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  • 特許-保持板および基板の研磨方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】保持板および基板の研磨方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221206BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20221206BHJP
   B24B 7/22 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L21/304 622L
B24B41/06 L
B24B7/22 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019166908
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021044471
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】古川 千里
(72)【発明者】
【氏名】柴田 武
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142631(JP,A)
【文献】特開2000-182997(JP,A)
【文献】特開2016-004975(JP,A)
【文献】特開平06-265534(JP,A)
【文献】特開2004-202684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 41/06
B24B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨される基板が接着剤を介して接着される保持板であって、
貫通孔と細孔とを含む2段階孔構造を有する多孔質無機材料層を備え、
前記多孔質無機材料層は、前記基板の平坦面の側と接着される第1の面を有し、
前記貫通孔の平均径は、0.5μm以上かつ20μm以下であり、
前記細孔の平均径は前記貫通孔の前記平均径よりも小さい、保持板。
【請求項2】
前記多孔質無機材料層は疎水性を有する請求項1記載の保持板。
【請求項3】
前記多孔質無機材料層は、SiO2、Al2O3、SiC、TiNのいずれかを含む、請求項1または2に記載の保持板。
【請求項4】
前記保持板は、前記多孔質無機材料層のうち前記第1の面とは反対の側の第2の面に隣接する補強層をさらに備え、
前記多孔質無機材料層の側面には、前記貫通孔の一部が露出する、請求項1~のいずれか1つに記載の保持板。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つに記載の保持板の前記多孔質無機材料層の前記第1の面と、前記基板の前記平坦面と、が平行になるように接着剤を用いて接着し、
前記基板の前記平坦面とは反対の側の面を研磨することにより、前記基板を所定の厚さに薄層化し、
有機物質を含む剥離剤を、液相状態または気相状態で前記貫通孔を通して前記接着剤と反応させて、前記基板を前記保持板から剥離させる、基板の研磨方法。
【請求項6】
前記基板は、サファイヤ、ダイアモンド、SiC、GaN、BN、Si、Geのうちのいずれかを含む請求項記載の基板の研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保持板および基板の研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、薄型化に伴い、半導体チップの薄型化要求が高まっている。たとえば、3インチシリコンウェーハでも50μmの厚さが要求されることもある。
【0003】
ウェーハプロセスが終了した大口径ウェーハを、たとえば、研磨装置を用いて50μmまで薄層化する際、ウェーハの割れや欠けを抑制するために、ウェーハを保持板などに貼り付け、研磨することが好ましい。
【0004】
この場合、半導体などのウェーハを保持板に確実に貼り付けるとともに、研磨後に割れや欠けを生じないように保持板から剥離しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5074719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
研磨される基板の接着および研磨後の基板の剥離が容易な保持板、およびその保持板を用いた基板の研磨方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の保持板には、研磨したい基板が接着剤を介して接着される。保持板は、貫通孔と細孔とを含む2段階孔構造を有する多孔質無機材料層を有する。前記多孔質無機材料層は、前記基板の平坦面の側と接着される第1の面を有する。前記貫通孔の平均径は、0.5μm以上かつ20μm以下であり、前記細孔の平均径は前記貫通孔の前記平均径よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は第1の実施形態にかかる保持板及び保持板に接着された基板のA-A線に沿った模式断面図、図1(b)はその模式斜視図、である。
図2】本実施形態にかかる基板の研磨方法のフロー図である。
図3図3(a)は研磨ステップを説明する模式断面図、図3(b)はその模式斜視図、である。
図4図4(a)は剥離ステップを説明する模式断面図、図4(b)はその模式斜視図、である。
図5図5(a)は剥離後の基板と保持板の模式断面図、図5(b)はその模式斜視図、である。
図6】第2の実施形態にかかる保持板の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる保持板及び保持板に接着された基板のA-A線に沿った模式断面図、図1(b)はその模式斜視図、である。
図1(a)に表すように、保持板10には、接着剤40などを用いて研磨したい基板20が接着される。基板20は、サファイヤ、ダイアモンド、SiC、GaN、BN、Si、Geなどとされ、基板20上に、半導体結晶層が形成される。Siの場合、ウェーハサイズは2~4インチなどとされ、その厚さT1は、たとえば、150~300μmなどとされる。
【0010】
保持板10は、貫通孔と細孔とを含む多孔質無機材料層を少なくとも有する。多孔質無機材料層は、基板20の平坦面(素子が設けられる側の面)20aと接着される第1の面10aを有する。細孔の平均径は貫通孔の平均径よりも小さい。多孔質無機材料層は、たとえば、SiO(シリカ)、Al、SiC、TiNのいずれかを含むことができる。また、多孔質無機材料層は、一体型材料でもよいし、一体型材料を粉砕・分級して得られる破砕状粒子でもよく、また破砕状粒子の焼結体でもよい。
【0011】
すなわち、多孔質無機材料層には、3次元連続網目構造の骨格体が形成され、骨格体の間隙を形成する貫通孔と、骨格体の表面から内部に向かって形成された細孔と、が設けられる。
【0012】
なお、保持板10は、研磨装置の回転研磨定盤の研磨面に載置されるので、図1(b)に表すように円板形状とするとよい。
【0013】
(表1)は、シリカ保持板直径に対する貫通孔の平均径(μm)および細孔の平均径(nm)の一例である。
【0014】

【表1】
【0015】
円板状保持板の直径が20~120mmのとき、貫通孔の平均径を0.5~20μm、細孔の平均径を10~50nmなどとできる。このとき、細孔の平均径は、たとえば、貫通孔の平均径の10%以下と十分に小さい。
【0016】
また、たとえば、貫通孔の平均径を2μm、細孔の平均径を20nmとするとき、比表面積は250(m/g)、細孔容積は1.0(cm/g)、充填時空隙率は約93%などとなる。多孔質無機材料層の骨格体構造は3次元的に広がるので貫通孔および細孔の径を推定するのが困難である。(表1)では、SEM(Scanning Electron Microscope)断面写真から径を算定し、平均化しているが、空隙率が高いことがわかる。
【0017】
図2は、本実施形態にかかる基板の研磨方法のフロー図である。
図1(a)、(b)に表すように、保持板10の多孔質無機材料層の第1の面10aと、基板20の平坦面20aと、が平行になるように接着剤40を用いて接着する(S200)。接着剤40は、塗布後の平坦性が良好な有機系材料(たとえば、アクリルなど)とするとよい。平坦面20aは、素子が設けられる半導体エピタキシャル結晶層の表面を構成する。(表1)に表したように貫通孔の平均径はμmのオーダーと微細なので、多孔質無機材料層の内部へ接着剤40が入り込むことが抑制され、基板20を保持するための接着強度を保つことができる。
【0018】
図3(a)は研磨ステップを説明する模式断面図、図3(b)はその模式斜視図、である。
基板20の平坦面20aとは反対の側の裏面20bは研磨装置(図示せず)の研磨面に載置される。基板20の裏面は、研磨装置内での回転により研磨が進行し、図3(a)の例示するように、所定の厚さT2まで薄層化する。所定の厚さT2は、たとえば、50~100μmなどと薄くされる(S202)。
【0019】
図4(a)は剥離ステップを説明する模式断面図、図4(b)はその模式斜視図、である。
また、図5(a)は剥離後の基板と保持板の模式断面図、図5(b)はその模式斜視図、である。
有機物質を含む剥離剤50を、液相状態または気相状態で貫通孔を通すことにより接着剤20と反応させて、研磨後の基板20を保持板10から剥離させる(S204)。貫通孔はウェーハ全面に分散している。このため、剥離剤50はウェーハ全面にほぼ均等に供給され、図5(a)、(b)に表すように、接着剤40はウェーハ全面でほぼ均一に剥離される。なお、剥離剤50は、接着剤40を溶解可能な、たとえば、アセトン、トルエン、ベンゼンなどとすることができる。
【0020】
さらに、多孔質無機材料層を疎水性とすると、ウェットエッチングプロセスにおいて、たとえば、酸(または塩基)を含むエッチング液は貫通孔を通過できない。このため、接着剤40や基板20を侵すことが抑制されるので好ましい。すなわち、保持板10は、基板20との接着強度を保ちつつ、耐酸性および耐アルカリ性を有し基板20を保護する。
【0021】
ここで、比較例の保持板について説明する。
比較例の保持板(サポートプレート)は、ガラスやセラミックなどの材料からなる。サポートプレートには、上下を貫通するように複数の貫通孔が設けられる。ウェーハとサポートプレートとは接着剤で固定される。ウェーハが接着剤で密着されていない面の貫通孔の開口部がテープを介して真空吸着されてウェーハの研削/研磨が行われる。
【0022】
比較例では貫通孔の近傍領域と貫通孔から離間した領域とで接着剤の剥離状態にムラがを生じる。たとえば、接着剤の一部が残ることもある。また、ガラスのサポートプレートからの剥離はガラス固有の処理を必要とする。これに対して、本実施形態では、基板20の接着強度を保ちつつ、割れ・欠けが抑制されて保持板から剥離される。
【0023】
図6は、第2の実施形態にかかる保持板の模式断面図である。
保持板13は、多孔質無機材料層11と、多孔質無機材料層11の第2の面11bに隣接する補強層12と、を有する。多孔質無機材料層11の側面11cには、貫通孔の一部が露出する。多孔質無機材料層11が十分の厚さに成形できないなどにより多孔質無機材料層11だけでは、研磨プロセスに耐える強度が得られない場合がある。補強層12を透明にすると剥離の進行状況などを確認できる。このため、たとえば、石英基板、両面ミラー処理されたSiC単結晶基板、サファイヤ基板などとすることができる。
【0024】
第2の実施形態では、補強層12として、無機材料からなる無垢材などを多孔質無機材料層11に貼り付けるか、一体成型を行い保持板として強度を保つことができる。この場合、多孔質無機材料層11の側面11cが露出するので、剥離剤50は貫通孔を通って接着剤40に容易に到達し、基板20を剥離できる。
【0025】
本実施形態によれば、研磨する基板の接着および剥離が容易な保持板、およびこの保持板を用いた基板の研磨方法が提供される。このため、大口径半導体ウェーハなどを薄型化しても割れ/欠けなどが低減される。この結果、電子機器の薄型化・小型化が容易となる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
10、13 保持板、10a 第1の面、11 多孔質無機材料層、11b 第2の面、11c 側面、12 補強層、20 基板、20a 平坦面、40 接着剤、50 剥離剤、T1 基板の初期の厚さ、T2 基板の研磨後の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6