IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図1
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図2
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図3
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図4
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図5
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図6
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図7
  • 特許-ノイズフィルタ及びワイヤハーネス 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20221206BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H01B7/00 301
H01B7/00 304
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018191134
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020061638
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真史
(72)【発明者】
【氏名】豊田 涼馬
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】坪 慧吾
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208487(JP,A)
【文献】特開2001-088629(JP,A)
【文献】特開2018-074707(JP,A)
【文献】特開2000-133333(JP,A)
【文献】特開2006-216914(JP,A)
【文献】特開2007-311630(JP,A)
【文献】特開2012-114304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電線及び第2電線のそれぞれの芯線の中間接続部の間に配置され且つノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続された導電性の第1回路接続部材並びに前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続された導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、
前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第1回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造と、
一方の端部が接地されている前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第2回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続構造と、
前記フィルタ回路、前記第1電気接続構造及び前記第2電気接続構造を収容する筐体と、
を備え、
前記第1電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第1回路接続部材の接点と、前記第1回路接続部材の前記接点に向けて第1押圧力で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第1押圧体と、を備え、
前記第2電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第2回路接続部材の接点と、前記第2回路接続部材の前記接点に向けて第2押圧力で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第2押圧体と、を備え、
前記筐体は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が開口から収容室に収容される収容箱と、前記収容箱の前記開口を塞ぐカバーと、を備え、
前記カバーは、前記収容室側に前記第1押圧体と前記第2押圧体とを備えるものであり、前記収容箱の前記開口を塞ぎ、かつ、前記第1押圧体と前記第2押圧体を内壁面から前記収容室側に突出させる閉塞壁体を有し、
前記第1押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第1押圧力を作用させる傾斜面を有し、
前記第2押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第2押圧力を作用させる傾斜面を有することを特徴としたノイズフィルタ。
【請求項2】
前記第1回路接続部材の前記接点は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部が間接的又は直接的に係止される係止部を有し、
前記第2回路接続部材の前記接点は、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が間接的又は直接的に係止される係止部を有することを特徴とした請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記第1回路接続部材の前記接点と前記第2回路接続部材の前記接点は、各々、弾性を有することを特徴とした請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記第1電気接続構造は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、前記第1押圧体の前記第1押圧力で前記第1回路接続部材の前記接点に押し付けられる第1電線側接続体を備え、
前記第2電気接続構造は、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、前記第2押圧体の前記第2押圧力で前記第2回路接続部材の前記接点に押し付けられる第2電線側接続体を備えることを特徴とした請求項1,2又は3に記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
第1電線及び第2電線を含む幹線と、
ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、
を備え、
前記ノイズフィルタは、
前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの芯線の中間接続部の間に配置され且つノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続された導電性の第1回路接続部材並びに前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続された導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、
前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第1回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造と、
一方の端部が接地されている前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第2回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続構造と、
前記フィルタ回路、前記第1電気接続構造及び前記第2電気接続構造を収容する筐体と、
を備え、
前記第1電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第1回路接続部材の接点と、前記第1回路接続部材の前記接点に向けて第1押圧力で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第1押圧体と、を備え、
前記第2電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第2回路接続部材の接点と、前記第2回路接続部材の前記接点に向けて第2押圧力で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第2押圧体と、を備え、
前記筐体は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が開口から収容室に収容される収容箱と、前記収容箱の前記開口を塞ぐカバーと、を備え、
前記カバーは、前記収容室側に前記第1押圧体と前記第2押圧体とを備えるものであり、前記収容箱の前記開口を塞ぎ、かつ、前記第1押圧体と前記第2押圧体を内壁面から前記収容室側に突出させる閉塞壁体を有し、
前記第1押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第1押圧力を作用させる傾斜面を有し、
前記第2押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第2押圧力を作用させる傾斜面を有することを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線に乗った電気的なノイズを低減させるべく、そのノイズ低減対象電線にノイズフィルタを介装させる、という技術が知られている。そのノイズフィルタは、コンデンサ等のノイズ低減素子が設けられたフィルタ回路を備えており、そのフィルタ回路をノイズ低減対象電線とアース端子との間に介在させている。この種のノイズフィルタについては、例えば、下記の特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-100061号公報
【文献】特開2012-039201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のノイズフィルタは、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間を別の中間電線で繋いでいる。例えば、上記特許文献1のノイズフィルタは、幹線のノイズ低減対象電線から分岐させた2本の分岐電線に対してフィルタ回路を電気的に接続して、そのノイズ低減対象電線に乗っているノイズ成分を低減させている。このため、従来のノイズフィルタは、その分岐電線などのような中間電線に乗ってしまうノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、中間電線の影響を受けることのないノイズフィルタ及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係るノイズフィルタは、第1電線及び第2電線のそれぞれの芯線の中間接続部の間に配置され且つノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続された導電性の第1回路接続部材並びに前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続された導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第1回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造と、一方の端部が接地されている前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第2回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続構造と、前記フィルタ回路、前記第1電気接続構造及び前記第2電気接続構造を収容する筐体と、を備える。そして、このノイズフィルタにおいて、前記第1電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第1回路接続部材の接点と、前記第1回路接続部材の前記接点に向けて第1押圧力で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第1押圧体と、を備え、前記第2電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第2回路接続部材の接点と、前記第2回路接続部材の前記接点に向けて第2押圧力で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第2押圧体と、を備え、前記筐体は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が開口から収容室に収容される収容箱と、前記収容箱の前記開口を塞ぐカバーと、を備え、前記カバーは、前記収容室側に前記第1押圧体と前記第2押圧体とを備えるものであり、前記収容箱の前記開口を塞ぎ、かつ、前記第1押圧体と前記第2押圧体を内壁面から前記収容室側に突出させる閉塞壁体を有し、前記第1押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第1押圧力を作用させる傾斜面を有し、前記第2押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第2押圧力を作用させる傾斜面を有することを特徴としている。
【0007】
ここで、前記第1回路接続部材の前記接点は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部が間接的又は直接的に係止される係止部を有し、前記第2回路接続部材の前記接点は、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が間接的又は直接的に係止される係止部を有することが望ましい。
【0009】
また、前記第1回路接続部材の前記接点と前記第2回路接続部材の前記接点は、各々、弾性を有することが望ましい。
【0010】
また、前記第1電気接続構造は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、前記第1押圧体の前記第1押圧力で前記第1回路接続部材の前記接点に押し付けられる第1電線側接続体を備え、前記第2電気接続構造は、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、前記第2押圧体の前記第2押圧力で前記第2回路接続部材の前記接点に押し付けられる第2電線側接続体を備えることが望ましい。
【0011】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、第1電線及び第2電線を含む幹線と、ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、を備える。そして、前記ノイズフィルタは、前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの芯線の中間接続部の間に配置され且つノイズ成分を低減させるノイズ低減素子、前記ノイズ低減素子の第1接続部が電気的に接続された導電性の第1回路接続部材並びに前記ノイズ低減素子の第2接続部が電気的に接続された導電性の第2回路接続部材を備えるフィルタ回路と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第1回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造と、一方の端部が接地されている前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を前記第2回路接続部材に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続構造と、前記フィルタ回路、前記第1電気接続構造及び前記第2電気接続構造を収容する筐体と、を備える。このワイヤハーネスにおいて、前記第1電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第1回路接続部材の接点と、前記第1回路接続部材の前記接点に向けて第1押圧力で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第1押圧体と、を備え、前記第2電気接続構造は、前記ノイズ低減素子、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される前記第2回路接続部材の接点と、前記第2回路接続部材の前記接点に向けて第2押圧力で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部を間接的又は直接的に押し付ける第2押圧体と、を備え、前記筐体は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部及び前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部が開口から収容室に収容される収容箱と、前記収容箱の前記開口を塞ぐカバーと、を備え、前記カバーは、前記収容室側に前記第1押圧体と前記第2押圧体とを備えるものであり、前記収容箱の前記開口を塞ぎ、かつ、前記第1押圧体と前記第2押圧体を内壁面から前記収容室側に突出させる閉塞壁体を有し、前記第1押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第1押圧力を作用させる傾斜面を有し、前記第2押圧体は、前記収容箱に対する前記カバーの組付け方向に向かうほど前記ノイズ低減素子に近づき、かつ、前記カバーと前記収容箱とが組付け完了状態のときに前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に前記第2押圧力を作用させる傾斜面を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るノイズフィルタにおいては、第1電線の中間接続部と第2電線の中間接続部とフィルタ回路のノイズ低減素子とフィルタ回路の第1回路接続部材の接点とフィルタ回路の第2回路接続部材の接点とを一列に並べて配置し、それぞれの中間接続部の間にノイズ低減素子を介在させて、第1回路接続部材を介してノイズ低減素子と第1電線の中間接続部とを電気的に接続させると共に、第2回路接続部材を介してノイズ低減素子と第2電線の中間接続部とを電気的に接続させる。例えば、その第1電線と第2電線は、ワイヤハーネスの幹線に束ねられている。よって、このノイズフィルタは、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。つまり、本発明に係るノイズフィルタは、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。更に、本発明に係るノイズフィルタは、ノイズ低減素子と第1回路接続部材の接点と第2回路接続部材の接点と第1電線の中間接続部と第2電線の中間接続部とを一列に並べて配置しているので、その配列方向とそれぞれの中間接続部の軸線方向とに対する直交方向の体格の小型化を図ることができる。また、本発明に係るワイヤハーネスは、そのようなノイズフィルタを具備するものであり、このノイズフィルタが得られる効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た分解斜視図である。
図4図4は、フィルタ回路を示す斜視図である。
図5図5は、フィルタ回路を別角度から見た斜視図である。
図6図6は、図1のX-X線断面図である。
図7図7は、フィルタ回路の変形形態を示す斜視図である。
図8図8は、フィルタ回路の変形形態を別角度から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図8に基づいて説明する。
【0016】
図1から図3の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、デフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1電線WE1を電源線として利用し、第2電線WE2をアース線として利用する。第1電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1電線WE1と第2電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
【0017】
ノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10を備えるノイズ低減装置であり(図1から図3)、例えば、第1電線WE1に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路10で低減させる。
【0018】
フィルタ回路10は、第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に介在させ、それぞれの芯線WEaに対して電気的に接続させる。以下においては、その第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。
【0019】
このフィルタ回路10は、その第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させ、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる(図1)。
【0020】
フィルタ回路10は、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11と、このノイズ低減素子11の第1接続部(以下、「第1素子接続部」という。)が電気的に接続された導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12と、そのノイズ低減素子11の第2接続部(以下、「第2素子接続部」という。)が電気的に接続された導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13と、を備える(図1から図6)。尚、第1素子接続部と第2素子接続部については、図示を省略している。
【0021】
ノイズ低減素子11は、このノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。このフィルタ回路10では、ノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成する(図1から図5)。ノイズ低減素子11は、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の間に配置する。この例示の2つのノイズ低減素子11は、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の間にて、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの軸線方向に並べて配置している。
【0022】
第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材である。この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属等の導電性材料で板状のバスバとして成形されている。
【0023】
第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、平板状の第1壁体12a,13aと、平板状の第2壁体12b,13bと、を有する(図2から図6)。第1回路接続部材12は、第1壁体12aと第2壁体12bとを直交配置させたL字状に成形されている。また、第2回路接続部材13は、第1壁体13aと第2壁体13bとを直交配置させたL字状に成形されている。このフィルタ回路10においては、それぞれの第1壁体12a,13aが同一平面上に配置され、かつ、それぞれの第2壁体12b,13bの平面同士が対向配置されるように、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを並べて配置している。
【0024】
このフィルタ回路10においては、第1回路接続部材12の第1壁体12aに対してノイズ低減素子11の第1素子接続部を物理的且つ電気的に接続すると共に、第2回路接続部材13の第1壁体13aに対してノイズ低減素子11の第2素子接続部を物理的且つ電気的に接続する。その接続形態としては、ノイズ低減素子11の第1素子接続部や第2素子接続部の形態に応じて、例えば溶着や半田付け等が適用される。このフィルタ回路10においては、そのようなノイズ低減素子11と第1及び第2の回路接続部材12,13の接続によって、それぞれの第2壁体12b,13bの間にノイズ低減素子11を配置する。つまり、このフィルタ回路10においては、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の第2壁体12bと第2回路接続部材13の第2壁体13bとを一列に並べて配置する。ノイズフィルタ1においては、これらのノイズ低減素子11とそれぞれの第2壁体12b,13bの配列方向に対する直交方向が軸線方向となるように、第1電線WE1と第2電線WE2とを配置する。その第1電線WE1と第2電線WE2は、後述する筐体40の収容室40aに並列配置状態で収容して、その収容室40aの中で併走させる。
【0025】
この例示のフィルタ回路10においては、2つのノイズ低減素子11が絶縁性のモールド体14で覆われている(図1から図6)。そのモールド体14は、2つのノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の第1壁体12aと第2回路接続部材13の第1壁体13aとの間に注入したモールド剤の固化物であり、2つのノイズ低減素子11と第1壁体12aとの接続部分及び2つのノイズ低減素子11と第1壁体13aとの接続部分についても覆っている。
【0026】
一方、このフィルタ回路10においては、第1回路接続部材12の第2壁体12bに対して第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に電気接続させると共に、第2回路接続部材13の第2壁体13bに対して第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に電気接続させる。そこで、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1の中間接続部WEa1を第1回路接続部材12の第2壁体12bに対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造20と、第2電線WE2の中間接続部WEa2を第2回路接続部材13の第2壁体13bに対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続構造30と、を備える(図1から図3及び図6)。
【0027】
このノイズフィルタ1においては、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の第2壁体12bと第2回路接続部材13の第2壁体13bと第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを一列に並べて配置し、これらの配列方向に沿って、第2壁体12bと中間接続部WEa1との間及び第2壁体13bと中間接続部WEa2との間を各々間接的又は直接的に電気接続させる。
【0028】
第1電気接続構造20は、ノイズ低減素子11と第2壁体12bとの間に配置した中間接続部WEa1を第2壁体12bに対して間接的又は直接的に電気接続させるものであってもよく、第2壁体12bに対するノイズ低減素子11とは逆側に配置した中間接続部WEa1を第2壁体12bに対して間接的又は直接的に電気接続させるものであってもよい。ここでは、前者を例示する。
【0029】
第1回路接続部材12の第2壁体12bには、中間接続部WEa1を間接的又は直接的に電気接続させる接点12cが設けられている(図1から図6)。その接点12cには、弾性を持たせる。そこで、この例示では、平行な2本の貫通孔12bを第2壁体12bに形成し、それぞれの貫通孔12bに挟まれた部位が第1壁体12a側にプレス成形等で押し出されている(図4から図6)。第2壁体12bにおいては、その押し出された部分が弾性を有する両持ちの接点12cとなる。その接点12cは、第1電線WE1の中間接続部WEa1が間接的又は直接的に当接する当接面12cを有している(図4及び図6)。この例示の接点12cには、矩形の当接面12cが形成されている。また、接点12cは、第1電線WE1の中間接続部WEa1が間接的又は直接的に係止される係止部12cを有するものであってもよい(図7)。その係止部12cにおいては、例えば、中間接続部WEa1の外周面の一部又は後述する第1電線側接続体23の外周面の一部が入り込んで係止される。この係止部12cは、例えば、中間接続部WEa1の外周面の一部又は第1電線側接続体23の外周面の一部が入り込む溝の周縁部又は貫通孔の周縁部であり、当接面12cに形成する。
【0030】
この接点12cは、第1電気接続構造20の構成要素の1つであり、中間接続部WEa1に対する接点21として利用される。つまり、第1電気接続構造20は、ノイズ低減素子11、第1電線WE1の中間接続部WEa1及び第2電線WE2の中間接続部WEa2と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続される第1回路接続部材12の接点21(12c)を備えている。
【0031】
この第1電気接続構造20は、その中間接続部WEa1と接点21(12c)の電気的な接続状態を保たせるべく、その接点21(12c)に向けて第1押圧力で第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に押し付ける第1押圧体22を備えている(図1及び図3)。この例示では、後述するように、筐体40に第1押圧体22を設けている。よって、この第1押圧体22については、後で詳述する。
【0032】
また、第2電気接続構造30は、ノイズ低減素子11と第2壁体13bとの間に配置した中間接続部WEa2を第2壁体13bに対して間接的又は直接的に電気接続させるものであってもよく、第2壁体13bに対するノイズ低減素子11とは逆側に配置した中間接続部WEa2を第2壁体13bに対して間接的又は直接的に電気接続させるものであってもよい。ここでは、前者を例示する。
【0033】
第2回路接続部材13の第2壁体13bには、中間接続部WEa2を間接的又は直接的に電気接続させる接点13cが設けられている(図1から図3)。その接点13cには、弾性を持たせる。そこで、この例示では、平行な2本の貫通孔13bを第2壁体13bに形成し、それぞれの貫通孔13bに挟まれた部位が第1壁体13a側にプレス成形等で押し出されている(図4から図6)。第2壁体13bにおいては、その押し出された部分が弾性を有する両持ちの接点13cとなる。その接点13cは、第2電線WE2の中間接続部WEa2が間接的又は直接的に当接する当接面13cを有している(図5及び図6)。この例示の接点13cには、矩形の当接面13cが形成されている。また、接点13cは、第2電線WE2の中間接続部WEa2が間接的又は直接的に係止される係止部13cを有するものであってもよい(図8)。その係止部13cにおいては、例えば、中間接続部WEa2の外周面の一部又は後述する第2電線側接続体33の外周面の一部が入り込んで係止される。この係止部13cは、例えば、中間接続部WEa2の外周面の一部又は第2電線側接続体33の外周面の一部が入り込む溝の周縁部又は貫通孔の周縁部であり、当接面13cに形成する。
【0034】
この接点13cは、第2電気接続構造30の構成要素の1つであり、中間接続部WEa2に対する接点31として利用される。つまり、第2電気接続構造30は、ノイズ低減素子11、第1電線WE1の中間接続部WEa1及び第2電線WE2の中間接続部WEa2と共に一列に並べて配置され、かつ、これらの配列方向に沿って第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続される第2回路接続部材13の接点31(13c)を備えている。
【0035】
この第2電気接続構造30は、その中間接続部WEa2と接点31(13c)の電気的な接続状態を保たせるべく、その接点31(13c)に向けて第2押圧力で第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に押し付ける第2押圧体32を備えている(図1及び図3)。この例示では、後述するように、筐体40に第2押圧体32を設けている。よって、この第2押圧体32については、後で詳述する。
【0036】
このノイズフィルタ1は、フィルタ回路10と第1電気接続構造20と第2電気接続構造30を収容する筐体40を備える(図1から図3及び図6)。その筐体40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。
【0037】
筐体40は、フィルタ回路10と第1電気接続構造20と第2電気接続構造30と第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを収容する収容室40aを内方に有する(図2)。この筐体40においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室40aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室40aから外方へと引き出される。この筐体40は、複数の筐体部材を互いに嵌め合わせることによって、収容室40aを形成する。
【0038】
この例示の筐体40は、収容室40aが設けられた第1筐体部材としての収容箱41と、第2筐体部材としてのカバー42と、を備える(図1から図3及び図6)。
【0039】
収容箱41は、主壁体41aと、この主壁体41aの周縁部から立設させた複数の周壁体41b-41eと、を有する(図2)。この例示の収容箱41は、矩形の平板状の主壁体41aと、この主壁体41aの4つの辺部から各々同じ向きに垂設させた平板状の第1から第4の周壁体41b-41eと、を有している。この収容箱41では、第1周壁体41bと第2周壁体41cとが対向配置され、第3周壁体41dと第4周壁体41eとが対向配置されている。この収容箱41においては、主壁体41aと第1から第4の周壁体41b-41eとで囲まれた空間が収容室40aとなる。
【0040】
主壁体41aには、収容室40aに収容されているフィルタ回路10と第1電気接続構造20と第2電気接続構造30とを設置する(図2)。
【0041】
例えば、この主壁体41aの内壁面41aには、第1回路接続部材12の第1壁体12aと第2回路接続部材13の第1壁体13aのそれぞれの平面を載せ置き、係合機構(図示略)で固定する。その係合機構とは、例えば、主壁体41aの内壁面41aの複数箇所に設けた爪部等の係止部で第1壁体12a,13aを保持するロック機構のことである。この場合には、例えば、それぞれの第1壁体12a,13aにノイズ低減素子11を予め接続しておく。
【0042】
また、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、それぞれの第1壁体12a,13aに対して収容箱41を一体成形させることによって、収容箱41の主壁体41aの内壁面41a側に設置してもよい。この場合には、それぞれの第1壁体12a,13aにおけるノイズ低減素子11との接続面と、それぞれの第2壁体12b,13bと、を収容室40a側に露出させておく。例えば、ノイズ低減素子11は、その一体成形の後でそれぞれの第1壁体12a,13aに接続してもよく、その一体成形の前にそれぞれの第1壁体12a,13aに接続してもよい。
【0043】
この収容箱41は、第1から第4の周壁体41b-41eの縁部から成る矩形の開口41fを有している(図2)。
【0044】
カバー42は、その収容室40aの開口41fを塞ぐべく用意されている。このカバー42は、収容箱41との組付けが完了している状態で開口41fを塞ぐ閉塞壁体42aを有する(図2及び図3)。また、このカバー42は、その閉塞壁体42aの周縁部から立設させた複数の周壁体42b-42eを有する(図3)。この例示のカバー42は、矩形の平板状の閉塞壁体42aと、この閉塞壁体42aの4つの辺部から各々同じ向きに垂設させた平板状の第1から第4の周壁体42b-42eと、を有している。このカバー42では、第1周壁体42bと第2周壁体42cとが対向配置され、第3周壁体42dと第4周壁体42eとが対向配置されている。
【0045】
この例示の筐体40においては、収容箱41とカバー42との組付けが完了しているときに、それぞれの第1周壁体41b,42b同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第2周壁体41c,42c同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第3周壁体41d,42d同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第4周壁体41e,42e同士を対向配置させる。
【0046】
この筐体40においては、対向配置状態の第1周壁体41b,42と対向配置状態の第2周壁体41c,42cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。そこで、それぞれの第1周壁体41b,42bには、各々、第1電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出口41b,42bと、第2電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第2引出口41b,42bと、が形成されている(図2及び図3)。それぞれの第1周壁体41b,42bにおいては、第1引出口41b,42b同士を対向配置させ、かつ、第2引出口41b,42b同士を対向配置させる。また、それぞれの第2周壁体41c,42cには、各々、第1電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第3引出口41c,42cと、第2電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出口41c,42cと、が形成されている(図2及び図3)。それぞれの第2周壁体41c,42cにおいては、第3引出口41c,42c同士を対向配置させ、かつ、第4引出口41c,42c同士を対向配置させる。
【0047】
この筐体40においては、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが開口41fから収容室40aに収容される。その第1電線WE1と第2電線WE2の収容に際して、収容箱41においては、第1電線WE1が第1引出口41bと第3引出口41cとに挿入され、第2電線WE2が第2引出口41bと第4引出口41cとに挿入される。筐体40においては、開口41fを塞ぎ、かつ、第1電線WE1を第1引出口42bと第3引出口42cとに挿入させると共に、第2電線WE2を第2引出口42bと第4引出口42cとに挿入させるように、カバー42を収容箱41に組み付ける。例えば、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ1の取り付けが完了する。
【0048】
ここで、このノイズフィルタ1においては、第1電気接続構造20の第1押圧体22と第2電気接続構造30の第2押圧体32とを筐体40に設ける。この例示では、その第1押圧体22と第2押圧体32をカバー42に設けている。この例示のカバー42は、収容室40a側に第1押圧体22と第2押圧体32とを備えており、閉塞壁体42aの内壁面42aから収容室40a側に第1押圧体22と第2押圧体32とを突出させている(図3)。
【0049】
第1押圧体22は、収容箱41に対するカバー42の組付け方向に向かうほどノイズ低減素子11に近づき、かつ、カバー42と収容箱41とが組付け完了状態のときに第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に第1押圧力を作用させる傾斜面22aを有する(図6)。その傾斜面22aは、収容箱41に対するカバー42の組付けが進むに連れて中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に接触し、その組付けが更に進むことによって、中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に第1押圧力を作用させていく。第1押圧体22は、カバー42と収容箱41とが組付け完了状態のときに、その傾斜面22aからの第1押圧力を中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に作用させたままにする。よって、この第1電気接続構造20においては、例えば、車両走行時の振動等の外部入力が加わったとしても、中間接続部WEa1と接点21(12c)の電気的な接続状態を保ち続けることができる。
【0050】
この例示の第1押圧体22は、収容箱41に対するカバー42の組付け方向に向けて垂設させた垂設面22bをノイズ低減素子11側に有しており、その垂設面22bと傾斜面22aとを有する楔形状に形成している(図6)。
【0051】
例えば、この第1押圧体22は、第1押圧力を傾斜面22aから中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に作用させているときに変形不能な剛体として形成する。これにより、この第1押圧体22は、傾斜面22aが中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に接触してからカバー42と収容箱41の組付けが完了するまでの間、中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に第1押圧力を作用させ続けることができる。
【0052】
また、この第1押圧体22は、第1押圧力を傾斜面22aから中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に作用させているときに撓ませることができるように形成してもよい。例えば、第1押圧体22は、中間接続部WEa1側からノイズ低減素子11側に向け且つノイズ低減素子11側から中間接続部WEa1側に向けた撓みが可能な可撓性を有し、遅くともカバー42と収容箱41とが組付け完了状態となったときに、中間接続部WEa1とノイズ低減素子11との間に挟持されて、中間接続部WEa1に対して傾斜面22aから間接的又は直接的に第1押圧力を作用させるものとして形成する。これにより、この第1押圧体22は、遅くともカバー42と収容箱41とが組付け完了状態となったときに、中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に第1押圧力を作用させ続けることができる。
【0053】
第2押圧体32は、収容箱41に対するカバー42の組付け方向に向かうほどノイズ低減素子11に近づき、かつ、カバー42と収容箱41とが組付け完了状態のときに第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に第2押圧力を作用させる傾斜面32aを有する(図6)。その傾斜面32aは、収容箱41に対するカバー42の組付けが進むに連れて中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に接触し、その組付けが更に進むことによって、中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に第2押圧力を作用させていく。第2押圧体32は、カバー42と収容箱41とが組付け完了状態のときに、その傾斜面32aからの第2押圧力を中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に作用させたままにする。よって、この第2電気接続構造30においては、例えば、車両走行時の振動等の外部入力が加わったとしても、中間接続部WEa2と接点31(13c)の電気的な接続状態を保ち続けることができる。
【0054】
この例示の第2押圧体32は、収容箱41に対するカバー42の組付け方向に向けて垂設させた垂設面32bをノイズ低減素子11側に有しており、その垂設面32bと傾斜面32aとを有する楔形状に形成している(図6)。
【0055】
例えば、この第2押圧体32は、第2押圧力を傾斜面32aから中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に作用させているときに変形不能な剛体として形成する。これにより、この第2押圧体32は、傾斜面32aが中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に接触してからカバー42と収容箱41の組付けが完了するまでの間、中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に第2押圧力を作用させ続けることができる。
【0056】
また、この第2押圧体32は、第2押圧力を傾斜面32aから中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に作用させているときに撓ませることができるように形成してもよい。例えば、第2押圧体32は、中間接続部WEa2側からノイズ低減素子11側に向け且つノイズ低減素子11側から中間接続部WEa2側に向けた撓みが可能な可撓性を有し、遅くともカバー42と収容箱41とが組付け完了状態となったときに、中間接続部WEa2とノイズ低減素子11との間に挟持されて、中間接続部WEa2に対して傾斜面32aから間接的又は直接的に第2押圧力を作用させるものとして形成する。これにより、この第2押圧体32は、遅くともカバー42と収容箱41とが組付け完了状態となったときに、中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に第2押圧力を作用させ続けることができる。
【0057】
具体的に、この例示の第1電気接続構造20は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、第1押圧体22の第1押圧力で第1回路接続部材12の接点21(12c)に押し付けられる第1電線側接続体23を備えている(図1から図3及び図6)。つまり、この例示の第1電気接続構造20は、第1押圧力を第1押圧体22の傾斜面22aから第1電線側接続体23に作用させ、その第1電線側接続体23を接点21(12c)に押し付けて電気的に接続させる。これにより、この第1電気接続構造20は、第1電線側接続体23を介して第1押圧体22の傾斜面22aからの第1押圧力を中間接続部WEa1に対して間接的に作用させ、第1電線側接続体23を介して中間接続部WEa1を接点21(12c)に対して間接的に電気接続させる。
【0058】
この例示の第1電線側接続体23は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この第1電線側接続体23は、矩形の金属板を第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の第1電線側接続体23は、円筒状に成形している(図2及び図3)。
【0059】
また、この例示の第2電気接続構造30は、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、第2押圧体32の第2押圧力で第2回路接続部材13の接点31(13c)に押し付けられる第2電線側接続体33を備えている(図1から図3及び図6)。つまり、この例示の第2電気接続構造30は、第2押圧力を第2押圧体32の傾斜面32aから第2電線側接続体33に作用させ、その第2電線側接続体33を接点31(13c)に押し付けて電気的に接続させる。これにより、この第2電気接続構造30は、第2電線側接続体33を介して第2押圧体32の傾斜面32aからの第2押圧力を中間接続部WEa2に対して間接的に作用させ、第2電線側接続体33を介して中間接続部WEa2を接点31(13c)に対して間接的に電気接続させる。
【0060】
この例示の第2電線側接続体33は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この第2電線側接続体33は、矩形の金属板を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の第2電線側接続体33は、円筒状に成形している(図2及び図3)。
【0061】
ここで、第1電線WE1と第2電線WE2とが丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであるならば、第1電気接続構造20と第2電気接続構造30は、第1電線側接続体23や第2電線側接続体33を備えずともよい。また、第1電気接続構造20と第2電気接続構造30は、第1電線WE1と第2電線WE2とが複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであったとしても、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させることによって、第1電線側接続体23や第2電線側接続体33を備えないようにしてもよい。この場合の第1電気接続構造20は、第1押圧力を第1押圧体22の傾斜面22aから中間接続部WEa1に対して直接作用させ、その中間接続部WEa1を接点21(12c)に押し付けて直接的な電気接続を行う。また、この場合の第2電気接続構造30は、第2押圧力を第2押圧体32の傾斜面32aから中間接続部WEa2に対して直接作用させ、その中間接続部WEa2を接点31(13c)に押し付けて直接的な電気接続を行う。
【0062】
以上示した本実施形態のノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。つまり、従来のノイズフィルタは、前述したように、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間に中間電線を介在させている。その中間電線は、ノイズフィルタへの組付け作業性や車両への配索経路等を考慮して、長さに関する許容公差が大きく取られている。このため、従来のノイズフィルタは、その長さに応じた中間電線のノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。しかしながら、本実施形態のノイズフィルタ1においては、ワイヤハーネスWHの幹線WTに束ねられている第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間にフィルタ回路10を介在させ、そのフィルタ回路10をそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続している。よって、このノイズフィルタ1は、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。即ち、このノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。
【0063】
更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の接点21(12c)と第2回路接続部材13の接点31(13c)と第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを一列に並べて配置しているので、その配列方向とそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の軸線方向とに対する直交方向で、これら配列部品の積層を回避することができる。従って、本実施形態のノイズフィルタ1は、その直交方向の体格の小型化を図ることができる。
【0064】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1においては、第1電気接続構造20の第1押圧体22と第2電気接続構造30の第2押圧体32とを各々楔形状に形成している。このため、このノイズフィルタ1においては、収容箱41とカバー42とを組み付ける際に、第1押圧体22が先端の鋭角なエッジ側からノイズ低減素子11と中間接続部WEa1(又は第1電線側接続体23)との間に挿入されていき、かつ、第2押圧体32が先端の鋭角なエッジ側からノイズ低減素子11と中間接続部WEa2(又は第2電線側接続体33)との間に挿入されていく。これ故に、第1押圧体22は、先端側からの挿入が始まったときにノイズ低減素子11と中間接続部WEa1(又は第1電線側接続体23)とに触れさせず、その挿入が或る程度(例えば半分以上)進んでから傾斜面22aを中間接続部WEa1(又は第1電線側接続体23)に触れさせるように形成すればよい。つまり、第1押圧体22は、先端側からの挿入が始まったときに、中間接続部WEa1(又は第1電線側接続体23)からの反力を受けないように形成すればよい。これと同じように、第2押圧体32は、先端側からの挿入が始まったときにノイズ低減素子11と中間接続部WEa2(又は第2電線側接続体33)とに触れさせず、その挿入が或る程度(例えば半分以上)進んでから傾斜面32aを中間接続部WEa2(又は第2電線側接続体33)に触れさせるように形成して、先端側からの挿入が始まったときに、中間接続部WEa2(又は第2電線側接続体33)からの反力を受けないように形成すればよい。本実施形態のノイズフィルタ1は、そのような形状に第1押圧体22と第2押圧体32とを形成することによって、収容箱41とカバー42の組付けを始める際の相互間の位置決めが容易になり、かつ、収容箱41とカバー42の組付けが始まったときに無用な力が働かないので、収容箱41とカバー42の組付け作業性を向上させることができる。
【0065】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、一方の端部を接地させる第2電線WE2の中間接続部WEa2に対してフィルタ回路10を電気的に接続させるので、例えば、幹線WTの周囲に接地可能な導電体が存在しておらずとも、また、自らの設置対象物が合成樹脂等の絶縁性材料で成形されていたとしても、容易にアースを取ることができる。つまり、従来のノイズフィルタは、導電性の設置対象物に取り付けた際に当該設置対象物にアース端子を接続することによって、その設置対象物を介してアースを取っている。よって、従来のノイズフィルタにおいては、アース端子と設置対象物との固定作業を容易にするために、アース端子を筐体から食み出させている。しかしながら、このノイズフィルタ1は、そのようなアース端子を備えずとも、アースを取ることができる。従って、このノイズフィルタ1は、体格の小型化や軽量化を図ることができる。
【0066】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12の接点21(12c)と第1押圧体22とで第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に挟み込み、かつ、第2回路接続部材13の接点31(13c)と第2押圧体32とで第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に挟み込んでいる。よって、このノイズフィルタ1は、電気的な接続構造が従来のような雌雄の端子部の嵌合構造となっているものと比較して、第1電気接続構造20と第2電気接続構造30の小型化が可能になる。従って、このノイズフィルタ1は、体格の小型化を図ることができる。また、そのような従来の接続構造は形状如何で原価の高騰を招く虞があるが、このノイズフィルタ1は、そのような簡便な接続構造であるが故に、原価の高騰を抑えることができる。
【0067】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、そのような接続構造の第1電気接続構造20と第2電気接続構造30とを採用し、かつ、それぞれの接点21(12c),31(13c)に弾性を持たせることによって、それぞれの構成部品の寸法ばらつきを吸収し、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に安定した接触荷重を作用させることができる。また、このノイズフィルタ1は、第1押圧体22と第2押圧体32とに可撓性を持たせることによって、それぞれの接点21(12c),31(13c)の弾性と相俟って、それぞれの構成部品の寸法ばらつきがより大きくなったとしても、その寸法ばらつきを吸収し、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に安定した接触荷重を作用させることができる。このような特性によって、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2とフィルタ回路10との間の通電品質の向上を図ることができる。
【0068】
また更に、このノイズフィルタ1は、それぞれの接点21(12c),31(13c)に弾性を持たせることによって、その弾性域の範囲内で、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)に対して電気的な接続を図ることができる。また、このノイズフィルタ1は、第1押圧体22と第2押圧体32とに可撓性を持たせた場合、これらも含めた弾性域の範囲内で、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)に対して電気的な接続を図ることができる。つまり、このノイズフィルタ1は、様々な外径の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)への対応が可能になり、汎用性を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ノイズフィルタ
10 フィルタ回路
11 ノイズ低減素子
12 第1回路接続部材
12c 接点
13 第2回路接続部材
13c 接点
20 第1電気接続構造
21 接点
22 第1押圧体
22a 傾斜面
23 第1電線側接続体
30 第2電気接続構造
31 接点
32 第2押圧体
32a 傾斜面
33 第2電線側接続体
40 筐体
40a 収容室
41 収容箱
41f 開口
42 カバー
42a 閉塞壁体
42a 内壁面
WE1 第1電線
WEa1 中間接続部
WE2 第2電線
WEa2 中間接続部
WEa 芯線
WH ワイヤハーネス
WT 幹線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8