(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】磁気カプセルシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61B1/00 611
A61B1/00 C
A61B1/00 552
A61B1/00 650
(21)【出願番号】P 2019516160
(86)(22)【出願日】2017-09-23
(86)【国際出願番号】 CN2017103062
(87)【国際公開番号】W WO2018054367
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-09
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517396261
【氏名又は名称】アンコン メディカル テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON MEDICAL TECHNOLOGIES (SHANGHAI) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Floor 1, No. 2218 Jinsui Road, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 200131, China
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シャォドン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン シャオバン
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】井上 香緒梨
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267788(US,A1)
【文献】特表2016-515444(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0735863(KR,B1)
【文献】国際公開第2009/107892(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/168681(WO,A1)
【文献】特開2011-147785(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103169443(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103251369(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の消化管を検査するための磁気カプセルシステムであって、
前記消化管は、小腸および結腸であり、
第1の外部磁気制御システムを備え、
前記第1の外部磁気制御システムは、
患者の第1の側に配置され、磁気カプセルを移動させるための第1の磁場を提供するように構成された第1の外部永久磁石双極子と、
第1の外部磁気制御アセンブリと、
を備え、
第1の外部磁気制御アセンブリは、
第1の外部永久磁石双極子をx軸方向に沿って移動させることができる第1の水平並進手段と、
第1の外部永久磁石双極子をy軸方向に沿って移動させることができる第2の水平並進手段と、
第1の外部永久磁石双極子をz軸方向に沿って移動させることができる第1の垂直移動手段と、
第1の外部永久磁石双極子をz軸方向の周りに回転させることができる第1の回転手段と、
第1の外部永久磁石双極子をx軸方向の周りに回転させることができる第2の回転手段と、
を備え、
前記第1の水平並進手段、第2の水平並進手段、第1の垂直移動手段、第1の回転手段、第2の回転手段はそれぞれ、前記第1の外部永久磁石双極子の位置および向きを個別に調整するように構成されており、
さらに、第2の外部磁気制御システムを備え、
第2の外部磁気制御システムは、
患者の第2側に配置され、磁気カプセルを動かすための第2の磁場を提供するように構成された第2の外部永久磁石双極子と、
第2の外部磁気制御アセンブリと、
を備え、
第2の外部磁気制御アセンブリは、
第2の外部永久磁石双極子をx軸方向に沿って移動させることができる第3の水平並進手段と、
第2の外部永久磁石双極子をy軸方向に沿って移動させることができる第4の水平並進手段と、
第2の外部永久磁石双極子をz軸方向に沿って移動させることができる第2の垂直移動手段と、
第2の外部永久磁石双極子をz軸方向の周りに回転させることができる第3の回転手段と、
第2の外部永久磁石双極子をx軸方向の周りに回転させることができる第4の回転手段と、
を備え、
前記第3の水平並進手段、第4の水平並進手段、第2の垂直移動手段、第3の回転手段、第4の回転手段はそれぞれ、前記第2の外部永久磁石双極子の位置および向きを個別に調整するように構成されており、
前記第1の垂直移動手段および前記第2の垂直移動手段をそれぞれ調整するために第1および第2の外部磁気制御アセンブリが順次または同時に動作して、磁気カプセルに生じる合成磁場変化を発生させ、これによって患者体内のカプセルの位置または向きを変更させ、
磁気カプセルの位置および向きを測定するように、磁気カプセル内に3次元磁気センサおよび3次元加速度センサを設置しており、
前記磁気カプセルをx軸に沿って動かす場合に、磁気カプセルの磁化方向と、第1および第2の外部永久磁石双極子によって形成される合成磁場方向(B)と、磁気カプセルが受ける力Fの方向とは、すべて互いに平行であり、
磁気カプセルシステムは、磁気カプセルの移動経路としての
磁気カプセルシステムの中心線を含み、磁気カプセルの中心と第1および第2の外部永久磁石双極子の中心を結ぶ投影線との間の水平方向の距離をx、第1および第2の外部永久磁石双極子の中心と中心線との間の垂直方向の距離をhとすると、
前記磁気カプセルの前記磁化方向が、前記第1および第2の外部永久磁石双極子の磁化方向に対して垂直である場合に、
Fを磁気カプセルに作用する磁力、Bを磁気カプセルの位置における磁場とすると、
相対距離x/hが0以上、0.7未満で、比率F/Fmaxが次第に増加し、相対距離x/hが0.7のときに、率F/Fmaxが最大値1となり、相対距離x/hが0.7を超えて2以下で比率F/Fmaxが次第に減少し、
相対距離x/hが0以上、0.5未満で、比率B/Bmaxが次第に増加し、相対距離x/hが0.5のときに、比率B/Bmaxが最大値1となり、相対距離x/hが0.5を超えて2以下で比率B/Bmaxが次第に減少することを特徴とする磁気カプセルシステム。
【請求項2】
第1の外部永久磁石双極子が患者の上方に配置され、第2の外部永久磁石双極子が患者の下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項3】
前記第1の外部永久磁石双極子は前記患者の前方に配置され、前記第2の外部永久磁石双極子は前記患者の後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項4】
第1の外部永久磁石双極子の第1の水平並進手段、及び第2の外部永久磁石双極子の第3の水平並進手段は、一緒に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項5】
第1の外部永久磁石双極子の第2の水平並進手段、及び第2の外部永久磁石双極子の第4の水平並進手段は、一緒に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項6】
第1の外部永久磁石双極子の第1の垂直並進手段、及び第2の外部永久磁石双極子の第2の垂直並進手段は、一緒に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項7】
第1の外部永久磁石双極子の第1の回転手段、及び第2の外部永久磁石双極子の第3の回転手段は、一緒に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項8】
第1の外部永久磁石双極子の第2の回転手段、及び第2の外部永久磁石双極子の第4の回転手段は、一緒に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項9】
患者が検査を受けているとき、第1および第2の外部永久磁石双極子の磁気双極子方向は互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項10】
第1および第2の外部永久磁石双極子の磁気双極子方向は、磁気カプセルの磁気双極子方向に対して垂直であることを特徴とする請求項9に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項11】
前記第1および第2の外部永久磁石双極子は、前記磁気カプセルに対して等距離に位置されていることを特徴とする請求項9に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項12】
前記等距離が5~15cmであることを特徴とする請求項11に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項13】
第1の外部永久磁石双極子のための第1の水平並進手段と第2の外部永久磁石双極子のための第3の水平並進手段は、患者が検査中であるときに同じ方向に動かされ得ることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項14】
前記磁気カプセルの移動経路としての中心線をさらに含み、前記第1および第2の外部永久磁石双極子の磁化方向は、前記中心線を横切って互いに鏡像であることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項15】
支持プラットフォームをさらに含み、検査中に患者は前記支持プラットフォーム上に横たわることを特徴とする請求項1に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項16】
前記支持プラットフォームは、検査領域の内外にy軸方向に沿って移動することを特徴とする請求項
15に記載の磁気カプセルシステム。
【請求項17】
前記支持プラットフォームは前記x軸方向に移動することができることを特徴とする請求項
15に記載の磁気カプセルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年9月23日に出願された同時係属中の出願15274771に関連する。
【0002】
本特許出願は、医療関連用途に使用されるカプセル装置の技術に関し、より詳細には、患者の消化管を通って磁気カプセルをナビゲートするために2つの外部磁気発生手段を使用するシステムおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気制御可能なカプセル型内視鏡は、胃検査において広く商業的に使用されており、そして非常に成功していることが実証されている。しかしながら、同じ磁気制御カプセル内視鏡は、日常検査を行うために小腸および結腸の内側に配置するように現在使用されていない。
【0004】
今日まで、患者の消化管内を移動しながら磁気カプセル内視鏡を誘導するための3種類の外部磁場発生システムがある。それらは電磁コイル、電磁石および永久磁石である。患者の小腸全体にわたって典型的な磁気カプセル内視鏡を動かすための外部磁場または外部磁場勾配によって十分な駆動力を提供するという要件を満たすために、電磁コイルおよび電磁石システムの電力消費は非常に大きく、熱放散は非常に大きいことからこれらのシステムはさらに大きくなり、最終的にはシステムの構築や運用に非常に高いコストがかかる可能性がある。加えて、電磁コイルおよび電磁石システムにとって、電磁適合性(EMC)もまた大きな課題であり、電磁場に関する潜在的な安全性の問題もまた何らかの懸念を示している。
【0005】
電磁コイルに比較すると、永久磁石は大きな磁場または磁場勾配を発生させるためのはるかにクリーンで効率的な方法である。しかしながら、永久磁石の制御アルゴリズムは電磁コイルよりはるかに複雑である。電磁石は、その強さを電流で調整できるので、永久磁石よりも少し柔軟性がある。しかしながら、磁気カプセルの動きを制御するために、電磁石は永久磁石の複雑さと同程度の複雑さを有する。そして、同じ磁場または磁場勾配を達成するために、電磁石は永久磁石より2~3倍大きい空間を占める。なお、永久磁石に関しては、球形が遠隔磁場または磁場勾配の発生に最も効率的である。
【0006】
したがって、小腸を通してカプセルをナビゲートするための磁気制御システムが必要とされ、前記システムは外部永久磁石双極子を使用しそして使用が容易である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、患者の消化管を検査するために使用することができるシステムおよび方法を開示する。
【0008】
本発明の1つの目的は、永久磁石を使用してその場で磁気カプセルの場所の動きを制御することができるシステムを発明することである。
【0009】
本発明の他の目的は、磁気カプセルが5自由度を有する3次元で自由に動くことができることである。
【0010】
本発明の更なる目的は、磁気カプセルが外部磁石によって向きを調整しながら移動することができることである。
【0011】
本発明における第1の態様では、ヒト消化管内の磁気カプセルの移動を制御するためのシステムが説明されている。このシステムは、人間の胃腸管内に配置するための磁気双極子と、5以上の自由度を有する、外部の並進および/または回転磁場力を磁気カプセルに加えることができる外部磁石制御システムとを有する。また、磁気双極子は、長さを有するカプセル内に封入され、ここで磁気双極子はカプセルの長さに平行である。さらに、このシステムは、2つ以上の外部磁気ボールを含み、少なくとも1つの外部磁気ボールは5自由度で自由に動くことができる。
【0012】
本発明における第2の態様では、システムの機械的制御について説明を行う。このシステムは、2つの磁気ボールを含み、各ボールは個々の運動制御アセンブリによって制御され、それは同時にまたは別々に操作されることが可能である。
【0013】
このシステムは、第1の外部磁気制御アセンブリと第2の外部磁気制御アセンブリとを備える。
【0014】
各外部磁気制御アセンブリは、磁場発生手段と、2つの水平方向並進手段と、1つの垂直方向並進手段と、水平回転手段と、垂直方向回転手段とを備える。
【0015】
本発明における第3の態様では、健康診断のための装置が説明されている。患者の消化管を検査するための医療機器は、地面に置かれるベースを有し、一対の垂直支持フレームアセンブリと、2つの球形の外部磁石とを備えている。各磁石は、運動制御アセンブリに取り付けられ、両方の磁石は、それぞれの進行経路に沿って患者の体内に配置された磁気カプセルをナビゲートするために使用される。
【0016】
本発明における第4の態様では、ヒト消化管内の磁気カプセルの動きを制御するための方法が開示されている。この方法は、
カプセルが患者の体内にあるときに、患者が検査ベッドの上に横たわるように準備を行うことと、
2つの磁気ボールを垂直に整列させ、両方とも水平磁化が得られるようにすることと、
2つの磁気ボールの中心間の距離が垂直方向に50cmを超えるように2つの磁気ボールを位置決めることと、
2つの磁気ボールをxy平面内で同時に動かすことと、
得られた合成磁場をカプセル内の磁気センサによって測定することと、
カプセル内の2つの三次元磁気センサおよび1つの三次元加速度センサによって、磁気カプセルの位置および向きを計算することと、
カプセルが2つのボールの中間位置にあるように、2つの磁気ボールの垂直および水平位置を調整することと、
磁気カプセルが結腸の開放空間を撮像できるように2つの磁気ボールを動かしてそれらの磁気方向を調整することと、2つの磁気ボールをカプセルの移動方向の前方に移動させることと、
2つの磁気ボールを回転させてそれらの磁化方向を変えることによって磁気カプセルを前方に移動させることと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面とともに以下の詳細な説明からより明確に理解することができる。
【0018】
【
図1】本発明の一態様による磁気カプセルシステムを示す概略図である。
【
図2】本発明の一態様による例示的な外部磁気制御システムを示す斜視図であり、ここでベッドは支持フレームの外側に延びている。
【
図3】本発明の一態様による例示的なシステムを示す斜視図であり、ここでベッドは支持フレームの内側に配置されている。
【
図4】本発明の一態様による例示的なシステムを示す分解斜視図であり、ここでシステム構造をよりよく示すために、ベッドは支持フレームの内側に配置され、アセンブリは一緒に配置されていない。
【
図5】本発明の一態様による例示的なシステムを示す分解斜視図であり、ここで、構造部品を明確に表示しラベルを付けることができるようにプラットフォームまたはベッドが取り除かれている。
【
図6】外部磁気制御システムの背面から見たときの外部磁気システムを示す断面図である。
【
図9】本発明の一態様による磁気カプセルを示す図である。
【
図10】カプセルがxy平面に沿って水平に移動することができることを説明するための概略図であり、ここでカプセルの磁化方向がその前進方向と同じである。
【
図11】カプセルがxy平面
に沿って水平に移動することができることを説明するための概略図であり、ここで、カプセルの磁化方向はその前方移動方向と反対である。
【
図12】2つの磁石と磁気カプセルの位置が
図11に示す通りのときの力と磁場の相対分布図である。
【
図13】2つの磁石の磁化が磁石カプセルと反対である他の操作条件を示す概略図である。
【
図14】他の操作条件を示す概略図であり、ここで2つの磁気ボールが垂直に整列され、両方のボールの磁化が同じであり、磁化方向がそれらの間の中間面に沿って互いに鏡像である。
【
図15】2つの磁石と磁気カプセルの位置が
図13に示す通りのときの力と磁場の相対分布図である。
【
図16】他の操作条件を示す概略図であり、ここで2つの磁気ボールが垂直に整列され、両方のボールの磁化が同じであり、磁化方向がそれらの間の中間面に沿って互いに鏡像であり、また、磁気カプセルが前方に引きずられている。
【
図17】他の操作条件を示す略図であり、ここで2つの磁気ボールが垂直に整列され、両方のボールの磁化が同じであり、磁化方向がそれらの間の中間面に沿って互いに鏡像であり、磁気カプセルが前方に引きずられている。
【
図18】外部磁気システムにおける調整によって磁気カプセルを交換する過程において、磁気カプセルおよび外部磁気ボールの初期位置および配向を示している。
【
図19】外部磁気システムにおける調整によって磁気カプセルを交換する過程において、磁気カプセルおよび外部磁気ボールの完成位置および配向を示している。
【
図20】外部磁気システムにおける調整を通じて磁気カプセルを交換するための代替プロセスにおいて、磁気カプセルおよび外部磁気ボールの他の完成位置および配向を示している。
【
図21】磁気カプセルをxz平面内で回転させる方法を示す概略図である。
【
図22】磁気カプセルをxz平面内で回転させる方法を示す概略図である。
【
図23】磁気カプセルをxz平面内で回転させる方法を示す概略図である。
【
図24】磁気カプセルをxz平面内で回転させる方法を示す概略図である。
【
図25】磁性カプセルをxy平面内で回転させる方法を示す上面概略図である。
【
図26】磁気カプセルをxy平面内で回転させる方法を示す概略側面図である。
【
図27】磁気カプセルを垂直に移動させるために磁気ボールの位置を調整する方法を説明するための概略側面図である。
【
図28】磁気カプセルを垂直に移動させるために磁気ボールの位置を調整する方法を説明するための概略側面図である。
【
図29】システムがどのように使用されるかを示すためのプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、目的とする場所に配置される磁気カプセルシステムおよびその外部制御システムの選択例およびその使用方法について詳細に説明を行う。説明をシンプル化するために、磁気カプセルおよびその外部システムは、生物医学的用途の文脈で説明が行われ、すなわち標的位置はインビボ位置、例えば消化管内の位置である。また、説明をシンプル化するために、本明細書に開示されている医療装置はインビボに配置されるように設計されている。非侵襲的な送達方法の1つは、消化管に飲み込むことによるものである。したがって、本明細書に開示されている医療機器はカプセルと呼ばれ、カプセルはその形状、寸法またはサイズに対する限定として解釈されるべきではない。また、本明細書に開示されるカプセル装置およびその使用方法は、標的位置における磁気カプセルの移動がある位置から別の位置へ外部的に制御される必要がある限り、他の多くの用途にも実施することができる。
【0020】
本発明の範囲において、xyz座標系は、位置または方向を定義するために使用される。
図3は、本発明の範囲内の医療システムの向きに対するxyz軸方向を示している。これは、説明のみを目的としており、制限として解釈されるべきではない。例えば、
図3によれば、
図2を参照すると、x方向はベッドが移動する方向であり、それは後ろから前への移動である。y方向は、1つの支持フレームから別の対向する支持フレームへの左から右への方向であり、z方向は磁石を患者に近づけたり遠ざけたりする方向であり、これは上下方向である。水平回転とは、装置の正面から見たときに、xy平面に沿ってz軸の周りを回転すること、例えば左から右へ回転することを意味する。垂直回転とは、装置の正面から見たときに、yz平面に沿って、例えば上から下へ回転する、y軸の周りの回転を意味する。
【0021】
本発明は、患者、特に小腸消化管を検査するために使用するシステムを開示している。システムは、磁気カプセルを使用している。磁気カプセルは、外部磁石制御システムに応答する永久磁石を含む。本発明は、磁気カプセルの動きを制御するために2つ以上の外部磁石を利用するシステムを開示している。
【0022】
<2つの磁石>
図1を参照すると、本発明の磁気カプセルは、患者の胃腸管検査、特に小腸消化管検査のために使用されることを意図している。磁気カプセルは、患者の消化管の内部を検査することができる撮像手段をさらに含む。本発明では、両方の外部磁石によって生成された合成磁場のために、磁石カプセルが小サイズ消化管内を移動する。
【0023】
本発明において、磁性カプセルは任意の形状であり得る。1つの例示的な磁気カプセルが、
図9に概略的に示されており、このカプセルは長さLを有する。永久磁気双極子がハウジング内に封入されている。一例では、カプセルの長さは、カプセルの磁化方向(N→S)に平行である。他の実施例では、カプセルの長さは、カプセルの磁化方向に対して垂直である(N→S)。本発明の図に示されている操作実施形態では、カプセルの磁化方向(N→S)は、磁気カプセルの長さに平行である。本明細書では、長さはカプセルの最長寸法を説明するためのものである。不快感を軽減するために、カプセルの最長寸法を小腸の内壁と平行にすることが望ましい。
【0024】
本発明では、2つの磁気発生手段を含むシステムが開示されている。各磁気発生手段は外部磁気制御アセンブリを含む。外部磁気制御アセンブリは、磁石カプセルに最適な磁場案内を提供するために、患者に対して磁気発生手段の位置および磁化方向を動かすための電力を供給する。
【0025】
本発明の一実施形態では、2つの磁気発生手段がそれぞれ永久磁気双極子を有する。例えば、2つの磁気発生手段は、等量の磁気双極子を有する。本発明の範囲において、等量とは、一方の磁気双極子が他方の磁気双極子の95%~105%であることを意味する。
【0026】
本発明の一実施形態では、2つの磁気発生手段はそれぞれ球形である。一例としては、両方の磁気ボールは同じ直径を有する。各磁気ボールは、重心と磁化中心とを有する。一例としては、両方の球形の磁気発生手段の磁化中心は、常に3つの座標(x、y、z)方向のうちの1つに整列している。他の例としは、重心と磁化中心は互いに一致する。他の例では、両方の球形の磁気発生手段のための重心は、常に3つの座標(x、y、z)方向のうちの2つの方向に整列している。例えば、
図4~
図8を参照すると、2つの磁気ボールは同じxy位置にあり、垂直z方向においてのみ異なる。
【0027】
本発明の目的は、小腸検査中に磁気カプセルに対してより良い外部磁気制御を提供することである。したがって、分布した外部磁場を提供するために複数の磁石が使用され、それは1つの単一の磁石および1つの磁場を使用するだけでは目的を達成することができないからである。2つの磁石は、患者検査期間中に常に同時にオンおよびオフにされる。
【0028】
したがって、患者を2つの外部磁石の間に配置することが望ましい。磁気カプセルが患者体内に導入された後、患者は胃腸管検査の準備が整い、患者は医療設備に入るように促される。
【0029】
本発明の一実施形態では、患者が医療検査システム内のプラットフォームまたはベッドに横たわっているときに、2つの磁気発生手段が患者の上下に配置される。
【0030】
本発明における他の実施形態では、2つの磁気発生手段は、患者が健康診断システムの空間内に立っているときに、患者の前方または後方に配置される。本発明のさらに他の実施形態では、患者が健康診断システムの空間内に立っているとき、2つの磁気発生手段は患者の左右に配置される。上記のすべての実施形態では、安全上の理由および他の理由から、磁気ボールは患者の表面から少なくとも5~25cm離して配置される。
【0031】
本発明の範囲において、
図3および
図4を参照すると、患者が医療検査システム内のプラットフォームまたはベッドに横たわっているとき、2つの磁気発生手段が患者の上下に配置される。x方向は前後方向であり、y方向は左右方向であり、z方向は垂直上下方向である。水平回転は、yz平面に沿った回転であり、y軸を中心とした回転である。垂直方向の回転は、xy平面に沿った回転であり、z軸周りの回転である。
【0032】
2つの磁気発生手段の実施形態では、患者が半密閉システムを用いて開いた診察領域の中央に立っているとき、患者の前後に磁気発生手段が配置される。x方向は前後方向であり、z方向は左右方向であり、y方向は垂直上下方向である。水平回転は、yz平面に沿った回転であり、z軸を中心とした回転である。垂直方向の回転は、xz平面に沿った回転であり、y軸を中心とした回転である。
【0033】
本発明の範囲において、磁場を発生させることができる任意のシステムを磁気発生手段として使用することができる。一実施形態では、永久磁気双極子を有する任意の材料を外部磁気手段として使用することができる。外部磁気ボールの材料は、Fe、CoまたはIrおよびそれらからの任意の合金から選択される。一例では、2つの磁気ボールは同じ磁性材料でできている。
【0034】
本発明の範囲において、外部磁石は任意の形状であり得る。球形の磁石がそれほど複雑でない磁場を発生させることが知られているので、球形の磁石が好ましい。2つの外部磁石は、本発明の範囲に基づき、大きさが異なってもよい。
【0035】
好ましい例としては、2つの外部磁石は同じ材料組成で作られている。操作がより直感的で容易にできるように、同じサイズの2つの外部磁石を提供することが好ましい。2つの外部磁石が同様の強度で磁場を提供する場合、関連する磁場をより強くまたはより弱くするために、操作者は磁石を患者へより近く近づけ、または患者からより遠く離れさせることが容易にできる。
【0036】
2つの外部磁石が同じサイズであるということは、一方の外部磁石が他方の外部磁石の約95%~105%のサイズまたは体積を有することを意味する。
【0037】
好ましい例としては、2つの外部磁石は同じ組成の材料で作られている。操作がより直感的で容易であるように、好ましくは2つの外部磁石の重量を同様にすべきである。
【0038】
2つの外部磁石が同じ重さであるとは、一方の外部磁石が他方の外部磁石の約95%~105%の大きさまたは体積を有することを意味する。
【0039】
2つの外部磁石が異なる重量またはサイズを有することは、操作システムおよび移動プロトコルを設定するときに考慮に入れるべきである。例えば、一方の磁石が他方の磁石よりも大きい場合、比較的に大きな磁石は、比較的に小さな磁石よりも患者からより離れた距離に配置することができる。
【0040】
一般に、磁石は、アルミニウム、鉄、ホウ素合金でできている。
【0041】
そうすることにより、磁石を穏やかにかつ滑らかに動かして磁気カプセルの動きを案内することができ、その結果、妥当な時間内に検査を終了することができ、収集されるデータ量は医師にとって十分に評価でき、患者は磁気カプセル動きに起因する多くの不快感を被らない。
【0042】
<2つの磁気移動制御アセンブリ>
各外部磁石は、外部磁石移動制御アセンブリに取り付けられている。各外部磁石移動制御アセンブリは、3以上の自由度で磁石を移動させるモータおよびアームを有する。外部磁石移動制御アセンブリは、「磁気制御アセンブリ」または「制御システム」とも称される。
【0043】
各磁気制御アセンブリは、個別に動作させることができる。各磁気発生手段は、x方向、y方向、z方向に沿って移動することができ、さらに水平方向および垂直方向に回転することができる。言い換えれば、各磁気発生手段は5自由度で動くことができる。各外部制御アセンブリは、5自由度で個々に運動のための動力を提供することができる。
【0044】
図5~
図8を参照すると、各磁気発生手段は5つのモータを有し、
5自由度で運動するための動力を供給する。全部で10個のモーターがあり、各モータはドライバに接続されており、ドライバは直接に制御できる。
【0045】
本発明の一実施形態では、同じ方向に沿って移動する2つの磁気発生手段を同時に制御することができる。一例では、2つの磁石は同時にx、y方向のいずれかに水平に移動可能である。
【0046】
本発明の一態様によれば、一実施形態では、患者の体内で磁気カプセルをナビゲートするためのシステムは、複数の磁場発生手段と複数の外部移動制御アセンブリとを備える。本発明のシステムは、患者の第1の側に配置され、磁気カプセルを移動させるための第1の磁場を提供するように構成された第1の磁場発生手段を備える。第1の外部移動制御アセンブリは、以下の要素を含んでいる。
すなわち、
第1水平並進手段であって、第1磁場発生手段をx軸方向に沿って移動させることができることと、
第2の水平並進手段であって、第1の磁場発生手段をy軸方向に沿って移動させることができることと、
第1垂直移動手段であって、第1磁場発生手段をz軸方向に沿って移動させることができることと、
第1の回転手段であって、第1の磁場発生手段の第1の磁気双極子を、x軸およびy軸によって規定されるxy平面に沿ってまたはそれと平行に回転させることができ、あるいはz軸方向の周りに回転させることができることと、
第2の回転手段であって、第1の磁気双極子をx軸方向の周りに回転させることができることと、
前記第1の磁場発生手段の位置および向きを個別に調整することが可能であることと、
を含んでいる。
【0047】
本発明のシステムは、患者の第2の側に配置され、第2の磁場を提供して磁気カプセルを移動させるように構成された、第2の磁場発生手段の移動を制御するように向けられた第2の外部磁気制御アセンブリをさらに含む。
【0048】
第2の外部磁気制御アセンブリは、一例としては、第2の磁場発生手段をx軸方向に沿って移動させることができる第3の水平方向並進手段を備える。
【0049】
他の例としては、第2の外部磁気制御アセンブリはさらに、第2の磁場発生手段をy軸方向に沿って移動させることができる第4の水平並進手段を含む。
【0050】
他の例としては、第2の外部磁気制御アセンブリはさらに、第2の磁場発生手段をz軸方向に沿って移動させることができる第2の垂直移動手段を含む。
【0051】
他の例としては、第2の外部磁気制御アセンブリは、第2の磁場発生手段の第2の磁気双極子を、x軸およびy軸によって画定されるxy平面に沿ってまたは平行に回転させ、またはz軸を中心に回転させることができる第3の回転手段をさらに含む。
【0052】
他の例としては、第2の外部磁気制御アセンブリは、第2の磁気双極子をx軸方向の周りに回転させることができる第4の回転手段をさらに含む。
【0053】
第2の外部磁気制御アセンブリにおいて、各並進手段および回転手段は、第2の磁場発生手段の位置および向きを個々に調整することができる。
【0054】
さらに、第1および第2の外部磁気制御アセンブリは、少なくとも1つの移動手段を含めて順次または同時に操作することができる。
【0055】
一実施形態では、第1および第2の磁石は、胃腸管内に磁気カプセルを有する患者の上下に設置されている。一例では、第1の磁場発生手段用の第1の水平方向並進手段と第2の磁場発生手段用の第3の水平方向並進手段とを一緒に動かすことができる。
【0056】
同じ実施形態の別の例では、第1の磁場発生手段用の第2の水平方向並進手段と第2の磁場発生手段用の第4の水平方向並進手段とを一緒に移動させることができる。
【0057】
同じ実施形態の別の例では、第1の磁場発生手段用の第1垂直並進手段と第2の磁場発生手段用の第2垂直並進手段とを一緒に移動させることができる。
【0058】
同じ実施形態のさらに別の例では、第1の磁場発生手段のための第1の回転手段と第2の磁場発生手段のための第3の回転手段とは一緒に移動することができる。
【0059】
同じ実施形態のさらに別の例では、第1の磁場発生手段のための第2の回転手段と第2の磁場発生手段のための第4の回転手段とは一緒に動かされ得る。
【0060】
患者が検査中であるとき、同じ実施形態の一実施例では、第1および第2の磁場発生手段の磁気双極子方向は互いに平行である(
図13~
図14)。一例では、第1および第2の磁場発生手段のNS方向は互いに平行であるが、患者が検査中のときは磁気カプセルの磁気双極子方向とは反対である。
【0061】
他の実施形態では、第1および第2の磁場発生手段の2つの磁気双極子方向は、磁気カプセルの磁気双極子方向に対して垂直である(
図10および
図11)。一例としては、第1および第2の磁場発生手段のNS方向は互いに平行であるが、患者が検査中のときは磁気カプセルの磁気双極子方向とは反対である。
【0062】
<検査用ベッド>
本発明のシステムは、支持プラットフォームをさらに含み、患者は検査中プラットフォーム上に横たわる。地面からの支持プラットフォームの高さは調節可能である。
【0063】
2つの磁気ボールは、患者とその中の磁気カプセルを中心とした合成磁場を提供することを目的としているため、z方向におけるx方向に沿った支持プラットフォームの位置は、システムの中心線を画定する。中心線は、磁気カプセルの意図された移動経路と同じであり得る。一例としては、第1および第2の磁場発生手段は、中心線を挟んで互いに鏡像である。好ましい例では、第1および第2の磁場発生手段の磁気中心は互いに鏡像であり、言い換えればそれらは同じx方向にある。
【0064】
図3および
図4を参照すると、プラットフォームは、検査領域に出入りしてy方向に移動することができる。
【0065】
<アセンブリの機械部品>
<ベース>
本発明は、地面に配置されたベース部を含む医療装置を開示する。
図3および
図4を参照すると、ベース部は正方形または長方形の形状をしており、2つの支持部材が地面の上に隆起し、2つの支持部材が地面の上に置かれている。地上から持ち上げられた2つの部材は、垂直支持フレームアセンブリのための支持面としての上側領域をさらに含む。
【0066】
<一対の支持フレームアセンブリ>
本発明の医療装置は、一対の垂直支持フレームアセンブリと、左側垂直支持フレームアセンブリと、および右側垂直支持フレームアセンブリとをさらに備える。互いに直交するように配置された一対の垂直支持フレームアセンブリはそれぞれ、第1の水平部材と第2の水平部材とを含み、第1の垂直部材と第2の垂直部材とを含む。第2の水平部材は、地面におけるベース部に連結されている。ベース部は所要の幅を有し、この幅は、上側着座面を提供する2つの部材間の距離であり、地面に着座する2つの部材の長さでもある。
【0067】
各垂直支持フレームアセンブリにおいて、第1水平部材は上側水平部材であり、第2水平部材は着座水平部材である。着座水平部材はベース部の上側支持面上に載っている。
【0068】
図2~
図4を参照すると、異なる患者に対してベッドを地面から異なる高さに配置することを可能にするように構成された、第1および第2の垂直部材の両方の所定の位置に穴が形成されている。
【0069】
図2~
図3を参照すると、各支持フレームアセンブリの第1垂直部材は前方垂直部材であり、各支持フレームアセンブリの第2垂直部材は後方垂直部材である。
【0070】
さらに、上側水平部材と下側水平部材の両方がスライドレールで固定されているので、x軸アセンブリは前部垂直部材と後部垂直部材との間を移動し、その間のどこかで停止することもできる。
【0071】
本発明の一実施形態では、この医療機器は、2つの外部磁気制御システムを備える。2つの外部磁気制御システムは、医療装置のベッドの上下に配置されている。ベッドの上方に配置された外部磁気制御システムは、上側磁気ボールと上側磁気制御アセンブリを備える。ベッドの下に配置された外部磁気制御システムは、下側磁気ボールと下側磁気制御アセンブリを含む。
図3および
図4を参照すると、上側磁気制御アセンブリはベッドを横切り、一対の垂直支持フレームの2つの対向する上側水平部材に取り付けられている。下側磁気制御アセンブリは、ベース部の開口領域または中空底部を横切って、一対の垂直支持フレームの2つの対向する下側水平部材または着座部材上に配置されている。
【0072】
<x軸移動アセンブリ>
図3~5を参照すると、x軸移動制御アセンブリの水平アームは、2つの垂直支持アセンブリの対向する水平部材に取り付けられている。移動制御アセンブリは、垂直支持アセンブリの前部垂直部材から後部垂直部材までの距離の間を移動することができ、磁気ボールはx方向に同じ距離内を移動する。一例では、x軸移動アセンブリは0~50cmの間で移動することができる。
【0073】
<y軸移動アセンブリ>
さらに、x軸移動制御アセンブリの水平アームは、y方向のスライドレールを含む。スライドレールは、x軸移動制御アセンブリの水平アームの前面または後面に配置されている。y軸移動制御アセンブリは、スライドトラックのアームに取り付けられ、左垂直支持アセンブリの上側水平部材と右垂直支持アセンブリの上側水平部材との間で移動する。y軸移動制御アセンブリが移動すると、外部の磁気ボールも一緒に動く。一例では、y軸移動アセンブリは0~30cmの間で移動することができる。
【0074】
<z軸移動アセンブリ>
更に、y軸移動アセンブリは、x軸移動制御アセンブリの水平アームにおけるスライドレールを介してx軸移動制御アセンブリの水平アームに取り付けられ、x軸移動制御アセンブリの水平アームに垂直な垂直アームをさらに含む。垂直アームはその左端と右端の近くに一対のスライドレールを備えているので、z軸アセンブリは一対のスライドレールに沿って上下に移動して磁気ボールを患者に近づけるかまたは離れさせることができる。垂直アームは底縁部を有し、垂直アームの底縁部はベッドの表面から少なくとも5cm離れている。垂直アームの上端は、垂直アームの下端から約20~30cm離れている。磁気ボールの垂直位置を調整するために、z軸アセンブリは垂直部材の上端と下端の間を移動する。一例としては、z軸移動アセンブリは、0~20cmの間で移動することができる。
【0075】
<水平回転/スピン>
1つのx軸レバーは、第1層のヘルメットのようなカバーに取り付けられた垂直アームから離れて延びている。第1層のヘルメットカバーは、z軸回転アームを中心にしてx軸レバーから垂れ下がっている。第1層のヘルメットのようなカバーは下方に延びており、磁気ボールは実質的に覆われていない。対応するモータと共にz軸回転アームが回転すると、これは磁気ボールに対してxy平面に沿って時計回りまたは反時計回回りに回転する。水平回転アセンブリの第1層ヘルメットのようなカバーは、2つの耳部を有する。
【0076】
<垂直回転>
第2層のヘルメットは、第1層のヘルメットのようなカバーの下に配置される。第2層のヘルメットは、磁気ボールの表面の50%未満を覆っている。モータとx軸回転軸は、磁気ボールの前後または左右に位置している。x軸の回転軸とそれに対応するモータは、磁気ボールに回転力を与え、それによってそれはx軸の周りでyz平面に沿って回転することができる。
【0077】
本発明における他の態様では、上述の外部磁気制御システムを使用して患者の消化管を検査する方法が開示されている。この方法は以下のことを含む。つまり、カプセルが患者の体内にあるときに、患者が検査ベッドに横になる準備をすることと、2つの磁気ボールを垂直に整列させ、2つの磁気ボールを同時にxy平面内で移動させることとを含む。
【0078】
本発明の一態様の一実施例によると、この方法は、両方が水平磁化方向を有するように2つの磁気ボールを配置することをさらに含む。一例としては、2つの磁気ボールの水平磁化方向は同じである。他の一例では、2つの磁気ボールの水平磁化方向は互いに反対である。
【0079】
本発明の一態様の他の実施例では、この方法は、2つの磁気ボールの中心間の距離がz方向における所望の垂直距離よりも大きくなるように2つの磁気ボールを位置決めする。一例としては、所望の垂直距離は15cmを超える。他の例では、所望の垂直距離は30cmを超える。さらに他の例では、垂直距離は40cmを超える。
【0080】
検査手順が開始されると、組み合わされた外部磁場の下でのカプセルの位置は、磁気カプセル内のセンサを介して検出される。
【0081】
本発明の方法は、カプセル内の磁気センサによって結果として生じる合成磁場を測定すること、カプセル内の2つの3次元磁気センサおよび1つの3次元加速度センサによって磁気カプセルの位置および向きを計算することとを、さらに含む。
【0082】
磁気カプセルの位置および向きを決定した後、本発明の使用方法はさらに、
カプセルが2つの磁気ボールの中間位置にあるように2つの磁気ボールの垂直および水平位置を調整することと、
磁気カプセルが結腸の開放空間を撮像できるように、2つの磁気ボールを動かしてそれらの磁気方向を調整することと、
2つの磁気ボールをカプセルの移動方向の前方に移動させることと、
2つの磁気ボールを回転させてそれらの磁化方向を変えることによって、磁気カプセルを前方に移動させることと、
を含む。
【0083】
本発明の一例では、使用方法は、磁気カプセルを後方に引きずるステップを含み、方法としては、
【0084】
垂直方向に整列した2つの磁気ボールを提供することと、
磁気ボールの両方の磁化方向を互いに平行にさせることと、
互いに反対するNS磁化方向を提供し、上側磁石は下向きのNS方向を有し、下側磁石は上向きのNS方向を有することと、
磁気カプセルを後ろに移動させることと、
を含む。
【0085】
本発明の他の例では、この方法はさらに、2つの磁気ボールを患者の体の表面から約5cm~10cmまで同じペースで互いに接近させることを含む。
【0086】
本発明の他の例では、この方法は、カプセルを上側磁気ボールと下側磁気ボールの中心間の中心線に向かって移動させることをさらに含む。
【0087】
本発明の他の例では、この方法は、磁気カプセル内視鏡の傾斜角が45~135度の間にあるときにこの傾斜角を調整することをさらに含む。
【0088】
本発明の他の例では、この方法は、磁気ボールの2つの磁化方向が互いに垂直であるように磁気カプセルの位置または向きを調整するために2つの磁気ボールを一緒に水平に回転させることをさらに含む。
【0089】
本発明の他の例では、この方法はさらに、磁気カプセルの位置や向きを調整するために2つの磁気ボールを垂直に一緒に回転させることを含む。
【0090】
本明細書において「一実施形態」、「一実施例」、「例示的実施形態」などへの言及はいずれも、その実施形態に関して説明した特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所におけるそのようなフレーズの出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が任意の実施形態に関連して説明されるとき、他の実施例に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは、当業者の技術範囲内のことである。さらに、本発明の理解を容易にするために、特定の方法手順は別々の手順として描かれている。ただし、これらの個別に説明された手順は、その実行において必ずしも順序に依存すると解釈されるべきではない。すなわち、いくつかの手順は、代替的な順序で、同時に実行することができる可能性もある。さらに、例示的な図は、本開示の実施形態による様々な方法を示す。そのような例示的な方法の実施形態は、対応する装置の実施形態を使用して本明細書で説明され、適用され得るが、本発明方法の実施形態はそれによって限定されるべきではない。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を例示し説明してきたが、本発明の原理および精神から逸脱することなくこれらの実施形態に変更を加えることができることが当業者には理解されるべきである。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点で本明細書に記載の発明を限定するものではなく例示と見なすべきである。また、本発明の範囲は、上記の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれている。本開示で使用されるように、フレーズ「好ましくは」は非排他的であり、「好ましくは、しかしそれに限定されない」を意味する。特許請求の範囲におけるフレーズは、本明細書に記載されている一般的な発明概念と一致し、最も広い解釈を与えられるべきである。例えば、フレーズ「結合された」および「接続する」(およびそれらの派生語)は、直接的および間接的な接続/結合の両方を暗示するために使用されている。他の例として、「有する」および「含む」、それらの派生語および類似の遷移用語またはフレーズは、「含む」と同義語として使用される(すなわち、すべて「自由端」と見なされる)。ここで、フレーズ「・・・からなる」および「実質的に・・・からなる」のみは「終了」と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0092】
図中の部材は以下の通りである。
1 モーター1
2 z軸上側アセンブリ1
3 y軸上側水平アセンブリ
4 モーター3
5 磁気ボール1
6 右側支持フレームアセンブリ
7 ベッド用の右側スライドレール
8 磁気ボール2
9 y軸下側水平アセンブリ
10 モーター8
11 z軸アップリフトアセンブリ2
12 モーター6
13 ベース
14 モーター2
15 モーター4
16 モーター5
17 左側支持フレームアセンブリ
18 ベッド
19 ベッド用の左側スライドレール
20 モーター9
21. モーター10
22 モーター7
【0093】
部材およびそれらの機能の詳細は以下の通りである。
1 モーター1:
上側の磁気ボールをz方向に動かす力を与える。
2 z軸上側アセンブリ1
z軸に沿った上側磁気ボールの移動制御部品は、すべてz軸上側アセンブリに配置されている。
3 y軸上側水平アセンブリ
y軸に沿った上側磁気ボールの移動制御部品は、すべてy軸上側アセンブリに配置されている。
4 モーター3
上側磁気ボールをx方向に上へ動かす力を与える。
5 磁気ボール1
ベッドの上の磁気ボール
6 右側支持フレームアセンブリ
右側の支持フレームとそれに取り付けられた部品
7 ベッド用右側スライドレール
右側のベッド用スライドレール
8 磁気ボール2
ベッドの下の磁気ボール
9 y軸下側水平アセンブリ
y軸に沿った下側磁気ボールの移動制御部品は、すべてy軸下側アセンブリに配置されている。
10 モーター8
下側の磁気ボールをx方向に動かす力を与える。
11 z軸アップリフトアセンブリ2
z軸に沿った下側磁気ボールの移動制御部品は、すべてz軸下側アセンブリに配置されている。
12 モーター6
下側磁気ボールをz方向に動かす力を与える。
13 ベース
地面に設置された装置ベース
14 モーター2
上側の磁気ボールをy方向に動かす力を与える。
15 モーター4
水平面に沿って上側磁気ボールを回転させる力を提供し、z方向を中心に回転させる。
16 モーター5
鉛直面に沿って上側磁気ボールを回転させる力を提供し、z方向を中心に回転させる。
17 左側支持フレームアセンブリ
左側の装置支持フレーム
18 ベッド
患者を支え、患者を検査エリアに出し入れするためのベッド
19 ベッド用の左側スライドレール
左側のベッド用スライドレール
20 モーター9
垂直面に沿って下側磁気ボールを回転させる力を提供し、z方向の周りに回転させる。
21 モーター10
水平面に沿って下側磁気ボールを回転させる力を提供し、z方向を中心に回転させる。
22 モーター7
下側の磁気ボールをy方向に動かす力を与える。