(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】屋根用端部材
(51)【国際特許分類】
E04D 13/158 20060101AFI20221206BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E04D13/158 501P
E04D13/158 501J
E04D13/158 501E
E04D13/158 501R
E04B1/94 F
(21)【出願番号】P 2018132391
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-06-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】寒川 貴博
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-082059(JP,A)
【文献】実開昭54-159820(JP,U)
【文献】特開平08-218579(JP,A)
【文献】実開平01-119720(JP,U)
【文献】実開昭58-138746(JP,U)
【文献】特開2013-032652(JP,A)
【文献】特開2015-187329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/158
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根の端部に配置する屋根用端部材であって、
鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う
金属製の平板を折り曲げ加工してなる被覆部と、前記被覆部と繋がって
一体とされ、前記被覆部の上側に配置される
金属製の平板を折り曲げ加工してなる屋根水切り部及び前記被覆部の下側に配置される
金属製の平板を折り曲げ加工してなる軒天カバーの少なくともいずれか一方とを備えており、
前記被覆部の裏側には、不燃ボードを収容保持可能な収容
凹部が設けられて
おり、
前記収容凹部は、裏側が開放されており、当該裏側から収容された前記不燃ボードを保持することを特徴とする屋根用端部材。
【請求項2】
金属製の平板を折り曲げ加工してなる、建物の屋根の端部に配置する屋根用端部材であって、
鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う被覆部と、前記被覆部と繋がって一体とされ、前記被覆部の上側に配置される屋根水切り部及び前記被覆部の下側に配置される軒天カバーのうちの少なくとも前記屋根水切り部とを備えており、
前記被覆部の裏側には、不燃ボードを収容保持可能な収容凹部が設けられており、
前記収容凹部は、裏側が開放されており、当該裏側から収容された前記不燃ボードを保持することを特徴とする屋根用端部材。
【請求項3】
前記被覆部には、
前記被覆部の前記収容
凹部を画定する左右の側壁部のうち、一方の前記側壁部の後方端部から左右方向の外側へ突出して形成された連結片と、
前記一方の側壁部と前記連結片との境界部分に形成されたスリット孔と、
他方の前記側壁部の後方端部から前記左右方向の外側に突出し、前記スリット孔に挿入可能なサイズに形成された差し込み片とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根用端部材。
【請求項4】
前記不燃ボード
は、前記収容
凹部
の底面である前記被覆部の裏面に貼着されて収容
保持されていることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項に記載の屋根用端部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先又はけらばなどの建物の屋根の端部に配置する屋根用端部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根の端部である軒先又はけらばには、軒先水切り又はけらば水切り、その下の鼻隠し又破風、その下に軒天換気材がそれぞれ個別に設置されている。これら部材の施工性を向上すべく、屋根の端部に配置される鼻隠と軒天井とが一体とされた鼻隠・軒天部材や、軒天井及び破風板が一体化したような部材が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3078702号公報
【文献】特許第5828150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、近年、建物の防火対応として、外壁材に窯業系材料からなる不燃ボードを介して施工することが行われ、鼻隠しなどにも、同様の不燃ボードが用いられることがある。例えば、上記特許文献1及び特許文献2に記載の一体とされた部材(鼻隠と軒天井とが一体とされた部材や、軒天井及び破風板が一体とされた部材)の材質を不燃ボードと同様な材質で構成し、防火対応とすることなどが考えられる。しかしながら、このような不燃ボードと同様な材質で構成された、上記一体とされた部材は、鼻隠し下地材や破風下地材などの木製の下地材にビスなどにより固定されて用いられる。このとき、木製の下地材の反りにより、一体とされた部材と下地材との間に大きなズレや隙間などが生じないように、一体とされた部材は、狭い間隔で多くのビスを用いて下地材に固定される。このため、一体とされた部材を下地材に固定する作業が非常に煩雑になるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、被覆部とともに屋根水切り部及び軒天カバーの少なくとも一方も一度に取り付けることが可能になるとともに、ビスなどを用いることなく不燃ボードを鼻隠し下地材又は破風下地材と被覆部との間に設けることが可能な屋根用端部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の屋根用端部材は、建物の屋根の端部に配置する屋根用端部材であって、鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う金属製の平板を折り曲げ加工してなる被覆部と、前記被覆部と繋がって一体とされ、前記被覆部の上側に配置される金属製の平板を折り曲げ加工してなる屋根水切り部及び前記被覆部の下側に配置される金属製の平板を折り曲げ加工してなる軒天カバーの少なくともいずれか一方とを備えている。そして、前記被覆部の裏側には、不燃ボードを収容保持可能な収容凹部が設けられており、前記収容凹部は、裏側が開放されており、当該裏側から収容された前記不燃ボードを保持する。
また、本発明の屋根用端部材は、別の観点では、金属製の平板を折り曲げ加工してなる、建物の屋根の端部に配置する屋根用端部材であって、鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う被覆部と、前記被覆部と繋がって一体とされ、前記被覆部の上側に配置される屋根水切り部及び前記被覆部の下側に配置される軒天カバーのうちの少なくとも前記屋根水切り部とを備えており、前記被覆部の裏側には、不燃ボードを収容保持可能な収容凹部が設けられており、前記収容凹部は、裏側が開放されて、当該裏側から前記不燃ボードを収容可能とされ、前記不燃ボードが前記収容凹部の底面である前記被覆部の裏面に貼着されて収容されている。
【0007】
これによると、屋根用端部材が、鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う被覆部と、これに繋がった屋根水切り部及び軒天カバーの少なくとも一方とを有している。このため、屋根の端部(すなわち、軒先やけらば)に屋根用端部材を取り付けた際に、被覆部とともに、屋根水切り部及び軒天カバーの少なくとも一方も一度に取り付けることが可能になる。また、被覆部の裏側に収容部が設けられているため、不燃ボードを釘やビスを用いることなく、鼻隠し下地材又は破風下地材と被覆部との間に設けることが可能となる。
なお、本発明における収容部としては、被覆部と鼻隠し下地材又は破風下地材との間に不燃ボードを収容できる空間があればよく、例えば、凹部のように周囲を壁で囲まれた収容空間(収容凹部)であってもよいし、周囲の一部が壁で囲まれた収容空間であってもよいし、周囲に壁がなくてもよい。
【0008】
本発明において、前記被覆部は、前記鼻隠し下地材を覆うものであり、前記軒天カバーが、前記被覆部と繋がって形成されており、前記軒天カバーには、通気穴が形成されていることが好ましい。これにより、建物の通気性が向上する。
【0009】
また、本発明において、前記被覆部には、前記被覆部の前記収容部を画定する左右の側壁部のうち、一方の前記側壁部の後方端部から左右方向の外側へ突出して形成された連結片と、前記一方の側壁部と前記連結片との境界部分に形成されたスリット孔と、他方の前記側壁部の後方端部から前記左右方向の外側に突出し、前記スリット孔に挿入可能なサイズに形成された差し込み片とを有していることが好ましい。これにより、左右方向において、屋根用端部材同士を連結することが可能になる。また、屋根用端部材同士を左右に連結したときに、一方の屋根用端部材(被覆部)の連結片を他方の屋根用端部材(被覆部)が覆うように配置される。このため、例えば、一方の屋根用端部材を鼻隠し下地材又は破風下地材に取り付ける際に、連結片をビスなどで鼻隠し下地材又は破風下地材に固定しても、他方の屋根用端部材によって連結片が覆われるため、これら連結片及びビスなどを隠すことができる。したがって、屋根用端部材同士の継ぎ目の外観を損ねることなく、容易に連結することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の屋根用端部材によると、屋根用端部材が、鼻隠し下地材又は破風下地材を覆う被覆部と、これに繋がった屋根水切り部及び軒天カバーの少なくとも一方とを有している。このため、屋根の端部(すなわち、軒先やけらば)に屋根用端部材を取り付けた際に、被覆部とともに、屋根水切り部及び軒天カバーの少なくとも一方も一度に取り付けることが可能になる。また、被覆部の裏側に収容部が設けられているため、不燃ボードを釘やビスを用いることなく、鼻隠し下地材又は破風下地材と被覆部との間に設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る屋根用端部材が採用された屋根構造を示す概略断面図である。
【
図5】
図1に示す屋根用端部材の屋根水切り部を構成する板金部材の側面図である。
【
図6】(a)は
図1に示す屋根用端部材の被覆部及び軒天カバーの一部を構成する板金部材の側面図であり、(b)は
図1に示す屋根用端部材の軒天カバーの他部を構成する板金部材の側面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る屋根用端部材が採用された屋根構造を示す概略断面図である。
【
図11】
図7に示す屋根用端部材の屋根水切り部を構成する板金部材の側面図である。
【
図12】
図7に示す屋根用端部材の被覆部及び軒天カバーを構成する板金部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る屋根用端部材1が採用された屋根構造100について、
図1を参照しつつ以下に説明する。本実施形態における屋根構造100は、
図1に示すように、切妻屋根の軒先近傍部分の構造であって、棟木、母屋(ともに不図示)及び軒桁101aを含む支持材101と、支持材101上に固定された垂木102と、垂木102上に固定された野地板103と、鼻隠し下地材104と、縦胴縁111に固定された際野縁105と、軒天板106と、屋根用端部材1とを有している。なお、
図1に示す一水平方向である前後方向A、前後方向Aと直交し前方(
図1中左方)から見たときの左右方向B、及び、前後方向A及び左右方向Bに直交する上下方向Cを基準として、以下に説明する。また、他の図面においても、説明の便宜上、
図1に示す方向を基準として示す。
【0013】
鼻隠し下地材104は、左右方向Bに長尺に延在し、
図1に示すように、上下方向Cに沿って立設された木製の平板から構成されている。また、鼻隠し下地材104は、垂木102の先端面(
図1中左端面:前後方向Aにおいて前端面)102aにビスなどで固定されている。軒天板106は、際野縁105の下面にビス107で固定されている。本実施形態の軒天板106においては、スラグ石膏板から構成されているが、不燃材料から構成されていればどのような材質から構成されていてもよい。
【0014】
続いて、屋根用端部材1について、
図2~
図6を参照しつつ以下に説明する。屋根用端部材1は、
図2~
図4に示すように、金属製の平板(例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標))が折り曲げられて形成された3つの板金部材2~4を有しており、左右方向Bに沿って長尺に形成されている。板金部材2は、他の板金部材3,4よりも上方に配置されている。板金部材2は、
図5に示すように、前方に向かって下方に傾斜する雨水案内板部2aと、雨水案内板部2aの前端から下方に延在する前垂れ板部2bと、前垂れ板部2bの下端から後方に延在する底板部2cとを有しており、屋根水切り部として構成されている。
【0015】
雨水案内板部2aは、
図1に示すように、野地板103の上面に沿って傾斜しており、複数のビス108によって野地板103に固定される。雨水案内板部2aの右端部と前垂れ板部2bの右端部には、
図4に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片2a1,2b1が形成されている。これら連結片2a1,2b1は、一方の屋根用端部材1と同様な他の屋根用端部材1を左右方向Bに隣接して両端部材1を連結したときに、他の屋根用端部材1の雨水案内板部2aの左端部及び前垂れ板部2bの左端部と重なって配置される。このとき、連結片2a1,2b1を他の屋根用端部材1の裏面側(後方側)に配置することで、連結片2a1,2b1が他の屋根用端部材1に隠れる。このため、外観を損ねない。
【0016】
底板部2cは、
図5に示すように、傾斜部2c1と、水平部2c2と、垂直部2c3とを有している。傾斜部2c1は、前垂れ板部2bの下端から後方に向かって上方に傾斜している。水平部2c2は、傾斜部2c1の後端から後方に水平に延在している。垂直部2c3は、水平部2c2の後端から垂直に延在している。この垂直部2c3は、左右方向Bに沿って互いに離隔して設けられた複数のリベット2dにより、板金部材3と一体的にリベット接合されている。つまり、板金部材2と板金部材3とが一体的に接続されて構成されている。なお、これら板金部材2,3は、リベット接合以外の接合方法により接合されていてもよい。
【0017】
板金部材3は、
図1に示すように、鼻隠し下地材104を覆うことが可能な被覆部3aと、垂直板部3bと、底板部3cとを有している。被覆部3aは、
図4及び
図6(a)に示すように、鼻隠し下地材104の前面104aと前後方向Aに対向可能な矩形平板形状の前板部3a1と、前板部3a1の上端から後方に突出して形成された上壁部3a2と、前板部3a1の下端から後方に突出して形成された下壁部3a3と、前板部3a1の右端から後方に突出して形成された右壁部(側壁部)3a4と、前板部3a1の左端から後方に突出して形成された左壁部(側壁部)3a5とを有している。
【0018】
上壁部3a2は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、前板部3a1の上端全体に亘って形成されている。下壁部3a3は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、前板部3a1の下端全体に亘って形成されている。右壁部3a4は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、前板部3a1の右端全体に亘って形成されている。左壁部3a5は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、前板部3a1の左端全体に亘って形成されている。上壁部3a2、下壁部3a3、右壁部3a4及び左壁部3a5の前後方向Aの長さは、いずれも同じ長さである。
【0019】
また、被覆部3aには、前板部3a1の後面(鼻隠し下地材104と対向可能な面)側に前板部3a1、上壁部3a2、下壁部3a3、右壁部3a4及び左壁部3a5により画定されてなる、後方に向かって開口した収容凹部3a6が設けられている。この収容凹部3a6内には、
図1に示すように、石膏ボード(不燃ボード)110が収容されている。石膏ボード110は、その平面サイズが前板部3a1よりも一回り小さく、その厚み(前後方向Aの厚み)が上壁部3a2、下壁部3a3、右壁部3a4及び左壁部3a5の前後方向の長さとほぼ同じ又は若干小さくなっており、収容凹部3a6内に収容可能に構成されている。本実施形態においては、収容凹部3a6に石膏ボード110が収容されているが、不燃材料から構成された不燃ボードであれば、どのようなものであってもよい。なお、石膏ボード110は、収容凹部3a6内に収容された状態で、被覆部3aが鼻隠し下地材104に固定されることで、保持される。このため、石膏ボード110を多数のビスで鼻隠し下地材104に固定する必要がなくなり、石膏ボード110自体の取り付けが簡単なものとなる。
【0020】
本実施形態における収容凹部3a6は、周囲が上壁部3a2、下壁部3a3、右壁部3a4及び左壁部3a5で囲まれて構成されているが、これら壁部3a2,3a3,3a4,3a5の少なくともいずれかが設けられていない状態で収容部が構成されていてもよい。なお、これら壁部3a2,3a3,3a4,3a5のすべてが設けられていない場合は、屋根用端部材を軒先に取り付けたときに、前板部3a1と鼻隠し下地材104との間に収容部としての収容空間が構成されておればよい。また、当該収容空間を構成するために、前板部3a1の周囲に取付片(不図示)を設けていてもよい。
【0021】
右壁部3a4の後方端部には、
図2及び
図4に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片3a7が形成されている。連結片3a7は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、右壁部3a4の後方端部全体に亘って形成されている。また、右壁部3a4と連結片3a7との境界部分には、貫通するスリット孔3a8が形成されている。スリット孔3a8は、
図4及び
図6(a)に示すように、上下方向Cに沿って長尺に形成され、且つ右壁部3a4と連結片3a7とに亘って形成されている。また、スリット孔3a8は、右壁部3a4及び連結片3a7の上下方向Cの中央よりもやや下方位置に配置されている。
【0022】
また、左壁部3a5の後方端部には、
図4に示すように、左方(左右方向Bの外側)に突出した差し込み片3a9が形成されている。差し込み片3a9は、上下方向Cの幅がスリット孔3a8の上下方向Cの長さよりも若干小さくなっている。また、差し込み片3a9の前後方向Aの厚みは、スリット孔3a8の前後方向Aの幅よりも若干小さくなっている。また、差し込み片3a9は、
図4に示すように、上下方向Cにおいて、スリット孔3a8と同じ位置関係に配置されている。このため、一方の屋根用端部材1と同様な他の屋根用端部材1を左右方向Bに隣接して両端部材1を配置したときに、一方の屋根用端部材1の差し込み片3a9を他方の屋根用端部材1のスリット孔3a8に挿入することで、両端部材1を連結することが可能となる。このように両端部材1を連結した場合、他方の連結片3a7は一方の屋根用端部材1の被覆部3aの右端部と重なる。このため、屋根用端部材1を連結片3a7にビスを用いて鼻隠し下地材104の前面104aに取り付けたときでも、その取り付け用ビスを含む連結片3a7自体を隠すことが可能となり、屋根用端部材1同士のつなぎ目部分が目立ちにくくなって外観を損ねない。
【0023】
垂直板部3bは、
図6(a)に示すように、被覆部3aの下壁部3a3の後方端部から下方に延在している。また、底板部3cは、垂直板部3bの下部から後方に延在している。これら垂直板部3b、底板部3c、及び、板金部材4によって、
図1に示すように、軒天板(軒天井)106を前方から覆う軒天カバーとして構成されている。
【0024】
垂直板部3bは、
図2及び
図4に示すように、左右方向Bに長尺に形成され、下壁部3a3全体に亘って形成されている。また、垂直板部3bの右端部には、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片3b1が形成されている。この連結片3b1も、一方の屋根用端部材1と同様な他の屋根用端部材1を左右方向Bに隣接して両端部材1を連結したときに、他の屋根用端部材1の垂直板部3bの左端部と重なって配置される。このとき、連結片3b1を他の屋根用端部材1の裏面側(後方側)に配置することで、連結片3b1が他の屋根用端部材1に隠れる。このため、外観を損ねない。
【0025】
底板部3cは、
図6(a)に示すように、第1水平部3c1と、第1垂直部3c2と、第2水平部3c3と、第2垂直部3c4と、第3水平部3c5とを有している。第1水平部3c1は、垂直板部3bの下端から後方に向かって水平に延在している。第1水平部3c1は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、垂直板部3bの下端全体に亘って形成されている。第1水平部3c1の右端部には、
図2に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片3c6が形成されている。この連結片3c6は、その前端が連結片3b1の下端全体と繋がっている。この連結片3c6も、一方の屋根用端部材1と同様な他の屋根用端部材1を左右方向Bに隣接して両端部材1を連結したときに、他の屋根用端部材1の第1水平部3c1の左端部と重なって配置される。このとき、連結片3c6を他の屋根用端部材1の裏面側(上方側)に配置することで、連結片3c6が他の屋根用端部材1に隠れる。このため、外観を損ねない。
【0026】
第1垂直部3c2は、
図6(a)に示すように、第1水平部3c1の後端から上方に向かって垂直に延在している。第1垂直部3c2は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、第1水平部3c1の後端全体に亘って形成されている。第1垂直部3c2には、
図4に示すように、厚み方向(前後方向A)に貫通する複数の通気穴3c7が形成されている。複数の通気穴3c7は、左右方向Bに沿って配列されている。このように複数の通気穴3c7が形成されていることで、
図1に示すように、軒天板106の上方空間と外部空間とが連通する。このため、上方空間と繋がった小屋裏(不図示)も外部空間と連通し、建物の通気性が向上する。
【0027】
第2水平部3c3は、
図6(a)に示すように、第1垂直部3c2の上端から後方に向かって水平に延在している。第2水平部3c3は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、第1垂直部3c2の上端全体に亘って形成されている。第2水平部3c3は、
図3に示すように、左右方向Bに沿って互いに離隔して設けられた複数のリベット3dにより、板金部材4と一体的にリベット接合されている。つまり、板金部材3と板金部材4とが一体的に接続されて構成されている。なお、これら板金部材3,4は、リベット接合以外の接合方法により接合されていてもよい。
【0028】
第2垂直部3c4は、第2水平部3c3の後端から下方に向かって垂直に延在している。第2垂直部3c4は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、第2水平部3c3の後端全体に亘って形成されている。第3水平部3c5は、第2垂直部3c4の下端から後方に向かって水平に延在している。第3水平部3c5は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、第2垂直部3c4の下端全体に亘って形成されている。また、第3水平部3c5の後端部は、前方に折り返されて形成されている。第3水平部3c5は、
図1に示すように、軒天板106の前端部を下方から支持する部分であり、板金部材4との間において軒天板106の前端部を挟持可能に構成されている。
【0029】
板金部材4は、
図6(b)に示すように、板金部材3に取り付けるための取付水平部4aと、傾斜部4bと、垂直部4cと、水平部4dとを有している。取付水平部4aは、左右方向Bに沿って長尺に形成され、且つ前後方向Aに沿って水平に延在している。傾斜部4bは、取付水平部4aの後端から後方に向かって上方に傾斜している。また、傾斜部4bは、左右方向Bに沿って長尺に形成され、取付水平部4aの後端全体に亘って形成されている。なお、傾斜部4bは、金属平板を折り返した部分を重ね合わせて構成されている。
【0030】
垂直部4cは、
図6(b)に示すように、水平部4aの後端から下方に向かって垂直に延在している。垂直部4cは、左右方向Bに沿って長尺に形成され、水平部4aの後端全体に亘って形成されている。水平部4dは、垂直部4cの下端から後方に向かって水平に延在している。水平部4dは、左右方向Bに沿って長尺に形成され、垂直部4cの下端全体に亘って形成されている。また、水平部4dの後端部は、前方に折り返されて形成されている。
図1に示すように、この水平部4dと、第2垂直部3c4と、第3水平部3c5とでなす凹部5に軒天板106の前端部が嵌め込まれる。
【0031】
続いて、
図2に示す屋根用端部材1を、屋根の軒先部分に設置する方法について以下に説明する。屋根用端部材1は、凹部5に軒天板106の前端部を嵌め込んだ状態で板金部材2の雨水案内板部2aを野地板103上に配置する。そして、複数のビス108により、雨水案内板部2aを野地板103上に固定する。このとき、被覆部3aの収容凹部3a6内に石膏ボード110を予め収容しておく。そして、複数のビスにより被覆部3aの連結片3a7を鼻隠し下地材104に固定する。こうして、屋根用端部材1が軒先部分に設置されるとともに、石膏ボード110が鼻隠し下地材104の前面104a側に保持された状態となる。
【0032】
また、複数の屋根用端部材1を左右方向Bに隣接して設置する場合は、一方の屋根用端部材1を上述と同様にして、固定する。この後、他方の屋根用端部材1の凹部5に軒天板106の前端部を嵌め込んだ状態で、他方の屋根用端部材1の差し込み片3a9を一方の屋根用端部材1のスリット孔3a8に挿入して両端部材1を左右方向Bに沿って連結する。このとき、一方の屋根用端部材1の連結片2a1,2b1,3b1,3c6を他方の屋根用端部材1の左端部の裏面側に重ねて配置する。こうして、複数の屋根用端部材1を左右方向Bに沿って並べて設置することが可能となる。
【0033】
以上に述べたように、本実施形態の屋根用端部材1によると、屋根用端部材1が、鼻隠し下地材104を覆う被覆部3aと、これに繋がった屋根水切り部としての板金部材2、及び、軒天カバーとしての垂直板部3b、底板部3c、及び、板金部材4を有している。このため、屋根の端部(すなわち、軒先)に屋根用端部材1を取り付けた際に、被覆部3aとともに、上述の屋根水切り部及び軒天カバーも一度に取り付けることが可能になる。また、被覆部3aの裏側に収容凹部3a6が設けられているため、石膏ボード110を釘やビスを用いることなく、鼻隠し下地材104と被覆部3aとの間に容易に設けることが可能となる。
【0034】
また、屋根用端部材1の被覆部3aには、右壁部3a4と連結片3a7との境界部分に形成されたスリット孔3a8と、左壁部3a5に形成された差し込み片3a9とが形成されている。これにより、左右方向Bにおいて、屋根用端部材1同士を連結することが可能になる。また、屋根用端部材1同士を左右に連結したときに、一方の屋根用端部材1(被覆部3a)の連結片3a7を他方の屋根用端部材1(被覆部3a)が覆うように配置される。このため、例えば、一方の屋根用端部材1を鼻隠し下地材104に取り付ける際に、連結片3a7をビスなどで鼻隠し下地材104に固定しても、他方の屋根用端部材1によって連結片3a7が覆われるため、これら連結片3a7及びビスなどを隠すことができる。したがって、屋根用端部材1同士の継ぎ目の外観を損ねることなく、容易に連結することができる。
【0035】
上述の実施形態においては、切妻屋根の軒先に設けられる屋根用端部材1について説明したが、
図7に示すように、けらばに屋根用端部材201を設けてもよい。この他の実施形態に係る屋根用端部材201が採用された屋根構造200は、
図7に示すように、けらば近傍部分の構造であって、垂木251と、垂木251上に固定された野地板252と、野縁253と、軒天板254と、破風下地材255と、屋根用端部材201とを有している。軒天板254も、上述の軒天板106と同様な材料から構成されており、野縁253にビスなどで固定されている。なお、
図7に示す一水平方向である前後方向A、前後方向Aと直交し前方から見たときの左右方向B、及び、前後方向A及び左右方向Bに直交する上下方向Cを基準として、以下に説明する。また、
図8~
図12においても、説明の便宜上、
図7に示す方向を基準として示す。
【0036】
破風下地材255は、左右方向Bに長尺に延在し、
図7に示すように、上下方向Cに沿って立設された木製の平板から構成されている。また、破風下地材255は、垂木251の前面251a及び野縁253の前面253aにビスなどで固定されている。
【0037】
続いて、屋根用端部材201について、
図7~
図12を参照しつつ以下に説明する。屋根用端部材201は、
図7~
図12に示すように、金属製の平板(例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標))が折り曲げられて形成された2つの板金部材202,203を有しており、左右方向Bに沿って長尺に形成されている。板金部材202は、
図11に示すように、取付部202aと、水平部202bと、垂直部202cと、底板部202dとを有しており、屋根水切り部として構成されている。
【0038】
取付部202aは、
図7及び
図11に示すように、略L字断面形状を有している。取付部202aは、野地板252上に配置され、複数のビスによって野地板252に固定される。また、取付部202aの水平部分の右端部には、
図8に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片202a1が形成されている。連結片202a1は、一方の屋根用端部材201と同様な他の屋根用端部材201を左右方向Bに隣接して両端部材201を連結したときに、他の屋根用端部材201の取付部202aの左端部と重なって配置される。
【0039】
水平部202bは、取付部202aの前方部分の上端から前方に水平に延在して形成されている。水平部202bは、
図7に示すように、野地板252の先端部に配置された受け桟252a上に配置される。垂直部202cは、水平部202bの前端から下方に垂直に延在して形成されている。水平部202bの右端部と垂直部202cの右端部には、
図8に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片202b1,202c1が形成されている。これら連結片202b1,202c1は、一方の屋根用端部材201と同様な他の屋根用端部材201を左右方向Bに隣接して両端部材201を連結したときに、他の屋根用端部材201の水平部202bの左端部及び垂直部202cの左端部と重なって配置される。このとき、連結片202b1,202c1を他の屋根用端部材201の裏面側に配置することで、連結片202b1,202c1が他の屋根用端部材201に隠れる。このため、外観を損ねない。
【0040】
底板部202dは、傾斜部202d1と、水平部202d2と、垂直部202d3とを有している。傾斜部202d1は、垂直部202cの下端から後方に向かってやや上方に傾斜している。水平部202d2は、傾斜部202d1の後端から後方に向かって水平に延在している。垂直部202d3は、水平部202d2の後端から垂直に延在している。この垂直部202d3は、
図7及び
図9に示すように、左右方向Bに沿って互いに離隔して設けられた複数のリベット202eにより、板金部材203と一体的にリベット接合されている。つまり、板金部材202と板金部材203とが一体的に接続されて構成されている。なお、これら板金部材202,203は、リベット接合以外の接合方法により接合されていてもよい。
【0041】
板金部材203は、
図7に示すように、破風下地材255を覆うことが可能な被覆部203aと、垂直板部203bと、底板部203cとを有している。被覆部203aは、
図10及び
図12に示すように、破風下地材255の前面255aと前後方向Aに対向可能な矩形平板形状の前板部203a1と、前板部203a1の上端から後方に突出して形成された上壁部203a2と、前板部203a1の下端から後方に突出して形成された下壁部203a3と、前板部203a1の右端から後方に突出して形成された右壁部(側壁部)203a4と、前板部203a1の左端から後方に突出して形成された左壁部(側壁部)203a5とを有している。
【0042】
上壁部203a2は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、前板部203a1の上端全体に亘って形成されている。下壁部203a3は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、前板部203a1の下端全体に亘って形成されている。右壁部203a4は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、前板部203a1の右端全体に亘って形成されている。左壁部203a5は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、前板部203a1の左端全体に亘って形成されている。上壁部203a2、下壁部203a3、右壁部203a4及び左壁部203a5の前後方向Aの長さは、いずれも同じ長さである。
【0043】
また、被覆部203aには、前板部203a1の後面(破風下地材255と対向可能な面)側に前板部203a1、上壁部203a2、下壁部203a3、右壁部203a4及び左壁部203a5により画定されてなる、後方に向かって開口した収容凹部203a6が設けられている。この収容凹部203a6内には、
図7に示すように、上述と同様な石膏ボード(不燃ボード)210が収容されている。石膏ボード210も、その平面サイズが前板部203a1よりも一回り小さく、その厚み(前後方向Aの厚み)が上壁部203a2、下壁部203a3、右壁部203a4及び左壁部203a5の前後方向Aの長さとほぼ同じ又は若干小さくなっており、収容凹部203a6内に収容可能に構成されている。本実施形態においても、石膏ボード210は不燃材料から構成された不燃ボードであれば、どのようなものであってもよい。なお、石膏ボード210は、収容凹部203a6内に収容された状態で、被覆部203aが破風下地材255に固定されることで、保持される。このため、石膏ボード210を多数のビスで破風下地材255に固定する必要がなくなり、石膏ボード210自体の取り付けが簡単なものとなる。
【0044】
本実施形態における収容凹部203a6も、上述の実施形態と同様に、これら壁部203a2,203a3,203a4,203a5の少なくともいずれかが設けられていない状態で収容部が構成されていてもよい。
【0045】
右壁部203a4の後方端部には、
図8及び
図10に示すように、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片203a7が形成されている。連結片203a7は、上下方向Cに沿って長尺に形成され、右壁部203a4の後方端部全体に亘って形成されている。また、右壁部203a4と連結片203a7との境界部分には、貫通するスリット孔203a8が形成されている。スリット孔203a8は、
図10及び
図12に示すように、上下方向Cに沿って長尺に形成され、且つ右壁部203a4と連結片3a7とに亘って形成されている。また、スリット孔203a8は、右壁部203a4及び連結片203a7の上下方向Cの中央よりもやや下方位置に配置されている。
【0046】
また、左壁部203a5の後方端部には、
図10に示すように、左方(左右方向Bの外側)に突出した差し込み片203a9が形成されている。差し込み片203a9は、上下方向Cの幅がスリット孔203a8の上下方向Cの長さよりも若干小さくなっている。また、差し込み片203a9の前後方向Aの厚みは、スリット孔203a8の前後方向Aの幅よりも若干小さくなっている。また、差し込み片203a9は、
図10に示すように、上下方向Cにおいて、スリット孔203a8と同じ位置関係に配置されている。このため、一方の屋根用端部材201と同様な他の屋根用端部材201を左右方向Bに隣接して両端部材201を配置したときに、一方の屋根用端部材201の差し込み片203a9を他方の屋根用端部材201のスリット孔203a8に挿入することで、両端部材201を連結することが可能となる。このように両端部材201を連結した場合、他方の連結片203a7は一方の屋根用端部材201の被覆部203aの右端部と重なる。このため、屋根用端部材201を連結片203a7にビスを用いて破風下地材255の前面255aに取り付けたときでも、その取り付け用ビスを含む連結片203a7自体を隠すことが可能となり、屋根用端部材201同士のつなぎ目部分が目立ちにくくなって外観を損ねない。
【0047】
垂直板部203bは、
図12に示すように、被覆部203aの下壁部203a3の後方端部から下方に延在している。また、底板部203cは、垂直板部203bの下部から後方に延在している。これら垂直板部203b及び底板部203cによって、
図7に示すように、軒天板(軒天井)254を前方から覆う軒天カバーとして構成されている。
【0048】
垂直板部203bは、
図8及び
図10に示すように、左右方向Bに長尺に形成され、下壁部203a3全体に亘って形成されている。また、垂直板部203bの右端部には、右方(左右方向Bの外側)に突出した連結片203b1が形成されている。これら連結片203a7,203b1も、一方の屋根用端部材201と同様な他の屋根用端部材201を左右方向Bに隣接して両端部材201を連結したときに、他の屋根用端部材201の被覆部203aの左端部及び垂直部203bの左端部と重なって配置される。このとき、連結片203a7,203b1を他の屋根用端部材201の裏面側に配置することで、連結片203a7,203b1が他の屋根用端部材201に隠れる。このため、外観を損ねない。
【0049】
底板部203cは、
図12に示すように、傾斜部203c1と、水平部203c2とを有している。傾斜部203c1は、垂直板部203bの下端から後方に向かって上方に傾斜している。傾斜部203c1は、左右方向Bに沿って長尺に形成され、垂直板部203bの下端全体に亘って形成されている。水平部203c2は、傾斜部203c1の後端から後方に向かって水平に延在している。水平部203c2も、左右方向Bに沿って長尺に形成され、傾斜部203c1の後端全体に亘って形成されている。また、水平部203c2の後端部は、前方に折り返されて形成されている。水平部203c2は、
図7に示すように、軒天板254の下面に当接した状態で、軒天板254に複数のビスで固定されている。
【0050】
続いて、
図8に示す屋根用端部材201を、屋根のけらば部分に設置する方法について以下に説明する。屋根用端部材201は、板金部材202の水平部202bが受け桟252a上に配置されつつ取付部202aの水平部分が野地板252上に配置されるように、けらば部分に設置する。そして、複数のビスにより、取付部202aを野地板252上に固定する。このとき、被覆部203aの収容凹部203a6内に石膏ボード210を予め収容しておく。そして、複数のビスにより被覆部203aの連結片203a7を破風下地材255に固定する。また、このとき、複数のビスにより、板金部材203の水平部203c2を軒天板254に固定する。こうして、屋根用端部材201がけらば部分に設置されるとともに、石膏ボード210が破風下地材255の前面255a側に保持された状態となる。
【0051】
また、複数の屋根用端部材201を左右方向Bに隣接して設置する場合は、一方の屋根用端部材201を上述と同様にして、固定する。この後、他方の屋根用端部材201において、板金部材202の水平部202bを受け桟252a上に配置しつつ取付部202aの水平部分を野地板252上に配置した状態で、他方の屋根用端部材201の差し込み片203a9を一方の屋根用端部材201のスリット孔203a8に挿入して両端部材201を左右方向Bに沿って連結する。このとき、一方の屋根用端部材201の連結片202a1,202b1,202c1,203a7,203b1を他方の屋根用端部材201の左端部の裏面側に重ねて配置する。この後、複数のビスにより、他方の屋根用端部材201の取付部202aを野地板252に、連結片203a7を破風下地材255に、水平部203c2を軒天板254に固定する。こうして、複数の屋根用端部材201を左右方向Bに沿って並べて設置することが可能となる。
【0052】
以上に述べたように、本実施形態の屋根用端部材201によると、屋根用端部材201が、破風下地材255を覆う被覆部203aと、これに繋がった屋根水切り部としての板金部材202、及び、軒天カバーとしての垂直板部203b及び底板部203cを有している。このため、屋根の端部(すなわち、けらば)に屋根用端部材201を取り付けた際に、被覆部203aとともに、上述の屋根水切り部及び軒天カバーも一度に取り付けることが可能になる。また、被覆部203aの裏側に収容凹部203a6が設けられているため、石膏ボード210を釘やビスを用いることなく、破風下地材255と被覆部203aとの間に容易に設けることが可能となる。また、屋根用端部材201は、上述の屋根用端部材1と同様な構成部分においては、同じ効果を得ることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の各実施形態における屋根用端部材1,201は、被覆部3a,203aに加えて、屋根水切り部及び軒天カバーとなる部分を両方有しているが、屋根水切り部及び軒天カバーのいずれか一方となる部分だけを有していてもよい。こうすれば、被覆部3a,203aを取り付ける際に、屋根水切り部及び軒天カバーのいずれか一方となる部分も取り付けることが可能となる。なお、屋根用端部材1,201の被覆部3a,203aの裏側には、不燃ボードを収容可能な収容部としての上述の収容凹部3a6,203a6が設けられておればよく、石膏ボード110,210などの不燃ボードが収容されていなくてもよい。
【0054】
また、屋根用端部材1,201の被覆部3a,203aの前板部3a1,203a1の裏面側(下地材側)に不燃ボードが接着剤や両面テープなどで貼着されていてもよい。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、軒先に設置される屋根用端部材1には、通気穴3c7が形成されていなくてもよい。また、被覆部3a,203aに連結片3a7,203a7、スリット孔3a8,203a8及び差し込み片3a9,203a9が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,201 屋根用端部材
2,202 板金部材(屋根用水切り部)
3a,203a 被覆部
3a6,203a6 収容凹部(収容部)
3a7,203a7 連結片
3a8,203a8 スリット孔
3a9,203a9 差し込み片
3b,203b 垂直板部(軒天カバーの一部)
3c,203c 底板部(軒天カバーの一部)
3c7 通気穴
4 板金部材(軒天カバーの一部)
104 鼻隠し下地材
110,210 石膏ボード(不燃ボード)
255 破風下地材