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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】間接排水用継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20221206BHJP
   F16L 55/07 20060101ALI20221206BHJP
   F24H 9/16 20220101ALN20221206BHJP
【FI】
E03C1/12 A
E03C1/12 E
F16L55/07 E
F24H9/16 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174867
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065999
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194438(JP,A)
【文献】特開2020-176684(JP,A)
【文献】特開2018-188922(JP,A)
【文献】特開2017-57583(JP,A)
【文献】特開2000-8468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
F16L 55/07
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向の一端側から排水が流入し、軸線方向の他端側から排水が流出する継手本体と、前記継手本体の内部に設けられる仕切り壁と、を備え、
前記継手本体は、前記継手本体の内外を仕切る外壁である排水壁部と、前記継手本体の外壁であって内外を連通する開口が形成された漏水壁部と、を備え、
前記仕切り壁は、径方向の一端及び他端が前記排水壁部に接続され、前記排水壁部と前記漏水壁部との間を仕切り、
前記排水壁部及び前記仕切り壁によって画定される領域は、軸線方向の一端側から他端側に向かって排水が流れる排水領域である間接排水用継手。
【請求項2】
前記漏水壁部及び前記仕切り壁によって画定される領域は、軸線方向の他端側から一端側に向かって逆流した逆流水が前記開口から前記継手本体の外部に漏れる漏水領域であり、
前記仕切り壁には、前記排水領域と前記漏水領域とを連通する連通口が形成される請求項1に記載の間接排水用継手。
【請求項3】
前記仕切り壁は、前記継手本体の内部のうち、軸線方向で、前記開口の一端部の位置から、前記開口の中央部よりも他端側の位置までの範囲で設けられる請求項1又は2に記載の間接排水用継手。
【請求項4】
前記仕切り壁は、前記継手本体の内部のうち、軸線方向で、前記開口の一端部の位置から、前記開口の他端部の位置までの略全域にわたって延びるように設けられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の間接排水用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接排水をするための継手である間接排水用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
機器等からの排水を排水設備へ排水する一方で、排水設備から機器等に向かって逆流しようとする逆流水が機器等に到達することを防止する排水方法として、間接排水がある。
【0003】
従来、間接排水をするための継手として、特許文献1に記載の間接排水用継手が知られている。間接排水用継手は、筒状で、軸線方向の一端部から機器等の排水が流入し、軸線方向の他端部から排水を排出する流水部と、筒状で、流水部の軸線方向の他端部から下方に離隔して配置され、流水部から排出された排水を受け、排水設備に排出する排水部と、筒状で、流水部の軸線方向の他端部を内部に収容し、かつ、流水部及び排水部を連結する周壁部と、を備える。排水部は、流水部の軸線方向の他端部の内径よりも内径が大きく、流水部から排出される排水を受ける受け部を備え、周壁部には、流水部の軸線方向の他端部から受け部の軸線方向の一端部までの間を含む領域に形成された開口部が形成される。
【0004】
上記のような間接排水用継手によれば、受け部が流水部から下方に離隔して配置されるので、機器等からの排水は流水部を介して受け部に落下して排水設備に排出され、かつ、排水設備から機器側へ向かう逆流水は、受け部の軸線方向の一端部を超えたときに、受け部からあふれ、開口部から間接排水用継手の外部に漏れるので、逆流水が機器等へ到達することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019―194438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような間接排水用継手においては、排水の流量を十分に確保しつつ開口部からの排水の漏れを抑制するためには、受け部の内径を流水部の内径に対して十分に大きくする必要がある。しかしながら、受け部の内径を大きくすると、それに伴って、受け部の外径も大きくなり、間接排水用継手全体が大きくなる。
【0007】
そこで、本発明は、排水の漏れを抑制しつつ、大型化を抑制できる間接排水用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の間接排水用継手は、軸線方向の一端側から排水が流入し、軸線方向の他端側から排水が流出する継手本体と、前記継手本体の内部に設けられる仕切り壁と、を備え、前記継手本体は、前記継手本体の内外を仕切る外壁である排水壁部と、前記継手本体の外壁であって内外を連通する開口が形成された漏水壁部と、を備え、前記仕切り壁は、径方向の一端及び他端が前記排水壁部に接続され、前記排水壁部と前記漏水壁部との間を仕切り、前記排水壁部及び前記仕切り壁によって画定される領域は、軸線方向の一端側から他端側に向かって排水が流れる排水領域であるよう構成される。
【0009】
かかる構成によれば、排水壁部と漏水壁部とが仕切り壁で仕切られるので、排水領域を流れる排水が漏水壁部側に流れることを抑制でき、逆流水が生じない平常時に排水が漏水壁部に形成された開口から継手本体の外部に漏れることを抑制できる。よって、継手本体の内部に設けられる仕切り壁で排水の漏れを抑制できるので、排水の漏れを抑止しつつ、間接排水用継手の大型化を抑制できる。
【0010】
また、前記漏水壁部及び前記仕切り壁によって画定される領域は、軸線方向の他端側から一端側に向かって逆流した逆流水が前記開口から前記継手本体の外部に漏れる漏水領域であり、前記仕切り壁には、前記排水領域と前記漏水領域とを連通する連通口が形成されるように構成することもできる。
【0011】
かかる構成によれば、仕切り壁に連通口が形成されるので、仕切り壁の他端部まで逆流水が逆流し、排水領域の他端部が逆流水によって蓋をされた場合でも、連通口から排水領域の空気抜きをすることができる。よって、排水を排出する機器等から排水領域までの間が逆流水によって詰まり、機器が排水を排出できなくなることを防止できる。
【0012】
また、前記仕切り壁は、前記継手本体の内部のうち、軸線方向で、前記開口の一端部の位置から、前記開口の中央部よりも他端側の位置までの範囲で設けられるように構成することもできる。
【0013】
かかる構成によれば、仕切り壁が開口の軸線方向中央部よりも他端側の位置まで延びるので、排水領域を通る排水が流れる方向が仕切り壁によって制限され、開口側に排水が移動しづらくなる。よって、開口からの排水の漏れを抑制できる。
【0014】
また、前記仕切り壁は、前記継手本体の内部のうち、軸線方向で、前記開口の一端部の位置から、前記開口の他端部の位置までの略全域にわたって延びるように設けられるように構成することもできる。
【0015】
かかる構成によれば、仕切り壁が、軸線方向で開口が形成される部分の略全域にわたって延びるので、例えば、風などによって継手本体の内部に負圧がかかり、排水を吸い出す力がかかったとしても仕切り壁が排水の移動を阻害するため、排水が開口から漏れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排水の漏れを抑制しつつ、大型化を抑制できる間接排水用継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る間接排水用継手の斜視図である。
図2】同間接排水用継手の分解斜視図である。
図3】(a)同間接排水用継手の機器側接続部を表す正面図である。(b)(a)に示すIII-III断面図である。
図4】(a)同間接排水用継手の排水側接続部を表す正面図である。(b)(a)に示すIV-IV断面図である。
図5】同間接排水用継手の継手本体を表す背面図である。
図6】同間接排水用継手の継手本体を表す正面図である。
図7】同間接排水用継手の継手本体及び仕切り壁を表す平面図である。
図8】同間接排水用継手の継手本体及び仕切り壁を表す底面図である。
図9図6に示すIX-IX断面図である。
図10図7に示すX-X断面図である。
図11】同間接排水継手の使用方法を示す断面図である。
図12】同間接排水用継手の使用状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る間接排水用継手1について図1乃至図12を用いて説明する。説明の便宜上、上下の方向は、設置時の上下方向を基準として、軸線方向の一端側が上側として、他端側が下側として説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、間接排水用継手1は、機器側接続部2と、継手本体4と、排水側接続部3と、を備える。また、間接排水用継手1は、継手本体4の内部に設けられる仕切り壁5を備える(図9参照)。
【0020】
機器側接続部2は、上側(軸線方向一端側)が機器等又は機器等から延びる配管に、下側(軸線方向他端側)が継手本体4に接続され、内部を排水が通水可能なよう構成されている。具体的に、図3(a)に示すように、機器側接続部2は、円筒形状の機器側通水部21と、継手本体4に係合可能な機器側取付部22と、を備える。本実施形態の機器側通水部21は、外周面から径外側に突出する操作部211を備える。
【0021】
図3(b)に示すように、機器側通水部21は、上側(機器側通水部21の軸線方向で一端側)に設けられ、機器等に対して又は機器等から延びる配管等に対して係合する機器側係合部212と、下側(機器側通水部21の軸線方向で他端側)に設けられ、下端部が継手本体4の内部に挿入される機器側内挿部213と、を備える。本実施形態で、機器側係合部212及び機器側内挿部213は、円筒形状であり、機器側係合部212の下端部と機器側内挿部213の上端部とが略同軸に連結されている。また、本実施形態の機器側係合部212は、内周面に雌ねじ212aが形成された円筒形状の部位であり、機器等に設けられる雄ねじに対して螺合可能である。即ち、本実施形態の機器側係合部212は、機器等に対して直接係合して、機器等と機器側接続部2を連結する。さらに、機器側内挿部213は、機器側取付部22が継手本体4に係合した際に、継手本体4の内部に収容可能な大きさである。
【0022】
機器側取付部22は、継手本体4と機器側接続部2とを連結する部位である。具体的に、機器側取付部22は、機器側通水部21の外径よりも内径が大きい円筒形状の取付基部221と、取付基部221の軸線方向の下端部の内周面から径内側に突設される機器側係合爪222と、を備える。また、取付基部221の上端部は、機器側通水部21の外周面に連結されており、機器側通水部21の外周面と取付基部221の内周面に囲まれる空間は、継手本体4の軸線方向一端部(機器側嵌合部41)を収容可能である。本実施形態で、機器側係合爪222は、取付基部221の周方向に略180度離隔して1対設けられる。さらに、取付基部221の外周面には、複数の平面が形成されている。本実施形態の取付基部221の外周面は、横断面で多角形状に形成されている。
【0023】
排水側接続部3は、上端側(軸線方向一端側)が継手本体4に、下端側(軸線方向他端側)が排水設備に連通する配管等に、接続され、内部を排水が通水可能なよう構成されている。具体的に、図4(a)に示すように、排水側接続部3は、上端部に設けられ、継手本体4の他端側に係合する排水側取付部31と、下端部に設けられ、配管等に係合する配管係合部32と、排水側取付部31及び配管係合部32を連結する連結部33と、を備える。
【0024】
図4(b)に示すように、排水側取付部31は、継手本体4の下端部(軸線方向他端部)に対して係合する筒状の部位である。具体的に、排水側取付部31は、筒状の嵌合筒部311と、嵌合筒部311の上端部(軸線方向一端部)の内周面から径内側に突出する排水側係合爪312と、を備える。本実施形態の排水側取付部31は、継手本体4の下端部に対して外嵌めされて継手本体4と係合する。即ち、本実施形態の嵌合筒部311は、継手本体4の軸線方向他端部(排水側嵌合部42)に対して外嵌め可能である。また、排水側係合爪312は、嵌合筒部311の周方向に略180度離隔して1対設けられる。さらに、嵌合筒部311の外周面には、複数の平面が形成されている。本実施形態の嵌合筒部311の外周面は、横断面で多角形状に形成されている。
【0025】
配管係合部32は、配管等に係合して、排水側接続部3と配管等を連結する。具体的に、配管係合部32は、筒状で、外周面に配管等と係合可能な部位を備え、配管係合部32の内部は通水可能なように構成されている。本実施形態の配管係合部32は、外周面に雄ねじ部32aを備える。即ち、本実施形態の配管係合部32は、外周面が配管等と螺合し、内部を水が通れるように構成されている。
【0026】
継手本体4は、筒状で、継手本体4の内外を仕切る外壁の一部に開口432aが形成された部位である。また、継手本体4は、上端部(軸線方向一端側)から排水が流入し、下端部(軸線方向他端側)から排水が流出するように構成される。具体的に、図5及び図6に示すように継手本体4は、軸線方向で、上端部に機器側接続部2と嵌合可能な機器側嵌合部41と、下端部に排水側接続部3と嵌合可能な排水側嵌合部42と、機器側嵌合部41及び排水側嵌合部42を連結する間接排水部43と、を備える。また、継手本体4は、取付方向を示す取付方向指示部44を備え、本実施形態の取付方向指示部44は、取付時の排水が流れる方向を示す矢印である。
【0027】
機器側嵌合部41は、機器側取付部22が係合可能な部位である。また、機器側嵌合部41は、外径が取付基部221の内径よりも小さく、機器側係合爪222の内径よりも大きい筒状の部位である。即ち、機器側嵌合部41は、取付基部221を外嵌め可能で、取付基部221を外嵌めしたときに機器側係合爪222が係止する部位である。具体的に、機器側嵌合部41は、機器側係合爪222が係合可能な機器側溝部411と、上端部(軸線方向一端部)から機器側溝部411まで機器側係合爪222をガイドする機器側ガイド部412と、を備える。本実施形態の機器側溝部411は、機器側嵌合部41の周方向に1周に亘って設けられる。また、機器側ガイド部412は、機器側嵌合部41に形成された窪みであり、継手本体4の軸線方向一端部から他端側(上端側から下端側)に延びるストレート部4121と、ストレート部4121の他端部(下端部)から機器側溝部411まで延び、他端側(下側)の外径が大きくなるテーパ部4122と、を備える。即ち、機器側ガイド部412は機器側係合爪222が嵌合可能な窪みであり、機器側係合爪222が機器側ガイド部412に沿って移動することで、機器側係合爪222を機器側溝部411までガイドする。本実施形態で、テーパ部4122の一端部の外径は、機器側係合爪222の内径よりも小さい。
【0028】
排水側嵌合部42は、排水側取付部31が係合可能な部位である。また、排水側嵌合部42は、外径が嵌合筒部311の内径よりも小さい筒状の部位である。即ち、排水側嵌合部42は、嵌合筒部311を外嵌め可能で、嵌合筒部311を外嵌めしたときに排水側係合爪312が係止する部位である。具体的に、排水側嵌合部42は、排水側係合爪312が係合可能な排水側溝部421と、下端部(軸線方向他端部)から排水側溝部421まで排水側係合爪312をガイドする排水側ガイド部422と、を備える。本実施形態の排水側溝部421は、周方向の長さが排水側係合爪312の周方向の長さと略等しい。また、本実施形態の排水側溝部421は、排水側嵌合部42の周方向に略180度離隔して2か所に設けられている。さらに、排水側ガイド部422は、排水側嵌合部42に形成された窪みであり、下端部から上側(軸線方向一端側)に延びるストレート部4221と、ストレート部4221の上端部から排水側溝部421まで延び、上端側の外径が大きくなるテーパ部4222と、を備える。即ち、排水側ガイド部422は排水側係合爪312が嵌合可能な窪みであり、排水側係合爪312が排水側ガイド部422に沿って移動することで、排水側係合爪312を排水側溝部421までガイドする。本実施形態で、テーパ部4222の他端部(下端部)の外径は、排水側係合爪312の内径よりも小さい。また、本実施形態の排水側嵌合部42は、内径が間接排水部43の内径よりも大きく、外径が間接排水部43の外径よりも大きい。
【0029】
間接排水部43は、機器側嵌合部41と排水側嵌合部42を連結する筒状の部位である。具体的に、間接排水部43は、継手本体4の内外を仕切る外壁である排水壁部431と、継手本体4の外壁であって、内外を連通する開口432aが形成された漏水壁部432と、を備える。本実施形態で、間接排水部43は、略半周に亘って延びる排水壁部431と、周方向で、一端が排水壁部431の他端に、他端が排水壁部431の一端に接続される漏水壁部432と、を備える。
【0030】
排水壁部431は、継手本体4の内外を通水不能に仕切る壁体である。即ち、排水壁部431は、開口が形成されていない壁体である。
【0031】
漏水壁部432は、継手本体4の壁体であって、継手本体4の内外を連通する通水可能な開口432aが形成されている。本実施形態の開口432aは、漏水壁部432の周方向の略全域にわたって形成されている。また、本実施形態の漏水壁部432は、開口432a部分に設けられるカバー部4320を備えている。本実施形態のカバー部4320は、開口432aの周方向に沿って延びる複数の周方向リブ4321と、軸線方向に沿って延びる軸方向リブ4322と、を備える。これにより、複数のスリット432bが集合した開口432aが形成される。なお、カバー部4320の形状は上記形状に限定されず、逆流水の排出を阻害しない種々の形状を採用できる。
【0032】
図7及び図8に示すように、仕切り壁5は、径方向の一端及び他端が排水壁部431に接続され、排水壁部431と漏水壁部432との間を仕切る壁体である。また、排水壁部431と仕切り壁5によって画定される領域は、上側から下側(軸線方向の一端側から他端側)に向かって排水が移動する排水領域S1であり、漏水壁部432と仕切り壁5によって画定される領域は、下側から上側に向かって逆流した逆流水が開口432aから継手本体4の外部に漏れる漏水領域S2である。さらに、仕切り壁5は、排水が排水領域S1から漏水領域S2に通過しないように、排水壁部431と漏水壁部432との間を仕切る。具体的に、仕切り壁5は、排水壁部431と漏水壁部432との間を仕切る仕切本体部51と、仕切本体部51の上端側(軸線方向一端側)に設けられ、漏水領域S2の上端部を塞ぐ排水ガイド部52と、を備える。また、図9及び図10に示すように、本実施形態の仕切り壁5は、間接排水部43の上端から下端までにわたって延びている。即ち、本実施形態の仕切り壁5は、軸線方向で、開口432aの上端A2(最も上側のスリット432bの上端)から下端A1(最も下側のスリット432bの下端)までに亘って延びる。さらに、本実施形態の仕切り壁5は継手本体4と一体として構成されている。
【0033】
図7及び図9に示すように、排水ガイド部52は、漏水領域S2の上端部を塞ぐ半円形状の板体である。また、排水ガイド部52は、外縁に、漏水壁部432と接続する漏水接続端部521と、仕切本体部51と接続する仕切接続端部522と、を備える。仕切接続端部522は、径方向に沿って延びるストレート端部5221と、ストレート端部5221から漏水接続端部521に向かって湾曲する湾曲端部5222と、を備える。また、排水ガイド部52は、漏水接続端部521が上端側、仕切接続端部522が下端側となるように傾いた状態で継手本体4に配置される。
【0034】
図8及び図10に示すように、仕切本体部51は、排水領域S1と漏水領域S2を仕切る壁体である。本実施形態の仕切本体部51は、軸線方向で、一端部が排水ガイド部52に連結され、他端部が開口432aの他端(下端A1)よりも他端側(具体的には、最下部のスリット432bにおける下縁よりも下方)まで延びる。また、本実施形態の仕切本体部51は、上側から下側に向かうにつれて漏水壁部432側に近づくように傾いて設けられている。さらに、仕切本体部51は、継手本体4の径方向に沿って延びる平坦な壁体である平坦壁部511と、周方向に沿って延びる湾曲壁部512と、を備える。具体的に、平坦壁部511は、径方向の一端が排水壁部431に接続し、仕切本体部51の径方向の一端部を構成する第一平坦壁部5111と、径方向の他端が排水壁部431に接続し、仕切本体部51の径方向の他端部を構成する第二平坦壁部5112と、を備える。湾曲壁部512は、径方向で、一端が第一平坦壁部5111の他端部に、他端が第二平坦壁部5112の一端部に接続され、平坦壁部511から漏水壁部432側に近づくように湾曲する。また、仕切本体部51には、排水領域S1と漏水領域S2を連通する連通口51aが形成される。
【0035】
連通口51aは、仕切り壁5に形成された壁の厚み方向に貫通する貫通孔である。具体的に、連通口51aは、連通口51aの上端が開口432aの下端A1よりも上側の位置になるよう形成される孔である。本実施形態の連通口51aは、仕切本体部51の下端部から上側に向かって延びる下端が開放された長孔である。また、本実施形態の連通口51aの上端は、開口432aの軸線方向の中央部分A3(下端A1と上端A2との中間の位置)よりも上側の位置になるよう形成されている。さらに、連通口51aは、湾曲壁部512に形成されている。
【0036】
このような間接排水用継手1の使用方法について説明する。まず、間接排水用継手1の組み立て方について説明する。
【0037】
図11に示すように、間接排水用継手1は、継手本体4の上端部(軸線方向一端部)に機器側接続部2を嵌め、下端部(軸線方向他端部)に排水側接続部3を嵌めることで、組み立てられる。具体的に、機器側接続部2は、機器側嵌合部41に嵌められ、排水側接続部3は、排水側嵌合部42に嵌められる。ちなみに、継手本体4には、直接配管Pが取付けられる場合があるため、継手本体4への排水側接続部3の取付けは、機器等の設置現場で行うことができる。
【0038】
機器側接続部2を継手本体4に嵌める際には、機器側内挿部213を機器側嵌合部41の内部に挿入し、取付基部221を機器側嵌合部41に外嵌めする。即ち、機器側嵌合部41の外壁を、取付基部221と機器側内挿部213によって画定される空間に挿入する。具体的には、機器側係合爪222が機器側溝部411に嵌るまで、機器側係合爪222を機器側ガイド部412でガイドしつつ、機器側接続部2を継手本体4の上側から下側に移動させる。機器側係合爪222が機器側溝部411に嵌ると、機器側係合爪222と機器側溝部411が係合して、機器側接続部2の上側への移動が規制される。また、機器側溝部411は、継手本体4の周方向に1周に亘って設けられるので、機器側係合爪222は、機器側溝部411に沿って周方向に移動することができるため、機器側接続部2は、継手本体4に対して継手本体4の軸線方向を軸として相対回動可能である。
【0039】
排水側接続部3を継手本体4に嵌める際には、排水側取付部31を排水側嵌合部42に外嵌めする。即ち、排水側嵌合部42を嵌合筒部311の内側に挿入する。具体的には、排水側係合爪312が排水側溝部421に嵌るまで、排水側係合爪312を排水側ガイド部422でガイドしつつ、排水側接続部3を継手本体4の下側から上側に移動させる。一方の排水側係合爪312が一方の排水側溝部421に、他方の排水側係合爪312が他方の排水側溝部421に嵌ると、排水側係合爪312と、排水側溝部421のそれぞれが係合して、排水側接続部3の下側への移動及び継手本体4に対する回動が規制される。
【0040】
図12に示すように、間接排水用継手1は機器等と排水設備との間に取り付けられる。機器等とは、衛生上の配慮が必要な機器や設備であって、排水設備に直接接続することが好ましくない機器や設備であり、例えば潜熱回収型給湯器Hである。本実施形態の間接排水用継手1は、潜熱回収型給湯器Hに対して直接取り付けられる。さらに、間接排水用継手1は、軸線方向一端側が上側に、他端側が下側になるように潜熱回収型給湯器Hに取り付けられる。
【0041】
間接排水用継手1は、機器側係合部212を機器等に対して係合することで機器等に取り付けられる。具体的に、機器等に設けられた雄ねじ(図示しない)と機器側係合部212に形成された雌ねじ212aとを螺合することで、機器側係合部212と機器等とが係合して、間接排水用継手1が機器などに接続される。本実施形態の機器側接続部2は、継手本体4に対して継手本体4の軸線方向を軸として相対回動可能であるので、機器等に螺合する際に、機器側接続部2のみを回動させることができるため、機器等に対して螺合しやすい。また、継手本体4を機器側接続部2に対して相対回動させることで、開口432aの向きを任意の向きにすることができる。さらに、機器側係合部212の外周面には、操作部211が設けられているため、操作部211に指をかけることができるので、機器側接続部2を回動させる操作がしやすい。
【0042】
また、間接排水用継手1の軸線方向他端部(機器等に取り付けた際の下端部)には、排水設備に連通する配管等が取付けられる。本実施形態の間接排水用継手1は、排水設備に連通する配管Pにフレキシブル管Fを介して取り付けられる。具体的には、配管係合部32にフレキシブル管Fの袋ナットF1を螺合することで、配管係合部32と他端が配管Pに接続されたフレキシブル管Fを係合させ、間接排水用継手1をフレキシブル管Fに接続する。袋ナットF1を配管係合部32に螺合する場合には、嵌合筒部311の外周面に形成された平面にスパナなどの工具を当てることで、袋ナットF1を回動させやすくなる。
【0043】
以上のように、軸線方向一端側(上側)を機器等に、他端側(下側)を配管等に接続された間接排水用継手1の内部での水の移動について図11を用いて説明する。
【0044】
機器等から排出される排水は、重力によって移動(落下)し、機器側接続部2を通って継手本体4に移動する。継手本体4に移動した排水は、排水領域S1を通って排水側接続部3に移動(落下)する。具体的に、継手本体4に移動した排水のうち、排水壁部431寄りの位置の排水はそのまま重力に従って移動し(経路R1)、漏水壁部432寄りの位置の排水は、排水ガイド部52によって排水壁部431寄りの位置に誘導され、排水領域S1を重力に従って移動する(経路R2)。排水領域S1から排水側接続部3に移動した排水は、排水側接続部3の内部を移動して配管等に排出される。
【0045】
配管等から機器側に向かって逆流しようとする逆流水は、排水側接続部3を通って継手本体4に移動する。漏水壁部432に形成された開口432aの下端A1より上側の位置まで逆流した逆流水は、開口432a(具体的にはスリット432b)から継手本体4の外側に漏れ出す(経路R3)。よって、逆流水が機器等に到達することを防止できる。具体的に、排水領域S1よりも漏水領域S2の方が、開口432aが存在するため、通水抵抗が小さい。このため、逆流水は、S1ではなくS2に流れ、開口432aから継手本体4の外側に漏れ出す。逆流水が継手本体3の外側に漏れ出すため、排水の逆流による機器Hの停止や故障を防止できる。
【0046】
以上のような構成の間接排水用継手1によれば、排水壁部431と漏水壁部432とが仕切り壁5で仕切られるので、排水領域S1を流れる排水が漏水壁部432側に流れることを抑制でき、逆流水が生じない平常時に排水が漏水壁部432に形成された開口432aから継手本体4の外部に漏れることを抑制できる。よって、継手本体4の内部に設けられる仕切り壁5で排水の漏れを抑制できるので、排水の漏れを抑止しつつ、間接排水用継手1の大型化を抑制できる。
【0047】
また、仕切り壁5に連通口51aが形成されるので、仕切り壁5の他端部(下端部)まで逆流水が逆流し、排水領域S1の他端部(下端部)が逆流水によって蓋をされた場合でも、連通口51aから排水領域S1の空気抜きをすることができる。よって、排水を排出する機器等から排水領域S1までの間が逆流水によって詰まり、機器が排水を排出できなくなることを防止できる。
【0048】
さらに、仕切り壁5が開口432aの軸線方向の中央部分A3(上下方向中央部)よりも他端側(下端側)の位置まで延びるので、排水領域S1を通る排水が流れる方向が仕切り壁5によって制限され、開口432a側に排水が移動しづらくなる。よって、開口432aからの排水の漏れを抑制できる。
【0049】
また、仕切り壁5が、軸線方向で開口432aが形成される部分の略全域(下端A1から上端A2まで)にわたって延びるので、例えば、風などによって継手本体4の内部に負圧がかかり、排水を吸い出す力がかかったとしても仕切り壁5が排水の移動を阻害するため、排水が開口432aから漏れることを抑制できる。
【0050】
さらに、仕切本体部51には、継手本体4の周方向に沿って延びる湾曲壁部512を備え、湾曲壁部512は、漏水壁部432に近づく方向に湾曲するので、排水領域S1の軸線方向に直交する面の断面積を大きくすることができるため、排水領域S1を流れることができる排水の最大量を大きくすることができる。
【0051】
また、仕切り壁5と継手本体4は一体として構成されるので、部品点数を抑制することができ、組み立てが容易になる。
【0052】
さらに、連通口51aの上端は、軸線方向で、開口432aの中央部分A3よりも一端側(上側)であるので、逆流水によって連通口51aの全域が塞がれることを防止でき、排水領域S1の空気抜きを確実にできるため、排水を排出する機器等から排水領域S1までの間が逆流水によって詰まることを防止できる。
【0053】
また、機器側接続部2と継手本体4は別体であるので、機器側接続部2と継手本体4との接続部分から空気を逃がすことができ、排水領域S1の空気抜きを確実にできるため、排水を排出する機器等から排水領域S1までの間が逆流水によって詰まることを防止できる。
【0054】
さらに、連通口51aは、湾曲壁部512に形成されているので、平坦壁部511に形成される場合と比べて連通口51aと排水壁部431の間隔を大きくとることができるため、排水壁部431に沿って流れる排水が連通口51aを通って漏水領域S2に移動しづらくなる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0056】
例えば、継手本体4の形状は、円筒形であるとして説明したが、角筒状等種々の形状の筒状とすることができる。
【0057】
また、排水壁部431と漏水壁部432の数は1つずつに限定されず、複数ずつ備えることとしてもよい。この場合、仕切り壁5も継手本体4の内部に複数設けられ、複数の排水壁部431と複数の漏水壁部432との間を仕切る。例えば、仕切り壁5を横断面で十字形状とすることができる。
【0058】
さらに、仕切り壁5は、継手本体4と一体として構成される場合について説明したが、これに限らず、仕切り壁5と継手本体4を別体として構成し、仕切り壁5を対して継手本体4の内部に挿入可能に構成してもよい。
【0059】
また、仕切り壁5の下端部は、開口432aの下端A1よりも下側まで延びる場合について説明したが、開口432aの下端A1よりも上側に仕切り壁5の下端部があるように構成してもよい。
【0060】
さらに、開口432aは、漏水壁部432の周方向の略全域にわたって形成されるとして説明したが、漏水壁部432の周方向の一部に形成されていてもよい。
【0061】
また、機器側接続部2は、機器等に直接接続されるとして説明したが、機器から延びる配管を介して機器等に間接的に接続されるようにしてもよい。
【0062】
さらに、間接排水用継手1は、排水側接続部3を備えるとして説明したが、排水側接続部3を備えない構成としてもよい。このような構成の場合、排水設備に連通する樹脂管(例えば塩ビ管)等の配管等は、例えば継手本体4の排水側嵌合部42の内部に挿入され、配管等の外周面と排水側嵌合部42の内周面を接着することで、間接排水用継手1と配管等を接続することができる。
【0063】
また、継手本体4及び仕切り壁5、機器側接続部2、並びに、排水側接続部3の3つは、それぞれ別パーツであるとして説明したが、機器側接続部2及び排水側接続部3を一体として構成してもよいし、継手本体4及び排水側接続部3を一体として構成してもよいし、機器側接続部2、継手本体4、及び、排水側接続部3を一体として構成してもよい。
【0064】
さらに、連通口51aは仕切り壁5の軸線方向他端部(下端部)から一端側(上側)に向かって延びると説明したが、仕切り壁5の軸線方向中途部に形成される孔であってもよい。
【0065】
また、機器側係合爪222は、取付基部221の周方向に略180度離隔して1対設けられるとして説明したが、このような構成に限らず、機器側係合爪222が1つだけ設けられる構成としてもよいし、3つ以上設けられる構成としてもよい。機器側係合爪222を3つ以上設ける場合、配置は、取付基部221の周方向に等間隔をあけて配置してもよいし、偏った配置としてもよい。
【0066】
さらに、排水側係合爪312は、嵌合筒部311の周方向に略180度離隔して1対設けられるとして説明したが、このような構成に限らず、排水側係合爪312が1つだけ設けられる構成としてもよいし、3つ以上設けられる構成としてもよい。排水側係合爪312を3つ以上設ける場合、配置は、嵌合筒部311の周方向に等間隔をあけて配置してもよいし、偏った配置としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…間接排水用継手、2…機器側接続部、21…機器側通水部、211…操作部、212…機器側係合部、212a…雌ねじ、213…機器側内挿部、22…機器側取付部、221…取付基部、222…機器側係合爪、3…排水側接続部、31…排水側取付部、311…嵌合筒部、312…排水側係合爪、32…配管係合部、32a…雄ねじ部、33…連結部、4…継手本体、41…機器側嵌合部、411…機器側溝部、412…機器側ガイド部、4121…ストレート部、4122…テーパ部、42…排水側嵌合部、421…排水側溝部、422…排水側ガイド部、4221…ストレート部、4222…テーパ部、43…間接排水部、431…排水壁部、432…漏水壁部、432a…開口、432b…スリット、4320…カバー部、4321…周方向リブ、4322…軸方向リブ、44…取付方向指示部、5…仕切り壁、51…仕切本体部、511…平坦壁部、5111…第一平坦壁部、5112…第二平坦壁部、512…湾曲壁部、52…排水ガイド部、521…漏水接続端部、522…仕切接続端部、5221…ストレート端部、5222…湾曲端部、A1…下端、A2…上端、A3…中央部分、F…フレキシブル管、F1…袋ナット、H…潜熱回収型給湯器、P…配管、R1・R2・R3…経路、S1…排水領域、S2…漏水領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12