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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】細胞培養におけるウイルスの生産
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/00 20060101AFI20221206BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221206BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C12N7/00
C12N15/113 Z
C12N5/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018526926
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 AU2016051147
(87)【国際公開番号】W WO2017088018
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】2015904851
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】317002869
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(73)【特許権者】
【識別番号】500182460
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ジョージア・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ビーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウィリアム ローエンタール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス フェルナンド マラベローテガ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エー.トリップ
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/078502(WO,A1)
【文献】特表2002-517230(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104694576(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104560864(CN,A)
【文献】Pritam Das,Journal of Neuroinflammation,2006年,3(17),1-13
【文献】Asiel A. Benitez,Cell Reports,2015年06月23日,Vol. 11, No. 11,pp.1714-1726
【文献】Herbert Tilg,The journal of Immunology,150(10),4687-4692
【文献】Benitez, Asiel A.; Panis, Maryline; Varble, Andrew; Shim, Jaehee V.; tenOever, Benjamin R.,In Vivo RNAi Screening Identifies MDA5 as a Significant Contributor to the Cellular Defense against Influenza A Virus,Cell Reports,2015年06月23日,Vol. 11, No. 11,pp.1714-1726
【文献】Herbert Tilg,Induction of circulating IL-1 receptor antagonist by IFN treatment,The journal of Immunology,150(10),4687-4692
【文献】Benitez, Asiel A.; Panis, Maryline; Varble, Andrew; Shim, Jaehee V.; tenOever, Benjamin R.,In Vivo RNAi Screening Identifies MDA5 as a Significant Contributor to the Cellular Defense against Influenza A Virus,Cell Reports,2015年06月23日,Vol. 11, No. 11,,pp.1714-1726
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスの複製方法であって、
(1)細胞のゲノムにおける遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞におけるインターロイキン1受容体I型(IL-1RA)の発現を減少させる遺伝子改変を有する細胞集合を取得し、並びに/又は、
(2)インビトロでウイルスを細胞に接種し、そして
(3)細胞を所定の期間培養してウイルスを複製させ、ここで当該細胞が、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができる、前記方法。
【請求項2】
前記遺伝子改変が、細胞のゲノム内であるか及び/又はプログラム可能なヌクレアーゼによって導入された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヌクレアーゼが、RNA誘導操作ヌクレアーゼ(RGEN)、転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN)、及びジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヌクレアーゼが、RNA誘導操作ヌクレアーゼ(RGEN)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヌクレアーゼが、前記インターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子又はその制御領域に、欠失、置換、又は挿入を導入する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記遺伝子改変が、前記細胞における前記インターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子の前記発現を減少させるポリヌクレオチドをコードする導入遺伝子である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが、アンチセンスポリヌクレオチド、センスポリヌクレオチド、マイクロRNA、前記インターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子によりコードされるタンパク質に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、二本鎖RNA分子、又はそれに由来するプロセッシングされたRNA分子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ウイルス複製方法であって、当該方法が、以下の:
(1)細胞集合を得ること、
(2)外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、インターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子の発現を減少させるか、及び/又は細胞におけるタンパク質活性のレベルを減少させる外因性化合物を細胞に投与すること、
(3)細胞にインビトロでウイルスを播種すること、並びに、
(4)所定の時間、細胞をインキュベートして、ウイルスを複製すること、
を含み、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができる、前記方法。
【請求項9】
前記外因性化合物が、炭素系小分子、タンパク質結合剤、プログラム可能なヌクレアーゼ、ポリヌクレオチド、又はこれらのうち2つ以上の組合せである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記タンパク質結合剤又は前記ポリヌクレオチドが、前記細胞へ投与される導入遺伝子から発現される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導入遺伝子が、前記細胞において培養されるウイルス中に存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞が以下の:
IFNAR1、IL-1RA、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、CAPN13、UBA5、NPR2、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2、IFNAR2、IFNGR1、INFGR2、IL-10R2、IFNκ、IFNΩ、IL-1RB及びHTRA4からなる群のうちの1、2、3、4、又はそれ以上から選ばれる抗ウイルス遺伝子の1、2、3、4、又はそれ以上のものの発現を低減する遺伝子改変をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞は、
1)ニワトリ胚性線維芽細胞(CEF)由来の初代細胞由来であり;
2)ニワトリ組織由来の初代細胞由来であり;
3)ニワトリ由来の不死化細胞由来であり;
4)胚性由来幹細胞株EB14由来であり;
5)胚性由来幹細胞株EB66由来であり;
6)不死化ひよこ胚細胞株PBS-1由来であり;
7)ニワトリ線維化細胞株DF-1由来であり;
8)マジン―ダービー(Madin-Darby)イヌ腎臓細胞;
9)アフリカミドリザル腎臓由来Vero細胞;
10)ヒト網膜由来PER.C6細胞;又は
11)MRC-5二倍体細胞株由来である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ウイルスが、オルトミクソウイルス科、ヘルペスウイルス科、パラミクソウイルス科、フラビウイルス科、又はコロナウイルス科であるか、又は感染性ファブリーキウス嚢病ウイルスである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記オルトミクソウイルス科ウイルスが、以下の:
i) 動物ウイルス
ii)インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、及びインフルエンザCウイルスから選ばれる、
iii)インフルエンザAウイルスである、及び
iv)H1N1、H1N2、H1N3、H1N4、H1N5、H1N6、H1N7、H1N9、H2N1、H2N2、H2N3、H2N4、H2N5、H2N7、H2N8、H2N9、H3N1、H3N2、H3N3、H3N4、H3N5、H3N6、H3N8、H4N1、H4N2、H4N3、H4N4、H4N5、H4N6、H4N8、H4N9、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N7、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N3、H6N4、H6N5、H6N6、H6N7、H6N8、H6N9、H7N1、H7N2、H7N3、H7N4、H7N5、H7N7、H7N8、H7N9、H9N1、H9N2、H9N3、H9N5、H9N6、H9N7、H9N8、H10N1、H10N3、H10N4、H10N6、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N3、H11N6、H11N9、H12N1、H12N4、H12N5、H12N9、H13N2、H13N6、H13N8、H13N9、H14N5、H15N2、H15N8、H15N9 及びH16N3から選ばれる、
のうちの1以上である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ワクチン組成物を提供する方法であって、
(1)請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を用いてウイルスを複製すること、
(2)細胞から複製されたウイルス、又はその粒子を回収すること、及び、
(3)回収されたウイルスからワクチン組成物を調製すること、
を含む、前記方法。
【請求項17】
遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞においてインターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子の発現を減少させる、プログラム可能なヌクレアーゼにより細胞のゲノム内に導入された遺伝子改変を含むインビトロでの細胞集合であって、当該細胞が、アイソジェニック細胞の集合より多くのウイルスを産生することができる、前記細胞集合。
【請求項18】
請求項17に記載の細胞集合の製造方法であって、以下の:
(1)遺伝子改変を1又は複数の細胞に導入すること、
(2)工程1)から産生された細胞を、遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞よりも多くのウイルスを産生する能力についてスクリーニングし、
(3)遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞よりも多くのウイルスを産生する遺伝子改変を有する1又は複数の細胞を選択し、そして
(4)場合により選択された細胞をクローン増幅すること
を含む、前記方法。
【請求項19】
外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合に、細胞においてインターロイキン1受容体I型(IL-1RA)遺伝子の発現を低下させ、及び/又はインターロイキン1受容体I型(IL-1RA)タンパク質活性のレベルを低下させる外因性化合物を含む、インビトロにおける細胞集合であって、ここで当該細胞が、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができ、そしてここで当該ウイルスがオルソミクソウイルス科である、前記細胞集合。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロにおけるウイルス複製方法に関している。特に、本発明は、遺伝的に改変された細胞集合及び/又は外来性化合物で処理された細胞集合であって、当該細胞が、遺伝的改変を欠くか及び/又は外来性化合物での処理を欠いた細胞と比較して、より多くのウイルスを産生することができる、細胞集合に関しているウイルスレベルの増加に使用できる改変されたトリの卵に関する。本発明はまた、そのような細胞集合を生産する方法、並びに得られたウイルスのワクチン組成物を調製するための使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス感染は、ヒト及び経済に重要な家畜の両方において、経済的且つ社会的影響を及ぼす重要な健康問題である。
【0003】
ウイルス性疾患から動物を守る主なアプローチの1つは、ワクチン接種である。充分な量のウイルスが利用可能であること、並びにウイルス生産に関連するコストがワクチンの生産の制限要因である。大量の卵の供給に依っていることが、インフルエンザワクチン、及び他のワクチン生産の現在の制限となっている。パンデミックの発生に対抗するために、又はパンデミックへの準備に対するワクチンを備蓄するために十分なワクチンを産生するにあたり直面する特定の問題である。さらに、幾つかのウイルスは、細胞培養系で産生され、これはパンデミックへの準備に対するより高い拡張性のオプションを提供する。しかしながら、すべてのウイルスが現存の細胞株において複製されるわけでなく、そうして費用対効果の高いワクチン生産のために十分なタイターで複製されないことも多い。さらに、同じウイルスの異なる下部は、同じ細胞株においても異なる複製効率を有しており、これは産生されるワクチンの量を制限する可能性があり、そしてウイルス複製が低い場合にワクチン生産のコストを増加させうる。
したがって、ワクチン生産のためウイルスを生産する改善された方法や、同ウイルスを産生するための細胞集合を開発する必要性が存在している。特に、現存の細胞株においてウイルス産生を増加させること、並びに高いウイルス収率をもたらし、かつパンデミックの出現並びにパンデミックへの準備のためのワクチン生産に対する要件にあったサイズの迅速なスケーリングに適した新たな細胞株を開発することについての必要性が存在する。このような背景に鑑み、本発明者らは、インビトロでウイルスを複製するための方法及び細胞集合を開発した。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、インビトロにおいて細胞中で抗ウイルス遺伝子の発現及び/又は抗ウイルスタンパク質活性のレベルを低減することが、細胞においてウイルス生産を増加することができるということを示した。
【0005】
こうして、一の態様では、本発明は、ウイルスを複製する方法を提供する。この方法は、以下の:
(1)遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞中の抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる遺伝子改変を有する細胞集合を取得し、
(2)インビトロで当該細胞にウイルスを播種し、そして
(3)所定の時間細胞を培養してウイルスを複製させる
を含み、ここで当該細胞が、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができる。
【0006】
一実施形態において、遺伝子改変は細胞のゲノム中にある。一実施形態において、ゲノムは遺伝子改変についてホモ接合体である。一実施形態において、遺伝子改変は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は核DNAに存在する。一実施形態では、遺伝子改変は、細胞集合の100%に導入される。
【0007】
遺伝子改変は、細胞集合において抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる所望の効果及び/又は抗ウイルスタンパク質活性のレベルを達成する天然細胞に対する任意の変化でありうる。
【0008】
一実施形態において、遺伝子改変は、抗ウイルス遺伝子若しくはその調節領域に対する、欠失、置換、又は挿入である。例えば、遺伝子改変はプログラム可能なヌクレアーゼによって導入されてもよい。別の例において、遺伝子改変は、抗ウイルス遺伝子の一部若しくは全部を削除したり、外因性ポリヌクレオチドを抗ウイルス遺伝子に挿入したり、又は一部の抗ウイルス遺伝子(エキソン等のような)の向きを再配列したりすることによって、抗ウイルス活性を有するタンパク質をコードしないように、相同組換えによって導入され得る。別の実施形態において、遺伝子改変は非相同末端接合によって導入された。さらに別の実施形態において、遺伝子改変は化学的突然変異原によって導入された。
【0009】
一実施形態において、遺伝子改変は点突然変異である。
【0010】
一実施形態において、遺伝子改変は、細胞集合における抗ウイルス遺伝子の発現を減少させ、及び/又は抗ウイルスタンパク質活性のレベルを低減するポリヌクレオチドをコードする導入遺伝子により導入された。ポリヌクレオチドの例には、これらに限定されないが、アンチセンスポリヌクレオチド、センスポリヌクレオチド、マイクロRNA、抗ウイルス遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、トランスポゾン、アプタマー、二本鎖RNA分子、又はそれに由来するプロセシングRNA分子が含まれる。
【0011】
一実施形態において、導入遺伝子は、細胞集合におけるポリヌクレオチドの発現を指示するプロモーターに動作可能に連結されたポリヌクレオチドをコードする、オープンリーディングフレームを含む。
【0012】
代替的な態様において、本発明は、ウイルスを複製する方法を提供し、本方法は、
(1)細胞集合を得ること、
(2)化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、抗ウイルス遺伝子の発現を減少させるか、及び/又は細胞における抗ウイルスタンパク質活性のレベルを減少させる外因性化合物を細胞に投与すること、
(3)細胞にインビトロでウイルスを播種すること、並びに、
(4)所定の時間、細胞をインキュベートして、ウイルスを複製すること、
を含み、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができる。
【0013】
一実施形態において、化合物は、炭素系小分子、タンパク質結合剤、プログラム可能なヌクレアーゼ、ポリヌクレオチド、又はこれら2つ以上の組み合わせである。
【0014】
一実施形態において、タンパク質結合剤又はポリヌクレオチドは、細胞に投与される導入遺伝子から発現される。
【0015】
一実施形態において、導入遺伝子は、細胞で培養されるウイルスに存在する。
【0016】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2、IFNAR2、IFNGR1、INFGR2、IL-10R2、IFNκ、IFNΩ、IL-1RB及びHTRA4のうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上から選択される。
【0017】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は全てから選択される。
【0018】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2のうち、1つ、2つ、3つ、又は全てから選択される。
【0019】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IL-6である。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、MDA5である。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、CNOT4である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IFNαである。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、HSBP1である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、GNAZである。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、NPR2である。
【0020】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、I型、II型、又はIII型インターフェロン経路に存在する。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、I型インターフェロン経路に存在する。
【0021】
一実施形態において、細胞は、連続細胞株(continuous cell line)である。一実施形態において、細胞は接着細胞である。一実施形態において、細胞は非接着細胞(懸濁細胞)である。
【0022】
一実施形態において、細胞は、
1)ニワトリ胚性線維芽細胞(CEF)由来の初代細胞由来であり;
2)ニワトリ組織由来の初代細胞由来であり;
3)ニワトリ由来の不死化細胞由来であり;
4)胚性由来幹細胞株EB14由来であり;
5)胚性由来幹細胞株EB66由来であり;
6)不死化ひよこ胚細胞株PBS-1由来であり;
7)ニワトリ線維化細胞株DF-1由来であり;
8)マジン―ダービー(Madin-Darby)イヌ腎臓細胞;
9)アフリカミドリザル腎臓由来Vero細胞;
10)ヒト網膜由来PER.C6細胞;又は
11)MRC-5二倍体細胞株由来である。
【0023】
一実施形態において、細胞は血清の非存在下で培養される。
一実施形態において、ウイルスは、動物ウイルスである。一実施形態において、動物は、ヒト、ニワトリ、ブタ、魚、ヒツジ、又はウシである。一実施形態において、動物は、ヒトである。
【0024】
一実施形態において、ウイルスは、オルトミクソウイルス科、ヘルペスウイルス科、パラミクソウイルス科、フラビウイルス科、及びコロナウイルス科から選択される科である。
【0025】
一実施形態において、ウイルスは、インフルエンザウイルス、イヌジステンパーウイルス、麻疹ウイルス、レオウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、イヌパラインフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、鶏痘ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ムンプスウイルス、ウマ脳脊髄炎、風疹ウイルス、軟卵症候群ウイルス、トリ腫瘍退縮ウイルス、トリ感染性喉頭気管炎ヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス、天然痘ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、ウシイバラキウイルス、組換えポックスウイルス、トリアデノウイルスI型、II型、又はIII型、ブタ日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ヘルペスウイルス、シンドビスウイルス、感染性気管支炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラEEVウイルス、ニワトリ貧血ウイルス、マレック病ウイルス、パルボウイルス、口蹄疫ウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタコレラウイルス、ブルータングウイルス、カバネウイルス、伝染性サケ貧血ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス性出血性敗血症ウイルス、及び伝染性膵臓壊死症ウイルスから選択される。
【0026】
好ましい一実施形態において、ウイルスは、オルトミクソウイルス科である。したがって一実施形態では、本発明はウイルスの複製方法であって、当該方法が、以下の
(1)遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞において抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる遺伝的改変を有する細胞集合を取得すること、
(2)細胞にインビトロでウイルスを播種すること、並びに、
(3)所定の時間、細胞をインキュベートして、ウイルスを複製すること、
を含み、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができ、そしてウイルスがオルトミクソウイルス科である、方法を提供する。
【0027】
一実施形態では、オルトミクソウイルス科のウイルスは、インフルエンザウイルスAウイルス、インフルエンザBウイルス、及びインフルエンザCウイルスから選ばれる。
【0028】
一実施形態では、インフルエンザAウイルスは、以下の:
H1N1、H1N2、H1N3、H1N4、H1N5、H1N6、H1N7、H1N9、H2N1、H2N2、H2N3、H2N4、H2N5、H2N7、H2N8、H2N9、H3N1、H3N2、H3N3、H3N4、H3N5、H3N6、H3N8、H4N1、H4N2、H4N3、H4N4、H4N5、H4N6、H4N8、H4N9、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N7、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N3、H6N4、H6N5、H6N6、H6N7、H6N8、H6N9、H7N1、H7N2、H7N3、H7N4、H7N5、H7N7、H7N8、H7N9、H9N1、H9N2、H9N3、H9N5、H9N6、H9N7、H9N8、H10N1、H10N3、H10N4、H10N6、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N3、H11N6、H11N9、H12N1、H12N4、H12N5、H12N9、H13N2、H13N6、H13N8、H13N9、H14N5、H15N2、H15N8、H15N9及びH16N3から選ばれる。
【0029】
代替の好ましい実施形態では、ウイルスは、パラミクソウイルス科である。こうして、本発明の実施形態は、ウイルスを複製する方法であって、当該方法が以下の:
(1)遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞において抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる遺伝的改変を有する細胞集合を取得すること、
(2)細胞にインビトロでウイルスを播種すること、並びに、
(3)所定の時間、細胞をインキュベートして、ウイルスを複製すること、
を含み、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができ、そして当該ウイルスが、パラミクソウイルス科である、方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、パラミクソウイルス科のウイルスは、ニューキャッスル病ウイルスである。
【0031】
一実施形態では、ウイルスは、インフルエンザAウイルスである。
【0032】
一実施形態では、本方法は、さらに複製されたウイルス又はそのウイルス粒子を回収することを含む。一実施形態では、本方法は、さらに複製されたウイルス又はその粒子を、細胞の分泌物から回収することをさらに含む。一実施形態では、粒子は、スプリットウイルス粒子及びサブユニットウイルス粒子を含む。
【0033】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される方法を用いて産生されたウイルスを提供する。一実施形態では、ウイルスはインフルエンザウイルスである。
【0034】
別の態様において、本発明は、ワクチン組成物を生産する方法を提供し、本方法は、
(1)本発明に記載の方法を用いてウイルスを複製すること、
(2)細胞に由来する複製されたウイルス、又はその粒子を回収すること、及び、
(3)回収されたウイルスからワクチン組成物を調製すること、を含む。
【0035】
一実施形態において、ステップ(2)又はステップ(3)は、ウイルスを不活性化することを含む。一実施形態において、ウイルスを不活性化することは、UV、熱、又は化学的不活性化を含む。
【0036】
一実施形態において、ステップ(2)又はステップ(3)は、ウイルスを分裂させて、スプリットウイルス粒子又はサブユニットウイルス粒子を産生することを含む。
【0037】
当業者が理解するように、本発明のワクチン組成物を生産する方法は、当該技術分野における標準的な技術を用いて実施することができる。
【0038】
一実施形態において、複製ウイルス又はその粒子の収穫は、(1)浄化、(2)濃縮、(3)不活性化、(4)ヌクレアーゼ処理、(5)分離/精製、(6)研磨、及び/又は(7)滅菌濾過を含む。
【0039】
本明細書に記載される方法を用いて製造されたワクチン組成物もまた提供される。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞において抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる遺伝的改変を含む細胞集合を、インビトロで提供し、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合より多くのウイルスを産生することができる。
【0041】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載される細胞集合を産生する方法を提供し、この方法は以下の:
(1)遺伝子改変を1又は複数の細胞に導入すること、
(2)工程1)から産生された細胞を、遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞よりも多くのウイルスを産生する能力についてスクリーニングし、
(3)遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞よりも多くのウイルスを産生する遺伝的改変を有する1又は複数の細胞を選択し、そして
(4)場合により選択された細胞をクローン増幅すること
を含む。
【0042】
当業者が理解するように、本発明の細胞集合を産生する方法は、本技術分野の標準技術を用いて行うことができる。
【0043】
一実施形態では、遺伝的改変は、細胞のゲノムにおいてなされる。
【0044】
一実施形態では、遺伝的改変は、プログラム可能なヌクレアーゼにより導入される。
【0045】
一の態様では、本発明は、本明細書に記載される方法により製造される細胞集合を提供する。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、インビトロで、化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合に、細胞において抗ウイルス遺伝子の発現を低下させ、及び/又は抗ウイルスタンパク質活性のレベルを低下させる外因性化合物を含む細胞集合を提供し、ここで当該細胞は、アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生することができる。
【0047】
一実施形態では、外因性化合物は、炭素系小分子、タンパク質結合剤、プログラム可能なヌクレアーゼ、ポリヌクレオチド、又はこれら2つ以上の組み合わせである。
【0048】
一実施形態において、タンパク質結合剤又はポリヌクレオチドは、細胞に投与される導入遺伝子から発現される。
【0049】
一実施形態では、タンパク質結合剤は抗体である。
【0050】
本明細書中のあらゆる実施形態は、特に断りのない限り、あらゆる他の実施形態に準用される。例えば、当業者が遺伝的改変を含む本発明の方法について上述したプログラム可能なヌクレアーゼの例を理解することは、本発明の外因性化合物を含む方法に等しく適用される。
【0051】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によって限定されるものではなく、例示の目的にのみ意図される。機能的に等価な製品、組成物、及び方法は、本明細書に記載されるように、本発明の範囲内に明確にある。
【0052】
本明細書中では、特に明記されていない限り、又は文脈によって求められない限り、単一のステップ、材料の組成、ステップの群、又は材料の組成物の群に対する参照は、これらのステップ、材料の組成物、ステップの群、又は材料の組成物の群の単数及び複数(すなわち、1つ以上)を包含するものと考えられるべきである。
【0053】
以下、以下の非限定的な実施例及び添付の図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、ウイルス中和アッセイにおける組換えニワトリ(rch)IFNα、IFNβ、IFNγ、及びIFNλの抗ウイルス活性を示す。細胞生存率の増加はODの増加に等しい。吸光度値は、平均±標準偏差であり、2つの独立した実験からの重複を意味する。細胞単独及び細胞+ウイルス対照は、24ウェルからの平均として示されている。
図2図2Aは、間接ELISA分析が、精製抗IFN(IFNα、IFNβ、IFNγ、及びIFNλ)血清が相同タンパク質を認識することを明らかにすることを示す。グラフは、硫酸アンモニウム沈降ポリクローナル抗chIFN抗血清がELISAで相同タンパク質を検出することを示す。ODは抗体レベルの尺度である。示されている吸光度値は、平均±標準偏差であり、2つの独立した実験からの重複を意味する。図2Bは、抗chIFN-α抗体が、卵におけるウイルス力価を増加させるものではないことを示す。卵においてインフルエンザワクチンウイルス(PR8又はNIBRG14)を同時接種した抗chIFN-α抗体は、血球凝集反応(HA)アッセイで測定した赤血球凝集反応(HA)力価を増強しない。棒グラフは、4件の実験±標準偏差の平均値を表す。図2Cは、抗chIFN-β抗体が、卵においてウイルス力価が増加するようではないことを示す。精製抗chIFN‐β抗体とインフルエンザワクチンウイルス(PR8又はNIBRG14)との同時投与は、HAアッセイによって決定された卵中のウイルスHA力価に影響を及ぼさない。棒グラフは、最大3件の実験±標準偏差の平均値を表す。
図3図3Aは、抗chIFN-λ抗体が、ウイルス価を卵中で増加させることを示す。精製抗chIFN-λ抗体及びインフルエンザワクチンウイルス(PR8又はNIBRG14)の接種は、HAアッセイによって測定された卵におけるHA力価の増加をもたらす。棒グラフは最大7件の実験±標準偏差の平均値である。統計学的有意差はアスタリスク1つ(*)p<0.05、アスタリスク2つ(**)p<0.005、アスタリスク3つ(***)で表す。p=0.0001。図3Bは、抗chIFN-γ抗体が、ウイルス力価を卵中で増加させることを示す。抗chIFN-γ抗体及びインフルエンザワクチンウイルス(PR8又はNIBRG14)の同時投与は、HAアッセイによって測定された卵におけるウイルスHA力価の増加をもたらす。棒グラフは2件の実験±標準偏差の平均値を表す。統計学的有意差はアスタリスク1つ(*)p<0.05で表される。図3Cは、抗chIL-6抗体が、ウイルス力価を卵中で増加させることを示す。精製した抗chIL-6抗体及びインフルエンザワクチンウイルス(PR8又はNIBRG14)の両方を卵に注入する効果は、HAアッセイによって測定されるHAウイルス力価の増加をもたらす。棒グラフは、最大5件の実験±標準偏差の平均値を表す。統計学的有意差は、アスタリスク1つ(*)p<0.05、アスタリスク2つ(**)p<0.005で表される。
図4図4は、鳥インフルエンザのワクチン生産のための抗ウイルス遺伝子のスクリーニングと同定を示す。A.陰性対照siRNA(siNT1)、又は21の候補宿主遺伝子を標的とするsiRNAをトランスフェクトしたDF-1細胞の生存能。生存率は、ウイルス感染時、トランスフェクションから72時間後に測定した。B.インフルエンザA/WSNの力価は、不死化ニワトリ線維芽細胞株、DF-1、対照細胞(siNT1)、又はsiRNAでトランスフェクトされた細胞内で、21の宿主遺伝子の発現を沈黙させるために増殖した。siRNAを用いてノックダウン(KD)後にTCDI50として測定したウイルス力価の有意な増加が観察され、IFNRA1はウイルス力価の最高の増加を示す。C.DF1細胞上のウイルス粒子の免疫染色は、siRNAによるIFNAR1発現の阻害後のウイルス増殖の有意な増加を示す。
図5-1】図5は、宿主の遺伝子発現のsiRNA下方制御が、インビトロでウイルス増殖を増加させることを示す。DF-1細胞は、陰性対照siRNA(siNT1)を取らすフェクトするか、又はCNOT4、IFNAR若しくはMDA5を標的とし、プールされた(スマートプール)4つのsiRNA二本鎖、若しくは個々のsiRNA二本鎖としてのいずれかを標的とするsiRNAをトランスフェクトした。siNT1でトランスフェクトされた細胞のmRNAレベルと比較して、p<0.05。mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCR法によるトランスフェクションの72時間後に、Taqmanプローブを用いて定量した。siRNA複合体の各々を、標的遺伝子KDに対する能力(左側に表示)、及びウイルス力価を増加させる能力(右側に表示する)で評価した。細胞を、インフルエンザA/WSNウイルス(MOI0.1)に48時間感染させた。細胞上清中のウイルスレベルを、TCID50アッセイによって定量した。siNT1でトランスフェクトされた細胞のウイルスレベルと比較して、p<0.05。
図5-2】図5は、宿主の遺伝子発現のsiRNA下方制御が、インビトロでウイルス増殖を増加させることを示す。DF-1細胞は、陰性対照siRNA(siNT1)を取らすフェクトするか、又はCNOT4、IFNAR若しくはMDA5を標的とし、プールされた(スマートプール)4つのsiRNA二本鎖、若しくは個々のsiRNA二本鎖としてのいずれかを標的とするsiRNAをトランスフェクトした。siNT1でトランスフェクトされた細胞のmRNAレベルと比較して、p<0.05。mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCR法によるトランスフェクションの72時間後に、Taqmanプローブを用いて定量した。siRNA複合体の各々を、標的遺伝子KDに対する能力(左側に表示)、及びウイルス力価を増加させる能力(右側に表示する)で評価した。細胞を、インフルエンザA/WSNウイルス(MOI0.1)に48時間感染させた。細胞上清中のウイルスレベルを、TCID50アッセイによって定量した。siNT1でトランスフェクトされた細胞のウイルスレベルと比較して、p<0.05。
図5-3】図5は、宿主の遺伝子発現のsiRNA下方制御が、インビトロでウイルス増殖を増加させることを示す。DF-1細胞は、陰性対照siRNA(siNT1)を取らすフェクトするか、又はCNOT4、IFNAR若しくはMDA5を標的とし、プールされた(スマートプール)4つのsiRNA二本鎖、若しくは個々のsiRNA二本鎖としてのいずれかを標的とするsiRNAをトランスフェクトした。siNT1でトランスフェクトされた細胞のmRNAレベルと比較して、p<0.05。mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCR法によるトランスフェクションの72時間後に、Taqmanプローブを用いて定量した。siRNA複合体の各々を、標的遺伝子KDに対する能力(左側に表示)、及びウイルス力価を増加させる能力(右側に表示する)で評価した。細胞を、インフルエンザA/WSNウイルス(MOI0.1)に48時間感染させた。細胞上清中のウイルスレベルを、TCID50アッセイによって定量した。siNT1でトランスフェクトされた細胞のウイルスレベルと比較して、p<0.05。
図5-4】図5は、宿主の遺伝子発現のsiRNA下方制御が、インビトロでウイルス増殖を増加させることを示す。DF-1細胞は、陰性対照siRNA(siNT1)を取らすフェクトするか、又はCNOT4、IFNAR若しくはMDA5を標的とし、プールされた(スマートプール)4つのsiRNA二本鎖、若しくは個々のsiRNA二本鎖としてのいずれかを標的とするsiRNAをトランスフェクトした。siNT1でトランスフェクトされた細胞のmRNAレベルと比較して、p<0.05。mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCR法によるトランスフェクションの72時間後に、Taqmanプローブを用いて定量した。siRNA複合体の各々を、標的遺伝子KDに対する能力(左側に表示)、及びウイルス力価を増加させる能力(右側に表示する)で評価した。細胞を、インフルエンザA/WSNウイルス(MOI0.1)に48時間感染させた。細胞上清中のウイルスレベルを、TCID50アッセイによって定量した。siNT1でトランスフェクトされた細胞のウイルスレベルと比較して、p<0.05。
図6図6は、卵由来のTCID50WSNを示す。A.ABA-21/117Q値を用いて送達されたsiRNAによる下方制御後の卵由来のTCID50WSNは、単一複製として得られる。B.ABA-21/117Qを用いて送達されたsiRNAによって下方制御された卵由来のTCID50WSN。値は平均+2標準偏差として得られる。
図7A-B】図7は、卵由来のTCID50WSNを示す。A.ABA-21/117Qを用いて送達されたsiRNAによる下方制御後の、卵由来のTCID50PR8ワクチン株。値は平均+2標準偏差として得られる。B.TCID50力価とIFNAR1のノックダウンとの相関。C.ABA-21/117Qを用いて送達されたsiRNAによる下方制御によって得られたHA及びTCID50最大値は、対照と比較して3logの増加に相当する。shIFNAR1は卵のインフルエンザ増殖を増加させる。D.shIFNAR1の発現及びインフルエンザRNAのレベルを、0日目のRCAS‐shIFNA1注射後の12胚の心臓、及び胚発生の10日目のインフルエンザ(PR8株)への感染時にて、測定した。リアルタイムPCRの生CT値は、shIFNAR1及びインフルエンザRNAレベルの発現との相関を示す。shIFNAR1及びインフルエンザRNAの発現が高いほど、CT値は低いことが示されている(N=6)。
図7C-D】図7は、卵由来のTCID50WSNを示す。A.ABA-21/117Qを用いて送達されたsiRNAによる下方制御後の、卵由来のTCID50PR8ワクチン株。値は平均+2標準偏差として得られる。B.TCID50力価とIFNAR1のノックダウンとの相関。C.ABA-21/117Qを用いて送達されたsiRNAによる下方制御によって得られたHA及びTCID50最大値は、対照と比較して3logの増加に相当する。shIFNAR1は卵のインフルエンザ増殖を増加させる。D.shIFNAR1の発現及びインフルエンザRNAのレベルを、0日目のRCAS‐shIFNA1注射後の12胚の心臓、及び胚発生の10日目のインフルエンザ(PR8株)への感染時にて、測定した。リアルタイムPCRの生CT値は、shIFNAR1及びインフルエンザRNAレベルの発現との相関を示す。shIFNAR1及びインフルエンザRNAの発現が高いほど、CT値は低いことが示されている(N=6)。
図8A-B】図8は、IFNAR1DF-1KO細胞株の生成を示す。A.トランスフェクション後、親細胞株由来の細胞は、対立遺伝子の約30%でPCRスクリーニング中に代替アンプリコンを提示した。欠失は配列決定によって確認された。野生型(WT)と比較した場合、細胞を選別して、2対立遺伝子(A136及びA142)、単一対立遺伝子(A13)、又は明確な欠失なし(A143)を示す単一クローンを得た。B.IFNAR1A遺伝子発現をqPCRにより評価した。結果は、KO細胞株上で産生されるハウスキーピングWSNウイルス粒子に対する、ΔΔct値+/-2標準偏差(SD)の平均として表した。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。C.遺伝子KOは0時間と48時間である。D.KO細胞株上で産生されるWSNウイルス粒子。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。
図8C図8は、IFNAR1DF-1KO細胞株の生成を示す。A.トランスフェクション後、親細胞株由来の細胞は、対立遺伝子の約30%でPCRスクリーニング中に代替アンプリコンを提示した。欠失は配列決定によって確認された。野生型(WT)と比較した場合、細胞を選別して、2対立遺伝子(A136及びA142)、単一対立遺伝子(A13)、又は明確な欠失なし(A143)を示す単一クローンを得た。B.IFNAR1A遺伝子発現をqPCRにより評価した。結果は、KO細胞株上で産生されるハウスキーピングWSNウイルス粒子に対する、ΔΔct値+/-2標準偏差(SD)の平均として表した。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。C.遺伝子KOは0時間と48時間である。D.KO細胞株上で産生されるWSNウイルス粒子。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。
図8D図8は、IFNAR1DF-1KO細胞株の生成を示す。A.トランスフェクション後、親細胞株由来の細胞は、対立遺伝子の約30%でPCRスクリーニング中に代替アンプリコンを提示した。欠失は配列決定によって確認された。野生型(WT)と比較した場合、細胞を選別して、2対立遺伝子(A136及びA142)、単一対立遺伝子(A13)、又は明確な欠失なし(A143)を示す単一クローンを得た。B.IFNAR1A遺伝子発現をqPCRにより評価した。結果は、KO細胞株上で産生されるハウスキーピングWSNウイルス粒子に対する、ΔΔct値+/-2標準偏差(SD)の平均として表した。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。C.遺伝子KOは0時間と48時間である。D.KO細胞株上で産生されるWSNウイルス粒子。全ウイルス収率を示す指標として、異なる細胞株上のH1N1A/WSN/1933成長を用いてMDCK細胞を感染させた後、Pfu及びTCID50を確立した。
図9図9は、ヘンドラウイルスに対する抗ウイルス遺伝子のスクリーニング及び同定を示す。不死化ヒト細胞株HeLa、対照細胞(siNT1)、又はsiRNAでトランスフェクトされた細胞中における、ヘンドラウイルス複製。siRNAを用いたウイルス複製の有意な増加が観察された。LAMP1はウイルス力価の最大上昇を示した。
【発明を実施するための形態】
【0055】
一般的技術及び選択した定義
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有するものとする(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、精密ゲノム工学、タンパク質化学、生化学など)。
【0056】
特に明記されない限り、本発明で利用される細胞培養及び免疫学的技術は、当業者によく知られている標準的な手順である。そのような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984),J.Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989),T.A.Brown(編集者)、Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991),D.M.Glover and B.D.Hames(編集者)、DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995及び1996)、及びF.M.Ausubel et al.(編集者)、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての更新を含む)、Ed Harlow and David Lane(編集者)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、及びJ.E.Coligan et al.(編集者)Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(現在までの全ての更新を含む)のような文献を通して記述され、説明されている。
【0057】
用語「及び/又は」、例えば「X及び/又はY」とは、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと解釈され、両方の意味又はいずれかの意味について明示的な支持を提供するために取られる。
【0058】
本明細書全体を通して、用語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」のようなバリエーションは、指定された要素、整数若しくはステップ、又は要素の群、整数若しくはステップ、あらゆるその他の要素の除外をしないが、整数若しくはステップの群、又は要素の群、整数若しくはステップを包含することを意味するものと理解されたい。
【0059】
本明細書に使用される場合に、「ウイルスを複製する」という語句は、宿主細胞複製機構を用いて、細胞及び/又は培地中の開始時のウイルスコピー数と比較して、細胞及び/又は培地中のウイルスコピー数を増加させることを指す。
【0060】
本明細書に使用される場合、「細胞集合」という語句は、細胞培養方法を用いてインビトロで培養でき、かつその中でウイルスが複製できる任意の細胞集合である。一実施形態では、細胞は、哺乳動物、鳥又は節足動物でありうる。一実施形態では、細胞は、初代細胞株由来である。一実施形態では、細胞は不死化細胞株由来である。一実施形態では、細胞は接着細胞である。一実施形態では、細胞は非接着細胞(懸濁細胞)である。
【0061】
本明細書で用いられる場合、用語「遺伝子改変」とは、細胞における遺伝物質に対するあらゆる人工的改変である。この組換えは、細胞集合の祖先、又は細胞集合に対して行われていてもよい。一の例では、遺伝的改変は、細胞集合の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%に対してなされる。一の例において、遺伝子改変は、プログラム可能なヌクレアーゼによって導入されたゲノム中の内因性遺伝子に対する突然変異である。例えば、変異は、もはや機能性タンパク質をコードしない遺伝子をもたらす、フレームシフト及び/又は欠失であってもよい。別の実施形態において、相同組換えが用いられて、抗ウイルスタンパク質が産生されないように標的抗ウイルス遺伝子全体の一部を削除する。代替的な実施形態において、遺伝子改変は、例えば、細胞集合に所望のポリヌクレオチドを発現する核酸構築物中の導入遺伝子の命令である。遺伝子改変は、染色体外であるか、又は細胞の核やミトコンドリアゲノムに組み込まれていてもよい。1の例では、遺伝的改変は、宿主から単離される前に、遺伝的改変が細胞に導入される。一の例では、遺伝的改変は、宿主から細胞が単離されたのちに細胞へと導入される。
【0062】
本明細書で用いられる場合、「外因性化合物」は、所望の結果を生成するために細胞に投与される、炭素系小分子、タンパク質、又はポリヌクレオチドといったあらゆる物質であり得る。
【0063】
本明細書で用いられる場合、用語「アイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを産生する」やその類似の表現は、本明細書に記載されるように、遺伝的改変又は外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞の集合よりも多くのウイルスを培養するために使用される細胞集合の能力を指す。アイソジェニック細胞は、遺伝的改変及び/又は外因性化合物の存在は別として、本発明の細胞集合と遺伝的には同一である。一実施形態では、本発明の細胞集合は、遺伝子改変及び/又は外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞の集合と比べた場合、少なくとも0.5倍、又は少なくとも1倍、又は少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも15倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも100倍以上のウイルスを生成する。このようなウイルス生産の増加は、ルーチン技術を用いて熟練者によって容易に決定できる。例えば、遺伝的改変を有するか、又は外因性化合物を投与された細胞集合は、同一の量の同一のウイルスを接種することができ、並びに同一の期間に同一の条件下でインキュベートすることができ、そして細胞集合におけるウイルス粒子の量は、実施例にて概説するような技術といった一般的な技術を用いて決定することができる。
【0064】
本明細書で用いられる場合、用語「ウイルス又はその粒子」とは、不活性化されていても又はいなくてもよい全ウイルス、及びうそのようなウイルスの粒子に関する、ウイルス粒子は、スプリットウイルスワクチン又はサブユニットウイルスワクチンで使用するのに適したあらゆるサイズであり得る。全ウイルス又はウイルスの粒子は、細胞集合又はその分泌物(又は上清)から回収することができる。回収された全ウイルスは、ワクチン組成物の調製中に破壊されて、スプリットウイルスワクチン又はサブユニットウイルスワクチンに適当なサイズの粒子を形成することができる。
【0065】
本明細書で用いられる場合、用語「抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる」とは、遺伝子改変及び/又は外因性化合物が、遺伝的改変や外因性の化合物を欠くアイソジェニック細胞のレベルと比較した場合、細胞集合においてRNA転写物のレベル及び/又はRNA転写物からの翻訳レベルを下方制御する能力を指す。一実施形態において、アイソジェニック細胞は、遺伝的改変及び/又は外因性化合物の存在以外は、本発明の細胞集合と遺伝的に同一である。一実施形態において、遺伝的改変及び/又は外因性化合物は、遺伝的改変及び/又は外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合に、細胞集合において抗ウイルス遺伝子の発現を、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%又は95%以上、少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は100%分減少する。このような減少は、標準的な手順を用いて同定することができる。
【0066】
本明細書で用いられる場合、用語「抗ウイルスタンパク質活性のレベルを低下させる」とは、遺伝的改変を欠くアイソジェニック細胞におけるレベルと比較した場合、遺伝子改変及び/又は外因性化合物が、細胞集合中の抗ウイルスタンパク質活性レベルを下方制御する能力を指す。一実施形態において、アイソジェニック細胞は、本発明の本発明の細胞集合とは、遺伝子改変及び/又は外因性化合物の存在を除いて、遺伝的に同一である。タンパク質の活性は、例えば、細胞集合中のタンパク質の量を減少させること、及び/又は細胞集合中のタンパク質の自然機能を果たす能力を低下させることによって(例えば、外因性化合物(例えば、抗体)を活性部位に結合させることによって)減少させることができる。一実施形態において、遺伝子改変及び/又は外因性化合物は、遺伝子改変及び/又は外因性化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%以上、少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は100%分、細胞集合の抗ウイルスたんぱく活性レベルを低下させる。このような減少は、標準的な手順を用いて同定することができる。
【0067】
本明細書に言及されている「導入遺伝子」とは、バイオテクノロジー分野における通常の意味を有し、組換えDNA又はRNA技術によって製造又は改変されていて、そして本発明の細胞集合に導入された、遺伝子配列を含む。一般に、導入遺伝子は、例えば形質転換によって、ヒトの操作により本発明の細胞集合に導入されているが、あらゆる方法を当業者は使用することができる。導入遺伝子には、染色体に導入される遺伝子配列及び染色体外の遺伝子配列が含まれる。この導入遺伝子は、典型的には、本発明の細胞集合にポリヌクレオチドを発現するために好適なプロモーターに作動可能に連結された目的のポリヌクレオチドをコードするオープンリーディングフレームを含む。
【0068】
本明細書に言及される用語「炭素系小分子」とは、分子量が、2000ダルトン以下、好ましくは1500ダルトン未満、さらに好ましくは1000ダルトン未満、さらにより好ましくは750ダルトン未満、それ以上さらにより好ましくは500ダルトン以下の、化学物質又は分子を指す。
【0069】
「トリ」という語句は、本明細書中で、分類上鳥類に分類される任意の種、亜種、又はレースを指し、例えば非限定的に、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、及び走禽類、例えばオーストリッチ、エミュー及びヒクイドリを指す。この語句は、様々な既知のガルス ガルス(Gallus gallus)(ニワトリ)、例えばWhite Leghorn, Brown Leghorn, Barred-Rock, Sussex, New Hampshire, Rhode Island, Australorp, Cornish, Minorca, Amrox, California Gray, Italian Partidge-coloured、並びに七面鳥、キジ、ウズラ、アヒル、ゲームヘン、ホロホロチョウ、ハト、オーストリッチ、及び商業上の量で一般に生産される家禽を含む。
【0070】
抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質
本明細書で用いられる場合、「抗ウイルス遺伝子」とは、細胞集合に内因性であるあらゆる遺伝子であり、あらゆる手段によって細胞集合におけるウイルスの産生を制限する発現である。抗ウイルス遺伝子は、抗ウイルスタンパク質をコードすることができる。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「抗ウイルスタンパク質」とは、細胞集合に内在性の任意のタンパク質であり、その存在は、細胞集合におけるウイルスの産生を制限する。
【0072】
抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、ウイルス感染に対する応答をマウントする細胞の能力に関連していてもよい。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、インターフェロン(IFN)経路の一部を形成する。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、I型、II型、又はIII型インターフェロン経路に存在する。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、I型又はIII型インターフェロン経路に存在する。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IFN-α/β受容体1(IFNAR1)鎖である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IL-6である。
【0073】
代替的な実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、ウイルス感染に対する免疫応答をマウントする細胞の能力に関与するか、又は関与することが既知であってもよい。このような遺伝子/タンパク質のいくつかの既知の機能の例として、細胞代謝、胚発生、細胞シグナル伝達、又は核酸合成に関与していることが挙げられる。
【0074】
代替的な実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質の発現を減少させることにより、ウイルスに感染した細胞のアポトーシスが減少する。
【0075】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、 SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2、IFNAR2、IFNGR1、INFGR2、IL-10R2、IFNκ、IFNΩ、IL-1RB及びHTRA4又はその対応する受容体若しくはアゴニストのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上から選択される。一実施形態において、IFNαは、次のアイソフォーム:IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNA8、IFNα10、IFNα13、IFNα14、IFNα16、IFNα17、及びIFNα21の1つ以上である。一実施形態において、IFNλは、次のアイソフォーム:IFNλ1、IFNλ2、IFNλ3、IFNλ4の1つ以上である。
【0076】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、 SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2及びHTRA4、又はその対応する受容体若しくはアゴニストのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上から選択される。
【0077】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、
DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、 SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2及びHTRA4又はその対応する受容体若しくはアゴニストのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上から選択される。
【0078】
一実施態様において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ, IFNλのうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は全てから選択される。
【0079】
一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、MDA5である。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IL-6である。一実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、CNOT4である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、IFNαである。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、DDI2である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、HSBP1である。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、GNAZである。別の実施形態において、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、NPR2である。
【0080】
一実施形態では、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2及びHTRA4うち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は全てから選択される。一実施形態では、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2及びHTRA4のうち1つ、2つ、3つ、4つ、又は全てから選択され、そして細胞集合が哺乳動物細胞である。一実施形態では、抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質は、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2及びHTRA4のうち1つ、2つ、3つ、4つ、又は全てから選択され、そして細胞集合が哺乳動物細胞であり、そしてウイルスガヘンドラウイルスである。
【0081】
標的化可能な抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質に関するさらなる詳細は、以下の表1に示す。
【0082】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0083】
細胞集合における抗ウイルス遺伝子の発現及び/又は抗ウイルスタンパク質活性レベルの減少
ウイルス生産の増加は、遺伝的に改変された細胞集合及び/又は本明細書に定義される外因性化合物で処理された処理された細胞集合を介して達成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、細胞集合における抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質の発現は、遺伝子改変の導入によって減少する。一の例において、遺伝子改変は、細胞集合の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は100%の細胞に直接導入される。一実施形態では、遺伝的改変は、細胞集合の100%に導入される。一実施形態では、遺伝的改変は、細胞集合の祖先に導入される。遺伝的改変の導入は、遺伝子改変細胞の創成をもたらす。
【0085】
いくつかの実施形態において、細胞集合における抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質活性の発現は、外因性化合物によって減少する。外因性化合物の方法の例としては、炭素系小分子、タンパク質結合剤、プログラム可能なヌクレアーゼ、ポリヌクレオチド、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0086】
遺伝的改変
遺伝的改変は、所望の効果、それは細胞集合における抗ウイルス遺伝子の発現低下及び/又は抗ウイルスタンパク質活性のレベルの低下である、をもたらす、天然細胞に対する人が行った任意の変更でありうる。細胞を遺伝的に改変する方法は、当技術分野において周知である。一実施形態において、遺伝子改変は、点突然変異、挿入、又は欠失(若しくは、これらの一つ以上の組み合わせ)といった、遺伝子を部分的又は完全に不活性化する内因性遺伝子の突然変異である。点突然変異は、早期停止コドン(ナンセンス変異)、スプライス部位突然変異、欠失、フレームシフト突然変異、又は遺伝子若しくはコードされたポリペプチドの活性を低下させるアミノ酸置換変異であってもよい。
【0087】
一実施形態において、遺伝子改変は、プログラム可能なヌクレアーゼによって導入される。一実施形態において、遺伝子改変は、相同組換えによって導入される。一実施形態において、遺伝子改変は、非相同末端接合によって導入される。一実施形態において、遺伝子改変は、化学的変異原によって導入される。別の実施形態において、遺伝子改変は、外因性ポリヌクレオチドによってコードされる導入遺伝子によって導入される。一実施形態において、外因性ポリヌクレオチドは、DNA分子、RNA分子、又はDNA/RNAハイブリッド分子によってコードされる。内因性遺伝子の発現を減少させる外因性ポリヌクレオチドの例は、アンチセンスポリヌクレオチド、センスポリヌクレオチド、マイクロRNA、内因性酵素を結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、トランスポゾン、アプタマー、二本鎖RNA分子、及びこれらに由来するプロセシングRNA分子からなる群から選択される。一実施形態において、導入遺伝子は、細胞の集合におけるポリヌクレオチドの発現を指示するプロモーターに対し、動作可能に連結されたポリヌクレオチドをコードする、オープンリーディングフレームを含む。
【0088】
プログラム可能なヌクレアーゼ
いくつかの実施形態において、遺伝子改変を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、細胞集合における抗ウイルス遺伝子の発現を減少させる遺伝子改変は、プログラム可能なヌクレアーゼを介して導入される。いくつかの実施形態において、その化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合に細胞集合において抗ウイルス遺伝子の発現を減少させ、及び/又は抗ウイルスタンパク質活性レベルを減少させる外因性化合物は、プログラム可能なヌクレアーゼである。
【0089】
本明細書で用いられる場合、用語「プログラム可能なヌクレアーゼ」とは、細胞のゲノムにおいて、予め決定された部位を認識し編集するための、「標的化された」(「プログラムされた」)ヌクレアーゼを指す。
【0090】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、ゲノム内の所定の部位において部位特異的DNA切断を誘導することができる。一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、DNA結合タンパク質ドメイン、又はDNA結合タンパク質ドメインの組み合わせを有するゲノム位置を認識するようプログラムされてもよい。一実施形態において、ヌクレアーゼは、抗ウイルス遺伝子又はその調節領域へ、欠失、置換、又は挿入を導入する。
【0091】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、DNA結合ジンクフィンガータンパク質(ZEP)ドメインの組み合わせによってゲノム位置を認識するようプログラムされてもよい。ZFPはDNA配列中の特定の3塩基対を認識し、ZFPの組み合わせは特異的なゲノム位置を認識するために使用できる。
【0092】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、転写アクチベーター様エフェクター(TALE)DNA結合ドメインによってゲノム位置を認識するようプログラムされてもよい。
【0093】
別の実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、1つ以上のRNA配列によってゲノム位置を認識するようプログラムされてもよい。別の実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、1つ以上のDNA配列によってプログラムされ得てもよい。別の実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、1つ以上のハイブリッドDNA/RNA配列によってプログラムされてもよい。別の実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、1つ以上のRNA配列、DNA配列、及びハイブリッドDNA/RNA配列によってプログラムされてもよい。
【0094】
別の実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、複数のサイレンシングに使用することができる。すなわち、2、3、4、5、又はそれ以上の抗ウイルス遺伝子を同時に標的化される2つ以上の「標的化」又は「プログラミングシーケンス」(すなわち、2、3、4、5又はそれ以上のプログラミングシーケンス)を有するプログラム可能なヌクレアーゼの送達に使用することができる(Kim et al.,2014)。
【0095】
本開示に従って使用することのできるプログラム可能なヌクレアーゼは、細菌クラスタ化された定期挿入短パリンドローム反復(CRISPR)-cas(CRISPR関連)系由来のRNA誘導操作ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZEN)、転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN)、及びアルゴノートを含むが、これらに限定されない。
【0096】
(CRISPR)-cas(CRISPR関連)システムは、侵入ファージ及びプラスミドに対する防御に関与する微生物ヌクレアーゼシステムである。微生物宿主におけるCRISPR遺伝子座は、CRISPR関連(Cas)遺伝子と、CRISPR媒介核酸開裂の特異性をプログラミングすることができる非コードRNA要素との組合せを含有する。3種(I~III)のCRISPRシステムが、II型RGENクラスを有する広範囲の細菌宿主にわたって同定されている(Makarova et al.,2015)。各CRISPR遺伝子座の一つの重要な特徴は、反復配列(直反復)の配列の存在が、非反復配列(スペーサー)の短いストレッチによって間隔をあけていることである。非コードCRISPR配列は、個々のスペーサー配列を含有する短crRNAに直接反復して転写及び開裂され、これによってCasヌクレアーゼを標的部位(プロトパッカー)へ導く。
【0097】
II型CRISPRは、標的化DNA二本鎖切断を4つステップにて行う(例えば、Cong et al.,2013を参照のこと)。第一に、2つの非コードRNA、前crRNA配列、及びtracRNAが、CRISPR遺伝子座から転写される。第二に、tracRNAは前crRNAの反復領域にハイブリダイズし、前crRNAのプロセシングを、個々のスペーサー配列を含有する成熟crRNAへと媒介する。第三に、成熟crRNA:tracRNA複合体は、crRNA上のスペーサーと、プロトパッカサー隣接モチーフ(PAM)の隣の標的DNA上のプロトパッカーとの間のワトソン-クリック塩基対を介して、標的認識の追加要件であるCas9を標的DNAに導く。そして、Cas9は標的DNAの開裂を媒介して、プロトパッカー内において二本鎖切断を生む。CRISPRシステムはまた、ゲノム中の一本鎖切断を生成するためにも使用できる。したがって、CRISPRシステムは、RNA誘導(又はプログラムされたRNA)部位特異的ゲノム編集に使用できる。
【0098】
一実施形態において、ヌクレアーゼは、RNA誘導操作ヌクレアーゼ(RGEN)である。一実施形態において、RGENは古細菌ゲノム由来であるか、又はその組換えバージョンである。一実施形態において、RGENは、細菌ゲノム由来であるか、又はその組換えバージョンである。一実施形態において、RGENは、I型(CRISPR)-cas(CRISPR関連)システムに由来する。一実施形態において、RGENは、II型(CRISPR)-cas(CRISPR関連)システムに由来する。一実施形態において、RGENは、III型(CRISPR)-cas(CRISPR関連)システムに由来する。一実施形態において、ヌクレアーゼは、I型RGENである。一実施形態において、ヌクレアーゼは、II型RGENである。一実施形態において、RGENは、複数成分の酵素である。一実施形態において、RGENは、単一成分の酵素である。一実施形態において、RGENは、CAS3である。一実施形態において、RGENは、CAS10である。一実施形態において、RGENは、CAS9である。一実施形態において、RGENは、Cpf1である(Zetsche et al.,2015)。一実施形態において、RGENは、単一のRNA又はDNAによって標的化される。一実施形態において、RGENは、2つ以上のRNA及び/又はDNAによって標的化される。一実施形態において、CAS9は、化膿性連鎖球菌(Steptococcus pyogenes)由来である。
【0099】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、転写アクチベーター様エフェクター(TALE)ヌクレアーゼであってもよい(例えば、Zhang et al.,2011を参照のこと)。TALEは植物病原体ザントモナス由来の転写因子であり、新規のDNA標的に結合するよう容易に操作できる。TALE又はその切断されたバージョンは、Foklなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインにリンクして、TALEヌクレアーゼ又はTALENと呼ばれる標的エンドヌクレアーゼを生成する。
【0100】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)である。一実施形態において、ZFNの各モノマーは、3つ以上のジンクフィンガー系DNA結合ドメインを含み、各ジンクフィンガー系DNA結合ドメインは3塩基対のサブサイトに結合する。その他の実施形態において、ZFNは、独立ヌクレアーゼに動作可能に連結されたジンクフィンガー系DNA結合ドメインを含む、キメラタンパク質である。一実施形態において、独立エンドヌクレアーゼは、FokIエンドヌクレアーゼである。一実施形態において、ヌクレアーゼ剤は第1ZFN及び第2ZFNを含み、第1ZFN及び第2ZFNの各々は、約6塩基対~約40塩基対の切断部位、又は約5塩基対~約6塩基対の切断部位によって分離した、標的DNA配列の各鎖において、2つの隣接する標的DNA配列を認識し、そしてFokIヌクレアーゼは二量体化し、二本鎖切断を行う(例えば、米国特許第20060246567号明細書、同第20080182332号明細書、同第20020081614号明細書、同第20030021776号明細書、国際公開第2002/057308号パンフレット、米国特許第20130123484号明細書、同第20100291048明細書、及び国際公開第11/017293号パンフレットを参照のこと)。
【0101】
一実施形態において、プログラム可能なヌクレアーゼは、DNAプログラムされたアルゴノート(国際公開第14/189628号パンフレット)であってもよい。原核生物及び真核生物のアルゴノートは、RNA干渉経路に関与する酵素である。アルゴノートは、設計された核酸標的化酸と複合体を形成することによって、標的核酸を結合及び開裂することができる。開裂は、非相同末端結合機構によって修復できる標的核酸において、二本鎖切断を導入することができる。DNA「誘導された」又は「プログラムされた」アルゴノートは、DNAの所定の位置に二本鎖DNA切断を導入することができる。一実施形態において、アルゴノートは、ナトロノバクテリウムグレゴリイ(Natronobacterium gregoryi)である。
【0102】
相同体組換え
一実施形態において、遺伝子改変は、相同組換えによって導入される。相同組換えとは、二本鎖切断修復(DSBR)経路及び合成依存鎖アニーリング(SDSA経路)の使用を関与させることができる、2つの類似又は同一分子のDNA間でヌクレオチド配列を交換する遺伝子改変の一種である(Lodish et al.,2000;Weaver,2002)。相同組換えは、遺伝子又はその部分を削除するか、又は抗ウイルス遺伝子又はその調節領域への置換又は挿入を導入するために用いることができる。さらに、相同組換えを用いて導入遺伝子を挿入することもできる。相同組換えを用いて、当業者に公知のあらゆる方法によって、宿主細胞のDNAに遺伝子改変を導入することができる。一実施形態において、相同組換えは、プログラム可能なヌクレアーゼによってトリガーされ得る。
【0103】
二本鎖RNA
一実施形態において、外因性ポリヌクレオチドはdsRNAである。一実施形態において、遺伝子改変は、好ましくはトリのゲノムに統合された、RNAi用のdsRNA分子をコードする導入遺伝子である。別の実施形態において、外因性化合物は、RNAi用のdsRNA分子、又はdsRNAをコードする導入遺伝子である(例えば、ウイルスなどの好適な発現ベクターに提供される)。
【0104】
用語「RNA干渉」、「RNAi」、又は「遺伝子サイレンシング」とは一般に、dsRNA分子が、二本鎖RNA分子が実質的又は全相同性を共有する核酸配列の発現を減少させるプロセスを指す。しかしながら、RNA干渉は、非RNA二本鎖分子を用いて達成できることが示されている(例えば、米国特許第20070004667号明細書を参照のこと)。
【0105】
本発明は、本発明において使用するRNA干渉のための二本鎖領域を含む及び/又はコードする、核酸分子を含む。核酸分子は典型的にはRNAであるが、化学的に修飾されたヌクレオチド及び非ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0106】
二本鎖領域は、少なくとも19個の連続ヌクレオチド、例えば約19~23ヌクレオチド、又はより長くてもよく、例えば30若しくは50ヌクレオチド、又は100ヌクレオチド以上でなければならない。遺伝子転写物全体に対応する全長配列を用いることができる。好ましくは、約19~約23ヌクレオチド長である。
【0107】
標的転写物に対する核酸分子の二本鎖領域の識別度は、少なくとも90%、より好ましくは95~100%でなければならない。核酸分子は当然、分子の安定化に機能し得る、関連した配列を含むことができる。
【0108】
本明細書で用いられる場合、用語「短干渉RNA」又は「siRNA」とは、例えば配列特異的方法でRNAiを仲介することによって、遺伝子発現を阻害するか又は下方制御することのできるリボヌクレオチドを含む、核酸分子を指し、二本鎖部分は、50ヌクレオチド長以下、好ましくは約19~約23ヌクレオチド長である。例えば、siRNAは、自己相補的センス及びアンチセンス領域を含む核酸分子であり得、アンチセンス領域は、標的核酸分子又はその標的核酸配列中のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列、及び標的核酸配列又はその一部と対応するヌクレオチド配列を有するセンス領域を含む。siRNAは、1本の鎖がセンス鎖であり、もう一方がアンチセンス鎖である、2つの別々のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、アンチセンス及びセンス鎖は自己相補的である。
【0109】
本明細書で用いられる場合、siRNAという用語は、配列特異的RNAi、例えばマイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、短干渉核酸(siNA)、短干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)などを媒介することのできる核酸分子を描写するために使用されるその他の用語と、同等であることを意味する。さらに、本明細書で用いられる場合、RNAiという用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、又はエピジェネティクスのような、配列特異的RNA干渉を描写するために使用されるその他の用語と、同等であることを意味する。例えば、本発明のsiRNA分子を、転写後レベル又は転写前レベルの両方において、エピジェネティックに無音遺伝子へ用いることができる。非限定的な例において、本発明のsiRNA分子による遺伝子発現のエピジェネティック調節は、遺伝子発現を変化させるために、クロマチン構造のsiRNA媒介修飾によって生じてもよい。
【0110】
「shRNA」又は「短ヘアピンRNA」とは、約50ヌクレオチド未満、好ましくは約19~約23ヌクレオチドのRNA分子を意味し、同一のRNA分子上に位置する相補的配列と対合しており、この配列及び相補配列は、塩基相補性の2つの領域によって生成されるステム構造の上に一本鎖ループを形成する、少なくとも約4~約15ヌクレオチドの不対領域によって分離されている。一本鎖ループのシーケンスの例としては、5’UUCAAGAGA3’が挙げられる。
【0111】
包含されるshRNAは、二重又は二指及び多指のヘアピンdsRNAであり、RNA分子は、一本鎖スペーサー領域によって分離されたこのようなステム-ループ構造の2つ以上を含む。
【0112】
一旦設計されると、二本鎖領域を含む核酸分子は、当技術分野で公知のあらゆる方法、例えば、インビトロ転写、組換え体、又は合成手段によって生成され得る。
【0113】
ヌクレオチドの修飾又は類似体を導入して、本発明の核酸分子の特性を改善することができる。改良された性質には、ヌクレアーゼ耐性の増加及び/又は細胞膜透過能の増加が含まれる。したがって、用語「核酸分子」及び「二本鎖RNA分子」は、シンシン、キサンチンキサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル-、2-プロピル-、及びその他のアルキル-アデニン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、6-アザシトシン、及び6-アザチミン、シュードウラシル、4-チウラシル、8-ハロアデニン、8-アミノアデニン、8-チオオールアデニン、8-チオールアルキルアデニン、8-ヒドロキシルアデニン、並びにその他の8-置換アデニン、8-ハログアニン、8-アミノグアニン、8-チオールグアニン、8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルグアニン、及びその他の置換グアニン、その他のアザ及びデアザアデニン、その他のアザ及びデアザグアニン、5-トリフルオロメチルウラシル及び5-トリフルオロシトシンなどの合成修飾塩基を含む。
【0114】
小分子
いくつかの実施形態において、外因性化合物は、小分子である。一実施形態において、小分子は抗ウイルスタンパク質に結合することによって、ウイルス感染した細胞において正常な機能を遂行するタンパク質の能力を低下させる。
【0115】
一実施形態において、投与される化合物は、不活性又は比較的低い活性である前駆体化合物であり得るが、化合物を欠くアイソジェニック細胞と比較した場合、投与後に、細胞集合中において抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質活性の発現を減少させる化合物へ変換される(例えば、代謝される)。これらの実施形態において、投与される化合物は、プロドラッグと称することができる。あるいは、又はその上、化合物を欠いたアイソジェニック細胞と比較した場合、投与される化合物は代謝されて、細胞集合中において抗ウイルス遺伝子及び/又はタンパク質活性の発現を減少させる活性を有する、活性代謝物を生成してもよい。このような活性代謝物の使用もまた、本開示の範囲内である。
【0116】
外因性化合物中に存在する置換基に応じて、化合物は、随意に塩の形で存在していてもよい。本発明における使用に好適な化合物の塩は、カウンターイオンが薬学的に許容されるものである。好適な塩として、有機酸若しくは無機酸、又は塩基で形成されたものが含まれる。薬学的に許容可能な酸添加塩として、塩酸、臭化水素、硝酸、窒素、クエン酸、酒石、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸、リジン、並びにアルギニンから形成されるものが挙げられる。薬学的に様可能な塩基塩として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウム及びナトリウム、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウムなど、並びに有機塩基を有する塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ-、ジ-、又はトリ-低級アルキルアミン、例えば、エチル-、t-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-、若しくはジメチル-プロピルアミン、又はモノ-、ジ-、若しくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ-、ジ-、若しくはトリエタノールアミンが挙げられる。対応する内部塩もまた形成することができる。
【0117】
有機及び/又は医薬化学の当業者は、多くの有機化合物が反応される溶媒と錯体を形成することができるか、又はそれらが沈殿若しくは結晶化されることを理解するであろう。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。例えば、水との複合体は「水和物」と呼ばれる。化学量論的又は非化学量論的量のいずれかでおける結晶格子中に原体が水などの溶媒と相互作用する場合、含水塩といった溶媒和化合物が存在する。薬物物質は、水和物のような溶媒和物の存在について日常的にスクリーニングされるが、これらはあらゆる段階において遭遇することがある。したがって、本発明に有用な化合物は、水和物のような溶媒和物の形態で存在することができることが理解されよう。本発明において使用するのに適した化合物の溶媒和形態は、関連する溶媒が薬学的に許容されるものである。例えば、水和物は、薬学的に許容される溶媒和物の一例である。
【0118】
本発明に有用な化合物は、非晶質形態又は結晶形で存在することができる。多くの化合物は多型形態で存在し、全てのこのような形態における化合物の使用は本開示によって包含される。
【0119】
本開示に有用な小分子は、本発明の抗ウイルス標的タンパク質に結合するための候補化合物のライブラリーをスクリーニングし、そしてタンパク質活性を低下させる化合物がいずれであるかを決定するような標準的な方法を用いて、同定することができる。例えば、ニワトリIFN-α/β受容体1の活性を低下させるために有用な小分子は、受容体に結合し、受容体(IFNなど)のリガンドが細胞シグナルを誘導する能力を阻害する。
【0120】
結合剤
一実施形態において、外因性化合物は、抗ウイルスタンパク質の活性を結合し、減少させるタンパク質である。一実施形態において、結合剤は、抗体又はその断片である。いくつかの実施形態において、抗体は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、 SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2、IFNAR2、IFNGR1、INFGR2、IL-10R2、IFNκ、IFNΩ、IL-1RB及びHTRA4遺伝子、並びに/若しくはタンパク質、又はそれらの対応する受容体若しくはアゴニストの、発現又は活性を方向付けるか、及び/又は減少させる。いくつかの実施形態において、結合剤は、DDI2、HSBP1、GNAZ、NPR2、CNOT4、MDA5、IFNα、IL-6、IFNAR1、IFNβ、IFNγ、IFNλ、UBE1DC1、CDX2、LOC100859339、IL28RA、ZFPM2、TRIM50、DNASEIL2、PHF21A、GAPDH、BACE2、PCGF5、IL-1RA、CAPN13、UBA5、IFIH1、LAMP1、EFR3A、ARRDC3、ABI1、SCAF4、GADL1、ZKSCAN7、PLVAP、RPUSD1、CYYR1、UPF3A、ASAP1、NXF1、TOP1MT、RALGAPB、SUCLA2、GORASP2、NSUN6、CELF1、ANGPTL7、SLC26A6、WBSCR27、SIL1、HTT、MYOC、TM9SF2,CEP250、FAM188A、BCAR3、GOLPH3L、HN1、ADCY7、AKAP10、ALX1、CBLN4、CRK、CXORF56、DDX10、EIF2S3、ESF1、GBF1、GCOM1、GTPBP4、HOXB9、IFT43、IMP4、ISY1、KIAA0586、KPNA3、LRRIQ1、LUC7L、MECR、MRPL12、POLR3E、PWP2、RPL7A、SERPINH1、SLC47A2、SMYD2、STAB1、TTK、WNT3、XPO1、AHHR、ZNF334、SSR4、KLRC1、SIX5、TCL1B、ZNF211、MAGEL2、 SBN01、OR1D5、SLC17A9、ZNF607、GCET2、TMEM223、ZNF146、NLRP13、RLN2、NCR2、OR4B1、GLUD2、IFNAR2、IFNGR1、INFGR2、IL-10R2、IFNκ、IFNΩ、IL-1RB及びHTRA4、又はこれらの受容体若しくはアゴニストのうち、2つ以上のあらゆる組み合わせに向けられた二重特異抗体である。一実施形態において、抗体は、細胞によって、(受動的又は積極的に)侵入又は取り込まれるように修飾された抗体である。一実施形態において、結合剤はB18Rではない。
【0121】
本明細書で用いられる場合、用語「抗体」とは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異抗体、融合糖尿病、トリアボジン、ヘテロ結合体抗体、無傷分子を含むキメラ抗体、並びにこれらの断片、及びその他の抗体様分子を含む。抗体として、例えば、VH又はVLドメイン、重鎖可変領域(ラクダ科において記述されているような、VHH)の二量体、軽鎖可変領域(VLL)の二量体、直接若しくはリンカーを通じて接続し得る軽鎖(VL)及び重鎖(VH)可変領域のみを含有するFv断片、又は重鎖可変領域及びCH1ドメインを含有するFd断片のいずれかを含む、ドメイン抗体を含む種々の形態における修飾が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
重鎖と軽鎖の可変領域からなるscFvは、単鎖抗体(Bird et al., 1988; Huston et al., 1988)を形成するために結合し、糖尿病やトリアボイズのようなscFvのオリゴマーも用語「抗体」によって包含される。また、可変領域及び定常領域の一部を含むFab、(Fab’)2、及びFabFc2フラグメントのような抗体の断片も包含される。相補性決定領域(CDR)グラフト化抗体フラグメント及び抗体フラグメントのオリゴマーも包含される。Fvの重鎖及び軽鎖成分は、同じ抗体又は異なる抗体から誘導されてもよく、それによってキメラFv領域を生成する。抗体は動物(例えば、マウス、ウサギ、又はラット)であってもよいし、キメラ(Morrison et al., 1984)であってもよい。抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって製造することができる。
【0123】
本明細書に記載されたガイドライン及びこれらの方法は、上記文献に記載されている当業者に周知の方法で知られており、また、Harlow & Lane, Antibodies: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)は、本発明の方法に用いる抗体を容易に作成することができる。
【0124】
抗体は可変光(VL)と、光及び重鎖を直接又はリンカーを通して結合させる可変重鎖(VH)とを含むFv領域とすることができる。本明細書で使用されるリンカーは、光及び重鎖に共有結合され、それらが方向づけられるエピトープを特異的に結合することができるコンホメーションを達成できるように、2つの鎖間の充分な間隔と柔軟性を提供する分子を指す。タンパク質リンカーは、融合ポリペプチドのIg部分の固有成分として発現することができるので特に好ましい。
【0125】
一実施形態において、抗体は細胞内伝播能を有する。細胞内伝播の能力を有する抗体は、ラクダ及びラマ抗体、サメ抗体(イグナール)、scFv抗体、イントラコード又はナノダイオードなどの抗体、例えばscFvイントロン及びVHHイントロンを含む。このような抗原結合剤は、Harmsen and De Haard (2007)、Tibary et al. (2007)、及びMuyldermans et al. (2001)によって記述される。酵母SPLINT抗体ライブラリーは、タンパク質-タンパク質相互作用(例えば、Visintin et al. (2008)の製造方法について参照)を阻害することができるイントラダイズの検査に利用できる。このような薬剤は、Constantini et al. (2008)に開示された細胞貫通ペプチド配列又は核局在化ペプチド配列を含むことができる。また、De Coupade et al. (2005)及びMeyer-Losic et al. (2006)にて開示されているようなVectocell又はDiatoペプチドベクターが、インビボ送達に有用である。
【0126】
さらに、抗体は細胞貫通性ペプチド、例えば細胞貫通ペプチドに融合させることができる。細胞浸透ペプチドには、Tatペプチド、ペントラチン、Pept-及びMPGファミリーからの短両親媒性ペプチド、オリゴアルギニン及びオリゴリシンが含まれる。一実施例において、細胞貫通ペプチドもまた、細胞内送達(Koppelhus et al., 2008)を改善するために脂質(C6-C18脂肪酸)ドメインに結合される。細胞貫通ペプチドの例はHowl et al.(2007)及びDeshayes et al.(2008)に見出される。したがって、本発明はまた、共有結合(例えばペプチド結合)を介して、任意オプションでN末端又はC末端を細胞貫通ペプチド配列に融合させた抗体を使用する。
【0127】
核酸構築物
本発明の細胞集合への遺伝子改変の導入は、核酸構築物の使用を含むことができる。一実施形態において、核酸構築物は、導入遺伝子を含むことができる。本明細書で使用される場合、「ターゲット」「核酸構築物」は、例えば、本明細書に定義される二本鎖RNA分子、プログラム可能なヌクレアーゼ又はベクター中の興味のあるポリヌクレオチド「ガイド」を含むRNA、DNA、又はRNA/DNAハイブリッド配列をコードする任意の核酸分子を指す。典型的には、核酸構築物は二本鎖DNA又は二本鎖RNA又はそれらの組合せであろう。さらに、核酸構築物は、典型的には、ポリヌクレオチドをコードするオープンリーディングフレームに動作可能に連結された適切なプロモーターを含む。核酸構築物は、例えば、二本鎖RNA分子の第1の一本鎖をコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、相補的(2番目)鎖は、異なる、好ましくは同一の核酸構築物によって第2のオープンリーディングフレームによってコードされる。核酸構築物は、直線状の断片又は環状分子であってもよく、また、複製が可能であるか否かを問わない。熟練者は、本発明の核酸構築物が適当なベクター内に含まれ得ることを理解するであろう。核酸構築物を受容細胞にトランスフェクション又は変換することにより、核酸構築物によってコードされるRNA又はDNA分子を発現させることができる。
【0128】
別の実施例において、核酸構築物は、二本鎖領域、例えば短ヘアピンRNAを含む、同一のRNA分子、及び/又は複数の異なるRNA分子を含む1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、若しくはそれ以上)の複数の複製を発現することができる。1の実施例において、核酸構築物は、騒動組換えに適した構築物である。
【0129】
核酸構築物はさらに、付加的な遺伝要素を含んでもよい。構成に含まれる可能性のある要素のタイプは、いかなる方法でも限定されず、当業者によって選択され得る。いくつかの実施形態において、核酸構築物は、導入遺伝子として宿主細胞に挿入される。そのような場合、導入遺伝子挿入プロセスからRNA分子をコードする配列を保護し、外部転写のリスクを低減するために設計された構成に「スタッファー」フラグメントを含めることが望ましい。スタッファー断片は、例えばプロモーターとコード配列及び/又はターミネーター成分との間の距離を増加させるために構築物中に含まれ得る。スタッファー断片は、5~5000個以上のヌクレオチドから任意の長さであることができる。プロモーター間に1つ以上のスタッファー断片が存在することができる。複数のスタッフフラグメントの場合、それらは同じ又は異なる長さであり得る。スタッファーDNA断片は、好ましくは異なる配列である。好ましくは、スタッファー配列は、それらが挿入された細胞又はその子孫内に見出される配列と同一の配列を含む。さらなる実施形態では、核酸構築物は、二本鎖RNAをコードするオープンリーディングフレームに隣接するスタッファー領域を含む。
【0130】
あるいは、核酸構築物は、例えば、二本鎖RNAをコードするオープンリーディングフレームに隣接する末端反転配列を特徴とするトランスポゾン (例えば、トランスポゾン) を含むことができる。適切なトランスポゾンの例としては、Tol2、mini-Tol、Sleep Beauty、MarinerとGalluhopがある。
【0131】
核酸構築物中に含まれる追加遺伝要素の他の例は、GFP又はRFPのような蛍光マーカータンパク質の1つ以上の遺伝子のようなレポーター遺伝子を含む。;β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ、クロラムフェニルアセチル転移酵素、又は分泌された胚性アルカリホスファターゼなどの容易にアッセイされる酵素;ホルモンやサイトカインなどのイムノアッセイが容易に利用できるタンパク質。本発明の実施形態で使用される他の遺伝的要素は、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、又は薬物耐性などの細胞上で選択的成長優位性を与えるタンパク質をコードするものを含む。
【0132】
核酸構築物を細胞にトランスフェクトする場合、プロモーター及び付加的な遺伝要素は、細胞のゲノム中に自然に生じるヌクレオチド配列からなることが望ましい。
【0133】
場合によっては、核酸構築物をベクターに挿入することが望ましい場合がある。ベクターは、例えば、バクテリオファージ、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス又はヘルペスウイルス由来のプラスミド、ウイルス又は人工染色体であってよい。このようなベクターには、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス由来ベクター、プラスミド及びバクテリオファージ遺伝要素、コスミド及びファージミド由来のベクターなどのベクター、バクテリオファージ、及びウイルス由来のベクターが含まれる。
【0134】
一実施形態において、核酸構築物はプロモーターを含む。当業者は、構成プロモーター又は誘導プロモーターなどのプロモーターを本発明において使用することができることを理解するであろう。一実施形態において、プロモーターはPol I、Pol II又はPol IIプロモーターである。一じっつぃ態様では、プロモーターはトリプロモーターである。トリプロモーターの例としては、7sK RNAポリメラーゼIIIプロモーター、U6RNAポリメラーゼIIプロモーター(Bannister et al., 2007; Massine et al., 2005)がある。
【0135】
ウイルス
本発明の細胞集合において産生されるウイルスは、細胞培養条件下で培養された細胞の集合中に新たなウイルス粒子を複製し、生成することができる任意のウイルスを含む。このようなウイルスにはDNA及びRNAウイルスが含まれる。一実施形態において、ウイルスは動物ウイルスである。一実施形態において、動物ウイルスはヒトウイルスである。一実施形態において、ウイルスは非ヒトウイルスである。一実施形態において、ウイルスは鳥ウイルスである。
【0136】
本発明で使用するウイルスの例には、例えば、オルトミクソウイルス科、ヘルペスウイルス科、パラミクソウイルス科、フラビウイルス科、及びコロナウイルス科から選択されるウイルスが含まれる。
【0137】
オルソミックスウイルス科ウイルスは、例えばインフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルス、イイウイルス、ソゴウイルス及び/又はQuararjavirusである。インフルエンザウイルスはインフルエンザAウイルスかもしれません。インフルエンザAウイルスは、動物から分離されたインフルエンザAウイルスから選択される。一実施形態において、動物はヒト又は鳥である。特に、インフルエンザAウイルスは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N4、H1N5、H1N6、H1N7、H1N9、H2N1、H2N2、H2N3、H2N4、H2N5、H2N7、H2N8、H2N9、H3N1、H3N2、H3N3、H3N4、H3N5、H3N6、H3N8、H4N1、H4N2、H4N3、H4N4、H4N5、H4N6、H4N8、H4N9、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N7、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N3、H6N4、H6N5、H6N6、H6N7、H6N8、H6N9、H7N1、H7N2、H7N3、H7N4、H7N5、H7N7、H7N8、H7N9、H9N1、H9N2、H9N3、H9N5、H9N6、H9N7、H9N8、H10N1、H10N3、H10N4、H10N6、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N3、H11N6、H11N9、H12N1、H12N4、H12N5、H12N9、H13N2、H13N6、H13N8、H13N9、H14N5、H15N2、H15N8、H15N9、及びH16N3から選択してもよい。一実施形態において、インフルエンザAウイルスはH1N1、H3N2、H7N7及び/又はH5N1から選択される。
【0138】
ヘルペスウイルス科ウイルスは、例えば、HSV-1、HSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン-バーウイルス又はサイトメガロウイルスである。
【0139】
パラミクソウイルス科ウイルスは、例えば、パラミクソウイルス亜科又は肺炎ウイルス亜科である。一実施形態において、パラミミクソウイルス科のウイルスはニューカッスル病ウイルスである。
【0140】
フラビウイルス科は、例えば、フラビウイルス、ヘパシウイルス、ペギーウイルス、ペスチウイルスである。一実施形態において、フラビウイルス科は、アポイウイルス、アロアウイルス、バガザウイルス、バンジウイルス、ブブイウイルス、ブカラサコウモリウイルス、カシパコーウイルス、カレー島ウイルス、カウボーンリッジウイルス、ダカールコウモリウイルス、デングウイルス、エッジヒルウイルス、エンテベコウモリウイルス、ガジェッツガリーウイルス、イルヘウスウイルス、イスラエルトルコ脳膜脳脊髄炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ジュグラウイルス、ジュチアパウイルス、カダムウイルス、ケロッグウイルス、ココベラウイルス、コウタンゴウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、ランガットウイルス、跳躍病ウイルス、ミーバンウイルス、モドックウイルス、モンタナ筋炎白質脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、ウンタヤウイルス、オムスク出血熱ウイルス、フノンペンコウモリウイルス、ポワッサンウイルス、リオブラボーウイルス、ロイヤルファームウイルス、サボヤウイルス、サルビージャウイルス、サンペリータウイルス、サウマレズリーフウイルス、セピクウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、テンブスウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、チュレーニーウイルス、ウガンダSウイルス、ウスツウイルス、ヴェッセルスブロンウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤオンデウイルス、黄熱病ウイルス、ヨコセウイルス、ジカウイルスであってもよい。
【0141】
コロナウイルス科は、例えば、コロナウイルス又はコロウイルス亜科(Corovirinae)である。コロビリネーウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、又はガンマコロナウイルスである。トロウイルスは、アルファコロナイルス又はベータコロナウイルスである。実施例では、コロナウイルスはSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスであってもよい。
【0142】
一実施形態において、ウイルスは、インフルエンザウイルス、イヌジステンパーウイルス、麻疹ウイルス、レオウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、イヌパラインフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、鶏痘ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ムンプスウイルス、ウマ脳脊髄炎、風疹ウイルス、軟卵症候群ウイルス、トリ腫瘍退縮ウイルス、トリ感染性喉頭気管炎ヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス、天然痘ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、ウシイバラキウイルス、組換えポックスウイルス、トリアデノウイルスI型、II型、又はIII、ブタ日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ヘルペスウイルス、シンドビスウイルス、感染性気管支炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラEEVウイルス、ニワトリ貧血ウイルス、マレック病ウイルス、パルボウイルス、口蹄疫ウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタコレラウイルス、ブルータングウイルス、カバネウイルス、伝染性サケ貧血ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス性出血性敗血症ウイルス、及び伝染性膵臓壊死症ウイルスから選択される。
【0143】
細胞及び細胞培養
当業者は、本発明の細胞が、その中でウイルスが複製可能なインビトロで培養されうる任意の細胞であることを理解するであろう。1の例では、細胞は哺乳動物、鳥、又は節足動物由来の細胞である。一の例では、細胞は哺乳動物細胞である。一の例では、細胞はトリの細胞である。一の例では、鳥の細胞は、ニワトリの細胞である。一の例では、細胞は連続細胞株(Josefsberg et al., 2012)由来である。一の例では、細胞は初代細胞株由来である。別の例では、細胞は不死化細胞株である。一の例では、細胞は接着細胞である。1の例では、細胞は非接着細胞(懸濁細胞)である。一の例では、細胞はニワトリ組織由来の初代細胞株に由来する。一の例では、細胞は卵由来の初代細胞株由来である。一実施形態では、卵は鳥類の卵である。
【0144】
一の例では、細胞は、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)由来の初代細胞株に由来する。一の例では、細胞は鳥類胚性幹細胞株EB14(ニワトリ)またはEB66(アヒル)由来である(WO2005042728)。一の例では、細胞は、ニワトリからの不死化細胞株に由来する。一の例では、細胞は不死化ニワトリ胚細胞株PBS-1由来である(Smithら、2008)。一の例では、細胞はニワトリ線維芽細胞株DF-1由来である(Himlyら、1998)。一の例では、細胞はMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞である。一の例では、細胞はMDCK 33016細胞である。一例では、細胞はMDCK CCL34細胞である。一例では、細胞アフリカミドリザル腎臓由来Vero細胞である。一の例では、細胞はヒト網膜由来PER.C6細胞である。一の例では、細胞はAGE1.CR細胞である。一の例では、細胞はMRC-5二倍体細胞株に由来する。一の例では、細胞はヒト胚腎臓細胞(HEK293)である。一の例では、細胞はHeLa細胞である。一の例では、細胞は昆虫細胞である。一の例では、昆虫細胞はTrichoplusia由来である。一の例では、細胞は血清の非存在下で培養することができる。一の例では、細胞は血清の存在下で培養される。
【0145】
本発明の細胞の集団は、インビトロでの細胞の増殖を可能にし、好ましくはウイルスによる細胞の感染を可能にする任意の細胞培養培地で培養することができる。そのような培地およびプロセスは、当業者に知られている(例えば、Genzelら、2009; Josefsbergら、2012; Wolfら、2011参照)。本発明の細胞集合を培養するための例示的な細胞培養培地としては、Iscove培地、UltraCHO、CDハイブリドーマ無血清培地、Episerf培地、MediV SF103(無血清培地)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Eagles改変イーグル培地(EMEM)、グラスゴー改変イーグル培地(GMEM)、SMIP-8、改変イーグル培地(MEM)、VP-SFM、DMEMベースのSFM、DMEM/F12、DMEM/Ham's F12、VPSFM/ウィリアム培地E、ExCell 525(SFM)、アデノウイルス発現培地(AEM)およびExcell 65629(Genzelら、2009)を含む。そのような培地には、アミノ酸、ホルモン、ビタミンおよびミネラルなどの追加の成長因子が補充されてもよいことは、当業者には理解されるであろう。必要に応じて、このような培地に血清、例えばウシ胎仔血清を補充してもよい。
【0146】
一の例では、バッチ細胞培養プロセスを用いて細胞を培養する。一の例では、灌流細胞培養プロセスを用いて細胞を培養する。一の例では、細胞を種培地および生産培地中で培養する。一の例では、細胞を攪拌タンク反応器で培養する。一の例では、反応器の容積は約1L~約2500Lである。 1つの例では、細胞を波型バイオリアクターで培養する。一例では、細胞は細胞工場システム、例えばNunc細胞工場システム(Genzel et al。、2009)で培養される。
【0147】
一の例では、ウイルスを細胞培養培地に添加して細胞にウイルスを感染させる。さらなる例では、細胞をウイルスで感染させるために、細胞培養培地を除去し、ウイルスを含む培地で置き換えることができる。付着細胞のウイルス感染のために、プロテアーゼを細胞培養培地に添加してもよく、または細胞培養培地を、プロテアーゼを含む培地と交換して、細胞のウイルス感染を可能にする/増強してもよい。一の例では、プロテアーゼはトリプシンまたはキモトリプシンである。
【0148】
一の例では、細胞は、所定の期間ウイルスの存在下で培養して、複製されたウイルス又はその粒子を回収する前に複製させる。一の例では、所定の期間は、少なくとも8時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも24時間、又は少なくとも48時間、又は少なくとも3日間、又は少なくとも4日間、又は少なくとも5日間、又は少なくとも6日間、又は少なくとも7日間、又は少なくとも8日間、又は少なくとも9日間、又は少なくとも10日間、又は少なくとも11日間、又は少なくとも12日間、又は少なくとも13日間、又は少なくとも14日間、又は少なくとも15日間である。本明細書に記載されるように増殖されたウイルスは、例えば弱毒化全ウイルス、不活性化全ウイルス、スプリットウイルス、又はワクチン組成物に使用するのに適したサブユニットウイルス粒子を産生するために使用できる。
【0149】
複製されたウイルス又はその粒子の回収
複製されたウイルス又はその粒子(分裂ウイルス粒子やサブユニットウイルス粒子など)は、当業者に公知の任意の方法によって細胞集合、細胞分泌物(上清とも呼ばれる細胞培養培地)又はそれらの組み合わせから収穫することができる。例えば、複製されたウイルス又はその粒子の収穫は、明確化、濃度、不活性化、ヌクレアーゼ処理、分離/精製、研磨及び無菌濾過の1つ以上のステップを含むことができる(Wolf et al., 2008; Wolf et al., 2011; Kalbfuss et al., 2006; Josefsberg et al., 2012)。一実施例において、遠心分離、微小濾過及び/又は深さ濾過によって明らかにする。一実施例において、濃縮は遠心分離、限外濾過、沈殿、モノ石及び/又は膜吸着器によって行われる。一実施例において、不活性化はUV、熱又は化学処理によって行われる。不活性化の化学的形態としては、ホルマリン、バイナリーエチレンイミン、βプロピオラクトンなどが挙げられる。一実施形態において、ヌクレアーゼ処理はベンゾナーゼによる処理である。一実施例において、分離/精製は超遠心分離(密度勾配例)、ビーズクロマトグラフ(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィー)、及び/又は膜吸着器(例えばイオン交換クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィー)によって行われる。一実施例において、研磨は限外濾過及び/又は濾過によって行われる。一実施例において、ウイルス又はウイルス粒子は、アルコール又はポリエチレングリコール沈殿によって濃縮され得る。一実施例において、複製されたウイルス又はそれらの粒子の収穫は、Grein et al. (2013)に記載されるように、膜の使用を含む。
【0150】
別の実施例において、複製されたウイルスの収穫は、分割ワクチン組成物又はサブユニットワクチン組成物(Wolf et al., 2008; Josefsberg et al., 2012)に対して適当なサイズのウイルス粒子を産生するウイルス破壊工程を含むことができる。このような工程は、分割ワクチン組成物又はサブユニットワクチン組成物に対して適当なサイズのウイルス粒子を製造する任意の方法であることができる。一実施例において、破壊工程は洗剤可溶化である。
【0151】
別の例では、複製されたウイルスを採取することは、スプリットワクチン組成物またはサブユニットワクチン組成物(Wolf et al。、2008; Josefsberg et al。、2012)に適したサイズのウイルス粒子を産生するウイルス破壊工程を含み得る。そのような工程は、スプリットワクチン組成物またはサブユニットワクチン組成物に適切なサイズのウイルス粒子を産生する任意の方法であり得る。一例では、破壊工程は界面活性剤の可溶化である。
別の例では、複製されたウイルスまたはその粒子の採取は、清澄化、濃縮分離、不活性化、ヌクレアーゼ処理および/または研磨(Wolf et al。、2008)の1つまたは複数の工程を含むことができる。一例では、ダイアフィルトレーションによって清澄化が行われる。一例では、親和性膜吸着器によって濃縮/分離が行われる。一例では、化学的処理によって不活性化が行われる。不活性化の化学的形態には、ホルマリン、バイナリーエチレンイミンおよびβ-プロピオラクトンが含まれる。一実施形態では、ヌクレアーゼ処理はベンゾナーゼ処理である。一実施形態では、研磨は、限外ろ過および/またはダイアフィルトレーションによって実施される。
【0152】
別の例では、複製されたウイルスまたはその粒子を採取することは、インフルエンザワクチンの調製に使用される工程を含み得る:細胞培養からの上清について、イオン交換クロマトグラフィー、プレろ過、濃縮/緩衝液交換ウルトラおよびダイアフィルトレーション、ヌクレアーゼ処理、およびホルムアルデヒド処理によるウイルス不活性化(Wolf et al。、2008)。
【0153】
別の例では、複製されたウイルスまたはその粒子の採取は、低速遠心分離による清澄化、限外ろ過による濃縮、(vero細胞培養由来の)インフルエンザワクチンの精製に用いられる細胞培養由来ショ糖勾配、ホルマリン処理による不活性化、ベンゾナーゼによるヌクレアーゼ処理およびホルマリン除去のためのダイアフィルトレーション(Wolf et al., 2008)。
【0154】
当業者は、収穫されたウイルス(全体の減衰又は不活性化)又は収穫されたウイルス粒子(例えばウイルス粒子又はサブユニットウイルス粒子を分割する)がワクチン組成物に処方され得ることを理解するであろう。このような組成物は、アジュバント、賦形剤、バインダー、保存剤、キャリアカップリング、緩衝剤、安定化剤、乳化剤、湿潤剤、湿潤剤、非ウイルスベクター及びトランスフェクション促進化合物の1つ以上を含むことができる(Josefsberg et al., 2011; Jones, 2008)。当業者は、このようなワクチン組成物が凍結乾燥できることをさらに理解するであろう。一実施例において、製造されたワクチン組成物はヒトの使用に適している。一実施例において、製造されたワクチン組成物は獣医学的使用に適している。
【実施例
【0155】
実施例1-中和抗体によるインターフェロン反応の中断が卵におけるウイルス収量を増加させる
ChIFNα、ChIFNβ、ChIFNγ、及びChIFNλのORFを、pQE50発現系を用いてTop F’10エシェリキア・コリ(大腸菌)に発現させ、IPTGを用いた誘導後に、Ni‐NTA‐アガロースを用いて精製し精製した。rchIFNの生物活性をウイルス中和アッセイ(Lowenthal et al., 1995)を用いて測定した。rchIFNは、濃度範囲にわたって細胞を保護するため、生物学的に活性(図1)である。
【0156】
rchIFNを免疫原として用い、同種組換えタンパク質に対するウサギ抗血清を生成した。ニュージーランド雌白色ウサギにキラヤサポナリア(Quilaja saponaria、クイルA)カクテルアジュバントのrchIFNタンパク質を7回まで皮下免疫した。ウサギ抗chIFN抗血清中の球状血清タンパク質を濃縮するために硫酸アンモニウムを用いた。濃縮された抗血清は、卵中注射用抗体の0.2μmフィルター滅菌(サルトリウス)前の分光光度計(NanoDrop(登録商標)ND-1000、NanoDrop Technologies、米国)を用いて定量した。血清の反応性とポリクローナル抗体認識を用い、間接ELISA分析を行った。簡単に言えば、精製されたrchIFNを、Tiertek Multiscan Plusプレートリーダー上の450nmで読み取られた96ウェルELISAプレート中のコーティング緩衝液中で5μg/mLに希釈した。分析は、対応するタンパク質に対する血清の用量効果反応性を示した(図2A)。
【0157】
次に、胎齢日10~11日のHyline褐色卵(ハイライン(オーストラリア))について、抗体及び/又はウイルスを用いて尿中液を介して接種した。インフルエンザウイルス(CSL Pty Ltd.により提供)の株を、1%ネオマイシン/ポリミキシンを含むウイルス希釈液中で10‐5に希釈した。卵のPR8(H1N1型)又はH5N1ワクチンウイルス(NIBRG-14)(CSL(オーストラリア))接種を別々に行った。精製抗chIFN及び抗chIL-6抗体を、卵あたり1000μg、200μg又は20μgのいずれかの卵に接種するためのウイルス希釈液で希釈した。接種卵を35℃で48時間インキュベートした。
【0158】
卵をインキュベーション後にキャンドルを用いて、収穫に備えて4℃で冷却O/Nを冷却する前に生存性を確認した。さらに分析用に各卵から尿膜の流体(5mL)を除去した。HAアッセイは収穫と同じ日に実施した。簡単に述べれば、漿液試料をPBS中で1/25希釈し、丸底底部96ウェルプレート(ICNバイオケミカル)の最後の行に複製した。洗浄したニワトリRBCの0.5%μLを全てのウェルに添加し、穏やかにタップし、RTを少なくとも50 40分間室温で放置し、HA末端点を決定した。インビボ実験では、全濃度における抗chIFN‐α抗体(図2B)及び抗chIFN‐β抗体(図2C)は、卵中のPR8又はNIBRG‐14ウイルスのHA価に有意な影響を及ぼさないことを示した。しかしながら、抗chIFN‐λ抗体(図3A)は、200μg/卵(p=0.04)で投与した場合、PR8ウイルスの滴定を統計的に改善することが示された。1000μg/卵(p=0.0045)及び20μg/卵(p=0.0001)で抗体を注入すると、H5N1ワクチンウイルスタイターは統計的に改善され、1.5倍になった。同様に、抗chIFN‐γ抗体(図3B)は1000μg/卵(p=0.015)で接種するとH5N1ワクチンウイルスのHA価を改善することができた。さらに、抗chIL‐6抗体(図3C)は、卵中のH5N1ワクチンウイルス価も統計的に増強した。
【0159】
実施例2-インビトロでのsiRNAによる多数の遺伝子の破壊が、イントロでのウイルス力価を増加させる
抗ウイルス機能をもつ遺伝子候補を同定するために、一連の遺伝子を小干渉RNA(siRNA)アッセイにより評価した。DF‐1細胞を、トリインフルエンザ(AI)ウイルスの感染前に、siRNAの多重(スマートプール)をsiRNAでトランスフェクトした。結果は、KD後のウイルス価が細胞に対して明白な毒性効果を示さないことを示した(図4)。少なくともいくつかの例では明らかな影響は認められなかったが、これは、効率的なKDを産生するのに充分な早期にsiRNAが投与されないためであろう(例えば、抗IL6抗体データを考えると、図4のIL-6siRNAデータを説明するであろう)。CNOT4、IFNAR、又はMDA5に対して、個々のスマートプールsiRNAの細胞生存性及び遺伝子サイレンシングに対する効果を評価した(図5)。
【0160】
実施例3-卵中のshRNAによる多数の遺伝子の下方制御がウイルス力価を増加させる
卵分析において、siRNAを、合計200μLのポリマーの4:1のモル比で、2nmolのsiRNAへABA-21/117Q/PFポリマー(ABA-21/117Q;PolyFluor570染料ラベルのないポリマー)と複合体として送達した。錯体は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の存在下にて水溶液中で形成された。水に再懸濁させた必要量のポリマー(316μg)をチューブに加え、ボルテックスにより混合した。次いで、siControl30μg又はsiAntIFNAR1 24.5μgに相当する合計2nmolを試験管に加え、試料をボルテックスした。錯体を室温で1時間継続した。複合体を、皮質尿液中に直接注入した。48時間後にウイルスを注射し、ウイルス感染後24時間後に採取した。結果は、IFNAR1(図6及び図7)のKD後のウイルス増殖の増加を示した。
【0161】
実施例4-ニワトリにおけるIFNAR1遺伝子の欠失がインビトロにてウイルス力価を増加させる
ニワトリインターフェロン(アルファ、ベータ、オメガ)受容体1、IFNAR1(遺伝子番号:395665)の永久的欠失がウイルス収量に及ぼす影響を調べる;ニワトリ胚線維芽細胞(DF-1)の連続細胞株からのKO細胞株が発生した。微生物クラスタ化した周期的に間隔を置いた短いパリンドローム反復(CRISPR/Cas9)系からRNA誘導Cas9ヌクレアーゼを用いて2つの異なる単一ガイドRNA(sgRNA)を、二本鎖切断を生成するために設計した。sgRNAは(Ran et al., 2013)に従ってクローニングされ、対応する構築物は、約200bpの欠失をコードするDF-1細胞に、完全に転写開始部位(TSS)及びIFNAR1前駆体のエキソン1を除去した。BD FACS Aria IITM細胞ソーターを用いて選別後単離した。ゲノムPCRスクリーニング後に各クローンの欠失を同定し、野生型と単アレル性及び対立遺伝子標的細胞株を区別した。
【0162】
約30%の対立遺伝子のトランスフェクション後、200bp以上の欠失が認められ、アンプリカムのクローニングと配列決定によって確認された。単一クローンへの細胞選別後、細胞をgDNA PCRによってスクリーニングし、単アレル性及び二アレル性細胞株を単離した。さらに、誘導欠失は遺伝子用量依存的に遺伝子の発現を阻害し、単アレル細胞株は野生型と比較して発現の半分レベルを示し、二対立形質細胞株はゼロに近いレベルを示した。この効果はウイルス又はポリ(I:C)に挑戦した後も持続し、自然応答の強い誘導子であった(図8A、B、C)。
【0163】
ワクチン生産に及ぼす欠失の影響を評価するために、H1N1株A/WSN/1933を高い感染度と低い多重度(それぞれ1及び0.1 MOI)で使用した。このアプローチを使用すると、10時間の感染後の二アレル性細胞株において、プラーク形成単位(プフ)アッセイで測定した場合、野生型細胞株の約3倍のレベルでウイルス収量が著しく増加する。また、分離したウイルスは親細胞株(図8D)と比較して、両アレル細胞株から5倍高いTCID50を示した。
【0164】
実施例5-ヘンドラウイルスに対する抗ウイルス遺伝子のスクリーニングと同定
ヒトHeLa細胞におけるヘンドラウイルス(HeV)感染に必要なタンパク質を調べるsiRNAスクリーニングにおいて、ウイルス産生に関連する多数の遺伝子が同定された。HeLa細胞(ATCC CCL-2)(Eagles改良イーグル培地;EMEM)を、10% v/v胎児ウシ血清(FBS)、10mM HEPES、2mM L-グルタミン及び100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシン(P/S;Life Technologies)を添加した成長培地中で維持した。HeLa細胞(7x104)を、Opti-MEM(Life Technologies)中のDharmafect-1(GE Life Sciences)を用いて、一晩逆トランスフェクトし、培地を除去し、トランスフェクション培地(増殖培地から抗生物質)及び細胞をさらに24時間インキュベートした。培地をトランスフェクション後約6時間(h.p.t.)交換し、さらに18時間インキュベートした。次いで、細胞をヘンドラウイルス(HeV)に感染させた(ヘンドラウイルス/オーストラリア/ウマ/1994/ヘンドラ)。50%組織培養感染量(TCID50)について、組織培養上清の10倍希釈を96ウェル組織培養中にて培地中で作製した。プレートを37℃及び5% CO2で3日間(ハイブ)インキュベートし、細胞変性効果をスコア化した。感染力価はReed and Muench(1938)法により計算した。サイレンシングされた遺伝子に対するウイルス複製を非標的siRNA制御(サイド)と比較した。ウイルス複製の有意な増加は多数の遺伝子(図9及び表2参照)のサイレンシングにより観察された。ADCY7のサイレンシングは、ウイルス量の最大増加を示した(表2参照)。
【0165】
多数の変形及び/又は修正が、広範に解説されるような本発明の主旨又は範囲から逸脱せずに、特定の実施形態において示される本発明に対して行われてもよいということは、当業者に理解されよう。本実施形態は、したがって、全ての点で例示的なものであり、限定的なものではないことが理解されよう。
【0166】
本出願は、2015年11月24日出願の「細胞培養におけるウイルスの生産」と題される豪州仮出願第2015904851号の優先権を主張するものであり、その出願の全内容を参照により本明細書に援用される。
【0167】
本明細書に記載及び/又は参照されるすべての刊行物は、本明細書に全体として援用される。
【0168】
本明細書中に含まれている文書、行為、材料、装置、物品等についてのあらゆる議論は、本発明の文脈を提供する目的のみで行われる。これらの事項のいずれか又は全てが、先行技術分野の基礎の一部を形作るか、又は本出願の各請求項の優先日以前に存在していたような本発明に関連する当該技術分野において一般的な知識であったということは、承認されるものではない。
【0169】
【表2】
【0170】
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図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6
図7A-B】
図7C-D】
図8A-B】
図8C
図8D
図9