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特許7189031情報処理装置、診断アシスト方法および診断アシストプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、診断アシスト方法および診断アシストプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20221206BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20221206BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20221206BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221206BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G16H80/00
G10L15/00 200L
G10L15/10 200W
G06T7/00 660A
A61B5/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019002876
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020113003
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 英明
(72)【発明者】
【氏名】高木 洋明
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055146(JP,A)
【文献】特開2012-094127(JP,A)
【文献】特開2006-252304(JP,A)
【文献】特開2005-267358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 80/00
G10L 15/00
G10L 15/10
G06T 7/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得部と、
前記特定部によって特定された医療用語のうち、特定の病名が含まれる場合には、該特定の病名に対応する表示すべき統計データの内容を記憶部から取得し、取得した統計データの内容に応じて、外部の装置からデータを収集し、収集したデータを用いて前記統計データの内容を表すグラフを作成する作成部と、
前記取得部によって取得された用語解説データと、前記作成部によって作成されたグラフと、前記医師の映像とともに、前記患者の端末装置に出力する出力部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記送信データに前記医師が発話した音声データが含まれる場合には、該音声データをテキストデータに変換し、該テキストデータに含まれる医療用語を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作成部は、特定の病気について回復するための食事または生活改善に関する情報をさらに作成することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記患者の端末装置によって撮影された患者の画像データを取得し、取得した画像データから患者の顔の部分を認識し、顔の表情から医療用語を理解しているかどうかを判定し、医療用語を理解していない表情であると判定した場合に、前記用語解説データおよび前記グラフを出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記患者の端末装置にアイコンを表示し、該アイコンが選択された場合に、前記用語解説データおよび前記グラフを出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置によって実行される診断アシスト方法であって、
医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定工程と、
前記特定工程によって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得工程と、
前記特定工程によって特定された医療用語のうち、特定の病名が含まれる場合には、該特定の病名に対応する表示すべき統計データの内容を記憶部から取得し、取得した統計データの内容に応じて、外部の装置からデータを収集し、収集したデータを用いて前記統計データの内容を表すグラフを作成する作成工程と、
前記取得工程によって取得された用語解説データと、前記作成工程によって作成されたグラフと、前記医師の映像とともに、前記患者の端末装置に出力する出力工程と
を含むことを特徴とする診断アシスト方法。
【請求項7】
医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得ステップと、
前記特定ステップによって特定された医療用語のうち、特定の病名が含まれる場合には、該特定の病名に対応する表示すべき統計データの内容を記憶部から取得し、取得した統計データの内容に応じて、外部の装置からデータを収集し、収集したデータを用いて前記統計データの内容を表すグラフを作成する作成ステップと、
前記取得ステップによって取得された用語解説データと、前記作成ステップによって作成されたグラフと、前記医師の映像とともに、前記患者の端末装置に出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする診断アシストプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、診断アシスト方法および診断アシストプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医師と患者が距離を隔てたところでインターネットなどの通信技術を用いて診療を行う遠隔診療が知られている。このような遠隔診療では、例えば、医師がネットやメールを通じて患者や別の医師からデータを送ってもらい、テレビ電話の映像などを見ながら在宅の患者を診察する。
【0003】
なお、医療に関するデータを共有する技術として、例えば、ネットワーク接続された複数病院間で医療画像情報の授受を行う従来の医療画像通信システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-067136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、患者が遠隔診療を受ける際に、医師の説明を理解できない場合があるという課題があった。例えば、テレビ電話を介して医師と患者が会話している際に、医師が専門的な医療用語を用いて説明した場合に、患者が医師の説明を理解するのが難しい場合があった。
【0006】
また、例えば、医師が作成した電子カルテをもとに、患者が自分のカルテを見て自分の病状や診療結果を理解できるように、患者が自ら関連情報やヘルプ情報を表示するための参照アドレスを付与する方法が考えられる。ただし、この方法では、患者が、その関連情報やヘルプ情報を調べるために多くの時間を要してしまうため、現実には適用が難しいという課題があった。
【0007】
また、例えば、医師が患者に対して、検診結果が表示された画像を参照しながら検診結果について説明する場合に、様々な事情で時間が制限されていることが多く、その制限された時間内で効率的に検診結果を説明することが困難な場面も考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定部と、前記特定部によって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された用語解説データを出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の診断アシスト方法は、情報処理装置によって実行される診断アシスト方法であって、医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定工程と、前記特定工程によって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された用語解説データを出力する出力工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の診断アシストプログラムは、医師の端末装置から患者の端末装置へ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する特定ステップと、前記特定ステップによって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された用語解説データを出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、患者が遠隔診療を受ける際に、医師の説明の理解を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、医療用語データ記憶部に記憶されたデータの一例を示す図である。
図3図3は、統計データ記憶部に記憶されるデータの一例を示す図である。
図4図4は、患者側の端末装置に表示される、用語解説を含む画面の一例を示す図である。
図5図5は、患者側の端末装置に表示される、用語解説を表示するためのアイコンを含む画面の一例を示す図である。
図6図6は、患者側の端末装置に表示される、統計データを含む画面の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、診断アシストプログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願に係る情報処理装置、診断アシスト方法および診断アシストプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る情報処理装置、診断アシスト方法および診断アシストプログラムが限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
以下の実施の形態では、第1の実施形態に係る情報処理装置10の構成、情報処理装置10の処理の流れを順に説明し、最後に第1の実施形態による効果を説明する。
【0015】
[情報処理装置の構成]
まず、図1を用いて、情報処理装置10の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置10は、医師が使用する端末装置20Aおよび患者が使用する端末装置20Bとネットワーク30を介して接続されている。
【0016】
ここで端末装置20Aおよび端末装置20Bは、例えば、デスクトップ型PC、タブレット型PC、ノート型PC、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。
【0017】
医師側の端末装置20Aと患者側の端末装置20Bとが通信を行うことで、遠隔診療を行う。遠隔診療の具体的な方法としては、どのような方法であってもよいが、例えば、テレビ電話機能を用いて、医師と患者が互いの姿を撮影した映像を見ながら会話するようにしてもよいし、メッセージを互いに送受信することでチャット形式で診療を行うようにしてもよい。なお、以下の説明では、主に、テレビ電話機能を用いて医師と患者が互いの姿を撮影した映像を見ながら会話する場合を例として説明する。
【0018】
情報処理装置10は、医師側の端末装置20Aから患者側の端末装置20Bへ送信された遠隔診療における音声データまたはテキストデータを受信し、受信したデータに医療用語が含まれている場合には、音声データまたはテキストデータとともに、医療用語に対応する用語解説データを患者側の端末装置20Bに出力する。
【0019】
また、図1に示すように、この情報処理装置10は、通信処理部11、制御部12および記憶部13を有する。以下に情報処理装置10が有する各部の処理を説明する。
【0020】
通信処理部11は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信処理部11は、音声データまたはテキストデータを医師側の端末装置20Aから受信し、音声データまたはテキストデータとともに、医療用語に対応する用語解説データを患者側の端末装置20Bに送信する。
【0021】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。記憶部13は、医療用語データ記憶部13aおよび統計データ記憶部13bを有する。例えば、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
【0022】
医療用語データ記憶部13aは、医療用語に対応する用語解説データを記憶する。例えば、医療用語データ記憶部13aは、図2に例示するように、「医療用語」と「用語解説」とを対応付けて記憶する。ここで、医療用語については、同じ意味であっても正式名称とは異なる呼称や省略した呼称がある場合には、複数の名称を同じ意味の医療用語として扱う。例えば、「インフルエンザ」と「インフル」とでは、名称が異なるが同じ意味の医療用語として扱う。
【0023】
また、医療用語データ記憶部13aに記憶されるデータは適宜更新可能なデータである。つまり、どのような単語を医療用語とするか、もしくは、用語解説の内容について、適宜追加、変更、削除を行うことが可能である。なお、医療用語データ記憶部13aが記憶するデータは、情報処理装置10の外部のデータベースが記憶していてもよい。
【0024】
統計データ記憶部13bは、病気の種類ごとに、表示するべき統計データの内容を記憶する。例えば、統計データ記憶部13bは、図3に例示するように、「病気の種類」と「統計データ」とを対応付けて記憶する。具体例を挙げて説明すると、例えば、統計データ記憶部13bは、病気の種類「インフルエンザ」と統計データ「地域別の発症数」とを対応付けて記憶する。これは、例えば、テレビ電話を用いた遠隔診療において、医師の発話に「インフルエンザ」の単語が含まれる場合には、表示するべき統計データの内容として、インフルエンザの地域別の発症数を表示することが設定されていることを意味する。
【0025】
また、統計データ記憶部13bに記憶されるデータは適宜更新可能なデータであり、例えば、病気の種類に応じてどのような統計データを表示するか等を適宜変更することができる。なお、統計データ記憶部13bが記憶するデータは、情報処理装置10の外部のデータベースが記憶していてもよい。
【0026】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部12は、特定部12a、取得部12b、作成部12cおよび出力部12dを有する。ここで、制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。
【0027】
特定部12aは、医師の端末装置20Aから患者の端末装置20Bへ送信された送信データに含まれる医療用語を特定する。具体的には、特定部12aは、送信データに医師が発話した音声データが含まれる場合には、該音声データをテキストデータに変換し、該テキストデータに含まれる医療用語を特定する。
【0028】
なお、音声データをテキストデータに変換する手法については、どのような手法であってもよく、既存の手法を用いるものとする。また、特定部12aは、送信データにテキストデータが含まれている場合には、該テキストデータから医療用語を特定する。
【0029】
例えば、特定部12aは、医師の端末装置20Aと患者の端末装置20Bとがテレビ電話機能を用いて遠隔診療を行っている際に、医師が発話した音声データを端末装置20Aから受信すると、該音声データをテキストデータに変換する。ここで、特定部12aは、医療用語データ記憶部13aに記憶された医療用語を参考に、変換したテキストデータに医療用語が含まれているかを検索する。
【0030】
具体例を挙げて説明すると、特定部12aは、テキストデータの内容が「インフルエンザの可能性がありますね」であった場合に、「インフルエンザ」という用語が医療用語として医療用語データ記憶部13aに記憶されており、「インフルエンザ」を医療用語として特定する。
【0031】
取得部12bは、特定部12aによって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する。例えば、取得部12bは、医療用語データ記憶部13aに記憶されたデータを参照し、特定部12aによって特定された医療用語が「インフルエンザ」である場合には、医療用語「インフルエンザ」に対応する用語解説のデータとして、「インフルエンザとは、インフルエンザウィルスに感染して起こる感染症です。・・・」を取得する。なお、取得部12bは、医療用語データ記憶部13aから用語解説データを取得する代わりに、web検索により用語解説データを取得するようにしてもよい。
【0032】
作成部12cは、特定部12aによって特定された医療用語のうち、特定の病名が含まれる場合には、該特定の病名に関する統計データを作成する。例えば、作成部12cは、特定部12aによって特定された医療用語が「インフルエンザ」である場合に、統計データ記憶部13bに記憶されたデータを参照し、「インフルエンザ」が統計データを表示すべき「病気の種類」として記憶されているか検索し、「インフルエンザ」に対応する表示するべき統計データの内容である「統計データ」を取得する。
【0033】
図3の例では、「インフルエンザ」に対応する「統計データ」として、「地域別の発症数」が記憶されている。そして、作成部12cは、例えば、患者の地域におけるインフルエンザの発症数のデータ(例えば、厚生労働省や国立感染研究所等が公開しているデータ)を外部のサーバから取得し、取得したデータを用いて患者の地域における月別の発症数の変化を示す棒グラフを作成する。
【0034】
また、作成部12cは、統計データとして、特定の病気についての生存率や回復期間の統計情報を作成するようにしてもよい。また、作成部12cは、特定の病気について回復するための食事または生活改善に関する情報を作成するようにしてもよい。例えば、作成部12cは、糖尿病、心疾患または高血圧等の特定の病気について回復するための食事や生活改善のための指導や統計情報等を作成するようにしてもよい。
【0035】
出力部12dは、取得部12bによって取得された用語解説データを出力する。例えば、出力部12dは、テレビ電話機能を用いて、医師と患者が互いの姿を撮影した映像を見ながら会話することで遠隔診療を行っている場合には、取得部12bによって取得された用語解説データを、患者側の端末装置20Bに表示される画面データに付加した上で、患者側の端末装置20Bに出力する。
【0036】
ここで、図4の例を用いて、患者側の端末装置20Bに表示される、用語解説を含む画面について説明する。図4は、患者側の端末装置に表示される、用語解説を含む画面の一例を示す図である。図4に例示するように、患者側の端末装置20Bでは、医師の映像とともに、右下にインフルエンザについての用語解説として「虚血性心疾患とは、・・・」という文章が表示されている。
【0037】
また、例えば、出力部12dは、メッセージを互いに送受信することでチャット形式により遠隔診療を行っている場合には、医師のメッセージとともに、取得部12bによって取得された用語解説データを患者側の端末装置20Bに出力する。なお、このような場合、出力部12dは、医師のメッセージとともに用語解説の文章を表示するようにしてもよいし、アイコン等を表示して、患者にアイコンが選択された場合にのみ用語解説の文章を表示するようにしてもよい。
【0038】
ここで、図5の例を用いて、患者側の端末装置20Bに表示される、用語解説を表示するためのアイコンを含む画面について説明する。図5は、患者側の端末装置に表示される、用語解説を表示するためのアイコンを含む画面の一例を示す図である。図5に例示するように、患者側の端末装置20Bでは、医師と患者とが互いに送受信したメッセージを表示されている。そして、端末装置20Bでは、医師の「インフルエンザの症状が・・・」というメッセージの上部に星型のアイコンが表示されている。端末装置20Bでは、このアイコンがタップ操作等で選択されると、インフルエンザについての用語解説を表示する。これにより、情報処理装置10は、例えば、医師が患者に対して健診結果や診療結果を効率的に説明できるように医師の説明を支援することが可能である。
【0039】
また、出力部12dは、作成部12cによって統計データが作成された場合には、作成部12cによって作成された統計データを出力する。例えば、出力部12dは、テレビ電話機能を用いて遠隔診療を行っている場合には、作成部12cによって作成された統計データを、患者側の端末装置20Bに表示される画面データに付加した上で、患者側の端末装置20Bに出力する。
【0040】
ここで、図6の例を用いて、患者側の端末装置20Bに表示される、統計データを含む画面について説明する。図6は、患者側の端末装置に表示される、統計データを含む画面の一例を示す図である。図6に例示するように、患者側の端末装置20Bでは、医師の映像とともに、右下にインフルエンザについての用語解説として「インフルエンザとは、・・・」という文章が表示され、左下に統計データとして、患者の地域における月別の発症数の変化を示す棒グラフが表示されている。このように、情報処理装置10では、特定の病名が含まれる場合には、流行状況等の統計データを表示させる。
【0041】
また、出力部12dは、患者の表情から、医療用語を理解しているかどうかを判定し、医療用語を理解していない表情であると判定した場合にのみ、用語解説データを出力するようにしてもよい。例えば、出力部12dは、患者の端末装置20Bで撮影した患者の画像データを取得し、取得した画像データから患者の顔の部分を認識し、顔の表情から医療用語を理解しているかどうかを判定し、医療用語を理解していない表情であると判定した場合にのみ、用語解説データを出力する。なお、顔の表情から医療用語を理解しているかどうかを判定する手法については、どのような手法であってもよく、既存の手法を用いるものとする。
【0042】
なお、上述した各部の処理については、一部または全部をAI(Artificial Intelligence)に実行させるようにしてもよい。例えば、情報処理装置10は、用語解説データを表示させるための学習済みモデルを記憶しており、医師の音声データまたはテキストデータを学習済みモデルに対して入力することで、学習済みモデアルから出力データとして用語解説データを得るようにしてもよい。
【0043】
つまり、情報処理装置10では、例えば、AI分析により医師と患者の会話から発する難解な用語(専門用語や病名等)を抽出し、web検索や事前に用意されたテーブルを参照して、用語の意味を解説する表示を行う。
【0044】
また、出力部12dは、患者側の端末装置20Bだけでなく、医師側の端末装置20Aにも用語解説データや統計データを出力するようにしてもよい。このような場合に、端末装置20Aでは、例えば、医師側が用語解説データや統計データを修正できるようにしてもよく、修正された用語解説データや統計データを患者側の端末装置20Bに送信できるようにしてもよい。
【0045】
[情報処理装置の処理手順]
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置10による処理手順の例を説明する。図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の図7の説明では、医師の端末装置20Aと患者の端末装置20Bとがテレビ電話機能を用いて遠隔診療を行っている場合を例に説明する。
【0046】
図7に例示するように、情報処理装置10の特定部12aは、医師が発話した音声データを端末装置20Aから受信すると(ステップS101肯定)、該音声データをテキストデータに変換する(ステップS102)。
【0047】
そして、特定部12aは、医療用語データ記憶部13aに記憶された医療用語を参考に、変換したテキストデータに医療用語が含まれているかを検索し、テキストデータに医療用語が含まれているか判定する(ステップS103)。この結果、特定部12aがテキストデータに医療用語が含まれていないと判定した場合には(ステップS103否定)、出力部12dは、医師の音声データと画像データとを患者の端末装置20Bに出力して(ステップS108)、処理を終了する。
【0048】
また、特定部12aは、テキストデータに医療用語が含まれていると判定した場合には(ステップS103肯定)、テキストデータに含まれる医療用語を特定する(ステップS104)。具体例を挙げて説明すると、特定部12aは、テキストデータの内容が「インフルエンザの可能性がありますね」であった場合に、「インフルエンザ」という用語が医療用語として医療用語データ記憶部13aに記憶されており、「インフルエンザ」を医療用語として特定する。
【0049】
続いて、取得部12bは、特定部12aによって特定された医療用語に対応する用語解説データを取得する(ステップS105)。例えば、取得部12bは、医療用語データ記憶部13aに記憶されたデータを参照し、特定部12aによって特定された医療用語が「インフルエンザ」である場合には、医療用語「インフルエンザ」に対応する用語解説のデータとして、「インフルエンザとは、インフルエンザウィルスに感染して起こる感染症です。・・・」を取得する。
【0050】
そして、作成部12cは、特定部12aによって特定された医療用語のうち、特定の病名が含まれるか判定する(ステップS106)。この結果、作成部12cが、特定の病名が含まないと判定した場合には(ステップS106否定)、出力部12dは、医師の音声データおよび画像データとともに、用語解説データを患者の端末装置20Bに出力して(ステップS108)、処理を終了する。
【0051】
また、作成部12cは、特定の病名が含むと判定した場合には(ステップS106肯定)、特定の病名に関する統計データを作成する(ステップS107)。例えば、作成部12cは、例えば、患者の地域におけるインフルエンザの発症数のデータ(例えば、厚生労働省や国立感染研究所等が公開しているデータ)を外部のサーバから取得し、取得したデータを用いて患者の地域における月別の発症数の変化を示す棒グラフを作成する。
【0052】
その後、出力部12dは、医師の音声データおよび画像データとともに、用語解説データおよび統計データを患者の端末装置20Bに出力して(ステップS108)、処理を終了する。
【0053】
[第1の実施形態の効果]
第1の実施形態に係る情報処理装置10は、医師の端末装置20Aから患者の端末装置20Bへ送信された送信データに含まれる医療用語を特定し、特定された医療用語に対応する用語解説データを取得し、取得された用語解説データを出力する。このため、情報処理装置10は、患者が遠隔診療を受ける際に、医師の説明の理解を容易にすることが可能である。
【0054】
つまり、情報処理装置10では、例えば、遠隔診療の際に、医師が発する難解な専門用語の説明等を、テキストをリアルタイムで表示することで、医師が発する難解な用語の意味を診療中に端末画面に表示させるので、疾患に対する患者の理解を深めることが可能である。また、情報処理装置10は、用語の説明だけでなく、特定の病気の統計情報等を見せるようにしてもよい。
【0055】
(システム構成等)
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0056】
また、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0057】
(プログラム)
また、上記実施形態において説明した情報処理装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した診断アシストプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが診断アシストプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる診断アシストプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された診断アシストプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0058】
図8は、診断アシストプログラムを実行するコンピュータを示す図である。図8に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0059】
メモリ1010は、図8に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、図8に例示するように、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、図8に例示するように、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、図8に例示するように、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0060】
ここで、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、診断アシストプログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0061】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0062】
なお、診断アシストプログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、診断アシストプログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0063】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
10 情報処理装置
11 通信処理部
12 制御部
12a 特定部
12b 取得部
12c 作成部
12d 出力部
13 記憶部
13a 医療用語データ記憶部
13b 統計データ記憶部
20A、20B 端末装置
30 ネットワーク
図1
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図5
図6
図7
図8