(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】封止マット及びそれを用いた建物の基礎構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20221206BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20221206BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20221206BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E04B1/64 A
E04B1/76 500D
E04B1/80 100B
E04B1/80 100P
E02D27/00 Z
(21)【出願番号】P 2018202911
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】仁木 哲也
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-071610(JP,U)
【文献】特開2019-210732(JP,A)
【文献】特開2001-032293(JP,A)
【文献】特開2002-266423(JP,A)
【文献】特開2005-023646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎と前記基礎上に配置される土台との間に
互いに離間させて配置される複数の基礎パッキン間
を封止するために、前記複数の基礎パッキン間において、前記基礎と前記土台と
で挟持されて用いられる封止マットであって、
少なくとも上部および下部が弾性材料から構成された帯状体からなり、
前記帯状体は、
前記基礎と前記土台とで挟持されること
で圧縮弾性変形可能に構成されていることを特徴とする封止マット。
【請求項2】
前記帯状体は、上層、下層、および、前記上層と前記下層の間の中間層を有しており、
前記中間層が、発泡樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の封止マット。
【請求項3】
前記帯状体は、上層、下層、および、前記上層と前記下層の間の中間層を有しており、
前記中間層が、可撓性を有していることを特徴とする請求項1に記載の封止マット。
【請求項4】
前記中間層は、前記上層および前記下層のそれぞれの厚み以上の厚みを有していることを特徴とする請求項2に記載の封止マット。
【請求項5】
前記帯状体は、上層、および、前記上層よりも厚みの大きい下層を有しており、
前記上層及び前記下層が、弾性材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の封止マット。
【請求項6】
基礎と、
前記基礎上に配置される土台と、
前記基礎と前記土台との間に
互いに離間させて配置される複数の基礎パッキンと、
前記複数の基礎パッキン間
を封止するために、前記複数の基礎パッキン間に、前記基礎と前記土台と
で挟持されて配置される封止マットとを備えた建物の基礎構造
であって、
前記封止マットは、少なくとも上部および下部が弾性材料から構成された帯状体からなり、
前記帯状体は、前記
複数の基礎パッキン間に配置されていない状態において、その厚みが前記基礎パッキンよりも大きく、前記
複数の基礎パッキン間に配置され
前記基礎と前記土台とで挟持されること
で圧縮弾性変形可能に構成されていることを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項7】
前記基礎が、逆スラブ方式で構成された基礎であることを特徴とする請求項6に記載の建物の基礎構造。
【請求項8】
前記基礎に立設されて前記土台を緊結するための複数のアンカーボルトをさらに備えており、
前記基礎パッキンが、前記アンカーボルトの立設位置近傍に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の建物の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎と土台との間に配置される複数の基礎パッキン間において、基礎と土台との間の隙間を封止するための封止マット、及び、それを用いた建物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅(建物)の省エネ等の観点から、床下空間に屋外の空気や湿気が侵入しないように建物の外周等の基礎と該基礎上に配置される土台との間に気密基礎パッキンが敷設される。この種の気密基礎パッキンとしては、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の気密基礎パッキンは、所定の厚みを有する樹脂製の長尺板状体の上面及び下面にその長手方向に沿って延在する2本の弾性材からなる線状突出部が形成されてなる。そして、この気密基礎パッキンが、気密にしたい空間の周囲の基礎上において全周に亘って配置され、線状突出部が基礎上に土台を設置することで圧し潰され、基礎と土台との間の気密性が保たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に土台は、基礎に設けられた複数のアンカーボルトを介して基礎に緊結される。このとき、アンカーボルトは、土台の長手方向に沿って互いに離隔して配置されているため、気密基礎パッキンが基礎と土台とで挟持される挟持箇所がその長手方向に沿って互いに離隔して存在する。また、土台上に柱が配置される配置箇所と上下に重なる基礎パッキンの位置においても、土台を介して柱から押圧力が付与されるので、上述の挟持箇所と同様に、気密基礎パッキンが基礎と土台とで挟持される。このように気密基礎パッキンに対する挟持箇所が、長手方向に沿って互いに離隔して存在する場合、挟持箇所では所望の挟持力が発揮されるため、気密性が確保されるが、挟持箇所から離れるに連れてその挟持力は低下する。さらに気密基礎パッキン自体の厚みもその全長に亘ってほぼ一定に構成されているため、挟持力が低下するに連れて、複数の挟持箇所間における基礎と土台との間に隙間が生じやすくなる。この結果、気密性が低下する問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、基礎と土台との間の隙間を封止することが可能な封止マット及びそれを用いた建物の基礎構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の封止マットは、建物の基礎と前記基礎上に配置される土台との間に互いに離間させて配置される複数の基礎パッキン間を封止するために、前記複数の基礎パッキン間において、前記基礎と前記土台とで挟持されて用いられる封止マットであって、少なくとも上部および下部が弾性材料から構成された帯状体からなる。そして、前記帯状体は、前記基礎と前記土台とで挟持されることで圧縮弾性変形可能に構成されている。
【0007】
これによると、封止マットは、基礎パッキン間であって基礎と土台との間の隙間に配置されていない状態では、その厚みが基礎パッキンの厚みよりも大きい。そして、封止マットは、隙間に配置されることで当該隙間の高さに応じて、圧縮弾性変形する。これにより、封止マットは、基礎の不陸などにより隙間が基礎パッキンの厚みよりも多少大きくても、隙間を封止することが可能となる。また、封止マットが基礎パッキンとは別体からなるため、不陸としての凹凸を吸収しやすくなる。
【0008】
本発明において、前記帯状体は、上層、下層、および、前記上層と前記下層の間の中間層を有しており、前記中間層が、発泡樹脂から構成されていることが好ましい。これにより、帯状体を軽量化することが可能となる。
【0009】
また、本発明において、前記帯状体は、上層、下層、および、前記上層と前記下層の間の中間層を有しており、前記中間層が、可撓性を有していることが好ましい。これにより、中間層を有していても、帯状体を巻き取り保存した状態で運搬することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記中間層は、前記上層および前記下層のそれぞれの厚み以上の厚みを有していることが好ましい。これにより、上層および下層以上の厚みを有する中間層が発泡樹脂から構成されているため、封止マットのコストの上昇を抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記帯状体は、上層、および、前記上層よりも厚みの大きい下層を有しており、前記上層及び前記下層が、弾性材料から構成されていることが好ましい。これにより、不陸としての凹凸が比較的大きくなりやすい基礎の上面と当接する下層の厚みを、不陸としての凹凸が比較的小さい土台の下面と当接する上層の厚みよりも厚くすることでより、不陸としての凹凸を効果的に吸収することが可能となる。
【0012】
本発明の建物の基礎構造は、基礎と、前記基礎上に配置される土台と、前記基礎と前記土台との間に互いに離間させて配置される複数の基礎パッキンと、前記複数の基礎パッキン間を封止するために、前記複数の基礎パッキン間に、前記基礎と前記土台とで挟持されて配置される封止マットとを備えた建物の基礎構造であって、前記封止マットは、少なくとも上部および下部が弾性材料から構成された帯状体からなり、前記帯状体は、前記複数の基礎パッキン間に配置されていない状態において、その厚みが前記基礎パッキンよりも大きく、前記複数の基礎パッキン間に配置され前記基礎と前記土台とで挟持されることで圧縮弾性変形可能に構成されている。
【0013】
これによると、封止マットは、基礎パッキン間であって基礎と土台との間の隙間に配置されていない状態では、その厚みが基礎パッキンの厚みよりも大きい。そして、封止マットは、隙間に配置されることで当該隙間の高さに応じて、圧縮弾性変形する。これにより、封止マットは、基礎の不陸などにより隙間が基礎パッキンの厚みよりも多少大きくても、隙間を封止することが可能となる。このため、基礎パッキン間の隙間が封止された建物の基礎構造を得ることができる。この結果、床下の気密性や断熱性が向上する。
【0014】
また、本発明において、前記基礎が、逆スラブ方式で構成された基礎であることが好ましい。これにより、基礎が布基礎やベタ基礎に比して不陸としての凹凸が発生しやすい逆スラブ方式で構成された基礎であっても、隙間が効果的に封止された基礎構造を得ることができる。
【0015】
また、本発明において、前記基礎に立設されて前記土台を緊結するための複数のアンカーボルトをさらに備えている。そして、前記基礎パッキンが、前記アンカーボルトの立設位置近傍に配置されていることが好ましい。これにより、アンカーボルトを用いて土台を基礎に効果的に緊結することが可能となる。
土台上に柱等が載置されることなどによって、比較的大きな荷重が土台を介して基礎に加えられる位置であって、その荷重を受ける目的で所定個数の基礎パッキンを基礎と土台との間に配置し、基礎と土台との間における基礎パッキン間などの残りの隙間に本発明の封止マットを配置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の封止マットによると、基礎パッキン間であって基礎と土台との間の隙間に配置されていない状態では、その厚みが基礎パッキンの厚みよりも大きい。そして、封止マットは、隙間に配置されることで当該隙間の高さに応じて、圧縮弾性変形する。これにより、封止マットは、基礎の不陸などにより隙間が基礎パッキンの厚みよりも多少大きくても、隙間を封止することが可能となる。また、封止マットが基礎パッキンとは別体からなるため、不陸としての凹凸を吸収しやすくなる。
本発明の建物の基礎構造によると、封止マットは、基礎パッキン間であって基礎と土台との間の隙間に配置されていない状態では、その厚みが基礎パッキンの厚みよりも大きい。そして、封止マットは、隙間に配置されることで当該隙間の高さに応じて、圧縮弾性変形する。これにより、封止マットは、基礎の不陸などにより隙間が基礎パッキンの厚みよりも多少大きくても、隙間を封止することが可能となる。このため、基礎パッキン間の隙間が封止された建物の基礎構造を得ることができる。この結果、床下の気密性や断熱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る封止マットを採用したときの建物の基礎構造を示しており、(a)は要部側面図であり、(b)は
図1(a)に示すI-I線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る封止マット4が採用された建物の基礎構造100について、
図1を参照しつつ以下に説明する。
【0019】
本実施形態における建物の基礎構造100は、
図1に示すように、基礎1と、土台2と、複数の基礎パッキン3と、複数の封止マット4とを含んで構成されている。本実施形態における基礎1は、公知の逆スラブ方式で構成されたものであり、
図1(b)に示すように、盛土10をして締め固め、その上面と周側面とをコンクリート11で固めて形成されている。コンクリート11は、
図1(b)に示すように、地面から垂直に立ち上がり盛土10の周側面を固める立ち上がり部11aと、立ち上がり部11aの上面から盛土10の上面を覆うように配置され当該盛土10の上面を固める天井部11bとを有する。なお、立ち上がり部11aは、
図1中矢印A方向(延在方向A)に沿って長尺に延在している。
【0020】
基礎1の上面1aは、天井部11bの上面であり、地面よりも高い位置に配置され、かつ、全面に亘って平面状に形成されている。このように逆スラブ方式で構成された基礎1の上面1aは、布基礎やベタ基礎の立ち上がり部の上面に比べて、非常に広い平面で構成されているため、基礎1の形成時に不陸としての凹凸が生じやすい。つまり、
図1に示すように、例えば、不陸として、上面1aの一部に凹み1bが生じることがある。なお、土台2の下面にも不陸としての凹凸が生じていることがある。本実施形態における土台2には、凹み1bと対向する部分に凹み2aが形成されている場合について、例示する。なお、本実施形態においては、不陸として、凹み1b,2aを例示したが、凹み1b,2aに代えて凸部であってもよい。また、基礎1の立ち上がり部11aには、
図1(a)に示すように、その延在方向Aに沿って互いに離隔して配置された複数のアンカーボルト5が植設されており、これらアンカーボルト5は天井部11bを貫通して上方に突出して配置されている。つまり、基礎1には、複数のアンカーボルト5が延在方向Aに沿って互いに離隔して立設されている。
【0021】
基礎パッキン3は、
図1に示すように、延在方向Aに長尺な矩形平面形状を有する公知の板状の基礎パッキンである。複数の基礎パッキン3は、基礎1の上面1aであって立ち上がり部11aの上方部分に配置されている。また、複数の基礎パッキン3は、
図1(a)に示すように、延在方向Aに沿って互いに離隔して配置され、かつアンカーボルト5の立設位置近傍に配置されている。より詳細には、本実施形態におけるアンカーボルト5が基礎パッキン3を貫通している。このように基礎パッキン3は、基礎1の上面1aのうち立ち上がり部11aの上方部分全体に亘って配置されておらず、立ち上がり部11aの延在方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。なお、基礎パッキン3は、アンカーボルト5が貫通していなくてもよく、単にアンカーボルト5と隣接する位置に配置されていてもよい。
【0022】
土台2は、木製であり、
図1(a)に示すように、立ち上がり部11aと同様に延在方向Aに沿って延在しており、複数の基礎パッキン3を介して基礎1上に配置されている。より詳細には、土台2も、基礎1の立ち上がり部11aの上方に配置されている。そして、土台2及び基礎パッキン3は、基礎1に植設されたアンカーボルト5、角座金6及びナット7によって基礎1上に固定されている。つまり、基礎パッキン3は、アンカーボルト5、角座金6及びナット7によって基礎1と土台2との間で挟持されている。また、基礎パッキン3は、立ち上がり部11aの上方においてその全長に亘って配置されておらず、延在方向Aの長さが比較的短いものであるため、基礎1と土台2との間での挟持力によって基礎パッキン3と基礎1及び土台2との間にはほとんど隙間が生じない。仮に、隙間が生じた場合であっても、基礎パッキン3自体が比較的短尺であるため、スペーサを配置することで、当該隙間を容易に埋めることが可能となる。
【0023】
封止マット4は、延在方向Aに沿って隣接する基礎パッキン3間であって基礎1と土台2との間の隙間9を封止するために配置される。封止マット4は、
図2に示すように、延在方向Aに沿って長尺な帯状体からなる。以下、封止マット4を帯状体4と称することがある。帯状体4は、隙間9に配置されていない状態(すなわち、上下方向Bの押圧力が無負荷の状態)において、その厚みが基礎パッキン3よりも大きくなるように形成されている。また、帯状体4は、上層4a、中間層4b、下層4cの3層構造を有している。本実施形態における上層4a及び下層4cは、ともにエチレンプロピレンゴムから構成されているが、他のゴムやスポンジなどの弾性材料から構成されていてもよい。また、帯状体4は、上下方向Bの押圧力を加えることで、その上部(上層4a)及び下部(下層4c)を圧縮弾性変形させて、厚みが基礎パッキン3よりも小さくなるように構成されている。このように帯状体4は、上部(上層4a)及び下部(下層4c)が弾性材料から構成され、隙間9に配置されることで、当該隙間9に応じて圧縮弾性変形可能となる。
【0024】
また、本実施形態における帯状体4の中間層4bは、発泡ポリプロピレンから構成されているが、他の発泡樹脂から構成されていてもよい。このような発泡樹脂から構成された中間層4bは、可撓性を有し、さらには中間層4bとは材質の異なる上層4a及び下層4cの緩衝性にも優れる。
【0025】
また、帯状体4の下層4cは、
図2に示すように、上層4aよりもその厚みが大きい。これにより、不陸としての凹凸が比較的大きくなりやすい基礎1の上面1aと当接する下層4cの厚みを、不陸としての凹凸が比較的小さい土台2の下面と当接する上層4aの厚みよりも厚くすることで、より不陸としての凹凸を効果的に吸収することが可能となる。
【0026】
また、中間層4bは、下層4cと同じ厚みに形成されている。このように中間層4bが、上層4a及び下層4cのそれぞれの厚み以上の厚みを有し、発泡樹脂から構成されているため、比較的高価なエチレンプロピレンゴムからなる上層4a及び下層4cの厚みを減らして、帯状体(封止マット)4を形成することが可能となる。この結果、帯状体(封止マット)4の製造コストの上昇を抑制することが可能となる。また、中間層4bが発泡樹脂から構成されていることにより、帯状体4を軽量化することが可能となる。さらに、中間層4bが可撓性を有している。このため、帯状体4が中間層4bを有していても、帯状体4を巻き取り保存した状態で運搬することが可能となる。
【0027】
続いて、封止マット(帯状体)4を隙間9に配置させるときの状況について以下に説明する。帯状体4は、隙間9が形成されてから隙間9に挿入される。つまり、基礎1を形成した後、基礎1上の所定位置に複数の基礎パッキン3を配置させる。ここでいう所定位置とは、アンカーボルト5を挿通させた状態で基礎パッキン3を配置可能なアンカーボルト5の立設位置近傍である。その後、複数の基礎パッキン3上に土台2を配置させた状態で、アンカーボルト5、角座金6及びナット7によって、複数の基礎パッキン3と土台2とを基礎1上に固定する。これにより、各基礎パッキン3と基礎1及び土台2との間の隙間がなくなり、複数の基礎パッキン3間であって基礎1と土台2との間に隙間9が形成される。そして、帯状体4の長さを、隙間9の長さ(隙間9の延在方向Aの長さであって、基礎パッキン3間の離隔距離に等しい長さ)に合わせた長さに切断するなどして調整する。そして、長さが調整された帯状体4を上下方向Bから圧縮しつつ隙間9に押し込む。
【0028】
このように帯状体4を、その厚みが小さくなるように圧縮しつつ隙間9に押し込むことで、
図1に示すように、基礎1の上面1aに凹み1bや土台2の下面に凹み2aが形成されていても、これら凹み1b,2aに帯状体4の上面及び下面が密着し、隙間9が封止された状態となる。封止マットとしての帯状体4が、基礎パッキン3とは別体とされ、隙間9に配置されていない状態では、基礎パッキン3よりも厚みが大きくされ、隙間9に配置されることで当該隙間9の高さに応じて圧縮弾性変形可能に構成されていることで、非常に簡単な施工で隙間9を封止可能となる。また、帯状体4が基礎パッキン3とは別体であることで、帯状体4単独でその不陸としての凹凸を吸収するための吸収率などを設定することができ、効果的に凹凸を吸収することが可能となる。したがって、気密性を向上させることが可能となる。
【0029】
以上に述べたように、本実施形態の封止マット(帯状体)4によると、基礎パッキン3間であって基礎1と土台2との間の隙間9に配置されていない状態では、その厚みが基礎パッキン3の厚みよりも大きい。そして、封止マット4は、隙間9に配置されることで当該隙間9の高さに応じて、圧縮弾性変形する。これにより、封止マット4は、基礎1の不陸などにより隙間9が基礎パッキン3の厚みよりも多少大きくても、隙間9を封止することが可能となる。また、封止マット4は、上下方向Bから圧縮することで、その厚みを基礎パッキン3の厚みよりも小さくすることが可能に構成されている。このため、基礎1の不陸などにより隙間9が基礎パッキン3の厚みよりも多少小さくても、封止マット4が圧縮されて隙間9が封止される。このような封止マット4を隙間9に配置させることで、基礎パッキン3間の隙間9が封止された建物の基礎構造100を得ることができる。この結果、床下の気密性や断熱性が向上する。また、封止マット4が基礎パッキン3とは別体からなるため、不陸としての凹凸を吸収しやすくなる。
【0030】
また、基礎構造100に封止マット4を採用することで、基礎1が、布基礎やベタ基礎に比して不陸が発生しやすい逆スラブ方式で構成されていても、隙間9が効果的に封止された基礎構造100を得ることができる。また、基礎パッキン3が、アンカーボルト5の立設位置近傍に配置されていることで、アンカーボルト5を用いて土台2を基礎1に効果的に緊結することが可能となる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、本実施形態における封止マット4は、基礎パッキン3の厚みよりも小さい厚みになるように、圧縮弾性変形可能に構成されているが、基礎パッキン3と同じ厚みまで、圧縮弾性変形可能に構成されておればよい。
【0032】
また、封止マットを構成する帯状体4は、1層、2層、及び、4層以上の構造から構成されていてもよい。また、中間層4bが複数層から構成されていてもよい。帯状体4が一層からなる場合及び複数層からなる場合であっても、各層が同じ弾性材料から構成されていてもよい。また、中間層4bが発泡樹脂以外の材料から構成されて、可撓性を有していてもよい。また、帯状体4の上層4aが中間層4b又は下層4cの厚み以上であってもよい。また、帯状体4の下層4cが中間層4bの厚みよりも大きくてもよいし、又は小さくてもよい。また、上層4aの上部、及び、下層4cの下部だけが弾性材料から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 基礎
2 土台
3 基礎パッキン
4 封止マット(帯状体)
4a 上層
4b 中間層
4c 下層
5 アンカーボルト
9 隙間
100 基礎構造