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特許7189127非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、NASH、ALDまたは肝臓に関する状態の治療、予防または改善のためのガンマ-ケトアルデヒドスカベンジャーの組成物および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、NASH、ALDまたは肝臓に関する状態の治療、予防または改善のためのガンマ-ケトアルデヒドスカベンジャーの組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/137 20060101AFI20221206BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20221206BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K31/137
A23L33/10
A61P1/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019512804
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017050317
(87)【国際公開番号】W WO2018048932
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/383,895
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/410,133
(32)【優先日】2016-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512157966
【氏名又は名称】メタボリック・テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ラスメイチャー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アブムラド,ナジ
(72)【発明者】
【氏名】フリン,チャールズ
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524918(JP,A)
【文献】LONGATO, L. et al.,Hepatology,2014年,Vol.60, No.4(Suppl),p.579A, Abstract No.785
【文献】GAENS, K.H.J., et al.,Journal of Hepatology,2012年,Vol.56, No.3,pp.647-655.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/137
A23L 33/10
A61P 1/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝疾患を有するかまたはそのリスクがある動物の肝疾患の治療、予防または改善によって、肝疾患を抑制または治療するための方法において用いるための組成物であって、
該肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からなる群より選ばれ
サリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミンまたは2-HOBA)またはその立体異性体を含み
サリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミンまたは2-HOBA)またはその立体異性体は有効量で該動物に投与される
前記組成物。
【請求項2】
医薬的に許容される担体、およびサリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミンまたは2-HOBA)またはその立体異性体を含む、肝疾患を有するかまたはそのリスクがある動物の肝疾患の治療、予防または改善によって肝疾患を抑制または治療するための方法において用いるための栄養組成物であって、該肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からなる群より選ばれる前記栄養組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、2016年9月6日付けで出願された米国特許出願第62/383,895号および2016年10月19日付けで出願された米国特許出願第62/410,133号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.分野
本発明は、γ-ケトアルデヒド(γ-KA)を捕捉する化合物、例えば2-ヒドロキシベンジルアミン(2-HOBA)を含む組成物に関し、さらに、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および/またはアルコール性肝疾患(ALD)、および/または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの肝臓に関する疾患または状態の治療、予防または改善のためのγ-KAスカベンジャーを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
アルコールに起因する慢性肝疾患は、上昇し続ける罹患率と死亡率の主な原因である。ウイルス性肝炎に次いで、慢性的なエタノールの過剰摂取が、肝臓がんおよび硬変症によって引き起こされる全死亡数の25%の原因となっている。慢性的なアルコール摂取は、肝臓の疾患およびがんと高頻度で併存する。アルコール性肝疾患(ALD)にとっての健康管理の負担は重く、そのコストは米国単独でも年間270億ドルに達すると推測される。節制することがALDの最良の療法であるが、常習性が主要なリスクであり、再発率は年間通じて67%~81%の範囲である。
【0004】
ALDは、脂肪肝(脂肪症)、肝炎および硬変症/線維症などの様々な肝臓の兆候を包含し、特定の個体ではこれらの兆候が同時に出現する場合もある。ALDの範囲は、単純な脂肪症からアルコール性脂肪性肝炎(ASH)や硬変症に至るまで様々であり、肥満症によって悪化する。アルコールが肝臓傷害を誘発する多くのメカニズムがあるが、炎症がALD進行の基礎となっている。エタノール代謝は、抗酸化物質の枯渇を促進し、アセトアルデヒド、酢酸塩、活性酸素種(ROS)、および炎症性応答を誘発する脂質の過酸化物などの有害な物質の形成を引き起こす。加えて、アルコールおよびその代謝産物は、消化管の漏れを促進すること、および免疫細胞を刺激すること(いわゆる適応免疫応答)、および/または補体などの自然免疫経路を活性化することによって炎症を刺激する。自然免疫の構成要素の活性化は、アルコールによる肝臓傷害を開始させるが、肝細胞の損傷を低減する肝保護的な、再生性の、および抗炎症性の応答をも引き起こす。
【0005】
慢性肝疾患、特にALDの炎症および病因において、脂質の過酸化および酸化的ストレスがかなりの役割を果たすことが周知である。アルデヒド、例えばマロンジアルデヒド(MDA)および4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)は、正常なタンパク質の機能を妨害する共有結合のタンパク質付加物を形成する。MDAや4-HNEより数桁高い反応性を有するものは、非環式γ-KA(イソレブグランジンまたはイソケタールとしても公知)と称されるアラキドン酸の過酸化生成物であり、これらは炎症の主要な媒介物質である(図1)。γ-KAは、迅速に共有結合によってタンパク質およびDNAに付加し、正常な分子の機能を妨害し、タンパク質-タンパク質架橋(イソケタール)を形成する。γ-KAは、F-イソプロスタン(F-イソP)経路によって生産される。γ-KAは、様々な病態生理学的状態において、フリーラジカルが媒介するアラキドン酸の過酸化によって非酵素的に形成される非典型的なエイコサノイドであるイソプロスタン(イソP)およびイソフラン(イソF)を介して蓄積することが示されている。イソフランはイソプロスタンと類似しているが、置換テトラヒドロフラン環を含有する。ALDを有するヒト対象の血清における抗γ-KAの抗体力価が、ALDを有さない対象に比べて上昇することが実証されている(図2)。
【0006】
ALDは、脂肪症、炎症、肝細胞の壊死およびアポトーシスの進行、それに伴う偶発的な線維症および硬変症の発症を特徴とする。また、過剰なアルコール摂取が肝臓への酸化性傷害の原因となることも十分に確立されている。F-イソPは、インビボにおける酸化的ストレスの最も正確な予測変数であることが示されており、アルコール性肝疾患や慢性肝炎である場合、それらのレベルが増加する。KAの過剰生産は、数々の慢性炎症性疾患の病因に関与する。つい最近になって、マウスへのエタノール給餌は、容易にタンパク質と結合して安定な付加物を形成する肝臓のγ-KA形成を誘発することが示されている。これらのγ-KA-タンパク質付加物は、炎症促進性応答または付加物特異的な免疫応答を惹起することによるエタノール誘発性の肝臓傷害に寄与する可能性が高い。
【0007】
炎症過程を阻害すること、およびALDに関連する免疫原性経路を妨害することを目的とする適切な治療的介入を突き止めることに多大な関心が寄せられている。2-ヒドロキシベンジルアミン(2-HOBA)、すなわちソバの繊維が、γ-KA-リシル-タンパク質付加物の形成速度より980倍速くγ-KAを捕捉するγ-KAの有力なスカベンジャーであることが見出された。このことから、重要なことに、このγ-KAスカベンジャーはシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害しないことが示された。酸化剤が媒介する細胞死のモデルにおいて(図3)、2-HOBAはほぼ完全にt-ブチルヒドロペルオキシド(tBHP)により誘発された細胞死を防いだ。加えて、2-HOBAは、様々な濃度の過酸化水素(H)に曝露されたHepG2細胞において酸化剤が媒介する細胞死に対する保護的作用を有することが実証された。
【0008】
ALDの深刻な経済的および健康上の影響にもかかわらず、この重度の臨床症状を有する患者の管理における進歩はほとんどなされなかった。節制が治療の土台となるものであるが、ALDに関する他の治療的介入および治療を突き止めることに多大な関心が寄せられている。現在のALD治療の様式としては、コルチコステロイドおよびペントキシフィリンが挙げられる。コルチコステロイドは、アルコール性肝炎の重度の形態における短期間の生存を改善するが、高頻度の使用は禁忌である。ペントキシフィリンは、競合的な非選択的なホスホジエステラーゼ阻害剤であり、重症の急性アルコール性肝炎における短期間の生存を改善し、プレドニゾンと比較して改善されたリスク-ベネフィットプロファイルを実証したが、プレドニゾンと併用しても相加的な利益を付与しなかった。これらの治療はどちらも炎症性応答を弱めるが、基礎となる炎症性シグナルを標的としない。2-HOBAによる毒性の酸化脂質のトラップは、炎症を持続させ肝臓の損傷を駆り立てる悪化原因となるタンパク質付加物の形成を少なくするという点で新規である。本発明は、ALDを予防し、さらにアルコール性肝疾患の蔓延も減弱する2-HOBAの使用を包含する。
【0009】
疫学的なデータから、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、西側諸国において慢性肝疾患の最も普及している形態であることが示されている。NAFLDの範囲は、単純な脂肪症から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や硬変症に至るまで様々であり、肥満症、脂質異常症およびインスリン耐性の状況において頻繁に起こる。NASHは、患者10~15%において硬変症や肝不全を引き起こす可能性がある。脂肪症をNASHから区別するメカニズムは、まだ十分理解されていない。炎症ならびにその結果としての活性酸素種(ROS)および反応性脂質種(RLS)の生産がNASHの病因における重要な要因であることが明らかになりつつある。肝臓において、炎症性および免疫応答における変化は、ROSおよび炎症促進性サイトカインの生産を激化させ、NASHの悪化を引き起こす。
【0010】
さらに、NAFLDおよびNASHを有する患者は、一般的な集団と比較してより高い死亡率および病的状態を有する。NAFLDは、高い心臓血管系の死亡率を示し、NASHは、より高い肝臓関連の死亡率を示す。近年の観察から、NASHは、米国で現在のところ3番目に一般的な肝臓移植の適応症であることが結論付けられており、次の10年の間に最も一般的な肝臓移植の適応症になると予想される。NASHは、NAFLDの炎症性の形態であり、過剰な肝臓脂肪、炎症、および肝細胞の風船化を特徴とし、線維症が併存することもあればそうではない場合もある。NASHは、末期の肝疾患、または硬変症への進行が最も懸念される。NASHを支持するメカニズムおよび条件は組織学的に明確ではないが、アルコール性脂肪性肝炎との類似性がある。NASHを含む慢性肝疾患の病因において、脂質の過酸化および酸化的ストレスが重要な役割があることは周知である。活性酸素種(ROS)は、脂質過酸化物の形成を促進し、炎症の主要な媒介物質である二機能性の求電子物質(BFE)の生成を引き起こす。これらのBFEのなかでも、4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、アクロレイン、マロンジアルデヒド(MDA)、メチルグリオキサール(MGO)およびレブグランジン(LG)は、脂質、タンパク質およびDNAを共有結合で改変することによって酸化傷害を媒介することがわかっている。BFEは、極めて反応性が高い化合物であり、これは、共有結合によりタンパク質およびDNAと付加物を形成して、正常な分子機能を妨害し、タンパク質、ホスホエタノールアミンおよびDNAとの架橋を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝臓における脂肪の蓄積によって引き起こされる肝臓の炎症および損傷である。NASHはALDと似ているが、アルコールをほとんど摂取しない人で起こる。米国人の2~5パーセントがNASHに罹患しており、それらはほとんどの場合、中年で過体重であるかまたは肥満の人である。本発明は、NASHを予防および/または治療するための2-HOBAの使用を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、毒性の酸化脂質(ケトアルデヒド)を捕捉して、炎症性プログラムを効果的にレギュレートし、炎症に伴う肝臓の傷害を元に戻すための、2-HOBAの使用を包含する。
【0013】
本発明は、γ-KAを標的化して、アルコール性肝疾患における脂質の過酸化とその結果生じるγ-KA特異的な免疫応答を予防するための、2-HOBAの使用を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、どのようにγ-KAがリシンまたは他の第一アミンと反応して可逆的なシッフ塩基付加物を形成するかを描写する図である。
図2図2は、アルコール性肝疾患を有するおよび有さない入院ICU患者における血清γ-KA抗体力価を描写するグラフである。
図3図3は、t-ブチルヒドロペルオキシドを増加させた場合のマウス肝細胞における酸化剤が媒介する細胞死に対する2-HOBAの保護的作用を描写するグラフである。
図4図4Aおよび図4Bは、エタノール用量を増加させた場合のHepaRGにおけるROS、およびエタノール濃度を増加させた場合の2-HOBAの保護的作用を描写する。
図5図5Aおよび図5Bは、異なるレベルの2-HOBAで前処置したHepaRG細胞の培地におけるALTおよびASTレベルを描写する。
図6図6は、エタノールが媒介するγ-KA形成に対する2-HOBAの前処置の作用を示す。
図7図7は、マウス肺におけるγ-KAによって改変されたヒストン-H3および-H4の同定を示す。
図8図8は、肝臓および腎臓のイソプロスタン(イソP)およびイソフラン(イソF)を描写するグラフである。
図9図9は、ヒトNAFLD肝臓におけるイソLGの形成に関する証拠を描写する。
図10図10は、NASHにおけるMPO陽性細胞の増加を描写する。
図11-1】図11A図11Eは、STAMマウスにおけるNAFLDの発達を描写する。
図11-2】図11F図11Iは、STAMマウスにおけるNAFLDの発達を描写する。
図12-1】図12A図12Tは、STAMマウスへの2-HOBAの作用を記載する。
図12-2】図12A図12Tは、STAMマウスへの2-HOBAの作用を記載する。
図12-3】図12A図12Tは、STAMマウスへの2-HOBAの作用を記載する。
図13図13A図13Fは、STAM(商標)マウスにおけるインスリンシグナル伝達および肝臓のインフラマソームを示す。
図14-1】図14A図14Gは、DIAMOND(商標)マウスにおけるNAFLDの発達を描写する。
図14-2】図14A図14Gは、DIAMOND(商標)マウスにおけるNAFLDの発達を描写する。
図15-1】図15は、DIAMOND(商標)マウスの試験の結果を要約する。
図15-2】図15は、DIAMOND(商標)マウスの試験の結果を要約する。
図16-1】図16は、DIAMOND(商標)マウスの試験の結果を要約する。
図16-2】図16は、DIAMOND(商標)マウスの試験の結果を要約する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、γ-KA-タンパク質付加物の形成、ならびに自然および適応免疫応答への差次的な作用を予防することによって肝臓の傷害を低減すると予想される新規の栄養療法を包含する。この栄養療法は、これらに限定されないが、NAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓に関する状態または疾患の治療、予防または改善に使用することができる。栄養療法は、全体的な肝臓の健康状態を改善し、健康な肝機能を維持するのに使用することができる。
【0016】
本発明は、二機能性の求電子物質(BFE)「スカベンジャー」分子のクラスを使用して肝臓におけるγ-KA付加物の形成を特異的に予防するための手段を含む。一連のピリドキサミンを包含するフェノール系アミンおよびその水溶性誘導体であるソバの実の天然産物の2-ヒドロキシベンジルアミン(2-HOBA)は、好ましい実施態様を構成する。2-HOBAは特に、γ-KAと、リシンとの反応より980倍速く反応して、インビトロおよびインビボでのタンパク質および脂質との付加物形成を予防する。
【0017】
本発明の組成物および方法は、ヒトおよび非ヒト動物を含む動物を対象とする。動物は、健康であってもよいし、または疾患または状態に罹っていてもよい。
【0018】
投与すること、または投与という用語は、哺乳動物に組成物を提供すること、組成物を摂取すること、およびそれらの組合せを包含する。
【0019】
本発明は、2-HOBAを使用するための組成物および方法を包含し、ここで2-HOBAは、サリチルアミン、SAM、2-ヒドロキシベンジルアミン、およびペンチルピリドキサミン(PPM)とも称される。
【0020】
本発明の実施態様は、以下の式:
【化1】
(式中、
Rは、NまたはCであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、Cアルキル、Cアルコキシ、C10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのRまたはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよい)
の化合物、ならびにその立体異性体および類似体を包含し、さらに、NAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態または疾患を有するまたはそのリスクがある対象におけるNAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態または疾患を治療し、予防し、または改善し、それによってそのような肝臓の状態または疾患を抑制または治療するための方法における薬剤としてのその使用を包含する。
【0021】
別の本発明の実施態様は、以下の式:
【化2】
(式中、
Rは、NまたはCであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのRまたはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよい)
の化合物、ならびにその立体異性体および類似体を包含し、さらに、NAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態を有するまたはそのリスクがある対象におけるそのような肝臓の状態または疾患の治療、予防または改善のための方法におけるその使用を包含する。
【0022】
ある特定の実施態様において、本化合物は、本明細書で開示された化合物から選択することができる。好ましい実施態様において、本化合物は、サリチルアミンであり得る。
【0023】
本発明の別の実施態様は、NAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態または疾患を有するまたはそのリスクがある対象におけるNAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態または疾患を治療し、予防し、または改善し、それによってそのような肝臓の状態を抑制または治療するための方法であって、対象に、哺乳動物における機能異常を治療するのに有効な投薬法および量で、少なくとも1種の化合物を、NAFLD、ALDおよびNASHなどの肝臓の状態または疾患の治療、予防または改善の公知の副作用を有する薬物と共に投与する工程を含み、この化合物は、以下の式:
【化3】
(式中、
Rは、NまたはCであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのRまたはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよく;
は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、1つまたはそれより多くのR、RおよびRで任意選択で置換されていてもよいC、O、SまたはNを含有するC3~8員環であり、1つまたはそれより多くのR、R、またはRと共に環化されて、C、O、SまたはNを含有する任意選択で置換されていてもよいC3~8員環を形成してもよい)
の化合物、ならびにその立体異性体および類似体によって代表される構造を有する。
【0024】
本明細書で開示された方法と共に使用することができる化合物の例としては、これらに限定されないが、式:
【化4】
(式中、
Rは、NまたはCであり;
は、独立して、H、置換または非置換のアルキルであり;
は、H、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロであり;
は、H、置換または非置換のアルキル、カルボキシルである)
から選択される化合物およびその医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0025】
好ましい実施態様において、本化合物は、サリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミンまたは2-HOBA)である。
【0026】
本化合物は、下記またはそれらの医薬的に許容される塩から選ぶことができる。
【化5】
【0027】
本化合物はまた、下記またはその医薬的に許容される塩からも選ぶことができる。
【化6】
【0028】
本化合物または類似体はまた、下記またはその医薬的に許容される塩からも選ぶことができる。
【化7】
【0029】
本化合物はまた、下記またはその医薬的に許容される塩からも選ぶことができる。
【化8】
【0030】
本化合物はまた、下記またはその医薬的に許容される塩からも選ぶことができる。
【化9】
【0031】
本発明の化合物は、あらゆる方法によって投与することができ、このような方法は当業者周知であり、そのようなものとしては、これらに限定されないが、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼への投与、耳内投与、大脳内投与、直腸内投与、ならびに非経口投与、例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与および皮下投与などの注射による投与などが挙げられる。本化合物は、すでに罹っている疾患または状態を治療するために治療的に投与してもよいし、または疾患または状態の予防のために予防的に投与してもよい。
【0032】
本組成物を含むあらゆる好適な医薬用媒体が本発明の範囲内で利用できるが、好ましくは、本組成物は、好適な製剤用担体、例えばデキストロースまたはスクロースと組み合わされる。
【0033】
本組成物が投与される頻度を計算方法は、当業界において周知であり、あらゆる好適な投与頻度(例えば、1回の6g用量/日または2回の3g用量/日)があらゆる好適な期間にわたり本発明の範囲内で使用することができる(例えば、単回用量を5分間または1時間にわたり投与してもよいし、または代替として、複数回用量を長期間にわたり投与してもよい)。本発明の組成物は、長期間にわたり、例えば数週間、数か月または数年にわたり投与してもよい。本組成物は、1日または24時間で投与される組成物の総量を含む1日分の一食分(serving)が作製されるように、1日当たり1回分の用量を含む個別の一食分で、または1回分より多くの用量を含む個別の一食分(複数の個別の一食分)で投与することができる。
【0034】
本発明の組成物のあらゆる好適な用量が本発明の範囲内で使用することができる。適した用量を計算する方法は当業界において周知である。
【0035】
「治療」または「治療すること」は、疾患、病的状態、または障害の治癒、改善、安定化、または予防を意図した患者の医学的管理を指す。この用語は、積極的治療、すなわち具体的に疾患、病的状態、または障害の改善を目的とした治療を包含し、さらに、原因治療、すなわち関連する疾患、病的状態、または障害の原因を取り除くことを目的とした治療も包含する。加えて、この用語は、緩和治療、すなわち疾患、病的状態、または障害の治癒というよりも症状が緩和されるように設計された治療;予防的治療、すなわち関連する疾患、病的状態、または障害の発生を最小化すること、または部分的もしくは完全に抑制することを目的とした治療;および支持療法、すなわち関連する疾患、病的状態、または障害の改善を目的とする別の具体的な療法を補うために用いられる治療を包含する。
【実施例
【0036】
実施例1
完全に分化した21日目のHepaRG肝細胞(バイオ-プレディクトインターナショナル(Bio-Predict International))は、容易に蛍光性のMRP2基質であるCDFDAを代謝する多数の毛細胆管を含有する肝細胞の群体を包囲する透明な上皮細胞を提示する。HepaRG細胞は、ヒト肝臓の吸収、分布、代謝、および排出に高い忠実度を有する固有の十分に確立されたヒト肝細胞培養系である。2-HOBAの作用の公知のメカニズムと一致して、HepaRG細胞を2-HOBA(0、250、500および1000μM)で24時間前処置し、それに続いて濃度を増加させたエタノール(0~200mM;24時間)で前処置したが、活性酸素種の形成に影響はなかった(図4A)。しかしながら、2-HOBAは、エタノールによる細胞死をほぼ完全に防いだ(図4B)。同様に、HepaRG細胞を2-HOBA(0、250、500および1000μM)で24時間前処置し、それに続いて濃度を増加させたエタノール(0~200mM;24時間)で前処置したところ、HepaRG肝細胞から採取した培養培地中のALT(図5A)およびAST(図5B)レベルがほぼ標準化された。現在、γ-KA改変を受けやすいタンパク質の同一性に関する知見はほとんどない。本発明者らは、先に2-HOBAの前処置(0、250または500μM、24時間)を行ってまたは行わないでエタノールに曝露されたHepaRG肝細胞培養物を使用して、内因的に付加物を形成するタンパク質の同一性を調査した。細胞を回収し、SDS-PAGEによって総タンパク質を分析し、次いでよく特徴付けられた単鎖抗体である、γ-KA異性体によって改変されたペプチドおよびタンパク質を認識するD11SCFvで探索した(図6)。γ-KA改変を受けやすいタンパク質の「プール」があるという理論と一致して、全ての治療において類似のレベルの「バックグラウンド」抗D11交差反応性が示された。しかしながら、エタノールで処置されたが2-HOBAで保護されていない肝細胞において、約18kDにおける単一のバンド(矢印)の交差反応性のロバストな増加がみられた。対照的に、このバンドの強度は、2-HOBAの前処置(250または500μMの2-HOBA)によって、未処置対照で観察されたレベルに回復した。興味深いことに、このバンドは、近年肺線維症のマウスモデルにおいてγ-KAとの付加物および抗D11抗体として同定されたものと同じ分子量を有する(図7)。これらのデータは、ETOHは、γ-KAと付加物を形成するタンパク質の形成を促進し、この形成は2-HOBAでブロックできることを意味する。
【0037】
総合すると、これらの発見から、γ-KAが、脂質の過酸化によって引き起こされる肝臓傷害の主要な媒介物質であること、および2-HOBAの使用が、このような酸化剤またはエタノールへの曝露により誘発される細胞死から保護することが実証される。γ-KAの標的化は、アルコール性肝疾患における脂質の過酸化とその結果生じるγ-KA特異的な免疫応答を予防するための方法として使用することができる。
【0038】
実施例2
C57/BL6Jマウスに2-HOBAおよびエタノールを同時に投与して、エタノールが媒介する肝臓機能異常(ASTおよびALTの増加)を和らげること、γ-KA形成を低減すること、免疫応答を有利に変更すること、および有益な細胞内シグナル伝達経路を刺激することにおける2-HOBAの効能を確立した。結果から、2-HOBA(1.0mg/ml)での前処置が、エタノールに曝露されると活性化される肝臓の傷害(γ-KAおよび肝機能酵素の上昇)を有意に低減することが示される。
【0039】
14日間のエタノール処置の前に2-HOBA(0.5g/L、Lieber-DeCarliの液状食物、LDLD中)をマウスに投与して、肝臓の傷害を和らげることにおける2-HOBAの効能を検査した。NIAAAモデル(LDLD+耽溺での10日間のエタノール)を使用してエタノール(5%v/v)を投与した。食物摂取および体重は、LDLDへの0.5g/Lの2-HOBAの添加による有意な影響を受けなかった(データ示さず)。エタノールを用いた場合、マルトデキストリン供給と比べて、白血球およびリンパ球の数は低減したが、好酸球および好塩基球の数は増加した(表1)。これは、アルコール性肝臓傷害の他の報告と一致していた。これらの研究において、このような応答は、2-HOBAの存在下で観察されなかった。0.5g/Lでの2-HOBAは、血清ASTまたはALTの増加を減じられなかった(表2)。
【化10】
【化11】
【0040】
NIAAAモデルを使用したエタノールの投与の前に、マウスの追加のコホートに2-HOBA(1.0g/L)による14日の前処置を施した。エタノールが投与されたマウスの食物摂取はより少なく、その結果として、研究終了時に、体重がマルトデキストリンが供給された対照より約2.5g少なかった。
【0041】
【化12】
【0042】
肝臓のトリグリセリド含量は、2-HOBA(1.0g/L)で前処置されたETOH刺激マウスにおいてより低いという傾向であった。血清ALTの変化で示される肝臓の傷害は、対照+ETOHマウス(253.0±62.9U/L)に比べて2-HOBAの前処置(164.4±20.8U/L)でより低い傾向であったが、これらは統計的有意性には至らなかった。ASTは、対照(906.1±186.1U/L)と比較して2-HOBA+ETOH(676.6±86.7U/L)で前処置したマウスにおいてより低かったが、これらは統計的有意性には至らなかった。これらの変化は、図8で示されるように、肝臓のイソプロスタン(イソP)およびイソフラン(イソF)における有意な低減を伴っており、腎臓のイソプロスタンレベルにおける有意な低減ももたらした(対照+ETOHにおける2.0±0.3ng/gに対して1.3±0.1ng/g;P<0.05)。
【0043】
NIAAAモデルにおける1.0g/Lの2-HOBAによる14日間の前処置は、肝臓の傷害を低減し、ETOH曝露で観察された肝臓のイソプロスタンおよびイソフラン含量における有意な増加を緩和し、加えて腎臓のイソプロスタン形成を減少させた。
【0044】
実施例3-NASH
-イソプロスタン(F-イソP)は、インビボでフリーラジカルにより開始されるアラキドン酸の過酸化を含む非酵素的なメカニズムを介して形成されるプロスタグランジン様化合物であり、インビボにおける酸化的ストレスの最も正確な予測変数であることが示されている。血漿または尿のF-イソPのレベル上昇は、アルコール性肝疾患患者において、さらにはNAFLD/NASHを有する動物において報告されており、さらに肝臓のF-イソPの増加も、NASHを有するヒトおよび動物で報告されている。F-イソP値はまた、慢性肝炎でも増加する。予備的なデータから示されるように、NAFLD/NASHであることが証明されたマウスおよびヒト肝臓組織から得られた肝臓は、対照と比べてイソLGタンパク質付加物レベルの劇的な増加を示す(図9)。これらの観察と同時に、生検で証明されたNASHの特徴である試料中のミエロペルオキシダーゼ陽性好中球の染色が増加したことから(図10)、炎症の増強が示唆される。数々の薬剤が、炎症過程の増強に関連するようである。
【0045】
NASH患者の血漿中における血漿リポ多糖(LPS)および遊離脂肪酸(FFA)の増加は、肝臓のTLR4-Myd88とは独立したシグナル伝達の増加に関連することが実証された。また、培養されたHepaRG細胞において、パルミチン酸塩およびLPSが、化学的な、または短鎖干渉RNAが媒介するTLR4阻害をブロックできるNF-kB活性を誘発することも実証された。Liangらは、近年、代替の代謝リガンド(コレステロールおよび炭水化物)も、インフラマソーム媒介メカニズムを介した、脂肪症、肝細胞の肥大、および混成型(好中球および単核細胞)の炎症の増強を開始させる可能性があることを実証した。
【0046】
インフラマソームは、PAMP(病原体関連分子パターン)またはDAMP(損傷関連分子パターン)の結合時に、直接的にかまたはアダプター分子ASCを介するかのいずれかで、カスパーゼ1を活性化する自然免疫系の多量体タンパク質複合体である。カスパーゼ1は順に下流のシグナル伝達経路を活性化し、その結果生じた生物学的機能の変化は、細胞型および開始のリガンドに応じてきわめて多様である。インフラマソームは、(NOD)様受容体(NLR)ファミリー(NLRP1-3、NLRP6-7、NLRP12、NLRC4)、NAIPおよびAim2のメンバーによって活性化される。NLRP3インフラマソームの活性化は、カスパーゼ-1による、不活性なプロIL-1β、プロIL-18およびプロIL-33のそれらの活性型への切断を引き起こす。公知のNLRP3-インフラマソーム活性化剤としては、なかでも特に、脂肪酸、コレステロール、およびタンパク質凝集体が挙げられる。すでに述べられているNASHインフラマソームの分子トリガーとしては、DNA、飽和脂肪酸およびLPS、NLRP-1が挙げられる。これは、イソLGは、まだ十分に詳述されていないメカニズムを介した追加の有力なインフラマソーム活性化剤でもあることを示唆する。実際に、イソLGリガンドによる欠陥のあるNLRP1およびNLRP3シグナル伝達/活性化は、変更された肝臓の免疫代謝、宿主消化管のマイクロバイオーム適合、およびNAFLからNASHへの推移の特徴である欠陥のあるNLRP-インフラマソームの感知の基礎となる可能性がある。
【0047】
2-ヒドロキシベンジルアミン(2-HOBA)は、リシンより980倍高いγKAとの反応性を有し、重要なことに、シクロオキシゲナーゼ酵素を阻害しない。酸化剤が媒介する細胞死のモデルにおいて、2-HOBAはほぼ完全にt-ブチルヒドロペルオキシド(tBHP)により誘発された肝細胞死を防いだ。これは、酸化傷害の病因が極めて複雑であり多面的であるという事実を考慮すれば驚くべき発見である。加えて、2-HOBAは、様々な濃度のHに曝露されたHepG2細胞において酸化剤が媒介する細胞死に対する保護的作用を有することが実証された。総合すると、これらの発見から、γKAが、脂質の過酸化によって引き起こされる肝臓の傷害の主要な媒介物質である可能性があること、さらに、2-HOBAの使用により、肝臓においてこのような酸化剤により誘発された細胞死からの保護がもたらされる可能性があることを示唆される。明らかに、2-HOBAの効能は、標的組織におけるその蓄積に依存しており、これは近年、インビボのマウスモデルにおける薬物動態研究によって裏付けられた。7日間にわたる1、3、および10g/Lの2-HOBAの投与は、血漿および肝臓の2-HOBAレベルの用量依存性の増加と関連していた。肝臓におけるレベルは血漿中より約10倍高った。
【0048】
NASH、硬変症およびHCCの病因の研究で使用された1つのモデルは、STAMモデル(ステリック社(Stelic Inc.)、日本東京)である。STAMモデルは、組織学および生理学の両方においてヒトNASHに強力な忠実度を有することから(高い空腹時血糖、肝臓の生化学的特徴、肝臓内の脂質、脂質異常症;図11)、これまでNAFLDの遺伝学的なノックアウトまたは食事モデルにおいて達成が困難であった特徴を発展させる。本発明者らは、2-HOBAは、STAMマウスにおいてNAFLDの重症度を低減できることを実証した(図12)。
【0049】
STAM(商標)モデルにおいて、C57BL/6マウスにおいて、生後の2日目に200μgのストレプトゾトシン(STX)溶液を単回で皮下注射し、4週齢で高脂肪食の供給を始めることによってNASHを誘発する。3週齢で、STZ注射を受けた12匹のマウスを、2つのグループ:1)2-HOBA(n=6)、および2)ビヒクル対照(n=6)に分割した。2-HOBAグループのマウスは、飲用水中の2-HOBA(水1L中1g)が与えられ、一方でビヒクル対照グループは、2-HOBA非含有の普通の水が与えられた。4週齢で、全てのマウスを高脂肪食物を自由に摂取できる状況に置いた。全てのマウスにおいて高脂肪食物を続け、研究プロトコールの間中、それらのグループ割り当てに基づき2-HOBAを補充した水または普通の水を与えた。体重および食物/水の摂取を毎週モニターした。9週齢で動物を致死させ(6週間の2-HOBAまたはビヒクル処置)、分析のために組織および血清を収集した。
【0050】
肝臓の切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン(脂肪症、肝細胞の風船化、および炎症のスコア付けのため)、シリウスレッド(線維症の評価のため)で染色し、さらにF4/80+マクロファージに関して染色した。スコア付けを、脂肪症、風船化、炎症、および壊死に関して盲検方式で、以下の基準:脂肪症(0~4):0=<5%;1=5~25%;2=25~50%;3=50~75%;4=75~100%を使用して実行した。風船化(0~3):0=なし;1=軽度(3個未満の肝細胞を含む病巣);2=中程度(3個より多くの肝細胞を含む病巣または多病巣性);3=やや重度(3個またはそれより多くの肝細胞の3個より多くの病巣を有する多病巣性)。炎症(0~4):0=なし;1=最小(20個の領域当たり0から1個の病巣);2=軽度(2個の病巣);3=中程度(3個の病巣);4=重度(4個またはそれより多くの病巣)。グルコース、インスリン、アラニントランスアミナーゼ、アスパルテートトランスアミナーゼ、トリグリセリド、コレステロール、およびF-イソプロスタンの血清レベルを測定した。以下の炎症性マーカー:IL-1α、IL-6、IL-1β、IL-10、IL-17、MCP-1、およびTNFαの血清および組織レベルを、多重アッセイ(ルミネックス(Luminex)、ミリポア(Millipore)、マサチューセッツ州ビレリカ)によって測定した。肝臓の2-HOBA、F-イソプロスタン、およびイソフランレベルを、LC/MS/MS方法によって決定した。肝臓のmRNA発現を、RT-qPCRによって、以下の遺伝子:Gck、Pck1、Pdk4、Irs1、Irs2、Pgc1a、Cpt1a、Gyk、Srepb1c、Acc1、Fxr、Cox1、Cox2、Nox4、カタラーゼ、Gpx1、Gp41phx、およびp22phoxに関して評価した。肝臓のタンパク質含量およびリン酸化の状態を、Akt、GSK3β、mTOR、ERK、JNK、FOXO1、およびNALPに関して決定した。独立したサンプルの両側t検定を使用して、2-HOBAで処置されたグループとビヒクルで処置されたグループとで評価項目を比較した。有意性をα=0.05に設定した。
【0051】
生存率、臨床徴候および挙動を毎日モニターした。平均の体重および食物摂取はグループ間で類似していたが、肝臓の重量、および肝臓と体重との比率は有意に低減された(図12)。血清グルコースレベルはグループ間で類似していたが、インスリン、ALTおよび脂質は全て低減する傾向を示した。重要なことに、血清イソプロスタン(BFE形成およびイソLG付加物形成のマーカー)および組織学的なNASHの重症度は、2-HOBA処置により有意に低減された。
【0052】
図13に記載される肝機能および表現型の改善のための基準をよりよく理解するために、STAMマウスからの肝臓を免疫ブロット分析に供した。2-HOBA処置は、mTOR、ERKまたはFOXO1を介したシグナル伝達を有意に変更することなく、AKTおよびGSK3βのリン酸化を劇的に増加させた。加えて、このデータから、ミトコンドリアの燃料代謝のレギュレーションにおける主要なタンパク質であるピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4(pdk4)の発現が有意に減少したことが示され、これは、2-HOBA処置による、肝臓の重量における低減、NASHの重症度における改善、および血清イソプロスタンにおける低減は、ミトコンドリアの機能に影響を及ぼすγKA媒介メカニズムによって媒介される可能性があることを示唆している。さらに、このデータから、2HOBA処置によるNALP1の減少が示される。近年、ミトコンドリアの機能のレギュレートにおけるNRLP3-インフラマソームの役割が説明された。
【0053】
STAMモデルにおけるこれらのデータは、イソLG-タンパク質付加物が肝臓への傷害の原因であること、さらに、2-HOBAがNASHの重症度を強く低減し、肝臓のインスリン感受性のマーカーを回復させていることを意味する。重要なことに、このデータから、このモデルにおけるNLRP1-インフラマソームの活性化は、2-HOBAの経口投与でブロックされることが示され、これは、イソLG媒介インフラマソームNASH応答のブロックにおいて2-HOBAが役割を有することを示唆する。
【0054】
実施例4
DIAMOND(非アルコール性脂肪性肝疾患の食物によって誘発された動物モデル)は、特許化された同系マウス株であって、高脂肪の糖分が多い食物に応答して、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、線維症、および肝細胞癌を逐次的に発症させる。DIAMONDマウスにおける疾患の進行は、組織病理学的特徴も含めてヒトの疾患の進行と極めて類似している。DIAMONDマウスモデルは、肝臓の病的状態を誘発する遺伝子のノックアウトまたは毒素によるのではなく単に西洋的な食物(高脂肪、砂糖水)の結果としてNASHを発症させるNAFLD/NASHの唯一のマウスモデルであるという点で独特である(図14)。
【0055】
12匹の8週齢の雄DIAMONDマウスを、高脂肪食物(Harlan-ENVIGOTD.88317)およびグルコース(18.9%w/v)およびフルクトース(23.1%w/v)を含有する水を自由に摂取できる状況に置いた。研究プロトコールの間中、全てのマウスがこの食物を続けた。12週齢で、マウスを、2つのグループ:1)2-HOBA(n=6)、および2)ビヒクル対照(n=6)に分割した。2-HOBAグループの動物は、飲用水中の2-HOBA(グルコースおよびフルクトースを含む水1L中1g)が与えられた。ビヒクル対照グループは、2-HOBA非含有の水(グルコースおよびフルクトースを含む)が与えられた。体重および食物摂取を毎週測定した。約23週齢で、肝臓の脂肪を評価するために、全ての動物がグルコース負荷試験(GTT)およびMRIイメージングを受けた。GTTのために、動物を12時間絶食させ、次いでグルコース(滅菌水中100mg/mLグルコースを2g/kg体重で)を経口胃管栄養法によって投与した。グルコース投与の0、15、30、45、60、90、および120分後に血液をサンプリングし、濃度曲線下面積を計算した。24週齢で動物を致死させた(12週間の2-HOBAまたはビヒクル処置)。分析のために、組織および血清を収集した。
【0056】
肝臓の切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン(脂肪症、肝細胞の風船化、および炎症のスコア付けのため)およびシリウスレッド(線維症の評価のため)で染色した。スコア付けを、脂肪症、風船化、炎症、および壊死に関して盲検方式で、以下の基準:脂肪症(0~4):0=<5%;1=5~25%;2=25~50%;3=50~75%;4=75~100%を使用して実行した。風船化(0~3):0=なし;1=軽度(3個未満の肝細胞を含む病巣);2=中程度(3個より多くの肝細胞を含む病巣または多病巣性);3=やや重度(3個またはそれより多くの肝細胞の3個より多くの病巣を有する多病巣性)。炎症(0~4):0=なし;1=最小(20個の領域当たり0から1個の病巣);2=軽度(2個の病巣);3=中程度(3個の病巣);4=重度(4個またはそれより多くの病巣)。グルコース、アラニントランスアミナーゼ、およびアスパルテートトランスアミナーゼの血清レベルを測定した。肝臓のmRNA発現を、RT-qPCRによって、以下の遺伝子:Tnfa、Nlrp1a、Il1b、Il18、Timp1、Col1a1、ProCard、Nlrp3、Casp1、ProIl1b、Tgfb1、Bambi、Pdk4、およびGapdhに関して評価した。独立したサンプルの両側t検定を使用して、2-HOBAで処置されたグループとビヒクルで処置されたグループとで評価項目を比較した。有意性をα=0.05に設定した。
【0057】
図15~16に、DIAMONDマウスの試験の結果を要約する。これらのデータから、2HOBA補充の場合、肝臓の重量が低減し、それに伴い肝臓の酵素であるALTおよびASTが有意に低減する傾向が実証される。これらの発見は、NASHの発症を予防するかまたはその重症度を弱める2-HOBAの効能を裏付ける。
【0058】
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