(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】制御システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20221206BHJP
G01C 21/32 20060101ALI20221206BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221206BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01C21/26 B
G01C21/32
G08G1/0969
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2018041565
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】永住 亮介
(72)【発明者】
【氏名】十河 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大原 浩幸
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/203515(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056249(WO,A1)
【文献】特開2005-083758(JP,A)
【文献】特開2017-083446(JP,A)
【文献】特開2012-037450(JP,A)
【文献】特開2017-078607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面における車線を構成する第1の車線と前記第1の車線に対して幅方向に隣接する第2の車線との間
、前記第1の車線の前記第2の車線と反対側及び前記2の車線の前記第1の車線の反対側に標示された幅方向に隣接した線状の複数の区画線に対応する情報であって、前記複数の区画線の役割に関する情報と、前記複数の区画線の各々の標示の形態に関する情報とを有する記憶部と、
前記役割に関する情報に基づき、前記複数の区画線の
うち走行する車両に隣接する区画線が外側線であると判断した場合と、前記複数の区画線うち走行する車両に隣接する区画線が中央線であると判断した場合とで、車線を走行する車両の誘導について異なる制御を行い、前記標示の形態に関する情報に基づき、幅方向の車両の位置の特定を行う制御部とを有し、前記役割は、外側線、境界線、及び中央線の少なくとも一つを含み、前記標示の形態は、白色の実線、白色の破線及び黄色の実線の少なくとも一つを含む制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システムであって、前記記憶部は、道路において物理的にそれ以上進むことが出来ない境界線をあらわす境界線情報を有し、前記境界線情報は、前記境界線 を規定する縁石と前記縁石との間の領域の長さが所定値未満の場合は前記領域の位置に対応して前記境界線あらわす情報を有するとともに、前記領域の長さが所定値以上の場合は 前記領域の位置に対応して前記境界線あらわす情報を有さず、 前記制御部は、前記境界線情報を用いて車両の誘導を行う制御システム。
【請求項3】
記憶部に記憶された地図データを、制御能を有する制御部に参照させる参照機能を実現させるためのプログラムであって、前記地図データは、路面における、第1の車線と前記第1の車線に対して幅方向に隣接する第2の車線との間
、前記第1の車線の前記第2の車線と反対側及び前記第2の車線の前記第1の車線の反対側に標示された幅方向に隣接した線状の複数の区画線に対応する情報であって、前記複数の区画線の役割に関する情報と、前記複数の区画線の各々の標示の形態に関する情報とを有し、前記参照機能は、前記制御部に前記複数の区画線の役割に関する情報及び前記複数の区画線の各々の標示の形態に関する情報を参照させる機能を含み、前記制御機能は、前記役割に関する情報に基づき、前記複数の区画線の
うち走行する車両に隣接する区画線が外側線であると判断した場合と、前記複数の区画線うち走行する車両に隣接する区画線が中央線であると判断した場合とで、車線を走行する車両の誘導について異なる制御を行い、前記標示の形態に関する情報に基づき、幅方向の車両の位置の特定を行い、前記役割は、外側線、境界線及び中央線の少なくとも一つを含み、前記標示の形態は、白色の実線、白色の破線及び黄色の実線の少なくとも一つを含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法、制御プログラム及び/又はそれらに利用可能なデータのデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両の位置を精度よく推定し、もって車両の運転を支援する装置が普及している。これに関連して、自車両に搭載された撮像装置と地物情報取得手段とを備え、撮像装置から得られた画像と地物情報取得手段から得られた地物情報とを照合し、複数のレーンの中から自車両の存在するレーンを判定する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、移動体の位置を適切に特定すること、又は移動体を適切に誘導制御することを可能とする制御システム及び当該制御システムに用いられる地図データのデータ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様として、制御システムを提供する。この制御システムは、路面における、第1の車線と前記第1の車線に対して幅方向に隣接する第2の車線との間、前記第1の車線の前記第2の車線と反対側及び前記第2の車線の前記第1の車線の反対側に標示された幅方向に隣接した線状の複数の区画線に対応する情報であって、前記複数の区画線の役割に関する情報と、前記複数の区画線の各々の標示の形態に関する情報とを有する記憶部と、前記役割に関する情報に基づき、前記複数の区画線のうち走行する車両に隣接する区画線が外側線であると判断した場合と、前記複数の区画線うち走行する車両に隣接する区画線が中央線であると判断した場合とで、車線を走行する車両の誘導について異なる制御を行い、前記 標示の形態に関する情報に基づき、幅方向の車両の位置の特定を行う制御部とを有し、前記役割は、外側線、境界線及び中央線の少なくとも一つを含み、前記標示の形態は、白色の実線、白色の破線及び黄色の実線の少なくとも一つを含む。
【0006】
他の実施形態において、記憶部に記憶された地図データを、制御能を有する制御部に参照 させる参照機能を実現させるためのプログラムを提供する。前記地図データは、路面における、第1の車線と前記第1の車線に対して幅方向に隣接する第2の車線との間、前記第1の車線の前記第2の車線と反対側及び前記第2の車線の前記第1の車線の反対側に標示された幅方向に隣接した線状の複数の区画線に対応する情報であって、前記複数の区画線の 役割に関する情報と、前記複数の区画線の各々の標示の形態に関する情報とを有し、前記 参照機能は、前記制御部に前記複数の区画線の役割に関する情報及び前記複数の区画線の 各々の標示の形態に関する情報を参照させる機能を含み、前記制御機能は、前記役割に関する情報に基づき、前記複数の区画線のうち走行する車両に隣接する区画線が外側線であると判断した場合と、前記複数の区画線うち走行する車両に隣接する区画線が中央線であると判断した場合とで、車線を走行する車両の誘導について異なる制御を行い、前記標示の形 態に関する情報に基づき、幅方向の車両の位置の特定を行い、前記役割は、外側線、境界線及び中央線の少なくとも一つを含み、前記標示の形態は、白色の実線、白色の破線及び黄色の実線の少なくとも一つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1及び2の走行支援システムを説明するための図である。
【
図2】実施形態1の地図データのデータ構造の概念を説明するための図である。
【
図3】実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図4】実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図5】実施形態1の地図データのデータ構造の概念を説明するための図である。
【
図6】実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図7】実施形態1の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
【
図8】実施形態2の地図データのデータ構造の概念を説明するための図である。
【
図9】実施形態2の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図10】実施形態2の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、制御システムの一例である実施形態1及び2における走行支援システム1である。その走行支援システム1は、移動体である車両2に搭載され、情報制御部3、記憶部4、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7、周辺情報取得部8及び車両制御部9を有する。情報制御部3は、全体制御部10、経路探索部11、経路特定部12、地図情報取得部13、位置特定部14、減速部15及び誘導部16とを含み、図示していないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部3のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。なお、全体制御部10、経路探索部11、経路特定部12、地図情報取得部13、位置特定部14、減速部15及び誘導部16は、プログラムによって実現される機能である。
【0011】
記憶部4は、ハードディスクやSD-RAM等の大容量記憶媒体で構成されている。
記憶部4には、経路探索処理、車両の位置特定、車両誘導制御等に用いられる地図データ20が記憶されている。地図データ20は、道路ネットワーク情報30、車線ネットワーク情報31、地物情報32及び関連情報33を有している。
【0012】
道路ネットワーク情報30は、道路の特定地点(例えば、道路の分岐地点)に関する情報を含む複数の地点情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路区間情報を有し、その複数の地点情報及びその複数の道路区間情報により道路の繋がりをあらわす情報である。車線ネットワーク情報31は、複数の車線区間情報を含み、各々のその車線区間情報は、道路を構成する車線の所定区間に関する情報を含み、複数の車線区間情報により車線の繋がりをあらわす情報(以下「車線区間情報」という。)である。地物情報32は、道路の区画線をあらわす情報である区画線情報(以下「区画線情報」という。)、道路や歩行者通路において物理的にそれ以上進むことが出来ない境界線(以下「物理的境界線」という。)をあらわす情報である境界線情報(以下「境界線情報」という。)等を含むものである。関連情報33は、道路ネットワーク情報30の道路区間情報と車線ネットワーク情報31の車線区間情報とを関連付けるための情報、車線ネットワーク情報31の車線区間情報と地物データ32の区画線情報とを関連付ける区画線関連情報(以下「区画線関連情報」という。)及び/又は車線ネットワーク情報31の車線区間情報と地物データ32の境界線情報とを関連付ける境界線関連情報等を含むものである。なお、車線区間情報、区画線情報、境界線情報、並びに区画線関連情報及び境界線関連情報の詳細については、後述で説明する。
【0013】
入力部5は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。位置取得部6は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両の位置に関する位置情報を取得する。車速情報取得部7は、車速センサから取得したパルス信号に基づいて、車両の速度に関する情報を取得する。周辺情報取得部8は、車両周辺の標識や道路の標示ペイント(例えば、区画線)等の被写体の画像情報である車両の周辺情報を取得する。車両制御部9は、後述する減速部15、誘導部16等からの情報に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両を誘導制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0014】
全体制御部10は、走行支援システム1全体を制御する。経路探索部11は、記憶部4に記憶されている道路ネットワーク情報30を用いて経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部11は、道路ネットワーク情報30に含まれる道路区間情報と地点情報とを用いて出発地から目的地に至る経路探索処理を実行する。そして、経路探索処理により出発地から目的地に至るまでの道順(出発地から目的地までを接続する複数の地点情報と複数の道路区間情報)を示す経路情報が作成される。なお、経路探索の手法としては、ダイクストラ法など周知の方法を採用し、道路区間情報に含まれるコスト情報を用いて出発地から目的地までの最短経路を探索する。
【0015】
経路特定部12は、経路探索部11で作成された道路ネットワーク情報30の経路情報を用いて、関連情報33により車線ネットワーク情報31に経路を特定する処理を行う。地図情報取得部13は、記憶部4から地図データ20を取得する処理を行う。位置特定部14は、位置取得部6により取得された位置情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定したり、地物情報32及び周辺情報取得部8により取得された周辺情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。減速部15は、車両2を減速させるための減速情報を生成し、車両制御部9に出力する。誘導部16は、道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。車両制御部9は、減速情報、誘導情報等に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0016】
なお、走行支援システム1は、情報制御部3及び記憶部4が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、サーバー内の情報制御部3が、通信情報として、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7及び周辺情報取得部8の情報を受領するとともに、通信情報として減速情報や誘導情報を車両制御部9に出力する構成であっても良い。また、走行支援システム1は、記憶部4が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、車両内の情報制御部3が、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を通信情報によって抽出及び受領する構成であっても良い。
【0017】
(実施形態1)
図2は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念及び実際の道路の一部を説明するための図である。90は、地図データ20に含まれるデータのデータ構造の概念図であり、車線ネットワーク情報31と地物情報32とが関連情報33によって関連付けられた構造である。そして、LL1~LL7の各々は、車線区間情報であり、CL1~CL12の各々は、区画線情報であり、R1~R7の各々は、区画線関連情報である。91は、実際の高速道路の分岐地点周辺をあらわす図であり、100、101、102及び103は、区画線をあらわしており、区画線100の線種(白色の破線、白色の実線、黄色の実線等の区画線の表示形態をいう。以下同じ。)は白色の実線、役割(車線外側線、車線中央線、車線境界線、導流帯等の区画線の役割をいう。以下同じ。)は車道外側線であり、区画線101の線種は白の実線、役割は導流帯であり、区画線102、103の線種は白の破線、役割は車線境界線である。
【0018】
車線区間情報LL1~LL7の各々は、車線内における走行方向(
図2、
図4及び
図7の矢印が示す方向をいう。以下同じ。)に沿った複数の位置をあらわす情報(以下「車線位置情報」という。)、並びに車線の繋がりをあらわす情報として退出側の車線区間情報との繋がりをあらわす情報(以下「退出側識別情報」という。)及び進入側の車線区間情報とのつながりをあらわす情報(以下「進入側識別情報」という。)を含んでいる。そして、車線区間情報LL1~LL7は、各々の車線区間情報に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL1~CL5、CL6~CL12と車線関連情報R1~R7によって関連付けられている。なお、車線区間情報LL5は、両側の区間線情報CL2及び区画線情報CL10に加え、車線区間情報LL5に対応する車線に跨る区画線に対応する区画線情報CL6にも車線関連情報R5によって関連付けられている。
【0019】
区画線情報CL1~CL12は、区画線の走行方向に沿った複数の位置をあらわす情報(以下「区画線位置情報」という。)、区間線の始点側の幅をあらわす情報(以下「始点線幅情報」という。)及び区画線の終点側の幅をあらわす情報(以下「終点線幅情報」という。)、線種を区別するための情報(以下「線種情報」という。)、区画線上の設置物の有無をあらわす情報(以下「設置物情報」という。)、区画線の走行方向に沿った減速表示の有無をあらわす情報(以下「減速表示情報」という。)、区画線の役割を区別するための情報(以下「役割情報」という。)、区画線の線種が破線である場合に破線を構成する線分(白色で標示された線分をいう。以下同じ。)の位置を識別するための識別情報(以下「線分識別情報」という。)であって、線分の端点の位置を識別するための情報、実際の道路において区画線の表示の一部が擦れている等により推測して区画線情報を取得したことの有無をあらわす情報(以下「推測情報」という。)を含んでいる。
【0020】
線分識別情報は、具体的には、区画線位置情報の各々が、破線を構成する線分の始点側の端点の位置の情報であるか、破線を構成する線分内の位置の情報であるか、破線を構成する線分の終点側の端点の位置の情報であるか、又は破線を構成する線分と線分の間の位置の情報であるかを識別するための情報である。そして、線分識別情報CL31は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分の始点側の端点の位置の情報であり、線分識別情報CL32は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分内の位置の情報であり、線分識別情報CL33は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分の終点側の端点の位置の情報であり、線分識別情報CL34は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分と線分の間の位置をあらわす情報である。また、区画線情報CL8及び区画線情報CL9は、導流帯101に対応する情報であり、区画線情報CL8は、区画線位置情報として走行方向に向かって右側の縁線部分に沿った位置の情報を有し、区画線情報CL9は、区画線位置情報として走行方向に向かって左側の縁線部分に沿った位置の情報を有している。
【0021】
図3は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL2は、車線識別情報としてその車線区間情報LL2を識別するための情報、車線位置情報としてその車線区間情報LL2に対応する車線の走行方向における中心線の座標点列をあらわす情報、退出側識別情報として車線区間情報LL2の退出側の車線区間情報LL3の車線識別情報及び進入側識別情報として車線区間情報LL2の進入側の車線区間情報LL1の車線識別情報を有している。なお、他の車線区間情報LL1、LL3~LL7も車線区間情報LL2と同様の構成である。
【0022】
区画線情報CL3は、区画線識別情報として、その区画線情報CL3を識別するための情報「CL3」、区画線位置情報として、その区画線102の走行方向における中心線の座標点列(区画線情報CL3に対応する区間において)をあらわす情報「(X21,Y21,Z21),(X22,Y22,Z22),・・・」、始点線幅情報として区画線102の始点側(区画線情報CL3に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「A(m)」、終点線幅情報として区画線102の終点側(区画線情報CL3に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「A(m)」、線種情報として白色の破線をあらわす情報「白破線」、設置物情報として「設置物なし」、減速標示情報として「減速標示なし」、役割情報として「車線境界線」、及び推測情報として「推測なし」を有している。
【0023】
また、線分識別情報として、記憶部4の記憶領域において「01」、「11」、「10」、「00」、「01」、「11」、「10」、「00」の順番で記憶している。なお、「01」は破線を構成する線分の始点側の端点の位置をあらわす情報であり、「11」は破線を構成する線分内の位置をあらわす情報であり、「10」は破線を構成する線分の終点側の端点の位置をあらわす情報であり、「00」は破線を構成する線分と線分の間の位置をあらわす情報である。そして、記憶部4の記憶領域に記憶されている順番は、区画線情報CL3の区画線位置情報の座標点列の走行方向における順番に対応しており、走行方向における最も手前側の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分の始点側の端点の位置(
図2の走行方向において最初のCL31)をあらわし、走行方向における次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分内の位置(
図2の走行方向において最初のCL32)をあらわし、走行方向におけるさらに次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分の終点側の端点の位置(
図2の走行方向において最初のCL33)をあらわし、走行方向におけるさらに次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分と線分の間の位置(
図2の走行方向において最初のCL34)をあらわし、走行方向におけるさらに次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分の始点側の端点の位置(
図2の走行方向において次のCL31)をあらわし、走行方向におけるさらに次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分内の位置(
図2の走行方向において次のCL32)をあらわし、走行方向におけるさらに次の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分の終点側の端点の位置(
図2の走行方向において次のCL33)をあらわし、走行方向における最も奥側の位置の区画線位置情報は、破線を構成する線分と線分の間の位置(
図2の走行方向において次のCL34)をあらわしている。なお、他の区画線情報CL1、CL2、CL4~CL12も区画線情報CL3と同様の構成である。
【0024】
区画線関連情報R5は、関連識別情報としてその関連情報R5を識別するための情報、車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL5の車線識別情報を有している。また、区画線の位置の情報として「右」を、区画線情報の区画線識別情報として区画線情報CL2の区画線識別情報「CL2」を、車線区間情報内の開始位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL2に対応する区画線の走行方向における開始位置に近接する位置の車線位置情報「(X31,Y31,Z31)」を、車線区間情報内の終了位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL2に対応する区画線の走行方向における終了位置に近接する位置の車線位置情報「(X32,Y32,Z32)」を有している。
【0025】
また、区画線の位置の情報として「跨り」を、区画線情報の区画線識別情報として区画線情報CL6の識別情報「CL6」を、車線区間情報内の開始位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL6に対応する区画線の走行方向における開始位置に近接する位置の車線位置情報「(X33,Y33,Z33)」を、車線区間情報内の終了位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL6に対応する区画線の走行方向における終了位置に近接する位置の車線位置情報「(X34,Y34,Z34)」を有している。
【0026】
また、区画線の位置の情報として「左」を、区画線情報の区画線識別情報として区画線情報CL10の区画線識別情報「CL10」を、車線区間情報内の開始位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL10に対応する区画線の走行方向における開始位置に近接する位置の車線位置情報「(X35,Y35,Z35)」を、車線区間情報内の終了位置情報として車線区間情報LL5の車線位置情報のうち区画線情報CL10に対応する区画線の走行方向における終了位置に近接する位置の車線位置情報「(X36,Y36,Z36)」を有している。そして、区画線関連情報R5により、車線区間情報LL5と区画線情報CL2とが関連(車線区間情報LL5に対応する区間の右側の(X31,Y31,Z31)から(X32,Y32,Z32)の位置において)付けられており、車線区間情報LL5と区画線情報CL6とが関連(車線区間情報LL5に対応する区間に跨って(X33,Y33,Z33)から(X34,Y34,Z34)の位置において)付けられており、車線区間情報LL5と区画線情報CL10とが関連(車線区間情報LL5に対応する区間の左側の(X35,Y35,Z35)から(X36,Y36,Z36)の位置において)付けられていることがわかる。なお、他の区画線関連情報R1~R4、R6、R7も区画線関連情報R5と同様の構成である。
【0027】
なお、線分識別情報は、上記で説明した情報に限らず、破線を構成する線分の位置を識別するための識別情報であれば良い。例えば、
図4(A)に示すような線分識別情報を持ち、区画線関連情報により関連付けられている車線区間情報に対応する区間の全長のうち、全長を1とすると、全長の0.1の割合の地点から0.2の割合の地点まで、全長の0.4の割合の地点から0.5の割合の地点まで及び全長の0.7の割合の地点から0.8の割合の地点までを破線を構成する線分と識別するような情報であっても良い。また、
図4(B)に示すような線分識別情報を持ち、区画線関連情報により関連付けられている車線区間情報に対応する区間のうち、走行方向手前から4mは破線を構成する線分と線分の間の線分が標示されていない区間、その次の8mは破線を構成する線分の区間、またその次の4mは破線を構成する線分と線分の間の線分が標示されていない区間、またその次の8mは破線を構成する線分の区間というように繰り返し4mと8mの区間単位で破線を構成する線分を識別するような情報であっても良い。
【0028】
図5は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念及び実際の道路の一部を説明するための図である。105は、地図データ20に含まれるデータのデータ構造の概念図であり、車線ネットワーク情報30と地物情報31とが関連情報33によって関連付けられた構造である。そして、LL10、11は、車線区間情報であり、CL20~CL22の各々は、区画線情報であり、R10、R11は区画線関連情報である。106は、実際の高速道路の一部分をあらわす図であり、110は走行方向において道路の左側車線、111は走行方向において道路の右側車線、112及び113は、多重線(本実施形態では二重線)の区画線をあらわしており、区画線112の線種は黄色の実線、役割は車線境界線であり、区画線113の線種は白色の破線、役割は車線境界線である。
【0029】
車線区間情報LL10、LL11の各々は、車線位置情報、並びに退出側識別情報及び進入側識別情報を含んでいる。そして、車線区間情報LL10は、車線区間情報に対応する車線の右側の区間線に対応する区画線情報CL20と区画線関連情報R10によって関連付けられており、車線区間情報LL11は、車線区間情報に対応する車線の左側の区間線に対応する区画線情報CL20と区画線関連情報R11によって関連付けられている。
【0030】
区画線情報CL20は、区画線112及び区画線113の両方を一つの区画線の情報としてあらわしている。そして、区画線情報CL20~CL22は、区画線位置情報、始点線幅情報、終点線幅情報、線種情報、設置物情報、減速表示情報、役割情報、線分識別情報及び推測情報を含んでいる。そして、線分識別情報CL221は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分の始点側の端点の位置の情報であり、線分識別情報CL222は、その位置の区画線位置情報が破線を構成する線分の終点側の端点の位置の情報である。また、区画線情報CL21、CL22は、上記の情報に加え、区画線情報CL21及び区画線情報CL22が、区画線情報CL20と関連付けられていることをあらわす情報(以下、「関連する区画線情報の識別情報」という。)、並びに多重線の区画線112及び区画線113のうち走行方向左から何番目の区画線かをあらわす情報(以下「走行方向左からの線番号」という。)を有している。
【0031】
図6は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL10、L11は、車線区間情報LL2と同様の構成である。
【0032】
区画線情報CL20は、区画線識別情報としてその区画線情報CL20を識別するための情報「CL20」、区画線位置情報として区画線112と区画線113との間の領域の素行方向における中心線の座標点列をあらわす情報「(X21,Y21,Z21),(X22,Y22,Z22),・・・」、始点線幅情報として区画線112の走行方向左側の縁線の始点側(区画線情報CL20に対応する区間において)から区画線113走行方向右側の縁線の始点側(区画線情報CL20に対応する区間において)までの幅方向の長さをあらわす情報「B(m)」、終点線幅情報として区画線112の走行方向左側の縁線の終点側(区画線情報CL20に対応する区間において)から区画線113走行方向右側の縁線の終点側(区画線情報CL20に対応する区間において)までの幅方向の長さをあらわす情報「B(m)」、線種情報として、二重線で一方が黄色の実線であり、もう一方が白色の破線をあらわす情報「二重線、黄実線、白破線」、設置物情報として「設置物なし」、減速標示情報として「減速標示なし」、役割情報として「車線境界線」、及び推測情報として「推測なし」を有している。
【0033】
区画線情報CL21は、区画線識別情報として、その区画線情報CL21を識別するための情報「CL21」、区画線位置情報として、その区画線112の走行方向における中心線の座標点列(区画線情報CL21に対応する区間において)をあらわす情報「(X31,Y31,Z31),(X32,Y32,Z32),・・・」、始点線幅情報として区画線112の始点側(区画線情報CL21に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「C(m)」、終点線幅情報として区画線112の終点側(区画線情報CL21に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「C(m)」、線種情報として黄色の実線をあらわす情報「黄実線」、設置物情報として「設置物なし」、減速標示情報として「減速標示なし」、役割情報として「車線境界線」、推測情報として「推測なし」、関連する区画線情報の識別情報として「CL20」及び走行方向左からの線番号として左から1番目の区画線であることをあらわす「1」を有している。
【0034】
区画線情報CL22は、区画線識別情報として、その区画線情報CL22を識別するための情報「CL22」、区画線位置情報として、その区画線113の走行方向における中心線の座標点列(区画線情報CL22に対応する区間において)をあらわす情報「(X41,Y41,Z41),(X42,Y42,Z42),・・・」、始点線幅情報として区画線113の始点側(区画線情報CL22に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「D(m)」、終点線幅情報として区画線113の終点側(区画線情報CL22に対応する区間において)の幅方向の長さをあらわす情報「D(m)」、線種情報として白色の破線をあらわす情報「白破線」、設置物情報として「設置物なし」、減速標示情報として「減速標示なし」、役割情報として「車線境界線」、及び推測情報として「推測なし」、関連する区画線情報の識別情報として「CL20」及び走行方向左からの線番号として左から2番目の区画線であることをあらわす「2」を有している。また、線分識別情報として、記憶部4の記憶領域において「01」、「10」、「01」、「10」、「01」、「10」、「01」、「10」の順番で記憶している。なお、「01」「10」があらわす内容は、区画線情報CL3における線分識別情報の内容を説明したときと同じである。そして、記憶部4の記憶領域に記憶されている順番は、区画線情報CL22の区画線位置情報の座標点列の走行方向における順番(
図5における走行方向手前からCL221、CL222、CL221、CL222、CL221、CL222、CL221、CL222)に対応している。
【0035】
区画線関連情報R10の詳細は、上記で説明した区画線関連情報R6と同様である。
【0036】
図7は、上記の
図2乃至6で説明した車線区間情報LL1~LL7、LL10、LL11、区画線情報CL1~CL12、CL20~CL22及び区画線関連情報R1~R7、R10、R11を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。情報制御部3は、走行支援処理として、区画線情報の取得処理、幅方向の位置特定処理、走行方向の位置特定処理、減速処理及び誘導処理を行う。
【0037】
情報制御部3(地図情報取得部13)は、区画線情報の取得処理(ステップS10)として、区画線関連情報を用いて車両2の現在位置に対応する車線区間情報に関連する区画線情報を記憶部4から取得する処理を行う。具体的には、以下の処理を行う。まず、区画線情報の取得処理を行う前提として、経路探索部11と経路特定部12によって車線ネットワーク情報に経路が特定されている。そして、特定された経路に沿って車両2が走行するとともに、車両2の現在位置に対応する車線区間情報、具体的には車両2の現在位置に最も近い車線座標情報を有する車線区間情報を特定し、区画線関連情報を用いて、その車線区間情報に関連する区画線情報を記憶部4から取得する。以上のように、区画線関連情報を用いることにより、車両2の現在位置に対応する車線区間情報に基づいて高速に区画線情報にアクセスすることが可能となる。
【0038】
次に、情報制御部3(位置特定部14)は、幅方向の位置特定処理(ステップS20)として、車線区間情報に関連する左右両側の区画線情報の線種情報により幅方向の複数の車線のいずれの車線を車両2が走行しているかを特定する。具体的には、以下の処理を行う。例えば、車両2の現在位置が車線区間情報LL1に対応する区間である場合、区画線関連情報R5の区画線の位置情報「左」及び区画線の識別情報「CL5」を用いて、車線区間情報LL1に関連する走行方向に向かって左側の区画線情報CL5の線種情報が「白実線」であり、区画線関連情報R5の区画線の位置情報「右」及び区画線の識別情報「CL1」を用いて、車線区間情報LL1に関連する走行方向に向かって右側の区画線情報CL1の線種情報が「白破線」であることを認識し、複数車線のうち最も左側の車線を車両2が走行していると特定する。以上のように、区画線情報CL1の線種情報を用いることにより、複数車線のうちのいずれの車線を走行しているかを適切に特定することが可能となる。
【0039】
次に、情報制御部3(位置特定部14)は、走行方向の位置特定処理(ステップS30)として、車両2の周辺の情報を取得する取得部である周辺情報取得部8から取得された破線形状の区画線の情報並びに、記憶部4の区画線位置情報及び線分識別情報に基づき、道路の走行方向における位置を特定する。具体的には、以下の処理を行う。例えば、
図2における車両2の現在位置が車線区間情報LL3に対応する区間である場合について説明する。その場合、区画線情報CL3及び区画線情報CL7が記憶部4から取得されている。まず、周辺情報取得部8が車両前方の画像を取得する。次に、走行方向に向かって左側の区画線については、区画線情報CL7の線分識別情報を用いて、区画線位置情報の座標点列のうち、いずれの座標情報が破線を構成する線分の始点側の端点の位置をあらわす情報であり、いずれの座標情報が破線を構成する線分の終点側の端点の位置をあらわす情報であるかを識別することにより、いずれの座標情報の位置といずれの座標情報の位置との間が破線を構成する線分の区間であるか、いずれの座標情報の位置といずれの座標情報の位置との間が線分と線分の間の線分の存在しない区間であるかを判断することが出来る。
【0040】
走行方向に向かって右側の区画線については、区画線情報CL7の線分識別情報を用いて、区画線位置情報の座標点列のうち、いずれの座標情報が破線を構成する線分の始点側の端点の位置をあらわす情報であり、いずれの座標情報が破線を構成する線分内の位置をあらわす情報であり、いずれの座標情報が破線を構成する線分の終点側の端点の位置をあらわす情報であり、いずれの座標情報が破線を構成する線分と線分の間の位置をあらわす情報であるかを識別することにより、いずれの連続する3つの座標情報で結ばれる区間が破線を構成する線分であり、いずれの連続する3つの座標情報で結ばれる区間が線分と線分の間の線分の存在しない区間であるかを判断することが出来る。そして、上記のように破線を構成する線分の区間及び線分と線分の間の線分の存在しない区間が識別された区画線位置情報の座標点列の情報と、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像の情報とを比較(例えば、パターンマッチングを行う。以下同じ。)し、区画線位置情報により、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像に含まれる区画線の位置(座標)を判断する。なお、比較のときには、減速標示識別情報も参照し、減速標示識別情報「減速標示あり」の場合には、減速標示が存在していることを考慮した比較処理が行われる。そして、その画像に含まれる区画線の大きさにより車両とその区画線との相対的距離を算出し、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像に含まれる区画線の位置(座標)と当該相対的距離から走行方向の車両の位置を特定する。
【0041】
また、例えば、
図5における車両2の現在位置が車線区間情報LL10に対応する区間である場合について説明する。その場合、区画線情報CL22及び区画線情報CL22が記憶部4から取得されている。まず、周辺情報取得部8が車両前方の画像を取得する。次に、走行方向に向かって右側の区画線については、区画線情報CL22の線分識別情報を用いて、区画線位置情報の座標点列のうち、いずれの座標情報が破線を構成する線分の始点側の端点の位置をあらわす情報であり、いずれの座標情報が破線を構成する線分の終点側の端点の位置をあらわす情報であるかを識別することにより、いずれの座標情報の位置といずれの座標情報の位置との間が破線を構成する線分の区間であるか、いずれの座標情報の位置といずれの座標情報の位置との間が線分と線分の間の線分の存在しない区間であるかを判断することが出来る。そして、上記のように破線を構成する線分の区間及び線分と線分の間の線分の存在しない区間が識別された区画線位置情報の座標点列の情報と、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像の情報とをパターンマッチングし、区画線位置情報により、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像に含まれる区画線の位置(座標)を判断する。その画像に含まれる区画線の大きさにより車両とその区画線との相対的距離を算出し、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像に含まれる区画線の位置(座標)と当該相対的距離から走行方向の車両の位置を特定する。
【0042】
以上のように、区画線位置情報と線分識別情報を用いることにより、いずれの位置からいずれの位置までが白色の線分であること、つまり破線形状を区画線情報から認識することが可能となり、それによって、周辺情報取得部8で取得された車両前方の画像の情報とのパターンマッチングが可能となる。また、周辺情報取得部8で取得される車両前方の画像の情報では区画線と減速標示との区別が難しいが、減速標示識別情報を用いることにより、適切にそこに区画線があることを識別することが可能となる。
【0043】
次に、情報制御部3(減速部15)は、減速処理として、記憶部4の減速標示識別情報の条件に応じて、車両2を減速させるように制御する。具体的には、以下の処理を行う。例えば、
図2における車両2の現在位置が車線区間情報LL3に対応する区間である場合、区画線情報CL3及び区画線情報CL7が記憶部4から取得されている。区画線情報CL3及び区画線情報CL7の減速標示識別情報が「減速標示なし」であるため、車両2を減速させるための減速情報を車両制御部9に出力はしない。一方、減速標示識別情報が「減速標示あり」の場合は、当該減速情報を車両制御部9に出力する。周辺情報取得部8で取得される車両前方の画像の情報では区画線と減速標示との区別が難しいが、減速標示識別情報を用いることにより、適切にそこに減速標示があることを識別することが可能となり、それにより適切に車両2を減速させることが可能となる。
【0044】
次に、情報制御部3(誘導部16)は、誘導処理として、記憶部4の役割情報を用いて、道路の区画線の役割に基づいた車両2の誘導制御を行うようにする。具体的には、以下の処理を行う。例えば、
図2における車両2の現在位置が車線区間情報LL6に対応する区間である場合、区画線情報CL7及び区画線情報CL11が記憶部4から取得されている。区画線情報CL11の役割情報は、「車線外側線」であり、その区画線情報CL11は進行方向に向かって左側であるため、通常は区画線情報CL11に対応する区画線から車両2がはみださない誘導情報を車両制御部9に出力するとともに、事故や落下物等で前方が塞がっている緊急時(以下「緊急時」という。)の場合には、当該区画線から車両2がはみだして路側帯を走行させる誘導情報を車両制御部に出力する。一方、進行方向に向かって右側の区画線情報の役割情報が「車線中央線」である場合には、通常時でも緊急時でも進行方向に向かって右側の区画線から車両2がはみださないように誘導情報を車両制御部9に出力する。
【0045】
また、例えば、
図2における車両2の現在位置が車線区間情報LL3に対応する区間である場合、区画線情報CL3及び区画線情報CL7が記憶部4から取得されている。区画線情報CL3の役割情報は、「車線境界線」であり、その区画線情報CL3の線種情報は、「白破線」であるため、車線変更が必要な場合、区画線情報CL3に対応する区画線から車両2がはみだして車線変更を行う誘導情報を車両制御部9に出力する。
【0046】
また、例えば、
図5における車両2の現在位置が車線区間情報LL10に対応する区間である場合、区画線情報CL20が記憶部4から取得されている。区画線情報CL20の役割情報は、「車線境界線」であり、その区画線情報CL3の線種情報は、「2重線 黄実線・白破線」であるため、左側の車線から右側の車線へは車線変更出来ないことが判別出来、車線変更が必要な場合であっても、区画線情報CL10に対応する区画線から車両2がはみだして車線変更を行う誘導情報を車両制御部9に出力することはしない。一方、
図5における車両2の現在位置が車線区間情報LL11に対応する区間である場合も、区画線情報CL20が記憶部4から取得されている。区画線情報CL20の役割情報は、「車線境界線」であり、その区画線情報CL3の線種情報は、「2重線 黄実線・白破線」であるため、右側の車線から左側の車線へは車線変更出来ることが判別出来、車線変更が必要な場合、区画線情報CL10に対応する区画線から車両2がはみだして車線変更を行う誘導情報を車両制御部9に出力する。
【0047】
以上のように、役割情報を用いることにより、緊急時等の状況に応じて車両2が車線をはみ出して良いか否かについて判断することが可能となる。また、区画線情報CL20のように、幅方向に複数標示された区画線(例えば、区画線112と区画線113)を一つの区画線の情報としてあらわした区画線情報を用いることにより、誘導処理(ステップS50)が可能となる。一方、区画線情報CL21及び区画線情報CL22のように、幅方向に複数標示された区画線(例えば、区画線112と区画線113)を各々の区画線の情報としてあらわしている区画線情報を用いることにより、幅方向の位置特定処理(ステップS20)が可能となる。そして、以上のステップS10からステップS50の処理を車両2が目的地に到着するまで繰り返し実行する。
【0048】
(実施形態2)
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念及び実際の道路の一部を説明するための図である。211、215、219の各々は、地図データ20に含まれるデータのデータ構造の概念図であり、車線ネットワーク情報30と地物情報31とが関連情報33によって関連付けられた構造である。そして、LL21、LL22、LL23の各々は、車線区間情報であり、B1、B2、B3の各々は、境界線情報であり、R21、R22、R23の各々は、境界線関連情報である。210、214、218は、実際の道路の一部をあらわす図であり、220は、線種が白色の破線であり、役割が車線境界線の区画線をあらわしており、221は、線種が白色の実線であり、役割が車線外側線の区画線をあらわしており、222は、道路に沿って設けられ、物理的境界線を規定する縁石(以下「縁石」という。)をあらわしており、223は、歩行者通路に沿って設けられ、物理的境界線を規定する構造物(以下「構造物」という。)をあらわしている。なお、縁石と構造物の間の領域が歩行者通路である。そして、道路210の走行方向における縁石222と縁石222との間の領域224の走行方向の長さは、道路214の走行方向における縁石222と縁石222の間との領域225の走行方向の長さよりも短い。また、道路214の幅方向における縁石222と構造物223との間の領域226の幅方向の長さは、道路218の幅方向における縁石222と構造物223との間の領域227の幅方向の長さよりも短い。
【0049】
図8(A)において、車線区間情報LL21は、車線内における走行方向に沿った複数の位置をあらわす情報、退出側識別情報及び進入側識別情報を含んでいる。そして、車線区間情報LL21は、境界線情報B1と境界線関連情報R21によって関連付けられている。また、境界線情報B1は、物理的境界線に沿った複数の位置をあらわす情報(以下「境界線位置情報」という。)を有し、境界線位置情報に含まれる複数の位置をあらわす情報は、縁石222の物理的境界線に沿った位置をあらわす情報と、縁石222と縁石222の間の領域224(走行方向手前の縁石222の物理的境界線と、走行方向後方の縁石222の物理的境界線とを結ぶ線)の位置をあらわす情報含んでいる。
【0050】
図8(B)において、車線区間情報LL22は、車線内における走行方向に沿った複数の位置をあらわす情報、退出側識別情報及び進入側識別情報を含んでいる。そして、車線区間情報L22は、境界線情報B2と関連情報R22によって関連付けられている。境界線情報B2は、境界線位置情報を有し、境界線位置情報に含まれる複数の位置をあらわす情報は、縁石222の物理的境界線に沿った位置をあらわす情報と、構造物223の物理的境界線に沿った位置であって領域225に対応する位置をあらわす情報、並びに縁石222の走行方向手前側の端点250から構造物223側への垂線及び縁石222の走行方向後方側の端点251から構造物223側への垂線に沿った位置をあらわす情報を含んでいる。
【0051】
図8(C)において、車線区間情報LL23は、車線内における走行方向に沿った複数の位置をあらわす情報、退出側識別情報及び進入側識別情報を含んでいる。そして、車線区間情報L23は、境界線情報B3、境界線情報B4及び境界線情報B5と境界線関連情報R23によって関連付けられている。境界線情報B5は、境界線位置情報を有し、境界線位置情報に含まれる複数の位置をあらわす情報は、構造物223の物理的境界線に沿った位置をあらわす情報含んでいる。境界線情報B4は、境界線位置情報を有し、境界線位置情報に含まれる複数の位置をあらわす情報は、走行方向手前側の縁石222の物理的境界線に沿った位置をあらわす情報を含んでいる。境界線情報B5は、境界線位置情報を有し、境界線位置情報に含まれる複数の位置をあらわす情報は、走行方向後方側の縁石222の物理的境界線に沿った位置をあらわす情報を含んでいる。
【0052】
以上のように、
図8(A)に示すように、道路210の走行方向における縁石222と縁石222との間の長さが所定値未満の場合は、境界線情報の構造としては境界線情報B1のような構造である。また、
図8(B)に示すように、道路214の走行方向における縁石222と縁石222との間の長さが所定値以上の場合であって、道路214の幅方向における縁石222と構造物223との間の領域226の幅方向の長さが所定値未満である場合は、境界線情報の構造の構造としては境界線情報B2のような構造である。また、
図8(C)に示すように、道路218の走行方向における縁石222と縁石222との間の長さが所定値以上の場合であって、道路214の幅方向における縁石222と構造物223との間の領域226の幅方向の長さが所定値以上である場合は、境界線情報の構造としては境界線情報B3、境界線情報B4、境界線情報B5のような構造であり、車線区間情報LL23は、関連情報R23によって各々の境界線情報B3、B4、B5と関連付けられている。
【0053】
図9は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL21、LL22、LL23は、実施形態1で説明した車線区間情報LL2と同様の構成である。
【0054】
境界線情報B1は、境界線識別情報としてその境界線情報B1を識別するための情報「B1」、境界線位置情報として物理的境界線の座標点列をあらわす情報「(X41,Y41,Z41),(X42,Y42,Z42),・・・」を含んでいる。境界線情報B2、B3の構成は、境界線情報B1と同じ構成である。
【0055】
境界線関連情報R23は、関連識別情報としてその関連情報R23を識別するための情報「R23」、車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL23の車線識別情報「LL23」を有している。また、物理的境界線の位置の情報として「左」を、境界線情報の境界線識別情報として境界線情報B3の境界線識別情報「B3」、境界線情報B4の境界線識別情報「B4」及び境界線情報B5の境界線識別情報「B5」を含んでいる。そして、境界線関連情報R23により、車線区間情報LL23と境界線情報B3、境界線情報B4及び境界線情報B5とが関連(車線区間情報LL23に対応する区間の左側の位置において)付けられていることがわかる。なお、他の境界線関連情報R21、R22も境界線関連情報RR23と同様の構成である。
【0056】
図10は、上記の
図8及び
図9で説明した車線区間情報LL21~LL23、境界線情報B1~B3及び境界線関連情報R21~R23を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。情報制御部3は、走行支援処理として、境界線情報の取得処理及び誘導処理を行う。
【0057】
情報制御部3(地図情報取得部13)は、境界線情報の取得処理(ステップS10)として、事故や落下物等で前方が塞がっている緊急時の場合に、境界線関連情報を用いて車両2の現在位置に対応する車線区間情報に関連する境界線情報を記憶部4から取得する処理を行う。具体的には、以下の処理を行う。まず、境界線情報の取得処理を行う前提として、経路探索部11と経路特定部12によって車線ネットワーク情報30に経路が特定されている。そして、特定された経路に沿って車両2が走行するとともに、車両2の現在位置に対応する車線区間情報、具体的には車両2の現在位置に最も近い車線座標情報を有する車線区間情報を特定し、境界線関連情報を用いて、その車線区間情報に関連する境界線情報を記憶部4から取得する。以上のように、境界線関連情報を用いることにより、車両2の現在位置に対応する車線区間情報に基づいて高速に境界線情報にアクセスすることが可能となる。
【0058】
次に、情報制御部3(誘導部16)は、誘導処理として、記憶部4の境界線情報の境界線位置情報を用いて、物理的境界線の位置には到達しないように(物理的境界線に衝突しないように車両2が走行出来る限界位置を判断)しつつ、道路の区画線の外側線を越えた位置に車両2の誘導制御を行うようにする。具体的には、以下の処理を行う。例えば、
図8(A)における車両2の現在位置が車線区間情報LL21に対応する区間である場合、境界線情報B1が記憶部4から取得されている。緊急時の場合に、縁石222に衝突しないように、道路の区画線の車線外側線を越えた位置であって、境界線情報B1の境界線位置情報の座標点列の位置よりも内側の位置に車両2を誘導させる誘導情報を車両制御部9に出力する。領域224に対応する位置にも座標点列の情報が存在している。これは、領域224の位置には縁石222は存在していないが、縁石222が存在していない領域は狭いためである。
【0059】
例えば、
図8(B)における車両2の現在位置が車線区間情報LL22に対応する区間である場合、境界線情報B2が記憶部4から取得されている。緊急時の場合に、縁石222に衝突しないように、道路の区画線の車線外側線を越えた位置であって、境界線情報B2の境界線位置情報の座標点列の位置よりも内側の位置に車両2を誘導させる誘導情報を車両制御部9に出力する。領域225に対応する位置には座標点列の情報が存在していない。これにより、領域225の領域は広いため、状況によっては、領域225を越えた位置まで車両2を誘導させることが出来る。
【0060】
例えば、
図8(C)における車両2の現在位置が車線区間情報LL23に対応する区間である場合、境界線情報B3、境界線情報B4及び境界線情報B5が記憶部4から取得されている。緊急時の場合に、縁石222に衝突しないように、道路の区画線の車線外側線を越えた位置であって、境界線情報B3、境界線情報B4及び境界線情報B5の境界線位置情報の座標点列の位置よりも内側の位置に車両2を誘導させる誘導情報を車両制御部9に出力する。領域225に対応する位置及び縁石222の走行方向手前側の端点260から構造物223側への垂線及び縁石222の走行方向後方側の端点261から構造物223側への垂線に沿った位置には座標点列の情報が存在していない。これにより、領域225の領域は広く、また縁石222と構造物223との間が広いため、状況によっては、領域225を越え、縁石222と構造物223との間の位置まで車両2を誘導させることが出来る。
【0061】
なお、
図8(A)、
図8(B)に示すように車線区間情報が区切れる位置では、境界線情報は区切れている。例えば、車線区間情報LL21の開始位置及び終了位置と境界線情報B1の開始位置及び終了位置は同じであり、車線区間情報LL22の開始位置及び終了位置と境界線情報B2の開始位置及び終了位置は同じである。また、
図8(C)に示すように境界線情報が区切れる位置では、必ずしも車線区間情報は区切れていない。例えば、境界線情報B4の終了位置や境界線情報B5の開始位置は、車線区間情報LL23の開始位置でも終了位置でもない。
【0062】
なお、地図データ20として、実施形態1及び実施形態2の2つの実施形態で説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理及び実施形態2の処理を行う構成であっても良い。
【0063】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、移動体の位置を適切に特定することを可能とするための装置、移動体を適切に誘導制御することを可能とするための装置及びそれに利用可能なデータのデータ構造の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0064】
1 走行支援システム
2 車両
3 情報制御部
4 記憶部
5 入力部
6 位置取得部
7 車速情報取得部
8 周辺情報取得部
9 車両制御部
10 全体制御部
11 経路探索部
12 経路特定部
13 地図情報取得部
14 位置特定部
15 減速部
16 誘導部
20 地図データ
21 道路ネットワーク情報
22 車線ネットワーク情報
23 地物情報
24 関連情報