(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池用正極合剤と正極及びこれを用いた非水電解質二次電池と非水電解質二次電池用正極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/131 20100101AFI20221206BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20221206BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20221206BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20221206BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20221206BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20221206BHJP
H01M 4/1391 20100101ALI20221206BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/62 Z
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/485
H01M4/139
H01M4/1391
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2019028631
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】澤山 拓海
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230747(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0080145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/131
H01M 4/62
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/485
H01M 4/139
H01M 4/1391
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属複合酸化物からなる粒子状の正極活物質と、導電助剤と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤
と、滑剤を含んでなる顆粒状の合剤であり、
前記合剤の総質量に対し、質量%で、前記正極活物質が
50~95%、前記導電助剤が
4~40%、前記結着剤が1.5~2.5%含まれるとともに、
粒径が75~500μm、安息角が35°以下であることを特徴とする非水電解質二次電池用正極合剤。
【請求項2】
前記遷移金属複合酸化物が、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2) 、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12) 、マンガン酸リチウム(Li
4Mn
5O
12)のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極合剤。
【請求項3】
前記導電助剤がグラファイト、カーボン、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのうち、1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極合剤。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極合剤が含まれ、
前記滑剤として、
前記非水電解質二次電池用正極合剤に対する質量比で0.5~2.0% の疎水性シリカが添加され、
ペレット形状の圧縮成型体からなることを特徴とする非水電解質二次電池用正極。
【請求項5】
請求項4に記載の非水電解質二次電池用正極を備えたことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項6】
コイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法であって、
それぞれ粉体状である、
遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と、導電助剤と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤
と、滑剤を、混合攪拌機に投入し、さらに水を加えて混合及び攪拌して顆粒状であり、粒径75~500μmの正極合剤を取り出す造粒工程と、
前記正極合剤を金型に供給し、プレス加工によりペレット形状に圧縮成型する打錠工程と、
を少なくとも備え、
前記正極活物質と前記導電助剤と前記結着剤の投入量の比を、これらの合計質量に対し質量比でそれぞれ
50~95%、
4~40%、1.5~2.5%の範囲とし、
前記水の投入量を、前記正極活物質と前記導電助剤と前記結着剤との合計質量に対し質量比で
14~20%の範囲とすることにより、
安息角35°以下の正極合剤を得ることを特徴とするコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法。
【請求項7】
前記正極合剤に対する質量比で0.5~2.0%の疎水性シリカを
前記滑剤として用いることを特徴とする請求項6に記載のコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法。
【請求項8】
前記遷移金属複合酸化物として、コバルト酸リチウム(LiCoO
2) 、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2) 、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12) 、マンガン酸リチウム(Li
4Mn
5O
12) のいずれかを用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法。
【請求項9】
前記導電助剤として、グラファイト、カーボン、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのうち、1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項6~請求項8のいずれか一項に記載のコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法。
【請求項10】
請求項6~請求項9のいずれか一項に記載の製造方法により得られた非水電解質二次電池用正極を用いることを特徴とするコイン形非水電解質二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用正極合剤と正極及びこれを用いた非水電解質二次電池と非水電解質二次電池用正極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池の正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)が広く用いられている。この種の非水電解質二次電池の正極は、正極活物質に加えて、グラファイト等の導電助剤や、高分子化合物等からなる結着剤を混合して正極合剤を構成し、この正極合剤をペレット状に圧縮成型して得られる。あるいは、前記正極合剤に有機溶媒を加えてペーストを作成し、このペーストを集電体に塗布することによって正極が作製されている。
【0003】
コバルト酸リチウムを正極活物質として用いた電池は作動電圧が高いため、高電圧で使用することができる。一方で、コバルト酸リチウムの反応性が高いため、電池を安定的に用いるための種々の工夫がなされている。
例えば、電極を構成するための結着剤として、耐熱性が高く、反応性の低いフッ素樹脂を用いることで、電池性能の安定性を高めることができる。フッ素樹脂として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられている。
このうち、PVDFは、正極合剤中の分散性に優れており、良好な電気的特性を有する電池を作製できることが知られている。しかしながら、PVDFは水に不溶であること、分散剤としてN-メチル-2-ピロリドンのような有機溶媒を必要とするから、電極を製造するには、局所排気等の設備投資が必要となる。
一方、PTFEは親水性を有し、水を分散剤として用いることができることから、安全上好ましい結着剤であると考えられる。
【0004】
ところで、PTFEは、繊維状になり易い性質をもつ平均分子量が100万~500万のフッ素樹脂である。PTFEを主に粉体や溶媒に分散した懸濁物の状態で、正極活物質や導電助剤と混錬して用いることで、これらを繊維状に包んで結着することができる。これにより、活物質や導電助剤を、これらの特性を失うことなく結着することができ、電池を作製した場合に高い容量を得ることができる。
例えば、以下の特許文献1には、フッ素樹脂からなる結着剤と、水溶性界面活性パーフルオロ基含有化合物を電極に含むことにより、高放電容量かつ製造時に変動が少ない化学電池を得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、正極合剤に繊維状のPTFEを混合することによって混合物の粘度が高くなるため、混合物のハンドリング性を如何に向上させるかが製造上の問題となる。
コイン形の非水電解質二次電池の場合、正極は上述した正極合剤を圧縮成型してなる正極ペレットが用いられている。正極ペレットを作製する際、圧縮成型時に正極合剤を金型に効率よく充填し、かつ、圧縮後に金型に正極合剤を付着させることなく離型する必要がある。しかしながら、上述の通りPTFEは粘性が高いため、正極合剤の流動性が悪く、金型内に充分に供給することができない、あるいは、作製した正極ペレットの金型からの離型性が悪い、といった問題が生じてしまう。
【0007】
このような問題に対し、特許文献1には、水溶性界面活性パーフルオロ基含有化合物とフッ素樹脂とを、粉体のままではなく、水に分散させた分散液を採用し、ペレットやシート状の電極を作製する態様が開示されている。
しかしながら、分散液を用いて混合した合剤を結着剤として用いる場合、分散液の混合工程を経て電極合剤を作製することとなる。このような製造方法は、活物質と導電助剤と結着剤とを混合し、さらに水を加えて混合造粒する場合に比べて工程及び管理ポイントが増加することとなりコストアップの要因となり得る問題がある。
【0008】
本願発明は、このような従来の問題に鑑み、ハンドリング性に優れるとともに、PTFEを結着剤として混合した正極合剤とそれを用いた正極を提供すること、及び、この正極を用いた非水電解質二次電池を作製することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記課題を解決するため、本発明の一形態に係る非水電解質二次電池用正極合剤は、遷移金属複合酸化物からなる粒子状の正極活物質と、導電助剤と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤と、滑剤を含んでなる顆粒状の合剤であり、前記合剤の総質量に対し、質量%で、前記正極活物質が50~95%、前記導電助剤が4~40%、前記結着剤が1.5~2.5%含まれるとともに、粒径が75~500μm、安息角が35°以下であることを特徴とする。
【0010】
安息角が35°以下の正極合剤であるため、流動性に優れ、金型に投入した場合に金型内部の隅々まで投入しやすく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤を含むため、正極活物質や導電助剤と混錬して用いることで、これらを繊維状に包んで結着できる。
これにより、金型で成型し易く、目的の形状の正極を得ることができるとともに、活物質や導電助剤を、これらの特性を失うことなく結着することができ、電池を作製した場合に高い容量を得ることができる正極合剤を提供できる。
正極活物質:90~95%、導電助剤:3~8%、PTFEからなる結着剤:1.5~2.5%を含み、粒径:75~500μmの顆粒状の合剤であるならば、安息角が35°以下である合剤を得ることができる。
【0011】
(2)本発明の一形態に係る正極合剤は、前記遷移金属複合酸化物が、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、マンガン酸リチウム(Li4Mn5O12)のいずれかであることが好ましい。
【0012】
遷移金属複合酸化物が上述のリチウム系の遷移金属複合酸化物であるならば、高電圧で使用可能な電池に適応できる正極を提供できる。遷移金属複合酸化物がコバルト酸リチウムであるならば、高電圧で使用できるとともに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤が正極活物質と導電助剤との結合性を高めて安定的な反応に寄与する正極合剤を提供できる。
【0013】
(3)本発明の一形態に係る正極合剤は、前記導電助剤がグラファイト、カーボン、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのうち、1種または2種以上からなることが好ましい。
【0014】
(4)本発明の一形態に係る正極は、(1)~(3)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極合剤が含まれ、前記滑剤として、前記非水電解質二次電池用正極合剤に対する質量比で0.5~2.0% の疎水性シリカが添加され、ペレット形状の圧縮成型体からなることを特徴とする。
(5)本発明の一形態に係る非水電解質二次電池は、(4)に記載の非水電解質二次電池用正極を備えたことを特徴とする。
【0015】
正極合剤の総質量に対し質量比で0.5~2.0質量%の好適な量の疎水性シリカを含んでいるので、金型に対する充填性に優れるとともに、成型後の金型からの離型性に優れる。また、顆粒状の合剤の粒径が75~500μmの範囲であれば、ハンドリング性に優れ、取り扱いが容易であるとともに、金型に対する充填性に優れ、成型時に充分に圧密された成型体を得ることができる。
よって金型からの離型時に型崩れやクラック等を生じていない正極を効率良く得ることができ、正極生産時の歩留まりが向上する。
また、本構造の正極を備えた非水電解質二次電池を構成した場合、充分な放電容量と大きな電流供給が可能な電池を提供できる。
【0016】
(6)前記課題を解決するため、本発明の一形態に係るコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法は、それぞれ粉体状である、遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と、導電助剤と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤と、滑剤を、混合攪拌機に投入し、さらに水を加えて混合及び攪拌して顆粒状であり、粒径75~500μmの正極合剤を取り出す造粒工程と、前記正極合剤を金型に供給し、プレス加工によりペレット形状に圧縮成型する打錠工程と、を少なくとも備え、前記正極活物質と前記導電助剤と前記結着剤の投入量の比を、これらの合計質量に対し質量比でそれぞれ50~95%、4~40%、1.5~2.5%の範囲とし、前記水の投入量を、前記正極活物質と前記導電助剤と前記結着剤との合計質量に対し質量比で14~20%の範囲とすることにより、安息角35°以下の正極合剤を得ることを特徴とする。
【0017】
それぞれ粉体状の正極活物質と導電助剤とポリテトラフルオロエチレンからなる結着剤を混合攪拌機に投入し、質量比で10~30%の水を投入して混合攪拌機で混練することにより、75~500μmの好適な粒径のハンドリング性に優れた造粒物を含む混練物を得ることができる。この範囲の粒径の正極合剤であれば、金型に配管等を介し投入する場合、配管やフィーダーに詰まりなどを生じさせることなく円滑な充填ができる。
75~500μmの好適な粒径のハンドリング性に優れた安息角35°以下の造粒物を正極合剤としてプレス加工によりペレット状に圧縮成型することにより、金型に対し充填性に優れた状態で成型ができ、ひけや欠けなどを有していない形の整ったペレット状の正極を成型できる。また、上述の正極合剤は金型からの離型性にも優れているので、ペレット状の正極を金型から安全に取り出すことができ、割れや欠けの無い正極を得ることができる。
【0018】
(7)本発明の一形態においては、前記正極合剤に対する質量比で0.5~2.0%の疎水性シリカを前記滑剤として用いることを特徴とする。
【0019】
正極合剤に対する質量比で0.5~2.0%の疎水性シリカを添加することで、結着剤として用いたポリテトラフルオロエチレンの粘着性を緩和し、金型からの離型性向上に寄与する。
【0020】
(8)本発明の一形態においては、前記遷移金属複合酸化物として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、マンガン酸リチウム(Li4Mn5O12)のいずれかを用いることができる。
(9)本発明の一形態に係るコイン形非水電解質二次電池用正極の製造方法は、前記導電助剤として、グラファイト、カーボン、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのうち、1種または2種以上を用いることができる。
(10)本発明の一形態に係るコイン形非水電解質二次電池の製造方法は、(6)~(9)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた非水電解質二次電池用正極を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本形態によれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤を用いることで正極活物質と導電助剤を効果的な結合状態で結着することができる。このため、本構造の正極を備えた電池を構成した場合、充分な放電容量と大きな電流供給が可能となる。
粒径75~500μmの顆粒状の正極合剤であり、安息角が35°以下の正極合剤であるならば、流動性に優れ、金型に投入した場合に金型内部の隅々まで投入しやすく、金型で成型し易く、目的の形状の正極を得やすい正極合剤を提供できる。また、上述の正極合剤は、金型に対する離型性にも優れているので、金型から取り出す場合に割れや欠けを生じ難く、形の整ったペレット状の正極電極を効率良く製造可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である非水電解質二次電池を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態である非水電解質二次電池の例を挙げ、その構成について
図1を参照しながら詳述する。
以下の説明では、ボタン形またはコイン形の電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。なお、以下で説明する非水電解質二次電池とは、具体的には、正極または負極として用いる活物質と電解質とが容器内に収容されてなる非水電解質二次電池である。
また、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更し表示しているため、各部材の相対的な大きさが図面に示す形態に限らないのは勿論である。
【0024】
図1に示す本実施形態の非水電解質二次電池1は、いわゆるコイン(ボタン)型の電池である。この非水電解質二次電池1は、収納容器2内に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極10と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極20と、正極10と負極20との間に配置されたセパレーター30と、少なくとも支持塩及び有機溶媒を含む電解質(電解液)50とを備える。
より具体的に本実施形態の非水電解質二次電池1は、有底円筒状の正極缶12と、正極缶12の開口部12aにガスケット40を介在して固定され、正極缶12との間に収容空間を形成する有蓋円筒状(ハット状)の負極缶22とを有する。そして、正極缶12の開口部12aの周縁を内側、即ち、負極缶22側にかしめることで収容空間を密封する収納容器2が構成されている。
【0025】
本実施形態の非水電解質二次電池1は、正極10が、コバルト酸リチウム(LiCoO2)などのリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と、導電助剤と、バインダー(結着剤)を含み、負極20が、チタン酸リチウムなどからなる負極活物質と、グラファイトなどからなる導電助剤と、バインダー(結着剤)とを含んで構成される電池である。
なお、正極活物質とするリチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、マンガン酸リチウム(Li4Mn5O12)などであっても良い。また、負極活物質は、珪素(Si)、Si酸化物(SiO)、スピネル型チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、炭素(C)、リチウム-アルミニウム(Li-Al)合金などであっても良い。
以下に、非水電解質二次電池1の各部の詳細構造について説明する。
【0026】
収納容器2によって密封された収容空間には、正極缶12側に設けられる正極10と、負極缶22側に設けられる負極20とがセパレーター30を介し対向配置され、さらに、電解質(電解液)50が充填されている。
また、
図1に示すように、ガスケット40は、正極缶12の内周面に沿って狭入されるとともに、セパレーター30の外周と接続され、セパレーター30を保持している。
また、正極10、負極20及びセパレーター30には、収納容器2内に充填された電解質(電解液)50が含浸されている。
【0027】
図1に示す例の非水電解質二次電池1においては、正極10が、正極集電体14を介し正極缶12の内面に電気的に接続され、負極20が、負極集電体24を介し負極缶22の内面に電気的に接続されている。本実施形態においては、
図1に例示するような正極集電体14及び負極集電体24を備えた非水電解質二次電池1を例に挙げて説明しているが、これには限定されず、例えば、正極缶12が正極集電体を兼ねるとともに、負極缶22が負極集電体を兼ねた構成を採用しても構わない。
【0028】
本実施形態の非水電解質二次電池1は、前記のように概略構成されることにより、正極10と負極20の一方から他方へリチウムイオンが移動することで、電荷を蓄積(充電)するか電荷を放出(放電)できる電池である。
【0029】
(正極缶及び負極缶)
本実施形態において、収納容器2を構成する正極缶12は、上述したように、有底円筒状に構成され、平面視で円形の開口部12aを有する。このような正極缶12の材質としては、従来公知のものを何ら制限無く用いることができ、例えば、SUS316L、SUS304-BA、NAS64等のステンレス鋼を例示できる。
【0030】
また、負極缶22は、上述したように、有蓋円筒状(ハット状)に構成され、その先端部22aが、開口部12aから正極缶12に入り込むように構成される。このような負極缶22の材質としては、正極缶12の材質と同様、従来公知のステンレス鋼が挙げられ、例えば、SUS304-BA等を用いることができる。また、負極缶22には、例えば、ステンレス鋼に銅やニッケル等を圧接してなるクラッド材を用いることもできる。
【0031】
図1に示すように、正極缶12と負極缶22は、ガスケット40を介在させた状態で、正極缶12の開口部12aの周縁を負極缶22側にかしめ固定されている。このため、非水電解質二次電池1を、収容空間が形成された状態で密封保持する。このため、正極缶12の最大内径は、負極缶22の最大外径よりも大きい寸法とされている。
【0032】
なお、正極缶12、負極缶22に用いられる金属板材の板厚は、一般に0.1~0.3mm程度であり、例えば、正極缶12や負極缶22の全体における平均板厚で0.20mm程度として構成することができる。
【0033】
また、
図1に示す例においては、負極缶22の先端部22aが折り返し形状とされているが、これには限定されず、例えば、金属板材の端面が先端部22aとされた、折り返し形状を有しない形状においても、本発明を適用することが可能である。
【0034】
また、本実施形態で詳述する構成を適用することが可能な非水電解質二次電池としては、例えば、コイン型非水電解質二次電池の一般的なサイズである920サイズ(外径φ9.5mm×高さ2.0mm)や621サイズ(外形φ6.8mm×高さ2.1mm)の他、各種サイズの電池を挙げることができる。
【0035】
(ガスケット)
ガスケット40は、
図1に示すように、正極缶12の内周面に沿って円環状に形成され、その環状溝41の内部に負極缶22の先端部22aが配置されている。
また、例えば、ガスケット40の材質は、熱変形温度が230℃以上の樹脂であることが好ましい。ガスケット40に用いる樹脂材料の熱変形温度が230℃以上であれば、非水電解質二次電池1を高温環境下で使用又は保管した場合や、非水電解質二次電池1の使用中における発熱が生じた場合でも、ガスケットが著しく変形して電解質50が漏出するのを防止できる。
【0036】
このようなガスケット40の材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やエチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素樹脂等のプラスチック樹脂が挙げられる。これらの中でも、ガスケット40に、PP、PPS、PEEKのうちの何れかを用いることが、高温環境下における使用や保管時にガスケットが著しく変形するのを防止でき、非水電解質二次電池の封止性がさらに向上する観点から好ましい。
【0037】
また、ガスケット40には、上記材料にガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を、30質量%以下の添加量で添加したものも好適に用いることができる。このような材質を用いることで、高温によってガスケットが著しく変形し、電解液50が漏出するのを防止できる。
【0038】
また、ガスケット40の環状溝の内側面には、さらに、シール剤を塗布してもよい。このようなシール剤としては、アスファルト、エポキシ樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチルゴム系接着剤等を用いることができる。また、シール剤は、環状溝41の内部に塗布した後、乾燥させて用いる。
【0039】
なお、ガスケット40は、正極缶12と負極缶22との間に挟まれ、その少なくとも一部が圧縮された状態となるが、この際の圧縮率は特に限定されず、非水電解質二次電池1の内部を確実に封止でき、且つ、ガスケット40に破断が生じない範囲とすればよい。
【0040】
(電解質)
本実施形態の非水電解質二次電池1は、電解質(電解液)50として、少なくとも有機溶媒及び支持塩を含むものを用いる。そして、電解液50の場合、有機溶媒として、環状カーボネート溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)、環状カーボネート溶媒であるエチレンカーボネート(EC)、鎖状カーボネート溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)のいずれかまたは混合溶媒を用いることが好ましい。あるいは電解質として、イオン液体や固体電解質を用いても良い。
電解液の場合、通常、支持塩を、有機溶媒等の非水溶媒に溶解させたものからなり、電解液に求められる耐熱性や粘度等を勘案して、その特性が決定される。
【0041】
電解液50に用いられる支持塩としては、非水電解質二次電池において、電解液に支持塩として添加される公知のLi化合物を用いることができ、特に限定されない。例えば、支持塩としては、熱的安定性等を考慮し、六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムビスパーフルオロメチルスルホニルイミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(Li(CF3SO2)2N)等が挙げられる。これらの中でも、特に、Li(CF3SO2)2N、又は、LiPF6を支持塩として用いることが、電解液の耐熱性が高められ、高温時の容量の減少が抑制できる点から好ましい。
また、支持塩は、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
電解液50中の支持塩の含有量は、支持塩の種類等を勘案するとともに、後述の正極活物質の種類を勘案して決定でき、例えば、1~2mol/Lが好ましく、1.2~1.8mol/Lがより好ましく、概ね1.5mol/Lとすることが特に好ましい。
なお、電解液50中の支持塩濃度が高過ぎても、あるいは低過ぎても、電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすおそれがあることから、電解液50中の支持塩の含有量は、上記範囲に規制することが好ましい。
【0043】
(正極)
本実施形態の非水電解質二次電池1においては、正極10の一例として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)からなる正極活物質と、導電助剤とバインダー(結着剤)とを含む合剤と、滑剤からなるものを用いることができる。
【0044】
正極10に、コバルト酸リチウムからなる正極活物質を用いるとともに、後述する負極20を、負極活物質としてチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を含むものとすることで、動作電圧が2V以上と高く、また、高容量であるCTL電池を構成することができる。
なお、正極活物質は上述の組み合わせが望ましいが、先に記載した正極10の説明において列挙した他のリチウム遷移金属複合酸化物を用いても良い。
【0045】
正極活物質としてコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属複合酸化物を用いる場合、以下に説明するように造粒し、75~500μm程度の粒径の顆粒状の合剤として、滑剤を添加してからペレット状に成型することが好ましい。
また、本実施形態においてペレット状に成型する場合、75~500μm範囲の顆粒状の合剤に対し、後述するように250~500μm範囲の顆粒状の合剤として、滑剤を添加してから用いることがより好ましい。
顆粒状の合剤を作製する場合に用いるコバルト酸リチウムの粒子径(D50)は、特に限定されないが、例えば、2~20μmが好ましく、4~8μmがより好ましい。
なお、本発明における「正極活物質の粒子径(D50)」とは、レーザー回折法を用いて測定される粒子径であってメジアン径を意味する。
【0046】
正極10中の正極活物質の含有量は、非水電解質二次電池1に要求される放電容量等を勘案して決定され、例えば、50~95質量%の範囲が好ましい。正極活物質の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な放電容量が得られやすく、好ましい上限値以下であれば、正極10を成型しやすい。
【0047】
正極10は、導電助剤(以下、正極10に用いられる導電助剤を「正極導電助剤」ということがある)を含有する。
正極導電助剤としては、例えば、グラファイト、カーボン、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料が挙げられる。
正極導電助剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、正極10中の正極導電助剤の含有量は、4~40質量%が好ましく、7~20質量%がより好ましい。正極導電助剤の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な導電性が得られやすい。加えて、電極をペレット状に成型する場合に成型しやすくなる。一方、正極10中の正極導電助剤の含有量が、上記好ましい範囲の上限値以下であれば、正極10に充分な放電容量が得られやすい。
【0048】
正極10は、結着剤(以下、正極10に用いられる結着剤を「正極結着剤または正極バインダー」ということがある。)を含有する。
正極結着剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなることが好ましい。
正極結着剤にPTFEを用いることで、繊維状のPTFEにより、正極活物質と導電助剤を効果的に結合できる。
正極結着剤として、PTFEを用いることで、充分な放電容量が得られ、且つ、大きな電流を供給することが可能になる。上述のような効果がより顕著に得られる観点からは、正極結着剤としてPTFEを用いることが好ましい。
正極10中の正極結着剤の含有量は、例えば、1~20質量%とすることができる。
【0049】
滑剤としては、粒子同士の結着性を抑制するものを選択することができ、疎水性ヒュームドシリカなどの疎水性シリカの滑剤を用いることができる。疎水性ヒュームドシリカは表面をジメチルクロロシランなどの各種シランで処理した疎水性シリカの一種で、比表面積(BET)が90~130m2/gのものである。上述の滑剤を微量添加することで、顆粒状の合剤が金型内で多少すべることができる状態となり、成型後の離型性が向上する。
なお、本形態で用いる疎水性シリカは、疎水性ヒュームドシリカに限るものではなく、ヒュームドシリカ(火炎法シリカ)以外のアーク法により製造されるシリカ等としても良い。
【0050】
正極10における滑剤の含有量は、合剤の総質量に対し質量比で0.5~2.0質量%の範囲とすることができる。滑剤の含有量が0.5質量%未満であると、金型からの離型性が不足する。また、金型への充填性も悪化する。滑剤の含有量が2.0質量%を超えると、電極中の活物質の量が相対的に減ることになるから、電池とした場合に充分な特性(容量)が得られ難くなる。
【0051】
正極10の大きさは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定される。
また、正極10の厚さも、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1が、各種電子機器向けのコイン型のものであれば、例えば、厚さ300~1000μm程度に形成される。
正極集電体14としては、従来公知のものを用いることができ、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤等が挙げられる。
【0052】
「正極の製造方法」
ペレット状の正極の製造方法は、構成する各原料からなる所定粒径の顆粒状に正極合剤を作製する造粒工程と、この顆粒状の正極合剤をプレス成形してペレット形状に加工する打錠工程とを少なくとも含む。
(造粒工程)
造粒工程は、正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを混合攪拌機に投入して混合し攪拌する工程である。
本形態において適用する正極合剤は、上述した非水電解質二次電池の正極を構成する材料を用いることができる。一例として、正極活物質としてコバルト酸リチウムを、導電助剤としてグラファイトを、結着剤としてPTFEを、それぞれ用いることができる。
ここで、本形態においては、正極活物質、導電助剤、結着剤は、いずれも粉体状で用意する。一般に、電極を構成する材料を混合する場合に用いる結着剤は、混合時に粉体で供給する場合と、液体等に分散させた状態で供給する場合がある。
粉体で供給する場合には、取り扱いが容易である一方で、攪拌が不十分であると正極合剤中に充分分散されずに結着剤としての機能を充分発揮しないおそれがある。また、結着剤を液状に分散させて用いる場合は、攪拌により正極合剤中に充分分散されるが、顆粒状に造粒するための粘性の制御が難しい問題がある。本形態の場合、結着剤としてPTFEの粉体を用い、かつ、混合攪拌機を採用することで、正極合剤を所定粒径の顆粒状に容易に形成することができる。
【0053】
本形態において用いる混合攪拌機としては、充分な攪拌性に加えて、結着剤として用いるPTFEを微細に剪断し、粘性を制御することが求められる。
混合攪拌機として、複数のブレードが公転及び自転(遊星運動)することにより、攪拌のデッドスペースを少なくして強力な剪断力を正極合剤に与えることができる混合攪拌機を用いることが好ましい。
本形態においては、上述した粉体状の正極活物質、導電助剤、結着剤に加えて、さらに、水を混合攪拌機に投入して攪拌することで、これらの粉体を凝集させ、顆粒状の正極合剤を作製する。このときの水の投入量は、正極活物質、導電助剤、結着剤の総重量に対し、10~30%、より好ましくは、14~20%であれば、目的とする顆粒の粒径を良好な収率で取り出すことができる。
【0054】
造粒を実施するためには、スーパーミキサー、レディゲミキサー、スパルタンリューザー、プラネタリーミキサーなどの各種混合攪拌機を用いることができる。
本形態によれば、正極合剤を構成する、正極活物質(コバルト酸リチウム)、導電助剤(グラファイト)、結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)の量を上記の値とした上で、前記ミキサーを用いた混合造粒を行うことが好ましい。
これにより、それぞれの原料を粉体状として、水を加えて攪拌するという、取り扱いの容易な混合攪拌工程を用いて、所望の粒径の顆粒状の合剤とすることができる。
【0055】
混合攪拌する場合、複数のブレードを公転、自転させ、材料に強力なせん断力を与えて分散等の処理を行うことが好ましく、粘性の高いポリテトラフルオロエチレンの粉末を含む合剤をできる限り均一に分散させることが好ましい。このようにすることで、適切な投入水量の下で、所望の粒径の顆粒状の合剤を収率よく製造することが可能となる。
【0056】
混合攪拌条件の一例として、例えば、室温、大気雰囲気で材料を混合攪拌機に投入し、ブレードの公転速度:35rpm、自転速度:92rpmの条件とすることができるが、この条件に限定されない。また、溶媒としての水の投入前に、正極活物質、導電助剤、結着剤を投入して混合しておくことが好ましい。混合条件の一例としては、例えば、ブレードの公転速度:8rpm、自転速度:22rpmの条件とすることができるが、これに限定されない。混合攪拌する時間に特に制約はないが、例えば、10分~数10分程度混練することで造粒することができる。
そして、混合撹拌機で造粒した造粒物を乾燥させて水分を除去する。乾燥条件としては一般的な水分除去の条件を適用することができる。乾燥条件の一例として、オーブン等の乾燥装置を用いて大気中で120℃、12時間加熱する条件を採用できるが、この条件に限らない。
【0057】
乾燥後の造粒物を、さらに、篩を用いて分粒し、選別することにより、所望の粒径範囲の正極合剤を選別して取り出す。特に、75~500μmの粒径範囲、より好ましくは、250~500μmの粒径範囲の正極合剤であれば、後述する打錠工程において取り扱いが容易であり好ましい。
なお、造粒後、乾燥させた造粒物には、75μm未満の微細な粒子も含まれているので、これらの微細な粒子を除去する目的で乾燥後の造粒物を篩にかけて分粒し、75~500μmの粒径範囲の顆粒状合剤を得ることが好ましい。
【0058】
前記顆粒状の合剤の粒径が75μm未満であると、合剤を金型に供給する際に、配管中で微粉状となった合剤が詰まってしまい、供給出来なくなる問題がある。
前記顆粒状の合剤の粒径が500μmを超える粒径であると、金型に充填される合剤量にばらつきが生じ、正極の重量バラツキが大きくなる問題がある。
また、75~500μmの範囲の顆粒状の合剤を選別するとして、後述する製造方法において充分に高い収率を得るために、250~500μmの範囲の顆粒状の正極合剤として分粒することがより好ましい。
また、250~500μmの粒径の顆粒状の合剤を良好な収率で得るために、上述の如く混合物の総質量に対し10~30%の投入水量として造粒することが好ましい。また、250~500μmの粒径の顆粒状の合剤をより良好な収率で得るために、上述の如く投入水量を14~20%の範囲とすることがより好ましい。
【0059】
(打錠工程)
次いで、打錠工程について説明する。打錠工程は、上述した造粒工程により作製した所定粒径範囲の顆粒状の正極合剤を金型に充填してプレス成形することでペレット状の正極を作製する工程である。
金型は、一例として、超硬合金からなり、有底円筒状に形成された凹部を有し、正極合剤を充填させるダイと、先端が円筒状に形成されダイに充填された正極合剤を圧縮するパンチとから構成されている。そして、プレス装置は、この金型に加えて、正極合剤の充填機構と、作製したペレットの取り出し機構とを備えたフィーダーを有している。
【0060】
打錠工程においては、まず、プレス装置のフィーダーに収納された顆粒状の正極合剤を、金型のうち、ダイの凹部に充填する。そして、ダイの上部からパンチを押し当て、充分な圧力を加え、正極合剤を圧縮させ、扁平円板状あるいは偏平円筒状などのペレット状の正極を形成する。加圧成型時の圧力は、正極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば0.2~6ton/cm2とすることができる。
形成したペレット状の正極は、フィーダーで取出し部に移動させて取り出すことができる。
上述の造粒工程で得られた粒径250~500μmの顆粒状の合剤であるならば、良好な収率で得ることが可能であり、顆粒状の合剤として安息角を35°以下にできるため、金型に対する投入性に優れている。
【0061】
(滑剤の添加)
本形態においては、前述の打錠工程に先んじて、顆粒状の正極合剤に滑剤を添加することができる。結着剤にPTFEを用いた場合、正極合剤の顆粒の粘性が高く、顆粒同士が付着し易くなることから、正極合剤を金型へ充填しづらくなるおそれがある。また、正極合剤やプレス後のペレット状正極が、金型やプレス装置のフィーダーに付着しやすくなり、装置トラブルが発生し易くなるおそれもある。
本形態において、さらに、正極合剤に滑剤を加えることで、顆粒の表面の粘性を小さく調整し、正極合剤の金型への充填を容易にし、さらに金型等からの離型性を高めることができる。
【0062】
滑剤としては、表面に撥水性を有していれば、離型性の効果を得られることができる。
また、正極合剤の顆粒の表面に均一に分散し、離型性の効果を充分発揮するためには、粒径としてはナノオーダーのものを用いることが好ましい。
このような滑剤としては、例えば、ナノサイズ粒径の疎水性ヒュームドシリカなどの疎水性シリカを用いることができる。滑剤の量は多ければ離型性の効果を高めることができる一方で、多すぎると正極に用いる活物質の量を多くできずに電池の容量が小さくなる問題もある。
好ましい滑剤の添加量は、正極合剤の総重量に対し、質量%で0.5~5.0%とすることが好ましく、0.5~2.0重量%とすることがより好ましい。
【0063】
ナノサイズの微粒子である疎水性ヒュームドシリカを添加、混合させることで、顆粒表面にシリカを付着させることができる。このシリカが疎水性を有しているために、前述の添加量とすることで、顆粒表面の付着性を下げることができる。これにより、正極合剤の流動性を向上させ、金型への供給を容易にし、さらに、成型後のペレットの金型からの離型性を向上させてペレットの形状を保持することができる。
このため、離型時に正極10にクラックなどの欠陥部分を生じさせることなく安全に金型から取り出すことができ、ペレット状の正極10を製造する場合の歩留まりを向上できる。
【0064】
正極合剤に滑剤を添加し混合する場合には、種々の混合攪拌機を用いることができる。例えば、上述した混合攪拌時に用いた種々の混合撹拌機を用いることができる。正極合剤と滑剤とを混合攪拌機に投入し、充分に混合させることにより、正極合剤の表面の粘性を小さくすることができる。
混合攪拌条件の一例として、例えば、室温、大気雰囲気で材料を混合攪拌機に投入して、ブレードの公転速度:35rpm、自転速度:92rpmの条件とすることができるが、これは一例であり、この条件に限定されない。
【0065】
以上により、ハンドリング性に優れた正極合剤であって、PTFEを混合した正極合剤を用いて、正極ペレットを効率よく製造することができる。
【0066】
(負極)
本実施形態の非水電解質二次電池1においては、負極20の一例として、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)からなる負極活物質と、グラファイトからなる導電助剤と、結着剤とを含むものを用いる。
【0067】
負極20に、チタン酸リチウムからなる負極活物質を用いるとともに、正極10として、コバルト酸リチウムからなる正極活物質を含むものを用いることで、動作電圧が2V以上と高く、また、高容量であるCTL電池を構成することができる。なお、負極活物質は上述の組み合わせが望ましいが、先に記載した負極20の説明において列挙した他の物質を用いても良い。
【0068】
負極活物質としてチタン酸リチウムを用いる場合、その粒子径(D50)は、特に限定されず、例えば、3~7μmが好ましく、4~6μmがより好ましい。
負極活物質の粒子径(D50)が、上記好ましい範囲の下限値未満であると、非水電解質二次電池が高温に曝された際に反応性が高まるために扱いにくくなり、また、上限値を超えると、放電レートが低下するおそれがある。
【0069】
負極20中の負極活物質の含有量は、非水電解質二次電池1に要求される放電容量等を勘案して決定され、50質量%以上が好ましく、60~80質量%がより好ましい。
負極20において、上記材料からなる負極活物質の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な放電容量が得られやすく、また、上限値以下であれば、負極20を成型しやすい。
【0070】
負極20は、導電助剤(以下、負極20に用いられる導電助剤を「負極導電助剤」ということがある)として、グラファイトを、負極20の全質量に対して7質量%以上10質量%未満で含む。本実施形態の非水電解質二次電池1は、正極10における正極活物質としてコバルト酸リチウムを、負極20における負極活物質としてチタン酸リチウムをそれぞれ用い、さらに、負極中に含まれるグラファイト(導電助剤)の含有量を上記範囲に制限することで、非水電解質二次電池1としての充分な容量を確保しつつ、負極中における電流の流れが良好になる。これにより、小型サイズであっても、充分な放電容量が得られ、且つ、大電流を供給することが可能になる。
【0071】
なお、負極20中におけるグラファイト(導電助剤)の含有量が7質量%未満であると、導電性が低下し、放電電流特性も低下する。
一方、負極20中におけるグラファイト(導電助剤)の含有量が10質量%以上であると、負極20中における負極活物質の含有量が相対的に減少するため、放電容量が低下する。
また、上記の作用がより顕著に得られる観点から、負極10中における、グラファイトからなる導電助剤の含有量は、負極20の全質量に対して8~9質量%の範囲であることがより好ましい。
【0072】
負極20は、結着剤(以下、負極20に用いられる結着剤を「負極結着剤または負極バインダー」ということがある)を含有する。
負極結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、ポリイミド(PI)、ポリイミドアミド(PAI)等が挙げられ、中でも、PA等のアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
【0073】
また、負極結着剤は、1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、負極結着剤にPAを用いる場合には、このPAを、予め、pH3~10に調整しておくことが好ましい。この場合のpHの調整には、例えば、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
負極20中の負極結着剤の含有量は、例えば1~20質量%とされる。
【0074】
なお、負極20の大きさ、厚さについては、正極10の大きさ、厚さと同様である。
すなわち、負極20の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1が、各種電子機器向けのコイン型のものであれば、例えば、厚さ300~1000μm程度に形成される。
【0075】
負極20を製造する方法としては、例えば、負極活物質として上記材料を用い、必要に応じ負極導電助剤、及び/又は、負極結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を任意の形状に加圧成型する方法を採用することができる。
この場合の加圧成型時の圧力は、負極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば0.2~5ton/cm2とすることができる。
【0076】
また、負極集電体24は、正極集電体14と同様の材料を用いて構成することができる。例えば、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤等を例示できる。
【0077】
(セパレーター)
セパレーター30は、正極10と負極20との間に介在され、大きなイオン透過度を有するとともに耐熱性に優れ、かつ、所定の機械的強度を有する絶縁膜が用いられる。
セパレーター30としては、従来から非水電解質二次電池のセパレーターに用いられ、上記特性を満たす材質からなるものを何ら制限無く適用でき、例えば、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラス等のガラス、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、アラミド、セルロース、フッ素樹脂、セラミックス等の樹脂からなる不織布や繊維等が挙げられる。セパレーター30としては、上記の中でも、ポリプロピレン(PP)樹脂のような多孔性高分子材料からなるものが、充分な機械強度を確保しながら、大きなイオン透過度を有するセパレーターが得られ、非水電解質二次電池の内部抵抗が低減されて放電容量がさらに向上することから、特に好ましい。
セパレーター30の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさや、セパレーター30の材質等を勘案して決定され、例えば、5~300μm程度とすることができる。
【0078】
「非水電解質二次電池の製造方法」
本形態における非水電解質二次電池の製造方法は、正極及び負極を作製する電極作製工程と、正極及び負極を用いて正極ユニット及び負極ユニットを作製する前組工程と、正極ユニットと負極ユニットを用いて電池を組み立てる組立工程と、を主要な工程とするものである。
電極作製工程のうち、正極を作製する工程は、前述した正極ペレットの製造方法のところで詳細に説明した。また、負極を作製する工程は、負極活物質として上述したスピネル型チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)やSiO等の粉体材料からペレットを形成する場合と、負極缶の表面にアルミニウム等の金属を形成しリチウムと合金化させる場合とでそれぞれ異なる。
【0079】
本形態において用いる非水電解質二次電池の負極は、既知の種々の負極を採用することができる。
例えば、負極活物質と、導電助剤と、結着剤とを主要な構成材料とした混合物からなる負極合剤をプレス成形してなる負極ペレットを負極とすることができる。また、負極缶の表面に形成されたアルミニウムやアルミニウム合金等の金属とリチウムとが合金化してなる負極とすることもできる。
負極として負極ペレットを用いる場合には、負極活物質として、例えば、スピネル型チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)や、SiO等を用いることができる。このとき、導電助剤として、例えば、グラファイト等の炭素材料を用いることができる。また、結着剤としては、ブチルゴムや、フッ素化合物、またポリアクリル酸等、種々の高分子化合物を用いることができる。この場合における負極を作製する工程は、後述する正極ペレットの製造方法と同様に、負極活物質と、導電助剤と、結着剤とを混合、造粒して圧縮成形することにより負極ペレットを作製する工程とすることができる。
【0080】
前組工程は、上述したような方法で作製した正極ペレット及び負極ペレットを、それぞれ、正極缶及び負極缶に固定することで、正極ユニット及び負極ユニットを作製するものである。
固定方法としては、例えば、炭素材料をフェノール樹脂等の樹脂に分散させてなるペースト状の導電性接着剤を正極缶及び負極缶の内側底面に塗布した後、正極ペレットと負極ペレットを、それぞれ、正極缶及び負極缶の内側底面に貼り付けて乾燥することができる。また、負極活物質としてSiOを用いる場合は、負極ペレットの表面に金属リチウムを貼り付ける。さらに、ガスケット及びセパレーターを、正極ユニット若しくは負極ユニットのいずれかに取り付ける。
組立工程は、前組工程において作製した正極ユニット及び負極ユニットのそれぞれに電解液を注入した後、正極ユニットと負極ユニットを重ね合わせ、封口機を用いて正極缶の開口部を負極缶にかしめることで、電池を封止することにより行われる。
以上説明したように、上述の各工程を適用することにより、目的とするコイン形非水電解質二次電池を作製することができる。
【0081】
[非水電解質二次電池の用途]
本実施形態の非水電解質二次電池1は、上述したように、小型サイズであっても、充分な放電容量が得られ、且つ、大電流を供給することが可能なものなので、例えば、アラーム等の各種機能を備えたデジタルウォッチあるいはアナログウォッチや、各種小型電子機器等の電源用途において好適に用いられる。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施形態である正極10を用いて構成した非水電解質二次電池1によれば、正極10における正極活物質としてコバルト酸リチウムを、負極20における負極活物質としてチタン酸リチウムをそれぞれ用いているので、非水電解質二次電池としての充分な容量を確保しつつ、小型サイズであっても、充分な放電容量が得られ、且つ、大電流を供給することが可能になる。
さらに、上述の構造では、正極10を構成する顆粒状の合剤に対し0.5~2.0%の好適な範囲の滑剤を含有させて成型するので、金型に合剤を円滑に投入できるとともに、成型後に成型物を取り出す場合の離型性に優れる。このため離型時にクラックなどの生じていない良品としての正極10を確実に得ることができる。
このため、0.5~2.0%の好適な範囲の滑剤を含有させることでペレット状の正極10を製造する場合の歩留まり向上に寄与する。
【実施例】
【0083】
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではない。本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
【0084】
正極合剤として、質量比でコバルト酸リチウム(LiCoO2)90%、グラファイト粉末(日本黒鉛製SP-270)8.0%、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)2.0%を混合し、これらの混合物の総重量の20%の水を加えて混合攪拌機により20分間混合攪拌した。
この混合攪拌処理により得られた混合物を加熱乾燥し、粒径75μm未満の微細粒子と、75~500μmの造粒体の混合粒子を得ることができた。
この混合粒子の中から篩い分け(東京スクリーン社製、試験用篩)により粒径250~500μmの顆粒状の造粒体からなる正極合剤を選別して取り出した。以上説明のように造粒工程により、粒径250~500μmの顆粒状の合剤(実施例1)を得ることができた。
以下の表1に得られた顆粒状の合剤(実施例1)の粒径分布と投入水量、収率(%)と安息角(°)の測定結果を示す。安息角は、JISR9301-2-2:1999に定めされている方法により測定した。
【0085】
(造粒評価、安息角の測定)
次に、実施例1の合剤を製造する方法に対し、混合攪拌機に対する投入水量のみを変更して実施例2~実施例4、比較例5の顆粒状合剤を得た。それら合剤の粒径分布と投入水量、収率(%)と安息角(°)の測定結果を合わせて表1に示す。
【0086】
【0087】
表1に示す結果が示すように、造粒時の投入水量を正極活物質と導電助剤と結着剤の総質量に対し質量比で10~30%の範囲とすることで安息角30~40°の造粒物を得られることがわかった。
また、投入水量14~20%の範囲がより好ましく、投入水量14~20% とすることで安息角30°前後の造粒物を得ることができた。
なお、収率の面から見て、75μm未満の造粒物が多い場合は収率が悪いと判断できる。このため、79.5%が75μm未満の造粒物となってしまう比較例5では、粒径250~500μmの造粒物の収率が悪いと判断できる。また、実施例2についても、粒径250~500μmの造粒物の収率が6.9%であり、顆粒状の造粒物の収率の面から見ると悪いと判断できる。なお、投入水量が増加すると造粒物がペースト(スラリー)状となる傾向がある。
以上の結果から、粒径250~500μmの造粒物の収率を重視すると、造粒工程における投入水量は14%以上、20%以下の範囲が望ましいことがわかる。
【0088】
なお、表1には表示していないが、10%を下回る投入水量で混合攪拌した場合、微粉が結着しないことにより、顆粒状の造粒物が得られず、30%を上回る投入水量では全体がスラリー状となって、水分量が少ない場合と同じように顆粒状の造粒物が得られない状態となった。
【0089】
(ペレット作製(打錠)評価)
次に、上述の実施例により得られた正極合剤の顆粒を用いて、所望の形状のペレットが得られるかどうか評価した。
実施例1により得られた粒径が250~500μmの顆粒に、さらに、滑剤として疎水性ヒュームドシリカ(疎水性ヒュームドシリカ;日本アエロジル(株)製R972)を顆粒の総重量に対し0.5質量%添加した合剤(実施例7)と、1.0質量%添加した合剤(実施例8)と、2.0質量%添加した合剤(実施例9)と、滑剤を添加しなかった合剤(比較例6)を用いて、以下に説明する評価を行った。
ここで、滑剤の添加は、上述の実施例1の顆粒状の正極合剤を400g、疎水性ヒュームドシリカを実施例7、実施例8、実施例9で2g、4g、8gそれぞれ投入し、20分混合したものである。
【0090】
(給粉評価)
これらの正極合剤を別々に秤量して個々に金型に投入し、6t/cm2の圧力で加圧成型し、円板状ペレット状正極(φ6.3×t0.7mm)を製造した。各正極合剤を用いた場合の金型への充填性(給粉評価)、プレス成型後の金型に対する合剤の付着の有無、成型品の欠けの有無について調べた。
これらに対し、滑剤を添加しなかった合剤(実施例1)を比較例6の合剤と見立てて金型への充填性(給粉評価)、プレス成型後の金型に対する合剤の付着の有無、成型品の欠けの有無について調べた。以上の結果を以下の表2に纏めて示す。
【0091】
【0092】
表2において給粉の評価項目は成型時に金型内部の隅々まで造粒物を供給出来たか否かを示す。
【0093】
(成型評価)
表2において成型性の評価項目は、取り出したペレット状の正極に欠けが生じていたか否かを示す。×はペレット状の正極に欠けを生じていることを意味する。
【0094】
表2に示す結果が示すように、粒径250~500μmの正極合剤に疎水性シリカを0.5~2.0質量%含有させて打錠したペレット状の正極を成型した場合、離型性の面からみて滑剤を添加することが有利であることがわかる。その場合、滑剤の添加量は疎水性シリカを用いて正極合剤に対し質量%で0.5~2.0%含有させることが好ましい。
なお、比較例6(実施例1)は給粉の面では合格品である。
【符号の説明】
【0095】
1…非水電解質二次電池、2…収容容器、10…正極、12…正極缶、14…正極集電体、20…負極、22…負極缶、24…負極集電体、30…セパレーター、40…ガスケット、50…電解質(電解液)。