7に示すように、第1可視領域311内の、第1利用者の左眼および右眼がそれぞれ視認可能なアクティブエリア31上の領域が定まる。以降において、第1可視領域311内の第1利用者の左眼が視認可能な領域を第1左可視領域311Lと称する。第1可視領域311内の第1利用者の右眼が視認可能な領域を第1右可視領域311Rと称する。
【0034】
第2パララックスバリア5は、第2可視領域312から射出した画像光の一部を第2利用者の左眼に伝播させ、他の一部を第2利用者の右眼に伝播させるように画像光の進行方向を規定する。第2パララックスバリア5がサブピクセルから射出される画像光を規定することによって、第2可視領域312内の、第2利用者の左眼および右眼がそれぞれ視認可能なアクティブエリア31上の領域が定まる。以降において、第2可視領域312内の第1利用者の左眼が視認可能な領域を第2左可視領域312Lと称する。第2可視領域312内の第2利用者の右眼が視認可能な領域を第2右可視領域312Rと称する。
【0035】
図7に示したように、第2パララックスバリア5の透光領域52の配置間隔である第2バリアピッチBp2、アクティブエリア31と第2パララックスバリア5との間の第2ギャップg2は、次の式(3)および式(4)が成り立つように規定される。式(3)および式(4)において、第2画像ピッチk2は、第1サブピクセル群Pg1の水平方向の幅である。第2画像ピッチk2は、第2サブピクセル群Pg2の水平方向の幅でもある。第2適視距離d2は、利用者の眼と第2パララックスバリア5との距離である。眼間距離Eは利用者の右眼と左眼との間の距離である。
E:d2=k2/2:g2 式(3)
d2:Bp2=(d2-g2):k2 式(4)
【0036】
第2パララックスバリア5は、第4所定値未満の透過率を有するフィルムまたは板状部材で構成されてよい。この場合、遮光面51は、当該フィルムまたは板状部材で構成される。透光領域52は、フィルムまたは板状部材に設けられた開口で構成される。第2パララックスバリア5は、シャッターパネルで構成されてよい。
【0037】
このように構成されることによって、第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31から射出される画像光の第1部分に含まれる一部(第3部分)を第1利用者の左眼に伝播させるように画像光を規定する。図8に示す例では、第2パララックスバリア5は、第1サブピクセル群Pg1内の第1左サブピクセル群Pg1Lから射出した画像光を第1利用者の左眼に伝播させる。したがって、図9に示すように、第1利用者は、第2パララックスバリア5を介して第1左可視領域311Lに含まれる第1左サブピクセル群Pg1Lの部分を視認する。第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31から射出される画像光の第1部分に含まれる第3部分とは異なる一部(第4部分)を第1利用者の右眼に伝播させるように光線方向を規定する。図8に示した例では、第2パララックスバリア5は、第1サブピクセル群Pg1の第1右サブピクセル群Pg1Rから射出した画像光を第1利用者の右眼に伝播させる。したがって、第1利用者の右眼は、第2パララックスバリア5を介して第1右可視領域311Rに含まれる第1右サブピクセル群Pg1Rの部分を視認する。
【0038】
第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31から射出された画像光の第2部分に含まれる一部(第5部分)を第2利用者の左眼に伝播させるように画像光を規定する。具体的には、第2パララックスバリア5は、第2サブピクセル群Pg2の第2左サブピクセル群Pg2Lから射出した画像光を第2利用者の左眼に伝播させる。したがって、第2利用者は、第2パララックスバリア5を介して第2左可視領域312Lに含まれる第2左サブピクセル群Pg2Lの部分を視認する。第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31から射出された画像光の第2部分に含まれる第5部分とは異なる一部(第6部分)を第2利用者の右眼に伝播させるように画像光の光線方向を規定する。具体的には、第2パララックスバリア5は、第2サブピクセル群Pg2の第2右サブピクセル群Pg2Rから射出した画像光を第2利用者の右眼に伝播させる。したがって、第2利用者は、第2パララックスバリア5を介して、第2右可視領域312Rに含まれる第2右サブピクセル群Pg2Rの部分を視認する。
【0039】
コントローラ6は、画像表示装置1の各構成要素に接続され、各構成要素を制御しうる。コントローラ6によって制御される構成要素は、表示パネル3を含む。コントローラ6は、例えばプロセッサとして構成される。コントローラ6は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ6は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。コントローラ6は、記憶部を備え、記憶部に各種情報、または画像表示装置1の各構成要素を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、コントローラ6のワークメモリとして機能してよい。
【0040】
ここで、コントローラ6が実行する処理について詳細に説明する。コントローラ6は、画像表示装置1が受信した、あるいはユーザの操作によって画像表示装置1に入力された制御信号に基づいて、表示パネル3に表示させる画像を制御する。具体的には、コントローラ6は、制御信号に基づいて、3次元画像を表示する。コントローラ6は、3次元画像に加え2次元画像を表示可能に構成されてよい。この場合、第2パララックスバリア5は液晶シャッターで構成される。コントローラ6は、制御信号に基づいて2次元画像と3次元画像との間で表示画像の切り替えを行いうる。
【0041】
(第1利用者および第2利用者に3次元画像を表示する場合)
コントローラ6は、第1利用者の左眼および右眼に伝播する画像光の部分(第3部分および第4部分)を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像(3次元画像)を表示してよい。コントローラ6は、第2利用者の左眼および右眼に伝播する画像光の部分(第5部分および第6部分)を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示してよい。例えば、コントローラ6は、第1左サブピクセル群Pg1Lおよび第1右サブピクセル群Pg1Rに、第1利用者用の左眼画像および右眼画像をそれぞれ表示させる。左眼画像および右眼画像は、3次元表示用の画像であって互いに視差を有する。コントローラ6は、第2左サブピクセル群Pg2Lおよび第2右サブピクセル群Pg2Rに、第2利用者用の左眼画像および右眼画像をそれぞれ表示させる。
【0042】
(第1利用者に3次元画像を表示し、第2利用者に2次元画像を表示する場合)
コントローラ6は、第1利用者の左眼および右眼に伝播する画像光の部分(第3部分および第4部分)を射出するそれぞれのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示してよい。例えば、コントローラ6は、第1利用者の左眼および右眼に伝播する画像光を射出するそれぞれ第1左サブピクセル群Pg1Lおよび第1右サブピクセル群Pg1Rのサブピクセルに互いに視差を有する画像を表示してよい。
【0043】
コントローラ6は、第2利用者の左眼および右眼に伝播する画像光の部分(第2部分)を射出するサブピクセルに互いに視差を有さない画像(2次元画像)を表示してよい。例えば、コントローラ6は、第2可視領域312に含まれる第2左サブピクセル群Pg2Lおよび第2右サブピクセル群Pg2Rのサブピクセルに視差を有さない画像を表示してよい。コントローラ6は、第2パララックスバリア5の第2可視領域312に対応する部分に遮光面51を設けないようにする。具体的には、コントローラ6は、第2パララックスバリア5を構成する液晶シャッターの第2可視領域312に対応する部分の透過率を一様に透光領域52の透過率と同程度にする。これにより、第2可視領域312から射出された2次元画像の画像光は、第2利用者の右眼と左眼との両方に到達する。したがって、第2利用者の右眼と左眼とはそれぞれ同一の画像を視認する。
【0044】
(第1利用者および第2利用者に2次元画像を表示する場合)
コントローラ6は、第1利用者および第2利用者のそれぞれ左眼および右眼に伝播する画像光の部分(第1部分および第2部分)を射出する第1可視領域311および第2可視領域312それぞれのサブピクセルに視差を有さない画像を表示してよい。具体的には、コントローラ6は、第1左サブピクセル群Pg1Lおよび第1右サブピクセル群Pg1Rのサブピクセルに、第1利用者用の2次元画像を表示する。コントローラ6は、第2左サブピクセル群Pg2Lおよび第2右サブピクセル群Pg2Rのサブピクセルに、第2利用者用の2次元画像を表示する。コントローラ6は、第2パララックスバリア5に遮光面51を設けないようにする。具体的には、コントローラ6は、第2パララックスバリア5を構成する液晶シャッターの透過率を一様に透光領域52の透過率と同程度にする。これにより、アクティブエリア31から射出された第1利用者用の2次元画像の画像光は、第1利用者の右眼と左眼との両方に到達する。したがって、第1利用者の右眼と左眼とはそれぞれ同一の2次元画像を視認する。アクティブエリア31から射出された第2利用者用の2次元画像の画像光は、第2利用者の右眼と左眼との両方に到達する。第2利用者の右眼と左眼とはそれぞれ同一の2次元画像を視認する。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態では、画像表示装置1は、アクティブエリア31に沿って配置される第1パララックスバリア4を備える。画像表示装置1は、アクティブエリア31に沿って、アクティブエリア31の法線方向において第1パララックスバリア4とは異なる位置に配置される第2パララックスバリア5とを備える。そして、第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31から射出される画像光の第1部分を第1利用者に伝播させるように画像光の第1部分の光線方向を規定する。第1パララックスバリア4は、画像光の第1部分と異なる第2部分を、水平方向に第1利用者と並んで位置する第2利用者に伝播させるように画像光の第2部分の光線方向を規定する。第2パララックスバリア5は、画像光の第1部分に含まれる第3部分を第1利用者の第1眼に伝播させる。第2パララックスバリア5は、画像光の第1部分に含まれる第3部分とは異なる第4の部分を第1利用者の第2眼に伝播させるように画像光の光線方向を規定する。そのため、水平方向に並んで位置する複数の利用者それぞれが異なる画像を視認し、少なくとも一の利用者は、左眼と右眼とで異なる画像を視認することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、画像表示装置1において、第1パララックスバリア4は、アクティブエリア31から射出される画像光の一部を第1利用者に伝播させるように光線方向を規定する。第1パララックスバリア4は、画像光の残り一部を第2利用者に伝播させるように光線方向を規定する。第2パララックスバリア5は、第1利用者に伝播させる画像光のうちの一部を第1利用者の左眼に伝播させ、残りの一部を第1利用者の右眼に伝播させる。したがって、第1利用者の眼は、第2利用者とは異なる画像を視認することができる。さらに、第1利用者の左眼と右眼とは互いに異なる画像を視認することができるため、第1利用者の左眼と右眼とに互いに視差を有する画像を伝搬させることにより、第1利用者は3次元画像を視認することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、画像表示装置1において、第2パララックスバリア5は、第2利用者に伝播させる画像光のうちの一部を第2利用者の左眼に伝播させ、残りの一部を第2利用者の右眼に伝播させる。したがって、第1利用者および第2利用者は互いに異なる3次元画像を視認することができる。さらに、第1利用者の左眼と右眼とは互いに異なる画像を視認することができるため、第1利用者は3次元画像を視認することができる。
【0048】
続いて、本開示の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
【0049】
本開示の第2実施形態に係る画像表示装置1は、図10に示すように、検出装置7と通信する点で第1実施形態と異なる。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる構成のみについて説明する。第2実施形態において説明を省略する構成については第1実施形態と同一である。
【0050】
検出装置7は、利用者の左眼および右眼のいずれか一方の位置を検出し、コントローラ6に出力する。検出装置7は、例えば、カメラを備えてよい。検出装置7は、カメラによって利用者の顔を撮影してよい。検出装置7は、カメラの撮影画像から左眼および右眼の少なくとも一方の位置を検出してよい。検出装置7は、1個のカメラの撮影画像から、左眼および右眼の少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。検出装置7は、2個以上のカメラの撮影画像から、左眼および右眼の少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0051】
検出装置7は、カメラを備えず、装置外のカメラに接続されていてよい。検出装置7は、装置外のカメラからの信号を入力する入力端子を備えてよい。装置外のカメラは、入力端子に直接的に接続されてよい。装置外のカメラは、共有のネットワークを介して入力端子に間接的に接続されてよい。カメラを備えない検出装置7は、カメラが映像信号を入力する入力端子を備えてよい。カメラを備えない検出装置7は、入力端子に入力された映像信号から左眼および右眼の少なくとも一方の位置を検出してよい。
【0052】
検出装置7は、例えば、センサを備えてよい。センサは、超音波センサ又は光センサ等であってよい。検出装置7は、センサによって利用者の頭部の位置を検出し、頭部の位置に基づいて左眼および右眼の少なくとも一方の位置を検出してよい。検出装置7は、1個又は2個以上のセンサによって、左眼および右眼の少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0053】
検出装置7は、左眼および右眼の少なくとも一方の位置の検出結果に基づいて、両眼の配列方向に沿った、左眼および右眼の移動距離を検出してよい。
【0054】
コントローラ6は、検出装置7によって検出された第1利用者の眼の位置に基づいて第1左可視領域311Lおよび第1右可視領域311Rの位置を判定する。
【0055】
コントローラ6は、第1利用者の眼の位置に基づいて判定した第1左可視領域311Lおよび第1右可視領域311Rの位置に応じて、各サブピクセルに表示させる画像を制御する。コントローラ6が表示させる画像を制御する方法は、第1実施形態と同一である。
【0056】
図11に示すように、第1利用者の左眼が水平方向の変位位置ずれることによって、第1左可視領域311Lがずれた領域311L’には、画像光が到達しない領域が含まれる。このため、変位位置にある左眼は、基準位置における第1左可視領域311Lの一部を視認することができず、第1左可視領域311Lではない領域の一部を視認する。したがって、第1利用者の眼に発生するクロストークが増加する。このクロストークを低減させるために、コントローラ6は、利用者の眼の位置に応じて、表示パネル3の各サブピクセルに表示させる画像を変更してよい。例えば、コントローラ6は、利用者が変位位置にある場合、該変位位置において利用者の左眼が視認する領域に含まれるサブピクセルに左眼画像を表示させてよい。このとき、第2利用者の視認する第2可視領域312と重複する一部のサブピクセルに、第1利用者用の左眼画像を表示させてよい。これにより、第2利用者は正常な画像を視認することができないことがある。しかし、例えば、第1利用者に対して、該第1利用者の眼の位置が基準位置からずれていても適切な3次元画像を表示しなければならない場合に、クロストークを抑制することができる。
【0057】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態および実施例に記載の複数の構成ブロックを1つに組合せたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0058】
上述の実施形態では、第1パララックスバリア4は、表示パネル3と照射器2との間に配置される。第2パララックスバリア5は、アクティブエリア31の照射器2とは反対側に配置される。しかし、第1パララックスバリア4および第2パララックスバリア5はアクティブエリア31の同じ側に奥行方向で異なる位置に配置されてよい。具体的には、第1パララックスバリア4および第2パララックスバリア5は、ともに、表示パネル3と照射器2との間に配置されてよい。第1パララックスバリア4および第2パララックスバリア5は、ともに、表示パネル3の照射器2とは反対側に配置されてよい。
【0059】
上述の実施形態では、第1パララックスバリア4によって、表示パネル3から射出された画像光の一部が第1利用者に到達し、画像光の他の一部が第2利用者に到達するよう、画像光の進行方向が規定された。そして、第2パララックスバリア5によって、第1利用者の眼に到達する画像光のうち、一部が左眼に到達し、他の一部が右眼に到達するよう、画像光の進行方向が規定された。しかし、パララックスバリアによる画像光の進行方向の規定方法は、これに限られない。例えば、第2パララックスバリア5によって、表示パネル3から射出された画像光の一部が第1利用者に到達し、画像光の他の一部が第2利用者に到達するよう、画像光の進行方向が規定されてよい。この場合、第1パララックスバリア4によって、第1利用者の眼に到達する画像光のうち、一部が左眼に到達し、他の一部が右眼に到達するよう、画像光の進行方向が規定される。
【0060】
上述の実施形態において、左眼を第1眼とし、右眼を第2眼としたが、これに限られない。例えば、左眼を第2眼とし、右眼を第1眼としてよい。
【0061】
第2実施形態において、コントローラ6は、第1利用者の眼の位置に基づいて第1左可視領域311Lおよび第1右可視領域311Rの位置を判定するとしたが、この限りではない。例えば、コントローラ6は、第2利用者の眼の位置に基づいて第2左可視領域312Lおよび第2右可視領域312Rの位置を判定してよい。この場合、コントローラ6は、第2左可視領域312Lおよび第2右可視領域312Rの位置に応じて、各サブピクセルに表示する画像を制御してよい。
【0062】
図12に示すように、画像表示装置1は、ヘッドアップディスプレイシステム100に搭載されうる。ヘッドアップディスプレイシステム100は、HUD(Head Up Display)100ともいう。HUD100は、画像表示装置1と、光学部材110と、被投影面130を有する被投影部材120とを備える。HUD100は、画像表示装置1から射出される画像光を、光学部材110を介して被投影部材120に到達させる。HUD100は、被投影部材120で反射させた画像光を、利用者の左眼および右眼に到達させる。つまり、HUD100は、破線で示される光路140に沿って、画像表示装置1から利用者の左眼および右眼まで画像光を進行させる。利用者は、光路140に沿って到達した画像光を、虚像150として視認しうる。画像表示装置1は、利用者の左眼および右眼の位置に応じて表示を制御することによって、利用者の動きに応じて立体視を提供しうる。
【0063】
虚像150には、アクティブエリア31の虚像として、表示面が含まれる。
【0064】
第1パララックスバリア4の透光領域42の虚像の配置間隔Bp1’、アクティブエリア31の虚像と第1パララックスバリア4の虚像との間のギャップg1’は、次の式(5)および式(6)が成り立つように規定される。式(5)および式(6)において、k1’は、第1サブピクセル群Pg1の虚像と第2サブピクセル群Pg2の虚像との配置間隔である。d1’は、利用者の眼と第1パララックスバリア4の虚像との距離である。
L:d1’=k1’/2:g1’ 式(5)
d1’:Bp1’=(d1’+g1’):k1’ 式(6)
【0065】
第2パララックスバリア5の透光領域52の虚像の配置間隔Bp2’、アクティブエリア31の虚像と第2パララックスバリア5の虚像との間のギャップg2’は、次の式(7)および式(8)が成り立つように規定される。式(7)および式(8)において、k2’は、第1サブピクセル群Pg1の虚像の水平方向の幅である。k2’は、第2サブピクセル群Pg2の虚像の水平方向の幅でもある。d2’は、利用者の眼と第2パララックスバリア5の虚像との距離である。
E:d2’=k2’/2:g2’ 式(7)
d2’:Bp2’=(d2’-g2’):k2’ 式(8)
【0066】
図13に示すように、画像表示装置1およびHUD100は、移動体10に搭載されてよい。HUD100の構成の一部は、移動体10が備える他の装置または部品と兼用されてよい。例えば、移動体10は、ウインドシールドを被投影部材120として兼用してよい。HUD100の構成の一部として兼用される、該移動体10が備える他の装置または部品は、HUDモジュールと称されることがある。
【0067】
表示パネル3としては、透過型の表示パネルに限られず、自発光型の表示パネル等他の表示パネルを使用することもできる。透過型の表示パネルは、液晶パネルの他に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッター式の表示パネルを含む。自発光型の表示パネルは、有機EL(electro-luminescence)、および無機ELの表示パネルを含む。表示パネル3として、自発光型の表示パネルを使用した場合、照射器2は不要となる。表示パネル3として、自発光型の表示パネルを使用した場合、第1パララックスバリア4および第2パララックスバリア5は、表示パネル3の画像光が射出される側に位置する。
【0068】
本開示における「移動体」には、車両、船舶、航空機を含む。本開示における「車両」には、自動車および産業車両を含むが、これに限られず、鉄道車両および生活車両、滑走路を走行する固定翼機を含めてよい。自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業および建設向けの産業車両を含む。産業車両には、フォークリフト、およびゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両には、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機を含むが、これに限られない。建設向けの産業車両には、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。なお、車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車には、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。本開示における船舶には、マリンジェット、ボート、タンカーを含む。本開示における航空機には、固定翼機、回転翼機を含む。
【符号の説明】
【0069】
1 3次元表示装置
2 照射器
3 表示パネル
4 第1パララックスバリア(第1光学素子)
5 第2パララックスバリア(第2光学素子)
6 コントローラ
7 検出装置
10 移動体
31 アクティブエリア
41,51 遮光面
42,52 透光領域
100 ヘッドアップディスプレイシステム
110 光学部材
120 被投影部材
130 被投影面
140 光路
150 虚像
311 第1可視領域
311L 第1左可視領域
311R 第1右可視領域
312 第2可視領域
312L 第2左可視領域
312R 第2右可視領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
図13