(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】動力工具のための振動低減システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20221206BHJP
B23D 49/16 20060101ALI20221206BHJP
B27B 19/09 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
B23D49/16
B27B19/09
(21)【出願番号】P 2018533943
(86)(22)【出願日】2017-01-04
(86)【国際出願番号】 US2017012093
(87)【国際公開番号】W WO2017120165
(87)【国際公開日】2017-07-13
【審査請求日】2019-11-06
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591118351
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MILWAUKEE ELECTRIC TOOL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ジョン,エス.
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジェイコブ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マージナー,マシュー,ジェイ.
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0223760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092408(US,A1)
【文献】特開2003-191178(JP,A)
【文献】特開2014-018868(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007047077(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0184397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133910(US,A1)
【文献】特表2004-504169(JP,A)
【文献】特開2002-372095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B23D 49/16
B27B 19/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具であって:
ハウジングと;
前記ハウジング内のモータであって、前記モータはロータ及びステータを含み、前記ロータは出力を生成するように構成される、モータと;
前記ハウジング内に配置される磁気感受性流体と;
前記ハウジング内のインダクタであって、振動制御を提供するために前記磁気感受性流体に磁場を導入するように構成され、前記磁気感受性流体内の粒子が移動する能力が、振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される磁場に依存する、インダクタと;
前記動力工具が受ける振動の量を示すように構成される加速度計と;
外部装置と通信するように構成される無線通信コントローラと;
メモリ及び電子プロセッサを含む電子コントローラであって、前記電子コントローラは、前記加速度計、前記無線通信コントローラ、及び前記インダクタに結合され、前記電子コントローラは、
前記無線通信コントローラを介して前記外部装置から、前記振動制御についてのユーザ選択される感度レベルを受信し、前記感度レベルは前記外部装置のグラフィカルユーザインタフェースを介してユーザによって設定され、前記感度レベルは、(i)前記インダクタが前記振動制御を提供するように制御される前に前記動力工具が受けることになる振動レベルを示す振動閾値及び(ii)前記動力工具が受ける前記振動の量と前記磁気感受性流体に導入される前記磁場を制御するために前記インダクタに送られる制御信号との間の関係を示す前記振動制御の積極性を制御し、
前記出力を生成するように前記モータを制御し、
前記加速度計を用いて、前記動力工具が受ける前記振動の量を示す入力信号を生成し、
前記動力工具が受ける前記振動の量を示す前記加速度計からの前記入力信号を受信し、
前記入力信号に基づいて前記動力工具が受ける前記振動の量についての値を決定し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であるかどうかを決定し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であることに応答して、(i)前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されることを防ぐよう前記インダクタのための前記制御信号を生成する、又は(ii)前記磁気感受性流体に
第1の磁場を導入するよう前記インダクタのための前記制御信号を生成し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値以上であることに応答して、
前記動力工具が受ける前記振動の量を低減するように前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために前記磁場を制御するように、前記入力信号及び前記感度レベルに基づいて前記インダクタのための前記制御信号を生成し、
前記制御信号を前記電子コントローラから前記インダクタに送信し、
前記動力工具の前記ハウジング内に配置される前記磁気感受性流体に前記磁場を導入するために前記磁場を制御するように前記制御信号を前記インダクタに供給する
ように構成される、電子コントローラと;を有する、
動力工具。
【請求項2】
前記磁気感受性流体はリザーバ内に配置され、
前記リザーバの第1の端部に配置される第1の端部を含むピストンをさらに有し、
前記リザーバの第2の端部が、前記動力工具のハンドルアセンブリ及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、
前記ピストンの第2の端部が、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され
、
前記リザーバの前記第1の端部は、前記ピストンが前記リザーバ内で動くことができるように、前記ピストンに結合される、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項3】
前記磁気感受性流体はリザーバ内に配置され、
前記リザーバの第1の端部に配置される第1の端部を含むピストンをさらに有し、
前記リザーバの第2の端部が、前記動力工具のシュー及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、
前記ピストンの第2の端部が、前記動力工具の前記シューと前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され
、
前記リザーバの前記第1の端部は、前記ピストンが前記リザーバ内で動くことができるように、前記ピストンに結合される、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項4】
前記磁気感受性流体は、前記動力工具のハンドルアセンブリ及び前記動力工具のギヤケースからなるグループのうちの少なくとも1つの中に配置される蛇行チューブシステムに配置され、
前記磁気感受性流体内の前記粒子が移動する前記能力は、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記ギヤケースからなる前記グループのうちの前記少なくとも1つを、前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されない場合より
硬くすることによって前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される前記磁場に基づいて変化する、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項5】
前記インダクタが前記磁場を前記磁気感受性流体に導入するとき、前記磁気感受性流体は、より粘性が大きくなる、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項6】
前記動力工具は、往復動鋸、インパクトドライバ、インパクトレンチ、及びロータリーハンマからなるグループのうちの1つである、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項7】
前記電子コントローラは、前記振動制御を実行するかどうかの指示を、前記無線通信コントローラを介して前記外部装置から受信するように構成される、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項8】
動力工具が受ける振動を低減する方法であって、前記方法は:
電子コントローラによって、前記動力工具の無線通信コントローラを介して外部装置から、振動制御についてのユーザ選択される感度レベルを受信するステップであって、前記感度レベルは前記外部装置のグラフィカルユーザインタフェースを介してユーザによって設定され、前記感度レベルは、(i)インダクタが前記振動制御を提供するように制御される前に前記動力工具が受けることになる振動レベルを示す振動閾値及び(ii)前記動力工具が受ける前記振動の量と磁気感受性流体に導入される磁場を制御するために前記インダクタに送られる制御信号との間の関係を示す前記振動制御の積極性を制御し、前記磁気感受性流体内の粒子が移動する能力が、前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される磁場に依存し、前記電子コントローラはメモリ及び電子プロセッサを含む、ステップと;
出力を生成するように前記動力工具のモータを制御するステップであって、前記モータはロータ及びステータを含み、前記ロータは前記出力を生成するように構成される、ステップと;
加速度計を用いて、前記動力工具が受ける前記振動の量を示す入力信号を生成するステップと;
前記電子コントローラを用いて前記加速度計から前記入力信号を受信するステップと;
前記入力信号に基づいて前記動力工具が受ける前記振動の量についての値を決定するステップと;
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であるかどうかを決定するステップと;
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であることに応答して、(i)前記電子コントローラを用いて、前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されることを防ぐよう前記インダクタのための前記制御信号を生成する、又は(ii)前記電子コントローラを用いて、前記磁気感受性流体に
第1の磁場を導入するよう前記インダクタのための前記制御信号を生成するステップと;
前記電子コントローラを用いて、前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値以上であることに応答して、前記入力信号及び前記感度レベルに基づいて
前記動力工具が受ける前記振動の量を低減するように前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために前記磁場を制御するように、前記インダクタのための前記制御信号を生成するステップと;
前記電子コントローラから前記インダクタに前記制御信号を送信するステップと;
前記制御信号に基づいて前記インダクタを用いて、前記磁場を前記動力工具のハウジング内に配置される磁気感受性流体に導入するステップと;を含む、
方法。
【請求項9】
前記磁場を、前記制御信号に基づいて前記インダクタを用いて、前記磁気感受性流体に導入する前記ステップは、前記磁場を、前記磁気感受性流体を保持するリザーバに導入するステップを含み、前記リザーバの第1の端部が、前記リザーバ内に配置されるピストンの第1の端部を受け入れ、前記リザーバの第2の端部が、前記動力工具のハンドルアセンブリ及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、前記ピストンの第2の端部が、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され
、前記リザーバの前記第1の端部は、前記ピストンが前記リザーバ内で動くことができるように前記ピストンに結合される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁場を、前記制御信号に基づいて前記インダクタを用いて、前記磁気感受性流体に導入する前記ステップは、前記磁場を、前記磁気感受性流体を保持するリザーバに導入するステップを含み、前記リザーバの第1の端部が、前記リザーバ内に配置されるピストンの第1の端部を受け入れ、前記リザーバの第2の端部が、前記動力工具のシュー及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、前記ピストンの第2の端部が、前記動力工具の前記シュー及び前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され、前記リザーバの前記第1の端部は、前記ピストンが前記リザーバ内で動くことができるように前記ピストンに結合される、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場を、前記制御信号に基づいて前記インダクタを用いて、前記磁気感受性流体に導入する前記ステップは、前記磁場を、前記磁気感受性流体を保持する蛇行チューブシステムに導入するステップを含み、前記蛇行チューブシステムは、前記動力工具のハンドルアセンブリ及び前記動力工具のギヤケースからなるグループのうちの少なくとも1つの中に配置され、
前記磁気感受性流体内の前記粒子が移動する前記能力は、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記ギヤケースからなる前記グループのうちの前記少なくとも1つを、前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されない場合より
硬くすることによって前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される前記磁場に基づいて変化する、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記磁場を、前記制御信号に基づいて前記インダクタを用いて、前記磁気感受性流体に導入する前記ステップは、前記磁気感受性流体がより粘性が大きくなるように、前記磁場を導入するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記動力工具は、往復動鋸、インパクトドライバ、インパクトレンチ、及びロータリーハンマからなるグループのうちの1つである、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記電子コントローラを用いて前記外部装置から、前記振動制御を実行するかどうかの指示を受信するステップをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
第1の無線通信コントローラ及びディスプレイを含む外部装置であって、前記ディスプレイは、動力工具の振動制御のユーザ選択される感度レベルの選択を受信するように構成され、前記第1の無線通信コントローラは第1のアンテナを含み、前記感度レベルは、前記外部装置のグラフィカルユーザインタフェースを介してユーザによって設定され、前記感度レベルは、(i)前記動力工具のインダクタが振動制御を提供するように制御される前に前記動力工具が受けることになる振動レベルを示す振動閾値及び(ii)前記動力工具が受ける振動の量と磁気感受性流体に導入される磁場を制御するために前記インダクタに送られる制御信号との間の関係を示す前記振動制御の積極性を制御する、外部装置と;
前記動力工具であって、
前記第1の無線通信コントローラから前記感度レベルを受信するように構成される第2の無線通信コントローラ;
ハウジング;
前記ハウジング内のモータであって、前記モータはロータ及びステータを含み、前記ロータは出力を生成するように構成される、モータ;
前記ハウジング内に配置される磁気感受性流体;
前記ハウジング内に配置され、前記振動制御を提供するために前記磁気感受性流体に磁場を導入するように構成される、前記インダクタであって、前記磁気感受性流体内の粒子が移動する能力が、前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される前記磁場に依存する、前記インダクタ;
前記動力工具が受ける振動の量を決定するように構成される加速度計;並びに
メモリ及び電子プロセッサを含む電子コントローラであって、前記電子コントローラは、前記加速度計、前記第2の無線通信コントローラ、及び前記インダクタに結合され、前記電子コントローラは、
前記第2の無線通信コントローラを介して前記外部装置から、前記振動制御についての前記感度レベルを受信し、
前記出力を生成するように前記モータを制御し、
前記加速度計を用いて、前記動力工具が受ける前記振動の量を示す入力信号を生成し、
前記動力工具が受ける前記振動の量を示す前記加速度計からの前記入力信号を受信し、
前記入力信号に基づいて前記動力工具が受ける前記振動の量についての値を決定し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であるかどうかを決定し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値未満であることに応答して、(i)前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されることを防ぐよう前記インダクタのための前記制御信号を生成する、又は(ii)前記磁気感受性流体に
第1の磁場を導入するよう前記インダクタのための前記制御信号を生成し、
前記動力工具が受ける前記振動の量についての前記値が前記振動閾値以上であることに応答して、
前記動力工具が受ける前記振動の量を低減するように前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために前記磁場を制御するように、前記入力信号及び前記感度レベルに基づいて前記インダクタのための前記制御信号を生成し、
前記制御信号を前記電子コントローラから前記インダクタに送信し、
前記動力工具の前記ハウジング内に配置される前記磁気感受性流体に前記磁場を導入するように前記制御信号を前記インダクタに供給する
ように構成される、電子コントローラ;を含む、
前記動力工具と;を有する、
通信システム。
【請求項16】
前記磁気感受性流体を保持する第1のリザーバの第1の端部に配置される第1の端部を含む第1のピストンであって、前記第1のリザーバの第2の端部が、前記動力工具のハンドルアセンブリ及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、前記第1のピストンの第2の端部が、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され
、前記第1のリザーバの前記第1の端部は、前記第1のピストンが前記第1のリザーバ内で動くことができるように前記第1のピストンに結合される、第1のピストン;
前記磁気感受性流体を保持する第2のリザーバの第1の端部に配置される第1の端部を含む第2のピストンであって、前記第2のリザーバの第2の端部が、前記動力工具のシュー及び前記動力工具のメインボディのうちの一方に結合され、前記第2のピストンの第2の端部が、前記動力工具のシュー及び前記動力工具の前記メインボディのうちの他方に結合され
、前記第2のリザーバの前記第1の端部は、前記第2のピストンが前記第2のリザーバ内で動くことができるように前記第2のピストンに結合される、第2のピストン;並びに
前記磁気感受性流体を保持する蛇行チューブシステムであって、前記蛇行チューブシステムは、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具のギヤケースからなるグループのうちの少なくとも1つの中に配置され、前記磁気感受性流体内の前記粒子が移動する前記能力は、前記動力工具の前記ハンドルアセンブリ及び前記動力工具の前記ギヤケースからなる前記グループのうちの前記少なくとも1つを、前記磁場が前記磁気感受性流体に導入されない場合より
硬くすることによって前記振動制御を提供するよう前記磁気感受性流体の前記粘性を変化させるために、前記磁気感受性流体に導入される前記磁場に基づいて変化する、蛇行チューブシステム;
からなるグループのうちの少なくとも1つをさらに含む、
請求項15に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年1月5日に出願された、米国仮特許出願第62/275,107号の優先権の利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、操作中に動力工具の振動を低減させることに関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、ハウジングとハウジング内のモータとを含む動力工具(power tool)が提供される。モータはロータ及びステータを含み、ロータは駆動機構に結合されて出力を生成する。動力工具は、ハウジング内に配置される磁気感受性流体(magnetically susceptible fluid)をさらに含む。動力工具は、ハウジング内の、磁気感受性流体に磁場を導入するように構成されるインダクタをさらに含む。動力工具は、動力工具が受ける振動の量を示すように構成されるセンサをさらに含む。動力工具は、センサ及びインダクタに結合される電子プロセッサをさらに含む。電子プロセッサは、振動の量を示すセンサから入力信号を受信し、入力信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号をインダクタに供給して磁場を制御するように構成される。
【0004】
一実施形態では、動力工具が受ける振動を低減する方法が提供される。方法は、センサを用いて、動力工具が受ける振動の量を示す入力信号を生成するステップを含む。方法は、センサから電子プロセッサを用いて、入力信号を受信するステップをさらに含む。方法は、電子プロセッサを用いて、入力信号に基づいて制御信号を生成するステップをさらに含む。方法は、電子プロセッサからインダクタに制御信号を送信するステップをさらに含む。方法は、制御信号に基づいてインダクタを用いて、磁場を動力工具のハウジング内に配置される磁気感受性流体に導入するステップをさらに含む。動力工具は、ロータ及びステータを含むモータを含む。ロータは、駆動機構に結合されて出力を生成する。
【0005】
一実施形態では、外部装置及び動力工具を含む通信システムが提供される。外部装置は、第1の無線通信コントローラ及びディスプレイを含む。ディスプレイは、少なくとも1つのパラメータの選択を受信するように構成される。動力工具は、第1の無線通信コントローラから少なくとも1つのパラメータを受信するように構成される第2の無線通信コントローラを含む。動力工具は、ハウジングとハウジング内のモータとをさらに含む。モータはロータ及びステータを含み、ロータは駆動機構に結合されて出力を生成する。動力工具は、ハウジング内に配置される磁気感受性流体をさらに含む。動力工具は、ハウジング内に、磁気感受性流体に磁場を導入するように構成されるインダクタをさらに含む。動力工具は、動力工具が受ける振動の量を決定するように構成されるセンサをさらに含む。動力工具は、センサ及びインダクタに結合される電子プロセッサをさらに含む。電子プロセッサは、振動の量を示すセンサから入力信号を受信し、入力信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号をインダクタに供給して磁場を制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による通信システムを示す。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【
図4B】通信システムの外部装置のユーザインタフェースの例示のスクリーンショットを示す。
【0012】
【
図5A】いくつかの実施形態による動力工具内の磁気感受性流体の例示の場所を示す。
【0013】
【
図5B】いくつかの実施形態による動力工具内の磁気感受性流体の例示の場所を示す。
【0014】
【
図5C】いくつかの実施形態による動力工具内の磁気感受性流体の例示の場所を示す。
【0015】
【
図5D】いくつかの実施形態による動力工具内の磁気感受性流体の例示の場所を示す。
【0016】
【
図6】動力工具への振動低減方法の例示の実施を示す。
【0017】
【
図7A】1つの例示的な実施形態によるチューブに配置された磁気感受性流体を示す。
【0018】
【
図7B】1つの例示的な実施形態によるチューブに配置された磁気感受性流体を示す。
【0019】
【
図7C】1つの例示的な実施形態によるチューブに配置された磁気感受性流体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明される前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載される又は以下の図面に示される構成及び構成要素の配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施される又は実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではないことが理解されるべきである。本明細書における「含む」「備える」又は「有する」及びそれらの変形は、その後に列挙されるアイテム及びそれらの均等物並びに追加のアイテムを含むことを意味する。用語「取り付けられる」、「接続される」及び「結合される」は、広義に使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続される」及び「結合される」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的か間接的かにかかわらず、電気的接続又は結合を含むことができる。
【0021】
本発明を実施するために、複数の異なるハードウェア及びソフトウェアベースのデバイス、並びに複数の異なる構造コンポーネントが利用され得ることが留意されるべきである。さらに、以下の段落で説明するように、図面に示される特定の構成は、本発明の実施形態を例示することを意図しており、他の代替構成も可能であることが意図される。「プロセッサ」「中央処理装置」及び「CPU」という用語は、特に明記しない限り交換可能である。「プロセッサ」又は「中央処理装置」又は「CPU」という用語が、特定の機能を実行するユニットを識別するために使用される場合、これらの機能は、特に断らない限り、単一のプロセッサ、又は、並列プロセッサ、直列プロセッサ、タンデムプロセッサ、若しくはクラウド処理/クラウドコンピューティング構成を含む、任意の形態で構成される複数のプロセッサによって実行されることができる。
【0022】
図1は、通信システム100を示す。通信システム100は、動力工具104(すなわち往復動鋸(レシプロソー)(reciprocating saw))及び外部装置108を含む。動力工具104及び外部装置108は、それらが互いの通信範囲内にある間に無線通信することができる。動力工具104は、動力工具状態、動力工具動作統計、動力工具識別、格納された動力工具使用情報、動力工具保守データなどを外部装置108に伝達し得る。したがって、外部装置108を使用して、ユーザは、格納された動力工具使用又は動力工具保守データにアクセスすることができる。この工具データを用いて、ユーザは、動力工具104がどのように使用されたか、過去にメンテナンスが推奨されたか又は実行されたかどうかを判定し、故障している構成部品又は特定の性能問題の他の理由を特定することができる。外部装置108はまた、動力工具の構成、ファームウェアの更新、又はコマンド(例えば、作業灯の点灯)を送信するために、動力工具104にデータを送信することもできる。外部装置108はまた、ユーザが動力工具104の動作パラメータ、安全パラメータ、選択ツールモード等を設定することを可能にする。
【0023】
外部装置108は、例えば、(図示のような)スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、又は動力工具104と無線通信可能な他の電子装置であることができ、ユーザインタフェースを提供することができる。外部装置108は、ユーザインタフェースを提供し、ユーザがツール情報にアクセスして対話することを可能にする。例えば、外部装置108は、ユーザ入力を受信して、動作パラメータを決定し、機能などを有効又は無効にすることができる。外部装置108のユーザインタフェースは、ユーザが動力工具の動作を制御及びカスタマイズするための使いやすいインタフェースを提供する(例えば、
図4B参照)。
【0024】
外部装置108は、動力工具104の無線通信インタフェース又はモジュールと互換性のある通信インタフェースを含む。外部装置108の通信インタフェースは、無線通信コントローラ(例えば、Bluetooth(登録商標))モジュール、又は、例えば、
図4Aに示されるような類似のコンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態では、外部装置108及び動力工具104は、シリアルデータバスのような有線接続を介して通信する。
【0025】
加えて、
図1を参照すると、外部装置108はまた、動力工具104から得られた情報を、ネットワーク114によって接続されたリモートサーバ112と共有することもできる。リモートサーバ112は、外部装置108から得られたデータを保存し、ユーザへの追加の機能及びサービスを提供する、又はそれらの組み合わせを提供するために使用され得る。一実施形態では、リモートサーバ112に情報を格納することは、ユーザが複数の異なる場所から情報にアクセスすることを可能にする。別の実施形態では、リモートサーバ112は、彼らの動力工具装置に関して様々なユーザからの情報を収集し、異なる動力工具から得られた情報に基づいて統計又は統計的測定値をユーザに提供し得る。例えば、リモートサーバ112は、動力工具104の経験された(experienced)効率、動力工具104の典型的な使用法、並びに動力工具104の他の関連する特性及び/又は測定値に関する統計を提供し得る。ネットワーク114は、例えば、インターネット、セルラーデータネットワーク、ローカルネットワーク、又はそれらの組み合わせに接続するための、様々なネットワーキング要素(ルータ、ハブ、スイッチ、セルラータワー、有線接続、無線接続など)を含み得る。いくつかの実施形態では、動力工具104は、追加の無線インタフェースを通して又は動力工具104が外部装置108と通信するために使用するのと同じ無線インタフェースにより、サーバ112と直接通信するように構成され得る。
【0026】
図2は、往復動鋸として動力工具104を示している。
図1及び
図2は、往復動鋸として動力工具104を示しているが、本明細書に記載される様々な実施形態は、ジグソー、スクロールソー、及び回転往復動鋸を含むが、これらに限定されない、他のタイプの往復動鋸で実施され得ることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載される様々な実施形態は、ドリル/ドライバ、インパクトドライバ、インパクトレンチ、及びロータリーハンマを含むが、これらに限定されない、動作時に振動する他の動力工具で実施され得ることが理解されるべきである。
【0027】
動力工具104は、長手方向軸Aを規定する。動力工具104は、一般に、シューアセンブリ12と、電気コード(ACバージョン)、バッテリパック(DCバージョン)又は圧縮空気の供給源(空気圧バージョン)を介して動力を供給されるモータ214を有するメインボディ14と、を含む。駆動機構44は、モータ214の回転運動を往復スピンドル18の往復運動に変換して、鋸刃20を動力工具104の長手方向軸Aに実質的に平行な方向に往復運動させる。動力工具104はまた、シューアセンブリ12の反対のメインボディ14の遠位端部に位置するハンドルアセンブリ22を含む。ハンドルアセンブリ22は、グリップ部分24と、グリップ部分24に隣接してモータ214を作動させるためのトリガ212とを含む。トリガ212は、ユーザが、グリップ部分24を保持している同じ手を用いて、例えば人さし指で、トリガ212を作動させることができるように、配置される。動力工具104は、モードパッド208をさらに含む。モードパッド208は、ユーザが動力工具104のモードを選択することを可能にし、動力工具104の現在選択されているモードをユーザに示し、これらは以下により詳細に記載される。
【0028】
シューアセンブリ12は、シューポスト28及びシュー30を含む。シュー30は、メインボディ14から離れたシューポスト28の遠位端部に旋回可能に取り付けられる。他の構造では、シュー30は、シューポスト28に固定して取り付けられ得る、又は他の適切な方法で取り付けられ得る。他の構成では、他のタイプのシューアセンブリが用いられ得る。シューアセンブリ12は、動力工具104のメインボディ14に対して固定され、切断作業中に動力工具104をワークピース(図示せず)に載せるための案内面46を提供する。シューアセンブリ12は、動力工具104のメインボディ14のオリフィス内に少なくとも部分的に配置される、動力工具104の長手方向軸Aに実質的に平行に延在する、長手方向に延びるシューポスト28を含む。シューポスト28は、軸Aに実質的に平行な方向に動力工具104のメインボディ14に対して軸方向に移動可能であり、メインボディ14に対して複数の軸方向位置のうちの1つでシューアセンブリ12を安定させるためのロック機構32を含む。例えば、ロック機構32はボール戻り止めシステム(ball detent system)を含み得る。他の構成では、磁石、カム、他のタイプの戻り止め機構などのような、他の適切なタイプのロック機構が採用され得る。
【0029】
図3Aは、モータ214を含む動力工具104の概略図を示す。モータ214は、本明細書で前に説明したように駆動機構44を作動させる。一次電源(例えば、バッテリパック)205が動力工具104に結合し、モータ214に通電する(energize)ための電力を供給する。モータ214は、トリガ212の位置に基づいて通電される。トリガ212が押されると、モータ214は通電され、トリガ212が解放されると、モータ214は非通電にされる(de-energized)。図示した実施形態では、トリガ212は、ハンドルアセンブリ22の長さを部分的に下方に延在している。しかし、他の実施形態では、トリガ212は、ハンドルアセンブリ22の全長にわたって下に延在してもよく、又は往復動鋸204の他の場所に配置されてもよい。トリガ212は、トリガ212がツールハウジングに対して動くように、ハンドルアセンブリ22に移動可能に結合される。トリガ212は、トリガスイッチ213(
図3A参照)と係合可能であるプッシュロッドに結合される。トリガ212がユーザにより押されるとき、トリガ212はハンドルアセンブリ22に向かって第1の方向に動く。トリガ212がユーザによって解放されるとき、トリガ212は、ハンドルアセンブリ22から離れる第2の方向に動くように、(例えば、ばねで)付勢される。
【0030】
トリガ212がユーザによって押されるとき、プッシュロッドはトリガスイッチ213を作動させ、トリガ212がユーザによって解放されるとき、トリガスイッチ213は非作動にされる。他の実施形態では、トリガ212は、電気トリガスイッチ213に結合される。このような実施形態では、トリガスイッチ213は、例えば、トランジスタを含み得る。加えて、このような電子的実施形態の場合、トリガ212は、機械的スイッチを作動させるためのプッシュロッドを含まなくてもよい。むしろ、電気トリガスイッチ213は、例えば、ツールハウジング又は電気トリガスイッチ213に対するトリガ212の相対位置に関する情報を中継する位置センサ(例えば、ホール効果センサ)によって作動され得る。トリガスイッチ213は、トリガ212の位置を示す信号を出力する。いくつかの例では、信号はバイナリであり、トリガ212が押されたか解放されたかのいずれかを示す。他の例では、信号はトリガ212の位置をより正確に示す。例えば、トリガスイッチ213は、トリガ212が押される程度に応じて、0ボルトから5ボルトまで変化するアナログ信号を出力し得る。例えば、0V出力は、トリガ212が解放されていることを示し、1V出力は、トリガ212が20%押されていることを示し、2V出力は、トリガ212が40%押されていることを示し、3V出力は、トリガ212が60%押されていることを示し、4V出力は、トリガ212が80%押されていることを示し、5Vは、トリガ212が100%押されていることを示す。トリガスイッチ213によって出力される信号は、アナログであってもデジタルであってもよい。
【0031】
図3Aに示すように、動力工具104はまた、電源205、スイッチングネットワーク216、センサ218、インジケータ220、電力入力ユニット224、コントローラ226、無線通信コントローラ250、及びバックアップ電源252を含む。電源205は、電力入力ユニット224に電力を供給する。電力入力ユニット224は、電源205から受ける電力を、無線通信コントローラ250及びコントローラ226によって、調整又は制御するための能動及び/又は受動コンポーネント(例えば、電圧降下コントローラ、電圧変換器、整流器、フィルタなど)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、動力工具104は、電池パックインタフェース(図示せず)を含む。このような実施形態では、バッテリパックインタフェースは、コントローラ226に結合され且つバッテリパックに結合する。バッテリパックインタフェースは、動力工具104をバッテリパックとインタフェース接続する(例えば、機械的、電気的、及び通信可能に接続する)ように構成され且つ動作可能な機械的及び電気的コンポーネントの組合せを含む。バッテリパックインタフェースは、電力入力ユニット224に結合される。バッテリパックインタフェースは、バッテリパックから受けた電力を電力入力ユニット224に送る。
【0033】
スイッチングネットワーク216は、コントローラ226がモータ214の動作を制御することを可能にする。一般に、トリガスイッチ213の出力によって示されるようにトリガ212が押されるとき、電流が、バッテリパックインタフェース222からモータ214に、スイッチングネットワーク216を経由して、供給される。トリガ212が押されていないとき、電流は、バッテリパックインタフェース222からモータ214に供給されない。
【0034】
コントローラ226がトリガスイッチ213から起動信号を受信することに応じて、コントローラ226は、スイッチングネットワーク216を起動して、モータ214に電力を供給する。スイッチングネットワーク216は、モータ214が利用できる電流の量を制御し、それによってモータ214の速度及びトルク出力を制御する。スイッチングネットワーク216は、多数のFET、バイポーラトランジスタ、又は他のタイプの電気スイッチを含み得る。例えば、スイッチングネットワーク216は、モータ214を駆動するためにコントローラ226からパルス幅変調(PWM)信号を受信する6-FETブリッジ(six-FET bridge)を含み得る。
【0035】
センサ218は、コントローラ226に結合され、動力工具104又はモータ214の異なるパラメータを示す様々な信号をコントローラ226に伝える。センサ218は、例えば、1つ又は複数の電圧センサ、1つ又は複数の温度センサ、及び1つ又は複数のトルクセンサのような、他のセンサの中で、ホールセンサ218a、電流センサ218b、振動センサ218c、距離センサ218d、シュー接触センサ218eを含み得る。コントローラ226は、電流センサ218bを使用してモータ214によって引き込まれる電流をモニタすることができる。振動センサ218cは、動力工具104が受ける振動を決定することができる加速度計であり得る。距離センサ218dは、切断される材料とシュー30との間の距離を決定する誘導センサであり得る。加えて、シュー接触センサ218eは、材料がシュー30に接触しているかどうかを決定する誘導センサであり得る。
【0036】
各ホールセンサ218aは、モータのロータの磁石がそのホールセンサの面を横切って回転するときの表示(例えば、パルス)のような、モータフィードバック情報をコントローラ226に出力する。ホールセンサ218aからのモータフィードバック情報に基づいて、コントローラ226は、ロータの位置、速度、及び加速度を決定することができる。モータフィードバック情報及びトリガスイッチ213からの信号に応じて、コントローラ226は、モータ214を駆動するためにスイッチングネットワーク216を制御するように制御信号を送信する。例えば、スイッチングネットワーク216のFETを選択的に有効又は無効にすることによって、電源205を介して受けた電力は、モータ214のステータコイルに選択的に印加されてそのロータを回転させる。モータフィードバック情報は、コントローラ226によって使用されてスイッチングネットワーク216への制御信号の適切なタイミングを保証するために、場合によってはモータ214の速度を所望のレベルに制御するための閉ループフィードバックを提供するために、使用される。
【0037】
インジケータ220はまた、コントローラ226に結合され、オン若しくはオフにするためにコントローラ226からの制御信号を受信する、又は動力工具104の異なる状態に基づいて情報をまたは別の方法で伝達する。インジケータ220は、例えば、1つ又は複数の発光ダイオード(「LED」)、又は表示画面を含む。インジケータ220は、動力工具104の状態、又は動力工具104に関連する情報を表示するように構成されることができる。例えば、インジケータ220は、動力工具104の測定された電気的特性、動力工具104のステータス、動力工具のモード(以下に論じられる)等を示すように構成される。インジケータ220はまた、可聴出力又は触覚出力を通してユーザに情報を伝達する要素を含み得る。
【0038】
上述したように、コントローラ226は、動力工具104の様々なモジュール又はコンポーネントに電気的及び/又は通信可能に接続される。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、電力、動作制御、コントローラ226及び/又は動力工具104内のコンポーネント及びモジュールの保護を提供する複数の電気的及び電子的コンポーネントを含む。例えば、コントローラ226は、とりわけ、処理ユニット230(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は別の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ232、入力ユニット234、及び出力ユニット236を含む。処理ユニット230(ここでは、電子プロセッサ230)は、とりわけ、制御ユニット240、演算論理装置(“ALU”)242、及び複数のレジスタ244(
図3Aのレジスタのグループとして示されている)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ226は、レジスタ転送レベル(“RTL”)設計プロセスによって開発されたチップのような、半導体(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ[“FPGA”]半導体)チップ上に部分的に又は完全に実装される。
【0039】
メモリ232は、例えば、プログラム格納領域及びデータ格納領域を含む。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、リードオンリメモリ(“ROM”)、ランダムアクセスメモリ(“RAM”)(例えば、ダイナミックRAM[“DRAM“]、シンクロナスDRAM[“SDRAM”]等)、電気的消去可能プログラマブルROM(“EEPROM”)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適切な磁気的、光学的、物理的、若しくは電子的メモリデバイスのような、異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。電子プロセッサ230は、メモリ232に接続され、(例えば、実行中に)メモリ232のRAMに、(例えば、概ね永久的に)メモリ232のROMに、又は別のメモリ若しくはディスクのような他の非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されることができるソフトウェア命令を実行する。動力工具104の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ226のメモリ232に格納されることができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ又は複数のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ又は複数のプログラムモジュール、及び他の実行可能命令を含む。電子プロセッサ230は、本明細書に記載の制御プロセスおよび方法に関連する命令を、メモリから取り出し且つ実行するように構成される。電子プロセッサ230はまた、動作データ、工具の種類を識別する情報、特定の工具の一意の識別子、及び動力工具104を操作又は保守する(maintaining)ことに関連する他の情報を含む、動力工具情報をメモリ232に格納するように構成される。現在のレベル、モータ速度、モータ加速度、モータ方向のような工具使用情報は、センサ218によって出力されるデータから取得又は推定され得る。このような動力工具情報は、その後、外部装置108でユーザによってアクセスされ得る。他の構成では、コントローラ226は、追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、又は異なるコンポーネントを含む。
【0040】
無線通信コントローラ250はコントローラ226に結合される。図示された実施形態では、無線通信コントローラ250は、スペースを節約し、モータ214の磁気的活動が動力工具104と外部装置108との間の無線通信に影響を与えないように、動力工具104のハンドルアセンブリ22の近くに配置される。
【0041】
図3Bに示すように、無線通信コントローラ250は、無線トランシーバ及びアンテナ254、メモリ256、電子プロセッサ258、並びにリアルタイムクロック(RTC)260を含む。無線トランシーバ及びアンテナ254は、外部装置108及び電子プロセッサ258に無線メッセージを送信する及び外部装置108及び電子プロセッサ258から無線メッセージを受信するように共に動作する。メモリ256は、電子プロセッサ258によって実行されることになる命令を記憶することができる及び/又は動力工具104と外部装置108等との間の通信に関連するデータを格納し得る。無線通信コントローラ250の電子プロセッサ258は、動力工具104と外部装置108との間の無線通信を制御する。例えば、無線通信コントローラ250に関連する電子プロセッサ258は、着信及び/又は送信データをバッファし、コントローラ226と通信し、無線通信で使用する通信プロトコル及び/又は設定を決定する。
【0042】
図示の実施形態では、無線通信コントローラ250はBluetooth(登録商標)コントローラである。Bluetooth(登録商標)コントローラは、Bluetooth(登録商標)プロトコルを使用する外部装置108と通信する。したがって、図示された実施形態では、外部装置108及び動力工具104は、それらがデータを交換する間、互いの通信可能な範囲内にある(すなわち近接している)。他の実施形態では、無線通信コントローラ250は、異なるタイプの無線ネットワークの上を他のプロトコル(例えば、Wi-Fi、セルラープロトコル、プロプライエタリプロトコルなど)を使用して通信する。例えば、無線通信コントローラ250は、Wi-Fiを介して、インターネット又はローカルエリアネットワークのようなワイドエリアネットワークを通って通信するように、又はピコネットを介して(例えば、赤外線通信若しくはNFC通信を使用して)通信するように構成され得る。無線通信コントローラ250を介した通信は、動力工具104と外部装置108とサーバ112との間で交換されたデータを第三者から保護するために暗号化され得る。
【0043】
無線通信コントローラ250は、動力工具コントローラ226からデータを受信し、その情報をトランシーバ及びアンテナ254を介して外部装置108に中継するように構成される。同様に、無線通信コントローラ250は、トランシーバ及びアンテナ254を介して外部装置108からの情報(例えば、設定(configuration)及びプログラミング情報)を受信し、その情報を動力工具コントローラ226に中継するように構成される。
【0044】
RTC260は、他の動力工具コンポーネントとは無関係に時間をインクリメントして保持する。RTC260は、電源205が動力工具104に接続されているとき、電源205から電力を受け取り、電源205が動力工具104に接続されていないときにバックアップ電源252から電力を受け取る。独立して動力を与えられるクロックとしてRTC260を有することは、(後のエクスポートのためにメモリ232に格納される)動作データのタイムスタンピング、及び、ロックアウト時間がユーザによって設定され且つRTC260の時間が設定されたロックアウト時間を超えるとき工具がロックアウトされるセキュリティ機能を可能にする。
【0045】
動力工具104は、様々なモードで動作する。各モードは、異なる機能が動力工具104によって実行されることを可能にし、ユーザのために特定の適用を容易にする。動力工具104の現在の動作モードは、例えばモードパッド208を使用して、ユーザによって選択される。例えば、
図3Aに関して、モードパッド208は、モードセレクタプッシュボタン290及びモードインジケータ296a-eを含む。モードセレクタプッシュボタン290を押すことによって、電子プロセッサ230は、動力工具104のモード間を循環させる。電子プロセッサ230はまた、モードインジケータ296a-eを制御して、現在のモードを示すように特定の方法で点灯させる。
【0046】
図4Aは、一実施形態による例示的な外部装置108の概略図を示す。外部装置108は、電子プロセッサ405及びメモリ410を含むコントローラ402を含む。外部装置108は、無線通信コントローラ415及びディスプレイ420も含む。いくつかの実施形態では、コントローラ402、電子プロセッサ405、メモリ410、及び無線通信コントローラ415は、
図3A及び
図3Bに関して上述した動力工具104の対応する構成要素と同様であり、同様の機能を果たす。いくつかの実施形態では、外部装置108は、
図4Aに示す構成とは異なる構成において、より少ない又は追加の構成要素を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、外部装置108は、カメラ、位置特定コンポーネント(例えば、全地球測位システム受信機)、マイクロフォン、及びスピーカも含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ420は、ディスプレイデバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンパネル)及びユーザ入力デバイス(例えば、スタイラス又は指による接触を検出するタッチセンシティブコンポーネント)の両方を含むタッチセンシティブディスプレイである。
【0047】
上述のように、動力工具104は、外部装置108と通信することができる。外部装置108は、ユーザから様々な制御パラメータを受け取るグラフィカルユーザインタフェースをディスプレイ420に生成する。グラフィカルユーザインタフェースは、モードプロファイルをユーザに提示する。モードプロファイルは、各々が操作可能なセレクタ(例えば、トグル、スライダ、又はテキストボックス)を持つ、パラメータの選択セットを含む。例えば、第1のモードプロファイルは、モータ速度パラメータ及び作業用照明パラメータを含むことができる。第1のモードプロファイルは、さらに、モータ速度及び作業用照明の明るさの特定のパラメータ値を規定する。ディスプレイ420上のグラフィカルユーザインタフェースは、モードプロファイルのパラメータに関するパラメータ値を指定するユーザからの選択を受け取る。パラメータは、バイナリ値(例えば、オン又はオフ)、絶対値(例えば、1500RPM又は15回転)、パーセンテージ(例えば、最大RPMの75%)、又は電子プロセッサ230が動力工具104の動作を制御するための絶対値に変換することができる別のスケール(例えば、感度レベル)のように、指定され得る。グラフィカルユーザインタフェース上でユーザによって設定されたパラメータは、外部装置108によって動力工具104に送信される。
【0048】
図4Bは、動力工具104と通信している外部装置108の電子プロセッサ405によってディスプレイ420上に生成されるグラフィカルユーザインタフェース425の例示的なスクリーンショットを示す。いくつかの実施形態では、外部装置108は、動力工具104の動作をプログラムするために使用されることができる。例えば、
図4Bに示すように、外部装置108は、パラメータ値を指定するためにユーザ選択を受信するように構成される複数のセレクタ(例えば、スライダ430及びトグル435)を含むグラフィカルユーザインタフェース425を生成することができる。例えば、ユーザは、振動制御機能の所望の感度レベル及び振動制御機能を実施するかどうかを選択することができる。グラフィカルユーザインタフェース425は単に例示的なものであり、より多くの又はより少ない調整可能なパラメータをグラフィカルユーザインタフェース425上に提供されることができる。ユーザがパラメータを設定した後、外部装置108は動作中に実施するためにパラメータを動力工具104に送信する。
【0049】
再び
図3Aを参照すると、動力工具104はまた、ある量の磁気感受性流体288によって囲まれた又はそれに隣接する少なくとも1つのインダクタ285を含む。いくつかの実施形態では、磁気感受性流体は、(例えば、
図7A-7Cに示されるように)キャリア流体710中にマイクロサイズの磁化可能な粒子705を含む磁気レオロジー(MR)流体702である。
図7A-7Cでは、MR流体702は、チューブ(例えば、
図5Dに関して以下により詳細に説明する蛇行(meandering)チューブシステム535)内に配置される。いくつかの実施形態では、MR流体702は、インダクタ285によってMR流体702に印加される磁場の強さに基づいて、自由流動性の液体(free-flowing liquid)から制御可能な降伏強度を持つ半固体に変化する。例えば、
図7Aでは、インダクタ285がMR流体702に磁場を印加しないとき、粒子705の移動が磁場によって制限されないため、MR流体702は、自由流動性の液体である。
図7Bでは、インダクタ285は、MR流体702に磁場715を印加し、粒子705を磁場715の方向と少なくとも部分的に整列させる。したがって、MR流体702の移動は、磁場715の強度に比例して制限される。
図7Cでは、インダクタ285は、磁場715より強い磁場720を印加する。したがって、
図7Cに示すように、粒子705は、磁場720の方向にさらに整列し、磁場720の強度に比例して移動を制限する。いくつかの実施形態では、MR流体702の降伏応力(すなわち、材料が変形し始める応力)は、MR流体702に印加される磁場の強さが増加するのに比例して増加する。
【0050】
いくつかの実施形態では、磁気感受性流体288は、ハンドルアセンブリ22、ギヤケース(図示せず)、及び/又は動力工具104のハウジング内の他の位置に配置され得る。
図5A-5Dは、動力工具104内の磁気感受性流体288の例示的な位置を示す。一般に、磁気感受性流体288の各位置は、磁気感受性流体288の近位に配置されたインダクタ285を有する。
図5Aは、磁気感受性流体288が動力工具104内に配置され得る、第1の位置505、第2の位置510、及び第3の位置515を示す。動力工具104は、第1の位置505、第2の位置510、及び第3の位置515の任意の組み合わせで磁気感受性流体288を含み得る。追加的又は代替的に、動力工具104は、動力工具104の内部の他の位置に磁気感受性流体288を含み得る。
【0051】
図5Bは、第1の位置505における磁気感受性流体288をより詳細に示し、動力工具104の一部を切り取った状態を示す。第1のピストン517が、動力工具104の2つの部分(例えば、ハンドルアセンブリ22及びメインボディ14)の間の磁気感受性流体288の第1のリザーバ520に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のピストン517は、動力工具104のハンドルアセンブリ22とメインボディ14との間の唯一の接続部である。例えば、
図5Bでは、第1のピストン517は、メインボディ14に接続される第1の端部と、第1のリザーバ520の中の第2の端部とを有する。第1のリザーバ520は、その結果、ハンドル27に接続される。例えば、第1のピストン517及び第1のリザーバ520は、締結具及びフランジを使用して動力工具104のハウジングの内部に結合され得る。別の例として、工具ハウジングの内部は、第1のピストン517及び第1のリザーバ520を保持するための切り欠き又は区画を含み得る。したがって、ハンドルアセンブリ22は、磁気感受性流体288の第1のリザーバ520を通じて動力工具104のメインボディ14から絶縁され得る。
図5Bの矢印に示されるように、第1のピストン517は、動力工具104の長手方向軸Aに沿って第1のリザーバ520内を動き得る。いくつかの実施形態では、第1のピストン517は、追加の又は代替の方向に動き得る。例えば、第1のピストン517は、長手方向軸Aに垂直な軸上で垂直に及び/又は長手方向軸Aに垂直な軸上で水平に(すなわち、ページの内外に)動き得る。
図5Bは、メインボディ14に結合された第1のピストン517と、ハンドルアセンブリ22に結合された第1のリザーバ520とを示しているが、いくつかの実施形態では、第1のピストン517及び第1のリザーバ520は、動力工具104の逆の部品に結合され得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第1のピストン517は、ハンドルアセンブリ22に結合され、第1のリザーバ520は、メインボディ14に結合される。
図5Bに示されていないが、磁気感受性流体288の同様のピストン及びリザーバが、ハンドルアセンブリ22とメインボディ14との間の動力工具104の第3の位置515に配置されてもよい。
【0052】
図5Cは、第2の位置510での磁気感受性流体288をより詳細に示し、動力工具104の一部を切り取った状態を示す。第2のピストン525は、動力工具104のシュー30とメインボディ14との間の磁気感受性流体288の第2のリザーバ530内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2のピストン525は、動力工具104のシュー30とメインボディ14との間の唯一の接続部である。例えば、
図5Cでは、第2のピストン525は、シュー30に接続された第1の端部と、第2のリザーバ530の中の第2の端部とを有する。第2のリザーバ530は、その結果、メインボディ14に接続される。例えば、第2のピストン525及び第2のリザーバ530は、締結具及びフランジを使用して、動力工具104のハウジングの内部又はシュー30に結合され得る。別の例として、工具ハウジングの内部は、第2のピストン525及び第2のリザーバ530を保持するための切欠き又は区画を含み得る。したがって、シュー30は、磁気感受性流体288の第2のリザーバ530を通して、動力工具104のメインボディ14から絶縁され得る。
図5Cの矢印に示されるように、第2のピストン525は、動力工具104の長手方向軸Aに沿って第2のリザーバ530内を動き得る。いくつかの実施形態では、第2のピストン525は、追加の又は代替の方向に動き得る。例えば、第2のピストン525は、長手方向軸Aに垂直な軸上で垂直に及び/又は長手方向軸Aに垂直な軸上で水平に(すなわち、ページの内外に)動き得る。
図5Cは、シュー30に結合された第2のピストン525とメインボディ14に結合された第2のリザーバ530を示しているが、いくつかの実施形態では、第2のピストン525及び第2のリザーバ530は、動力工具104の逆の部品に結合され得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第2のピストン525は、メインボディ14に結合され、第2のリザーバ530は、シュー30に結合される。
【0053】
図5Dは、動力工具104の内部の磁気感受性流体288の第4の位置を示す。
図5Dに示すように、いくつかの実施形態では、ハンドルアセンブリ22又はギヤケース(図示せず)内に配置された蛇行チューブシステム535が、磁気感受性流体288を含むことができる。言い換えれば、蛇行チューブシステム535は、磁気感受性流体288を含む、図示されるようなチューブを含む。いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535は、蛇行チューブの長手方向軸が方向を変える少なくとも2つの屈曲部を含む。例えば、
図5Dに示すように、蛇行チューブシステム535は、いくつかの屈曲部537を含む。いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535は、少なくとも5つの屈曲部、少なくとも10の屈曲部、少なくとも15の屈曲部、2から20の間の任意の範囲の屈曲部、又はそれより多い屈曲部を含む。いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535は、その半径より長い(例えば、その半径よりも少なくとも5倍、10倍、15倍、50倍、又はそれより長い)長さを有するチューブを含む。いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535は、人が
図5Dに示すように動力工具104のハウジングの区画内で蛇行チューブシステム535を曲げる又は位置決めすることができるように、可撓性である。
【0054】
図5Dに示す蛇行チューブシステム535は、単なる例示である。いくつかの実施形態では、動力工具104内の蛇行チューブシステム535の位置及び向きは、異なり得る。さらに、いくつかの実施形態では、複数の蛇行チューブシステム535が、動力工具104内の1つ又は複数の位置で使用され得る。蛇行チューブシステム535は、上述の磁気感受性流体288のピストン及びリザーバの任意の組み合わせとともに使用され得る。言い換えれば、動力工具104は、電子プロセッサ230によって別個に制御可能である別個のインダクタ185にそれぞれ関連付けられる、ピストン及びリザーバの実施形態の一方並びに蛇行チューブシステム535の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535は、締結具及びフランジを使用して動力工具104のハウジングの内部に結合され得る。いくつかの実施形態では、工具ハウジングの内部は、蛇行チューブシステム535を保持するための切欠き又は区画を含み得る。
【0055】
磁気感受性流体288は、異なる磁場(すなわち、異なる大きさ及び/又は異なる角度の磁場)に導入されるとき、粘性を変化させる。インダクタ285は、センサ218から受信した入力信号に基づいて磁気感受性流体288に所定の大きさの磁場を導入するように、コントローラ226の電子プロセッサ230によって制御される。このような磁場は、磁気感受性流体288の粘性を変化させて、そうでなければ振動を引き起こすエネルギを相殺して消散させる。したがって、作動中に往復動鋸204が受ける振動は、低減又は減衰され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、センサ218のうちの1つ又は複数からの出力信号は、インダクタ285によって生成される磁場の大きさを制御するために、インダクタ285に直接送信され得る。
【0057】
インダクタ285によって提供される磁場は、動力工具の振動制御が、動力工具が受ける振動に関連するフィードバック信号に基づいて動的に制御されることを可能にする。したがって、ユーザは、動力工具の特定の適用又は特定の使用に基づいて振動制御の量を設定及び調節することができる。例えば、外部装置108上のグラフィカルユーザインタフェース425を使用して、ユーザは、振動制御機能を実施するかどうか及び振動制御機能の感度を選択することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、蛇行チューブシステム535並びにリザーバ520及び530は、その動作中に磁気感受性流体288がチューブ又はリザーバに出入りしないような、閉回路システムである。
【0059】
図6は、一実施形態による動力工具104の振動制御を動的に調整する方法600を示す。ブロック605において、無線通信コントローラ250は、外部装置108から振動制御機能のパラメータを受信する。いくつかの実施形態では、パラメータは、現場で外部装置108を介して受信するのではなく、製造時にコントローラ226で受信されて格納される。ブロック610において、コントローラ226の電子プロセッサ230は、トリガ212が押されたことを判定し、モータ214を始動させる。ブロック615において、電子プロセッサ230は、少なくとも1つのセンサによって受信される信号を使用して動力工具104が受ける振動を決定する。例えば、振動センサ218cは、ある量の振動を動力工具104が受けていることを示す信号をコントローラ226に送る。ブロック620において、電子プロセッサ230は、ブロック615の決定によって検出された振動に基づいて磁気感受性流体288の粘性を変化させる磁場を生成するように、インダクタ285に信号を送る。
【0060】
例えば、
図5B及び5Cに示された実施形態(すなわち、リザーバの中のピストン)では、検出された振動レベルが増加すると、インダクタ285によって生成される磁場は、磁気感受性流体288がより良好に動力工具104が受ける振動を吸収することができるように、磁気感受性流体288の粘性を、より大きい粘性又はより少ない粘性にさせ得る。
図5Dに示された実施形態(すなわち、蛇行チューブシステム)のような、他の実施形態では、検出された振動レベルが増加すると、インダクタ285によって生成される磁場は、動力工具104の対応する部分がより硬く且つより屈曲が困難になるように、磁気感受性流体288の粘性をより大きい粘性にさせ得る。いくつかの実施形態では、電子プロセッサ230は、デフォルトで(例えば、振動が検出されない又は振動が低い閾値を下回る場合)磁気感受性流体に磁場を供給するようにインダクタ285を制御し得る。いくつかの実施形態では、デフォルトで、電子プロセッサ230は、(例えば、
図7Aに示すように)磁場を生成しないように、(例えば、
図7Bに示すように)多少の磁場を生成するように、又は(例えば、
図7Cに示すように)より強い磁場を生成するように、インダクタ285を制御する。
図7Bに示すような磁場をデフォルトで印加することは、磁気感受性流体の粘性が、磁場の強度を増加又は減少させることによって、(例えば、
図7Cに示すように)より大きい粘性に又は(例えば、
図7Aに示されるように)より小さい粘性にそれぞれ調整されることを可能にする。
【0061】
いくつかの実施形態では、電子プロセッサ230は、振動センサ218cから受信した信号に比例する信号をインダクタ285に送る。このような実施形態では、動力工具104が受ける振動が増加すると、磁気感受性流体288の粘性は、磁気感受性流体288がピストンを収容するリザーバ内に配置されるときに比例する量だけ増加又は減少し、磁気感受性流体288が蛇行チューブシステムに配置されるときに比例する量だけ増加する。
【0062】
指定される感度(例えば、グラフィカルユーザインタフェース425を介して設定される)は、インダクタ285が振動を減衰するように制御される前に、動力工具104が受けることになる振動レベルを示す振動閾値を調整し得る。加えて、指定される感度は、減衰制御の積極性(aggressiveness)(すなわち、動力工具104が受ける振動と、電子プロセッサ230からインダクタ285に送られる制御信号との間の関係)を調整し得る。いくつかの実施形態では、指定される感度は、振動閾値及び減衰制御の積極性の両方を調整することができる。さらに、いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインタフェース425は、振動閾値及び減衰制御の積極性のそれぞれに対する別個の感度パラメータを有し得る。
図6に示すように、電子プロセッサ230がインダクタ285に信号を送信した後、方法600はブロック615に戻り、動力工具104が受ける振動を決定することを続ける。したがって、インダクタ285によって生成される磁場、そして磁気感受性流体288の粘性は、動力工具104が受ける振動の量に依存して変化する。
【0063】
したがって、本発明は、とりわけ、動力工具が受ける振動に基づいて変化する動的振動低減機能を備えた動力工具を提供する。