(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20221206BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H01L23/36 C
(21)【出願番号】P 2019514489
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2018016457
(87)【国際公開番号】W WO2018199022
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2017086308
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017209387
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】北住 登
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】木下 直哉
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0157868(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0452491(KR,Y1)
【文献】特開2013-243248(JP,A)
【文献】国際公開第2008/053586(WO,A1)
【文献】特開2011-23670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 7/20
H01L23/12
H01L23/36
H01L33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層または複数層の絶縁層からなり、第1主面および該第1主面と相対する第2主面を有した方形状である基板と、
該基板に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第1主面側に位置した第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する放熱体とを有しており、
該放熱体は、前記放熱体が連なった方向の熱伝導より前記放熱体が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、
前記放熱体における前記第3主面に重なる領域は、それぞれが1つの電子素子の搭載部を含んでおり、
前記放熱体が連なった方向における前記基板の熱伝導率が、前記放熱体が連なった方向における前記放熱体の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする電子素子搭載用基板。
【請求項2】
単層または複数層の絶縁層からなり、第1主面および該第1主面と相対する第2主面を有した方形状である基板と、
該基板に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第1主面側に位置した第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する放熱体とを有しており、
該放熱体は、前記放熱体が連なった方向の熱伝導より前記放熱体が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、
前記放熱体における前記第3主面に重なる領域は、それぞれが1つの電子素子の搭載部を含んでおり、
前記基板の熱伝導率は、平面方向と厚み方向とにおいて一定であり、前記基板の熱伝導率が、前記放熱体が連なった方向における前記放熱体の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする電子素子搭載用基板。
【請求項3】
前記放熱体が連なった方向の縦断面視において、前記放熱体は、厚み方向に垂直に交わる方向より厚み方向の熱伝導が大きいことを特徴とする請求項1
または2に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項4】
前記基板が矩形状であり、平面視において、前記放熱体が前記絶縁基板の長手方向に連なって位置していることを特徴とする請求項1
乃至請求項3に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項5】
前記放熱体は、前記基板の厚み方向における前記第1主面側に前記第3主面が露出していることを特徴とする請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載の電子素子搭載用基板。
【請求項6】
前記放熱体は、前記基板の厚み方向における前記第2主面側に前記第4主面が露出していることを特徴とする請求項1乃至請求項
5のいずれかに記載の電子素子搭載用基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項
6のいずれかに記載の電子素子搭載用基板と、
該電子素子搭載用基板の搭載部に搭載された電子素子と、
前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の電子装置と、
該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子素子搭載用基板は、第1主面と第2主面と側面とを有する絶縁基板と、絶縁基板の第1主面に位置した電子素子の搭載部および配線層とを有している。電子素子搭載用基板において、電子素子の搭載部に電子素子を搭載した後、電子素子搭載用パッケージに搭載されて電子装置となる(例えば、特開2013-175508号公報参照。)。
【発明の概要】
【0003】
本開示の電子素子搭載用基板は、単層または複数層の絶縁層からなり、第1主面および該第1主面と相対する第2主面を有した方形状である基板と、該基板に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第1主面側に位置した第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する放熱体とを有しており、該放熱体は、前記放熱体が連なった方向の熱伝導より前記放熱体が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、前記放熱体における前記第3主面に重なる領域は、それぞれが1つの電子素子の搭載部を含んでおり、前記放熱体が連なった方向における前記基板の熱伝導率が、前記放熱体が連なった方向における前記放熱体の熱伝導率よりも大きい。
また、本開示の電子素子搭載用基板は、単層または複数層の絶縁層からなり、第1主面および該第1主面と相対する第2主面を有した方形状である基板と、該基板に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第1主面側に位置した第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する放熱体とを有しており、該放熱体は、前記放熱体が連なった方向の熱伝導より前記放熱体が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、前記放熱体における前記第3主面に重なる領域は、それぞれが1つの電子素子の搭載部を含んでおり、前記基板の熱伝導率は、平面方向と厚み方向とにおいて一定であり、前記基板の熱伝導率が、前記放熱体が連なった方向における前記放熱体の熱伝導率よりも大きい。
【0004】
本開示の電子装置は、上記構成の電子素子搭載用基板と、該電子素子搭載用基板の前記搭載部に搭載された電子素子と、前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有する。
【0005】
本開示の電子モジュールは、上記構成の電子装置と、該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は、第1の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図2】
図1に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図4】(a)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図5】(a)は、第2の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図6】
図5に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図7】(a)は、
図5(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図5(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図8】(a)は、
図5(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図9】(a)は、第3の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図10】
図9に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図11】(a)は、
図9(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図9(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図12】(a)は、
図9(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図13】(a)は、第4の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図14】
図13に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図15】(a)は、
図13(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図13(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図16】(a)は、
図13(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図17】(a)は、第5の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図18】
図17に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図19】(a)は、
図17(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図17(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図20】(a)は、
図17(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図21】(a)は、第6の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図22】
図21に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図23】(a)は、
図21(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図21(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図24】(a)は、
図21(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図25】(a)は、第6の実施形態における電子素子搭載用基板の他の例を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図26】(a)は、第7の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図27】
図26に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図28】(a)は、
図26(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図26(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図29】(a)は、
図26(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図30】(a)は、第7の実施形態における電子素子搭載用基板の他の例を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図31】(a)は、第8の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図32】
図31に示された電子素子搭載用基板の基板と放熱体とを分解した斜視図である。
【
図33】(a)は、
図31(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図31(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【
図34】(a)は、
図31(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図35】(a)は、第8の実施形態における電子素子搭載用基板の他の例を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態における電子素子搭載用基板1は、
図1~
図4に示された例のように、基板11と基板11と放熱体12とを含んでいる。電子装置は、電子素子等用基板1と、電子素子搭載用基板の搭載部11
bに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板3とを含んでいる。電子装置は、例えば電子モジュールを構成するモジュール用基板上の接続パッドに接合材を用いて接続される。
【0009】
本実施形態における電子素子搭載用基板1は、第1主面111および第1主面111と相対する第2主面112を有した方形状である基板11と、基板11に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における第1主面111側に位置した第3主面121および第3主面121と相対する第4主面122を有する放熱体12とを有している。放熱体12は、平面透視において、放熱体12が連なった方向の熱伝導より放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなっている。基板11は、表面に金属層13を有している。
図4において、電子素子2は仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。
図1~
図4において、上方向とは、仮想のz軸の正方向のことをいう。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に電子素子搭載用基板1等が使用される際の上下を限定するものではない。
【0010】
放熱体12は、
図1および
図2に示す例において、網掛けにて示している。金属層13は、
図1(a)、
図3(b)、
図4に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図2に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。なお、平面透視において、電子素子2の搭載部11bは放熱体12と重なるように配置されている。電子部品2の搭載部11bは、平面視において、放熱体12が連なった方向(y方向)に複数配置されている。
図1~
図4に示す例において、電子部品2の搭載部11bは、平面視において、放熱体12が連なった方向(y方向)に3つ位置している。
【0011】
基板11は、単層または複数層の絶縁層11aからなり、第1主面111(
図1~
図4では上面)および第2主面112(
図1~
図4では下面)を有している。基板11は、
図1~
図4に示す例において、単層の絶縁層11aからなる。基板11は、平面視において、第1主面111および第2主面112のそれぞれに対して二組の対向する辺(4辺)を有した方形の板状の形状を有している。基板11は、
図1~
図4に示す例において、平面視において、複数の電子素子2の並び(搭載部11bの並び)の方向に長い長方形状である。基板11は、複数の電子素子2を支持するための支持体として機能し、基板11の第1主面111に位置した複数の搭載部11b上に複数の電子素子2が接合部材を介してそれぞれ接着され固定される。
【0012】
基板11は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等のセラミックスを用いることができる。基板11は、例えば窒化アルミニウム質焼結体である場合であれば、窒化アルミニウム(AlN),酸化エルビニウム(Er2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)等の原料粉末に適当な有機バインダーおよび溶剤等を添加混合して泥漿物を作製する。この泥漿物を、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等を採用してシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを作製する。必要に応じて、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、セラミックグリーンシートを高温(約1800℃)で焼成することによって単層または複数の絶縁層11aからなる基板11が製作される。
【0013】
基板11は、放熱体12を収納する穴11cを有している。第1の実施形態の電子素子搭載用基板1において、穴11cは、基板11の第1主面111側と第2主面112側とを貫通している。穴11cは、例えば、基板11用のセラミックグリーンシートにレーザー加工、金型による打ち抜き加工等を施すことによって、穴11cとなる貫通孔をセラミックグリーンシートに形成しておくことで形成できる。
【0014】
放熱体12は、第3主面121(
図1~
図4では上面)および第4主面122(
図1~
図4では下面)を有している。放熱体12は、平面視において、第3主面121および第4主面122のそれぞれに対して二組の対向する辺(4辺)を有した方形の板状の形状を有している。
【0015】
放熱体12は、例えば、炭素材料からなり、六員環が共有結合でつながったグラフェンが積層した構造体として形成される。各面がファンデルワールス力で結合された材料である。
【0016】
放熱体12は、基体11の穴11cに収納して基体11に埋め込まれている。放熱体12は、
図1~
図4に示す例において、基体11の長手方向に並んで(連なって)配置された3つの穴11cのそれぞれに1つずつ収納され、基体11に埋め込まれている。放熱体12は、
図1~
図4に示す例において、基板11の厚み方向における第1主面111側に第3主面121が露出し、基板11の厚み方向における第2主面112側に第4主面122が露出している。
【0017】
基板11は、熱伝導率に優れた窒化アルミニウム質焼結体が用いられてもよい。基板11と放熱体12とは、基板11の穴11cの内側面と放熱体12の外側面とが、TiCuAg合金等の活性ろう材からなる接合材により接着される。接合材は、基板11と放熱体12との間に、10μm程度の厚みに配置される。
【0018】
第1の実施形態の電子素子搭載用基板1において、基板11の基板厚みT1および放熱体12の基板厚みT2は、それぞれ100μm~2500μm程度である。第1の実施形態の電子素子搭載用基板1において、基板11の基板厚みT1と放熱体12の基板厚みT2とは、5%程度の範囲内において同等の厚みとなっている(0.95T1≦T2≦1.05T1)。
【0019】
基板11の熱伝導率κは、
図2に示す例のように、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、基板11平面方向と厚み方向とにおいても略一定である(κx≒κy≒κz)。例えば、基板11として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、基板11は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κである基板11が用いられる。
【0020】
放熱体12の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向とy方向とで大きさが異なっている。例えば、放熱体12のそれぞれの方向における熱伝導率λx、λy、λzの関係は、
図2に示すように、「熱伝導率λx≒熱伝導率λz>>熱伝導率λy」である。例えば、放熱体12の熱伝導率λxおよび熱伝導率λzは、1000W/m・K程度であり、放熱体12の熱伝導率λyは、4W/m・K程度である。放熱体12は、平面透視において、放熱体12が連なった方向の熱伝導より放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなるように配置している。
【0021】
本実施形態の電子素子搭載用基板1の熱伝導率は、例えば、レーザーフラッシュ法等の分析方法により測定することができる。また、放熱体12の熱伝導率を測定する場合には、基体11と放熱体12とを接合する接合材を除去し、放熱体12に対して、レーザーフラッシュ法等の分析方法により測定することができる。
【0022】
放熱体12は、基板11の長手方向、すなわち、隣接する電子素子2の搭載部11b間の方向に対する熱伝導率λyは、基板11の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導率λxおよび放熱体12の厚み方向の熱伝導率λzよりも小さくなるように配置されている。
【0023】
金属層13は、基板11の第1主面111に、平面視(平面透視)において基板11の長手方向(放熱体12が連なった方向)で放熱体12を挟むように位置している。また、平面視(平面透視)において基板11の長手方向で金属層13と放熱体12とが交互に位置している。金属層13は、例えば、電子素子2の電極とのボンディングワイヤ等の接続部材3との接続部として用いられる。
【0024】
金属層13は、薄膜層およびめっき層とを含んでいる。薄膜層は、例えば、密着金属層とバリア層とを有している。薄膜層を構成する密着金属層は、基板11の第1主面に形成される。密着金属層は、例えば、窒化タンタル、ニッケル-クロム、ニッケル-クロムーシリコン、タングステン-シリコン、モリブデン-シリコン、タングステン、モリブデン、チタン、クロム等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術を採用することにより、基板11の第1主面に被着される。例えば真空蒸着法を用いて形成する場合には、基板11を真空蒸着装置の成膜室内に設置して、成膜室内の蒸着源に密着金属層と成る金属片を配置し、その後、成膜室内を真空状態(10-2Pa以下の圧力)にするとともに、蒸着源に配置された金属片を加熱して蒸着させ、この蒸着した金属片の分子を基板11に被着させることにより、密着金属層と成る薄膜金属の層を形成する。そして、薄膜金属層が形成された基板11にフォトリソグラフィ法を用いてレジストパターンを形成した後、エッチングによって余分な薄膜金属層を除去することにより、密着金属層が形成される。密着金属層の上面にはバリア層が被着され、バリア層は密着金属層とめっき層と接合性、濡れ性が良く、密着金属層とめっき層とを強固に接合させるとともに密着金属層とめっき層との相互拡散を防止する作用をなす。バリア層は、例えば、ニッケルークロム、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術により密着金属層の表面に被着される。
【0025】
密着金属層の厚さは0.01~0.5μm程度が良い。0.01μm未満では、基板11上に密着金属層を強固に密着させることが困難となる傾向がある。0.5μmを超える場合は密着金属層の成膜時の内部応力によって密着金属層の剥離が生じ易くなる。また、バリア層の厚さは0.05~1μm程度が良い。0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生してバリア層としての機能を果たしにくくなる傾向がある。1μmを超える場合は、成膜時の内部応力によりバリア層の剥離が生じ易くなる。
【0026】
めっき層は、電解めっき法または無電解めっき法によって、薄膜層の表面に被着される。めっき層は、ニッケル,銅,金または銀等の耐食性、接続部材との接続性に優れる金属から成るものであり、例えば、厚さ0.5~5μm程度のニッケルめっき層と0.1~3μm程度の金めっき層とが順次被着される。これによって、金属層13が腐食することを効果的に抑制できるとともに、金属層13と配線基板に形成された配線導体との接合を強固にできる。
【0027】
また、バリア層上に、銅(Cu)、金(Au)等の金属層を配置し、めっき層が良好に形成されるようにしても構わない。このような金属層は、薄膜層と同様な方法により形成される。
【0028】
基板11の第1主面111への金属層13の形成、および金属層13上への金属めっき層の形成の際に、予め放熱体12の露出する第3主面121および第4主面122に、樹脂、セラミックス、金属等からなる保護膜を位置しておくと、電子素子搭載用基板1の製作時に炭素材料からなる放熱体12が剥き出しにならないため、薬品等による変質を低減することができる。
【0029】
電子素子搭載用基板1の第1主面111側に位置した搭載部11b上に、電子素子2を搭載し、この電子素子搭載用基板1を配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージに搭載することによって電子装置を作製できる。電子素子搭載用基板1に搭載される電子素子2は、例えばLD(Laser Diode)、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、PD(Photo Diode)等の受光素子である。例えば、電子素子2は、Au-Sn等の接合材によって、搭載部11b上に固定された後、ボンディングワイヤ等の接続部材3を介して電子素子2の電極と金属層13とが電気的に接続されることによって電子素子搭載用基板1に搭載される。電子素子搭載用基板1が搭載される配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージは、例えば、基板11と同様に、セラミックス等の絶縁基体を用いることができ、表面に配線導体を有している。そして、電子素子搭載用基板1の金属層13と配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージの配線導体とが電気的に接続される。
【0030】
本実施形態の電子装置が、配線導体とモジュール用基板の接続パッドに半田等の接合材を介して接続されて、電子モジュールとなる。これにより、電子素子2とモジュール用基板の接続パッドとが電気的に接続される。
【0031】
本実施形態の電子素子搭載用基板1によれば、第1主面111および第1主面111と相対する第2主面112を有した方形状である基板11と、基板11に連なって埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における第1主面111側に位置した第3主面121および第3主面121と相対する第4主面122を有する放熱体12とを有しており、平面透視において、放熱体12は、放熱体12が連なった方向の熱伝導より放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きいことにより、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0032】
特に電子素子2としてLD、LED等の光素子を搭載する場合には、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで、光を精度よく放出することができる光学装置用の電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0033】
本実施形態における電子素子搭載用基板1は、薄型で高出力の電子装置において好適に使用することができ、電子素子搭載用基板1における信頼性を向上することができる。例えば、電子素子2として、LD、LED等の光素子を搭載する場合、薄型で指向性にすぐれた光学装置用の電子素子搭載用基板1として好適に用いることができる。
【0034】
放熱体12は、
図1~
図4に示す例のように、平面透視において、搭載部11bよりも大きい(電子素子2よりも大きい)と、放熱体12に伝熱した電子素子2の熱が、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱されやすく、電子素子2が隣接する、放熱体12が連なった方向への伝熱が抑制されるので、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0035】
金属層13は、
図1~
図4に示す例のように、平面透視において、放熱体12と重ならない、すなわち放熱体12の外縁よりも外側に配置しておくと、電子素子2の熱が金属層13側よりも放熱体12側に伝わりやすくし、電子素子2の熱が、金属層13を介して電子素子2と相対する位置に伝わり難いものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを良好に抑制することができる。
【0036】
また、平面視(平面透視)において、金属層13は放熱体12が連なった方向で放熱体12を挟むように位置していると、金属層13に伝わった熱が金属層13でより放散されやすいものとなり、金属層13を介して電子素子2が隣接する、放熱体12が連なった方向への伝熱が抑制されるので、電子素子2の熱が放熱体12を介して、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱され、電子素子搭載用基板1の歪みをより良好に抑制することができる。
【0037】
また、平面視(平面透視)において放熱体12が連なった方向で金属層13と放熱体12とが交互に位置していると、金属層13に伝わった熱が金属層13で効果的に放散されやすいものとなり、金属層13を介して電子素子2が隣接する、放熱体12が連なった方向への伝熱が抑制されるので、電子素子2の熱が放熱体12を介して、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱され、電子素子搭載用基板1の歪みをより良好に抑制することができる。
【0038】
また、放熱体12が連なった方向の縦断面視において、放熱体12は、厚み方向に垂直に交わる方向より厚み方向の熱伝導が大きいと、放熱体12の厚み方向に向かって伝熱しやすくなり、放熱体12が連なった方向への伝熱を良好に抑制することができる。
【0039】
また、
図1~
図4に示す例のように、平面視において、基板11が矩形状であり、放熱体12が基板11の長手方向に連なって位置していると、それぞれの放熱体12により、基板11の長手方向への伝熱を抑制し、電子素子2の熱は放熱体12を介して、基板11の長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができる。
【0040】
放熱体12は、基板11の厚み方向における第1主面111側に第3主面121が露出していることから、放熱体12上(搭載部11b)に、電子素子2を搭載した際に、電子素子2の熱を直接放熱体12に伝熱することができ、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱されるので、基板11の歪みを良好に抑制することができる。
【0041】
放熱体12は、基板11の厚み方向における第2主面112側に第4主面122が露出していることから、放熱体12を介して第4主面122側に伝熱した熱を外部に放出しやすくすることができる。
【0042】
本実施形態の電子装置によれば、上記構成の電子素子搭載用基板1と、電子素子搭載用基板1の搭載部11bに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることによって、長期信頼性に優れた電子装置とすることができる。
【0043】
本実施形態の電子モジュールによれば、上記構成の電子装置と、電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することによって、長期信頼性に優れたものとすることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態による電子素子搭載用基板について、
図5~
図8を参照しつつ説明する。
【0045】
第2の実施形態における電子装置において、上述した実施形態の電子装置と異なる点は、基板11が底面を有する穴11cを有している点である。第2の実施形態において、基板11は、2層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図5~
図8に示す例において、基板11の厚み方向における第1主面111側に第3主面121が露出している。放熱体1は、
図5(a)および
図6、
図8(a)に示す例において、網掛けにて示している。金属層13は、
図5(a)、
図7(b)、
図8に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図6に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図5(b)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0046】
第2の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0047】
穴11cは、基板11の第1主面111側に開口し、第2主面112側に底面を有している。第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、基板11の穴11cの底面と放熱体12の第4主面122とを接合して製作することができる。第2の実施形態の電子素子搭載用基板1によれば、放熱体12の第4主面122側に絶縁層11aを有することから、放熱体12の第4主面122を含めて、電子素子搭載用基板1の下面側全体を保持して電子素子搭載用基板1の歪みを小さくすることができる。また、基板11の第2主面112側全面が平坦となり、基板11の第2主面112に他の放熱部材とを良好に接合することができ、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0048】
穴11cは、例えば、基板11用のセラミックグリーンシートにレーザー加工、金型による打ち抜き加工等を施すことによって、穴11cとなる貫通孔をセラミックグリーンシートに形成しておき、他のセラミックグリーンシートと積層することで形成できる。
【0049】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1において、基板11の穴11cの底面と放熱体2の第4主面122とがTiCuAg合金等の活性ろう材からなる接合材により接着される。接合材は、基板11と放熱体12との間に、10μm程度の厚みに配置される。基板11の基板厚みT1は、例えば、150μm~2500μm程度であり、放熱体12の基板厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。基板11の第2主面112側の絶縁層11aの厚みT12は、基板11の第1主面111側の絶縁層11aの厚みT11、すなわち、穴11cの高さ(深さ)よりも小さくてもよい(T11>T12)。
【0050】
なお、第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1の基板11の第2主面112側および放熱体12の第4主面122側に、基板11と実質的に同材料の他の基板11を接合することで形成しても構わない。
【0051】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態による電子装置について、
図9~
図12を参照しつつ説明する。
【0053】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、基板11の第2主面112側に開口した底面を有する穴11cを有している点、放熱体12が、平面透視において、円形状である点である。第3の実施形態において、基板11は、2層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図9~
図12に示す例において、基板11の厚み方向における第2主面112側に第4主面122が露出している。電子素子2の搭載部11bおよび放熱体12は、
図9(b)および
図10に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図9および
図11、
図12に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図10に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図9(a)および
図12(a)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0054】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0055】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、基板11の穴11cの底面と放熱体12の第3主面121とを接合して製作することができる。放熱体12の第3主面121側に絶縁層11aを有することから、放熱体12の第3主面121を含めて、電子素子搭載用基板1の上面側全体を保持して電子素子搭載用基板1の歪みを小さくすることで、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。また、基板11の第1主面111側全面が平坦となり、搭載部11b上に電子素子2を良好に搭載することができる。
【0056】
穴11cは、例えば、基板11用のセラミックグリーンシートにレーザー加工、金型による打ち抜き加工等を施すことによって、穴11cとなる貫通孔をセラミックグリーンシートに形成しておき、他のセラミックグリーンシートと積層することで形成できる。
【0057】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1において、TiCuAg合金等の活性ろう材からなる接合材により接着される。接合材は、基板11と放熱体12との間に、10μm程度の厚みに配置される。基板11の厚みT1は、例えば、150μm~2500μm程度であり、放熱体12の厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。基板11の第2主面112側の絶縁層11aの厚みT12は、基板11の第1主面111側の絶縁層11aの厚みT11、すなわち、穴11cの高さ(深さ)よりも大きくてもよい(T12>T11)。
【0058】
また、
図9~
図12に示す例のように、電子素子2の搭載部11bとなる搭載層14を有していてもよい。搭載層14は、金属層13と同様の材料、方法により製作することができる。搭載層14により、より良好に電子素子2を電子素子搭載用基板1に搭載することができる。
【0059】
また、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3は、平面透視における搭載層14の外縁と放熱体12の外縁との間隔Wよりも小さいと、電子素子2の熱が、放熱体12が連なった方向における放熱体12の外縁の外側よりも放熱体12側に伝熱されやすくなり、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制することができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0060】
搭載層14は、
図9~
図12に示す例のように、平面透視において、放熱体12よりも小さいと、放熱体12により電子素子2の熱が放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制することができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0061】
なお、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1の基板11の第1主面111側および放熱体12の第3主面121側に、基板11と実質的に同材料の他の基板11を接合することで形成しても構わない。
【0062】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態による電子装置について、
図13~
図16を参照しつつ説明する。
【0064】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、放熱体12が、放熱体12の第3主面121および第4主面122が表面に露出しないように基板11内に埋め込まれている点である。第4の実施形態において、基板11は、3層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図14に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図13(a)および
図15、
図16に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図14に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図13および
図16(a)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0065】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0066】
また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、放熱体12の第3主面121および第4主面122が表面に露出しないように放熱体12が基板11内に埋め込まれていると、放熱体12の第3主面121と第4主面122とを基板11と良好に接合して製作することができる。放熱体12の第3主面121および第4主面122がそれぞれ基板11の絶縁層11aにより被覆された電子素子搭載用基板1となる。
【0067】
第4の実施形態の電子素子搭載用基板1において、基板11の基板厚みT1は、例えば、200μm~3000μm程度であり、放熱体12の基板厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3および基板11の第2主面112と放熱体12の第4主面122との間の基板11の厚みT4は、放熱体12の基板厚みT2よりも小さくてもよい(T2>T3、T2>T4)。なお、第5の実施形態~第8の実施形態の電子素子搭載用基板1においても同様である。
【0068】
また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3は、平面透視における搭載層14の外縁と放熱体12の外縁との間隔Wよりも小さくてもよい。
【0069】
また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、基板11の第1主面に搭載層14を形成しても構わない。搭載層14は、第3の実施形態と同様に、搭載層14は、平面透視において、放熱体12よりも小さくてもよい。
【0070】
基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3と、基板11の第2主面112と放熱体12の第4主面122との間の基板11の厚みT4とは同等の厚みであってよい。例えば、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3が100μmである場合、基板11の第2主面112と放熱体12の第4主面122との間の基板11の厚みT4は、90μm~110μm程度であってもよい。放熱体12を挟んでの基板11の厚みが同等であるので、電子素子搭載用基板1の歪みを小さいものとすることできる。
【0071】
第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1の基板11の第1主面111側および第2主面112側のそれぞれに、基板11と実質的に同材料の他の基板11を接合することで形成することができる。また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第2の実施形態の電子素子搭載用基板1の基板11の第1主面111側および放熱体12の第3主面121側に、基板11と実質的に同材料の他の基板11を接合して形成しても良いし、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1の基板11の第2主面112側および放熱体12の第4主面122側に、基板11と実質的に同材料の他の基板11を接合して形成しても構わない。
【0072】
第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0073】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態による電子装置について、
図17~
図20を参照しつつ説明する。
【0074】
第5の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、放熱体12が、基板11の長手方向に垂直に交わる方向に長い点である。第5の実施形態において、基板11は、3層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図18に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図17(a)および
図19、
図20に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図18に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図17および
図20(a)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0075】
第5の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0076】
また、第5の実施形態の電子素子搭載用基板1は、放熱体12が基板11の長手方向に垂直に交わる方向に長いと、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱をさらに大きくすることができるので、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0077】
また、放熱体12は、
図17~
図20に示す例のように、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に、基板11の側面に延出していると、電子素子2間への伝熱が抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0078】
第5の実施形態の電子素子搭載用基板1において、基板11の基板厚みT1は、例えば、200μm~3000μm程度であり、放熱体12の基板厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。
【0079】
また、第5の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1およびと第4の実施形態の電子素子搭載用基板1同様に、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3は、平面透視における搭載層14の外縁と放熱体12の外縁との間隔Wよりも小さくてもよい。
【0080】
また、第5の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1および第4の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、基板11の第1主面に搭載層14を形成しても構わない。搭載層14は、第3の実施形態と同様に、搭載層14は、平面透視において、放熱体12よりも小さく、放熱体12の内側に位置してもよい。
【0081】
第5の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、放熱体12の第3主面121および第4主面122が表面に露出しないように、放熱体12の第3主面121側と第4主面122側とが絶縁層11aにより接合している。この場合、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3と、基板11の第2主面112と放熱体12の第4主面122との間の基板11の厚みT4とは同等の厚みであってもよい。例えば、基板11の第1主面111と放熱体12の第3主面121との間の基板11の厚みT3が100μmである場合、基板11の第2主面112と放熱体12の第4主面122との間の基板11の厚みT4は、90μm~110μm程度であってもよい。放熱体12を挟んでの基板11の厚みが同等であるので、電子素子搭載用基板1の歪みを小さいものとすることできる。
【0082】
第5の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0083】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態による電子装置について、
図21~
図24を参照しつつ説明する。
【0084】
第6の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、複数の放熱体12の大きさが、平面透視においてそれぞれ異なっている点である。放熱体12は、
図22に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図21(a)、
図23、
図24(a)に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図21、
図24に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0085】
第6の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0086】
放熱体12は、
図21~
図24に示す例のように、平面透視にて、電子素子搭載用基板1の中央部付近に配置された放熱体12の大きさが、電子素素子搭載用基板1の外周部付近に配置された放熱体12の大きさよりも大きいと、電子素子搭載用基板1の中央部付近における放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11の中央部付近に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0087】
第6の実施形態の電子素子搭載用基板1は、搭載される複数の電子素子2の大きさが異なる電子装置においても好適に使用することができる。また、
図25に示す例のように、搭載層14の大きさが、平面視にて異なっていても構わない。
【0088】
第6の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0089】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態による電子装置について、
図26~
図29を参照しつつ説明する。
【0090】
第7の実施形態における電子素子搭載用基板1において、平面視で放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向に複数の連なった放熱体12が配置されている点である。第7の実施形態において、基板11は、3層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図27に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図26および
図28、
図29に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図27に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図26および
図29(a)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。
【0091】
第7の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、放熱体12が連なった方向への伝熱を抑制し、放熱体12が連なった方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0092】
また、放熱体12が連なった方向に直交する方向に隣接する放熱体12の間隔L1は、放熱体12が連なった方向に隣接する放熱体の間隔L2よりも大きい(L1>L2)と、放熱体12が連なった方向に直交する方向に対する伝熱を妨げにくいので、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。特に、放熱体12が連なった方向に直交する方向に隣接する放熱体12の間隔L1は、放熱体12が連なった方向に隣接する放熱体の間隔L2の2倍以上(L1>2L2)であってもよい。
【0093】
また、
図30に示す例のように、放熱体12が連なった方向に直交する方向に配置された複数の連なった放熱体12が、放熱体12が連なった方向に互いにずれて配置されていると、放熱体12が連なった方向に直交する方向に対する伝熱をより妨げにくいので、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0094】
第7の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0095】
図26~
図30に示す例において、放熱体12は、放熱体12が連なった方向に直交する方向に3列配置されているが、放熱体12が連なった方向に直交する方向に2列、もしくは4列以上配置されていても構わない。
【0096】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態による電子装置について、
図31~
図34を参照しつつ説明する。
【0097】
第8の実施形態における電子素子搭載用基板1において、平面視透視で、1つの放熱体12が、複数の電子部品2の搭載部11bと重なるように位置している点である。第8の実施形態において、基板11は、3層の絶縁層11aより形成されている。放熱体12は、
図32に示す例において、網掛けにて示している。金属層13および搭載層14は、
図31および
図33、
図34に示す例において、網掛けにて示している。基板11は、
図32に示す例において、斜視にて不可視となる基板11の外面および穴11cの内面とを破線にて示している。基板11は、
図31および
図34(a)に示す例において、平面透視にて放熱体12の側面と重なる領域を破線にて示している。また、平面透視において、放熱体12は矩形状であり、電子部品2の搭載部11bが放熱体12の長手方向に連なって位置している。なお、平面透視において、放熱体12は方形状であってもよい。
【0098】
第8の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上述した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、隣接する電子部品2の搭載部11bの方向への伝熱を抑制し、隣接する電子部品2の搭載部11bの方向に垂直に交わる方向への伝熱を大きくすることができるので、基板11に熱が滞留することが抑制され、電子素子搭載用基板1の放熱が良好なものとなり、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することができる。
【0099】
1つの放熱体12は、平面透視において、複数の電子部品2の搭載部11bと重なっている。1つの放熱体12は、
図31~
図34に示す例において、平面透視において、5個の電子部品2の搭載部11bと重なっている。放熱体12は、複数の電子部品2の搭載部11bの並びの方向(y方向)の熱伝導率λyが、基板11の熱伝導率κyよりも小さい(λy<κy)と、第1の実施形態~第7の実施形態と比較して、隣接する電子部品2間の伝熱を抑制し、搭載部11
b間の間隔を小さく設置できるので、小型な電子装置として好適に使用することができる。
【0100】
また、電子部品2として発光素子を用いる場合、搭載部11b間の間隔を小さくして多くの発光素子を搭載することができ、輝度に優れた発光装置とすることができる。
【0101】
また、
図35に示す例のように、複数の電子部品2の搭載部11bと重なるように位置した放熱体12が、複数の電子部品2の搭載部11bの並びの方向に、複数連なって配置されていても構わない。この場合、それぞれの放熱体12は、放熱体12が連なった方向の熱伝導より前放熱体が連なった方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなるように位置している。
【0102】
第8の実施形態の電子素子搭載用基板1は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0103】
本開示は、上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、種々の変更は可能である。例えば、基板11の第1主面111に位置した金属層13は、上述の例では、薄膜法により形成しているが、従来周知のコファイア法またはポストファイア法等を用いた金属層であっても構わない。このような金属層13を用いる場合は、金属層13は、基板11と放熱体12との接合前にあらかじめ基板11の第1主面に設けられる。なお、基板11の平面度を良好なものとするために、上述の方法であってもよい。
【0104】
また、電子素子搭載用基板1には、平面視にて基板11の角部または辺部において、面取り、切り欠き等を有するものであっても構わない。
【0105】
第1の実施形態の電子素子搭載用基板1乃至第7の実施形態の電子素子搭載用基板1は、単層~3層の絶縁層11aにより形成しているが、絶縁層11aの層数はことなるものであっても構わない。例えば、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1において、2層以上の絶縁層11aにより形成しても構わない。
【0106】
第1の実施形態の電子素子搭載用基板1乃至第7の実施形態の電子素子搭載用基板1は、3つの放熱体12が、基体11の3つの穴11cに収納されているが、4つ以上の穴11cおよび放熱体12が配置された電子素子搭載用基板1であっても構わない。
【0107】
また、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1~第7の実施形態の電子素子搭載用基板1を組み合わせたものであっても構わない。例えば、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1、第6の実施形態の電子素子搭載用基板1、第7の実施形態の電子素子搭載用基板1等において、第2の実施形態の電子素子搭載用基板1のように、平面視において、放熱体12が、平面視において円形状であっても構わない。