(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】印刷媒体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/42 20060101AFI20221206BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20221206BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20221206BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20221206BHJP
C09D 167/00 20060101ALI20221206BHJP
C09D 191/06 20060101ALI20221206BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20221206BHJP
B41M 5/48 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41M5/42 220
B32B27/36
B32B27/20 A
B32B27/18 H
C09D167/00
C09D191/06
C09D7/61
B41M5/48 200
(21)【出願番号】P 2018129414
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】本田 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】島根 博昭
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-199660(JP,A)
【文献】特開2002-144695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/40-5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱記録シート、及び前記感熱記録シート上の光輝性印刷層及び磁気記録層を具備して
いる、印刷媒体であって、
前記感熱記録シートが、基材層、感熱記録層、及び保護層をこの順で具備しており、それによって、前記印刷媒体が、前記磁気記録層、前記基材層、前記感熱記録層、前記保護層、及び前記光輝性印刷層をこの順で具備しており、
前記光輝性印刷層が、合成マイカ系パール顔料、及びバインダー樹脂を含有しており、
前記バインダー樹脂が、ウレタン変性ポリエステルであり、かつ
前記磁気記録層が、前記感熱記録シートの光輝性印刷層に対する反対側に存在していている、
印刷媒体。
【請求項2】
前記ウレタン変性ポリエステルの水酸基価が、1~20KOHmg/gである、請求項1に記載の印刷媒体。
【請求項3】
レーザー回折・散乱法により測定した、前記合成マイカ系パール顔料の平均粒子径が、10~30μmである、請求項1又は2に記載の印刷媒体。
【請求項4】
前記光輝性印刷層が、ワックスを更に含有している、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷媒体。
【請求項5】
前記感熱記録シートと前記光輝性印刷層との間に、他の印刷層を更に具備している、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱紙を用いた印刷媒体、例えばチケット等の表面に、不正使用防止等の目的で、パール顔料を含有している光輝性印刷層を設けることが行われている。
【0003】
特許文献1では、JIS P 8142で規定される光沢度が15~30%の基材上にJIS P8119で規定される平滑度が100以上の樹脂層を介して、固形分換算で鱗片状顔料粉が1~50重量%のインクにより得られたパターンが形成されていることを特徴とする偽造防止印刷物が開示されている。
【0004】
特許文献2では、電離放射線照射により硬化可能なバインダー成分、パール顔料、及び必要に応じて光重合開始剤とを含有しており、かつ粘度が2000~8000cPであることを特徴とする感熱紙用パールインキが開示されている。
【0005】
特許文献3では、基材層の片面に感熱もしくは感圧発色層を積層し、前記感熱もしくは感圧発色層上にパール顔料を混入した光干渉性反射層を形成したことを特徴とする偽造防止印刷物が開示されている。
【0006】
なお、特許文献4では、支持体及び感熱層を有する感熱記録材料であって、感熱層が感熱発色材とアコ錯体とを含有していることを特徴とする感熱記録材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-080252号公報
【文献】特開2003-147251号公報
【文献】特開平9-169161号公報
【文献】特開昭54-118845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、光輝性顔料(パール顔料)としては、天然マイカ系パール顔料を使用することが一般的であった。しかしながら、近年、鉱物採掘に伴う児童労働が国際的に問題となっていること、及び安全性の問題から、天然マイカ系パール顔料の代わりに合成マイカ系パール顔料を使用することが求められている。
【0009】
これに関して、天然マイカ系パール顔料の代わりに合成マイカ系パール顔料を用いて光輝性印刷層を得ると、得られる光輝性印刷層は、天然マイカ系パール顔料を用いて得た光輝性印刷層と比較して、スタンプ等のインクの定着性が悪化するという問題を、本発明者らは見出した。
【0010】
印刷媒体の用途によっては、使用実績を示すために券面表面にスタンプで押印することにより印影を形成し、この印影の有無により使用済みであるか否か等の判断が行われることがある。しかしながら、溶剤や洗剤等を用いてこの印影を擦過することで、券面に痕跡を残さず、印影だけを消失させ、それによって印刷媒体を再利用する不正がなされる可能性がある。
【0011】
したがって、本発明では、光輝性顔料として合成マイカ系パール顔料を用いつつ、スタンプ等のインクの定着性が良好な印刷媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈態様1〉感熱記録シート、及び前記感熱記録シート上の光輝性印刷層を具備しており、
前記光輝性印刷層が、合成マイカ系パール顔料、及びバインダー樹脂を含有しており、
前記バインダー樹脂が、ウレタン変性ポリエステルである、印刷媒体。
〈態様2〉前記ウレタン変性ポリエステルの水酸基価が、1~20KOHmg/gである、態様1に記載の印刷媒体。
〈態様3〉レーザー回折・散乱法により測定した、前記パール顔料の平均粒子径が、10~30μmである、態様1又は2に記載の印刷媒体。
〈態様4〉前記光輝性印刷層が、ワックスを更に含有している、態様1~3のいずれか一項に記載の印刷媒体。
〈態様5〉前記感熱記録シートが、基材層、感熱記録層、及び保護層をこの順で具備しており、それによって、前記印刷媒体が、前記基材層、前記感熱記録層、前記保護層、及び前記光輝性印刷層をこの順で具備している、態様1~4のいずれか一項に記載の印刷媒体。
〈態様6〉前記感熱記録シートと前記光輝性印刷層との間に、他の印刷層を更に具備している、態様5に記載の印刷媒体。
〈態様7〉前記感熱記録シート上に、磁気記録層を更に具備している、態様1~6のいずれか一項に記載の印刷媒体。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、合成マイカ系パール顔料含有光輝性印刷層を有する印刷媒体であって、上記の課題を解決する印刷媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2(a)は、本発明の1つの態様の印刷媒体にスタンプを押印した状態を示した図である。
図2(b)は、スタンプの印影を消去しようとした後の状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《印刷媒体》
図1に示すように、本発明の印刷媒体100は、感熱記録シート20、及び感熱記録シート20上の光輝性印刷層10を具備しており、
光輝性印刷層10が、合成マイカ系パール顔料、及びバインダー樹脂、及びワックスを含有しており、
バインダー樹脂が、ウレタン変性ポリエステルである。
【0016】
本発明者らは、上記の構成によれば、合成マイカ系パール顔料含有光輝性印刷層を有しつつ、スタンプを押印し、その後にスタンプの印影を指で擦る、又はこれをアルコール等の溶剤でふき取る等の行為によってスタンプの印影を不正に消去しようとした場合に、このような行為があったこと、及び/又は押印済みであることを目視により認識することができることを見出した。
【0017】
より具体的には、天然マイカ系パール顔料を用いた場合には、
図2(a)に示すようにスタンプを押印し、スタンプの印影40を消去しようとした場合、
図2(b)に示すように、光輝性印刷層10が積層されている領域においては、印影40が残存するため、押印済みであることを目視により認識することができていた。
【0018】
これに対し、単純に合成マイカ系パール顔料を用いた場合には、予想外にも、スタンプが光輝性印刷層に付着しにくく、その結果、上記の擦過によって印影が消失する可能性があることを、本発明者らは見出した。理論に拘束されることを望まないが、これは、光輝性顔料として用いられる合成マイカ系パール顔料の表面は、光輝性顔料として用いられる天然マイカ系パール顔料の表面よりも金属酸化物が緻密かつ平滑に被覆されており、それによって合成マイカ系パール顔料の表面にはスタンプ等のインクが定着しにくいことに起因すると考えられる。
【0019】
これに対し、本発明者らは、バインダーとしてウレタン変性ポリエステルを用いた場合には、天然マイカ系パール顔料を用いた場合と同様に、
図2(b)に示すように、印影40を光輝性印刷層10に定着させることができることを見出した。理論に拘束されることを望まないが、これは、スタンプのインキに含有されている溶剤が、光輝性印刷層のバインダー樹脂を溶解させてスタンプのインキ全体を光輝性印刷層中に浸透させることによるものと考えられる。なお、かかる溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピルといった乳酸アルキルエステル等の速乾性溶剤が広く用いられている。
【0020】
光輝性印刷層10は、感熱記録シート20上全体に存在していてもよく、又は
図1(a)に示すように、感熱記録シート20上の一部に存在していてよい。
【0021】
また、
図1(a)に示すように、感熱記録シート20は、基材層26、感熱記録層24、及び保護層22をこの順で具備しており、それによって、本発明の印刷媒体100が、基材層26、感熱記録層24、保護層、及び前記光輝性印刷層をこの順で具備していてよい。
【0022】
また、本発明の印刷媒体は、感熱記録シート上に磁気記録層を更に具備していてよい。この磁気記録層は、感熱記録シートの光輝性印刷層に対する反対側に存在していてもよい。特に、感熱記録シートが基材層、感熱記録層、及び保護層をこの順で具備している場合、磁気記録層は、基材層の感熱記録層に対する反対側に存在していてよい。
【0023】
以下では、本発明の各構成要素について説明する。
【0024】
〈感熱記録シート〉
感熱記録シートは、感熱記録層を有するシートである。感熱記録シートは、例えば基材層、感熱記録層、及び保護層をこの順で具備していてよい。
【0025】
(基材層)
基材層は、感熱記録シートの他の層を支持できる基材であれば、特に限定されるものではなく、例えば紙基材層であってよい。
【0026】
(感熱記録層)
感熱記録層は、加熱によって可視情報を形成できるものであれば特に限定されるものではない。感熱記録層としては、例えば、ロイコ染料とフェノール性物質に代表される電子受容性物質との反応によるもの、イミノ化合物とイソシアナート化合物との反応によるもの、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノールとの反応によるもの等を利用し得る。これらの組合せの具体例は、例えば特許文献4などに記載されている。
【0027】
(保護層)
保護層は、感熱記録層に褪色防止性、耐水性等の機能を付与できる層であれば、特に限定されるものではない。保護層は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含有している層であってよい。
【0028】
〈光輝性印刷層〉
光輝性印刷層は、合成マイカ系パール顔料、及びバインダー樹脂を含有している。光輝性印刷層は、ワックスを更に含有していることが、光輝性印刷層に耐摩耗性を付与する観点、感熱記録印字の際のサーマルヘッドへの光輝性印刷層の付着を抑制する観点から好ましい。合成マイカ系パール顔料は、合成マイカ系着色パール顔料を含有していてもよい。
【0029】
合成マイカ系パール顔料の含有率は、光輝性印刷層の質量全体を基準として、40質量%以上、又は45質量%以上であってよく、また60質量%以下、又は55質量%以下であってよい。
【0030】
光輝性印刷層の厚さは、2.5μm以下、又は2.0μm以下であることが、感熱記録印字の際の感熱記録層への伝熱を促進する観点から好ましい。この厚さは、0.5μm以上、又は1.0μm以上であってよい。
【0031】
光輝性印刷層がワックスを含有している場合、ワックスのバインダー樹脂に対する質量比は、0.01以上、0.02以上、又は0.03以上であってよく、また0.1以下、0.09以下、0.07以下、0.05以下、又は0.04以下であってよい。光輝性印刷層を、下記に示す光輝性印刷層用組成物を塗布又は印刷することにより形成した場合には、上記の質量比は、固形分の質量比を意味する。
【0032】
光輝性印刷層は、例えば下記に示す物質及び溶剤成分を混合させて光輝性印刷層用組成物を作製し、これを感熱記録シート上に塗布又は印刷し、そして乾燥させて溶剤成分を除去することにより形成することができる。溶剤成分としては、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール等を、単体で又は混合させて用いることができる。光輝性印刷層用組成物の印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段により行うことができるが、このような光輝性印刷層用組成物を用いた場合には、光輝性印刷層用組成物の印刷は、グラビア印刷により行うことが好ましい。
【0033】
(合成マイカ系パール顔料)
合成マイカ系パール顔料の平均粒子径は、10μm以上、13μm以上、又は15μm以上であり、かつ25μm以下、22μm以下、又は20μm以下であることが、光輝性印刷層の表面にバインダー樹脂を露出しやすくし、その結果、スタンプのインキを光輝性印刷層に固着させやすくする観点から好ましい。ここで、本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法において体積基準により算出されたメジアン径(D50)を意味するものである。
【0034】
なお、マイカ系パール顔料は、マイカの表面に、一般に酸化チタン等の高屈折率金属酸化物から作られている高屈折率層をコーティングして得られるものであり、マイカと高屈折率層との屈折率差で生じる反射によってパール光沢を提供する顔料である。このようなマイカ系パール顔料のうち、コアとなるマイカとして天然マイカを用いるものが、天然マイカ系パール顔料であり、コアとなるマイカとして合成マイカを用いるものが、合成マイカ系パール顔料である。一般に、天然マイカは不純物の存在によってくすんだ色を有するのに対して、合成マイカは純粋な原料から作られており、天然マイカのような不純物の存在によるくすみがない。
【0035】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、ウレタン変性ポリエステル系樹脂である。
【0036】
ウレタン変性ポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステルを基本骨格とし、かつ側鎖にウレタン成分が結合しているウレタン変性共重合ポリエステルを用いること、又はエステルの繰返し単位とウレタンの繰返し単位とを骨格中に含むウレタン変性共重合ポリエステル等を用いることができる。上記のウレタン変性ポリエステル系樹脂は、スタンプのインキに含まれる溶剤に対して可溶であるため、スタンプを押印した際に、スタンプのインキ全体を光輝性印刷層中に浸透させることができると考えられる。
【0037】
かかるウレタン変性エチレン性飽和ポリエステル系樹脂としては、例えば東洋紡株式会社のバイロン(商標)URシリーズを用いることができる。
【0038】
ウレタン変性ポリエステル系樹脂の水酸基価は、1KOHmg/g以上、2KOHmg/g以上、又は3KOHmg/g以上であり、かつ20KOHmg/g以下、15KOHmg/g以下、10KOHmg/g以下、又は8KOHmg/g以下であってよい。ここで、「水酸基価」は、試料1g中の水酸基と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数を意味するものである。
【0039】
(ワックス)
ワックスとしては、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、及びキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、並びにこれらの誘導体を用いることができる。
【0040】
〈他の印刷層〉
他の印刷層は、例えば絵柄印刷層であってよい。
【0041】
〈磁気記録層〉
磁気記録層は、磁性体化合物を具備している層であれば特に限定されない。また、磁気記録層は、分散剤、帯電防止剤、ワックス類、カーボンブラック、添加剤等の他の成分を含有していてよい。
【0042】
磁性体化合物としては、例えばγ-フェライト、コバルト含有フェライト、バリウムフェライト、酸化クローム、ストロンチウムフェライト等が挙げられる。
【0043】
磁気記録層は、例えば上記の成分を公知の方法により塗工することにより得ることができる。
【実施例】
【0044】
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0045】
《印刷媒体の作製》
〈実施例1〉
バインダー樹脂としてのウレタン変性ポリエステル(バイロンUR-8200、東洋紡株式会社、固形分30質量%、水酸基価4~6KOHmg/g)66.7質量部、ワックスとしてのポリエチレンワックス(スリップエイドSL-551、Elementis Japan KK、固形分18.5質量%)2.2質量部、合成マイカ系パール顔料(TWINCLE PEARL YXB、日本光研工業株式会社、平均粒子径約13μm)22質量部、溶剤としてのメチルエチルケトン60質量部、及び溶剤としての酢酸エチル33.3質量部を混合させ、光輝性印刷層用組成物を作製した。
【0046】
この光輝性印刷層用組成物を、赤黒2色サーマル紙(王子エフテックス株式会社)上にバーコーターを用いて塗布し、そして70℃のオーブンで1分間乾燥して光輝性印刷層を形成し、実施例1の印刷媒体を作製した。
【0047】
〈実施例2及び3〉
合成マイカ系パール顔料の平均粒子径を、表1に示す平均粒子径の変更したことを除き、実施例1と同様にして、実施例2及び3の印刷媒体を作製した。
【0048】
なお、平均粒子径約21μmの合成マイカ系パール顔料としては、TWINCLE PEARL YXD(日本光研工業株式会社)を用いた。平均粒子径約37μmの合成マイカ系パール顔料としては、TWINCLE PEARL YXE(日本光研工業株式会社)を用いた。
【0049】
〈比較例〉
バインダー樹脂として、塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂(ソルバインM5、日信化学工業株式会社、固形分100質量%)20質量部を用い、メチルエチルケトン及び酢酸エチルの質量を、それぞれ80質量部及び60質量部に変更したことを除き、実施例と同様にして、比較例の印刷媒体を作製した。ワックスのバインダー樹脂の固形分に対する質量比は、いずれも0.02であった。
【0050】
〈参考例〉
合成マイカ系無着色パール顔料及び合成マイカ系着色パール顔料の代わりに、天然マイカ系パール顔料(MY-100RF、日本光研工業株式会社、平均粒子径13μm)22質量部を用いたことを除き、実施例1と同様にして、参考例の印刷媒体を作製した。ワックスのバインダー樹脂の固形分に対する質量比は、0.02であった。
【0051】
《評価》
作製した印刷媒体の光輝性印刷層にスタンプ(インキ:Y-72SG赤、シヤチハタ株式会社)で捺印した。10分後、イソプロピルアルコールを含ませた紙(キムワイプL-100、日本製紙クレシア株式会社)でこの印影を100往復擦り、印影の痕跡を目視で確認した。
〇:印影が光輝性印刷層上に残存している。
△:印影が光輝性印刷層上に薄く残存している。
×:印影が光輝性印刷層上に残存していない。
【0052】
実施例及び比較例の構成及び評価結果を表1に示す。
【0053】
【0054】
表1から、合成マイカ系パール顔料を用い、かつバインダー樹脂としてウレタン変性ポリエステルを用いた実施例の印刷媒体は、天然マイカ系パール顔料を用いた参考例の印刷媒体と同様に、良好なスタンプインキ残存性を有していることが理解できよう。これに対し、合成マイカ系パール顔料を用い、かつバインダー樹脂として塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂を用いた比較例の印刷媒体は、スタンプインキ残存性が良好ではなかったことが理解できよう。
【0055】
また、実施例の中でも、パール顔料の平均粒子径が10~30μmである実施例1及び2の印刷媒体のスタンプインキ残存性が特に良好であることが理解できよう。
【符号の説明】
【0056】
10 光輝性印刷層
20 感熱記録シート
22 保護層
24 感熱記録層
26 基材層
40 印影
100 印刷媒体