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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】天板昇降式什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/02 20060101AFI20221206BHJP
   A47B 9/00 20060101ALI20221206BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A47B13/02
A47B9/00 Z
A47B13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018207679
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020069346
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】ハーフォード アレキザンダー
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086909(JP,A)
【文献】特開2011-103920(JP,A)
【文献】特開2017-079890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0235360(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/02
A47B 9/00
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の天板と、前記天板の下面を支持する矩形の支持枠体と、前記支持枠体を介して前記天板を支持し、前記支持枠体の平面視で長手方向に沿って複数配置され、上下方向に伸縮自在な複数の支持脚体と、前記複数の支持脚体の伸縮を制御するコントローラと、を有する天板昇降式什器であって、
前記支持枠体は、平面視で前記長手方向に直交する短手方向に互いに離間し、前記長手方向に沿って並置された一対の横杆と、
前記一対の横杆を前記短手方向に架設し、前記長手方向に沿って相互に離間して配列された複数の連結部材と、を備え、
前記連結部材には、前記コントローラを収容する収容部が設けられている、ことを特徴とする天板昇降式什器。
【請求項2】
前記連結部材に固定され、下面が開口するように形成された複数の脚支持部材と、
上部が前記脚支持部材の前記開口に挿入されて前記脚支持部材に固定され、下部が前記支持脚体の上部に固定されている複数の脚固定部材と、を更に備える、
請求項1に記載の天板昇降式什器。
【請求項3】
前記複数の支持脚体のうち、少なくとも前記長手方向の両側に配置された一対の前記支持脚体のそれぞれには、前記短手方向に離間して配置された一対の昇降脚が設けられていることを特徴とする、
請求項2に記載の天板昇降式什器。
【請求項4】
前記脚支持部材は、前記昇降脚の上部に取り付けられ、
一対の前記脚支持部材は、対向して前記短手方向に離間して配置されると共に、一対の前記連結部材に前記長手方向に沿って架設されており、
前記収容部は、上面が開口するように形成され、前記一対の脚支持部材の間に設けられている、
請求項3に記載の天板昇降式什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が天板の上下方向の高さを任意に変更可能とする天板昇降式什器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等の執務空間においては、執務者に作業エリアを提供するためにデスク装置が配設されているのが一般的である。しかし、執務者が作業がし易いと感じるデスク装置の天板の高さは、執務者の体格や性別、嗜好等によって個々に大きく異なっている。
【0003】
そこで、天板高さが一定であるデスク装置ではなく、天板を支持する脚体の上下寸法を調整して天板高さを変更可能とした天板昇降式什器が使用されている。このような天板昇降式什器を用いることによって、執務者の要望に応じた天板高さの作業エリアを提供することが出来、作業効率を向上すると共に、執務者の体への負荷を低減することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3371959号公報
【文献】特許第3391285号公報
【文献】実用新案登録第3164739号公報
【文献】特開2014-113505号公報
【文献】特許第5718503号公報
【文献】特開2018-000749号公報
【文献】特開2018-027206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天板高さを上下に変更するための手段としては、ガススプリングを用いる方法、ギアを用いる方法等が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの方法によれば、比較的簡易的な構造とし、コストを安く抑えることが出来る。しかしながら、これらの方法によれば、力の弱い執務者では天板の高さを調整するための操作がし難い場合があり、天板の高さを調整する際の操作姿勢が悪くなることによる影響を受けやすいという課題がある。
【0006】
こうした問題に鑑み、執務者の操作性を改善にするために、電動式駆動ユニットを用いて天板の高さを調整する方法が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。この方法によれば、執務者は、容易な操作により天板高さを変更することができる。これらの天板昇降式什器においては、左右に離間して立設された上下方向に伸縮可能な一対の昇降脚と、昇降脚同士を連結する上部連結体と、昇降脚によって支持される天板と、昇降脚に接続される配線や昇降脚の伸縮を制御するコントローラ等を載置可能な収容部とを有して構成されるのが一般的となっている。
【0007】
こうした天板昇降式什器としては、天板を大きく構成することによってミーティング等に使用可能としたい場合がある。こうした大きな天板を支持脚体で安定的に支持するために、天板下面に剛性部材で構成された支持構造体を配設し、支持構造体を支持脚体で支持する構成が提案されている。(例えば、特許文献6、特許文献7参照)これらの構造によれば、天板を安定的に支持することが出来る。しかし、枠体を構成する部材を専用部材として設計する必要があり、構造が複雑化すると共に、加工工数および加工費用が増加するという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、天板の支持強度を確保しつつ、構造を簡略化すると共に、部材の共通化することができる天板昇降式什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る天板昇降式什器は、前記天板の下面を支持する矩形の支持枠体と、前記支持枠体を介して前記天板を支持し、前記支持枠体の平面視で長手方向に沿って複数配置され、上下方向に伸縮自在な複数の支持脚体と、前記複数の支持脚体の伸縮を制御するコントローラと、を有する天板昇降式什器であって、前記支持枠体は、平面視で前記長手方向に直交する短手方向に互いに離間し、前記長手方向に沿って並置された一対の横杆と、前記一対の横杆を前記短手方向に架設し、前記長手方向に沿って相互に離間して配列された複数の連結部材と、を備え、前記連結部材には、前記コントローラを収容する収容部が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る天板昇降式什器は、支持枠体が、互いに短手方向に離間して配置され、長手方向に沿った一対の横連結部材と、互いに短手方向に離間して配置され、間に生じた空間にコントローラ収容部が設けられた複数の縦連結部材と、によって構成されており、縦連結部材が横連結杆材の対向面間に架設されているので、天板の支持強度を確保しながら構造の簡易化を図ると共に、部材の共通化を図ることができる。
【0011】
上記天板昇降式什器は、前記連結部材に固定され、下面が開口するように形成された複数の脚支持部材と、上部が前記脚支持部材の前記開口に挿入されて前記脚支持部材に固定され、下部が前記支持脚体の上部に固定されている複数の脚固定部材と、を更に備えるように構成されていてもよい。
【0012】
このような天板昇降式什器によれば、連結部材の間に形成された空間に、支持脚体の上部に設けられた脚固定部材が挿入されて連結部材を架設して固定されているため、支持脚体と連結部材とをより強固に連結することが出来る。
【0013】
上記天板昇降式什器は、前記複数の支持脚体のうち、少なくとも前記長手方向の両側に配置された一対の前記支持脚体のそれぞれには、前記短手方向に離間して配置された一対の昇降脚が設けられているように構成されていてもよい。
【0014】
このような天板昇降式什器によれば、左右に設けられた支持脚体が、短手方向に離間して配置された一対の昇降脚体によって構成されているので、より大きな天板を支持することが出来ると共に、天板上への積載荷重を大きく設定することが出来る。
【0015】
上記天板昇降式什器は、前記脚支持部材は、前記昇降脚の上部に取り付けられ、一対の前記脚支持部材は、対向して前記短手方向に離間して配置されると共に、一対の前記連結部材に前記長手方向に沿って架設されており、前記収容部は、上面が開口するように形成され、前記一対の脚支持部材の間に設けられているように構成されていてもよい。
【0016】
このような天板昇降式什器によれば、複数の連結部材の間に形成された空間内にコントローラを収容する収納部が設けられていることにより、支持脚体とコントローラとを結ぶ配線及びコントローラをこの空間内に収めることができると共に、連結部材、支持脚体、およびコントローラを一つのユニットとして美観性を向上させることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る天板昇降式什器によれば、構造を簡略化すると共に、部材の共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る天板昇降式什器の構成を示す斜視図である。
図2】天板昇降式什器の下面側から見た構成を示す斜視図である。
図3】天板を支持する支持構造体の構成を示す平面図である。
図4】脚部の取り付け部分の構成を示す分解斜視図である。
図5】昇降脚の構成を示す分解斜視図である。
図6】天板昇降式什器の変形例の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る天板昇降式什器の実施形態について説明する。以下の説明において、天板昇降式什器を利用者から見た前後方向(図1の紙面右下から紙面左上を向く方向)を、天板昇降式什器の前後方向と称する。天板昇降式什器を利用者から見た左右方向を、天板昇降式什器の左右方向と称する。利用者から見た上下方向を、天板昇降式什器の上下方向と称する。
【0020】
図1から図3に示されるように、天板昇降式什器1は、電動で天板の高さを調整可能なテーブルである。天板昇降式什器1は、矩形の平板状の天板2と、天板2を支持する支持構造体200と、支持構造体200(支持枠体)を床面から支持する左右方向に離間して配置された一対の脚体(支持脚体)300とを備える。
【0021】
支持構造体200は、天板2を支持すると共に補強するための部材である。支持構造体200は、例えば、平面視で矩形に組まれた枠体である。支持構造体200の上面側には、天板2が載置される。支持構造体200の下面側において左右側に、一対の脚体300が設けられる。支持構造体200は、天板2を支持する一対の棒状の上部連結杆210(横杆)と、一対の上部連結杆210同士を連結する棒状の複数の上部連結体250(連結部材)とを備える。支持構造体200は、例えば、平面視して長手の一対の上部連結杆210と、短手の複数の上部連結体250とが矩形に組まれて形成されている。支持構造体200の左右側では、一対の上部連結体250により脚支持枠Bが形成されている。脚支持枠Bには、脚体300が取り付けられる。
【0022】
即ち、脚体300は、支持構造体200の平面視で長手方向に沿って設けられ、上下方向に伸縮自在に構成されている。脚体300は、前後方向に離間して配置された一対の昇降脚301と、昇降脚の下端部同士を連結するベース脚体305(下部連結脚体)と、を有している。
【0023】
一対の上部連結杆210は、平面視で支持構造体200の短手方向に離間し、対向して並置されている。一対の上部連結杆210は、それぞれ支持構造体200の長手方向に沿って平行に配置されている。上部連結杆210は、例えば、断面が矩形に形成された中空の角パイプである。一対の上部連結杆210は、同じ部材が用いられる。上部連結杆210は、矩形の断面の長辺が鉛直方向に沿うように配置される。即ち、一対の上部連結杆210は、天板2の主梁である。
【0024】
上部連結杆210の両端210Eには、それぞれエンド部材Eが嵌め込まれる。エンド部材Eは、例えば、樹脂材料で射出成型により形成されている。エンド部材Eは、各角部が面取りされた形状に形成されている。エンド部材Eは、上部連結杆210の鋭利な角部が利用者の身体や他の物体に接触することを防止するための部材である。エンド部材Eは、上部連結杆210の軸線方向に沿って外側に行くほど下端から上端の幅が狭くなるテーパー形状に形成されている。
【0025】
図4に示されるように、上部連結杆210には、頂板211と底板212との同じ位置に複数のビス穴211A,212Aが軸線に沿って形成されている。底板212のビス穴212Aは、例えば、頂板211のビス穴211Aよりも大きい径で形成されている。頂板211のビス穴211Aは、ビスのビス部の外径よりも若干大きく、ビスのビス頭の外径よりも小さい径で形成されている。底板212のビス穴212Bは、ビスのビス頭の外径よりも大きい径で形成されている。一対の上部連結杆210は、底板212側から挿入されたビスを頂板211の下面側からビス穴211Aに挿入する。天板2の下面側において、ビス穴211Aに対応する位置に複数の雌ビスのビス穴2Aが設けられている。
【0026】
天板2の下面側に形成された複数のビス穴に複数のビスが螺入されて、それぞれのビス穴2Aにおいて締め込まれ、頂板211と天板2とがビスで共締めされる。これにより、天板2と上部連結杆210とが締結される。一対の上部連結杆210は、上部連結杆210の軸線(支持構造体200の長手方向)に水平面で直交する方向に沿って複数の上部連結体250からなる一対の脚支持枠Bにより連結されている。これにより、上部連結体250は、一対の上部連結杆210を短手方向に架設している。
【0027】
脚支持枠Bは、脚体300を支持するための矩形の枠体である。脚支持枠Bは、例えば、一対の上部連結体250と、一対の上部連結体250のそれぞれの両端を連結する一対の連結板260と、一対の昇降脚301を支持するための一対の脚支持部材270とを備える。即ち、本実施形態では、上部連結体250は、支持構造体200において左右に一対ずつ計4本設けられている。複数の上部連結体250は、上部連結杆210の軸線方向に沿って相互に離間して配列されている。上部連結体250は、例えば、一対の上部連結杆210の長手方向の両側において2本で一つの脚支持枠Bを形成している。
【0028】
上部連結体250は、例えば、断面が矩形に形成された中空の角パイプである。上部連結体250は、矩形の断面の長辺が鉛直方向に沿うように配置される。上部連結体250は、一対の上部連結杆210の直交方向に配置されている。一対の上部連結体250は、支持構造体200の長手方向に離間して平行に配置されている。一対の上部連結体250の内側の側板251には、後述の収容部400を固定するためのビス穴251Aが設けられている。
【0029】
一対の上部連結体250の両端は、一対の上部連結体250の端部同士を連結する連結板260により連結されている。連結板260は、矩形の板状に形成されている。連結板260は、例えば、アーク溶接やスポット溶接等を用いて上部連結体250に連結される。連結板260の上端には矩形の切欠き部261が形成されている。対向する連結板260の間には、一対の脚支持部材270が配置される。
【0030】
脚支持部材270は、下面が開口した形状に形成されている。脚支持部材270は、連結板260に隣接して一対の上部連結体250を架設している。一対の脚支持部材270は、例えば、同じ部材が使用される。脚支持部材270は、例えば、ビス止めやスポット溶接等により上部連結体250に固定されている。脚支持部材270は、矩形の頂板271と、頂板271に垂下して設けられた一対の側板272とを備える。脚支持部材270は、例えば、金属板が折り曲げられて頂板271、一対の側板272が形成される。
【0031】
頂板271は、天板2の下面に当接する。頂板271には、一対のビス穴271Aが設けられている。天板2の下面側において、ビス穴271Aに対応する位置に複数の雌ビスのビス穴2Aが設けられている。頂板271は、一対のビス穴271Aに挿入されたビスやボルト等により天板2の下面に締結される。
【0032】
頂板271は、長手が上部連結杆210の軸線方向に沿うように配置される。頂板271の前後方向の両側面には、一対の矩形の側板272が設けられている。一対の側板272には、一対のビス穴272Aが設けられている。連結板260に隣接する側板272の一対のビス穴272Aは、連結板260の切欠き部261により外部に露出している。側板272の左右方向の両端の上部には、一対の矩形の突出部272Bが形成されている。突出部272Bの下端は、上部連結体250の上面に載置される。
【0033】
突出部272Bが形成されていることにより、脚支持部材270は、上部連結体250の上に載置されると共に、位置決めされる。一対の突出部272Bのうち、他の脚支持枠Bと対向する側の突出部272Bの上端には、後述のコントローラCに接続される配線を挿通する切欠き部272Cが形成されている。脚支持部材270は、上記構成により、支持構造体200の長手方向から見て断面が逆U字形で下面に開口Qが形成されている。一対の脚支持枠Bは、一対の上部連結杆210の間において、一対の上部連結杆210の長手方向の両側に配置される。
【0034】
脚支持枠Bにおいて、連結板260の両端に形成されたビス穴260Aに脚支持枠Bの内側からビスが挿入され、上部連結杆210の側板213において対応する位置に形成された雌ビス穴にビスが螺入されることにより、上部連結杆210と脚支持枠Bが連結される。即ち、上部連結体250は、連結板260を介して上部連結杆210に連結される。
【0035】
ここで、連結板260の代わりに上部連結体250の両端にフランジを設けて上部連結体250と上部連結杆210とを直接連結してもよい。また、溶接等により上部連結体250と上部連結杆210とを直接連結してもよい。このような構成により、一対の上部連結杆210両側には、2つの脚支持枠Bが連結されて支持構造体200が形成される。支持構造体200は、脚支持部材270に設けられたビス穴271Aや、上部連結杆210に設けられたビス穴211Aに挿入されるビスやボルトにより天板2の下面側に固定される。
【0036】
脚支持枠Bの一対の脚支持部材270には、伸縮自在な一対の昇降脚301のそれぞれが固定される。昇降脚301は、頂部に設けられた脚固定部材290を介して固定される。一対の昇降脚301は、例えば、同じ装置が用いられる。これにより、一対の昇降脚301は、脚固定部材290を介して支持構造体200に固定される。そして、一対の昇降脚301は、支持構造体200において、支持構造体200の短手方向に離間して配置される。
【0037】
脚固定部材290は、昇降脚301の伸縮の駆動源となるモータや減速機等を備える駆動部(不図示)が内蔵された箱体である。昇降脚301の昇降機構は、既知の技術を用いることができる。駆動部は、一対の脚固定部材290のうち、少なくとも一方に設けられている。脚固定部材290は、上方が脚支持部材270の開口Qに挿入されて脚支持部材270に固定され、下方に昇降脚301の上部が固定されている。
【0038】
脚固定部材290は、例えば、頂部に配置される頂板291が設けられている。頂板291は、矩形に形成された板状体である。頂板291は、長辺が支持構造体200の長手方向に沿うように配置される。頂板291の一対の長辺にはそれぞれ、一対の側板292が垂下して設けられている。側板292は、矩形の板状体により形成されている。側板292は、頂板291から鉛直方向に垂下した矩形の鉛直面292Vと、途中で折り曲げられて断面がV字形状になるようにテーパー面292Tとが形成されている。
【0039】
即ち、一対の側板292は、下方に行くほど下辺が互いに近位するよう形成されている。一対の鉛直面292Vの外側同士の幅は、脚支持部材270の一対の側板272の内側同士の幅より若干狭くなるように位置決めされている。一対の鉛直面292Vには、脚支持部材270の一対のビス穴272Aに対応する位置に一対のビス穴292Aが設けられている。ビス穴292Aは、雌ビスの溝が形成されていてもよいし、鉛直面292Vの内側にナットが溶接されていてもよい。
【0040】
頂板291の一対の短辺には、それぞれ一対の側板293A,293Bが垂下して設けられている。側板293Aは、支持構造体200の左右方向における外側に配置される。側板293Bには、駆動部の配線(不図示)を挿通する切欠き部(不図示)が設けられている。側板293A,293Bは、側板292のテーパー形状に合わせて上方に矩形の板状体と、下方に下底が上底に比して短い台形の板状体とが組み合わせられた形状に形成されている。
【0041】
一対の側板292と、一対の側板293A,293Bの下辺により形成された矩形の開口を塞ぐように底板294が設けられている。底板294の下面には、昇降脚301の頂部が固定される。昇降脚301は、底板294において、外側の側板293A側にオフセットして固定されている。
【0042】
このような構成により形成された箱形の脚固定部材290は、脚支持枠Bにおける脚支持部材270の下面側から開口Qに挿入されて脚支持部材270に固定される。この際、脚固定部材290の頂板291の上面を脚支持部材270の頂板291の下面に当接させるようにすると、脚固定部材290は、一対の側板272に案内されて脚支持部材270の開口Qに嵌る。
【0043】
そして、脚固定部材290の一対の側板292のビス穴292Aと脚支持部材270の一対の側板272のビス穴272Aとの位置が重なるように位置合わせが行われる。そして、ビス穴292A,272Aの位置合わせが行われた後、一対の側板292と一対の側板272とはビスで共締めされる。これにより、脚固定部材290は、計4箇所をビス止めされ脚支持部材270に確実に固定される。この状態で、脚固定部材290の側板293Bの切欠き部から外側に出された駆動部の配線は、側板272の切欠き部272Cを通じて後述する収容部400のコントローラCに接続される。
【0044】
一対の脚支持部材270の間は離間しているので、この間には、空間Sが形成されている。空間Sには、一対の昇降脚301の伸縮を制御するためのコントローラCを収容するための収容部400が設けられている。収容部400は、例えば、コントローラCが載置される底板401と底板401の両辺から起立した側板402が設けられている。底板401は、例えば、矩形の板状に形成されている。側板402は、例えば、矩形の板状に形成されている。一対の側板402の外側同士の幅は、脚支持枠Bの一対の上部連結体250の内側同士の幅よりも若干小さくなるように形成されている。
【0045】
側板402には、脚支持枠Bの一対の上部連結体250の内側の側板に設けられたビス穴250Aに途中まで螺入されたビスに引っ掛けて収容部400を固定させるための一対の切欠き部403が設けられている。切欠き部403は、脚支持枠Bの下側からコントローラCが載置された収容部400が取り付け及び取り外しができるようにフック状に形成されている。このような構成により、脚支持枠Bの一対の上部連結体250には、収容部400が設けられている。
【0046】
切欠き部403は、例えば、側板402の上辺から鉛直方向下向きの溝が形成された第1鉛直部403Aと、第1鉛直部403Aに水平方向に接続する溝が形成された水平部403Bと、水平部403Bから鉛直方向上方に側板402の上辺の手前まで形成された第2鉛直部403Cとを備える。
【0047】
このような構成により、切欠き部403がビス穴250Aに途中まで螺入されたビスを案内することにより、コントローラCが載置された収容部400は、空間Sの下側から上側に向かって挿入された後、上部連結体250の軸線方向のいずれかに沿ってスライドされ、更に収容部400を自然落下された際に脚支持枠Bに固定される。
【0048】
コントローラCは、左右の脚体300にそれぞれ同じものが設けられている。左右のコントローラCは、互いに配線で接続され、左右の一対の昇降脚301が全て連動して昇降するようにそれぞれの駆動部を制御するように構成されている。
左右のコントローラCを接続する配線は、例えば、上部連結杆210の内側の側面に沿って敷設される。上部連結杆210の内側の側面において、配線用のガイド部材(不図示)が設けられていてもよい。また、配線は、上部連結杆210の内部に通線してもよい。
【0049】
コントローラCは、操作部3(図2参照)により受け付けられた利用者の操作により駆動部を制御する。コントローラCは、左右のいずれか一方に一つ設けられて、一つのコントローラCにより左右の一対の昇降脚301が全て制御される構成であってもよい。
【0050】
図5に示されるように、各昇降脚301は、床面に支持されるベース脚体305と、ベース脚体305に固定された下部脚部302と、下部脚部302内から上下方向に昇降可能に収容された上部脚部303と、を有している。
【0051】
ベース脚体305は、床面に載置される一対の端部ベース脚307(延出脚)と、一対の端部ベース脚307同士を連結する中間ベース脚309(連結脚)とを備える。
中間ベース脚309の上面側において、両端には、一対の端部ベース脚307の基端の下面側が連結される(図2参照)。一対の端部ベース脚307は、平面視して中間ベース脚309に対して回転方向が調整自在に連結されている。
【0052】
中間ベース脚309の下面側において、両端には、第1アジャスタ(第一設置部材)が螺入される。第1アジャスタ308は、円盤状の台座上にネジ部を備え、中間ベース脚309の下面からの突出量が調整自在になるように形成されている。
【0053】
端部ベース脚307の下面側において、先端に第2アジャスタ310(第二設置部材)が螺入されている。第2アジャスタ310は、円盤状の台座上にネジ部を備え、端部ベース脚307の下面からの突出量が調整自在になるように形成されている。第1アジャスタ308及び第2アジャスタ310により、脚体300の床面に対する高さを微調整することができる。
【0054】
一対の端部ベース脚307の上面側において、それぞれの基端から鉛直上方に一対の下部脚部302が立設されている。下部脚部302は、例えば、円筒状に形成されている。下部脚部302の内部空間には、下部脚部302の内径よりも若干小さい外形の円筒状に形成された上部脚部303が挿入されている。上部脚部303の内部には、上部脚部303を下部脚部302に対して伸縮させるための昇降機構(不図示)が設けられている。
【0055】
昇降機構は、脚固定部材290に設けられた駆動部により駆動される。昇降機構は、例えば、ねじ軸、ナット、ボール等を備えるボールねじ機構である。ボールねじ機構は、駆動部により回転されたネジ軸にボールを介して螺入されたナットがネジ軸の軸線方向に沿って摺動し回転運動を直線運動に代える機構である。昇降機構は、ボールねじ機構に限らず上部脚部303を下部脚部302に対して伸縮させるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0056】
下部脚部302及び上部脚部303は、円筒状に限らず断面が矩形の筒状に形成されていてもよく、水平断面形状は任意の筒状でよい。下部脚部302に対して上部脚部303が駆動部に駆動されてそれぞれ上下方向に伸縮することで昇降脚の上下方向長さを調整することができる。一対の昇降脚301は、下部がベース脚体305により連結され、上部が脚支持枠Bに連結されているため、連動して昇降する。
【0057】
ここで、一対の昇降脚301の駆動部は、昇降脚301にそれぞれ設けられていてもよいし、一対の昇降脚301は上述のように連結されているため、一つの駆動部で一対の昇降脚301を駆動するものであってもよい。上述のように、左右の一対の脚体300は、コントローラCにより連動して昇降するため、天板2は、床面に対して水平に昇降する。
【0058】
上述したように天板昇降式什器1によれば、簡略化された構造により天板を昇降する機構が実現されると共に、部材を共通化する設計がなされていることによって製造コストを大幅に低下させることができる。また、天板昇降式什器1によれば、構造部材の間に生じた空間や、構造部材内部に昇降に関する装置を配置しているため、美観性を向上させることができる。
【0059】
即ち、天板昇降式什器によれば、天板を枠状の支持枠体で支持して必要な強度が確保されると共に、支持枠体において、横杆が梯子状に複数の連結部材で連結されているので、複数の連結部材の間に生じた空間内にコントローラを収納する収納部を設けることができ、スペースを有効利用すると共に、美観性を向上することができる。
【0060】
[変形例]
上述した天板昇降式什器1は、一対の脚体300が天板2の左右に設けられている構成を例示したが、これに限らず、脚体300は、天板2の長手方向に沿って複数個もうけられていてもよい。例えば、天板2を2枚用いる場合に、天板2の継ぎ目部分を支持する脚体300が一対の脚体300の間に更に設けられていてもよい。
【0061】
この場合、中央部の脚体300にも、一対の脚体300と同様に脚支持枠B、脚支持部材270、コントローラCが設けられていてもよい。そしてコントローラCは、一対の脚体300のコントローラCと連動して制御され、3個の脚体300は、連動して昇降するように構成されていてもよい。また、同様に脚体300は、3個以上設けられていてもよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせ、または置換して構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…天板昇降式什器、2…天板、3…操作部、200…支持構造体、210…上部連結杆、211…頂板、212…底板、213…側板、250…上部連結体、251…側板、260…連結板、261…切欠き部、270…脚支持部材、271…頂板、272…側板、272B…突出部、272C…切欠き部、290…脚固定部材、291…頂板、292…側板、292T…テーパー面、292V…鉛直面、293A…側板、293B…側板、294…底板、300…脚体、301…昇降脚、302…下部脚部、303…上部脚部、305…ベース脚体、307…端部ベース脚、308…第1アジャスタ、309…中間ベース脚、310…第2アジャスタ、400…収容部、401…底板、402…側板、403…切欠き部、B…脚支持枠、C…コントローラ、E…エンド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6