(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】第1液滴を除去するランセット装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61B5/151 100
A61B5/151 400
(21)【出願番号】P 2019200971
(22)【出願日】2019-11-05
(62)【分割の表示】P 2017503016の分割
【原出願日】2015-07-09
【審査請求日】2019-11-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-15
(32)【優先日】2014-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ エー.ゲルファント
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー ディー.フレッチャー
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】井上 香緒梨
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-536008(JP,A)
【文献】米国特許第5871494(US,A)
【文献】米国特許第5383885(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0002344(US,A1)
【文献】特開平9-168530(JP,A)
【文献】特公昭48-41633(JP,B2)
【文献】国際公開第2013/178784(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/076152(WO,A1)
【文献】特表2013-521953(JP,A)
【文献】特開2005-28109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/15-5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランセット装置であって、
前端部および後端部を備えるハウジングと、
穿刺要素を備えるランセット構造体であって、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ前記穿刺要素が前記ハウジング内に保持される作動前位置と、前記穿刺要素の少なくとも一部が前記ハウジングの前記前端部を通って延在する穿刺位置との間で移動するように適合されたランセット構造体と、
前記ランセット装置の一部に配置されたウィッキング要素と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたシールドと
を備え、
前記シールドが前記ハウジングの一部内で移動するようなサイズであり、
前記シールドが、前記ハウジングの前記前端部を通って延在しかつ前記ハウジングに対して移動可能であり、前記シールドが、シールド前端部およびシールド後端部を含み、
前記ウィッキング要素は、前記シールド前端部の一部の内壁と係合され
、
前記穿刺要素は、前記ウィッキング要素を直接貫通するように構成される、ランセット装置。
【請求項2】
前記ランセット構造体を前記穿刺位置に向かって付勢する、前記ハウジングの前記後端部と前記ランセット構造体との間に配置された駆動ばねと、
前記ランセット構造体と係合して配置されかつ前記作動前位置に前記ランセット構造体を保持し、および前記駆動ばねの前記付勢に抗して前記ランセット構造体を保持するように適合された保持要素と
をさらに備え、
前記保持要素に向かう、前記シールドの前記ハウジングに対する相対的な移動により、前記保持要素と前記ランセット構造体との間の係合が解除され、それにより、前記駆動ばねが前記ハウジングを通して前記穿刺位置に向かって前記ランセット構造体を駆動することを可能にする、請求項1に記載のランセット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月18日に出願された「Lancet Device with First-Drop Removal」という名称の米国仮特許出願第62/026,169号明細書に対する優先権を主張し、その出願の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、患者から血液サンプルを採取するために用いられる、一般にランセットと呼ばれる医療用穿刺装置に関する。より詳細には、本開示は、血液の第1液滴を除去するのを補助するためにランセット装置の一部としてウィッキング(吸取り)材料を提供するランセット装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ランセット装置は、医療分野において、患者の皮膚を穿刺して患者から毛細血管の血液サンプルを得るために用いられる。糖尿病等のいくつかの疾患では、たとえば患者の血糖値をモニタリングするために、患者の血液を定期的に検査する必要がある。さらに、コレステロール検査キット等の検査キットは、分析用の血液サンプルを必要とすることが多い。血液採取手順は、通常、血液サンプルを得るために、指または他の好適な身体部分を刺すことを含む。一般に、こうした検査に必要な血液の量は比較的少量であり、通常、小さい穿刺傷または切開によって、これらの検査に対して十分な量の血液が提供される。
【0004】
病院、診療所、医院等とともに個々の消費者に対して、さまざまなランセット装置が市販されている。こうした装置は、一般に、少量の血液流出をもたらすために、患者の皮膚を迅速に切って浅い穿刺傷を付けるか、または切開を行うために用いられる針等の鋭く尖った部材、または刃等の鋭利な部材を含む。多くの人々にとって、手持ち式の針または刃で自らの指を刺すことは、生理的かつ心理的に困難であることが多い。その結果、ランセット装置は、トリガ機構の作動時に患者の皮膚を穿刺するかまたは切る自動装置に発展した。いくつかの装置では、患者からの採血を担当する医療専門家または患者自身である可能性がある使用者によってトリガされるまで、針または刃は待機位置に保持される。トリガされると、針または刃は、患者の、たとえば指の皮膚を穿刺するかまたは切る。多くの場合、患者の皮膚を穿刺するかまたは切るために必要な「自動的な」力を与えるために、装置にばねが組み込まれている。
【0005】
ランセット装置を用いて患者の皮膚を穿刺する際、患者の指が不潔であるか、または他の汚染物質に露出している場合、血液の第1液滴は、薬剤の適切な用量を決めるために十分でなくなる。たとえば、患者は、ランセット装置を用いて、適切なインシュリン投与に対して自らの血糖値を求めるために自らの血液を検査することができる。こうした血糖のセルフモニタリングは、糖尿病治療の重要な部分である。患者が、汚染された血液の第1液滴を用いる場合、血糖の信頼性の低い測定値が取得される可能性がある。これにより、インシュリン投与が不適切になる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ランセット装置等の医療用穿刺装置であって、医療用穿刺装置の一部に配置されたウィッキング要素を有する医療用穿刺装置を提供する。ウィッキング要素により、使用者は、医療用穿刺装置を用いて皮膚を穿刺する際に血液の第1液滴を除去することができる。このように、血液の後続する液滴を用いて使用者の血液を検査し、適切なインシュリン投与のために使用者の血糖値を求めることができる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ランセット装置は、前端部および後端部を有するハウジングと、穿刺要素を有するランセット構造体であって、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ穿刺要素がハウジング内に保持される作動前位置と、穿刺要素の少なくとも一部がハウジングの前端部を通って延在する穿刺位置との間で移動するように適合されたランセット構造体と、ランセット構造体の一部に配置されたウィッキング要素とを含む。
【0008】
一構成では、ウィッキング要素は、ハウジングの前端部に隣接して配置されている。別の構成では、ハウジングは空洞を画定し、およびウィッキング要素は、空洞内に少なくとも部分的に配置されている。さらに別の構成では、穿刺要素は、作動前位置から穿刺位置への遷移中にウィッキング材料の一部を貫通する。一構成では、ランセット装置は、ランセット構造体の穿刺要素を取外し可能に覆う保護カバーをさらに含む。別の構成では、保護カバーは柱部分を含み、およびウィッキング要素は、保護カバーの柱部分の一部に配置されている。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、ランセット装置は、前端部および後端部を有するハウジングと、穿刺要素を有するランセット構造体であって、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ穿刺要素がハウジング内に保持される作動前位置と、穿刺要素の少なくとも一部がハウジングの前端部を通って延在する穿刺位置との間で移動するように適合されたランセット構造体と、ランセット装置のハウジング内に完全に配置されたウィッキング要素とを含む。
【0010】
一構成では、穿刺要素は、作動前位置から穿刺位置への遷移中にウィッキング材料の一部を貫通する。別の構成では、ランセット装置は、ウィッキング要素がランセット構造体の穿刺要素によって穿刺される皮膚表面の一部と接触することができる位置まで、ウィッキング要素を移動させる作動手段をさらに含む。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、ランセット装置は、前端部および後端部を有するハウジングと、穿刺要素を有するランセット構造体であって、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ穿刺要素がハウジング内に保持される作動前位置と、穿刺要素の少なくとも一部がハウジングの前端部を通って延在する穿刺位置との間で移動するように適合されたランセット構造体と、ハウジングの一部に配置されたウィッキング要素とを含む。
【0012】
一構成では、ウィッキング要素は、ハウジングの後端部の一部に配置されている。別の構成では、ハウジングの後端部の一部が空洞を画定し、およびウィッキング要素は空洞内に配置されている。さらに別の構成では、ハウジングは、前端部と後端部との間に側面を含み、およびウィッキング要素は、ハウジングの側面の一部に配置されている。一構成では、ランセット装置は、ランセット構造体の穿刺要素を取外し可能に覆う保護カバーをさらに含む。別の構成では、保護カバーは柱部分を含み、およびウィッキング要素は、保護カバーの柱部分の一部に配置されている。さらに別の構成では、ランセット装置は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された作動部材をさらに含み、作動部材はハウジングの一部内で移動するようなサイズである。一構成では、作動部材は、ハウジングの前端部を通って延在しかつハウジングに対して移動可能であるシールドを含み、シールドは、シールド前端部およびシールド後端部を含む。別の構成では、ウィッキング要素は、シールド前端部の一部に配置されている。さらに別の構成では、ランセット装置は、ランセット構造体を穿刺位置に向かって付勢する、ハウジングの後端部とランセット構造体との間に配置された駆動ばねと、ランセット構造体と締まり嵌め係合(interference engagement)して配置されかつ作動前位置にランセット構造体を保持し、および駆動ばねの付勢に抗してランセット構造体を保持するように適合された保持要素とをさらに含み、保持要素に向かう作動部材の移動により、保持要素とランセット構造体との間の締まり嵌め係合が解除され、それにより、駆動ばねがハウジングを通して穿刺位置に向かってランセット構造体を駆動することを可能にする。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、ランセット装置は、前端部および後端部を有するハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された作動部材であって、ハウジングの一部内で移動するようなサイズであり、作動部材前端部および作動部材後端部を含み、かつ作動部材前端部と作動部材後端部との間に空洞を画定する作動部材と、作動部材の空洞の一部内に配置されたウィッキング要素と、穿刺要素を有するランセット構造体であって、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ穿刺要素がハウジング内に保持される作動前位置と、穿刺要素の少なくとも一部がハウジングの前端部を通って延在する穿刺位置との間で移動するように適合されたランセット構造体とを含む。
【0014】
一構成では、ウィッキング要素はプレス紙材料を含む。別の構成では、ウィッキング要素はプラスチック材料を含む。さらに別の構成では、ウィッキング要素は繊維材料を含む。一構成では、ウィッキング要素は、作動部材に接着剤によって固定されている。別の構成では、ランセット装置は、ランセット構造体の穿刺要素を取外し可能に覆う保護カバーを含む。さらに別の構成では、ランセット装置は、ランセット構造体を穿刺位置に向かって付勢する、ハウジングの後端部とランセット構造体との間に配置された駆動ばねと、ランセット構造体と締まり嵌め係合して配置されかつ作動前位置にランセット構造体を保持し、および駆動ばねの付勢に抗してランセット構造体を保持するように適合された保持要素とをさらに含み、保持要素に向かう作動部材の移動により、保持要素とランセット構造体との間の締まり嵌め係合が解除され、それにより、駆動ばねがハウジングを通して穿刺位置に向かってランセット構造体を駆動することを可能にする。一構成では、保持要素は、支点を中心に枢動するレバー要素を備え、レバー要素は、ランセット構造体との締まり嵌め係合を提供し、かつランセット構造体を作動前位置に保持し、および駆動ばねの付勢に抗してランセット構造体を保持するように適合され、レバー要素に向かう作動部材の移動により、レバー要素の一部が支点を中心に枢動し、それにより、ランセット構造体がハウジングの後端部に向かって移動して、駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮し、かつレバー要素とランセット構造体との間の締まり嵌め係合を解除し、駆動ばねがハウジングを通して穿刺位置に向かってランセット構造体を駆動することを可能にする。
【0015】
添付図面とともに本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、本開示の上述した特徴および利点ならびに他の特徴および利点と、それを達成する方法とがより明らかとなり、本開示自体がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態によるランセット装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態によるランセット装置の本体から分離された保護カバーを示す、
図1のランセット装置の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による
図1のランセット装置の組立分解斜視図である。
【
図4A】本発明の実施形態によるハウジングの本体の底面斜視図である。
【
図4B】本発明の実施形態による
図4Aのハウジングの本体の上面斜視図である。
【
図4C】本発明の実施形態による
図4Aのハウジングの本体の上面斜視図である。
【
図4D】本発明の実施形態による
図4Cに示すような本体の対向する断面図である。
【
図4E】本発明の実施形態による
図4Cに示すような本体の対向する断面図である。
【
図5A】本発明の実施形態によるハウジングの後部キャップの底面斜視図である。
【
図5B】本発明の実施形態による
図5Aに示すような後部キャップの対向する断面図である。
【
図5C】本発明の実施形態による
図5Aに示すような後部キャップの対向する断面図である。
【
図5D】本発明の実施形態による
図5Aのハウジングの後部キャップの上面斜視図である。
【
図5E】本発明の実施形態による
図5Dに示すような後部キャップの断面図である。
【
図6A】本発明の実施形態によるシールドの底面斜視図である。
【
図6B】本発明の実施形態による
図6Aに示すようなシールドの対向する断面図である。
【
図6C】本発明の実施形態による
図6Aに示すようなシールドの対向する断面図である。
【
図6D】本発明の実施形態による
図6Aのシールドの上面斜視図である。
【
図6E】本発明の実施形態による
図6Dに示すようなシールドの対向する断面図である。
【
図6F】本発明の実施形態による
図6Dに示すようなシールドの対向する断面図である。
【
図7A】一体成形されたカバーの柱部分を含む本発明の実施形態によるランセット構造体の上面斜視図である。
【
図7B】本発明の実施形態による
図7Aに示すようなランセット構造体の対向する断面図である。
【
図7C】本発明の実施形態による
図7Aに示すようなランセット構造体の対向する断面図である。
【
図7D】本発明の実施形態による
図7Aのランセット構造体の底面斜視図である。
【
図7E】本発明の実施形態による
図7Dに示すようなランセット構造体の断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態による保持ハブの上面斜視図である。
【
図8B】本発明の実施形態による
図8Aの保持ハブの底面斜視図である。
【
図8C】本発明の実施形態による
図8Bに示すような保持ハブの断面図である。
【
図8D】本発明の実施形態による
図8Bに示すようなランセット構造体の断面図である。
【
図8E】本発明の別の実施形態による保持ハブの上面斜視図である。
【
図9A】本発明の実施形態によるタブ部材の底面斜視図である。
【
図9B】本発明の実施形態による
図9Aのタブ部材の上面斜視図である。
【
図9C】本発明の実施形態による
図9Aおよび
図9Bに示すようなタブ部材の対向する断面図である。
【
図9D】本発明の実施形態による
図9Aおよび
図9Bに示すようなタブ部材の対向する断面図である。
【
図9E】本発明の実施形態による
図9Aおよび
図9Bに示すようなタブ部材の対向する断面図である。
【
図9F】本発明の実施形態による
図9Aおよび
図9Bに示すようなタブ部材の対向する断面図である。
【
図10】本発明の実施形態によるランセット構造体とともにシールドおよび保持ハブの組立分解斜視図である。
【
図11A】本発明の実施形態による
図1のランセット装置の正面斜視図および側面斜視図である。
【
図11B】本発明の実施形態による
図1のランセット装置の正面斜視図および側面斜視図である。
【
図11C】本発明の実施形態による
図11Aの線11C-11Cに沿ったランセット装置の断面図である。
【
図11D】本発明の実施形態による
図11Bの線11D-11Dに沿ったランセット装置の断面図である。
【
図12】本発明の実施形態による、タブ部材が取り除かれ使用の用意ができている、
図11Dに示すような線11D-11Dに沿った
図11Bのランセット装置の断面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、レバーが部分的に係合している、
図11Dに示すような線11D-11Dに沿った
図11Bのランセット装置の断面図である。
【
図14】本発明の実施形態による、後部キャップが取り除かれた、使用中の
図11Dのランセット装置の部分拡大斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態による、後部キャップが取り除かれた、使用中の
図11Dのランセット装置の部分拡大斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態による
図15に示す位置での使用中のランセット装置の部分拡大切取図である。
【
図17】本発明の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、
図11Dに示すような線11D-11Dに沿った
図11Bのランセット装置の断面図である。
【
図18】本発明の実施形態による、ランセット構造体が最終後退位置にある、使用後の
図11Dに示すような線11D-11Dに沿った
図11Bのランセット装置の断面図である。
【
図19】本発明の別の実施形態によるランセット装置の断面図である。
【
図20】本発明の実施形態によるランセット装置のさらなる実施形態の斜視図である。
【
図21A】本発明の実施形態によるランセット装置で使用される保持ハブのそれぞれ底面図、側面図および端面図である。
【
図21B】本発明の実施形態によるランセット装置で使用される保持ハブのそれぞれ底面図、側面図および端面図である。
【
図21C】本発明の実施形態によるランセット装置で使用される保持ハブのそれぞれ底面図、側面図および端面図である。
【
図23A】本発明の実施形態による、医療用穿刺装置の別の実施形態の縦断面図であって、作動前の装置と装置を作動させる動作ステップとを示す。
【
図23B】本発明の実施形態による、医療用穿刺装置の別の実施形態の縦断面図であって、作動前の装置と装置を作動させる動作ステップとを示す。
【
図23C】本発明の実施形態による、医療用穿刺装置の別の実施形態の縦断面図であって、作動前の装置と装置を作動させる動作ステップとを示す。
【
図23D】本発明の実施形態による、医療用穿刺装置の別の実施形態の縦断面図であって、作動前の装置と装置を作動させる動作ステップとを示す。
【
図24】本発明の実施形態による、使用の用意ができているウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図25】本発明の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含む
図24と同様のランセット装置の断面図である。
【
図26A】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図26B】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図27】本発明の別の実施形態による使用の用意ができているウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図28】本発明の実施形態によるランセット装置の本体から分離されたウィッキング材料を含む保護カバーを示すランセット装置の斜視図である。
【
図29A】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図29B】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体の穿刺端部によって穿刺された皮膚表面の一部と接触して配置されたウィッキング材料の一部を有するランセット装置の断面図である。
【
図30A】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図30B】本発明の別の実施形態による、ランセット構造体の穿刺端部によって穿刺された皮膚表面の一部と接触して配置されたウィッキング材料の一部を有するランセット装置の断面図である。
【
図31】本発明の別の実施形態による、患者の皮膚表面から血液の第1液滴を吸収し吸い取るように本開示のウィッキング材料を保持している使用者の斜視図である。
【
図32】本発明の別の実施形態による使用の用意ができているウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図33】本発明の別の実施形態による使用の用意ができているウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【
図34】本発明の実施形態による、ランセット構造体が穿刺位置にある、使用中のウィッキング材料を含むランセット装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」、「軸方向」という用語および同様の用語は、使用される場合、図面において向けられているように、本発明に関連するものとする。さらに、「先端」という用語は、穿刺端部に最も近い装置の部分を指すものとし、「基端」という用語は、先端部分と反対側の装置の部分を指すものとする。本発明は、明示的に反対の指定がある場合を除き、多くの代替的な変形形態および実施形態を想定し得ることが理解されるべきである。添付図面に示しかつ本明細書に記載する具体的な装置および実施形態は、単に本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。
【0018】
図1~
図3を参照すると、本発明の実施形態によるランセット装置10が概略的に示されている。ランセット装置10は、概して、ハウジング12と、ハウジング12に移動可能に関連付けられたシールド14と、その内部に配置されたランセット構造体70とを含む。本明細書にさらに詳細に考察するように、シールド14は、ハウジング12に同軸にかつ移動可能に関連付けられ、ハウジング12内に部分的に配置され、ハウジング12から部分的に外側に延在しており、ランセット構造体70は、シールド14内に収容され、かつシールド14を通して軸方向にまたは長手方向に移動可能である。
【0019】
ハウジング12は、細長い本体を画定し、望ましくは、先端部分、すなわち前端部分22を画定する本体20と、基端部分、すなわち後端部分26を画定する後部キャップ24とで形成されている。本明細書においてさらに詳細に考察するように、ハウジング12の内部は、
図4Cに示すように、概して開放され、内部空洞28を画定し、内部空洞28は、後部キャップ24により後端部で閉鎖され、シールド14が延在する、前端部分22を貫通する開口部30を含む。本体20および後部キャップ24は、一体形成することができる。別法として、本体20および後部キャップ24は、互いに取り付けられてハウジング12を形成する別個の要素であり、それはランセット装置10の組立てに役立つ。
図4A~
図4Eおよび
図5A~
図5Eは、こうした実施形態の例におけるそれぞれ本体20および後部キャップ24を示す。本体20および後部キャップ24は、適切な接着剤によって互いに取り付けることができ、または摩擦嵌めもしくはスナップフィット構造等、これらの間に機械的取付けを提供する相互係合構造を含むことができる。たとえば、本体20は、環状溝32を画定する環状リム31を含むことができ、後部キャップ24は、嵌合面に環状リップ34を有する環状突出部33を含むことができる。本体20および後部キャップ24が嵌合すると、環状突出部33は本体20の後部開放端内に延在し、環状リップ34は、本体20の環状リム31上にかつ環状溝32内にスナップフィットする。こうした要素の配置は、単に例示的なものであり、逆にされ得ることが理解されるべきであり、他の相互嵌合(inter-fitting)係合構造を用いて、本体20に後部キャップ24を取り付けられ得ることが企図される。代替的な実施形態では、本体20および後部キャップ24は、一体形成された構造体とすることができ、したがって、1つの構成要素として合わせて成形することができる。
【0020】
図11Bに示すように、本体20および後部キャップ24によって画定される概して長細いハウジング12は、対向する側部35、36を有し、それらは各々、つまみ用陥凹部37、38等、使用者の指に適応する面を含むことができる。ハウジング12に2つの対向するつまみ用陥凹部37、38が設けられているが、本発明によって、ハウジング本体20に形成された1つのつまみ用陥凹部37のみを設け得ることが理解されよう。つまみ用陥凹部37、38は、ハウジング12の外面の凹状窪みまたは凹部として形成され得る。さらに、後部キャップ24の上面等のハウジング12の後端部26もまた、
図1および
図2に示すような後部つまみ用陥凹部39等、凹状窪みまたは凹部として形成することができる使用者の指に適応する面を含むことができる。側部つまみ用陥凹部37、38および後部つまみ用陥凹部39は、使用者がランセット装置10を操作し、血液を採り、抜き取りまたは採取する処置においてランセット装置10を使用するのを補助する、実質的に使用者の指先に沿う人間工学的形状の面を提供し、使用者に複数のつまみ位置を提供することができる。
図11Bに示すように、側部つまみ用陥凹部37、38は、双曲線により形成された輪郭として表すことができる。たとえば、双曲線は、主ハウジングを画定する対称面と実質的に同一平面上の位置で交差する2つの漸近線を含むことができる。さらに、
図11Bに示すように、後部キャップ24は、双曲線により形成された輪郭を含むことができる。
図1および
図2を参照すると、ハウジング12は、ハウジング12に沿って延在しかつハウジング12と一体形成された複数の長手方向リブ40およびトラフ41等、ハウジング12と使用者の指先との間の把持を全体的に改善する構造をさらに含むことができ、それは、使用者に視覚的および触覚的手がかりを与えて指先を置く場所を使用者に教示することができる。ハウジング12は、前端部22に配置された少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上の周縁陥凹部42をさらに含むことができる。1つの特定の実施形態では、2005年5月6日に出願され、「Contact Activated Lancet Device」という名称である、本出願と共通の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2006/0052809号明細書に開示された特徴に従ってランセット装置を構成することができ、上記出願の開示内容全体は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0021】
上述したように、シールド14は、ハウジング12の前端部を通って開口部30から外側に延在する。
図6A~
図6Fに示すように、シールド14は、前端部52と後端部54との間に延在するシールド本体50を画定し、かつ内部を通して延在する内部空洞56を画定する、概して円筒状の中空構造体である。本明細書においてより詳細に考察するように、シールド本体50の前端部52は、使用者がランセット装置10を作動させると穿刺要素が延在する前方開口部60を含む前端壁58を画定する。前端壁58は、概して、先端開口部60の周囲に、穿刺要素によって穿刺されるべき使用者の身体の意図された領域に接触する小さい接触領域を画定する。シールド14に形成された複数の周縁陥凹部62を設けることによって、縮小した接触領域をより小さくする(すなわち、面積を縮小する)ことができる。より詳細に考察するように、周縁陥凹部62はまた、使用者が、概してランセット装置10の照準を定め、特にランセットの穿刺要素の照準を定める際に視覚的に補助するように、ターゲット指標も提供することができる。周縁陥凹部62は、概して、ハウジング12に設けられた周縁陥凹部42に類似している。周縁陥凹部42は、シールド14の外周部に配置され、シールド14の周囲に等間隔で配置され得る。周縁陥凹部42により、使用者は、穿刺要素の適切な吐出点の位置を視覚的に容易に特定することができ、それによりランセット装置10の照準特性が改善され、皮膚穿刺操作中に最適な血流が確保される。
【0022】
上述したように、シールド14は、ハウジング12内で軸方向または長手方向に移動可能である。したがって、シールド14およびハウジング12は、ハウジング12を通してシールド14を案内するための対応する案内面を含むことができる。たとえば、シールド本体50は、シールド本体50の外面に沿って延在し、その間に案内チャネル64を形成する長手方向突出部63の対を含むことができる。ハウジング12は、案内チャネル64内に嵌まる、ハウジング12の本体20内の案内タブ44(
図4B~
図4E)等の対応する構造を含むことができる。望ましくは、シールド本体50は、シールド本体50の対向する側部に沿って長手方向に延在する案内チャネル64の対を含み、ハウジング12は、案内チャネル64の各々に対応する本体20の対向する内面に案内タブ44の対を含む。案内タブおよび案内チャネルの配置を逆にすることができ、他の案内面を使用することも可能であることが企図される。案内タブ44および案内チャネル64は、シールド本体50がハウジング12内で適切に位置合せされることを確実にし、ハウジング12内でのシールド本体50の軸方向の摺動運動をもたらし、望ましくは回転運動を防止または阻止する。さらに、シールド本体50は、ハウジング12の本体20内での案内タブ44の上面と締まり嵌め係合するために、シールド本体50の後端部に棚状突起66を含むことができる。別法としてまたはそれに加えて、シールド本体50は、その前端部に向かう前方肩部69を含むことができ、ハウジング12の本体20は、前方リム面48を含むことができ(
図4Dおよび
図4E)、それらの間に締まり嵌め係合をもたらす。こうした締まり嵌め係合構造により、シールド本体50は、開口部30を通ってハウジング12から完全に出るように軸方向に摺動することが防止される。
【0023】
ハウジング12およびシールド14は、それらの間に延在する、起動後にシールド14をハウジング12に対して固定関係で維持するロック構造をさらに含むことができる。たとえば、シールド本体50は、後端部54において、本体20または後部キャップ24との摩擦係合または相互嵌合係合する構造を含むことができる。たとえば、シールド本体50は、その後端部54に延在する、後部キャップ24の内面内のロック凹部29(
図5A、
図5Bおよび
図5E)と相互嵌合係合するロックフィンガ59を含むことができる。
【0024】
ランセット装置10は、ハウジング12内に配置されかつシールド14を通って延在するランセット構造体70をさらに含む。
図7A~
図7Eに示すように、ランセット構造体70は、前端部に穿刺端部74を画定するランセット72の形態で示される穿刺要素を含む。ランセット装置10の使用に関して本明細書においてさらに考察するように、ランセット構造体70は、穿刺端部74がシールド本体50内に維持されている初期作動可能(armed)位置から、穿刺端部74がシールド本体50の前方開口部60を越えて延在する穿刺位置までの間で、シールド本体50の内部空洞56を通って軸方向または長手方向に移動するように適合される。
【0025】
穿刺端部74は、患者の皮膚を穿刺するように適合され、先の尖った端部、刃先等を画定することができる。穿刺端部74は、刃の先の尖った端部が所定の向きに位置合せされる等、好ましい位置合せ向きを含むことができる。こうした実施形態では、シールド本体50および/またはハウジング12の本体20は、穿刺端部74の位置合せ向きに対応するターゲット指標を含むことができる。シールド本体50の陥凹部62および/または本体20の陥凹部42は、こうした位置合せ向きとして機能することができる。
【0026】
ランセット構造体70は、後端部にランセット72を支持するキャリア要素76をさらに含む。キャリア要素76およびシールド本体50は、ランセット構造体70を案内するための対応する案内面を含むことができる。たとえば、キャリア要素76は、その外面に案内タブ78を含むことができ、シールド本体50は、案内タブ78を内部に摺動可能に収容する、シールド本体59の内面に沿って長手方向に延在する対応する案内チャネル80(
図6Cならびに
図6Eおよび
図6F)を含む。望ましくは、キャリア要素76は、その対向する側面に案内タブ78の対を含み、シールド本体50は、案内タブ78の各々に対応する、シールド本体50の対向する内面に沿って延在する案内チャネル80の対応する対を含む。案内タブおよび案内チャネルの配置を逆にすることができ、他の案内面を使用することも可能であることが企図される。案内タブ78および案内チャネル80は、ランセット構造体70がシールド本体50内で適切に位置合せされることを確実にし、シールド本体50内でのランセット構造体70の軸方向の摺動運動をもたらし、回転運動を防止または阻止することができる。案内タブ78の底面81は、案内チャネル80の底面に当接する当接面を提供して、ランセット構造体70が、前方開口部60を通ってシールド本体50から完全に出るように軸方向に移動するのを防止する。
【0027】
図10に示すように、シールド本体50の後端部54に示す、保持ハブ90がさらに設けられる。保持ハブ90は、望ましくは、シールド本体50の後端部54内に配置または保持される別個の構造体として設けられる。たとえば、シールド本体50は、後端部54の上面内に延在する凹部68等、保持ハブ90を収容する構造を含むことができる。このように、保持ハブ90は、凹部68内に載置される。他の実施形態では、シールド本体50は、組立てを補助するように保持ハブ90を支持しかつ位置決めするための面を含むことができる。さらに、本発明の他の実施形態では、保持ハブ90の機能要素をシールド本体50上に直接成形するか、または形成することができる。
【0028】
保持ハブ90は、ランセット構造体70を、ハウジング12内に後退した初期作動可能位置に保持するレバー構造体を画定する。特に、
図8A~
図8Dに示すように、保持ハブ90は、上面に肩部94および接触面96を含む枢支レバー要素92を含み、その下面の肩部94と接触面96との間にピボットヒンジ98がある。例として、レバー要素92は、シーソーのように、支点または枢支点が力と荷重との間に配置されたクラス1のレバーを画定する。たとえば、レバー要素92の上面は、接触面96と対向する肩部94を含み、ピボットヒンジ98が、肩部94と接触面96との間の支点を提供する。このように、本明細書においてより詳細に記載するように、肩部94上に載置されているランセット構造体70によって表される荷重が、接触面96に加えられる力から分離され、ピボットヒンジ98の支点が力と荷重との間に配置される。
【0029】
図8A~
図8Dに示すように、一実施形態において、枢支される概して楔形状の構造体として、レバー要素92を設けることができ、楔の底部の点が、レバーの枢動のためのピボットヒンジ98の支点として作用する。保持ハブ90は、環状リム100を含むことができ、少なくとも1つのレバー要素92が、ピボットヒンジ98によって環状リム100上に支持され、かつそれに枢動可能にヒンジ式に接続されている。保持ハブ90は、典型的には、環状リム100の上面のその対向する側部において枢動可能にヒンジ式に接続されたレバー要素92の対を含む。本明細書では、環状リム100は、内部開口部を画定するように周方向にまたは外周部に延在する、湾曲したコーナー接続部を有する概して矩形のリング状構造体として示す。本明細書で用いる「環状」という用語は、湾曲したコーナー接続部または角のあるコーナー接続部を含む、円形であるか、湾曲しているか、または多角形である任意のリング状構造体または帯状構造体を包含するように意図される。不連続の環状構造体を有する溝付き座金またはスリップオン座金に類似した構造体等、他の環状のただし不完全なリング状構造体または帯状構造体を用い得ることも企図される。
【0030】
保持ハブ90およびランセット構造体70は、互いに締まり嵌め係合しており、それにより、保持ハブ90は、ランセット構造体70を、ハウジング12内に後退した初期作動可能位置に保持する。たとえば、キャリア要素76は、そこから横方向に延在するフィンガ82を含むことができ、フィンガ82の底面上に支持面83を含む(
図7Dおよび
図7E)。フィンガ82の支持面83は、レバー要素92の肩部94に載置され、それによりランセット構造体70と保持ハブ90との間に締まり嵌め係合がもたらされる。
【0031】
さらに、レバー要素92の接触面96は、ハウジング12内に画定された構造体と接触係合するように適合される。たとえば、ハウジング12の後部キャップ24は、一体形成されかつ少なくとも1つ望ましくは2つの対向する内側側壁上に延在する内部接触部46等、内部に延在する構造体を含むことができる(
図5B、
図5Cおよび
図5E)。各々の内部接触部46は、カム面を形成する、レバー要素92の接触面96との接触係合する係合面47を含む。1つの実施形態において、接触面96は、略ロッド形状部分97を含み、後部キャップ24の内面は、内壁面上にかつ内壁面の各々の対向する側部上に互いに隣接するように延在する内部接触部46の対を含む。このように、内部接触部46の対が、接触面96のロッド形状部分97の両端に係合し、それにより、レバー要素92の枢動中、ロッド形状部分97の外周部に連続的なカム状接触面が提供される。
図8Eに示す代替的な実施形態では、接触面96は、上述した略ロッド形状部分とは対照的に、面取り部分を形成する角度付き面197を含むことができる。角度付き面197により形成されたこのような面取り部分は、従来の射出成形手順で保持ハブ90を形成する成形作業において特に有用である。こうした実施形態では、後部キャップ24の内部接触部46の対が、接触面96の角度付き面197により形成された面取り部分の両端に係合し、上述したようなカム状接触面を提供する。
【0032】
さらに、レバー要素92は、典型的には、ランセット装置10およびランセット構造体70の移動方向を概して画定する略長手方向軸Aに対する断面で環状リム100を切開する、
図8Dにおいて面Yに示す面の一方の側に配置される。このように、レバー要素92が外側に枢動するとき、ピボットヒンジ98により画定される支点等の支点は、環状リム100の上面等の面Yの上方に低い断面二次モーメントを表し、レバー要素92、すなわちピボットヒンジ98の塑性変形を引き起こす。こうした塑性変形は、恒久的な可能性があり、それにより、レバー要素は、枢動後にその形状および位置を維持する。
【0033】
ランセット装置10を通るランセット構造体70の移動は、駆動ばね102により与えられる付勢力によって達成される(
図11C~
図18)。駆動ばね102は、ランセット構造体70に対して付勢力をかけて、ランセット構造体70を、装置を通して穿刺位置に向かわせるように適合され、ハウジング12の後端部とランセット構造体70との間に配置され得る。駆動ばね102は、ハウジング12の後端部とランセット構造体70との間に収容される別個の要素とすることができ、またはハウジング12および/もしくはランセット構造体70の一方もしくは両方と一体形成することができる。後部キャップ24は、駆動ばね102を適切な向きに位置合せしかつ/または維持する構造を含むことができる。
図13において、たとえば、後部キャップ24は、駆動ばね102を収容する位置合せナブ(nub)104を含むことができる。ランセット構造体70はまた、ランセット構造体70のキャリア要素76から延在する後部ナブ86等、駆動ばね102の反対側の端部を収容する面または構造体を含むこともできる。駆動ばね102は、後部キャップ24の位置合せナブ104とキャリア要素76の後部ナブ86との間に延在する。ランセット構造体70が作動可能位置にあるとき、駆動ばね102は、ハウジング12の後端部とランセット構造体70との間等においてランセット構造体に対して力をかけ、ランセット構造体70を穿刺位置に向かって付勢する。シールド本体50およびレバー要素92は、駆動ばね102によってランセット構造体70および肩部94に対して加えられる付勢力に関わらず、レバー要素92がピボットヒンジ98の周囲に反対方向に枢動するのを防止する相互係合構造を含むことができる。たとえば、楔形状のレバー要素92から形成された底部の角度付き面99(
図8C~
図8E)は、シールド本体50の後端部54における対応する角度付きナブ55(
図6Dおよび
図6F)と係合しかつそれに当接することができる。こうした相互係合面は、駆動ばね102から加えられるいかなる力も、反対方向、すなわち肩部94がシールド本体50の内部空洞56内に下方に枢動する方向に、レバー要素92をピボットヒンジ98の周囲で枢動させることを防止する。任意選択的にまたはそれに加えて、上述したようなピボットヒンジ98の塑性変形を恒久的なものとすることができ、それにより、レバー要素92が反対方向に自動的に枢動することが防止され、ランセット構造体70を、作動後に肩部94上に載置されている作動前状態に再設定することができる。
【0034】
図3を参照すると、ランセット装置10の前端部に引戻しばね110をさらに設けることができ、それは、ランセット構造体70が穿刺位置に軸方向に移動した後に、ランセット構造体70をシールド本体50内に後退させる。引戻しばね110は、典型的には、ランセット構造体70のキャリア要素76の前面とシールド本体50の前端壁58内の内面との間に延在する。引戻しばね110は、典型的には圧縮ばねであり、圧縮状態にあるときにエネルギーを蓄積することができる。
【0035】
図1を参照すると、ランセット装置10は、ランセット装置10を使用前に保護するように覆う保護カバー120をさらに含むことができる。保護カバー120は、ランセット装置10の前端部に関連付けられたタブ部材122を含むことができ、シールド本体50の前端壁58の滅菌状態を維持する。
図9A~
図9Fを参照すると、タブ部材122は、前方タブ部分124および垂下スカート126を含むことができる。垂下スカート126は、シールド本体50の前端部52と協働するように適合され、概して前端部52を取り囲むかまたは封入する。垂下スカート126は、ハウジング12の本体20の前端部22にも接触する。このように、タブ部材122は、本体20の前方開口部30およびシールド本体50の前方開口部60を閉鎖する。さらに、こうした構成は、本体20およびシールド本体50のそれぞれの前端部を互いに対して固定関係で維持し、それにより、ランセット装置10の時期尚早な起動を引き起こす可能性がある、それらの間の移動が防止される。
【0036】
保護カバー120の一部が、シールド本体50内に延在して、穿刺要素の少なくとも一部を取り囲むことができる。たとえば、
図11Dに示すように、柱部分130が、シールド本体50の前方開口部60を通って、その内部空洞56内に延在して、穿刺要素、すなわちランセット72の少なくとも一部を保護するように包囲しかつ取り囲む。柱部分130およびタブ部材122は、一緒に取り付けられるか、または他の方法で保持される別個の要素とすることができる。たとえば、タブ部材122は、内部を通して柱部分130を収容する内部開口部を含むことができる。
図7A~
図7Eを概して参照すると、柱部分130をランセット構造体70のキャリア要素76と一体形成し、ランセット72を完全に取り囲むことができ、それにより、使用前にランセット72の滅菌状態が維持される。柱部分130およびキャリア要素76は、それらの間の接合部に切欠き部分132を含むことができ、それは柱部分130を除去し、ランセット72を露出させるための破断点を提供する。別法として、剥離可能な医療グレード接着剤等を用いて、医療分野において慣例的な方法によって、柱部分130をランセット72に直接固定することができる。
【0037】
一実施形態では、後部キャップ24およびハウジング本体20は、嵌合する別個の構造体であり、ハウジング本体20がハウジング12の前部を形成し、後部キャップ24がハウジング12の実質的な後部を形成する。より詳細には、後部キャップ24は、ハウジングおよび後部キャップを合わせた完全な長手方向の長さによって測定したとき、ハウジング12をおよそ半分に分割する位置でハウジング本体20と嵌合する、ハウジング12のおよそ半分等のハウジング12の相当の部分を構成することができる。こうした構成により、ランセット装置10の簡略化された組立てが可能になり、それは、シールド14、ランセット構造体70、ならびに保持ハブ90、駆動ばね102、および任意選択的に引戻しばね110を含む保持要素および係合要素を含む内部構成要素を、ハウジング本体20内にその後端部から挿入することができ、挿入するために小さいサイズのハウジング本体20によって隙間を形成する必要がほとんどないためである。さらに、挿入後、ハウジング12全体に対して相対的に小さいサイズのハウジング本体20が提供する小さい隙間のために、こうした内部要素を容易に見ることができ、それによって、適切な位置合せを容易に視覚的に確保することができる。さらに、次いで、ハウジング12内の保持ハブ90の実質的に周縁の場所等の内部機能構成要素に隣接した場所において、後部キャップ24をハウジング本体20に取り付けることができる。また、ハウジング本体20および後部キャップ24は、ハウジング12の全長の実質的中間点で嵌合することができ、各々、ハウジング12の半分を実質的に画定する。このように、ハウジング本体20および後部キャップ24の嵌合により、つまみ用陥凹部37、38が実質的に分けられまたは二分される。
【0038】
本発明のランセット装置のそれぞれの要素はすべて、典型的には、医療グレードのプラスチック材料等の成形プラスチック材料で形成される。ランセット72は、皮膚を穿刺するように適合された任意の好適な材料から構成することができ、典型的には、ステンレス鋼等の外科グレード金属である。
【0039】
ここで、概して
図1~
図18、特に
図11Dおよび
図12~
図18を参照して、ランセット装置10の使用について説明する。使用前に、保護カバー120がシールド14をその前端部で覆っている状態で、
図1および
図11Dに示すようなランセット装置10が提供される。ランセット装置10、特にランセット構造体70は、初期作動前状態にあり、キャリア要素76のフィンガ82が、それと締まり嵌め係合しているレバー要素92の肩部94に当接し、またはその上に載置されている。このように、保持ハブ90のレバー要素92は、ハウジング12内のこの作動前位置にランセット構造体70を維持し、特に穿刺端部74をシールド本体50内に後退した状態で維持する。さらに、駆動ばね102が、ランセット構造体70とハウジング12の後部キャップ24との間に延在している。この作動前位置において、駆動ばね102は、弛緩状態である場合もあれば、完全に圧縮された状態である場合もある。より望ましくは、駆動ばね102は、この作動前位置において部分的に圧縮された状態にあり、後部キャップ24とランセット構造体70との間に付勢力をかけ、フィンガ82と肩部94との間の締まり嵌め係合が、こうした付勢力に抗してランセット構造体70を維持する。さらに、底部の角度付き面99と角度付きナブ55との間の相互係合面は、レバー要素92が、反対方向に枢動することを防止し、それによりランセット構造体70をシールド本体50内に押し通す。また、この状態において、保護カバー120が、ハウジング12に対するシールド14のあらゆる軸方向の移動を防止し、それによってランセット装置10の作動が防止される。
【0040】
使用に向けてランセットアセンブリを準備するために、使用者は、ハウジング12を、対向する側部35、36において親指ともう1本の指との間等で把持し、
図2に示すように前端部から保護カバー120を取り除き、それにより、ハウジング12の本体20の前端部から延在しているシールド本体50を露出させる。パドル形状の部材を含める等により、タブ部材122の前方タブ部分124を人間工学的に形成して、使用者が、タブ部材122を容易に操作しかつ必要な力またはトルクを加えて、垂下スカート126をシールド本体50の前端部52との摩擦係合から解放し、かつ切欠き132において柱部分130をキャリア要素76から破断させ、それによりランセット72から柱部分130を解放することができる。加えられる破断力は、本発明に従ったものであり、柱部分130とキャリア要素76との間の結合を破断し、垂下スカート126とシールド本体50との間の摩擦係合を解除するように適用される、個別のねじれ運動もしくは引張り運動、または組み合わされた「ねじれ」(すなわち、回転)運動および「引張り」運動とすることができる。
【0041】
次に、シールド本体50の前端壁58を、
図13に示すような患者の皮膚表面S等、血流を開始させることが望まれる使用者の身体、または別人の身体の場所に接触させることができる。設けられる場合、陥凹部62のようなターゲット指標を所望の穿刺位置と位置合せすることができる。
【0042】
身体に接して配置されると、使用者は、ハウジング12に下向きの力をかけ、シールド本体50を皮膚表面Sに押し付ける。特に、使用者は、後部キャップ24の後部つまみ用陥凹部39に矢印Xの方向の力を加え、それにより皮膚表面Sに力を加える。こうした力は、シールド本体50の前端壁58とハウジング12の後部キャップ24との間に対向する外部圧力を確立し、シールド本体50をハウジング12内に軸方向に移動させ、それによりシールド本体50の後端部54を後部キャップ24に向かって変位させる。案内タブ44および案内チャネル64によって提供される対応する案内面は、シールド本体50を、ハウジング12の本体20を通して軸方向に案内し、これらの間の適切な軸方向の位置合せを確実にする。
【0043】
保持ハブ90はシールド本体50の後端部54に隣接しているため、後部キャップ24の方向へのシールド本体50の後端部54のこうした変位は、後部キャップ24に向かう保持ハブ90の対応する後方移動を引き起こす。さらに、保持ハブ90のレバー要素92の肩部94とランセット構造体70のキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合により、後部キャップ24に向かうランセット構造体70の対応する後方移動が引き起こされる。こうした移動により、駆動ばね102が圧縮される。初期作動前位置において駆動ばね102が弛緩状態にある実施形態では、駆動ばね102のこの圧縮によって、シールド本体50を通してランセット構造体70を穿刺位置まで軸方向前方に押し進めるのに十分な付勢力で駆動ばね102が作動状態になり、それにより、ランセット構造体70が作動可能位置になる。しかしながら、この時点で、ランセット構造体70は、フィンガ82と肩部94との間の締まり嵌め係合のために、穿刺端部74がシールド本体50内に後退するように依然として維持されている。初期作動前位置において駆動ばね102が部分的に圧縮された状態にある実施形態では、この駆動ばね102の圧縮により、シールド本体50を通してランセット構造体70を穿刺位置まで軸方向前方に完全に押し進めるのに十分な付加的な付勢ポテンシャルエネルギーで、駆動ばね102がさらに作動状態になる。この場合にも、この作動前の作動可能位置において、ランセット構造体70は、フィンガ82と肩部94との間の締まり嵌め係合に基づいて、穿刺端部74がシールド本体50内に後退するように依然として維持される。
【0044】
こうした後部キャップ24に向かうシールド本体50の軸方向または長手方向の移動中、キャリア要素76のフィンガ82がレバー要素92の肩部94上に載置された状態で、保持ハブ90も後部キャップ24に向かって後方に(すなわち基端側に)変位する。
図13~
図14に示すように、こうした保持ハブ90の後方の移動により、後部キャップ24内の内部接触部46の係合面47のカム面が、ロッド形状部分97等のレバー要素92の対応する接触面96と係合し、協働する。したがって、対応するカム接触面が、ランセット装置10に対するアクチュエータ要素を提供する。レバー要素92が楔形状の輪郭であるために、こうした係合および協働により、レバー要素92が、環状リム100に対してピボットヒンジ98の周囲で枢動する。特に、肩部94が、環状リム100の概して半径方向内側に延在し、接触面96が概して環状リム100の外周部にある状態で、係合面47は、環状リム100の外周部において接触面96、特にロッド形状部分97と係合し、それにより、接触面96および肩部94を傾けることによって、レバー要素92がピボットヒンジ98の支点を中心に枢動し、ランセット構造体70を、環状リム100を通して、シールド本体50の内部空洞56内に解放する。
【0045】
こうした係合により、ランセット装置が作動する。特に、ピボットヒンジ98の周囲でレバー要素92が枢動することにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより駆動ばね102をさらに圧縮し、かつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47がロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それによって、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、ハウジング12およびシールド本体50を通して軸方向に後部キャップ24から離れるように下方に押し進められる。こうした移動中、対応する案内タブ78および案内チャネル80が、シールド本体50を通してランセット構造体70を軸方向に案内する。さらに、シールド本体50は、そこを通るこうした軸方向の移動の間、ランセット構造体70のフィンガ82と位置合せされかつそれを摺動関係で収容するように適合された追加のチャネルをさらに含むことができる。
【0046】
したがって、レバー要素92の枢動をもたらす係合面47と接触面96との間の締まり嵌め係合接触またはカム係合接触によって、ランセット装置10の作動が達成される。上述したように、こうした枢動は、ランセット構造体70を作動可能状態またはさらに作動可能状態にするための駆動ばね102の圧縮と、ランセット構造体70を作動前位置、すなわち作動可能位置に維持する締まり嵌め係合の連続した解除との両方をもたらす。したがって、ランセット装置10の作動により、装置の単一の動きによって、ランセット構造体を連続的に作動可能状態にしかつそれを解放することが達成される。さらに、こうして連続的に作動可能状態にしかつ解放することには、ハウジング12と枢動するレバー要素92との間の相互係合接触面の移動のみが必要である。したがって、互いに対する相互係合面の移動のための何らかの機構が与えられる限り、軸方向に移動可能なシールドが含まれているか否かに関わらず、このように連続的に作動可能状態にしかつ解放することを達成できることが企図される。
【0047】
たとえば、
図19は、本発明の代替実施形態におけるランセット装置10aの断面図を示す。この実施形態において、押しボタン25a等の作動要素を含むアクチュエータによって作動が達成される。特に、ハウジング12aが、本体20aおよび後部キャップ24aによって画定されている。押しボタン25aは、後部キャップ24aにおいてハウジング12aを通りその内部の内部空洞28a内に延在している。押しボタン25aをハウジング12a内に軸方向に移動させ、それによって、ハウジング12a内の押しボタン25aの前端部にある1つまたは複数の係合面47aが、レバー要素92aの対応する接触面96aに接触し、それによってレバー要素92aがピボットヒンジ98aの周囲で枢動することによって、ランセット装置10aの作動が達成される。上述した実施形態におけるように、こうした接触および枢動により、キャリア要素76aの支持面83aとレバー要素92aの肩部94aとの間の締まり嵌め係合が解除され、それにより、駆動ばね102aがハウジング12aを通してランセット72aを穿刺位置に押し進めることができる。押しボタン25a内の位置合せナブ104aによって、駆動ばね102aをキャリア要素76aと押しボタン25aとの間に維持することができる。別法として、キャリア要素とハウジングの後端部との間に駆動ばねを維持し、押しボタン要素がハウジングを通って延在して枢動作動を引き起こすことができる。
【0048】
図17に示すような作動に戻ると、駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70がシールド本体50を通して穿刺位置まで押し進められ、穿刺位置では、ランセット72の穿刺端部74は、穿刺端部74が皮膚表面Sを穿刺するのを可能にするのに十分な距離にわたり、前端壁58を通る前方開口部60を通って延在する。シールド本体50内の案内チャネル80の底面81は、このように押し進められる間、ランセット構造体70が前方開口部60を通ってシールド本体50から出るように完全に軸方向に移動するのを防止するように、案内タブ78に対する当接面を提供する。さらに、このように押し進められる間、キャリア要素76の前面88が、引戻しばね110の後端部と接触し、引戻しばね110は、シールド本体50の前端部52内に、望ましくはランセット装置の作動前状態および/または作動可能状態における弛緩された状態に保持される。駆動ばね102の付勢からの推進力により、引戻しばね110とのこうした接触がもたらされ、それにより、引戻しばね110を、ランセット構造体70の前面88とシールド本体50の前端壁58の内部との間で圧縮する。引戻しばね110の構造は、ランセット構造体70を押し進める駆動ばね102の付勢力に基づいて、ランセット72の穿刺端部74が前方開口部60を通って延在するのを可能にするように圧縮可能であるように設計される。さらに、引戻しばね110は圧縮ばねであり、したがって、このように圧縮されることが可能であるが、ランセット構造体70が穿刺位置まで伸長した後に弛緩状態に戻るのに十分な弾性を有する。したがって、駆動ばね102がランセット構造体70を穿刺位置に駆動した後、弛緩状態にあるときのシールド本体50の前端壁58とランセット構造体70との間の圧縮ばね110の付勢力は、ハウジング12の後部キャップ24とランセット構造体70の後部ナブ86との間に作用する駆動ばね102の付勢力を超える。このように、引戻しばね110は、非圧縮状態まで弛緩し、したがって、ランセット構造体70の前面88と前端壁58の内面との間に付勢力を加え、それによって、ランセット構造体70を後部キャップ24に向かって後方に押す。こうした付勢力が、ランセット72の穿刺端部74が前方開口部60を通して露出することから遮蔽される位置まで、シールド本体50内にランセット72の穿刺端部74を後退させる。さらに、駆動ばね102と引戻しばね110との間に作用する対向する力、およびそれらの構造に基づいたこうしたばねのそれぞれの力により、穿刺端部74がシールド本体50内に遮蔽された状態でランセット構造体70がハウジング12内に配置されて保持され、ランセット構造体70が穿刺位置までさらに移動するのが防止される。
【0049】
さらに、ランセット装置の起動後、すなわち、穿刺位置の後にランセット構造体70がハウジング12内に後退した後、シールド本体50およびハウジング12を固定関係でロックすることができる。特に、シールド本体50が後部キャップ24に向かって軸方向に変位すると、ロックフィンガ59が偏向して、それぞれの凹部29内でロックし、それによって、シールド本体50が後部キャップ24およびハウジング12に対して後方位置でロックされ得る。したがって、ランセット装置10は、再使用されないように安全に保護され、適切な医療用ごみ容器内等に適切に廃棄され得る。
【0050】
図20~
図22を参照すると、ランセット装置は、変更版の保持ハブ90iを含むことができる。
図20は、保持ハブ90iを上述したようなランセット装置10の一部として示し、
図20~
図22に示す同様の参照番号は
図1~
図18と関連して説明した同様の要素を指す。保持ハブ90iは、概して、環状形状を画定し、ランセット構造体70を、本体20および後部キャップ24によって画定されるハウジング内に後退した初期作動可能位置に維持するように適合される。保持ハブ90iは、典型的には、2つの枢動するカム要素92iによって接続された2つの対向する細長い支持部材91iを含み、保持ハブ90iの環状形状を形成する。カム要素92iは各々、対向する支持部材91iと枢動可能に係合する2つの外側に延在するシャフト93iを含む。カム要素92iは各々、上面に上部接触面96iを画定する、少なくとも1つの典型的には楔形状の接触要素94iをさらに含む。カム要素92iは各々、底部側に画定された、概して中央に配置された凹部または切取り部100iをさらに画定する。凹部100iの目的について、本明細書では、ランセット装置10における保持ハブ90iの動作に関連して説明する。
図21Aおよび
図22に示すように、カム要素92iは、望ましくは、各々、カム要素92iの概して両端に配置された2つの接触要素94iを含み、凹部100iは、接触要素94i間のカム要素92iの底部側に画定される。
【0051】
この実施形態のランセット装置では、保持ハブ90iおよびランセット構造体70は互いに締まり嵌め係合しており、それにより、保持ハブ90iは、ランセット構造体70を、ハウジング内に後退した初期作動可能状態で保持する。たとえば、キャリア要素76のフィンガ82は、カム要素92iの上部側に載置されることができ、それによりランセット構造体70と保持ハブ90iとの間に締まり嵌め係合をもたらす。さらに、接触要素94iの上部接触面96iは、ハウジング内の構造体と接触係合するように適合され得る。たとえば、後部キャップ24は、一体形成されかつその少なくとも1つ、望ましくは2つの対向する内部側壁に延在する内部接触部46等、内部に延在する構造体を含むことができる。保持ハブ90iは、典型的には、各カム要素92iに2つの接触要素94iを含むため、ハウジングの2つの対向する内部側壁の各々に、上述した接触部46のような2つの内部接触部を設けることができる。各内部接触部は、接触要素94iの対応する接触面96iと接触係合する上述したカム面47等の先端側係合カム面を含む。
【0052】
図20~
図22のランセット装置の通常の動作中、後部キャップ24に向かうシールド本体50の軸方向または長手方向の移動により、キャリア要素76のフィンガ82がカム要素92i上に載置された状態で、保持ハブ90iが後部キャップ24に向かって後方に変位する。保持ハブ90iのこうした後方移動により、後部キャップ24内の内部接触部の係合カム面の接触面が、カム要素92iの接触要素94i上の対応する接触面96iと係合しかつそれと協働する。内部接触部がこのように係合し、引き続き下方または先端側に移動することにより、カム要素92iが、支持部材91iに対してシャフト93i上で枢動するか、またはシャフト93iの周囲を回転する。接触要素94iが概して楔形状の輪郭であるため、カム要素92iの枢動は、少なくともキャリア要素76の後部ナブ86が後部キャップ24の内側に接触する箇所まで、フィンガ82をさらに「持ち上げること」によって駆動ばね102をさらに圧縮する効果を有する。この時点で、シールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向または長手方向に移動し続けることにより、カム要素92iは、カム要素92iの底部側に画定された凹部100iがフィンガ82と概して位置合せされた位置まで回転し、その時点で、フィンガ82とカム要素92iとの間の締まり嵌め係合がこうした位置合せにより解除される位置まで枢動される。次に、駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70が、後部キャップ24から離れるように、ハウジングを通して軸方向に、かつ保持ハブ90iによって画定される環状開口部を通して軸方向にシールド本体50を通して、下方に押し進められる。
【0053】
図23A~
図23Dを参照すると、さらなる実施形態において、ランセット装置のさらなる変形形態または変更形態が概して示されている。
図23A~
図23Dの実施形態では、ランセット装置200の形態の穿刺装置が示されている。ランセット装置200は、概して、ハウジング211と、ハウジング211内に部分的に受け入れられかつハウジング211に対して軸方向に移動可能なシールド213と、ハウジング211内に配置された(上述したランセット構造体70と同様であり得る)皮膚穿刺アセンブリ215とを含む。ハウジング211は、好ましくは、先端部216および基端部218を有する概して管状の構造体であり、本体20および後部キャップ24を含む、
図1~
図18に関連して上述したハウジング12と同様の構造体を含むことができる。望ましくは、ハウジング211は、先端部216および基端部218において端部が開放している。ハウジング211の基端部218を閉鎖するように、ハウジング211の基端部218にエンドキャップ240を設けることができる。別法として、ハウジング211は、エンドキャップ240の代わりに閉鎖した基端部218を有するように形成することができる。こうした実施形態において、ハウジング211の閉鎖した基端部218は、穿刺装置200のこの変形形態におけるハウジング211の本体の残りの部分と一体形成される。皮膚穿刺アセンブリ215は、キャリア部材250に接続された保護チップガード282をさらに含むことができる。チップガード282は、キャリア部材250の本体と一体形成することができ、上述した保護カバー120と同様にキャリア部材250との切欠き接続部を含むことができる。
【0054】
シールド213の基端部244上に撓み部材238が形成されるか、または設けられる。撓み部材238は、
図1~
図18と関連して上述した実施形態の枢支レバー要素および保持ハブと同様に作用する、ランセット構造体をハウジング内に後退した初期作動可能位置に保持するための構造を画定する。たとえば、撓み部材238の突起部276は、皮膚穿刺アセンブリ215のキャリア部材250と係合または協働するように内側に延在する。突起部276は、キャリア部材250に画定されたまたは形成された周方向凹部210に係合するか、またはその中に延在する。この凹部210は、撓み部材238の突起部276が係合する周方向縁部212を画定する。
図23A~
図23Dに示すランセット装置200の突起部276の係合縁部277は、突起部276の各々の半径方向内側に延在するタブ214によって形成または画定される。係合縁部277は、
図1~
図18を参照して上述した肩部94と同様の方法で作用し、荷重は、係合縁部277に載置されている皮膚穿刺アセンブリ215によって表される。
【0055】
突起部276は、ハウジング211内へのシールド213の軸方向変位によってキャリア部材250との係合が解除されるまで、キャリア部材250、したがって皮膚穿刺アセンブリ215を後退位置に維持する。ランセット装置200の作動前状態において、駆動ばね270の付勢力は、突起部276によって、かつハウジング211の先端部216に設けられた締まり嵌め構造体とのシールド213の先端部242の係合によって抑制される。特に、シールド213はハウジング211内に軸方向または長手方向に移動可能または変位可能であるが、シールド213は、シールド213に形成された縁部217によって、ハウジング211に対して先端側に移動することが防止される。縁部217は、増大した壁厚を有するシールド213の部分219によって形成されるか、または画定される。縁部217は、ハウジング211の先端部216に形成された内部リップ220と協働または係合して、駆動ばね270の力を抑制する。リップ220との縁部217の係合により、撓み部材238がキャリア部材250を後退位置に維持し、駆動ばね270の力を抑制することができる。特に、ランセット装置200の作動前状態において、駆動ばね270の力は、突起部276を介してシールド213の本体に伝達され、それによって、シールド213の縁部217がリップ220と係合し、駆動ばね270の力を抑制する。
【0056】
撓み部材238は、(
図1~
図18を参照して上述した実施形態における内部接触部46と同様の)1つまたは複数の作動部材222によって、キャリア部材250との係合が解除されるように適合される。作動部材222は、エンドキャップ240と一体形成することができ、またはエンドキャップ240とは別個に形成し、たとえば、接着剤を用いてエンドキャップ240に固定することができる。作動部材222は、穿刺装置200を作動させるために、撓み部材238のテーパ状カム面278と協働または係合するように適合された、(係合面47と同様の)テーパ状カム面224を含む。特に、
図23A~
図23Dに示す穿刺装置200を作動させるために、使用者、典型的には医師は、シールド213の先端部242を、血液サンプルが採取されるべき身体部分と接触させて配置し、
図23A~
図23Dの矢印226の方向に圧力を加えて、シールド213をハウジング211内に基端側に移動させる。ハウジング211内へのシールド213の移動により、撓み部材238および作動部材222上の対向するカム面278、224がそれぞれ係合しかつ相互作用する。
図23Cおよび
図23Dに示すように、シールド213がハウジング211内に変位または移動するに従い、対向するカム面278、224の相互作用のために、撓み部材238が半径方向外側に撓む。撓み部材238は、所定の距離、回転角度、または量だけ半径方向外側に撓むと、曲がるかまたは破断するように適合または構成され得る。たとえば、撓み部材238は、切込み線等の脆弱領域228を有するように形成され、それにより、撓み部材238は、所定の距離または所定の程度の回転だけ半径方向外側に撓むと破断する。さらに、脆弱領域228は、上述したピボットヒンジ98と同様にヒンジとして作用することができる。
【0057】
撓み部材238のこうした移動中、突起部276は、後部エンドキャップ240に向かって傾斜し、それにより、キャリア部材250を後部エンドキャップ240に向かって「持ち上げ」または移動させ、駆動ばね270を圧縮するかまたはさらに圧縮する。撓み部材238上の突起部276がキャリア部材250との係合から解除されると、駆動ばね270は、キャリア部材250を後退位置から穿刺位置まで自由に移動させることができる。撓み部材238がキャリア部材250との係合から解除されると、駆動ばね270は、好ましくは、皮膚穿刺要素215の鋭利な先端チップ254が人または動物の皮膚を穿刺するのに十分に蓄積されたエネルギーを有する。
【0058】
キャリア部材250が先端側に移動し、皮膚穿刺要素215の鋭利な先端チップ254が完全に露出する穿刺位置に達すると、
図1~
図18を参照して上述した引戻しばね110と同様に、引戻しばね274が、キャリア部材250とシールド213の先端部242との間で圧縮される。引戻しばね274の圧縮により、キャリア部材250に作用してハウジング211においてキャリア部材250を戻り方向、基端方向、または後退方向に移動させる戻し力または引戻し力がもたらされ、それにより、皮膚穿刺要素215およびその鋭利な先端チップ254がハウジング211およびシールド213内に完全に戻るかまたは後退する。その後、引戻しばね274は、ハウジング211およびシールド213からの皮膚穿刺要素215の再出現を防止する。
【0059】
図24および
図25は、本開示のウィッキング材料およびランセット装置の例示的な実施形態を示す。本開示のこの実施形態は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する、医療分野において使用されるランセット装置10Bおよびウィッキング材料300である。ランセット装置10Bは、ランセット装置10Bの一部として、血液の第1液滴の除去を補助するウィッキング材料300を含み、それにより、血液検査結果がより正確なものとなるように患者が第1液滴除プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図24および
図25に示すランセット装置10Bは、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、ランセット装置10に関して上述したものと同じ参照番号によって示す。明確にするために、これらの同様の構成要素とランセット装置10B(
図24および
図25)を用いる同様のステップとについては、
図24および
図25に示す実施形態とともにすべては考察しない。
図24~
図34の例示的な実施形態は、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含むように示されているが、本開示のウィッキング材料システムは、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する任意のランセット装置で利用することができる。
【0060】
本開示のウィッキング材料300は、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を吸収し吸い取ることが重要である。いくつかの実施形態では、血糖のセルフモニタリングが糖尿病治療の重要な部分である。患者は、食事、運動および薬剤に関して適切な判断を行うことができるように、患者の体内の血糖濃度を適時にかつ確実に評価するために血液サンプルを得る必要がある。患者が、除去される血液の第1液滴から血液サンプルを得て、自らの手を適切に洗浄しない場合、採取された血液サンプルの完全性に著しい誤差がもたらされる可能性がある。手洗いが行われない場合、検査されている血液の第2液滴は、血糖値に対して検査されている血液の第1液滴より正確であることが分かった。さらに、血液サンプルを採取する前に患者が果物等の食物を扱う状況では、果物からの過剰な糖分のために血液検査が不正確になる可能性がある。過剰な糖分を有する食物を扱うとき、検査されている血液の第2液滴は、血糖値に対して検査されている血液の第1液滴より正確であることが分かった。これらの理由で、本開示のランセット装置は、血液検査結果をより正確なものとするように患者が第1液滴除去プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0061】
一実施形態では、ウィッキング材料300は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができる材料から作製される。たとえば、ウィッキング材料300は、コットンガーゼ、ウィッキング紙、プレス紙材料、吸収繊維、およびウィッキング特性を有するさまざまなプラスチック等のさまざまな吸収材料から形成することができる。ウィッキング材料300を作製するために使用される材料の重要な特性は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収し得ることである。一実施形態では、ウィッキング材料300はまた、より詳細に後述するように、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺されることが可能な材料から作製される。
【0062】
図3および
図24を参照すると、一実施形態では、シールド14は、ハウジング12の前端部を通って開口部30から外側に延在している。シールド14は、前端部52と後端部54との間に延在するシールド本体50を画定し、内部を通して延在する内部空洞56を画定する、概して円筒状の中空構造体である。シールド本体50の前端部52は、貫通する前方開口部60を含む前端壁58を画定し、使用者がランセット装置10を作動させると、穿刺要素がそこを通って延在する。前端壁58は、概して、先端開口部60の周囲に、穿刺要素によって穿刺されるべき使用者の身体の意図された部位と接触する小さい接触領域を画定する。シールド14に形成される複数の周縁陥凹部62を設けることによって、縮小された接触領域をより小さく、すなわち面積を縮小することができる。周縁陥凹部62はまた、使用者が、概してランセット装置10の照準を定め、特にランセットの穿刺要素の照準を定める際に視覚的に補助するターゲット指標も提供することができる。周縁陥凹部62は、概して、ハウジング12に設けられた周縁陥凹部42に類似している。周縁陥凹部42は、シールド14の外周部に配置され、シールド14の周囲に等しく間隔を空けて配置され得る。周縁陥凹部42により、使用者は、穿刺要素のおよその吐出点の位置を容易に視覚的に特定することができ、それにより、ランセット装置10の照準特性が改善され、皮膚穿刺操作中に最適な血流が確保される。
【0063】
図24を参照すると、ランセット装置10Bは、シールド本体50の前端壁58等において、ランセット構造体70の開口部60の内部に配置されたウィッキング材料300を含む。ウィッキング材料300は、シールド本体50の前端壁58において開口部60内に固定可能であり、すなわち、ウィッキング材料300は、ランセット装置10Bの起動時にランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるように、シールド本体50の前端壁58の開口部60内に固定可能である。一実施形態では、シールド本体50の前端壁58の内壁61には、
図24に示すように、シールド本体50の前端壁58において開口部60内にウィッキング材料300を取り付けるための接着剤がコーティングされている。このように、シールド本体50の前端壁58の内壁61に、ウィッキング材料300を押圧することができ、接着剤は、シールド本体50の前端壁58の内壁61にウィッキング材料300を取り付ける。他の実施形態では、シールド本体50の前端壁58の内壁61は、シールド本体50の前端壁58における開口部60内にウィッキング材料300を固定する他の接続機構を含むことができる。別の実施形態では、ウィッキング材料300をランセット構造体70の一部と同時に形成することができる。
【0064】
ランセット装置10Bの作動は、上述したものと同様に達成される。上述したように、使用時、ランセット構造体70は、作動前位置に維持され、すなわち、フィンガ82と肩部94との間の締まり嵌め係合のために、
図24に示すように、ランセット構造体70の穿刺端部74は、シールド本体50およびハウジング12内に後退し遮蔽されて維持される。ランセット装置の作動中、ピボットヒンジ98を中心としてレバー要素92を枢動させることにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより、駆動ばね102をさらに圧縮しかつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47が、ロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それによって、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300を通って軸方向に下方に押し進められる。
図25に示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、ウィッキング材料300を貫通し、患者から血液サンプルを得るように患者の皮膚Sを穿刺する。
【0065】
図25を参照すると、ランセット構造体70の穿刺端部74が患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sに穿刺している状態で、ウィッキング材料300は、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触している。このように、ウィッキング材料300は、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を自動的に吸収しかつ吸い取る。重要なことには、ランセット装置10Bにより、ウィッキング材料300が、いかなる追加のステップもなしに、患者の皮膚Sを穿刺するランセット装置10Bの通常動作中に、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を自動的に吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Bは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0066】
図26A、
図26Bおよび
図29A~
図30Bは、本開示のランセット装置の別の例示的な実施形態を示す。
図1~
図23Dに示す実施形態と同様の本開示のこの実施形態は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する、医療分野で使用されるランセット装置10Cである。ランセット装置10Cは、ランセット装置10Cの一部として、血液の第1液滴の除去を補助するウィッキング材料300Cを含み、それにより、血液検査結果がより正確なものとなるように患者が第1液滴除プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図26A、
図26Bおよび
図29A~
図30Bに示すランセット装置10Cは、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、ランセット装置10に関して上述したものと同じ参照番号によって示す。明確にするために、これらの同様の構成要素とランセット装置10C(
図26A、
図26Bおよび
図29A~
図30B)を用いる同様のステップとについては、
図26A、
図26Bおよび
図29A~
図30Bに示す実施形態とともにすべては考察しない。
【0067】
図26Aを参照すると、ランセット装置10Cは、後部キャップ24の最後部331内に凹部または空洞302を含む。一実施形態では、空洞302は、ウィッキング材料300Cを収容することができる。
図26Aは、概して矩形状の空洞として空洞302を示すが、他の形状およびサイズの空洞302を用い得ることが企図される。空洞302は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料を格納することができる任意の形状およびサイズであり得る。別の実施形態では、後部キャップ24の最後部331は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Cから形成することができる。
【0068】
一実施形態では、空洞302は、ウィッキング材料300Cを収容することができる。上述したように、ウィッキング材料300Cは、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができる材料から作製される。たとえば、ウィッキング材料300Cは、コットンガーゼ、ウィッキング紙、プレス紙材料、吸収繊維、およびウィッキング特性を有するさまざまなプラスチック等のさまざまな吸収材料から形成することができる。ウィッキング材料300Cを作製するために使用される材料の重要な特性は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収し得ることである。
【0069】
図26Aを参照すると、一実施形態では、最後部331上にキャップを含めることができる。こうした実施形態では、ウィッキング材料は、こうしたキャップの内側に配置することができ、キャップが取り除かれると露出させることができる。このように、キャップは、ランセットで穿刺中にウィッキング材料を保護するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、
図26A、
図30Aおよび
図32に示す本開示のドアもまた、ランセットで穿刺中にウィッキング材料を保護するのに役立つことができる。
【0070】
図26Bを参照すると、一実施形態では、空洞302はドア304を含むことができ、ドア304は、空洞302を閉鎖し、空洞302内にウィッキング材料300Cを封止するように使用することができる。一実施形態では、ヒンジ部分306によって後部キャップ24の最後部331にドア304を接続することができる。このように、ドア304を、閉鎖位置と
図26Bに示すような開放位置との間で遷移させることができる。一実施形態では、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Cから、ドア304を作製することができる。一実施形態では、ドア304を、シッパー(sipper)として使用することができる。たとえば、後方にある吸収材料に接続することができるウィッキング材料からドア304を形成することができる。このように、シッパー構成は、血液を少しずつ吸うのに役立つストローのように機能することができる。他の実施形態では、本開示のウィッキング材料およびランセット装置はドアを含まない。
【0071】
ここで、
図29Aおよび
図29Bを参照して、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Cから形成された後部キャップ24の最後部331を有するランセット装置10Cの使用について説明する。
【0072】
ランセット装置の作動は、上述したものと同様の方法で達成される。ランセット構造体70は作動前位置に維持され、すなわち、フィンガ82と肩部94とが締まり嵌め係合しているため、ランセット構造体70の穿刺端部74は、
図24に示すように、シールド本体50およびハウジング12内で後退し遮蔽されて維持される。ランセット装置の作動中、ピボットヒンジ98の周囲でレバー要素92を枢動させることにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより、駆動ばね102をさらに圧縮しかつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47が、ロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それにより、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300を通って軸方向に下方に押し進められる。
図29Aに示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺する。
【0073】
図29Bを参照すると、ランセット構造体70の穿刺端部74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺した後、ランセット装置10Cは逆さにされ、ランセット装置10Cの最後部331が、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触するように配置される。このように、ウィッキング材料300Cから形成された後部キャップ24の最後部331を有するランセット装置10Cが、
図29Bに示すように、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触して配置された状態で、ウィッキング材料300Cは、患者の皮膚Sから血液Bの第1液滴を吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Cは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。いくつかの実施形態では、
図29Bに示すように、ウィッキング材料300Cがランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触して配置された状態で、使用者は、血液Bが傷から引き出され吸い取られるのを確実にするように、およそ1秒間~2秒間にわたりランセット装置10Cおよびウィッキング材料300Cを適所に保持することができる。他の実施形態では、本開示のウィッキング材料を用いて、ランセット装置10Cが傷の付近から取り除かれた後に、血液Bが傷から引き出され吸い取られるのを確実にすることができる。
【0074】
ここで、
図26Aおよび
図31を参照して、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収するように後部キャップ24の最後部331における空洞302内に収容されたウィッキング材料300Cを有するランセット装置10Cの使用について説明する。
【0075】
ランセット装置の作動は、上述したものと同様の方法で達成される。ランセット構造体70は作動前位置に維持され、すなわち、フィンガ82と肩部94とが締まり嵌め係合しているため、ランセット構造体70の穿刺端部74は、
図24に示すように、シールド本体50およびハウジング12内で後退し遮蔽されて維持される。ランセット装置の作動中、ピボットヒンジ98の周囲でレバー要素92を枢動させることにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより、駆動ばね102をさらに圧縮しかつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47が、ロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それにより、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300を通って軸方向に下方に押し進められる。
図26Aに示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺する。
【0076】
図26Aおよび
図31を参照すると、ランセット構造体70の穿刺端部74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺した後、患者は、後部キャップ24の最後部331における空洞302からウィッキング材料300Cを取り除くことができ、その後、患者は、
図31に示すように、ウィッキング材料300Cを用いて、患者の皮膚Sから血液Bの第1液滴を吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Cは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図31は、例示の目的でウィッキング材料300Cをより大きい縮尺で示すが、ウィッキング材料300Cは、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する任意のランセット装置と適合性がある種々の形状およびサイズで利用可能であることが企図される。
【0077】
図26B、
図30Aおよび
図30Bを参照すると、一実施形態では、ランセット構造体70の穿刺端部74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺した後、ランセット装置10Cは逆さにされ、ランセット装置10Cの最後部331におけるドア304が、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触するように配置される。
【0078】
このように、ウィッキング材料300Cから作製されたドア304を有するランセット装置10Cが、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触して配置された状態で、
図30Bに示すように、ドア304は、患者の皮膚Sから血液Bの第1液滴を吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Cは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0079】
図27および
図32は、本開示のランセット装置の別の例示的な実施形態を示す。
図1~
図23Dに示す実施形態と同様の本開示のこの実施形態は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する、医療分野において使用されるランセット装置10Dである。ランセット装置10Dは、ランセット装置10Dの一部として、血液の第1液滴の除去を補助するウィッキング材料300Dを含み、それにより、血液検査結果がより正確なものとなるように患者が第1液滴除プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図27および
図32に示すランセット装置10Dは、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、ランセット装置10に関して上述したものと同じ参照番号によって示す。明確にするために、これらの同様の構成要素とランセット装置10D(
図27および
図32)を用いる同様のステップとについては、
図27および
図32に示す実施形態とともにすべては考察しない。
【0080】
図27および
図32を参照すると、ランセット装置10Dは、ハウジング12の本体20の第1側部332内の第1側部空洞または凹部310を含む。一実施形態では、第1側部空洞310は、ウィッキング材料300Dを収容することができる。ランセット装置10Dはまた、ハウジング12の本体20の第2側部334内に第2側部空洞または凹部312を含むことができる。一実施形態では、第2側部空洞312は、ウィッキング材料300Dを収容することができる。他の実施形態では、ランセット装置10Dは、ハウジング12の他の領域にウィッキング材料を収容する空洞を含むことができる。たとえば、後部キャップ24の第1側部336および第2側部338は、ウィッキング材料を収容する空洞を含むことができる。
図27は、概して矩形状の空洞として空洞310、312を示すが、他の形状およびサイズの空洞310、312を使用し得ることが企図される。空洞310、312は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料を格納することができる任意の形状であり得る。
【0081】
図32を参照すると、一実施形態では、第1側部空洞310は第1ドア314を含むことができ、第1ドア314は、第1側部空洞310を閉鎖し、第1側部空洞310内にウィッキング材料300Dを封止するように使用することができる。一実施形態では、第1ヒンジ部分315によって、本体20の第1側部332に第1ドア314を接続することができる。このように、第1ドア314を閉鎖位置と開放位置との間で遷移させることができる。一実施形態では、第1ドア314は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Dから作製することができる。一実施形態では、ドア314をシッパーとして使用することができる。たとえば、後方にある吸収材料に接続することができるウィッキング材料からドア314を形成することができる。このように、シッパー構成は、血液を少しずつ吸うのに役立つストローのように機能することができる。他の実施形態では、本開示のウィッキング材料およびランセット装置はドアを含まない。
【0082】
図32を参照すると、一実施形態では、第2側部空洞312は第2ドア316を含むことができ、第2ドア316は、第2側部空洞312を閉鎖し、第2側部空洞312内にウィッキング材料300Dを封止するように使用することができる。一実施形態では、第2ヒンジ部分317によって、本体20の第2側部334に第2ドア316を接続することができる。このように、第2ドア316を閉鎖位置と開放位置との間で遷移させることができる。一実施形態では、第2ドア316は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Dから作製することができる。一実施形態では、ドア316をシッパーとして使用することができる。たとえば、後方にある吸収材料に接続することができるウィッキング材料からドア316を形成することができる。このように、シッパー構成は、血液を少しずつ吸うのに役立つストローのように機能することができる。他の実施形態では、本開示のウィッキング材料およびランセット装置はドアを含まない。
【0083】
図32は、第1側部332および第2側部334の両方に配置されたウィッキング材料を示すが、第1側部332および第2側部334の一方にのみウィッキング材料を配置し得ることが企図される。
【0084】
ここで、
図27および
図31を参照して、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収するように、ハウジング12の本体20の第1側部332およびハウジング12の本体20の第2側部334おける空洞310、312内にそれぞれ収容されたウィッキング材料300Dを有するランセット装置10Dの使用について説明する。
【0085】
ランセット装置の作動は、上述したものと同様に達成される。ランセット構造体70は、作動前位置に維持され、すなわち、フィンガ82と肩部94との間の締まり嵌め係合のために、
図24に示すように、ランセット構造体70の穿刺端部74は、シールド本体50およびハウジング12内に後退し遮蔽されて維持される。ランセット装置の作動中、ピボットヒンジ98を中心としてレバー要素92を枢動させることにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより、駆動ばね102をさらに圧縮しかつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47が、ロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それによって、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300を通って軸方向に下方に押し進められる。
図26Aに示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、患者から血液サンプルを得るように患者の皮膚Sを穿刺する。
【0086】
図27および
図31を参照すると、ランセット構造体70の穿刺端部74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺した後、患者は、それぞれの側部332、334における空洞310、312のいずれかからウィッキング材料300Dを取り除くことができ、その後、患者は、ウィッキング材料300Dを用いて、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Dは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0087】
図27は、ウィッキング材料300Dを収容するハウジング12の本体20の第1側部332内の第1側部空洞310と、ウィッキング材料300Dを収容するハウジング12の本体20の第2側部334内の第2側部空洞312とを有するランセット装置10Dを示すが、ランセット装置10Dは、ウィッキング材料300Dを収容する単一の側部空洞を有し得ることが企図される。ランセット装置10Dは、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収するようにウィッキング材料を収容する他の数の空洞を有し得ることも企図される。
【0088】
図28は、本開示のランセット装置の別の例示的な実施形態を示す。
図1~
図23Dに示す実施形態と同様の本開示のこの実施形態は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する、医療分野で使用されるランセット装置10Eである。ランセット装置10Eは、ランセット装置10Eの一部として、血液の第1液滴の除去を補助するウィッキング材料300Eを含み、それにより、血液検査結果がより正確なものとなるように患者が第1液滴除プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図28に示すランセット装置10Eは、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、ランセット装置10に関して上述したものと同じ参照番号によって示す。明確にするために、これらの同様の構成要素とランセット装置10E(
図28)を用いる同様のステップとについては、
図28に示す実施形態とともにすべては考察しない。
【0089】
図28を参照すると、ランセット装置10Eは、その使用前にランセット装置10Eを保護するように覆う保護カバー120を含む。保護カバー120は、シールド本体50の前端壁58の滅菌状態を維持する、ランセット装置10Eの前端部に関連付けられたタブ部材122を含むことができる。タブ部材122は、前方タブ部分124および垂下スカート126を含むことができる。垂下スカート126は、シールド本体50の前端部52と協働するように適合され、概して前端部52を取り囲むかまたは封入する。垂下スカート126は、ハウジング12の本体20の前端部22にも接触する。このように、タブ部材122は、本体20の前方開口部30およびシールド本体50の前方開口部60を閉鎖する。さらに、こうした構成は、本体20およびシールド本体50のそれぞれの前端部を互いに対して固定関係で維持し、それにより、ランセット装置10Eの時期尚早な作動を引き起こす可能性があるそれらの間の移動が防止される。一実施形態では、保護カバー120の一部が、シールド本体50内に延在して、穿刺要素の少なくとも一部を取り囲むことができる。たとえば、
図11Dに示すように、柱部分130が、シールド本体50の前方開口部60を通って、その内部空洞56内に延在して、穿刺要素、すなわちランセット72の少なくとも一部を保護するように包囲しかつ取り囲む。柱部分130およびタブ部材122は、一緒に取り付けられるか、または他の方法で保持される別個の要素とすることができる。たとえば、タブ部材122は、柱部分130を収容する内部開口部を含むことができる。
図7A~
図7Eを概して参照すると、柱部分130をランセット構造体70のキャリア要素76と一体形成し、ランセット72を完全に取り囲むことができ、それにより、使用前にランセット72の滅菌状態が維持される。柱部分130およびキャリア要素76は、それらの間の接合部に切欠き部分132を含むことができ、それは柱部分130を除去し、ランセット72を露出させるための破断点を提供する。別法として、剥離可能な医療グレード接着剤等を用いて、医療分野において慣例的な方法によって、柱部分130をランセット72に直接固定することができる。
【0090】
一実施形態では、保護カバー120の柱部分130を、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Eから形成することができる。たとえば、ウィッキング材料300Eは、コットンガーゼ、ウィッキング紙、プレス紙材料、吸収繊維、およびウィッキング特性を有するさまざまなプラスチック等のさまざまな吸収材料から形成することができる。保護カバー120の柱部分130を作製するために使用される材料の重要な特性は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収し得ることである。一実施形態では、保護カバー120の柱部分130は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができる材料から作製され、柱部分130が、使用前にランセット構造体70の穿刺端部74の滅菌状態を維持するようにランセット構造体70の穿刺端部74の一部を取り囲むことができるように十分な剛性を有する材料から作製される。
【0091】
ここで、
図28を参照して、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができるウィッキング材料300Eから形成された保護カバー120の柱部分130を有するランセット装置10Eの使用について説明する。
【0092】
一実施形態では、使用前に保護カバー120がシールド14をその前端部で覆っている状態で、
図1および
図11Dに示すようなランセット装置10が提供される。使用するためにランセットアセンブリを準備するために、使用者は、ハウジング12を、対向する側部35、36において親指ともう1本の指との間等で把持し、
図2に示すように前端部から保護カバー120を取り除き、それにより、ハウジング12の本体20の前端部から延在しているシールド本体50を露出させる。パドル形状の部材を含める等により、タブ部材122の前方タブ部分124を人間工学的に形成して、使用者が、タブ部材122を容易に操作しかつ必要な力またはトルクを加えて、垂下スカートをシールド本体50の前端部との摩擦係合から解放し、かつ切欠き132において柱部分130をキャリア要素76から破断させ、それによりランセット72から柱部分130を解放することができる。加えられる破断力は、柱部分130とキャリア要素76との間の結合を破断し、かつ垂下スカート126とシールド本体50との間の摩擦係合を解除するように適用される、個別のねじれ運動もしくは引張り運動、または組み合わされたねじれ(すなわち、回転)運動および引張り運動とすることができる。
【0093】
次に、シールド本体50の前端壁58を、
図13に示すような患者の皮膚表面S等、血流を開始させることが望まれる使用者の身体、または別人の身体の場所に接触させることができる。ランセット装置の作動は、上述したものと同様の方法で達成される。ランセット構造体70は作動前位置に維持され、すなわち、フィンガ82と肩部94とが締まり嵌め係合しているため、ランセット構造体70の穿刺端部74は、
図24に示すように、シールド本体50およびハウジング12内で後退し遮蔽されて維持される。ランセット装置の作動中、ピボットヒンジ98の周囲でレバー要素92を枢動させることにより、肩部94が後部キャップ24の後端部に向かってさらに変位し、それにより、駆動ばね102をさらに圧縮しかつさらに付勢する。引き続きシールド本体50を後部キャップ24に向かって軸方向に変位させることにより、内部接触部46および接触面96の対応する面がさらに係合し、それにより、係合面47が、ロッド形状部分97の外周部でカム作用するか、またはその周囲に載置され、それにより、レバー要素92をさらに枢動させる。最終的に、こうした枢動により、
図15および
図16に示すように、肩部94とキャリア要素76のフィンガ82との間の締まり嵌め係合が解除される点まで肩部94が枢動する。この時点で、フィンガ82は肩部94から自由になり、環状リム100を貫通する内部開口部を通って軸方向に移動することができる。駆動ばね102の付勢力により、ランセット構造体70は、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300を通って軸方向に下方に押し進められる。
図26Aに示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺する。
【0094】
図26Aおよび
図28を参照すると、ランセット構造体70の穿刺端部74が患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺した後、患者は、保護カバー120の柱部分130を、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触するように配置することができる。このように、ウィッキング材料300Eから形成された保護カバー120の柱部分130が、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触して配置された状態で、保護カバー120の柱部分130は、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Eは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0095】
図33および
図34は、本開示のランセット装置の別の例示的な実施形態を示す。
図1~
図23Dに示す実施形態と同様の本開示のこの実施形態は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する、医療分野で使用されるランセット装置10Fである。ランセット装置10Fは、ランセット装置10Fの一部として、血液の第1液滴の除去を補助するウィッキング材料300Fを含み、それにより、血液検査結果がより正確なものとなるように患者が第1液滴除プロセスに従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
図33および
図34に示すランセット装置10Fは、
図1~
図23Dに示すランセット装置10と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、ランセット装置10に関して上述したものと同じ参照番号によって示す。明確にするために、これらの同様の構成要素とランセット装置10F(
図33および
図34)を用いる同様のステップとについては、
図33および
図34に示す実施形態とともにすべては考察しない。
【0096】
図33および
図34を参照すると、ランセット装置10Fは、枢動棚340、作動手段342、ウィッキング材料300Fおよび枢動棚チャンバ348を含む。作動手段342は、ウィッキング材料300Fが、ランセット構造体70の穿刺要素74によって穿刺された患者の皮膚表面Sの一部と接触することができる位置まで、ウィッキング材料300Fを自動的に移動させることができる。一実施形態では、作動手段342は、ウィッキング材料300Fが、ランセット構造体70の穿刺要素74によって穿刺された患者の皮膚表面Sの一部と接触することができると同時に、ランセット構造体70の穿刺要素74が患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺するように駆動される位置まで、ウィッキング材料300Fを自動的に移動させることができる。一実施形態では、作動手段342はばね344を含む。
【0097】
ウィッキング材料300Fは、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収することができる材料から作製される。たとえば、ウィッキング材料300Fは、コットンガーゼ、ウィッキング紙、プレス紙材料、吸収繊維、およびウィッキング特性を有するさまざまなプラスチック等のさまざまな吸収材料から形成することができる。ウィッキング材料300Fを作製するために使用される材料の重要な特性は、ランセット構造体70の起動時に形成されたランセット傷から引き出される第1量の血液を吸収し得ることである。
【0098】
図33を参照すると、枢動棚340は、
図33に示すような拡張位置から
図34に示すように後退位置まで移動することができる。一実施形態では、枢動棚340は、ヒンジ式接続部またはヒンジ部分346を介して拡張位置から後退位置まで移動することができる。枢動棚340は、
図33に示すようなロック位置または拡張位置にある状態では、ウィッキング材料300Fを保持しばね344を圧縮する障壁または支持部材を提供する。枢動棚340は、
図34に示すような後退位置にある状態では、枢動棚チャンバ348内に収容され、それにより、より詳細に上述したように、ランセット構造体70を、後部キャップ24から離れるように、ハウジング12およびシールド本体50ならびにウィッキング材料300Fを通って軸方向に下方に作動させることができる。
図34に示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚を穿刺する。このように、ランセット装置10Fは、ウィッキング材料300Fが、ランセット構造体70の穿刺要素74によって穿刺される患者の皮膚表面Sの一部と接触することができると同時に、ランセット構造体70の穿刺要素74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺するように駆動される位置まで、ウィッキング材料300Fを自動的に移動させることができる。いくつかの実施形態では、
図34に示すように患者の皮膚Sと接触してウィッキング材料300Fを維持するのに役立つように、シールド本体50の前端壁58に構造体を含めることができる。
【0099】
図34に示すように、ランセット構造体70の作動中、ランセット構造体70の穿刺端部74は、ウィッキング材料300Fを貫通し、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを穿刺する。ランセット構造体70の穿刺端部74が、患者から血液サンプルを得るために患者の皮膚Sを貫通している状態で、ウィッキング材料300Fはまた、ランセット構造体70の穿刺端部74によって穿刺される皮膚Sの部分と接触する位置まで自動的に移動する。このように、ウィッキング材料300Fは、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を自動的に吸収し吸い取る。重要なことには、ランセット装置10Fにより、ウィッキング材料300Fは、いかなる追加のステップもなしに、患者の皮膚Sを穿刺するランセット装置の通常動作中に、患者の皮膚Sから血液の第1液滴を自動的に吸収し吸い取ることができる。このように、本開示のランセット装置10Fは、血液検査結果をより正確なものとする第1液滴除去プロセスに患者が従うのに役立つ効率的な装置を提供する。
【0100】
ランセット装置の具体的な実施形態について記載したが、当業者は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、変更形態および改変形態をなし得る。したがって、上述した詳細な説明は、限定するものではなく例示するものであるように意図される。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にある本発明に対するすべての変更形態は、それらの範囲に包含されるべきである。