(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20221206BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H01B7/00 301
H01B7/00 304
(21)【出願番号】P 2018190747
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真史
(72)【発明者】
【氏名】豊田 涼馬
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】坪 慧吾
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-216914(JP,A)
【文献】特開平02-295199(JP,A)
【文献】特開2016-208487(JP,A)
【文献】実開平04-020295(JP,U)
【文献】特開2009-140690(JP,A)
【文献】特表2008-503856(JP,A)
【文献】特開2012-238710(JP,A)
【文献】特開2012-100002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、併走させた第1電線及び第2電線の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で前記第1電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続される導電性の第1回路接続部材、並びに前記配列方向で前記第1回路接続部材に対して間を空けて並べて配置されると共に前記直交方向で前記第2電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続される導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、
前記フィルタ回路並びに併走させた前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、
を備え、
前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材は、各々、導電性材料で板状に成形されたものであり、
前記第1回路接続部材は、前記直交方向で前記第1電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続体と、前記直交方向で前記第1電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、
前記第2回路接続部材は、前記直交方向で前記第2電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続体と、前記直交方向で前記第2電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたもの
であり、
前記第1電線側接続体と前記第2電線側接続体は、各々、前記直交方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成され、
前記筐体は、前記第1電線側接続体の間で前記第1電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第1挟持体と、前記第2電線側接続体との間で前記第2電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第2挟持体と、を有することを特徴としたノイズフィルタ。
【請求項2】
前記筐体は、前記ノイズ低減素子が収容される素子収容室を内方に有し、かつ、固定対象物との間で互いに係合し合う固定機構の係合体を前記直交方向に位置する外壁面から突出させて設け、
前記素子収容室と前記係合体は、前記軸線方向で並べて配置することを特徴とした請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記第1素子側接続体は、前記直交方向における前記第1電線とは逆側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、
前記第2素子側接続体は、前記直交方向における前記第2電線とは逆側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることを特徴とした請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記第1素子側接続体は、前記直交方向における前記第1電線側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、
前記第2素子側接続体は、前記直交方向における前記第2電線側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることを特徴とした請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
前記筐体は、前記ノイズ低減素子を収容する素子収容室を内方に設け、かつ、固定対象物との間で互いに係合し合う固定機構の係合体を前記直交方向に位置する外壁面から突出させて設け、
前記素子収容室と前記係合体は、前記軸線方向で並べて配置し、
前記第1回路接続部材は、前記係合体が設けられた前記外壁面を有する被設置壁体に設置され、かつ、前記第1電線側接続体が形成される第1設置壁体を有し、
前記第2回路接続部材は、前記被設置壁体に設置され、かつ、前記第2電線側接続体が形成される第2設置壁体を有し、
前記第1素子側接続体は、前記直交方向で前記第1設置壁体に対してオフセットさせて前記素子収容室に収容し、前記直交方向における前記第1電線側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、
前記第2素子側接続体は、前記直交方向で前記第2設置壁体に対してオフセットさせて前記素子収容室に収容し、前記直交方向における前記第2電線側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることを特徴とした請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項6】
第1電線及び第2電線を含む幹線と、
ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、
を備え、
前記ノイズフィルタは、
ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、併走させた前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で前記第1電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続される導電性の第1回路接続部材、並びに前記配列方向で前記第1回路接続部材に対して間を空けて並べて配置されると共に前記直交方向で前記第2電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続される導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、
前記フィルタ回路並びに併走させた前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、
を備え、
前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材は、各々、導電性材料で板状に成形されたものであり、
前記第1回路接続部材は、前記直交方向で前記第1電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続体と、前記直交方向で前記第1電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、
前記第2回路接続部材は、前記直交方向で前記第2電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続体と、前記直交方向で前記第2電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたもの
であり、
前記第1電線側接続体と前記第2電線側接続体は、各々、前記直交方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成され、
前記筐体は、前記第1電線側接続体の間で前記第1電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第1挟持体と、前記第2電線側接続体との間で前記第2電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第2挟持体と、を有することを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線に乗った電気的なノイズを低減させるべく、そのノイズ低減対象電線にノイズフィルタを介装させる、という技術が知られている。そのノイズフィルタは、コンデンサ等のノイズ低減素子が設けられたフィルタ回路を備えており、そのフィルタ回路をノイズ低減対象電線とアース端子との間に介在させている。この種のノイズフィルタについては、例えば、下記の特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-100061号公報
【文献】特開2012-039201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のノイズフィルタは、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間を別の中間電線で繋いでいる。例えば、上記特許文献1のノイズフィルタは、幹線のノイズ低減対象電線から分岐させた2本の分岐電線に対してフィルタ回路を電気的に接続して、そのノイズ低減対象電線に乗っているノイズ成分を低減させている。このため、従来のノイズフィルタは、その分岐電線などのような中間電線に乗ってしまうノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、中間電線の影響を受けることのないノイズフィルタ及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係るノイズフィルタは、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、併走させた第1電線及び第2電線の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で前記第1電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続される導電性の第1回路接続部材、並びに前記配列方向で前記第1回路接続部材に対して間を空けて並べて配置されると共に前記直交方向で前記第2電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続される導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、前記フィルタ回路並びに併走させた前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、を備え、前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材は、各々、導電性材料で板状に成形されたものであり、前記第1回路接続部材は、前記直交方向で前記第1電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続体と、前記直交方向で前記第1電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、前記第2回路接続部材は、前記直交方向で前記第2電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続体と、前記直交方向で前記第2電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、前記第1電線側接続体と前記第2電線側接続体は、各々、前記直交方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成され、前記筐体は、前記第1電線側接続体の間で前記第1電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第1挟持体と、前記第2電線側接続体との間で前記第2電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第2挟持体と、を有することを特徴としている。
【0007】
ここで、前記筐体は、前記ノイズ低減素子が収容される素子収容室を内方に有し、かつ、固定対象物との間で互いに係合し合う固定機構の係合体を前記直交方向に位置する外壁面から突出させて設け、前記素子収容室と前記係合体は、前記軸線方向で並べて配置することが望ましい。
【0008】
また、前記第1素子側接続体は、前記直交方向における前記第1電線とは逆側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、前記第2素子側接続体は、前記直交方向における前記第2電線とは逆側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることが望ましい。
【0009】
また、前記第1素子側接続体は、前記直交方向における前記第1電線側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、前記第2素子側接続体は、前記直交方向における前記第2電線側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることが望ましい。
【0010】
また、前記筐体は、前記ノイズ低減素子を収容する素子収容室を内方に設け、かつ、固定対象物との間で互いに係合し合う固定機構の係合体を前記直交方向に位置する外壁面から突出させて設け、前記素子収容室と前記係合体は、前記軸線方向で並べて配置し、前記第1回路接続部材は、前記係合体が設けられた前記外壁面を有する被設置壁体に設置され、かつ、前記第1電線側接続体が形成される第1設置壁体を有し、前記第2回路接続部材は、前記被設置壁体に設置され、かつ、前記第2電線側接続体が形成される第2設置壁体を有し、前記第1素子側接続体は、前記直交方向で前記第1設置壁体に対してオフセットさせて前記素子収容室に収容し、前記直交方向における前記第1電線側に前記ノイズ低減素子の前記第1接続部を物理的且つ電気的に接続させ、前記第2素子側接続体は、前記直交方向で前記第2設置壁体に対してオフセットさせて前記素子収容室に収容し、前記直交方向における前記第2電線側に前記ノイズ低減素子の前記第2接続部を物理的且つ電気的に接続させることが望ましい。
【0011】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、第1電線及び第2電線を含む幹線と、ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、を備え、前記ノイズフィルタは、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、併走させた前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で前記第1電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続される導電性の第1回路接続部材、並びに前記配列方向で前記第1回路接続部材に対して間を空けて並べて配置されると共に前記直交方向で前記第2電線に並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続される導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、前記フィルタ回路並びに併走させた前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、を備え、前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材は、各々、導電性材料で板状に成形されたものであり、前記第1回路接続部材は、前記直交方向で前記第1電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続体と、前記直交方向で前記第1電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、前記第2回路接続部材は、前記直交方向で前記第2電線に対して間を空けて並べて配置され、かつ、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続体と、前記直交方向で前記第2電線の芯線の中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続体と、が前記軸線方向に並べて設けられたものであり、前記第1電線側接続体と前記第2電線側接続体は、各々、前記直交方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成され、前記筐体は、前記第1電線側接続体の間で前記第1電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第1挟持体と、前記第2電線側接続体との間で前記第2電線の前記中間接続部を間接的又は直接的に挟持する第2挟持体と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るノイズフィルタにおいては、第1電線の中間接続部と第2電線の中間接続部との間にフィルタ回路を電気的に介在させることで、そのフィルタ回路をそれぞれの中間接続部に対して電気的に接続している。例えば、その第1電線と第2電線は、ワイヤハーネスの幹線に束ねられている。よって、このノイズフィルタは、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。つまり、本発明に係るノイズフィルタは、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。更に、本発明に係るノイズフィルタにおいては、併走させた第1電線及び第2電線とフィルタ回路とが積層方向で並べて配置されるので、第1電線及び第2電線の配列方向の間隔並びに第1回路接続部材と第2回路接続部材の配列方向の間隔を狭めることができる。よって、本発明に係るノイズフィルタは、その配列方向の体格の小型化を図ることができる。また、本発明に係るワイヤハーネスは、そのようなノイズフィルタを具備するものであり、このノイズフィルタが得られる効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のX1-X1線断面とX2-X2線断面とを示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスの組付け工程の一部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た分解斜視図である。
【
図14】
図14は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスの組付け工程の一部を示す断面図である。
【
図15】
図15は、変形例のフィルタ回路を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1から
図9に基づいて説明する。
【0016】
図1から
図6の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、デフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1電線WE1を電源線として利用し、第2電線WE2をアース線として利用する。第1電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1電線WE1と第2電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
【0017】
ノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10を備えるノイズ低減装置であり(
図1から
図6)、例えば、第1電線WE1に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路10で低減させる。更に、このノイズフィルタ1は、そのフィルタ回路10を収容する筐体20を備えている(
図1から
図6)。このノイズフィルタ1においては、その筐体20の収容室20aに並列配置状態で第1電線WE1と第2電線WE2とを収容して、その収容室20aの中で第1電線WE1と第2電線WE2とを併走させる。ここでは、下記の第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが収容室20aに収容され、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの両端側が筐体20の外方に引き出される。
【0018】
フィルタ回路10は、第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に電気的に介在させる。以下においては、その第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。つまり、このフィルタ回路10は、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に電気的に介在させるものであり、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる(
図2)。
【0019】
フィルタ回路10は、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11と、このノイズ低減素子11の第1接続部(以下、「第1素子接続体」という。)が電気的に接続される導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12と、そのノイズ低減素子11の第2接続部(以下、「第2素子接続体」という。)が電気的に接続される導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13と、を備える(
図2から
図7)。尚、第1素子接続体と第2素子接続体については、図示を省略している。
【0020】
ノイズ低減素子11は、このノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。このフィルタ回路10では、ノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成する(
図2から
図7)。
【0021】
この例示のフィルタ回路10においては、2つのノイズ低減素子11が絶縁性のモールド体14で覆われている(
図2から
図7)。そのモールド体14は、2つのノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の第1素子側接続体12aと第2回路接続部材13の第2素子側接続体13aとの間に注入したモールド剤の固化物であり、2つのノイズ低減素子11と第1素子側接続体12aとの接続部分及び2つのノイズ低減素子11と第2素子側接続体13aとの接続部分についても覆っている。
【0022】
第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材である。この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属等の導電性材料で板状のバスバとして成形されている。
【0023】
収容室20aにおいて、第1回路接続部材12は、併走させた第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で第1電線WE1に並べて配置されている。また、収容室20aにおいて、第2回路接続部材13は、併走させた第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向で第1回路接続部材12に対して間を空けて並べて配置されると共に、その第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向と配列方向とに対する直交方向で第2電線WE2に並べて配置されている。以下において単に「軸線方向」と記した場合、それは、第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向のことを示している。また、以下において単に「配列方向」と記した場合、それは、第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向並びに第1回路接続部材12及び第2回路接続部材13の配列方向のことを示している。また、以下においては、第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向と配列方向とに対する直交方向のことを「積層方向」と称する。
【0024】
第1回路接続部材12は、第1素子側接続体12aと第1電線側接続体12bとが軸線方向に並べて設けられたものである(
図2から
図7)。この例示の第1回路接続部材12は、軸線方向で第1素子側接続体12aに連設された第1設置壁体12cを有しており(
図2から
図7)、その第1設置壁体12cを介して筐体20に固定する。第1電線側接続体12bは、その第1設置壁体12cに形成する。
【0025】
具体的に、第1素子側接続体12aは、ノイズ低減素子11の第1素子接続体に対して物理的且つ電気的に接続される部位である。この第1素子側接続体12aは、積層方向で第1電線WE1に対して間を空けて並べて配置される。一方、第1電線側接続体12bは、積層方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続される部位である。よって、この第1電線側接続体12bは、積層方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間を空けて並べて又は接触状態で並べて配置される。この第1電線側接続体12bは、積層方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成する。
【0026】
この例示の第1素子側接続体12aは、一対の対向配置された2つの辺部を2組有する矩形の平板状に形成されている。この例示の第1素子側接続体12aは、積層方向における第1電線WE1とは逆側の平面にノイズ低減素子11の第1素子接続体を物理的且つ電気的に接続させる(
図3から
図6)。その接続形態としては、ノイズ低減素子11の第1素子接続体の形態に応じて、例えば溶着や半田付け等が適用される。
【0027】
この例示の第1回路接続部材12においては、第1素子側接続体12aにおける第1組の対向配置された2つの辺部の内の一方に、第1設置壁体12cを連接させている。この例示の第1設置壁体12cは、矩形の平板状に形成して、第1素子側接続体12aと同一の平面上に配置している(
図3から
図7)。
【0028】
この例示の第1電線側接続体12bは、第1設置壁体12cにおける第1素子側接続体12a側を固定端とする片持ち形状で、自由端側が第1設置壁体12cに対して積層方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1側にオフセットされるように形成する(
図3から
図6)。この第1電線側接続体12bにおいては、その自由端に、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続させる接点部12b
1を設ける(
図5から
図7)。この例示の第1電線側接続体12bにおいては、接点部12b
1を矩形の平板状に形成し、配列方向で間を空けて並べて配置された2つの矩形の梁部12b
2で接点部12b
1と固定端側とを連結している(
図5から
図7)。第1電線側接続体12bにおいては、配列方向でそれぞれの梁部12b
2の間に第1設置壁体12cが配置されている。
【0029】
ここでは、接点部12b
1と第1電線WE1の中間接続部WEa1とを間接的に電気接続させる。そこで、第1電線WE1の中間接続部WEa1には、物理的且つ電気的に接続された第1電線接続部材31を設けている(
図1から
図6)。この例示の第1電線接続部材31は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この第1電線接続部材31は、矩形の金属板を第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の第1電線接続部材31は、円筒状に成形している(
図1から
図6)。
【0030】
第2回路接続部材13は、第2素子側接続体13aと第2電線側接続体13bとが軸線方向に並べて設けられたものである(
図2から
図6)。この例示の第2回路接続部材13は、軸線方向で第2素子側接続体13aに連設された第2設置壁体13cを有しており(
図2から
図6)、その第2設置壁体13cを介して筐体20に固定する。第2電線側接続体13bは、その第2設置壁体13cに形成する。
【0031】
具体的に、第2素子側接続体13aは、ノイズ低減素子11の第2素子接続体に対して物理的且つ電気的に接続される部位である。この第2素子側接続体13aは、積層方向で第2電線WE2に対して間を空けて並べて配置される。一方、第2電線側接続体13bは、積層方向で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続される部位である。よって、この第2電線側接続体13bは、積層方向で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間を空けて並べて又は接触状態で並べて配置される。この第2電線側接続体13bは、積層方向での弾性域内の撓みが可能な形状に形成する。
【0032】
この例示の第2素子側接続体13aは、一対の対向配置された2つの辺部を2組有する矩形の平板状に形成されている。この例示の第2素子側接続体13aは、積層方向における第2電線WE2とは逆側の平面にノイズ低減素子11の第2素子接続体を物理的且つ電気的に接続させる(
図3から
図6)。その接続形態としては、ノイズ低減素子11の第2素子接続体の形態に応じて、例えば溶着や半田付け等が適用される。
【0033】
この例示の第2回路接続部材13においては、第2素子側接続体13aにおける第1組の対向配置された2つの辺部の内の一方に、第2設置壁体13cを連接させている。この例示の第2設置壁体13cは、矩形の平板状に形成して、第2素子側接続体13aと同一の平面上に配置している(
図3から
図7)。
【0034】
この例示の第2電線側接続体13bは、第2設置壁体13cにおける第2素子側接続体13a側を固定端とする片持ち形状で、自由端側が第2設置壁体13cに対して積層方向で第2電線WE2の中間接続部WEa2側にオフセットされるように形成する(
図3から
図6)。この第2電線側接続体13bにおいては、その自由端に、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる接点部13b
1を設ける(
図5から
図7)。この例示の第2電線側接続体13bにおいては、接点部13b
1を矩形の平板状に形成し、配列方向で間を空けて並べて配置された2つの矩形の梁部13b
2で接点部13b
1と固定端側とを連結している(
図5から
図7)。第2電線側接続体13bにおいては、配列方向でそれぞれの梁部13b
2の間に第2設置壁体13cが配置されている。
【0035】
ここでは、接点部13b
1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを間接的に電気接続させる。そこで、第2電線WE2の中間接続部WEa2には、物理的且つ電気的に接続された第2電線接続部材32を設けている(
図1から
図6)。この例示の第2電線接続部材32は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この第2電線接続部材32は、先の第1電線接続部材31と同様のものであり、円筒状に成形している(
図1から
図6)。
【0036】
この例示の第1回路接続部材12は、第1素子側接続体12aにおける第1組の対向配置された2つの辺部を軸線方向で対向配置させるように収容室20aに収容している。そして、この例示の第2回路接続部材13は、第2素子側接続体13aにおける第1組の対向配置された2つの辺部を軸線方向で対向配置させるように収容室20aに収容している。収容室20aにおいては、第1素子側接続体12aと第2素子側接続体13aとが配列方向で互いに間を空けて並べられており、また、第1電線側接続体12bと第2電線側接続体13bとが配列方向で互いに間を空けて並べられている。
【0037】
ここで、第1電線WE1と第2電線WE2とが丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものである場合、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2は、各々の接点部12b1,13b1に対して直接的に電気接続させてもよい。つまり、この場合には、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に第1電線接続部材31や第2電線接続部材32を設けずともよい。また、第1電線WE1と第2電線WE2とが複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであったとしても、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させた場合には、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に第1電線接続部材31や第2電線接続部材32を設けずに、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2を各々の接点部12b1,13b1に対して直接的に電気接続させてもよい。
【0038】
筐体20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体20は、フィルタ回路10と第1電線WE1と第2電線WE2とを収容する収容室20aを内方に有する(
図1、
図3、
図5及び
図6)。その収容室20aには、少なくともフィルタ回路10と第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが収容される。この筐体20においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室20aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室20aから外方へと引き出される。この筐体20は、複数の筐体部材を互いに嵌め合わせることによって、収容室20aを形成する。
【0039】
この例示の筐体20は、収容室20aが設けられた第1筐体部材としての収容箱21と、第2筐体部材としてのカバー22と、を備える(
図1から
図6)。
【0040】
収容箱21は、主壁体21aと、この主壁体21aの周縁部から立設させた複数の周壁体21b-21eと、を有する(
図2)。
【0041】
主壁体21aは、軸線方向に並べて配置された矩形の平板状の第1主壁体21a
1と矩形の平板状の第2主壁体21a
2とに大別されており、その第1主壁体21a
1と第2主壁体21a
2とを積層方向で互いにオフセットさせている(
図4から
図6及び
図8)。ここでは、収容室20aにて第2主壁体21a
2を底壁とする容積が、収容室20aにて第1主壁体21a
1を底壁とする容積よりも大きくなるようにオフセットさせる。主壁体21aにおいては、その第1主壁体21a
1と第2主壁体21a
2とを矩形の平板状の連結壁体21a
3で繋いでいる(
図5、
図6及び
図8)。その連結壁体21a
3は、直交方向に対する直交平面を有している。
【0042】
ここで、この筐体20は、ノイズ低減素子11が収容される素子収容室20bを内方に有する(
図3、
図5及び
図6)。その素子収容室20bは、収容室20aの中に形成する。ここでは、第1主壁体21a
1に対する第2主壁体21a
2のオフセットに伴い形成された部屋を素子収容室20bとして利用する。
【0043】
第1主壁体21a1は、第1電線側接続体12bの第1設置壁体12cと第2電線側接続体13bの第2設置壁体13cとが設置される被設置壁体として利用する。例えば、収容室20aの中では、その第1設置壁体12cと第2設置壁体13cとを第1主壁体21a1の内壁面に載せ置き、その内壁面に第1設置壁体12cと第2設置壁体13cとを各々の係合機構(図示略)で固定する。その係合機構とは、例えば、第1主壁体21a1の内壁面の複数箇所に設けた爪部等の係止部で第1設置壁体12cや第2設置壁体13cを保持するロック機構のことである。ここでは、第1電線側接続体12bの第1設置壁体12cと第2電線側接続体13bの第2設置壁体13cとに対して収容箱21を一体成形させることによって、第1主壁体21a1に第1設置壁体12cと第2設置壁体13cとを設置してもよい。
【0044】
この例示の収容箱21は、主壁体21aから各々同じ向きに垂設させた平板状の第1から第4の周壁体21b-21eと、を有している(
図2)。この収容箱21では、第1周壁体21bと第2周壁体21cとが対向配置され、第3周壁体21dと第4周壁体21eとが対向配置されている。この収容箱21においては、主壁体21aと第1から第4の周壁体21b-21eとで囲まれた空間が収容室20aとなる。そして、この収容箱21では、第2主壁体21a
2と第1周壁体21bの一部と第3周壁体21dの一部と第4周壁体21eの一部と連結壁体21a
3とで囲まれた空間が素子収容室20bとなる。
【0045】
この例示の収容箱21では、素子収容室20bに収容された素子収容室20bが、第1電線側接続体12bの第1素子側接続体12aと第2電線側接続体13bの第2素子側接続体13aとで覆われる。このため、この例示では、フィルタ回路10を収容室20aへ収容する前に、第1素子側接続体12aと第2素子側接続体13aとにノイズ低減素子11を予め接続しておく。
【0046】
この収容箱21は、第1から第4の周壁体21b-21eの縁部から成る矩形の開口21fを有している(
図3)。
【0047】
カバー22は、その収容室20aの開口21fを塞ぐべく用意されている。このカバー22は、収容箱21との組付けが完了している状態で開口21fを塞ぐ閉塞壁体22aを有する(
図3及び
図4)。また、このカバー22は、その閉塞壁体22aの周縁部から立設させた複数の周壁体22b-22eを有する(
図4)。この例示のカバー22は、矩形の平板状の閉塞壁体22aと、この閉塞壁体22aの4つの辺部から各々同じ向きに垂設させた平板状の第1から第4の周壁体22b-22eと、を有している。このカバー22では、第1周壁体22bと第2周壁体22cとが対向配置され、第3周壁体22dと第4周壁体22eとが対向配置されている。
【0048】
この例示の筐体20においては、収容箱21とカバー22との組付けが完了しているときに、それぞれの第1周壁体21b,22b同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第2周壁体21c,22c同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第3周壁体21d,22d同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第4周壁体21e,22e同士を対向配置させる。
【0049】
この筐体20においては、対向配置状態の第1周壁体21b,22bと対向配置状態の第2周壁体21c,22cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。そこで、それぞれの第1周壁体21b,22bには、各々、第1電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出口21b
1,22b
1と、第2電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第2引出口21b
2,22b
2と、が形成されている(
図3及び
図4)。それぞれの第1周壁体21b,22bにおいては、第1引出口21b
1,22b
1同士を対向配置させ、かつ、第2引出口21b
2,22b
2同士を対向配置させる。また、それぞれの第2周壁体21c,22cには、各々、第1電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第3引出口21c
1,22c
1と、第2電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出口21c
2,22c
2と、が形成されている(
図3及び
図4)。それぞれの第2周壁体21c,22cにおいては、第3引出口21c
1,22c
1同士を対向配置させ、かつ、第4引出口21c
2,22c
2同士を対向配置させる。
【0050】
この筐体20においては、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが開口21fから収容室20aに収容される。その第1電線WE1と第2電線WE2の収容に際して、収容箱21においては、第1電線WE1が第1引出口21b1と第3引出口21c1とに挿入され、第2電線WE2が第2引出口21b2と第4引出口21c2とに挿入される。筐体20においては、開口21fを塞ぎ、かつ、第1電線WE1を第1引出口22b1と第3引出口22c1とに挿入させると共に、第2電線WE2を第2引出口22b2と第4引出口22c2とに挿入させるように、カバー22を収容箱21に組み付ける。例えば、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ1の取り付けが完了する。
【0051】
ここで、この筐体20は、車体等の固定対象物(図示略)に固定する。そこで、この筐体20は、固定対象物との間で互いに係合し合う固定機構の係合体23を積層方向に位置する外壁面から突出させて設けている(
図2及び
図4から
図6)。その固定機構とは、ノイズフィルタ1と固定対象物とを互いに固定させる機構である。この固定機構は、ノイズフィルタ1の固定対象物に対する相対移動を禁止させることによって、ノイズフィルタ1の周辺部品との接触を抑えたり、音振性能の向上を図ったりするために設けている。係合体23は、固定対象物の相手方係合体(図示略)に係合させることによって、固定対象物に筐体20を固定する。固定機構としては、その係合体23と相手方係合体とが互いの爪部等で係合し合うロック機構などが考えられる。この例示では、収容箱21の第1主壁体21a
1の外壁面に係合体23を設けている。よって、第1主壁体21a
1は、第1電線側接続体12bの第1設置壁体12cと第2電線側接続体13bの第2設置壁体13cとが設置される被設置壁体としてだけでなく、ノイズフィルタ1を固定対象物に固定するための固定壁体としても利用される。この収容箱21においては、素子収容室20bと係合体23とを軸線方向で並べて配置している。
【0052】
ところで、この筐体20においては、収容箱21の主壁体21aとカバー22の閉塞壁体22aとが積層方向で対向配置されている。そして、この筐体20においては、収容箱21とカバー22の組付けが完了している状態で、カバー22の閉塞壁体22aが積層方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とに対して対向配置されている。そこで、この例示のカバー22の閉塞壁体22aの内壁面には、第1回路接続部材12の第1電線側接続体12bとの間で第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的に挟持する第1挟持体24と、第2回路接続部材13の第2電線側接続体13bとの間で第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的に挟持する第2挟持体25と、を少なくとも1つずつ設けている(
図4から
図6及び
図9)。
【0053】
第1挟持体24は、第1電線側接続体12bの接点部12b
1との間で第1電線接続部材31を挟持することによって、その接点部12b
1との間で第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的に挟持する。この第1挟持体24は、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状の片部24aと、この片部24aの自由端に設け、第1電線接続部材31に接触させて加圧する加圧部24bと、を有する(
図5、
図6及び
図9)。その片部24aは、弾性を有するものであってもよく、弾性を有しないものであってもよい。また、加圧部24bは、電線挟持方向で接点部12b
1に対向配置させる。ここでは、加圧部24bを矩形の片体状に形成し、加圧部24bと接点部12b
1のそれぞれの平面の間で第1電線接続部材31を挟持させる。
【0054】
この例示では、第1挟持体24を2つ設けている。それぞれの第1挟持体24は、互いの加圧部24bが軸線方向で対向配置されるように、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面に互いに逆向きに設けている。そして、それぞれの第1挟持体24には、加圧部24bから第1電線WE1の中間接続部WEa1側に膨出又は突出させた係止突起部24cを設けている(
図5、
図6及び
図9)。それぞれの第1挟持体24の係止突起部24cは、軸線方向で対向配置させる。それぞれの第1挟持体24においては、一方の係止突起部24cで第1電線接続部材31における筒軸方向(軸線方向)の一端を当該筒軸方向で係止させ、かつ、他方の係止突起部24cで第1電線接続部材31における筒軸方向(軸線方向)の他端を当該筒軸方向で係止させるように、それぞれの係止突起部24cを形成する。このように、それぞれの第1挟持体24は、第1電線側接続体12bの接点部12b
1との間で第1電線接続部材31を挟持し、かつ、それぞれの係止突起部24cで第1電線接続部材31の軸線方向の動きを係止するので、接点部12b
1と第1電線接続部材31との間の電気的な接続状態を保たせることができる。よって、このノイズフィルタは、第1電線WE1とフィルタ回路10との間の通電品質を向上させることができる。
【0055】
第2挟持体25は、第2電線側接続体13bの接点部13b
1との間で第2電線接続部材32を挟持することによって、その接点部13b
1との間で第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的に挟持する。この第2挟持体25は、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状の片部25aと、この片部25aの自由端に設け、第2電線接続部材32に接触させて加圧する加圧部25bと、を有する(
図5、
図6及び
図9)。その片部25aは、弾性を有するものであってもよく、弾性を有しないものであってもよい。また、加圧部25bは、電線挟持方向で接点部13b
1に対向配置させる。ここでは、加圧部25bを矩形の片体状に形成し、加圧部25bと接点部13b
1のそれぞれの平面の間で第2電線接続部材32を挟持させる。
【0056】
この例示では、第2挟持体25を2つ設けている。それぞれの第2挟持体25は、互いの加圧部25bが軸線方向で対向配置されるように、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面に互いに逆向きに設けている。そして、それぞれの第2挟持体25には、加圧部25bから第2電線WE2の中間接続部WEa2側に膨出又は突出させた係止突起部25cを設けている(
図5、
図6及び
図9)。それぞれの第2挟持体25の係止突起部25cは、軸線方向で対向配置させる。それぞれの第2挟持体25においては、一方の係止突起部25cで第2電線接続部材32における筒軸方向(軸線方向)の一端を当該筒軸方向で係止させ、かつ、他方の係止突起部25cで第2電線接続部材32における筒軸方向(軸線方向)の他端を当該筒軸方向で係止させるように、それぞれの係止突起部25cを形成する。このように、それぞれの第2挟持体25は、第2電線側接続体13bの接点部13b
1との間で第2電線接続部材32を挟持し、かつ、それぞれの係止突起部25cで第2電線接続部材32の軸線方向の動きを係止するので、接点部13b
1と第2電線接続部材32との間の電気的な接続状態を保たせることができる。よって、このノイズフィルタは、第2電線WE2とフィルタ回路10との間の通電品質を向上させることができる。
【0057】
ここで、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面には、先に示したようなそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2に第1電線接続部材31や第2電線接続部材32を設けない場合でも、その第1挟持体24と第2挟持体25とを設けることが望ましい。つまり、この場合でも、カバー22の閉塞壁体22aの内壁面には、第1回路接続部材12の第1電線側接続体12bとの間で第1電線WE1の中間接続部WEa1を直接的に挟持する第1挟持体24と、第2回路接続部材13の第2電線側接続体13bとの間で第2電線WE2の中間接続部WEa2を直接的に挟持する第2挟持体25と、を少なくとも1つずつ設けることが望ましい。但し、この場合には、係止突起部24cに中間接続部WEa1を避ける切欠きを設け、かつ、係止突起部25cに中間接続部WEa2を避ける切欠きを設ける。
【0058】
以上示した本実施形態のノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。つまり、従来のノイズフィルタは、前述したように、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間に中間電線を介在させている。その中間電線は、ノイズフィルタへの組付け作業性や車両への配索経路等を考慮して、長さに関する許容公差が大きく取られている。このため、従来のノイズフィルタは、その長さに応じた中間電線のノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。しかしながら、本実施形態のノイズフィルタ1においては、ワイヤハーネスWHの幹線WTに束ねられている第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間にフィルタ回路10を電気的に介在させることで、そのフィルタ回路10をそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続している。よって、このノイズフィルタ1は、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。即ち、このノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。
【0059】
更に、本実施形態のノイズフィルタ1においては、併走させた第1電線WE1及び第2電線WE2とフィルタ回路10とが積層方向で並べて配置されるので、第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向の間隔並びに第1回路接続部材12と第2回路接続部材13の配列方向の間隔を狭めることができる。よって、本実施形態のノイズフィルタ1は、その配列方向の体格の小型化を図ることができる。
【0060】
一方、このノイズフィルタ1においては、第1電線WE1及び第2電線WE2とフィルタ回路10とを積層方向に並べているので、その積層方向の体格の大型化を招いてしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態のノイズフィルタ1においては、筐体20にて素子収容室20bと係合体23とを軸線方向で並べて配置しており、係合体23が設けられた第1主壁体21a1に第1電線側接続体12bの第1設置壁体12cと第2電線側接続体13bの第2設置壁体13cとを設置し、かつ、素子収容室20bにノイズ低減素子11を収容することによって、積層方向での体格の大型化を抑えることができる。
【0061】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、一方の端部を接地させる第2電線WE2の中間接続部WEa2に対してフィルタ回路10を電気的に接続させるので、例えば、幹線WTの周囲に接地可能な導電体が存在しておらずとも、また、自らの設置対象物が合成樹脂等の絶縁性材料で成形されていたとしても、容易にアースを取ることができる。つまり、従来のノイズフィルタは、導電性の設置対象物に取り付けた際に当該設置対象物にアース端子を接続することによって、その設置対象物を介してアースを取っている。よって、従来のノイズフィルタにおいては、アース端子と設置対象物との固定作業を容易にするために、アース端子を筐体から食み出させている。しかしながら、このノイズフィルタ1は、そのようなアース端子を備えずとも、アースを取ることができる。従って、このノイズフィルタ1は、体格の小型化や軽量化を図ることができる。
【0062】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12の第1電線側接続体12bと第1挟持体24とで第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に挟み込み、かつ、第2回路接続部材13の第2電線側接続体13bと第2挟持体25とで第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に挟み込んでいる。よって、このノイズフィルタ1は、電気的な接続構造が従来のような雌雄の端子部の嵌合構造となっているものと比較して、フィルタ回路10と第1電線WE1及び第2電線WE2との間の電気的な接続構造の小型化が可能になる。従って、このノイズフィルタ1は、この点からも体格の小型化を図ることができる。また、そのような従来の接続構造は形状如何で原価の高騰を招く虞があるが、このノイズフィルタ1は、そのような簡便な接続構造であるが故に、原価の高騰を抑えることができる。
【0063】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12の第1電線側接続体12bと第2回路接続部材13の第2電線側接続体13bとに弾性を持たせることによって、それぞれの構成部品の寸法ばらつきを吸収し、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に安定した接触荷重を作用させることができる。また、このノイズフィルタ1は、第1挟持体24の片部24aと第2挟持体25の片部25aとに可撓性を持たせることによって、第1電線側接続体12bと第2電線側接続体13bの弾性と相俟って、それぞれの構成部品の寸法ばらつきがより大きくなったとしても、その寸法ばらつきを吸収し、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に安定した接触荷重を作用させることができる。このような特性によって、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2とフィルタ回路10との間の通電品質の向上を図ることができる。
【0064】
また更に、このノイズフィルタ1は、第1電線側接続体12bと第2電線側接続体13bに弾性を持たせることによって、その弾性域の範囲内で、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)に対して電気的な接続を図ることができる。また、このノイズフィルタ1は、第1挟持体24の片部24aと第2挟持体25の片部25aとに可撓性を持たせた場合、これらも含めた弾性域の範囲内で、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)に対して電気的な接続を図ることができる。つまり、このノイズフィルタ1は、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)への対応が可能になり、汎用性を高めることができる。
【0065】
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
【0066】
[変形例]
図10から
図15の符号2は、本変形例のノイズフィルタを示す。また、その各図のWHは、本変形例のワイヤハーネスを示す。このノイズフィルタ2とワイヤハーネスWHは、前述した実施形態のノイズフィルタ1において、フィルタ回路10を下記のフィルタ回路110に置き換えたものである。
【0067】
本変形例のフィルタ回路110は、実施形態のフィルタ回路10と同様に少なくとも1つのノイズ低減素子11を備える一方、そのフィルタ回路10において、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを各々下記の第1回路接続部材112と第2回路接続部材113とに置き換えたものである。よって、このフィルタ回路110は、軸線方向に並べて配置された2つのノイズ低減素子11を備えている。また、この例示では、第1電線WE1の中間接続部WEa1に第1電線接続部材31を設け、第2電線WE2の中間接続部WEa2に第2電線接続部材32を設けている。
【0068】
第1回路接続部材112及び第2回路接続部材113は、第1回路接続部材12及び第2回路接続部材13と同じように、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材であり、金属等の導電性材料で板状のバスバとして成形されている。
【0069】
第1回路接続部材112は、第1回路接続部材12と同じように、軸線方向に並べて設けられた第1素子側接続体112a及び第1電線側接続体112bと、軸線方向で第1素子側接続体112aに連設され、かつ、第1電線側接続体112bが形成された第1設置壁体112cと、を有している(
図10から
図15)。第1電線側接続体112bには、第1電線側接続体12bと同じように、接点部112b
1と2つの梁部112b
2とが形成されている(
図13から
図15)。この第1回路接続部材112において、第1素子側接続体112a、第1電線側接続体112b及び第1設置壁体112cは、各々、実施形態の第1素子側接続体12a、第1電線側接続体12b及び第1設置壁体12cと同様のものである。
【0070】
但し、本変形例の第1素子側接続体112aは、積層方向における第1電線WE1側にノイズ低減素子11の第1素子接続体を物理的且つ電気的に接続される部位として形成する(
図10から
図15)。つまり、この第1素子側接続体112aは、積層方向で第1設置壁体112cに対してオフセットさせて素子収容室20bに収容し、積層方向における第1電線WE1側にノイズ低減素子11の第1素子接続体を物理的且つ電気的に接続される部位として形成する。第1素子側接続体112aは、例えば、素子収容室20bの底壁に設置する。このため、本変形例の第1回路接続部材112は、第1素子側接続体112aと第1設置壁体112cとを積層方向で繋ぐ連結壁体112dを有している(
図15)。
【0071】
この例示の連結壁体112dは、配列方向及び積層方向に沿う平面を有する矩形の平板状に形成されている。この連結壁体112dは、素子収容室20bの中で収容箱21の主壁体21aにおける連結壁体21a3に対向配置されて、その連結壁体21a3で収容箱21に対する軸線方向の動きが係止される。そこで、この連結壁体112dは、その収容箱21に対する軸線方向の相対移動を抑えることができるように、素子収容室20bの中で連結壁体21a3に対向配置させる。
【0072】
第2回路接続部材113は、第2回路接続部材13と同じように、軸線方向に並べて設けられた第2素子側接続体113a及び第2電線側接続体113bと、軸線方向で第2素子側接続体113aに連設され、かつ、第2電線側接続体113bが形成された第2設置壁体113cと、を有している(
図10から
図15)。第2電線側接続体113bには、第2電線側接続体13bと同じように、接点部113b
1と2つの梁部113b
2とが形成されている(
図13から
図15)。この第2回路接続部材113において、第2素子側接続体113a、第2電線側接続体113b及び第2設置壁体113cは、各々、実施形態の第2素子側接続体13a、第2電線側接続体13b及び第2設置壁体13cと同様のものである。
【0073】
但し、本変形例の第2素子側接続体113aは、第1素子側接続体112aと同じように、積層方向における第2電線WE2側にノイズ低減素子11の第2素子接続体を物理的且つ電気的に接続される部位として形成する(
図10から
図15)。つまり、この第2素子側接続体113aは、積層方向で第2設置壁体113cに対してオフセットさせて素子収容室20bに収容し、積層方向における第2電線WE2側にノイズ低減素子11の第2素子接続体を物理的且つ電気的に接続される部位として形成する。第2素子側接続体113aは、例えば、素子収容室20bの底壁に設置する。このため、本変形例の第2回路接続部材113は、第2素子側接続体113aと第2設置壁体113cとを積層方向で繋ぐ連結壁体113dを有している(
図15)。
【0074】
この例示の連結壁体113dは、配列方向及び積層方向に沿う平面を有する矩形の平板状に形成されている。この連結壁体113dは、素子収容室20bの中で収容箱21の主壁体21aにおける連結壁体21a3に対向配置されて、その連結壁体21a3で収容箱21に対する軸線方向の動きが係止される。そこで、この連結壁体113dは、その収容箱21に対する軸線方向の相対移動を抑えることができるように、素子収容室20bの中で連結壁体21a3に対向配置させる。
【0075】
以上示した本変形例のノイズフィルタ2は、実施形態のノイズフィルタ1と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例のノイズフィルタ2は、第1回路接続部材112の連結壁体112dと第2回路接続部材113の連結壁体113dとを収容箱21の連結壁体21a3に軸線方向の相対移動を抑えるよう係止させることによって、素子収容室20bの中でのフィルタ回路110の収容箱21に対する軸線方向の相対移動を抑えることができる。これにより、このノイズフィルタ2は、第1電線側接続体112bと第1電線WE1の中間接続部WEa1との間の電気的な接続状態と、第2電線側接続体113bと第2電線WE2の中間接続部WEa2との間の電気的な接続状態と、を保ち続けることができる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ2を具備するものであり、このノイズフィルタ2が得られる効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0076】
1,2 ノイズフィルタ
10,110 フィルタ回路
11 ノイズ低減素子
12,112 第1回路接続部材
12a,112a 第1素子側接続体
12b,112b 第1電線側接続体
12c,112c 第1設置壁体
13,113 第2回路接続部材
13a,113a 第2素子側接続体
13b,113b 第2電線側接続体
13c,113c 第2設置壁体
20 筐体
20a 収容室
20b 素子収容室
21a1 第1主壁体(被設置壁体)
23 係合体
WE1 第1電線
WEa1 中間接続部
WE2 第2電線
WEa2 中間接続部
WEa 芯線
WH ワイヤハーネス
WT 幹線