(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用ミラー装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B60R1/074
(21)【出願番号】P 2019021422
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 政雄
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059273(JP,A)
【文献】特開平09-164883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/074
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーおよび電動機能部を含むミラーユニットと、
車両側部に固定されるベースと、
前記ベースに固定された基端部
、及び、前記基端部から前記ベースとは反対側に延びる先端部を有するシャフトと、
前記シャフトの
前記先端部を覆うように設けられ、前記ミラーユニットを支持しているユニットケースと、
前記ユニットケース内に収容され、前記シャフトに対して前記ユニットケースを相対回転させることにより前記ミラーユニットを格納位置と使用位置との間で移動させる電動格納駆動部と、
前記シャフト
の前記先端部を軸方向に貫通して前記ユニットケース内に導入され、前記電動格納駆動部に接続している第1ワイヤーハーネスと、
前記シャフト
の前記先端部を軸方向に貫通することなしに前記ユニットケース外を通って前記ミラーユニット内に導入され、前記電動機能部に接続している第2ワイヤーハーネスと、
を備え
、
前記シャフトの前記基端部は、前記ベース側に開口した有底筒状であり、筒壁の周方向の一部に開口側から切り欠かれた切欠きを有し、
前記第2ワイヤーハーネスは、前記ベース内から前記切欠きを通じて前記ミラーユニット内まで配線されている車両用ミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ミラー装置に用いられるワイヤーハーネスは、ベース内から電動格納ユニットのシャフト内部およびカバーの貫通孔を通じてミラーユニット内に導入されたのち、電動格納ユニットおよび鏡面角度調整ユニット等の各機能部へ配線されている。特許文献1では、電動格納ユニット用の配線は、ミラーユニット内でワイヤーハーネス本体から枝分かれし、カバーに設けたコネクタに接続されている。カバー内の水密性を確保するため、カバーのコネクタ接続部と貫通孔付近にはシール部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両用ミラー装置の多機能化および高性能化に伴い、ワイヤーハーネスの電線やケーブルが増加したり太くなったりする傾向にある。これに対応するためにワイヤーハーネスを通すシャフトとカバーの貫通孔を拡大すると、電動格納ユニットが大型化するという問題がある。
また、ワイヤーハーネスの太さの異なる複数の装置間で共通の電動格納ユニットを用いる場合、カバーの貫通孔のシール構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電動格納ユニットの大型化の抑制およびシール性の確保を可能にする車両用ミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両用ミラー装置であって、ミラーユニット、ベース、シャフト、ユニットケース、電動格納駆動部、第1ワイヤーハーネスおよび第2ワイヤーハーネスを備える。ミラーユニットはミラーおよび電動機能部を含み、ベースは車両側部に固定される。シャフトは、ベースに固定された基端部、及び、基端部からベースとは反対側に延びる先端部を有する。ユニットケースはシャフトの先端部を覆うように設けられ、ミラーユニットを支持している。電動格納駆動部は、ユニットケース内に収容され、シャフトに対してユニットケースを相対回転させることによりミラーユニットを格納位置と使用位置との間で移動させる。第1ワイヤーハーネスは、シャフトの先端部を軸方向に貫通して、ユニットケース内に導入され、電動格納駆動部に接続している。第2ワイヤーハーネスは、シャフトの先端部を軸方向に貫通することなしにユニットケース外を通ってミラーユニット内に導入され、電動機能部に接続している。シャフトの基端部は、ベース側に開口した有底筒状であり、筒壁の周方向の一部に開口側から切り欠かれた切欠きを有する。第2ワイヤーハーネスは、ベース内から切欠きを通じてミラーユニット内まで配線されている。
【0007】
本発明によれば、シャフトを軸方向に貫通するのが電動格納駆動部に接続している第1ワイヤーハーネスのみになるので、シャフト径は第2ワイヤーハーネスの電線やケーブルが増加したり太くなったりする影響を受けない。つまり、車両用ミラー装置の多機能化および高性能化に伴い、シャフト径を拡大する必要性がないことから、電動格納ユニットの大型化を抑制することが可能である。
【0008】
また、第1ワイヤーハーネスはユニットケース内に導入され、電動格納駆動部に接続し、第2ワイヤーハーネスはシャフトを軸方向に貫通することなしにユニットケース外を通ってミラーユニット内に導入され、電動機能部に接続しているので、ユニットケースに第2ワイヤーハーネスを通す貫通孔が必要なく、水密性は向上する。また、従来、車両用ミラー装置に用いられるワイヤーハーネスは、ベース内から電動格納ユニットのシャフト内部およびカバーの貫通孔を通じてミラーユニット内に導入されていたので、ワイヤーハーネスの太さの異なる複数の装置間で共通の電動格納ユニットを用いる場合、カバーの貫通孔のシール構造が複雑になるという問題があったが、本発明では、第2ワイヤーハーネスの太さにかかわらず電動格納ユニットシール性の確保を可能にする。
【0009】
したがって、第2ワイヤーハーネスの太さにかかわらず電動格納ユニットの大型化の抑制およびシール性の確保を可能にする車両用ミラー装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る車両用ミラー装置の外観を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(一実施形態)
一実施形態に係る車両用ミラー装置の平面図を
図1に示す。
図1に対応する模式図を
図2に示す。
図1、
図2に示すように、本実施形態による車両用ミラー装置10は、車体ドアパネル1に装着される。車両用ミラー装置10は、電動式である。
【0013】
車両用ミラー装置10は、ミラーユニット20、ベース30、シャフト40、ユニットケース50、電動格納駆動部60、第1ワイヤーハーネス70、および第2ワイヤーハーネス80を備える。
【0014】
ミラーユニット20は、ミラーハウジング22、ミラーハウジング22の内部に装着されたミラー21を備える。ミラーハウジング22は、使用状態において車両後方に向かって開口するカップ状に形成されている。ミラーハウジング22内には、電動機能部23、ミラー21などが設けられている。
【0015】
ベース30は、車両側部の車体ドアパネル1に固定される。
【0016】
シャフト40は、ベース30に固定された基端部41を有する。ユニットケース50は、シャフト40の先端部42を覆うように設けられていて、ミラーユニット20を支持している。電動格納駆動部60は、ユニットケース50内に収容されたモータ、減速機、および制御部を含み、シャフト40に対してユニットケース50を相対回転させることによりミラーユニット20を格納位置と使用位置との間で移動させる。シャフト40、ユニットケース50および電動格納駆動部60は、電動格納ユニットを構成している。
【0017】
ベース30内を通る第1ワイヤーハーネス70と第2ワイヤーハーネス80のうち、第1ワイヤーハーネス70は、シャフト40を軸方向に貫通してユニットケース50内に導入され、電動格納駆動部60に接続している。シャフト40は、筒状に形成されており、貫通孔44を有している。一方、第2ワイヤーハーネス80は、シャフト40を軸方向に貫通することなしにユニットケース50外を通ってミラーユニット20内に導入され、電動機能部23に接続している。
【0018】
電動機能部23とは、例えば、図示しないミラー21の鏡面角度を変更可能な鏡面角度調整機構、アンテナ231、ブラインドスポット232、ターンランプ233、カメラ234などを指す。
【0019】
シャフト40の斜視図を
図3に示す。シャフト40は基端部41に切欠き43を有している。第2ワイヤーハーネス80は、切欠き43を通ることでユニットケース50外を通って、ミラーユニット20に導入される。
【0020】
切欠き43を通ってミラーユニット20内の電動機能部23に配線される第2ワイヤーハーネス80は、ミラーユニット20が格納位置から使用位置まで回動する間、負荷がかかったり、他の部位に引っかからないように、切欠き43から電動機能部23まで長さにゆとりを持つ。
【0021】
(効果)
以上説明したように、本実施形態では、第1ワイヤーハーネス70は、シャフト40を軸方向に貫通して、ユニットケース50内に導入され、電動格納駆動部60に接続している。第2ワイヤーハーネス80は、シャフト40を軸方向に貫通することなしにシャフト40の基端部41が有する切欠き43、およびユニットケース50外を通ってミラーユニット20内に導入され、電動機能部23に接続している。
【0022】
これにより、シャフト40を軸方向に貫通するのが電動格納駆動部60に接続している第1ワイヤーハーネス70のみになるので、シャフト貫通孔44の内径φは第2ワイヤーハーネス80の電線やケーブルが増加したり太くなったりする影響を受けない。つまり、車両用ミラー装置10の多機能化および高性能化に伴い、内径φを拡大する必要性がないことから、電動格納ユニットの大型化を抑制することが可能である。
【0023】
さらに、本実施形態では、ユニットケース50に第2ワイヤーハーネス80を通す貫通孔が必要ないため水密性が向上する。また、従来、車両用ミラー装置に用いられるワイヤーハーネスは、ベース内から電動格納ユニットのシャフト内部およびカバーの貫通孔を通じてミラーユニット内に導入されていたので、ワイヤーハーネスの太さの異なる複数の装置間で共通の電動格納ユニットを用いる場合、カバーの貫通孔のシール構造が複雑になるという問題があったが、本実施形態では、第2ワイヤーハーネス80の太さにかかわらず電動格納ユニットシール性の確保を可能にする。
【0024】
さらに、本実施形態では、ミラーユニット20内の電動機能部23に配線される第2ワイヤーハーネス80は、切欠き43から電動機能部23までの長さにゆとりを持つ。
これにより、ミラーユニット20が格納位置と使用位置との間で移動するとき、配線した第2ワイヤーハーネス80に負荷がかかることを抑制できる。
【0025】
(他の実施形態)
他の実施形態では、第2ワイヤーハーネスが通るのは、シャフトの切欠きでなくてもよい。例えば、シャフトに形成された孔でもよい。また、シャフトには切欠きや孔が形成されず、第2ワイヤーハーネスはシャフトを通ることなくベースからミラーユニット内に導かれてもよい。
【0026】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・ドアパネル、
10・・・車両用ミラー装置、
20・・・ミラーユニット、
21・・・ミラー、
22・・・ミラーハウジング、
23・・・電動機能部、
30・・・ベース、
40・・・シャフト、
50・・・ユニットケース、
60・・・電動格納駆動部、
70・・・第1ワイヤーハーネス、
80・・・第2ワイヤーハーネス。