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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】超音波診断装置、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20221206BHJP
   A61B 8/06 20060101ALI20221206BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B8/06
A61B8/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018179989
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2019063508
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017189150
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸史
(72)【発明者】
【氏名】栗田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-000132(JP,A)
【文献】特開2010-094181(JP,A)
【文献】特開2014-012129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180106(US,A1)
【文献】特開平09-322894(JP,A)
【文献】特開2014-176431(JP,A)
【文献】特開2012-223416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像モードから第2撮像モードへのモード切替を受け付ける入力部と、
前記第1撮像モードにおいて、第1スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第1エコーデータを収集し、前記第2撮像モードにおいて、第2スキャン方式の超音波スキャンを前記超音波プローブに実行させることで第2エコーデータを収集する送受信部と、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1エコーデータに基づいてBモード画像を含む第1画像を順次生成し、前記第2撮像モードにおいて、前記第2エコーデータに基づいて、Bモード画像を含まない第2画像を順次生成する画像生成部と、
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された位置情報に基づいて、予め取得されたボリュームデータから第3画像を順次生成するボリュームデータ処理部と、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1画像と前記第3画像を表示部に順次表示させ、前記第2撮像モードにおいて、前記第2画像と前記第3画像を表示部に順次表示させる表示制御部と
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された、前記モード切替時の位置情報と、前記モード切替後の位置情報に基づいて、前記超音波プローブの位置ずれを検出する検出部と
を備え
前記表示制御部は、前記モード切替を契機として、前記検出した位置ずれの情報を前記第3画像に重畳する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1画像は、Bモード画像、又はBモード画像とカラードプラ画像の合成画像であり、
前記第2画像は、ドプラスペクトラム画像、Mモード画像、又はSWE画像である、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第2スキャン方式は、連続波を送信しながら反射波を受信するCW方式のスキャンである、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第2スキャン方式は、複数の走査線に対して、順々にパルス波を送信し、反射波を受信するPW方式のスキャンである、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第2撮像モード中に生成された前記第3画像を順次記憶するメモリをさらに備え、
前記表示制御部は、前記ドプラスペクトラム画像、生体波形、又は前記Mモード画像上における時相を指定する操作に応じて、前記メモリから指定された時相に対応する前記第3画像を読み出す、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
記検出した位置ずれを報知する報知
さらに備えた請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記第3画像は、X線画像、MRI画像、超音波画像、及び核医学画像のうちのいずれかである請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
生体波形に同期させて、前記第3画像の基となるボリュームデータを切り替える切替部をさらに備えた請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第3画像に対して、各種撮像モードに応じた超音波画像に関する情報を重畳して前記表示部に表示させる、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
第1撮像モードから第2撮像モードへのモード切替を受け付ける入力部と、
前記第1撮像モードにおいて、第1スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第1エコーデータを収集し、前記第2撮像モードにおいて、第2スキャン方式の超音波スキャンを前記超音波プローブに実行させることで第2エコーデータを収集する送受信部と、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1エコーデータに基づいてBモード画像を含む第1画像を順次生成し、前記第2撮像モードにおいて、前記第2エコーデータに基づいて、Bモード画像を含まない第2画像を順次生成する画像生成部と、
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された、前記モード切替時の位置情報と、前記モード切替後の位置情報に基づいて、前記超音波プローブの位置ずれを検出する検出部と、
前記モード切替を契機として、前記検出した位置ずれの情報を前記第1画像に重畳して表示部に表示させる表示制御部と
を備えた超音波診断装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記第1撮像モードにおいて、少なくとも前記第1画像を表示部に順次表示させ、前記第2撮像モードにおいて、少なくとも前記第2画像を表示部に順次表示させる、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第1画像は、Bモード画像、又はBモード画像とカラードプラ画像との合成画像であり、
前記第2画像は、ドプラスペクトラム画像、Mモード画像、又はSWE画像である、請求項10または請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記検出した位置ずれを報知する報知部
をさらに備えた請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
コンピュータに、
第1撮像モードから第2撮像モードへのモード切替を受け付け、
前記第1撮像モードにおいて、第1スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第1エコーデータを収集し、前記第2撮像モードにおいて、第2スキャン方式の超音波スキャンを前記超音波プローブに実行させることで第2エコーデータを収集し、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1エコーデータに基づいてBモード画像を含む第1画像を順次生成し、前記第2撮像モードにおいて、前記第2エコーデータに基づいて、Bモード画像を含まない第2画像を順次生成し、
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された位置情報に基づいて、予め取得されたボリュームデータから第3画像を順次生成し、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1画像と前記第3画像を表示部に順次表示させ、前記第2撮像モードにおいて、前記第2画像と前記第3画像を表示部に順次表示させ、
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された、前記モード切替時の位置情報と、前記モード切替後の位置情報に基づいて、前記超音波プローブの位置ずれを検出し、
前記モード切替を契機として、前記検出した位置ずれの情報を前記第3画像に重畳すること、
を実行させる制御プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
第1撮像モードから第2撮像モードへのモード切替を受け付け、
前記第1撮像モードにおいて、第1スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第1エコーデータを収集し、前記第2撮像モードにおいて、第2スキャン方式の超音波スキャンを前記超音波プローブに実行させることで第2エコーデータを収集し、
前記第1撮像モードにおいて、前記第1エコーデータに基づいてBモード画像を含む第1画像を順次生成し、前記第2撮像モードにおいて、前記第2エコーデータに基づいて、Bモード画像を含まない第2画像を順次生成し、
前記超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された、前記モード切替時の位置情報と、前記モード切替後の位置情報に基づいて、前記超音波プローブの位置ずれを検出し、
前記モード切替を契機として、前記検出した位置ずれの情報を前記第1画像に重畳して表示部に表示させること、
を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、一般的に、撮像対象からのエコーの強度を輝度で表現したBモード画像を収集する。通常、超音波診断装置は、Bモード画像を収集するための撮像モード(Bモード)が選択されている場合にBモード画像を収集する。
【0003】
ところで、超音波診断装置では、例えば、血液や組織の動きを示すドプラ画像や組織性状を示す組織性状画像など、Bモード画像以外の画像を収集するための撮像モードがある。超音波診断装置は、Bモードとは別の撮像モードが実行されているときにも、被検体内におけるエコーデータの収集位置を把握するためのリファレンス画像としてBモード画像を収集することがある。しかし、例えば高速で動く対象を撮像する場合や、1フレーム分の画像を収集するために長い時間を要する場合など、Bモード以外の画像の品質を確保するために、Bモード画像の収集を妥協しなければならない場合がある。Bモード画像の収集を妥協することにより、Bモード画像の更新頻度が低下するため、操作者にとって、エコーデータの収集位置を把握し辛い場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-151131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、Bモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置の把握を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超音波診断装置は、入力部と、送受信部と、画像生成部と、ボリュームデータ処理部と、表示制御部とを備える。入力部は、第1撮像モードから第2撮像モードへのモード切替を受け付ける。送受信部は、第1撮像モードにおいて、第1スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第1エコーデータを収集し、第2撮像モードにおいて、第2スキャン方式の超音波スキャンを超音波プローブに実行させることで第2エコーデータを収集する。画像生成部は、第1撮像モードにおいて、第1エコーデータに基づいてBモード画像を含む第1画像を順次生成し、第2撮像モードにおいて、第2エコーデータに基づいて、Bモード画像を含まない第2画像を順次生成する。ボリュームデータ処理部は、超音波プローブに設けられた位置センサにより収集された位置情報に基づいて、予め取得されたボリュームデータから第3画像を順次生成する。表示制御部は、第1撮像モードにおいて、第1画像と第3画像を表示部に順次表示させ、第2撮像モードにおいて、第2画像と第3画像を表示部に順次表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す図である。
図2図2は、図1の制御回路における、ドプラスペクトラム画像データを生成する際の動作を例示するフローチャートである。
図3図3は、図1の制御回路における、フュージョン画像データの生成およびフュージョン画像の表示に関する動作を例示するフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図5図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す図である。
図6図6は、図5の制御回路における、ドプラスペクトラム画像データを生成する際の動作を例示するフローチャートである。
図7図7は、図5の制御回路における、フュージョン画像データの生成およびフュージョン画像の表示に関する動作を例示するフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図9図9は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図10図10は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図11図11は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図12図12は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図13図13は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
図14図14は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置、及び制御プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、超音波プローブ70、表示機器50、及び入力装置60を備える。装置本体10は、ネットワーク500を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10は、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60と接続される。
【0010】
位置センサシステム30は、超音波プローブ70及び超音波画像の3次元の位置情報を取得するためのシステムである。位置センサシステム30は、位置センサ31と位置検出装置32とを備える。
【0011】
位置センサシステム30は、例えば、磁気センサ、赤外線センサまたは赤外線カメラ用のターゲット等を位置センサ31として超音波プローブ70に装着させることで、超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得する。なお、位置センサシステム30は、超音波プローブ70にジャイロセンサ(角速度センサ)を内蔵させ、このジャイロセンサにより超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得してもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ70をカメラで撮影し、撮影した画像を画像認識処理することにより超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得してもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ70をロボットアームで保持し、ロボットアームの3次元空間の位置を超音波プローブ70の3次元の位置情報として取得してもよい。
【0012】
以下では、位置センサシステム30が磁気センサを用いて超音波プローブ70の位置情報を取得する場合を例に説明する。具体的には、位置センサシステム30は、例えば磁気発生コイルなどを有する磁気発生器(図示せず)をさらに含む。磁気発生器は、磁気発生器自身を中心として、外側に向かって磁場を形成する。形成された磁場には、位置精度が保証される磁場空間が定義される。よって、磁気発生器は、位置精度が保証される磁場空間内に検査の対象となる生体が包含されるように配置されればよい。超音波プローブ70に装着される位置センサ31は、磁気発生器によって形成される3次元の磁場の強度及び傾きを検出する。これにより、位置センサ31は、超音波プローブ70の位置と方向とを取得することができる。位置センサ31は、検出した磁場の強度及び傾きを位置検出装置32へ出力する。
【0013】
位置検出装置32は、位置センサ31で検出された磁場の強度及び傾きに基づき、例えば、所定の位置を原点とした3次元空間における超音波プローブ70の位置を算出する。このとき、所定の位置は、例えば、磁気発生器が配置される位置とする。超音波プローブの位置は、例えば、スキャン面の位置(x,y,z)及び回転角度(θx,θy,θz)である。位置検出装置32は、算出した位置(x,y,z,θx,θy,θz)に関する位置情報を装置本体10へ送信する。
【0014】
なお、上述のように取得した位置情報と超音波プローブ70から送受信された超音波の超音波画像データとを時刻同期などで対応付けることにより、超音波画像データに位置情報が付与される。
【0015】
超音波プローブ70は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ70は、装置本体10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ70には、後述するオフセット処理や、フリーズなどの際に押下されるボタンが配置されてもよい。フリーズとは、例えば、超音波画像を収集していない状態を示す。
【0016】
超音波プローブ70から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射される。体内組織で反射された超音波は、反射波信号(エコー信号)として超音波プローブ70が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合、反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して周波数偏移を受ける。超音波プローブ70は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。超音波プローブ70は、例えば、複数の圧電振動子が所定の方向に沿って配列された1Dアレイプローブ、複数の圧電振動子が二次元マトリックス状に配列された2Dアレイプローブ、又は圧電振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なメカニカル4Dプローブ等である。
【0017】
装置本体10は、超音波プローブ70が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、画像生成回路15、内部記憶回路17、第1のメモリ18-1(第1のシネメモリ)、第2のメモリ18-2(第2のシネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース20、通信インタフェース21及び制御回路22を含む。
【0018】
超音波送信回路11は、超音波プローブ70に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、制御回路22の制御の下、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ70から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、制御回路22の制御の下、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ70に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
【0019】
超音波受信回路12は、超音波プローブ70によって受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、Analog-to-Digital(A/D)変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
【0020】
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0021】
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラスペクトラム画像データ、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を示すドプラスペクトラム画像に対応するドプラスペクトラム画像データを生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。ドプラ波形は、例えば観察部位として設定された範囲における血流速度が時系列に沿ってプロットされた波形である。すなわち、ドプラ波形は、血流速度の時間的変化を示す。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0022】
画像生成回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、各種超音波画像データを生成可能なプロセッサである。
【0023】
画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいてBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、音波の集束などの超音波プローブの特性や超音波ビーム(例えば、送受信ビーム)の音場特性などが反映された画素値(輝度値)を有する。例えば、Bモード画像データにおいて、被走査領域における超音波のフォーカス付近では、非フォーカス部分よりも相対的に高輝度となる。Bモード画像データに基づくBモード画像は、例えば被検体P内の構造物の形態を示す。画像生成回路15は、例えば、予め設定されたフレームレートに従い、Bモード画像データをフレーム単位で生成する。
【0024】
また、画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに基づいて、平均速度画像、分散画像、パワー画像等に係るドプラ画像データを生成する。画像生成回路15は、例えば、予め設定されたフレームレートに従い、ドプラ画像データをフレーム単位で生成する。
【0025】
また、画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW-ボクセル変換を実行することにより、形態情報を示すBモードボリュームデータを生成する。Bモードボリュームデータは、所望の範囲のボクセルから構成される。Bモードボリュームデータの各ボクセルには、反射波信号の信号強度に応じて所定の画素値(ボクセル値)が割り当てられている。
【0026】
また、画像生成回路15は、RAWデータメモリに記憶されたドプラデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW-ボクセル変換を実行することにより、血流情報を示す血流ボリュームデータを生成する。血流ボリュームデータは、所望の範囲のボクセルから構成される。血流ボリュームデータの各ボクセルには、例えば血流の方向及び血流の速度の大きさに応じて所定の画素値が割り当てられている。
【0027】
また、画像生成回路15は、例えば各種ボリュームデータに対してレンダリング処理を施し、レンダリング画像データを生成する。また、画像生成回路15は、各種ボリュームデータに対してMPR(Multi Planar Reconstruction)処理を施し、ボリュームデータにおける所定の断面画像(MPR画像)に対応するMPR画像データを生成する。また、画像生成回路15は、発生した各種ボリュームデータに対してCurved MPR処理を施し、ボリュームデータにおける所定の曲断面画像に対応する曲断面画像データを生成する。
【0028】
また、画像生成回路15は、生成した各種超音波画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正及びRGB変換等の各種処理を実行する。画像生成回路15は、予め設定された解像度及び表示フレームレートに基づいて表示機器50に表示するための超音波画像に対応する表示用超音波画像データを生成する。表示フレームレートとは、例えば画像生成回路15が1秒当たりに生成する超音波画像の表示フレーム数である。なお、表示フレームレートは、超音波プローブ70を用いた被検体Pに対する走査周期により定まるアコースティックフレームレートと基本的には同じである。なお、表示フレームレートは、例えば1秒当たり30フレームといった固定値に設定されてもよい。
【0029】
なお、画像生成回路15は、操作者(例えば、術者)が入力インタフェース20により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器50に表示させてもよい。表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。表示機器50は、例えば報知部の機能を有する。
【0030】
内部記憶回路17は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路17は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路17は、本実施形態に係る各種機能を実現するための制御プログラムを記憶している。また、内部記憶回路17は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び変換テーブルなどのデータ群を記憶している。変換テーブルには、例えば、映像化に用いるカラーデータが診断部位ごとに対応付けられている。また、内部記憶回路17は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜である、いわゆるアトラスを記憶してもよい。
【0031】
また、内部記憶回路17は、入力インタフェース20を介して入力される操作に従い、画像生成回路15で生成された各種超音波画像データ、ボリュームデータ、及びレンダリング画像データを記憶する。なお、内部記憶回路17は、入力インタフェース20を介して入力される操作に従い、画像生成回路15で生成された各種超音波画像データ、ボリュームデータ、及びレンダリング画像データを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。内部記憶回路17は、記憶しているデータを、通信インタフェース21を介して外部装置へ転送することも可能である。
【0032】
第1のメモリ18-1は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。第1のメモリ18-1には、表示機器50に表示される画像(表示画像)に対応する表示画像データが記憶される。尚、第1のメモリ18-1に記憶されるデータ量が当該第1のメモリ18-1の記憶容量を超過する場合、古いデータから順に削除され、新しいデータに更新される。
【0033】
例えば、第1のメモリ18-1は、入力インタフェース20を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを記憶する。フリーズ操作とは、超音波画像の収集を中断することである。第1のメモリ18-1に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)を行う際に利用される。当該画像には、超音波スキャンにより取得された超音波画像データに基づく画像、並びに、CT画像データ、MRI画像データ、X線画像データ、及び核医学画像データ等の他のモダリティにより取得された医用画像データに基づく画像が含まれる場合がある。
【0034】
第2のメモリ18-2は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。第2のメモリ18-2には、表示画像データの一部が記憶される。具体的には、第2のメモリ18-2に記憶される画像データは、例えば、第1のメモリ18-1に記憶される表示画像データの一部の画像データ(例えば、後述するMPR画像データ)である。第2のメモリ18-2に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)を行う際に利用される。
【0035】
画像データベース19は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、画像データベース19は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、超音波画像データ、CT(Computed Tomography)画像データ、MR(Magnetic Resonance)画像データ、PET(Positron Emission Tomography)-CT画像データ、PET-MR画像データ及びX線画像データが含まれる。また、過去画像データは、例えばボリュームデータ、及びレンダリング画像データとして記憶されている。
【0036】
なお、画像データベース19は、MO、CD-R、DVDなどの記録媒体(メディア)に記録された画像データを読み込むことで、所望の画像データを格納してもよい。
【0037】
入力インタフェース20は、入力装置60を介して、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置60には、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル及びタッチコマンドスクリーン(TCS)等が含まれる。また、入力装置60には、超音波の送受信方式、及び受信信号の処理方式等を含む各種撮像モードを切り替えるためのスイッチ群61が含まれる。スイッチ群61は、ダイヤルスイッチ、及び/又はトラックボール等の機械的なデバイスのみならず、TCS上に表示される操作パネル画像、又は、外部装置40におけるセカンドコンソール上に表示される操作パネル画像等のいずれであってもよい。
【0038】
入力インタフェース20は、例えばバスを介して制御回路22に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路22へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース20は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を無線信号として受け取り、この電気信号を制御回路22へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース20の例に含まれる。
【0039】
通信インタフェース21は、位置センサシステム30と例えば無線により接続し、位置検出装置32から送信される位置情報を受信する。また、通信インタフェース21は、ネットワーク500等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOMが挙げられる。
【0040】
制御回路22は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路22は、内部記憶回路17に記憶されている制御プログラムを実行することで、この制御プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22は、ボリュームデータ処理機能221、表示制御機能223、及びシステム制御機能225を有する。
【0041】
ボリュームデータ処理機能221は、超音波プローブ70の位置情報に基づき、超音波スキャンの走査断面に対応する断面画像に係る断面画像データを、ボリュームデータから生成する機能である。ボリュームデータ処理機能221が実行されると、制御回路22は、位置センサシステム30から供給される超音波プローブ70の位置情報を取得する。制御回路22は、取得した位置情報から超音波プローブ70の走査断面を算出する。制御回路22は、算出した走査断面に基づき、例えば画像データベース19に記憶されているボリュームデータに対してMPR処理を施し、MPR画像データを生成する。なお、位置センサシステム30から供給される位置情報に係る座標系と、画像データベース19に記憶されているボリュームデータに係る座標系とは、所定のレジストレーション手法により予め位置合わせされているものとする。
【0042】
表示制御機能223は、各種画像データに基づく画像を表示機器50に表示する機能である。表示制御機能223が実行されると、制御回路22は、例えば、超音波スキャンにより生成された各種超音波画像データに基づく超音波画像、及び、ボリュームデータ処理機能221により生成されたMPR画像データに基づくMPR画像を表示機器50に表示する。具体的には、制御回路22は、超音波スキャンにより生成された各種超音波画像データ及びボリュームデータ処理機能221により生成されたMPR画像データに基づいて、フュージョン画像データを生成する。フュージョン画像データに基づくフュージョン画像には、超音波スキャンによりリアルタイムで取得されるライブ画像としての超音波画像、及び、当該超音波画像の走査断面に対応するMPR画像が含まれる。制御回路22は、生成したフュージョン画像データを第1のメモリ18-1に記憶する。尚、前述の表示画像およびフュージョン画像(或いは、表示画像データおよびフュージョン画像データ)は、相互に読み替えられてもよい。
【0043】
また、制御回路22は、第1のメモリ18-1に記憶されたフュージョン画像データに基づいて、MPR画像データを生成する。制御回路22は、生成したMPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。
【0044】
また、制御回路22は、表示制御機能223により、MPR画像に対して、各種撮像モードに応じた超音波画像に関する情報を重畳表示してもよい。超音波画像に関する情報とは、例えば、超音波を発信する方向を示す直線(或いは、点線)、ドプラ計測の方向および焦点を示すカーソル、ドプラ計測の方向およびゲートを示すカーソル、ドプラ計測の方向を示す直線(或いは、点線)、CWモードスキャンにおける焦点に関する円マーカ、PWモードスキャンにおけるサンプル位置を示すサンプルマーカおよびROI(Region Of Interest)マーカなどである。
【0045】
システム制御機能225は、超音波診断装置1の入出力等の基本動作を制御する機能である。システム制御機能225が実行されると、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、各種撮像モードを開始する開始指示を受け付ける。各種撮像モードには、例えば、Bモード、カラードプラモード、CW(Continuous Wave)モード、PW(Pulsed Wave)モード、M(Motion)モード、及びSWE(Shear Wave Elastography)モード等が含まれる。
【0046】
Bモードは、Bモードスキャンにより、Bモード画像データを生成する撮像モードである。カラードプラモードは、カラードプラモードスキャンにより、例えばパルス波を用いて収集された血流情報に色が割り当てられたカラードプラ画像データを生成する撮像モードである。カラードプラモードスキャンには、Bモードスキャンが含まれる。そして、カラードプラモードでは、例えば、Bモード画像データ、及びカラードプラ画像データの両方が生成される。そして、Bモード画像データに基づくBモード画像上に、カラードプラ画像データに基づくカラードプラ画像が重畳表示される。
【0047】
CWモードは、連続波を送信しながら反射波を受信するCWモードスキャン(CW方式のスキャン)により1走査線上のドプラスペクトラム画像データを生成する撮像モードである。CWモードでは、連続波をターゲットに当て続ける必要があるため、Bモードスキャンを併用できない。
【0048】
PWモードは、走査線に対してパルス波を送信し、反射波を受信するPWモードスキャン(PW方式のスキャン)により特定の計測部位に関するドプラスペクトラム画像データを生成する撮像モードである。PWモードでは、超音波プローブが1本の走査線に対してPWモードスキャンを実行することが一般的だが、複数の走査線に対してPWモードスキャンを実行することも可能である。その場合、超音波プローブは、複数の走査線に対して、順々にパルス波を送信し、反射波を受信する。PWモードでは、血流を画質よく観察するために、ドプラスペクトラム画像データのみ更新を行うことがある。この場合、Bモードスキャンを併用できない。
【0049】
Mモードは、Mモードスキャンにより、ある走査線に注目し、当該走査線からのエコーデータから生成された直線上の輝度画像を時系列に並べたMモード画像データを生成する撮像モードである。Mモードにおいても、スキャンの性質上、Bモードスキャンを併用できない場合がある。
【0050】
SWEモードは、走査領域内での剪断波(シェアウェイブ)の伝播速度が組織の硬さに依存していることを利用した撮像モードである。SWEモードでは、まず被検体にプッシュパルスを送信することにより組織の一部を変形させ剪断波を生じさせる。そして、生じた剪断波が組織の中を伝播する様子を、プッシュパルスに続いて送信されるトラッキングパルスで観測し、SWE画像データ(剪断波の速度を示す画像データ、又は剪断波の速度から算出された硬さを示す画像データ)を生成する。SWEモードでは、1フレーム分のSWE画像データを生成するために比較的長い時間を要するため、Bモードスキャンを併用できない場合がある。
【0051】
Bモード、及びカラードプラモードは、特許請求の範囲に記載の第1撮像モードの一例である。また、CWモード、PWモード、Mモード、SWEモードは、特許請求の範囲に記載の第2撮像モードの一例である。また、Bモードスキャン、及びカラードプラモードスキャンは、特許請求の範囲に記載の第1スキャン方式の超音波スキャンの一例である。また、CWモードスキャン、PWモードスキャン、Mモードスキャン、及びSWEモードにおける超音波スキャンは、特許請求の範囲に記載の第2スキャン方式の超音波スキャンの一例である。
【0052】
また、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、撮像モードを切り替える切替指示を受け付ける。例えば、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、例えばカラードプラモード、又はBモードからCWモードへ切り替える切替指示を受け付ける。また、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、例えばカラードプラモード、又はBモードからPWモードへ切り替える切替指示を受け付ける。また、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、例えばカラードプラモード、又はBモードからMモードへ切り替える切替指示を受け付ける。また、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、例えばBモードからSWEモードへ切り替える切替指示を受け付ける。尚、切替指示において、切り替える前後のモードが入れ替わってもよい。例えば、制御回路22は、CWモードからカラードプラモード、又はBモードへ切り替える切替指示を受け付けてもよい。
【0053】
ボリュームデータ処理機能221、表示制御機能223、及びシステム制御機能225は、制御プログラムとして組み込まれていてもよいし、制御回路22自体または装置本体10に制御回路22が参照可能な回路として、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
【0054】
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作について、図2、及び図3のフローチャートを参照して説明する。図2は、図1の制御回路における、ドプラスペクトラム画像データを生成する際の動作を例示するフローチャートである。当該フローチャートの動作は、システム制御機能225により実現される。図3は、図1の制御回路における、フュージョン画像データの生成およびフュージョン画像の表示に関する動作を例示するフローチャートである。当該フローチャートの動作は、ボリュームデータ処理機能221、及び表示制御機能223により実現される。また、超音波プローブ70の位置を規定する座標系と、予め取得されるボリュームデータの断面位置を規定する座標系とは、予め位置合わせされているものとする。
【0055】
まず、図2を参照して第1の実施形態に係る超音波診断装置1がCWモードスキャンを実施する流れについて説明する。以下の説明では、カラードプラモードスキャンが実施された後に、CWモードスキャンが実施されるものとする。なお、カラードプラモードスキャンが実施された後に、PWモードスキャン又はMモードスキャン等が実施されてもよい。また、カラードプラモードスキャンの代わりにBモードスキャンを実施し、その後に、PWモードスキャン又はMモードスキャン等が実施されてもよい。
【0056】
制御回路22は、システム制御機能225を実行し、入力インタフェース20を介し、カラードプラモードを開始する開始指示を受け付ける(ステップSA1)。このとき、超音波プローブ70は、計測部位に向けて被検体Pに当接されている。
【0057】
制御回路22は、カラードプラモードを開始する開始指示を受け付けると、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、及び画像生成回路15を制御し、カラードプラモードスキャンを実施する(ステップSA2)。これにより、計測部位周辺のBモード画像に対応するBモード画像データ及びカラードプラ画像に対応するカラードプラ画像データが生成される。制御回路22は、生成したBモード画像データ及びカラードプラ画像データを合成し、合成画像データを生成する。合成画像データに基づく合成画像は、例えば、Bモード画像上に、カラードプラ画像が重畳表示された画像である。制御回路22は、合成画像データに基づく合成画像をライブ画像として表示機器50に表示される。このとき、操作者は、例えば超音波のスキャン範囲中に正しくドプラスペクトラム画像の計測部位が含まれているか否かをBモード画像により確認する。なお、制御回路22は、カラードプラモードスキャンの代わりにBモードスキャンを行ってもよい。このとき、制御回路22は、Bモード画像データを生成し、Bモード画像データに基づくBモード画像をライブ画像として表示機器50に表示してもよい。
【0058】
制御回路22は、Bモード画像、及びカラードプラ画像を表示機器50に表示すると、CWモードスキャンにおいて焦点を特定するマーカ(カーソル)が配置されるBモード画像上の位置の設定を受け付ける(ステップSA3)。焦点を特定するマーカの位置が決定されると、入力インタフェース20を介し、CWモードを開始する開始指示が操作者により入力される。尚、操作者は、固定されたマーカの位置に対して、Bモード画像を位置合わせしてもよい。
【0059】
制御回路22は、CWモードを開始する開始指示を受け付ける(ステップSA4)。
CWモードを開始する開始指示が受け付けられると、制御回路22は、カラードプラモードスキャンを停止した後、超音波送信回路11、超音波受信回路12、ドプラ処理回路14、及び画像生成回路15を制御し、CWモードスキャンを実施する(ステップSA5)。これにより、設定された焦点を特定するマーカの位置を含む1走査線上のドプラスペクトラム画像データが取得される。
【0060】
次に、図3を参照して第1の実施形態に係る超音波診断装置1がフュージョン画像データを生成し、生成したフュージョン画像データに基づくフュージョン画像を表示機器50に表示する流れについて説明する。以下、図2に示される超音波スキャンと並列して図3に示されるフュージョン画像データの生成が行われるものとする。具体的には、図2に示されるステップSA1からステップSA3までの処理が実行される間に、ステップSB2からステップSB8までの処理が並列して実行される。また、図2に示されるステップSA4及びステップSA5の処理が実行される間に、図3に示されるステップSB2からステップSB5まで、及びステップSB9からステップSB11までの処理が並列して実行される。
【0061】
また、予め画像データベース19に記憶されたボリュームデータは、3次元のCT画像データであるものとする。なお、ボリュームデータは、過去に取得された超音波画像データ、又は、他のモダリティにより取得されたMR画像データ、PET-CT画像データ、PET-MR画像データ、若しくはX線画像データ等であってもよい。
【0062】
制御回路22は、ボリュームデータ処理機能221を実行し、入力インタフェース20を介してフュージョン画像を表示する表示指示を受け付ける(ステップSB1)。制御回路22は、フュージョン画像を表示する表示指示を受け付けると、位置センサシステム30から供給される超音波プローブ70の位置情報を取得する(ステップSB2)。
【0063】
制御回路22は、取得した位置情報から超音波プローブ70の走査断面を算出する(ステップSB3)。制御回路22は、算出した走査断面に基づき、例えば画像データベース19に記憶されている予め取得されたボリュームデータに対してMPR処理を施し、MPR画像データを生成する(ステップSB4)。
【0064】
制御回路22は、撮像モードがCWモードであるか否か判定する(ステップSB5)。制御回路22は、撮像モードがCWモードでない場合(ステップSB5のNo)、すなわち撮像モードがカラードプラモードである場合、表示制御機能223を実行する(ステップSB6)。
【0065】
表示制御機能223の実行により、制御回路22は、カラードプラモードスキャンにより取得されたBモード画像データ、及び、当該Bモード画像データに基づくBモード画像の走査断面(即ち、ステップSB3において算出された走査断面)を示すMPR画像に対応するMPR画像データに基づいてフュージョン画像データ(第1のフュージョン画像データ)を生成する。第1のフュージョン画像には、少なくともBモード画像、及び当該Bモード画像に対応するMPR画像が含まれる。
【0066】
制御回路22は、生成した第1のフュージョン画像データを第1のメモリ18-1に記憶する(ステップSB7)。制御回路22は、生成した第1のフュージョン画像データに基づく第1のフュージョン画像を表示機器50に表示する(ステップSB8)。
【0067】
制御回路22は、超音波スキャンが終了したか否か判定する(ステップSB12)。制御回路22は、超音波スキャンが終了していない場合(ステップSB12のNo)、ステップSB2からステップSB5までの処理を再び実行する。制御回路22は、撮像モードがCWモードに切り替えられていない場合(ステップSB5のNo)、ステップSB6からステップSB8までの処理を再度実行する。このように、カラードプラモードにおいて、制御回路22は、ステップSB2からステップSB8までの処理を繰り返し実行し、表示機器50に表示される第1のフュージョン画像を更新し続ける。尚、「画像を更新し続ける」は、「画像を順次生成する」に読み替えてもよい。
【0068】
以下、入力装置60に含まれるスイッチ群61に対して所定の操作がされることにより、入力インタフェース20を介してCWモードを開始する開始指示が入力され、撮像モードがカラードプラモードからCWモードに切り替わった場合について説明する。
【0069】
図3に示されるステップSB5において、制御回路22は、撮像モードがCWモードであると判定し(ステップSB5のYes)、表示制御機能223を実行する。
【0070】
表示制御機能223の実行により制御回路22は、CWモードスキャンにより取得されたドプラスペクトラム画像データ、及び、当該ドプラスペクトラム画像データ取得時の超音波プローブ70の位置情報が示す走査断面(即ち、ステップSB3において算出された走査断面)を示すMPR画像に対応するMPR画像データに基づいてフュージョン画像データ(第2のフュージョン画像データ)を生成する(ステップSB9)。第2のフュージョン画像には、少なくともドプラスペクトラム画像、及びドプラスペクトラム画像に対応するMPR画像が含まれる。なお、カラードプラモード又はBモードから、Mモードに切り替える場合は、第2のフュージョン画像には、少なくともMモードスキャンにより生成されたMモード画像に基づくMモード画像、及びMモード画像に対応するMPR画像が含まれる。
【0071】
制御回路22は、生成した第2のフュージョン画像データを第1のメモリ18-1に記憶する(ステップSB10)。また、制御回路22は、第2のフュージョン画像データで用いたMPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。具体的には、制御回路22は、例えば、第2のフュージョン画像データからMPR画像データを切り出し、切り出したMPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。
【0072】
制御回路22は、生成した第2のフュージョン画像データに基づく第2のフュージョン画像を表示機器50に表示する(ステップSB11)。
【0073】
制御回路22は、超音波スキャンが終了したか否か判定する(ステップSB12)。制御回路22は、超音波スキャンが終了していない場合(ステップSB12のNo)、ステップSB2からステップSB5までの処理、及びステップSB9からステップSB11までの処理を再び実行する。このように、CWモードにおいて、制御回路22は、ステップSB2からステップSB5までの処理、及びステップSB9からステップSB11までの処理を繰り返し実行し、表示機器50に表示される第2のフュージョン画像を更新し続ける。
【0074】
制御回路22は、超音波スキャンが終了していると判定すると(ステップSB12のYes)、第2のフュージョン画像(或いは、第1のフュージョン画像)の更新を終了する。
【0075】
図4は、第1の実施形態に係る表示機器50に表示されるフュージョン画像(表示画像)の例である。図4の表示画像は、例えば、カラードプラモードスキャンが実施された後に、CWモードスキャンが開始された直後の画像に相当する。図4の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2、及び画像領域R3に分けられている。尚、表示画像は、4つ以上の画像領域に分けられてもよい。また、それぞれの画像領域に表示される画像は、相互に入れ替えられてもよい。このことは、以下の実施形態でも同様である。
【0076】
図4の画像領域R1には、図3に示されるステップSB4において生成されたMPR画像データに基づくMPR画像が表示される。操作者は、このMPR画像を視認することにより、Bモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置を把握することが可能となる。
【0077】
MRP画像には、スキャン範囲100およびカーソル101が重畳されている。スキャン範囲100は、超音波プローブ70の位置に基づくBモード画像の描画範囲を示す。カーソル101は、CWモードスキャンにおけるドプラ計測の方向および焦点を示す。具体的には、カーソル101は、例えば、ドプラ計測の方向を示す直線102と、当該直線102上に位置する円マーカ103とによって示される。円マーカ103の中心は、例えばCWモードスキャンにおける焦点を示す。カーソル101の位置は、CWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて算出されている。
【0078】
図4の画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。Bモード画像200には、カラードプラ画像201およびカーソル202が重畳されている。カーソル202は、カーソル101と同様である。Bモード画像200は、例えばカラードプラモードスキャンが停止される直前に取得されたBモード画像データに基づくBモード画像に相当する。
【0079】
図4の画像領域R3には、ドプラスペクトラム画像300およびECG(Electro Cardio Graph)波形301が表示される。ドプラスペクトラム画像300は、例えば、CWモードスキャンにより取得される。ECG波形は、ドプラスペクトラム画像300と時間軸を合わせて取得されたECG波形データに基づいて生成される。ECG波形データは、例えば超音波診断装置1が備える不図示の心電計により取得される。心電計は、例えばCWモードスキャンの対象となる被検体Pに取り付けた電極から心拍に同期して発せられる電気信号を検出する計測装置である。なお、ECG波形は、生体情報をグラフ化して得られる生体波形の一例であり、ECG波形の代わりに被検体Pの周期性を有する他の生体信号に基づく波形、例えば呼吸波形等を用いてもよい。また、ECG波形上における時相を指定する操作に応じて、第2のメモリ18-2から指定された時相に対応するMPR画像が読み出されてもよい。
【0080】
第2のメモリ18-2に記憶されたMPR画像データは、画質変更設定時、及びCWモードスキャンを停止した後に、ドプラスペクトラム画像を時系列に沿って個別確認する際に参照される。例えば、ドプラスペクトラム画像上における時相を指定する操作に応じて、第2のメモリ18-2から指定された時相に対応するMPR画像が読み出される。なお、カラードプラモード又はBモードから、Mモードに切り替える場合は、Mモードスキャンにより生成されたMモード画像データに基づくMモード画像上における時相を指定する操作に応じて、第2のメモリ18-2から指定された時相に対応するMPR画像が読み出されるようにしてもよい。
【0081】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、制御回路22は、入力インタフェース20を介し、カラードプラモードからCWモードへのモード切替を受け付ける。制御回路22は、カラードプラモードにおいて、超音波送信回路11、超音波受信回路12、及びBモード処理回路13を制御し、カラードプラモードスキャンにより受信信号を生成する。また、制御回路22は、CWモードにおいて、超音波送信回路11、超音波受信回路12を制御し、CWモードスキャンにより受信信号を生成する。制御回路22は、カラードプラモードにおいて生成した受信信号に基づいて、Bモード画像データを順次生成する。また、制御回路22は、CWモードにおいて、生成した受信信号に基づいて、ドプラスペクトラム画像データを順次生成する。制御回路22は、ボリュームデータ処理機能221を実行し、位置センサシステム30から供給される超音波プローブ70の位置情報に基づいて、予め画像データベース19に記憶されたボリュームデータ(例えば、CT画像データ)からMPR画像データを順次生成する。制御回路22は、カラードプラモードにおいて、Bモード画像、及び当該Bモード画像に対応するMPR画像が含まれる第1のフュージョン画像を表示機器50に順次表示させる。制御回路22は、CWモードにおいて、ドプラスペクトラム画像、及び当該ドプラスペクトラム画像に対応するMPR画像が含まれる第2のフュージョン画像を表示機器50に順次表示させる。
【0082】
これにより、操作者は、例えばCWモードスキャン中にBモードスキャンが併用できない場合においても、順次更新されるMPR画像を視認することができる。MPR画像は、Bモード画像と同様に組織を形態的に示す画像であるため、表示されているMPR画像に含まれる形態学的構造を基準として超音波プローブ70の位置を把握することが可能となる。
【0083】
したがって、Bモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置の把握を支援することが可能となる。
【0084】
[(第2の実施形態)
第1の実施形態では、制御回路22は、超音波プローブ70の位置に対応するMPR画像をリアルタイムに表示し続けることにより、例えばBモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置の把握を可能としていた。第2の実施形態では、超音波プローブ70の位置に対応するMPR画像をリアルタイムに表示し続けることに加え、モード切替後に超音波プローブ70の位置ずれを報知する場合について説明する。
【0085】
図5に示されるように、超音波診断装置1Aは、装置本体10A、超音波プローブ70、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60を備える。装置本体10Aは、ネットワーク500を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10Aは、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60と接続される。
【0086】
装置本体10Aは、超音波プローブ70が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Aは、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、画像生成回路15、内部記憶回路17、第1のメモリ18-1(第1のシネメモリ)、第2のメモリ18-2(第2のシネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース20、通信インタフェース21及び制御回路22Aを含む。
【0087】
制御回路22Aは、例えば、超音波診断装置1Aの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Aは、内部記憶回路17に記憶されている制御プログラムを実行することで、この制御プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Aは、ボリュームデータ処理機能221、表示制御機能223A、システム制御機能225、及び位置ずれ検出機能227を有する。
【0088】
位置ずれ検出機能227は、超音波プローブ70に設けられた位置センサ31により収集された、モード切替時の位置情報と、モード切替後の位置情報とに基づいて、超音波プローブ70の位置ずれを検出する機能である。位置ずれとは、例えば、モード切替後に超音波プローブ70の位置がずれることにより生じる超音波プローブ70から送信される超音波のフォーカス位置のずれである。超音波のフォーカス位置は、例えばPWモードスキャンが実行される前に設定されるサンプルゲートの中心の位置である。サンプルゲートは、ドプラスペクトラム画像を計測する部位を指定するためのマーカである。
【0089】
具体的には、位置ずれ検出機能227が実行されると、制御回路22Aは、例えば、PWモードスキャンが実行される前に設定された超音波のフォーカス位置を取得する。また、制御回路22Aは、PWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて、超音波のフォーカス位置を算出する。制御回路22Aは、Bモードスキャンが停止される直前の超音波のフォーカス位置と、算出した超音波のフォーカス位置との差分、例えばユークリッド空間上の距離を算出する。これにより、位置ずれが検出される。
【0090】
表示制御機能223Aは、第1の実施形態に係る表示制御機能223が備える機能に加えて、PWモードスキャン中において、Bモードスキャン停止時からの超音波プローブ70の位置ずれを報知する機能を有する。表示制御機能223Aが実行されると、制御回路22Aは、例えば、位置ずれ検出機能227により検出された位置ずれに基づいて、位置ずれの度合いを示すガイド画像データを生成する。ガイド画像データに基づくガイド画像には、例えば、位置ずれ検出機能227により算出されたユークリッド空間上の距離が含まれる。また、制御回路22Aは、PWモードスキャン中に生成されるドプラスペクトラム画像データ、ボリュームデータ処理機能221により生成されたMPR画像データ、及び生成したガイド画像データに基づいて、フュージョン画像データ(第3のフュージョン画像データ)を生成する。
【0091】
第3のフュージョン画像データに基づく第3のフュージョン画像には、PWモードスキャンによりリアルタイムで取得されるドプラスペクトラム画像、当該ドプラスペクトラム画像取得時の走査断面に対応するMPR画像、及びガイド画像が含まれる。制御回路22Aは、生成した第3のフュージョン画像データを第1のメモリ18-1に記憶する。また、制御回路22Aは、第3のフュージョン画像データの生成に用いたMPR画像データ、及びガイド画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。尚、第2のメモリ18-2に記憶されるMPR画像データには、ガイド画像データの情報が重畳されていてもよい。
【0092】
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aの動作について、図6、及び図7のフローチャートを参照して説明する。図6は、図5の制御回路における、ドプラスペクトラム画像データを生成する際の動作を例示するフローチャートである。当該フローチャートの動作は、システム制御機能225により実現される。図7は、図5の制御回路における、フュージョン画像データの生成およびフュージョン画像の表示に関する動作を例示するフローチャートである。当該フローチャートの動作は、ボリュームデータ処理機能221、表示制御機能223A、及び位置ずれ検出機能227により実現される。
【0093】
まず、図6を参照して第2の実施形態に係る超音波診断装置1がPWモードスキャンを実施する流れについて説明する。以下の説明では、カラードプラモードスキャンが実施された後に、PWモードスキャンが実施されるものとする。このとき、PWモードスキャンの計測位置の数は1つであるものとする。なお、カラードプラモードスキャンが実施された後に、CWモードスキャン又はMモードスキャン等が実施されてもよい。また、カラードプラモードスキャンの代わりにBモードスキャンを実施し、その後に、CWモードスキャン又はMモードスキャン等が実施されてもよい。
【0094】
ステップSC1、及びステップSC2の処理は、図2に示されるステップSA1、及びステップSA2と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0095】
制御回路22Aは、Bモード画像、及びカラードプラ画像を表示機器50に表示すると、サンプルゲートと呼ばれるマーカ(カーソル)が配置されるBモード画像上の位置の設定を受け付ける(ステップSC3)。サンプルゲートの位置が決定されると、入力インタフェース20を介し、PWモードを開始する開始指示が操作者により入力される。
【0096】
制御回路22Aは、PWモードを開始する開始指示を受け付ける(ステップSC4)。PWモードを開始する開始指示が受け付けられると、制御回路22Aは、カラードプラモードスキャンを停止した後、超音波送信回路11、超音波受信回路12、ドプラ処理回路14、及び画像生成回路15を制御し、PWモードスキャンを実施する(ステップSC5)。これにより、設定されたサンプルゲートの位置におけるドプラスペクトラム画像データが取得される。
【0097】
次に、図7を参照して第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aがフュージョン画像データを生成し、生成したフュージョン画像データに基づくフュージョン画像を表示機器50に表示する流れについて説明する。以下、図6に示される超音波スキャンと並列して図7に示されるフュージョン画像データの生成が行われるものとする。具体的には、図6に示されるステップSC1からステップSC3までの処理が実行される間に、図7に示されるステップSD2からステップSD8までの処理が並列して実行される。また、図6に示されるステップSC4及びステップSC5の処理が実行される間に、図7に示されるステップSD2からステップSD5まで、及びステップSD9からステップSD13までの処理が並列して実行される。
【0098】
ステップSD1からステップSD4までの処理は、図3に示されるステップSB1からステップSB4までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
制御回路22Aは、撮像モードがPWモードであるか否か判定する(ステップSD5)。制御回路22Aは、撮像モードがPWモードでない場合(ステップSD5のNo)、すなわち撮像モードがカラードプラモードである場合、表示制御機能223Aを実行する(ステップSD6)。
【0100】
図7に示されるステップSD7及びステップSD8の処理は、図3に示されるステップSB7及びステップSB8の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
以下、入力インタフェース20を介してPWモードを開始する開始指示が入力され、撮像モードがカラードプラモードからPWモードに切り替わった場合について説明する。
【0102】
図7に示されるステップSD5において、制御回路22Aは、撮像モードがPWモードであると判定し(ステップSD5のYes)、位置ずれ検出機能227を実行する(ステップSD9)。
【0103】
位置ずれ検出機能227の実行により制御回路22Aは、PWモードスキャンが実行される前に設定された超音波のフォーカス位置を取得する。また、制御回路22Aは、PWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて、超音波のフォーカス位置を算出する。制御回路22Aは、カラードプラモードスキャンが停止される直前の超音波のフォーカス位置と、算出した超音波のフォーカス位置との差分、例えばユークリッド空間上の距離を算出する(ステップSD9)。これにより、位置ずれが検出される。
【0104】
制御回路22Aは、位置ずれを検出すると、表示制御機能223Aを実行し、算出したユークリッド空間上の距離に基づいて、ガイド画像データを生成する(ステップSD10)。
【0105】
制御回路22Aは、PWモードスキャン中に生成されるドプラスペクトラム画像データ、図7に示されるステップSD4において生成されたMPR画像データ、及び生成したガイド画像データに基づいて、第3のフュージョン画像データを生成する(ステップSD11)。第3のフュージョン画像データに基づくフュージョン画像には、少なくともドプラスペクトラム画像、当該ドプラスペクトラム画像に対応するMPR画像、及びステップSD10において生成されたガイド画像データに基づくガイド画像が含まれる。
【0106】
制御回路22Aは、生成した第3のフュージョン画像データを第1のメモリ18-1に記憶する(ステップSD12)。また、制御回路22Aは、第3のフュージョン画像データで用いたMPR画像データ、及びガイド画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。具体的には、制御回路22Aは、第3のフュージョン画像データから、ガイド画像データが重畳されたMPR画像データを切り出し、切り出したMPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶する。
【0107】
制御回路22Aは、生成した第3のフュージョン画像データに基づく第3のフュージョン画像を表示機器50に表示する(ステップSD13)。
【0108】
制御回路22Aは、超音波スキャンが終了したか否か判定する(ステップSD14)。制御回路22Aは、超音波スキャンが終了していない場合(ステップSD14のNo)、ステップSD2からステップSD5までの処理、及びステップSD9からステップSD13までの処理を再び実行する。このように、PWモードにおいて、制御回路22Aは、ステップSD2からステップSD5までの処理、及びステップSD9からステップSD11までの処理を繰り返し実行し、表示機器50に表示される第3のフュージョン画像を更新し続ける。
【0109】
制御回路22は、超音波スキャンが終了していると判定すると(ステップSD14のYes)、第3のフュージョン画像(或いは、第1のフュージョン画像)の更新を終了する。
【0110】
図8は、第2の実施形態に係る表示機器50に表示されるフュージョン画像(表示画像)の例である。図8の表示画像は、例えば、カラードプラモードスキャンが実施された後に、PWモードスキャンが開始された直後の画像に相当する。図8の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2、及び画像領域R3に分けられている。
【0111】
図8の画像領域R1には、図7に示されるステップSD4において生成されたMPR画像データに基づくMPR画像が表示される。操作者は、このMPR画像を視認することにより、Bモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置を把握することが可能となる。
【0112】
MPR画像には、スキャン範囲100およびカーソル104(ドプラカーソル)が重畳されている。カーソル104は、PWモードスキャンにおけるドプラ計測の方向およびゲートを示す。具体的には、カーソル104は、例えば、パルスドプラ計測の方向を示す直線105と、計測部位を指定する短い直線の組(二重線)によって示されるゲート106とによって示される。カーソル104の位置は、PWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて算出されている。
【0113】
また、MPR画像には、例えば、文字列「Distance:3.5mm」が重畳されている。文字列「Distance:3.5mm」は、表示機器50を視認する操作者に対し、超音波プローブ70の位置ずれが発生していることを報知するために表示されている。「3.5mm」は、図7に示されるステップSD9において制御回路22Aにより算出されたユークリッド空間上の距離を示す。「3.5mm」は、例えばゲート106の中心Oからの距離である。また、図8に示される文字列「Distance:3.5mm」、及びゲート106には、算出されたユークリッド空間上の距離に応じて所定の表示色が割り当てられている。表示色は、例えば黄色である。これにより、操作者は、表示色に応じて位置ずれの度合いを把握することが可能となる。
【0114】
なお、制御回路22Aは、PWモードスキャンが開始される前に設定された第1のサンプルゲートと、PWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて算出された位置に基づく第2サンプルゲートとを並列に表示するようにしてもよい。このとき、制御回路22Aは、例えば、第1のサンプルゲートに所定の表示色を割り当てる。また、制御回路22Aは、第2のサンプルゲートに第1のサンプルゲートに割り当てられる表示色とは異なる表示色を、算出されたユークリッド空間上の距離に応じて割り当てる。
【0115】
図8の画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。Bモード画像200には、カラードプラ画像201およびカーソル203が重畳されている。カーソル203は、カーソル104と同様である。Bモード画像200は、例えばカラードプラモードスキャンが停止される直前に取得されたBモード画像データに基づくBモード画像に相当する。
【0116】
図8の画像領域R3には、ドプラスペクトラム画像300およびECG波形301が表示される。ドプラスペクトラム画像300は、例えば、PWモードスキャンにより取得される。
【0117】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、制御回路22Aは、入力インタフェース20を介し、カラードプラモードからPWモードへのモード切替を受け付ける。制御回路22Aは、カラードプラモードにおいて、超音波送信回路11、超音波受信回路12を制御し、カラードプラモードスキャンにより受信信号を生成する。また、制御回路22Aは、PWモードにおいて、超音波送信回路11、超音波受信回路12を制御し、PWモードスキャンにより受信信号を生成する。制御回路22Aは、カラードプラモードにおいて生成したBモードデータに基づいて、Bモード画像データを順次生成する。また、制御回路22Aは、PWモードにおいて、生成したドプラデータに基づいて、ドプラスペクトラム画像データを順次生成する。制御回路22Aは、PWモードスキャン中において、位置ずれ検出機能227を実行し、カラードプラモードスキャンが停止される直前の超音波プローブ70の位置情報と、PWモードスキャン中の超音波プローブ70の位置情報とに基づいて、超音波プローブ70の位置ずれを検出する。制御回路22Aは、表示制御機能223Aを実行し、検出した位置ずれをユークリッド空間上の距離として表示機器50に表示する。
【0118】
これにより、操作者は、Bモード画像を収集していないときにおいて超音波プローブ70の位置ずれが発生していることを明確に把握することが可能となる。
【0119】
(他の実施形態)
第1の実施形態では、制御回路22は、CWモードスキャン中に生成されたMPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶していたがこれに限定されない。例えば、制御回路22は、CWモードを開始する開始指示を受け付けた際に、カラードプラモードスキャン中に第1のメモリ18-1に記憶されていた第1のフュージョン画像データに基づいてMPR画像データを生成し、当該MPR画像データを第2のメモリ18-2に記憶してもよい。これにより、撮像モード切替以前に生成されたMPR画像データについてもMPR画像のみを視認したい場合に参照することが可能となる。
【0120】
また、第2の実施形態では、制御回路22Aは、超音波プローブ70の位置情報に基づいてMPR画像データを生成していたがこれに限定されない。制御回路22Aは、例えばMPR画像データを生成せず、ガイド画像のみにより位置ずれを報知する。具体的には、制御回路22Aは、例えば図9に示される画像領域R2に表示されるBモード画像200に重畳させる形で文字列「Distance:3.5mm」、及びサンプルゲート211を表示する。図9は、他の実施形態に係る表示機器50に表示されるフュージョン画像の例である。このとき、制御回路22Aは、図9に示されるように、画像領域R1には何も表示しない。これにより、MPR画像データを生成する負荷を軽減することが可能となる。
【0121】
また、第2の実施形態では、制御回路22Aは、位置ずれについて文字列によりユークリッド空間上の距離のみを表示していたがこれに限定されない。制御回路22Aは、例えば、図10に示されるように、平面で示される画像領域R2において奥行き方向のずれ量が分かる画像を表示してもよい。図10は、他の実施形態に係る表示機器50に表示されるフュージョン画像の例である。図10に示されるように、制御回路22Aは、例えば、サンプルゲート211の中心Oから所定の距離d離れた点の集合である円212を表示する。これにより、操作者は、例えば図10に示される奥行き方向(Z方向)に所定の距離dだけ位置ずれしていることを把握することが可能となる。
【0122】
また、第2の実施形態では、PWモードスキャンにおいて、例えば制御回路22Aは、1つの走査線に対してパルス波を送信し、反射波を受信してドプラスペクトラム画像データを生成していたがこれに限られない。例えば、制御回路22Aは、PWモードスキャンにおいて、複数の走査線に対し、順々にパルス波を送信し、反射波を受信してドプラスペクトラム画像データを生成してもよい。例えば、制御回路22Aは、それぞれ異なる走査線に位置する第1の計測位置及び第2の計測位置に対し、交互にパルス波を送信し、その反射波をそれぞれ受信する。これにより、制御回路22Aは、2つの計測位置におけるドプラスペクトラム画像データを生成し、当該生成された2つのドプラスペクトラム画像データに基づくドプラスペクトラム画像を同時に表示することが可能となる。
【0123】
また、上記実施形態では、例えば、制御回路22は、図3に示されるステップSB4において、1時相に対応するボリュームデータを前提として、当該ボリュームデータにMPR処理を施してMPR画像データを生成していた。しかしながら、これに限定されない。制御回路22は、例えば、複数の時相それぞれに対応するボリュームデータにMPR処理を施してMPR画像データを生成してもよい。このとき、制御回路22は、生体波形に同期させて、MPR画像データの基となるボリュームデータを切り替える。具体的には、制御回路22は、超音波プローブ70の位置情報だけでなく、例えばボリュームデータ取得時に時系列を合わせて取得されたECG波形データ、及び、PWモードスキャン時に合わせて取得されるECG波形データに基づき、PWモードスキャン中の心電時相に同期したMPR画像データを生成し、MPR画像の表示を切り替えるようにする。
【0124】
また、上記実施形態では、例えば、制御回路22は、図4に示される表示機器50の画面上にCT画像データに係るMPR画像を1つ表示していたがこれに限定されない。制御回路22は、例えば、異なるモダリティにより取得された複数のボリュームデータからそれぞれ生成された複数のMPR画像を表示機器50に表示するようにしてもよい。
【0125】
また、上記実施形態において、Bモードスキャン、及びカラードプラモードスキャンにより、超音波受信回路12において生成される受信信号は、特許請求の範囲に記載の第1エコーデータの一例である。また、CWモードスキャン、PWモードスキャン、Mモードスキャン、及びPWEモードスキャンにより、超音波受信回路12において生成される受信信号は、特許請求の範囲に記載の第2エコーデータの一例である。また、Bモード画像、及びBモード画像とカラードプラ画像とを合成した合成画像は、特許請求の範囲に記載の第1画像の一例である。また、ドプラスペクトラム画像、Mモード画像、弾性画像データに基づく弾性画像は、第2画像の特許請求の範囲に記載の第2画像の一例である。また、MPR画像は、特許請求の範囲に記載の第3画像の一例である。
【0126】
(表示例)
図11は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像(表示画像)の一例を示す図である。図11の表示画像は、例えば、Bモードスキャンが実施された後に、CWモードスキャンが開始された直後の画像に相当する。図11の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2および画像領域R3に分けられている。図11の表示画像は、円マーカを表示しない点において図4の表示画像と異なる。
【0127】
画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。Bモード画像200には、カーソル204が重畳されている。カーソル204は、CWモードにおける超音波を発信する方向を示す。尚、画像領域R2には、Bモード画像にカラードプラ表示を含めた合成画像が表示されてもよい。
【0128】
画像領域R1には、MPR画像が表示される。MPR画像には、スキャン範囲100およびカーソル107が重畳されている。カーソル107は、カーソル204と同様である。カーソル107の位置は、例えば、CWモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて算出される。
【0129】
画像領域R3には、ドプラスペクトラム画像300およびECG波形301が表示される。ドプラスペクトラム画像300は、例えば、CWモードスキャンにより取得される。
【0130】
概括すると、図11の表示画像は、少なくともMPR画像およびBモード画像を同時に表示するフュージョン画像と、少なくともMPR画像およびドプラスペクトラム画像を同時に表示するフュージョン画像とを含む。また、MPR画像には、カーソル107が常に表示される。よって、MPR画像上にカーソル107が常に表示されることにより、操作者は、エコーデータの収集位置を常に把握することができる。
【0131】
図12は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像(表示画像)の一例を示す図である。図12の表示画像は、例えば、Bモードスキャンが実施された後に、Mモードスキャンを実施している画像に相当する。図12の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2および画像領域R3に分けられている。
【0132】
画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。Bモード画像200には、カーソル205が重畳されている。カーソル205は、Mモードにおける超音波を発信する方向を示す。
【0133】
画像領域R1には、MPR画像が表示される。MPR画像には、スキャン範囲100およびカーソル108が重畳されている。カーソル108は、カーソル205と同様である。カーソル108の位置は、例えば、Mモードスキャン中に取得される超音波プローブ70の位置情報に基づいて算出される。
【0134】
画像領域R3には、Mモード画像310が表示される。Mモード画像310は、例えば、Mモードスキャンにより取得される。
【0135】
概括すると、図12の表示画像は、少なくともMPR画像およびBモード画像を同時に表示するフュージョン画像と、少なくともMPR画像およびMモード画像を同時に表示するフュージョン画像とを含む。また、MPR画像には、カーソル108が常に表示される。よって、MPR画像上にカーソル108が常に表示されることにより、操作者は、エコーデータの収集位置を常に把握することができる。
【0136】
図13は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像(表示画像)の一例を示す図である。図13の表示画像は、例えば、Bモードスキャンが実施された後に、SWEモードスキャンを実施している画像に相当する。図13の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2および画像領域R3に分けられている。
【0137】
画像領域R1には、MPR画像が表示される。MPR画像には、スキャン範囲100およびROIマーカ109が重畳されている。ROIマーカ109は、例えば、SWEモードにおける、剪断波伝播速度表示、弾性率表示および伝播表示などの範囲を示す。
【0138】
画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。尚、Bモード画像200には、ROIマーカ109に相当するROIマーカが重畳されてもよい。
【0139】
画像領域R3には、SWE画像320が表示される。SWE画像320には、伝播表示画像330が重畳されている。SWE画像320は、例えば、SWEモードスキャンにより取得される。尚、SWE画像320に重畳される画像は、例えば、剪断波伝播速度表示画像や弾性率表示画像でもよい。
【0140】
概括すると、図13の表示画像は、少なくともMPR画像およびBモード画像を同時に表示するフュージョン画像と、少なくともMPR画像およびSWE画像を同時に表示するフュージョン画像とを含む。また、MPR画像には、ROIマーカ109が常に表示される。よって、MPR画像上にROIマーカ109が常に表示される事により、操作者は、エコーデータの収集位置を常に把握することができる。
【0141】
図14は、他の実施形態に係る表示機器に表示されるフュージョン画像(表示画像)の一例を示す図である。図14の表示画像は、例えば、Bモードスキャンが実施された後に、SWEモードスキャンを実施している画像に相当する。図14の表示画像は、例えば、画像領域R1、画像領域R2、画像領域R3および画像領域R4に分けられている。
【0142】
画像領域R1には、MPR画像が表示される。MPR画像には、スキャン範囲100およびROIマーカ109が重畳されている。画像領域R2には、Bモード画像200が表示される。画像領域R3には、SWE画像320が表示される。SWE画像320には、伝播表示画像330が重畳されている。
【0143】
画像領域R4には、SWE画像400が表示される。SWE画像400には、弾性率表示画像410が重畳されている。SWE画像400は、例えば、SWEモードスキャンにより取得される。尚、SWE画像400に重畳される画像は、剪断波伝播速度表示画像でもよい。
【0144】
概括すると、図14の表示画像は、少なくともMPR画像およびBモード画像を同時に表示するフュージョン画像と、少なくともMPR画像および複数のSWE画像を同時に表示するフュージョン画像とを含む。また、MPR画像には、ROIマーカ109が常に表示される。よって、MPR画像上にROIマーカ109が常に表示される事により、操作者は、エコーデータの収集位置を常に把握することができる。
【0145】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、Bモード画像を収集していないときにおけるエコーデータの収集位置の把握を支援することができる。
【0146】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1、及び図5における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
1,1A…超音波診断装置
11…超音波送信回路
12…超音波受信回路
13…Bモード処理回路
14…ドプラ処理回路
15…画像生成回路
17…内部記憶回路
18-1…第1のメモリ
18-2…第2のメモリ
19…画像データベース
20…入力インタフェース
21…通信インタフェース
22,22A…制御回路
30…位置センサシステム
40…外部装置
50…表示機器
60…入力装置
70…超音波プローブ
221…ボリュームデータ処理機能
223,223A…表示制御機能
225…システム制御機能
227…位置ずれ検出機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14