(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】超音波センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 29/12 20060101AFI20221206BHJP
G01N 29/07 20060101ALI20221206BHJP
G01B 17/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N29/12
G01N29/07
G01B17/02 B
(21)【出願番号】P 2019090707
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】古市 肇
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-083225(JP,A)
【文献】特開2017-096857(JP,A)
【文献】特開2018-205225(JP,A)
【文献】特開2006-292440(JP,A)
【文献】特開2008-261806(JP,A)
【文献】実開昭58-086524(JP,U)
【文献】特開昭51-144287(JP,A)
【文献】特開昭62-156558(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102980942(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - A61B 8/15
G01B 17/00 - G01B 17/08
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の表面に固定されて互いに離間された複数の超音波センサと
、
前記被検体の表面に固定されて互いに重ねられ、前記複数の超音波センサに1対1の関係で接続された複数のセンサコイルと、
電磁誘導によって前記
複数のセンサコイルとの間で信号の送信及び受信が可能な送信コイル及び受信コイルを有するセンサプローブと、
前記送信コイル及び前記センサコイルを介し前記超音波センサへパルス信号を出力して超音波を発生させ、前記被検体で反射された超音波が前記超音波センサで受信されて変換された波形信号を前記センサコイル及び前記受信コイルを介し入力する制御装置とを備えた超音波センサシステムにおいて、
前記複数の超音波センサは、共振周波数が異なり、
前記制御装置は、前記複数の超音波センサの共振周波数に切り換わるように前記パルス信号の周波数を可変制御し、前記パルス信号に対応する前記波形信号が前記複数の超音波センサのうちのいずれのものであるかを識別
しており、
前記複数のセンサコイルは、対応する前記超音波センサの共振周波数をパラメータとしたインピーダンスが同じとなるように、巻き数が異なることを特徴とする超音波センサシステム。
【請求項2】
請求項
1に記載の超音波センサシステムにおいて、
前記センサプローブは、複数であって、前記制御装置に対し選択的に接続されるように構成され、且つ、前記送信コイル及び前記受信コイルの巻き数が異なっており、
前記複数のセンサコイルは、対応する前記超音波センサの共振周波数並びに対応する前記センサプローブの前記送信コイル及び前記受信コイルの巻き数をパラメータとしたインピーダンスが同じとなるように、巻き数が異なることを特徴とする超音波センサシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波センサシステムにおいて、
前記制御装置は、前記波形信号又はこれに基づいて演算した前記被検体の厚さを、対応する前記超音波センサの位置情報又は識別情報と共に、表示器に表示させることを特徴とする超音波センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の厚さを計測する超音波センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば使用中の被検体の厚さを計測するために、被検体の表面に超音波センサを固定したいものの、何らかの理由により、超音波センサと制御装置の間のケーブルの接続が困難な場合がある。特許文献1は、このような課題を解決するための超音波センサシステムを開示している。
【0003】
特許文献1の超音波センサシステムは、被検体の表面に固定された超音波センサ(超音波変換器)と、被検体の表面に固定され、ケーブルを介し超音波センサに接続されたセンサコイル(変換器コイル)と、電磁誘導によってセンサコイルとの間で信号の送信及び受信が可能な送信コイル及び受信コイルを有するセンサプローブと、ケーブルを介しセンサプローブに接続された制御装置とを備えている。このシステムでは、センサコイルとセンサプローブの間のケーブルを不要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-524908号公報
【文献】特開2017-096857号公報(
図10、
図11等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、国内の原子力プラントにおける配管肉厚検査方法は、日本機械学会が定める発電用設備規格に準拠することが求められている。本設備規格では、配管の周方向及び軸方向に100mm以下の間隔で格子状に複数の計測点を設け、各計測点で超音波による肉厚の計測を行うことが規定されている。配管の肉厚を計測するため、特許文献1に記載の技術を採用した場合を想定すれば、次のような課題が生じる。
【0006】
特許文献1の各センサコイルは、円形状をなし、各超音波センサを取り囲むように配置される。そのため、複数のセンサコイルは、複数の超音波センサと共に、配管の周方向及び軸方向に100mm以下の間隔で格子状に設ける必要がある。そして、センサコイルと送信コイル又は受信コイルの間で電磁誘導を発生させるため、センサコイルの真上に送信コイル又は受信コイルを配置する必要がある。すなわち、センサプローブを配管の周方向及び軸方向に移動させ、センサコイルに対して位置合わせを行う必要がある。そのため、作業時間が増大する。
【0007】
一方、特許文献2の超音波センサシステムでは、例えば配管の周方向に離間された複数の超音波センサに対し、1つのセンサコイルを接続している。これにより、センサプローブを配管の周方向に移動させる必要がなくなり、作業時間の短縮を図ることができる。しかし、特許文献2の超音波センサシステムでは、複数の超音波センサの範囲における配管の厚みの減少量(最大値)を計測するものの、複数の超音波センサのそれぞれの位置における配管の厚みを計測することができない。
【0008】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業時間の短縮を図りつつ、複数の超音波センサのそれぞれの位置における被検体の厚みを計測することができる超音波センサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体の表面に固定されて互いに離間された複数の超音波センサと、前記被検体の表面に固定されて互いに重ねられ、前記複数の超音波センサに1対1の関係で接続された複数のセンサコイルと、電磁誘導によって前記複数のセンサコイルとの間で信号の送信及び受信が可能な送信コイル及び受信コイルを有するセンサプローブと、前記送信コイル及び前記センサコイルを介し前記超音波センサへパルス信号を出力して超音波を発生させ、前記被検体で反射された超音波が前記超音波センサで受信されて変換された波形信号を前記センサコイル及び前記受信コイルを介し入力する制御装置とを備えた超音波センサシステムにおいて、前記複数の超音波センサは、共振周波数が異なり、前記制御装置は、前記複数の超音波センサの共振周波数に切り換わるように前記パルス信号の周波数を可変制御し、前記パルス信号に対応する前記波形信号が前記複数の超音波センサのうちのいずれのものであるかを識別しており、前記複数のセンサコイルは、対応する前記超音波センサの共振周波数をパラメータとしたインピーダンスが同じとなるように、巻き数が異なる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業時間の短縮を図りつつ、複数の超音波センサのそれぞれの位置における被検体の厚みを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における超音波センサ、センサコイル、送信コイル、及び受信コイルの配置を表す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における複数の超音波センサの特性を表す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態における超音波センサ、センサコイル、送信コイル、及び受信コイルの配置を表す図である。
【
図6】本発明の一変形例における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
図2は、本実施形態における超音波センサ、センサコイル、送信コイル、及び受信コイルの配置を表す図である。なお、
図1においては、便宜上、超音波センサ1A~1C,1Gを図示し、超音波センサ1D~1Fを図示していない。
【0014】
本実施形態の被検体である配管20は、例えば炭素鋼製もしくはステンレス鋼製であって、プラントの運転中に液体もしくは気体が流れて高温となる。そのため、例えばケイ酸カルシウム製、ロックウール製、グラスウール製、無定形水練製、もしくは硬質ウレタンフォーム製の保温材21で覆われている。
【0015】
本実施形態の超音波センサシステムは、配管20の表面(外面)に固定された複数(本実施形態では7つ)の超音波センサ1A~1G及び1つのセンサコイル2と、保温材21の表面(外面)に配置され(言い換えれば、超音波センサ1A~1G及びセンサコイル2に対して配管20の径方向外側に配置され)、送信コイル3及び受信コイル4を有するセンサプローブ5と、ケーブルを介しセンサプローブ5に接続された制御装置6と、制御装置6に接続された表示器7(ディスプレイ)とを備えている。
【0016】
超音波センサ1A~1Gは、配管20における複数の計測点にそれぞれ対応し、例えば配管20の周方向に互いに離間されて配置されている。各超音波センサは、例えば圧電素子で構成されており、チタン酸ジルコン酸鉛などの圧電セラミックス製である。センサコイル2は、例えば配管20の検査領域外(言い換えれば、配管20の軸方向にて超音波センサ1A~1Gとは異なる位置)に配置され、ケーブルを介し超音波センサ1A~1Gに接続されている。なお、
図2で示すように、超音波センサ1A~1Gとセンサコイル2の組み合わせを、複数設けてもよい。
【0017】
センサプローブ5は、検査員又は移動装置(図示せず)によって配管20の軸方向(
図2の左右方向)に移動可能とし、センサコイル2に対向するようになっている。センサプローブ5の送信コイル3及び受信コイル4は、対向したセンサコイル2との間で電磁誘導によって信号の送信及び受信を可能としている。なお、センサコイル2と配管20の間には電磁波遮断シート8が設けられており、センサコイル2と配管20の間の電磁誘導を防ぐようになっている。
【0018】
制御装置6は、信号発生器(パルサ)11、変調器12、信号受信器(レシーバ)13、及び信号処理器14を有している。変調器12は、センサプローブ5の送信コイル3に接続され、信号受信器13は、センサプローブ5の受信コイル4に接続されている。信号処理器14は、プログラムに従って処理を実行するプロセッサ等で構成されている。なお、制御装置6は、メモリ等を更に有し、超音波センサ1A~1Gの位置情報を予め記憶すると共に、後述の波形信号を記憶するようになっている。
【0019】
制御装置6の変調器12は、信号発生器11で発生されたパルス信号の周波数を可変制御すると共に(詳細は後述)、その制御情報を信号処理器14へ出力する。センサプローブ5の送信コイル3は、変調器12からのパルス信号(電気信号)を磁束に変換し、センサコイル2は、前述した磁束をパルス信号に変換し、ケーブルを介し超音波センサ1A~1Gへパルス信号を出力する。
【0020】
超音波センサ1A~1Gは、センサコイル2からのパルス信号によって振動して、超音波を発生する。ここで、超音波センサ1A~1Gは、共振周波数が異なっている。制御装置6の変調器12は、超音波センサ1A~1Gの共振周波数に順次又はランダムに切り換わるように、パルス信号の周波数を可変制御する。これにより、超音波センサ1A~1Gが順次又はランダムに超音波を発生させるようになっている。
【0021】
具体的に説明すると、超音波センサ1Aの共振周波数Fa、超音波センサ1Bの共振周波数Fb、超音波センサ1Cの共振周波数Fc、超音波センサ1Dの共振周波数Fd、超音波センサ1Eの共振周波数Fe、超音波センサ1Fの共振周波数Ff、及び超音波センサ1Gの共振周波数Fgが異なっている。そして、
図3で示すように、パルス信号の周波数が共振周波数Faである場合に、超音波センサ1Aで発生させる超音波の強度が高くなる。また、
図3で示すように、パルス信号の周波数が共振周波数Fbである場合に、超音波センサ1Bで発生させる超音波の強度が高くなる。また、
図3で示すように、パルス信号の周波数が共振周波数Fcである場合に、超音波センサ1Cで発生させる超音波の強度が高くなる。また、図示しないものの、パルス信号の周波数が共振周波数Fdである場合に、超音波センサ1Dで発生させる超音波の強度が高くなる。また、図示しないものの、パルス信号の周波数が共振周波数Feである場合に、超音波センサ1Eで発生させる超音波の強度が高くなる。また、
図3で示すように、パルス信号の周波数が共振周波数Fgである場合に、超音波センサ1Gで発生させる超音波の強度が高くなる。制御装置6の変調器12は、共振周波数Fa~Fgに順次又はランダムに切り換わるようにパルス信号の周波数を可変制御する。これにより、超音波センサ1A~1Gが順次又はランダムに超音波を発生させるようになっている。
【0022】
各超音波センサは、配管20の内面に向けて超音波を送信し、配管20の内面で反射した超音波を受信し、受信した超音波を波形信号(電気信号)に変換し、ケーブルを介しセンサコイル2へ波形信号を出力する。センサコイル2は、超音波センサからの波形信号を磁束に変換し、センサプローブ5の受信コイル4は、前述した磁束を波形信号に変換して制御装置6の信号受信器13へ出力する。
【0023】
制御装置6の信号処理器14は、信号受信器13を介して得られた波形信号に対し、所定の処理を実行する。詳細には、変調器12からの制御情報(すなわち、パルス信号の周波数)に基づいて、パルス信号に対応する波形信号が超音波センサ1A~1Gのうちのいずれのものであるかを識別する。そして、各超音波センサの波形信号に基づき、各超音波センサの位置における配管20の厚さを演算し、演算した配管20の厚さを、対応する超音波センサの位置情報又は識別情報と共に、表示器7に表示させる。配管20の厚さの演算方法としては、まず、例えばパルス信号の出力タイミングを起点とし、波形信号の振幅が最大となるタイミングを終点として、超音波の伝播時間を演算する。そして、超音波の伝播時間と音速から配管20の厚さを演算する。
【0024】
以上のように本実施形態では、配管20の周方向に離間された複数の超音波センサ1A~1Gに対し、1つのセンサコイル2を接続している。そのため、センサプローブ5を配管20の周方向に移動させる必要がない。したがって、センサプローブ5の移動や位置合わせ等の作業負荷を軽減すると共に、作業時間を短縮することができる。
【0025】
また、本実施形態では、制御装置6は、パルス信号の周波数を可変制御することにより、超音波を発生させる超音波センサを切り換えると共に、得られた波形信号が複数の超音波センサ1A~1Gのうちのいずれのものであるかを識別する。これにより、複数の超音波センサ1A~1Gのそれぞれの位置における配管20の厚みを計測することができる。
【0026】
また、本実施形態では、センサコイル2は、配管の20検査領域外に配置されている。そのため、配管20の検査領域内(言い換えれば、隣り合う超音波センサの間)に配置される場合とは異なり、センサコイル2は、サイズの制約を受けない。これにより、保温材21が介在するためにセンサコイル2と送信コイル3又は受信コイル4が大きく離れても、センサコイル2の外径を大きくして、センサコイル2と送信コイル3又は受信コイル4の間の電磁誘導を確保することができる。したがって、保温材21の着脱なしに、配管20の厚みを計測することができる。
【0027】
なお、第1の実施形態において、制御装置6は、各超音波センサの波形信号に基づき、各超音波センサの位置における配管20の厚さを演算し、演算した配管20の厚さを表示器7に表示させる場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、制御装置6は、各超音波センサの波形信号を、対応する超音波センサの位置情報又は識別情報と共に、表示器7に表示させてもよい。そして、検査員は、表示器7で表示された各超音波センサの波形信号に基づき、各超音波センサの位置における配管20の厚さを演算してもよい。
【0028】
また、第1の実施形態において、1つのセンサコイル2に接続された超音波センサの数は7つである場合を例にとって説明したが、これに限られず、2つ以上6つ以下であってもよいし、若しくは8つ以上であってもよい。また、第1の実施形態において、1つのセンサコイル2に接続された複数の超音波センサは、配管20の周方向に互いに離間されて配置された場合を例にとって説明したが、これに限られず、配管20の軸方向に互いに離間されて配置されてもよいし、配管20の周方向及び軸方向に互いに離間されて配置されてもよい。
【0029】
本発明の第2の実施形態を、
図4及び
図5を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0030】
図4は、本実施形態における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
図5は、本実施形態における超音波センサ、センサコイル、送信コイル、及び受信コイルの配置を表す図である。なお、
図4においては、便宜上、超音波センサ1A~1C,1Gとセンサコイル2A~2C,2Gを図示し、超音波センサ1D~1Fとセンサコイル2D~2Fを図示していない。
【0031】
本実施形態の超音波センサシステムは、第1の実施形態のセンサコイル2に代えて、複数のセンサコイル2A~2Gを備えている。センサコイル2A~2Gは、互いに重ねて配置されると共に、ケーブルを介し超音波センサ1A~1Gに1対1の関係で接続されている。このように本実施形態では、センサコイルが複数であるものの、1箇所に集約されて配置されているため、第1の実施形態と同様、センサプローブ5の移動や位置合わせ等の作業負荷を軽減すると共に、作業時間を短縮することができる。したがって、作業時間を短縮しつつ、各超音波センサの位置における配管20の厚みを計測することができる。
【0032】
また、本実施形態のセンサコイル2A~2Gは、対応する超音波センサの共振周波数をパラメータとしたインピーダンスが同じとなるように、巻き数が異なっている。仮に、センサコイル2A~2Gの巻き数が同じであれば、パルス信号の周波数に応じてセンサコイルのインピーダンスが変わり、パルス信号の強度や波形信号の強度が変わる。本実施形態では、前述した特徴により、超音波センサ1A~1Gの波形信号の強度のバラツキを抑えることができる。したがって、配管20の厚さの計測精度のバラツキを抑えることができる。
【0033】
なお、第2の実施形態において、互いに重ねられたセンサコイルの数は7つである場合を例にとって説明したが、これに限られず、2つ以上6つ以下であってもよいし、若しくは8つ以上であってもよい。また、第2の実施形態において、互いに重ねられた複数のセンサコイル2A~2Gに1対1の関係で接続された複数の超音波センサ1A~1Gは、配管20の周方向に互いに離間されて配置された場合を例にとって説明したが、これに限られず、配管20の軸方向に互いに離間されて配置されてもよいし、配管20の周方向及び軸方向に互いに離間されて配置されてもよい。
【0034】
また、第2の実施形態において、センサプローブは、1つである場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、センサプローブは、複数であってもよい。このような変形例を、
図6を用いて説明する。なお、本変形例において、第1及び第2の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0035】
図6は、本変形例における超音波センサシステムの構成を表すブロック図である。
【0036】
本変形例の超音波センサシステムは、第2の実施形態のセンサプローブ5に代えて、複数(本実施形態では2つ)のセンサプローブ5A,5Bを備えている。センサプローブ5Aの送信コイル3Aの巻き数とセンサプローブ5Bの送信コイル3Bの巻き数が異なり、センサプローブ5Aの受信コイル4Aの巻き数とセンサプローブ5Bの受信コイル4Bの巻き数が異なっている。
【0037】
センサプローブ5A,5Bは、例えばケーブルに着脱可能であって、制御装置6に対し選択的に接続されるように構成されている。そして、センサプローブ5Aが制御装置6に接続された場合、制御装置6は、例えば超音波センサ1A~1Dの共振周波数に順次又はランダムに切り換わるようにパルス信号の周波数を可変制御する。また、センサプローブ5Bが制御装置6に接続された場合、制御装置6は、例えば超音波センサ1E~1Gの共振周波数に順次又はランダムに切り換わるようにパルス信号の周波数を可変制御する。
【0038】
本実施形態のセンサコイル2A~2Gは、対応する超音波センサの共振周波数並びに対応するセンサプローブの送信コイル及び受信コイルの巻き数をパラメータとしたインピーダンスが同じとなるように、巻き数を異ならせている。これにより、第2の実施形態と同様、超音波センサ1A~1Gの波形信号の強度のバラツキを抑えることができる。したがって、配管20の厚さの計測精度のバラツキを抑えることができる。
【0039】
なお、以上において、配管20は、保温材21で覆われている場合を例にとって説明したが、これに限られず、保温材21で覆われていなくてもよい。また、被検体は、配管20である場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば容器や平板であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1A~1G 超音波センサ
2,2A~2G センサコイル
3,3A,3B 送信コイル
4,4A,4A 受信コイル
5,5A,5B センサプローブ
6 制御装置
7 表示器
20 配管(被検体)