(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H01R13/66
(21)【出願番号】P 2020096588
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2021-08-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山梨 大介
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043548(WO,A1)
【文献】特開2012-160286(JP,A)
【文献】実開昭63-152177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方端子に対して接触方向へ移動させることによって前記相手方端子に接触する端子と、
前記端子の少なくとも一部を収容するハウジングと、
前記ハウジングに収容され、前記ハウジングと前記端子とによって構成される空間部に配置され、前記端子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを前記空間部において少なくとも第1直交方向へ移動可能に保持する保持構造と、
を備え、
前記ハウジングは、基部と、前記基部から前記接触方向へ延出し、前記接触方向に直交する第1直交方向に対して弾性変形可能な押圧アーム部を有し、
前記押圧アーム部は、前記空間部に突出して前記温度センサに接触する突出部を有し、
前記突出部は、前記温度センサに接触することで前記押圧アーム部が弾性変形して前記空間部に位置する前記温度センサを前記第1直交方向に対して押圧し、押圧した前記温度センサを前記端子に接触させるものであり、
前記ハウジングは、前記基部から前記接触方向へそれぞれ延在し、かつ、前記接触方向及び前記第1直交方向に直交する第2直交方向において対向し、少なくとも前記第1直交方向に対して弾性変形可能な一対の保持アーム部を有し、
前記保持構造は、
前記保持アーム部、及び、前記温度センサの一方に設けられ、前記第2直交方向に延在する一対の係止突起と、
前記保持アーム部、及び、前記温度センサの他方に設けられ、前記第2直交方向へ前記係止突起を移動させることによって前記係止突起に係合可能な一対の係止凹部と、
を有する、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、カバーと、前記カバーとは別体に形成された保持部材とを備え、
前記保持部材は、前記基部を有し、
前記基部は、前記第1直交方向において、一対の前記端子の間に位置し、かつ、一対の前記端子が固定される端子固定部を有し、
前記カバーは、前記第1直交方向において離隔する一対の端子の外側を覆う、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、収容空間部を有する筒状部を有し、
前記押圧アーム部は、前記端子の前記収容空間部に配置される、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるコネクタの中には、電源から電子機器に電力を供給する電線の途中に設けられるものがある。そして、電力供給用の電線は、高電圧が印加される。このようなコネクタは、電線の端末に設けられる端子と、端子の温度を検出する温度センサとを備え、温度センサの検知結果に基づいて電源から電子機器への過電流を防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコネクタは、第1ホルダ部材と、第1ホルダ部材に係止する第2ホルダ部材と、第2ホルダ部材が第1ホルダ部材に係止された状態を維持する保持構造とを備える。そして、当該コネクタは、当該第1ホルダ部材と第2ホルダ部材との間に位置する内部空間部に端子及び温度センサを配置し、第1ホルダ部材と第2ホルダ部材とで端子及び温度センサを挟持し、挟持することによって端子と温度センサとを接触させ、それらを挟持した状態を保持構造で維持する。このため、従来のコネクタは、車両の走行等の振動がコネクタに加わることによって、端子に対する温度センサの接触状態を維持する点において改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、端子に対する温度センサの接触状態を維持することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、上記の課題を解決するため、本発明に係るコネクタは、相手方端子に対して接触方向へ移動させることによって前記相手方端子に接触する端子と、前記端子の少なくとも一部を収容するハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記ハウジングと前記端子とによって構成される空間部に配置され、前記端子の温度を検出する温度センサと、前記温度センサを前記空間部において少なくとも第1直交方向へ移動可能に保持する保持構造と、を備え、前記ハウジングは、基部と、前記基部から前記接触方向へ延出し、前記接触方向に直交する第1直交方向に対して弾性変形可能な押圧アーム部を有し、前記押圧アーム部は、前記空間部に突出して前記温度センサに接触する突出部を有し、前記突出部は、前記温度センサに接触することで前記押圧アーム部が弾性変形して前記空間部に位置する前記温度センサを前記第1直交方向に対して押圧し、押圧した前記温度センサを前記端子に接触させるものであり、前記ハウジングは、前記基部から前記接触方向へそれぞれ延在し、かつ、前記接触方向及び前記第1直交方向に直交する第2直交方向において対向し、少なくとも前記第1直交方向に対して弾性変形可能な一対の保持アーム部を有し、前記保持構造は、前記保持アーム部、及び、前記温度センサの一方に設けられ、前記第2直交方向に延在する一対の係止突起と、前記保持アーム部、及び、前記温度センサの他方に設けられ、前記第2直交方向へ前記係止突起を移動させることによって前記係止突起に係合可能な一対の係止凹部と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記コネクタにおいて、前記ハウジングは、カバーと、前記カバーとは別体に形成された保持部材とを備え、前記保持部材は、前記基部を有し、前記基部は、前記第1直交方向において、一対の前記端子の間に位置し、かつ、一対の前記端子が固定される端子固定部を有し、前記カバーは、前記第1直交方向において離隔する一対の端子の外側を覆う、ことが好ましい。
【0009】
また、上記コネクタにおいて、前記端子は、収容空間部を有する筒状部を有し、前記押圧アーム部は、前記端子の前記収容空間部に配置される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るコネクタは、上記の構成を有するため、端子に対する温度センサの接触状態を維持することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るコネクタが備える端子の展開状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、端子及び保持部材を接触方向の前方側から視た正面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るコネクタにおいて、端子、保持部材、及び、温度センサの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7において、保持部材に温度センサを取り付ける前の部分拡大断面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るコネクタが備える保持部材及び温度センサを示す斜視図である。
【0012】
[実施形態]
図1は、本実施形態に係るコネクタ100の斜視図である。
図2は、
図1の矢視A-Aにおける縦断面図である。
図3は、本実施形態に係るコネクタ100の分解斜視図である。
図4は、本実施形態に係るコネクタ100が備える端子2の展開状態を示す平面図である。
図5は、端子2及び保持部材5を接触方向Xの前方側から視た正面図である。
図6は、本実施形態に係るコネクタ100において、端子2、保持部材5、及び、温度センサ8の分解斜視図である。
図7は、
図2の矢視B-Bにおける横断面図である。
図8は、
図7において、保持部材5に温度センサ8を取り付ける前の部分拡大断面図である。
図9は、保持部材5の側面図である。
図10は、本実施形態に係るコネクタ100が備える保持部材5及び温度センサ8を示す斜視図である。なお、
図6は、本実施形態に係るコネクタ100が有する一対の端子2のうち、第1直交方向Yの他方側に位置する第2端子22の一部を切り欠いて示し、それにともなって、ボルト28の1本を省略してある。
【0013】
図1~
図10に示すように、X方向は、本実施形態におけるコネクタ100の接触方向である。Y方向は、コネクタ100の接触方向Xに直交する第1直交方向Yである。Z方向は、コネクタ100の接触方向X及び第1直交方向Yのそれぞれに直交する第2直交方向である。本明細書における接触方向Xにおいて、相手方コネクタ110に近接する側を前方側といい、相手方コネクタ110に離隔する側を後方側という場合がある。
【0014】
本実施形態に係る
図1に示すコネクタ100は、例えば、自動車等の車両に使用されるワイヤハーネスWHに適用される。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各電気機器間の接続のために、電力供給等に用いられる複数の電線1を束にして集合部品とし、コネクタ100等で各電線1を各電気機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、コネクタ100と、複数の電線1(
図6参照)とを備える。ワイヤハーネスWHは、この他に、さらに、グロメット、プロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されてもよい。本実施形態に係るコネクタ100は、例えば、ハイブリッド自動車、電機自動車等の車両において、バッテリーからモータへ電力を供給する電力供給用の電線1を有するワイヤハーネスWHに用いられる。
【0015】
コネクタ100は、
図2に示す相手方コネクタ110と嵌合することによって、自身が有する端子2と、相手方コネクタ110が有する相手方端子111とを電気的に接続することができる。換言すると、コネクタ100は、自身が有する端子2と、相手方コネクタ110が有する相手方端子111とを電気的に接続することによって、端子2に接続された電線1と、相手方端子111に接続された相手方電線とを電気的に接続する電線対電線接続用の接続機構に用いられるものである。
【0016】
本実施形態に係るコネクタ100は、
図3に示すように、端子2と、ハウジング3と、第1パッキンP1と、第1ホルダ6と、第2パッキンP2と、第2ホルダ7と、温度センサ8と、保持構造9(
図7参照)とを備える。
【0017】
端子2は、導電性の金属によって形成され、電線1の末端に対して電気的に接続される(
図6参照)。本実施形態において説明する
図2に示す端子2は、例えば雌端子であり、相手方端子111は、例えば雄端子である。
【0018】
本実施形態に係るコネクタ100は、一対の端子2を有し、当該一対の端子2は、軸線XLを含み、第1直交方向Yに対して直交する平面に対して線対象に配置する(
図5参照)。このため、一対の端子2のうちの1つの第1端子21について以下に説明し、残りの端子2である第2端子22の説明を省略する。
【0019】
第1端子21は、
図6に示す第1電線11の端末に電気的に接続される。第1端子21は、導電性を有する銅等の金属から打ち抜き加工をすることによって
図4に示す平板状部材18を形成し、当該平板状部材18における複数の折り曲げ線18Lを折り曲げ加工することによって形成される。平板状部材18は、長手方向と、当該長手方向の長さよりも長さが短い短手方向とを有する。そして、平板状部材18は、例えば、長手方向に延在し、短手方向の両端部にそれぞれ位置する一対の接続端部18a、18bを溶接することによって、後述する筒状部25等を有する端子2を形成する。このように形成した
図6に示す第1端子21は、端子接続部23、電線接続部24、及び、筒状部25を備える。なお、第2端子22は、第2電線12の端末に電気的に接続される。
【0020】
端子接続部23は、
図2に示す相手方端子111と接触することによって、相手方端子111に対して電気的に接続される部分である。端子接続部23は、接触方向Xにおける前方側に位置し、後述するカバー4の内部に配置される。端子接続部23は、第1直交方向Yにおいて対向する外側部分23aと、内側部分23bとを有する。外側部分23a、及び、内側部分23bは、矩形平板状に形成される。外側部分23aは、
図5に示すように、板厚方向が第1直交方向Yに沿い、接触方向Xから視た場合、ハウジング3の軸線XLに対して最も外側に位置する。内側部分23bは、板厚方向が第1直交方向Yに沿い、接触方向Xから視た場合、ハウジング3の軸線XLに対して外側部分23aよりも内側に位置する。外側部分23a、及び、内側部分23bは、
図5に示すように、接点部27がそれぞれ設けられる。
【0021】
接点部27は、導電性の金属で形成される。本実施形態に係るコネクタ100において、接点部27は、外側部分23aと、内側部分23bとに設けられ。これらの接点部27は、軸線XLと平行であって、外側部分23aと内側部分23bとの間に位置する仮想線を含み、かつ、接触方向Xに対して直交する平面に対して線対象に配置される。このため、内側部分23bに設けられる接点部27について以下に説明し、外側部分23aに設けられる接点部27について説明を省略する。
【0022】
接点部27は、
図5、
図6に示すように、枠状部271と、複数のバネ接点部272と、一対の第1折曲部273a、273bと、一対の第2折曲部274a、274bとを有する。枠状部271は、矩形の枠状に形成され、第1直交方向Yにおける外側部分23a及び内側部分23bの対向面に設けられ、かつ、当該対向面に接触する部分である。複数のバネ接点部272は、枠状部271の内側に設けられる。各バネ接点部272は、接触方向Xにおける前方側の端部が枠状部271に連結されて支持され、接触方向Xにおける後方側の端部が自由端となり、接触方向Xにおいて、枠状部271に対して弾性変形可能に片持ち状に支持される(
図2参照)。一対の第1折曲部273a、273bは、第2直交方向Zにおいて対向し、枠状部271における第2直交方向Zの端部に連結される。一対の第2折曲部274a、274bは、第1直交方向Yにおいて枠状部271に対向し、第1折曲部273a、273bにおける第1直交方向Yの端部に連結される。
【0023】
電線接続部24は、
図6に示す第1電線11の第1芯線1aと接触することによって、第1電線11に対して電気的に接続される部分である。電線接続部24は、
図1に示すように、接触方向Xにおける後方側に位置し、後述するカバー4から外部に露出する部分である。電線接続部24は、接触方向Xから視た場合、一対の電線接続対向部24a、24bと、接続連結部24cとを有するC字状に形成される。一対の電線接続対向部24a、24bは、第2直交方向Zにおいて対向する。各電線接続対向部24a、24bは、第2直交方向Zに対して当該電線接続対向部24a、24bを貫通する接続貫通孔24a1、24b1を有する。接続連結部24cは、平板状に形成され、板厚方向が第1直交方向Yに沿って配置され、一対の電線接続対向部24a、24bを連結するものである。
【0024】
筒状部25は、接触方向Xにおいて、端子接続部23と電線接続部24との間に位置して収容空間部25sを有する筒状に形成される。より具体的に説明すると、筒状部25は、角筒状に形成される。筒状部25は、接触方向Xにおいて、端子接続部23に隣接し、かつ、電線接続部24に隣接する。
【0025】
端子2の電線接続部24は、電線1に対して電気的に接続される。より具体的に説明すると、電線接続部24における電線接続対向部24aは、電線1の後述する第1芯線1aを接触させることによって、電線1の末端に対して電気的に接続される。本実施形態のコネクタ100は、複数の端子2を備え、各端子2は、各電線1の末端に位置する第1芯線1a対して電気的にそれぞれ接続される。なお、本実施形態において、2本の電線1は同一の構成である。このため、2本の電線1のうちの1本の第1電線11について以下に説明し、残りの1本の電線1である第2電線12の説明を省略する。
【0026】
第1電線11は、導電性の材料で形成された第1芯線1aと、第1芯線1aの周面を被覆する絶縁性の第1被覆部分1bとを有する。第1電線11の端末は、第1被覆部分1bが除去されて第1芯線1aが露出し、当該第1芯線1aが露出した箇所に第1端子21接続される。
【0027】
ハウジング3は、絶縁性の合成樹脂によって形成され、少なくとも端子2の一部を収容するものであって、
図3に示すように、カバー4と、保持部材5とを備える。
【0028】
カバー4は、
図2に示すように、第1直交方向Yにおいて離隔する一対の端子2の外側を覆うものであり、後方側カバー部41と、前方側カバー部42とを備え、後方側カバー部41、及び、前方側カバー部42が一体的に形成される。また、カバー4は、
図1に示すように、当該カバー4の外周面に、第1パッキンP1、第1ホルダ6、第2パッキンP2、及び、第2ホルダ7が組み付けられる。
【0029】
後方側カバー部41は、
図7に示すように、筒状に形成され、端子2の筒状部25の外側を覆うものである。後方側カバー部41の外周面には、
図3に示すように、組付用突出部41aと、第1カバー係合凹部41b、及び、第2カバー係合凹部41cが形成される。
【0030】
組付用突出部41aは、後方側カバー部41の外周面から径方向の外側へ突出するように形成される。本実施形態のカバー4は、4つの組付用突出部41aを有する。組付用突出部41aのそれぞれは、接触方向Xにおいて当該組付用突出部41aを貫通する組付用貫通孔411を有する。作業者は、当該組付用貫通孔411にボルトの先端を挿通した後、当該ボルトのネジ部にナットをそれぞれ螺合することによって、コネクタ100を取付対象物に取り付ける。また、作業者は、相手方コネクタ110を取付対象物に取り付けることによって、端子2と相手方端子111とを電気的に接続するとともに、コネクタ100を相手方コネクタ110に組み付ける。
【0031】
また、後方側カバー部41は、
図2に示すように、接触方向Xにおいて、当該後方側カバー部41を貫通する貫通孔41sを有する。そして、後方側カバー部41は、貫通孔41sを形成した部分に、ナット49を設ける。ナット49は、接触方向Xにおいてナット49を貫通するネジ孔49aを有する。
【0032】
前方側カバー部42は、端子接続部23における外側部分23aの非対向面、及び、内側部分23bの非対向面を覆うものである。
【0033】
第1パッキンP1は、例えば合成ゴム等の弾性を有する材料によって環状に形成され、径方向の内側へ弾性変形が可能である。第1パッキンP1は、接触方向Xにおいて、組付用突出部41aに対して後方側に位置し、例えば、電線1の外周面から雨水等の異物がコネクタ100の内部に浸入することを防止するものである。このような第1パッキンP1は、第1ホルダ6によって後方側カバー部41の外周面に組み付けられる。
【0034】
第1ホルダ6は、例えば絶縁性の合成樹脂によって環状に形成され、上述した第1カバー係合凹部41bに係合する
図3に示す第1係合爪61を有する。本実施形態の第1ホルダ6は、4つの第1係合爪61を有する。第1ホルダ6は、接触方向Xにおいて、組付用突出部41aに対して後方側に位置し、第1係合爪61が第1カバー係合凹部41bに係合することによって、第1パッキンP1を後方側カバー部41の外周面に組み付ける。
【0035】
第2パッキンP2は、例えば合成ゴム等の弾性を有する材料によって環状に形成され、径方向の外側へ弾性変形が可能である。第2パッキンP2は、接触方向Xにおいて、組付用突出部41aに対して前方側に位置し、相手方コネクタ110とコネクタ100との間から雨水等の異物がコネクタ100の内部、及び、相手方コネクタ110の内部に浸入することを防止するものである。このような第2パッキンP2は、第2ホルダ7によって後方側カバー部41の外周面に組み付けられる。
【0036】
第2ホルダ7は、例えば絶縁性の合成樹脂によって環状に形成され、上述した第2カバー係合凹部41cに係合する第2係合爪71を有する。本実施形態の第2ホルダ7は、4つの第2係合爪71を有する。第2ホルダ7は、接触方向Xにおいて、組付用突出部41aに対して前方側に位置し、第2係合爪71が第2カバー係合凹部41cに係合することによって、第2パッキンP2を後方側カバー部41の外周面に組み付ける。
【0037】
保持部材5は、
図2に示すように、基部51と、ワッシャ52と、押圧アーム部53と、保持アーム部54とを有する。本実施形態のハウジング3は、基部51と、押圧アーム部53と、保持アーム部54を有し、これらを一体的に形成する。より具体的に説明すると、保持部材5は、1つの基部51と、1つのワッシャ52と、1対の押圧アーム部53A、53Bと、一対の保持アーム部54A、54Bとを有する。保持部材5は、例えば、インサート成型等によって基部51の内部にワッシャ52が埋設されて一体化される。
【0038】
基部51は、
図6に示すように、端子固定部51aと、案内部51bとを有する。
【0039】
端子固定部51aは、第1直交方向Yにおいて、一対の端子2の間に位置し、かつ、一対の端子2が固定されるものである。端子固定部51aは、略直方体状に形成され、
図2に示すように、当該端子固定部51aを接触方向Xへ貫通する円柱状の固定部第1貫通孔51a1と、当該端子固定部51aを第1直交方向Yへ貫通する円柱状の固定部第2貫通孔51a2とを有する。本実施形態の端子固定部51aは、1つの固定部第1貫通孔51a1と、2つの固定部第2貫通孔51a2とを有する。固定部第1貫通孔51a1は、例えば、端子固定部51aにおける第1直交方向Yの中央であって、かつ、第2直交方向Zの中央に形成される。また、端子固定部51aは、固定部第1貫通孔51a1における接触方向Xの途中に上述したワッシャ52が埋設される。ワッシャ52は、当該ワッシャ52を接触方向Xへ貫通する貫通孔52aを有する。また、保持部材5には、ワッシャ52の貫通孔52aに挿通するボルト59が設けられる。ボルト59は、ネジ部59aを有する。
【0040】
2つの固定部第2貫通孔51a2は、例えば、軸線XLを含み、第1直交方向Yに直交する平面に対して線対称に配置される。また、端子固定部51aは、第2直交方向Zの一方側において、端子固定部51aにおける固定部第2貫通孔51a2を設けた部分には、
図6に示すように、第2直交方向Zの一方側から他方側へ凹む固定凹部51a3をそれぞれ形成する。固定凹部51a3には、導電性の金属で形成した剛性の高いスペーサ51a4が配置される。スペーサ51a4は、固定凹部51a3に係合する矩形平板状に形成される。スペーサ51a4は、第2直交方向Zにおいて、当該スペーサ51a4を貫通するスペーサ貫通孔51a5を有する。
【0041】
端子固定部51aは、接続貫通孔24a1、スペーサ貫通孔51a5、固定部第2貫通孔51a2、及び、接続貫通孔24b1にボルト28のネジ部28aの先端を挿通した後、当該ボルト28のネジ部28aにナット29のネジ孔29aをそれぞれ螺合することによって、保持部材5に端子2が固定される。
【0042】
案内部51bは、端子2の収容空間部25sに押圧アーム部53を挿入する際に、押圧アーム部53を端子2の収容空間部25sに案内するものである。本実施形態の保持部材5は、一対の案内部51bを2つ有する。本実施形態の一対の案内部51bは、第1直交方向Yの一方に配置した一対の一方側案内部511と、第1直交方向Yの他方に配置した一対の他方側案内部512とを有し、これらが、軸線XLを含み、第1直交方向Yに直交する平面に対して線対称に配置され、かつ、同一の構成を有する。このため、2つの案内部51bのうち、第1直交方向Yの他方に配置した他方側案内部512について以下に説明し、第1直交方向Yの一方に配置した一方側案内部511は同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
一対の他方側案内部512は、第1案内アーム部512aと、第2案内アーム部512bとを有する。第1案内アーム部512a、及び、第2案内アーム部512bは、接触方向Xにおいて棒状に延在し、端子固定部51aから接触方向Xの前方側へ向けて突出する。そして、第1案内アーム部512a、及び、第2案内アーム部512bは、第2直交方向Zにおいて、後述する一対の他方側保持アーム部54bを挟んで対向する。つまり、第1案内アーム部512a、及び、第2案内アーム部512bは、第2直交方向Zにおいて、一対の他方側保持アーム部54bの外側に位置する。
【0044】
一対の押圧アーム部53のうち、一方の第1押圧アーム部53Aは、第1直交方向Yの一方に配置し、他方の押圧アーム部53Bは、第1直交方向Yの他方に配置する。本実施形態の一対の押圧アーム部53は、第1直交方向Yの一方に配置した一方の第1押圧アーム部53Aと、第1直交方向Yの他方に配置した他方の第2押圧アーム部53Bとを有する。そして、これらが、軸線XLと平行であって、第2直交方向Zにおける第1案内アーム部512aと第2案内アーム部512bとの間に位置して接触方向Xに延在する仮想線を含み、第2直交方向Zに対して直交する平面に対して線対称に配置され、かつ、同一の構成を有する。そのため、以下の説明において、第2押圧アーム部53Bの構成について以下に説明し、第1押圧アーム部53Aの構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
第2押圧アーム部53Bは、基部51における端子固定部51aから接触方向Xの前方側へ延在する棒状に形成され、第1直交方向Yに対して弾性変形可能である。また、第2押圧アーム部53Bは、筒状部25の内部に位置する収容空間部25sに配置される。そして、
図8に示すように、第2押圧アーム部53Bが収容空間部25sに配置されると、ハウジング3の一部を構成する第2押圧アーム部53Bと、端子2の筒状部25を形成する壁部251とによって、ハウジング形成空間部(空間部)5sが構成される。さらに、第2押圧アーム部53Bは、ハウジング形成空間部5sに突出して温度センサ8に接触する突出部531を有する。
【0046】
突出部531は、
図6に示すように、第2押圧アーム部53Bにおける接触方向Xの前方側の端部(つまり先端部)に形成され、
図8に示すように、第1直交方向Yにおいて、軸線XLに対して離隔する方向へ突出する。突出部531は、
図2に示すように、温度センサ8に接触することで押圧アーム部53が弾性変形してハウジング形成空間部5sに位置する温度センサ8を第1直交方向Yに対して押圧し、押圧した温度センサ8を端子2の壁部251(
図8参照)に接触させるものである。
【0047】
一対の保持アーム部54は、第2直交方向Zにおいて対向し、第1直交方向Yに対して弾性変形可能である。本実施形態の基部51は、一対の保持アーム部54が2つ設けられる。2つの保持アーム部54は、第1直交方向Yの一方に配置した一方側保持アーム部54Aと、第1直交方向Yの他方に配置した他方側保持アーム部54Bとを有する。そして、これらが、軸線XLと平行であって、第1案内アーム部512aと第2案内アーム部512bとの間に位置する仮想線を含み、かつ、第2直交方向Zに対して直交する平面に対して線対象に配置され、かつ、同一の構成を有する。そのため、以下の説明において、他方側保持アーム部54Bの構成について以下に説明し、一方側保持アーム部54Aの構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
他方側保持アーム部54Bは、
図9に示すように、第1保持アーム部541と第2保持アーム部542とを有する。第1保持アーム部541は、接触方向Xに延在して形成され、後方側に位置する保持基端部541aが第1案内アーム部512aに連結され、先端側に位置する保持先端部541bは自由端である。このため、第1保持アーム部541の保持先端部541bは、第1直交方向Yに対して弾性変形可能である。その上、第2直交方向Zにおいて、第1案内アーム部512aと第1保持アーム部541との間には、空隙541sが形成される。そのため、第1保持アーム部541の保持先端部541bは、当該空隙541sによって、第2直交方向Zにおいて、第1案内アーム部512aに近接する方向へ弾性変形可能である。
【0049】
第2保持アーム部542は、接触方向Xに延在して形成され、後方側に位置する保持基端部542aが第2案内アーム部512bに連結され、先端側に位置する保持先端部542bは自由端である。このため、第2保持アーム部542の保持先端部542bは、第1直交方向Yに対して弾性変形可能である。従って、一対の他方側保持アーム部54Bにおいて、第1保持アーム部541及び第2保持アーム部542は、第1直交方向Yに対して弾性変形可能である。その上、第2直交方向Zにおいて、第2案内アーム部512bと第2保持アーム部542との間には、空隙542sが形成される。そのため、第2保持アーム部542の保持先端部542bは、当該空隙542sによって、第2直交方向Zにおいて、第2案内アーム部512bに近接する方向へ弾性変形可能である。
【0050】
他方側保持アーム部54Bは、収容空間部25sに、第2押圧アーム部53Bが挿入されることによってハウジング形成空間部5sが形成された状態では、保持先端部541b、542bは、第2直交方向Zにおいてハウジング形成空間部5sを挟んで対向する。
【0051】
温度センサ8は、例えば、サーミスタであり、温度の変化に対応して電気抵抗が変化する
図2に示す温度検出素子82の性質を利用することによって、当該温度センサ8に接触する端子2の温度を検出するセンサである。このような温度センサ8は、端子2の収容空間部25sに配置される。温度センサ8は、
図6、
図10に示すように、センサカバー81と、温度検出素子82(
図2参照)と、一対のセンサ電線83A、83Bと、ポッティング剤84(
図2参照)とを有する。
【0052】
センサカバー81は、絶縁性の合成樹脂によって形成され、内部に素子収容空間部81s(
図2参照)を有するカバー本体部81aを有する。カバー本体部81aは、第1直交方向Yから視た場合には、矩形状に形成され、カバー開口部81bと、幅広部81cとを有する。カバー開口部81bは、素子収容空間部81sと外部とを連通するものであり、カバー本体部81aの接触方向Xにおける後方側に配置される。幅広部81cは、接触方向Xにおいて、カバー本体部81aの後方側の端部であって、かつ、第2直交方向Zの両端部から突出するように形成される部分である。そして、幅広部81cの第2直交方向Zにおける幅は、カバー本体部81aの第2直交方向Zにおける幅よりも広い。
【0053】
温度検出素子82は、素子収容空間部81sに配置される。一対のセンサ電線83A、83Bは、一方の端末が温度検出素子82に対して電気的に接続される。ポッティング剤84は、絶縁性を有する液状の合成樹脂を硬化させることによって形成され、素子収容空間部81sに温度検出素子82が配置された状態において、素子収容空間部81sに充填されるものである。上記の構成を有する温度センサ8は、一対のセンサ電線83A、83Bを介して温度検出素子82の電気抵抗を出力し、当該電気的抵抗に基づいて端子2の温度が検出される。本実施形態のコネクタ100は、一対の端子2に対応して、一対の温度センサ8を備える。
【0054】
温度センサ8は、保持構造9により、第1直交方向Yへ移動可能に保持される。保持構造9は、一対の係止突起95と、一対の係止凹部96とが設けられる。
【0055】
一対の係止突起95は、保持アーム部54に設けられ、第2直交方向Zへ延在する。本実施形態の保持構造9は、一対の係止突起95が2つ設けられる。2つの係止突起95は、第2直交方向Zにおいて対向し、第1直交方向Yの一方に配置した一方側係止突起95Aと、第1直交方向Yの他方に配置した他方側係止突起95Bとを有し、これらが、軸線XLを含み、第1直交方向Yに対して直交する平面に対して線対称に配置され、かつ、同一の構成を有する。そのため、以下の説明において、他方側係止突起95Bの構成について以下に説明し、一方側係止突起95Aの構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
他方側係止突起95Bは、第1係止突起951と第2係止突起952とを有する。第1係止突起951及び第2係止突起952は、第2直交方向Zにおいて、第1保持アーム部541及び第2保持アーム部542の対向面に形成される。より具体的に説明すると、第1係止突起951は、第1保持アーム部541における保持先端部541bに形成され、第2係止突起952は、第2保持アーム部542における保持先端部542bに形成される。
【0057】
第1係止突起951は、
図10に示すように、接触方向Xにおいて対向する傾斜面951aと、直交面952bとを有する。傾斜面951aは、接触方向Xにおける後方側に位置し、接触方向X及び第2直交方向Zに対して傾斜する。直交面952bは、接触方向Xにおける前方側に位置し、接触方向Xに対して直交する平面の一部によって構成される。
【0058】
第2係止突起952は、接触方向Xにおいて対向する傾斜面952aと、直交面952bとを有する。傾斜面952aは、接触方向Xにおける後方側に位置し、接触方向X及び第2直交方向Zに対して傾斜する。直交面952bは、接触方向Xにおける前方側に位置し、接触方向Xに対して直交する平面の一部によって構成される。
【0059】
一対の係止凹部96は、
図7に示すように、温度センサ8に設けられ、第2直交方向Zへ係止突起95を移動させることによって当該係止突起95に係合可能である。本実施形態の保持構造9は、一対の係止凹部96が2つ設けられる。2つの係止凹部96は、第2直交方向Zにおいて対向し、第1直交方向Yの一方に配置した一方側係止凹部96Aと、第1直交方向Yの他方に配置した他方側係止凹部96Bとを有する。そして、これらが、軸線XLと平行し、カバー本体部81aにおける第2直交方向Zの両端部の中央に位置する仮想線を含み、第2直交方向Zと直交する平面に対して線対称に配置され、かつ、同一の構成を有する。そのため、以下の説明において、他方側係止凹部96Bの構成について以下に説明し、一方側係止凹部96Aの構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
他方側係止凹部96Bは、第1係止凹部961と第2係止凹部962とを有する。第1係止凹部961及び第2係止凹部962は、第2直交方向Zにおいて、温度センサ8におけるカバー本体部81aの対向面に形成される。
【0061】
本実施形態の保持構造9は、第1係止凹部961の第1直交方向Yにおける幅W1が、第1係止突起951の第1直交方向Yにおける幅W2よりも大きい。また、第2係止凹部962の第1直交方向Yにおける幅W1が、第2係止突起952の第1直交方向Yにおける幅W2よりも大きい。それらによって、保持部材5に対して温度センサ8が第1直交方向Yへ移動可能である。つまり、保持構造9は、温度センサ8をハウジング形成空間部5sにおいて第1直交方向Yへ移動可能に保持する。
【0062】
保持構造9は、一対の係止突起95と一対の係止凹部96とが係合した状態では、係止突起95の直交面952bと係止凹部96を構成する平坦面とが接触することによって、保持部材5に対して温度センサ8が接触方向Xにおける後方側に移動することが規制される。つまり、保持構造9は、一対の係止突起95と一対の係止凹部96とを係合させることによって、接触方向Xの一方側に移動することが規制される。その上、保持構造9は、第2直交方向Zにおいて対向する一対の保持アーム部54、及び、温度センサ8に、一対の係止突起95、及び、一対の係止凹部96を設ける。これにより、保持構造9は、一対の保持アーム部54によって、温度センサ8が第1直交方向Yへ移動可能に温度センサ8を保持することができるとともに、第2直交方向Zに温度センサ8が移動することが規制される。
【0063】
上記の構成を有するコネクタ100は、例えば、以下のようにして組み立てる。作業者は、先ず、
図6に示すように、接触方向Xにおいて、保持部材5の後方側に2つの温度センサ8を配置する。
【0064】
次に、作業者は、接触方向Xにおいて、保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させる。接触方向Xにおいて、保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させると、はじめに、第2直交方向Zにおける一対の案内アーム部512a、512bの間に、温度センサ8のカバー本体部81aが挿入される。この状態から、接触方向Xにおいて、さらに保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させると、一対の保持アーム部54の間に、温度センサ8のカバー本体部81aが挿入される。
【0065】
そして、この状態から、接触方向Xにおいて、さらに保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させると、押圧アーム部53の突出部531に温度センサ8が接触し、押圧アーム部53が弾性変形する。より具体的に説明すると、一対の押圧アーム部53A、53Bは、突出部531が温度センサ8に接触することによって、第1直交方向Yにおいて、互いに近接する方向へ弾性変形する。
【0066】
この状態から、接触方向Xにおいて、さらに保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させると、一対の係止突起95の傾斜面951aが、温度センサ8における第2直交方向Zの対向面に接触する。そして、一対の係止突起95の傾斜面951aが、温度センサ8における第2直交方向Zの対向面に接触すると、一対の保持アーム部54の保持先端部541b、542bが第2直交方向Zへ離隔するように弾性変形する。
【0067】
この状態から、接触方向Xにおいて、さらに保持部材5に対して温度センサ8を後方側から前方側へ移動させると、一対の係止突起95が、温度センサ8の接触方向Xの前方側における壁部を乗り越え、一対の係止突起95が第2直交方向Zへ移動することによって、一対の係止突起95が一対の係止凹部96に係合する。そして、一対の保持アーム部54は、弾性変形した状態から復帰する。これによって、保持構造9は、温度センサ8が第1直交方向Yへ移動可能に保持し、
図10に示すように、保持部材5に温度センサ8が取り付けられる。
【0068】
次に、作業者は、
図6に示すように、保持部材5の接触方向Xにおける前方側に2つの端子2を配置する。そして、作業者は、保持部材5に対して端子2を接触方向Xにおける後方側に移動させる。
【0069】
作業者は、保持部材5に対して端子2を接触方向Xにおける後方側にさらに移動させ、端子2の収容空間部25sに、案内アーム部512a、512b、保持アーム部5A、5B、及び、押圧アーム部53A、53Bを収容する。
【0070】
そして、作業者は、接触方向Xにおいて、保持部材5の端子固定部51aと、端子2の電線接続部24との位置を合わせる。その後、作業者は、接続貫通孔24a1、スペーサ貫通孔51a5、固定部第2貫通孔51a2、及び、接続貫通孔24a1、24b1にボルト28のネジ部28aの先端を挿通した後、当該ボルト28のネジ部28aにナット29のネジ孔29aをそれぞれ螺合することによって、保持部材5に端子2を固定する。
【0071】
次に、作業者は、接触方向Xにおいて、
図3に示すように、カバー4の前方側に保持部材5を配置する。そして、この状態から、接触方向Xにおいて、カバー4に対して保持部材5を前方側から後方側へ移動させ、ワッシャ52の貫通孔52aにボルト59のネジ部59aを挿通させた後、ボルト59のネジ部59aにナット49のネジ孔49aを螺合する。これによって、カバー4に保持部材5を固定してハウジング3を形成する。
【0072】
次いで、作業者は、カバー4における組付用貫通孔411にボルトの先端を挿通した後、当該ボルトのネジ部にナットをそれぞれ螺合することによって、コネクタ100を取付対象物に取り付ける。作業者は、最後に、相手方コネクタ110を取付対象物に取り付けることによって、端子2と相手方端子111とを電気的に接続するとともに、コネクタ100を相手方コネクタ110に組み付ける。
【0073】
本実施形態に係るコネクタ100は、以下の構成を有する。コネクタ100は、温度センサ8をハウジング形成空間部(空間部)5sにおいて少なくとも第1直交方向Yへ移動可能に保持する保持構造9を有する。ハウジング3は、基部51と、基部51から接触方向Xへ延出し、接触方向Xに直交する第1直交方向Yに対して弾性変形可能な押圧アーム部53を有する。押圧アーム部53は、ハウジング形成空間部5sに突出して温度センサ8に接触する突出部531を有する。突出部531は、温度センサ8に接触することで押圧アーム部53が弾性変形してハウジング形成空間部5sに位置する温度センサ8を第1直交方向Yに対して押圧し、押圧した温度センサ8を端子2に接触させるものである。それらのため、本実施形態に係るコネクタ100は、弾性変形した押圧アーム部53の弾性復元力によって、突出部531が第1直交方向Yに対して温度センサ8を押圧する。温度センサ8は、第1直交方向Yへ移動可能に保持構造9によって保持されているため、突出部531に押圧されると第1直交方向Yに沿って移動して端子2に接触する。その結果、本実施形態に係るコネクタ100は、車両の振動が加わることによって、端子2に対して温度センサ8が位置ズレした場合であっても、当該位置ズレに追従して突出部531が温度センサ8を端子2に接触させ、端子2に対する温度センサ8の接触状態を維持することができる。従って、本実施形態に係るコネクタ100は、常時、温度センサ8によって端子2の温度を適正に検出することができる。これによって、本実施形態に係るコネクタ100は、温度センサ8の検知結果に基づいて電源から電子機器への過電流を防止することができる。一方、従来のコネクタは、第1ホルダ部材と、第2ホルダ部材と、当該第2ホルダ部材が第1ホルダ部材に係止された状態を維持する保持構造9とを備える。そして、従来のコネクタは、当該第1ホルダ部材と第2ホルダ部材との間に位置する内部空間部に端子及び温度センサを配置し、第1ホルダ部材と第2ホルダ部材とでそれらを挟持し、挟持することによって端子と温度センサとを接触させ、それらを挟持した状態を保持構造で維持する。このため、従来のコネクタは、車両の走行等の振動が加えられることによって、第1ホルダ部材と第2ホルダ部材との間に位置する内部空間部が大きくなった場合には、温度センサと端子との間に隙間が生じ、端子に対する温度センサの接触状態を維持することができないおそれがある。
【0074】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。保持構造9は、保持アーム部54、及び、温度センサ8の一方に設けられ、第2直交方向Zに延在する一対の係止突起95と、保持アーム部54、及び、温度センサ8の他方に設けられ、第2直交方向Zへ係止突起95を移動させることによって係止突起95に係合可能な一対の係止凹部96と、を有する。一対の保持アーム部54は、第2直交方向Zにおいて、互いに離隔する方向へ弾性変形可能である一方、温度センサ8の第2直交方向Zに位置する壁部によって互いに近接する方向への弾性変形が規制される。そのため、本実施形態に係る保持構造9は、コネクタ100が車両に相殺された状態においては、温度センサ8の第2直交方向Zに対する移動が規制される。また、一対の係止突起95と一対の係止凹部96とが係合した状態において、温度センサ8が接触方向Xの一方側に移動しようとした場合には、係止凹部96の接触方向Xの反対方向側の壁部に係止突起95が接触し、接触方向Xの一方側に対する移動を規制される。その結果、本実施形態に係る保持構造9は、温度センサ8の第2直交方向Zに対する移動、及び、接触方向Xの一方側に対する移動を規制することができるため、温度センサ8に対して突出部531を確実に接触させることができる。
【0075】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。ハウジング3は、カバー4と、カバー4とは別体に形成された保持部材5とを備える。保持部材5は、基部51を有する。基部51は、第1直交方向Yにおいて、一対の端子2の間に位置し、かつ、一対の端子2が固定される端子固定部51aを有する。カバー4は、第1直交方向Yにおいて離隔する一対の端子2の外側を覆う。そのため、本実施形態に係るコネクタ100は、一対の端子2の外側をカバー4で覆うことによって、端子2を保護することができる。その上、本実施形態に係るコネクタ100は、温度センサ8を基部51で保持した状態において、温度センサ8が基部51に対して適正に保持されているか否かを確認した後、一対の端子2の外側をカバー4で覆うことができる。その結果、本実施形態に係るコネクタ100は、端子2をカバー4で保護することができるとともに、温度センサ8が基部51に適正に保持されているか否かを確認することができる。
【0076】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。端子2は、収容空間部25sを有する筒状部25を有する。押圧アーム部53は、筒状部25の収容空間部25sに配置される。ところで、コネクタ100は、一対の端子2のそれぞれに一対の相手方端子111が接触することによって、第1直交方向Yにおいて、一対の端子2が離隔するように変形するおそれがある。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、端子2の剛性を、筒状部25によって、板状の端子2の剛性よりも高くすることができる。その結果、本実施形態に係るコネクタ100は、端子2の剛性を高くすることによって端子2が相手方端子111に接触することによる変形を抑制して、端子2と温度センサ8との間に隙間が発生することを防止することができる。これによって、本実施形態に係るコネクタ100は、端子2に対する温度センサ8の接触状態を確実に維持することができる。
【0077】
本実施形態に係るコネクタ100は、以下の構成を有する。温度センサ8は、端子2の収容空間部25sに配置される。筒状部25は、端子2がハウジング3に保持された状態においてハウジング3の内部に収容される。そのため、本発明に係るコネクタ100は、筒状部25の収容空間部25sを有効利用して、端子2の一部を収容するスペースの一部を、温度センサ8を収容するスペースに兼用することによって、ハウジング3の内部に温度センサ8を収容するだけのスペースをなくすことができる。その結果、本実施形態に係るコネクタ100は、ハウジング3の内部に端子2の一部を収容するスペースと温度センサ8を収容するスペースとを別個に設ける必要がないため、ハウジング3を小型にすることができる。従って、小型なコネクタ100を提供することができる。
【0078】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。端子2は、展開状態において1枚の導電性を有する金属製の板状部材で形成される。そのため、本実施形態に係るコネクタ100は、筒状部25を有する端子2を安価、かつ、容易に製造することができる。
【0079】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。ハウジング3は、複数の端子2を保持する。各端子2の収容空間部25sに温度センサ8がそれぞれ配置される。そのため、本実施形態に係るコネクタ100は、温度センサ8に対応して端子2を設け、各端子2の筒状部25の収容空間部25sに温度センサ8をそれぞれ収容する。その結果、本実施形態に係るコネクタ100は、内部に収容する温度センサ8を端子2が個別に保護することによって、当該端子2の収容空間部25sに収容する温度センサ8に対して他の端子2から発生する熱の影響を抑制することができる。
【0080】
本実施形態に係るコネクタ100は以下の構成を有する。温度センサ8の軸線は、接触方向Xから視た場合に、端子接続部23における外側部分23aの内側に位置する。そのため、本実施形態に係るコネクタ100は、第1直交方向Yにおいて、端子接続部23の外側部分23aよりも外側の余分なスペースをなくすことができ、それによりハウジング3を小型にすることができる。従って、より小型なコネクタ100を提供することができる。
【0081】
本実施形態のコネクタ100は、以下の構成を有する。本実施形態に係るコネクタ100は、第1直交方向Yにおいて対向する一対の押圧アーム部53A、53Bを有し、一対の押圧アーム部53A、53Bは、突出部531がそれぞれ接触することによって、第1直交方向Yにおいて、互いに近接する方向へ弾性変形する。そのため、一対の押圧アーム部53A、53Bの弾性復元力は、保持部材5に対して、第1直交方向Yに対してバランスを取り、第1直交方向Yの一方向に保持部材5が移動することを抑制することができる。
【0082】
本実施形態のコネクタ100は、以下の構成を有する。コネクタ100は、保持部材5を接触方向Xから視た場合、第2直交方向Zにおいて、ハウジング形成空間部5sを挟んで、一対の保持アーム部54の保持先端部541b、542bが対向し、かつ、ハウジング形成空間部5sにおける第1直交方向Yの一方側に押圧アーム部53の突出部531が配置される。そのため、コネクタ100は、突出部531を有する押圧アーム部53と、温度センサ8を保持する一対の保持アーム部54とを密集して配置し、端子2の収容空間部25sを有効利用することができ、それによって、コネクタ100を小型にすることができる。
【0083】
なお、上述した実施形態のコネクタ100は、ハウジング3が端子2の少なくとも一部を収容するものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、それに限られず、ハウジング3が端子2の全部を収容するものでもよい。
【0084】
また、上述した実施形態のコネクタ100は、電線対電線接続用の接続機構に用いられるコネクタ100を説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、それに限られず、電線対電気機器接続用の接続機構に用いるコネクタに適用することができる。
【0085】
さらに、上述した実施形態のコネクタ100は、端子2が雌端子であるものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、それに限られず、端子2が雄端子であるコネクタに適用することができる。
【0086】
また、上述した実施形態のコネクタ100は、ハウジング3が、カバー4と、カバー4とは別体に形成された保持部材5とを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、それに限られず、カバー4と保持部材5とを一体的に形成したハウジング3を備えてもよい。コネクタ100がそのようなハウジング3を備えれば、カバー4と保持部材5とを組み立てる必要がないため、組み立てが容易なコネクタ100を提供することができる。
【0087】
さらに、上述した実施形態の保持構造9は、一対の係止突起95を保持アーム部54に設ける一方、一対の係止凹部96は、温度センサ8に設けるものを説明した。しかし、本実施形態の保持構造9は、一対の係止突起95を温度センサ8に設ける一方、一対の係止凹部96を保持アーム部54に設けてもよい。つまり、本実施形態における保持構造9において、一対の係止突起95は、保持アーム部54、及び、温度センサ8の一方に設けられ、第2直交方向Zに延在する。また、一対の係止凹部96は、保持アーム部54、及び、温度センサ8の他方に設けられ、第2直交方向Zへ係止突起95を移動させることによって係止突起95に係合可能である。
【0088】
また、上述した実施形態のコネクタ100は、保持部材5に温度センサ8を組み付けた後、保持部材5に端子2を組み付けるものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100は、それに限られず、保持部材5に端子2を組み付けた後、保持部材5に温度センサ8を組み付けてもよい。
【0089】
さらに、上述した実施形態のコネクタ100は、温度センサ8にサーミスタを用いるものを説明した。しかし、本実施形態に係るコネクタ100の温度センサ8は、それに限られず、例えば温度センサ8に熱電対を用いてもよい。
【符号の説明】
【0090】
2 端子
21 第1端子(端子2)
22 第2端子(端子2)
25s 収容空間部
3 ハウジング
4 カバー
5 保持部材
5s ハウジング形成空間部(空間部)
51 基部
51a 端子固定部
53 押圧アーム部
54 保持アーム部
531 突出部
8 温度センサ
9 保持構造
95 係止突起
96 係止凹部
100 コネクタ
111 相手方端子
X 接触方向
Y 第1直交方向
Z 第2直交方向