(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】センサを有効化した創傷モニタリングまたは治療のためのセンサの配置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2019569293
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2018066569
(87)【国際公開番号】W WO2018234443
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-09
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルニ・ラシンドラ・ブラウンヒル
(72)【発明者】
【氏名】ビクトリア・ジョディー・ハモンド
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アーウィン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-502278(JP,A)
【文献】特表2011-509160(JP,A)
【文献】特表2011-528958(JP,A)
【文献】米国特許第05107862(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105999440(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含む、創傷被覆材と、
1以上のプロセッサを含むコントローラと、
を含み、
前記コントローラが、前記複数のセンサの少なくとも一部と通信するように構成され、
少なくとも一つの基準点の位置または配向に関連付けられた定置データを受信し、
受信した前記定置データに少なくとも部分的に基づいて、前記創傷に対する少なくとも一つの前記基準点の位置および/または配向を決定し、
少なくとも一つの前記基準点の決定された前記位置および/または前記配向に少なくとも部分的に基づいて、複数の前記センサのうち第一のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定し、
複数の前記センサの前記第一のセンサの前記位置および/または前記配向を、複数の前記センサの前記第一のセンサの前記創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較し、
少なくとも前記比較に基づいて、複数の前記センサの前記第一のセンサが前記創傷内に正しく位置付けられるという表示を提供するように、
さらに構成されている、創傷モニタリングおよび/または治療システム。
【請求項2】
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサ以外のセンサである、請求項1~3のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサである、請求項1~4のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記定置データを検出するように構成された定置センサをさらに備え、前記定置センサが、外部ビデオカメラまたは無線周波数(RF)センサのうち少なくとも一つを備える、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項7】
前記定置データを検出するよう構成された定置センサをさらに備え、前記定置センサが前記創傷被覆材に埋め込まれている、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項8】
前記基準点が、前記定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応する、請求項1~7のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記基準点が、前記創傷被覆材から離れた位置に対応する、請求項1~8のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、少なくとも前記受信した定置データおよび、前記創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向の間の関係に基づき、複数の前記センサのうち第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定するように、さらに構成される、請求項1~9のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記関係が、前記第一のセンサと前記第二のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
複数の前記センサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するよう構成され、前記コントローラが、共登録データにさらに基づいて前記表示を提供するよう構成されている、請求項1~11のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項13】
複数の前記センサの少なくとも一つが、調節可能センサ設定で構成され、前記調節可能センサ設定が、受信した前記定置データに少なくとも部分的に基づいて調整されるように構成されている、請求項1~12のいずれか
一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記創傷被覆材が、陰圧を前記創傷に伝達するように構成されている、請求項1~
13のいずれか
一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月23日に出願された、「POSITIONING OF SENSORS FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND MONITORING AND THERAPY APPARATUS」と題した、米国特許出願第62/524,413号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体は本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、様々な治療方法と連通するセンサ可能なモニタリングを介した、組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にかかる情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性がある。多くのタイプの治療は、センサデータ収集の使用なしに依然として日常的に実施されるが、代わりに、こうした治療は、定量的センサデータではなく、介護者またはその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られうる。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながりうる血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有しうる。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科用処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善されうる。
【0004】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応型基材の使用により、改善されたセンサモニタリングへのニーズがある。
【0005】
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療は、当該技術分野ではよく知られている。現在当該技術分野で知られている陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。このような陰圧は、創傷における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/またはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【0006】
NPWTシステムに役立つ、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。さまざまな種類の創傷被覆材には、さまざまな種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&NepHewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、一本の管に接続する吸引ポートに対して封止され得、その吸引ポートは、被覆材から流体を吸い出し、および/または、ポンプから創傷被覆材に陰圧を伝達するのに使用され得る。加えて、Smith&NepHewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&NepHewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0007】
しかしながら、陰圧創傷療法または他の創傷療法において使用する、従来技術の被覆材によって、被覆材の下方にある創傷はほとんど可視化されず、またはその状態に関する情報はほとんど提供されない。このため、臨床医が創傷の治癒および状態を視診することを可能にするために、創傷が所望するレベルまで治癒する前に、または吸収性被覆材の場合は、被覆材の全吸収容量に達する前に、時期を早めて被覆材を交換する必要があり得る。現行の被覆材には、創傷の状態に関する情報を提供する方法または特徴が、限定されているまたは十分でないものがある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、創傷被覆材のセンサの定置を決定するための改善された装置および方法を提供する。創傷モニタリングおよび/または治療システムには、創傷被覆材およびコントローラが含まれ得る。創傷被覆材は、創傷に接触して位置づけられるように構成され得る。創傷被覆材には、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサが含まれ得る。コントローラは一つまたは複数のプロセッサを含むことができる。コントローラは、複数のセンサの少なくとも一部と通信するように構成することができる。コントローラは、基準点の位置または配向に関連付けられた定置データを受信するように構成され得る。コントローラは、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、創傷に対する少なくとも一つの基準点の位置および/または配向を決定するように構成され得る。コントローラは、少なくとも一つの基準点の決定位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、複数のセンサの第一のセンサの創傷の位置および/または配向を決定するように構成され得る。コントローラは、複数のセンサの第一のセンサの位置および/または配向を、複数のセンサの第一のセンサの創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較するように構成され得る。コントローラは、少なくとも比較に基づいて、複数のセンサの第一のセンサが創傷内に正しく位置付けられることの表示を提供するように構成することができる。
【0009】
前述の段落のシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。第一のセンサは、定置データを検出するよう構成された定置センサ以外のセンサとすることができる。第一のセンサは、定置データを検出するよう構成された定置センサとすることができる。システムは、定置データを検出するよう構成された定置センサを含むことができる。定置センサは、外部ビデオカメラまたは無線周波数(RF)センサのうちの少なくとも一つを含み得る。定置センサは創傷被覆材に埋め込むことができる。基準点は、定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応することができる。基準点は創傷被覆材から離れた位置に対応することができる。
【0010】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。コントローラは、少なくとも受信した定置データ、ならびに創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を決定するように構成され得る。関係は、少なくとも公知の位置および/または配向を含むことができ、相互に通信および/または共登録するように構成することができる。コントローラは、さらに共登録データに基づいて、表示を提供するように構成することができる。複数のセンサのうちの少なくとも一つは、調節可能センサ設定で構成することができる。調節可能センサ設定は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて調整されるように構成され得る。創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成され得る。
【0011】
キットは、本明細書の記載の中でも特に、本段落または前述の段落のいずれかに記載されるいずれかの特徴を含み得る。キットは、創傷被覆材と流体接続するように構成される、創傷被覆材および陰圧源を含み得る。
【0012】
本開示はまた、創傷モニタリングおよび/または治療システムを操作する方法を提供する。システムには、複数の創傷特性を測定するように構成された、複数のセンサを含む、創傷被覆材が含まれ得る。方法は、少なくとも一つの基準点に関連付けられた定置データを受信すること、ならびに受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、複数のセンサの第一のセンサの位置および/または配向を決定することを含み得る。方法は、複数のセンサの第一のセンサ位置および/または配向を、複数のセンサの第一のセンサの創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較することをさらに含み得る。方法は、少なくとも部分的に比較に基づいて、複数のセンサの第一のセンサが創傷内に正しく位置付けられることの表示を提供することをさらに含み得る。方法は、創傷モニタリングおよび/または治療システムのコントローラによって実施され得る。
【0013】
前述の段落の方法はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、定置データを検出するよう構成される定置センサ、または電極を含み得る。第一のセンサは、定置センサ以外のセンサを含み得る。第一のセンサは、定置データを検出するよう構成された定置センサとすることができる。基準点は、定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応することができる。基準点は創傷被覆材から離れた位置に対応することができる。
【0014】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。方法は、少なくとも受信した定置データ、ならびに創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を決定することをさらに含み得る。関係は、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも公知の位置および/または配向オフセットを含み得る。複数のセンサの少なくとも一部は、互いに通信および/または共登録するように構成され得る。方法は、さらに共登録データに基づいて表示を提供することをさらに含み得る。複数のセンサのうちの少なくとも一つは、調節可能センサ設定で構成することができる。方法は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、調節可能センサ設定を調節することをさらに含み得る。方法は、陰圧を創傷に伝達することをさらに含み得る。
【0015】
本開示はまた、創傷モニタリングおよび/または治療システムを提供する。システムは、創傷被覆材および位置検出機器を含み得る。創傷被覆材は、創傷と接触して位置づけられるように構成することができ、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含み、少なくとも一つのアライメント機能は、創傷被覆材の位置および/または配向に関連付けられる。位置検出機器は、センサ、および一つまたは複数のプロセッサを含むコントローラを含み得る。コントローラは、センサと通信するように構成され得る。コントローラはまた、センサから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも一つのアライメント機能の位置および/または配向を決定するように構成され得る。コントローラはまた、少なくとも一つのアライメント機能の決定位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材の複数のセンサから少なくとも一つのセンサの創傷の位置および/または配向を決定するように構成され得る。コントローラはまた、創傷に対する複数のセンサから少なくとも一つのセンサの位置の状態の表示を提供するように構成され得る。
【0016】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、マーキングを含み得る。マーキングは、創傷被覆材上に位置付けることができる。マーキングは、創傷の周辺上またはその近くに位置付けることができる。マーキングは、pH感受性インクを含み得る。pH感受性インクは、pH感受性インク、染料、または顔料のうちの少なくとも一つを含むことができ、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成され得る。位置検出機器のコントローラは、pH感受性インクの色の変化を測定するようにさらに構成され得る。位置検出機器のセンサは、光学pHセンサまたはスキャナーのうちの少なくとも一つを含み得る。位置検出機器のセンサから受信したデータは、位置検出機器に対する少なくとも一つのアライメント機能の角度、位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する少なくとも一つのアライメント機能の角度、少なくとも一つのアライメント機能と位置検出機器との間の距離、少なくとも一つのアライメント機能に対応するサイズ、少なくとも一つのアライメント機能に対応する歪み、または少なくとも一つのアライメント機能に対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0017】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうちの少なくとも一つを含み得る。創傷に対する少なくとも一つのアライメント機能の位置および/または配向は、創傷の複数のセンサの少なくとも一つのセンサの深さ、創傷の一部分からの少なくとも一つのセンサの距離、少なくとも一つのセンサの配向、または創傷上の少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含む。少なくとも一つのアライメント機能は、値と関連付けられてもよく、値は、平坦な被覆材に対する少なくとも一つのアライメント機能のベースライン位置を識別することができる。少なくとも一つのアライメント機能は、二つのアライメント機能を含み得る。状態は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられている表示を含み得る。状態は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられていない表示を含み得る。
【0018】
本開示はまた、創傷モニタリングおよび/または治療システムを操作する方法を提供する。システムには、複数の創傷特性を測定するように構成された、複数のセンサを含む、創傷被覆材が含まれ得る。方法は、位置検出機器から、基準点の位置または配向に関連付けられた定置データを受信することを含み得る。創傷被覆材は、患者の創傷と接触することができ、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含むことができる。方法は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、創傷に対する少なくとも一つの基準点の位置および/または配向を決定することを含み得る。方法は、少なくとも一つの基準点の決定位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材の複数のセンサからの第一のセンサの創傷の位置および/または配向を決定することを含み得る。方法は、少なくとも一つのセンサの創傷の位置および/または配向の状態を示すことを含み得る。
【0019】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。第一のセンサは、定置データを検出するよう構成された定置センサ以外のセンサを含むことができる。第一のセンサは、定置データを検出するよう構成された定置センサである。定置センサは、外部ビデオカメラまたは無線周波数(RF)センサのうちの少なくとも一つを含み得る。定置センサは創傷被覆材に埋め込むことができる。基準点は、定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応することができる。基準点は創傷被覆材から離れた位置に対応することができる。
【0020】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。方法は、少なくとも創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を決定することを含み得る。関係は、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも公知の位置および/または配向オフセットを含み得る。複数のセンサの少なくとも一部は、互いに通信および/または共登録するように構成され得る。方法は、さらに共登録データに基づいて表示を提供することを含み得る。複数のセンサのうちの少なくとも一つは、調節可能センサ設定で構成することができる。方法は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、調節可能センサ設定を調節することを含み得る。創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成され得る。位置検出機器のセンサは、光学pHセンサまたはスキャナーのうちの少なくとも一つを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、創傷被覆材の位置および/または配向と関連付けることができる。
【0021】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。位置検出機器から受信した定置データは、位置検出機器に対する少なくとも一つのアライメント機能の角度、位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する少なくとも一つのアライメント機能の角度、少なくとも一つのアライメント機能と位置検出機器との間の距離、少なくとも一つのアライメント機能に対応するサイズ、少なくとも一つのアライメント機能に対応する歪み、または少なくとも一つのアライメント機能に対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうちの少なくとも一つを含み得る。創傷に対する少なくとも一つのアライメント機能の位置および/または配向は、創傷の少なくとも一つのセンサの深さ、創傷の一部分からの少なくとも一つのセンサの距離、少なくとも一つのセンサの配向、または創傷上の少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、値と関連付けられてもよく、値は、平坦な被覆材に対するアライメント機能のベースライン位置を識別することができる。
【0022】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。アライメント機能は、pH感受性インクを含み得る。pH感受性インクは、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成され得る。方法は、pH感受性インクの色の変化を測定することを含み得る。少なくとも一つのアライメント機能は、二つのマーキングを含み得る。状態を示すことは、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられることを示すことをさらに含み得る。状態を示すことは、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられないことを示すことをさらに含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、創傷モニタリングシステムは、創傷被覆材およびコントローラを含む。創傷被覆材は、創傷と接触して位置付けられるように構成され、また創傷被覆材は、複数のセンサを含む。複数のセンサは、複数の創傷特性を測定するように構成される。複数のセンサは、複数のセンサの第一のセンサの創傷の位置および/または配向を決定するように構成された少なくとも一つの定置センサを含む。コントローラは一つまたは複数のプロセッサを含む。コントローラは、複数のセンサの少なくとも一部と通信可能に結合されるように構成される。コントローラは、少なくとも一つの定置センサからの定置データを受信するようにさらに構成され、定置データは、複数のセンサの第一のセンサの創傷の位置および/または配向を示す。コントローラは、受信した定置データを、複数のセンサの第一のセンサの創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較するようにさらに構成される。コントローラは、少なくとも比較に基づいて、複数のセンサの第一のセンサが創傷内に正しく位置付けられることの表示を提供するようにさらに構成される。
【0024】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、または電極を含む。いくつかの実施形態では、第一のセンサは、定置センサ以外のセンサである。いくつかの実施形態では、第一のセンサは、定置センサである。
【0025】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、少なくとも受信した定置データ、ならびに創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を決定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、関係は、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも公知の位置および/または配向オフセットを含む。
【0026】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するよう構成され、コントローラは、共登録データにさらに基づいて、表示を提供するよう構成される。いくつかの実施形態では、複数のセンサのうちの少なくとも一つが調節可能センサ設定を含み、調節可能センサ設定は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて調整されるよう構成される。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材と、前述の段落のいずれかの特徴と、創傷被覆材に流体接続されるように構成された陰圧源とを含むキットが提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、創傷モニタリングシステムを操作する方法には、複数の創傷特性を測定するよう構成された複数のセンサを含む創傷被覆材が含まれる。方法は、創傷被覆材に位置付けられた少なくとも一つの定置センサからの定置データを受信することを含む。定置データは、複数のセンサから第一のセンサの創傷の位置および/または配向を示す。方法は、受信した定置データを、複数のセンサの第一のセンサの創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較することをさらに含む。方法は、少なくとも比較に基づいて、複数のセンサの第一のセンサが創傷内に正しく位置付けられることの表示を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、創傷モニタリングシステムのコントローラは、方法を実施する。
【0029】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、または電極を含む。いくつかの実施形態では、第一のセンサは、定置センサ以外のセンサである。いくつかの実施形態では、第一のセンサは、定置センサである。
【0030】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも受信した定置データ、ならびに創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を決定することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、関係は、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも公知の位置および/または配向オフセットを含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するよう構成され、方法は、共登録データにさらに基づいて、表示を提供することをさらに含む。
【0031】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサのうちの少なくとも一つが調節可能センサ設定を含み、方法は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、調節可能センサ設定を調整することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、陰圧を創傷に伝達することをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、創傷モニタリングシステムは、創傷被覆材および位置検出機器を含む。創傷被覆材は、創傷に接触して位置づけられるように構成される。創傷被覆材には、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサが含まれる。創傷被覆材は、創傷被覆材に位置付けられた少なくとも一つのマーキングをさらに含む。少なくとも一つのマーキングは、pH感受性インクを含む。位置検出機器は、センサおよびコントローラを含む。コントローラは一つまたは複数のプロセッサを含む。コントローラは、センサに通信可能に結合されるように構成され、センサから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて、創傷に対する少なくとも一つのマーキングの位置および/または配向を決定するようにさらに構成される。コントローラは、少なくとも一つのマーキングの決定位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材の複数のセンサから少なくとも一つのセンサの創傷の位置および/または配向を決定するようにさらに構成される。コントローラは、創傷に対する少なくとも一つのセンサの位置の状態の表示を提供するようにさらに構成される。
【0033】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、位置検出機器のセンサは、光学pHセンサまたはスキャナーのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、センサから受信したデータは、位置検出機器に対する少なくとも一つのマーキングの角度、位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する少なくとも一つのマーキングの角度、少なくとも一つのマーキングと位置検出機器との間の距離、少なくとも一つのマーキングに対応するサイズ、少なくとも一つのマーキングに対応する歪み、または少なくとも一つのマーキングに対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含む。
【0034】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、創傷に対する少なくとも一つのマーキングの位置および/または配向は、創傷の少なくとも一つのセンサの深さ、創傷の一部分からの少なくとも一つのセンサの距離、少なくとも一つのセンサの配向、または創傷上の少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、値と関連付けられ、値は平坦な被覆材に対するマーキングのベースライン位置を識別することができる。
【0035】
前述の段落のうちのいずれかのシステムはまた、本明細書の記載の他の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、pH感受性インクは、pH感受性インク、染料、または顔料のうちの少なくとも一つを含み、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成される。いくつかの実施形態では、位置検出機器のコントローラは、pH感受性インクの色の変化を測定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、二つのマーキングを含む。いくつかの実施形態では、状態は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられている表示を含む。いくつかの実施形態では、状態は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられていない表示を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、創傷モニタリングシステムを操作する方法は、創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含み、また創傷被覆材は、創傷被覆材上に位置付けられたマーキングをさらに含む。方法は、位置検出機器から、創傷被覆材上に位置付けられた少なくとも一つのマーキングに対応する定置データを受信することを含む。少なくとも一つのマーキングは、pH感受性インクを含む。創傷被覆材は、患者の創傷と接触し、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含む。方法は、受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、創傷に対する少なくとも一つのマーキングの位置および/または配向を決定することをさらに含む。方法は、少なくとも一つのマーキングの決定位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材の複数のセンサから少なくとも一つのセンサの創傷の位置および/または配向を決定することをさらに含む。方法は、少なくとも一つのセンサの創傷の位置および/または配向の状態を示すことをさらに含む。
【0037】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、位置検出機器のセンサは、光学pHセンサまたはスキャナーのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、センサから受信したデータは、位置検出機器に対する少なくとも一つのマーキングの角度、位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する少なくとも一つのマーキングの角度、少なくとも一つのマーキングと位置検出機器との間の距離、少なくとも一つのマーキングに対応するサイズ、少なくとも一つのマーキングに対応する歪み、または少なくとも一つのマーキングに対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含む。
【0038】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、創傷に対する少なくとも一つのマーキングの位置および/または配向は、創傷の少なくとも一つのセンサの深さ、創傷の一部分からの少なくとも一つのセンサの距離、少なくとも一つのセンサの配向、または創傷上の少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、値と関連付けられ、値は平坦な被覆材に対するマーキングのベースライン位置を識別することができる。
【0039】
前述の段落のいずれかの方法はまた、本明細書の記載のその他のステップまたは特徴の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、pH感受性インクは、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成される。いくつかの実施形態では、方法は、pH感受性インクの色の変化を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは二つのマーキングを含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられることを示すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも一つのセンサが創傷内に正しく位置付けられないことを示すことをさらに含む。
【0040】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材を図示する。
【
図1C】
図1Cは、いくつかの実施形態に従い、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1D】
図1Dは、いくつかの実施形態に従い、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1E】
図1Eは、いくつかの実施形態に従い、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1F】
図1Fは、いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1G】
図1Gは、いくつかの実施形態に従い、陰圧なしで使用される、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる創傷被覆材を用いる、創傷治療システムを示す。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの設置を示す、センサアレイを示す。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態に従い、センサアレイ部分、尾部分およびコネクタパッド端部分を含む、可撓性センサアレイを示す。
【
図3B-1】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々なセンサアレイの幾何学形状を有する可撓性の回路基板を示す。
【
図3B-2】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々なセンサアレイの幾何学形状を有する可撓性の回路基板を示す。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態に従い、穿孔創傷接触層に組み込まれる可撓性センサアレイを示す。
【
図3E-1】
図3Eは、いくつかの実施形態に従う、コントロールモジュールを示す。
【
図3E-2】
図3Eは、いくつかの実施形態に従う、コントロールモジュールを示す。
【
図3E-3】
図3Eは、いくつかの実施形態に従う、コントロールモジュールを示す。
【
図4】
図4A~
図4Cは、創傷に創傷被覆材を適切に配置するのを支援するための複数のアライメント機能を有するモニタリングまたは治療システムの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、複数の組み込みセンサまたはセンサパッケージを有する創傷充填材材料で詰められた創傷の断面を示す。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、創傷内に位置付けられたセンサの細片を有するシステムを示す。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、創傷内に位置付けられたセンサの細片を有するシステムを示す。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材上のpH感受性インクを利用するモニタリングまたは治療システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書に開示される実施形態は、センサ有効基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ可能な技術は、センサ有効基材から利益を得うる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0043】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用されるように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティング装置または介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられうる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、装置の存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0044】
本明細書で開示したセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層されうる。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切でありうる。
【0045】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換されうる。
【0046】
一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込みうる。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫され得る。
【0047】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーション装置および治療で利用されうる。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、留め具、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用されうる。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用でありうる加速度などの特性を監視するための保護ヘルメットに組み込まれうる。
【0048】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置、例えば、Smith&Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用され得る。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置の配置を案内するため、外科手術装置と通信し得る。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集されうる。
【0049】
外科手術技術をさらに補助するために、本明細書に開示されたセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術システムを制限/制御することができる。
【0050】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用されうる。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特性は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされうるかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされうる。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用されうる。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集し得る。
【0051】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特性を監視し、かかる情報を別の装置および/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれうる。例えば、こうした装置は、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用されうる。
【0052】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性の移植を含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能な装置に組み込まれうる。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供し得る。
【0053】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用されうる。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0054】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用されうる。
【0055】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封入などの封入を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築されうる。センサ実施形態の封入は、局所組織、局所的な液体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供し得る。
【0056】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示するように器官保護層に組み込まれうる。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認し得る。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ有効な器官保護層を使用し得る。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ有効な器官保護層を使用し得る。
【0057】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれうる。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、臓器、システム、または状態が挙げられる。
【0058】
創傷療法
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を含む、装置および構成要素は、時に総称して被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供され得る。
【0059】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示された技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷を防止するかまたは最小化すること、あるいは、損傷した組織(例えば、本明細書に記載される創傷など)の治療に関し得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切創、殴打、または皮膚が切断または損傷される典型的なものといった、その他の衝撃によって引き起こされ得る、生体組織に対する負傷を含み得る。創傷は、慢性または急性損傷であり得る。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内に、段階的な治癒を経ていく。慢性創傷は一般的に、急性創傷から始まる。急性創傷は、段階的な治癒を経ず、結果的に回復が延びることになる場合に、慢性創傷となり得る。当然のことながら、患者の免疫力が損なわれたことによって、急性創傷から慢性創傷への移行が起こり得る。
【0061】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響する静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、周辺動脈疾患、褥瘡、または、表皮解析球症(EB)を含み得る。
【0062】
その他の創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0063】
創傷には深部組織損傷も含まれ得る。深部組織傷害は、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)によって提唱された用語であり、褥瘡の特異な形態を記述するものである。これらの潰瘍は長年、紫色圧潰瘍、悪化する可能性が高い潰瘍、骨張った骨突起部上の打撲、といった用語を用いて臨床医によって説明されてきた。
【0064】
創傷はまた、本明細書に記載されるように、創傷になる恐れのある組織を含み得る。例えば、恐れのある組織は、骨性突起にわたる組織(深部組織損傷/傷害の恐れのある)、または、(例えば、関節置換/外科的修正/復元のために)切断される可能性を有し得る術前組織(例えば、膝部組織)を含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、高度な履物、患者を回転させる、オフロードする(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする、など)、感染症の治療、システミックス(systemix)、治療の処理、抗菌物質、構成物質、外科手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電子刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質、等のうちの一つまたは複数と併用して創傷を治療する方法に関する。
【0066】
あるいは、またはさらに、創傷は、局所陰圧、および/または、適用された陰圧を使用することによって補助されない、従来の高度な創傷治療(非陰圧療法と呼ばれる場合もある)を使用して治療され得る。
【0067】
高度な創傷治療には、吸収被覆材の使用、閉塞被覆材、創傷被覆材または付属物内における抗菌剤および/または創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、靴下や包帯といった、緩衝または圧縮療法)、等が含まれ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、従来の創傷治療を使用して実施され得、創傷の治癒を促進および促進するために、創傷に被覆材が適用され得る。
【0069】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるように創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材を製造する方法に関する。
【0070】
開示された技術と併せて利用され得る創傷被覆材は、当該技術分野において既知の任意の被覆材を含む。本技術は、非陰圧療法治療と同じく、陰圧療法治療に適用可能である。
【0071】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つまたは複数の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収性であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、ゼラチン、またはそれらの混合物を含む被覆材層を含み得る。挙げられたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかのための創傷被覆材層を形成するために有用であるとして、当技術分野で公知である。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、セルロースであってもよい。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース, カルボキシルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物といった、親水性修飾セルロースを含み得る。
【0075】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートであってもよい。アルキルスルホネート置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、又はブチルなどの、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有してもよい。アルキル部分は、分枝または非分枝であってもよく、従って、好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートであってもよい。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートであってもよい。アルキルスルホネート置換基は、エチルスルホネートであってもよい。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0076】
セルロースアルキルスルホナートは、様々な度合いの置換、セルロース骨格構造の鎖長、およびアルキルスルホナート置換基の構造を有してもよい。溶解性および吸収性は、置換の程度により、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加するにつれ、吸収性が増加するということになる。
【0077】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層を含む。
【0078】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1mm~20mm、または2mm~10mm、または3mm~7mmであり得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、開示された技術は、非陰圧被覆材と併せて使用され得る。創傷部位に保護をもたらすのに好適な非陰圧創傷被覆材は、
【0080】
創傷滲出液を吸収するための吸収層と、
【0081】
使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素と、を含み得る。
【0082】
遮蔽要素は部分的に半透明であってもよい。
【0083】
遮蔽要素はマスキング層であってもよい。
【0084】
非陰圧創傷被覆材は、吸収層を見ることができるように遮蔽要素内またはそれに隣接した領域をさらに含み得る。例えば、遮蔽要素層は、吸収層の中央領域の上には提供されるが、吸収層の境界領域の上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素が親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0085】
遮蔽要素は、三次元編みスペーサ織物を含み得る。スペーサ織物は当該技術では既知であり、編みスペーサ織物層を含み得る。
【0086】
遮蔽要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、遮蔽要素は、少なくとも部分的に吸収層の上に、使用中には吸収層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0088】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮蔽要素に複数の開口部をさらに含み得る。遮蔽要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するための、サイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、またはその材料で被覆されてもよい。
【0089】
遮蔽要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的にマスクするように構成され得る。
【0090】
遮蔽要素は、50%以上、光吸収を減少させるように構成され得る。
【0091】
遮蔽要素は、CIEのL*値50以上、および必要に応じて70以上をもたらすように構成され得る。いくつかの実施形態では、遮蔽要素は、CIEのL*値70以上をもたらすように構成され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも一つをさらに含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。通常、半透明フィルムは、24時間で500g/m2以上の透湿性を有する。
【0094】
半透過性フィルムは細菌バリアであり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0096】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収層を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材が発泡層を含み、遮断要素は、遮蔽要素の移動によって移動または破壊され得る構成要素を含む材料である。
【0098】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材が臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する場合、臭気抑制要素は、吸収層または遮蔽要素内またはそれに隣接して分散されてもよい。あるいは、存在する場合、臭気抑制要素が、発泡層と吸収層との間に挟まれた層として提供されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収層を提供することと、使用中に吸収層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素を提供することと、を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位での保護を提供することに好適であってもよく、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、吸収層の上に、吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて提供される遮蔽層とを含む。遮蔽層は、吸収層の上に直接提供されてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ織物層を含む。
【0101】
遮蔽層は、被覆材に適用される圧力が25%以上移動される範囲、または、適用の初期範囲を増加させる。例えば、遮蔽層は、被覆材に適用される圧力が50%以上、必要に応じて100%以上、および必要に応じて200%以上、移動される範囲を増加させる。
【0102】
遮蔽層は、二つ以上のサブ層を含んでもよく、第一のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第一のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からオフセットされる。
【0103】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層は遮蔽層の上に設けられ、カバー層の貫通孔は遮蔽層の貫通孔からオフセットされる。
【0104】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適であり得る。
【0105】
上記本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際特許第2013/007973号に提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された保持層とを含む、多層の創傷被覆材であってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに含み、保持層は吸収層とフィルム層との間に配置される。
【0108】
本明細書に開示される保持層は、ネットを含み得る。ネットは、それを通って延在する複数の実質的に幾何学的なアパーチャを有する幾何学的構造を含み得る。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的なアパーチャを形成するよう、ポリマー鎖によって実質的に均等に離間し、結合された複数のボスを含み得る。
【0109】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成され得る。
【0110】
アパーチャは、0.005~0.32mm2の面積を有し得る。
【0111】
保持層は、0.05Nm~0.06Nmの引張強度を有し得る。
【0112】
保持層は50μm~150μmの厚さを有し得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、保持層は、吸収層に直接隣接して配置される。通常、保持層は、吸収層の最上表面の繊維に結合される。保持層は、結合層をさらに含んでもよく、保持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に熱積層される。結合層は、エチレンビニルアセテート接着剤などの低融点接着剤を含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、フィルム層を保持層に接着させる接着層をさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、創傷に隣接して位置付けるための、吸収層に隣接して配置される創傷接触層をさらに含む。多層の創傷被覆材は、創傷から離れて吸収層へと滲出液を移動させるため、創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含み得る。
【0116】
上記本明細書に開示される多層の創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1618298.2を用いて2016年10月28日に出願された、GB特許出願において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
いくつかの実施形態では、開示された技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第一の層と、材料の第二の層とを含む垂直重複材料を含み、第一の層は、不織布繊維のうちの少なくとも一つの層から構築され、不織布繊維は、複数の折り目に折り畳まれてひだのある構造を形成する。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的に、または永久的に接続された、材料の第二の層をさらに含む。
【0118】
通常、垂直重複材料は、切り込みが入れられている。
【0119】
いくつかの実施形態では、第一の層は、ひだの深さによって、または、切り込みの幅によって決められた深さを有する、ひだのある構造を有する。材料の第一の層は、成形可能、軽量、繊維系材料、材料または組成物層の混合であってもよい。
【0120】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース性、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0121】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収層のうちの一つの層のみを含み得る。
【0123】
材料の吸収層は、天然または合成、有機または無機繊維、および結合剤繊維、または、特定温度で軟化し、全体的な混合の結合剤として作用する、低溶融温度PETコーティングを用いた、バイコンポーネント繊維、通常PETの混合である。
【0124】
いくつかの実施形態では、材料の吸収層は、5%~95%の熱可塑性ポリマー、および、5wt%~95wt%のセルロースまたはその誘導体であってもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第二の層を有する。
【0126】
発泡体は、ポリウレタン発泡体であってもよい。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖孔構造を有してもよい。
【0127】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、または裏当て層を含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、ラミネーションまたは接着剤によって第二の層に直接接続された材料の吸収層を含み、第二の層は被覆材固定層に接続される。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤であってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明または不透明なフィルムであってもよい。通常、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(通常、透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0131】
上記本明細書に開示される多層の創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1621057.7を用いて2016年12月12日に、および出願番号GB1709987.0を用いて2017年6月22日に出願されたGB特許出願において提供され、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性構成要素を含み得、構成要素が、発泡層に結合されたゲル形成繊維を含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0133】
吸収性構成要素は、シート形態であってもよい。
【0134】
創傷接触層は、織りまたは不織り、あるいは編みゲル形成繊維の層を含み得る。
【0135】
発泡層は、開放細胞発泡体、または閉鎖細胞発泡体であってもよく、通常は開放細胞発泡体である。発泡層は、親水性発泡体である。
【0136】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成する構成要素を含み得る。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤であり得る。
【0137】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって覆われ得る。
【0138】
本明細書の本タイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP2498829に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gm2のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層とを含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0140】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cm2あたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有し得る。
【0141】
創傷被覆材は、布の形態で化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維を含み得る。繊維は、カルボキシメチル化セルロース繊維を含み得、通常は塩化カルボキシメチルセルロース繊維である。
【0142】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含み得る。創傷接触層は、35gm2など、25gm2~55gm2の繊維密度を有し得る。
【0143】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有し得、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0144】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量でゲル形成繊維の75%~100%の範囲の混合物を有し得る。
【0145】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量でゲル形成繊維の50%~100%の範囲の混合物を有し得る。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0146】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0147】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有し得る。
【0148】
創傷被覆材は、透過層を含み得、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムにラミネートされたポリウレタン発泡体であってもよい。
【0149】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収層、拡散層、および追加的接着剤層を含む群から選択される、一つまたは複数の層を含み得る。
【0150】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0151】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷に面する側、または、吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0152】
本明細書の本タイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP1718257に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0153】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、例えば下肢の、浮腫およびその他の静脈障害およびリンパ系障害の治療に使用されることが周知である。
【0154】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層との間のパディング層を含む複数層を用いる。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する、といった、創傷に有用であり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを備え得、内層は、発泡体の第一の層と、吸収性不織りウェブの第二の層とを含み、内層および外層は、患者の手足周りに巻かれることができるよう、十分細長い。本タイプの圧迫包帯は、国際特許第99/58090号において開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基板と、
【0157】
(ii)細長い発泡層と、を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、発泡層が基板の面に取り付けられ、基板の面を横断方向に33%以上横切って、および、基板の面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、ノンテープ式の弾性包帯であって、包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、弾性包帯と、を含む。本タイプの圧迫包帯は、国際特許第2006/110527号において開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,759,566号および米国特許第2002/0099318号に開示されているものなど、その他の圧迫包帯システムがそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
陰圧創傷被覆材
【0159】
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に適用され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0160】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減してもよい。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片及びフラップにおいて見出すことができる。
【0161】
陰圧療法は、大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療に使用され得る。局所陰圧(TNP)療法または陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過度の流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0162】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、フォームパッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&NepHewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用されてもよい、長い管への接続を提供する、吸引ポートに封止されてもよい。加えて、Smith&NepHewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&NepHewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0163】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0164】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧デバイスにより供給され得る。
【0165】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0166】
本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材アセンブリ、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料の実施形態に関するさらなる詳細を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が本明細書全体において参照によって組み込まれる。
【0168】
NPWTシステムの概要
図1Aは、創傷くぼみ104であって、創傷カバー106によって封止された創傷くぼみの内部に置かれた創傷充填材108を含む、陰圧のまたは減圧創傷治療(またはTNP)システム102の一実施形態を示す。創傷カバー106と組み合わされた創傷充填材108は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管112は、創傷カバー106と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ114とを接続する。創傷カバー106は、創傷くぼみ104に流体連通することができる。
図1Aに示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管112を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0169】
創傷充填材108は、例えば、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の適切なタイプであることができる。創傷充填材108は、それが実質的にくぼみを充填するように、創傷くぼみ104に適合することができる。創傷カバー106は、創傷くぼみ104を覆う実質的に流体不浸透性のシールを提供することができる。創傷カバー106は、上面および下面を有することができ、下面は、創傷くぼみ104を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管112もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0170】
創傷カバー106のいくつかの実施形態は、導管112の端を受けるように構成される、ポート(図示せず)を有し得る。例えば、ポートは、Smith&NepHewから入手可能なRenays Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管112は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ104に供給するために創傷カバー106を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管112は、ポンプアセンブリ114によって提供される減圧圧力を創傷くぼみ104に供給するように、ポンプアセンブリ114と創傷カバー106との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0171】
創傷カバー106および創傷充填材108は、単一な物品または一体型の単一なユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされてもよい。ついで、創傷被覆材は、導管112を介して、ポンプアセンブリ114といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ114は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用されてもよい。
【0172】
創傷カバー106は、治療されることになる創傷部位の上に置かれ得る。創傷カバー106は、創傷部位を覆う実質的に密封されたくぼみまたはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー106は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0173】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管112がポンプアセンブリ114から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプアセンブリ114および管112を構成することは、必要な場合、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0174】
ポンプアセンブリ114は、一部の実施において、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~200mmHgの陰圧を供給するように構成され得る。これらの圧力は、正常な大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ114により供給され得る。
【0175】
動作時に、創傷充填材108は、創傷くぼみ104内に挿入され、創傷カバー106は、創傷くぼみ104を密封するように配置される。ポンプアセンブリ114は、創傷充填材108を介して創傷くぼみ104に送られる陰圧源を創傷カバー106に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管112を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材108または一つまたは複数の吸収性の層(図示せず)によって吸収される。
【0176】
本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材は、Smith&NepHewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys ABおよびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷治療システムのこうした創傷被覆材およびその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により組み込まれる。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0177】
創傷被覆材の概要
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を図示する。
図1Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ116を図示する。創傷被覆材155は、国際特許公開WO2013175306A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。あるいは、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷くぼみ104といった創傷の上に密封されたくぼみを形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくは被覆層、または任意の創傷接触層222に取り付けられる裏当て層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応してもよい追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを備えてもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0178】
A本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0179】
創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、又は、例えばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、又は超音波プロセスを介すか、又はその他のいくつかの方法でパーフォレートされた、あるいは別の方法で液体及び気体が透過するようにしたその他の柔軟性のある層であってもよい。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。いくつかの実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に加えられるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0180】
創傷接触層222の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であってもよい感圧接着剤は、創傷接触層の両側面上、もしくは任意で選択された片側面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの側面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するの助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に穴加工されていてもよい。
【0181】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に置かれ得る。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷範囲全体に陰圧を伝えるように維持され得ることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編みポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編みポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ生地層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0183】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0184】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得る被覆層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0185】
いくつかの実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D織物は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ生地が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0186】
吸収性材料の層221は、透過層226の上に提供され得る。発泡体もしくは不織りの自然または合成材料を含み、任意で超吸収材を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0187】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを妨げてもよく、被覆材内に収集されるいかなる液体をも包含するように働き得る。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の範囲における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0188】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収性材料を有する、不織りセルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0189】
陰圧を被覆材155に適用することが可能になるように、アパーチャ、孔またはオリフィス227が裏当て層220に提供される。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116は、被覆材155の中に作られるオリフィス227の上で、裏当て層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ116に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長い管は、管または導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されてもよい。流体コネクタ116は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ116は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ116の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図1Bに示す通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ116の基礎を成す開口部を生み出すように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用され得ることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および遮蔽層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供してもよい。
【0191】
アパーチャまたは貫通孔228は、
図1Bに示す通り、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収層221に提供され得る。これによって、流体コネクタ116に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収しても、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、アパーチャは吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数のアパーチャが提供されてもよい。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014020440号に記載されるような遮蔽層が、吸収層221の上および裏当て層220の下方に提供されてもよい。
【0192】
裏当て層220は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材155の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、裏当て層220は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷くぼみを封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、裏当て層220と創傷部位との間に作られる。裏当て層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、裏当て層が濡れると、裏当て層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍であってもよい。
【0193】
吸収層221は、透過層226の縁と重複するように、透過層226よりも大きい範囲から成ってもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷くぼみの外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図1Bに図示する通り、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の端と裏当て層220の端との間に画定されるように、裏当て層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0194】
図1Bに示す通り、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ116の下方に置かれる吸収層221に、アパーチャ228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、アパーチャ228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0195】
例えば、単一流体コネクタ116および貫通孔を伴う実施形態では、流体コネクタ116および貫通孔が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような位置は、流体コネクタ116が被覆材155の残余部に対して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に配置することを可能とし得る。そのように配置すると、流体コネクタ116およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0196】
ここで流体コネクタ116を参照すると、いくつかの実施形態は、封止面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214とを含む。密封面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、アプリケータを形成し得る。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116の最下層は、密封表面216を含んでもよい。流体コネクタ116はさらに、いくつかの実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隔を空ける上表面を含んでもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、密封表面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つのアパーチャ229を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。密封表面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、密封面216は、フィルタ214と透過層226との間にギャップを作るよう構成された、任意のスペーサ要素215を有する、カバー層のオリフィスの上に配置され得る。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220のアパーチャの上に位置してもよく、流体コネクタ116によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧の源と連通する第一の流体通路212を含んでもよく、第一の流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を含む。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0197】
いくつかの実施形態はさらに、第一の流体通路212の上方に位置する、任意の第二の流体通路を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態によって、第一の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0198】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編み繊維、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築されてもよい。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧の源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供してもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(ポリエステルで編み3D織物Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といったウィッキング生地、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有してもよい。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40から-150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、一部の場合には、陰圧適用状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用であってもよい。その他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、気体のみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0200】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能してもよい。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな管孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ116に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、被覆層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0201】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な管孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの管孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にあり得る。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、保持層と、保持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydropHobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成してもよい。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成されてもよい。これら任意のポリマーのすべてが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特性を得るために処理され得る。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0202】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善し得る。
【0203】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収材を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通して気体を排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0204】
創傷被覆材155は、流体コネクタ116およびフィルタ214と併せてスペーサ要素215を含み得る。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ116およびフィルタ214は、吸収層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させないようにする、追加的なスペーサ要素として作用してもよい。したがって、使用中に、フィルタ214が透過層226および創傷流体との接触するこのような構成は、最小化され得る。
【0205】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、一部の創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW:non-woven)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、一つの端部の方に向かうアパーチャまたは貫通孔を有し得る。アパーチャは直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤で被覆された模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層のアパーチャの上に重なる、10mmのアパーチャを有し得る。孔の上方には、前述したアパーチャの上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを含む、流体コネクタを結合し得る。
【0206】
図1C~
図1Dは、流体コネクタ110と連動して創傷被覆材100を用いる、陰圧創傷治療システム10の実施形態を示す。図中、流体コネクタ110は、例えば、近位端130および遠位端140を有するブリッジ120などの細長い導管と、ブリッジ120の遠位端140にアプリケータ180とを備えてもよい。任意の連結器160は、ブリッジ120の近位端130に配置され得る。キャップ170が、システムに提供されてもよい(一部の場合、図示する通り、連結器160に取り付けられ得る)。キャップ170は、近位端130から流体が漏出するのを妨げるときに有用であり得る。システム10は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット150など、陰圧の源を含んでもよい。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去されてもよい他の流体を貯蔵する、キャニスタまたは他の容器を備えてもよい。キャニスタまたは容器はまた、ポンプとは別に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、
図1A~
図1Bに示すように、ポンプ150は、Smith&NepHewより販売される、PICO(商標)ポンプなど、キャニスタなしのポンプであり得る。ポンプ150は、管190を介して連結器160に接続してもよく、またはポンプ150は、連結器160に直接、もしくはブリッジ120に直接接続してもよい。使用中、被覆材100は、一部の場合、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に準備された創傷の上に置かれる。流体コネクタ110のアプリケータ180は、被覆材100のアパーチャの上に置かれ、被覆材100の最上表面に封止される、封止面を有する。流体コネクタ110の被覆材100への接続の前、間、または後のいずれかに、ポンプ150は、管190を介して連結器160へ接続されるか、または連結器160もしくはブリッジ120へ直接接続される。その後ポンプが起動され、それによって陰圧を創傷に供給する。陰圧の適用は、所望するレベルの創傷治癒を達成するまで行われてもよい。
【0207】
図1Eに示す通り、流体コネクタ110は、以下にさらに詳細に記載する通り、被覆材100と流体連通する拡大遠位端または頭部140を含む。一実施形態では、拡大遠位端は丸い形または円形を有する。頭部140は、図中、被覆材100の端近くに位置するように示しているが、被覆材上のいずれの場所に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、被覆材100の端または角上または近くではない、中心または中心から外れた場所に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、被覆材10は、二つ以上の流体コネクタ110を備えてもよく、各々、それと流体連通する一つまたは複数の頭部140を備える。一実施形態では、頭部140は、最も幅の広い縁に沿って30mmあってもよい。頭部140は、上に記載した、創傷被覆材の最上表面に対して封止されるように構成される、アプリケータ180を少なくとも一部形成する。
【0208】
図1Fに目を転じると、より大きな腹部創傷など、特定の実施形態で陰圧を用いる他の創傷タイプの治療では、図に概略的に示する通り、陰圧治療システム101を使用する。この実施形態では、腹部創傷として図に示す創傷126は、陰圧による治療から恩恵を受けることができる。そのような腹部創傷は、例えば、事故または外科的介入による結果である場合がある。一部の場合、腹部コンパートメント症候群、腹部高血圧、敗血症または水腫などの病状は、腹膜腔を曝露するように、腹壁を通る外科的切開による腹部の除圧を必要とする場合があり、その後、開口部は状態が回復するまで、開放してアクセス可能な状態の維持が必要とされることがある。他の状態もまた、具体的には腹腔などの開口部は、例えば、複数の外科的手技が必要とされる(場合により外傷に付随して起こる)場合、または腹膜炎または壊死性筋膜炎など、病態のエビデンスがある場合、開いたままにしておくことを必要とする場合がある。
【0209】
具体的には腹部などに創傷がある場合、創傷が開いたままであるべきであってもなくとも、または創傷が閉じられるであろう場合には、器官および腹膜腔の曝露に関係する、可能性のある合併症を管理することが望ましい。好ましくは陰圧の適用を使用する療法は、組織生存を促進し、創傷から有害な物質を除去しながら、感染のリスクを最小化することを目的としうる。創傷への減圧または陰圧の適用は、とりわけ、概してより早い治癒、血流の増大、細菌負荷の減少、肉芽組織形成の速度増大の促進、線維芽細胞増殖への刺激、内皮細胞増殖への刺激、慢性開放創の閉鎖、熱傷の浸透(burn penetration)の阻害、ならびに/または皮弁および移植片の付着強化をもたらすことがわかっている。陰圧の適用による治療への好反応を呈していた創傷には、感染開放創、褥瘡性潰瘍、裂開切開、中間層熱傷および皮弁または移植片を取り付けられた様々な病変を含むことも、報告されている。その結果として、創傷106への陰圧の適用は、患者にとって有益であり得る。
【0210】
したがって、ある実施形態では、創傷126の上に設置するように、創傷接触層105が提供される。創傷接触層はまた、器官保護層および/または組織保護層と称され得る。好ましくは、創傷接触層105は、創傷または接近した曝露された内臓にそれほど接着しない薄い可撓性材料であることができる。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれらの混合物などのポリマーが、使用されてもよい。一実施形態では、創傷接触層は透過性がある。例えば、創傷接触層105は、創傷126からの流体の除去、または創傷126への陰圧の伝達を可能にするように、孔、スリットまたはチャネルなどの開口部を提供され得る。創傷接触層105の追加の実施形態について、以下にさらに詳細に記載する。
【0211】
陰圧治療システム101のある実施形態はまた、創傷接触層105の上に配置され得る、多孔質創傷充填材103を使用してもよい。このパッド103は、柔らかく弾性的可撓性があり、概して創傷126に適合する、例えば、発泡体といった多孔性材料から構築されうる。そのような発泡体には、例えば、ポリマーから作られる連続気泡型の網状発泡体を含みうる。好適な発泡体には、例えば、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアルコールから成る発泡体を含む。このパッド103は、陰圧が創傷に適用されるとき、パッドを通って創傷滲出液および他の流体を導きうることが好ましい。一部のパッド103は、そのような目的で事前に形成されるチャネルまたは開口部を含んでもよい。特定の実施形態では、パッド103は、約1インチと約2インチとの間の厚さを有してもよい。パッドはまた、約16インチと17インチとの間の長さ、および約11インチと12インチとの間の幅を有してもよい。他の実施形態では、厚さ、幅および/または長さは、他の好適な値を有しうる。パッド103の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい、創傷充填材の他の実施形態について、以下にさらに詳細に議論する。
【0212】
ドレープ107は、創傷126を密封するために使用されることが好ましい。ドレープ107は、少なくとも一部の陰圧を創傷に維持してもよいように、少なくとも部分的に液体不透過性でありうる。ドレープ107に好適な材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、および他のコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む、それほど液体を吸収しない合成ポリマー材料を含むがこれらに限定されない。ドレープに使用される材料は、疎水性または親水性であってもよい。好適な材料の例には、DeRoyalから市販されているTranseal(登録商標)、およびSmith&Nephewから市販されているOpSite(登録商標)を含む。患者の快適性に役立ち、皮膚の浸軟を回避するために、特定の実施形態におけるドレープは、水蒸気が被覆材下に閉じ込められたままにならず通過できるように、少なくとも一部に通気性がある。特定の実施形態では、代わりに別個の接着剤または接着ストリップを使用してもよいものの、接着層には少なくとも一部分上に、ドレープを患者の皮膚に固定するように、ドレープ107の底面を提供してもよい。任意で、放出層は、使用前、接着層を保護し、かつドレープ107の取り扱いを容易にするように、接着層の上に配置されてもよく、いくつかの実施形態では、放出層は複数セクションから成ってもよい。
【0213】
陰圧システム101は、陰圧の源、例えば、ポンプ114に接続し得る。好適なポンプの一例は、Smith&Nephewから市販されているRenasys EZポンプである。ドレープ107は、導管122を介して陰圧供給源114に接続されてもよい。導管122は、ドレープ107のアパーチャ109の上に置かれるポート113に接続してもよく、あるいは、導管122は、ポートを使用せずにアパーチャ109を通って直接接続してもよい。さらなる代替物において、導管はドレープの下方を通り、ドレープの側面から延在してもよい。米国特許第7,524,315号は、陰圧システムの他の類似する態様について開示し、参照することによって本明細書によりその全体が援用され、本明細書の一部とみなされるべきである。
【0214】
多くの適用では、容器または他の貯蔵ユニット115は、創傷滲出液、および創傷から除去された他の流体を、陰圧源に進入させることなく貯蔵することが可能になるために、陰圧源124と導管122とに間置され得る。また、例えば、蠕動ポンプといった、あるタイプの陰圧源によっても、容器115をポンプ124の後に設置することが可能になってもよい。いくつかの実施形態はまた、流体、エアロゾルおよび他の微生物混入物が、容器115を離れ、および/または陰圧供給源124に進入するのを妨げるように、フィルタを使用してもよい。さらなる実施形態はまた、オーバーフローを妨げるように、容器に遮断バルブ、または閉塞疎水性および/もしくは撥油性フィルタを含んでもよく、他の実施形態は、容器の中の流体のレベルが容量に近づく場合、容量センサ、または陰圧源を停止もしくは遮断するように働く、他の流体レベル検出器などの感知手段を含んでもよい。ポンプ排出部に、活性炭キャニスタなどの臭気フィルタを提供しうることがまた好ましい。
【0215】
図1Gは、陰圧なしで創傷を治癒するために使用され得る、創傷被覆材の様々な実施形態を示す。
図1Gの被覆材に示す通り、創傷被覆材は、
図1Gの被覆材がポートも流体コネクタも含まないことを除いて、
図1C~1Fを参照して説明した被覆材に類似する複数の層を有することができる。
図1Gの創傷被覆材は、本明細書に記載する通り、カバー層および創傷接触層を含み得る。創傷被覆材は、創傷接触層とカバー層との間に位置する様々な層を含み得る。例えば、被覆材は、
図1C~
図1Fを参照して本明細書に記載する通り、一つまたは複数の吸収層および/または一つまたは複数の透過層を含み得る。加えて、本明細書に記載する創傷被覆材を備える、創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2014年5月21日に米国特許出願第2014/0249495号で出願された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と組み合わせて、または該米国特許出願に追加して使用されてもよく、該米国特許出願の開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関係する、さらなる詳細を含め、参照することによって本明細書によりその全体が援用される。
【0216】
センサ付き創傷被覆材
多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特性を監視するために利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。
【0217】
いくつかの実装では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材アセンブリ全体の一部を形成する一つまたは複数の構成要素で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す
図2および
図3Dに示す通り、一つまたは複数のセンサは、
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。
図2および3Dの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷面積の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材アセンブリ、創傷被覆材アセンブリの構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など、によって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0218】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触して設置でき、流体が創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込み得る。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。いくつかの実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0219】
図2および
図3Dに示す通り、例えば、温度(例えば、25個のサーミスタセンサ、配列5×5、ピッチ~20mm)、酸素飽和度またはSpO2(例えば、4個または5個のSpO2センサ、創傷接触層の中心から縁まで単一直線、ピッチ10mm)、組織色、(例えば、10個の光学センサ、配列2×5、ピッチ~20mm;配列の各列5個のセンサすべてが整列する必要はない)、pH(例えば、pH感受性パッドの色を測定することによって、組織の色用と同じ光学センサを任意で使用)、および伝導度(例えば、9個の伝導性接触部、配列3×3、ピッチ~40mm)用センサを含む、5個のセンサが使用され得る。
図3Aに示す通り、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に範囲の一箇所ずつの場合よりも、創傷範囲についてより多くの情報を提供し得る。
【0220】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または当技術分野で知られている任意の材料と共に、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEI)を含む可撓性のポリマーから形成される、可撓性の回路基板に組み込むことができる。センサアレイは2層の可撓性回路の中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、回路基板は、多層の可撓性回路基板であり得る。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれ得る。例えば、可撓性回路は、
図1Bを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の2層の間に挟まれる可撓性回路基板を伴う、第一のおよび第二の創傷接触層を含み得る。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、可撓性回路基板と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材アセンブリ全体の一部を形成する、一つまたは複数の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、2層の間に挟まれる可撓性回路基板と共に接着され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサは、創傷の中の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に被包または被覆され得る。いくつかの実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。例えば、
図3Dに示す通りの一つまたは複数のSpO2センサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。いくつかの実施形態では、SpO2センサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置され得る。センサと電気もしくは電子構成要素の一部またはすべては、埋められてもよく、または、ポリマー、例えば、シリコンまたはエポキシベースのポリマーで、被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、および構成要素からの化学物質浸出を防ぎ得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、構成要素を密閉し得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、創傷に関係する情報を集めて処理する際に、センサアレイ、コントロールまたは処理モジュール、およびソフトウェアを含む、三つの構成要素を利用し得る。三つの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0224】
図3Aは、いくつかの実施形態に従い、センサアレイ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部分303を含む、可撓性センサアレイ回路基板300を示す。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含み得る。センサアレイの回路基板300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含み得る。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、コントロールモジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になり得る。長い尾部分302によって、コントロールモジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0225】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々な四つのセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有する可撓性の回路基板の実施形態を示す。図示した実施形態は、尾部分302A、302Bを含む。302C、および302D。いくつかの実施形態では、四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。
図3Bは、四つの異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bとコントロールモジュールとの間の電気または電子接続を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの一つまたは複数は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基板301A、301C、または301Dがコントロールモジュールまたはその他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイはコントロールモジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0226】
図3Cは、
図3Bに示すセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを、より詳細に示す。
図2または
図3A~3Dの実施形態のうちのいずれか一つまたは複数では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲近辺、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含み得る。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁に平行で、いくつかの実施形態では、創傷被覆材構成要素の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含み得る。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材構成要素の内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材構成要素全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの複数部分間に割れ目が形成される。
図2に示す通り、これにより、一部、および場合により大多数の創傷被覆材構成要素のカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、
図2および3Dに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0227】
図3Dは、いくつかの実施形態に従い、穿孔創傷接触層320に組み込まれる可撓性センサアレイを示す。示す通り、センサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つまたは複数のスリットを有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有し得る。
【0228】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化し得る。いくつかの実施形態では、例えば
図3Bに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイの構成要素を接続し得る。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0229】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、導電率センサ、Spo2センサ、または色センサのうちの一つまたは複数を、センサアレイ上で使用して、創傷の状態に関連する情報を提供することができる。センサアレイおよび個々のセンサは、創傷の治癒を監視する際に、臨床医を支援し得る。一つまたは複数のセンサは、創傷および創傷治癒特性に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作し得る。
【0230】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0231】
光学センサは、照射源と共に、RGBセンサ(例えば、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサ)を使用して創傷外観を測定するために使用できる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0232】
組織の中の光伝播は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0233】
散乱過程はより複雑である場合があり、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第一の態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定され得る。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0234】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを光学センサの構成要素として使用して、組織色分化を通して測定する。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、皮膚と接触するLEDからの、拡散した散光色からの色感知を含み得る。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用され得る。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像し得る。
【0235】
加えて、光学センサが、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となり得る。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長をシフトする周波数帯)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0236】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定するか、または病的組織の中で開いている創傷による、インピーダンスの変化を示すかに使用され得る。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含み得る。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用され得る。いくつかの実施形態では、センサアレイは、創傷サイズまたは創傷の形の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用し得る。いくつかの実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でまたは創傷の周囲で使用され得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用され得る。分光計、および広帯域の白色光源は、pH染料のスペクトル応答を測定するように使用され得る。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ側面にある最下表面上とに提供され得る。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供され得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサが使用され得る。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0239】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続によって接続され得る。いくつかの実施形態では、サーミスタは、5個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、5つの各グループは共通の接地を有する。5組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。いくつかの実施形態では、9個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で9個の接続部を供給する。いくつかの実施形態では、5個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。いくつかの実施形態では、10色のセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは6個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの5個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および設置は別途考慮される。いくつかの実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび7個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態では、センサアレイは、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5Spo2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0240】
コントロールモジュールは、センサアレイと連動するように使用され得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、センサを駆動するように、バッテリなどの電源および電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置し得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置していても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、異なるセンサアレイと共に利用されるように適応することができ、センサアレイの容易な交換が可能となり得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【0242】
【0243】
図3Eは、いくつかの実施形態に従う、コントロールモジュールのブロック
図330を示す。コントロールモジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特徴を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特徴を示し、ボックス393は光インターフェースの特徴を示す。コントロールモジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュおよびデバッグコネクタは、
図3Eに示す通り、コントロールモジュールの特徴部として含まれ得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つまたは複数を有し得る。2.4GHz、もしくは別の他の好適な周波数無線(統合型または外付けのいずれか);供給するBluetooth(登録商標)ソフトウェアスタック;SPIインターフェース;USB(または外付けUSBドライバ用UART);I2C;3チャネルPWM;32GPIO;または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要とし得る。Bluetooth(登録商標)スタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされ得る。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされ得る。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアであり得る。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0245】
いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、メモリ構成要素を含むことができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度による。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0246】
コントロールモジュールは、一つまたは複数のアナログスイッチを利用し得る。いくつかの実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用され得る。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用され得る。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの八つが必要となる。
【0247】
コントロールモジュールは、バッテリなどの電源を組み込み得る。例えば、300mWh/日のバッテリが使用され得る。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mm×25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mm×500mm)Li-Ionにより提供され得る。
【0248】
コントロールモジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれ得る。コントロールモジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含み得る。
【0249】
コントロールモジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動され得る。
【0250】
コントロールモジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特徴部を伴う、二つの部分から成る成形品であり得る。
【0251】
センサアレイを通して収集されるデータは、コントロールモジュールを通過し、ホストソフトウェアにより処理され得る。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理装置は、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、コントロールモジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、Bluetooth(登録商標)またはUSBを介した、コントロールモジュールに対するインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、コントロールモジュールの状態読み取り、コントロールモジュールからのログデータのダウンロード、コントロールモジュールへのサンプル速度制御のアップロード、コントロールモジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行い得る。
【0252】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0253】
いくつかの実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源、センサ、コネクタ、ユーザーインターフェース構成要素(例えば、ボタン、スイッチ、スピーカ、画面など)および同類のものなど、局所陰圧システムの他の構成要素の一部またはすべては、創傷被覆材と一体化し得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、裏当て層の最上部下方、最上部内、最上部上、または裏当て層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二のカバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合された構成要素を取り囲んでいた、別個の外皮であり得る。
【0254】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0255】
ナノセンサ
いくつかの実施形態では、一つまたは複数のナノテクノロジー対応センサ(ナノセンサとも呼ばれる)を組み込むか、またはそれを含むことができる。ナノセンサを利用して、体内の細胞の体積、濃度、変位および速度、重力、電気力、および磁力、圧力、または温度のうちのいずれか一つまたは複数を測定することができる。ナノセンサは、医薬品または開発モニターを体内の特定の場所に送達するために、分子レベルで特定の細胞を区別または認識できる場合がある。ナノセンサは、例えば、創傷のモニタリングに使用できる創傷の特性を検出でき、治癒がどれだけ良くなるかに基づいて治療計画を推奨することができる。一組のナノセンサは、集合コミュニティとして機能することができる。例えば、ナノセンサはネットワークとして通信することができ、基材(例えば、創傷くぼみ内に配置可能な発泡体または創傷充填材)に製剤化することができる。
【0256】
他のセンサに関連して本明細書に記載されるように、ナノセンサは、アレイ、紐、可撓性の回路基板、マトリクス、チップなどに組み込まれうる。いくつかの実施形態において、ナノセンサは、例えば、薄い、光、使い捨て、または可撓性材料に電子印刷できる。いくつかの実施形態では、ナノセンサは生体適合性である。
【0257】
創傷が治癒すると、電界を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、ナノセンサは、創傷によって発信された電気信号を解釈および分析できる。従って、ナノセンサは、経時的にそれらのフィールドを検出または正確に測定でき、それによって創傷の治癒過程を非侵襲的に追跡することができる。いくつかの実施形態では、ナノセンサは、創傷がどれだけ早く治癒するかを追跡できる。いくつかの実施形態では、ナノセンサは創傷治癒を加速することができる。いくつかの実施形態では、創傷の治癒の進行を監視するために創傷被覆材組立品を利用することができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、ナノセンサは、(例えば、組み込まれたアンテナを使用して)一つまたは複数の他のセンサまたは遠隔コントローラなどの他の通信機器と通信することができる。ナノセンサデータを無線で伝送および分析することができる。
【0259】
センサの配置
センサまたはセンサアレイの正確な配置は、創傷の効果的な治療、または効果的なデータ集合に重要でありうる。例えば、創傷のまたはその周囲さまざまな位置は、劇的に異なる特徴を持つことができる。センサがどこに位置するかを知らなければ(例えば、創傷、他のセンサ、患者などに対して)、測定されたデータまたは計算されたデータを誤解または不正確なものにすることになり得、従って患者に効果的な治療を提供することが困難である。いくつかの実施形態では、センサデータの正確性の増大を助けるために、一つまたは複数の技術を利用する。例えば、不完全または不正確な配置の可能性を低減するために、一つまたは複数の技術が提供されている。さらに、不完全または不正確な配置にもかかわらず、センサデータの精度を高めるために一つまたは複数の技術が提供される。同様に、正確な情報を収集するためにセンサの特定の正確な配置を必要としない一つまたは複数の技術が提供されている。
【0260】
一つまたは複数のセンサストリング、センサストリップ、センサアレイ、センサマトリックス(一般的にセンサパッケージと呼ぶ)、創傷、創傷被覆材、創傷充填材、創傷被覆材組立品の位置または配向を追跡または決定し、配向エラーを制限するために利用し得る。例えば、センサパッケージが取り付けられた時、または交換された時に、それぞれの場合において配向が既知であることを確実にするために、センサパッケージが、創傷(または創傷の周辺)内にまたはその上にどのように取り付けられているかに関して、整列または配向の考慮がなされ得る。これは、共同リファレンスおよびクロスリファレンスデータに必要である。さらに、不完全な配置の可能性を低減するために、創傷被覆材またはセンサパッケージの配置(例えば、初期配置またはその後の調整)を支援するために、位置または配向データを利用できる。センサデータまたはセンサ機能は、例えば、不完全な配置にもかかわらずセンサデータの正確性を増やすために、位置または配向データに基づいて修正できる。
【0261】
センサパッケージを利用して、配向エラーを制限することができる。例えば、例えば、センサは正しく配向するのに小さいかまたは困難であるため、単一のセンサを所望の位置に配置することが困難である場合がある。センサパッケージは、例えば、本明細書で説明したように、配向マーカーのサイズまたは潜在能力の増加のために、方向付けが簡単でありうる。
【0262】
センサまたはセンサパッケージは、創傷被覆材または創傷パッキング材料に組み込まれるか、または封入され得る。例えば、センサは、ガーゼまたはデュライファイドまたは一つまたは複数の創傷被覆材の層にステッチされてもよく、またはその他の方法で永久的にまたは半永久的に取り付けられてもよい。別の例として、センサは、創傷に適合する発泡体突出部に取り付けられ得る。さらに、別の例では、センサまたはセンサパッケージは、拡張可能なマトリクス、発泡体または創傷に充填されるその他の材料に配置され得る。いくつかの実施形態では、創傷の治癒の進行を監視するために、一つまたは複数のセンサを利用することができる。
【0263】
いくつかの実施形態では、基材上に、または基材によって支持されることができる一つまたは複数のセンサを備える。基材は可撓性または実質的に可撓性とすることができる。基材は創傷接触層の一部とすることができる。基材上に位置付けられたセンサの追加の詳細は、2018年4月11日出願の国際特許出願PCT/EP2018/059333号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0264】
アライメント機能
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、創傷404内またはその上に創傷被覆材402を適切に配置することを援助するための、複数のアライメント機能406、410、412を持つ、陰圧創傷療法(NPWT)システムなどのモニタリングまたは治療システム400の図を示す。システム400は、
図1C~
図1Dの創傷被覆材100など、本明細書に記載されるように、任意の創傷被覆材でありうる創傷被覆材402を含む。さらに、システム400は、本明細書に記載されるように、創傷被覆材に接続されたポンプ(図示せず)を含み得る。一つまたは複数のアライメント機能406、410、412は、創傷被覆材内または創傷の周辺に含めることができる。一つまたは複数のアライメント機能406、410、412は、創傷404に創傷被覆材402が不完全または不正確に配置される可能性を低減するのに役立ちうる。
【0265】
図4Aは、創傷404内、上または周りにその配置の前に創傷被覆材402を図示する。
図4B~
図4Cは、一つまたは複数のアライメント機能406、410、412を使用して、創傷404内、上、またはその周りに適切に位置付けられた創傷被覆材402を図示する。図示したように、アライメント機能はアライメントリング406および配向機能410、412を含む。ただし、一つまたは複数のその他のアライメント機能を追加または代替的に使用できることに留意すべきである。例えば、その他のアライメント機能は、患者の完全なまたは部分的な画像または図を含み得る。例えば、図中の患者の配向が患者の配向と一致する時、創傷被覆材は正しく配向され得る。さらに、アライメント機能には、創傷被覆材コーナーを配置する位置の面積を示すコーナーインジケータが含まれる。アライメント機能はまた、解剖学的機能インジケータを含むことができる。例えば、矢印またはその他の方向要素は、創傷被覆材上にあり、正しく位置付けられた場合、特定の位置(例えば、患者の左足)を示す。いくつかの実施形態では、アライメント機能は、創傷被覆材の正しい配向を示すことができるパターンまたは他のマーキングも含めることができる。例えば、アライメント機能は、創傷被覆材のコーナーに配置された複数のブロックを含むことができる。創傷被覆材は、ブロックが左上コーナーにあるときに正しく配向される。
【0266】
アライメント機能は、加速度計、配向センサ、重力センサまたはレベルなどの配向インジケータを含み得る。例えば、アライメント機能は、異なる密度の流体を有するシールされたチャンバまたは気泡(例えば、生理食塩水での空気気泡など)を含み得る。流体の配向または位置は、創傷被覆材の配向を示し得る。一つまたは複数のアライメント機能は、創傷被覆材、創傷充填材料、センサ、またはセンサパッケージの配置または交換における患者または介護者を案内する支援をすることができる。本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサは、センサパッケージ、創傷被覆材、創傷充填材料などに組み込まれうる。同様に、センサパッケージを創傷被覆材または創傷充填材料に組み込むことができる。
【0267】
アライメントリング406は、アライメントリング406と創傷被覆材402が整列された時(例えば、内部に嵌合、一致または対応)に、創傷被覆材または創傷被覆材に統合された任意のセンサが適切に位置付けられるように、構成され得る。アライメントリング404は、創傷被覆材401が望ましい位置に正しく配置または交換されるのが可能となるよう、創傷402内、上またはその周りに、半永久的に取り付けられ得るか、または印刷され得る。アライメントリングは、創傷被覆材402の配置を支援できる任意の半永久的または永久的な視覚的またはその他のインジケータとすることができる。例えば、アライメント機能は、一時的なタトゥー、インク(例えば、見えないインク)、テープ、ステッカー、解剖学的機能などとすることができる。
【0268】
いくつかの事例では、システム400は、2次元(2D)または3次元(3D)仮想イメージをユーザーに提示するよう構成されたウェアラブルシステムを含み得る。例えば、加えて、または代替的に、(創傷402にあるいはその周りに半永久的に取り付けられまたは印刷され得る)物理的なアライメントリング406を含むことに追加して、ウェアラブルシステムは、アライメントリング406をユーザーに対して仮想イメージとして提示できる。同様に、または別の方法として、本明細書に記載されるその他のアライメント機能の任意の一つまたは複数を、ユーザーへの仮想イメージとして提示することができる。
【0269】
画像は、静止画像、ビデオのフレーム、ビデオ、組み合わせまたはこれに類するものとすることができる。ウェアラブルシステムは、仮想現実(例えば、他の実際の現実世界の視覚的入力に対して透明性のないデジタルまたは仮想イメージ情報の提示)、強化現実(例えば、ユーザーの周りの実際の世界の視覚化に対する補強として、デジタルまたは仮想イメージ情報の提示)、または混合現実(例えば、実際のおよび仮想物体が実際の時間に共存し相互関係する新しい環境を生産するために、マージする現実のおよび仮想世界に関する提示)環境を、ユーザーのインタラクションのために、単独でまたは組み合わせて、提示することができる、ウェアラブル機器を含むことができる。ウェアラブル機器は、頭部取り付け機器(HMD)またはその他の機器とすることができる。
【0270】
アライメントリング406は長方形の形状を持つように示されるが、アライメントリング406は、長方形、円形、楕円などの他の形状を含む任意の形状を取ることができることが理解されよう。いくつかの実施形態では、アライメントリングの形状は、有利なことに、創傷被覆材402の形状と一致して、簡単で正確な配置を可能にする。しかし、一部の例では、アライメントリング406の形状は、創傷被覆材402の形状とは異なる。
【0271】
いくつかの実施形態では、アライメントリング406に加えて、またはその代わりにその他のアライメント機能を利用する。例えば、縁部、コーナー、またはセンサの所望の位置を示すインジケータを利用することができる。非限定的な例として、アライメント機能は、創傷被覆材402の角がコーナーインジケータに位置付けられているとき、創傷被覆材が正確に配置されるように、二つ以上のコーナーインジケータを含み得る。別の例として、アライメント機能は、創傷被覆材402に含めることができ、患者の解剖学的特徴に対応することができる。例えば、創傷被覆材402は、適切に整列されたとき、解剖学的特徴(例えば、患者の頭部)で示すよう設計された矢印を含むことができる。
【0272】
いくつかの実施形態では、患者、介護者、コンピュータ案内装置などは、創傷被覆材、センサ、センサパッケージ、または患者の身体に一つまたは複数のアライメント機能を描く、配置する、押し付ける、または位置付けることができ、創傷被覆材またはセンサの位置決めを支援する。他の例では、アライメント機能は、仮想または増強された現実の形態を使用して(光源などで)投影されてもよく、または見られてもよい。
【0273】
いくつかの実例では、アライメント機能は創傷被覆材402の配置の前に決定される。例えば、コンピューティングシステムまたは医師は、創傷被覆材の範囲内の既知のセンサ位置に少なくとも部分的に基づいて、患者にアライメントリングをどこに配置することを決定できる。別の例として、アライメント機能の位置または配向は、創傷のサイズ、位置、形状、深さなどに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。別の方法としてまたは追加的に、アライメント機能の位置または配向は、創傷被覆材で使用されるセンサのタイプに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0274】
アライメント機能は、創傷被覆材またはセンサが初めて患者に取り付けられているか、または患者に配置された後に決定され得る。例えば、いくつかの実例の場合、創傷被覆材は定期的な交換を必要とし得る。例えば、これらの例において、創傷被覆材は、任意のアライメント機能を利用することなく、創傷内またはその上に最初に置かれることができる。例えば、本明細書に記載されるように、創傷被覆材またはセンサは、創傷内またはその上に特定の配置を必要としなくてもよい。代わりに、個別のセンサ構成要素は、創傷内のその位置を理解するために、相互に対してその位置を登録する手段を持ち得る。ただし、創傷被覆材が新しい創傷被覆材と置き換えられた場合、新しい創傷被覆材を(例えば、データの正確性、首尾一貫性のために)古い創傷被覆材と同じまたは実質的に同じ位置に配置できることが望ましい。従って、いくつかの実施形態では、アライメント機能は、センサの初期配置および位置登録後に決定することができる。例えば、創傷被覆材の輪郭線またはその他の表示は、患者の体にマーク付けできる。その後、創傷被覆材が置き換えられると、アライメント機能を使用して新しい創傷被覆材を正確に配置できる。
【0275】
いくつかの実施形態ではさらに、不完全または間違った配置の可能性をさらに減少させるために、センサの正確性が回転不整列によって影響を受けないように、創傷被覆材またはセンサパッケージは少なくとも部分的に回転対称でありうる。いくつかの実施形態では、回転対称とは、ある角度だけ回転した時、同じタイプのセンサが同一の位置に配置されたままになるように、センサが、創傷被覆材またはセンサパッケージ内に回転対称的に位置付けられていることを意味する。例えば、
図4A~4Cに図示される創傷被覆材402は、創傷部404における配向の跡(A、B、B、A)412に対応する配向マーク(A、B、B、A)410を含む。
図4Bおよび4Cによって示されるように、創傷被覆材402は、回転対称であるため、創傷被覆材は、
図4Bに図示されるように、または
図4Cに図示されるように配向されているかどうかにかかわらず、正確に位置付けられ得る。配向マーク410および412は、両方の配向に一致することに留意されたい(例えば、AはAに対応し、BはBに対応する、など)。
【0276】
センサの位置または配向
システム(システム400など)は、センサまたはその他の関心対象物の位置または配向を決定または追跡するための位置検出機器を利用して、センサ、創傷、患者またはこれに類するものの位置を推定する。例えば、システムは、例えば、一つまたは複数の他のセンサに対して、位置または配向データを連続的に、または繰り返しレポートしまたは受信することができるセンサを含み得る。さらに、または別の方法として、システムは、センサパッケージ上の各センサの位置または配向が既知であるか、または決定可能であるセンサパッケージを利用することができ、センサパッケージの位置を登録するために単一またはいくつかのセンサを使用できる。
【0277】
本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサが取り付けられているか交換される時、それぞれの場合にそれぞれの配向が既知であることを確実にするために、位置または配向(または定置とも呼ばれる)の考慮が、一つまたは複数のセンサ(または創傷被覆材)が、創傷内またはその上にどのように配置されるかに関してなされ得る。本明細書で使用される場合、「定置」という用語は、制限なく、位置または配向、または任意のその他の適切な位置情報を指すことができる。創傷またはポイントまたは基準に対する各センサの位置を決定できるように、例えば、データを共参照および相互参照するのに、これらの配置の考慮事項が望まれうる。例えば、個別のセンサ構成要素は、創傷の上または周りまたはその中の位置を理解または記録するために、互いに対してそれらの位置を登録する手段を持ち得る。
【0278】
センサ、センサパッケージ、または創傷被覆材の位置または配向は、さまざまな技術を使用して追跡または決定することができる。例えば、一つまたは複数の定置センサを使用またはセンサパッケージ、創傷被覆材などに組み込むことができ、位置検出機器(時には、位置または位置決め検出ユニットと呼ばれる)は、追跡領域内の一つまたは複数の定置センサの位置または配向を追跡または決定できる。位置検出機器は、他のセンサからのデータを共参照または相互参照することができる、NPWTシステムのプロセッサまたは遠隔プロセッサなどのプロセッサへ位置決めデータを提供することができる。別の方法として、プロセッサは、追加的な定置情報を決定するために、周知の定置データ(センサパッケージ内のセンサの位置または配向など)を有する受信した定置データを共参照または相互参照することができる。いくつかの事例では、一つまたは複数の定置センサは一つまたは複数の能力を含み得る。例えば、一つまたは複数の定置センサは、慣性測定ユニット(IMU)を出力できるように、加速度計、ジャイロスコープ、または磁気計などの配向センサを含み得る。
【0279】
非限定的な例として、一つまたは複数の定置センサは、位置検出ユニットなどの位置検出機器に通信可能に結合され得る。位置検出機器は、創傷被覆材の一部とすることも、別個の構成要素とすることもできる。位置検出機器は、定置センサまたは一組のセンサ(例えば、センサアレイ)の定置を決定するために使用できる。例えば、位置検出機器は、部屋座標系に対する一つまたは複数の定置センサの姿勢を決定できる。その後、その他のセンサの姿勢を決定するために、姿勢および部屋座標系を利用することができる。位置検出機器は、さまざまな技術を使用して、一つまたは複数のセンサ、創傷被覆材、基準点または同種のものの定置を決定できる。例えば、位置検出機器は、センサ、創傷、創傷被覆材、関心領域、基準点などを探すために、音響位置、超音波、ソナーを利用できる。さらに、または別の方法として、位置検出機器は、センサ、創傷、創傷被覆材、関心領域、基準点などを見つけるため、グローバル位置決めシステム(GPS)、無線周波数識別子(RFID)技術、撮像(例えば、外部ビデオカメラ)、無線周波数検出、位置決めトラッキング、または同種のものを利用できる。
【0280】
いくつかの実施形態に示すように、位置検出機器は、HiBall追跡システム、GPS機器、RFID機器、RFセンサ、アンテナ、超音波、ソナー機器、音響位置機器、または一つまたは複数の定置センサの定置の追跡を可能にする信号発信機器などの一つまたは複数の検出機器を含み得る。いくつかの実施形態では、位置検出機器を創傷被覆材に貼り付けることができる。創傷被覆材組立品は、位置検出機器によって追跡することができる。部屋座標系基準は、部屋座標系に対してセンサまたは創傷被覆材の定置を決定するために、位置検出ユニットによって追跡され得る。加えて、または別の方法として、一つまたは複数のセンサまたは創傷被覆材の定置は、データ、創傷、患者の身体部分などの基準点に対して決定され得る。いくつかの実施形態において、創傷被覆材はまた、一つまたは複数の加速度計を含むか、またはそれに連結されてもよく、これは創傷、患者などの移動、位置、および場所などの推定にも使用できる。
【0281】
別の例として、位置検出機器は信号発信機器を含み得る。信号発信機器は、無線周波数識別子(RFID)を含み得る。こうした実施形態では、信号発信機器は、一つまたは複数の追跡ユニットのGPS座標を使用することができ、または、創傷被覆材、センサなどの定置を決定するために、例えば、一つまたは複数の追跡ユニットに関連付けられたRFIDによって放射される無線周波数信号の三角測量をすることができる。別の方法としてまたは追加的に、センサパッケージは、センサパッケージがタグに対してその位置および配向を画定することを可能にする患者の上またはその近くに配置された電磁タグ(例えば、RFIDタグ)とともにそれ自体を登録し得る。
【0282】
別の例として、位置検出機器は、光学センサ、カメラ、またはスキャナーなどの撮像機器を含み得る。これらの例において、撮像機器は、創傷または創傷被覆材に関連付けられたアライメント機能から。情報を読み取り、スキャンし、撮像し、記録しまたは収集することができる。例えば、一つまたは複数のアライメント機能を創傷被覆材の表面上に印刷することができる。撮像機器は、アライメント機能に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材(または創傷、身体部分など)の位置または配向を決定するように構成され得る。例えば、撮像機器は、アライメント機能を撮像することができ、位置検出機器に対して、アライメント機能または被覆材の角度を決定できる。加えて、または別の方法として、撮像機器は、撮像機器の画像またはビデオの要素の相対的サイズを決定できる。さらに、または別の方法として、撮像機器は、創傷被覆材上のまたはその近傍のアライメント機能の位置または場所を決定することができる。コード、距離、歪み、視差などのアライメント機能の特性に基づき、システムは一つまたは複数のセンサ、関心の点、創傷被覆材、創傷等の定置を決定することができる。決定された定置は、絶対的な定置または、関心領域、創傷、創傷被覆材、センサ、患者の身体部分、またはこれに類するものなどの基準点に対する定置とすることができる。
【0283】
別の例として、システムは、基準点の位置または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷または創傷被覆材の位置または配向を決定できる。決定された位置または配向は、絶対位置または、(例えば、創傷、創傷被覆材、物体、または患者の特定の身体部分に対する)相対位置とすることができる。例えば、センサは固定形状またはストリングとすることができる。一つまたは複数のセンサを含むことができる基準点を位置付けることによって、他のセンサの一つまたは複数の定置を決定することができる。言い換えれば、センサ、創傷被覆材、基準点または同種のものとの間の周知の定置関係を利用して、一つまたは複数のセンサ、創傷被覆材などの定置を決定することができる。
【0284】
創傷被覆材は、基準点と関連付けることができる。例えば、基準点は創傷被覆材に取り付けるか、埋め込むことができる。さらに、基準点は創傷被覆材または創傷被覆材の一つまたは複数のさまざまなセンサ間の周知の定置関係を持つことができる。例えば、基準点は、一つまたは複数のセンサ(例えば、創傷被覆材内のセンサ)から周知の距離とすることができる。基準点は、定置センサなどのセンサとすることができる。あるいは、基準点は、点、線、平面、孔、孔の組、物体、または他の非センサとすることができる。位置検出機器は、基準点の定置を追跡または決定することができ、少なくとも部分的に基準点の定置に基づき、一つまたは複数の創傷被覆材、一つまたは複数のセンサ、関心領域、または同種の領域の定置を決定することができる。いくつかの事例では、システムは、複数の基準点を含むことができ、位置検出機器は、基準点のそれぞれの定置を追跡または決定できる。
【0285】
さらに、または別の方法として、基準点は創傷被覆材から離れることができる。例えば、基準の点は、身体上の既知の位置、身体の一部分から既知の距離、または創傷から周知の距離とすることができる。いくつかの事例では、基準点は位置検出機器とすることができる。基準点は、基準点の位置または配向に対して、創傷被覆材、関心領域、または一つまたは複数のセンサの定置を決定する。例えば、ポイントまたは基準の一つまたは複数または個別のセンサ構成要素は、センサまたは、創傷の上に、周りに、または創傷内の創傷被覆材の定置を理解または記録するために、それらの位置を基準点とともに、登録するように構成され得る。
【0286】
いくつかの実施形態では、一つまたは数個のセンサの定置を追跡または決定し、既知の関係は、他の定置データ(例えば、他のセンサ、創傷被覆材、創傷、患者などの定置データ)を決定するために使用される。本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサは、センサストリング、センサストリップ、センサアレイ、センサマトリクス、または可撓性回路基板などのセンサパッケージに組み込まれうる。別の方法としてまたは追加的に、一つまたは複数のセンサを創傷被覆材または創傷充填材に組み込むことができる。センサパッケージ、創傷被覆材または創傷充填材内のセンサの位置は周知であり、その他のセンサ、創傷位置などの関係が決定され得る。
【0287】
陰圧創傷療法(NPWT)システムなどのシステムは、第一のセンサの定置を決定することができ、次に、少なくとも部分的に、第一のセンサの決定された配置、および第一のセンサとその他のセンサ間の既知の関係に基づいて、他のセンサの定置を決定できる。さらに、または別の方法として、システムは、センサパッケージ全体の定置を決定し、センサパッケージの定置データならびに、既知の関係を使用し、センサパッケージ上の一つまたは複数のセンサの定置を決定することができる。
【0288】
いくつかの実施形態において、システムは、一つまたは複数のセンサ、センサパッケージ、創傷等の位置または配向を決定するための基準としての役目をする基準点を含み得る。例えば、システムは、基準点の定置または基準点に対する一つまたは複数のセンサの定置を決定することができる。少なくとも部分的に基準点の定置に基づいて、システムは、例えば、基準点または創傷に対する相対的な一つまたは複数のセンサの定置を決定することができる。基準点は、センサ、ポイント、線、平面、孔、孔の組等とすることができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、複数のセンサまたは全てのセンサの定置を追跡または決定することができる。いくつかの実例では、システムは、本明細書に記述した複数の技術を使用して、各センサの定置を決定することができる(例えば、センサを追跡する、既知の関係に基づいて決定する)。システムは、複数の技術を使用して決定された定置の間に適切に仲裁することができ、また定置が不正確または信頼性のないものと認識されるかどうかを判断できる。
【0290】
図5は、いくつかの実施形態による、複数の組み込まれたセンサ530またはセンサパッケージを持つ、創傷充填材料520(または創傷充填材)を充填した創傷522の断面図を示す。創傷充填材料は、創傷を充填するように構成され得る拡張可能な発泡体またはマトリクスを含む本明細書に記述された任意の材料でありうる。創傷充填材料520のセンサ530は、創傷または患者に関連するその他の生理学的または健康データに関連するデータを提供するために、創傷被覆材(
図4A~4Cに関連して説明したものなど)に組み込まれたセンサと併用して利用できる。別の方法として、センサ530を排他的に使用して、創傷データを提供することができる。さらに、他の実施例では、センサ530は、創傷の外側の一つまたは複数のセンサまたは構成要素と通信できる。
【0291】
いくつかの実施形態では、センサ530の特定の配置は必要ない。例えば、一つまたは複数のセンサ530を創傷充填材料520に組み込むことができ、創傷充填材料520を創傷に挿入することができる。一つまたは複数のセンサ530の位置または配向は、本明細書に記述した方法のうちの一つを使用して決定され得る。いくつかの実施形態では、センサ530は、位置または配向が周知であるように、創傷充填材料520内に位置付けられる。例えば、センサ530はパターンで位置付けることができ、創傷充填材520は、創傷充填材が創傷くぼみ522に挿入される間に、センサ530が移動しないように、一定の一貫性または密度でありうる。
【0292】
図6Aは、いくつかの実施形態による、創傷部650内に位置するセンサのストリングまたはストリップ640を持つシステムを図示する。一部の実施では、ストリップ640の配置は、医師またはその他の有資格者によって配置されるべきであるように、特定の配置を必要とする場合がある。あるいは、ある一定の場合において、ストリップ640は、特定の配置を必要としない場合があり、ストリップ640は、医師、ナース、介護者、または患者などの任意の個人によって配置され得る。いくつかの実施形態では、センサのストリップ640はストリップでなくてもよく、代わりに、別のセンサパッケージまたは複数の個々のまたは結合されたセンサである。
【0293】
システムは、皮膚642上(例えば、創傷における皮膚)、または創傷被覆材内のような創傷の外部に存在することができる構成要素644を含むことができ、センサストリップ640と通信できる646。いくつかの実施形態では、構成要素644の位置または配向は、システムの既知の入力とすることができる。そのため、構成要素644の位置、およびセンサストリップ640またはストリップの特定のセンサの位置または配向を決定するために利用される。構成要素644は、位置検出ユニットまたは本明細書に記載のその他任意の位置決めモジュールまたは場所決めモジュールでありうる。
【0294】
センサ、センサパッケージ、創傷被覆材などの位置または配向は、カメラまたはその他の記録機器を使用して決定することができる。例えば、創傷充填またはパッキング材料の充填の前の創傷について、創傷パッキング材料の充填後、またはセンサの配置後、または創傷被覆材の配置後、一つまたは複数の写真またはビデオを撮影し得る。画像は、センサ、創傷被覆材などの配向が、配置後に計算されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、創傷または被覆材の画像を利用して、創傷被覆材のセンサからの出力したデータに対しデータ完全性を決定または割り当てることができる。
【0295】
図6Bは、いくつかの実施形態による、創傷部650内に位置するセンサのストリングまたはストリップ640を持つシステムを図示する。さらに、
図6Bは、基準点660(データポイントとして言及される場合もある)および関心領域670を示す。
【0296】
基準点660は、一つまたは複数の定置センサなどのセンサを含み得る。さらに、または別の方法として、基準点660はセンサでなくてもよい。例えば、基準点660は、受動的なデータであり得る。いくつかの事例では、基準点660に関連付けられた情報は、各センサの位置を決定できるように、共参照または相互参照することができる。例えば、個別のセンサ構成要素の一つまたは複数は、創傷の上またはその内部の位置を理解または記録するために、相互に対して、それらの位置を登録するように構成され得る。いくつかの事例では、基準点660は既知の関係を有することができる。例えば、基準点660は、一つまたは複数のセンサ(例えば、創傷被覆材内のセンサ)から周知の距離とすることができる。さらに、または別の方法として、基準点660は、身体の一部分からの周知の距離、または身体上の特定の位置、または創傷被覆材上であり得る。
【0297】
いくつかの事例では、システムは、基準点の位置または配向に少なくとも部分的に基づいて、創傷または創傷被覆材の位置または配向を決定できる。決定された位置または配向は、絶対位置または、(例えば、創傷、創傷被覆材、物体、または患者の特定の身体部分に対する)相対位置とすることができる。例えば、センサは固定形状またはストリングとすることができる。一つまたは複数のセンサを含むことができる基準点を位置付けることによって、他のセンサの一つまたは複数の定置を決定することができる。言い換えれば、センサ、創傷被覆材、基準点または同種のものとの間の周知の定置関係を利用して、一つまたは複数のセンサ、創傷被覆材などの定置を決定することができる。
【0298】
いくつかの実施形態では、システムは、創傷650と関連付けられ得る関心領域670を監視できる。例えば、関心領域670は、創傷650の周辺の一部の創傷650の一部でありうる。関心領域670は、時間の特定の瞬間(例えば、単一の測定)または期間(例えば、多数の測定)で監視され得る。例えば、創傷650の治癒時間の期間全体を通して、関心領域670を監視することが有利でありうる。
【0299】
しかしながら、いくつかの事例では、創傷の治癒期間全体を通して、複数の被覆材またはセンサシステムの変化が予想される。例えば、創傷被覆材は数日ごとに変更される場合があり、創傷は治癒におよそ4週間かかる場合がある。従って、有利なことに、創傷被覆材が、関心領域670に対してどのように位置するかを決定することが有利であり得る。例えば、どのセンサが関心領域670に対応するか(例えば、計測する)を決定することが有利でありうる。
【0300】
システムは、例えば、創傷650または基準点660に対して、創傷被覆材の位置または配向を決定することができる。例えば、創傷被覆材(またはそのセンサ)が関心領域に対してどこであるかを追跡または決定することによって、システムは、どのセンサが関心領域670の近位であるかを決定できる(例えば、それに対してまたはそれから測定する)。基準点660は、一つまたは複数のセンサ、センサパッケージ、創傷等の位置または配向を決定するための基準としての役割を果たし得る。例えば、システムは、基準点660の定置または、基準点660に対して一つまたは複数のセンサまたは創傷被覆材の定置を決定することができる。決定された定置に少なくとも部分的に基づいて、システムは、あるとすれば、どのセンサが関心領域670に対応するかを判定できる。従って、システムは、創傷被覆材またはセンサの位置または配向を決定することによって、治癒期間全体を通して関心領域670を監視できる。
【0301】
アライメント機能
図7は、創傷被覆材100の位置または配向を決定するためのモニタリングまたは治療システム700を示す。システムは、創傷被覆材100および位置検出機器760を含むことができる。いくつかの事例では、システム700はNPWTシステムでありうる。図示するように、アライメント機能764は、創傷被覆材100と関連付けられ得る。位置機器760は、アライメント機能764に少なくとも部分的に基づいて、創傷被覆材(または創傷、身体部分など)の位置または配向を決定するように構成され得る。
【0302】
アライメント機能764は、英数字またはその他のコード、標準または不規則形状、またはその他の個別のマーキング(例えば、ベースライン形状と呼ばれる)を含むがこれに限定されない、本明細書に記述されたアライメント機能のいずれかを含み得る。例えば、スターバースト(Smith&Nephewのロゴなど)を数字で使用することができる。さらに、既知のアスペクト比を有する任意の標準形状は、ベースライン形状に使用可能でありうる。一つまたは複数のアライメント機能764を、創傷被覆材100の表面上に印刷することができる。ただし、アライメント機能764は、さまざまな方法で創傷被覆材100と関連付けられ得ることが理解されよう。
【0303】
位置検出機器760(または関連するプロセッサ)は、創傷被覆材100、創傷等の位置または配向を決定できる。例えば、位置検出機器760は、光学センサ(例えば、赤色、緑色、青色、および透明(RGBC)センサまたは赤色、青緑色、および白色(RGBW)センサ)、カメラまたはスキャナーを含むことができ、位置検出機器760はアライメント機能764の特性を読み取るまたは決定できる。
【0304】
位置検出機器760は、アライメント機能764から情報を読み取り、スキャンし、または収集することができる。例えば、位置検出機器760は、位置検出機器760またはビーム762(スキャンビームなど)に対して、アライメント機能764または被覆材100の角度を決定できる。さらに、または別の方法として、位置検出機器760は、位置検出機器760の画像またはビデオで要素の相対的サイズを決定できる。さらに、または別の方法として、位置検出機器760は、創傷被覆材100上のアライメント機能764の位置を決定することができる。
【0305】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の他の特性を決定するために、アライメント機能764の一つまたは複数の特性を使用することができる。例えば、位置検出機器760に対するアライメント機能764の角度は、位置検出機器760の画像またはビデオ内の要素の相対的サイズに少なくとも部分的に基づいて識別され得る。例えば、要素の歪みまたは視差を使用して角度を決定することができる。
【0306】
アライメント機能764は、さまざまなインクを用いて形成されるか、またはそれを使用して配置され得る。例えば、アライメント機能764は、限定されない、pH感受性染料、pH感受性顔料等のpH感受性インクを含み得る。pH感受性インクは、例えば、インクと接触する溶液に基づいて、色を変えるように構成され得る。従って、いくつかの事例では、創傷流体はインクを特定の色に変化させうる。pH感受性インクに加えて、またはその代わりに、非pH感受性インクなどの他の物質を利用することができる。幾つかの実施では、複数のマーキングを使用することができる。
【0307】
いくつかの実施形態では、アライメント機能764は、3Dマップなどの創傷被覆材100のモデルを決定するために使用される。例えば、アライメント機能764の3D配向は、既知の形状の斜視ショートニングによって識別され得る。正方形は、例えば、カメラから傾斜している場合には台形として表現され得る。従って、いくつかの実施形態では、アライメント機能764の位置、形状、配向、またはサイズが知られている場合、位置検出機器、患者または別の物体からのアライメント機能764の位置、三次元の角度、または距離を計算できる。従って、被覆材形状の3Dマップは、アライメント機能764の角度および位置などの既知の点間の補間によって生成され得る。この3Dモデリングは、pHインクも組み込むアライメント機能764と併用することもできる。例えば、3Dマップは、pH素子の位置または色から決定することができる。
【0308】
加えて、または別の方法として、アライメント機能764を利用して、創傷被覆材100の圧縮を決定することができる。例えば、アライメント機能764の3D配向、角度、サイズ、形状、またはこれに類するものを識別することができ、この情報からは、創傷被覆材100の圧縮を決定できる。例えば、小さな形状、特定の角度、破損した形状、またはこれに類するものは、創傷被覆材100が圧縮されていることを示す。
【0309】
いくつかの実施形態では、例えば、創傷を測定、評価、または治療するために、pHセンサを利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、pH感受性インクを利用して、光学センサをpHセンサに変換することができる。例えば、pH感受性インクは、検出プラットフォームの光学センサなどの光学構成要素に配置または印刷できるpH感受性接着物質を形成するために、接着発泡体またはゲルなどの接着物質に組み込むことができる。検出プラットフォームの残りの部分は、透明または半透明の接着剤で被覆され得る。
【0310】
pH感受性インクを接着物質と組み合わせてpH感受性接着物質を生成することによって、pH感受性接着物質は、pH感受性インクの厚さを効果的に増加させる(pH感受性インク自体の層の厚さと比較して)。従って、pH感受性接着物質は、より大きな信号対ノイズ比に対してより大きな色デルタを提供する。従って、光学センサ上にpHドープ接着剤を印刷し、色応答テーブルを利用するだけで、ほとんど任意の光学センサをpHセンサに変えることができる。
【0311】
pH感受性インクは、さまざまな技術を用いて接着発泡体に組み込まれうる。例えば、pH感受性インクを混合前に未加工の発泡体材料に加えることができる。別の方法として、接着発泡体はpH感受性インクに浸され得る。同様に、pH感受性インクは、さまざまな技術を用いて接着ゲルに組み込まれうる。例えば、pH感受性インクを単に接着ゲルと混合することができる。
【0312】
いくつかの実施形態では、pH変化パッドは、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成されたpHセンサとして使用できる。次に、色の変化を光学的に測定し、評価することができる。例えば、分光計、および広帯域の白色光源は、pH染料のスペクトル応答を測定するように使用され得る。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ側面にある最下表面上とに提供され得る。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供され得る。
【0313】
いくつかの実施形態において、pHセンサは発泡体または環境のpHに応じてスペクトル吸収を変化させることができるその他の膨張材料を含む。有利なことに、発泡体は創傷被覆材または創傷パッキング材料に統合され得る。
【0314】
いくつかの実施形態では、pHセンサは、pHセンサがpH感受性領域にわたる滲出液の流れをより効果的に流すように構成された組み込み滲出液チャネリングシステムも持ち得る。
【0315】
用語
いくつかの事例では、一つまたは複数のセンサを、基材または層上の特定の位置に位置付けることができる。色マーカーなどのマーカーは、どの方法が一つまたは複数のセンサが創傷内に位置付けられるかをユーザーに案内するために含めることができる。
【0316】
実施形態によっては、本明細書に記載されるプロセスのいずれかの特定の操作、作用、事象、または機能は、異なる順序で実施され得、また全体として、(プロセスの実践に必要なもの等)、追加、融合、または除外され得る(例えば、本プロセスの実践に全てが必要となるわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作、作用、機能、または事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通じて、または他のパラレルアーキテクチャー上で、シーケンシャルにではなく、同時に実行することができる。
【0317】
図示されたシステムのさまざまな構成要素の処理は、複数の機械、ネットワーク、およびその他の演算リソースにわたって分配され得る。さらに、システムの二つ以上の構成要素を、より少ない構成要素に組み合わせることができる。図示されたシステムのさまざまな構成要素を、専用コンピュータハードウェアシステムおよび/またはコンピューティング装置ではなく、一つまたは複数の仮想マシンに実装することができる。同様に、示されるデータレポジトリは、例えば、記憶エリアネットワークまたはその他の分散型記憶システムを含む、物理的および/または論理的データ保存を表すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、図示した構成要素間の接続は、ハードウェア間の実際の接続ではなく、データフローの可能な経路を表す。可能な接続のいくつかの実施例が示されているが、図示された構成要素のサブセットのいずれかは、さまざまな実施の構成要素のその他任意のサブセットと通信できる。
【0318】
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および用途およびその他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。開示の態様は本明細書に記載のさまざまな参照のシステム、機能、概念を使用して、もし必要な場合、変更し、さらなる実施を提供することができる。
【0319】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴の全て、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップの全ては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0320】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、さまざまな省略、置換、および変形がなされ得る。いくつかの実施形態において、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示したさまざまな構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装され得る。プロセッサ、ASIC、FPGA等のハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、さまざまな方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0321】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。従って、本開示の範囲は、記述された実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0322】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。従って、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、二つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈の全て:列挙内の項目も任意の一つ、列挙内の全ての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0323】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈とともに、別途解釈されるものである。従って、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0324】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、特定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0325】
本明細書に記載の実施形態のいずれも、キャニスタあり、または、キャニスタなしで使用することができる。本明細書に記載される被覆材実施形態のいずれかも、創傷滲出液を吸収および保存することができる。
【0326】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含む、創傷被覆材と、
一つまたは複数のプロセッサを含むコントローラであって、前記複数のセンサの少なくとも一部と通信し、
基準点の位置または配向に関連付けられた定置データを受信し、
前記受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、前記創傷に対する前記少なくとも一つの基準点の位置および/または配向を決定し、
前記少なくとも一つの基準点の前記決定された位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のセンサの第一のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定し、
前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記位置および/または配向を、前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較し、
少なくとも前記比較に基づいて、前記複数のセンサの前記第一のセンサが前記創傷内に正しく位置付けられるという表示を提供するように、さらに構成されたコントローラとを含む、創傷モニタリングおよび/または治療システム。
[付記項2]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項1に記載のシステム。
[付記項3]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含む、付記項2に記載のシステム。
[付記項4]
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサ以外のセンサである、付記項1~3のいずれかに記載のシステム。
[付記項5]
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサである、付記項1~4のいずれかに記載のシステム。
[付記項6]
前記定置データを検出するように構成された定置センサをさらに備え、前記定置センサが、外部ビデオカメラまたは無線周波数(RF)センサのうち少なくとも一つを備える、付記項3または4のいずれかに記載のシステム。
[付記項7]
前記定置データを検出するよう構成された定置センサをさらに備え、前記定置センサが前記創傷被覆材に埋め込まれている、付記項3または4のいずれかに記載のシステム。
[付記項8]
前記基準点が、前記定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応する、付記項1~7のいずれかに記載のシステム。
[付記項9]
前記基準点が、前記創傷被覆材から離れた位置に対応する、付記項1~8のいずれかに記載のシステム。
[付記項10]
前記コントローラが、少なくとも前記受信した定置データおよび、前記創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向の間の関係に基づき、前記複数のセンサの第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定するように、さらに構成される、付記項1~9のいずれかに記載のシステム。
[付記項11]
前記関係が、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、付記項10に記載のシステム。
[付記項12]
前記複数のセンサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するよう構成され、前記コントローラが、共登録データに基づいてさらに前記表示を提供するよう構成されている、付記項1~11のいずれかに記載のシステム。
[付記項13]
前記複数のセンサの少なくとも一つが、調節可能センサ設定で構成され、前記調節可能センサ設定が、少なくとも部分的に前記受信した定置データに基づいて調整されるように構成されている、付記項1~12のいずれかに記載のシステム。
[付記項14]
前記創傷被覆材が、前記創傷に陰圧を伝達するように構成されている、付記項1~13のいずれかに記載のシステム。
[付記項15]
付記項15に記載の創傷被覆材および前記創傷被覆材に流体接続されるよう構成される陰圧源を含む、キット。
[付記項16]
複数の創傷特性を測定するよう構成された複数のセンサを含む創傷被覆材を含む、創傷モニタリングおよび/または治療システムを操作する方法であって、
少なくとも一つの基準点に関連付けられた定置データを受信することと、
少なくとも部分的に前記受信した定置データに基づいて、前記複数のセンサの第一のセンサの位置および/または配向を決定することと、
前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記位置および/または配向を、前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記創傷の正しい位置および/または配向を示す閾値定置データと比較することと、
少なくとも部分的に前記比較に基づいて、前記複数のセンサの前記第一のセンサが前記創傷内に正しく位置付けられているという表示を提供することと、を含み、
前記方法が、前記創傷モニタリングおよび/または治療システムのコントローラによって実施される、方法。
[付記項17]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、前記定置データを検出するように構成された定置センサ、または電極を含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記第一のセンサが、定置センサ以外のセンサである、付記項16~17のいずれかに記載の方法。
[付記項19]
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサである、付記項16~18のいずれかに記載の方法。
[付記項20]
前記基準点が、前記定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応する、付記項16~19のいずれかに記載の方法。
[付記項21]
前記基準点が、前記創傷被覆材から離れた位置に対応する、付記項16~20のいずれかに記載の方法。
[付記項22]
少なくとも前記受信した定置データ、ならびに前記創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、前記複数のセンサの第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定することをさらに含
む、付記項16~21のいずれかに記載の方法。
[付記項23]
前記関係が、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、付記項22に記載の方法。
[付記項24]
前記複数のセンサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するように構成され、前記方法がさらに、共登録データに基づいて前記表示を提供することを含む、付記項16~23のいずれかに記載の方法。
[付記項25]
前記複数のセンサの少なくとも一つが、調節可能センサ設定で構成され、前記方法が、前記調節可能センサ設定を、少なくとも部分的に前記受信した定置データに基づいて調整することを含む、付記項16~24のいずれかに記載の方法。
[付記項26]
陰圧を前記創傷に伝達することをさらに含む、付記項16~25のいずれかに記載の方法。
[付記項27]
創傷と接触して位置づけられるように構成された創傷被覆材であって、創傷被覆材は、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含み、少なくとも一つのアライメント機能は、創傷被覆材の位置および/または配向に関連付けられる、創傷被覆材と、
センサおよび一つまたは複数のプロセッサを含むコントローラを備える位置検出機器であって、前記コントローラが、前記センサと通信し、
少なくとも部分的に前記センサから受信したデータに基づいて、前記少なくとも一つのアライメント機能の位置および/または配向を決定し、
前記少なくとも一つのアライメント機能の前記決定された位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、前記創傷被覆材の前記複数のセンサから、少なくとも一つのセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定し、
前記創傷に対する前記複数のセンサからの前記少なくとも一つのセンサの前記位置の状態の表示を提供するようにさらに構成された、位置検出機器と、を含む、創傷モニタリングおよび/または治療システム。
[付記項28]
前記少なくとも一つのアライメント機能がマーキングを含む、付記項27に記載のシステム。
[付記項29]
前記マーキングが前記創傷被覆材上に位置付けられる、付記項28に記載のシステム。
[付記項30]
前記マーキングが、前記創傷の周辺上またはその近くに位置付けられる、付記項28に記載のシステム。
[付記項31]
前記マーキングがpH感受性インクを含む、付記項28~30のいずれかに記載のシステム。
[付記項32]
前記pH感受性インクが、pH感受性インク、染料、または顔料のうちの少なくとも一つを含み、かつ創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成されている、付記項31に記載のシステム。
[付記項33]
前記位置検出機器の前記コントローラが、前記pH感受性インクの色の変化を測定するようにさらに構成されている、付記項32に記載のシステム。
[付記項34]
前記位置検出機器の前記センサが、光pHセンサまたはスキャナーの少なくとも一つを
備える、付記項27~33のいずれかに記載のシステム。
[付記項35]
前記位置検出機器の前記センサから受信した前記データは、前記位置検出機器に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の角度、前記位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の角度、前記少なくとも一つのアライメント機能と前記位置検出機器との間の距離、前記少なくとも一つのアライメント機能に対応するサイズ、前記少なくとも一つのアライメント機能に対応する歪み、または前記少なくとも一つのアライメント機能に対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含む、付記項27~34のいずれかに記載のシステム。
[付記項36]
前記少なくとも一つのアライメント機能が、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうち少なくとも一つを含む、付記項27~35のいずれかに記載のシステム。
[付記項37]
前記創傷に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の前記位置および/または配向は、前記創傷の前記複数のセンサの少なくとも一つのセンサの深さ、前記創傷の一部分からの前記少なくとも一つのセンサの距離、前記少なくとも一つのセンサの配向、または前記創傷上の前記少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含む、付記項27~36のいずれかに記載のシステム。
[付記項38]
前記少なくとも一つのアライメント機能が値と関連付けられ、前記値が平坦な被覆材に対して前記少なくとも一つのアライメント機能のベースライン位置を識別できる、付記項27~37のいずれかに記載のシステム。
[付記項39]
前記少なくとも一つのアライメント機能が二つのアライメント機能を備える、付記項27~38のいずれかに記載のシステム。
[付記項40]
前記状態が、前記少なくとも一つのセンサが前記創傷内に正しく位置付けられているという表示を含む、付記項27~39のいずれかに記載のシステム。
[付記項41]
前記状態が、前記少なくとも一つのセンサが前記創傷内に正しく位置付けられていないという表示を含む、付記項27~40のいずれかに記載のシステム。
[付記項42]
複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサと、前記創傷被覆材の上に位置付けられたマーキングとを含む創傷被覆材を含む、創傷モニタリングおよび/または治療システムを操作する方法であって、
位置検出機器から、基準点の位置または配向に関連付けられた定置データを受信し、前記創傷被覆材は、患者の創傷と接触し、複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含むように受信することと、
前記受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて、前記創傷に対する前記少なくとも一つの基準点の位置および/または配向を決定することと、
前記少なくとも一つの基準点の前記決定された位置および/または配向に少なくとも部分的に基づいて、前記創傷被覆材の前記複数のセンサから第一のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定することと、
前記少なくとも一つのセンサの前記創傷の前記位置および/または配向の状態を示すことと、を含む、方法。
[付記項43]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、Sp02センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項4241に記載の方法。
[付記項44]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含む、付記項43に記載の方法。
[付記項45]
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサ以外のセンサである、付記項42~44のいずれかに記載の方法。
[付記項46]
前記第一のセンサが、前記定置データを検出するように構成された定置センサである、付記項42~44のいずれかに記載の方法。
[付記項47]
前記定置センサが、外部ビデオカメラまたは無線周波数(RF)センサのうち少なくとも一つを備える、付記項45~46のいずれかに記載の方法。
[付記項48]
前記定置センサが前記創傷被覆材に埋め込まれている、付記項45~47のいずれかに記載の方法。
[付記項49]
前記基準点が、前記定置データを検出するように構成された定置センサの位置または配向に対応する、付記項42~48のいずれかに記載の方法。
[付記項50]
前記基準点が、前記創傷被覆材から離れた位置に対応する、付記項42~49のいずれかに記載の方法。
[付記項51]
少なくとも前記創傷被覆材および/または第一および第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向との間の関係に基づいて、前記複数のセンサの第二のセンサの前記創傷の位置および/または配向を決定することをさらに含む、付記項42~50のいずれかに記載の方法。
[付記項52]
前記関係が、第一のセンサと第二のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、付記項51に記載の方法。
[付記項53]
前記複数のセンサの少なくとも一部が、互いに通信および/または共登録するように構成されており、前記方法が、共登録データに基づいて前記表示を提供することをさらに含む、付記項42~52のいずれかに記載の方法。
[付記項54]
前記複数のセンサの少なくとも一つが、調節可能センサ設定で構成され、方法が、前記調節可能センサ設定を、前記受信した定置データに少なくとも部分的に基づいて調整することをさらに含む、付記項42~53のいずれかに記載の方法。
[付記項55]
前記創傷被覆材が前記創傷に陰圧を伝達するように構成される、付記項42~54のいずれかに記載の方法。
[付記項56]
前記位置検出機器のセンサが、光pHセンサまたはスキャナーの少なくとも一つを備える、付記項42~55のいずれかに記載の方法。
[付記項57]
少なくとも一つのアライメント機能が、前記創傷被覆材の位置および/または配向と関連付けられている、付記項42~56のいずれかに記載の方法。
[付記項58]
前記位置検出機器から受信した前記定置データは、前記位置検出機器に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の角度、前記位置検出機器のスキャンビームの軌道に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の角度、前記少なくとも一つのアライメント機
能と前記位置検出機器との間の距離、前記少なくとも一つのアライメント機能に対応するサイズ、前記少なくとも一つのアライメント機能に対応する歪み、または前記少なくとも一つのアライメント機能に対応する視差の角度量のうちの少なくとも一つを含む、付記項57に記載の方法。
[付記項59]
前記少なくとも一つのアライメント機能が、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうち少なくとも一つを含む、付記項57~58のいずれかに記載の方法。
[付記項60]
前記創傷に対する前記少なくとも一つのアライメント機能の前記位置および/または配向が、前記創傷内の前記少なくとも一つのセンサの深さ、前記創傷の一部分からの前記少なくとも一つのセンサの距離、前記少なくとも一つのセンサの配向、または前記創傷上の前記少なくとも一つのセンサの位置のうち少なくとも一つを含む、付記項57~59のいずれかに記載の方法。
[付記項61]
前記少なくとも一つのアライメント機能が値と関連付けられ、前記値が平坦な被覆材に対して前記アライメント機能のベースライン位置を識別できる、付記項57~60のいずれかに記載の方法。
[付記項62]
前記アライメント機能がpH感受性インクを含む、付記項57~60のいずれかに記載の方法。
[付記項63]
前記pH感受性インクが、創傷環境のpH変化に応答して色を変化させるように構成されている、付記項62に記載の方法。
[付記項64]
前記pH感受性インクの色の変化を測定することをさらに含む、付記項62~63のいずれかに記載の方法。
[付記項65]
前記少なくとも一つのアライメント機能が二つのマーキングを含む、付記項57~64のいずれかに記載の方法。
[付記項66]
前記状態を示すことが、前記少なくとも一つのセンサが前記創傷内に正しく位置付けられていることを示すことをさらに含む、付記項42~65のいずれかに記載の方法。
[付記項67]
前記状態を示すことが、前記少なくとも一つのセンサが前記創傷内に正しく位置付けられていないことを示すことをさらに含む、付記項42~66のいずれかに記載の方法。