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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B65D73/00 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018171642
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020040724
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庵下 展義
(72)【発明者】
【氏名】坪内 翔大
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216353(JP,A)
【文献】特開2005-126117(JP,A)
【文献】実開昭64-009141(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部を介して筒状のシュリンクフィルムが台紙に接着されているシュリンクフィルム付き台紙と、正面部とは反対側の背面部が非平坦状である商品と、を有し、前記背面部を前記接着部側に向けて前記商品が前記シュリンクフィルム内に保持されている包装体であって、
前記商品の背面部とシュリンクフィルムの間に、添え部材が介在され、
前記添え部材が、前記商品の背面部の一部分を保持する正面壁部と、前記正面壁部の両側端から背面側に延設された一対の側面壁部と、を有し、前記一対の側面壁部の先端を結んで観念される前記添え部材の背面が、略平坦であり、
所定方向における前記添え部材の前記正面壁部の長さが前記商品の長さよりも小さい、包装体。
【請求項2】
前記添え部材に覆われない前記商品の前記背面部の一部の先端が、前記添え部材の前記背面と同一平面上に位置している、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記添え部材の前記正面壁部の一部に設けられた凹部に、前記商品の前記背面部の一部に突設された凸部が嵌め入れられて、商品が添え部材に保持されている、請求項1または2に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面部が非平坦状となっている商品がシュリンクフィルム付きの台紙に良好に保持された包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、台紙と、前記台紙の表面において上下方向に伸びる帯状の接着部と、前記接着部を介して台紙に接着されたシュリンクフィルムと、シュリンクフィルム内に保持された商品と、商品とシュリンクフィルムの間に挿入されたトレーと、を有し、商品とトレーが熱収縮されたシュリンクフィルムに密着包装された包装体が開示されている。
かかる包装体は、シュリンクフィルムを筒状に開き、その軸方向一方側から商品とトレーをシュリンクフィルム内に挿入し、シュリンクフィルムを加熱して熱収縮させることによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-216353号
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特許文献1の包装体にあっては、シュリンクフィルムに挿入する際に、商品とトレーが相対的に位置ずれし易く、商品とトレーが互いに設定位置に配置された状態で、シュリンクフィルムによってそれらを密着包装することができない場合がある。このような包装体は、見栄えが悪く、このため、包装不良品となってしまう。
特に、背面部が非平坦状である商品は、その背面部を下にしてシュリンクフィルムに安定的に挿入し難く、設定位置に包装することが困難である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、非平坦状の背面部を有する商品をシュリンクフィルムの所定位置に保持でき、良好な外観を有する包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装体は、接着部を介して筒状のシュリンクフィルムが台紙に接着されているシュリンクフィルム付き台紙と、正面部とは反対側の背面部が非平坦状である商品と、を有し、前記背面部を前記接着部側に向けて前記商品が前記シュリンクフィルム内に保持されている包装体であって、前記商品の背面部とシュリンクフィルムの間に、添え部材が介在され、前記添え部材が、前記商品の背面部の一部分を保持する正面壁部と、前記正面壁部の両側端から背面側に延設された一対の側面壁部と、を有し、前記一対の側面壁部の先端を結んで観念される前記添え部材の背面が、略平坦であり、所定方向における前記添え部材の前記正面壁部の長さが前記商品の長さよりも小さい。
【0007】
本発明の好ましい包装体は、前記添え部材に覆われない前記商品の前記背面部の一部の先端が、前記添え部材の前記背面と同一平面上に位置している。
本発明の好ましい包装体は、前記添え部材の正面壁部の一部に設けられた凹部に、前記商品の前記背面部の一部に突設された凸部が嵌め入れられて、商品が添え部材に保持されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品と添え部材をシュリンクフィルムに挿入する際に、両者が互いに位置ずれすることがなく、商品と添え部材がシュリンクフィルムの所定位置に保持された包装体が得られる。本発明によれば、包装不良品の発生を抑制でき、良好な外観を有する包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態の包装体の正面図。
図2】同包装体を下方側から見た拡大底面図。
図3図1のIII-III線で切断した拡大縦断面図。
図4図1のIV-IV線で切断した拡大横断面図。
図5】1つの実施形態のシュリンクフィルム付き台紙の正面図。
図6図5のVI-VI線で切断した拡大縦断面図。
図7図5のVII-VII線で切断した拡大横断面図。
図8】1つの実施形態の商品を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その背面図、(c)は、その側面図、(d)は、その底面図。
図9】1つの実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、IXb-IXb線で切断した断面図、(c)は、その側面図、(d)は、その底面図。
図10】添え部材に保持された商品を示し、(a)は、その正面図、(b)は、Xb-Xb線で切断した断面図、(c)は、その底面図。
図11】添え部材に保持された商品を、シュリンクフィルム内に挿入する過程を示す縦断面図(ただし、被包装物は断面で表していない)。
図12】他の実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その側面図。
図13】更なる他の実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その側面図、(c)は、XIIIc-XIIIc線で切断した断面図。
図14】更なる他の実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その側面図、(c)は、その底面図、(d)は、XIVd-XIVd線で切断した断面図。
図15】更なる他の実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、XVb-XVb線で切断した断面図。
図16】他の実施形態の添え部材に保持された商品を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その側面図、(c)は、XVIc-XVIc線で切断した断面図。
図17】更なる他の実施形態の添え部材を示し、(a)は、その正面図、(b)は、XVIIb-XVIIb線で切断した断面図。
図18】更なる他の実施形態の添え部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。シュリンクフィルムの軸方向は、筒状のシュリンクフィルムの中心を通る線(軸芯)の方向である。方向性を示す用語として、上及び下を使用するが、「上」は、前記筒状のシュリンクフィルムの軸方向の一方側を、「下」は、筒状のシュリンクフィルムの軸方向の他方側(反対側)を指す。なお、各図は、吊り下げ用の孔を利用して包装体又はシュリンクフィルム付き台紙を吊り下げた状態を仮想して表している。「正面」は、シュリンクフィルム付き台紙又は包装体のシュリンクフィルムが取り付けられた面を直視したときに、見る者に近い側にある面を指し、「背面」は、その反対側の面を指す。さらに、本発明において、台紙という用語は、それが紙製であるという限定的な意味を有するわけではない。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0011】
図1乃至図4において、本発明の包装体1は、筒状のシュリンクフィルム2を有するシュリンクフィルム付き台紙4と、前記シュリンクフィルム2の内側に熱収縮装着され且つ添え部材6に保持された商品5と、を有する。以下、添え部材6に保持された商品5を「被包装物」という。
シュリンクフィルム付き台紙4は、台紙3と、筒状のシュリンクフィルム2と、台紙3とシュリンクフィルム2を固定するための接着部7と、を有する。
商品5は、正面部51とは反対側の背面部52が非平坦状である。添え部材6は、その商品5の背面部52を保持する正面壁部61と、正面壁部61の両側端から背面側に延設された一対の側面壁部81,81と、を有する。前記一対の側面壁部81,81の先端62aを結んで観念される前記添え部材6の背面は、略平坦とされている。
被包装物において、商品5の背面部52は添え部材6に保持されているが、商品5の正面部51は添え部材6から露出されている。なお、本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を含むことを意味する。
以下、シュリンクフィルム付き台紙4、商品5及び添え部材6について説明した後、本発明の包装体1の詳細を説明する。
【0012】
[シュリンクフィルム付き台紙]
図5乃至図7において、シュリンクフィルム付き台紙4は、台紙3と、筒状のシュリンクフィルム2と、前記台紙3とシュリンクフィルム2を接着する接着部7と、を有する。
なお、[シュリンクフィルム付き台紙]の欄においては、シュリンクフィルム2は熱収縮させる前の状態である。
後述するように、前記筒状のシュリンクフィルム2の内側に被包装物を挿入し、シュリンクフィルム2を熱収縮させることにより、商品5がシュリンクフィルム2に保持され、シュリンクフィルム2を介して商品5が台紙3に取り付けられる。
シュリンクフィルム2は、筒状であるが、熱収縮させる前には、通常、図5乃至図7のように扁平状に畳まれている。
【0013】
台紙3を形成するシート材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。シート材としては、例えば、厚紙(薄い合成樹脂製フィルムが積層された厚紙を含む)、合成樹脂製シート、金属蒸着層を有する合成樹脂製シート、発泡樹脂シート、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。比較的安価であることから、前記厚紙又は合成樹脂製シートを用いることが好ましい。前記合成樹脂製シートとしては、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系などのシートが挙げられ、適度な剛性を有することから、ポリプロピレン製シートが好ましい。また、台紙3は、複数枚のシート材を剥離可能に積層してなる積層シート、1枚のシート材を複数回折り返して重ね合わせた積層シートなどであってもよい。このような積層シートを用いることにより、表示面積が大きい台紙3を構成できる。
シート材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.2mm~1.5mm程度である。厚紙の場合には、0.5mm~1.5mm程度であり、合成樹脂製シートの場合には、0.2mm~0.6mm程度である。また、台紙3の正面部又は/及び背面部には、必要に応じて、所望のデザイン印刷が施されていてもよい。
【0014】
台紙3の正面視形状は、図5に示すように、正面視略矩形状に形成されているが、これに限定されない。例えば、台紙3は、正面視略三角形状、正面視略楕円形状などに形成されていてもよい(図示せず)。また、台紙3に、例えば、包装体1に自立性を付与するため、脚片等が形成されていてもよい(図示せず)。また、台紙3の上方部には、吊り下げ用の孔31が形成されている。もっとも、前記吊り下げ用の孔が形成されていなくてもよい。
【0015】
筒状のシュリンクフィルム2を構成するために用いられる熱収縮性フィルムは、柔軟性を有し、さらに、少なくとも一方向(一方向は、筒状に形成された際に周方向となる)に熱収縮性を有するフィルムであれば特に限定されず、従来公知のフィルムを用いることができる。熱収縮性フィルムは、樹脂成分を含む形成材料を成膜し、それを少なくとも一方向に延伸した後、所要温度で熱エージングすることによって得られる。
なお、前記熱収縮性は、所定温度(例えば、70℃~100℃)に加熱されると収縮する性質をいう。前記熱収縮性フィルムとして、他方向にも若干熱収縮又は熱伸張するフィルムを用いてもよい。前記他方向は、フィルム面内で前記一方向に直交する方向である。
【0016】
前記フィルムの形成材料は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などを主成分として含む樹脂組成物が挙げられる。また、前記熱収縮性フィルムは、単層でもよいし、2層以上の積層体でもよい。
【0017】
前記熱収縮性フィルムは、不透明のフィルムでもよいが、シュリンクフィルム2から商品5の正面部51を透視できることから、無色透明又は有色透明のフィルムを用いることが好ましい。
また、熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm~100μmである。
【0018】
シュリンクフィルム2は、前記熱収縮性フィルムの一方向(主たる熱収縮方向)が周方向となるようにそのフィルムを丸め、その一側端を含む一側端部を他側端を含む他側端部に重ね合わせ、その重ね合わせた両側端部を溶剤又は接着剤で互いに接着することにより、筒状に形成されている。前記重ね合わせて接着した部分は、一般に、シール部と呼ばれ、以下、その部分をシール部21という。
前記筒状のシュリンクフィルム2の大きさは、被包装物に応じて適宜設定できる。被包装物を挿入するために、筒状のシュリンクフィルム2の内周長さは、被包装物の最大外周長よりも少し大きい。筒状のシュリンクフィルム2の軸方向の長さは、被包装物の軸方向の長さと同じ又はそれよりも小さく若しくは大きくてもよい。
軸方向の長さが被包装物よりも大きい筒状のシュリンクフィルム2を用いた場合には、それに被包装物を挿入し加熱することにより、そのシュリンクフィルム2の上方部及び/又は下方部が、被包装物の上面周囲及び下面周囲に回り込んで密着する、又は、そのシュリンクフィルム2の上方部が被包装物の上面周囲に回り込んで密着する、又は、そのシュリンクフィルム2の下方部が被包装物の下面周囲に回り込んで密着するようになる。
図示例では、軸方向の長さが被包装物の軸方向の長さよりも大きいシュリンクフィルム2が用いられている。
【0019】
このシュリンクフィルム2は、接着部7を介して台紙3の正面に取り付けられている。シュリンクフィルム2は、その下端が台紙3の下端よりも少し上方に位置するように配置されている。なお、シュリンクフィルム2の下端(又は上端)が台紙3の下端(又は上端)と略一致するように配置されていてもよい。また、シュリンクフィルム2は、図7に示すように、そのシール部21を接着部7に対面させて接着されている。このようにシュリンクフィルム2のシール部21を含む帯状部分を接着部7に接着することにより、シール部21が被包装物の正面から隠されるので、外見上好ましい包装体1を構成できる。もっとも、シール部21が接着部7に重ならないようにして、シュリンクフィルム2を接着部7に接着してもよい。
シュリンクフィルム2は、その軸方向が台紙3の下端と直交するようにして、台紙3に接着されている。もっとも、軸方向が台紙3の下端と鋭角に傾斜するように、シュリンクフィルム2が台紙3に接着されていてもよい。
【0020】
前記接着部7は、台紙3とシュリンクフィルム2を連結する層であって、接着剤又は粘着剤から構成されている。前記接着剤又は粘着剤としては、台紙3及びシュリンクフィルム2をそれぞれ強固に接着できるものであれば特に限定されない。前記接着剤又は粘着剤としては、例えば、水系接着剤、溶剤型接着剤、感熱性接着剤、感圧型粘着剤などを用いることができる。
接着部7は、台紙3の正面であって、シュリンクフィルム2の軸方向に延びる所定幅の帯状部分に設けられている。接着部7は、図5及び図6に示すように、シュリンクフィルム2の上端及び下端にまで至らず、シュリンクフィルム2の軸方向中途部に対応して設けられている。
例えば、接着部7は、台紙3の幅方向略中央部に設けられ、接着部7の下端及び上端は、台紙3の下端及び上端から離れている。また、接着部7の下端及び上端は、シュリンクフィルム2の下端及び上端から離れている。接着部7がシュリンクフィルム2の下端及び上端から離れていることにより、シュリンクフィルム2のうち前記接着部7に接着されていない下方部及び上方部の全体が被包装物の上面周囲及び下面周囲に回り込んで密着するようになる。なお、接着部7の下端及び/又は上端が、シュリンクフィルム2の下端及び/又は上端と略一致するように接着部7が設けられていてもよい。
【0021】
接着部7の幅は、特に限定されない。前記幅が、余りに小さいと、シュリンクフィルム2に被包装物を保持させた際に、被包装物の重さなどに耐えられず、シュリンクフィルム2が台紙3から外れるおそれがある。このため、前記接着部7の幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、7mm以上が特に好ましい。一方、接着部7の幅が余りに大きいと、扁平状に畳んだシュリンクフィルム2を円筒状に開くことが困難となる。このため、前記接着部7の幅は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましい。ただし、前記接着部7の幅は、周長2cm~10cm程度の被包装物をシュリンクフィルム2に保持する場合である。これよりも大きい又は小さい周長の被包装物をシュリンクフィルム2に保持させる場合には、接着部7の幅が前記範囲以外でも、支障を来さない場合もある。
また、接着部7の軸方向の長さは、特に限定されず、適宜設定できるが、余りに短いとシュリンクフィルム2に被包装物を保持させた際に、被包装物の重さなどに耐えられず、シュリンクフィルム2が台紙3から外れるおそれがある。このため、前記接着部7の軸方向の長さは、20mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましい。なお、図示例では、接着部7の軸方向の長さは、保持する被包装物の軸方向の長さと略同じとされている。もっとも、シュリンクフィルム2を介して被包装物が台紙3から脱落又は不安定化しないことを条件に、接着部7の軸方向の長さは、被包装物の軸方向の長さよりも短くてもよい。
【0022】
なお、必要に応じて、前記シュリンクフィルム2に、所望のデザイン印刷が施されていてもよい(図示せず)。
さらに、必要に応じて、シュリンクフィルム2の内面に、滑り層が設けられていてもよい(図示せず)。前記滑り層は、シュリンクフィルム2の内面全体に設けられていてもよく、内面の一部分(好ましくは、シュリンクフィルム2の内面のうち、被包装物を挿入する際に、少なくとも被包装物が接触する部分)に設けられる。滑り層としては、インキを塗布したインキ層(印刷層)などが挙げられ、好ましくは、滑り成分を含むインキ層が用いられる。滑り層は、無色透明又は有色透明のいずれでもよいが、好ましくは、無色透明である。無色透明の滑り層は、例えば、メジウムインキ(着色剤を含まないインキ)を用いて形成でき、好ましくは、滑り成分を含むメジウムインキを用いて形成できる。前記インキとしては、例えば、水又は水とアルコールに、アクリル樹脂、アクリル共重合体、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、水性ポリアミド樹脂等を分散させたエマルジョン等の水性のもの、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の溶剤に、ロジン、ケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル-ウレタン共重合体、ポリエステル樹脂等を溶解させた溶剤型のものなどが挙げられる。特に、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂とニトロセルロース系樹脂を主成分とするインキが好ましい。前記滑り成分としては、例えば、ワックス類、シリコーン、シリカなどの無機微粒子、有機微粒子などの滑剤が例示される。
前記シュリンクフィルム2に、必要に応じて、開封用のミシン目線、開封用の切り目などが形成されていてもよい(図示せず)。
【0023】
[商品及び添え部材並びに被包装物]
商品5は、図8にも示すように、外形的(形状的)には、背面部52が非平坦状のものである。背面部52は、正面部51とは反対側をいう。商品5の正面部51は、商品5の販売者が購入者に見せたい面部をいい、商品5の顔とも言うべき面側をいう。
例えば、商品5の背面部52には凸部521が突設されており、少なくとも凸部521が出張っていることによって、その背面部52は非平坦状となっている。非平坦状の背面部52を有する商品5は、背面部52を平面上に置いてスライドさせても、安定的にスライドさせることができない。
図示例では、背面部52の外形は、周囲が傾斜面となった主部522と、その主部522の中央部に突設された1つの凸部521と、からなる。また、正面部51の外形は、略平坦状の部分とその部分の周囲の曲面状とからなる。
商品5は、非平坦状の背面部52を有するものであれば特に限定されず、例えば、化粧料などが収納された容器、芳香剤などのサニタリー品が収納された容器、機械部品や建築部品などの各種部品類、おもちゃ、文房具、各種の日用品などが挙げられる。
図示例の商品5は、自動車などのエアコン送風口に取り付けて使用される、芳香剤入りの容器である。この商品5は、凸部521に形成された溝521aをエアコン送風口のルーバーに強嵌着することによって使用される。
【0024】
添え部材6は、図9にも示すように、正面壁部61と、正面壁部61の周端から背面側に延設された周面壁部62と、を有する。周面壁部62の先端62aを結んで観念される前記添え部材6の背面は、略平坦とされている。前記観念される添え部材6の背面を、図9(b)の一点鎖線に示す。添え部材6は、この観念上の背面よりも外側に突出した部分を有さない。
添え部材6の正面壁部61は、商品5の背面部52を保持する。好ましくは、添え部材6の正面壁部61は、商品5の正面部51に被さらず(商品5の正面部51を露出させたままで)且つ商品5の背面部52を保持する。
添え部材6の正面壁部61は、商品5の凸部521が嵌まり込む凹部611を有する。商品5の凸部521を凹部611に嵌め入れて添え部材6を平面上にスライドさせても商品5が添え部材6から揺れ動かないように、前記凹部611は、商品5の凸部521を保持する。凹部611は、凸部521に対して強嵌着するものでもよく、或いは、凸部521に遊嵌するものでもよい。
具体的には、添え部材6の正面壁部61は、凸部521を除く商品5の背面部52(図示例では、主部522)の形状に略合致した凹状主部612と、凹状主部612の一部分において背面側に凹み且つ商品5の凸部521が遊嵌される凹部611と、を有する。
添え部材6の正面壁部61の上下方向長さは、商品5の上下方向長さと略同じ又はそれよりも大きい。また、添え部材6の正面壁部61の幅(上下方向と直交する方向の長さ)は、商品5の幅と略同じ又はそれよりも大きい。
なお、正面壁部61には、商品5の凸部521が遊嵌される凹部611以外の、他の凹部(図示せず)が形成されていてもよい。他の凹部は、商品5に付随するもの、例えば、部品、能書などが収納される。
【0025】
添え部材6は、添え部材6を安定的に自立させるための周面壁部62が形成されている。周面壁部62は、正面壁部61の周端から背面側に延設されている。
具体的には、正面壁部61の周端から延設された周面壁部62は、筒状になっている。添え部材6の正面壁部61が正面視略四角形状である図示例にあっては、周面壁部62は、略四角筒状となっている。周面壁部62の先端62aは、添え部材6の凹部611の裏側と略同じ位置又は添え部材6の凹部611の裏側よりもさらに背面側に延出されている(換言すると、添え部材6の凹部611の裏側が周面壁部62の先端62aを結んで観念される添え部材6の背面に含まれている、又は、添え部材6の凹部611の裏側が周面壁部62の先端62aを結んで観念される添え部材6の背面よりも内側に位置している)。正面壁部61の裏側と周面壁部62の間に、空洞69を有する。前記商品5に付随するもの(例えば、部品、能書など)が前記空洞69の一部分に嵌り込んで保持されるように、前記空洞69に嵌合凹部を形成してもよい。
周面壁部62の先端62aは、僅かに外側に折り曲げられて接地面部621が形成されている。周面壁部62の先端62aを結んで観念される添え部材6の背面は、この接地面部621に接する観念上の面である。接地面部621に接する面を観念したときに、その面が、略平坦を成している。
なお、接地面部621に、無数の微細な凹凸が形成されていてもよい。つまり、接地面部621が微細な凹凸面とされていてもよい。接地面部621が凹凸面とされていることにより、シュリンクフィルム2の内面に対する摩擦係数が小さくなり、被包装物(添え部材6及び商品5)をシュリンクフィルム2内に挿入し易くなる。また、前記接地面部621に、易滑動性のコーティング処理(例えば、シリコーン処理)が施されていてもよい。
【0026】
前記周面壁部62は、正面壁部61の両側端から背面側に延設された一対の側面壁部81,81と、正面壁部61の上下端から背面側に延設された上面壁部82及び下面壁部83と、からなり、側面壁部81,81と上面壁部82及び下面壁部83とが連設されて筒状に形成されている。
【0027】
前記添え部材6は、シート成形品、樹脂射出成形品、発泡樹脂成形品などから構成され、簡易に且つ安価に製造できることから、シート成形品から構成される。添え部材6の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
添え部材6の肉厚は、特に限定されないが、余りに小さいと、強度不足になるおそれがあり、余りに大きいと材料コストが上昇する。かかる観点から、添え部材6の肉厚は、80μm~1mmであり、好ましくは100μm~500μmである。
【0028】
前記商品5に添え部材6を具備させることによって、被包装物が得られる。
図10にも示すように、添え部材6の正面壁部61に商品5の背面部52を入れることにより、商品5を添え部材6に保持できる。添え部材6の凹部611に商品5の凸部521が嵌め入れられ且つ添え部材6の凹状主部612に商品5の主部522が接することにより、添え部材6に商品5が保持された被包装物が得られる。
かかる被包装物は、添え部材6の背面(周面壁部62の先端62aを結んで観念される背面)が略平坦状であるので、周面壁部62の先端62aを下にして平面上に安定的に自立し且つその平面に沿って安定的にスライドさせることができる。
【0029】
[包装体]
図11(a)に示すように、シュリンクフィルム付き台紙4の背面を、作業台の平面X上に載せ、扁平状に畳まれたシュリンクフィルム2を開き、被包装物をシュリンクフィルム2内に挿入する。
上述のように、被包装物は、周面壁部62の先端62aを下にして平面X上に安定的に自立させ且つ面方向に沿って安定的にスライドできるので、被包装物(添え部材6及び商品5)をシュリンクフィルム2の内面上を滑らせながらシュリンクフィルム2内に挿入できる。
商品5と添え部材6が一体化された被包装物を、シュリンクフィルム2内に安定的にスライドさせることができるので、商品5と添え部材6(被包装物)をシュリンクフィルム2の所定位置にまで確実に挿入できる(同図(b)参照)。
被包装物を所定位置(設計上の設定位置)に挿入した後、シュリンクフィルム2を加熱することにより、シュリンクフィルム2が熱収縮して被包装物を保持する。
【0030】
得られた包装体1は、図1乃至図4に示すように、シュリンクフィルム付き台紙4の、熱収縮されたシュリンクフィルム2内に被包装物が保持されている。被包装物の添え部材6は、商品5と熱収縮後のシュリンクフィルム2との間に介在されている。商品5の正面部51は、シュリンクフィルム2の内面に接しており、商品5の正面部51が包装体1の正面を成している。
【0031】
本発明によれば、商品5と添え部材6が互いに位置ずれすることなくシュリンクフィルム2の所定位置に保持された包装体1を簡易に且つ確実に得ることができる。本発明によれば、包装不良品の発生を抑制でき、良好な外観を有する包装体1を効率良く製造できる。
また、添え部材6の背面側において、シュリンクフィルム2が接着部7を介して台紙3に接着されている。この接着部7は、図3に示すように、添え部材6の背面部52の上端近傍から下端近傍に対応して存在するので、被包装物を保持したシュリンクフィルム2が、台紙3から不用意に脱落することがなく、台紙3に安定的に接着される。
【0032】
本発明の包装体は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。以下、本発明の変形例を説明するが、変形例の説明において、上記実施形態と同様の構成及び効果は、(その説明を行ったものとして)その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する。
【0033】
上記実施形態の添え部材6の周面壁部62は、正面壁部61の周端全体から延設されているが、正面壁部61の周端の一部分から延設されていてもよい。例えば、図12に示すように、側壁面部の一部分において切り欠かれた周面壁部62であってもよい。かかる周面壁部62は、正面壁部61の両側端の一部分から背面側に延設された一対の側面壁部81,81と、正面壁部61の上下端から背面側に延設された上面壁部82及び下面壁部83と、からなる。このように側面壁部81,81の一部分に切り欠き部811が設けられている場合であっても、一対の側面壁部81,81を含む周壁面部62の先端62aを結んで観念される添え部材6の背面が略平坦となり、周面壁部62の先端62a(添え部材6の背面)を下にして安定的に自立させ且つスライドさせることができる。
なお、特に図示しないが、上面壁部82及び/又は下面壁部83の一部分に切り欠き部が設けられていてもよい。
【0034】
また、上記実施形態の添え部材6は、正面壁部61の周端から周面壁部62が延設されているが、例えば、図13に示すように、添え部材6は、正面壁部61の両側端から一対の側面壁部81,81が延設され且つ正面壁部61の上端から上面壁部82が延設されていてもよい。また、特に図示しないが、添え部材6は、一対の側面壁部81,81及び下面壁部83が延設されているものでもよい。また、添え部材6は、例えば、図14に示すように、正面壁部61の両側端から一対の側面壁部81,81のみが延設されていてもよい。これらの実施形態においても、少なくとも一対の側面壁部81,81の先端62aを結んで観念される添え部材6の背面は、略平坦状とされる。少なくとも一対の側面壁部81,81が延設されていることにより、被包装物を安定的にスライドさせることができる。
【0035】
上記実施形態の被包装物は、商品5の背面部52の全体が添え部材6の正面壁部61に保持されているが、商品5の位置ずれを生じないように添え部材6が商品5を保持できることを条件として、添え部材6の正面壁部61が、商品5の背面部52の一部分を保持するように構成されていてもよい。
例えば、図15に示す添え部材6は、添え部材6の正面壁部61の上下方向長さが、商品5の上下方向長さよりも小さい。また、添え部材6の正面壁部61の幅は、商品5の幅と略同じ又はそれよりも大きい。
なお、図15に示す添え部材6は、一対の側面壁部81,81及び下面壁部83が延設され、上壁面部82を有さないものを例示している。
【0036】
図16は、背面部52の一部分が添え部材6に保持された商品5(被包装物)を示す。
図示例では、添え部材6が商品5の背面部52の下方部を保持しており、従って、商品5の背面部52の上方部は、添え部材6に覆われていない。
図示例の商品5の背面部52は、主部522と、その主部522の下方部に突設された第1凸部5211と、主部522の上方部に突設された第2突部5212と、からなる。第2凸部5212は、第1凸部5211よりも突出度合いが大きい凸部である。
添え部材6の正面壁部61の凹部611に、商品5の第1凸部5211が嵌め入れられることにより、第2凸部5212を覆わない状態で商品5が添え部材6に保持されている。
なお、図示例では、商品5の第2凸部5212(添え部材6に覆われない商品5の一部分)の先端52aが、添え部材6の背面(側面壁部81などの先端62a)と同一平面上に位置している。添え部材6の側面壁部81などの延出長を適宜設定することにより、前記商品5の第2凸部5212の先端が、添え部材6の背面の延長面上に含まれる被包装物を構成できる。
このような被包装物は、添え部材6の背面及び商品5の第2凸部5212の先端52aを平面上に接しさせながら安定的に自立させ且つ面方向に沿ってスライドできる。
もっとも、第2凸部5212が添え部材6の背面の延長面上に位置するように、商品5を添え部材6に保持させる場合に限られず、例えば、第2凸部5212を浮かすようにしてもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態の添え部材6は、正面壁部61の裏側に空洞69を有する中空状であるが、例えば、図17に示すように、正面壁部61の裏側にも添え部材6の形成材料が充填された中実状であってもよい。この場合には、添え部材6の背面壁部63が形成され、その背面壁部63は、周面壁部62の先端62a(又は一対の側面壁部81,81の先端62a)を含んで略平坦状とされる。
【0038】
また、上記実施形態の添え部材6は、側面壁部81が添え部材6の背面に対して略直角に延設されているが、例えば、図18(a)に示すように、側面壁部81が、添え部材6の背面に対して鋭角に延設されていてもよく(内側に傾斜した側面壁部81)、或いは、図18(b)に示すように、側面壁部81が、添え部材6の背面に対して鈍角に延設されていてもよい(外側に傾斜した側面壁部81)。また、上記実施形態の上面壁部82及び下面壁部83も添え部材6の背面に対して略直角に延設されているが、前述と同様に、内側に傾斜した上面壁部82又は外側に傾斜した上面壁部82であってもよく、内側に傾斜した下面壁部83又は外側に傾斜した下面壁部83であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 包装体
2 シュリンクフィルム
3 台紙
4 シュリンクフィルム付き台紙
5 商品
51 商品の正面部
52 商品の背面部
6 添え部材
61 添え部材の正面壁部
62 添え部材の周面壁部
62a 添え部材の先端
81 添え部材の側面壁部
7 接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
図18