(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ターボ機械を修理するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
F01D 11/14 20060101AFI20221206BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20221206BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20221206BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F01D11/14
F01D25/00 X
F02C7/00 D
F02C7/28 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018138090
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-07-14
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マリウシュ・パクシェフスキ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・アロイス・スミエスコル
(72)【発明者】
【氏名】マレク・ヴォイチェホフスキ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-089287(JP,A)
【文献】特開2002-256812(JP,A)
【文献】特開2004-308009(JP,A)
【文献】特表平09-511302(JP,A)
【文献】特開2004-176716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/14
F01D 25/00
F02C 7/00
F02C 7/28
F01D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械を修理するための方法であって、
前記ターボ機械の列内のブレード(10)
及びシュラウド(12)を1つのグループに割り当てる
ステップ(102
)と、
前記グループの各ブレードについて、前記ブレードの先端表面と、前記先端表面に対向する前記シュラウドの表面
との間のクリアランス(28)を測定
するステップ(104
)と、
前記ブレード
及び/
又はシュラウドを前記列から取り外す
ステップと、
関連する各ブレード
のクリアランスと設計クリアランスとの間の差を算出
するステップ(106
)と、
各ブレードについて、前記シュラウド
の表面に材料を追加することによって前記差
を最小化
できるか否かを決定
するステップ(114
)と、
前記シュラウド
の表面に材料を追加
するステップ(116
)であって、前記対向する表面への材料
の追加が、前記シュラウ
ドの元の設計寸法を超える少なくとも1つの寸法を有する前記シュラウドをもたらす、材料を追加
するステップ(116
)と、
前記グループ
のブレード
及び/
又は前記追加材料付き前記シュラウドをターボ機械の列に設置
するステップ(122
)であって、少なくとも1つ
のブレードが、前記ブレードのための元の設計仕様に適合しない少なくとも1つの寸法を有する、設置
するステップ(122
)と
を含む方法。
【請求項2】
前記設置
するステップ(122)
において、前記グループのブレード
及び/
又はシュラウドを、前記ブレード
及び/
又はシュラウドが取り外された前記ターボ機械
の列に設置する、請求項1
に記載の方法。
【請求項3】
前記グループ
のブレード
の先端表面に
材料が追加されない、請求項1
又は請求項2
に記載の方法。
【請求項4】
前記列の各ブレードについて、前記シュラウドに対する前記ブレード
の先端表面の位置に関連する前記ブレードの寸法を測定する
ステップ(104)と、
前記ブレード
の寸法を前記ブレードの元の設計寸法と比較する
ステップ(106)と、
前記ブレード
の寸法が前記元の設計寸法に適合しない場合に、前記シュラウド
の表面へ
の追加材料
の追加
によって、前記ブレード用
のクリアランス
が前記設計クリアランスに適合
するようになるか否かを決定する
ステップ(114)と、
前記決定
するステップにおいて、前記ブレード用
のクリアランスが前記設計クリアランスに適合しない
と決定される場合に、前記ブレード
の先端に材料を追加する
ステップ(118)
と
をさらに含む、請求項1
又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記シュラウド
の表面
に材料を追加
するステップ(116)
が、材料の層を追加すること、材料を
スパッタリングすること
及び材料をスプレーするこ
とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至
請求項4のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターボ機械
が、ガスタービンであり、前記ブレード
が、前記ガスタービンのタービンの回転部分のためのバケットの列に配置され、前記シュラウド
が、前記バケットの列を囲むシュラウドセグメントのアレイである、請求項1乃至
請求項5のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項7】
ターボ機械を修理するための方法であって、
前記ターボ機械の列内のブレード(10)
及びシュラウド(12)を共に1つのグループにグループ化する
ステップ(30
)と、
各ブレードを測
定して、前記ブレードが元の設計寸法の範囲内にあるか
否かを決定する
ステップ(104)と、
前記ブレードが前記元の設計寸法の範囲内にない場合に、前記シュラウドの表面に材料を追加する
ことによって、前記ブレードと前記シュラウドの間のクリアランス
が設計クリアランスに適合
するようになるか否かを決定
するステップ(114
)と、
前記決定
するステップにおいて、材料を追加すること
によって前記クリアランス
が前記設計クリアランスに適合
するようになると決定される場合に、前記シュラウド
の表面に材料を追加
するステップ(116
)であって、前記表面へ
の材料
の追加が、前記シュラウドの元の設計寸法を超える少なくとも1つの寸法を有する前記シュラウドをもたらす、材料を追加
するステップ(116
)と、
前記グループ
のブレード
及び前記追加材料付き前記シュラウドを前記ターボ機械の列に設置する
ステップ(122)
と
を含む方法。
【請求項8】
前記ブレード(10)の少なくとも1つ
が、前記ブレード用の元の設計仕様に適合しない少なくとも1つの寸法を有する、請求項7
に記載の方法。
【請求項9】
前記設置
するステップ(122)
が、前記グループ(30)のブレード
及びシュラウドを、前記ブレード
及びシュラウドが取り外された前記ターボ機械
の列に設置する、請求項7
又は請求項8
に記載の方法。
【請求項10】
前記グループ
のブレードの先端に
材料が追加されない、請求項7乃至
請求項9のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項11】
前記決定
するステップ(114)
において、前記ブレード用
のクリアランスが前記設計クリアランスに適合しない
と決定される場合に、前記ブレードの先端に材料を追加する
ステップ(118)をさらに含む、請求項7乃至
請求項9のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項12】
前記シュラウ
ドの表面
に材料
を追加
するステップ(116)
が、材料の層を追加すること、材料を
スパッタリングすること
及び材料をスプレーするこ
とのうちの少なくとも1つを含む、請求項7乃至
請求項11のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ターボ機械
が、ガスタービンであり、前記ブレード
が、前記ターボ機械のタービンの回転部分のためのバケットの列に配置され、前記シュラウド
が、前記バケットの列を囲むシュラウドセグメントのアレイである、請求項7乃至
請求項12のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項14】
タービンであって、
当該タービンが、
タービンブレード(10)の環状列と、
前記タービンブレード
の環状列と整列して、
当該タービン内で前記タービンブレード
の環状列を
囲む環状シュラウド(12)と、
前記タービンブレード
の環状列と前記
環状シュラウドの間のクリアランス(28)であって、前記クリアランスのための設計仕様の範囲内にある、クリアランス(28)
と
を含
んでおり、前記タービンブレードの少なくとも1つ
が、前記
タービンブレードの先端に
おける高さであって、前記
タービンブレード
の先端
の元の設計寸法よりも短
い高さを有しており、
かつ
前記
環状シュラウド
が、前記ブレードに対向する表面領域の
厚さであって、前記表面
領域の元の設計寸法よりも
大きな厚さを有する、タービン。
【請求項15】
前記タービンブレード(10)
及び前記
環状シュラウ
ド(12)
が、1つのグループとしてガスタービンの列から既に取り外されていたものである、請求項14
に記載のタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械の修理に関し、特に、ガスタービンや蒸気タービンなどのタービンのブレードおよびシュラウドの修理に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレードおよびシュラウドを修理することについての従来のアプローチは、材料をブレードの先端とシュラウドの表面に追加すること、そして、その材料をブレードとシュラウドがその元の寸法に戻るまで機械加工することである。このアプローチは、ブレードおよびシュラウドの双方に対して材料を追加し機械加工することを必要とする。このアプローチは、修理したブレードおよびシュラウドが新たなブレードおよびシュラウドとして元の寸法に戻されるという利点を有する。それらが元の寸法に戻されるという理由で、ブレードおよびシュラウドは、ブレードおよびシュラウドが取り外されたものと同じモデルの他のタービンにおいて交換のブレードおよびシュラウドとして使用されることがある。このアプローチの不利なことは、ブレードおよびシュラウドの再生が高価であり、時間が掛かることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
方法は、ターボ機械を修理するために開示されており、ターボ機械の列内のブレードおよびシュラウドを1つのグループに割り当てることと、グループの各ブレードについて、ブレードの先端表面と、先端表面に対向するシュラウドの表面と、の間のクリアランスを測定することと、ブレードおよびシュラウドを列から取り外すことと、関連する各ブレードのクリアランスと設計クリアランスとの間の差を算出することと、各ブレードについて、シュラウドの表面に材料を追加することによって差が最小化され得るのかどうかを決定することと、シュラウドの表面に材料を追加することであって、対向する表面への材料の追加が、シュラウドセクションの設計寸法を超える少なくとも1つの寸法を有するシュラウドをもたらす、材料を追加することと、グループのブレードおよび追加材料付きシュラウドをタービンの列に設置することであって、少なくとも1つのブレードが、ブレードのための設計仕様に適合しない少なくとも1つの寸法を有する、設置することと、を含む。
【0004】
方法は、タービンを修理するために本明細書に開示されており、タービンの列内のタービンブレードおよびシュラウドセグメントを1つのグループに割り当てることと、グループの各ブレードについて、グループのブレードの径方向外側表面とシュラウドセグメントの間のクリアランスを測定することと、ブレードおよびシュラウドセグメントを列から取り外すことと、関連する各ブレードのクリアランスと設計クリアランスとの間の差を算出することと、各ブレードについて、シュラウドセグメントの径方向内側表面に材料を追加することによって差が最小化され得るのかどうかを決定することと、シュラウドセグメントの内側表面に材料を追加することであって、内側表面への材料の追加が、シュラウドセクションの設計寸法を超える少なくとも1つの寸法を有するシュラウドセグメントをもたらす、材料を追加することと、グループのブレードおよび追加材料付きシュラウドセグメントをタービンの列に設置することであって、少なくとも1つのブレードが、ブレードのための設計仕様に適合しない少なくとも1つの寸法を有する、設置することと、を含む。
【0005】
ターボ機械を修理するための方法は、ターボ機械の列内のブレードおよびシュラウドを共に1つのグループにグループ化することと、各ブレードを測定して、ブレードが設計寸法の範囲内にあるかどうかを決定することと、ブレードが設計寸法の範囲内にない場合に、シュラウドの表面に材料を追加することが、ブレードとシュラウドの間のクリアランスを設計クリアランスに適合させるかどうかを決定することと、決定が、材料を追加することがクリアランスを設計クリアランスに適合させることである場合に、シュラウドの表面に材料を追加することであって、表面への材料の追加が、シュラウドの設計寸法を超える少なくとも1つの寸法を有するシュラウドをもたらす、材料を追加することと、グループのブレードおよび追加材料付きシュラウドをターボ機械の列に設置することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】従来の産業用ガスタービンのためのタービンブレードおよびシュラウドの従来の列の部分の概略図である。
【
図2】タービンブレードの側面図と、タービンブレードおよびその関連する列のブレードを囲むシュラウドおよびステータケーシングの断面の側面図である。
【
図3】ガスタービンのタービンセクションの3つのステージの個々から取り外したタービンブレードおよびシュラウドの側面図である。
【
図4】ブレードおよびシュラウドが共にグループ化されたままであるようにタービンセクションの3つのステージの個々から取り外したタービンブレードおよびシュラウドの側面図である。
【
図5】タービンセクションのタービンブレードおよびシュラウドを取り外し、修理し、再設置するための方法のフローチャート図である。
【
図6】タービンセクションのタービンブレードおよびシュラウドを取り外し、修理し、再設置するための方法のフローチャート図である。
【
図7】タービンセクションのタービンブレードおよびシュラウドを取り外し、修理し、再設置するための方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、環状列に配置されたタービンブレード10と、環状列に配置されてブレードの列を囲んでいるシュラウドセグメント12と、を示す。タービンブレードおよびシュラウドセグメントは、回転軸14を有する産業用ガスタービンのタービンセクションの中にある。
【0008】
ガスタービンは、固定ノズルと回転バケットの交互の列として具体化されたブレードの数個の列を有することがある。
図1は、シュラウドセグメント12の環状アレイとして具体化された環状シュラウドによって囲まれる回転バケットの列を示す。固定ノズル(ベーンとも呼ぶ)の列は、燃焼ガスの流れ24の方向にバケットの列に隣接することになる。ノズルは、ケーシングから、タービンの回転ホイールに実装されたシュラウド(またはシュラウドのセグメント)に向けて、径方向内側に延びる。ノズルの先端は、バケットの先端がバケットを囲んでいるシュラウドの表面に対向するのと同様にしてシュラウドの表面に対向する。
【0009】
本発明を説明する目的のため、用語「ブレード」は、ガスタービンエンジン、蒸気タービン、または、他のブレード型のシュラウド付き軸流デバイス、におけるタービンまたは圧縮機などのターボ機械のノズルおよび/またはベーンを含む。用語「シュラウド」は、バケットの列の先端に隣接するおよび/またはノズルの列の先端に隣接する、環状シュラウドまたはシュラウドセグメントのアレイを含む。シュラウドは、ブレードの先端に面して、ブレードを通過するためのガス流れ経路を制限する構成要素である。シュラウドおよびバケットの配置に関して、シュラウドは回転せず、バケット(ブレードとも呼ぶ)は回転する。シュラウドおよびノズルの配置に関して、シュラウドは回転し、ノズル(ブレードとも呼ぶ)は固定である。
【0010】
ガスタービンの燃焼セクションからの高加圧燃焼ガス24は、ブレードのエーロフォイル部分16を流れてブレードの列を貫く。燃焼ガス24は、ブレード(バケット)の列と、ブレードの実装されるタービンホイールおよびシャフトの回転を回転強制する。
【0011】
高温ガス14は、ブレードの径方向内側の外側領域のプラットフォーム18、20によって、また、ブレードを囲んでいるシュラウドセグメント12によって、ブレードのエーロフォイル部分16に制限される。タービンブレードの先端は、先端のプラットフォーム20の径方向外側表面のいずれかにあることがある。あるいは、(
図2に示すように)ブレードにプラットフォームが存在しない場合、先端は、ブレードのエーロフォイル部分の径方向外側端部である。
【0012】
図2は、ブレード10と、断面の囲んでいる環状シュラウドセクション12およびステータケーシング28の側面図を示す。
図2に示すブレード10は、
図2に示すブレードがそうであるように、径方向外側のプラットフォームを有していない。
【0013】
ブレードの先端21(
図2)またはブレードのプラットフォーム18の外側表面(
図1)と、シュラウドセグメント12の内側表面22とは、ギャップ28を画定する。ギャップ28は、ブレードの先端(径方向最外側領域)と、先端に対向する環状シュラウドと、の間のクリアランスである。
【0014】
ギャップ28を通した高温燃焼ガスの漏出は、タービンの性能を低下させることになる。小さなクリアランスを維持することは、ブレードとシュラウドの間のギャップを通した高温燃焼ガスの漏出を低減するのに役立つ。高温燃焼ガスの漏出は、タービンブレード(バケット)の列を旋回させるために適用されるガスの量を低減し、こうして、タービンの効率を低下させる。このように、ブレード先端とシュラウドの間のクリアランスは、ガスタービンの効率に関して重要な設計寸法になる傾向がある。漏出を最小にするため、設計クリアランス(ギャップ28)は、意図的に小さい。クリアランスは、ブレード高さの1~3パーセントなど、典型的に小さい。
【0015】
高温燃焼ガスは、ブレードの先端と、シュラウドの対向表面と、を腐食させる傾向がある。腐食のせいで、クリアランスが増加し、こうして、タービンの性能が低下する。
【0016】
定期的に、タービンは、停止され、ステータケーシング28の一部分は、取り外され、シュラウドセクション12およびブレード10は、タービンケーシング28から取り外される。取り外されたシュラウドおよびブレードは、検査され、測定され、再生される。再生は、材料、例えば、金属を、ブレードの先端に追加すること、および、追加した材料およびブレードの先端を機械加工すること、を含むことがある。再生は、シュラウドの内側表面に層を追加すること、材料をスプレーまたはスパッタリングすること、または他の方法でシュラウドの内側表面領域の厚さを増加させること、を含むこともある。ブレード先端および/またはシュラウドの再生は、ブレードおよびシュラウドセクションをそれらの元の設計寸法に戻すこと、そして、それによって、クリアランスをその元の設計寸法に戻すこと、を慣習的に意図している。元の設計寸法は、新たに構築されるブレードおよび/またはシュラウドのための寸法である。
【0017】
図3は、ガスタービンから取り外されて、ブレードおよびシュラウドセクションの再生についての従来のアプローチで分離されたシュラウドセクション12およびタービンブレード10を示す。従来のアプローチでは、タービンブレード10は、それらの元の設計寸法に再生される。同様に、シュラウドセクション12は、それらの元の設計寸法に再生される。再生されたタービンブレードおよびシュラウドセクションは、それらの設計が目指すモデルのガスタービンで使用するための準備ができている。ブレードおよびシュラウドセクションがそれらの元の設計寸法に戻されてきたという理由で、再生されたブレードおよびシュラウドが再度共に同じタービンで使用されるべきであるという必要性は存在しない。
【0018】
図4は、ガスタービンから取り外された後に共にグループ化30されたシュラウドセクション12およびタービンブレード10を示す。タービンセクションの列からのシュラウドセクションおよびタービンブレードは、タービンセクションから取り外されて再生される間、共にグループ化されたままである。グループ化は、ブレードおよびシュラウドセクションが、再生されてタービンセクションに戻されるので、物理的に共にグループ化されることを意味することがある。その代わりに、グループ化は、ブレードおよびシュラウドセクションが、具体的なタービンセクションの特定の列に割り当てられてその列にタービンセクションへの再設置のためにすべて戻されることを意味することがある。特定の列に割り当てられるシュラウドセクションおよびタービンブレードは、独立して再生されて互いに分離され、タービンセクションの列への設置のために共に元のグループ化だけされることがある。
【0019】
図5~7は、タービンブレードおよびシュラウドセクションの取り外し、修理、および交換のための工程フローチャートである。ステップ100では、タービンは、停止され、ステータケーシングおよび他の構成要素は、取り外される。シュラウドセクションおよびブレードは、タービンの各列から取り外される。ステップ102では、各列についての取り外したブレードおよびシュラウドセクションは、1つのグループに割り当てられて、再生工程中に共に維持されることがある。シュラウドセクションおよびブレードを1つのグループに割り当てることによって、それらは、1つのグループとして、同じモデルのタービンの同じタービンセクションまたは他のタービンセクションに戻されて、タービンセクションの同じ列に設置されることがある。
【0020】
ステップ104では、ブレードおよびシュラウドセクションは、測定されて検査される。測定は、取り外したブレードの高さについて、また、シュラウドセクションの内側表面層および表面状況について、行われる。ブレードの高さは、プラットフォーム18などの基準からブレードの径方向先端(表面)までの距離であることがある。ステップ106では、各ブレードの測定値は、ブレードのための元の設計寸法と比較される。同様に、各シュラウドセグメントの測定値は、ステップ108のシュラウドセグメントのための元の設計寸法と比較される。
【0021】
ブレードの高さが、設計寸法の設計許容差の範囲内にある場合、材料は、ブレードの先端に追加する必要がなく、処置は、ブレード先端とシュラウドセクションの間のクリアランスを減らすために材料をシュラウドセクションの内側表面に追加することを必要としない。
【0022】
ステップ110では、設計クリアランスは、クリアランスを設計ガイドブックから調べること、あるいは、設計クリアランスを記憶装置から検索すること、などによって決定される。
【0023】
ステップ112では、決定は、各ブレードの先端と、ブレードに対応するタービン列についてのシュラウドのアレイの内側表面と、の間の実クリアランスについて行われる。このステップ108の測定は、ブレードおよびシュラウドセグメントがタービンから取り外される前に、行われることがある。各ブレードについて、決定は、実クリアランスが、ブレード先端とブレードに対応する列についてのシュラウド表面との間の許容できるクリアランスの領域の範囲内にあるかどうかについて、行われる。実クリアランスが許容できるクリアランスよりも大きい場合、実クリアランスと許容できるクリアランスの差が算出される。この差は、列のブレードの個々について算出される。
【0024】
ステップ114では、決定は、ブレードの個々についての算出される差が、層または被覆材料をブレードの先端に対向するシュラウド表面に追加することによって埋め合わせできる場合に行われる。この決定は、層または被覆材料をシュラウド表面に追加することが、列の全ブレードの先端とシュラウドセクションとの間の十分なクリアランスを可能にするかどうかをチェックすることがある。
【0025】
ブレードの幾つかまたはすべてについてのブレード先端とシュラウドセクションの間の差が、層または被覆材料をシュラウドセクションに追加することによって(材料をブレード先端に追加することなく)埋め合わせできる場合、層または被覆材料は、材料をスプレーまたはスパッタリングすることなどによって、ステップ116でシュラウド表面に追加される。層または被覆材料をシュラウドの表面に追加することは、容易であり、迅速であり、材料をブレードの先端に追加することよりも安上がりである傾向がある。
【0026】
シュラウドセクションに対する追加される層または被覆材料が、1つまたは複数のブレード先端間のクリアランスを許容できない狭小のクリアランスまで減らす場合、最も短いブレードは、ステップ116で材料がその先端に追加されるのを必要とすることになる。ブレードの先端に対して、ステップ118で、追加される材料は、それらのブレードとシュラウドセクションの間のクリアランスを減らすことになる。
【0027】
ステップ120では、確認は、各ブレードとシュラウドセクションの間のクリアランスが、クリアランスのための設計仕様の範囲内にあることについて行われる。この確認は、層または被覆材料がシュラウドセクションに追加される後で、また、材料が1つまたは複数のブレード先端に追加(材料が任意のブレード先端に追加される必要がある場合)される後で、行われる。
【0028】
追加される層または被覆材料を備えたシュラウドセクションの寸法が、特に、内側表面に隣接するセクションの領域の厚さの仕様に関して、もはや元の設計仕様の範囲内にないことがある。シュラウドセクションがそれらの元の設計仕様の外にあることがあるという理由で、シュラウドセクションは、同じ列のブレードと組んで専らグループ化されるべきであり、他のブレードと共に使用されるべきではない。同様に、列のブレードは、もはやそれらの元の設計仕様の範囲内にないことがある。ブレードは、列の同じシュラウドセクションと共にグループ化されるべきであり、他のシュラウドセクションと共に使用されるべきではない。
【0029】
ステップ122では、シュラウドセクションおよびブレードは、早い時期にそれらが取り外されたタービンの同じ列に再設置される。ブレードおよびシュラウドセクションは、1つまたは複数のブレードおよびシュラウドセクションがもはや元の設計仕様に適合する寸法を有しないことがあるという理由で、その特定の列だけに用いる。シュラウドセクションおよびタービンの寸法の変化が提供され、シュラウドセクションは、シュラウドセクションが取り外された列に割り当てられた(グループ化された)同じブレードと共に使用される。
【0030】
上で説明した方法は、クリアランスが元の設計仕様の範囲内にあることを確実にする。本方法は、ブレードおよびシュラウドセクションが、内側表面に隣接するブレード高さおよびシュラウド厚さなどのブレードおよびシュラウドセクションのための他の元の設計寸法仕様に準拠しないのを可能にする。この方法は、クリアランスを設計仕様の範囲内に保持することによって良好なタービン効率を提供すると共に材料をブレード先端に追加する必要性を低減することによってブレードおよびシュラウドセクションの修理および再生のコストを低減する、という利点を有する。本発明については、最も実用的且つ好適な実施形態であると現在考えられるものに関連して説明してきたが、理解すべきことは、本発明が、開示した実施形態に限定されるべきでなく、それとは逆に、添付した特許請求の範囲の精神および範囲の範囲内に包含される様々な修正や等価な構成を網羅することを意図していることである。例えば、本発明は、軸流蒸気タービンや軸流圧縮機などの様々なタイプのタービンおよび他のターボ機械に適用されることがある。
【符号の説明】
【0031】
10 タービンブレード
12 シュラウドセクション
14 高温ガス
16 エーロフォイル部分
18 プラットフォーム
20 プラットフォーム
21 ブレードの先端
22 内側表面
24 燃焼ガス
28 ギャップ
30 グループ化