IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立エルジーデータストレージの特許一覧

特許7189111導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法
<>
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図1
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図2
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図3
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図4
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図5
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図6
  • 特許-導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221206BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20221206BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N13/344
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019189052
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021063929
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 真由美
(72)【発明者】
【氏名】多田 行伸
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0277116(US,A1)
【文献】特開2006-135884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を伝搬させホログラムにより光を回折させることで再生画像を出力する導光板の色ずれ補正装置であって、
前記導光板は光学系固定装置に固定され、前記導光板に前記入力画像を入力する光源は前記光学系固定装置に移動可能に保持されており、
前記導光板から出力された再生画像を受光する受光装置と、
該受光装置を駆動する受光装置駆動回路と、
前記光源を駆動する光源駆動回路と、
全体を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記入力画像が白線を含むように前記光源を制御し、前記受光装置が受光した前記導光板から出力された再生画像の白線を構成するRGB各色の階調データを1ピクセルごとに取得し、該階調データから色ずれ量を判定し、該色ずれ量に基づき、前記光源駆動回路を制御して前記光源の前記導光板への入射角度または位置を制御することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記光源から前記導光板に入力される前記入力画像が該入力画像の中心と周辺部に配置した白色の縦線および横線であって、少なくとも、縦横の各方向に3本の白線を有した画像であるように前記光源を制御することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項3】
請求項2に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記RGBそれぞれの階調データのピーク中心のずれ量で色ずれ量を判定することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項4】
請求項2に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記RGBそれぞれの階調データのバケット幅で色ずれ量を判定することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項5】
請求項3に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記横線で縦方向のRGB色ずれ量が所定範囲以上であった場合、前記光源または前記受光装置を前記受光装置駆動回路または前記光源駆動回路により前記入力画像または前記再生画像の縦方向に移動するように駆動し、
前記縦線で横方向のRGB色ずれ量が所定範囲以上であった場合、前記光源の前記導光板への入射角度が駆動済みでなければ前記光源駆動回路により前記入射角度を可変するように駆動し、前記入射角度が駆動済みの場合は、前記光源または前記受光装置を前記受光装置駆動回路または前記光源駆動回路により前記入力画像または前記再生画像の横方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項6】
請求項4に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記階調データのバケット幅が所定幅以上であった場合、前記光源または前記受光装置を前記受光装置駆動回路または前記光源駆動回路によりフォーカス方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項7】
請求項2に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記制御装置は、前記受光した再生画像の縦方向の横線が所望の本数ない場合は、前記光源または前記受光装置を前記受光装置駆動回路または前記光源駆動回路により前記入力画像または前記再生画像の縦方向に移動するように駆動し、
前記受光した再生画像の横方向の縦線が所望の本数ない場合は、前記光源または前記受光装置を前記受光装置駆動回路または前記光源駆動回路により前記入力画像または前記再生画像の横方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項8】
請求項1に記載の導光板の色ずれ補正装置であって、
前記光源を前記光学系固定装置に接着する接着装置を有し、
前記制御装置は、前記光源の前記導光板への入射角度または位置の制御により色ずれが所定範囲内に収まったと判断した場合に、位置調整終了と判断し、前記接着装置に接着指示を出力し、前記接着装置は前記光学系固定装置に前記光源の接着を行うことを特徴とする導光板の色ずれ補正装置。
【請求項9】
入力画像を伝搬させホログラムにより光を回折させることで再生画像を出力する導光板の色ずれ補正方法であって、
前記入力画像は光源からの出射光により前記導光板に入力され、
前記入力画像は白線を含み、
前記導光板から出力された再生画像を受光し、
該受光した再生画像の白線を構成するRGB各色の階調データを1ピクセルごとに取得し、
階調データから色ずれ量を判定し、
該色ずれ量に基づき前記光源の前記導光板への入射角度または位置を制御することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項10】
請求項9に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記入力画像は、前記入力画像の中心と周辺部に配置した白色の縦線および横線であって、少なくとも、縦横の各方向に3本の白線を有した画像であることを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項11】
請求項10に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記色ずれ量の判定は、前記RGBそれぞれの階調データのピーク中心のずれ量で色ずれ量を判定することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項12】
請求項10に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記色ずれ量の判定は、前記RGBそれぞれの階調データのバケット幅で色ずれ量を判定することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項13】
請求項11に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記横線で縦方向のRGB色ずれ量が所定範囲以上であった場合、前記光源または前記再生画像を受光する受光装置を前記入力画像または前記再生画像の縦方向に移動するように駆動し、
前記縦線で横方向のRGB色ずれ量が所定範囲以上であった場合、前記光源の前記導光板への入射角度が駆動済みでなければ該入射角度を可変するように駆動し、該入射角度が駆動済みの場合は、前記光源または前記再生画像を受光する受光装置を前記入力画像または前記再生画像の横方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項14】
請求項12に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記階調データのバケット幅が所定幅以上であった場合、前記光源または前記再生画像を受光する受光装置をフォーカス方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【請求項15】
請求項10に記載の導光板の色ずれ補正方法であって、
前記受光した再生画像の縦方向の横線が所望の本数ない場合は、前記光源または前記再生画像を受光する受光装置を前記入力画像または前記再生画像の縦方向に移動するように駆動し、
前記受光した再生画像の横方向の縦線が所望の本数ない場合は、前記光源または前記再生画像を受光する受光装置を前記入力画像または前記再生画像の横方向に移動するように駆動することを特徴とする導光板の色ずれ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に用いる導光板の色ずれ補正に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)などの映像表示装置では、プロジェクタ(映像投影部)から出射された映像光をユーザの目まで伝搬させるための光学系として導光板が用いられる。ここで、光回折機能を有する体積ホログラム(VHM:Volume Holographic Multiplexed-mirror)は、薄型でかつ波長選択性や角度選択性などの特性を有するために、選択的に光を回折させることができ、これをHMDの導光板に採用することで、薄型でかつ広い視野(FOV:field of view)を有する導光板を実現できる。また、VHMを使用した導光板は拡張現実(AR:Augmented Reality)などで使用も検討されており、明るく、RGBの色ずれや色ムラが少ない性能が求められている。
【0003】
本技術分野における先行技術文献として特許文献1がある。特許文献1では、表面法線に制約される必要がない反射軸を有するスキューミラーと称される光反射装置が開示されている。スキューミラーは、比較的広い入射角の範囲に亘って実質的に一定の反射軸を有するように構成され、ホログラム技術を用いた導光板の使用方法や、その製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/035283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ホログラムを用いた導光板の使用方法や製造方法に関して記載されているが、導光板から出射された再生画像の色ずれ補正について考慮されていない。
【0006】
発明の目的は、導光板から出射された再生画像の色ずれを低減するための色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一例を挙げるならば、入力画像を伝搬させホログラムにより光を回折させることで再生画像を出力する導光板の色ずれ補正装置であって、導光板は光学系固定装置に固定され、導光板に入力画像を入力する光源は光学系固定装置に移動可能に保持されており、導光板から出力された再生画像を受光する受光装置と、受光装置を駆動する受光装置駆動回路と、光源を駆動する光源駆動回路と、全体を制御する制御装置を備え、制御装置は、入力画像が白線を含むように光源を制御し、受光装置が受光した導光板から出力された再生画像の白線を構成するRGB各色の階調データを1ピクセルごとに取得し、階調データから色ずれ量を判定し、色ずれ量に基づき、光源駆動回路を制御して光源の導光板への入射角度または位置を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導光板から出射された再生画像の色ずれを低減することが出来る、導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例におけるHMDのVHMを用いた導光板の片目側の断面図である。
図2】実施例における色ずれ検出を説明するためのイメージ図である。
図3】実施例における色収差による色ずれのイメージ図である。
図4】実施例における色ずれ補正装置の概略構成図である。
図5】実施例における色ずれ補正装置のハードウエア構成ブロック図である。
図6】実施例における色ずれ検出及び色ずれ補正の全体処理フローチャートである。
図7図6における破線部分の詳細処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本実施例における、HMDに用いるVHMを使用した導光板(以降、VHM導光板と称す)について説明する。ここで、VHMとは、干渉縞ピッチの異なるホログラムを多重記録することで3次元的に(体積的に)屈折率分布が形成され選択的に光を回折させる光回折機能を有する回折光学素子である。そして、VHM導光板とは、入力画像を伝搬させVHMにより選択的に光を回折させることで再生画像を出力する導光板である。
【0012】
図1は、HMDのVHM導光板の片目側の断面図である。図1において、図示しない映像投影部から出射した映像光を構成する光線群は、入射カプラー201を介してVHM導光板200に入射する。入射カプラー201は、VHM導光板に入射した光線群の方向を、VHM導光板200内を全反射によって伝搬できる方向に変換する。VHM導光板200内に入射した光線群は、全反射を繰り返すことで伝搬され、VHMで構成される出射カプラー203に入射する。出射カプラー203は、ミラーのように一部光が回折し、そのほかの光を導光する特性の光回折部を有し、多数の出射光線群210が面内で複製されて出射し再生画像となってユーザの目に届けられる。
【0013】
入射カプラー201はプリズムにより構成されており、出射カプラー203を構成するVHMは反射型ホログラムで構成している。
【0014】
ここで、VHM導光板の評価項目としては、FOV、輝度、色ムラ(不均一性)、色ずれ(RGBが一致しない)、などがある。
【0015】
VHM導光板は、BSA(Beam Splitter Array)やSRG(Surface Relief Grating)などを用いた他の導光板と比べ、FOVの拡大が可能で、色ずれが生じやすい傾向がある。色ずれは数ピクセル精度が必要とされVHM導光板の課題となっており、改善のため色ずれの評価方法、評価装置の工夫が必要である。
【0016】
ここで、本実施例における、再生画像の色ずれ判定方法について説明する。図2は、本実施例における色ずれ検出を説明するためのイメージ図である。図2において、(a)は、VHM導光板に入力する画像であって、全体が黒の画像の中に、縦方向(Y軸)と横方向(X軸)に細い白線を有する画像である。このVHM導光板に入力した画像は、VHM導光板内を導光した後、VHM導光板から出射され再生画像として目視やカメラで確認できる。(b)は、VHM導光板から出射された再生画像であって、その点線でしめす中心部分を拡大した図が(c)である。(a)に示す入力画像においては、白線はRGBが一致しており、拡大してもRGBの色は見られないが、再生画像を拡大すると(c)のように白線を示すRGBがそれぞれ離れた位置にみられ、RGBの色ずれが発生している様子を確認することが出来る。この色ずれは、縦方向(横線)と横方向(縦線)にみられる。(d)は、(c)における横方向(縦線)の点線内におけるRGBの階調分布を示す図である。ここで、(f)に示すように、階調Maxでのピクセル位置を示すピーク中心と、半値全幅などでバケット幅を定義すると、(d)において、横軸はピクセル、縦軸は階調であって、RGBそれぞれのピーク中心がずれており、そのバケット幅もそれぞれ異なる。同様に、(e)は、(c)における縦方向(横線)の点線内におけるRGBの階調分布を示す図である。(e)においても同様に、RGBそれぞれのピーク中心がずれており、バケット幅もそれぞれ異なる。
【0017】
そこで、本実施例においては、再生画像の1ピクセルごとに階調を取得し、縦方向(横線)、横方向(縦線)ともにRGB各色の階調データから以下を判断することが出来る。
1)RGBそれぞれのピーク中心のずれ量でRGBの色のずれ量を把握する。
2)最大の階調階調Max)でRGB各色の明るさの程度、もしくは、バケット幅でぼやけの程度を把握する。なお、階調Maxとバケット幅の両方を判断に用いれば、RGB1色のみ暗いなどの判断も可能となる。
【0018】
なお、色ずれは、VHM導光板単体の色ずれのほかに、色収差や入射カプラーへの入射角度ずれにより発生する。そのため、VHM導光板単体の色ずれ評価では、VHM導光板以外の要因の色ずれを最適化する必要がある。
【0019】
図3は、色収差による色ずれのイメージ図である。図3において、(a)は、色ずれ判定に使用するVHM導光板に入力する入力画像であって、全体が黒の画像の中に、縦方向と横方向にそれぞれ3本の、入射光の最小分解能の単位(1ピクセル、2ピクセルなど)の白線を有する画像である。(b)は、VHM導光板から出射された再生画像の拡大図であって、(a)における周辺部分の点線で示す部分に対応した拡大図であり、色収差により、白線を示すRGBがそれぞれ離れた位置にみられ、RGBの色ずれが発生している様子を示している。(c)は、(a)における中心部分の点線で示す部分に対応した拡大図であり、(b)に比べて色収差によるRGBの色ずれは少ないことを示している。また、(d)は、(a)における他の周辺部分の点線でしめす部分に対応した拡大図であり、(b)と同様に、色収差により、白線を示すRGBの色ずれが発生している様子を示している。このように、画像の周辺部分で色収差によるRGBの色ずれは大きくなる。なお、再生環境によっては、再生画像受光(カメラ等)の取り付け環境(フォーカスずれなど)により色ぼけなどが発生する場合もあるので、注意が必要である。
【0020】
以上より、本実施例では、入射光の最小分解能の幅で、白色の縦線および横線を、中心と周辺部に配置し、少なくとも、縦横の各方向に最低3本以上有した画像で再生像の色ずれを評価する。これにより、下記の判定が可能となる。
1)縦線で横方向のRGB色ずれが判定可能。
2)横線で縦方向のRGB色ずれが判定可能。
3)中心部と周辺部の縦方向の横線、及び横方向の縦線で、RGB色ずれにより色収差が判定可能。
【0021】
よって、本実施例では、上記再生画像の色ずれ判定を用い、検出した色ずれを補正することで適切な再生環境を構築することが可能となる。
【0022】
図4に、本実施例における色ずれの検出及び補正を行う色ずれ補正装置の概略構成図を示す。図4において、VHM導光板200から出射される再生画像を受光する受光装置300と、受光装置300からの再生画像から色ずれ判定を行ない、VHM導光板200への入射光の光源500の最適な位置情報を出力する制御装置400とを有し、その位置情報により図示しない光源500の駆動回路で光源500の入射角度、位置を可変制御する。なお、VHM導光板200の位置は固定とする。また、VHM導光板200から出射される再生画像を受光するために図示しない受光装置300の位置を制御する駆動回路を有する。
【0023】
これにより、検出した色ずれを補正するように、VHM導光板への入射光の光源の入射角度、位置を調整することで、光源を要するVHM搭載光学系組み立て時の色ずれを低減することが出来、最適な色ずれ条件でHMDに光源を取り付けることが出来る。なお、光源の最適な位置情報を、データ処理を行う制御装置に保存することで、VHM導光板を単体で販売した場合でも、販売後の別タイミングで、その保存した位置情報を基にHMDの組み立てを行うことも出来る。
【0024】
図5は、本実施例における、色ずれの検出及び補正を行う色ずれ補正装置のハードウエア構成ブロック図である。図5において、図4と同じ構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0025】
図5において、色ずれ補正装置には、光学系の基台となる光学系固定装置600が設置される。そして、記録済みVHMからなる出射カプラー203を含むVHM導光板200及び光源500が光学系固定装置600に配置され、VHM導光板200は光学系固定装置600に固定され、光源500は、後述のVHM導光板200への光線入射角度や位置を調整可能なように、例えばメカニカルな腕のような保持機構で移動可能に保持される。
【0026】
受光装置300は、VHM導光板200から出射される再生画像を受光する撮像装置310を備え、制御装置400へ受光した再生画像を送信する。また、320は、受光装置300を駆動する受光装置駆動回路であって、VHM導光板200から出射される再生画像を適切に受光するために、X軸駆動回路321、Y軸駆動回路322、フォーカス駆動回路323を有し、制御装置400からその駆動指示を得る。
【0027】
また、510は、光源500を駆動する光源駆動回路であって、検出した色ずれを補正するように、VHM導光板への入射光を生成する光源の入射角度、位置を調整するために、X軸駆動回路511、Y軸駆動回路512、フォーカス駆動回路513、入射角度駆動回路514を有し、制御装置400からその駆動指示を得る。
【0028】
また、制御装置400は、一般的な情報処理装置である、処理装置(CPU)と記憶装置(メモリ)と入出力インターフェース(I/F)を有する装置によって実現される。すなわち、制御装置400の処理は、記憶装置に格納されたそれらの処理プログラムをCPUがソフトウェア処理することにより実行される。よって、図5に示す制御装置400の内部のブロック構成は、ソフトウェア処理する機能構成ブロックを示している。すなわち、410は画像制御部であり、受光装置300から受信した再生画像から色ずれ検出のための画像を計測する画像計測部412、計測結果に基づいて色ずれを判定し光源500と受光装置300の位置を補正するための位置情報を生成する位置情報生成部413を有する画像解析部411を有する。また、光学系固定装置600上に光源500を固定するための接着制御を行う接着制御部420と、色ずれ判定に使用するVHM導光板に入力する入力画像に対応して光源500を制御する入射光源制御部430を有する。
【0029】
また、画像制御部410は、色ずれが所定範囲に以内に収まるように光源500を駆動する光源駆動回路510への駆動指示、受光装置300を駆動する受光装置駆動回路320への駆動指示、及び、受光装置300への撮像指示を行なう。
【0030】
また、制御装置400は、位置情報生成部413で生成された位置情報に基づき、光源駆動回路510を介して光源500を駆動し、かつ、受光駆動回路320を介して受光装置300を駆動し、色ずれが所定範囲に以内に収まった場合に位置調整終了と判断し、接着制御部420から接着指示を出力する。440は接着装置であって、その接着指示により、UV照射などでUV硬化樹脂によって光学系固定装置600上への光源500の接着、固定を行う。
【0031】
図6は、本実施例における、色ずれ検出及び色ずれ補正の全体処理フローチャートである。図6において、まず、ステップS10で、色ずれ補正装置に光学系固定装置600が設置され、VHM導光板200及び光源500が光学系固定装置600に配置され、VHM導光板200は光学系固定装置600に固定され、光源500は移動可能に保持される。
【0032】
次に、S21で、色ずれ判定に使用するVHM導光板に入力する入力画像に対応して光源500を制御する入射光源情報を設定し、光源500に入力有する。これにより、VHM導光板に色ずれ判定に使用する入力画像が光源500からVHM導光板200に入力され、VHM導光板200から出射される再生画像を受光装置300で受光し撮像装置310で撮像する(S22)。そして、画像計測部412において、撮像した再生画像から白線の画像を計測する(S23)。そして、S24で、画像の計測結果から色ずれ量を判定し色ずれ量が所望範囲以内かを画像解析する。そして、色ずれ量が所望範囲以内でない場合は、S25で、補正装置の位置補正処理を行い、S21に戻ってS21からS24の処理を繰り返し、S24で、色ずれ量が所望範囲以内となるまでその処理を繰り返す。
【0033】
そして、色ずれ量が所望範囲以内となると、S50で、光源の最適位置情報を記憶装置に保持し、S60で、光学系固定装置600上へ光源500を固定するための接着の可否を判断し、接着可の場合、S70で、接着制御部420からの接着指示によって、接着装置440で、例えばUV照射によりUV硬化樹脂によって光学系固定装置600上への光源500の接着、固定を行う。
【0034】
図7は、図6における破線部分S20の詳細処理フローチャートである。図7において、S23で画像計測により白線の画像を計測した後に、S31でVHM導光板200から出射された再生画像の白線が所望本数(本実施例では、図3(a)に示すように、縦横3本)あるかどうかを判断する。そして、所望本数ない場合(縦横3本の何れかがない場合)は、S32に進み、横方向の縦線が所望本数(3本)あるかどうかは判断する。そして、縦線が所望本数(3本)ある場合は、縦方向の横線が所望本数(3本)ないということなので、S33に進み、受光装置駆動済みかを判断し、受光装置が駆動済みである場合はS34に進み、光源500を縦方向のY軸に駆動し、縦方向の横線が再生画像内に所望本数(3本)入るように光源の位置を制御し、S21に戻る。また、S33で受光装置駆動済みでない場合はS35に進み、受光装置300を縦方向のY軸に駆動し、受光装置300で受信する撮像画像内に縦方向の横線が所望本数(3本)入るように受光装置の位置を制御し、S21に戻る。また、S32で縦線が所望本数(3本)ない場合は、横方向の縦線が所望本数(3本)ないということなので、S36に進み、受光装置駆動済みかを判断し、受光装置が駆動済みである場合はS37に進み、光源500を横方向のX軸に駆動し、横方向の縦線が再生画像内に所望本数(3本)入るように光源の位置を制御し、S21に戻る。また、S36で受光装置駆動済みでない場合はS38に進み、受光装置300を横方向のX軸に駆動し、受光装置300で受信する撮像画像内に横方向の縦線が所望本数(3本)入るように受光装置の位置を制御し、S21に戻る。以上のS31からS38の処理を、S31で再生画像の白線が所望本数となるまで繰り返す。以上は、色ずれ判定に使用する再生画像に白線が必要最低限の所望本数(本実施例では、縦横3本)入るように、受光装置300及び光源500の位置を初期設定する動作である。
【0035】
次に、S31で再生画像の白線が所望本数の場合はS39に進み、フォーカスずれの確認を行う。すなわち、図2で説明したバケット幅が一定幅以下であるかを判断する。そして、バケット幅が一定幅以下ではなくフォーカスずれがあると判断するとS40に進み、受光装置駆動済みかを判断する。受光装置が駆動済みである場合はS41に進み、光源500のフォーカス駆動を行い、VHM導光板に入力する入力画像のフォーカス制御を行い、S21に戻る。また、受光装置が駆動済みでない場合はS42に進み、受光装置300のフォーカス駆動を行い、受光装置300で受信する撮像画像のフォーカス制御を行い、S21に戻る。以上のS39からS42の処理を、S39でフォーカスずれがないと判断されるまで繰り返す。以上は、フォーカスずれによる色ずれを調整する処理である。
【0036】
次に、S39でフォーカスずれがないと判断された場合はS43に進み、RGBの差が一定幅以下であるかの確認を行う。すなわち、図2で説明した、縦線と横線それぞれで、RGBそれぞれのピーク中心のずれ量でRGBの色のずれ量を判断する。そして、RGBの色のずれ量が一定幅以下ではない場合はS44に進み、横方向の縦線のRGBの色のずれ量が一定幅以下であるかどうかを判断する。そして、横方向の縦線のRGBの色のずれ量が一定幅以下である場合は、縦方向の横線のRGBの色のずれ量が一定幅以下ではないということなので、S33に進み、前述したように、受光装置駆動済みかを判断し、受光装置が駆動済みである場合はS34に進み、光源500を縦方向のY軸に駆動し、縦方向の横線のRGBの色のずれ量が低減するように光源の位置を制御し、S21に戻る。また、S33で受光装置駆動済みでない場合はS35に進み、受光装置300を縦方向のY軸に駆動し、受光装置300で受信する撮像画像での縦方向の横線のRGBの色のずれ量が低減するように受光装置の位置を制御し、S21に戻る。
【0037】
また、横方向の縦線のRGBの色のずれ量が一定幅以下でない場合は、横方向の縦線のRGBの色のずれ量が大きいということなのでS45に進み、光源の入射角度駆動済みかを判断し、入射角度駆動済みであればS36に進み、そうでなければS46に進み、光源の入射角度駆動を行い、S21に戻る。ここで、S45、S46の処理の意図するところは、横方向の縦線は、光源の入射角度によって変化するので、入射角度駆動済みでなければS46で光源の入射角度駆動を行い横方向の縦線のRGBの色のずれ量を低減するように調整するものである。
【0038】
S45で入射角度駆動済みである場合のS36に進んだ後は、前述したように、受光装置駆動済みかを判断し、受光装置が駆動済みである場合はS37に進み、光源500を横方向のX軸に駆動し、横方向の縦線のRGBの色のずれ量が低減するように光源の位置を制御し、S21に戻る。また、S36で受光装置駆動済みでない場合はS38に進み、受光装置300を横方向のX軸に駆動し、受光装置300で受信する撮像画像での横方向の縦線のRGBの色のずれ量が低減するように受光装置の位置を制御し、S21に戻る。以上のS43からS46の処理を、S43でRGBの差が一定幅以下となるまで繰り返す。以上は、RGBの色ずれを調整する処理である。
【0039】
以上のように、本実施例によれば、VHM導光板から出射された再生画像の色ずれを低減することが出来る、導光板の色ずれ補正装置、及び、色ずれ補正方法を提供できる。
【0040】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
200:VHM導光板、201:入射カプラー、203:出射カプラー、210:出射光線群、300:受光装置、310:撮像装置、320:受光装置駆動回路、321、511:X軸駆動回路、322、512:Y軸駆動回路、323、513:フォーカス駆動回路、400:制御装置、410:画像制御部、411:画像解析部、412:画像計測部、413:位置情報生成部、420:接着制御部、430:入射光源制御部、440:接着装置、500:光源、510:光源駆動回路、514:入射角度駆動回路、600:光学系固定装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7